JP2004192697A - 光情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】情報の正確な記録再生が可能な光情報記録媒体の製造方法を提供すること。
【解決手段】光ディスク1は、第1基板3、反射層5、ホログラム記録用の記録層7、記録再生用のレーザ光を透過する第2基板9が積層された構造をしている。第2基板9と反射層5が形成された第1基板3との間にホログラム記録原料27を配置する。このホログラム記録原料27をマイクロ波により加熱してゲル化することにより、記録層7を形成する。
【選択図】 図7
【解決手段】光ディスク1は、第1基板3、反射層5、ホログラム記録用の記録層7、記録再生用のレーザ光を透過する第2基板9が積層された構造をしている。第2基板9と反射層5が形成された第1基板3との間にホログラム記録原料27を配置する。このホログラム記録原料27をマイクロ波により加熱してゲル化することにより、記録層7を形成する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報がホログラフィにより記録される光情報記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ホログラフィによって情報をイメージ情報の形で光ディスクのような光情報記録媒体に高密度で記録する方式が知られている。このような光ディスクは、反射層、第1透明基板、ゲル状のホログラム記録材料を含む記録層、第2透明基板を積層した構造をしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
【0004】
国際公開第WO99/44195号パンフレット(第39図、第40図)上記方式におけるイメージ情報の記録は、イメージ情報を担持する情報光と記録用参照光をレーザ光により生成し、これらの光を第2透明基板側から光ディスクに照射し、記録用参照光と反射層で反射された情報光とを記録層において重ね合わせ、これらの光の干渉により生じる干渉縞を記録層に記録することにより実現される。記録層のうち、干渉縞が記録された領域がホログラムとなる。一方、再生照明光を第2透明基板側から干渉縞が記録された記録層に照射すると、この光が干渉縞によって回折されることにより再生光が生成され、第2透明基板を透過した再生光を基にしてイメージ情報が再生される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ホログラム記録材料の原料となるホログラム記録原料は通常、粘性の液体である。よって、このまま記録層として使用すると、記録したホログラムが記録層内で移動してしまい、情報を正確に再生できず、最悪の場合、全く再生できないことがある。そこで、ホログラム記録原料をゲル化して記録層にしている。ホログラム記録原料をゲル化する方法の一例として、加熱がある。しかし、熱伝導ヒータでホログラム記録原料を加熱してゲル化した場合、記録層の厚さ方向にゲル化濃淡層が発生し、情報の正確な記録再生に支障を来たすことが分かった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、情報の正確な記録再生が可能な光情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光情報記録媒体の製造方法は、ゲル状のホログラム記録材料を含む記録層を第1基板と第2基板とで挟んで保持した構造を有する光情報記録媒体の製造方法において、第1基板と第2基板との間に配置されたホログラム記録原料に、マイクロ波、赤外線および電子線のうち少なくとも一つを照射することによりゲル状のホログラム記録材料にして記録層を形成することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る光情報記録媒体の製造方法によれば、ホログラム記録原料のゲル化に、マイクロ波、赤外線および電子線のうち少なくとも一つを利用しているので、記録層の厚さ方向においてホログラム記録原料を均一に加熱することができる。したがって、ホログラム記録原料をゲル化する際にリーゼガング環現象や記録層の厚さ方向におけるゲル化反応不均一現象の発生を防止できるので、記録層にゲル化濃淡層が形成されることはない。
【0009】
本発明に係る製造方法で作製される光情報記録媒体の記録層には、反射型ホログラムで情報が記録される場合がある。反射型タイプの場合、光の干渉により生じる干渉縞が第1及び第2基板面にほぼ平行に形成されるので、記録層にゲル化濃淡層が形成されると、情報の正確な記録再生が著しく阻害される。これによれば、記録層にゲル化濃淡層の形成を防止できるので、反射型タイプの場合において特に有効である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態に係る光ディスク(光情報記録媒体の一例)の製造方法の一例について説明する。まず、この方法を用いて作製される光ディスクの構造について説明する。この光ディスクは円盤状をしており、ホログラフィによりデジタル情報が記録される。図1はこの光ディスクの断面図である。光ディスク1は、第1基板3、反射層5、記録層7および第2基板9が積層され、中央部に貫通穴11が形成された構造を有する。ホログラム記録材料を含む記録層7はゲル状に硬化しており、第1基板3と第2基板9とで挟んで保持されている。ホログラムの記録再生に用いるレーザ光Lは第2基板9側から光ディスク1に照射される。よって、第2基板9が光ディスク1の表面13となり、第1基板3が光ディスク1の裏面15となる。貫通穴11に光ディスクを記録・再生する装置のスピンドルが固定される。
【0011】
ホログラフィの一つの態様であるボリュームホログラフィを利用して、光ディスク1に情報を記録再生する一つの方法について図2を用いて説明する。図2は光ディスク1の一部を拡大した図であり、図1と対応している。図2において、図1中の符号が示す要素と同一の要素については同一符号を付している。上記記録によれば、光ディスク1の記録層7に干渉縞を三次元的に記録することができ、記録密度を更に増加させることができる。
【0012】
光ヘッドのレンズ16で集束されたレーザ光Lには記録用参照光とイメージ情報を担持する情報光とが含まれ、記録用参照光と反射層5で反射された情報光とを記録層7内において干渉させ、これにより発生する干渉縞をホログラムHとして記録層7に記録する。図3はホログラム群の一部の平面図である。光ディスク1を僅かに回転させて、先ほど形成されたホログラムH(例えばホログラムH1とする)と平面的に一部が重なる新たなホログラムH(この場合はホログラムH2となる)を記録層7に形成する。これを繰り返すことにより、記録層7にホログラムを多重記録する。
【0013】
一方、レンズ16で集束された再生照明光であるレーザ光LをホログラムHに照射すると、この光はホログラムHにより回折され、再生光が生成される。レンズ16を介して光ヘッドで検出された再生光を基にしてイメージ情報が再生される。
【0014】
本実施形態に係る光ディスクの製造方法は以下の通りである。図4〜図7は図1の断面と対応する断面図である。まず、図4に示すように、平滑なガラス基板17の上に樹脂を塗布し、図示しないスタンパを用いてピット19を有するプリフォーマット層21を形成することにより、第1基板3を作製する。これにより、サーボ情報およびセクターマークやトラックのアドレス情報などが、ピット19を用いて予めプリフォーマットされる。第1基板3の厚みは例えば5〜1200μmである。ガラス基板17の替わりに、水晶やダイヤモンドが配置された基板を利用することもできる。また、プリフォーマット層21を有しない第1基板3も可能である。すなわち、ポリカーボネートなどの樹脂を用いて射出成形により、ピット19付きの第1基板3を作製するのである。図1に示す第2基板9の厚みや材料は第1基板3と同様である。但し、第1基板3は光透過性を有していなくてもよいので、透明でない材料を選択することも可能である。
【0015】
次に、図5に示すように、第1基板3のピット19が形成された面に、蒸着やスパッタリングなどによってアルミニウム、金、シリコン、白金などからなる反射層5を形成する。反射層5の厚みは例えば5〜500nmである。反射層5はレーザ光Lを反射する性質を有する材料であればよく、金属の他にフェタロシアニン系色素なども用いることができる。
【0016】
第1基板3の縁部に反射層5を介して、リング状のスペーサ23,25を接着する。スペーサ23,25の材料は、例えば、ステンレスなどの金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、石英であり、その厚みの大きさは記録層7の厚みの大きさに相当する。
【0017】
次に、粘性の液状状態のホログラム記録原料を準備する。この原料は、情報光や参照光となるレーザ光Lが記録層7に所定時間照射されたとき、レーザ光Lの強度に応じて照射箇所の光学特性(屈折率、吸収率、透過度、蛍光発光性、反射率など)が変化するものである。この原料は、例えば、レーザ光Lに感光して重合する光重合性有機物であり、具体的には、例えば、デュポン(Dupont)社製のフォトポリマー(Photopolymers)HRF−600(製品名)である。
【0018】
ホログラム記録原料27を第1基板3上に反射層5を介して塗布した後、図6に示すように、第2基板9を第1基板3側に押し付ける。これにより、第1基板3と第2基板9の間にホログラム記録原料27が薄く伸ばされる。
【0019】
図7に示すように、第2基板9側からマイクロ波をホログラム記録原料27に照射して、ホログラム記録原料27を加熱することによりゲル状に硬化させる(プレキュア)。これにより、ゲル状のホログラム記録材料を含む厚さが例えば10〜200μmの記録層7が形成され、光ディスク1が完成する。ここで、マイクロ波の照射条件としては、例えば、周波数が2.45〜4.1GHz、照射時間が5秒〜15時間である。また、マイクロ波照射の際に、反射層5が介在するとホログラム記録原料27にまでマイクロ波が届きにくいので、第2基板9側からマイクロ波を照射するのが好ましい。
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、ホログラム記録原料をマイクロ波により加熱してゲル状に硬化させているので、記録層7にゲル化濃淡層が発生しないことが分かった。この理由について説明する。図8は図6に示す構造体のホログラム記録原料27を熱伝導ヒータにより加熱している状態を示す拡大図である。熱伝導ヒータは第1基板3側および第2基板9側に配置されている。熱伝導ヒータによれば、ホログラム記録原料27は不均一に加熱される、つまりホログラム記録原料27の表面から加熱され始め、内部に向けて徐々に加熱が進行する。このため、リーゼガング環現象や記録層7の厚さ方向におけるゲル化反応の不均一現象が発生し、ゲル化の反応が比較的進んでいる層29と比較的進んでいない層31とが交互に第1基板3上に形成される。これは、図8に示すように記録層7の厚さ方向に沿って交互に形成される場合と図示しないが記録層7の平面方向に沿って交互に形成される場合とがある。これらをゲル化濃淡層という。
【0021】
ゲル化濃淡層により、情報の正確な記録再生に支障が生じる。特に、光ディスク1のように、記録層7に反射型ホログラムを記録するタイプの場合に、その問題が大きい。すなわち、このタイプでは図2に示すように、ホログラムHは第1基板3とほぼ平行に形成される。よって、ゲル化濃淡層とホログラムHとが重なり合うことにより、ホログラムHの正常な記録が阻害される。これにより、再生されたイメージ情報にノイズが発生し、上記阻害の程度が著しいとホログラムHが全く記録されないこともある。
【0022】
記録層7にゲル化濃淡層が形成されるのは、記録層7の厚さ方向において、ホログラム記録原料27が不均一に加熱されることにより、リーゼガング環現象や記録層7の厚さ方向におけるゲル化不均一現象が発生するためだと考えられる。そこで、本実施形態では、記録層7の厚さ方向においてホログラム記録原料27を均一に加熱することによりかかる現象を防止している。よって、本実施形態によれば、記録層7にゲル化濃淡層が形成されないようすることができるので、情報の正確な記録再生を実現できる。
【0023】
なお、本実施形態において、マイクロ波加熱の替わりに赤外線加熱や電子線加熱を利用することもできる。これらによっても、ホログラム記録原料を均一に加熱することができるからである。赤外線の照射条件としては、例えば、波長が1〜20μm、照射時間が5秒〜15時間である。また、電子線の照射条件としては、例えば、吸収線量が数10〜200kGyである。赤外線や電子線の照射の際に、反射層5が介在するとホログラム記録原料にまでこれらが届きにくいので、第2基板9側からこれらを照射するのが好ましい。
【0024】
また、記録層7に透過型のホログラムが記録されるタイプの場合、反射型のホログラムHが記録されるタイプ(図2)と異なり、ゲル化濃淡層に対してほぼ垂直方向にホログラムが形成される。このため、反射型のタイプと比較して、ゲル化濃淡層の影響は受けにくいが、多少は受ける。よって、透過型のタイプについても本実施形態は有効である。
【0025】
なお、本実施形態に係る製造方法で作製される光ディスクは記憶領域が平板状(例えば円盤状)であればよく、光ディスクの外形には無関係である。例えば、三角形、四角形や六角形等であり、大きさが名刺程度のカード形状に平板状の記録領域を有する光ディスクの製造についても本実施形態を適用することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る光情報記録媒体の製造方法によれば、記録層にゲル化濃淡層が形成されないようにすることができるので、情報を正確に記録再生できる光情報記録媒体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る製造方法で作製された光ディスクの平面図である。
【図2】図1の光ディスクにおいて記録再生を説明するための図である。
【図3】図1の光ディスクの記録層に形成されたホログラム群の一部の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る製造方法の第1工程図である。
【図5】本発明の実施形態に係る製造方法の第2工程図である。
【図6】本発明の実施形態に係る製造方法の第3工程図である。
【図7】本発明の実施形態に係る製造方法の第4工程図である。
【図8】記録層にゲル化濃淡層が形成された光ディスクの一部を拡大した図である。
【符号の説明】
1・・・光ディスク、3・・・第1基板、5・・・反射層、7・・・記録層、9・・・第2基板、11・・・貫通穴、13・・・表面、15・・・裏面、16・・・レンズ、17・・・ガラス基板、19・・・ピット、21・・・プリフォーマット層、23,25・・・スペーサ、27・・・ホログラム記録原料、29,31・・層、H・・・ホログラム、L・・・レーザ
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報がホログラフィにより記録される光情報記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ホログラフィによって情報をイメージ情報の形で光ディスクのような光情報記録媒体に高密度で記録する方式が知られている。このような光ディスクは、反射層、第1透明基板、ゲル状のホログラム記録材料を含む記録層、第2透明基板を積層した構造をしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
【0004】
国際公開第WO99/44195号パンフレット(第39図、第40図)上記方式におけるイメージ情報の記録は、イメージ情報を担持する情報光と記録用参照光をレーザ光により生成し、これらの光を第2透明基板側から光ディスクに照射し、記録用参照光と反射層で反射された情報光とを記録層において重ね合わせ、これらの光の干渉により生じる干渉縞を記録層に記録することにより実現される。記録層のうち、干渉縞が記録された領域がホログラムとなる。一方、再生照明光を第2透明基板側から干渉縞が記録された記録層に照射すると、この光が干渉縞によって回折されることにより再生光が生成され、第2透明基板を透過した再生光を基にしてイメージ情報が再生される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ホログラム記録材料の原料となるホログラム記録原料は通常、粘性の液体である。よって、このまま記録層として使用すると、記録したホログラムが記録層内で移動してしまい、情報を正確に再生できず、最悪の場合、全く再生できないことがある。そこで、ホログラム記録原料をゲル化して記録層にしている。ホログラム記録原料をゲル化する方法の一例として、加熱がある。しかし、熱伝導ヒータでホログラム記録原料を加熱してゲル化した場合、記録層の厚さ方向にゲル化濃淡層が発生し、情報の正確な記録再生に支障を来たすことが分かった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、情報の正確な記録再生が可能な光情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光情報記録媒体の製造方法は、ゲル状のホログラム記録材料を含む記録層を第1基板と第2基板とで挟んで保持した構造を有する光情報記録媒体の製造方法において、第1基板と第2基板との間に配置されたホログラム記録原料に、マイクロ波、赤外線および電子線のうち少なくとも一つを照射することによりゲル状のホログラム記録材料にして記録層を形成することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る光情報記録媒体の製造方法によれば、ホログラム記録原料のゲル化に、マイクロ波、赤外線および電子線のうち少なくとも一つを利用しているので、記録層の厚さ方向においてホログラム記録原料を均一に加熱することができる。したがって、ホログラム記録原料をゲル化する際にリーゼガング環現象や記録層の厚さ方向におけるゲル化反応不均一現象の発生を防止できるので、記録層にゲル化濃淡層が形成されることはない。
【0009】
本発明に係る製造方法で作製される光情報記録媒体の記録層には、反射型ホログラムで情報が記録される場合がある。反射型タイプの場合、光の干渉により生じる干渉縞が第1及び第2基板面にほぼ平行に形成されるので、記録層にゲル化濃淡層が形成されると、情報の正確な記録再生が著しく阻害される。これによれば、記録層にゲル化濃淡層の形成を防止できるので、反射型タイプの場合において特に有効である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態に係る光ディスク(光情報記録媒体の一例)の製造方法の一例について説明する。まず、この方法を用いて作製される光ディスクの構造について説明する。この光ディスクは円盤状をしており、ホログラフィによりデジタル情報が記録される。図1はこの光ディスクの断面図である。光ディスク1は、第1基板3、反射層5、記録層7および第2基板9が積層され、中央部に貫通穴11が形成された構造を有する。ホログラム記録材料を含む記録層7はゲル状に硬化しており、第1基板3と第2基板9とで挟んで保持されている。ホログラムの記録再生に用いるレーザ光Lは第2基板9側から光ディスク1に照射される。よって、第2基板9が光ディスク1の表面13となり、第1基板3が光ディスク1の裏面15となる。貫通穴11に光ディスクを記録・再生する装置のスピンドルが固定される。
【0011】
ホログラフィの一つの態様であるボリュームホログラフィを利用して、光ディスク1に情報を記録再生する一つの方法について図2を用いて説明する。図2は光ディスク1の一部を拡大した図であり、図1と対応している。図2において、図1中の符号が示す要素と同一の要素については同一符号を付している。上記記録によれば、光ディスク1の記録層7に干渉縞を三次元的に記録することができ、記録密度を更に増加させることができる。
【0012】
光ヘッドのレンズ16で集束されたレーザ光Lには記録用参照光とイメージ情報を担持する情報光とが含まれ、記録用参照光と反射層5で反射された情報光とを記録層7内において干渉させ、これにより発生する干渉縞をホログラムHとして記録層7に記録する。図3はホログラム群の一部の平面図である。光ディスク1を僅かに回転させて、先ほど形成されたホログラムH(例えばホログラムH1とする)と平面的に一部が重なる新たなホログラムH(この場合はホログラムH2となる)を記録層7に形成する。これを繰り返すことにより、記録層7にホログラムを多重記録する。
【0013】
一方、レンズ16で集束された再生照明光であるレーザ光LをホログラムHに照射すると、この光はホログラムHにより回折され、再生光が生成される。レンズ16を介して光ヘッドで検出された再生光を基にしてイメージ情報が再生される。
【0014】
本実施形態に係る光ディスクの製造方法は以下の通りである。図4〜図7は図1の断面と対応する断面図である。まず、図4に示すように、平滑なガラス基板17の上に樹脂を塗布し、図示しないスタンパを用いてピット19を有するプリフォーマット層21を形成することにより、第1基板3を作製する。これにより、サーボ情報およびセクターマークやトラックのアドレス情報などが、ピット19を用いて予めプリフォーマットされる。第1基板3の厚みは例えば5〜1200μmである。ガラス基板17の替わりに、水晶やダイヤモンドが配置された基板を利用することもできる。また、プリフォーマット層21を有しない第1基板3も可能である。すなわち、ポリカーボネートなどの樹脂を用いて射出成形により、ピット19付きの第1基板3を作製するのである。図1に示す第2基板9の厚みや材料は第1基板3と同様である。但し、第1基板3は光透過性を有していなくてもよいので、透明でない材料を選択することも可能である。
【0015】
次に、図5に示すように、第1基板3のピット19が形成された面に、蒸着やスパッタリングなどによってアルミニウム、金、シリコン、白金などからなる反射層5を形成する。反射層5の厚みは例えば5〜500nmである。反射層5はレーザ光Lを反射する性質を有する材料であればよく、金属の他にフェタロシアニン系色素なども用いることができる。
【0016】
第1基板3の縁部に反射層5を介して、リング状のスペーサ23,25を接着する。スペーサ23,25の材料は、例えば、ステンレスなどの金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、石英であり、その厚みの大きさは記録層7の厚みの大きさに相当する。
【0017】
次に、粘性の液状状態のホログラム記録原料を準備する。この原料は、情報光や参照光となるレーザ光Lが記録層7に所定時間照射されたとき、レーザ光Lの強度に応じて照射箇所の光学特性(屈折率、吸収率、透過度、蛍光発光性、反射率など)が変化するものである。この原料は、例えば、レーザ光Lに感光して重合する光重合性有機物であり、具体的には、例えば、デュポン(Dupont)社製のフォトポリマー(Photopolymers)HRF−600(製品名)である。
【0018】
ホログラム記録原料27を第1基板3上に反射層5を介して塗布した後、図6に示すように、第2基板9を第1基板3側に押し付ける。これにより、第1基板3と第2基板9の間にホログラム記録原料27が薄く伸ばされる。
【0019】
図7に示すように、第2基板9側からマイクロ波をホログラム記録原料27に照射して、ホログラム記録原料27を加熱することによりゲル状に硬化させる(プレキュア)。これにより、ゲル状のホログラム記録材料を含む厚さが例えば10〜200μmの記録層7が形成され、光ディスク1が完成する。ここで、マイクロ波の照射条件としては、例えば、周波数が2.45〜4.1GHz、照射時間が5秒〜15時間である。また、マイクロ波照射の際に、反射層5が介在するとホログラム記録原料27にまでマイクロ波が届きにくいので、第2基板9側からマイクロ波を照射するのが好ましい。
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、ホログラム記録原料をマイクロ波により加熱してゲル状に硬化させているので、記録層7にゲル化濃淡層が発生しないことが分かった。この理由について説明する。図8は図6に示す構造体のホログラム記録原料27を熱伝導ヒータにより加熱している状態を示す拡大図である。熱伝導ヒータは第1基板3側および第2基板9側に配置されている。熱伝導ヒータによれば、ホログラム記録原料27は不均一に加熱される、つまりホログラム記録原料27の表面から加熱され始め、内部に向けて徐々に加熱が進行する。このため、リーゼガング環現象や記録層7の厚さ方向におけるゲル化反応の不均一現象が発生し、ゲル化の反応が比較的進んでいる層29と比較的進んでいない層31とが交互に第1基板3上に形成される。これは、図8に示すように記録層7の厚さ方向に沿って交互に形成される場合と図示しないが記録層7の平面方向に沿って交互に形成される場合とがある。これらをゲル化濃淡層という。
【0021】
ゲル化濃淡層により、情報の正確な記録再生に支障が生じる。特に、光ディスク1のように、記録層7に反射型ホログラムを記録するタイプの場合に、その問題が大きい。すなわち、このタイプでは図2に示すように、ホログラムHは第1基板3とほぼ平行に形成される。よって、ゲル化濃淡層とホログラムHとが重なり合うことにより、ホログラムHの正常な記録が阻害される。これにより、再生されたイメージ情報にノイズが発生し、上記阻害の程度が著しいとホログラムHが全く記録されないこともある。
【0022】
記録層7にゲル化濃淡層が形成されるのは、記録層7の厚さ方向において、ホログラム記録原料27が不均一に加熱されることにより、リーゼガング環現象や記録層7の厚さ方向におけるゲル化不均一現象が発生するためだと考えられる。そこで、本実施形態では、記録層7の厚さ方向においてホログラム記録原料27を均一に加熱することによりかかる現象を防止している。よって、本実施形態によれば、記録層7にゲル化濃淡層が形成されないようすることができるので、情報の正確な記録再生を実現できる。
【0023】
なお、本実施形態において、マイクロ波加熱の替わりに赤外線加熱や電子線加熱を利用することもできる。これらによっても、ホログラム記録原料を均一に加熱することができるからである。赤外線の照射条件としては、例えば、波長が1〜20μm、照射時間が5秒〜15時間である。また、電子線の照射条件としては、例えば、吸収線量が数10〜200kGyである。赤外線や電子線の照射の際に、反射層5が介在するとホログラム記録原料にまでこれらが届きにくいので、第2基板9側からこれらを照射するのが好ましい。
【0024】
また、記録層7に透過型のホログラムが記録されるタイプの場合、反射型のホログラムHが記録されるタイプ(図2)と異なり、ゲル化濃淡層に対してほぼ垂直方向にホログラムが形成される。このため、反射型のタイプと比較して、ゲル化濃淡層の影響は受けにくいが、多少は受ける。よって、透過型のタイプについても本実施形態は有効である。
【0025】
なお、本実施形態に係る製造方法で作製される光ディスクは記憶領域が平板状(例えば円盤状)であればよく、光ディスクの外形には無関係である。例えば、三角形、四角形や六角形等であり、大きさが名刺程度のカード形状に平板状の記録領域を有する光ディスクの製造についても本実施形態を適用することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る光情報記録媒体の製造方法によれば、記録層にゲル化濃淡層が形成されないようにすることができるので、情報を正確に記録再生できる光情報記録媒体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る製造方法で作製された光ディスクの平面図である。
【図2】図1の光ディスクにおいて記録再生を説明するための図である。
【図3】図1の光ディスクの記録層に形成されたホログラム群の一部の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る製造方法の第1工程図である。
【図5】本発明の実施形態に係る製造方法の第2工程図である。
【図6】本発明の実施形態に係る製造方法の第3工程図である。
【図7】本発明の実施形態に係る製造方法の第4工程図である。
【図8】記録層にゲル化濃淡層が形成された光ディスクの一部を拡大した図である。
【符号の説明】
1・・・光ディスク、3・・・第1基板、5・・・反射層、7・・・記録層、9・・・第2基板、11・・・貫通穴、13・・・表面、15・・・裏面、16・・・レンズ、17・・・ガラス基板、19・・・ピット、21・・・プリフォーマット層、23,25・・・スペーサ、27・・・ホログラム記録原料、29,31・・層、H・・・ホログラム、L・・・レーザ
Claims (2)
- ゲル状のホログラム記録材料を含む記録層を第1基板と第2基板とで挟んで保持した構造を有する光情報記録媒体の製造方法において、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置されたホログラム記録原料に、マイクロ波、赤外線および電子線のうち少なくとも一つを照射することによりゲル状の前記ホログラム記録材料にして前記記録層を形成することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 前記記録層には反射型ホログラムで情報が記録されることを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002357826A JP2004192697A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | 光情報記録媒体の製造方法 |
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JP2002357826A JP2004192697A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | 光情報記録媒体の製造方法 |
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JP2004192697A true JP2004192697A (ja) | 2004-07-08 |
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JP2002357826A Withdrawn JP2004192697A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | 光情報記録媒体の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100718376B1 (ko) | 2004-12-15 | 2007-05-14 | 주식회사 대우일렉트로닉스 | Dvd 호환 홀로그래픽 롬 디스크 제조방법 |
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2002
- 2002-12-10 JP JP2002357826A patent/JP2004192697A/ja not_active Withdrawn
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