明細書 光ディスク記録媒体およびその製造方法 [技術分野]
この発明は、 ホ口グラムを記録するための記録層を有する光ディスク記録媒体 およびその製造方法に関し、 特にデフォーカス用の透明層を介して記録層とプリ フォーマツトされた反射層とが対向する光ディスク記録媒体およびその製造方法 に関する。
[背景技術]
従来より、 ホログラムによつて光ディスク記録媒体に情報を超高密度で記録す るホログラフィック記録方式が知られている。 このホログラフィック記録方式で は、 ィメ一ジ情報を担持する情報光と記録用参照光とを光ディスク記録媒体の内 部の記録層内で重ね合わせて干渉縞パターンを生成し、 この干渉縞パターンを光 ディスク記録媒体の記録層に記録することによってイメージ情報の書き込みが行 われる。 記録された干渉縞パターンから情報を再生する場合には、 その光デイス ク記録媒体中に記録された干渉縞パターンに書込時と同様の再生用参照光を照射 し、 干渉縞パターンによって回折を生じさせてイメージ情報を再生する。
近年では、 光ディスク記録媒体の記録層の厚み方向も利用して、 干渉縞パター ンを 3次元的に書き込むことにより、 記録密度を更に増加させるようにしたポリ ユームホログラフィの開発が注目されている。 このボリュームホログラフィによ る記録方式を利用し、 更に多重記録を行うことによって情報の記録容量を飛躍的 に増大させることができる。
このようなボリュームホログラフィによる光ディスク記録媒体への情報記録及 び再生に係る装置及びその方法が、 国際公開番号 W〇 9 9 / 4 4 1 9 5号に開示 されている。 本発明を理解するために、 同公開公報に記載のポリュ一ムホロダラ フィを記録する光ディスク記録媒体について簡単に説明する。 図 1 3に示すよう に、 光ディスク記録媒体 1 0 1は、 円形の透明基板 1 0 1 a, 1 0 1 bの間にホ
ログラム記録用の記録層 1 0 1 cを設けると共に、 透明基板 1 0 1 bの記録層 1 0 1 cとは反対側の面に反射膜 1 0 1 dを形成し、 これらを基板 1 0 1 eと貼り 合わせて構成され、 反射膜 1 0 1 dには、 光ディスク記録媒体 1 0 1の半径方向 に複数のァドレスサーポ領域が所定の角度間隔で配列され、 周方向に並ぶこれら アドレスサーポ領域間には、 情報記録領域が設けられている。 アドレスサーポ領 域には、 フォーカスサーポ制御やトラッキングサーボ制御を行うためのサ一ポ情 報及び情報記録領域に対するアドレス情報が、 予めエンボスピット 1 0 1 f によ つて記録 (プリフォーマット) してある。
光ディスク記録媒体の具体的な構成としては、透明基板 1 0 1 a , 1 0 1 bが、 例えば 5 0 0 m程度の厚みを有し、 記録層 1 0 1 cが、 例えば 2 0 0 x mの厚 みを有している。 記録層 1 0 1 cは、 レーザ光で所定時間照射されたときに、 レ 一ザ光の強度に応じて屈折率、 誘電率及び反射率等の光学特性が変化するホログ ラム記録材料によって形成されている。
ボリュームホログラフィによる記録層 1 0 1 cへの記録の一例としては、 図示 のように、 記録すべき情報を担持する情報光 1 1 1と記録用参照光 1 1 2とが記 録層 1 0 1 c内において、 厚み方向の干渉縞を生成するように、 透明基板 1 0 1 a側から情報光 1 1 1と記録用参照光 1 1 2とを同時に所定時間照射して、 記録 層 1 0 1 c内に干渉縞パターンを立体的に定着させることにより情報を立体的な ホログラムとして記録する。
ところで、 記録層 1 0 1 cに記録すべき情報は、 図 1 4に示すような空間光変 調器 1 1 3により与えられる二次元的に配列された情報パターンである。 この情 報パターンは、 空間光変調器を構成する二次元配列された各ドット 1 1 4の光の 透過 ·非透過を制御することにより得られる。 この場合、 ホログラム面上には > ドット 1 1 4の配列ピッチ p Dとレンズの焦点距離 fおよび記録光の波長 λで決 定される周期でスパイク状の光強度分布が得られ、これが線形的記録を阻害する。 このため、従来は、 ホログラム面を焦点距離から若干ずらすことにより、光強度分 布を平均化するデフォーカス法が用いられる。また、特にエンボスピット 1 0 1 f が形成された記録媒体の場合、 記録層 1 0 1 cとエンボスピット 1 0 1 f とがあ まり近いと、 ホログラム記録再生上不都合を生じる。 このため、 記録層 1 0 1 c
と反射膜 1 0 1 dとの間には、 所定の厚さの透明基板 1 0 1 bが挿入される。 しかしながら、 透明基板 1 0 1 bの厚みが厚すぎると、 記録されるホログラム の径 Dが大きくなりすぎてしまい、記録密度が低下してしまう。また、記録密度を 高めようとすると、隣接するホログラム同士のオーバーラップが生じる。 1 0 0 % の回折効率が得られるホログラムをいくつ多重化できるかを示す数値を Mナンパ 一と呼び、 この Mナンバーは記録材料によって決定される。 ホログラムの多重化 数を Mとすれば、 再生効率 7?は、 Mナンバーを多重化数 Mで割った値の二乗に比 例する。 このため、 再生効率を高めるためには、 極力多重化数 Mを減らすことが 必要である。このためには、透明基板 1 0 1 bが適切な厚みであることが必要であ る。
本発明は、 このような点に鑑みなされたもので、 高い再生効率が得られ、 且つ 高い記録密度での記録が可能な光ディスク記録媒体およびその製造方法を提供す ることを目的とする。 [発明の開示]
本発明に係る第 1の光ディスク記録媒体は、 一方の面に物理的なプリフォーマ ットが施された第 1の基板と、 この第 1の基板のプリフォ一マツトが施された面 上に形成された反射膜と、 前記反射膜の上に形成された厚さが 5 0 m〜4 3 0 mの透明層と、 この透明層との間に所定の間隔を空けて配置された透明体から なる第 2の基板と、 前記透明層と前記第 2の基板との間に充填されたホログラム 記録用の記録層とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る第 2の光ディスク記録媒体は、一方の面に物理的なプリフォ 一マツ卜が施された厚さが 5 0 m〜4 3 0 mの透明フィルムと、 この透明フ イルムのプリフォーマツ卜が施された面上に形成された反射膜と、 前記反射膜を 介して前記透明フィルムを保持する第 1の基板と、 前記透明フィルムとの間に所 定の間隔を空けて配置された透明体からなる第 2の基板と、 前記透明層と前記第 2の基板との間に充填されたホログラム記録用の記録層とを備えたことを特徴と する。
ここで、 透明層の厚さが 5 0〜4 3 0 mに規定されているのは、 以下の理由
による。 すなわち、 いま、 図 14に示された空間光変調器 1 1 3の各ドットの直 径を dDとすると、 1つの円形ドットが与える回折パターンは、 次式で与えられ る。 E (Θ) = J , (άΌθ τ/λ) / (άΌθ r/λ) … (1) ここで、 図 1 5に示すように、 (X) Xは、 Airy関数と呼ばれ、 sin Xと波形的には類似するが、最初の零点が x =士 1. 2 2に現れる関数である。 従って、 ホログラムが少なくとも回折パターンの最初の零点間の情報は全部収め るものと仮定すると、 その最小径 dHは、 次式で与えられる。 dH=2. 44 f A/dD … (2) 伹し、 fはレンズの焦点距離、 λは記録光の波長である。 ここで、 波長 λとし て現在利用可能なものは、 3 90 nm〜6 50 nmである。 また、 レンズの焦点 距離としては 3mmが平均的である。 更に、 空間光変調器 1 1 3のドットの直径 dDとしては、 1 3. 7 mまたは 1 7 mが使用されている。 従って、 λ = 6 50 nm, dD= 1 3. 7 mとすると、 dH=2. 44X 3 X 10_3X 6 50 X 10- 9Z13. 7 X 1 0 -6
= 347 m … (3) となる。 同様に、 λ = 3 90 ηηι、 dD= 1 7 mとすると、 d„= 2. 44 X 3 X 1 0— 3X 3 9 0 X 1 0— 9/1 7 X 1 CI—6
= 1 68 ··· (4) となる。 光ディスク記録媒体の内部の屈折率 n 1. 52とすると、 媒体内では 波長が 1 Z 1. 52倍になるので、
① λ = 6 50 ηπι、 dD= 1 3. 7 mの場合
dH- 28 m
② λ = 3 90 ηιη、 dD= 1 7 ^mの場合
dH^ 1 1 0 ixm
… (5)
となる。 ここで、 図 1 6に示すように、 レンズ 1 1 5の NA (開口数) =0. 5とすると、 0。=30° である。ただし、媒体内部では、 スネルの法則により、 n
1 … ( o
n0= l. 0 (空気), 1^= 1. 5 2 (ガラス) であるから、
Θ ^sin— 1 (sin^。Zn
= 1 9. 2。 … (7) ここで、 2 E = dHという経験則に従うと、
① λ = 6 50 ηπι、 dD= 1 3. 7 mの場合
2 ε = 228
② λ = 3 90 ηπι、 dD= 1 7 mの場合
2 ε ^ 1 1 0 τη
… (8)
従つて、焦点面からホログラム形成面までの距離 Δ fは次のように求められる。
®λ = 6 50 nm, dD= 1 3. 7 の場合
Δ f = (228/2) (1 /tan 1 9. 2° )
= 327 iim
② A = 390 nm、 dD= 1 7 mの場合
Δ f = (1 1 0/2) (1 /tan 1 9. 2° )
^ 1 58 /m
… (9)
通常、 記録層の厚みは、 2 00 mであるから、 ホログラム面 (焦点位置から △ fだけ離れた位置) を記録層の中心当たりに位置させるとすれば、 透明層の厚 みは、 50 m〜430 となる。
また、 ベストモードを λ= 532 nm、 dD= 1 3. 7 mとすると、
2 ε =dH
=2. 44X 3 X 1 0— 3Χ 5 3 2 Χ 1 0一9
5 2 X 1 3. 7 X 1 0- 6)
= 1 87 fim … (1 0) 従って、 △ fは、 Δ f = (1 87/2) (1ノ tan 1 9. 2° )
=268 m … (1 1) となる。 よって、 透明層の厚みは、 約 2 00 xmがべストモードである。
また、記録層を安定に保持するためには、第 1および第 2の基板の厚さは、 0. 5 mm以上であることが望ましい。
本発明に係る第 1の光ディスク記録媒体の製造方法は、 第 1の基板の一方の面 上にエンボスピットを形成する工程と、 前記第 1の基板のエンボスビットが形成 された面に反射膜を形成する工程と、 前記第 1の基板の前記反射膜が形成された 面上に厚さ 50 tm〜430 /xmの透明層を形成する工程と、 前記透明層が内側
に配置されるように、 前記第 1の基板と所定の間隔を空けて透明な第 2の基板を 配置する工程と、 前記第 1の基板と前記第 2の基板との間にホログラム記録用の 記録材料を充填して記録層を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
ここで、 透明層を形成する工程は、 例えば透明フィルムを、 第 1の基板の反射 膜が形成された面上に接着する工程である。
また、 本発明に係る第 2の光ディスク記録媒体の製造方法は、 5 0 m〜4 3 0 mの透明フィルムの一方の面上にエンボスピットを形成する工程と、 前記透 明フィルムのエンボスピットを形成した面に反射膜を形成する工程と、 前記透明 フィルムを前記反射膜を介して第 1の基板に接着する工程と、 前記透明フィルム が内側に配置されるように、 前記第 1の基板と所定の間隔を空けて透明な第 2の 基板を配置する工程と、 前記第 1の基板と前記第 2の基板との間にホログラム記 録用の記録材料を充填して記録層を形成する工程とを備えたことを特徴とする。 なお、 これらの光ディスク記録媒体の製造方法において、 記録材料を充填する 工程は、 例えば第 1および第 2の基板の間の空間を減圧して記録材料を充填する 工程である。
本発明の光ディスク記録媒体の製造方法によれば、 透明層と第 2の基板との間 に先ず記録層を充填するのではなく、 透明層が第 1の基板上に形成されてから、 第 1の基板と第 2の基板との間に記録材料の充填がなされるため、 透明層を 5 0 〜4 3 0 mと薄くした場合でも、 第 1の基板の存在により、 記録材料の充填を 支障なく行うことができる。
また、 本発明の第 3の光ディスク記録媒体の製造方法は、 第 1の基板の一方の 面上にエンボスピットを形成する工程と、 前記第 1の基板のエンボスピットが形 成された面に反射膜を形成する工程と、 厚さ 5 0 / m〜4 3 0 /x mの透明板をホ ルダの上面に固定してその上に液体状の記録材料を塗布し、 その上から透明な第 2の基板を押し付けて前記透明板と第 2の基板との間に前記記録材料からなる記 録層を形成してなる三層構造体を形成する工程と、 前記反射膜が形成された第 1 の基板と前記 Ξ層構造体とを前記反射膜および透明板を内側にして張り合わせる 工程とを備えたことを特徴とする。
[図面の簡単な説明]
図 1は、 この発明の一実施形態に係る光ディスク記録媒体を説明するための図 である。
図 2は、 同光ディスク記録媒体の拡大した部分断面図である。
図 3は、 同光ディスク記録媒体の製造方法を示すフローチャートである。 図 4 A〜4 Cは、 同光ディスク記録媒体の製造工程に沿った拡大部分断面図で ある。
図 5 A及び 5 Bは、 同光ディスク記録媒体の製造工程に沿つた拡大部分断面図 である。
図 6 A及び 6 Bは、 同光ディスク記録媒体の記録材料の充填工程を説明するた めの図である。
図 7は、 同光ディスク記録媒体の記録材料の充填工程を説明するための図であ る。
図 8は、 同光ディスク記録媒体の製造方法を示すフローチャートである。 図 9 A〜 9 Cは、 同光ディスク記録媒体の製造工程に沿った拡大部分断面図で ある。
図 1 0は、 本発明の第 3の実施形態に係る光デイス記録媒体の製造方法を示す フローチヤ一トである。
図 1 1 A及び 1 1 Bは、 同光ディスク記録媒体の製造工程に沿った拡大部分断 面図である。
図 1 2は、 同光ディスク記録媒体の製造工程に沿った拡大部分断面図である。 図 1 3は、 従来の光ディスク記録媒体の拡大部分断面図である。
図 1 4は、 光ディスク記録媒体に書き込む二次元データを生成する空間光変調 器を示す図である。
図 1 5は、 1つのドットによって形成される回折パターンを示す図である。 図 1 6は、 光ディスク記録媒体への記録時の媒体とレンズとの間の関係を示す 図である。
[発明の実施するための最良の形態]
以下、 添付の図面を参照して、 本発明の実施の形態について説明する。
図 1は、 この発明の一実施形態に係る光ディスク記録媒体を説明するための図 である。
図 1に示すように、 円板状の光ディスク記録媒体 1は、 周方向に分割された複 数のフレーム 2 (この例では、 フレーム # 0 0〜# 9 7 ) を備え、 これら各フレ —ム 2は、 更に周方向に分割された複数のセグメント 3 (この例では、 セグメン ト # 0 0〜 # 1 3 ) から構成されている。 各セグメント 3は、 サーポ領域 6と、 一部の隣接するサ一ポ領域 6間を除いてはホログラム記録領域 7とを備え、 一部 の隣接するサ一ボ領域 6間 (この例では、 セグメント # 0 0のサ一ポ領域 6とセ グメント # 0 1のサーポ領域 6間) には、 アクセス位置を示すアドレス情報が記 録されたァドレス領域 8が形成されている。
各サ一ポ領域 6には、 光ディスク記録 ·再生装置における各種の動作の夕イミ ングの基準となるサーポクロックピットと、 例えばサンプルド ·サーポ方式によ つてフォ一カスサーボ及びトラッキングサーポを行うためのサーポピットとが予 めエンボスピットにより記録されている。アドレス領域 8には、プリ 'アンブル、 同期マーク、 アドレスパート、 エンドアドレスマーク、 ポスト同期マーク及びポ スト ·アンブルが予めエンボスピットにより記録されている。 ホログラムの記録 の際には、 このアドレス領域 8にプリフォーマツトされている情報を利用して、 各ホログラム記録領域 7の情報記録位置に対する光へッドからの情報光、 記録用 参照光及び再生用参照光の照射位置の位置合わせを行う。 光ディスク記録 ·再生 装置は、 サ一ポ領域 6に記録されているサ一ポクロックピット及びサーポピット を利用してフォーカシングゃトラッキングを行うと共に、 ァドレス領域 8に記録 されているアドレス情報を検出して各ホログラム記録領域 7における情報光、 記 録用参照光及び再生用参照光の照射位置を合わせている。 ホログラム記録領域 7 は、エンボスビットによる物理フォーマツトが施されていないミラー領域である。 図 2は、 この光ディスク記録媒体 1の拡大した部分断面図である。
光ディスク記録媒体 1は、図中下から順に、円形の第 1の基板 1 1、反射膜 1 2、 透明層 1 3、 記録層 1 4および第 2の基板 1 5を積層して構成されている。 第 1 の基板 1 1と透明層 1 3の間の反射膜 1 2の部分には、 ァドレス情報やサーポ情
報等を示すエンボスピット 1 6が形成されている。 第 1の基板 1 1としては、 厚 さ 0 . 6〜1 . 2 mmのガラスまたはポリカーボネート等の樹脂が使用される。 反射膜 1 2は、 例えば A 1の蒸着層である。 透明層 1 3は、 厚さ 5 0〜4 3 0 m、 好ましくは 2 0 0 mで、 透明度が高く、 複屈折が少なく、 吸水率が小さい ポリエ一テルサルフォン、 ポリカーボネート、 ポリオレフイン、 ガラス等が用い られる。 記録層 1 4はレーザ光で所定時間照射されたときに、 レーザ光の強度に 応じて屈折率、 誘電率及び反射率等の光学特性が変化するホログラム記録材料に よって形成されており、 例えばデュポン (Dupont) 社製のフォトポリマ (Photopolymers) H R F— 6 0 0 (製品名) 等が使用される。 この記録層 1 4 は、 厚さ約 2 0 0 mに設定されている。 第 2の基板 1 5としては、 厚さ 0. 5 mmのガラスまたはポリカーボネート等の樹脂が使用される。
次に、 このように構成された光ディスク記録媒体 1の製造方法について説明す る。
図 3は、 第 1の実施形態に係る光ディスク記録媒体 1の製造工程を示すフロー チャート、 図 4および図 5は、 同実施形態における光ディスク記録媒体 1の製造 工程に沿った部分拡大断面図である。
先ず、 図 4 Aに示すように、 第 1の基板 1 1上にエンボスピット 1 6を形成す る (S 1 1 )。第 1の基板 1 1がガラス基板である場合には、例えばガラス基板の 上に UV (紫外線) 硬ィ匕樹脂をエンボスピットの凹凸の深さに相当する厚み分だ け塗布し、 図示しないスタンパを UV硬化樹脂に押し当てながら、 反対側から U Vを照射することによりエンボスピットを形成することができる。 また、 第 1の 基板 1 1がポリ力一ポネート等の樹脂の場合には、 直接モールド成形によってェ ンボスピット付きの基板を形成することができる。
次に、 図 4 Bに示すように、 第 1の基板 1 1のエンボスピット 1 6が形成され た面に A 1の蒸着などによって反射膜 1 2を形成する (S 1 2 )。
続いて、図 4 Cに示すように、第 1の基板 1 1の反射膜 1 2が形成された面に、 厚さ 2 0 0 ^mの榭脂フィルムを透明な接着剤 1 7を用いて接着することにより 透明層 1 3を形成する。 なお、 透明層 1 3は、 膜厚が制御可能であれば、 スピン コート等により形成することもできる。
続いて、 図 5 Aに示すように、 透明層 1 3が形成された第 1の基板 1 1と約 2 0 0 mの間隔を空けて、 第 2の基板 1 5を配置する (S 1 4 )。
そして最後に、図 5 Bに示すように、透明層 1 3と第 2の基板 1 5との隙間に、 記録材料を充填して記録層 1 4を形成する (S 1 5 )。
図 6および図 7は、 記録材料の具体的な充填方法を説明するための図である。 図 6 A, 6 Bに示すように、 透明層 1 3が形成された円形の第 1の基板 1 1と 円形の第 2の基板 1 5との間は、 その外周部および内周部に挿入されたスぺーサ 1 7によって所定の隙間 1 8を確保する。 外周部のスぺーサ 1 7の一部は開口部 1 9となっており、 この開口部 1 9を介して隙間 1 8と外部とが連通している。 このように形成されたディスク 1 'を真空チャンパ 2 1内に収容する。 真空チ ヤンバ 2 1内には、 更に記録材料である液体感光剤 2 2を満たした容器 2 3が配 置される。 この状態で真空ポンプを駆動して真空チャンバ 2 1内を減圧する。 こ の場合、 第 1の基板 1 1と第 2の基板 1 5に挟まれた隙間 1 8も開口部 1 9を介 して外部と同圧となるので、 圧力による反り等は発生しない。
真空チャンバ 2 1内を所定圧まで減圧したら、 ディスク 1 'の開口部 1 9を液 体感光剤 2 2の液面よりも少し沈める。 そして、 真空チャンバ 2 1内の圧力を常 圧に戻す。 この場合、 ディスク 1 'の隙間 1 8は、 減圧されたままなので、 液体 感光剤 2 2は隙間 1 8に吸い上げられる。 隙間 1 8に液体感光剤 2 2が行き渡つ たら、 デイクス 1 'を真空チャンバ 2 1内から取り出し、 接液部に付着している 感光剤を拭き取る。 ここで、 開口部 1 9と反対側に小さい気泡が残る可能性があ る。 その場合には、 開口部 1 9を上にして、 暫く放置する。 これにより気泡が開 口部 1 9を介して外部に放射される。 最後に、 開口部 1 9のみに強い紫外線を照 射し、 感光剤を硬化させて開口部 1 9を防ぐ。
図 8は、 第 2の実施形態に係る光ディスク記録媒体 1の製造工程を示すフロー チャート、 図 9は、 同実施形態における光ディスク記録媒体 1の製造工程に沿つ た部分拡大断面図である。
先ず、 図 9 Aに示すように、 2 0 0 mの樹脂フィルム 3 1の下面にエンボス ピット 3 2を形成する (S 2 1 )。例えば、樹脂フィルム 3 1の下面に UV硬化樹 脂 3 3を塗布し、 スタンパ 3 4を押し当てて、 エンボスピット 3 2を形成する。
続いて、 図 9 Bに示すように、 透明フィルム 3 1のエンボスピット 3 2を形成 した面に、 反射膜 1 2を A 1蒸着などにより形成する (S 2 2 )。
そして、 図 9 Cに示すように、 エンボスピット 1 6が形成された樹脂フィルム 3 1を、 接着剤 3 5を介して第 1の基板 1 1上に接着する (S 2 3 )。
以後の工程は、先の実施形態と同様であるため、 詳しい説明は割愛する。 図 1 0は、 第 3の実施形態に係る光ディスク記録媒体 1の製造工程を示すフ口 —チヤ一ト、 図 1 1および図 1 2は、 同実施形態における光ディスク記録媒体 1 の製造工程に沿った部分拡大断面図である。
先ず、 第 1の実施形態と同様の方法で、 第 1の基板 1 1上にエンボスピット 1 6を形成する (S 3 D o次に、 第 1の実施形態と同様の方法で、第 1の基板 1 1 のエンボスピット 1 6が形成された面に A 1の蒸着などによって反射膜 1 2を形 成する (S 3 2 )。 '
次に、 5 0〜4 3 0 mの透明層 1 3と第 2の基板 1 5との間に記録層 1 4が 形成された三層構造体を作成する (S 3 3 )。 この三層構造体は、例えば次のよう に作成することができる。 すなわち、 図 1 1 Aに示すように、 上下に対向するホ ルダ 4 1, 4 2のうち、 下側ホルダ 4 1の上に、 5 0〜4 3 0 m、 好ましくは 2 0 0 mの透明層 1 3を形成する円板状で中心孔 4 3 aを有するガラス等から なる透明板 4 3を配置し、エアーの吸引力によって透明板 4 3を保持する。また、 上側ホルダ 4 2の下面に厚さ 5 0 0 m程度の円板状で中心孔 1 5 aを有する第 2の基板 1 5を配置し、 第 2の基板 1 5をエアーの吸引力によって保持する。 透 明板 4 3の内周部と外周部には、 約 2 0 0 の厚みを有するスぺ一サ 4 4を装 着しておく。 記録層 1 4を形成する液体状の記録材料 4 5を透明板 4 3の所定の 半径位置にリング状に塗布し、 図 1 1 Bに示すように、 上側ホルダ 4 2に保持さ れた第 2の基板 1 5を透明板 4 3に押し付けて、 記録材料 4 5を第 2の基板 1 5 と透明板 4 3の間の 2 0 0 mの隙間に薄く伸ばして充填する。 このようにして 三層構造体 4 6が形成される。
次に、 図 1 2に示すように、 エンボスピット 1 6および反射膜 1 2が形成され た第 1の基板 1 1を、 反射膜 1 2を上にして回転テーブル 5 1の上に中心位置決 めして装着し、 反射膜 1 2側の最内周部と最外周部とに両面接着テープ 4 7を貼
り付け、 反射膜 1 2側の最内周部に、 例えばエポキシ系接着剤や嫌気性瞬間接着 剤等の液体状の接着剤 4 8をリング状に塗布する。 次に、 接着剤 4 8が塗布され た第 1の基板 1 1の上に、 上側ホルダ 5 1に保持されていた三層構造体 4 6を透 明層 1 3が下になるように乗せ、 回転テーカレ 5 1を回転させると、 接着剤 4 8 は遠心力により外側に流れて行き、 反射膜 1 2の全面に広がる。 そして、 接着剤 4 8が固化することにより、 反射膜 1 2が形成された第 1の基板 1 1と三層構造 体 4 6とが張り合わされる。
なお、以上の各実施形態では、透明層 1 3を 2 0 0 mとしたが、 5 0〜4 3 0 mの間で任意の厚さとすることができる。
また、第 1の基板 1 1や樹脂フィルム 3 1の表面に反射膜 1 2を形成する場合、 製造過程で反射膜 1 2の表面が腐食したり反射膜 1 2の表面に傷などが付かない ように、 反射膜 1 2の表面に保護膜を形成するようにしても良い。
以上説明したように、 本発明によれば、 記録層と反射膜との間の透明層の厚み を適切な値に設定したので、 高い再生効率が得られ、 且つ高い記録密度での記録 が可能になるという効果を奏する。