JP2004192693A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のモータ制御装置では、モータ端子電圧が電源電圧の制限を受けリールモータを安定にかつ高速に回転させることが難しいという問題があった。
【解決手段】1はテープ9を供給する供給側リールモータ(以下ではSリールモータと記す)、2はテープ9を巻き取る巻き取り側リールモータ(以下ではTリールモータと記す)、3はSリールモータを回転駆動させるSリールモータ駆動部、4はTリールモータを回転駆動させるTリールモータ駆動部、6はSリールモータ及びTリールモータに回転させるための電力を供給するモータ電源、5はSリールモータ及びTリールモータから出力される電圧とモータ電源6から出力される電圧との電位差に基づいてSリールモータ及びTリールモータの回転を制御するリールモータ制御部である。
【選択図】 図1
【解決手段】1はテープ9を供給する供給側リールモータ(以下ではSリールモータと記す)、2はテープ9を巻き取る巻き取り側リールモータ(以下ではTリールモータと記す)、3はSリールモータを回転駆動させるSリールモータ駆動部、4はTリールモータを回転駆動させるTリールモータ駆動部、6はSリールモータ及びTリールモータに回転させるための電力を供給するモータ電源、5はSリールモータ及びTリールモータから出力される電圧とモータ電源6から出力される電圧との電位差に基づいてSリールモータ及びTリールモータの回転を制御するリールモータ制御部である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープを巻き取るあるいは供給する2つのリールモータを制御するモータ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気テープを用いたテープドライブなどにおいて、記録トラック幅の狭トラック化や記録波長の短波長化、ロングテープ長化などにより、磁気テープの記録容量が増加している。このような中、特にロングテープ長化に伴ってサーチの高速化や巻き戻し時間の高速化がリールモータ制御における課題となっている。
【0003】
以下、従来のモータ制御装置について、その一例を挙げて説明する。
【0004】
図7は従来のモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図7において、1はテープ9を供給する供給側リールモータ(以下ではSリールモータと記す)、2はテープ9を巻き取る巻き取り側リールモータ(以下ではTリールモータと記す)、3はSリールモータを回転駆動させるSリールモータ駆動部、4はTリールモータを回転駆動させるTリールモータ駆動部、6はSリールモータ及びTリールモータに回転させるための電力をSリールモータ駆動部3及びTリールモータ駆動部4を通じて供給するモータ電源、7はSリールモータの回転周波数に応じたFG信号を検出するSリールモータFG検出器、8はTリールモータの回転周波数に応じたFG信号を検出するTリールモータFG検出器、45はSリールモータFG検出器7とTリールモータFG検出器8から出力されるそれぞれのFG信号とモータ電源6から出力される電圧に基づいてSリールモータ及びTリールモータの回転を制御するリールモータ制御部である。また、同図のSリールモータ駆動部3、Tリールモータ駆動部4、リールモータ制御部45、モータ電源6を合わせてモータ制御部100で表す。
【0005】
以上のように構成されたモータ制御装置について、その動作を以下に説明する。まず、テープ9を走行させる場合の基本動作原理について説明する。
【0006】
Sリールモータのリール巻半径rs[mm]、Tリールモータのリール巻半径rt[mm]、それぞれのリールモータのリール巻半径最小値r0[mm](これはリールハブ半径と等しい)、それぞれのリール巻半径最大値rmax[mm]とすると、これらの関係は次式で表すことができる。
【0007】
【数1】
【0008】
数1を解いてrsとrtとの関係を表すと次式のようになる。
【0009】
【数2】
【0010】
また、Tリールモータの回転数Nt[rpm]としてテープ速度vt[mm/s]は、
【0011】
【数3】
【0012】
で表すことができるので、数2と数3からSリールモータの回転数Ns[rpm]は次式で表される。
【0013】
【数4】
【0014】
これはTリールモータの回転数をNt[rpm]としたときSリールモータの回転数を数4で表される回転数にすることによって、テープ9を弛ませることなくTリールモータとSリールモータを回転制御させることができる。なお、図示していないがリールモータの物理的なばらつきやリール巻半径の誤差は一般にテンションアームを用いてテープのテンションを検出して、この検出値に基づいてテンション制御を行うことで補正される。
【0015】
次に、リールモータの回転に伴ってリール巻径が変化するので、この変化量について説明する。ある時点のテープ速度vtとして、微少変化時間Δt、テープ厚δとするとTリールモータのリール巻半径の微少増加量Δrtは次式で表すことができる。
【0016】
【数5】
【0017】
例えば、r0=7.5[mm]、rmax=29.4[mm]、δ=5.3[μm]として、リールモータ制御部45をマイコンで構成して10[ms]のタイマー処理毎にΔrtを演算してTリールモータ及びSリールモータの回転制御の方法について説明する。微少変化時間Δt=10[ms]、Nt=4600[rpm]、rt=10[mm]、vt=4817[mm/s]とすると、このときのNsは数4から求めると、Ns=1606[rpm]となる。タイマー処理の1回目の演算では数5からΔrt=4.06[μm]となり、Ntを一定とすると2回目の演算ではrt=10.00406[mm]を用いてvt=4819[mm/s]として、数4からNs=1607[rpm]となる。以上のようにしてTリールモータとSリールモータの回転数をタイマー処理毎に求めてリールモータ制御部45は各リールモータの回転制御を行う。なお、テープ厚δにはテープ間のエア巻き込み率を考慮することでリール巻半径の検出精度を向上させることができる。
【0018】
次に、図7における各部の具体的な動作について説明する。リールモータ制御部45では、FG検出器8から出力されるTリールモータのFG信号からTリールモータの回転数を検出する。またFG検出器7から出力されるSリールモータのFG信号からSリールモータの回転数を検出する。Tリールモータの目標回転数をNtとして、数3からTリールモータのリール巻半径rtにおけるテープ速度vtを求め、数4からSリールモータの目標回転数Nsを求める。それぞれのリールモータについて目標回転数とFG信号から検出された回転数とのずれをリールモータ制御部45で求めてTリールモータ駆動部4とSリールモータ駆動部3へそれぞれのずれに相当する駆動信号を出力する。このようにして、TリールモータとSリールモータを駆動制御する。
【0019】
特開平10−308044号公報などで開示されている従来例では、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷や駆動損失による発生する電圧およびリールモータの発電電圧を考慮していないために、テンションや軸負荷などのばらつきによってリールモータの出力電圧がモータ電源電圧に到達してしまいリールモータの出力電圧のクリップが生じる。その場合においてリールモータの回転変動が生じるとリールモータの回転変動を抑えられない。そこで、テンションセンサの出力電圧が目標電圧からずれていることを検出してリールモータの回転数を制限するようにしているが、制限する直前ではリールモータの回転変動が抑えられないことに変わりはない。
【0020】
【特許文献1】
特開平10−308044号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来方式では、限られたリールモータの駆動電圧(Vdd)に対して、リールモータを安定にかつ高速に回転させることが難しいという問題があった。
【0022】
本発明はこれらの問題点を解決するもので、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷などに伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧を合わせた電圧がリールモータの駆動電圧に対して余裕をもつようにそれぞれのリールモータを回転制御することで、高速にかつ安定にテープを送ることを可能にするモータ制御装置を提供する。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、第1の発明であるモータ制御装置は、テープを巻き取るあるいは供給するリールモータと、前記リールモータを制御するモータ制御手段を備えるテープドライブまたはモータ制御装置であって、前記モータ制御手段は、前記リールモータを駆動する電圧から所定値の電圧を差し引いた電圧によって前記リールモータを制御することを特徴を特徴とするものである。この構成によって、リールモータ固有の軸負荷や駆動損失などに伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧をリールモータの駆動電圧に対して余裕をもってリールモータの回転速度を制御することができるので、リールモータをできるだけ高速にかつ回転変動を抑制しながら回転させることができる。
【0024】
第2の発明のモータ制御装置は、テープを巻き取る第1のリールモータと、テープを供給する第2のリールモータと、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差および前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差に基づいて、前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御するモータ制御手段を備えることを特徴とするものである。
【0025】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープテンションやリールモータ固有の軸負荷などに伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧をリールモータの駆動電圧に対して余裕をもってリールモータの回転速度を制御することができるので、リールモータをできるだけ高速にかつ回転変動を抑制しながら回転させることができる。
【0026】
第3の発明のモータ制御装置は、前記モータ制御手段が、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差および前記第2の電位差に基づいてどちらか一方の電位差を選択し、選択された電位差に基づいて前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御することを特徴とする。
【0027】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧とリールモータの駆動電圧との差が小さい方のリールモータの回転速度に合わせることで、テープを高速にかつ安定に送ることができる。
【0028】
第4の発明のモータ制御装置は、前記モータ制御手段は、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差は所定値と略等しいかつ前記第2の電位差は前記所定値以上、または、前記第2の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第1の電位差は前記所定値以上を満たすように前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御することを特徴とする。
【0029】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧とリールモータの駆動電圧との差が小さい方のリールモータの上限回転速度に合わせることで、テープを最高速でかつ安定に送ることができる。
【0030】
第5の発明のモータ制御装置は、テープを巻き取る第1のリールモータと、テープを供給する第2のリールモータと、前記第1のリールモータおよび前記第2のリールモータのリール径と速度との関係をあらかじめ決めた速度プロフィールに従って前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御するモータ制御手段を備えることを特徴とする。
【0031】
この構成によって、リールモータの巻径に応じてテープテンションによるトルクの変化で電圧が変化することも考慮して、リール巻径とリールモータの回転速度の関係をあらかじめ決定することで、テープを高速にかつ安定に送るためのリールモータの制御系を簡単に構成することができる。また、あらかじめ速度プロフィールを決めることでテープドライブ毎のサーチ時のアクセス時間をスペック上ほぼ同じにすることができる。
【0032】
第6の発明のモータ制御装置は、前記速度プロフィールが、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差および前記第2の電位差が所定の条件を満たすようにあらかじめ生成されたことを特徴とする。
【0033】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧とリールモータの駆動電圧との差が小さい方のリールモータの回転速度に合わせて、リール巻径とリールモータの回転速度の関係をあらかじめ決定することで、テープを高速にかつ安定に送るためのリールモータの制御系を簡単に構成することができる。また、あらかじめ速度プロフィールを決めることでテープドライブ毎のサーチ時のアクセス時間をスペック上ほぼ同じにすることができる。
【0034】
第7の発明モータ制御装置は、前記速度プロフィールは、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差は所定値と略等しいかつ前記第2の電位差は前記所定値以上、または、前記第2の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第1の電位差は前記所定値以上を満たすようにあらかじめ生成されたことを特徴とする。
【0035】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧とリールモータの駆動電圧との差が小さい方のリールモータの上限回転速度に合わせて、リール巻径とリールモータの回転速度の関係をあらかじめ決定することで、テープを最高速にかつ安定に送るためのリールモータの制御系を簡単に構成することができる。また、テープドライブ毎のサーチ時のアクセスを高速にしてかつアクセス時間をスペック上ほぼ同じにすることができる。
【0036】
第8の発明モータ制御装置は、テープを巻き取る第1のリールモータと、テープを供給する第2のリールモータと、前記第1のリールモータおよび前記第2のリールモータのリール径と速度との関係をあらかじめ決めた速度プロフィールに従って前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータの制御を行い、第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差と前記第2の電位差の少なくとも一方の電位差が所定値未満になった場合には、前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータの速度を速度プロフィールに従った速度より落とす、あるいは、前記第1の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第2の電位差は前記所定値以上、または、前記第2の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第1の電位差は前記所定値以上を満たすように前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御するモータ制御手段を備えることを特徴とする。
【0037】
この構成によって、リールモータの駆動電圧変化やテンション変化、その他負荷の変化によりリールモータから出力される電圧が上昇した場合において、駆動電圧とリールモータの出力電圧に余裕がなくなる前に、リールモータの回転速度を制限する、または、駆動電圧とリールモータの出力電圧の差を用いてリールモータを制御することで、負荷状態が変化した場合においても安定にテープを送ることができる。
【0038】
また、第9の発明のモータ制御装置は、第1,4,7または8の発明において、前記所定値が、第1及び第2のリールモータ駆動部におけるリールモータに電力を供給するトランジスタ等が飽和する電圧(Vce)であることを特徴とする。
【0039】
第10の発明であるテープドライブは、テープを巻き取るあるいは供給するリールモータと、前記リールモータを制御するモータ制御手段を備えるテープドライブまたはモータ制御装置であって、前記モータ制御手段は、前記リールモータを駆動する電圧から所定値の電圧を差し引いた電圧によって前記リールモータを制御することを特徴とする
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる実施の形態を示すモータ制御装置について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(第1の実施の形態)
最初に、本発明に係わる第1の実施の形態を示すモータ制御装置について説明する。図1は第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、1はテープ9を供給するSリールモータ(請求項では第2のリールモータに相当)、2はテープ9を巻き取るTリールモータ(請求項では第1のリールモータに相当)、3はSリールモータを回転駆動させるSリールモータ駆動部、4はTリールモータを回転駆動させるTリールモータ駆動部、6はSリールモータ及びTリールモータに回転させるための電力を供給するモータ電源、7はSリールモータの回転周波数に応じたFG信号を検出するSリールモータFG検出器、8はTリールモータの回転周波数に応じたFG信号を検出するTリールモータFG検出器、5はSリールモータFG検出器とTリールモータFG検出器から出力されるそれぞれのFG信号、Sリールモータ及びTリールモータから出力される電圧、モータ電源6から出力される電圧に基づいてSリールモータ及びTリールモータの回転を制御するリールモータ制御部である。また、同図のSリールモータ駆動部3、Tリールモータ駆動部4、リールモータ制御部5、モータ電源6を合わせてモータ制御部10(請求項ではモータ制御手段に相当)で表す。
【0042】
図2は第1の実施の形態におけるモータ制御装置のTリールモータとTリールモータ駆動部4の詳細なブロック図である。なお、SリールモータとSリールモータ駆動部3についても同様の構成であるので説明は省略する。25,26,27はTリールモータのステータ側のコイルを表し、3相モータであることを示す。22,23はモータ電源6からの電力をTリールモータの各コイルに供給するためのトランジスタ、21はリールモータ制御部5からの駆動信号に基づいてトランジスタ22及びトランジスタ23の駆動電流を制御するモータ電流分配回路、24はTリールモータに流れる電流を検出する電流検出抵抗で、この検出電圧値はモータ電流分配回路21に入力されモータ電流分配回路21の入出力ゲインを決める。
【0043】
図3は第1の実施の形態におけるリールモータ制御部5の詳細なブロック図である。43はSリールモータからの端子電圧とモータ電源6からの出力電圧との差をトランジスタ33,ダイオード34,抵抗35,抵抗36を用いて検出するSリールモータ電位差検出部、44はTリールモータからの端子電圧とモータ電源6からの出力電圧との差をトランジスタ37,ダイオード38,抵抗39,抵抗40を用いて検出するTリールモータ電位差検出部、41はFG検出器7及びFG検出器8からのFG信号とSリールモータ電位差検出部43とTリールモータ電位差検出部44からの電位差検出値に基づいてSリールモータとTリールモータの目標回転速度情報を出力する目標速度演算部、31は目標速度演算部41からの目標回転速度情報とFG検出器7からのFG信号に基づいてSリールモータ駆動部3へ駆動信号を出力するSリールモータ速度制御部、32は目標速度演算部41からの目標回転速度情報とFG検出器8からのFG信号に基づいてTリールモータ駆動部4へ駆動信号を出力するTリールモータ速度制御部である。
【0044】
図4は第1の実施の形態における目標速度演算部41の詳細なブロック図である。53はSリールモータ電位差検出部43からの検出電位差と目標電位差(Sリールモータ側)とを引き算する引き算器、54はTリールモータ電位差検出部44からの検出電位差と目標電位差(Tリールモータ側)とを引き算する引き算器、52は引き算器53と引き算器54の出力値に基づいて電位差余裕及び目標電位差からのずれを検出する電位差余裕及びずれ検出部、51はFG検出器7及びFG検出器8からのFG信号と電位差余裕及びずれ検出部52からの検出情報に基づいてSリールモータ速度制御部31とTリールモータ速度制御部32へ目標速度情報を出力するリールモータ目標速度演算部である。なお、目標電位差は電位差の検出ばらつきを考慮して図2におけるトランジスタ22が飽和してしまう電圧(Vce)よりも少し大きめに設定する。
【0045】
なお、トランジスタに代えて、FET等の場合にも同様に設定すればよい。
【0046】
以上のように構成されたモータ制御装置について、その動作を以下に説明する。なお、テープ9を走行させる場合のTリールモータとSリールモータの回転制御の基本動作については従来例において説明したので省略する。
【0047】
まず、図1における各部の動作について説明する。リールモータ制御部5では、FG検出器8から出力されるTリールモータのFG信号からTリールモータの回転数を検出する。またFG検出器7から出力されるSリールモータのFG信号からSリールモータの回転数を検出する。Tリールモータの目標回転数をNtとして、数3からTリールモータのリール巻半径rtにおけるテープ速度vtを求め、数4からSリールモータの目標回転数Nsを求める。それぞれのリールモータについて目標回転数とFG信号から検出された回転数とのずれをリールモータ制御部5で求めてTリールモータ駆動部4とSリールモータ駆動部3へそれぞれのずれに相当する駆動信号を出力する。このようにして、TリールモータとSリールモータを駆動制御する。
【0048】
次に、であるTリールモータ及びSリールモータからの端子電圧とモータ電源からの出力電圧との電位差を用いて駆動制御する方法について説明する。図4におけるTリールモータ側目標電位差とSリールモータ側目標電位差をいずれもV0[V]、Tリールモータ電位差検出部44からの検出電位差をV1[V]、Sリールモータ電位差検出部43からの検出電位差をV2[V]、モータ電源6からの出力電圧Vdd[V]、リールモータのトルク定数Kt[N・cm/A]、モータ定数μ[rpm/N/cm]、リールモータの軸ロスTloss[N・cm]、Tリールモータ側のテンションTt[N]、Sリールモータ側のテンションTs[N]として、Tリールモータのリール巻半径rt[mm]、Sリールモータのリール巻半径rs[mm]をパラメータとして、Tリールモータの目標回転数Ntmax(上限回転数に等しい)を求めると次式のようになる。
【0049】
【数6】
【0050】
ここで、V0の微少変化量に対するNtmaxの微少変化量を求めると、
【0051】
【数7】
【0052】
で表される。電位差V1のV0からのずれ量ΔV0に応じて目標回転数NtmaxをΔNtmax分補正して、Ntmax+ΔNtmaxで表される目標回転数を新たに設定することで、Tリールモータ駆動部4におけるTリールモータに電力を供給する上側トランジスタ22を飽和させることなく安定に駆動させかつできるだけ上限の回転数でTリールモータを回転させることができる。このとき、図示していないが電位差V1の検出には例えば1[Hz]程度の低域通過フィルタを透過して行うことで、本来のTリールモータの速度制御特性に影響を与えることなく安定な系を構成することができる。
【0053】
次に、Sリールモータの目標回転数について説明する。ここで、Sリールモータの目標回転数Nsmax(上限回転数に等しい)を求めると次式のようになる。
【0054】
【数8】
【0055】
ここで、V0の微少変化量に対するNsmaxの微少変化量を求めると、
【0056】
【数9】
【0057】
で表される。電位差V2のV0からのずれ量ΔV0に応じて目標回転数NsmaxをΔNsmax分補正して、Nsmax+ΔNsmaxで表される目標回転数を新たに設定することで、Sリールモータ駆動部3におけるSリールモータに電力を供給する上側トランジスタ(図示せず、図2の22に相当)を飽和させることなく安定に駆動させかつできるだけ上限の回転数でSリールモータを回転させることができる。このとき、図示していないが電位差V2の検出には例えば1[Hz]程度の低域通過フィルタを透過して行うことで、本来のSリールモータの速度制御特性に影響を与えることなく安定な系を構成することができる。
【0058】
ここまでで、TリールモータとSリールモータの上限回転数の求め方について説明したが、テープを安定にかつ高速に送るためには、それぞれのリールモータの端子電圧とモータ電源の出力電圧との検出電位差が所定の電位差(Vce)以上でなければならない。そこで、TリールモータとSリールモータそれぞれについて求めた上限回転数からこの条件を満たす目標回転数の求め方について以下に説明する。
【0059】
数3にてTリールモータのリール巻半径rt,回転数Ntからテープ速度vtを求め、さらに数4にてSリールモータの回転数Nsを求める。ここで求めたNsをNsmax1(Tリールモータの上限回転数で決まるSリールモータの回転数)として、数8で求めたNsmaxあるいは数9で補正されたNsmax+ΔNsmaxをNsmax2(Sリールモータ単体で考えた場合の上限回転数)とすると、Nsmax1≦Nsmax2が成り立つ場合にはTリールモータの回転数NtmaxあるいはNtmax+ΔNtmaxに従って、Tリールモータ及びSリールモータの回転制御を行う。一方、Nsmax1>Nsmax2が成り立つ場合にはSリールモータの回転数NsmaxあるいはNsmax+ΔNsmaxに従って、Tリールモータ及びSリールモータの回転制御を行う。この場合には、Sリールモータの回転数Nsmax1から次式を用いてTリールモータの目標回転数Ntを求める。
【0060】
【数10】
【0061】
以上で説明したように、Nsmax1≦Nsmax2の場合にはTリールモータの上限回転数に従うのでV1≒V0かつV2≧V0が成り立つ。また、Nsmax1>Nsmax2の場合にはSリールモータの上限回転数に従うのでV2≒V0かつV1≧V0が成り立つ。このように電位差V1及びV2を検出することでTリールモータとSリールモータそれぞれの上限回転数を演算して、それぞれのリールモータがリールモータ駆動部の上側トランジスタを飽和させることなく安定に駆動させかつできるだけ上限の回転数でそれぞれのリールモータの目標回転速度を設定することができるので、テープを安定にかつできるだけ高速に送る速度制御の実現が可能になる。
【0062】
(第2の実施の形態)
本発明に係わる第2の実施の形態を示すモータ制御装置について説明する。第2の実施の形態におけるモータ制御装置の構成は、第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成と同じ図1に示すブロック図で表される。また、TリールモータとTリールモータ駆動部4の詳細なブロック図も図2と同様である。なお、SリールモータとSリールモータ駆動部3の詳細なブロック図は図示していないが、図2の構成と同様である。また、リールモータ制御部5の詳細なブロック図も図3と同様である。また、目標速度演算部41の詳細なブロック図も図4と同様である。また、図1、図2、図3、図4における各ブロックの説明ならびに基本動作については第1の実施の形態あるいは従来例において先述したので省略する。
【0063】
第2の実施の形態におけるモータ制御装置において、本発明の特徴であるTリールモータ及びSリールモータからの端子電圧とモータ電源からの出力電圧との電位差を用いて駆動制御する方法について説明する。本実施の形態では、それぞれのリールモータについてその電位差とリール巻半径からあらかじめ目標回転速度を決める方法と電位差が目標値に満たない場合に回転速度を制御する方法について説明する。
【0064】
図4におけるTリールモータ側目標電位差とSリールモータ側目標電位差をいずれもV0=2.5[V]、Tリールモータ電位差検出部44からの検出電位差をV1[V]、Sリールモータ電位差検出部43からの検出電位差をV2[V]、モータ電源6からの出力電圧Vdd=12[V]、リールモータのトルク定数Kt=1.108[N・cm/A]、モータ定数μ=9878[rpm/N/cm]、リールモータの軸ロスTloss=0.15[N・cm]、Tリールモータ側のテンションTt=0.10[N]、Sリールモータ側のテンションTs=0.05[N]として、Tリールモータのリール巻半径rt[mm]、Sリールモータのリール巻半径rs[mm]をパラメータとして、Tリールモータの回転数Ntを求めると次式のようになる。
【0065】
【数11】
【0066】
具体的な数値を入力して数3に数11を代入してテープ速度を求めたグラフを図5における速度1で示す。なお、rtが7.5[mm]から26.6[mm]までは速度1は速度3と重なっている。次に、Sリールモータの回転数Nsを求めると次式のようになる。
【0067】
【数12】
【0068】
ここで、rsは数2からrtを用いて求める。同様に具体的な数値を数12に入力して、
【0069】
【数13】
【0070】
を用いて、テープ速度を求めたグラフを図5における速度2で示す。なお、rtが26.6[mm]から29.4[mm]までは速度2は速度3と重なっている。rtが7.5[mm]から26.6[mm]までは第1の実施の形態で説明した場合と同様にNsmax1≦Nsmax2(ただし、Nsmax1はTリールモータの上限回転数で決まるSリールモータの回転数、Nsmax2はSリールモータ単体で考えた場合の上限回転数)の条件ではV1≒V0かつV2≧V0が成り立つ。また、rtが26.6[mm]から29.4[mm]までは第1の実施の形態で説明した場合と同様にNsmax1>Nsmax2の条件ではV2≒V0かつV1≧V0が成り立つ。
【0071】
以上のようにあらかじめ決められた速度3で示す速度プロフィール(リール巻径と目標テープ送り速度との関係)にしたがってTリールモータとSリールモータの目標回転速度を制御する構成にすることによって、それぞれのリールモータがリールモータ駆動部の上側トランジスタを飽和させることなく安定に駆動させかつできるだけ上限の回転数でそれぞれのリールモータの回転制御することができるので、簡単なリールモータ制御系でテープを安定にかつできるだけ高速に送ることが可能になる。また、あらかじめ速度プロフィールを決めることでテープドライブ毎のサーチ時のアクセス時間をスペック上ほぼ同じにすることができる。
【0072】
しかしながら、リールモータのトルク定数や軸ロス、リールモータにかかるテンションに大きなばらつきがあることを想定すると、あらかじめ決めた速度プロフィールではリールモータ駆動部の上側トランジスタを安定に駆動できない場合が考えられる。そこで、速度プロフィールにしたがってそれぞれのリールモータを回転制御中に、電位差V1がV0未満になることを検出した場合にはV0からのずれ電圧ΔV0に基づいて数7からΔNtmaxを演算して、速度プロフィールで決められている目標テープ速度vtから次式で表されるΔvtの絶対値以上減速させる。
【0073】
【数14】
【0074】
また、電位差V2がV0未満になることを検出した場合にはV0からのずれ電圧ΔV0に基づいて数9からΔNsmaxを演算して、速度プロフィールで決められている目標テープ速度vtから次式で表されるΔvtの絶対値以上減速させる。
【0075】
【数15】
【0076】
このようにして、リールモータのトルク定数や軸ロス、リールモータにかかるテンションに大きなばらつきがあることを想定した場合においても、速度プロフィールで決められた目標速度を減速させることで物理的なばらつきがある中で安定にかつできるだけ速くテープを送ることが可能になる。図6はテンションが増加した場合のリール巻径とテープ送り速度との関係を示すグラフである。図6において、例えばTリールモータにかかるテンションTtが0.10[N]から0.15[N]に増加した場合に、Tリールモータ側の電位差V1あるいはSリールモータ側の電位差V2のいずれか一方がV0になるように、あらかじめ決められた速度プロフィール(速度3)が制限されたテープ速度(速度4)の様子を示す。
【0077】
なお、第2の実施の形態において、あらかじめ決められた速度プロフィールではモータ電源電圧とリールモータ端子電圧との検出電位差が目標電位差未満になった場合には第1の実施の形態と同様にして、検出電位差の目標電位差のずれ電圧を利用してリールモータの回転速度を制御してもよい。
【0078】
また、本発明の実施の形態においては、リールモータ駆動部に電流駆動方式の駆動回路を想定して説明したが、電圧駆動方式でも同様の実施効果がある。
【0079】
また、リールモータは3相モータで記載したが、あらゆるDCモータに応用が可能である。
【0080】
また、モータ電源はスイッチングレギュレータで構成して、モータ電源の出力電圧の代わりにスイッチングレギュレータの出力電圧を用いてもよい。さらに、モータ電源の出力電圧とスイッチングレギュレータの出力電圧との電位差を検出してリールモータの上限回転数あるいは目標回転数を求めてもよい。
【0081】
また、本発明の実施の形態においては、テープドライブでの例として説明したが、ビデオテープレコーダでも同様の実施効果がある。
【0082】
【発明の効果】
以上のように、本発明におけるモータ制御装置は、リールモータを駆動するための電源電圧と2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧を合わせた電圧がリールモータの電源電圧に対して余裕をもつようにそれぞれのリールモータを回転制御することで、高速にかつ安定にテープを送るができる。
【0083】
本発明は特に、テープダメージに弱い薄手テープを用いた場合に効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1の実施の形態におけるモータ制御装置のブロック図
【図2】同実施の形態におけるTリールモータとTリールモータ駆動部の詳細なブロック図
【図3】同実施の形態におけるリールモータ制御部の詳細なブロック図
【図4】同実施の形態における目標速度演算部の詳細なブロック図
【図5】同実施の形態におけるリール巻径とテープ送り速度との関係を示すグラフ
【図6】同実施の形態におけるテンションが増加した場合のリール巻径とテープ送り速度との関係を示すグラフ
【図7】従来のモータ制御装置のブロック図
【符号の説明】
1 S(供給側)リールモータ
2 T(巻き取り側)リールモータ
3 Sリールモータ駆動部
4 Tリールモータ駆動部
5 リールモータ制御部
6 モータ電源
7 SリールモータFG検出器
8 TリールモータFG検出器
9 テープ
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープを巻き取るあるいは供給する2つのリールモータを制御するモータ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気テープを用いたテープドライブなどにおいて、記録トラック幅の狭トラック化や記録波長の短波長化、ロングテープ長化などにより、磁気テープの記録容量が増加している。このような中、特にロングテープ長化に伴ってサーチの高速化や巻き戻し時間の高速化がリールモータ制御における課題となっている。
【0003】
以下、従来のモータ制御装置について、その一例を挙げて説明する。
【0004】
図7は従来のモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図7において、1はテープ9を供給する供給側リールモータ(以下ではSリールモータと記す)、2はテープ9を巻き取る巻き取り側リールモータ(以下ではTリールモータと記す)、3はSリールモータを回転駆動させるSリールモータ駆動部、4はTリールモータを回転駆動させるTリールモータ駆動部、6はSリールモータ及びTリールモータに回転させるための電力をSリールモータ駆動部3及びTリールモータ駆動部4を通じて供給するモータ電源、7はSリールモータの回転周波数に応じたFG信号を検出するSリールモータFG検出器、8はTリールモータの回転周波数に応じたFG信号を検出するTリールモータFG検出器、45はSリールモータFG検出器7とTリールモータFG検出器8から出力されるそれぞれのFG信号とモータ電源6から出力される電圧に基づいてSリールモータ及びTリールモータの回転を制御するリールモータ制御部である。また、同図のSリールモータ駆動部3、Tリールモータ駆動部4、リールモータ制御部45、モータ電源6を合わせてモータ制御部100で表す。
【0005】
以上のように構成されたモータ制御装置について、その動作を以下に説明する。まず、テープ9を走行させる場合の基本動作原理について説明する。
【0006】
Sリールモータのリール巻半径rs[mm]、Tリールモータのリール巻半径rt[mm]、それぞれのリールモータのリール巻半径最小値r0[mm](これはリールハブ半径と等しい)、それぞれのリール巻半径最大値rmax[mm]とすると、これらの関係は次式で表すことができる。
【0007】
【数1】
【0008】
数1を解いてrsとrtとの関係を表すと次式のようになる。
【0009】
【数2】
【0010】
また、Tリールモータの回転数Nt[rpm]としてテープ速度vt[mm/s]は、
【0011】
【数3】
【0012】
で表すことができるので、数2と数3からSリールモータの回転数Ns[rpm]は次式で表される。
【0013】
【数4】
【0014】
これはTリールモータの回転数をNt[rpm]としたときSリールモータの回転数を数4で表される回転数にすることによって、テープ9を弛ませることなくTリールモータとSリールモータを回転制御させることができる。なお、図示していないがリールモータの物理的なばらつきやリール巻半径の誤差は一般にテンションアームを用いてテープのテンションを検出して、この検出値に基づいてテンション制御を行うことで補正される。
【0015】
次に、リールモータの回転に伴ってリール巻径が変化するので、この変化量について説明する。ある時点のテープ速度vtとして、微少変化時間Δt、テープ厚δとするとTリールモータのリール巻半径の微少増加量Δrtは次式で表すことができる。
【0016】
【数5】
【0017】
例えば、r0=7.5[mm]、rmax=29.4[mm]、δ=5.3[μm]として、リールモータ制御部45をマイコンで構成して10[ms]のタイマー処理毎にΔrtを演算してTリールモータ及びSリールモータの回転制御の方法について説明する。微少変化時間Δt=10[ms]、Nt=4600[rpm]、rt=10[mm]、vt=4817[mm/s]とすると、このときのNsは数4から求めると、Ns=1606[rpm]となる。タイマー処理の1回目の演算では数5からΔrt=4.06[μm]となり、Ntを一定とすると2回目の演算ではrt=10.00406[mm]を用いてvt=4819[mm/s]として、数4からNs=1607[rpm]となる。以上のようにしてTリールモータとSリールモータの回転数をタイマー処理毎に求めてリールモータ制御部45は各リールモータの回転制御を行う。なお、テープ厚δにはテープ間のエア巻き込み率を考慮することでリール巻半径の検出精度を向上させることができる。
【0018】
次に、図7における各部の具体的な動作について説明する。リールモータ制御部45では、FG検出器8から出力されるTリールモータのFG信号からTリールモータの回転数を検出する。またFG検出器7から出力されるSリールモータのFG信号からSリールモータの回転数を検出する。Tリールモータの目標回転数をNtとして、数3からTリールモータのリール巻半径rtにおけるテープ速度vtを求め、数4からSリールモータの目標回転数Nsを求める。それぞれのリールモータについて目標回転数とFG信号から検出された回転数とのずれをリールモータ制御部45で求めてTリールモータ駆動部4とSリールモータ駆動部3へそれぞれのずれに相当する駆動信号を出力する。このようにして、TリールモータとSリールモータを駆動制御する。
【0019】
特開平10−308044号公報などで開示されている従来例では、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷や駆動損失による発生する電圧およびリールモータの発電電圧を考慮していないために、テンションや軸負荷などのばらつきによってリールモータの出力電圧がモータ電源電圧に到達してしまいリールモータの出力電圧のクリップが生じる。その場合においてリールモータの回転変動が生じるとリールモータの回転変動を抑えられない。そこで、テンションセンサの出力電圧が目標電圧からずれていることを検出してリールモータの回転数を制限するようにしているが、制限する直前ではリールモータの回転変動が抑えられないことに変わりはない。
【0020】
【特許文献1】
特開平10−308044号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来方式では、限られたリールモータの駆動電圧(Vdd)に対して、リールモータを安定にかつ高速に回転させることが難しいという問題があった。
【0022】
本発明はこれらの問題点を解決するもので、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷などに伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧を合わせた電圧がリールモータの駆動電圧に対して余裕をもつようにそれぞれのリールモータを回転制御することで、高速にかつ安定にテープを送ることを可能にするモータ制御装置を提供する。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、第1の発明であるモータ制御装置は、テープを巻き取るあるいは供給するリールモータと、前記リールモータを制御するモータ制御手段を備えるテープドライブまたはモータ制御装置であって、前記モータ制御手段は、前記リールモータを駆動する電圧から所定値の電圧を差し引いた電圧によって前記リールモータを制御することを特徴を特徴とするものである。この構成によって、リールモータ固有の軸負荷や駆動損失などに伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧をリールモータの駆動電圧に対して余裕をもってリールモータの回転速度を制御することができるので、リールモータをできるだけ高速にかつ回転変動を抑制しながら回転させることができる。
【0024】
第2の発明のモータ制御装置は、テープを巻き取る第1のリールモータと、テープを供給する第2のリールモータと、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差および前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差に基づいて、前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御するモータ制御手段を備えることを特徴とするものである。
【0025】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープテンションやリールモータ固有の軸負荷などに伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧をリールモータの駆動電圧に対して余裕をもってリールモータの回転速度を制御することができるので、リールモータをできるだけ高速にかつ回転変動を抑制しながら回転させることができる。
【0026】
第3の発明のモータ制御装置は、前記モータ制御手段が、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差および前記第2の電位差に基づいてどちらか一方の電位差を選択し、選択された電位差に基づいて前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御することを特徴とする。
【0027】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧とリールモータの駆動電圧との差が小さい方のリールモータの回転速度に合わせることで、テープを高速にかつ安定に送ることができる。
【0028】
第4の発明のモータ制御装置は、前記モータ制御手段は、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差は所定値と略等しいかつ前記第2の電位差は前記所定値以上、または、前記第2の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第1の電位差は前記所定値以上を満たすように前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御することを特徴とする。
【0029】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧とリールモータの駆動電圧との差が小さい方のリールモータの上限回転速度に合わせることで、テープを最高速でかつ安定に送ることができる。
【0030】
第5の発明のモータ制御装置は、テープを巻き取る第1のリールモータと、テープを供給する第2のリールモータと、前記第1のリールモータおよび前記第2のリールモータのリール径と速度との関係をあらかじめ決めた速度プロフィールに従って前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御するモータ制御手段を備えることを特徴とする。
【0031】
この構成によって、リールモータの巻径に応じてテープテンションによるトルクの変化で電圧が変化することも考慮して、リール巻径とリールモータの回転速度の関係をあらかじめ決定することで、テープを高速にかつ安定に送るためのリールモータの制御系を簡単に構成することができる。また、あらかじめ速度プロフィールを決めることでテープドライブ毎のサーチ時のアクセス時間をスペック上ほぼ同じにすることができる。
【0032】
第6の発明のモータ制御装置は、前記速度プロフィールが、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差および前記第2の電位差が所定の条件を満たすようにあらかじめ生成されたことを特徴とする。
【0033】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧とリールモータの駆動電圧との差が小さい方のリールモータの回転速度に合わせて、リール巻径とリールモータの回転速度の関係をあらかじめ決定することで、テープを高速にかつ安定に送るためのリールモータの制御系を簡単に構成することができる。また、あらかじめ速度プロフィールを決めることでテープドライブ毎のサーチ時のアクセス時間をスペック上ほぼ同じにすることができる。
【0034】
第7の発明モータ制御装置は、前記速度プロフィールは、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差は所定値と略等しいかつ前記第2の電位差は前記所定値以上、または、前記第2の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第1の電位差は前記所定値以上を満たすようにあらかじめ生成されたことを特徴とする。
【0035】
この構成によって、2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧とを合わせた電圧とリールモータの駆動電圧との差が小さい方のリールモータの上限回転速度に合わせて、リール巻径とリールモータの回転速度の関係をあらかじめ決定することで、テープを最高速にかつ安定に送るためのリールモータの制御系を簡単に構成することができる。また、テープドライブ毎のサーチ時のアクセスを高速にしてかつアクセス時間をスペック上ほぼ同じにすることができる。
【0036】
第8の発明モータ制御装置は、テープを巻き取る第1のリールモータと、テープを供給する第2のリールモータと、前記第1のリールモータおよび前記第2のリールモータのリール径と速度との関係をあらかじめ決めた速度プロフィールに従って前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータの制御を行い、第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差と前記第2の電位差の少なくとも一方の電位差が所定値未満になった場合には、前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータの速度を速度プロフィールに従った速度より落とす、あるいは、前記第1の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第2の電位差は前記所定値以上、または、前記第2の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第1の電位差は前記所定値以上を満たすように前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御するモータ制御手段を備えることを特徴とする。
【0037】
この構成によって、リールモータの駆動電圧変化やテンション変化、その他負荷の変化によりリールモータから出力される電圧が上昇した場合において、駆動電圧とリールモータの出力電圧に余裕がなくなる前に、リールモータの回転速度を制限する、または、駆動電圧とリールモータの出力電圧の差を用いてリールモータを制御することで、負荷状態が変化した場合においても安定にテープを送ることができる。
【0038】
また、第9の発明のモータ制御装置は、第1,4,7または8の発明において、前記所定値が、第1及び第2のリールモータ駆動部におけるリールモータに電力を供給するトランジスタ等が飽和する電圧(Vce)であることを特徴とする。
【0039】
第10の発明であるテープドライブは、テープを巻き取るあるいは供給するリールモータと、前記リールモータを制御するモータ制御手段を備えるテープドライブまたはモータ制御装置であって、前記モータ制御手段は、前記リールモータを駆動する電圧から所定値の電圧を差し引いた電圧によって前記リールモータを制御することを特徴とする
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる実施の形態を示すモータ制御装置について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(第1の実施の形態)
最初に、本発明に係わる第1の実施の形態を示すモータ制御装置について説明する。図1は第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、1はテープ9を供給するSリールモータ(請求項では第2のリールモータに相当)、2はテープ9を巻き取るTリールモータ(請求項では第1のリールモータに相当)、3はSリールモータを回転駆動させるSリールモータ駆動部、4はTリールモータを回転駆動させるTリールモータ駆動部、6はSリールモータ及びTリールモータに回転させるための電力を供給するモータ電源、7はSリールモータの回転周波数に応じたFG信号を検出するSリールモータFG検出器、8はTリールモータの回転周波数に応じたFG信号を検出するTリールモータFG検出器、5はSリールモータFG検出器とTリールモータFG検出器から出力されるそれぞれのFG信号、Sリールモータ及びTリールモータから出力される電圧、モータ電源6から出力される電圧に基づいてSリールモータ及びTリールモータの回転を制御するリールモータ制御部である。また、同図のSリールモータ駆動部3、Tリールモータ駆動部4、リールモータ制御部5、モータ電源6を合わせてモータ制御部10(請求項ではモータ制御手段に相当)で表す。
【0042】
図2は第1の実施の形態におけるモータ制御装置のTリールモータとTリールモータ駆動部4の詳細なブロック図である。なお、SリールモータとSリールモータ駆動部3についても同様の構成であるので説明は省略する。25,26,27はTリールモータのステータ側のコイルを表し、3相モータであることを示す。22,23はモータ電源6からの電力をTリールモータの各コイルに供給するためのトランジスタ、21はリールモータ制御部5からの駆動信号に基づいてトランジスタ22及びトランジスタ23の駆動電流を制御するモータ電流分配回路、24はTリールモータに流れる電流を検出する電流検出抵抗で、この検出電圧値はモータ電流分配回路21に入力されモータ電流分配回路21の入出力ゲインを決める。
【0043】
図3は第1の実施の形態におけるリールモータ制御部5の詳細なブロック図である。43はSリールモータからの端子電圧とモータ電源6からの出力電圧との差をトランジスタ33,ダイオード34,抵抗35,抵抗36を用いて検出するSリールモータ電位差検出部、44はTリールモータからの端子電圧とモータ電源6からの出力電圧との差をトランジスタ37,ダイオード38,抵抗39,抵抗40を用いて検出するTリールモータ電位差検出部、41はFG検出器7及びFG検出器8からのFG信号とSリールモータ電位差検出部43とTリールモータ電位差検出部44からの電位差検出値に基づいてSリールモータとTリールモータの目標回転速度情報を出力する目標速度演算部、31は目標速度演算部41からの目標回転速度情報とFG検出器7からのFG信号に基づいてSリールモータ駆動部3へ駆動信号を出力するSリールモータ速度制御部、32は目標速度演算部41からの目標回転速度情報とFG検出器8からのFG信号に基づいてTリールモータ駆動部4へ駆動信号を出力するTリールモータ速度制御部である。
【0044】
図4は第1の実施の形態における目標速度演算部41の詳細なブロック図である。53はSリールモータ電位差検出部43からの検出電位差と目標電位差(Sリールモータ側)とを引き算する引き算器、54はTリールモータ電位差検出部44からの検出電位差と目標電位差(Tリールモータ側)とを引き算する引き算器、52は引き算器53と引き算器54の出力値に基づいて電位差余裕及び目標電位差からのずれを検出する電位差余裕及びずれ検出部、51はFG検出器7及びFG検出器8からのFG信号と電位差余裕及びずれ検出部52からの検出情報に基づいてSリールモータ速度制御部31とTリールモータ速度制御部32へ目標速度情報を出力するリールモータ目標速度演算部である。なお、目標電位差は電位差の検出ばらつきを考慮して図2におけるトランジスタ22が飽和してしまう電圧(Vce)よりも少し大きめに設定する。
【0045】
なお、トランジスタに代えて、FET等の場合にも同様に設定すればよい。
【0046】
以上のように構成されたモータ制御装置について、その動作を以下に説明する。なお、テープ9を走行させる場合のTリールモータとSリールモータの回転制御の基本動作については従来例において説明したので省略する。
【0047】
まず、図1における各部の動作について説明する。リールモータ制御部5では、FG検出器8から出力されるTリールモータのFG信号からTリールモータの回転数を検出する。またFG検出器7から出力されるSリールモータのFG信号からSリールモータの回転数を検出する。Tリールモータの目標回転数をNtとして、数3からTリールモータのリール巻半径rtにおけるテープ速度vtを求め、数4からSリールモータの目標回転数Nsを求める。それぞれのリールモータについて目標回転数とFG信号から検出された回転数とのずれをリールモータ制御部5で求めてTリールモータ駆動部4とSリールモータ駆動部3へそれぞれのずれに相当する駆動信号を出力する。このようにして、TリールモータとSリールモータを駆動制御する。
【0048】
次に、であるTリールモータ及びSリールモータからの端子電圧とモータ電源からの出力電圧との電位差を用いて駆動制御する方法について説明する。図4におけるTリールモータ側目標電位差とSリールモータ側目標電位差をいずれもV0[V]、Tリールモータ電位差検出部44からの検出電位差をV1[V]、Sリールモータ電位差検出部43からの検出電位差をV2[V]、モータ電源6からの出力電圧Vdd[V]、リールモータのトルク定数Kt[N・cm/A]、モータ定数μ[rpm/N/cm]、リールモータの軸ロスTloss[N・cm]、Tリールモータ側のテンションTt[N]、Sリールモータ側のテンションTs[N]として、Tリールモータのリール巻半径rt[mm]、Sリールモータのリール巻半径rs[mm]をパラメータとして、Tリールモータの目標回転数Ntmax(上限回転数に等しい)を求めると次式のようになる。
【0049】
【数6】
【0050】
ここで、V0の微少変化量に対するNtmaxの微少変化量を求めると、
【0051】
【数7】
【0052】
で表される。電位差V1のV0からのずれ量ΔV0に応じて目標回転数NtmaxをΔNtmax分補正して、Ntmax+ΔNtmaxで表される目標回転数を新たに設定することで、Tリールモータ駆動部4におけるTリールモータに電力を供給する上側トランジスタ22を飽和させることなく安定に駆動させかつできるだけ上限の回転数でTリールモータを回転させることができる。このとき、図示していないが電位差V1の検出には例えば1[Hz]程度の低域通過フィルタを透過して行うことで、本来のTリールモータの速度制御特性に影響を与えることなく安定な系を構成することができる。
【0053】
次に、Sリールモータの目標回転数について説明する。ここで、Sリールモータの目標回転数Nsmax(上限回転数に等しい)を求めると次式のようになる。
【0054】
【数8】
【0055】
ここで、V0の微少変化量に対するNsmaxの微少変化量を求めると、
【0056】
【数9】
【0057】
で表される。電位差V2のV0からのずれ量ΔV0に応じて目標回転数NsmaxをΔNsmax分補正して、Nsmax+ΔNsmaxで表される目標回転数を新たに設定することで、Sリールモータ駆動部3におけるSリールモータに電力を供給する上側トランジスタ(図示せず、図2の22に相当)を飽和させることなく安定に駆動させかつできるだけ上限の回転数でSリールモータを回転させることができる。このとき、図示していないが電位差V2の検出には例えば1[Hz]程度の低域通過フィルタを透過して行うことで、本来のSリールモータの速度制御特性に影響を与えることなく安定な系を構成することができる。
【0058】
ここまでで、TリールモータとSリールモータの上限回転数の求め方について説明したが、テープを安定にかつ高速に送るためには、それぞれのリールモータの端子電圧とモータ電源の出力電圧との検出電位差が所定の電位差(Vce)以上でなければならない。そこで、TリールモータとSリールモータそれぞれについて求めた上限回転数からこの条件を満たす目標回転数の求め方について以下に説明する。
【0059】
数3にてTリールモータのリール巻半径rt,回転数Ntからテープ速度vtを求め、さらに数4にてSリールモータの回転数Nsを求める。ここで求めたNsをNsmax1(Tリールモータの上限回転数で決まるSリールモータの回転数)として、数8で求めたNsmaxあるいは数9で補正されたNsmax+ΔNsmaxをNsmax2(Sリールモータ単体で考えた場合の上限回転数)とすると、Nsmax1≦Nsmax2が成り立つ場合にはTリールモータの回転数NtmaxあるいはNtmax+ΔNtmaxに従って、Tリールモータ及びSリールモータの回転制御を行う。一方、Nsmax1>Nsmax2が成り立つ場合にはSリールモータの回転数NsmaxあるいはNsmax+ΔNsmaxに従って、Tリールモータ及びSリールモータの回転制御を行う。この場合には、Sリールモータの回転数Nsmax1から次式を用いてTリールモータの目標回転数Ntを求める。
【0060】
【数10】
【0061】
以上で説明したように、Nsmax1≦Nsmax2の場合にはTリールモータの上限回転数に従うのでV1≒V0かつV2≧V0が成り立つ。また、Nsmax1>Nsmax2の場合にはSリールモータの上限回転数に従うのでV2≒V0かつV1≧V0が成り立つ。このように電位差V1及びV2を検出することでTリールモータとSリールモータそれぞれの上限回転数を演算して、それぞれのリールモータがリールモータ駆動部の上側トランジスタを飽和させることなく安定に駆動させかつできるだけ上限の回転数でそれぞれのリールモータの目標回転速度を設定することができるので、テープを安定にかつできるだけ高速に送る速度制御の実現が可能になる。
【0062】
(第2の実施の形態)
本発明に係わる第2の実施の形態を示すモータ制御装置について説明する。第2の実施の形態におけるモータ制御装置の構成は、第1の実施の形態におけるモータ制御装置の構成と同じ図1に示すブロック図で表される。また、TリールモータとTリールモータ駆動部4の詳細なブロック図も図2と同様である。なお、SリールモータとSリールモータ駆動部3の詳細なブロック図は図示していないが、図2の構成と同様である。また、リールモータ制御部5の詳細なブロック図も図3と同様である。また、目標速度演算部41の詳細なブロック図も図4と同様である。また、図1、図2、図3、図4における各ブロックの説明ならびに基本動作については第1の実施の形態あるいは従来例において先述したので省略する。
【0063】
第2の実施の形態におけるモータ制御装置において、本発明の特徴であるTリールモータ及びSリールモータからの端子電圧とモータ電源からの出力電圧との電位差を用いて駆動制御する方法について説明する。本実施の形態では、それぞれのリールモータについてその電位差とリール巻半径からあらかじめ目標回転速度を決める方法と電位差が目標値に満たない場合に回転速度を制御する方法について説明する。
【0064】
図4におけるTリールモータ側目標電位差とSリールモータ側目標電位差をいずれもV0=2.5[V]、Tリールモータ電位差検出部44からの検出電位差をV1[V]、Sリールモータ電位差検出部43からの検出電位差をV2[V]、モータ電源6からの出力電圧Vdd=12[V]、リールモータのトルク定数Kt=1.108[N・cm/A]、モータ定数μ=9878[rpm/N/cm]、リールモータの軸ロスTloss=0.15[N・cm]、Tリールモータ側のテンションTt=0.10[N]、Sリールモータ側のテンションTs=0.05[N]として、Tリールモータのリール巻半径rt[mm]、Sリールモータのリール巻半径rs[mm]をパラメータとして、Tリールモータの回転数Ntを求めると次式のようになる。
【0065】
【数11】
【0066】
具体的な数値を入力して数3に数11を代入してテープ速度を求めたグラフを図5における速度1で示す。なお、rtが7.5[mm]から26.6[mm]までは速度1は速度3と重なっている。次に、Sリールモータの回転数Nsを求めると次式のようになる。
【0067】
【数12】
【0068】
ここで、rsは数2からrtを用いて求める。同様に具体的な数値を数12に入力して、
【0069】
【数13】
【0070】
を用いて、テープ速度を求めたグラフを図5における速度2で示す。なお、rtが26.6[mm]から29.4[mm]までは速度2は速度3と重なっている。rtが7.5[mm]から26.6[mm]までは第1の実施の形態で説明した場合と同様にNsmax1≦Nsmax2(ただし、Nsmax1はTリールモータの上限回転数で決まるSリールモータの回転数、Nsmax2はSリールモータ単体で考えた場合の上限回転数)の条件ではV1≒V0かつV2≧V0が成り立つ。また、rtが26.6[mm]から29.4[mm]までは第1の実施の形態で説明した場合と同様にNsmax1>Nsmax2の条件ではV2≒V0かつV1≧V0が成り立つ。
【0071】
以上のようにあらかじめ決められた速度3で示す速度プロフィール(リール巻径と目標テープ送り速度との関係)にしたがってTリールモータとSリールモータの目標回転速度を制御する構成にすることによって、それぞれのリールモータがリールモータ駆動部の上側トランジスタを飽和させることなく安定に駆動させかつできるだけ上限の回転数でそれぞれのリールモータの回転制御することができるので、簡単なリールモータ制御系でテープを安定にかつできるだけ高速に送ることが可能になる。また、あらかじめ速度プロフィールを決めることでテープドライブ毎のサーチ時のアクセス時間をスペック上ほぼ同じにすることができる。
【0072】
しかしながら、リールモータのトルク定数や軸ロス、リールモータにかかるテンションに大きなばらつきがあることを想定すると、あらかじめ決めた速度プロフィールではリールモータ駆動部の上側トランジスタを安定に駆動できない場合が考えられる。そこで、速度プロフィールにしたがってそれぞれのリールモータを回転制御中に、電位差V1がV0未満になることを検出した場合にはV0からのずれ電圧ΔV0に基づいて数7からΔNtmaxを演算して、速度プロフィールで決められている目標テープ速度vtから次式で表されるΔvtの絶対値以上減速させる。
【0073】
【数14】
【0074】
また、電位差V2がV0未満になることを検出した場合にはV0からのずれ電圧ΔV0に基づいて数9からΔNsmaxを演算して、速度プロフィールで決められている目標テープ速度vtから次式で表されるΔvtの絶対値以上減速させる。
【0075】
【数15】
【0076】
このようにして、リールモータのトルク定数や軸ロス、リールモータにかかるテンションに大きなばらつきがあることを想定した場合においても、速度プロフィールで決められた目標速度を減速させることで物理的なばらつきがある中で安定にかつできるだけ速くテープを送ることが可能になる。図6はテンションが増加した場合のリール巻径とテープ送り速度との関係を示すグラフである。図6において、例えばTリールモータにかかるテンションTtが0.10[N]から0.15[N]に増加した場合に、Tリールモータ側の電位差V1あるいはSリールモータ側の電位差V2のいずれか一方がV0になるように、あらかじめ決められた速度プロフィール(速度3)が制限されたテープ速度(速度4)の様子を示す。
【0077】
なお、第2の実施の形態において、あらかじめ決められた速度プロフィールではモータ電源電圧とリールモータ端子電圧との検出電位差が目標電位差未満になった場合には第1の実施の形態と同様にして、検出電位差の目標電位差のずれ電圧を利用してリールモータの回転速度を制御してもよい。
【0078】
また、本発明の実施の形態においては、リールモータ駆動部に電流駆動方式の駆動回路を想定して説明したが、電圧駆動方式でも同様の実施効果がある。
【0079】
また、リールモータは3相モータで記載したが、あらゆるDCモータに応用が可能である。
【0080】
また、モータ電源はスイッチングレギュレータで構成して、モータ電源の出力電圧の代わりにスイッチングレギュレータの出力電圧を用いてもよい。さらに、モータ電源の出力電圧とスイッチングレギュレータの出力電圧との電位差を検出してリールモータの上限回転数あるいは目標回転数を求めてもよい。
【0081】
また、本発明の実施の形態においては、テープドライブでの例として説明したが、ビデオテープレコーダでも同様の実施効果がある。
【0082】
【発明の効果】
以上のように、本発明におけるモータ制御装置は、リールモータを駆動するための電源電圧と2つのリールモータに係合されるテープのテンションやリールモータ固有の軸負荷に伴って発生する電圧とリールモータが回転することによって発生する電圧を合わせた電圧がリールモータの電源電圧に対して余裕をもつようにそれぞれのリールモータを回転制御することで、高速にかつ安定にテープを送るができる。
【0083】
本発明は特に、テープダメージに弱い薄手テープを用いた場合に効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1の実施の形態におけるモータ制御装置のブロック図
【図2】同実施の形態におけるTリールモータとTリールモータ駆動部の詳細なブロック図
【図3】同実施の形態におけるリールモータ制御部の詳細なブロック図
【図4】同実施の形態における目標速度演算部の詳細なブロック図
【図5】同実施の形態におけるリール巻径とテープ送り速度との関係を示すグラフ
【図6】同実施の形態におけるテンションが増加した場合のリール巻径とテープ送り速度との関係を示すグラフ
【図7】従来のモータ制御装置のブロック図
【符号の説明】
1 S(供給側)リールモータ
2 T(巻き取り側)リールモータ
3 Sリールモータ駆動部
4 Tリールモータ駆動部
5 リールモータ制御部
6 モータ電源
7 SリールモータFG検出器
8 TリールモータFG検出器
9 テープ
Claims (10)
- テープを巻き取るあるいは供給するリールモータと、前記リールモータを制御するモータ制御手段を備えるテープドライブまたはモータ制御装置であって、前記モータ制御手段は、前記リールモータを駆動する電圧から所定値の電圧を差し引いた電圧によって前記リールモータを制御することを特徴とするモータ制御装置。
- テープを巻き取る第1のリールモータと、テープを供給する第2のリールモータと、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差および前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差に基づいて、前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御するモータ制御手段を備えることを特徴とするモータ制御装置。
- 前記モータ制御手段は、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差および前記第2の電位差に基づいてどちらか一方の電位差を選択し、選択された電位差に基づいて前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御することを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
- 前記モータ制御手段は、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差は所定値と略等しい、かつ前記第2の電位差は前記所定値以上、または、前記第2の電位差は前記所定値と略等しい、かつ前記第1の電位差は前記所定値以上を満たすように前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御することを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
- テープを巻き取る第1のリールモータと、テープを供給する第2のリールモータと、前記第1のリールモータおよび前記第2のリールモータのリール径と速度との関係をあらかじめ決めた速度プロフィールに従って前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御するモータ制御手段を備えることを特徴とするモータ制御装置。
- 前記速度プロフィールは、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差および前記第2の電位差が所定値以上であることを満たすようにあらかじめ生成されたことを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置。
- 前記速度プロフィールは、前記第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差は所定値と略等しいかつ前記第2の電位差は前記所定値以上、または、前記第2の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第1の電位差は前記所定値以上を満たすようにあらかじめ生成されたことを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置。
- テープを巻き取る第1のリールモータと、テープを供給する第2のリールモータと、前記第1のリールモータおよび前記第2のリールモータのリール径と速度との関係をあらかじめ決めた速度プロフィールに従って前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータの制御を行い、第1のリールモータから出力される電圧と前記第1のリールモータを駆動する電圧との差を第1の電位差とし、前記第2のリールモータから出力される電圧と前記第2のリールモータを駆動する電圧との差を第2の電位差として、前記第1の電位差と前記第2の電位差の少なくとも一方の電位差が所定値未満になった場合には、前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータの速度を速度プロフィールに従った速度より落とす、あるいは、前記第1の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第2の電位差は前記所定値以上、または、前記第2の電位差は前記所定値と略等しいかつ前記第1の電位差は前記所定値以上を満たすように前記第1のリールモータ及び前記第2のリールモータを制御するモータ制御手段を備えることを特徴とするモータ制御装置。
- 前記所定値は、第1及び第2のリールモータ駆動部におけるリールモータに電力を供給するトランジスタ等が飽和する電圧(Vce)であることを特徴とする請求項1,4,7または8に記載のモータ制御装置。
- テープを巻き取るあるいは供給するリールモータと、前記リールモータを制御するモータ制御手段を備えるテープドライブまたはモータ制御装置であって、前記モータ制御手段は、前記リールモータを駆動する電圧から所定値の電圧を差し引いた電圧によって前記リールモータを制御することを特徴とするテープドライブ。
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Cited By (1)
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-
2002
- 2002-12-10 JP JP2002357584A patent/JP2004192693A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN102223117A (zh) * | 2010-04-15 | 2011-10-19 | Abb公司 | 用于控制变频器模块的设备和方法 |
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