JP2004183825A - 無段変速装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トロイダル型無段変速機12aと、第一、第二、第三の遊星歯車式変速機31、32、33とを、適切な歯車伝達機構と、低速用クラッチ27a及び高速用クラッチ28aとを介して組み合わせる。このうちの低速用クラッチ27aを接続して高速用クラッチ28aを接続した低速モード状態では、上記トロイダル型無段変速機12aの変速比を調節する事で、入力軸29を回転させたまま出力軸34を停止させられる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用自動変速装置として利用する、トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用自動変速装置として、図3に示す様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸1の両端部周囲に入力側ディスク2、2を、ボールスプライン3、3を介して支持している。従ってこれら両入力側ディスク2、2は、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持されている。又、上記入力軸1の中間部周囲に出力歯車4を、この入力軸1に対する相対回転を自在として支持している。そして、この出力歯車4の中心部に設けた円筒部9の両端部に出力側ディスク5、5を、それぞれスプライン係合させている。従ってこれら両出力側ディスク5、5は、上記出力歯車4と共に、同期して回転する。
【0003】
又、上記各入力側ディスク2、2と上記各出力側ディスク5、5との間には、それぞれ複数個ずつ(通常2〜3個ずつ)のパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6はトラニオン7、7の内側面に、支持軸8、8及び複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持されている。上記各トラニオン7、7は、それぞれの長さ方向(図3の表裏方向)両端部にこれら各トラニオン7、7毎に互いに同心に設けられた、それぞれ1対ずつの枢軸を中心として揺動変位自在である。
【0004】
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸10により一方(図3の左方)の入力側ディスク2を、図示の様なローディングカム式の、或は油圧式の押圧装置11を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ6、6を介して上記各出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
【0005】
上記入力軸1と出力歯車4との間の回転速度の比を変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車4との間で減速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を図3に示す位置に揺動させる。そして、上各パワーローラ6、6の周面をこの図3に示す様に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を図3と反対方向に揺動させ、上各パワーローラ6、6の周面を、この図3に示した状態とは逆に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各トラニオン7、7を傾斜させる。これら各トラニオン7、7の傾斜角度を中間にすれば、入力軸1と出力歯車4との間で、中間の変速比(速度比)を得られる。
【0006】
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の無段変速機に組み込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成する事が、例えば特許文献1〜2に記載されている様に、従来から各種提案されている。図4は、この様な従来から提案されている無段変速装置のうち、特許文献1に記載されたものを示している。この無段変速装置は、トロイダル型無段変速機12と遊星歯車式変速機13とを組み合わせて成る。このうちのトロイダル型無段変速機12は、入力軸1と、1対の入力側ディスク2、2と、出力側ディスク5aと、複数のパワーローラ6、6とを備える。図示の例では、この出力側ディスク5aは、1対の出力側ディスクの外側面同士を突き合わせて一体とした如き構造を有する。
【0007】
又、上記遊星歯車式変速機13は、上記入力軸1及び一方(図4の右方)の入力側ディスク2に結合固定されたキャリア14を備える。そして、このキャリア14の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車素子15a、15bを固設した第一の伝達軸16を、回転自在に支持している。又、上記キャリア14を挟んで上記入力軸1と反対側に、その両端部に太陽歯車17a、17bを固設した第二の伝達軸18を、上記入力軸1と同心に、回転自在に支持している。そして、上記各遊星歯車素子15a、15bと、上記出力側ディスク5aにその基端部(図4の左端部)結合した中空回転軸19の先端部(図4の右端部)に固設した太陽歯車20又は上記第二の伝達軸18の一端部(図4の左端部)に固設した太陽歯車17aとを、それぞれ噛合させている。又、一方(図4の左方)の遊星歯車素子15aを、別の遊星歯車素子21を介して、上記キャリア14の周囲に回転自在に設けたリング歯車22に噛合させている。
【0008】
一方、上記第二の伝達軸18の他端部(図4の右端部)に固設した太陽歯車17bの周囲に設けた第二のキャリア23に遊星歯車素子24a、24bを、回転自在に支持している。尚、この第二のキャリア23は、上記入力軸1及び第二の伝達軸18と同心に配置された、出力軸25の基端部(図4の左端部)に結合されている。又、上記各遊星歯車素子24a、24bは、互いに噛合すると共に、一方の遊星歯車素子24aが上記太陽歯車17bに、他方の遊星歯車素子24bが、上記第二のキャリア23の周囲に回転自在に設けた第二のリング歯車26に、それぞれ噛合している。又、上記リング歯車22と上記第二のキャリア23とを低速用クラッチ27により係脱自在とすると共に、上記第二のリング歯車26とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ28により係脱自在としている。
【0009】
上述の様な、図4に示した無段変速装置の場合、上記低速用クラッチ27を接続すると共に上記高速用クラッチ28の接続を断った、所謂低速モード状態では、上記入力軸1の動力が上記リング歯車22を介して上記出力軸25に伝えられる。そして、前記トロイダル型無段変速機12の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比、即ち、上記入力軸1と上記出力軸25との間の変速比が変化する。この様な低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。即ち、上記トロイダル型無段変速機12の変速比を調節する事により、上記入力軸1を回転させた状態のまま上記出力軸25の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
【0010】
尚、この様な低速モード状態での加速若しくは定速走行時に、上記トロイダル型無段変速機12を通過するトルクは、上記入力軸1から、キャリヤ26及び第一の伝達軸16と太陽歯車20と中空回転軸19とを介して出力側ディスク5aに加わり、更にこの出力側ディスク5aから各パワーローラ6、6を介して各入力側ディスク2、2に加わる。即ち、加速若しくは定速走行時に上記トロイダル型無段変速機12を通過するトルクは、上記各入力側ディスク2、2が上記各パワーローラ6、6からトルクを受ける方向に循環する。
【0011】
これに対して、上記低速用クラッチ27の接続を断ち、上記高速用クラッチ28を接続した、所謂高速モード状態では、上記入力軸1の動力が上記第一、第二の伝達軸16、18を介して上記出力軸25に伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速機12の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比が変化する。この場合には、上記トロイダル型無段変速機12の変速比を大きくする程、無段変速装置全体としての変速比が大きくなる。
尚、この様な高速モード状態での加速若しくは定速走行時に、上記トロイダル型無段変速機12を通過するトルクは、各入力側ディスク2、2が各パワーローラ6、6にトルクを付加する方向に加わる。
【0012】
又、図示は省略するが、特許文献2には、トロイダル型無段変速機と、2組の遊星歯車式変速機と、4組のクラッチとを組み合わせて成る無段変速装置が記載されている。この様な特許文献2に記載された無段変速装置は、上記4組のクラッチの断接を制御する事により、前進側で3種類のモードを、後退側で1種類のモードを、それぞれ実現できる。そして、前進側での変速比の幅を広くできると共に、前進側で実現する高速側2種類のモードでは、上記トロイダル型無段変速機を通過する動力を低く抑え、無段変速装置全体としての伝達効率を良好にできる。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−220719号公報
【特許文献2】
特許第2778038号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様な、従来から提案されている無段変速装置は、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを同軸に配置している為、無段変速装置全体としての軸方向寸法が嵩む。この為、小型車を中心として広く普及している、前置エンジン前輪駆動車(FF車)用の変速機としては不向きである。特許文献2に記載された発明の場合、入力側、出力側各ディスクを1個ずつ設けた、所謂シングルキャビティ型のトロイダル型無段変速機を組み込んでいる為、このトロイダル型無段変速機の軸方向寸法自体は短くなっている。但し、広く知られている様に、シングルキャビティ型のトロイダル型無段変速機は、前述の図3、4に示したダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機に比べて伝達効率が悪い。従って、実際に無段変速装置を構成する場合には、トロイダル型無段変速機としてダブルキャビティ型のものを使用する事が多くなるが、その場合には、上述の様に軸方向寸法が嵩む事が避けられない。又、特許文献2に記載された構造の場合には、トロイダル型無段変速機の入力軸に加えて、この入力軸と平行な2本の回転軸を設けている。この為、無段変速装置全体としての断面積も大きくなり、この面から、小型自動車用の変速機としての設計の自由度が低くなる。
【0015】
更に、特許文献2に記載された構造の場合には、無限大の変速比を実現できない為、4組のクラッチの他、トルクコンバータ或は電磁クラッチ等の発進機構が必要になる。この為、無段変速装置全体としてかなり大型化し、小型のFF車用の変速機として実施する事はかなり困難である。
本発明の無段変速装置は、この様な事情に鑑みて、軸方向寸法を小さくでき、しかも無限大の変速比を実現できる構造を実現すべく発明したものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の無段変速装置は、入力軸と、トロイダル型無段変速機と、回転伝達軸と、第一、第二、第三の遊星歯車式変速機と、出力軸と、第一の動力伝達機構と、第二の動力伝達機構と、第三の動力伝達機構と、切換機構とを備える。
このうちのトロイダル型無段変速機は、上記入力軸と同心に配置されて、この入力軸をその入力部とするものである。
又、上記回転伝達軸は、上記入力軸と平行である。
又、上記第一、第二、第三の遊星歯車式変速機は、上記回転伝達軸の周囲に互いに同心に配置され、それぞれが太陽歯車と、リング歯車と、これら両歯車に噛合した複数個の遊星歯車と、これら各遊星歯車を回転自在に支持したキャリアとを備える。
又、上記出力軸は、上記回転伝達軸と同心に配置されている。
又、上記第一の動力伝達機構は、上記入力軸の回転を、上記第一の遊星歯車機構を構成する、第一のリング歯車又は第一のキャリアに伝達するものである。
又、上記第二の動力伝達機構は、上記トロイダル型無段変速機の出力部と、上記回転伝達軸との間で回転を伝達するものである。
又、上記第三の動力伝達機構は、上記入力軸の回転を、上記第三の遊星歯車式変速機を構成する、第三のリング歯車又は第三のキャリアに伝達するものである。
又、上記切換機構は、上記第一、第二、第三の動力伝達機構を通じての上記入力軸と上記出力軸との間の動力伝達の状態を切り換える為のものである。
更に、上記第一、第二、第三の遊星歯車式変速機を構成する第一、第二、第三の太陽歯車のうち、第二の太陽歯車と、第一、第三の太陽歯車のうちの何れか一方の太陽歯車とを上記回転伝達軸と共に回転自在としている。
そして、この回転伝達軸と上記第一の遊星歯車式変速機又は上記第二の遊星歯車式変速機とを介しての動力伝達を行なわせると共に、上記第三の遊星歯車機構を通じての動力伝達を遮断した状態で、上記トロイダル型無段変速機の変速比の調節に基づき、上記入力軸を回転させたまま上記出力軸を停止可能としている。
【0017】
【作用】
上述の様に構成する本発明の無段変速装置は、トロイダル型無段変速機の中心軸と第一、第二、第三の遊星歯車式変速機の中心軸とを径方向にずらせて配置している為、無段変速装置全体としての軸方向寸法の短縮を図れる。又、入力軸を回転させたまま出力軸を停止させる、変速比が無限大の状態を実現できる為、別途トルクコンバータ等の発進装置を組み込む必要がなくなる。又、モード切り換え用の切換機構を構成するクラッチの数も少なく抑える事ができる。更に、無段変速装置部分に互いに平行に(径方向に互いにずらせて)配置する回転軸は、入力軸の他には、互いに同心に配置する回転伝達軸及び出力軸(並びにこれらの周囲に設けた中空回転軸)で済む。従って、回転軸を配置する空間を節約して、無段変速装置の(回転軸に直角な平面に関する)断面積を小さくできる。この為、小型でしかも伝達効率の良好な無段変速装置を実現できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の無段変速装置は、入力軸29と、トロイダル型無段変速機12aと、回転伝達軸30と、第一、第二、第三の遊星歯車式変速機31、32、33と、出力軸34と、第一〜第三の動力伝達機構35〜37と、切換機構を構成する低速用クラッチ27a及び高速用クラッチ28aとを備える。このうちの入力軸29は、ダンパ継手38を介してエンジンのクランクシャフトに連結され、このエンジンにより回転駆動される。
【0019】
又、上記トロイダル型無段変速機12aは、前述の図3に示した従来構造と同様に構成されたもので、上記入力軸29と共に回転する1対の入力側ディスク2、2を備える。この入力軸29の中間部周囲には1対の出力側ディスク5、5を、これら両入力側ディスク2、2と同心に、且つ、これら両入力側ディスク2、2に対する相対回転を自在に支持している。そして、これら両入力側ディスク2、2と上記両出力側ディスク5、5との間に、それぞれ複数個ずつのパワーローラ6、6(図3、4参照)を挟持している。又、上記両出力側ディスク5、5同士の間に出力歯車4を設け、これら両出力側ディスク5、5の回転を取り出し自在としている。この様なトロイダル型無段変速機12aの構造、並びに、上記入力軸29と上記出力歯車4との間の変速比を調節する際の作用に関しては、従来から広く知られているトロイダル型無段変速機と同様である。
【0020】
又、前記回転伝達軸30は、上記入力軸29と平行に配設している。そして、この回転伝達軸30の一端(図1の右端)に固定した歯車39と上記出力歯車4とを噛合させて、前記第二の動力伝達機構36を構成している。この第二の動力伝達機構36の減速比はROPG である。従って、上記回転伝達軸30は、上記両出力側ディスク5、5の回転に伴ってこれら両出力側ディスク5、5と逆方向に、上記減速比ROPG に応じた速度で回転する。この様な回転伝達軸30の周囲に前記第一、第二、第三の遊星歯車式変速機31、32、33を、互いに同心に配置している。これら各遊星歯車式変速機31、32、33は、それぞれがシングルピニオン型(同一の遊星歯車が、太陽歯車とリング歯車との両方に噛合する構造)である。
【0021】
上記各遊星歯車式変速機31、32、33のうち、最も出力軸34寄りの第一の遊星歯車式変速機31を構成する為に、上記回転伝達軸30の他端部(図1の左端部)に第一の太陽歯車40を、この回転伝達軸30と共に回転自在として設けている。この第一の太陽歯車40の周囲には第一のリング歯車41を、回転自在に支持している。又、第一のキャリア42を、これら第一の太陽歯車40及び第一のリング歯車41と同心に、且つ、これら両歯車40、41に対する相対回転を自在に支持している。そして、それぞれが上記第一のキャリア42に回転自在に支持された複数個(一般的には3〜4個)の第一の遊星歯車43、43を、それぞれ上記第一の太陽歯車40と第一のリング歯車41とに噛合させている。
【0022】
上述の様な第一の遊星歯車式変速機31を構成する第一のリング歯車41と、前記入力軸29とは、前記第一の動力伝達機構35を介して、回転伝達自在に接続している。本例の場合、この第一の動力伝達機構35を構成する為、前記出力軸34の中間部周囲に中空回転軸48を、この出力軸34に対する相対回転を自在に設けている。そして、この中空回転軸48の一端部(図1の左端部)に固定した歯車49と、上記入力軸29に固定した歯車50とを噛合させている。又、上記中空回転軸48の他端部(図1の右端部)と上記第一のリング歯車41とを、前記低速用クラッチ27aを介して係脱自在としている。この様な第一の動力伝達機構35の減速比はRIPG である。従って、上記低速用クラッチ27aを繋いだ状態で、上記第一のリング歯車41は、上記入力軸29の回転に伴ってこの入力軸29と逆方向に、上記減速比RIPG に応じた速度で回転する。
【0023】
一方、軸方向中間部に位置する、上記第二の遊星歯車式変速機32を構成する為に、上記回転伝達軸30の中間部に第二の太陽歯車44を、この回転伝達軸30と共に回転自在として設けている。この第二の太陽歯車44の周囲には第二のリング歯車45を、回転自在に支持している。この第二のリング歯車45は、上記第一の遊星歯車式変速機31を構成する第一のキャリア42と結合して、この第一のキャリア42と共に回転自在としている。又、第二のキャリア46を、上記第二の太陽歯車44及び第二のリング歯車45と同心に、且つ、これら両歯車44、45に対する相対回転を自在に支持している。そして、それぞれが上記第二のキャリア46に回転自在に支持された複数個の第二の遊星歯車47、47を、上記第二の太陽歯車44と第二のリング歯車45とに噛合させている。
【0024】
更に、最も前記出力軸34から遠い側の、前記第三の遊星歯車式変速機33を構成する為に、上記回転伝達軸30の中間部一端寄り部分の周囲に中空回転軸51を、この回転伝達軸30に対する回転自在に支持している。そして、この中空回転軸51の一端(図1の左端)に第三の太陽歯車52を、この中空回転軸51と共に回転自在に設けている。この第三の太陽歯車52の周囲には第三のリング歯車53を、回転自在に支持している。この第三のリング歯車53は、筒状に形成された前記第三の動力伝達機構37を介して、前記第一の動力伝達機構36を構成する歯車49に結合している。従って上記第三のリング歯車53は、前記入力軸29の回転に伴ってこの入力軸29と逆方向に、前記第一の動力伝達機構35の減速比RIPG に応じた速度で回転する。
【0025】
又、第三のキャリア54を、上記第三の太陽歯車52及び第三のリング歯車53と同心に、且つ、これら両歯車52、53に対する相対回転を自在に支持している。そして、それぞれが上記第三のキャリア54に回転自在に支持された複数個の第三の遊星歯車55、55を、上記第三の太陽歯車52と第三のリング歯車53とに噛合させている。又、上記中空回転軸51の他端(図1の右端)と、ケーシング等の固定の部分との間に、前記高速用クラッチ28aを設けている。尚、図示の例では、上記第三のキャリア54を、前記第二の遊星歯車式変速機32を構成する第二のキャリア46と一体に構成している。又、上記各第三の遊星歯車55、55と前記各第二の遊星歯車47、47とを、同心に支持している。
【0026】
更に、前記出力軸34の先端部(図1の左端部)は、互いに噛合した歯車56、57を介して、デファレンシャルギヤ58に接続している。従って、上記出力軸34の回転時には、上記両歯車56、57と上記デファレンシャルギヤ58とを介して、左右1対のアクスル軸59、59を同方向に回転駆動し、上記出力軸34の回転方向に応じて、車両を駆動する。
【0027】
上述の様に構成する本例の無段変速装置の作用は、次の通りである。先ず、前記低速用クラッチ27aを繋ぎ、上記高速用クラッチ28aの接続を断った、低速モード状態では、前記入力軸29の回転は、次の▲1▼▲2▼の2通りの経路を通って、前記第一の遊星歯車式変速機31を構成する第一のリングギヤ41と第一の太陽歯車40とに伝達される。尚、上記高速用クラッチ28aの接続を断った状態では、前記第三の太陽歯車52が自由に回転する状態となる為、前記第三の動力伝達機構37と前記第三の遊星歯車機構33との間の動力伝達は、実質的に断たれる。同様に、第二のキャリア46も自由に回転できる為、前記第二の遊星歯車機構32も、第二の太陽歯車44と第二のリング歯車45との間の回転伝達を行なわない。
▲1▼ 入力軸29→歯車50→歯車49→中空回転軸48→低速用クラッチ27a→第一のリング歯車41
▲2▼ 入力軸29→トロイダル型無段変速機12a→出力歯車4→歯車39→回転伝達軸30→第一の太陽歯車40
【0028】
この状態では、この第一の太陽歯車40と第一のリング歯車41との差動成分が、前記各第一の遊星歯車43、43の公転運動として、前記第一のキャリア42を通じて取り出される。そして、この第一のキャリア42に結合固定された出力軸34から前記歯車56、57を介して、上記デファレンシャルギヤ58に取り出され、上記両アクスル軸59、59を介して車輪を回転駆動する。
【0029】
この様な低速モード状態での、無段変速装置全体としての速度比eCVT は、次の(1)式で表される。
【数1】
この(1)式中の符号の意味は下記の通りである。
eCVU : 上記トロイダル型無段変速機12aの速度比
i1 : 上記第一の太陽歯車40の歯数m40に対する上記第一のリング歯車41の歯数m41の比m41/m40
ROPG : 上記歯車39と上記出力歯車4とにより構成される、前記第二の動力伝達機構36の減速比
RIPG : 前記歯車49と歯車50により構成される、前記第一の動力伝達機構35の減速比
【0030】
そして、この様な低速モード状態では、上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU を、次の(2)式で表される値にする事で、前記入力軸29を回転させたまま前記出力軸34を停止させる、所謂変速比が無限大の状態を実現できる。
【数2】
又、上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU を、上記(2)式で表される値よりも増速側に変える事で、前記各アクスル軸59、59が、自動車を後退させる方向に回転する。又、増速比が大きくなる程、後退方向の回転速度が速くなる。これに対して、上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU を、上記(2)式で表される値よりも減速側に変える事で、前記各アクスル軸59、59が、自動車を前進させる方向に回転する。又、減速比が大きくなる程、前進方向の回転速度が速くなる。尚、上記(2)式の右辺の絶対値を、上記トロイダル型無段変速機12aが実現できる変速比、例えば0.4〜2.5の範囲内とする事で、上記低速モード状態で、変速比が無限大の状態を実現できる。
【0031】これに対して、前記低速用クラッチ27aの接続を断ち、前記高速用クラッチ28aを繋いだ、高速モード状態では、前記入力軸29の回転は、次の▲3▼▲4▼の2通りの経路を通って、前記第二の遊星歯車式変速機32を構成する第二のキャリア46と第二の太陽歯車44とに伝達される。
▲3▼ 入力軸29→歯車50→歯車49→第三の動力伝達機構37→第三のリング歯車53→第三の遊星歯車55、55→第二のキャリア46(第三のキャリア54)
▲4▼ 入力軸29→トロイダル型無段変速機12a→出力歯車4→歯車39→回転伝達軸30→第二の太陽歯車44
【0032】
この状態では、この第二の太陽歯車44と上記第二のキャリア46との差動成分が、前記第二のリング歯車45の回転運動として、前記第一のキャリア42を通じて取り出される。そして、この第一のキャリア42に結合固定された出力軸34から前記歯車56、57を介して、上記デファレンシャルギヤ58に取り出され、上記両アクスル軸59、59を介して車輪を回転駆動する。
【0033】
この様な高速モード状態での、無段変速装置全体としての速度比eCVT は、次の(3)式で表される。
【数3】
この(3)式中、先に示さなかった符号の意味は下記の通りである。
i2 : 上記第二の太陽歯車44の歯数m44に対する上記第二のリング歯車45の歯数m45の比m45/m44
i3 : 上記第三の太陽歯車52の歯数m52に対する上記第三のリング歯車53の歯数m53の比m53/m52
【0034】
この様な(3)式から明らかな通り、上記高速モード状態では、トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU を増速側にする程、無段変速装置全体としての速度比eCVT も増速側に変化する。
又、この様な高速モード状態では、エンジンから前記入力軸29に伝達されるトルクをTe とすると、上記トロイダル型無段変速機12aを通過するトルクTCVU は、次の(4)式で表される。式中の符号の意味は、先に記載した通りである。又、この(4)式中でのトロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU の値は負になる。
【数4】
この(4)式から明らかな通り、高速モード状態では、常にTCVU <Te となる。この事は、高速モード状態では、上記トロイダル型無段変速機12aを通過するトルクTCVU が低くなり、このトロイダル型無段変速機12aの伝達効率及び耐久性が何れも向上する事を意味する。
【0035】
又、前記(1)式及び上記(3)式から明らかな様に、この(1)式で表される、前記低速モード状態での無段変速装置全体としての速度比eCVT と、上記(3)式で表される高速モード状態での速度比eCVT とを一致させる上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU が存在する事になる。上記低速モードと上記高速モードとは、この様に、上記(1)(3)両式で表される速度比eCVT が一致する状態で切り換わる。即ち、上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU が上記(1)(3)両式で表される速度比eCVT を一致させる値の場合に、前記低速用、高速用両クラッチ27a、28aの断接を行なう。
【0036】
次に、図2は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の無段変速装置も、入力軸29と、トロイダル型無段変速機12aと、回転伝達軸30と、第一、第二、第三の遊星歯車式変速機31、32、33と、出力軸34と、第一〜第三の動力伝達機構35〜37と、切換機構を構成する低速用クラッチ27a及び高速用クラッチ28aとを備える。この様な本例の構造は、多くの部分で上述した第1例と共通しているので、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、上記第1例と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
本例の場合には、出力軸34の中間部周囲に中空回転軸60を設け、この中空回転軸60の一端(図2の右端)に、第一の遊星歯車式変速機31を構成する第一の太陽歯車40を、上記中空回転軸60と同期した回転自在に設けている。又、この中空回転軸60の他端(図2の左端)と、ケーシング等の固定の部分との間に、上記低速用クラッチ27aを設けている。上記第一の動力伝達機構35を構成する為の中空回転軸48は、上記中空回転軸60の周囲に、この中空回転軸60に対する回転を自在に設けている。そして、一端部(図2の左端部)に歯車49を設けた上記中空回転軸48の他端部(図2の右端部)を、上記第一の遊星歯車式変速機31を構成する第一のキャリア42に結合している。
【0038】
又、上記中空回転軸48の中間部と上記第三の動力伝達機構37の一端(図2の左端)とを、上記高速用クラッチ28aを介して結合している。又、上記第三の動力伝達機構37の他端(図2の右端)を、前記第三の遊星歯車式変速機33を構成する第三のキャリア54に接続している。又、上記第一の遊星歯車式変速機31を構成する第一のリング歯車41と、前記第二の遊星歯車式変速機32を構成する第二のリング歯車45とを結合して、これら両リング歯車41、45が、互いに同期して回転する様にしている。又、上記第二の遊星歯車式変速機32を構成する第二のキャリア46を、前記出力軸34の基端部(図2の右端部)と、上記第三の遊星歯車式変速機33を構成する第三のリング歯車53とに結合している。更に、前記回転伝達軸30には、上記第二の遊星歯車式変速機32を構成する第二の太陽歯車44と、上記第三の遊星歯車式変速機33を構成する第三の太陽歯車52とを、上記回転伝達軸30と同期した回転自在に設けている。
【0039】
上述の様に構成する本例の無段変速装置の作用は、次の通りである。先ず、前記低速用クラッチ27aを繋ぎ、上記高速用クラッチ28aの接続を断った、低速モード状態では、前記入力軸29の回転は、次の▲5▼▲6▼の2通りの経路を通って、前記第二の遊星歯車式変速機32を構成する第二のリング歯車45と第二の太陽歯車44とに伝達される。
▲5▼ 入力軸29→歯車50→歯車49→中空回転軸48→第一のキャリア42→第一の遊星歯車43、43→第一のリング歯車41→第二のリング歯車45
▲6▼ 入力軸29→トロイダル型無段変速機12a→出力歯車4→歯車39→回転伝達軸30→第二の太陽歯車44
【0040】
この状態では、この第二の太陽歯車44と第二のリング歯車45との差動成分が、上記第二の遊星歯車式変速機32を構成する第二の遊星歯車47、47の公転運動として、前記第二のキャリア46を通じて取り出される。そして、この第二のキャリア46に結合固定された出力軸34から前記歯車56、57を介して、上記デファレンシャルギヤ58に取り出され、1対のアクスル軸59、59を介して車輪を回転駆動する。尚、上記高速用クラッチ28aの接続を断った状態では、前記第三のキャリア54が自由に回転できる為、前記第三の太陽歯車と前記第三のリング歯車との間の動力伝達は行なわない。
【0041】
この様な低速モード状態での、無段変速装置全体としての速度比eCVT は、次の(5)式で表される。
【数5】
この(5)式中の符号の意味は、前述した(1)〜(4)式の場合と同様である。
【0042】
そして、この様な低速モード状態では、上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU を、次の(6)式で表される値にする事で、前記入力軸29を回転させたまま前記出力軸34を停止させる、所謂変速比が無限大の状態を実現できる。
【数6】
又、上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU を、上記(6)式で表される値よりも増速側に変える事で、前記各アクスル軸59、59が、自動車を後退させる方向に回転する。又、増速比が大きくなる程、後退方向の回転速度が速くなる。これに対して、上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU を、上記(6)式で表される値よりも減速側に変える事で、前記各アクスル軸59、59が、自動車を前進させる方向に回転する。又、減速比が大きくなる程、前進方向の回転速度が速くなる。尚、上記(6)式の右辺の絶対値を、上記トロイダル型無段変速機12aが実現できる変速比、例えば0.4〜2.5の範囲内とする事で、上記低速モード状態で、変速比が無限大の状態を実現できる。
【0043】これに対して、前記低速用クラッチ27aの接続を断ち、前記高速用クラッチ28aを繋いだ、高速モード状態では、前記入力軸29の回転は、次の▲7▼▲8▼の2通りの経路を通って、前記第三の遊星歯車式変速機33を構成する第三のキャリア54と第三の太陽歯車52とに伝達される。尚、上記低速用クラッチ27aの接続を断った状態では、前記第一の太陽歯車40が自由に回転する状態となる為、上記入力軸29と前記第一の遊星歯車機構31との間の動力伝達は、実質的に断たれる。
▲7▼ 入力軸29→歯車50→歯車49→第三の動力伝達機構37→第三のキャリア54
▲8▼ 入力軸29→トロイダル型無段変速機12a→出力歯車4→歯車39→回転伝達軸30→第三の太陽歯車52
【0044】
この状態では、この第三の太陽歯車52と上記第三のキャリア54との差動成分が、前記第三のリング歯車53の回転運動として、この第三のリング歯車53に結合された前記第二のキャリア46を通じて取り出される。そして、この第二のキャリア46に結合固定された出力軸34から前記歯車56、57を介して、上記デファレンシャルギヤ58に取り出され、上記両アクスル軸59、59を介して車輪を回転駆動する。
【0045】
この様な高速モード状態での、無段変速装置全体としての速度比eCVT は、次の(7)式で表される。
【数7】
この(7)式中の符号の意味も、前述した(1)〜(4)式の場合と同様である。
【0046】
この様な(7)式から明らかな通り、上記高速モード状態では、トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU を増速側にする程、無段変速装置全体としての速度比eCVT も増速側に変化する。
又、この様な高速モード状態では、エンジンから前記入力軸29に伝達されるトルクをTe とすると、上記トロイダル型無段変速機12aを通過するトルクTCVU は、次の(8)式で表される。式中の符号の意味は、先に記載した通りである。又、この(8)式中でのトロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU の値は負になる。
【数8】
この(8)式から明らかな通り、高速モード状態では上記トロイダル型無段変速機12aを通過するトルクTCVU が低くなり、このトロイダル型無段変速機12aの伝達効率及び耐久性が何れも向上する。
【0047】
又、前記(5)式及び上記(7)式から明らかな様に、この(5)式で表される、前記低速モード状態での無段変速装置全体としての速度比eCVT と、上記(7)式で表される高速モード状態での速度比eCVT とを一致させる上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU が存在する。そこで、本例の場合も、上記トロイダル型無段変速機12aの速度比eCVU が上記(5)(7)両式で表される速度比eCVT を一致させる値の場合に、前記低速用、高速用両クラッチ27a、28aの断接を行なう。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、軸方向寸法及び断面積が小さく、しかも変速比幅が大きくて、発進装置が不要な無段変速装置を実現できる。この為、FF車等の小型自動車の自動変速機としての実用性向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す略断面図。
【図2】同第2例を示す略断面図。
【図3】従来から知られているトロイダル型無段変速機の1例を示す断面図。
【図4】従来から知られている無段変速装置の1例を示す略断面図。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
3 ボールスプライン
4 出力歯車
5、5a 出力側ディスク
6 パワーローラ
7 トラニオン
8 支持軸
9 円筒部
10 駆動軸
11 押圧装置
12、12a トロイダル型無段変速機
13 遊星歯車式変速機
14 キャリア
15a、15b 遊星歯車素子
16 第一の伝達軸
17a、17b 太陽歯車
18 第二の伝達軸
19 中空回転軸
20 太陽歯車
21 遊星歯車素子
22 リング歯車
23 第二のキャリア
24a、24b 遊星歯車素子
25 出力軸
26 第二のリング歯車
27、27a 低速用クラッチ
28、28a 高速用クラッチ
29 入力軸
30 回転伝達軸
31 第一の遊星歯車式変速機
32 第二の遊星歯車式変速機
33 第三の遊星歯車式変速機
34 出力軸
35 第一の動力伝達機構
36 第二の動力伝達機構
37 第三の動力伝達機構
38 ダンパ継手
39 歯車
40 第一の太陽歯車
41 第一のリング歯車
42 第一のキャリア
43 第一の遊星歯車
44 第二の太陽歯車
45 第二のリング歯車
46 第二のキャリア
47 第二の遊星歯車
48 中空回転軸
49 歯車
50 歯車
51 中空回転軸
52 第三の太陽歯車
53 第三のリング歯車
54 第三のキャリア
55 第三の遊星歯車
56 歯車
57 歯車
58 デファレンシャルギヤ
59 アクスル軸
60 中空回転軸
Claims (3)
- 入力軸と、この入力軸と同心に配置されてこの入力軸をその入力部とするトロイダル型無段変速機と、この入力軸と平行な回転伝達軸と、この回転伝達軸の周囲に互いに同心に配置され、それぞれが太陽歯車とリング歯車とこれら両歯車に噛合した複数個の遊星歯車とこれら各遊星歯車を回転自在に支持したキャリアとを備えた第一、第二、第三の遊星歯車式変速機と、上記回転伝達軸と同心に配置された出力軸と、上記入力軸の回転を上記第一の遊星歯車機構を構成する第一のリング歯車又は第一のキャリアに伝達する第一の動力伝達機構と、上記トロイダル型無段変速機の出力部と上記回転伝達軸との間で回転を伝達する第二の動力伝達機構と、上記入力軸の回転を上記第三の遊星歯車式変速機を構成する第三のリング歯車又は第三のキャリアに伝達する第三の動力伝達機構と、これら第一、第二、第三の動力伝達機構を通じての上記入力軸と上記出力軸との間の動力伝達の状態を切り換える為の切換機構とを備え、上記第一、第二、第三の遊星歯車式変速機を構成する第一、第二、第三の太陽歯車のうち、第二の太陽歯車と、第一、第三の太陽歯車のうちの何れか一方の太陽歯車とを上記回転伝達軸と共に回転自在とし、この回転伝達軸と上記第一の遊星歯車式変速機又は上記第二の遊星歯車式変速機とを介しての動力伝達を行なわせると共に、上記第三の遊星歯車機構を通じての動力伝達を遮断した状態で、上記トロイダル型無段変速機の変速比の調節に基づき、上記入力軸を回転させたまま上記出力軸を停止可能とした無段変速装置。
- 入力軸と、この入力軸と同心に配置されてこの入力軸をその入力部とするトロイダル型無段変速機と、この入力軸と平行な回転伝達軸と、この回転伝達軸の周囲に互いに同心に配置され、それぞれが太陽歯車とリング歯車とこれら両歯車に噛合した複数個の遊星歯車とこれら各遊星歯車を回転自在に支持したキャリアとを備えた第一、第二、第三の遊星歯車式変速機と、上記回転伝達軸と同心に配置された出力軸と、上記入力軸の回転を上記第一の遊星歯車機構を構成する第一のリング歯車に伝達する第一の動力伝達機構と、上記トロイダル型無段変速機の出力部と上記回転伝達軸との間で回転を伝達する第二の動力伝達機構と、上記入力軸の回転を上記第三の遊星歯車式変速機を構成する第三のリング歯車に伝達する第三の動力伝達機構と、上記入力軸と上記第一のリング歯車との間の動力の伝達を断接する為の低速用クラッチと、上記第三の動力伝達機構と上記第三の遊星歯車機構との間の動力伝達を実質的に断接する為の高速用クラッチとを備え、上記第一、第二、第三の遊星歯車式変速機を構成する第一、第二、第三の太陽歯車のうち、第一、第二の太陽歯車を上記回転伝達軸と共に回転自在とし、上記第一の遊星歯車式変速機を構成する第一のキャリアと上記出力軸及び上記第二の遊星歯車式変速機を構成する第二のリング歯車とを結合し、上記第二の遊星歯車式変速機を構成する第二のキャリアと上記第三の遊星歯車式変速機を構成する第三のキャリアとを結合して成り、上記低速用クラッチを繋ぐと共に上記高速用クラッチの接続を断った状態で、上記トロイダル型無段変速機の変速比の調節に基づき、上記入力軸を回転させたまま上記出力軸を停止可能とした無段変速装置。
- 入力軸と、この入力軸と同心に配置されてこの入力軸をその入力部とするトロイダル型無段変速機と、この入力軸と平行な回転伝達軸と、この回転伝達軸の周囲に互いに同心に配置され、それぞれが太陽歯車とリング歯車とこれら両歯車に噛合した複数個の遊星歯車とこれら各遊星歯車を回転自在に支持したキャリアとを備えた第一、第二、第三の遊星歯車式変速機と、上記回転伝達軸と同心に配置された出力軸と、上記入力軸の回転を上記第一の遊星歯車機構を構成する第一のキャリアに伝達する第一の動力伝達機構と、上記トロイダル型無段変速機の出力部と上記回転伝達軸との間で回転を伝達する第二の動力伝達機構と、上記入力軸の回転を上記第三の遊星歯車式変速機を構成する第三のキャリアに伝達する第三の動力伝達機構と、上記入力軸と上記第一の遊星歯車式変速機との間の動力の伝達を実質的に断接する為の低速用クラッチと、上記入力軸と上記第三のキャリアとの間の動力伝達を断接する為の高速用クラッチとを備え、上記第一、第二、第三の遊星歯車式変速機を構成する第一、第二、第三の太陽歯車のうち、第二、第三の太陽歯車を上記回転伝達軸と共に回転自在とし、第一、第二の遊星歯車式変速機を構成する第一、第二のリング歯車同士を結合し、上記第二の遊星歯車式変速機を構成する第二のキャリアと上記出力軸及び上記第三の遊星歯車式変速機を構成する第三のリング歯車とを結合して成り、上記低速用クラッチを繋ぐと共に上記高速用クラッチの接続を断った状態で、上記トロイダル型無段変速機の変速比の調節に基づき、上記入力軸を回転させたまま上記出力軸を停止可能とした無段変速装置。
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