JP2004183715A - 車輌用自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リニアソレノイドバルブの異物除去制御を行うことに伴うクラッチの係合圧やベルト挟圧の変化に起因するショックを防止する。
【解決手段】異物除去手段によってリニアソレノイドバルブSLTスプールを強制移動させて異物を排除する異物除去制御Mを行う。この制御を、車輌が停止状態にあり、かつニュートラル制御の開始前におこなう。このタイミングでは、入力クラッチの係合圧は、ライン圧に基づく第1の係合圧PC1であるので、異物除去制御MによってSLT圧(制御圧)PSLT制御圧が変動した場合でも、入力クラッチの係合圧は変動することはなく、したがってクラッチの係合圧の変動に伴うショックが発生することはない。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアソレノイドバルブのスプールを所定のタイミングで強制移動させることにより、リニアソレノイドバルブに挟まった異物を排除するようにした車輌用自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車輌用無段変速機の制御装置において、入力信号に基づいて制御圧を発生するリニアソレノイドバルブが使用される。このリニアソレノイドバルブに異物が挟まると、スプールの動作が不調となって、所望の制御圧を得ることができなくなる。特に車輌用自動変速機がベルト式無段変速装置(CVT)を有する場合には、プライマリプーリ及びセカンダリプーリ、そしてこれらに巻掛けられるベルトがいずれも金属製であるため、これらが摺擦することによってスラッジ状の微小異物が発生しがちで、この微小異物がリニアソレノイドバルブに挟み込んでその円滑な動作を阻害するおそれがあった。
【0003】
このような異物を排除してリニアソレノイドバルブを円滑に動作させるための技術が、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
この技術は、ロックアップクラッチの係合力に関連する制御圧を出力するリニアソレノイドバルブの励磁電流をデューティ制御し、リニアソレノイドバルブのスプールを強制的に移動させて異物を排除する(以下「異物除去制御」という。)、というものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−54992号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されている技術を、例えば、車両用自動変速機のライン圧を制御するための制御圧を発生するリニアソレノイドバルブに適用した場合には、異物除去制御が常時行われるために、例えばリニアソレノイドバルブからの制御圧によって入力クラッチの係合圧やベルト式無段変速装置のベルト挟圧を制御するものにあっては、係合圧やベルト挟持圧が変動して大きなショックが発生するおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、異物除去制御を行うタイミングを適宜に設定し、もって上述した課題を解決した車輌用無段変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、走行レンジにおける車輌の停止時に入力クラッチ(C)の係合圧を低下させ伝達トルクを低下させるニュートラル制御を行う車輌用自動変速機(1)の制御装置において、
入力信号に対応した制御圧(PSLT)を発生してライン圧(PL)を制御するリニアソレノイドバルブ(SLT)と、
前記入力クラッチ(C)の係合圧を、前記ライン圧(PL)に基づく第1の係合圧(PC1)と、前記制御圧(PSLT)に基づくニュートラル制御時の第2の係合圧(PC1’)とに切り換える切り換え手段(79)と、
車輌が停止状態であり、かつ前記ニュートラル制御の開始前に、前記リニアソレノイドバルブ(SLT)のスプールを強制移動させる異物除去手段と、を備える、
ことを特徴とする車輌用自動変速機(1)の制御装置にある。
【0009】
なお、異物除去手段とは、例えば車輌が停止状態であることを検知するセンサと、このセンサの出力に基づいてスプールを強制移動させるための入力信号をリニアソレノイドバルブに入力するCPU等によって構成されるものである。
【0010】
請求項2に係る本発明は、走行レンジにおける車輌の停止時に入力クラッチ(C)の係合圧を低下させ伝達トルクを低下させるニュートラル制御を行う車輌用自動変速機(1)の制御装置において、
入力信号に対応した制御圧(PSLT)を発生してライン圧(PL)を制御するリニアソレノイドバルブ(SLT)と、
前記入力クラッチ(C)の係合圧を、前記ライン圧(PL)に基づく第1の係合圧(PC1)と、前記制御圧(PSLT)に基づくニュートラル制御時の第2の係合圧(PC1’)とに切り換える切り換え手段(79)と、
前記ニュートラル制御の終了直後に、前記リニアソレノイドバルブ(SLT)のスプールを強制移動させる異物除去手段と、を備える、
ことを特徴とする車輌用自動変速機(1)の制御装置にある。
【0011】
請求項3に係る本発明は、前記ニュートラル制御は、前記入力クラッチ(C)を係合直前の状態にするための制御である、
請求項1又は2に記載の車輌用自動変速機の制御装置にある。
【0012】
請求項4に係る本発明は、ベルト式無段変速装置(2)を備えた車輌用自動変速機(1)の制御装置において、
入力信号に対応した制御圧(PSLT)を発生してライン圧(PL)を制御するリニアソレノイドバルブ(SLT)と、
前記リニアソレノイドバルブ(SLT)からの油圧に基づいて前記ベルト式無段変速装置(2)におけるベルト挟圧を調整する調整部材(73)と、
前記調整部材(73)の出力油圧(PSS)の変化量が所定範囲内に収まった状態が所定時間継続されたときに、前記リニアソレノイドバルブ(SLT)のスプールを強制移動させる異物除去手段と、を備える、
ことを特徴とする車輌用自動変速機(1)の制御装置にある。
【0013】
請求項5に係る本発明は、前記異物除去手段は、油圧学習実行中、走行時学習制御中、リバース禁止制御中、N−D・N−R制御中、油圧指令上昇中、悪路判定中、エコランエンジン始動制御中、ニュートラル制御中のうちの少なくともいずれか1つに該当するときに、前記スプールの強制移動を禁止する、
請求項4に記載の車輌用自動変速機(1)の制御装置にある。
【0014】
なお、上記カッコ内の符合は、図面と対照するためのものであるが、これにより各請求項の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0015】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、異物除去手段によってスプールを強制移動させる制御(異物除去制御)を行うことによって、リニアソレノイドバルブに挟み込まれている異物を排除することができる。この制御は、車輌が停止状態にあり、かつニュートラル制御の開始前に行われる。このタイミングでは、入力クラッチの係合圧は、ライン圧に基づく第1の係合圧であるので、異物除去制御によって制御圧が変動した場合でも、入力クラッチの係合圧は変動することはなく、したがってクラッチの係合圧の変動に伴うショックが発生することはない。
【0016】
請求項2に係る本発明によると、異物除去手段によってスプールを強制移動させる制御(異物除去制御)を行うことによって、リニアソレノイドバルブに挟み込まれている異物を排除することができる。この制御は、ニュートラル制御の終了直後に行われる。このタイミングでは、入力クラッチの係合圧は、ライン圧に基づく第1の係合圧であるので、異物除去制御によって制御圧が変動した場合でも、入力クラッチの係合圧は変動することはなく、したがってクラッチの係合圧の変動に伴うショックが発生することはない。
【0017】
請求項4に係る本発明によると、異物除去制御を、調整部材の出力油圧の変化量が所定範囲内に収まった状態が所定時間継続されたときに行う。このとき変化量の所定範囲及び所定時間を適宜に設定すれば、これに該当する車輌の状態をほぼ一定速度の走行時とすることができる。この場合、リニアソレノイドバルブのスプールはほとんど移動しないので異物を挟み込みやすいため、適切なタイミングで異物を除去することができる。
【0018】
請求項5に係る本発明によると、所定の動作中(例えば、油圧学習実行中、走行時学習制御中等)は、異物除去制御は行わないことにした。これらの所定の動作中に異物除去制御を行った場合には、制御圧が変化することに起因してそれぞれ不具合が発生するからである。なお、不具合については実施の形態中で説明する。
【0019】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明を適用し得る車輌用自動変速機1を示す図であり、該車輌用自動変速機1は、ベルト式無段変速装置(CVT)2、前後進切換え装置3、ロックアップクラッチ(CL−UP)5を内蔵したトルクコンバータ6、カウンタシャフト7、及びディファレンシャル装置9を備えており、これら装置が一体化された分割ケース(不図示)に収納されている。
【0020】
トルクコンバータ6は、エンジン出力軸10にフロントカバー17を介して連結されているポンプインペラ11、入力軸12に連結されているタービンランナ13、及びワンウェイクラッチ15を介して支持されているステータ16を有しており、更に入力軸12とフロントカバー17との間にロックアップクラッチ5が介在している。なお、同図中の符合20は、ロックアップクラッチプレートと入力軸12との間に介在するダンパスプリング、21は、ポンプインペラ11に連結して駆動されるオイルポンプ(油圧発生源)である。
【0021】
CVT2は、プライマリシャフト22に固定された固定シーブ23及びこのプライマリシャフト22に摺動のみ自在に支持されている可動シーブ25からなるプライマリプーリ26と、セカンダリシャフト27に固定されている固定シーブ29及びこのセカンダリシャフト27に摺動のみ自在に支持されている可動シーブ30からなるセカンダリプーリ31と、これらプライマリプーリ26及びセカンダリプーリ31に巻掛けられた金属製のベルト32と、を備えている。
【0022】
更に、プライマリ側の可動シーブ25の背面にはシングルピストンからなる油圧アクチュエータ33が配置されており、またセカンダリ側の可動シーブ30の背面にはシングルピストンからなる油圧アクチュエータ35が配置されている。プライマリ側油圧アクチュエータ33は、プライマリシャフト22に固定されている反力支持部材37及び可動シーブ25の背面に固定されている筒状部材39を有しており、これら反力支持部材37と筒状部材39とにより1個の油圧室41を構成している。
【0023】
一方、セカンダリ側油圧アクチュエータ35は、セカンダリシャフト27に固定されている反力支持部材43及び可動シーブ30の背面に固定されている筒状部材45を有しており、これら反力支持部材43と筒状部材45とにより1個の油圧室46を構成すると共に、可動シーブ30と反力支持部材43との間にプリロード用のスプリング47が縮設されている。
【0024】
前後進切換え装置3は、ダブルピニオンプラネタリギヤ50、リバースブレーキ(後進用ブレーキ)B及び入力クラッチ(ダイレクトクラッチ又は走行クラッチ)Cを有している。前記ダブルピニオンプラネタリギヤ50は、そのサンギヤSが入力軸12に連結されており、第1,第2のピニオンP1,P2を支持するキャリヤCRがプライマリ側の固定シーブ23に連結されており、そしてリングギヤRが後進用摩擦係合要素となる前記リバースブレーキBに連結されており、またキャリヤCRとリングギヤRとの間に前進用摩擦係合要素となる入力クラッチが介在している。
【0025】
カウンタシャフト7には、大ギヤ51及び小ギヤ52が固定されており、大ギヤ51はセカンダリシャフト27に固定されたギヤ53に噛合し、かつ小ギヤ52はディファレンシャル装置9のギヤ55に噛合している。ディファレンシャル装置9は、前記ギヤ55を有するデフケース66に支持されたデフギヤ56の回転が左右サイドギヤ57,59を介して左右車軸60,61に伝達される。
【0026】
ついで、図2に沿って、上記車輌用自動変速機1の油圧回路について説明する。図2は車輌用自動変速機1の油圧回路を示す図である。図において、21は前記オイルポンプ、また70はプライマリレギュレータバルブ、71はセカンダリレギュレータバルブ、SLTはライン圧制御用リニアソレノイドバルブ、73はセカンダリシーブコントロールバルブであり、75は運転者のシフトレバー等の操作により切換えられるマニュアルシフトバルブである。
【0027】
また、76は前記入力クラッチC,リバースブレーキB用の油圧サーボC1,B1に供給する、いわゆるクラッチ(レンジ)圧(作動圧、モジュレータ圧)を発生するクラッチモジュレータバルブ、77はクラッチ及びブレーキの切換え時に上記油圧サーボへ供給するコントロール圧(制御圧)を発生するコントロールバルブ、79は上記レンジ圧及びコントロール圧を切換えるリレーバルブ(第2の切換えバルブ)であり、上記コントロールバルブ及びリレーバルブは、主に車庫出し、車庫入れ等に用いられるので、便宜的に77をガレージシフトコントロールバルブ、79をガレージシフトバルブと称する。
【0028】
また、80(80A,80B)はレシオコントロールバルブ、81はロックアップコントロールバルブ、83はソレノイドモジュレータバルブである。そして、SOL1及びSOL2は、上記ロックアップコントロールバルブ(第1の切換えバルブ、コントロールバルブ)81及び上記ガレージシフトバルブ79を切換えるための(第1及び第2の)ソレノイドバルブであり、ノーマルクローズタイプで油圧をオン・オフ(供給・解放)制御する。SOL3は、上記レシオコントロールバルブ80をダウンシフト側に作動するソレノイドバルブであり、ノーマルクローズタイプでデューティ制御を行い、またSOL4は、上記レシオコントロールバブル80をアップシフト側に作動するソレノイドバルブであり、同じくノーマルクローズタイプでデューティ制御を行う。
【0029】
更に、図2中、85はストレーナ、86はアキュムレータ、87はオイル温度センサ、89は圧力センサ、90は潤滑油路、91はクーラー、92はクーラバイパスバルブ、93はチェックバルブ、98及び99はリリーフバルブであり、また前述したように、33はプライマリ側油圧アクチュエータ、35はセカンダリ側油圧アクチュエータ、6はトルクコンバータ、5はロックアップクラッチである。なお、図2において、他の部品は周知の油圧記号に従うものである。
【0030】
ついで、上記構成に基づく作用について説明する。エンジン回転に基づくオイルポンプ21の回転により、所定油圧が発生し、該油圧は、プーリ比及びスロットル開度(即ち、入力トルク)に基づき演算される制御部からの信号により制御されるリニアソレノイドバルブSLTからのSLT(制御)圧に基づきプライマリレギュレータバルブ70が制御されることにより、ライン圧PLに調圧され、更にセカンダリレギュレータバルブ71により、セカンダリ圧(Psec)が調圧される。更に、リニアソレノイドバルブSLTの出力ポートaからの信号油圧(SLT圧、制御圧)PSLTは、油路a1を介してセカンダリシーブコントロールバルブ73の制御油室73aに供給される。
【0031】
また、上記リニアソレノイドバルブSLTの信号油圧(SLT圧)は、油路a2を介してガレージシフトコントロールバルブ77の制御油室77aに供給され、該バルブ77は、ポート77bに入力されているレンジ圧をクラッチコントロール圧PCCに調圧してポート77cから出力し、ガレージシフトバルブ79の入力ポート79eに供給する。
【0032】
また、クラッチモジュレータバルブ76は、ポート76aにライン圧PLが入力され、ポート76bから油路c1及びストレーナ85を介して油路c2に出力すると共に、一方の制御油室76cに上記出力ポートからの出力圧(レンジ圧)が入力されており、かつスプールがスプリング76dにより上記制御油室に向けて付勢されていると共に、小径プラグを介しての他方の制御油室76eにマニュアルシフトバルブ75のリバースポートRからの油圧が油路bを介して供給されている。従って、該クラッチモジュレータバルブ76は、ライン圧PLが低い状態では、制御油室76cに作用するフィードバック圧はスプリング76dの予荷重に打勝つことなく、左半位置にあってライン圧と略々同じレンジ圧を出力するが、ライン圧PLが高くなると、それに応じてフィードバック圧も高くなり、スプリング76dの予荷重に打勝つと、該スプリング76dと制御油室76cのフィードバック圧とのバランスにより、略々一定のレンジ圧(PB1,PC1)を出力する。なお、上記油路c1のレンジ圧は、上記ストレーナ85を介してリニアソレノイドバルブSLTの入力ポートcに入力しており、また、上記油路c2のレンジ圧は、ソレノイドモジュレータバルブ83に入力している。
【0033】
該モジュレータバルブ83は、ポート83aから入力される上記レンジ圧を、ポート83bより出力される油圧によりポート83cに作用するフィードバック圧に基づいて所定量減圧し、各ソレノイドバルブSOL1〜SOL4及び上記セカンダリシーブコントロールバルブ73の制御油室73eに供給する。該バルブ73は、上記油路a1を介して制御油室73aに入力される信号油圧(SLT圧)とモジュレータバルブ83より制御油室73eに入力される油圧に基づき、ポート73bに入力されているライン圧PLをセカンダリシーブ用圧PSSに調圧してポート73cに出力し、セカンダリ側油圧アクチュエータ35に供給する。
【0034】
ダウンシフト用ソレノイドバルブSOL3は、上記モジュレータバルブ83より入力した油圧をそれぞれデューティ制御してポートgより制御圧を出力し、レシオコントロールバルブ80A,80Bの制御油室80f,80gに該制御圧を供給する。また、アップシフト用ソレノイドバルブSOL4は、上記モジュレータバルブ83より入力した油圧をそれぞれデューティ制御してポートhより制御圧を出力し、レシオコントロールバルブ80A,80Bの、上記制御油室80f,80gとは反対位置にある制御油室80h,80iに該制御圧を供給する。そして、レシオコントロールバルブ80Aのポート80aにはライン圧PLが入力されており、また、レシオコントロールバルブ80Bのポート80bには、チェックバルブ86を介してライン圧PLを減圧した油圧が入力されている。
【0035】
上記両ソレノイドバルブSOL3,SOL4がONにされると、出力ポートg,hより制御圧が出力され、レシオコントロールバルブ80A,80Bの制御油室80f,80g,80h,80iに制御圧が供給されるが、制御油室80f,80iに制御油室80g,80hよりも高い油圧が供給される。すると、レシオコントロールバルブ80A,80Bは、スプリング80j,80kの付勢力に反して両バルブ80A,80Bが右半位置にあって、ポート80cとポート80eとが連通するが、ポート80aとポート80c,80eとが遮断されると共に、ポート80dとドレーンポートEXとが遮断される。つまりプライマリ側油圧アクチュエータ33が遮断されている状態となって、油圧の出入がない状態に保持され、CVT2は所定変速比に保持される。
【0036】
例えばDレンジにおいてスロットル開度及び車速に基づいてアップシフトが指令されると、アップシフト用ソレノイドバルブSOL4よりデューティ制御された油圧が上記制御油室80h,80iに出力されると共に、ダウンシフト用ソレノイドバルブSOL3がOFFされる。すると、レシオコントロールバルブ80Aが左半位置にあると共に、レシオコントロールバルブ80Bが右半位置になり、ポート80aと80cとを連通すると共に、ポート80dとドレーンポートEXとが遮断され、プライマリレギュレータバルブ70からポート80aに供給されるライン圧PLが上記ソレノイドバルブSOL4のデューティ制御に基づく所定信号圧に応じて調圧されて、ポート80cからプライマリ側油圧アクチュエータ33に供給される。一方、セカンダリ側油圧アクチュエータ35には、前述したように、セカンダリシーブコントロールバルブ73により入力トルクに応じた所定セカンダリシーブ用圧PSSが作用しており、ベルト挟持力を保持しているが、上述したダブルピストンからなるプライマリ側油圧アクチュエータ33に上記油圧が供給されると、CVT2は、プライマリプーリ26の有効径が大きくなる方向、即ちオーバドライブ側に変速(アップシフト)する。
【0037】
また、例えばDレンジにおいてスロットル開度及び車速に基づいてダウンシフトが指令されると、ダウンシフト用ソレノイドバルブSOL3よりデューティ制御された油圧が上記制御油室80f,80gに出力されると共に、アップシフト用ソレノイドバルブSOL4がOFFされる。すると、レシオコントロールバルブ80Aが右半位置にあると共に、レシオコントロールバルブ80Bが左半位置になり、ポート80aとポート80cとを遮断すると共に、ポート80dとドレーンポートEXとを連通し、プライマリ側油圧アクチュエータ33の油圧を所定速度でドレーンする。これにより、上記セカンダリ側油圧アクチュエータ35に所定セカンダリシーブ用圧PSSが供給されていることに基づき、CVT2は、プライマリプーリ26の有効径が小さくなる方向、即ちアンダドライブ側に変速(ダウンシフト)する。
【0038】
一方、上記ソレノイドバルブSOL1の出力ポートeは、油路e1を介してロックアップコントロールバルブ81のポート81fに、また、油路e2を介してガレージシフトバルブ79のポート79fに、それぞれ接続されている。また、上記ソレノイドバルブSOL2の出力ポートfは、油路f1を介してガレージシフトバルブ79のポート79cに、更にガレージシフトバルブ79のポート79dより油路f2を介してロックアップコントロールバルブ81のポート81gに接続されている。それにより、ソレノイドバルブSOL1及びソレノイドバルブSOL2が出力する信号圧に基づき、ガレージシフトバルブ79の切換え位置(右半位置又は左半位置)とロックアップコントロールバルブ81の切換え位置(右半位置又は左半位置)とが制御される(詳しくは後述する。)。
【0039】
上記ガレージシフトバルブ79が左半位置にある場合には、ポート79eとポート79bとが連通し、リニアソレノイドバルブSLTからのSLT圧をガレージシフトコントロールバルブ77を介して入力し、マニュアルシフトバルブ75のポートPMに出力する。つまり、この状態でDレンジ又はRレンジであると、リニアソレノイドバルブSLTのSLT圧によるクラッチC,ブレーキBの油圧サーボC1,B1の直接制御の状態であり、スロットル開度に基づいて出力されるリニアソレノイドバルブSLTのSLT圧によりクラッチC及びブレーキBのトルク容量が制御される。これにより、特に車輌の発進時などにおいて、リニアソレノイドバルブSLTにより制御されるセカンダリシーブコントロールバルブ73に基づきコントロールされるセカンダリシーブ35のトルク容量、即ちベルトのトルク容量に対応して該ベルトが滑らないようにクラッチC及びブレーキBのトルク容量が制御される。
【0040】
また、該ガレージシフトバルブ79が右半位置にある場合には、ポート79aとポート79bとが連通し、プライマリレギュレータバルブ70に基づくクラッチモジュレータバルブ76からのレンジ圧を入力し、マニュアルシフトバルブ75のポートPMに出力する。つまり、この状態でDレンジ又はRレンジであると、クラッチモジュレータバルブ76のレンジ圧によるクラッチC,ブレーキBの油圧サーボC1,B1のレンジ圧制御の状態であり、上述したクラッチモジュレータバルブ76による略々一定のレンジ圧によりクラッチC及びブレーキBのトルク容量が制御される。これにより、特に車輌の走行時において、上記クラッチC及びブレーキBの油圧サーボC1,B1が過圧状態にならず、かつクラッチC及びブレーキBの係合状態が保持される。
【0041】
ついで、上記ロックアップコントロールバルブ81が左半位置にある場合には、ポート81aとポート81bとが連通し、セカンダリレギュレータバルブ71によるセカンダリ圧が該ポート81aに入力されて、該ポート81bからロックアップクラッチOFFポート6aに供給される。該ロックアップクラッチOFFポート6aに供給されたセカンダリ圧は、トルクコンバータ6内、ロックアップクラッチONポート6bを介してポート81cに入力され、更にポート81dを介してクーラー91に導かれる。これにより、ロックアップクラッチ5は切断(解放)状態に保持される。
【0042】
また、ロックアップコントロールバルブ81が右半位置にある場合には、上記ポート81aとポート81bとが遮断されると共に、ポート81bとドレーンポートEXとが連通し、更にポート81eとポート81cとが連通する。すると、セカンダリレギュレータバルブ71によるセカンダリ圧が該ポート81eに入力されて、該ポート81cからロックアップクラッチONポート6bに供給されると共に、ロックアップクラッチOFFポート6aの油圧がポート81bを介してドレーンポートEXにドレーンされる。これにより、ロックアップクラッチ5は接続状態に保持される。なお、トルクコンバータ6内において、ロックアップクラッチ5が接続するため、ロックアップクラッチOFFポート6aとロックアップクラッチONポート6bとが遮断されるが、供給されるセカンダリ圧がクーラー91に適宣に導かれるので、トルクコンバータ6内に負荷が生じることはない。
【0043】
上述構成及び作用の車輌用自動変速機1においては、前述したように、リニアソレノイドバルブSLTは、異物が挟み込んで動作不良を起こすことがある。特に車輌用自動変速機1が上述のように、ベルト式無段変速装置CVTを有する場合には、プライマリプーリ26及びセカンダリプーリ27が金属製であり、またこれらプーリ26,27に巻掛けられたベルト32も金属製であるので、これらプーリ26,27とベルト32とが摺擦することによってスラッジ状の微小異物が発生しがちであり、このスラッジ状の微小異物がリニアソレノイドバルブSLTに挟み込んでその円滑な動作を阻害する。また、本車輌用自動変速機1においては、ニュートラル制御(N制御)を行っているので、このN制御時に入力クラッチCの連続滑り状態が発生して、異物が発生しやすく、この異物もリニアソレノイドバルブSLTの動作不良の原因となる。
【0044】
ここで、N制御とは、燃費の低減、発進時のショックの低減等を目的として、車輌のDレンジ(又はRレンジ)における停車中に入力クラッチC用の油圧サーボC1に供給する油圧を低下させ、入力クラッチCによって伝達されるトルクを小さくする制御のことをいう。なお、入力クラッチCによって動力伝達が行われないぎりぎりまでクラッチ板相互の間隔を狭める油圧とする制御としてもよい。特に本発明においては、油圧サーボC1に供給する係合圧を、後述のように、SLT圧PSLTによって直接制御する場合をいうものとする。
【0045】
上述のように、リニアソレノイドバルブSLTの動作不良が発生すると、リニアソレノイドバルブSLTから出力されるSLT圧によって制御されるプライマリレギュレータバルブ70、セカンダリシーブコントロールバルブ73、ガレージシフトコントロールバルブ77が直接的に動作不良が発生するのはもちろん、さらにプライマリレギュレータバルブ70から出力されるライン圧PLが所望の油圧とならず、このライン圧が供給される各バルブの間接的に動作が不良となるおそれがある。
【0046】
本発明では、リニアソレノイドバルブSLTのスプールを強制移動させてSLT圧を強制駆動し、異物を排除する制御、すなわち異物除去制御Mを行っている。
【0047】
ところで、上述のように、リニアソレノイドバルブSLTから出力されるSLT圧によって、つまりスプールの動作によって種々のバルブの動作が影響される。
【0048】
そこで、本発明では、異物制御によってスプールを強制移動させた場合でも、その影響がない又は少ない所定のタイミングで異物除去制御Mを行うようにしている。
【0049】
本発明では,上述の所定のタイミングとして、
▲1▼車輌が停止状態でかつN制御の開始前、
▲2▼N制御の終了直後、
▲3▼セカンダリシーブ用圧PSSの変化量が所定範囲に収まった状態でが所定時間継続されたとき
のいずれかとしている。以下▲1▼〜▲3▼の順に詳述する。
【0050】
まず、異物除去制御(以下適宜「スパイク制御」という。)Mを▲1▼車輌が停止状態でかつN制御開始前に行う例について、図3(タイミングチャート)、図4(フローチャート)に沿って、また適宜、図1,図2を参照しながら説明する。なお、図3中のPSLTは、リニアソレノイドバルブSLTから出力される制御圧としてのSLT圧、PC1は第1の係合圧としてのレンジ圧、PC1’は第2の係合圧、PSSはセカンダリシーブ用圧である。
【0051】
これら各圧力の関係は、SLT圧PSLTの変動に対して、セカンダリシーブ用圧PSS及び第2の係合圧PC1’はほぼ同様に変動する。なお、ここで同様とは、油圧の増減の波形が同じような形状になるという意味である。これらセカンダリシーブ用圧PSS及び第2の係合圧PC1’には、SLT圧PSLTが直接的に作用するからである。これに反し、第1の係合圧(レンジ圧)PC1はSLT圧PSLTにはほとんど影響されることはない。この第1の係合圧PC1はクラッチモジュレータバルブ76から出力される一定のレンジ圧に基づくものだからである。
【0052】
車輌の走行中(Dレンジ及びRレンジを含む)は、SLT圧PSLTが変動した場合、セカンダリシーブ用圧PSSはそれに倣って変動し、第1の係合圧PC1は変動しない。
【0053】
走行中にN制御発生条件が成立したとする(図4のS1)。本発明では、このN制御成立条件としては、車速が0のとしている。これは車速センサ(不図示)によって検知する。なお、車速が0のときはセカンダリプーリ31、プライマリプーリ26、ベルト32が停止状態となるので、これらが停止していることを例えば回転センサによって検知するようにしてもよい。
【0054】
従来は、N制御開始条件が成立すると、直ちにN制御に入っていたが、本発明では、N制御開始条件成立後でかつN制御開始前に時間を設けて、この時間中にスパイク制御を行いSLT圧PSLTを強制駆動し(図4のステップ2)、その後、N制御を開始(S3)するようにしている。スパイク制御は、リニアソレノイドバルブSLTの入力信号として、リニアソレノイドバルブSLTのスプールが強制的に移動されるような入力信号を入力することによって行う。図3では、SLT圧PSLTが高まる方向にパルス状に変動するような入力信号を入力した例を示している。この入力信号によって、スプールがパルス状に強制移動され(同図では3回振動され)、これにより例えば開口部に引っかかっていた異物が排除される。
【0055】
スパイク制御が行われるN制御開始条件成立後でかつN制御開始前の油圧の変動の関係は、上述の走行中と同じである。すなわち、SLT圧PSLTが変動した場合、セカンダリシーブ用圧PSSはリニアに変動し、第1の係合圧PC1は変動しない、という関係になっている。したがって、スパイク制御によってSLT圧PSLTの油圧が変動しても、第1の係合圧PC1は変動しない。すなわち、SLT圧PSLTがパルス状に変動しても、入力クラッチ用油圧サーボC1に供給される第1の係合圧PC1が変動することなく、入力クラッチCの挟持圧が変化することはない。したがって、入力クラッチCの挟持圧が変化することに起因するショックが発生することはない。
【0056】
一方、SLT圧PSLTの変動に対応してセカンダリシーブ用圧PSSは、図3に示すようにほぼ同様に変化する。このセカンダリシーブ用圧PSSが変動すると、セカンダリプーリ31によるベルト32の挟圧が変動する。ベルト挟圧の変動は、車輌の走行中に発生するとベルト32が断続的にスリップしてこれに起因するショックが発生するおそれがある。
【0057】
しかしながら、図3に示す状態では、SLT圧PSLTの変動に伴うセカンダリシーブ用圧PSSの変動は、N制御開始条件成立後、つまり車輌が停止(ベルトが停止)した状態で発生するので、ベルト挟圧の変動に伴うショックが発生するおそれはない。
【0058】
ここで、図5に、スパイク制御時のSLT圧PSLTの変動に対応して出力されるセカンダリシーブ用圧PSSの波形の一例を示す。同図に示す波形はパルス状の波形である。
【0059】
同図に示すように、基準圧に対して、正のスパイク目標圧をA1KPaに設定し、この値をT1msec継続した後、負のスパイク所定値がA2KPaであるOFF時間をT2msec継続し、その後、基準値の待機時間をT3msec設ける。以上のサイクルをN1回(本例では3回)設ける。
【0060】
スパイク制御時に、セカンダリシーブ用圧PSSの波形が上述の形状となるような、SLT圧PSLTを発生させるように、リニアソレノイドバルブSLTの動作を制御する。
【0061】
逆にいうと、リニアソレノイドバルブSLTの動作を電気的に制御することで、発生させたSLT圧PSLTによって、上述波形のセカンダリシーブ用圧PSSを発生させるのである。。
【0062】
図6に、セカンダリシーブ用圧PSSの波形の別の例を示す。同図に示すものは、基準圧に対して、正のスパイク目標圧をA3KPaに設定し、この値をT4msec継続した後、基準値と同じ圧力のOFF時間をT4msec継続し、その後、同じ圧力の待機時間をT6msec設ける。以上のサイクルをN2回(本例では3回)繰り返すようにしている。
【0063】
上述の図5,図6に示す、スパイク制御時のセカンダリシーブ用圧PSSの波形は、それぞれ波形の一例を示すものであり、上述の方形パルスに代えて例えばのこぎり波とすることも可能である。なお、上述のA1,A2、T1〜T6、N1,N2の数値については、例えば実験等によって適宜設定すればよい。
【0064】
スパイク制御の終了後、N制御が開始される。N制御開始直後はSLT圧PSLTは漸減しその後ほぼ一定圧となる。一方、N制御開始前に入力クラッチ用油圧サーボC1に供給されていた第1の係合圧PC1は、N制御開始に伴うガレージシフトバルブ79の切り換えにより、第2の係合圧PC1’に変わる。なお、この第2の係合圧PC1’は、前述用に、SLT圧PSLTに倣って変動するので、仮にN制御中に上述のスパイク制御を行った場合には、入力クラッチ用油圧サーボC1に供給される第2の係合圧PC1’が変動して入力クラッチCの係合圧が変動してショックが発生することになる。
【0065】
以上説明したように、図3に示すように、N制御開始条件成立後、N制御開始前にスパイク制御を行った場合には、スプールの強制移動によって異物を除去することができ、またこのとき入力クラッチC1の係合圧やベルト挟圧の変動に起因するショックが発生することはない。
【0066】
つづいて、スパイク制御を▲2▼N制御終了直後に行う例について、図7(タイミングチャート)、図8(フローチャート)に沿って、また適宜、図1,図2を参照しながら説明する。
【0067】
本例は、N制御中に、N制御終了条件が成立したら(図8のS11)、N制御を終了し(S12)、N制御終了直後にスパイク制御を行ってSLT圧PSLTを強制駆動するものである。ここで、N制御終了条件としては、例えば、N制御中にフットブレーキOFF又はアクセルON又は車速>0がセンサ((不図示))によって検知された場合である。
【0068】
図7に示すようにN制御終了条件が成立してSLT圧PSLTが上昇すると、入力クラッチ用油圧サーボC1に供給される係合圧が、第2の係合圧PC1’から第1の係合圧PC1に切り換えられて、N制御が終了する。このN制御終了直後にスパイク制御を行う。このタイミングでは、SLT圧PSLTを変動させても、第1の係合圧PC1は変動しないので、入力クラッチC1に起因するショックは発生しない。一方、SLT圧PSLTの変動に応じてセカンダリシーブ用圧PSSは変動するが、この時点ではまだ、車速は0に近いので、セカンダリシーブ用圧PSSの変動によってベルト挟圧が変動しても体感的にはほとんどショックを感じることはない。
【0069】
つづいて、スパイク制御を▲3▼セカンダリシーブ用圧PSSの変化量が所定範囲に収まった状態でが所定時間継続されたとき、に行う例について、図9(タイミングチャート)、図10(フローチャート)に沿って、また適宜、図1,図2を参照しながら説明する。
【0070】
本例では、以下の各動作のうちの少なくとも1つが実施されている場合には、スパイク制御は行わない。
【0071】
各動作とは、油圧学習実行中(S21)、走行時学習制御中(S22)、リバース禁止制御中(S23)、N−D・NーR制御中(S24)、油圧指令上昇中(S25)、悪路判定中(S26)、エコランエンジン始動制御中(S27)、N制御中(S28)である。これらの動作中にスパイク制御を行うと、それぞれ以下のような不具合が発生する。油圧学習制御中については、スパイク制御による油圧の変動によって、サンプリングする学習値が変動してしまう。走行学習制御中については、変速される可能性が高く、変速による油圧の変動に対して、さらにスパイク制御による油圧の変動が上乗せされて、ベルト挟圧が大きく変動する。リバース禁止制御中、N−D・N−R制御中、入力クラッチC1の係合圧が大きく変動するおそれがある。油圧指令上昇中については、ベルト32のベルト挟圧の変動が大きくなる。悪路判定中については、通常時よりもベルト挟圧を高めているので、スパイク制御による油圧上昇後のアンダーシュートでベルト挟圧が弱まるおそれがある。N制御については前述したように、入力クラッチCの係合圧が変動してしまう。
【0072】
以上の動作が行われていない場合で、さらに目標ベルト挟圧変化が所定値以内の状態が、所定時間継続した場合(S29)、スパイク制御を行って、SLT圧PSLTを強制駆動する(S30)。
【0073】
図9に一例を示す。同図に示す例では、走行中に、セカンダリシーブ用圧PSSの変動幅が、例えば油圧フルレンジに対して10%の範囲以内の状態が9分間連続した場合にスパイク制御を行うようにしている。
【0074】
このようなセカンダリシーブ用圧PSSの変動幅が小さい状態が比較的長時間続くのは、一般に、車輌が停止することなく、またほぼ一定速度に近い状態で走行しているとき、例えば、高速道路を走行しているときである。この走行状態では、リニアソレノイドバルブのスプールがほとんど移動することなく、したがって異物が挟まれやすい。
【0075】
そこで、油圧フルレンジの10%の範囲内の状態が9分間継続したときに、スパイク制御を行うようにした。これにより効果的なタイミングで異物を除去することができる。
【0076】
なお、上述の油圧フルレンジの範囲についての「10%」及び継続時間についての「90分」はいずれも一例であり、他の数値であってもよいのはもちろんである。
【0077】
以上説明した実施の形態では、本発明をベルト式無段変速装置を有する車輌用自動変速機の制御装置に適用した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ベルト式無段変速装置を有していない一般に車輌用自動変速機の制御装置に適用することもできる。そして、この場合もほぼ同様の作用・効果をそうすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る車輌用自動変速機を示す図。
【図2】無段自動変速機の油圧回路を示す図。
【図3】N制御開始前にスパイク制御を行う際のタイムチャート。
【図4】N制御開始前にスパイク制御を行う際のフローチャート。
【図5】スパイク制御におけるセカンダリシーブコントロールバルブの出力油圧の一例を示す図。
【図6】スパイク制御におけるセカンダリシーブコントロールバルブの出力油圧の他の例を示す図。
【図7】N制御終了後にスパイク制御を行う際のタイムチャート。
【図8】N制御終了後にスパイク制御を行う際のフローチャート。
【図9】定常走行時ににスパイク制御を行う際のタイムチャート。
【図10】定常走行時にスパイク制御を行う際のフローチャート。
【符号の説明】
1 車輌用自動変速機
2 ベルト式無段変速装置(CVT)
32 ベルト
73 調整部材(セカンダリシーブコントロールバルブ)
79 切り換え手段(リレーバルブ、ガレージシフトバルブ)
C1 入力クラッチ用の油圧サーボ
入力クラッチ(ダイレクトクラッチ)
M 異物除去制御(スパイク制御)
C1 第1の係合圧(レンジ圧)
C1’ 第2の係合圧
PL ライン圧
SLT リニアソレノイドバルブ
SLT 制御圧(SLT圧)
SS 調整部材の出力油圧(セカンダリシーブ用圧)

Claims (5)

  1. 走行レンジにおける車輌の停止時に入力クラッチの係合圧を低下させ伝達トルクを低下させるニュートラル制御を行う車輌用自動変速機の制御装置において、
    入力信号に対応した制御圧を発生してライン圧を制御するリニアソレノイドバルブと、
    前記入力クラッチの係合圧を、前記ライン圧に基づく第1の係合圧と、前記制御圧に基づくニュートラル制御時の第2の係合圧とに切り換える切り換え手段と、
    車輌が停止状態であり、かつ前記ニュートラル制御の開始前に、前記リニアソレノイドバルブのスプールを強制移動させる異物除去手段と、を備える、
    ことを特徴とする車輌用自動変速機の制御装置。
  2. 走行レンジにおける車輌の停止時に入力クラッチの係合圧を低下させ伝達トルクを低下させるニュートラル制御を行う車輌用自動変速機の制御装置において、
    入力信号に対応した制御圧を発生してライン圧を制御するリニアソレノイドバルブと、
    前記入力クラッチの係合圧を、前記ライン圧に基づく第1の係合圧と、前記制御圧に基づくニュートラル制御時の第2の係合圧とに切り換える切り換え手段と、
    前記ニュートラル制御の終了直後に、前記リニアソレノイドバルブのスプールを強制移動させる異物除去手段と、を備える、
    ことを特徴とする車輌用自動変速機の制御装置。
  3. 前記ニュートラル制御は、前記入力クラッチを係合直前の状態にするための制御である、
    請求項1又は2に記載の車輌用自動変速機の制御装置。
  4. ベルト式無段変速装置を備えた車輌用自動変速機の制御装置において、
    入力信号に対応した制御圧を発生してライン圧を制御するリニアソレノイドバルブと、
    前記リニアソレノイドバルブからの油圧に基づいて前記ベルト式無段変速装置におけるベルト挟圧を調整する調整部材と、
    前記調整部材の出力油圧の変化量が所定範囲内に収まった状態が所定時間継続されたときに、前記リニアソレノイドバルブのスプールを強制移動させる異物除去手段と、を備える、
    ことを特徴とする車輌用自動変速機の制御装置。
  5. 前記異物除去手段は、油圧学習実行中、走行時学習制御中、リバース禁止制御中、N−D・N−R制御中、油圧指令上昇中、悪路判定中、エコランエンジン始動制御中、ニュートラル制御中のうちの少なくともいずれか1つに該当するときに、前記スプールの強制移動を禁止する、
    請求項4に記載の車輌用自動変速機の制御装置。
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