JP2006153104A - 油圧制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 装置を大型化することなくフェール時の油圧制御を、可及的に通常時に近似した状態で実行できる油圧制御装置を提供する。
【解決手段】 第1電磁弁76の信号圧で動作する第1油圧制御弁40と、第2電磁弁77の信号圧で動作する第2油圧制御弁41とを備え、第1電磁弁76に替わって信号圧を出力する第3電磁弁95と、第2電磁弁77に替わって信号圧を出力する第4電磁弁98と、第1電磁弁76および第2電磁弁77の異常を検出する異常検出手段と、第1電磁弁76および第2電磁弁77のいずれかの異常を検出した場合に、第1油圧制御弁40に供給する信号圧を第3電磁弁95の出力する信号圧に切り替えるとともに、第2油圧制御弁41に供給する信号圧を第4電磁弁98の出力する信号圧に切り替える切換機構78とを備えている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、電磁弁が出力する信号圧によって所定の油圧制御弁を動作させることにより、目的とする油圧を得るように構成した油圧制御装置に関し、特に無段変速機での変速やトルク容量を制御するための油圧を生じさせる油圧制御装置に関するものである。
各種の装置や機構におけるアクチュエータや制御信号などとして油圧が用いられていることは、周知のとおりである。そのための油圧の制御は、一定圧力の油圧を供給および排出するだけでなく、動作の状況に応じて油圧を連続的に変化させる制御も実行される。例えば、車両用の無段変速機は、変速比を連続的に変化させることができるので、その機能を有効に利用してエンジンの回転数を、燃費を考慮して制御することがおこなわれており、その場合には、変速比を連続的に変化させるように油圧が制御される。また、無段変速機に入力されるトルクは、アクセルペダルの操作に応じて頻繁に変化し、そのトルクに応じたトルク伝達容量となるように、無段変速機の油圧が制御される。
このような油圧の制御は、最近では、電気的に制御されるようになっており、電磁弁を用いて適宜の信号圧を出力し、その信号圧に応じて切換弁や調圧弁を動作させている。この種のいわゆる電子制御式油圧制御装置では、バルブスティックなどの機械的なフェール以外に、電磁弁での断線や短絡(ショート)などの電気的要因によるフェールが生じることもある。車両用の無段変速機における油圧制御装置でこのようなフェールが生じると、変速を実行できなくなったり、無段変速機に滑りが生じたり、あるいはエンジン回転数が増大したりするなどの異常が生じ、走行できなくなる場合がある。そこで、例えば特許文献1の発明では、無段変速機の変速比を制御する変速制御弁を、電気的なフェールが生じた場合には、変速比を設定する入力側プーリの油圧サーボの油圧を、ライン圧の変化に対して所定の割合で変化する圧力に設定するように構成している。
また、特許文献2には、ベルト式無段変速機のトルク容量を設定するベルト挟圧力をパイロット圧に応じて動作する制御弁によって調圧し、そのパイロット圧を出力するリニアソレノイド弁が故障した場合には、前後進切換機構のクラッチの油圧を、前記パイロット圧に替えて採用することにより、挟圧力制御をおこなうように構成した装置が記載されている。さらに、特許文献3には、変速比を設定するためのドライブ側可動プーリに供給する油圧を制御するリニアソレノイドバルブが故障した場合に、高速段が設定されるように構成した装置が記載されている。
またさらに、特許文献4には、電気系の故障が生じた場合に、予備の油圧回路による変速手段を動作させることにより、電気系の故障が生じても、変速制御を実行できるように構成した装置が記載されている。そして、特許文献5には、所定のソレノイドバルブがオフ状態に固着した場合に、そのソレノイドバルブの代わりに、別の油圧供給源からの制御圧を切換弁に供給してその切換弁を従前の状態に維持し、これにより摩擦係合装置の係合状態を維持するように構成した装置が記載されている。
特開平8−277929号公報 特開平11−182666号公報 特開平11−236965号公報 特開平9−105457号公報 特開平8−270782号公報
上記の各特許文献に記載された装置は、電気的な故障が生じた場合に、その故障によって得られない油圧に替わる油圧を、他の制御のために備えている機構を代替的に使用したり、あるいは予備的に設けてある機構を使用することにより、故障の生じた機構をいわゆるバックアップするように構成している。しかしながら、特許文献1に記載された装置では、ライン圧がほぼ一定であれば、入力側プーリの油圧サーボの油圧もほぼ一定となってしまい、変速比もしくはトルク容量の制御の幅が狭く、これらを十分には設定もしくは制御できない可能性がある。
また、特許文献2に記載された装置では、ベルト挟圧力を前後進切換機構のクラッチ油圧を使用して制御するので、入力トルクにある程度応じたベルト挟圧力を設定できるが、変速比を油圧によるいわゆる圧力制御で実行する場合、故障発生時に、ベルト挟圧力が前後進切換機構のクラッチ油圧によって制御されるのに対して、変速比が本来のソレノイドバルブによって制御される事態が生じ、入力側(駆動側)プーリと出力側(従動側)プーリとの油圧の制御特性あるいは制御の正確さなどに相違が生じる可能性がある。
さらに、特許文献3に記載された装置では、故障が生じた場合に、高速段に設定して駆動力やエンジンブレーキ力が急激に増大し、あるいはエンジン回転数が吹き上がることを防止できるが、設定される変速比が固定されてしまい、たとえ故障が生じているとしても、変速制御性が不十分になる可能性がある。またさらに、特許文献4に記載された装置では、予備の油圧回路を予め用意しなければならない不都合があり、またエンジン回転数による機械的な手法で油圧を制御しているので、たとえ故障が生じているとしても、変速制御性が不十分になる可能性がある。
そして、特許文献5に記載された装置では、ソレノイドバルブの故障時に使用する別の油圧供給源を予め用意しておく必要があるので、装置が大型化するなどの不都合があり、また故障時での変速制御性が必ずしも十分なものとはならない可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、信号圧によって制御される二つの油圧制御弁を備えた油圧制御装置であって、その信号圧を出力する電磁弁のいずれかに故障が生じても、従前の制御状態に近い状態を維持することのできる油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、第1電磁弁の出力する信号圧に応じて動作する第1油圧制御弁と、第2電磁弁の出力する信号圧に応じて動作する第2油圧制御弁とを備えた油圧制御装置において、前記第1電磁弁の出力する信号圧に替わる信号圧を出力する第3電磁弁と、前記第2電磁弁の出力する信号圧に替わる信号圧を出力する第4電磁弁と、前記第1電磁弁および第2電磁弁の異常を検出する異常検出手段と、その異常検出手段が第1電磁弁および第2電磁弁のいずれかの異常を検出した場合には、前記第1油圧制御弁に供給する信号圧を第1電磁弁の出力する信号圧から前記第3電磁弁の出力する信号圧に切り替えるとともに、前記第2油圧制御弁に供給する信号圧を第2電磁弁の出力する信号圧から前記第4電磁弁の出力する信号圧に切り替える切換機構とを備えていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1油圧制御弁から出力された油圧が供給されてベルトを挟み付ける第1プーリ、および前記第2油圧制御弁から出力される油圧が供給されて前記ベルトを挟み付ける第2プーリを有するベルト式無段変速機と、そのベルト式無段変速機が搭載された車両の発進の際に調圧された油圧を出力しかつ発進完了後にその調圧された油圧に替えて一定圧を出力する切換弁とを更に備え、前記切換機構が前記切換弁に設けられていることを特徴とする油圧制御装置である。
さらに、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ベルト式無段変速機と直列に配置された摩擦係合装置を更に備え、前記切換弁が、その摩擦係合装置に前記調圧された油圧と一定圧とを選択的に供給する弁であることを特徴とする油圧制御装置である。
またさらに、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記ベルト式無段変速機を含む動力の伝達経路中に設けられたロックアップクラッチを有する流体伝動機構を更に備え、前記第3電磁弁が、前記摩擦係合装置に供給する油圧を調圧するための信号圧を出力する電磁弁と前記ロックアップクラッチの係合・解放の制御をおこなうための信号圧を出力する電磁弁のいずれか一方であり、かつ前記第4電磁弁が、前記摩擦係合装置に供給する油圧を調圧するための信号圧を出力する電磁弁と前記ロックアップクラッチの係合・解放の制御をおこなうための信号圧を出力する電磁弁のいずれか他方であることを特徴する油圧制御装置である。
さらにまた、請求項5の発明は、請求項2または3の発明において、前記ベルト式無段変速機を含む動力の伝達経路中に設けられたロックアップクラッチを有する流体伝動機構を更に備え、前記切換機構が切換動作する際に前記ロックアップクラッチを解放状態とするように構成されていることを特徴とする油圧制御装置である。
そして、請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかの発明において、前記ベルト式無段変速機が出力側に連結された動力源を更に備え、前記異常検出手段が前記異常を検出した場合に前記動力源の出力トルクを低下させる手段を備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
また、請求項7の発明は、請求項4ないし6のいずれかの発明において、前記第3電磁弁の出力する信号圧を前記切換機構を介して前記第1油圧制御弁に供給している状態における前記第3電磁弁の出力する信号圧に基づいて定まる前記摩擦係合装置のトルク容量が、その時点で前記摩擦係合装置に作用するトルクより大きくなるように構成されていることを特徴とする油圧制御装置である。
さらにまた、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明において、前記第1油圧制御弁に供給される信号圧と前記第2油圧制御弁に供給される信号圧とのうちの圧力の高い方の信号圧を選択する選択弁と、その選択弁によって選択されて出力される信号圧に基づいてライン圧を調圧するライン圧調圧弁とを更に備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
そして、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかの発明において、前記異常検出手段が前記異常を検出することに伴って前記切換機構が切換動作する前の前記第1油圧制御弁もしくは前記第2油圧制御弁によって設定されている油圧に基づき、該油圧を設定するために必要な前記第3電磁弁もしくは第4電磁弁の出力する信号圧を求める手段を備え、その求められた信号圧によって前記切換機構が切換動作した後に前記第1油圧制御弁もしくは第2油圧制御弁を制御するように構成されていることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項1の発明によれば、第1電磁弁と第2電磁弁とのいずれかの異常が検出されると、第1油圧制御弁に信号圧を供給する電磁弁が第1電磁弁から第3電磁弁に切り換えられ、同時に第2油圧制御弁に信号圧を供給する電磁弁が第2電磁弁から第4電磁弁に切り換えられる。言い換えれば、第1電磁弁と第2電磁弁とのいずれか一方のみに異常が生じた場合であっても、各油圧制御弁についての電磁弁が、共に変更される。その結果、各油圧制御弁についての信号圧を、異常が生じてない場合と同様に確保でき、しかも第1電磁弁と第2電磁弁との両方が、第3電磁弁と第4電磁弁とに切り換えられるので、異常が生じた後の各油圧制御弁での制御特性が近似もしくは対応したものとなり、異常発生後の油圧制御性が損なわれることを防止もしくは抑制することができる。
また、請求項2の発明あるいは請求項3の発明によれば、発進時と通常の走行時とで切り替わる切換弁によって、第1電磁弁と第3電磁弁との切り替え、および第2電磁弁と第4電磁弁との切り替えをおこなうことができ、したがって異常時のための特別な、もしくは新たな機構や機器を用意する必要がなく、装置の大型化を防止もしくは抑制でき、また第1電磁弁と第2電磁弁とのいずれかに異常があっても、ベルト式無段変速機の制御を異常の発生の前と同様に実行することができる。
さらに、請求項4の発明によれば、第1電磁弁と第2電磁弁との少なくともいずれか一方に異常が生じると、これらの電磁弁に替えて、前記摩擦係合装置の油圧を制御するための電磁弁とロックアップクラッチを制御するための電磁弁とが、第1油圧制御弁と第2油圧制御弁とに信号圧を供給するので、通常使用している機器を利用して、異常時における油圧制御をおこなうことができ、したがって必要部品数の増大や装置の大型化を招来することなく、異常に対応して無段変速機などを制御することができる。
またさらに、請求項5の発明によれば、第1電磁弁や第2電磁弁に異常が生じて前記切換弁が切換動作する場合、ロックアップクラッチが解放状態(完全係合状態より伝達トルク容量が小さい状態)に設定されるので、切換弁が切換動作する過渡状態として流体伝動機構の出力側における負のトルクが一時的に増大しても、流体伝動機構における入力側の部材と出力側の部材との回転数差(いわゆる滑り)が増大し、その増大した負のトルクが吸収される。そのため、例えばロックアップクラッチの入力側に内燃機関が連結されていてもその内燃機関のストールを抑制することができる。
そして、請求項6の発明によれば、前記異常が検出されることにより、第1および第2の電磁弁に替えて、第3および第4の電磁弁から各油圧制御弁に信号圧を供給する場合、その油圧の制御の範囲(あるいは制御幅)が狭くなる可能性があるが、このような状態であっても、動力源から無段変速機に入力されるトルクが、正常状態より小さくなるので、変速制御や挟圧力制御の制御性が良好になり、あるいはその制御性の悪化を防止もしくは抑制することができる。
さらに、請求項7の発明によれば、第3電磁弁の出力する信号圧が第1油圧制御弁を制御する信号圧、および摩擦係合装置の係合圧を制御する信号圧として機能し、前記異常の検出によって第3電磁弁の信号圧で第1油圧制御弁を制御している状態では、その信号圧に基づいて設定される摩擦係合装置のトルク容量が、その時点で摩擦係合装置に作用するトルクより大きくなり、その結果、前記異常が生じている場合であっても、その摩擦係合装置に滑りが生じるなどの事態を防止することができる。
またさらに、請求項8の発明によれば、第1油圧制御弁に対する信号圧と第2油圧制御弁に対する信号圧とのうちの圧力の高い方の信号圧に基づいてライン圧が設定されるので、前記異常が生じて第3電磁弁および第4電磁弁の信号圧が各油圧制御弁に対する信号圧となっている状態であっても、高い圧力の信号圧に基づいてライン圧が設定され、したがって異常が生じている場合であっても、ライン圧が不足するなどの事態を未然に回避することができる。
そして、請求項9の発明によれば、第1電磁弁と第3電磁弁との切り替え、および第2電磁弁と第4電磁弁との切り替えの前後での信号圧が等しくなり、あるいはその圧力差が小さくなるので、異常が検出されて前記切換機構が切り替わる前後での動作状態の急激な変化を防止もしくは抑制することができる。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。この発明は、車両用の無段変速機を対象とする油圧制御装置に適用することができ、その無段変速機は、ベルトをトルク伝達部材としたベルト式の無段変速機や、パワーローラをトルク伝達部材とするとともにオイル(トラクション油)のせん断力を利用してトルクを伝達するトロイダル型(もしくはトラクション式)無段変速機である。図9には、ベルト式無段変速機1を含む車両用駆動系統の一例を模式的に示しており、この無段変速機1は、前後進切換機構2およびトルクコンバータ3を介して、動力源4に連結されている。
その動力源4は、一般の車両に搭載されている動力源と同様のものであって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいは天然ガスエンジンなどの内燃機関や、電動機、あるいは内燃機関と電動機とを組み合わせた機構などを採用することができる。なお、以下の説明では、動力源4をエンジン4と記す。
エンジン4の出力軸に連結されたトルクコンバータ3は、従来一般の車両で採用しているトルクコンバータと同様の構造であって、エンジン4の出力軸が連結されたフロントカバー5にポンプインペラー6が一体化されており、そのポンプインペラー6に対向するタービンランナー7が、フロントカバー5の内面に隣接して配置されている。これらのポンプインペラー6とタービンランナー7とには、多数のブレード(図示せず)が設けられており、ポンプインペラー6が回転することによりフルードの螺旋流を生じさせ、その螺旋流をタービンランナー7に送ることによりタービンランナー7にトルクを与えて回転させるようになっている。
また、ポンプインペラー6とタービンランナー7との内周側の部分には、タービンランナー7から送り出されたフルードの流動方向を変化させてポンプインペラー6に流入させるステータ8が配置されている。このステータ8は、一方向クラッチ9を介して所定の固定部10に連結されている。なお、トルクコンバータ3は、トルク増幅機能のない流体伝動機構に置き換えてもよい。
このトルクコンバータ3は、ロックアップクラッチ(L/Uクラッチ)11を備えている。ロックアップクラッチ11は、ポンプインペラー6とタービンランナー7とステータ8とからなる実質的なトルクコンバータに対して並列に配置されたものであって、フロントカバー5の内面に対向した状態で前記タービンランナー7に保持されており、油圧によってフロントカバー5の内面に押し付けられることにより、入力部材であるフロントカバー5から出力部材であるタービンランナー7に直接、トルクを伝達するようになっている。なお、その油圧を制御することによりロックアップクラッチ11のトルク容量を制御できる。
前後進切換機構2は、エンジン4の回転方向が一方向に限られていることに伴なって採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。図9に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。
すなわち、サンギヤ12と同心円上にリングギヤ13が配置され、これらのサンギヤ12とリングギヤ13との間に、サンギヤ12に噛合したピニオンギヤ14とそのピニオンギヤ14およびリングギヤ13に噛合した他のピニオンギヤ15とが配置され、これらのピニオンギヤ14,15がキャリヤ16によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ12とキャリヤ16と)を一体的に連結する前進用クラッチ17が設けられ、またリングギヤ13を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ18が設けられている。これらの前進用クラッチ17および後進用ブレーキ18が、この発明の摩擦係合装置に相当している。
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された駆動プーリ19と従動プーリ20とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ21,22によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ19,20の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴なって各プーリ19,20に巻掛けたベルト23の巻掛け半径(プーリ19,20の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ19が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ16に連結されている。
なお、従動プーリ20における油圧アクチュエータ22には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ20における各シーブがベルト23を挟み付けることにより、ベルト23に張力が付与され、各プーリ19,20とベルト23との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。言い換えれば、挟圧力に応じたトルク容量が設定される。これに対して駆動プーリ19における油圧アクチュエータ21には、設定するべき変速比に応じた油圧が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径)に設定するようになっている。
無段変速機1の出力部材である従動プーリ20がギヤ対24およびディファレンシャル25に連結され、さらにそのディファレンシャル25が左右の駆動輪26に連結されている。
上記の無段変速機1およびエンジン4を搭載した車両の動作状態(もしくは走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、エンジン4の回転数(もしくはロックアップクラッチ11の入力回転数)を検出して信号を出力するエンジン回転数センサー27、タービンランナー7の回転数(もしくはロックアップクラッチ11の出力回転数)を検出して信号を出力するタービン回転数センサー28、駆動プーリ19の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー29、従動プーリ20の回転数を検出して信号を出力する出力回転数センサー30などが設けられている。
上記の前進用クラッチ17および後進用ブレーキ18の係合・解放の制御、および前記ベルト23の挟圧力の制御、ならびにロックアップクラッチ11の係合・解放を含むトルク容量の制御、さらには変速比の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)31が設けられている。この電子制御装置31は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定などの制御を実行するように構成されている。また、エンジン4を制御するエンジン用電子制御装置(E−ECU)32が設けられ、これらの電子制御装置31,32の間で相互にデータを通信するようになっている。
上述した無段変速機1におけるベルト23を挟み付ける挟圧力を設定する油圧や変速を実行しあるいは変速比を設定する油圧、前記前進用クラッチ17や後進用ブレーキ18を係合もしくは解放させるための油圧、前記ロックアップクラッチ11を係合もしくは解放させるための油圧などを制御する油圧制御装置が設けられている。その油圧制御装置は、前記変速機用電子制御装置(CVT−ECU)31によって電気的に制御される電磁弁(ソレノイドバルブ)を含み、その一例を図1にブロック図で示してある。また、各バルブの詳細を図2および図3ならびに図4に示してある。
上記の無段変速機1では、各プーリ19,20を圧力制御するように構成されており、駆動プーリ19におけるアクチュエータ21の油圧を制御する変速油圧制御弁40と、従動プーリ20におけるアクチュエータ22の油圧を制御する挟圧力制御弁41とが設けられている。これらの制御弁40,41がこの発明の第1油圧制御弁と第2油圧制御弁とに相当し、これらの制御弁40,41は、ライン圧PLを、信号圧に応じた油圧に調圧して、それぞれに対応したアクチュエータ21,22に供給するように構成されている。
具体的に説明すると、図2において、変速油圧制御弁40は、弁体としてスプール42を有し、そのスプール42の一方の端部側にスプリング43が配置されるとともに、そのスプリング43が配置された箇所に開口した制御ポート44が形成されており、この制御ポート44に信号圧を供給するようになっている。また、スプリング43を配置した端部とは反対側の端部に小径のランド45と、これより大径のランド46とが設けられ、これらのランド45,46の間に開口したフィードバックポート47が設けられている。
さらに、その大径のランド46と、前記スプリング43が当接しているランド48との間に開口した出力ポート49が形成され、この出力ポート49が上記フィードバックポート47および駆動プーリ19におけるアクチュエータ21に連通されている。その出力ポート49に対して前記フィードバックポート47側に、ライン圧PLが供給される入力ポート50が形成され、前記大径のランド46がこの入力ポート50を開閉するようになっている。また、出力ポート49に対して前記制御ポート44側にドレーンポート51が形成され、前記スプリング43が当接しているランド48によってそのドレーンポート51を開閉するようになっている。
したがって、変速油圧制御弁40は、制御ポート44に供給された信号圧による押圧力とスプリング43による押圧力とを加えたスプール42の軸線方向荷重と、フィードバックポート47に作用する圧力すなわち出力油圧もしくは前記アクチュエータ21の油圧によりスプール42に作用する軸線方向荷重とが等しくなるように動作する。すなわち、制御ポート44に供給される信号圧の高低に応じて出力油圧が増減するようになっている。
従動プーリ20におけるアクチュエータ22の油圧を制御する挟圧力制御弁41は、上述した変速油圧制御弁40と同様の構成であり、その構成を簡単に説明すると、スプール52は、スプリング53が当接しているランド58と、そのランド58に対して所定間隔空けて設けられたランド56と、そのランド56よりも小径のランド55とを備えている。また、油圧を供給もしくは排出するポートとして、前記スプリング53が設けられている端部側から順に、信号圧の供給される制御ポート54、ドレーンポート61、出力ポート59、入力ポート60、フィードバックポート57が形成されている。そして、入力ポート60にライン圧PLが供給されるとともに、出力ポート59がフィードバックポート57および従動プーリ20におけるアクチュエータ22に連通されている。
上記の駆動プーリ19におけるアクチュエータ21の油圧Pinを検出する油圧センサー62と、従動プーリ20におけるアクチュエータ22の油圧Poutを検出する油圧センサー63とが設けられている。
ここで、ライン圧PLを調圧する機構について説明すると、図3において、前記エンジン4によって駆動される油圧ポンプ64で発生した油圧をライン圧PLに調圧するプライマリーレギュレータバルブ65が設けられている。これは、通常の車両用変速機の油圧制御装置に設けられているプライマリーレギュレータバルブと実質的に同一の構成であって、スプール66の一端側にスプリング67が配置されるとともに、そのスプリング67が配置された箇所に開口した制御ポート68が形成されている。
また、スプリング67とは反対の端部側に大径ランド69と小径ランド70とが隣接して形成され、これらのランド69,70の間に開口したフィードバックポート71が形成されている。さらに、スプリング67が当接しているランド72によって開閉される入力ポート73と、その入力ポート73が開かれた場合に入力ポート73に連通する排出ポート74が形成されている。そして、入力ポート73がライン圧油路75に連通するとともに、前記フィードバックポート71がライン圧油路75を介して入力ポート73に連通している。
図2に示すように、前記変速油圧制御弁40の制御ポート44に信号圧を供給するリニアソレノイドバルブ76が設けられている。このリニアソレノイドバルブ76は、この発明の第1電磁弁もしくは第2電磁弁に相当するものであって、ラインプレッシャモジュレータ圧PLmを元圧として、電流値(もしくは電圧)に応じた信号圧を出力するように構成されている。なお、その構成は、従来知られているリニアソレノイドバルブと同様である。また、ラインプレッシャモジュレータ圧PLmは、前記プライマリーレギュレータバルブ65で調圧されたライン圧油路75の油圧を、更に平準化するように所定の調圧弁(図示せず)で調圧した油圧である。
さらに、前記挟圧力制御弁41の制御ポート54に信号圧を供給するリニアソレノイドバルブ77が設けられている。このリニアソレノイドバルブ77は、この発明における第2電磁弁もしくは第1電磁弁に相当するものであって、上記のリニアソレノイドバルブ76と同様に、ラインプレッシャモジュレータ圧PLmを元圧として、電流値(もしくは電圧)に応じた信号圧を出力するようになっている。
これらのリニアソレノイドバルブ76,77は、直接には、前記各制御ポート44,54に信号圧を供給せずに、切換機構を介して各制御ポート44,45に信号圧を供給するようになっている。その切換機構について説明すると、図4に示す構成では、前述した前進用クラッチ17に供給する油圧を切り替えるためのクラッチアプライコントロールバルブ(以下、単に切換弁と記す)78が設けられている。この切換弁78は、一つの出力ポートに対して二つの入力ポートを対応させて設けた構成を一組として、三組のポート群が設けられ、各ポート群における出力ポートをそれに対応する二つの入力ポートのいずれかに選択的に連通させるスプールを有している。
具体的に説明すると、クラッチ圧出力ポート79を挟んだ両側(図4での上下両側)に第1および第2のクラッチ圧入力ポート80,81が設けられている。図4では上側に位置する第1クラッチ圧入力ポート80に、前述したラインプレッシャモジュレータ圧PLmが入力され、また第2クラッチ圧入力ポート81には、後述するクラッチコントロール圧PCが入力されている。
上記の第2クラッチ圧入力ポート81より図4での下側に、前記リニアソレノイドバルブ77に連通された第1信号圧第1入力ポート82と、第1信号圧出力ポート83と、第1信号圧第2入力ポート84とが順に形成されており、その第1信号圧出力ポート83が前記挟圧力制御弁41における制御ポート54に連通されている。
上記の第1信号圧第2入力ポート84より図4での下側に、前記リニアソレノイドバルブ76に連通された第2信号圧第1入力ポート85と、第2信号圧出力ポート86と、第2信号圧第2入力ポート87とが順に形成されており、その第2信号圧出力ポート86が前記変速油圧制御弁40における制御ポート44に連通されている。
この切換弁78におけるスプール88は、第1クラッチ圧入力ポート80を開閉するランド89と、その第1クラッチ圧入力ポート80が開かれている場合に、第2クラッチ圧入力ポート81を閉じるとともに第1信号圧第1入力ポート82を開き、かつ第2クラッチ圧入力ポート81を開いた場合に第1信号圧第1入力ポート82を閉じるランド90と、その第1信号圧第1入力ポート82が開かれている場合に、第1信号圧第2入力ポート84を閉じるとともに第2信号圧第1入力ポート85を開き、かつ第1信号圧第2入力ポート84を開いた場合に第2信号圧第1入力ポート85を閉じるランド91と、第2信号圧第2入力ポート87を開閉するランド92とを備えている。そのスプール88の図4での下端部側にスプリング93が設けられていてスプール88が図4での上側に押圧され、またこれとは反対側の図4での上端部に制御ポート94が形成されている。
上記の変速油圧制御弁40のための信号圧を出力するリニアソレノイドバルブ76に替わって信号圧を出力するデューティーソレノイドバルブ95が設けられている。このデューティーソレノイドバルブ95は、前述したロックアップクラッチ11の係合・解放状態およびスリップ状態を制御するための信号圧を出力する電磁弁であって、ソレノイドモジュレータ圧を元圧として、所定の単位時間内でのON状態の割合すなわちデューティー比に応じた信号圧を出力するように構成されている。このデューティーソレノイドバルブ95が、前述した切換弁78における第2信号圧第2入力ポート87に連通されている。なお、ソレノイドモジュレータ圧とは、前述したラインプレッシャモジュレータ圧PLmを元圧として、その変動もしくは脈動を減少させて安定化させるように調圧した油圧である。
なお、このデューティーソレノイドバルブ95によってロックアップクラッチ11を制御するための機構は、従来知られているものを使用することができ、例えば、調圧弁であるロックアップコントロールバルブ96の制御ポート97にデューティーソレノイドバルブ95の出力圧を供給することにより、ロックアップコントロールバルブ96の調圧レベルを変化させ、これにより出力圧すなわちロックアップクラッチ11の係合圧および解放圧を制御するように構成されている。
上記の挟圧力制御弁41のための信号圧を出力するリニアソレノイドバルブ77に替わって信号圧を出力するデューティーソレノイドバルブ98が設けられている。このデューティーソレノイドバルブ98は、前進用クラッチ17のクラッチコントロール圧PCを制御するための信号圧を出力する電磁弁であって、ソレノイドモジュレータ圧を元圧として、所定の単位時間内でのON状態の割合すなわちデューティー比に応じた信号圧を出力するように構成されている。このデューティーソレノイドバルブ98が、前述した切換弁78における第1信号圧第2入力ポート84に連通されている。
したがって、これらのデューティーソレノイドバルブ95,98が、この発明における第3電磁弁もしくは第4電磁弁に相当している。
ここで、クラッチコントロール圧PCについて説明すると、クラッチコントロール圧PCは従来のアキュムレータで調圧される油圧に替わる油圧であって、前進用クラッチ17のトルク容量が次第に増大するように制御された油圧である。その制御は、ラインプレッシャモジュレータ圧PLmを元圧として、調圧弁であるクラッチコントロールバルブ99によっておこなうように構成されている。
このクラッチコントロールバルブ99は従来知られた構成のものであって、スプリング100によって一方向に押圧されたスプール101を有し、そのスプール101におけるスプリング100とは反対側の端部に、前記デューティーソレノイドバルブ98が出力する信号圧の供給される制御ポート102が形成されている。また、出力ポート103を挟んだ両側に、ラインプレッシャモジュレータ圧PLmが供給されている入力ポート104と、ドレーンポート105とが形成されている。さらに、その出力ポート103が、スプリング100の配置されている箇所に開口しているフィードバックポート106にオリフィスを介して連通され、また前記切換弁78における第2クラッチ圧入力ポート81に連通されている。
したがって、クラッチコントロールバルブ99は、出力圧であるクラッチコントロール圧PCとスプリング100とによる軸線方向荷重とデューティーソレノイドバルブ98が出力する信号圧が制御ポート102に作用することによる軸線方向荷重とが釣り合うように調圧をおこなって、クラッチコントロール圧PCを出力するようになっている。すなわち、デューティー比の増大に伴って信号圧が次第に高くなり、その結果、クラッチコントロールバルブ99における調圧レベルが高くなってその出力圧であるクラッチコントロール圧PCが次第に高くなるように構成されている。そのため、前進用クラッチ17を解放状態から係合させる場合、デューティーソレノイドバルブ98のデューティー比を次第に増大させて、前進用クラッチ17の係合圧あるいはトルク容量を次第に増大させる。
上述したように、切換弁78は、ラインプレッシャモジュレータ圧PLmとクラッチコントロール圧PCとのいずれかを選択して出力し、またリニアソレノイドバルブ77の信号圧とデューティーソレノイドバルブ98の信号圧とのいずれかを選択して出力し、さらにリニアソレノイドバルブ76の信号圧とデューティーソレノイドバルブ95の信号圧とのいずれかを選択して出力するように構成されている。切換弁78にこのような切換動作をおこなわせるための電磁弁107が設けられている。この電磁弁107は、信号圧を出力してないオフ状態と信号圧を出力するオン状態とに電気的に動作するバルブであって、切換弁78における制御ポート94に連通されている。また、この電磁弁107は、前述したロックアップコントロールバルブ96における前記制御ポート97とは反対側の制御ポート108に連通されており、電磁弁107がオン動作して信号圧を出力した場合に、ロックアップコントロールバルブ96がロックアップクラッチ11を解放させる解放圧を出力するようになっている。
前述した変速油圧制御弁40は、駆動プーリ19におけるアクチュエータ21で必要とする油圧を出力し、また挟圧力制御弁41は、従動プーリ20におけるアクチュエータ22で必要とする油圧を出力し、これらの出力圧は各々の制御弁40,41に供給される信号圧により、ライン圧PLを元圧として設定される。したがって、ライン圧PLは、各制御弁40,41で調圧されて出力される圧力より幾分高く設定するようになっており、そのための機構として、前記プライマリーレギュレータバルブ65の制御ポート68に供給する信号圧を選択する選択弁109が設けられている。
この選択弁109は、図3に示すように、供給された二つの油圧のうち、圧力の高い方の油圧を出力するように構成されたスプール弁であって、出力ポート110を挟んだ両側に入力ポート111,112が形成されている。また、スプール113は、その一方の入力ポート111(または112)を出力ポート110に連通させている状態では、他方の入力ポート112(または111)を閉じるように構成されている。さらに、その出力ポート110がプライマリーレギュレータバルブ65の制御ポート68に連通され、また一方の入力ポート111が変速油圧制御弁40における制御ポート44に連通されるとともに、他方の入力ポート112が挟圧力制御弁41における制御ポート54に連通されている。
そのスプール113の一端側にはスプリング114が配置され、そのスプリング114が配置されている箇所に開口している制御ポート115に前記他方の入力ポート112が連通されている。さらに、前記スプリング114とは反対側の端部に形成された制御ポート116に前記一方の入力ポート111が連通されている。したがって、スプール113には、挟圧力制御弁41に対する信号圧による軸線方向荷重とスプリング114による軸線方向荷重とを加えた荷重と、前記変速油圧制御弁40に対する信号圧による軸線方向荷重とが、互いに対向するように(すなわち反対向きに)作用している。
そのため、選択弁109は、いずれか一方の軸線方向荷重が他方の軸線方向荷重に対して大きくなることにより、その大きい軸線方向荷重を生じさせる油圧の供給されている入力ポート111,112を出力ポート110に連通させ、その油圧をプライマリーレギュレータバルブ65に対する信号圧とするようになっている。その結果、プライマリーレギュレータバルブ65は、変速油圧制御弁40における信号圧と挟圧力制御弁41における信号圧とのうち、高い圧力の信号圧が供給されて、その信号圧に応じたライン圧PLを出力するようになっている。
なお、前述した切換弁78におけるクラッチ圧出力ポート79は、手動操作によってシフトパターン(走行レンジ)を切り替えるマニュアルバルブ117に連通され、このマニュアルバルブ117から前記前進用クラッチ17および後進用ブレーキ18に選択的に油圧を供給するようになっている。すなわち、パーキング(P)パターンと、リバース(R)パターンと、ニュートラル(N)パターンと、ドライブ(D)パターンと、ロー(L)パターンとを選択するようにマニュアルバルブ117が構成されており、ドライブパターンとローパターンとのいずれかが選択されている場合には、前記クラッチ圧出力ポート79が前進用クラッチ17に連通され、これに対してリバースパターンでは、クラッチ圧出力ポート79が後進用ブレーキ18に連通されるようになっている。
つぎに上述した油圧制御装置の作用について説明する。各シフトパターンにおける各部材の動作状態を、図5に一覧表にして示してある。図5で、〇印はオン状態、△印は制御されている状態、×印はオフ状態、上向きの矢印は上の欄と同様の状態であることをそれぞれ示す。
正常状態のパーキングパターンでは、各リニアソレノイドバルブ76,77がエンジン4の駆動状態などの車両の状態に応じて制御されて所定の信号圧を出力している。その場合、切換弁78の制御ポート94に連通されている電磁弁107が信号圧を出力していないので、切換弁78のスプール88が図4の左半分に示す位置に押し上げられており、したがって各出力ポート79,83,86が、図4での上側に位置する入力ポート80,82,85に連通している。この状態がいわゆる「ロック状態」であり、リニアソレノイドバルブ76の信号圧が変速油圧制御弁40に供給され、また他方のリニアソレノイドバルブ77の信号圧が挟圧力制御弁41に供給されている。また、これらの信号圧のうちの高圧の信号圧がプライマリーレギュレータバルブ65の制御ポート68に供給され、その信号圧に応じたライン圧PLに調圧されている。
また、ロックアップクラッチ11用のデューティーソレノイドバルブ95は信号圧を出力しておらず、その結果、ロックアップコントロールバルブ96が解放圧を出力して、ロックアップクラッチ11が解放(OFF)状態になっている。さらにクラッチ圧用のデューティーソレノイドバルブ98は、車両の状態に応じたデューティー比で制御され、そのデューティー比に応じた信号圧を出力している。その結果、クラッチコントロールバルブ99がその信号圧に応じた調圧をおこなうが、出力ポート103が連通している切換弁78の第2クラッチ圧入力ポート81が閉じられているので、クラッチコントロール圧PCを出力しない。なお、マニュアルバルブ117は、クラッチ圧出力ポート79が連通されているポートを閉じ、かつ前進用クラッチ17および後進用ブレーキ18をドレーンに連通させているので、これらの摩擦係合装置が共に解放状態となっており、エンジン4から無段変速機1にトルクは伝達されない。
また、ニュートラルパターンからリバースパターンにシフトされた場合、マニュアルバルブ117を介して後進用ブレーキ18を係合させることになるので、いわゆる係合ショックを防止もしくは緩和するために、次第に上昇する油圧を後進用ブレーキ18に供給することになる。したがって、クラッチコントロールバルブ99で調圧した油圧を後進用ブレーキ18に供給するために、切換弁78の第2クラッチ圧入力ポート81をクラッチ圧出力ポート79に連通させる。具体的には、電磁弁107をオン動作させて信号圧を出力させ、その信号圧を切換弁78の制御ポート94に加える。その結果、切換弁78のスプール88が図4の右半分に示すいわゆる「コントロール状態」となり、第2クラッチ圧入力ポート81がクラッチ圧出力ポート79に連通する。
また、クラッチコントロール圧PCの調圧をおこなうために、デューティーソレノイドバルブ98のデューティー比が制御され、そのデューティー比に応じた信号圧がクラッチコントロールバルブ99の制御ポート102に作用して調圧レベルが変化するので、クラッチコントロール圧PCが次第に増大する。そのように変化するクラッチコントロール圧PCがマニュアルバルブ117を介して後進用ブレーキ18に供給される。
切換弁78が上述した「コントロール状態」となっている場合には、切換弁78における各出力ポート79,83,86は、図4におけるそれぞれの下側の入力ポート81,84,87に連通している。したがって、変速油圧制御弁40の制御ポート44には、ロックアップ制御用のデューティーソレノイドバルブ95が連通しているので、そのデューティーソレノイドバルブ95が制御されて所定の信号圧が変速油圧制御弁40に供給される。また、クラッチコントロール圧PCを制御するためのデューティーソレノイドバルブ98が、挟圧力制御弁41の制御ポート54に連通されているので、そのデューティーソレノイドバルブ98が制御されて所定の信号圧が挟圧力制御弁41に供給される。
なお、その場合、各デューティーソレノイドバルブ95,98の信号圧のうちの圧力の高い方の信号圧が選択弁109を介してプライマリーレギュレータバルブ65の制御ポート68に供給され、したがってそれらの信号圧のうちの高い方の信号圧に応じたライン圧PLが設定される。この状態から切換弁78が切り替わると、前述したリニアソレノイドバルブ76,77のいずれかの信号圧がプライマリーレギュレータバルブ65に供給されることになるので、その状態に備えるために、挟圧力を制御するためのリニアソレノイドバルブ77が所定の信号圧を出力するように電気的に制御されている。なおまた、ロックアップクラッチ11は解放状態に制御される。すなわち、切換弁78の制御ポート94に加えられている信号圧と同じ信号圧がロックアップコントロールバルブ96の制御ポート108に加えられるので、ロックアップコントロールバルブ96が解放信号を出力する。
ニュートラルパターンが設定されている場合、およびニュートラルパターンからドライブパターンにシフトされた直後の場合も、上述したリバースパターンの場合と同様に制御される。
これに対して、ドライブパターンでの通常の走行状態では、先ず、ロックアップクラッチ11が車両の走行状態に応じて解放ないし係合の状態あるいはその中間のスリップ状態に制御される。これは、ロックアップ制御用のデューティーソレノイドバルブ95をデューティー制御して所定の信号圧を、ロックアップコントロールバルブ96の制御ポート97に供給し、その信号圧に応じた係合圧を出力させることにより実行される。
また、車両が発進する際には、前述したように、クラッチコントロール圧PCが次第に上昇するように制御されるが、定常走行状態に移行すれば、前進用クラッチ17を係合させる油圧は、例えばエンジン4の出力トルクに応じた圧力であればよく、したがってクラッチコントロール圧PCに替えてラインプレッシャモジュレータ圧PLmが供給される。そのために、切換弁78に連通されている電磁弁107がオフ制御され、その結果、切換弁78の制御ポート94に信号圧が作用しなくなるので、切換弁78が「ロック状態」に切り替わっている。すなわち、クラッチ圧出力ポート79に第1クラッチ圧入力ポート80が連通し、ラインプレッシャモジュレータ圧PLmがクラッチ圧出力ポート79からマニュアルバルブ117を介して前進用クラッチ17に供給される。
したがって、各制御弁40,41には、前述した各リニアソレノイドバルブ76,77がそれぞれ連通させられ、これらのリニアソレノイドバルブ76,77が車両の走行状態に応じて制御されて信号圧を出力し、その結果、無段変速機1での挟圧力が入力トルクに応じた圧力に制御され、また変速比が適宜に制御される。
つぎに、走行中にバルブの異常(フェール)が生じた場合の制御について、フローチャートを参照して説明する。図6において、先ず、前記切換弁78の故障の有無が判定される(ステップS1)。その故障は、具体的には、スプール88が引っ掛かって(スティックして)動かなくなる異常であり、これは、制御信号と検出された油圧とに基づいて判定することができる。
例えばフェールに対応するために、前記切換弁78を「コントロール状態」に切り替えるように電磁弁107をオン制御し、その状態でクラッチコントロール圧PCあるいは挟圧力を制御するためのデューティーソレノイドバルブ98のデューティー比と、従動プーリ20におけるアクチュエータ22の油圧Poutとの関係を検出する。なお、この油圧Poutは油圧センサー63によって検出される。
切換弁78が「コントロール状態」になっていれば、そのデューティーソレノイドバルブ98が挟圧力制御弁41に連通されているので、デューティー比の変化に応じて前記油圧Poutが変化するはずであるが、これとは異なり、前記油圧Poutが変化しなければ、切換弁78が切り替わっておらず、バルブスティックが生じていると判定することができる。
また、リニアソレノイドバルブ77は、挟圧力制御弁41に対して遮断されているはずであるから、そのリニアソレノイドバルブ77の電流値の変化に応じた前記油圧Poutの変化が検出された場合も、同様に、バルブスティックが生じていると判定することができる。
このステップS1で肯定的に判断された場合には、故障判断を成立させ(ステップS2)、リターンする。すなわち、切換弁78が故障すると、最早、修理をおこなわざるを得ないので、故障判定フラグを立てるとともに警報を発するなどの故障判断を成立させ、その故障に対応する措置を促す。
これとは反対にステップS1で否定的に判断された場合、すなわち切換弁78の故障が検出されなかった場合には、挟圧力制御用のリニアソレノイドバルブ77の断線や短絡などの異常が判断される(ステップS3)。この判断は、そのリニアソレノイドバルブ77の電流値に基づいておこなうことができ、電流値が急激にゼロになったり、あるいは一定電流が所定時間継続するなどの場合には、断線もしくは短絡が生じていることになるので、このような電流値の状態によって異常を判断することができる。
このステップS3で否定的に判断された場合、すなわち前記リニアソレノイドバルブ77の異常が検出されなかった場合には、変速制御用のリニアソレノイドバルブ76の断線や短絡などの異常が判断される(ステップS4)。この判断は、上記のステップS3の判断と同様にしておこなうことができる。そして、このステップS4で否定的に判断された場合には、切換弁78および各リニアソレノイドバルブ76,77に異常が生じていないことになるので、通常の制御が実行され(ステップS5)、リターンする。その通常制御は、図5を参照して上述したとおりである。
これに対して、ステップS3もしくはステップS4で肯定的に判断された場合、すなわちいずれかのリニアソレノイドバルブ76,77の異常が検出されると、切換弁78用およびロックアップ制御用の電磁弁107がオン制御される(ステップS6)。ドライブパターンでの通常の走行時には、この電磁弁107はオフ制御され、切換弁78を「ロック状態」に設定するが、上記の異常が検出された場合には、その電磁弁107はオン制御されて信号圧を出力する。
その結果、切換弁78の制御ポート94に信号圧が印加されるので、そのスプール88が図4の右半分に示す位置に下がり、切換弁78が「コントロール状態」の切り替わる。したがって、切換弁78においては、第1信号圧第1入力ポート82が閉じられて、第1信号圧第2入力ポート84が第1信号圧出力ポート83に連通し、また第2信号圧第1入力ポート85が閉じられて、第2信号圧第2入力ポート87が第2信号圧出力ポート86に連通する。すなわち、挟圧力制御弁41には、リニアソレノイドバルブ77に替わってデューティーソレノイドバルブ98が連通させられ、また変速油圧制御弁40には、リニアソレノイドバルブ76に替わってデューティーソレノイドバルブ95が連通させられる。
また一方、上記の電磁弁107が出力する信号圧は、ロックアップコントロールバルブ96の制御ポート108にも印加されるので、ロックアップコントロールバルブ96は、解放圧を出力するように制御され、その結果、ロックアップクラッチ11は解放状態(OFF状態)に設定される。
このような切換制御と同時に、あるいはその切換制御と相前後して、エンジン4のトルクダウン制御が実行される(ステップS7)。この制御は、前述した変速機用電子制御装置31からエンジン用電子制御装置32に信号を送り、それに基づいてエンジン用電子制御装置32によって実行される。例えば、前記ステップS3もしくはステップS4のいずれかで肯定的に判断された場合に、フェールフラグを立て、そのフェールフラグが立っていることに基づいてエンジン用電子制御装置32がエンジン4におけるスロットル開度を減じ、あるいは点火時期を遅角し、もしくは燃料噴射量を減じるなどの制御を実行する。なお、そのトルク低減量は、車両の挙動の急激な変動が生じないように、走行状態に応じて予め定めておくことができる。
いずれかのリニアソレノイドバルブ76,77の異常が判断された場合、各制御弁40,41には、これらのリニアソレノイドバルブ76,77に替えて、各デューティーソレノイドバルブ95,98が連通されるので、これらのデューティーソレノイドバルブ95,98が出力する信号圧によって、変速油圧制御弁40および挟圧力制御弁41のそれぞれの油圧Pin,Poutが制御される(ステップS8)。したがって、変速油圧制御弁40によって制御された油圧が駆動側プーリ21のアクチュエータ19に供給され、また挟圧力制御弁41で制御された油圧が従動プーリ20におけるアクチュエータ22に供給される。その結果、変速制御および挟圧力制御が継続的に実行され、通常状態に近い走行が確保される。
一方、各制御弁40,41に信号圧を供給するバルブが、前記リニアソレノイドバルブ76,77から各デューティーソレノイドバルブ95,98に切り替わった場合にも、各制御弁40,41における信号圧のうち圧力の高い方向の信号圧が前記選択弁109によって選択されてプライマリーレギュレータバルブ65に供給される。すなわち、無段変速機1で必要とする高い圧力に応じてライン圧PLが調圧されるので、変速制御や挟圧力制御のための油圧が不足することはない。
すなわち、いずれかのリニアソレノイドバルブ76,77に異常が生じても、各制御弁40,41には、車両の状態に応じて高低に変化させることのできる信号圧を供給できるので、無段変速機1を通常状態に近い状態で制御することができる。例えば、変速比を一定値に固定せずに、車両の状態に応じて変化させることができ、またベルト挟圧力を車両の状態に応じて高低に変化させることができるので、異常が発生していても違和感のない走行を確保でき、あるいは違和感を軽減することができる。
また、リニアソレノイドバルブ76,77に異常が生じた場合に各制御弁40,41に対して信号圧を供給するバルブの切り替えは、前進用クラッチ17の油圧を切り替えるために設けられている切換弁78によっておこなうことができ、また代替的に使用されるデューティーソレノイドバルブは、クラッチコントロール圧PCやロックアップクラッチ11を制御するために既に設けられているデューティーソレノイドバルブ95,98であるから、いわゆるフェールのみに備えた新たな機器を設ける必要がないので、油圧制御装置の大型化を回避もしくは抑制することができる。
さらに、上記の具体例では、二つのリニアソレノイドバルブ76,77のうちのいずれか一方のみに異常が生じた場合であっても、これら二つのリニアソレノイドバルブ76,77に替えて前記デューティーソレノイドバルブ95,98を使用するので、各制御弁40,41に対する信号圧の制御幅などの特性が近似し、その結果、上記の異常が生じた後の変速制御および挟圧力制御が容易になり、あるいは円滑化される。
なお、リニアソレノイドバルブとデューティーソレノイドバルブとを比較した場合、油圧の制御精度は、リニアソレノイドバルブの方が勝っており、したがって上記の異常によってデューティーソレノイドバルブ95,98が、各制御弁40,41に対して信号圧を供給するようになると、その制御精度が幾分低下する可能性がある。しかしながら、上記の具体例では、デューティーソレノイドバルブ95,98の信号圧を前記各制御弁40,41に対する信号圧とする場合には、エンジントルクを低下させ、またロックアップクラッチ11を解放状態とするので、過渡的な制御のばらつきでエンジン4の出力側のトルクが大きくなっても、エンジンストールを抑制することができる。さらに、エンジントルクを低下させることにより、ベルト滑りを防止もしくは抑制することができる。
ところで、いずれかのリニアソレノイドバルブ76,77の異常に起因して切換弁78が上記のように切り替わると、前進用クラッチ17には、デューティーソレノイドバルブ98で制御されたクラッチコントロール圧PCが供給されることになる。そして、そのデューティーソレノイドバルブ98のデューティー比は無段変速機1の挟圧力を入力トルクに応じた圧力に設定するように制御される。
したがって挟圧力の制御に伴って前進用クラッチ17の係合圧が変化することになるが、その係合圧は、それに基づいて設定される前進用クラッチ17のトルク容量が、前進用クラッチ17にエンジン4側から入力されるトルクより大きくなるように構成されている。具体的には、例えば前述したクラッチコントロールバルブ99の調圧レベルを、スプリング100の弾性力や各信号圧の受圧面積などに応じて適宜に設定することにより、前進用クラッチ17のトルク容量が係合圧の変化に関わらず、入力トルクより大きくなるように構成されている。
この発明の係る上記の油圧制御装置では、変速比を制御するためのリニアソレノイドバルブ76もしくは挟圧力を制御するためのリニアソレノイドバルブ77のいずれかの異常が検出されると、前記各制御弁40,41に対して信号圧を供給するバルブが、各リニアソレノイドバルブ76,77からデューティーソレノイドバルブ95,98に切り替えられる。その場合、各リニアソレノイドバルブ76,77の制御要因あるいは制御目的と、各デューティーソレノイドバルブ95,98の制御要因あるいは制御目的とが異なっているので、前述した異常の検出に伴う前記切換弁78の切り替えすなわち電磁弁107のオン制御に先立って、以下に述べる制御を実行することが好ましい。
図7は、いわゆるフェールに伴う電磁弁107のオン制御に先立つ制御の一例を説明するためのフローチャートであって、先ず、いずれかのリニアソレノイドバルブ76,77にフェールが生じているか否かが判断される(ステップS11)。これは、前述した図6に示すルーチンのステップS3もしくはステップS4で肯定的に判断された場合にセットされるフラグもしくはプログラムスイッチを設けておき、そのフラグもしくはプログラムスイッチの状態を判断することとすればよい。
このステップS11で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくリターンする。これに対してステップS11で肯定的に判断された場合には、各プーリ19,20におけるアクチュエータ21,22の油圧Pin,Poutを読み込む(ステップS12)。これらの油圧Pin,Poutは、前述した油圧センサー62,63で検出されており、したがってステップS12では、それらのセンサー62,63の検出値を取り込むことになる。
ついで、その読み込んだ油圧Pin,Poutに基づいて、各デューティーソレノイドバルブ95,98のデューティー比を算出する(ステップS13)。この制御は、各制御弁40,41に対して信号圧を供給するバルブを、リニアソレノイドバルブ76,77からデューティーソレノイドバルブ95,98に切り替える前後での各油圧Pin,Poutの変化を防止もしくは抑制するための制御である。したがって、例えば各油圧Pin,Poutと、各デューティーソレノイドバルブ95,98のデューティー比との関係を、図8に示すようなマップとして予め用意し、検出した油圧Pin,Poutに対応するデューティー比を求めればよい。そして、このようにして算出されたデューティー比で各デューティーソレノイドバルブ95,98を制御しておく。その後、前記電磁弁107がオン状態に切り替えられる(ステップS14)。
このように制御すれば、いずれかのリニアソレノイドバルブ76,77の異常によって切換弁78が切り替え動作する場合、各デューティーソレノイドバルブ95,98のデューティー比が、従前の各油圧Pin,Poutを設定する値になっているので、切換弁78の切り替えに伴ってこれらの油圧Pin,Poutが殆ど変化せず、そのため違和感が生じることを防止もしくは抑制することができる。
ここで、この発明と上記の具体例との関係を簡単に説明すると、図6に示すステップS3,S4の機能的手段が、この発明の異常検出手段に相当し、またステップS7の機能的手段が、この発明において動力源の出力トルクを低下させる手段に相当し、さらに図7に示すステップS12,S13の機能的手段が、この発明における第3電磁弁および第4電磁弁の出力する信号圧を求める手段に相当する。
なお、この発明は、上述した具体例に限定されないのであって、ベルト式無段変速機を対象とする油圧制御装置以外の油圧制御装置にも適用することができる。また、この発明における動力源は、エンジンに限らないのであって、電動機であってもよく、あるいは内燃機関と電動機とを組み合わせたハイブリッド形式の動力源であってもよい。さらに、油圧をエンジンで駆動される油圧ポンプで発生させる以外に、電動機によって駆動されるポンプで発生させる油圧制御装置であってもよい。
この発明の油圧制御装置の一例を示すブロック図である。 その一部の詳細を示す部分油圧回路図である。 他の一部の詳細を示す部分油圧回路図である。 更に他の一部の詳細を示す部分油圧回路図である。 ロックアップクラッチ、切換弁、各ソレノイドバルブ(電磁弁)の動作状態をまとめて示す図表である。 いわゆるフェールの検出とフェール時の制御とを説明するためのフローチャートである。 切換弁の切り替え動作に先立つデューティー比の制御を説明するためのフローチャートである。 そのデューティー比を算出するためのマップの一例を示す図である。 この発明で対象とするベルト式無段変速機を含む動力の伝達系統を示すブロック図である。
符号の説明
1…無段変速機、 3…トルクコンバータ、 4…エンジン、 11…ロックアップクラッチ、 19…駆動プーリ、 20…従動プーリ、 23…ベルト、 40…変速油圧制御弁、 41…挟圧力制御弁、 76,77…リニアソレノイドバルブ、 78…切換弁(クラッチアプライコントロールバルブ)、 95,98…デューティーソレノイドバルブ。

Claims (9)

  1. 第1電磁弁の出力する信号圧に応じて動作する第1油圧制御弁と、第2電磁弁の出力する信号圧に応じて動作する第2油圧制御弁とを備えた油圧制御装置において、
    前記第1電磁弁の出力する信号圧に替わる信号圧を出力する第3電磁弁と、
    前記第2電磁弁の出力する信号圧に替わる信号圧を出力する第4電磁弁と、
    前記第1電磁弁および第2電磁弁の異常を検出する異常検出手段と、
    その異常検出手段が第1電磁弁および第2電磁弁のいずれかの異常を検出した場合には、前記第1油圧制御弁に供給する信号圧を第1電磁弁の出力する信号圧から前記第3電磁弁の出力する信号圧に切り替えるとともに、前記第2油圧制御弁に供給する信号圧を第2電磁弁の出力する信号圧から前記第4電磁弁の出力する信号圧に切り替える切換機構と
    を備えていることを特徴とする油圧制御装置。
  2. 前記第1油圧制御弁から出力された油圧が供給されてベルトを挟み付ける第1プーリ、および前記第2油圧制御弁から出力される油圧が供給されて前記ベルトを挟み付ける第2プーリを有するベルト式無段変速機と、
    そのベルト式無段変速機が搭載された車両の発進の際に調圧された油圧を出力しかつ発進完了後にその調圧された油圧に替えて一定圧を出力する切換弁とを更に備え、
    前記切換機構が前記切換弁に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
  3. 前記ベルト式無段変速機と直列に配置された摩擦係合装置を更に備え、
    前記切換弁が、その摩擦係合装置に前記調圧された油圧と一定圧とを選択的に供給する弁であることを特徴とする請求項2に記載の油圧制御装置。
  4. 前記ベルト式無段変速機を含む動力の伝達経路中に設けられたロックアップクラッチを有する流体伝動機構を更に備え、
    前記第3電磁弁が、前記摩擦係合装置に供給する油圧を調圧するための信号圧を出力する電磁弁と前記ロックアップクラッチの係合・解放の制御をおこなうための信号圧を出力する電磁弁のいずれか一方であり、かつ前記第4電磁弁が、前記摩擦係合装置に供給する油圧を調圧するための信号圧を出力する電磁弁と前記ロックアップクラッチの係合・解放の制御をおこなうための信号圧を出力する電磁弁のいずれか他方であることを特徴する請求項3に記載の油圧制御装置。
  5. 前記ベルト式無段変速機を含む動力の伝達経路中に設けられたロックアップクラッチを有する流体伝動機構を更に備え、
    前記切換機構が切換動作する際に前記ロックアップクラッチを解放状態とするように構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の油圧制御装置。
  6. 前記ベルト式無段変速機が出力側に連結された動力源を更に備え、
    前記異常検出手段が前記異常を検出した場合に前記動力源の出力トルクを低下させる手段を備えていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の油圧制御装置。
  7. 前記第3電磁弁の出力する信号圧を前記切換機構を介して前記第1油圧制御弁に供給している状態における前記第3電磁弁の出力する信号圧に基づいて定まる前記摩擦係合装置のトルク容量が、その時点で前記摩擦係合装置に作用するトルクより大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の油圧制御装置。
  8. 前記第1油圧制御弁に供給される信号圧と前記第2油圧制御弁に供給される信号圧とのうちの圧力の高い方の信号圧を選択する選択弁と、
    その選択弁によって選択されて出力される信号圧に基づいてライン圧を調圧するライン圧調圧弁と
    を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の油圧制御装置。
  9. 前記異常検出手段が前記異常を検出することに伴って前記切換機構が切換動作する前の前記第1油圧制御弁もしくは前記第2油圧制御弁によって設定されている油圧に基づき、該油圧を設定するために必要な前記第3電磁弁もしくは第4電磁弁の出力する信号圧を求める手段を備え、その求められた信号圧によって前記切換機構が切換動作した後に前記第1油圧制御弁もしくは第2油圧制御弁を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の油圧制御装置。
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