JP2004179457A - Iii族窒化物系化合物半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】サファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層とを簡易にかつ安定して優れた鏡面度に劈開できるようにする。
【構成】サファイアa面基板上にスパッタ法でIII族窒化物系化合物半導体からなるバッファ層を形成し、当該バッファ層の上に周知の方法で素子機能を奏するIII族窒化物系化合物半導体層を形成すると、サファイア基板のm軸とIII族窒化物系化合物半導体層のm軸とが平行になる。
【選択図】 図1
【構成】サファイアa面基板上にスパッタ法でIII族窒化物系化合物半導体からなるバッファ層を形成し、当該バッファ層の上に周知の方法で素子機能を奏するIII族窒化物系化合物半導体層を形成すると、サファイア基板のm軸とIII族窒化物系化合物半導体層のm軸とが平行になる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法に関する。更に詳しくは、この発明はIII族窒化物系化合物半導体レーザ素子の共振面を形成するのに好適である。
【0002】
【従来の技術】
短波長の光を放出するレーザ素子としてIII族窒化物系化合物半導体を用いるものが提案されている。レーザ素子には共振面が必要となり、III族窒化物系化合物半導体からなるレーザ素子では当該共振面をエッチングにより形成していた。しかしながら、エッチングによる方法では共振面に凸凹が生じやすく、III族窒化物系化合物半導体へのダメージも大きく品質の良い共振面を得られ難かった。
【0003】
一方、劈開によりレーザ素子の共振面を形成する方法が検討されている(特許文献1参照)。この方法では、III族窒化物系化合物半導体をサファイアa面基板上に成長させ、III族窒化物系化合物半導体のm面のうち少なくとも1つの面がサファイア基板のc面と平行になり、即ちIII族窒化物系化合物半導体のm軸がサファイア基板のc軸が平行になる。このようにすると、サファイア基板のR面とIII族窒化物系化合物半導体層のm面とがほぼ一致する。従って、レーザ素子を作製する際、サファイア基板のR面を劈開すると同時にIII族窒化物系化合物半導体層のm面が劈開され、もって共振面を容易に得ることができる。
また、本発明のIII族窒化物系化合物半導体層の形成に関連する技術として特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照されたい。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−275243号公報
【特許文献2】
特開2000−286202号公報
【特許文献3】
特開2001−94150号公報
【特許文献4】
特開平11−145516号公報
【特許文献5】
特開平10−312971号公報
【特許文献6】
特開2000−174395号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の方法によれば、サファイア基板のR面を劈開すると同時にIII族窒化物系化合物半導体層のm面が劈開され、もって共振面を容易に得ることができる。
この発明は、共振面を劈開により容易に形成する新規な方法を提案することを目的とする。
この発明の他の目的は、劈開による分割面を有するIII族窒化物系化合物半導体素子及びその製造方法を提案することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの検討によれば、サファイア基板にIII族窒化物系化合物半導体を成長させる場合、バッファ層の成膜方法及びサファイア基板の面の選択如何によって、当該III族窒化物系化合物半導体層の成長方向は図1に示すようになった。なお、バッファ層はAlNからなり、その膜厚は5〜300nmとした。また、III族窒化物系化合物半導体層はGaNからなり、膜厚4μm、その成長方法はMOCVDである。
ここで驚くべきことは、図1(3)に示すように、サファイアa面基板上にバッファ層としてIII族窒化物系化合物半導体層をスパッタ法で形成するとサファイア基板のm軸とIII族窒化物系化合物半導体層のm軸とが平行になり、両者のm面が平行になることである。他方、バッファ層をMOCVD法で形成した場合(図1(1)、図1(2))やバッファ層をスパッタ法で形成したとしてもサファイアc面基板上の場合(図1(4))は、サファイア基板のm軸とIII族窒化物系化合物半導体層のm軸とが30度ずれている。
III族窒化物系化合物半導体層はもとよりサファイア基板はそれぞれm面で容易に劈開させることができる。よって、図1(3)に示すようにサファイア基板のm面とIII族窒化物系化合物半導体層のm面とが平行になっていると、III族窒化物系化合物半導体層の共振面を劈開により形成する作業が容易になり且つ鏡面度が優れる。従って、製造の歩留まりが向上し製造コストが低減する。ひいては安価で閾値電流や駆動電流特性に優れた長寿命の素子の提供が可能になる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の要素について詳細に説明する。
(サファイア基板)
この発明のIII族窒化物系化合物半導体素子ではサファイア基板を採用した。既存のIII族窒化物系化合物半導体素子の大部分は基板としてサファイアを採用しており、その結果製造装置として既存のものをそのまま使用できるからである。本発明者らの検討によれば、III族窒化物系化合物半導体層のm軸とサファイア基板のm軸とを平行にするためには、サファイアa面基板上にIII族窒化物系化合物半導体を成長させることが好ましい。
【0008】
(III族窒化物系化合物半導体)
III族窒化物系化合物半導体は、一般式としてAlXGaYIn1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表され、AlN、GaN及びInNのいわゆる2元系、AlxGa1−xN、AlxIn1−xN及びGaxIn1−xN(以上において0<x<1)のいわゆる3元系を包含する。III族元素の少なくとも一部をボロン(B)、タリウム(Tl)等で置換しても良く、また、窒素(N)の少なくとも一部もリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換できる。
【0009】
III族窒化物系化合物半導体は任意のドーパントを含むものであっても良い。n型不純物として、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、テルル(Te)、カーボン(C)等を用いることができる。p型不純物として、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等を用いることができる。なお、p型不純物をドープした後にIII族窒化物系化合物半導体を電子線照射、プラズマ照射若しくは炉による加熱にさらすことができるが必須ではない。
【0010】
(素子)
素子には、発光ダイオード、受光ダイオード、レーザダイオード、太陽電池等の光素子の他、整流器、サイリスタ及びトランジスタ等のバイポーラ素子、FET等のユニポーラ素子並びにマイクロウェーブ素子などの電子デバイスを挙げられる。また、これらの素子の中間体としての積層体にも本発明は適用されるものである。なお、発光素子の構成としては、MIS接合、PIN接合やpn接合を有したホモ構造、ヘテロ構造若しくはダブルへテロ構造のものを用いることができる。発光層として量子井戸構造(単一量子井戸構造若しくは多重量子井戸構造)を採用することもできる。
いずれの素子においても本発明を適用すると、サファイア基板のm面とIII族窒化物系化合物半導体層のm面とが平行になるので、当該m面を分離面としたとき、m面に平坦性及び平行性を確保でき、素子の特性を向上させることができる。
m面での劈開により共振面を形成する見地からは、本発明を適用する素子としてレーザ素子が最適である。かかるレーザ素子のタイプは特に限定されるものではなく、電極ストライプタイプ、メサストライプタイプ、ヘテロアイソレーションタイプ等の利得導波型ストライプタイプレーザや埋込みヘテロタイプ、CSPタイプ、リブガイドタイプ等の造り付け導波ストライプタイプレーザを挙げることができる。
【0011】
(III族窒化物系化合物半導体層の形成)
サファイア基板上へスパッタ法により第1のIII族窒化物系化合物半導体からなるバッファ層を形成し、その後汎用的な成膜方法で素子の機能部分を構成する第2のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する。これにより、図2に示すように、第2のIII族窒化物系化合物半導体層のm軸がサファイア基板のm軸と平行になる。
このバッファ層として実施例ではAlNを採用したが、GaNその他の一般式としてAlXGaYIn1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表されるIII族窒化物系化合物半導体を用いることができる。
【0012】
バッファ層を有機金属気相成長法(MOCVD法)で形成した場合には第2のIII族窒化物系化合物半導体層のm軸がサファイア基板のm軸と平行にならないことは既述のとおりである(図1参照)。実施例では第1のIII族窒化物系化合物半導体層としてバッファ層をDCマグネトロンスパッタ法により形成し、その後第2のIII族窒化物系化合物半導体層をMOCVD法で形成した。
第1のIII族窒化物系化合物半導体層の形成方法は、スパッタ法の他、蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法及びECR法等の有機金属を使用しない方法を用いることができると考えられる。スパッタ法にはリアクティブスパッタ法も含まれ、特にDCマグネトロンスパッタ法を採用することが好ましい。
【0013】
かかるバッファ層としての第1のIII族窒化物系化合物半導体層の膜厚は5nm〜300nmとすることが好ましい。スパッタを行うときの基板温度は1200℃以下とすることが好ましく、更に好ましくは800℃以下である。
このようにして得られた第1のIII族窒化物系化合物半導体層は水素ガス又は窒素ガスと窒素材料ガス(アンモニア、ヒドラジン等)との混合ガス、好ましくは水素ガスとアンモニアガスとの混合ガスの雰囲気下で熱処理し再結晶化をすることが好ましい。このときの熱処理温度は1000〜1250℃とすることが好ましい。
以上、第1のIII族窒化物系化合物半導体半導体層の成膜条件およびその処理条件は既述の特許文献2及び特許文献3を参照されたい。
【0014】
第2のIII族窒化物系化合物半導体層は周知の成膜方法で形成することができる。有機金属気相成長法(MOCVD法)のほか、分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド系気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法を用いることができる。
【0015】
(III族窒化物系化合物半導体層の成長方法について)
例えばレーザ素子においてはIII族窒化物系化合物半導体層に結晶欠陥の少ない高い結晶性が要求される。そのため、いわゆる横方向成長を採用することが好ましい。
そのために、図2に示すように、第2のIII族窒化物系化合物半導体層を形成後に成長抑止領域を形成する。この成長抑止領域は第1、第2のIII族窒化物系化合物半導体層をエッチングにより除去してサファイア基板を表出させたものである。III族窒化物系化合物半導体層の表面平坦性を考慮すると、各成長抑止領域はその上に形成される第2のIII族窒化物系化合物半導体層のm軸方向に向いた長帯状に形成するのが好ましい。第2のIII族窒化物系化合物半導体層のm軸とサファイア基板のm軸とは同じ方向を向いているので、結果として成長抑止領域の成形方向は基板のm軸へ向いたものとなる。この成長抑止領域の方向が他の方向、例えば基板のc軸方向を向いていると第2のIII族窒化物系化合物半導体層の表面を平坦にし難い。
かかる成長抑止領域については特許文献4等を参照されたい。
【0016】
成長抑止領域としてバッファ層の上にSiO2、SiNx等の絶縁材料層を形成してもよい。なお、第1のIII族窒化物系化合物半導体層(バッファ層)の上に一旦第2のIII族窒化物系化合物半導体層を成長させてそこに絶縁材料層からなる成長抑止領域を形成し、その後再びIII族窒化物系化合物半導体層を成長させることもできる。
絶縁材料層からなる成長抑止領域については特許文献5等を参照されたい。
【0017】
III族窒化物系化合物半導体層に高い平滑性を確保するには、サファイア基板のa面に所定のオフ角を持たせることが好ましい。本発明者らの検討によれば、サファイア基板のm軸に対して0.15〜0.35°の第1のオフ角(θ1)と、サファイア基板のc軸に対して0〜0.05°第2のオフ角(θ2)を形成することが好ましい。
【0018】
本発明のように劈開されたIII族窒化物系化合物半導体層のm面には優れた鏡面性が得られる。また、図2からも明らかなとおり、平面からみてハニカム状に結晶が配列したIII族窒化物系化合物半導体層においてm面には高い平行性も確保できる。劈開面の反射効率を更に向上するため、当該m面に誘電体多層膜等からなる反射面を形成することができる。
【0019】
図3A及びBにそれぞれ本発明及び比較例のGaN層の顕微鏡写真を示す。即ち、図3Aの例ではサファイアa面基板上にスパッタ法によりAlNバッファ層を形成し、更にその上にMOCVD法によりGaN層を形成した。これは、図1の(3)に対応する。他方図3Bの例ではサファイア基板のa面上にMOCVD法によりバッファ層を形成し、更にその上にMOCVD法によりGaN層を形成した。これは、図1の(2)に対応している。
【0020】
図中矢印でサファイア基板のm軸の方向を示している。図中に見える六角形はGaN層端面のピット(孔)であり、ピットはGaN層の成長面内における成長方向を示している。
図3Aに示す本発明の例では、図1(3)と同様に、サファイア基板のm軸とGaN層のm軸とが同方向を向いていることがわかる。また、図3Bに示す比較例では、図1(2)と同様に、GaN層のa軸がサファイア基板のm軸と平行になっている。
【0021】
【実施例】
以下、この発明の実施例について説明する。
半導体レーザの例を図4に示す。
図4の各層のスペックは次ぎの通りである。
【0022】
上記において、第1のn型層103はn型コンタクト層、第2のn型層104はn型クラッド層、第3のn型層105はn型ガイド層、MQW層106は発光層、第1のp型層107はp型ガイド層、第2のp型層108はn型クラッド層、第3のp型層109はn型コンタクト層としてそれぞれ機能する。
【0023】
上記においてバッファ層の材料としてGaN、InN、AlGaN、InGaN及びAlInGaN等を用いることができる。さらに基板とバッファ層は半導体素子形成後に、必要に応じて、除去することもできる。
ここでn型層103、104、105にはGaN、AlGaN、InGaN若しくはAlInGaNを用いることができる。
また、n型層103、104、105にはn型不純物としてSiをドープしたが、このほかにn型不純物として、Ge、Se、Te、C等を用いることもできる。
MQW層106にはInGaN/GaNの多重量子井戸構造の他、AlGaN/AlGaInN等の多重量子井戸構造を採用することができる。量子井戸層の数は5〜30とすることが好ましい。
【0024】
p型層107、108、109はGaN、AlGaN、InGaN又はInAlGaNとすることもできる、また、p型不純物としてはMgの代わりにZn、Be、Ca、Sr、Baを用いることもできる。p型不純物の導入後に、電子線照射、炉による加熱、プラズマ照射等の周知の方法により低抵抗化することも可能である。
【0025】
上記構成のレーザダイオードは次のようにして製造される。
まず、DCマグネトロンスパッタ装置の反応装置内にサファイア基板101をセットし以下の条件でバッファ層102を形成する。
基板: サファイアA面
基板温度: 430℃
AlN層の膜厚: 64nm
スパッタガス: Ar(8sccm)/N2(10sccm)
DCパワー: 0.5W(但し、電極面積約8000cm2)
【0026】
次に、基板をMOCVD装置に移し、水素ガスをキャリアガスとしてMOCVD法で第1のn型層103より上のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する。なお、第1のn型層形成時の基板温度は1130℃である。
【0027】
n電極112はAlを含む材料で形成され、第3のp型層109を形成した後、半導体層109〜104及び第1の半導体層103の一部をエッチングにより除去し、蒸着により表出した第1のn型層103上に形成される。
このときエッチング形状はストライプ状であり、図4において紙面垂直方向がサファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層の各m軸方向となるようにする。
【0028】
p電極113はNiを含む材料で構成されており、蒸着により形成される。
上記構成の発光素子において、第1のn型層101より上のIII族窒化物系化合物半導体層はMOCVD法の他、分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド系気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法等の方法で形成することもできる。
【0029】
このようにして発光素子を構成する各層をウエハに形成した後、サファイア基板側からダイヤモンドカーター等でそのm面に沿うように分割溝を形成し、割ることにより、サファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層とが各m面にそって劈開し、鏡面を持ったバー状のウエハが得られる。この実施例ではIII族窒化物系化合物半導体層とサファイア基板の各m面が平行になっているので、m面での劈開が崩れることなく鏡面度も優れ高い歩留まりを達成できる。また、III族窒化物系化合物半導体層側に分割溝を設けても鏡面をもったバー状のウエハを得ることができる。
次に、III族窒化物系化合物半導体層のm面(対向する共振面)に誘電体多層膜を形成し、バー状のウエハを適宜分割してレーザチップとする。
【0030】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0031】
以下、次ぎの事項を開示する。
11 サファイア基板の上に該サファイア基板のm軸と平行なm軸を持つIII族窒化物系化合物半導体層を形成するステップと、前記サファイア基板及び前記III族窒化物系化合物半導体層をそれらのm面で劈開して前記III族窒化物系化合物半導体層のm面を共振面とするステップと、
を含むことを特徴とする共振面の形成方法。
12 前記III族窒化物系化合物半導体層形成ステップは、前記サファイアa面基板上に第1のIII族窒化物系化合物半導体層をスパッタ法で形成する第1の半導体層形成ステップと該第1のIII族窒化物系化合物半導体層の上に第2のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップとを含む、ことを特徴とする11に記載の共振面の形成方法。
13 前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層はAlNからなる、ことを特徴とする12に記載の共振面の形成方法。
14 前記第2の半導体形成ステップはMOCVD法である、ことを特徴とする12又は13に記載の共振面の形成方法。
15 前記第1の半導体形成ステップと前記第2の半導体形成ステップの後にストライプ状の成長抑止領域を前記III族窒化物系化合物半導体のm軸方向に形成するステップが更に含まれる、ことを特徴とする12〜14のいずれかに記載の共振面の形成方法。
16 前記成長抑止領域は前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層と前記第2のIII族窒化物系化合物半導体層をエッチングして露出された前記サファイア基板からなる、ことを特徴とする15に記載の共振面の形成方法。
17 前記サファイア基板のa面には、前記サファイア基板のm軸に対して0.15〜0.35°の第1のオフ角と、前記サファイア基板のc軸に対して0〜0.05°の第2のオフ角が形成されている、ことを特徴とする16に記載の共振面の形成方法。
21 サファイア基板の上に該サファイア基板のm軸と平行なm軸を持つIII族窒化物系化合物半導体層が形成され、前記サファイア基板及び前記III族窒化物系化合物半導体層はそれらのm面で劈開されている、
ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体素子。
22 前記III族窒化物系化合物半導体層形成ステップは、前記サファイアa面基板上に第1のIII族窒化物系化合物半導体層をスパッタ法で形成する第1の半導体層形成ステップと該第1のIII族窒化物系化合物半導体層の上に第2のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップとを含む、ことを特徴とする21に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
23 前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層はAlNからなる、ことを特徴とする22に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
24 前記第2の半導体形成ステップはMOCVD法である、ことを特徴とする22又は23に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
25 前記第1の半導体形成ステップと前記第2の半導体形成ステップの後にストライプ状の成長抑止領域を前記サファイア基板のm軸方向に形成するステップが更に含まれる、ことを特徴とする22〜24のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
26 前記成長抑止領域は前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層と前記第2のIII族窒化物系化合物半導体層をエッチングして露出された前記サファイア基板からなる、ことを特徴とする25に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。27 前記サファイア基板のa面には、前記サファイア基板のm軸に対して0.15〜0.35°の第1のオフ角と、前記サファイア基板のc軸に対して0〜0.05°の第2のオフ角が形成されている、ことを特徴とする26に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はサファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層の結晶方向を示す図である。
【図2】図2はこの発明のサファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層の結晶方向を模式的に示す図である。
【図3】図3はこの発明の実施例と比較例のGaN層の表面顕微鏡写真である。
【図4】図4はこの発明の実施例の発光素子の層構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
101 基板
102 バッファ層
103 第1のn型層
104 第2のn型層
105 第3のn型層
106 MQW層
107 第1のp型層
108 第2のp型層
109 第3のp型層
【産業上の利用分野】
本発明はIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法に関する。更に詳しくは、この発明はIII族窒化物系化合物半導体レーザ素子の共振面を形成するのに好適である。
【0002】
【従来の技術】
短波長の光を放出するレーザ素子としてIII族窒化物系化合物半導体を用いるものが提案されている。レーザ素子には共振面が必要となり、III族窒化物系化合物半導体からなるレーザ素子では当該共振面をエッチングにより形成していた。しかしながら、エッチングによる方法では共振面に凸凹が生じやすく、III族窒化物系化合物半導体へのダメージも大きく品質の良い共振面を得られ難かった。
【0003】
一方、劈開によりレーザ素子の共振面を形成する方法が検討されている(特許文献1参照)。この方法では、III族窒化物系化合物半導体をサファイアa面基板上に成長させ、III族窒化物系化合物半導体のm面のうち少なくとも1つの面がサファイア基板のc面と平行になり、即ちIII族窒化物系化合物半導体のm軸がサファイア基板のc軸が平行になる。このようにすると、サファイア基板のR面とIII族窒化物系化合物半導体層のm面とがほぼ一致する。従って、レーザ素子を作製する際、サファイア基板のR面を劈開すると同時にIII族窒化物系化合物半導体層のm面が劈開され、もって共振面を容易に得ることができる。
また、本発明のIII族窒化物系化合物半導体層の形成に関連する技術として特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照されたい。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−275243号公報
【特許文献2】
特開2000−286202号公報
【特許文献3】
特開2001−94150号公報
【特許文献4】
特開平11−145516号公報
【特許文献5】
特開平10−312971号公報
【特許文献6】
特開2000−174395号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の方法によれば、サファイア基板のR面を劈開すると同時にIII族窒化物系化合物半導体層のm面が劈開され、もって共振面を容易に得ることができる。
この発明は、共振面を劈開により容易に形成する新規な方法を提案することを目的とする。
この発明の他の目的は、劈開による分割面を有するIII族窒化物系化合物半導体素子及びその製造方法を提案することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの検討によれば、サファイア基板にIII族窒化物系化合物半導体を成長させる場合、バッファ層の成膜方法及びサファイア基板の面の選択如何によって、当該III族窒化物系化合物半導体層の成長方向は図1に示すようになった。なお、バッファ層はAlNからなり、その膜厚は5〜300nmとした。また、III族窒化物系化合物半導体層はGaNからなり、膜厚4μm、その成長方法はMOCVDである。
ここで驚くべきことは、図1(3)に示すように、サファイアa面基板上にバッファ層としてIII族窒化物系化合物半導体層をスパッタ法で形成するとサファイア基板のm軸とIII族窒化物系化合物半導体層のm軸とが平行になり、両者のm面が平行になることである。他方、バッファ層をMOCVD法で形成した場合(図1(1)、図1(2))やバッファ層をスパッタ法で形成したとしてもサファイアc面基板上の場合(図1(4))は、サファイア基板のm軸とIII族窒化物系化合物半導体層のm軸とが30度ずれている。
III族窒化物系化合物半導体層はもとよりサファイア基板はそれぞれm面で容易に劈開させることができる。よって、図1(3)に示すようにサファイア基板のm面とIII族窒化物系化合物半導体層のm面とが平行になっていると、III族窒化物系化合物半導体層の共振面を劈開により形成する作業が容易になり且つ鏡面度が優れる。従って、製造の歩留まりが向上し製造コストが低減する。ひいては安価で閾値電流や駆動電流特性に優れた長寿命の素子の提供が可能になる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の要素について詳細に説明する。
(サファイア基板)
この発明のIII族窒化物系化合物半導体素子ではサファイア基板を採用した。既存のIII族窒化物系化合物半導体素子の大部分は基板としてサファイアを採用しており、その結果製造装置として既存のものをそのまま使用できるからである。本発明者らの検討によれば、III族窒化物系化合物半導体層のm軸とサファイア基板のm軸とを平行にするためには、サファイアa面基板上にIII族窒化物系化合物半導体を成長させることが好ましい。
【0008】
(III族窒化物系化合物半導体)
III族窒化物系化合物半導体は、一般式としてAlXGaYIn1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表され、AlN、GaN及びInNのいわゆる2元系、AlxGa1−xN、AlxIn1−xN及びGaxIn1−xN(以上において0<x<1)のいわゆる3元系を包含する。III族元素の少なくとも一部をボロン(B)、タリウム(Tl)等で置換しても良く、また、窒素(N)の少なくとも一部もリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換できる。
【0009】
III族窒化物系化合物半導体は任意のドーパントを含むものであっても良い。n型不純物として、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、テルル(Te)、カーボン(C)等を用いることができる。p型不純物として、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等を用いることができる。なお、p型不純物をドープした後にIII族窒化物系化合物半導体を電子線照射、プラズマ照射若しくは炉による加熱にさらすことができるが必須ではない。
【0010】
(素子)
素子には、発光ダイオード、受光ダイオード、レーザダイオード、太陽電池等の光素子の他、整流器、サイリスタ及びトランジスタ等のバイポーラ素子、FET等のユニポーラ素子並びにマイクロウェーブ素子などの電子デバイスを挙げられる。また、これらの素子の中間体としての積層体にも本発明は適用されるものである。なお、発光素子の構成としては、MIS接合、PIN接合やpn接合を有したホモ構造、ヘテロ構造若しくはダブルへテロ構造のものを用いることができる。発光層として量子井戸構造(単一量子井戸構造若しくは多重量子井戸構造)を採用することもできる。
いずれの素子においても本発明を適用すると、サファイア基板のm面とIII族窒化物系化合物半導体層のm面とが平行になるので、当該m面を分離面としたとき、m面に平坦性及び平行性を確保でき、素子の特性を向上させることができる。
m面での劈開により共振面を形成する見地からは、本発明を適用する素子としてレーザ素子が最適である。かかるレーザ素子のタイプは特に限定されるものではなく、電極ストライプタイプ、メサストライプタイプ、ヘテロアイソレーションタイプ等の利得導波型ストライプタイプレーザや埋込みヘテロタイプ、CSPタイプ、リブガイドタイプ等の造り付け導波ストライプタイプレーザを挙げることができる。
【0011】
(III族窒化物系化合物半導体層の形成)
サファイア基板上へスパッタ法により第1のIII族窒化物系化合物半導体からなるバッファ層を形成し、その後汎用的な成膜方法で素子の機能部分を構成する第2のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する。これにより、図2に示すように、第2のIII族窒化物系化合物半導体層のm軸がサファイア基板のm軸と平行になる。
このバッファ層として実施例ではAlNを採用したが、GaNその他の一般式としてAlXGaYIn1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表されるIII族窒化物系化合物半導体を用いることができる。
【0012】
バッファ層を有機金属気相成長法(MOCVD法)で形成した場合には第2のIII族窒化物系化合物半導体層のm軸がサファイア基板のm軸と平行にならないことは既述のとおりである(図1参照)。実施例では第1のIII族窒化物系化合物半導体層としてバッファ層をDCマグネトロンスパッタ法により形成し、その後第2のIII族窒化物系化合物半導体層をMOCVD法で形成した。
第1のIII族窒化物系化合物半導体層の形成方法は、スパッタ法の他、蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法及びECR法等の有機金属を使用しない方法を用いることができると考えられる。スパッタ法にはリアクティブスパッタ法も含まれ、特にDCマグネトロンスパッタ法を採用することが好ましい。
【0013】
かかるバッファ層としての第1のIII族窒化物系化合物半導体層の膜厚は5nm〜300nmとすることが好ましい。スパッタを行うときの基板温度は1200℃以下とすることが好ましく、更に好ましくは800℃以下である。
このようにして得られた第1のIII族窒化物系化合物半導体層は水素ガス又は窒素ガスと窒素材料ガス(アンモニア、ヒドラジン等)との混合ガス、好ましくは水素ガスとアンモニアガスとの混合ガスの雰囲気下で熱処理し再結晶化をすることが好ましい。このときの熱処理温度は1000〜1250℃とすることが好ましい。
以上、第1のIII族窒化物系化合物半導体半導体層の成膜条件およびその処理条件は既述の特許文献2及び特許文献3を参照されたい。
【0014】
第2のIII族窒化物系化合物半導体層は周知の成膜方法で形成することができる。有機金属気相成長法(MOCVD法)のほか、分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド系気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法を用いることができる。
【0015】
(III族窒化物系化合物半導体層の成長方法について)
例えばレーザ素子においてはIII族窒化物系化合物半導体層に結晶欠陥の少ない高い結晶性が要求される。そのため、いわゆる横方向成長を採用することが好ましい。
そのために、図2に示すように、第2のIII族窒化物系化合物半導体層を形成後に成長抑止領域を形成する。この成長抑止領域は第1、第2のIII族窒化物系化合物半導体層をエッチングにより除去してサファイア基板を表出させたものである。III族窒化物系化合物半導体層の表面平坦性を考慮すると、各成長抑止領域はその上に形成される第2のIII族窒化物系化合物半導体層のm軸方向に向いた長帯状に形成するのが好ましい。第2のIII族窒化物系化合物半導体層のm軸とサファイア基板のm軸とは同じ方向を向いているので、結果として成長抑止領域の成形方向は基板のm軸へ向いたものとなる。この成長抑止領域の方向が他の方向、例えば基板のc軸方向を向いていると第2のIII族窒化物系化合物半導体層の表面を平坦にし難い。
かかる成長抑止領域については特許文献4等を参照されたい。
【0016】
成長抑止領域としてバッファ層の上にSiO2、SiNx等の絶縁材料層を形成してもよい。なお、第1のIII族窒化物系化合物半導体層(バッファ層)の上に一旦第2のIII族窒化物系化合物半導体層を成長させてそこに絶縁材料層からなる成長抑止領域を形成し、その後再びIII族窒化物系化合物半導体層を成長させることもできる。
絶縁材料層からなる成長抑止領域については特許文献5等を参照されたい。
【0017】
III族窒化物系化合物半導体層に高い平滑性を確保するには、サファイア基板のa面に所定のオフ角を持たせることが好ましい。本発明者らの検討によれば、サファイア基板のm軸に対して0.15〜0.35°の第1のオフ角(θ1)と、サファイア基板のc軸に対して0〜0.05°第2のオフ角(θ2)を形成することが好ましい。
【0018】
本発明のように劈開されたIII族窒化物系化合物半導体層のm面には優れた鏡面性が得られる。また、図2からも明らかなとおり、平面からみてハニカム状に結晶が配列したIII族窒化物系化合物半導体層においてm面には高い平行性も確保できる。劈開面の反射効率を更に向上するため、当該m面に誘電体多層膜等からなる反射面を形成することができる。
【0019】
図3A及びBにそれぞれ本発明及び比較例のGaN層の顕微鏡写真を示す。即ち、図3Aの例ではサファイアa面基板上にスパッタ法によりAlNバッファ層を形成し、更にその上にMOCVD法によりGaN層を形成した。これは、図1の(3)に対応する。他方図3Bの例ではサファイア基板のa面上にMOCVD法によりバッファ層を形成し、更にその上にMOCVD法によりGaN層を形成した。これは、図1の(2)に対応している。
【0020】
図中矢印でサファイア基板のm軸の方向を示している。図中に見える六角形はGaN層端面のピット(孔)であり、ピットはGaN層の成長面内における成長方向を示している。
図3Aに示す本発明の例では、図1(3)と同様に、サファイア基板のm軸とGaN層のm軸とが同方向を向いていることがわかる。また、図3Bに示す比較例では、図1(2)と同様に、GaN層のa軸がサファイア基板のm軸と平行になっている。
【0021】
【実施例】
以下、この発明の実施例について説明する。
半導体レーザの例を図4に示す。
図4の各層のスペックは次ぎの通りである。
【0022】
上記において、第1のn型層103はn型コンタクト層、第2のn型層104はn型クラッド層、第3のn型層105はn型ガイド層、MQW層106は発光層、第1のp型層107はp型ガイド層、第2のp型層108はn型クラッド層、第3のp型層109はn型コンタクト層としてそれぞれ機能する。
【0023】
上記においてバッファ層の材料としてGaN、InN、AlGaN、InGaN及びAlInGaN等を用いることができる。さらに基板とバッファ層は半導体素子形成後に、必要に応じて、除去することもできる。
ここでn型層103、104、105にはGaN、AlGaN、InGaN若しくはAlInGaNを用いることができる。
また、n型層103、104、105にはn型不純物としてSiをドープしたが、このほかにn型不純物として、Ge、Se、Te、C等を用いることもできる。
MQW層106にはInGaN/GaNの多重量子井戸構造の他、AlGaN/AlGaInN等の多重量子井戸構造を採用することができる。量子井戸層の数は5〜30とすることが好ましい。
【0024】
p型層107、108、109はGaN、AlGaN、InGaN又はInAlGaNとすることもできる、また、p型不純物としてはMgの代わりにZn、Be、Ca、Sr、Baを用いることもできる。p型不純物の導入後に、電子線照射、炉による加熱、プラズマ照射等の周知の方法により低抵抗化することも可能である。
【0025】
上記構成のレーザダイオードは次のようにして製造される。
まず、DCマグネトロンスパッタ装置の反応装置内にサファイア基板101をセットし以下の条件でバッファ層102を形成する。
基板: サファイアA面
基板温度: 430℃
AlN層の膜厚: 64nm
スパッタガス: Ar(8sccm)/N2(10sccm)
DCパワー: 0.5W(但し、電極面積約8000cm2)
【0026】
次に、基板をMOCVD装置に移し、水素ガスをキャリアガスとしてMOCVD法で第1のn型層103より上のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する。なお、第1のn型層形成時の基板温度は1130℃である。
【0027】
n電極112はAlを含む材料で形成され、第3のp型層109を形成した後、半導体層109〜104及び第1の半導体層103の一部をエッチングにより除去し、蒸着により表出した第1のn型層103上に形成される。
このときエッチング形状はストライプ状であり、図4において紙面垂直方向がサファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層の各m軸方向となるようにする。
【0028】
p電極113はNiを含む材料で構成されており、蒸着により形成される。
上記構成の発光素子において、第1のn型層101より上のIII族窒化物系化合物半導体層はMOCVD法の他、分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド系気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法等の方法で形成することもできる。
【0029】
このようにして発光素子を構成する各層をウエハに形成した後、サファイア基板側からダイヤモンドカーター等でそのm面に沿うように分割溝を形成し、割ることにより、サファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層とが各m面にそって劈開し、鏡面を持ったバー状のウエハが得られる。この実施例ではIII族窒化物系化合物半導体層とサファイア基板の各m面が平行になっているので、m面での劈開が崩れることなく鏡面度も優れ高い歩留まりを達成できる。また、III族窒化物系化合物半導体層側に分割溝を設けても鏡面をもったバー状のウエハを得ることができる。
次に、III族窒化物系化合物半導体層のm面(対向する共振面)に誘電体多層膜を形成し、バー状のウエハを適宜分割してレーザチップとする。
【0030】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0031】
以下、次ぎの事項を開示する。
11 サファイア基板の上に該サファイア基板のm軸と平行なm軸を持つIII族窒化物系化合物半導体層を形成するステップと、前記サファイア基板及び前記III族窒化物系化合物半導体層をそれらのm面で劈開して前記III族窒化物系化合物半導体層のm面を共振面とするステップと、
を含むことを特徴とする共振面の形成方法。
12 前記III族窒化物系化合物半導体層形成ステップは、前記サファイアa面基板上に第1のIII族窒化物系化合物半導体層をスパッタ法で形成する第1の半導体層形成ステップと該第1のIII族窒化物系化合物半導体層の上に第2のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップとを含む、ことを特徴とする11に記載の共振面の形成方法。
13 前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層はAlNからなる、ことを特徴とする12に記載の共振面の形成方法。
14 前記第2の半導体形成ステップはMOCVD法である、ことを特徴とする12又は13に記載の共振面の形成方法。
15 前記第1の半導体形成ステップと前記第2の半導体形成ステップの後にストライプ状の成長抑止領域を前記III族窒化物系化合物半導体のm軸方向に形成するステップが更に含まれる、ことを特徴とする12〜14のいずれかに記載の共振面の形成方法。
16 前記成長抑止領域は前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層と前記第2のIII族窒化物系化合物半導体層をエッチングして露出された前記サファイア基板からなる、ことを特徴とする15に記載の共振面の形成方法。
17 前記サファイア基板のa面には、前記サファイア基板のm軸に対して0.15〜0.35°の第1のオフ角と、前記サファイア基板のc軸に対して0〜0.05°の第2のオフ角が形成されている、ことを特徴とする16に記載の共振面の形成方法。
21 サファイア基板の上に該サファイア基板のm軸と平行なm軸を持つIII族窒化物系化合物半導体層が形成され、前記サファイア基板及び前記III族窒化物系化合物半導体層はそれらのm面で劈開されている、
ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体素子。
22 前記III族窒化物系化合物半導体層形成ステップは、前記サファイアa面基板上に第1のIII族窒化物系化合物半導体層をスパッタ法で形成する第1の半導体層形成ステップと該第1のIII族窒化物系化合物半導体層の上に第2のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップとを含む、ことを特徴とする21に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
23 前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層はAlNからなる、ことを特徴とする22に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
24 前記第2の半導体形成ステップはMOCVD法である、ことを特徴とする22又は23に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
25 前記第1の半導体形成ステップと前記第2の半導体形成ステップの後にストライプ状の成長抑止領域を前記サファイア基板のm軸方向に形成するステップが更に含まれる、ことを特徴とする22〜24のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
26 前記成長抑止領域は前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層と前記第2のIII族窒化物系化合物半導体層をエッチングして露出された前記サファイア基板からなる、ことを特徴とする25に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。27 前記サファイア基板のa面には、前記サファイア基板のm軸に対して0.15〜0.35°の第1のオフ角と、前記サファイア基板のc軸に対して0〜0.05°の第2のオフ角が形成されている、ことを特徴とする26に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はサファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層の結晶方向を示す図である。
【図2】図2はこの発明のサファイア基板とIII族窒化物系化合物半導体層の結晶方向を模式的に示す図である。
【図3】図3はこの発明の実施例と比較例のGaN層の表面顕微鏡写真である。
【図4】図4はこの発明の実施例の発光素子の層構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
101 基板
102 バッファ層
103 第1のn型層
104 第2のn型層
105 第3のn型層
106 MQW層
107 第1のp型層
108 第2のp型層
109 第3のp型層
Claims (9)
- サファイア基板の上に該サファイア基板のm軸と平行なm軸を持つIII族窒化物系化合物半導体層を形成するステップと、
前記サファイア基板及び前記III族窒化物系化合物半導体層をそれらのm面で劈開するステップと、
を含むことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。 - 前記III族窒化物系化合物半導体層形成ステップは、サファイアa面基板上に第1のIII族窒化物系化合物半導体層をスパッタ法で形成する第1の半導体層形成ステップと該第1のIII族窒化物系化合物半導体層の上に第2のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する第2の半導体層形成ステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
- 前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層はAlNからなる、ことを特徴とする請求項2に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
- 前記第2の半導体形成ステップはMOCVD法である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
- 前記第1の半導体形成ステップと前記第2の半導体形成ステップの後にストライプ状の成長抑止領域を前記III族窒化物系化合物半導体のm軸方向に形成するステップが更に含まれる、ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
- 前記成長抑止領域は前記第1のIII族窒化物系化合物半導体層と前記第2のIII族窒化物系化合物半導体をエッチングして露出された前記サファイア基板からなる、ことを特徴とする請求項5に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
- 前記サファイア基板のa面には、前記サファイア基板のm軸に対して0.15〜0.35°の第1のオフ角と、前記サファイア基板のc軸に対して0〜0.05°の第2のオフ角が形成されている、ことを特徴とする請求項6に記載のIII族窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
- サファイア基板の上に該サファイア基板のm軸と平行なm軸を持つIII族窒化物系化合物半導体層を形成するステップと、前記サファイア基板及び前記III族窒化物系化合物半導体層をそれらのm面で劈開して前記III族窒化物系化合物半導体層のm面を共振面とするステップと、
を含むことを特徴とする共振面の形成方法。 - サファイア基板の上に該サファイア基板のm軸と平行なm軸を持つIII族窒化物系化合物半導体層が形成され、前記サファイア基板及び前記III族窒化物系化合物半導体層はそれらのm面で劈開されている、
ことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体素子。
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