JP2004176016A - 熱伝導性シリコーン組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)分子鎖両末端にのみアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン:100重量部、
(b)熱伝導性充填剤:200〜3000重量部、
(c)分子鎖両末端にのみケイ素原子に直接結合した水素原子(Si−H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:ケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数が(a)成分中のアルケニル基のモル数の0.1〜5倍となる量、(d)白金族系硬化触媒:(a)成分に対して白金族元素換算で0.1〜500ppm
を含有することを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物。
【効果】本発明の熱伝導性シリコーン組成物の成形体は、被放熱物の形状に沿うように変形し、被放熱物に応力をかけることなく、良好な放熱特性を示すものである。
【選択図】 なし
(b)熱伝導性充填剤:200〜3000重量部、
(c)分子鎖両末端にのみケイ素原子に直接結合した水素原子(Si−H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:ケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数が(a)成分中のアルケニル基のモル数の0.1〜5倍となる量、(d)白金族系硬化触媒:(a)成分に対して白金族元素換算で0.1〜500ppm
を含有することを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物。
【効果】本発明の熱伝導性シリコーン組成物の成形体は、被放熱物の形状に沿うように変形し、被放熱物に応力をかけることなく、良好な放熱特性を示すものである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導性シリコーン組成物、及び該組成物をシート状に成形させた熱伝導性シリコーン成形体に関し、特に電子部品の冷却のために、発熱性電子部品の熱境界面とヒートシンク又は回路基板などの熱放散部材との間に介装する熱伝達材料として有効な熱伝導性シリコーン組成物、及び該組成物をシート状に成形させた熱伝導性シリコーン成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピューター、デジタルビデオディスク、携帯電話等の電子機器に使用されるCPU、ドライバICやメモリー等のLSIチップは、高性能化・高速化・小型化・高集積化に伴い、それ自身が大量の熱を発生するようになり、その熱によるチップの温度上昇はチップの動作不良、破壊を引き起こす。そのため、動作中のチップの温度上昇を抑制するための多くの熱放散方法及びそれに使用する熱放散部材が提案されている。
【0003】
従来、電子機器等においては、動作中のチップの温度上昇を抑えるために、アルミニウムや銅等の熱伝導率の高い金属板を用いたヒートシンクが使用されている。このヒートシンクは、そのチップが発生する熱を伝導し、その熱を外気との温度差によって表面から放出する。
【0004】
ここで、チップから発生する熱をヒートシンクに効率よく伝えるために、ヒートシンクをチップに密着させる必要があるが、各チップの高さの違いや組み付け加工による公差があるため、柔軟性を有するシートや、グリースをチップとヒートシンクとの間に介装させ、このシート又はグリースを介してチップからヒートシンクへの熱伝導を実現している。
【0005】
シートはグリースに比べて取り扱い性に優れており、熱伝導性シリコーンゴム等で形成された熱伝導シート(熱伝導性シリコーンゴムシート)は様々な分野に用いられている。
【0006】
これら熱伝導シートは、チップ及びヒートシンクに対する密着性を向上させるため、シートを押しつぶすように強い応力をかけられることが多く、弾性体のシートではその残留応力がチップに悪影響を及ぼすことがある。特開2002−33427号公報(特許文献1)には、シート成形時にオルガノハイドロジェンシロキサンをフィルムに塗布し、そのフィルムで挟み込んで加熱成形せしめることによりシート上下両面表層部をゴム状に硬化させた薄膜補強層を持ち、その間に未加硫の組成物層が存在する放熱シートが例示されている。しかしながら、成形時に上下フィルムにオルガノハイドロジェンシロキサンを塗布する工程が付加されるため、量産性において不利である。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−33427号公報
【特許文献2】
米国特許第3,220,972号明細書
【特許文献3】
米国特許第3,159,601号明細書
【特許文献4】
米国特許第3,159,662号明細書
【特許文献5】
米国特許第3,775,452号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、流動性があり、容易に連続成形可能で、シートとして取り扱いが可能な非弾性の成形体となり得る熱伝導性シリコーン組成物、及びこの組成物を成形してなる熱伝導性シリコーン成形体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(a)分子鎖両末端にのみアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを100重量部、(b)熱伝導性充填剤を200〜3000重量部、(c)分子鎖両末端にのみケイ素原子に直接結合した水素原子(Si−H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンをケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数が(a)成分中のアルケニル基のモル数の0.1〜5倍となる量、及び(d)白金族系硬化触媒を(a)成分に対して白金族元素換算で0.1〜500ppm含有するシリコーン組成物が、流動性があり、容易に連続成形可能で、シートとして取り扱いが可能な非弾性の成形体となり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、
(a)分子鎖両末端にのみアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン:100重量部、
(b)熱伝導性充填剤:200〜3000重量部、
(c)分子鎖両末端にのみケイ素原子に直接結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:ケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数が(a)成分中のアルケニル基のモル数の0.1〜5倍となる量、
(d)白金族系硬化触媒:(a)成分に対して白金族元素換算で0.1〜500ppm
を含有することを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物、及びこの組成物をシート状に成形させた熱伝導性シリコーン成形体を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる(a)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、分子鎖の両末端にそれぞれ1個、合計2個のアルケニル基を含有するもので、通常は、主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなるものが好ましい。
【0012】
(a)成分として具体例には、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【化1】
(式中、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基であり、aは0又は1以上の整数である。)
【0013】
上記式中、R1の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、並びにこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等の炭素原子数が1〜10、特に炭素原子数が1〜6のものが挙げられ、これらの中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基、及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。また、R1は全てが同一であっても、異なっていてもよい。
【0014】
また、Xのアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の通常、炭素原子数2〜8程度のものが挙げられ、中でもビニル基、アリル基等の低級アルケニル基が好ましく、特にはビニル基が好ましい。
【0015】
式中、aは0又は1以上の整数であるが、10≦a≦10,000を満たす整数であることが好ましく、より好ましくは50≦a≦2,000を満足する整数であり、更に好ましくは100≦a≦1,000を満足する整数である。
【0016】
このオルガノポリシロキサンは、1種単独で使用しても、複数の異なる粘度のものを併用しても構わない。
【0017】
本発明に用いられる(b)成分の熱伝導性充填剤は、非磁性の銅、アルミニウム等の金属、アルミナ、シリカ、マグネシア、ベンガラ、ベリリア、チタニア、ジルコニア等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の金属窒化物、人工ダイヤモンドあるいは炭化ケイ素等、一般に熱伝導性充填剤とされる物質を用いることができる。
【0018】
これら熱伝導性充填剤は、平均粒径が0.1〜100μm、望ましくは0.5〜50μm、更に望ましくは0.5〜30μmのものを用いることができる。これら充填剤は1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。また、平均粒径の異なる粒子を2種以上用いることも可能である。
【0019】
熱伝導性充填剤の配合量は、(a)成分100重量部に対して200〜3000重量部、好ましくは300〜1500重量部である。熱伝導性充填剤の配合量が多すぎると流動性が失われ、コーティングが困難であり、少なすぎると所望の熱伝導性を得ることができない。
【0020】
本発明に用いられる(c)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子鎖の両末端にのみケイ素原子に直接結合する水素原子(即ち、Si−H基)を有するものである。
【0021】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、下記平均構造式(2)で表されるものが挙げられる。
【化2】
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、bは0又は正数である。)
【0022】
上記式(2)中、R2の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、並びにこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等の炭素原子数が1〜10、特に炭素原子数が1〜6のものが挙げられ、これらの中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。また、R2は全てが同一であっても、異なっていてもよい。
【0023】
また、式(2)中のbは、0又はそれ以上の正数であるが、0〜500であることが好ましく、より好ましくは5〜100の正数であり、更に好ましくは10〜50の正数である。
【0024】
これら(c)成分の添加量は、(c)成分のSi−H基が(a)成分中のアルケニル基1モルに対して0.1〜5モルとなる量、望ましくは0.3〜3モルとなる量、更に望ましくは0.5〜2モルとなる量である。(c)成分のSi−H基の量が(a)成分中のアルケニル基1モルに対して0.1モル未満、又は5モルを超える量では、所望のシートを得ることができない。
【0025】
本発明に用いられる(d)成分の白金族系硬化触媒は、(a)成分中のアルケニル基と、(c)成分中のSi−H基との付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられる。その具体例としては、例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体、H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩、アルコール変性塩化白金酸(特許文献2参照)、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(特許文献3〜5参照)、白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの、ロジウム−オレフィンコンプレックス、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックスなどが挙げられる。
【0026】
(d)成分の使用量は、所謂触媒量でよく、通常、成分(a)に対する白金族金属元素の重量換算で、0.1〜500ppm、望ましくは0.5〜200ppm、更に望ましくは1.0〜100ppm程度がよい。
【0027】
本発明のシリコーン組成物には、この他に、熱伝導性充填剤の表面処理剤、硬化速度を調整するための反応抑制剤、着色のための顔料・染料、難燃性付与剤、金型やセパレーターフィルムからの型離れをよくするための内添離型剤等、機能を向上させるための様々な添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することが可能である。
【0028】
本発明のシリコーン組成物は、上記成分を常法に準じて混合することにより製造することができる。
本発明のシリコーン組成物をシート状に成形する際の条件としては、公知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物と同様の条件を採用することができ、常温でも十分シート化が可能であるが、必要に応じて加熱してもよい。また、この組成物を、既にシート状に成形した放熱シート上に塗布して成形せしめてもよい。この場合、シート状に成形した放熱シートとしては、信越化学工業(株)製TC−20A等が挙げられる。
【0029】
このようにして得られる本発明のシリコーン組成物は、流動性があり、容易に連続成形可能で、シートとして取り扱いが可能な非弾性の成形体となり得るものであり、該シリコーン組成物の成形体は、熱伝導性に優れ、被放熱物の形状に沿うように変形するため、被放熱物に応力をかけることなく良好な放熱特性を示す。
【0030】
なお、該シートの硬さは、一般的な弾性体用の硬度計では測定・管理することが困難である。硬さの代わりの指標として、ブロック状に成型した成型物の針入度を測定することで、硬さの指標とすることができる。具体的には、JIS K2207準拠のアスファルト用針入度測定器で測定した針入度が、10〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは40〜120であることが望ましい。
【0031】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、粘度は25℃における粘度である。また、下記例中の%は重量%を示し、式中のMeはメチル基を示す。
【0032】
[実施例1]
600mm/sの粘度をもつ末端をビニル基で封止したジメチルオルガノポリシロキサン500gと4μmの平均粒径をもつアルミナ2000gを、品川式万能攪拌機に仕込み、60分間混合せしめた。得られた混合物を更に3本ロールにかけ、均一な液状ベースを得た。
【0033】
この液状ベース500gに、2%塩化白金酸2−エチルヘキサノール溶液0.2gと50%エチニルシクロヘキサノールトルエン溶液0.2gを添加して均一に混合した。
【0034】
更に、下記平均構造式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを13g添加し、均一に混合して組成物aを得た。調製した組成物aをPETフィルム上に1.0mmの厚さでコーティングし、120℃×10分間の条件で加熱せしめてシートAを得た。このシートAを用いて、下記方法により圧縮応力及び熱抵抗を測定した。また、組成物aを、内径45mm、深さ30mmのガラスシャーレに流し込み、120℃×30分間加熱せしめ、(株)離合社製針入度計RPM−101を用いて針入度を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
【化3】
【0036】
圧縮応力の測定は、島津製作所製オートグラフAG−Iを用いて、0.5mm/分の速度で0.1mmずつ圧縮を行い、ピークの値は圧縮開始〜停止の間でもっとも高い圧縮応力を示したときの値を、1分後の値は圧縮停止後1分後の圧縮応力の値を読み取った。
【0037】
熱抵抗の測定方法は、トランジスタTO−3型のアルミニウム製ケースの中にヒーターを埋め込んだモデルヒーター(設置面積7cm2)とヒートシンク(フラット型60F230×70mm:LEX製)の間にシートAを設置し、300gf/cm2の荷重で圧着せしめ、モデルヒーターに28Wの電力を印加せしめ、モデルヒーターの温度T1とヒートシンクの温度T2を熱電対で測定し、次式からサンプルの熱抵抗を求めた。
熱抵抗 R=(T1−T2)/28
【0038】
[比較例1]
実施例1で製造した液状ベース500gに、2%塩化白金酸2−エチルヘキサノール溶液0.2gと50%エチニルシクロヘキサノールトルエン溶液0.2gを添加して均一に混合した。
【0039】
更に、下記平均構造式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを6.5g添加し、均一に混合して組成物bを得た。
【化4】
【0040】
調製した組成物bをPETフィルム上に1.0mmの厚さでコーティングし、120℃×10分間の条件で加熱せしめてシートBを得た。このシートBを用いて圧縮時の応力変化及び熱抵抗を実施例1と同様に測定し、またアスカーC硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
*:測定不能
【0042】
[実施例2]
実施例1で得られた組成物aを信越化学工業製TC−20A(厚さ0.2mm)上に0.8mmの厚さでコーティングし、全体の厚さを1.0mmにして120℃×10分間の条件で加熱せしめてシートCを得た。このシートCを用いて圧縮時の応力変化及び熱抵抗を実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0043】
[比較例2]
比較例1で得られた組成物bを信越化学工業製TC−20A(厚さ0.2mm)上に0.8mmの厚さでコーティングし、全体の厚さを1.0mmにして120℃×10分間の条件で加熱せしめてシートDを得た。このシートDを用いて圧縮時の応力変化及び熱抵抗を実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の成形体は、被放熱物の形状に沿うように変形し、被放熱物に応力をかけることなく、良好な放熱特性を示すものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導性シリコーン組成物、及び該組成物をシート状に成形させた熱伝導性シリコーン成形体に関し、特に電子部品の冷却のために、発熱性電子部品の熱境界面とヒートシンク又は回路基板などの熱放散部材との間に介装する熱伝達材料として有効な熱伝導性シリコーン組成物、及び該組成物をシート状に成形させた熱伝導性シリコーン成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピューター、デジタルビデオディスク、携帯電話等の電子機器に使用されるCPU、ドライバICやメモリー等のLSIチップは、高性能化・高速化・小型化・高集積化に伴い、それ自身が大量の熱を発生するようになり、その熱によるチップの温度上昇はチップの動作不良、破壊を引き起こす。そのため、動作中のチップの温度上昇を抑制するための多くの熱放散方法及びそれに使用する熱放散部材が提案されている。
【0003】
従来、電子機器等においては、動作中のチップの温度上昇を抑えるために、アルミニウムや銅等の熱伝導率の高い金属板を用いたヒートシンクが使用されている。このヒートシンクは、そのチップが発生する熱を伝導し、その熱を外気との温度差によって表面から放出する。
【0004】
ここで、チップから発生する熱をヒートシンクに効率よく伝えるために、ヒートシンクをチップに密着させる必要があるが、各チップの高さの違いや組み付け加工による公差があるため、柔軟性を有するシートや、グリースをチップとヒートシンクとの間に介装させ、このシート又はグリースを介してチップからヒートシンクへの熱伝導を実現している。
【0005】
シートはグリースに比べて取り扱い性に優れており、熱伝導性シリコーンゴム等で形成された熱伝導シート(熱伝導性シリコーンゴムシート)は様々な分野に用いられている。
【0006】
これら熱伝導シートは、チップ及びヒートシンクに対する密着性を向上させるため、シートを押しつぶすように強い応力をかけられることが多く、弾性体のシートではその残留応力がチップに悪影響を及ぼすことがある。特開2002−33427号公報(特許文献1)には、シート成形時にオルガノハイドロジェンシロキサンをフィルムに塗布し、そのフィルムで挟み込んで加熱成形せしめることによりシート上下両面表層部をゴム状に硬化させた薄膜補強層を持ち、その間に未加硫の組成物層が存在する放熱シートが例示されている。しかしながら、成形時に上下フィルムにオルガノハイドロジェンシロキサンを塗布する工程が付加されるため、量産性において不利である。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−33427号公報
【特許文献2】
米国特許第3,220,972号明細書
【特許文献3】
米国特許第3,159,601号明細書
【特許文献4】
米国特許第3,159,662号明細書
【特許文献5】
米国特許第3,775,452号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、流動性があり、容易に連続成形可能で、シートとして取り扱いが可能な非弾性の成形体となり得る熱伝導性シリコーン組成物、及びこの組成物を成形してなる熱伝導性シリコーン成形体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(a)分子鎖両末端にのみアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを100重量部、(b)熱伝導性充填剤を200〜3000重量部、(c)分子鎖両末端にのみケイ素原子に直接結合した水素原子(Si−H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンをケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数が(a)成分中のアルケニル基のモル数の0.1〜5倍となる量、及び(d)白金族系硬化触媒を(a)成分に対して白金族元素換算で0.1〜500ppm含有するシリコーン組成物が、流動性があり、容易に連続成形可能で、シートとして取り扱いが可能な非弾性の成形体となり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、
(a)分子鎖両末端にのみアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン:100重量部、
(b)熱伝導性充填剤:200〜3000重量部、
(c)分子鎖両末端にのみケイ素原子に直接結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:ケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数が(a)成分中のアルケニル基のモル数の0.1〜5倍となる量、
(d)白金族系硬化触媒:(a)成分に対して白金族元素換算で0.1〜500ppm
を含有することを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物、及びこの組成物をシート状に成形させた熱伝導性シリコーン成形体を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる(a)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、分子鎖の両末端にそれぞれ1個、合計2個のアルケニル基を含有するもので、通常は、主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなるものが好ましい。
【0012】
(a)成分として具体例には、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【化1】
(式中、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基であり、aは0又は1以上の整数である。)
【0013】
上記式中、R1の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、並びにこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等の炭素原子数が1〜10、特に炭素原子数が1〜6のものが挙げられ、これらの中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基、及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。また、R1は全てが同一であっても、異なっていてもよい。
【0014】
また、Xのアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の通常、炭素原子数2〜8程度のものが挙げられ、中でもビニル基、アリル基等の低級アルケニル基が好ましく、特にはビニル基が好ましい。
【0015】
式中、aは0又は1以上の整数であるが、10≦a≦10,000を満たす整数であることが好ましく、より好ましくは50≦a≦2,000を満足する整数であり、更に好ましくは100≦a≦1,000を満足する整数である。
【0016】
このオルガノポリシロキサンは、1種単独で使用しても、複数の異なる粘度のものを併用しても構わない。
【0017】
本発明に用いられる(b)成分の熱伝導性充填剤は、非磁性の銅、アルミニウム等の金属、アルミナ、シリカ、マグネシア、ベンガラ、ベリリア、チタニア、ジルコニア等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の金属窒化物、人工ダイヤモンドあるいは炭化ケイ素等、一般に熱伝導性充填剤とされる物質を用いることができる。
【0018】
これら熱伝導性充填剤は、平均粒径が0.1〜100μm、望ましくは0.5〜50μm、更に望ましくは0.5〜30μmのものを用いることができる。これら充填剤は1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。また、平均粒径の異なる粒子を2種以上用いることも可能である。
【0019】
熱伝導性充填剤の配合量は、(a)成分100重量部に対して200〜3000重量部、好ましくは300〜1500重量部である。熱伝導性充填剤の配合量が多すぎると流動性が失われ、コーティングが困難であり、少なすぎると所望の熱伝導性を得ることができない。
【0020】
本発明に用いられる(c)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子鎖の両末端にのみケイ素原子に直接結合する水素原子(即ち、Si−H基)を有するものである。
【0021】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、下記平均構造式(2)で表されるものが挙げられる。
【化2】
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、bは0又は正数である。)
【0022】
上記式(2)中、R2の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、並びにこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基などで置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、シアノエチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等の炭素原子数が1〜10、特に炭素原子数が1〜6のものが挙げられ、これらの中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1〜3の非置換又は置換のアルキル基及びフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等の非置換又は置換のフェニル基である。また、R2は全てが同一であっても、異なっていてもよい。
【0023】
また、式(2)中のbは、0又はそれ以上の正数であるが、0〜500であることが好ましく、より好ましくは5〜100の正数であり、更に好ましくは10〜50の正数である。
【0024】
これら(c)成分の添加量は、(c)成分のSi−H基が(a)成分中のアルケニル基1モルに対して0.1〜5モルとなる量、望ましくは0.3〜3モルとなる量、更に望ましくは0.5〜2モルとなる量である。(c)成分のSi−H基の量が(a)成分中のアルケニル基1モルに対して0.1モル未満、又は5モルを超える量では、所望のシートを得ることができない。
【0025】
本発明に用いられる(d)成分の白金族系硬化触媒は、(a)成分中のアルケニル基と、(c)成分中のSi−H基との付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられる。その具体例としては、例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体、H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(但し、式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩、アルコール変性塩化白金酸(特許文献2参照)、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(特許文献3〜5参照)、白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの、ロジウム−オレフィンコンプレックス、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックスなどが挙げられる。
【0026】
(d)成分の使用量は、所謂触媒量でよく、通常、成分(a)に対する白金族金属元素の重量換算で、0.1〜500ppm、望ましくは0.5〜200ppm、更に望ましくは1.0〜100ppm程度がよい。
【0027】
本発明のシリコーン組成物には、この他に、熱伝導性充填剤の表面処理剤、硬化速度を調整するための反応抑制剤、着色のための顔料・染料、難燃性付与剤、金型やセパレーターフィルムからの型離れをよくするための内添離型剤等、機能を向上させるための様々な添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することが可能である。
【0028】
本発明のシリコーン組成物は、上記成分を常法に準じて混合することにより製造することができる。
本発明のシリコーン組成物をシート状に成形する際の条件としては、公知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物と同様の条件を採用することができ、常温でも十分シート化が可能であるが、必要に応じて加熱してもよい。また、この組成物を、既にシート状に成形した放熱シート上に塗布して成形せしめてもよい。この場合、シート状に成形した放熱シートとしては、信越化学工業(株)製TC−20A等が挙げられる。
【0029】
このようにして得られる本発明のシリコーン組成物は、流動性があり、容易に連続成形可能で、シートとして取り扱いが可能な非弾性の成形体となり得るものであり、該シリコーン組成物の成形体は、熱伝導性に優れ、被放熱物の形状に沿うように変形するため、被放熱物に応力をかけることなく良好な放熱特性を示す。
【0030】
なお、該シートの硬さは、一般的な弾性体用の硬度計では測定・管理することが困難である。硬さの代わりの指標として、ブロック状に成型した成型物の針入度を測定することで、硬さの指標とすることができる。具体的には、JIS K2207準拠のアスファルト用針入度測定器で測定した針入度が、10〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは40〜120であることが望ましい。
【0031】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、粘度は25℃における粘度である。また、下記例中の%は重量%を示し、式中のMeはメチル基を示す。
【0032】
[実施例1]
600mm/sの粘度をもつ末端をビニル基で封止したジメチルオルガノポリシロキサン500gと4μmの平均粒径をもつアルミナ2000gを、品川式万能攪拌機に仕込み、60分間混合せしめた。得られた混合物を更に3本ロールにかけ、均一な液状ベースを得た。
【0033】
この液状ベース500gに、2%塩化白金酸2−エチルヘキサノール溶液0.2gと50%エチニルシクロヘキサノールトルエン溶液0.2gを添加して均一に混合した。
【0034】
更に、下記平均構造式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを13g添加し、均一に混合して組成物aを得た。調製した組成物aをPETフィルム上に1.0mmの厚さでコーティングし、120℃×10分間の条件で加熱せしめてシートAを得た。このシートAを用いて、下記方法により圧縮応力及び熱抵抗を測定した。また、組成物aを、内径45mm、深さ30mmのガラスシャーレに流し込み、120℃×30分間加熱せしめ、(株)離合社製針入度計RPM−101を用いて針入度を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
【化3】
【0036】
圧縮応力の測定は、島津製作所製オートグラフAG−Iを用いて、0.5mm/分の速度で0.1mmずつ圧縮を行い、ピークの値は圧縮開始〜停止の間でもっとも高い圧縮応力を示したときの値を、1分後の値は圧縮停止後1分後の圧縮応力の値を読み取った。
【0037】
熱抵抗の測定方法は、トランジスタTO−3型のアルミニウム製ケースの中にヒーターを埋め込んだモデルヒーター(設置面積7cm2)とヒートシンク(フラット型60F230×70mm:LEX製)の間にシートAを設置し、300gf/cm2の荷重で圧着せしめ、モデルヒーターに28Wの電力を印加せしめ、モデルヒーターの温度T1とヒートシンクの温度T2を熱電対で測定し、次式からサンプルの熱抵抗を求めた。
熱抵抗 R=(T1−T2)/28
【0038】
[比較例1]
実施例1で製造した液状ベース500gに、2%塩化白金酸2−エチルヘキサノール溶液0.2gと50%エチニルシクロヘキサノールトルエン溶液0.2gを添加して均一に混合した。
【0039】
更に、下記平均構造式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを6.5g添加し、均一に混合して組成物bを得た。
【化4】
【0040】
調製した組成物bをPETフィルム上に1.0mmの厚さでコーティングし、120℃×10分間の条件で加熱せしめてシートBを得た。このシートBを用いて圧縮時の応力変化及び熱抵抗を実施例1と同様に測定し、またアスカーC硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
*:測定不能
【0042】
[実施例2]
実施例1で得られた組成物aを信越化学工業製TC−20A(厚さ0.2mm)上に0.8mmの厚さでコーティングし、全体の厚さを1.0mmにして120℃×10分間の条件で加熱せしめてシートCを得た。このシートCを用いて圧縮時の応力変化及び熱抵抗を実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0043】
[比較例2]
比較例1で得られた組成物bを信越化学工業製TC−20A(厚さ0.2mm)上に0.8mmの厚さでコーティングし、全体の厚さを1.0mmにして120℃×10分間の条件で加熱せしめてシートDを得た。このシートDを用いて圧縮時の応力変化及び熱抵抗を実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の成形体は、被放熱物の形状に沿うように変形し、被放熱物に応力をかけることなく、良好な放熱特性を示すものである。
Claims (4)
- (a)分子鎖両末端にのみアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン:100重量部、
(b)熱伝導性充填剤:200〜3000重量部、
(c)分子鎖両末端にのみケイ素原子に直接結合した水素原子(Si−H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:ケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数が(a)成分中のアルケニル基のモル数の0.1〜5倍となる量、
(d)白金族系硬化触媒:(a)成分に対して白金族元素換算で0.1〜500ppm
を含有することを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物。 - 熱伝導性充填剤が、金属、酸化物、窒化物、ケイ化物及び人工ダイヤモンドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
- 請求項1又は2記載の組成物をシート状に成形させた熱伝導性シリコーン成形体。
- 請求項1又は2記載の組成物を放熱シート上に塗布して成形させた熱伝導性シリコーン成形体。
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