JP2004168587A - 含窒素炭素系多孔体及びその製造方法 - Google Patents

含窒素炭素系多孔体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた吸着性を有する含窒素炭素系多孔体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料からなる多孔体であって、比表面積が600m/g以上であり、平均細孔径が1〜5nmであり、かつ、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.08〜0.3であること、を特徴とする含窒素炭素系多孔体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含窒素炭素系多孔体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔体に関する様々な研究がなされており、その吸着性を利用して、吸着剤、分離剤、触媒担体等、様々な用途への適用が検討されている。特に、排ガスや廃水等に含まれる有害物質を除去する技術として、多孔体を用いた有害物質の吸着除去技術が幅広く用いられている。このような用途に使用されている多孔体としては様々なものが知られているが、代表的な多孔体の一つとして活性炭が挙げられる。
【0003】
このような活性炭は、炭素原子により骨格が形成されている多孔体であり、高い比表面積を有しているが、この高い比表面積は従来、製造工程において賦活処理を行い、活性炭となる材料の表面に細孔を形成せしめることによって得られていた。この賦活処理としては、例えば、原料組成物を水蒸気、二酸化炭素等の雰囲気中で600〜1000℃に加熱するか、又は、原料組成物に塩化亜鉛、水酸化カリウム等を混合して不活性雰囲気下で加熱すること等が知られている。この賦活処理の過程において、活性炭となる材料の表面には多数の細孔が形成され、その結果比表面積の高い活性炭が得られるが、比表面積の向上のみでは吸着性の向上に限界があり、未だ十分なものではなかった。
【0004】
一方、比表面積を高めること以外で活性炭の吸着性を向上する方法についても検討されており、特開平5−64789号公報(特許文献1)には、水質汚濁性有機物質含有廃液を活性炭素材料の存在下で処理する方法において、活性炭素材料として、窒素1〜5重量%、酸素3〜30重量%、炭素40〜95重量%を含有し、かつ、平均細孔半径が1.5〜3.0nmであるものを使用することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−64789号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−64789号公報(特許文献1)に記載の活性炭素材料においても賦活処理によって比表面積が高められており、このように賦活度を高めることで多孔体は高比表面積化するが、同時に多孔体の骨格中に存在していた窒素原子も失われてしまい、窒素含有量の低いものしか得られなかった。実際、上記公報において実施例等で実質的に記載されているものは、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.042程度以下の窒素含有量の低い活性炭素材料のみであり、その吸着性は未だ十分なものではなかった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、比表面積及び窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)の両方がバランス良く高水準に維持され、高比表面積による吸着性の向上と、高窒素含有率による吸着性の向上が同時に十分に達成された含窒素炭素系多孔体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料からなり、600m/g以上の比表面積と、1〜5nmの平均細孔径を有する含窒素炭素系多孔体において、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)を0.08〜0.3とすることによって、特に吸着性に優れた含窒素炭素系多孔体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の含窒素炭素系多孔体は、炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料からなる多孔体であって、比表面積が600m/g以上であり、平均細孔径が1〜5nmであり、かつ、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.08〜0.3であること、を特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法は、金属酸化物多孔体の細孔内に含窒素有機化合物を導入し、前記含窒素有機化合物を熱分解せしめることによって前記細孔内に炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料を析出せしめる析出工程と、前記金属酸化物多孔体を溶解除去することによって含窒素炭素系材料からなる多孔体を得る除去工程と、を含むことを特徴とする、比表面積が600m/g以上であり、平均細孔径が1〜5nmであり、かつ、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.08〜0.3である含窒素炭素系多孔体の製造方法である。
【0011】
上記本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法においては、上記金属酸化物多孔体がシリカメソ多孔体であることが好ましい。また、上記本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法においては、上記金属酸化物多孔体がキュービックの細孔配列構造を有する多孔体であることが好ましい。更に、上記本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法においては、上記含窒素有機化合物が含窒素複素環式化合物であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0013】
(含窒素炭素系多孔体)
本発明の含窒素炭素系多孔体は、炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料からなる多孔体であり、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)は、0.08〜0.3であることが必要である。このような原子比で炭素原子及び窒素原子により多孔体の骨格を形成することによって、多孔体表面に窒素原子を含む表面官能基を十分に形成せしめ、被吸着物と相互作用することが可能な吸着サイトを付与することができる。そして、この特異な吸着性を有する吸着サイトと、多孔体の高い比表面積及び特定の範囲の平均細孔径によって得られる物理的吸着作用との相乗効果によって、優れた吸着性を示すことが可能となると本発明者らは推察する。特に、被吸着物が重金属イオン等のイオン性可溶成分である場合には、上記吸着サイトの相互作用によって、従来の多孔体では得られなかった優れた吸着性を示すことが可能となる。また、上記窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)の上限値は0.3であり、0.2であることがより好ましく、0.15であることが更に好ましい。一方、その下限値は0.08であり、0.09であることがより好ましい。窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.08未満の場合には、窒素原子を含む表面官能基が減少し、被吸着物と相互作用することが可能な吸着サイトとしての機能が低下するため、十分な吸着性が得られない。また、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.3を超える場合には、多孔体の炭素骨格の強度が低下し、細孔構造を維持することが困難となるため、比表面積の低下を招き、吸着性が低下してしまう。
【0014】
なお、本発明にかかる多孔体の窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)は、CHN元素分析によって求めることができる。
【0015】
また、上記含窒素炭素系多孔体の骨格は、少なくとも炭素原子及び窒素原子により形成されていればよく、その他の原子として水素原子や酸素原子等を含んでいてもよい。その場合、その他の原子と炭素原子及び窒素原子との原子比((その他の原子)/(C+N))は0.3以下であることが好ましい。
【0016】
上記含窒素炭素系多孔体の比表面積は、600m/g以上であることが必要であり、700m/g以上であることがより好ましく、800〜1500m/gであることが更に好ましい。比表面積が600m/g未満の場合には、被吸着物との接触面積の低下及び被吸着物を取り込む細孔の減少が生じ、吸着性が極端に低いものとなってしまう。
【0017】
また、上記含窒素炭素系多孔体の平均細孔径は、1〜5nmであることが必要であり、2〜3nmであることがより好ましい。平均細孔径が1nm未満の場合には、細孔の大きさが被吸着物の大きさよりも小さくなることが多くなり、吸着性が低下してしまう。また、平均細孔径が5nmを超える場合には、比表面積の低下を招き、吸着性が低下してしまう。
【0018】
更に、上記含窒素炭素系多孔体の細孔容量は、上記比表面積及び平均細孔径によっても変動するため特に制限されないが、0.3〜1.2ml/gであることが好ましい。
【0019】
本発明にかかる多孔体の比表面積、平均細孔径及び細孔容量は、以下に述べる方法により求めることができる。すなわち、多孔体を所定の容器に入れて液体窒素温度(−196℃)に冷却し、容器内に窒素ガスを導入して定容量法又は重量法によりその吸着量を求める。次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットして窒素吸着等温線を得る。この窒素吸着等温線を用い、SPE(Subtracting Pore Effect)法により比表面積、平均細孔径及び細孔容量を算出することができる(K. Kaneko, C. Ishii,M. Ruike, H. Kuwabara, Carbon 30, 1075, 1986)。上記SPE法とは、α−プロット法、t−プロット法等によってミクロ細孔解析を行い、ミクロ細孔の強いポテンシャル場の効果を取り除いて比表面積等を算出する方法であり、ミクロ細孔性多孔体の比表面積等の算出においてBET法よりも精度の高い方法である。
【0020】
本発明の含窒素炭素系多孔体の細孔形状は特に制限されず、例えば、多孔体表面のみに細孔が形成されていても、表面のみならず内部にも細孔が形成されていてもよく、内部にも細孔が形成されている場合には、例えば、トンネル状に貫通したものであってもよく、また、球状又は六角柱状等の多角形状の空洞が互いに連結したような形状を有していてもよい。
【0021】
また、上記含窒素炭素系多孔体の細孔配列構造は特に制限されないが、後述する本発明の製造方法によって含窒素炭素系多孔体を製造する場合には、使用する金属酸化物多孔体の細孔配列構造を反映した構造をとる。
【0022】
(含窒素炭素系多孔体の製造方法)
本発明の含窒素炭素系多孔体を得る方法として好適な、本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法について以下に説明する。
【0023】
本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法は、金属酸化物多孔体の細孔内に含窒素有機化合物を導入し、前記含窒素有機化合物を熱分解せしめることによって前記細孔内に炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料を析出せしめる析出工程と、前記金属酸化物多孔体を溶解除去することによって含窒素炭素系材料からなる多孔体を得る除去工程と、を含むことを特徴とする、比表面積が600m/g以上であり、平均細孔径が1〜5nmであり、かつ、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.08〜0.3である含窒素炭素系多孔体の製造方法である。
【0024】
本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる金属酸化物多孔体としては、金属酸化物及び複合金属酸化物等からなる多孔体が挙げられ、例えば、シリカメソ多孔体、ゼオライト、架橋粘土等が挙げられる。
【0025】
上記金属酸化物多孔体の細孔形状は特に制限されず、例えば、多孔体表面のみに細孔が形成されていても、表面のみならず内部にも細孔が形成されていてもよく、内部にも細孔が形成されている場合には、例えば、トンネル状に貫通したものであってもよく、また、球状又は六角柱状等の多角形状の空洞が互いに連結したような形状を有していてもよい。
【0026】
また、上記金属酸化物多孔体の細孔配列構造は特に制限されず、例えば、ヘキサゴナル構造、キュービック構造、ラメラ構造及び不規則構造等が挙げられる。
【0027】
本発明において、多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、多孔体中の細孔の配置が六方構造であることを意味する。ヘキサゴナルの細孔配列構造としては、2d−ヘキサゴナル(2次元ヘキサゴナル)及び3d−ヘキサゴナル(3次元ヘキサゴナル)が知られている。
【0028】
2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有する多孔体は、六角柱状の細孔が互いに平行に規則的に配列しており、細孔断面の配置が六方構造になっているものであることを意味する(S. Inagaki, et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun., 680, 1993 ; S. Inagaki, et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 69, 1449, 1996)。また、2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有する多孔体における細孔の形状は、六角柱状に限られるわけではなく、細孔配列構造が2次元ヘキサゴナルであれば、例えば、多角柱状でも円柱状でもよい。
【0029】
一方、3次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有する多孔体は、細孔が3次元の周期性で六方構造をとるように配置しているものであることを意味する(Q. Huo
et al., Science, 268, 1324, 1995)。
【0030】
多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、多孔体中の細孔の配置が立方構造であることを意味する(J. C. Vartuli et al., Chem. Mater., 6, 2317, 1994 ; Q. Huo et al., Nature, 368, 317, 1994)。また、前記キュービック構造は、Pm−3n対称性、Ia−3d対称性及びFm−3m対称性のうちの少なくとも一つの対称性を有するものであることが好ましい。なお、前記対称性とは、空間群の表記法に基づいて決定されるものである。
【0031】
なお、多孔体がヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造を有する場合は、細孔の全てがこれら規則的細孔配列構造である必要はないが、全ての細孔のうち80%以上がヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造となっていることが好ましい。
【0032】
更に、上記金属酸化物多孔体の比表面積、平均細孔径及び細孔容量は特に制限されないが、比表面積としては500〜1200m/g、平均細孔径としては1〜100nm、細孔容量としては0.2〜1.5ml/gであることが好ましい。
【0033】
本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる金属酸化物多孔体としては、上述したような各種金属酸化物多孔体を単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でもシリカメソ多孔体を用いることが好ましい。
【0034】
また、本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる金属酸化物多孔体としては、上述したような各種細孔配列構造を有する多孔体が挙げられ、このような多孔体を単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でもキュービックの細孔配列構造を有する多孔体を用いることが好ましい。
【0035】
すなわち、本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる金属酸化物多孔体としては、キュービックの細孔配列構造を有するシリカメソ多孔体を用いることが最も好ましく、具体的には、MCM−48と称されるキュービックIa−3d細孔配列構造を有するシリカメソ多孔体等が挙げられる。このような金属酸化物多孔体は、含窒素炭素系多孔体を形成する際の鋳型として好適に働くため、析出工程においては含窒素炭素系材料が細孔内に析出しやすく、除去工程で金属酸化物多孔体を除去した際には、得られる含窒素炭素系多孔体が細孔構造を維持しやすい傾向がある。これによって、含窒素炭素系多孔体は高い比表面積を有し、優れた吸着性が得られる傾向がある。
【0036】
本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる含窒素有機化合物としては、窒素原子を含む有機化合物であれば特に制限はなく、例えば、含窒素複素環式化合物、アミン類、イミン類、ニトリル類等が挙げられる。
【0037】
上記含窒素複素環式化合物としては、含窒素複素単環化合物及び含窒素縮合複素環化合物が挙げられ、含窒素複素単環化合物としては、5員環化合物であるピロール及びその誘導体、ピラゾールやイミダゾール等のジアゾール類及びその誘導体、トリアゾール類及びその誘導体、並びに、6員環化合物であるピリジン及びその誘導体、ピリダジンやピリミジンやピラジン等のジアジン類及びその誘導体、トリアジン類及び、メラミンやシアヌル酸等のトリアジン類誘導体等が挙げられる。また、含窒素縮合複素環化合物としては、キノリン、フェナントロリン、プリン等が挙げられる。
【0038】
上記アミン類としては、第1級〜第3級アミン、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類及びアミノ化合物等が挙げられる。第1級〜第3級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミン等の脂肪族アミン、並びに、アニリン等の芳香族アミン及びその誘導体等が挙げられ、ジアミン類としては、エチレンジアミン等が挙げられ、アミノ化合物としては、エタノールアミン等のアミノアルコール等が挙げられる。
【0039】
上記イミン類としては、ピロリジン及びエチレンイミン等が挙げられる。
【0040】
上記ニトリル類としては、アセトニトリル等の脂肪族ニトリル及びベンゾニトリル等の芳香族ニトリル等が挙げられる。
【0041】
その他の含窒素有機化合物としては、ナイロン等のポリアミド類、ガラクトサミン等のアミノ糖、ポリアクリロニトリル等の含窒素高分子化合物、アミノ酸及びポリイミド類等が挙げられる。
【0042】
本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる含窒素有機化合物としては、上述したような各種化合物を単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも含窒素複素環式化合物を用いることが好ましく、ピロール及び/又はピリジンを用いることがより好ましい。このような含窒素有機化合物を用いることで、より窒素含有量が高く、細孔構造を維持した状態で、含窒素炭素系多孔体が形成されやすい傾向がある。これによって、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)及び比表面積が高く、優れた吸着性を有する多孔体が得られる傾向がある。一方、特に窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)の向上を目指す場合には、上記含窒素有機化合物の中でも、より窒素含有量が高いものを用いることが好ましい。
【0043】
以下、本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる各工程について説明する。
【0044】
先ず、本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる析出工程について説明する。析出工程は、金属酸化物多孔体の細孔内に含窒素有機化合物を導入し、前記含窒素有機化合物を熱分解せしめることによって前記細孔内に炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料を析出せしめる工程である。このような工程を行う方法としては特に制限はなく、例えば、熱CVD法、プラズマCVD法等が挙げられるが、中でも熱CVD法が好ましい。以下、熱CVD法によって析出工程を行う手順を示す。
【0045】
先ず、反応管中に金属酸化物多孔体を設置し、窒素又はアルゴン等の不活性ガスを反応管内に導入しながら所定の温度まで加熱する。次に、加熱状態を維持したまま、気体状態の含窒素有機化合物を反応管内に導入することによって、金属酸化物多孔体の細孔内に含窒素有機化合物を導入せしめながら、所定時間のCVD反応を行う。これによって、金属酸化物多孔体の細孔内に炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料を析出せしめることができる。
【0046】
上記熱CVD法による析出工程は、反応雰囲気が酸化雰囲気である場合には炭素の燃焼が起こるため、通常、窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気で行われる。
【0047】
上記熱CVD法による析出工程において、含窒素有機化合物が常温で液体状態である場合には、バブラ、マスフローポンプ等を用い、蒸気蒸発によって含窒素有機化合物を気体状態として反応管内に導入することができる。また、このときに窒素又はアルゴン等をキャリヤガスとして用いて気体状態の含窒素有機化合物の導入を行うことが好ましい。更に、一度反応管内を流通させた気体が、反応管の出口側から逆流しないように、反応管出口側に流動パラフィン等を入れたバブラを設置する等して逆流を防ぐことが好ましい。
【0048】
上記含窒素有機化合物が常温で固体状態である場合には、加熱蒸発(昇華)器を反応管入口側に設置し、加熱によって含窒素有機化合物を気体状態として反応管へ導入することができる。また、このときの蒸発器の温度は、含窒素有機化合物が熱分解しない温度に調整する必要がある。
【0049】
また、上記含窒素有機化合物が重合性を有する場合には、予め金属酸化物多孔体の細孔内において重合を行っておき、その後、反応管中、不活性雰囲気下で熱分解するという方法をとることもできる。
【0050】
更に、上記含窒素有機化合物が加熱によって気化しないものである場合には、溶液吸着法や蒸発乾固法等によって、金属酸化物多孔体の細孔内に予め含窒素有機系化合物を導入し、これを不活性雰囲気下で熱分解することによって、金属酸化物多孔体の細孔内に炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料を析出せしめることができる。
【0051】
上記熱CVD法による析出工程における反応温度は、含窒素有機化合物が熱分解及び炭素化する温度であれば特に制限されないが、500〜1000℃であることが好ましく、650〜700℃の範囲であることがより好ましい。反応温度が500℃未満の場合には、含窒素有機化合物の熱分解が起こりにくくなるため、含窒素炭素系材料の析出速度が遅くなってしまい、反応時間及びエネルギー消費が大きくなる傾向がある。また、反応温度が1000℃を超える場合には、含窒素炭素系材料の析出速度が早過ぎてしまい、金属酸化物多孔体表面等の細孔内以外の部分で析出が起こりやすくなる傾向がある。
【0052】
本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる析出工程において、金属酸化物多孔体の細孔内に析出させる含窒素炭素系材料の析出量は、金属酸化物多孔体1g当りの細孔容量をYmlとした場合、(0.2×Y)g以上であることが好ましく、(0.4×Y)〜(1.4×Y)gであることがより好ましい。含窒素炭素系材料の析出量が(0.2×Y)g未満の場合には、析出量が少ないため、この後に説明する除去工程で金属酸化物多孔体を除去した際に、含窒素炭素系多孔体が細孔構造を維持しにくくなる傾向がある。また、含窒素炭素系材料の析出量が(1.4×Y)gを超える場合には、金属酸化物多孔体の表面部分にまで含窒素炭素系材料が析出しやすい傾向があり、最終的に得られる含窒素炭素系多孔体の比表面積が低下してしまう傾向がある。
【0053】
また、上記析出量は、熱CVD法によって析出工程を行う場合、CVD反応時間と相関関係があり、CVD反応時間を調整することによって析出量をある程度制御することが可能となる。更に、上記析出量は、CVD反応温度、金属酸化物多孔体の種類、含窒素有機化合物の種類、及び含窒素有機化合物を導入する際の流量等によっても変化するが、それぞれの場合でCVD反応時間を適宜調整することによって析出量をある程度制御することが可能となる。
【0054】
次に、本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法にかかる除去工程について説明する。除去工程は、金属酸化物多孔体を溶解除去することによって含窒素炭素系材料からなる多孔体を得る工程である。除去工程においては、含窒素炭素系材料を溶解することなく金属酸化物多孔体のみを溶解除去することが必要であり、例えば、化学的に溶解させる方法として、フッ酸やアルカリ等を用いて処理する方法が挙げられる。処理方法としては、例えば、析出工程で得られた金属酸化物多孔体−含窒素炭素系材料複合体を上記処理溶液に分散させる方法が挙げられる。分散による処理時間としては特に制限されないが、6〜24時間であることが好ましい。これによって、金属酸化物多孔体のみを溶解除去し、含窒素炭素系材料からなる多孔体を得ることができる。また、処理溶液としてフッ酸を用いる場合には、エタノール等と混合して用いてもよい。このとき、フッ酸とエタノール等との混合比率としては特に制限されないが、体積比として1:2〜2:1であることが好ましい。
【0055】
また、上記除去工程において、金属酸化物多孔体を溶解除去した後に、必要に応じて、ろ過、洗浄及び乾燥を行ってもよい。洗浄液としては、例えば、水、エタノール及びそれらの混合溶液等を用いることができる。
【0056】
上記除去工程における処理温度は特に制限されず、通常、室温で行うことができる。
【0057】
本発明の含窒素炭素系多孔体の製造方法は、以上説明した析出工程及び除去工程によって、含窒素炭素系多孔体を製造する方法であり、この方法によって、比表面積が600m/g以上であり、平均細孔径が1〜5nmであり、かつ、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.08〜0.3である含窒素炭素系多孔体を製造することができる。
【0058】
本発明により得られた含窒素炭素系多孔体の使用方法は特に制限されず、例えば、排ガスや廃水等に含まれる有害物質を除去する方法として、有害物質を含む気体又は液体と含窒素炭素系多孔体とをバッチ式あるいは連続的に接触させることによって、有害物質の吸着除去が達成される。また、本発明により得られた含窒素炭素系多孔体は上述のような吸着剤としての用途以外にも、その優れた吸着性を利用して、分離剤や触媒担体等、様々な用途への適用が可能である。
【0059】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
実施例1
先ず、図1に示すような熱CVD装置を用いて析出工程を行った。析出工程における反応雰囲気は全て窒素雰囲気とした。また、第1のバブラ4には含窒素有機化合物であるピロールが、第2のバブラ5には流動パラフィンがそれぞれ入れられている。キュービックIa−3d細孔配列構造を有するシリカメソ多孔体であるMCM−48をアルミナ製ボート3上に1g載せ、これを石英ガラス製の加熱反応管(石英反応管2)内に配置した。なお、MCM−48は J. Phys. Chem. B 103, 7435−7440 (1999) に記載の方法に従って作製した。次に、第1の三方コック13を第1の配管8とバイパス9側に開いた状態とし、第2の三方コック14を第2の配管10とバイパス9側に開いた状態として、流量300ml/minで窒素ガスを流通させながら700℃まで昇温加熱した。700℃まで昇温後、加熱状態を1時間維持した後、第1の三方コック13を配管8と第1のバブラ4側に開いた状態とし、第2の三方コック14を第2の配管10と第1のバブラ4側に開いた状態とした。次いで、窒素ガスをキャリヤガスとして流量300ml/minで第1のバブラ4に導入してピロールを蒸気蒸発させ、気体状態のピロールを含有する室温の窒素ガスを上記温度に維持した石英反応管2内に流通させながら、CVD反応を9時間進行せしめた。このとき、MCM−48における含窒素炭素系材料の析出量は1.2gであった。CVD反応後、再び第1の三方コック13を第1の配管8とバイパス9側に開いた状態とし、第2の三方コック14を第2の配管10とバイパス9側に開いた状態として、窒素ガスを流量300ml/minで流通させながら常温まで冷却した。
【0061】
次に、除去工程を行った。すなわち、上記析出工程で得られたシリカメソ多孔体−含窒素炭素系材料複合体を、46%フッ酸(和光純薬工業社製、特級)とエタノールとの混合溶液(体積比50:50)中に分散させ、25℃で12時間撹拌することによって、シリカメソ多孔体を溶解除去し、含窒素炭素系多孔体を得た。次いで、得られた含窒素炭素系多孔体を1時間吸引ろ過してから、ろ紙上で、水とエタノールとの混合溶液(体積比50:50)を用いて洗浄し、更に前記混合溶液中に含窒素炭素系多孔体を分散させ、25℃で12時間撹拌した。その後、再び含窒素炭素系多孔体を1時間吸引ろ過し、ろ紙上でエタノールを用いて洗浄してから70℃で24時間風乾することで、最終的な含窒素炭素系多孔体を得た。
【0062】
実施例2
実施例1において、析出工程におけるCVD反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様にして、含窒素炭素系多孔体を得た。析出工程における含窒素炭素系材料の析出量は1.0gであった。
【0063】
実施例3
実施例1において、析出工程におけるCVD反応時間を3時間とした以外は実施例1と同様にして、含窒素炭素系多孔体を得た。析出工程における含窒素炭素系材料の析出量は0.4gであった。
【0064】
実施例4
実施例1において、析出工程における加熱温度を650℃とし、CVD反応時間を15時間とした以外は実施例1と同様にして、含窒素炭素系多孔体を得た。析出工程における含窒素炭素系材料の析出量は1.0gであった。
【0065】
(窒素原子の化学的状態の解析)
実施例1で得られた含窒素炭素系多孔体中の窒素原子の化学的状態を解析するために、アルバック・ファイ社製、5500MCを用いてX線光電子分光法による測定を行った。X線源はMgKα線を用い、分析領域は約800μmφとした。その結果を図2に示す。ピーク分離を行うと、主ピークとして401.1eV及び398.6eVの位置にピークが存在することがわかった。401.1eVの位置のピークは、四環系縮合複素環中のクオータナリー(quaternary)状態の窒素原子に対応しており、398.6eVの位置のピークは、三環系縮合複素環中のピリジニック(pyridinic)状態の窒素原子に対応している。この結果から、含窒素炭素系多孔体中の窒素原子は、骨格中から失われることなく、2種類の化学的状態で炭素原子と共に骨格を形成していることが確認された。
【0066】
(細孔配列構造の解析)
実施例1〜3で得られた含窒素炭素系多孔体のX線回折パターンを図3に示す。X線回折パターンの測定は、理学電機社製、RINT−2200を用いて行った。X線源はCuKα線を用いた。この結果によると、全ての多孔体に共通して回折角2θ=2.4°にピークが見られるが、これはシリカメソ多孔体に通常見られる周期的に配列した細孔配列構造に由来するピークと同じものであり、実施例1〜3で得られた含窒素炭素系多孔体中の細孔が、周期的構造を有していることを示している。また、この周期長は、細孔の鋳型としたシリカメソ多孔体の周期細孔の周期長とほぼ同じであり、実施例1〜3で得られた含窒素炭素系多孔体の細孔がシリカメソ多孔体の細孔配列構造を忠実に反映していることが確認された。
【0067】
(含窒素炭素系材料の析出量)
実施例1〜4の析出工程における、CVD反応時間と含窒素炭素系材料の析出量との関係を図4に示す。この結果によると、CVD反応時間の経過に伴い、ほぼ直線的に含窒素炭素系材料の析出量が増加しており、また、CVD反応温度によって析出速度が異なることがわかった。このようなCVD法によって析出する含窒素炭素系材料は、通常、アモルファス状態の炭素であり、その密度は約1.5g/mlとなる。また、実施例1〜4で鋳型として用いたMCM−48は、細孔容量が1g当り約1.0ml/gであるから、その細孔内に析出可能な含窒素炭素系材料の最大量は約1.5gとなる。実施例1では、含窒素炭素系材料の析出量が1.2gであり、最大析出量に近い量がMCM−48の細孔内に析出していることが確認された。
【0068】
(シリカメソ多孔体−含窒素炭素系材料複合体の窒素吸着等温線)
MCM−48、MCM−48を空気中700℃で6時間焼成したもの(以下、MCM−700℃という)、及び実施例1〜3の析出工程において得られたシリカメソ多孔体−含窒素炭素系材料複合体の窒素吸着等温線を図5に示す。本発明において窒素吸着等温線は、Quantachrome社製、AUTOSORB−1を用いて測定した。この結果から、MCM−700℃の窒素吸着量が、焼成前のMCM−48に比べて減少していることが確認された。すなわち、MCM−48は焼成によって細孔径及び細孔容量が低下し、細孔容量としては0.91ml/gにまで低下していることが確認された。この細孔容量の数値から、上述したMCM−48の細孔内に析出可能な含窒素炭素系材料の最大量を算出すると、約1.35gとなり、実施例1ではMCM−48の細孔内をほぼ充填する量が析出していることが確認された。また、図5における実施例1〜3の窒素吸着量の結果からは、含窒素炭素系材料の析出量の増加に伴い、窒素吸着量が減少していることが確認された。ここで、最も析出量の少ない実施例3とMCM−48、及びMCM−700℃の窒素吸着等温線を見ると、何れの場合でも相対圧力が0.3〜0.4の領域において、メソ細孔への毛細管凝縮に対応した吸着量の立ち上がりが観察される。それが最も低圧側に見られるのは実施例3であり、表面と吸着質の接触角がシリカと炭素の表面で変わらないと仮定すると、実施例3の細孔径は、MCM−48やMCM−700℃よりも小さいことになる。これは、MCM−48の細孔内部に含窒素炭素系材料が析出し、徐々にその細孔を埋めていっていることを裏付けるものである。よって、更に析出量を増やした実施例1、2でほとんど窒素吸着が見られないのは、細孔内部が含窒素炭素系材料によって完全に充填されたためと考えられ、本発明の析出工程では、鋳型となる金属酸化物多孔体の細孔内に、確実に含窒素炭素系材料が析出していることが確認された。
【0069】
比較例1
実施例1において、含窒素有機化合物であるピロールに代えて、窒素原子を含まない有機化合物であるベンゼンを使用し、析出工程におけるCVD反応時間を12時間とした以外は実施例1と同様にして、炭素系多孔体を得た。析出工程における炭素系材料の析出量は1.1gであった。
【0070】
比較例2
ポリアクリロニトリル粉末を、空気中200℃で1時間酸化反応を行い、ポリアクリロニトリルの酸化粉末を得た。その後、反応雰囲気をアルゴン雰囲気に切り替え、得られた酸化粉末を昇温速度250℃/hで200℃〜900℃まで加熱することで炭素化を行った。更に、加熱状態を維持したまま、二酸化炭素雰囲気に切り替え、ガス賦活処理を900℃で2時間行った。その後、アルゴン雰囲気に切り替え、常温まで冷却し、含窒素炭素系多孔体を得た。
【0071】
比較例3
比較例2において、ガス賦活処理を4時間行った以外は比較例2と同様にして、含窒素炭素系多孔体を得た。
【0072】
比較例4
比較例2において、ガス賦活処理を8時間行った以外は比較例2と同様にして、含窒素炭素系多孔体を得た。
【0073】
(比表面積、平均細孔径及び細孔容量の測定)
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた多孔体について、吸着側及び脱着側の窒素吸着等温線を測定し、SPE法により比表面積、平均細孔径及び細孔容量を算出した。その結果を表1に示す。また、実施例1〜3で得られた含窒素炭素系多孔体の窒素吸着等温線を図6に示す。
【0074】
【表1】
Figure 2004168587
【0075】
(窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)の測定)
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた多孔体について、Elementar社製、VarioELを用いてCHN元素分析を行い、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)を測定した。その結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
Figure 2004168587
【0077】
(重金属イオン吸着性の測定)
実施例1、4及び比較例1〜4で得られた多孔体について、以下の方法により重金属イオン吸着性の測定を行った。
【0078】
先ず、実施例1、4及び比較例1〜4で得られた多孔体0.5g(乾燥重量)を、1mmol/Lの濃度に調整した硝酸銅(II)水溶液100mLに加え、25℃で48時間振とうを行った。その後、溶液をろ別し、ろ液中の銅イオン濃度を、島津製作所社製、ICPS−2000を用いてICP発光分光分析によって定量した。硝酸銅(II)水溶液の初期濃度とろ液の銅イオン濃度との差から、多孔体への銅イオン吸着量を求めた。その結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
Figure 2004168587
【0080】
以上の結果から明らかなように、本発明の含窒素炭素系多孔体(実施例1、4)は、比較例1〜4の多孔体と比較して高い吸着性を示すことが確認された。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、比表面積及び窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)の両方がバランス良く高水準に維持され、高比表面積による吸着性の向上と、高窒素含有率による吸着性の向上が同時に十分に達成された含窒素炭素系多孔体を得ることができる。また、その優れた吸着性を利用して、吸着剤、分離剤、触媒担体等の様々な用途への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で用いる熱CVD装置の概略図である。
【図2】実施例1で得られた含窒素炭素系多孔体のX線光電子分光法による測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例1〜3で得られた含窒素炭素系多孔体のX線回折パターンを示すグラフである。
【図4】実施例1〜4の析出工程におけるCVD反応時間と含窒素炭素系材料の析出量との関係を示すグラフである。
【図5】実施例1〜3の析出工程において得られたシリカメソ多孔体−含窒素炭素系材料複合体、MCM−48及びMCM−700℃の窒素吸着等温線を示すグラフである。
【図6】実施例1〜3で得られた含窒素炭素系多孔体中の窒素吸着等温線を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・電気炉、2・・・石英反応管、3・・・アルミナ製ボート、4・・・第1のバブラ、5・・・第2のバブラ、6・・・原料有機化合物、7・・・流動パラフィン、8・・・第1の配管、9・・・バイパス、10・・・第2の配管、11・・・第3の配管、12・・・第4の配管、13・・・第1の三方コック、14・・・第2の三方コック。

Claims (5)

  1. 炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料からなる多孔体であって、
    比表面積が600m/g以上であり、平均細孔径が1〜5nmであり、かつ、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.08〜0.3であること、を特徴とする含窒素炭素系多孔体。
  2. 金属酸化物多孔体の細孔内に含窒素有機化合物を導入し、前記含窒素有機化合物を熱分解せしめることによって前記細孔内に炭素原子及び窒素原子により骨格が形成されている含窒素炭素系材料を析出せしめる析出工程と、
    前記金属酸化物多孔体を溶解除去することによって含窒素炭素系材料からなる多孔体を得る除去工程と、
    を含むことを特徴とする、
    比表面積が600m/g以上であり、平均細孔径が1〜5nmであり、かつ、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が0.08〜0.3である含窒素炭素系多孔体の製造方法。
  3. 前記金属酸化物多孔体がシリカメソ多孔体であることを特徴とする請求項2記載の含窒素炭素系多孔体の製造方法。
  4. 前記金属酸化物多孔体がキュービックの細孔配列構造を有する多孔体であることを特徴とする請求項2又は3記載の含窒素炭素系多孔体の製造方法。
  5. 前記含窒素有機化合物が含窒素複素環式化合物であることを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の含窒素炭素系多孔体の製造方法。
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