JP2006335596A - 規則性のある大表面積ミクロポーラス炭素の簡便な合成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミクロポーラス炭素材料の新規な製造方法を提供する。
【解決手段】鋳型に使用した多孔質材料の構造特性を反映して規則構造を有し、内部に空孔を有するミクロポーラス炭素材料は、有機物を導入して化学気相成長法により多孔質材料の表面および空孔内部に炭素を堆積せしめること、を包含する処理をした後に、鋳型である多孔質材料を除去することにより製造される。本方法によれば、極めて簡素化された手法で、高機能のミクロポーラス炭素材料を得ることが可能である。
【選択図】なし
【解決手段】鋳型に使用した多孔質材料の構造特性を反映して規則構造を有し、内部に空孔を有するミクロポーラス炭素材料は、有機物を導入して化学気相成長法により多孔質材料の表面および空孔内部に炭素を堆積せしめること、を包含する処理をした後に、鋳型である多孔質材料を除去することにより製造される。本方法によれば、極めて簡素化された手法で、高機能のミクロポーラス炭素材料を得ることが可能である。
【選択図】なし
Description
本発明はミクロポーラス炭素材料の新規な合成方法に関するものであって、詳しくは、内部にミクロ空孔を有し、分子レベルの3次元構造規則性を持っている炭素材料の合成方法、さらに詳しくは0.5nmから100nmの長周期を有している3次元の規則的な構造を有するミクロポーラス炭素材料の製造方法に関するものである。
炭素は、耐熱性が高く、電気や熱も良く伝え、しかも薬品などにも侵されにくいなど、単一の元素からできているとは思えないほど多様な性質を持つ魅力的な材料である。最近では、これまで使われてきた用途以外にも、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して貯蔵するデバイスであるキャパシタやリチウムイオン電池の電極材料への適用や、水素やメタンなどに代表される付加価値の高いガスを貯蔵する材料への適用などが提案されている。古くから種々の炭素材料が製造されてきたが、これまで提案されている炭素材料は、石油や石炭から取れる重質芳香族化合物であるピッチや汎用高分子類など既存の材料を炭素化して目的の構造や特性にいかに巧みに近づけるかという点にポイントを置いて調製されたものであった。新しい機能を備えた炭素材料を調製するためには、分子レベルで炭素材料を設計、合成すること、例えば、ミクロレベルで規則的な構造を有するといった炭素材料を製造することが必要と考えられるが、これまでの調製方法ではそのような炭素材料を合成することは困難であった。
規則的な構造を有するメソ多孔質炭素を得る方法としては、鋳型としてメソ多孔質(メソポーラス)シリカを使用して、規則構造を有するメソ多孔質炭素を得ることを開示する文献があり、規則的なメソ細孔構造を得ることができるが、規則的なミクロ細孔構造を得ることはできない(非特許文献1: Roo R, et al., J.Phys.Chem.B 1999;103:7743-7746、非特許文献2: Lee J, et al., Chem.Commun. 1999;2177-2178)。
ところで、本発明者等のグループは、鋳型としてY型ゼオライトを使用して、長周期を有する規則構造を持っている炭素材料を得ることを開示している(非特許文献3: KYOTANI, et al., Chem.Commun. 2000;2365-2366; 特許文献1:特開2002-29860; 特許文献2:特開2003-206112; 非特許文献4: Ma ZX, et al., Carbon, 40: pp.2367-2374 (2002))。
規則的な構造を有するメソ多孔質炭素を得る方法としては、鋳型としてメソ多孔質(メソポーラス)シリカを使用して、規則構造を有するメソ多孔質炭素を得ることを開示する文献があり、規則的なメソ細孔構造を得ることができるが、規則的なミクロ細孔構造を得ることはできない(非特許文献1: Roo R, et al., J.Phys.Chem.B 1999;103:7743-7746、非特許文献2: Lee J, et al., Chem.Commun. 1999;2177-2178)。
ところで、本発明者等のグループは、鋳型としてY型ゼオライトを使用して、長周期を有する規則構造を持っている炭素材料を得ることを開示している(非特許文献3: KYOTANI, et al., Chem.Commun. 2000;2365-2366; 特許文献1:特開2002-29860; 特許文献2:特開2003-206112; 非特許文献4: Ma ZX, et al., Carbon, 40: pp.2367-2374 (2002))。
炭素材料は、様々な用途に利用されるが、特に近年、電子機器の発達、環境問題の解決などの理由から、高性能電池および高性能電気二重層キャパシタ(electric double layer capacitor: EDLC)の開発における高機能炭素材料に注目が集まってきている。電気二重層キャパシタ(EDLC)は一般的な二次電池と比較し大電流の充放電が可能であり、充放電サイクル寿命が優れた蓄電デバイスであることから、近年、電子機器の小型化・高性能化・高機能化が積極的に進められる中、バックアップ電源などとして、また二次電池を使用したアプリケーションのEDLCへの置き換えや、全く新しい用途でEDLC搭載へ向けた検討が行なわれている。また、ハイブリッド自動車や燃料電池車でエネルギーの有効利用を目的としたEDLCの搭載の検討が行なわれている。こうしたエネルギーデバイスとしてのEDLC開発の課題、すなわち、高出力密度、高充放電効率、長寿命の特徴を有するEDLCに要請される喫緊の課題としては、リチウム電池並にエネルギー密度Eを向上させることである。EはE=CV2/2で与えられるから、Eを大きくするためには、電気二重層容量Cを大きくすることが必要である。
新機能を備えた炭素材料を調製するためには、分子レベルで炭素材料を設計、合成することが必要と考えられるが、こうした所定の構造特性を有するのみでなく、同時に優れた独特の機能を有するようにして調製する高機能炭素材料合成技術の開発が強く求められている。また、炭素材料の有望な用途であるEDLCについても、より小型化及び軽量化が可能な高性能なもの、すなわち、高出力密度、高充放電効率、長寿命の特徴を有するEDLCの開発及びそれに使用できる高性能炭素材料の開発が求められている。
上記したように本発明者等のグループは、Y型ゼオライトを鋳型として使用して、長周期を有している規則構造を持っているミクロポーラスな炭素材料を得ることを開示しているが、その製造法は幾分複雑な工程を使用するものであり、さらにそれぞれの工程も互いにかなり異なったタイプの処理工程であることから、より単純で簡潔な合成法の開発が求められている。
上記したように本発明者等のグループは、Y型ゼオライトを鋳型として使用して、長周期を有している規則構造を持っているミクロポーラスな炭素材料を得ることを開示しているが、その製造法は幾分複雑な工程を使用するものであり、さらにそれぞれの工程も互いにかなり異なったタイプの処理工程であることから、より単純で簡潔な合成法の開発が求められている。
本発明者らは上記状況を鑑み、細孔炭素材料のより簡便な合成法について鋭意検討を行った結果、多孔質材料を鋳型に使用して、有機物を導入して化学気相成長反応せしめて、多孔質材料の表面および空孔内部に炭素を堆積せしめることを包含する処理を行った後に孔質材料を除去することで、鋳型に用いている多孔質材料の空孔の形状を反映しているナノレベルの構造規則性と鋳型多孔質材料の形状を反映した空孔を持ち、かつ、炭素の二次元積層規則性を示さない新規なミクロポーラス炭素材料(ミクロポーラスカーボン、microporous carbon: MPC)が簡単な操作で製造できることを見出し、さらに該ミクロポーラス炭素材料(MPC)は優れたミクロポーラス構造特性を有することも見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、次なる態様を提供している。
〔1〕規則構造を有し、内部に少なくともミクロ空孔を有し、内部の空孔において、ミクロ孔の占める容積が0.5cm3/g以上であるミクロポーラス炭素材料の合成法であって、鋳型である多孔質材料に加熱条件下有機物を導入して、化学気相成長法により多孔質材料の表面および空孔内部に炭素を堆積せしめること、を包含している処理をした後に、多孔質材料を除去することを特徴とするミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔2〕多孔質材料がゼオライトである上記〔1〕記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔3〕ゼオライトが12員環以上のゼオライトである上記〔2〕記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔4〕加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、ゼオライトを溶解させて除去する上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔5〕化学気相成長法を400〜1500℃の温度で行う上記〔4〕に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔1〕規則構造を有し、内部に少なくともミクロ空孔を有し、内部の空孔において、ミクロ孔の占める容積が0.5cm3/g以上であるミクロポーラス炭素材料の合成法であって、鋳型である多孔質材料に加熱条件下有機物を導入して、化学気相成長法により多孔質材料の表面および空孔内部に炭素を堆積せしめること、を包含している処理をした後に、多孔質材料を除去することを特徴とするミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔2〕多孔質材料がゼオライトである上記〔1〕記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔3〕ゼオライトが12員環以上のゼオライトである上記〔2〕記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔4〕加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、ゼオライトを溶解させて除去する上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔5〕化学気相成長法を400〜1500℃の温度で行う上記〔4〕に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔6〕加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめ、次に、より高い温度条件下に有機物を導入して化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、ゼオライトを溶解させて除去する上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔7〕最初の化学気相成長法を550〜690℃の温度で行い、次の化学気相成長法を610〜750℃の温度で且つ最初の温度より高い温度で行う上記〔6〕に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔8〕加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、さらなる処理として化学気相成長法処理における温度よりも高い温度で加熱処理した後にゼオライトを溶解させて除去する上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔9〕加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめ、次に、より高い温度条件下に有機物を導入して化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、さらなる処理として化学気相成長法処理における温度よりも高い温度で加熱処理した後にゼオライトを溶解させて除去する上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔10〕最初の化学気相成長法を550〜690℃の温度で行い、次の化学気相成長法を610〜750℃の温度で且つ最初の温度より高い温度で行い、そして熱処理を700〜1050℃の温度で且つ前記化学気相成長法の温度より高い温度で行う上記〔9〕に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔7〕最初の化学気相成長法を550〜690℃の温度で行い、次の化学気相成長法を610〜750℃の温度で且つ最初の温度より高い温度で行う上記〔6〕に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔8〕加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、さらなる処理として化学気相成長法処理における温度よりも高い温度で加熱処理した後にゼオライトを溶解させて除去する上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔9〕加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめ、次に、より高い温度条件下に有機物を導入して化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、さらなる処理として化学気相成長法処理における温度よりも高い温度で加熱処理した後にゼオライトを溶解させて除去する上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔10〕最初の化学気相成長法を550〜690℃の温度で行い、次の化学気相成長法を610〜750℃の温度で且つ最初の温度より高い温度で行い、そして熱処理を700〜1050℃の温度で且つ前記化学気相成長法の温度より高い温度で行う上記〔9〕に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔11〕ミクロポーラス炭素材料が0.5nmから100nmの範囲である3次元の長周期規則構造を有している上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔12〕ミクロポーラス炭素材料が内部の空孔において、メソ孔の占める容積が1cm3/g以下である上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔13〕ミクロポーラス炭素材料がBET比表面積が1500cm2/g以上である上記〔1〕〜〔12〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔14〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか一に記載の方法で得られたミクロポーラス炭素材料を含んでいることを特徴とする電極。
〔15〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか一に記載の方法で得られたミクロポーラス炭素材料を含んでいる電極材を使用していることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
〔16〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか一に記載の方法で得られたミクロポーラス炭素材料を含んでいることを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用材。
〔12〕ミクロポーラス炭素材料が内部の空孔において、メソ孔の占める容積が1cm3/g以下である上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔13〕ミクロポーラス炭素材料がBET比表面積が1500cm2/g以上である上記〔1〕〜〔12〕のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
〔14〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか一に記載の方法で得られたミクロポーラス炭素材料を含んでいることを特徴とする電極。
〔15〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか一に記載の方法で得られたミクロポーラス炭素材料を含んでいる電極材を使用していることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
〔16〕上記〔1〕〜〔13〕のいずれか一に記載の方法で得られたミクロポーラス炭素材料を含んでいることを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用材。
本発明の合成法では、従来法で不可欠であった煩雑な且つ時間のかかる処理操作をなくすことができて、その工程が簡単なものとなっており、安定して且つ安価に所望のミクロポーラス炭素材料を得ることができる。本発明の合成法は、基本的には、乾式CVD法であり、単純且つ簡便な工程となっている。本発明の合成法では、鋳型の構造特性をより忠実に反映した構造を有するミクロポーラス炭素材料の合成法となっており、得られた製品の利用及び応用において優れたものとなっている。本発明の方法は、所望のミクロポーラス炭素材料を工業規模で製造するのに適した特徴を有しているので、経済的な価値も高い。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明の炭素材料は、その製造にあたり使用した鋳型材である特定の3次元規則構造を有する多孔質材料の有していた構造的特徴を反映したものであり、ナノサイズのミクロ孔(ミクロ空孔)を有している多孔性炭素である。該炭素材料は、典型的には、0.5nmから100nmの3次元長周期規則構造を有すると共に、内部に空孔を持っているミクロポーラス炭素材料である。具体的な場合、該炭素は、炭素鎖と炭素鎖が、0.5nmから100nm、ある場合には0.75nmから75nm、あるいは1nmから50nm、好ましくは1nmから20nm、あるいは1nmから10nm、より好ましくは1nmから5nm、又は0.5nmから2nmあるいは1nmから2nmの、任意のある間隔で3次元的に長周期にわたって規則的に繰り返した構造の炭素材料である。本発明の炭素材料は、構造内部に空孔を持つミクロポーラスな炭素材料であるが、内部の空孔において、直径が2nm以下の空孔、いわゆるミクロ孔の容量が0.5cm3/g以上、ある場合には0.75cm3/g以上、好ましくは1.00cm3/g以上、より好ましくは1.10cm3/g以上であることが好ましい。また、直径が2から50nmの空孔、いわゆるメソ孔の容量が1cm3/g以下、ある場合には0.75cm3/g以下、または0.60cm3/g以下、あるいは0.40cm3/g以下であることが好ましく、ゼロであることがさらに好ましい。さらに、BET比表面積が1500cm2/g以上、ある場合には1900cm2/g以上、または2200cm2/g、あるいは2500cm2/g以上であることが好ましい。代表的な場合、本発明の炭素材料は、鋳型ゼオライト構造に類似した構造であり、0.1nmから2nmの径の多数のミクロ孔を有しているかあるいは有していてよいことを特徴としているミクロポーラス炭素粉末である。
詳細については不明だが、前述したキャパシタ用の電極材料や、水素やメタンなどに代表される付加価値の高いガスの貯蔵材料への適用に関しては、BET比表面積が大きいことが好ましく、また、加えてミクロ孔が存在することも重要であると考えられる。これに対して、メソ孔は前記用途などへの適用に際してはあまり効果がなく、従って、高い機能を発現させるためには、相対的にミクロ孔が多く存在することが重要で、なるべくメソ孔は少ない方が良いと考えられる。
詳細については不明だが、前述したキャパシタ用の電極材料や、水素やメタンなどに代表される付加価値の高いガスの貯蔵材料への適用に関しては、BET比表面積が大きいことが好ましく、また、加えてミクロ孔が存在することも重要であると考えられる。これに対して、メソ孔は前記用途などへの適用に際してはあまり効果がなく、従って、高い機能を発現させるためには、相対的にミクロ孔が多く存在することが重要で、なるべくメソ孔は少ない方が良いと考えられる。
本発明のミクロポーラス炭素材料は、構造内部に空孔を有し、該空孔が網目状に連結した構造を有する多孔質材料を鋳型に用いて、有機物を導入し化学気相成長処理に付し、これによって炭素を該多孔質材料の表面及び/又は空孔内部に堆積させることを包含している処理をした後、鋳型である多孔質材料を除去することで容易に製造できる。化学気相成長(chemical vapor deposition ; CVD)法とは、鋳型などの基板上に特定の原子あるいは原子組成からなる薄膜(例えば、炭素からなる薄膜)を作る工業的手法を指しており、通常、原料物質を含むガスに、熱や光によってエネルギーを与えたり、高周波でプラズマ化したりすることにより、化学反応や熱分解が生起して、原料物質がラジカル化するなどして反応性に富むようになり、基板上に吸着されて堆積することを利用する技術であって、温度を上げて堆積させるものを「熱CVD」、化学反応や熱分解を促進させるために光を照射するものを「光CVD」、ガスをプラズマ状態に励起する方法を「プラズマCVD」というように区別して言われることもある。好ましい態様では、本発明のミクロポーラス炭素材料は、上記した多孔質材料を鋳型に用いて、加熱条件下に多孔質材料の表面および空孔内部に有機物を導入して、炭素を鋳型の上に堆積させた後に、多孔質材料を除去することで容易に製造できる。また、別の態様では、本発明のミクロポーラス炭素材料は、上記した多孔質材料を鋳型に用いて、第1の処理として加熱条件下に多孔質材料の表面および空孔内部に有機物を導入して鋳型の上に炭素を堆積させた後に、さらに、第2の処理として第1の処理における温度よりも高い温度で加熱条件下に多孔質材料に有機物を導入して炭素を堆積させた後に、鋳型多孔質材料を除去することで容易に製造できる。ここで、第1の処理において使用する有機物と、第2の処理において使用する有機物とは、同一でも異なっていてもよく、混合物として異なるものであってもよい。上記合成法においては、必要に応じて、炭素の堆積(吸着)処理を行った後、炭素堆積時の温度より高い温度として加熱処理を加えることができ、また、それが好ましい場合がある。詳細については不明だが、上記の連続する処理によって、多孔質材料の内部に均一に炭素を生成させることが可能となり、長周期にわたって規則的に繰り返した構造を有するとともに、優れた物性を有する多孔性炭素材料が生成し易くなると考えられる。
本発明のミクロポーラス炭素材料の製造において用いることができる有機物としては、気体状のものあるいは何らかの方法によって気化できるものが好ましいし、またある場合にはそれが必要である。常温で気体の有機物を用いることが好ましい場合もある。気化の方法としては沸点以上に熱することや雰囲気を減圧にすることなどが挙げられる。有機物としては、当該分野あるいは化学気相成長法の分野で当業者に知られた炭素源物質の中から適宜選択して使用できるが、加熱処理することで熱分解することが知られているものが好ましく使用できる。代表的な有機物としては、化学気相成長法に従って処理されて、鋳型骨格上に、例えば、シリカゲル骨格上に、炭素の堆積を行うことができるものである。有機物としては、例えば、水素原子を含有していてよい不飽和または飽和の有機化合物であってよく、さらにそれらの混合物なども含まれてよい。該有機物としては、二重結合及び/又は三重結合をもつ不飽和直鎖または分枝鎖の炭化水素、飽和直鎖または分枝鎖の炭化水素などが含まれてよく、さらに飽和環式炭化水素、芳香族炭化水素なども含まれてよい。該有機物の具体例としては、アセチレン、メチルアセチレン、エチレン、アレン、プロピレン、イソプレン、シクロプロパン、メタン、エタン、プロパン、ベンゼン、ビニルベンゼン、エチレンオキサイドなどが挙げられる。有利には、鋳型の細孔内に入り込むことのでき性状を備えたものが挙げられ、例えば、アセチレン、エチレン、メタン、エタンなどが好適なものとして挙げられる。有機物は、より高温でのCVDに用いるものと、より低温でCVDに用いるものとでは、互いに同一のものであっても異なっていてもよく、例えば、より低温でのCVDでは、アセチレン、エチレンなどを使用し、より高温でのCVDには、プロピレン、イソプレン、ベンゼンなどを使用するなどとしてよい。
有機物を多孔質材料の空孔内部へ導入する際には、多孔質材料を予め減圧にしておくこともできるし、系自体を減圧下にしておくこともできる。本CVD法では、鋳型の多孔質材料は安定であって、CVDにより炭素の堆積が起こる方法であれば如何なる方法を用いても良い。通常は、多孔質材料鋳型の骨格上に、有機物の化学反応あるいは熱分解で生成した炭素を、堆積(又は吸着)せしめ、こうして鋳型-炭素からなる複合体(composite)を得る。通常、CVDは、加熱条件下に行うことができる。加熱温度は、使用有機物によって適宜適切な温度を選択できるが、通常は、400〜1500℃、ある場合には450〜1100℃、好ましくは500〜900℃、さらに好ましくは550〜800℃、より好ましくは575〜750℃、あるいは約600〜700℃であり、またCVD処理時間及び/又は反応系内の圧力に応じて適宜適切な温度を選択することもできる。CVD処理時間としては、十分に炭素堆積が得られる時間とすることが好ましく、使用有機物や使用温度によって適宜適切な時間とすることができる。上記のように形成された鋳型-炭素複合体は、CVDによる炭素の堆積(吸着)後、CVD処理温度より高い温度で加熱処理されてよいし、ある場合には、好ましい。本付加加熱温度は、使用有機物によって適宜、適切な温度を選択できるが、通常は、700〜1500℃、ある場合には750〜1200℃、好ましくは800〜1100℃、さらに好ましくは825〜1000℃、より好ましくは850〜950℃、あるいは約875〜925℃であり、また本加熱処理時間及び/又は反応系内の圧力に応じて適宜適切な温度を選択することもできる。本明細書で開示している分析法などを適用して、生成物を分析し、その結果に基づいて十分な炭素堆積に要求される時間を設定することができる。CVD処理は、減圧あるいは真空下に行うこともできるし、加圧下に行うこともでき、また、不活性ガス雰囲気下に行うこともできるし、またそれが好ましい場合もある。不活性ガスとしては、例えば、N2ガス、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどが挙げられる。本発明の化学気相成長法では、通常、気体状の有機物をキャリアガスとともに多孔質材料に接触させるように流通させながら加熱することで、容易に気相で鋳型である多孔質材料上に炭素の堆積を行うことができる。キャリアガスの種類、流速および流量および加熱温度は、使用する有機物や多孔質材料の種類によって適宜調節することが必要である。キャリアガスとしては、例えば、上記の不活性ガスなどが挙げられるが、酸素ガスあるいは水素ガスとの混合物などであることもできる。上記加熱処理も、同様に、本明細書で開示している分析法などを適用して、生成物を分析し、その結果に基づいてその適切な条件を設定できる。
本発明のミクロポーラス炭素材料を合成する際の鋳型に用いる多孔質材料としては、空孔内部に有機物が導入できること、CVD処理の際に元の構造を安定に保つこと、生成したミクロポーラス炭素材料と分離できることが必要である。このため、耐熱性が優れ、酸やアルカリに溶解するものが好ましく、多孔質な酸化物が例示される。
得られるミクロポーラス炭素材料は、鋳型の空孔の形状と該空孔の連結様式を反映した構造と、鋳型自身の形状を反映した空孔を有する炭素材料が生成する。言い換えれば、鋳型の形態を転写した状態で炭素材料が合成される。このため、鋳型の多孔質材料としては、結晶が十分に発達した、粒子サイズのそろった、構造および組成が均一な材料であることが望ましい。
以上のように、鋳型の多孔質材料の備えるべき材料物性と、得られるミクロポーラス炭素材料物性を考慮すると、鋳型となる多孔質材料としては、ゼオライトが特に好ましいと考えられる。ゼオライトは、シリカ構造のケイ素(Si)の一部がアルミニウム(Al)で置換されたアルミノケイ酸塩であって、骨格自体が負電荷を持つことから構造内にカチオンが分布した構造を持つ。Si/Alモル比およびカチオンの種類や量、およびカチオンに水和した水分子の数によって多様な結晶構造を有することとなり、例えば空孔が2次元的に連結したものや3次元的に連結したもの、多様なサイズの空孔を持つ多孔質材料である。代表的なゼオライトとしては、ケージ又はスーパーケージといった空隙構造を有するものが挙げられ、ゼオライトのなかでもFAU型ゼオライトが好ましく、その中でもY型ゼオライト(zeolite Y)がより好ましい。なお、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry: 国際純正及び応用化学連合)では直径2nm以下の細孔をマイクロ孔(micropore)、直径2nm〜50nmの細孔をメソ孔(mesopore)、そして50nm以上のものをマクロ孔(macropore)と定義し、マイクロ孔を持つ物質を総称して「マイクロポーラスマテリアル」(microporous materials)と呼んでいる。
多孔質材料(鋳型)の除去は、生成したミクロポーラス炭素材料を分離できる方法であれば如何なる方法を用いても良いが、例えば、上述のゼオライトに関しては、酸で溶解することが可能であり、具体的には、塩酸やフッ化水素酸を用いることで容易に鋳型ゼオライトを溶解せしめることができる。
得られるミクロポーラス炭素材料は、鋳型の空孔の形状と該空孔の連結様式を反映した構造と、鋳型自身の形状を反映した空孔を有する炭素材料が生成する。言い換えれば、鋳型の形態を転写した状態で炭素材料が合成される。このため、鋳型の多孔質材料としては、結晶が十分に発達した、粒子サイズのそろった、構造および組成が均一な材料であることが望ましい。
以上のように、鋳型の多孔質材料の備えるべき材料物性と、得られるミクロポーラス炭素材料物性を考慮すると、鋳型となる多孔質材料としては、ゼオライトが特に好ましいと考えられる。ゼオライトは、シリカ構造のケイ素(Si)の一部がアルミニウム(Al)で置換されたアルミノケイ酸塩であって、骨格自体が負電荷を持つことから構造内にカチオンが分布した構造を持つ。Si/Alモル比およびカチオンの種類や量、およびカチオンに水和した水分子の数によって多様な結晶構造を有することとなり、例えば空孔が2次元的に連結したものや3次元的に連結したもの、多様なサイズの空孔を持つ多孔質材料である。代表的なゼオライトとしては、ケージ又はスーパーケージといった空隙構造を有するものが挙げられ、ゼオライトのなかでもFAU型ゼオライトが好ましく、その中でもY型ゼオライト(zeolite Y)がより好ましい。なお、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry: 国際純正及び応用化学連合)では直径2nm以下の細孔をマイクロ孔(micropore)、直径2nm〜50nmの細孔をメソ孔(mesopore)、そして50nm以上のものをマクロ孔(macropore)と定義し、マイクロ孔を持つ物質を総称して「マイクロポーラスマテリアル」(microporous materials)と呼んでいる。
多孔質材料(鋳型)の除去は、生成したミクロポーラス炭素材料を分離できる方法であれば如何なる方法を用いても良いが、例えば、上述のゼオライトに関しては、酸で溶解することが可能であり、具体的には、塩酸やフッ化水素酸を用いることで容易に鋳型ゼオライトを溶解せしめることができる。
一つの好適な態様では、約550〜700℃の温度条件下に、ガス状の有機物(例えば、アセチレンなどの不飽和炭化水素化合物など)を粉末ゼオライトに導入して化学気相成長法を行い、鋳型であるゼオライト空孔内部に炭素を堆積あるいは吸着せしめた後に、ゼオライトを溶解させて除去するという条件が挙げられる。典型的には、炭素は、少なくともゼオライト鋳型に存在する空洞内の内側表面に付着せしめられる。上記で炭素を堆積あるいは吸着せしめた後に、加熱処理を加えることができる。本加熱処理は、上記化学気相成長法での処理温度より高い温度にさらすことで実施でき、例えば、不活性ガス雰囲気下に、約700〜1050℃の温度、あるいは約800〜1000℃の温度に一定の時間(例えば、約10分間〜4時間、あるいは30分間〜2時間)保持することで達成できる。
別の好適な態様では、約550〜690℃の温度条件下に、ガス状の有機物(例えば、アセチレンなどの不飽和炭化水素化合物など)を粉末ゼオライトに導入して化学気相成長法を行い、鋳型であるゼオライト空孔内部に炭素を堆積あるいは吸着せしめ、次により高い温度条件下(例えば、約610〜750℃の温度条件下など)に、ガス状の有機物(例えば、プロピレンなどの不飽和炭化水素化合物など)を炭素-ゼオライト複合体(carbon-zeolite composite)に導入してさらに化学気相成長法を行って炭素を堆積あるいは吸着せしめた後に、ゼオライトを溶解させて除去するという条件が挙げられる。本態様でも、上記と同様、上記炭素の堆積あるいは吸着後に、加熱処理を加えることができる。本加熱処理は、上記化学気相成長法での処理温度より高い温度にさらすことで実施でき、例えば、不活性ガス雰囲気下に、約700〜1050℃の温度、あるいは約800〜1000℃の温度に一定の時間(例えば、約10分間〜4時間、あるいは30分間〜2時間)保持することで達成できる。
更なる態様では、本発明のミクロポーラス炭素材料は、上記した多孔質材料を鋳型に用いて、加熱条件下、多孔質材料の表面および空孔内部に窒素源を含む有機物を導入し、炭素の堆積(吸着)とともに窒素を堆積(吸着)させた後に、多孔質材料を除去するといったものであってよい。また別の態様では、本発明のミクロポーラス炭素材料は、上記した多孔質材料を鋳型に用いて、加熱条件下、多孔質材料の表面および空孔内部に窒素源を含む有機物を導入し、、炭素の堆積(吸着)とともに窒素を堆積(吸着)させた後に、さらに、より高い温度で(より高温加熱条件下)で処理した後(有機物を導入後加熱することも含む)、多孔質材料を除去することで製造するものであってよい。これらの手法では、該窒素源としては、当該分野あるいは化学気相成長法の分野で窒素源として知られたものの中から適宜選択して使用することができるが、好ましいものとしては窒素含有化合物が挙げられる。窒素含有化合物としては、無機あるいは有機の窒素原子を含有している化合物であってよく、例えば、アクリロニトリル、アセトニトリル、ピロール、ピリジン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ビニルアミン、アンモニアなどが挙げられる。常温で気体の化合物を用いることが好ましい場合もある。これらの気体状の窒素含有化合物は、化学気相成長法に従って処理されて、炭素骨格上に窒素の堆積を行うことができる。該窒素含有化合物は、常温で気体状の有機物又は容易に気体状にすることのできる有機物との混合物としてそれを用いることができる。これらの手法の各ステップの処理条件などは、上記に準じて適用・実施してよい。
本発明の合成法では、煩雑で、その一連の操作を単純化することの困難な処理、例えば、液体を多孔質鋳型に含浸させる処理や、一旦多孔質鋳型に含浸させた炭素源を重合させるという処理などを行う必要がないので、目的物質を、簡単な操作で且つ比較的安価に製造することができる。本発明の合成法は、工業的な製品製造に適した簡便な方法である。
より具体的には、従来、フルフリルアルコール(FA)をY型ゼオライトに含浸させ、含浸したFAを重合化し、得られたポリフルフリルアルコール(PFA)-ゼオライト複合体を加熱処理し、次にプロピレンによるCVDを行い、さらに該CVDの後で熱処理を行って、最後にゼオライトの型枠をHFで溶解除去していたが、FAを使用するこの従来法では、攪拌処理、ろ過処理、乾燥処理といった湿式含浸処理が不可欠で、合成法を煩雑で時間のかかるものとしている。本発明の方法では、乾式CVD法であり、簡便な工程となっている。
さらに、従来法では、PFAの炭化工程とその後のプロピレンによるCVD工程の両方を行うことが、大きな表面積と大きなミクロ孔容積を持つ規則構造のミクロポーラス炭素を得るためには不可欠であったが、PFAの炭化ではPFA由来の炭素量が十分に多くなくて、鋳型ゼオライトの有している規則的な構造を再現できてはいないという問題もあった。本発明の方法では、十分に多くの炭素を鋳型上に、特には空隙の中に、堆積せしめることができるもので、この点でも優れている。
別の好適な態様では、約550〜690℃の温度条件下に、ガス状の有機物(例えば、アセチレンなどの不飽和炭化水素化合物など)を粉末ゼオライトに導入して化学気相成長法を行い、鋳型であるゼオライト空孔内部に炭素を堆積あるいは吸着せしめ、次により高い温度条件下(例えば、約610〜750℃の温度条件下など)に、ガス状の有機物(例えば、プロピレンなどの不飽和炭化水素化合物など)を炭素-ゼオライト複合体(carbon-zeolite composite)に導入してさらに化学気相成長法を行って炭素を堆積あるいは吸着せしめた後に、ゼオライトを溶解させて除去するという条件が挙げられる。本態様でも、上記と同様、上記炭素の堆積あるいは吸着後に、加熱処理を加えることができる。本加熱処理は、上記化学気相成長法での処理温度より高い温度にさらすことで実施でき、例えば、不活性ガス雰囲気下に、約700〜1050℃の温度、あるいは約800〜1000℃の温度に一定の時間(例えば、約10分間〜4時間、あるいは30分間〜2時間)保持することで達成できる。
更なる態様では、本発明のミクロポーラス炭素材料は、上記した多孔質材料を鋳型に用いて、加熱条件下、多孔質材料の表面および空孔内部に窒素源を含む有機物を導入し、炭素の堆積(吸着)とともに窒素を堆積(吸着)させた後に、多孔質材料を除去するといったものであってよい。また別の態様では、本発明のミクロポーラス炭素材料は、上記した多孔質材料を鋳型に用いて、加熱条件下、多孔質材料の表面および空孔内部に窒素源を含む有機物を導入し、、炭素の堆積(吸着)とともに窒素を堆積(吸着)させた後に、さらに、より高い温度で(より高温加熱条件下)で処理した後(有機物を導入後加熱することも含む)、多孔質材料を除去することで製造するものであってよい。これらの手法では、該窒素源としては、当該分野あるいは化学気相成長法の分野で窒素源として知られたものの中から適宜選択して使用することができるが、好ましいものとしては窒素含有化合物が挙げられる。窒素含有化合物としては、無機あるいは有機の窒素原子を含有している化合物であってよく、例えば、アクリロニトリル、アセトニトリル、ピロール、ピリジン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ビニルアミン、アンモニアなどが挙げられる。常温で気体の化合物を用いることが好ましい場合もある。これらの気体状の窒素含有化合物は、化学気相成長法に従って処理されて、炭素骨格上に窒素の堆積を行うことができる。該窒素含有化合物は、常温で気体状の有機物又は容易に気体状にすることのできる有機物との混合物としてそれを用いることができる。これらの手法の各ステップの処理条件などは、上記に準じて適用・実施してよい。
本発明の合成法では、煩雑で、その一連の操作を単純化することの困難な処理、例えば、液体を多孔質鋳型に含浸させる処理や、一旦多孔質鋳型に含浸させた炭素源を重合させるという処理などを行う必要がないので、目的物質を、簡単な操作で且つ比較的安価に製造することができる。本発明の合成法は、工業的な製品製造に適した簡便な方法である。
より具体的には、従来、フルフリルアルコール(FA)をY型ゼオライトに含浸させ、含浸したFAを重合化し、得られたポリフルフリルアルコール(PFA)-ゼオライト複合体を加熱処理し、次にプロピレンによるCVDを行い、さらに該CVDの後で熱処理を行って、最後にゼオライトの型枠をHFで溶解除去していたが、FAを使用するこの従来法では、攪拌処理、ろ過処理、乾燥処理といった湿式含浸処理が不可欠で、合成法を煩雑で時間のかかるものとしている。本発明の方法では、乾式CVD法であり、簡便な工程となっている。
さらに、従来法では、PFAの炭化工程とその後のプロピレンによるCVD工程の両方を行うことが、大きな表面積と大きなミクロ孔容積を持つ規則構造のミクロポーラス炭素を得るためには不可欠であったが、PFAの炭化ではPFA由来の炭素量が十分に多くなくて、鋳型ゼオライトの有している規則的な構造を再現できてはいないという問題もあった。本発明の方法では、十分に多くの炭素を鋳型上に、特には空隙の中に、堆積せしめることができるもので、この点でも優れている。
本発明によれば、鋳型に用いる多孔質材料の空孔の形状を反映したナノレベルの構造規則性と多孔質材料の形状を反映した空孔を持ち、且つ、独特の機能の付与された、ミクロポーラス炭素材料利用の途が拓かれる。ナノレベルの構造規則性と多孔性を兼ね備えた、さらには、優れた機能を発揮する炭素材料は、電気エネルギーを貯蔵するデバイスであるキャパシタなどの電極材料への適用、水素やメタンなどに代表される付加価値の高いガスを貯蔵する材料への適用、さらには新規複合材料のマトリックス、電気伝導性材料および炭素膜などへの応用開発を発展させる。該炭素材料は、優れた電気的特性を示すので、例えば、各種産業上の材料選択の幅を広げたり、製品の性能を飛躍的に向上させる可能性与えるし、特に、電極材料として使用して電気二重層キャパシタなどを構成すると、高出力密度、急速充放電を可能にする特性を示し、長寿命化にも資する特性であり、大変に優れた性質を示す。該炭素材料を使用して、容量、重負荷特性、サイクル特性に優れた電池または電気二重層型キャパシターを得ることができる。よって、電子部品・機器、輸送機器、電気機器、電力装置などを、高機能にし、さらに、装置・素子の小型化・軽量化・携帯化の上でも優れている。
本発明は、簡便で且つコストパーフォマンスに優れる上記炭素材料合成法を提供するので、上記炭素材料を電気二重層キャパシタ電極用材として利用する技術発展に有用である。近年、電子機器の小型化が積極的に進められる中、バックアップ電源に用いられる小型で信頼性の高い高静電容量のキャパシタの開発が進められている。特に、最近では電気自動車の実用化に向けて、電源用二次電池の補助電源、あるいは二次電池の負荷を平滑化する目的として、更に高静電容量の新型キャパシタとして、電気二重層キャパシタ(EDLC)が着目されて来ている。EDLCとは固体と液体の界面に生じる電気二重層を利用したコンデンサで、「スーパーキャパシター」、「ウルトラキャパシター」、「電気化学キャパシター」などさまざまな名前で呼ばれる。その構造は、基本的には、セパレ−タを挟んだ1組の分極性電極とこれらを収納するケ−スと電解液と集電体からなる。
ところで、EDLC用炭素電極に要請される基本的な性質としては、電気二重層容量を大きくするためには、C=∫CsdS から、(1) 炭素電極材料の有効比表面積Sを大きくする、(2) 炭素電極材料の面積比容量Csを大きくする、ことが要請される。さらに、高出力密度、高充放電効率、長寿名という特性を発現し、IR損による出力低下を抑制するとともに、表面積が、二重層の形成に有効に利用されるために、(3) 炭素電極表面における充放電機構が非ファラデー過程、(4) 高伝導性、(5) 最適な細孔構造、(6) 炭素電極表面の良好な親和性・濡れ、も重要である。
本発明は、簡便で且つコストパーフォマンスに優れる上記炭素材料合成法を提供するので、上記炭素材料を電気二重層キャパシタ電極用材として利用する技術発展に有用である。近年、電子機器の小型化が積極的に進められる中、バックアップ電源に用いられる小型で信頼性の高い高静電容量のキャパシタの開発が進められている。特に、最近では電気自動車の実用化に向けて、電源用二次電池の補助電源、あるいは二次電池の負荷を平滑化する目的として、更に高静電容量の新型キャパシタとして、電気二重層キャパシタ(EDLC)が着目されて来ている。EDLCとは固体と液体の界面に生じる電気二重層を利用したコンデンサで、「スーパーキャパシター」、「ウルトラキャパシター」、「電気化学キャパシター」などさまざまな名前で呼ばれる。その構造は、基本的には、セパレ−タを挟んだ1組の分極性電極とこれらを収納するケ−スと電解液と集電体からなる。
ところで、EDLC用炭素電極に要請される基本的な性質としては、電気二重層容量を大きくするためには、C=∫CsdS から、(1) 炭素電極材料の有効比表面積Sを大きくする、(2) 炭素電極材料の面積比容量Csを大きくする、ことが要請される。さらに、高出力密度、高充放電効率、長寿名という特性を発現し、IR損による出力低下を抑制するとともに、表面積が、二重層の形成に有効に利用されるために、(3) 炭素電極表面における充放電機構が非ファラデー過程、(4) 高伝導性、(5) 最適な細孔構造、(6) 炭素電極表面の良好な親和性・濡れ、も重要である。
本発明で得られたMPCは、EDLC電極として有用性であり、それはAg/Ag+を参照電極とする三極式のセルを構築して確認することができる。該MPCを作用極とする非水系電解液(1 M-Et4NBF4/PC)系三極セルで評価したEDLC電極は以下のような特徴を有する。すなわち、
(a) ボルタモグラムがEDLC電極として理想的な矩形をしている。これはEDLCの充放電機構が電気二重層におけるイオンの吸着と脱着による非ファラデー過程であることを示している。充放電に電気化学的酸化・還元過程を伴わないMPCは、EDLCの高出力密度、急速充放電をもたらす特徴を有する。この特徴は、各種機器の電源として搭載されたときの常時電圧印加状態での性能劣化を防ぎ長寿命化をもたらす。
(b) MPCは高比表面積を有しており、その静電容量は、現在実用化されているACFに比して高容量とすることができるし、高比表面積を電気二重層の形成に有効に利用できる。MPCが1.2nm程度のミクロ孔が規則的に配列したいわばオープンチャンネル細孔構造であることによって、表面の電解質溶液との親和性が向上し、濡れ性が高くなる。また、面積比容量Csも確実に増大化できる。
(c) MPCは、大きな電流密度の範囲でも二重層容量が不変である。
(d) MPCは、IR-dropが極めて小さく、電流密度を10倍に大きくした範囲での電流密度依存性を殆んど示さない。
本発明の合成法で得られるMPCの際立って優れた性質は、ミクロ孔が規則的に配列したオープンチャンネル細孔構造に由来する。MPCが有する優れた細孔構造によって空間電荷層や表面の濡れ性等において優れた特性を発揮する。
(a) ボルタモグラムがEDLC電極として理想的な矩形をしている。これはEDLCの充放電機構が電気二重層におけるイオンの吸着と脱着による非ファラデー過程であることを示している。充放電に電気化学的酸化・還元過程を伴わないMPCは、EDLCの高出力密度、急速充放電をもたらす特徴を有する。この特徴は、各種機器の電源として搭載されたときの常時電圧印加状態での性能劣化を防ぎ長寿命化をもたらす。
(b) MPCは高比表面積を有しており、その静電容量は、現在実用化されているACFに比して高容量とすることができるし、高比表面積を電気二重層の形成に有効に利用できる。MPCが1.2nm程度のミクロ孔が規則的に配列したいわばオープンチャンネル細孔構造であることによって、表面の電解質溶液との親和性が向上し、濡れ性が高くなる。また、面積比容量Csも確実に増大化できる。
(c) MPCは、大きな電流密度の範囲でも二重層容量が不変である。
(d) MPCは、IR-dropが極めて小さく、電流密度を10倍に大きくした範囲での電流密度依存性を殆んど示さない。
本発明の合成法で得られるMPCの際立って優れた性質は、ミクロ孔が規則的に配列したオープンチャンネル細孔構造に由来する。MPCが有する優れた細孔構造によって空間電荷層や表面の濡れ性等において優れた特性を発揮する。
本発明のミクロポーラス炭素材料を用いた電極の作製法は、特に限定されない。従来知られている電極の製造手法をそのまま使用することができ、当該分野で様々な形態の電極が知られているのでそれらと同様な手法で作製することができるが、例えば、(1)予めミクロポーラス炭素材料の分散液を作製し、この分散液に活物質、結着剤、各種添加剤を加え更に分散させ、集電体に塗布後乾燥する方法、(2)ミクロポーラス炭素材料、活物質、結着剤、各種添加剤を同時に溶液に分散させ、集電体に塗布後乾燥する方法、(3)ミクロポーラス炭素材料、活物質、結着剤、各種添加剤を乾式混合機により分散させ、圧縮成形等加圧により集電体に結着させる方法などが用いられる。本発明のミクロポーラス炭素材料は、公知のカーボンブラック、活性炭などのその他の炭素材料と混合して使用することもできる。分散溶媒としては、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)などを使用できる。分散に使用する分散機としては、ボールミル、サンドミル、三本ロール、高速ディスパーザー等塗料作製時に使用される分散機や、ヘンシェルミキサー、遊星ボールミル等の乾式混合機等公知の分散機が使用できる。典型的な電極作製法では、例えば、本発明のミクロポーラス炭素材料粉末にポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の結着剤(バインダ)を添加して、加圧ロール成型してシート状或いは板状にし電極材とすることが可能である。この時、導電材料として黒鉛粉やアセチレンブラック等を添加することも可能である。また、マット、フェルト状のものに集電性を向上させるためにアルミニウム等の導電材を蒸着し電極とすることも可能である。さらに、ペーパー化した後電極とすることも可能である。このようにして作製された電極は、所望の大きさ、形状に切断しセパレータを両極の間に介在させ、容器に挿入後電解液を注入し、封口板、ガスケットを用いて封口をかしめて単極セルとすることが出来る。セパレータとしては、様々なものを使用できるが、例えば、ポリエチレン製セパレータ、ナイロン不織布製セパレータ、ポリプロピレン製不織布セパレータなどを好適に使用できる。
本発明のミクロポーラス炭素材料の使用量は、特に限定されないが、好ましくは、正極活物質あるいは負極活物質100質量部に対して0.01〜200.0質量部であり、あるいは0.1〜100質量部であり、好ましくは0.1〜50.0質量部であり、さらに好ましくは0.2〜25.0質量部である。
本発明のミクロポーラス炭素材料を適用した電気二重層キャパシタ(EDLC)としては、プロピレンカーボネート等の有機系極性溶媒に過塩素酸リチウム或いは4級アンモニウム塩等の電解質を溶解させたなどといった有機溶媒系電解液を使用する非水電解液系のものであっても、あるいは硫酸水溶液あるいは水酸化カリウム水溶液などのような水溶液系電解液を使用する水性電解液系のいずれであってもよいが、例えば、非水電解液系のものでは、キャパシタの体積当たりの蓄電エネルギー量を上げることが出来ることが知られており、容積当たりのエネルギーの高密度化という観点からは、有利である。
本発明に使用する電解液としては、有機溶媒系、或いは水系のいずれのものも使用することが出来るが、特に有機溶媒系が好ましい。有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン等を挙げることが出来る。これらの有機溶媒は、一種または二種以上の混合溶媒として用いることも出来る。また、これらの溶媒は水との親和性が高く水の溶解性の高いものであり、一般的には水と任意の割合で混合しで用いることが出来る。さらに,これらの溶媒中で使用される電解質としては、金属の陽イオン、4級アンモニウムカチオン、カルボニウムカチオン等の陽イオンと陰イオンの塩を挙げることが出来る。ここで用いられる陰イオンとしては、ClO4 -、BF4 -、PF4 -、PF6 -、AsF6 -等が挙げられる。具体的な電解液としては、例えばテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(Et4NBF4)、LiClO4 、BuN-ClO4 、LiPF6、NaBF4等が挙げられる。
本発明のミクロポーラス炭素材料を適用した電気二重層キャパシタ(EDLC)としては、プロピレンカーボネート等の有機系極性溶媒に過塩素酸リチウム或いは4級アンモニウム塩等の電解質を溶解させたなどといった有機溶媒系電解液を使用する非水電解液系のものであっても、あるいは硫酸水溶液あるいは水酸化カリウム水溶液などのような水溶液系電解液を使用する水性電解液系のいずれであってもよいが、例えば、非水電解液系のものでは、キャパシタの体積当たりの蓄電エネルギー量を上げることが出来ることが知られており、容積当たりのエネルギーの高密度化という観点からは、有利である。
本発明に使用する電解液としては、有機溶媒系、或いは水系のいずれのものも使用することが出来るが、特に有機溶媒系が好ましい。有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン等を挙げることが出来る。これらの有機溶媒は、一種または二種以上の混合溶媒として用いることも出来る。また、これらの溶媒は水との親和性が高く水の溶解性の高いものであり、一般的には水と任意の割合で混合しで用いることが出来る。さらに,これらの溶媒中で使用される電解質としては、金属の陽イオン、4級アンモニウムカチオン、カルボニウムカチオン等の陽イオンと陰イオンの塩を挙げることが出来る。ここで用いられる陰イオンとしては、ClO4 -、BF4 -、PF4 -、PF6 -、AsF6 -等が挙げられる。具体的な電解液としては、例えばテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(Et4NBF4)、LiClO4 、BuN-ClO4 、LiPF6、NaBF4等が挙げられる。
電気2重層コンデンサーであるEDLC(素子)は、特に大電流パルスを供給する必要がある用途での開発が活発で、例えばGSM(Global System for Mobile Communication)方式の携帯電話機などを含めた携帯電話機などでは、二次電池〔水素吸蔵合金を用いたアルカリ二次電池(ニッケル水素電池等)、リチウム化合物を用いた非水電解液二次電池(リチウムイオン電池等)、リチウムポリマー二次電池、空気亜鉛二次電池、高分子型電池、ナトリウム硫黄電池、亜鉛臭素電池等等〕と組み合わせて使うことで、電池駆動時間を大幅に延ばせるし、さらにバス、ハイブリッド自動車などを含めた自動車、路面電車、地下鉄を含めた列車の駆動システムや発電システム(電力回生システムを含む)などの大電力用途でもその使用が期待されている。燃料電池や風力発電、太陽光発電システムなどではエネルギー貯蔵機能を利用できる。電力供給システムや電力利用システムでは、待機時の電力供給や、負荷平準化(パルス性負荷やピーク負荷の吸収)などの用途にも有用である。さらに、急速充電用電源、電子機器などのデータ保持用の表面実装対応のコイン型素子やねじ端子型素子など、パッシブあるいはアクティブの電圧バランシング機能を設けてあってよい高電圧・大電力向けのアレイ品、無停電電源装置、通信装置用バックアップ、発電関連製品、航空宇宙用の電子機器などへの応用もある。
本発明のミクロポーラス炭素材料は、各種電池や電気二重層型キャパシターの活物質として使用される化合物から発生する電子を集電体まで効率的に運ぶためのキャリアー材(電子キャリアー材)、導電剤、集電体、分極性電極などとして有用である。
本発明の上記炭素材料は、電池、電気二重層型キャパシターの電極組成として用いられる。具体的には、リチウム電池、マンガン電池、アルカリマンガン電池等の一次電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、空気亜鉛電池、ニッケル水素電池、高分子型電池、ナトリウム硫黄電池、亜鉛臭素電池等の二次電池および電気二重層型キャパシターが挙げられる。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
本発明の上記炭素材料は、電池、電気二重層型キャパシターの電極組成として用いられる。具体的には、リチウム電池、マンガン電池、アルカリマンガン電池等の一次電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、空気亜鉛電池、ニッケル水素電池、高分子型電池、ナトリウム硫黄電池、亜鉛臭素電池等の二次電池および電気二重層型キャパシターが挙げられる。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
〔CVD法によるミクロポーラスカーボン(MPC)合成〕
粉末Na-Y型ゼオライト(SiO2/Al2O3=5.6)を用いて、ナノオーダーの3次元長周期構造規則性を有するミクロポーラス炭素材料を合成した。なお、Y型ゼオライトは3次元的に網目状に連結した空孔を持つ多孔質材料である。
予め150℃で乾燥したNa-Y型ゼオライトの粉末を石英製反応管に入れて、キャリアガスにN2ガスを使用してアセチレン(N2中5%)を反応管に流し、600℃で4時間、化学気相成長(chemical vapor deposition: CVD)処理せしめた。
得られたゼオライト−炭素複合体(zeolite-carbon composite)粉末のうちの一部のものについては、それを、石英製反応管中で、さらに、700℃で1時間、アセチレン(N2中5%)あるいはプロピレン(N2中2%)を流し、CVD処理せしめた。
次に、生成物をN2ガス気流中で900℃まで昇温を行ない、900℃で1時間熱処理を行ない、ゼオライト−炭素複合体を得た。生成したゼオライト−炭素複合体をフッ化水素酸および塩酸で処理してゼオライトを溶解除去し、炭素のみ取出した。
炭素生成物は、次のように略記した。
Ac6=600℃でアセチレンCVD処理
Ac7=700℃でアセチレンCVD処理
Ac6-Ac7=600℃でアセチレンCVD処理後、さらに700℃でアセチレンCVD処理
P7=700℃でプロピレンCVD処理
Ac6-P7=600℃でアセチレンCVD処理後、さらに700℃でプロピレンCVD処理
PFA-P7=Ma ZX et al., Carbon, 40: pp.2367-2374 (2002)に開示の2段階法(ポリフルフリルアルコール(PFA)炭化処理後1時間プロピレンCVD処理)で製造された炭素
粉末Na-Y型ゼオライト(SiO2/Al2O3=5.6)を用いて、ナノオーダーの3次元長周期構造規則性を有するミクロポーラス炭素材料を合成した。なお、Y型ゼオライトは3次元的に網目状に連結した空孔を持つ多孔質材料である。
予め150℃で乾燥したNa-Y型ゼオライトの粉末を石英製反応管に入れて、キャリアガスにN2ガスを使用してアセチレン(N2中5%)を反応管に流し、600℃で4時間、化学気相成長(chemical vapor deposition: CVD)処理せしめた。
得られたゼオライト−炭素複合体(zeolite-carbon composite)粉末のうちの一部のものについては、それを、石英製反応管中で、さらに、700℃で1時間、アセチレン(N2中5%)あるいはプロピレン(N2中2%)を流し、CVD処理せしめた。
次に、生成物をN2ガス気流中で900℃まで昇温を行ない、900℃で1時間熱処理を行ない、ゼオライト−炭素複合体を得た。生成したゼオライト−炭素複合体をフッ化水素酸および塩酸で処理してゼオライトを溶解除去し、炭素のみ取出した。
炭素生成物は、次のように略記した。
Ac6=600℃でアセチレンCVD処理
Ac7=700℃でアセチレンCVD処理
Ac6-Ac7=600℃でアセチレンCVD処理後、さらに700℃でアセチレンCVD処理
P7=700℃でプロピレンCVD処理
Ac6-P7=600℃でアセチレンCVD処理後、さらに700℃でプロピレンCVD処理
PFA-P7=Ma ZX et al., Carbon, 40: pp.2367-2374 (2002)に開示の2段階法(ポリフルフリルアルコール(PFA)炭化処理後1時間プロピレンCVD処理)で製造された炭素
熱重量測定装置(thermogravimetric analyzer)中で乾燥したゼオライト−炭素複合体のうちの炭素部を800℃で燃やした時の重量の減少(ロス)から各ゼオライト−炭素複合体の炭素の割合(carbon fraction)を計算して求めた。その結果を表1に示す(なお、PFA-P7複合体のデータについても一緒に示してある)。
本発明のCVD法により得られたゼオライト−炭素複合体のすべてのもので、PFA-P7複合体よりも、より大きな炭素の割合の値を示した。本発明の方法では単一のCVD処理のもの(Ac6)でさえ、先行技術の2段階法の場合(PFA-P7)よりも、より多くの炭素を堆積せしめていた。
次に、得られたミクロポーラス炭素(microporous carbon: MPC)を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: SEM)で観察した。得られた結果(SEM像)を図1に示す。図1にはY型ゼオライトをSEMで観察し得られた像も示してある。
Y型ゼオライトのSEM像〔図1(a)〕では、各粒子は結晶のようになっていることが示されている。そして、それは、各粒子はあたかも単一の結晶に相当するものであるか、及び/又は、各粒子は少数の単一結晶からなっていることを示しているのである。当該得られた炭素粒子の滑らかな表面は鋳型であるゼオライト粒子の結晶表面を反映したものとなっている〔図1(b)〜(d)〕。
本発明のCVD法により得られたゼオライト−炭素複合体のすべてのもので、PFA-P7複合体よりも、より大きな炭素の割合の値を示した。本発明の方法では単一のCVD処理のもの(Ac6)でさえ、先行技術の2段階法の場合(PFA-P7)よりも、より多くの炭素を堆積せしめていた。
次に、得られたミクロポーラス炭素(microporous carbon: MPC)を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope: SEM)で観察した。得られた結果(SEM像)を図1に示す。図1にはY型ゼオライトをSEMで観察し得られた像も示してある。
Y型ゼオライトのSEM像〔図1(a)〕では、各粒子は結晶のようになっていることが示されている。そして、それは、各粒子はあたかも単一の結晶に相当するものであるか、及び/又は、各粒子は少数の単一結晶からなっていることを示しているのである。当該得られた炭素粒子の滑らかな表面は鋳型であるゼオライト粒子の結晶表面を反映したものとなっている〔図1(b)〜(d)〕。
Ma ZX et al., Carbon, 40: pp.2367-2374 (2002)で既に報告されているように、ゼオライト粒子の外側の表面の上に炭素の堆積がかなり起こっていると、ゼオライト−炭素複合体から遊離せしめられる炭素粒子の表面は、ゼオライト粒子の滑らかな表面と比較して、凸凹があるように(荒れた状態に)なっている。本発明の方法で得られた炭素のすべてで、該滑らかな表面の上になんらの余分な炭素の堆積も見られなかった。このことは、ゼオライト−炭素複合体の炭素の割合(carbon fraction)に示された量の殆んどすべてがゼオライトのチャンネル(channels)の中に堆積されたものであることを示唆している。
さらに、該得られたMPC材料の炭素の構造をX線回折装置(X-ray Diffractometer: XRD)にかけて粉末X線回折を調べた。XRD測定は、すべて同じ条件で行った。得られた結果(XRDパターン)を図2に示す。図2にはY型ゼオライト及び先行技術に開示の方法で得られたもの(PFA-P7)をXRDにかけて測定して得られたXRDパターンも示してある。本発明の方法で得られたMPC材料の炭素試料では、2θ=6°付近に鋭い回折ピークが観察された。このXRDピークの形状は、Y型ゼオライトの[111]面の規則性に由来する、約1.4nmの周期の規則構造が存在していることを示している。本発明の方法で合成された炭素材料(Ac6, Ac6-Ac7及びAc6-P7)は、従来技術の2段階法で得られたもの(PFA-P7)より、強くてシャープなXRDピークを有していた。驚くことに、2種の炭素材料(Ac6-Ac7及びAc6-P7)のXRDピークの強度は、鋳型のゼオライトから得られる[111]に相当するピークに匹敵するものであった。
本発明の方法で合成された炭素材料は、炭素に特有の、2θが25°(Cu Kα)付近の002面からの回折は認められず、代わりに6°付近に鋭いピークが観察され、従って、本発明の方法で合成した炭素材料は、ゼオライトの空孔の規則性を反映した、約1.4nmの周期性を有している規則的な構造を有するものであることが確認された。
さらに、該得られたMPC材料の炭素の構造をX線回折装置(X-ray Diffractometer: XRD)にかけて粉末X線回折を調べた。XRD測定は、すべて同じ条件で行った。得られた結果(XRDパターン)を図2に示す。図2にはY型ゼオライト及び先行技術に開示の方法で得られたもの(PFA-P7)をXRDにかけて測定して得られたXRDパターンも示してある。本発明の方法で得られたMPC材料の炭素試料では、2θ=6°付近に鋭い回折ピークが観察された。このXRDピークの形状は、Y型ゼオライトの[111]面の規則性に由来する、約1.4nmの周期の規則構造が存在していることを示している。本発明の方法で合成された炭素材料(Ac6, Ac6-Ac7及びAc6-P7)は、従来技術の2段階法で得られたもの(PFA-P7)より、強くてシャープなXRDピークを有していた。驚くことに、2種の炭素材料(Ac6-Ac7及びAc6-P7)のXRDピークの強度は、鋳型のゼオライトから得られる[111]に相当するピークに匹敵するものであった。
本発明の方法で合成された炭素材料は、炭素に特有の、2θが25°(Cu Kα)付近の002面からの回折は認められず、代わりに6°付近に鋭いピークが観察され、従って、本発明の方法で合成した炭素材料は、ゼオライトの空孔の規則性を反映した、約1.4nmの周期性を有している規則的な構造を有するものであることが確認された。
本発明の方法で合成されたミクロポーラス炭素(MPC)材料の細孔構造を窒素吸着法で調べた。本発明の合成法で得られたミクロポーラスカーボン(microporous carbon: MPC)の窒素吸着等温線を図3に示す。当該MPCの窒素吸着等温線はI型であることを示しており、吸着等温線及び脱着等温線(図示されてはいない)の各セットのうちにはいかなるヒステリシスも存在していない。これは、ミクロポーラス(ミクロ孔)主体の細孔径分布であることを示すものである。0.01<P/P0<0.05の相対圧の範囲での当該吸着等温線よりBET比表面積(BET specific surface area: BET-SSA)を求めた。ミクロ孔容積(Vmicro)をそれぞれの窒素吸着等温線のデータを使用してDubinin-Radushkevich (DR)方程式で算出した。メソ孔容積(Vmeso)は、0.95の相対圧における吸着N2の容積からミクロ孔容積(Vmicro)を差し引いて決めた。得られた結果をすべて表1にまとめて示した(表1には、比較のためPFA-P7のデータも示してある)。
本発明の方法で合成されたMPCは、鋳型となるY型ゼオライトに由来した規則配列した細孔構造を示し、大きな比表面積値、高いミクロ孔容積値、そして大きなミクロ孔率(microporosity)という特徴を持っている。当該MPC(Ac6, Ac6-Ac7及びAc6-P7)は、比表面積及びミクロ孔容積については、PFA-P7よりも低いものであった。
より詳細なミクロ細孔構造についての情報を得るため、N2吸着等温線に密度汎関数理論(Density Functional Theory: DFT)法〔AUTOSORBTM ソフトウェア(Quantachrome Instruments)〕を適用することで細孔の大きさの分布(pore size distribution: PSD)曲線を求めた。
PSD曲線はすべての炭素材料(PFA-P7炭素も含めて)において非常にシャープなものでああり、細孔の大きさの大部分は1.0〜1.5nmの範囲に入るものであった。しかしながら、本発明のCVD方法で得られた三種の炭素材料と先行技術の方法で得られたもの(PFA-P7炭素)とでは幾分違いが認められた。本発明のCVD方法で得られた炭素のPSD曲線は、先行技術の方法で得られたものよりも幅が狭いものであった。特に、本発明のCVD方法で得られた炭素のPSD曲線のそれぞれの右側の半分は、より幅が狭いものである。すなわち、本発明の方法で合成された三種の炭素材料のミクロ孔の大きさは、PFA-P7炭素よりも僅かながら小さくて且つより均一なサイズのものであった。
より詳細なミクロ細孔構造についての情報を得るため、N2吸着等温線に密度汎関数理論(Density Functional Theory: DFT)法〔AUTOSORBTM ソフトウェア(Quantachrome Instruments)〕を適用することで細孔の大きさの分布(pore size distribution: PSD)曲線を求めた。
PSD曲線はすべての炭素材料(PFA-P7炭素も含めて)において非常にシャープなものでああり、細孔の大きさの大部分は1.0〜1.5nmの範囲に入るものであった。しかしながら、本発明のCVD方法で得られた三種の炭素材料と先行技術の方法で得られたもの(PFA-P7炭素)とでは幾分違いが認められた。本発明のCVD方法で得られた炭素のPSD曲線は、先行技術の方法で得られたものよりも幅が狭いものであった。特に、本発明のCVD方法で得られた炭素のPSD曲線のそれぞれの右側の半分は、より幅が狭いものである。すなわち、本発明の方法で合成された三種の炭素材料のミクロ孔の大きさは、PFA-P7炭素よりも僅かながら小さくて且つより均一なサイズのものであった。
6°付近のXRDピークがシャープであればあるほど、表面積及び孔容積は大きいものとなっていることは既に報告しているとおりである。しかしながら、本発明のCVD方法ではそれとは異なった現象が観察された。すなわち、本発明のCVD方法で得られた三種の炭素材料(Ac6, Ac6-Ac7及びAc6-P7)は、先行技術の方法で得られたもの(PFA-P7炭素)よりは、より規則的な構造を有していたが、一方、より低いミクロ孔率を有していることが観察された。ゼオライトのチャンネルに堆積されたより多くの量の炭素がゼオライトのチャンネルに堆積されたということとこの現象とは関連があるようである。ゼオライトの鋳型から遊離される炭素のXRD測定の結果から判断してゼオライトのチャンネル内への炭素詰め込みの程度が大きくなると、規則構造性が高くなることになる。規則構造性の順序はAc6-Ac7>Ac6-P7>Ac6>>PFA-P7で、ゼオライトのチャンネル内への炭素詰め込みの程度の順序と同じであった。ゼオライトのチャンネル内への炭素詰め込みの程度が大きくなると、炭素の詰まっていないチャンネルの割合が低下する。本発明で、PFA-P7炭素材料と同様に、メソ孔の割合の非常に小さなもので且つミクロポーラスな炭素材料を得たのである。炭素を堆積することによりゼオライトのチャンネルの空間内を炭素が占有する割合が増加すると、一方で、炭素部分の細孔の大きさ及び孔容積が減少する。というのは炭素がゼオライト−炭素複合体から遊離されたときにゼオライトの型枠と炭素の詰まっていない空間が炭素材料のミクロ孔となるからである。
かくして、本発明のCVD方法で、規則正しいミクロポーラス炭素(MPC)を得ることができる。本発明のCVD方法で得られた炭素材料はおおよそ3000m2/gのBET比表面積及び1cm3/gよりも大きなミクロ孔容積を有していた。すなわち、従来のFA含浸工程を含んだ方法と比較すると、本発明の方法で得られる炭素材料は、鋳型ゼオライトの結晶に由来する長周期規則性をより忠実に反映して持つとともに、ミクロ孔のサイズがより均一であって、本発明方法は、規則的なミクロポーラス構造を有する炭素素材の合成法としてシンプルであり且つ大量製造手段としても優れている。
本発明の方法では、単一CVD工程でありながら、十分量の炭素の堆積(あるいは吸着)を達成できるが、鋳型のゼオライト粒子の外側の表面に炭素が堆積(あるいは吸着)して生成物多孔質炭素における規則構造性が低下してしまっているということなく、ゼオライトのチャンネル(空隙)内に十分炭素源が進入して堆積(あるいは吸着)するという結果を得ることできる。そして該結果は、外側の表面に堆積した物質が問題のあるような熱分解を起こすなどという問題を伴うこともなく得られるのである。
本発明の方法では、単一CVD工程でありながら、十分量の炭素の堆積(あるいは吸着)を達成できるが、鋳型のゼオライト粒子の外側の表面に炭素が堆積(あるいは吸着)して生成物多孔質炭素における規則構造性が低下してしまっているということなく、ゼオライトのチャンネル(空隙)内に十分炭素源が進入して堆積(あるいは吸着)するという結果を得ることできる。そして該結果は、外側の表面に堆積した物質が問題のあるような熱分解を起こすなどという問題を伴うこともなく得られるのである。
本発明によれば、鋳型に用いる多孔質材料の空孔の形状を反映したナノレベルの構造規則性と多孔質材料の形状を反映したミクロ空孔を持ち、且つ、優れた独特の機能を有する、新規なミクロポーラス炭素材料の合成法が提供される。ナノレベルの構造規則性と多孔性を兼ね備えた、さらには、優れた機能を発揮する炭素材料は、電気エネルギーを貯蔵するデバイスであるキャパシタの電極材料への適用、水素やメタンなどに代表される付加価値の高いガスを貯蔵する材料への適用、さらには新規複合材料のマトリックス、電気伝導性材料および炭素膜などへの適用が期待される。このような炭素材料が簡便且つ安価に合成できることは、各種産業上の材料選択の幅を広げたり、製品の性能を飛躍的に向上させる可能性を有する点で有益である。特に該ミクロポーラス炭素材料は、電極材料として使用して電気二重層キャパシタを構成すると、高出力密度、急速充放電を可能にする特性を示し、長寿命化にも資する特性であり大変に優れている。さらに、装置・素子の小型化・軽量化・携帯化の上でも優れている。本発明のミクロポーラス材料合成法を使用して安価に製作される電気二重層キャパシタは、ハイブリッド自動車のNi水素電池等の代替の電気蓄積源などとして有望である。また、コンピュータなどのメモリーやバックアップ電源、デジタル家電、カーエレクトロニクスなどの用途にも有望である。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
Claims (13)
- 規則構造を有し、内部に少なくともミクロ空孔を有し、内部の空孔において、ミクロ孔の占める容積が0.5cm3/g以上であるミクロポーラス炭素材料の合成法であって、鋳型である多孔質材料に加熱条件下有機物を導入して、化学気相成長法により多孔質材料の表面および空孔内部に炭素を堆積せしめること、を包含している処理をした後に、多孔質材料を除去することを特徴とするミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- 多孔質材料がゼオライトである請求項1記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- ゼオライトが12員環以上のゼオライトである請求項2記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- 加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、ゼオライトを溶解させて除去する請求項1〜3のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- 化学気相成長法を400〜1500℃の温度で行う請求項4に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- 加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめ、次に、より高い温度条件下に有機物を導入して化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、ゼオライトを溶解させて除去する請求項1〜5のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- 最初の化学気相成長法を550〜690℃の温度で行い、次の化学気相成長法を610〜750℃の温度で且つ最初の温度より高い温度で行う請求項6に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- 加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、さらなる処理として化学気相成長法処理における温度よりも高い温度で加熱処理した後にゼオライトを溶解させて除去する請求項1〜7のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- 加熱条件下有機物を導入してゼオライト空孔内部に化学気相成長法により炭素を堆積せしめ、次に、より高い温度条件下に有機物を導入して化学気相成長法により炭素を堆積せしめた後に、さらなる処理として化学気相成長法処理における温度よりも高い温度で加熱処理した後にゼオライトを溶解させて除去する請求項1〜8のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- 最初の化学気相成長法を550〜690℃の温度で行い、次の化学気相成長法を610〜750℃の温度で且つ最初の温度より高い温度で行い、そして熱処理を700〜1050℃の温度で且つ前記化学気相成長法の温度より高い温度で行う請求項9に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- ミクロポーラス炭素材料が0.5nmから100nmの範囲である3次元の長周期規則構造を有している請求項1〜10のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- ミクロポーラス炭素材料が内部の空孔において、メソ孔の占める容積が1cm3/g以下である請求項1〜11のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
- ミクロポーラス炭素材料がBET比表面積が1500cm2/g以上である請求項1〜12のいずれか一に記載のミクロポーラス炭素材料の合成方法。
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