JP2004156461A - 内燃機関の可変バルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バルブタイミングを可変バルブタイミング装置の可動範囲(バルブタイミングの可変範囲)の限界位置又はその近傍へ制御する際に、可変バルブタイミング装置のギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止する。
【解決手段】バルブタイミングの可変範囲の限界位置(最遅角位置や最進角位置)の付近に、バルブタイミング変化速度を所定の制限速度以下に制限する速度制限領域を設定する。実バルブタイミングが速度制限領域内でその限界位置の方向へ変化するときには、バルブタイミング変化速度を所定の制限速度以下に制限する速度制限制御を実行して、位相可変機構の可動部品が高速でストッパ部に衝突することを回避する。一方、実バルブタイミングが速度制限領域内であっても、その限界位置と反対方向に実バルブタイミングが変化するときには、位相可変機構の可動部品とストッパ部との衝突が発生しないため、速度制限制御を実行しない。
【選択図】 図3
【解決手段】バルブタイミングの可変範囲の限界位置(最遅角位置や最進角位置)の付近に、バルブタイミング変化速度を所定の制限速度以下に制限する速度制限領域を設定する。実バルブタイミングが速度制限領域内でその限界位置の方向へ変化するときには、バルブタイミング変化速度を所定の制限速度以下に制限する速度制限制御を実行して、位相可変機構の可動部品が高速でストッパ部に衝突することを回避する。一方、実バルブタイミングが速度制限領域内であっても、その限界位置と反対方向に実バルブタイミングが変化するときには、位相可変機構の可動部品とストッパ部との衝突が発生しないため、速度制限制御を実行しない。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミングをギヤ機構を用いて可変する可変バルブタイミング装置を備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両に搭載される内燃機関においては、出力向上、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを可変する可変バルブタイミング装置を採用したものが増加しつつある。この可変バルブタイミング装置は、例えば、特許文献1(特開平6−213021号公報)に記載されているように、モータの駆動力でギヤ機構を用いた位相可変機構を駆動してクランク軸に対するカム軸の回転位相を可変することで、カム軸によって開閉駆動される吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを可変するようにしたものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−213021号公報(第6頁等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、可変バルブタイミング装置は、バルブタイミングの可変範囲の限界位置(可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置)を、位相可変機構の可動部品をストッパ部に当接させることで機械的に制限するようにしている。このため、バルブタイミングを可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置(最遅角位置や最進角位置)又はその近傍へ制御する際に、オーバーシュートして位相可変機構の可動部品が十分に減速されずにストッパ部に激突することがある。この激突時の衝撃荷重によって、位相可変機構のギヤの噛み合い部分に大きな荷重が掛かって、ギヤ同士が噛み込んでロック状態になったり、ギヤ機構が損傷するおそれがあり、バルブタイミングを正常に制御できなくなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、バルブタイミングを可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置又はその近傍へ制御する際に、可変バルブタイミング装置のギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができ、可変バルブタイミング装置の動作信頼性を向上させることができる内燃機関の可変バルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置は、実バルブタイミングが可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置付近に設定された所定の速度制限領域内にあるときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に制限する速度制限制御を実行するようにしたものである。このようにすれば、実バルブタイミングが限界位置付近の速度制限領域内にあるときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に減速して位相可変機構の可動部品の動作速度を強制的に減速することができるので、位相可変機構の可動部品が減速されずにストッパ部に激突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0007】
この場合、実バルブタイミングが速度制限領域内にある場合でも、その速度制限領域の限界位置と反対方向へ実バルブタイミングを変化させるとき(例えば最遅角位置付近から進角方向へ実バルブタイミングを変化させるとき)には、バルブタイミング変化速度が大きくても、位相可変機構の可動部品とストッパ部との衝突は発生しない。
【0008】
そこで、請求項2のように、実バルブタイミングが速度制限領域内にある場合でも、その速度制限領域の限界位置と反対方向へ実バルブタイミングを変化させるときには、速度制限制御を実行しないようにすると良い。このようにすれば、実バルブタイミングが速度制限領域内であっても、位相可変機構の可動部品とストッパ部との衝突が発生しない方向へ実バルブタイミングを変化させるときには、バルブタイミング変化速度を減速せずに、実バルブタイミングを速やかに目標バルブタイミングへ変化させることができ、可変バルブタイミング制御の応答性も確保することができる。
【0009】
ところで、速度制限領域の幅が狭いと、速度制限領域に入るバルブタイミング変化速度が速いときに、バルブタイミング変化速度が十分に減速されずに、位相可変機構の可動部品がストッパ部に激突してしまう可能性がある。また、実バルブタイミングの検出誤差(ばらつき)が大きければ、実バルブタイミングが速度制限領域に入ったことを検出するタイミングが遅れて、バルブタイミング変化速度が十分に減速されずに、位相可変機構の可動部品がストッパ部に激突してしまう可能性がある。
【0010】
これらの事情を考慮して、請求項3のように、速度制限領域は、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に減速するのに必要なバルブタイミング変化量及び/又は実バルブタイミングの検出誤差に基づいて設定するようにすると良い。このようにすれば、減速に必要なバルブタイミング変化量や実バルブタイミングの検出誤差を考慮して、バルブタイミング変化速度を確実に所定速度以下に減速できる幅を持った速度制限領域を設定することができ、実バルブタイミングの検出誤差やバルブタイミング変化速度の影響を受けない安定した速度制限制御を行うことができる。この場合、可変バルブタイミング制御中に、バルブタイミング変化速度(又は実バルブタイミングの検出誤差)を演算して、その演算値に応じて速度制限領域を設定しても良いし、予め、設計段階等で、技術者がバルブタイミングの最大変化速度(又は実バルブタイミングの最大検出誤差)を測定又は演算して、その値に応じて一定の速度制限領域を設定してメモリに記憶しておくようにしても良い。
【0011】
一般に、可変バルブタイミング制御システムでは、所定の学習条件が成立する毎(例えば内燃機関の始動毎)に、バルブタイミングの基準位置(例えば最遅角位置)を学習することによって、実バルブタイミングの検出精度を維持するようにしている。従って、基準位置学習が完了していないときには、実バルブタイミングの検出精度が低下している(検出誤差が増大している)ため、この状態で、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御すると、位相可変機構の可動部品を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性がある。
【0012】
そこで、請求項4,5のように、基準位置学習が完了していないときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に制限する速度制限制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習の完了前で実バルブタイミングの検出精度が低下しているときに、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御する場合でも、位相可変機構の可動部品が高速でストッパ部に衝突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0013】
この場合、基準位置学習が完了していないときに、実バルブタイミングの検出誤差が大きくなることを考慮して、全バルブタイミング領域で速度制限制御を実行するようにしても良いが、請求項6のように、基準位置学習が完了していないときに、実バルブタイミングと限界位置(最遅角位置や最進角位置)との差が所定値以内の領域でのみ、速度制限制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習の際に、位相可変機構の可動部品とストッパ部との衝突が発生しない領域では、バルブタイミング変化速度を制限せずに、実バルブタイミングを速やかに変化させることができ、基準位置学習の所要時間を短くすることができる。
【0014】
更に、請求項7のように、基準位置学習が完了していない状態で可変バルブタイミング制御を実行するときには、前記速度制限制御により所定速度以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングを設定するようにしても良い。このようにすれば、速度制限制御により減速されたバルブタイミング変化速度で可変バルブタイミング制御を行う場合でも、内燃機関の燃焼性等をある程度確保して運転を継続できるように目標バルブタイミングを設定することができる。
【0015】
また、請求項8のように、基準位置学習が完了するまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習が完了して実バルブタイミングの検出精度を確保できるようになってから通常の可変バルブタイミング制御に移行することができる。
【0016】
また、基準位置学習が完了していても、万一、基準位置学習に異常が発生して基準位置が誤学習されると、実バルブタイミングの検出誤差が大きくなるため、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御するときに、位相可変機構の可動部品を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性がある。
【0017】
そこで、請求項9のように、基準位置学習の異常の有無を判定し、基準位置学習の異常有りと判定されたときに、バルブタイミング変化速度を所定速度に制限する速度制限制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、基準位置が誤学習されて実バルブタイミングの検出誤差が大きくなっても、位相可変機構の可動部品が高速でストッパ部に衝突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0018】
この場合、基準位置学習の異常判定は、例えば、請求項10のように、学習した基準位置学習値が所定のガード値を越えたときに基準位置学習の異常有りと判定するようにしても良い。基準位置学習値のガード値は、システムの個体差や経時変化等による基準位置の正常なばらつき範囲を考慮して設定されるため、基準位置学習値がガード値を越えるような状態になったときには、基準位置学習の異常有り(基準位置の誤学習)と判定することができる。
【0019】
更に、請求項11のように、基準位置学習の異常有りと判定された状態で可変バルブタイミング制御を行うときに、前記速度制限制御により所定速度以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングを設定するようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習の異常時に、速度制限制御により減速されたバルブタイミング変化速度で可変バルブタイミング制御を実行する場合でも、内燃機関の燃焼性等をある程度確保して運転を継続できるように目標バルブタイミングを設定することができる。
【0020】
また、請求項12のように、基準位置学習の異常無しと判定されるまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習が正常に完了して実バルブタイミングの検出精度を確保できるようになってから通常の可変バルブタイミング制御に移行することができる。
【0021】
また、内燃機関の始動前に可変バルブタイミング装置を制御可能な場合は、請求項13のように、内燃機関の始動前に基準位置学習を実行するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の始動当初から実バルブタイミングを精度良く検出して実バルブタイミングを始動に適した目標バルブタイミングに精度良く制御することができ、内燃機関の始動性を向上させることができる。
【0022】
この場合、請求項14のように、基準位置学習が完了するまで内燃機関の始動制御を禁止するようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習の完了前に内燃機関の始動制御(スタータ作動)を開始してまうことを防止でき、基準位置学習が確実に完了してから内燃機関の始動制御を開始することができる。
【0023】
更に、請求項15のように、基準位置学習が完了するまで内燃機関の始動制御を禁止する処理をイグニッションスイッチのオンから所定期間内に限って実行するようにしても良い。このようにすれば、何らかの原因でイグニッションスイッチのオンから所定期間内に基準位置学習を完了できない場合でも、その後に、内燃機関の始動制御(スタータ作動)を開始することができ、内燃機関が始動不能に陥る不具合を防止できる。
【0024】
以上説明した請求項1〜15に係る発明は、ギヤ機構を有する可変バルブタイミング装置であれば、駆動源や位相可変機構の種類を問わず、適用できるが、例えば、請求項16にように、ギヤ機構を、カム軸と同心状に配置され且つクランク軸の回転駆動力によって回転駆動される第1の回転部材と、カム軸と一体的に回転する第2の回転部材と、前記第1の回転部材の回転力を前記第2の回転部材に伝達し且つ前記第1の回転部材に対する前記第2の回転部材の回転位相を変化させる位相可変部材とから構成し、前記第1の回転部材と前記位相可変部材との駆動力伝達手段及び/又は前記第2の回転部材と前記位相可変部材との駆動力伝達手段が歯車(ギア)であり、前記位相可変部材の回転位相を制御するモータを設け、バルブタイミングを変化させないときは、前記モータの回転速度を前記カム軸の回転速度に一致させて、前記位相可変部材の旋回速度を前記カム軸の回転速度に一致させることで、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転位相の差を現状維持して、バルブタイミングを現状維持し、バルブタイミングを変化させるときは、前記モータの回転速度を前記カム軸の回転速度に対して変化させて、前記位相可変部材の旋回速度を前記カム軸の回転速度に対して変化させることで、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転位相の差を変化させてバルブタイミングを変化させるようにしても良い。この構成では、モータ全体を回転させる必要がないため、可変バルブタイミング装置の回転系の慣性重量を軽量化することができると共に、モータと外部の電気配線とを固定的な接続手段によって直接接続することができ、総じて、可変バルブタイミング装置の耐久性を向上させることができる。しかも、可変バルブタイミング装置の構成が比較的簡単であり、低コスト化の要求も満たすことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
《実施形態(1)》
以下、本発明を吸気バルブの可変バルブタイミング制御装置に適用した実施形態(1)を図1乃至図7に基づいて説明する。まず、図1に基づいてシステム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11は、クランク軸12からの動力がタイミングチェーン13(又はタイミングベルト)により各スプロケット14、15を介して吸気側カム軸16と排気側カム軸17とに伝達されるようになっている。また、吸気側カム軸16側には、モータ駆動式の可変バルブタイミング装置18が設けられている。この可変バルブタイミング装置18によって、クランク軸12に対する吸気側カム軸16の回転位相(カム軸位相)を可変することで、吸気側カム軸16によって開閉駆動される吸気バルブ(図示せず)のバルブタイミングを可変するようになっている。
【0026】
また、吸気側カム軸16の外周側には、所定のカム角毎にカム角信号を出力するカム角センサ19が取り付けられている。一方、クランク軸12の外周側には、所定のクランク角毎にクランク角信号を出力するクランク角センサ20が取り付けられている。
【0027】
次に、図2に基づいて可変バルブタイミング装置18の概略構成を説明する。可変バルブタイミング装置18の位相可変機構21は、吸気側カム軸16と同心状に配置された内歯付きのアウタギヤ22(第1の回転部材)と、このアウタギヤ22の内周側に同心状に配置された外歯付きのインナギヤ23(第2の回転部材)と、これらアウタギヤ22とインナギヤ23との間に配置されて両者に噛み合う遊星ギヤ24(位相可変部材)とから構成されている。アウタギヤ22は、クランク軸12と同期して回転するスプロケット14と一体的に回転するように設けられ、インナギヤ23は、吸気側カム軸16と一体的に回転するように設けられている。また、遊星ギヤ24は、アウタギヤ22とインナギヤ23に噛み合った状態でインナギヤ23の回りを円軌道を描くように旋回することで、アウタギヤ22の回転力をインナギヤ23に伝達する役割を果たすと共に、インナギヤ23の回転速度(吸気側カム軸16の回転速度)に対する遊星ギヤ24の旋回速度(公転速度)を変化させることで、アウタギヤ22に対するインナギヤ23の回転位相(カム軸位相)を調整するようになっている。
【0028】
一方、エンジン11には、遊星ギヤ24の旋回速度を可変するためのモータ26が設けられている。このモータ26の回転軸27は、吸気側カム軸16、アウタギヤ22及びインナギヤ23と同軸上に配置され、このモータ26の回転軸27と遊星ギヤ24の支持軸25とが、径方向に延びる連結部材28を介して連結されている。これにより、モータ26の回転に伴って、遊星ギヤ24が支持軸25を中心に回転(自転)しながらインナギヤ23の外周の円軌道を旋回(公転)できるようになっている。また、モータ26には、モータ26の回転速度RM(回転軸27の回転速度)を検出するモータ回転速度センサ29(図1参照)が取り付けられている。
【0029】
この可変バルブタイミング装置18は、モータ26の回転速度RMを吸気側カム軸16の回転速度RCに一致させて、遊星ギヤ24の公転速度をインナギヤ23の回転速度(アウタギヤ22の回転速度)に一致させると、アウタギヤ22とインナギヤ23との回転位相の差が現状維持されて、バルブタイミング(カム軸位相)が現状維持されるようになっている。
【0030】
そして、吸気バルブのバルブタイミングを進角する場合には、モータ26の回転速度RMを吸気側カム軸16の回転速度RCよりも速くして、遊星ギヤ24の公転速度をインナギヤ23の回転速度よりも速くする。これにより、アウタギヤ22に対するインナギヤ23の回転位相が進角されて、バルブタイミング(カム軸位相)が進角される。
【0031】
一方、吸気バルブのバルブタイミングを遅角する場合には、モータ26の回転速度RMを吸気側カム軸16の回転速度RCよりも遅くして、遊星ギヤ24の公転速度をインナギヤ23の回転速度よりも遅くする。これにより、アウタギヤ22に対するインナギヤ23の回転位相が遅角されて、バルブタイミングが遅角される。
【0032】
このような構成の可変バルブタイミング装置18は、モータ26全体を回転させる必要がないため、可変バルブタイミング装置18の回転系の慣性重量を軽量化することができると共に、モータ26と外部の電気配線とを固定的な接続手段によって直接接続することができ、総じて、可変バルブタイミング装置18の耐久性を向上させることができる。しかも、可変バルブタイミング装置18の構成が比較的簡単であり、低コスト化の要求も満たすことができる。
【0033】
また、可変バルブタイミング装置18には、バルブタイミングの可変範囲(位相可変機構21の可動範囲)を制限するために、例えば、位相可変機構21に可動部とストッパ部(共に図示せず)が設けられている。そして、図3に示すように、位相可変機構21の可動範囲を、可動部が遅角側ストッパ部に当接する位置から進角側ストッパ部に当接する位置までの範囲に制限して、バルブタイミングの可変範囲を制限するようにしている。この場合、位相可変機構21の可動部が遅角側ストッパ部に当接する位置が、位相可変機構21の最遅角位置(遅角側の限界位置)、つまり、バルブタイミングの最遅角位置となる。一方、位相可変機構21の可動部が進角側ストッパ部に当接する位置が、位相可変機構21の最進角位置(進角側の限界位置)、つまり、バルブタイミングの最進角位置となる。
【0034】
前述した各種センサの出力は、ECU30(制御手段)に入力される。このECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、そのROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁(図示せず)の燃料噴射量や点火プラグ(図示せず)の点火時期を制御する。
【0035】
また、ECU30は、後述する図6に示す可変バルブタイミング制御プログラムを実行することで、吸気バルブの目標バルブタイミングVTtgと実バルブタイミングVTとの偏差Dを小さくするように要求バルブタイミング変化速度Vreq を算出し、この要求バルブタイミング変化速度Vreq を実現するようにモータ26の回転速度RMを制御することで、吸気バルブの実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtgに一致させる。
【0036】
更に、ECU30は、後述する図7に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムを実行することで、吸気バルブの実バルブタイミングVTが、最遅角位置付近に設定された遅角側速度制限領域又は最進角位置付近に設定された進角側速度制限領域内にあるときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0037】
図3に示すように、遅角側速度制限領域は、最遅角位置から進角方向に所定幅α[℃A]の範囲で設定され、進角側速度制限領域は、最進角位置から遅角方向に所定幅α[℃A]の範囲で設定されている。これらの速度制限領域の幅α[℃A]は、実バルブタイミングVTの検出誤差C[℃A]と、バルブタイミング変化速度Vを制限速度Vs まで減速するのに必要なバルブタイミング変化量D[℃A]とを合計した値に設定されている。
α=C+D
【0038】
図4に示すように、エンジン回転速度NEが高くなるほど実バルブタイミングVTの検出誤差Cが大きくなるため、本実施形態(1)では、実バルブタイミングVTの検出誤差Cとしてその最大検出誤差Cmax (最大エンジン回転速度NEmax に対応する実バルブタイミングVTの検出誤差Cmax )を用いる。
【0039】
また、図5に示すように、バルブタイミング変化速度Vが速くなるほど、制限速度Vs まで減速するのに必要なバルブタイミング変化量Dが大きくなるため、本実施形態(1)では、減速に必要なバルブタイミング変化量Dとしてその最大値Dmax (バルブタイミング変化速度Vを最高速度Vmax から制限速度Vs まで減速するのに必要なバルブタイミング変化量Dmax )を用いる。
【0040】
以下、ECU30が実行する図6に示す可変バルブタイミング制御プログラム及び図7に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理内容を説明する。
【0041】
図6に示す可変バルブタイミング制御プログラムは、例えば、イグニッションスイッチ(図示せず)のオン後に所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、エンジン運転状態等に基づいて目標バルブタイミングVTtgを算出した後、ステップ102に進み、クランク角センサ20から出力されるクランク角信号とカム角センサ19から出力されるカム角信号とに基づいて実バルブタイミングVTを算出する。
【0042】
尚、カム角信号が出力される毎に、クランク角信号とカム角信号とに基づいてカム角信号出力時の実バルブタイミングVTCを算出すると共に、所定の演算周期でモータ26の回転速度RMと吸気側カム軸16の回転速度RCとの差に基づいて演算周期当たりのバルブタイミング変化量を算出して、カム角信号出力後の演算周期当たりのバルブタイミング変化量を積算することで、カム角信号出力後のバルブタイミング変化量ΔVTを求め、カム角信号出力時の実バルブタイミングVTCにカム角信号出力後のバルブタイミング変化量ΔVTを加算して最終的な実バルブタイミングVTを求めるようにしても良い。
【0043】
実バルブタイミングVTの算出後、ステップ103に進み、目標バルブタイミングVTtgと実バルブタイミングVTとの偏差Dを小さくするように該偏差Dに応じてマップ等により要求バルブタイミング変化速度Vreq を算出する。この要求バルブタイミング変化速度Vreq は、バルブタイミングの変化方向が進角側のときにプラス値、遅角側のときにマイナス値になる。
【0044】
この後、ステップ104に進み、バルブタイミング変化速度の制限速度Vs が設定されているか否かを判定する。この制限速度Vs は、位相可変機構21の可動範囲を制限するための可動部がストッパ部に衝突してもギヤ機構(ギヤ22〜24)の噛み込みや損傷が発生しない比較的遅いバルブタイミング変化速度であり、後述する図7に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムにより設定/解除される。
【0045】
このステップ104で、制限速度Vs が設定されていると判定された場合には、ステップ105に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq の絶対値が制限速度Vs よりも大きいか否かを判定する。その結果、要求バルブタイミング変化速度Vreq の絶対値が制限速度Vs よりも大きいと判定された場合には、ステップ106に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq の絶対値を制限速度Vs でガード処理した後、ステップ107に進む。
【0046】
一方、上記ステップ104で、制限速度Vs が設定されていないと判定された場合、又は、上記ステップ105で、要求バルブタイミング変化速度Vreq の絶対値が制限速度Vs 以下であると判定された場合には、目標バルブタイミングVTtgと実バルブタイミングVTとの偏差Dに応じて算出した要求バルブタイミング変化速度Vreq をそのまま採用して、ステップ107に進む。
【0047】
このステップ107で、要求バルブタイミング変化速度Vreq [℃A/s]を用いて、次式によりモータ26と吸気側カム軸16の要求回転速度差DMCreq [rpm]を算出する。
DMCreq =Vreq ×60×G/720℃A
ここで、Gは位相可変機構21の減速比であり、吸気側カム軸16に対するモータ26の相対回転量とバルブタイミング変化量(カム軸位相の変化量)との比である。
【0048】
この後、ステップ108に進み、上記要求回転速度差DMCreq を実現するようにモータ26の制御値(印加電圧値、電圧制御デューティ値等)を算出して、モータ26の回転速度RMを制御することで、吸気バルブの実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtgに制御する。
【0049】
一方、図7に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムは、例えば、イグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内であるか否か(|最遅角位置−VT|≦遅角側速度制限領域の幅αであるか否か)を判定し、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内であると判定されれば、ステップ202に進み、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも遅角側であるか否か(VTtg−VT<0であるか否か)を判定する。
【0050】
その結果、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも遅角側であると判定された場合には、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内でその限界位置である最遅角位置の方向へ変化するため、位相可変機構21の可動部が遅角側ストッパ部に衝突する可能性があると判断して、ステップ205に進み、ギヤ機構(ギヤ22〜24)の噛み込みや損傷を防ぐために、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0051】
これに対して、上記ステップ202で、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも進角側(VTtg−VT>0)であると判定された場合には、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内で最遅角位置と反対方向(進角方向)へ変化するため、位相可変機構21の可動部が遅角側ストッパ部に衝突する可能性がないと判断して、ステップ206に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0052】
一方、上記ステップ201で、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内ではないと判定された場合には、ステップ203に進み、実バルブタイミングVTが進角側速度制限領域内であるか否か(最進角位置−VT≦進角側速度制限領域の幅αであるか否か)を判定し、実バルブタイミングVTが進角側速度制限領域内であると判定されれば、ステップ204に進み、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも進角側であるか否か(VTtg−VT<0であるか否か)を判定する。
【0053】
その結果、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも進角側であると判定された場合には、実バルブタイミングVTが進角側速度制限領域内でその限界位置である最進角位置の方向へ変化するため、位相可変機構21の可動部が進角側ストッパ部に衝突する可能性があると判断して、ステップ205に進み、ギヤ機構(ギヤ22〜24)の噛み込みや損傷を防ぐために、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0054】
これに対して、上記ステップ204で、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも遅角側であると判定された場合には、実バルブタイミングVTが進角側速度制限領域内で最進角位置と反対方向(遅角方向)へ変化するため、位相可変機構21の可動部が進角側ストッパ部に衝突する可能性がないと判断して、ステップ206に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0055】
以上の処理により、実バルブタイミングVTが遅角側・進角側速度制限領域内でその限界位置の方向へ変化するときに、制限速度Vs を設定して要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限速度Vs 以下に制限する速度制限制御を実行する。これにより、遅角側・進角側速度制限領域内でバルブタイミング変化速度Vを制限速度Vs 以下に減速して位相可変機構21の可動部の動作速度を遅くすることができるので、位相可変機構21の可動部が高速でストッパ部に衝突することを回避することができて、ギヤ機構(ギヤ22〜24)の噛み込みや損傷を未然に防止することができ、可変バルブタイミング装置18の動作信頼性を向上させることができる。
【0056】
一方、実バルブタイミングVTが遅角側・進角側速度制限領域内であっても、その限界位置と反対方向へ変化するときには、制限速度Vs を解除して速度制限制御を実行しない。これにより、実バルブタイミングVTが遅角側・進角側速度制限領域内であっても、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生しない方向へ実バルブタイミングVTが変化するときには、バルブタイミング変化速度速度を減速せずに、実バルブタイミングVTを速やかに目標バルブタイミングVTtgへ変化させることができ、可変バルブタイミング制御の応答性も確保することができる。
【0057】
ところで、遅角側・進角側速度制限領域の幅αが狭いと、遅角側・進角側速度制限領域に入るバルブタイミング変化速度が速いときに、バルブタイミング変化速度が十分に減速されずに、位相可変機構21の可動部がストッパ部に激突してしまう可能性がある。また、実バルブタイミングVTの検出誤差(ばらつき)が大きければ、実バルブタイミングVTが遅角側・進角側速度制限領域に入ったことを検出するタイミングが遅れて、バルブタイミング変化速度が十分に減速されずに、位相可変機構21の可動部がストッパ部に激突してしまう可能性がある。
【0058】
これらの事情を考慮して、本実施形態(1)では、遅角側・進角側速度制限領域の幅αを、実バルブタイミングVTの検出誤差Cと、十分な減速に必要なバルブタイミング変化量Dとを合計した値に設定するようにしたので、バルブタイミング変化速度を確実に所定の制限速度Vs 以下に減速できる幅を持った遅角側・進角側速度制限領域を設定することができ、実バルブタイミングVTの検出誤差やバルブタイミング変化速度の影響を受けない安定した速度制限制御を行うことができる。
【0059】
尚、本実施形態(1)では、バルブタイミング可変範囲(位相可変機構21の可動範囲)の最遅角側と最進角側の両方に同一幅の速度制限領域を設定したが、バルブタイミングの実用範囲等によっては、遅角側速度制限領域の幅と進角側速度制限領域の幅とを異ならせるようにしたり、遅角側と進角側のいずれか一方のみに速度制限領域を設定するようにしても良い。
【0060】
《実施形態(2)》
次に、本発明の実施形態(2)を図8及び図9を用いて説明する。
ECU30は、基準位置学習プログラム(図示せず)を実行することで基準位置学習手段として機能し、所定の学習条件が成立する毎(例えばエンジン始動毎)に、バルブタイミングの基準位置(例えば最遅角位置)を学習することによって、実バルブタイミングVTの検出精度を維持するようにしている。従って、基準位置学習が完了していないときには、実バルブタイミングVTの検出精度が低下している(検出誤差が増大している)ため、この状態で、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御すると、位相可変機構21の可動部を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性がある。
【0061】
そこで、本実施形態(2)では、ECU30は、図8に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムを所定周期で実行することで、基準位置学習が完了していないときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行するようにしている。
【0062】
更に、ECU30は、図9に示す目標バルブタイミング算出プログラムを所定周期で実行することで、基準位置学習が完了していない状態で可変バルブタイミング制御を実行するときに、速度制限制御により制限速度VS 以下に制限された要求バルブタイミング変化速度Vreq に応じた目標バルブタイミングVTtgを算出するようにしている。以下、これら各プログラムの処理内容を説明する。
【0063】
図8に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムが起動されると、まず、ステップ301で、基準位置学習が未完了であるか否かを判定する。
基準位置学習が未完了であると判定された場合には、実バルブタイミングVTの検出精度が低下している(検出誤差が増大している)ため、位相可変機構21の可動部を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性があると判断して、ステップ302に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0064】
その後、本プログラムが起動されて、ステップ301で、基準位置学習が完了したと判定された段階で、ステップ303に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0065】
また、図9に示す目標バルブタイミング算出プログラムが起動されると、まず、ステップ401で、基準位置学習の未完了による速度制限制御を実行中であるか否かを判定する。
【0066】
速度制限制御を実行中であると判定された場合には、ステップ402に進み、制限速度VS 以下に制限された要求バルブタイミング変化速度Vreq に応じた目標バルブタイミングVTtgを算出する。この速度制限制御実行中の目標バルブタイミングVTtgは、減速されたバルブタイミング変化速度でも失火等の不具合が発生しない目標バルブタイミングに設定される。
【0067】
一方、速度制限制御の実行中ではないと判定された場合には、ステップ403に進み、エンジン運転状態等に基づいて通常の目標バルブタイミングVTtgを算出する。
【0068】
以上説明した本実施形態(2)では、基準位置学習が完了していないときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限速度Vs 以下に制限する速度制限制御を実行するようにしたので、基準位置学習の完了前で実バルブタイミングVTの検出精度が低下しているときに、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御する場合でも、位相可変機構21の可動部が高速でストッパ部に衝突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0069】
更に、本実施形態(2)では、基準位置学習が完了していない状態で可変バルブタイミング制御を実行するときに、速度制限制御により制限速度Vs 以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングVTtgを設定するようにしたので、速度制限制御により減速されたバルブタイミング変化速度で可変バルブタイミング制御を行う場合でも、エンジン11の燃焼性等をある程度確保して運転を継続できるように目標バルブタイミングVTtgを設定することができる。
【0070】
《実施形態(3)》
前記実施形態(2)では、基準位置学習が完了していないときに、全バルブタイミング領域で速度制限制御を実行するようにしたが、本発明の実施形態(3)では、図10に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムを所定周期で実行することで、基準位置学習が完了していないときに実バルブタイミングVTと限界位置(最遅角位置や最進角位置)との差が所定値以内の領域(学習前速度制限領域)でのみ、速度制限制御を実行するようにしている。
【0071】
図10に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムは、図8のステップ301とステップ302の処理の間に、ステップ301aの処理を追加したものであり、これ以外のステップの処理は図8と同じである。
【0072】
本プログラムでは、ステップ301で、基準位置学習が未完了であると判定されたときに、ステップ301aに進み、実バルブタイミングVTが所定の学習前速度制限領域内であるか否かを判定する。この学習前速度制限領域は、基準位置の未学習による実バルブタイミングVTの検出精度の低下(検出誤差の増大)等を考慮に入れて、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生する可能性がある領域であり、前記実施形態(1)で説明した速度制限領域(図3参照)よりも広い領域に設定される。
【0073】
基準位置学習が完了していないときに実バルブタイミングVTが学習前速度制限領域内であると判定された場合には、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生する可能性があると判断して、ステップ302に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。尚、実バルブタイミングVTが学習前速度制限領域内であっても、その限界位置と反対方向へ変化するときには、制限速度Vs を解除して速度制限制御を実行しないようにしても良い。
【0074】
これに対して、基準位置学習が完了していないときでも、実バルブタイミングVTが学習前速度制限領域内ではないと判定された場合には、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生する可能性が低いと判断して、ステップ303に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0075】
以上説明した本実施形態(3)では、基準位置学習が完了していないときに実バルブタイミングVTが学習前速度制限領域内にあるときに、速度制限制御を実行するようにしたので、基準位置学習の際に、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生しない領域では、バルブタイミング変化速度を制限せずに、実バルブタイミングVTを速やかに変化させることができ、基準位置学習の所要時間を短くすることができる。
【0076】
尚、本実施形態(3)においても、図9の目標バルブタイミング算出プログラムを実行して、基準位置学習が完了していない状態で可変バルブタイミング制御を実行するときに、速度制限制御により制限速度Vs 以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングVTtgを設定するようにしても良い。
【0077】
《実施形態(4)》
本発明の実施形態(4)では、図11に示す基準位置学習優先制御プログラムを実行することで、基準位置学習が完了するまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしている。
【0078】
図11に示す基準位置学習優先制御プログラムは、例えば、イグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ501で、基準位置学習が未完了であるか否かを判定し、基準位置学習が未完了であると判定された場合には、ステップ502に進み、通常の可変バルブタイミング制御を禁止した後、ステップ503に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を設定する。
【0079】
この後、ステップ504に進み、基準位置学習を実行する。この基準位置学習では、バルブタイミングを基準位置に制御した状態(例えば、最遅角位置を基準位置とする場合には、位相可変機構21の可動部を遅角側ストッパ部に突き当てた状態)で実バルブタイミングVTを算出し、それを基準位置として学習する。
【0080】
その後、ステップ501で、基準位置学習が完了したと判定されたときに、ステップ505に進み、通常の可変バルブタイミング制御を許可した後、ステップ506に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0081】
以上説明した本実施形態(4)では、基準位置学習が完了するまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしたので、基準位置学習が完了して実バルブタイミングVTの検出精度を確保できるようになってから通常の可変バルブタイミング制御に移行することができる。
【0082】
《実施形態(5)》
ところで、基準位置学習が完了していても、万一、基準位置学習に異常が発生して基準位置を誤学習していると、実バルブタイミングVTの検出誤差が増大するため、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御するときに、位相可変機構21の可動部を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性がある。
【0083】
そこで、本発明の実施形態(5)では、図12に示す基準位置学習異常判定プログラム及び図13に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムを実行することで、基準位置学習の異常の有無を判定し、基準位置学習の異常有りと判定されたときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行するようにしている。
【0084】
図12に示す基準位置学習異常判定プログラムは、例えば、イグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう学習異常判定手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ601で、現在の基準位置学習値VT0 が上限側学習ガード値VTGmax 以下であるか否かを判定し、ステッ602で、現在の基準位置学習値VT0 が下限側学習ガード値VTGmin 以上であるか否かを判定する。ここで、上限側学習ガード値VTGmax と下限側学習ガード値VTGmin は、システムの個体差や経時変化等による基準位置の正常なばらつき範囲を考慮して設定された値である。
【0085】
そして、基準位置学習値VT0 が下限側学習ガード値VTGmin から上限側学習ガード値VTGmax までの正常範囲内(VTGmin ≦VT0 ≦VTGmax )であれば、ステップ603に進み、基準位置学習の異常無し(正常)であると判定する。
【0086】
これに対して、基準位置学習値VT0 が上限側学習ガード値VTGmax よりも大きいか、或は、下限側学習ガード値VTGmin よりも小さい場合、つまり、基準位置学習値VT0 が上下限の学習ガード値VTGmax ,VTGmin の範囲に収まっていない場合には、ステップ604に進み、基準位置学習の異常有り(基準位置の誤学習)と判定する。
【0087】
また、図13に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムが起動されると、まず、ステップ701で、前述した図12の基準位置学習異常判定プログラムによる異常判定結果に基づいて基準位置学習が異常であるか否か(基準位置を誤学習しているか否か)を判定する。
【0088】
その結果、基準位置学習が異常である(基準位置を誤学習している)と判定された場合には、実バルブタイミングVTの検出精度が低下している(検出誤差が増大している)ため、位相可変機構21の可動部を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性があると判断して、ステップ702に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0089】
一方、ステップ701で、基準位置学習が正常であると判定された場合には、ステップ703に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0090】
以上説明した本実施形態(5)では、基準位置学習が異常である(基準位置を誤学習している)と判定されたときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限速度Vs 以下に制限する速度制限制御を実行するようにしたので、基準位置が誤学習されて実バルブタイミングVTの検出誤差が大きくなっても、位相可変機構21の可動部が高速でストッパ部に衝突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0091】
尚、本実施形態(5)においても、図9の目標バルブタイミング算出プログラムを実行して、基準位置学習の異常有りと判定された状態で可変バルブタイミング制御を行うときに、速度制限制御により制限速度Vs 以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングVTtgを設定するようにしても良い。
【0092】
《実施形態(6)》
本発明の実施形態(6)では、図14に示す基準位置学習優先制御プログラムを実行することで、基準位置学習が正常と判定されるまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしている。
【0093】
図14に示す基準位置学習優先制御プログラムは、図11のステップ501の処理を、ステップ501aの処理に変更したものであり、これ以外のステップの処理は図11と同じである。
【0094】
本プログラムでは、まずステップ501aで、前述した図12の基準位置学習異常判定プログラムによる異常判定結果に基づいて基準位置学習が異常であるか否か(基準位置を誤学習しているか否か)を判定する。
【0095】
その結果、基準位置学習が異常であると判定された場合には、通常の可変バルブタイミング制御を禁止すると共に、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を設定した後、基準位置学習を実行する(ステップ502〜504)。
【0096】
その後、ステップ501aで、基準位置学習が正常であると判定されたときに、通常の可変バルブタイミング制御を許可すると共に、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する(ステップ505、506)。
【0097】
以上説明した本実施形態(6)では、基準位置学習が正常であると判定されるまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしたので、基準位置学習が正常に完了して実バルブタイミングVTの検出精度を確保できるようになってから通常の可変バルブタイミング制御に移行することができる。
【0098】
《実施形態(7)》
モータ駆動式の可変バルブタイミング装置18(図2参照)は、エンジン11の始動前(エンジン停止中)でも制御可能である。そこで、本発明の実施形態(7)では、図15に示す始動前基準位置学習制御プログラムを実行することで、エンジン11の始動前(クランキング前)に基準位置学習を実行するようにしている。
【0099】
図15に示す始動前基準位置学習制御プログラムは、ECU30への電源投入直後(イグニッションスイッチをOFF位置からACC位置又はON位置へ操作した直後)から所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ801で、イグニッションスイッチがON位置に操作されているか否かを判定し、イグニッションスイッチがON位置に操作されていれば、ステップ802に進み、基準位置学習が完了しているか否かを判定する。まだ、基準位置学習が完了していなければ、ステップ803に進み、基準位置学習を実行する。
【0100】
以上の処理によりエンジン11の始動前に基準位置学習が実行されるため、エンジン11の始動当初から実バルブタイミングVTを精度良く検出して実バルブタイミングVTを始動に適した目標バルブタイミングVTtgに精度良く制御することができ、エンジン11の始動性を向上させることができる。
【0101】
《実施形態(8)》
本発明の実施形態(8)では、図16に示す始動前基準位置学習制御プログラムを実行することで、エンジン11の始動前に基準位置学習を実行し、基準位置学習が完了するまでエンジン11の始動制御(スタータの作動)を禁止するようにしている。
【0102】
図16に示す始動前基準位置学習制御プログラムが起動されると、まず、ステップ901で、イグニッションスイッチがON位置に操作されているか否かを判定し、イグニッションスイッチがON位置に操作されていれば、ステップ902に進み、基準位置学習が完了しているか否かを判定する。まだ、基準位置学習が完了していなければ、ステップ903に進み、エンジン11のスタータの作動(クランキング)を禁止した後、ステップ904に進み、基準位置学習を実行する。上記ステップ903の処理が特許請求の範囲でいう始動禁止手段としての役割を果たす。
【0103】
その後、ステップ902で、基準位置学習が完了したと判定されたときに、ステップ905に進み、エンジン11のスタータの作動を許可する。この後は、イグニッションスイッチをSTART位置に操作すれば、スタータが作動してエンジン11が始動される。
【0104】
以上説明した本実施形態(8)では、基準位置学習が完了するまでスタータの作動を禁止するようにしたので、基準位置学習の完了前にスタータの作動を開始してまうことを防止でき、基準位置学習が確実に完了してからスタータの作動を開始してエンジン11を始動することができる。
【0105】
《実施形態(9)》
本発明の実施形態(9)では、図17に示す始動前基準位置学習制御プログラムを実行することで、基準位置学習が完了するまでエンジン11の始動制御(スタータの作動)を禁止する処理をイグニッションスイッチのオンから所定時間内に限って実行するようにしている。
【0106】
図17に示す始動前基準位置学習制御プログラムは、図16のステップ901の処理の後に、ステップ901aの処理を追加したものであり、これ以外のステップの処理は図16と同じである。
【0107】
本プログラムでは、ステップ901で、イグニッションスイッチのオン(ON位置への操作)と判定された後に、ステップ901aに進み、イグニッションスイッチのオンから所定時間が経過したか否かを判定する。
【0108】
イグニッションスイッチのオンから所定時間が経過する前であれば、ステップ901aからステップ902に進み、基準位置学習が完了するまでエンジン11のスタータの作動を禁止して、基準位置学習が完了した後に、エンジン11のスタータの作動を許可する(ステップ902〜905)。
【0109】
これに対して、基準位置学習が完了する前に、イグニッションスイッチのオンから所定時間が経過した場合には、ステップ901aからステップ905に進み、基準位置学習の完了前でも、エンジン11のスタータの作動を許可する。
【0110】
以上説明した本実施形態(9)では、基準位置学習が完了するまでエンジン11のスタータの作動を禁止する処理をイグニッションスイッチのオンから所定時間内に限って実行するようにしたので、何らかの原因でイグニッションスイッチのオンから所定時間内に基準位置学習を完了できない場合でも、その後に、エンジン11の始動制御(スタータ作動)を開始することができ、エンジン11が始動不能に陥る不具合を防止できる。
【0111】
以上説明した各実施形態(1)〜(9)では、本発明を吸気バルブの可変バルブタイミング制御装置に適用したが、これに限定されず、本発明を排気バルブの可変バルブタイミング制御装置に適用しても良い。更に、可変バルブタイミング装置18の構成は、適宜変更しても良く、要は、ギヤ機構を用いてバルブタイミングを可変する可変バルブタイミング装置であれば良い。また、可変バルブタイミング装置の駆動源もモータに限定されず、油圧を駆動源とするものでも、ギヤ機構を用いていれば、本発明を適用して実施できる。
【0112】
その他、本発明は、前記各実施形態を適宜組み合わせて実施しても良い等、種々変更して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)における制御システム全体の概略構成図
【図2】可変バルブタイミング装置の概略構成図
【図3】バルブタイミングの可変範囲及び速度制限領域を説明するための図
【図4】エンジン回転速度と実バルブタイミングとの関係を示す図
【図5】バルブタイミング変化速度と減速時変化量との関係を示す図
【図6】実施形態(1)の可変バルブタイミング制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図7】実施形態(1)のバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図8】実施形態(2)のバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図9】実施形態(2)の目標バルブタイミング算出プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図10】実施形態(3)のバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図11】実施形態(4)の基準位置学習優先制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図12】実施形態(5)の基準位置学習異常判定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図13】実施形態(5)のバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図14】実施形態(6)の基準位置学習優先制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図15】実施形態(7)の始動前基準位置学習制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図16】実施形態(8)の始動前基準位置学習制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図17】実施形態(9)の始動前基準位置学習制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、12…クランク軸、16…吸気側カム軸、17…排気カム軸、18…可変バルブタイミング装置、21…位相可変機構、22…アウタギヤ(第1の回転部材)、23…インナギヤ(第2の回転部材)、24…遊星ギヤ(位相可変部材)、26…モータ、30…ECU(制御手段,基準位置学習手段,学習異常判定手段,始動禁止手段)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミングをギヤ機構を用いて可変する可変バルブタイミング装置を備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両に搭載される内燃機関においては、出力向上、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを可変する可変バルブタイミング装置を採用したものが増加しつつある。この可変バルブタイミング装置は、例えば、特許文献1(特開平6−213021号公報)に記載されているように、モータの駆動力でギヤ機構を用いた位相可変機構を駆動してクランク軸に対するカム軸の回転位相を可変することで、カム軸によって開閉駆動される吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを可変するようにしたものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−213021号公報(第6頁等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、可変バルブタイミング装置は、バルブタイミングの可変範囲の限界位置(可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置)を、位相可変機構の可動部品をストッパ部に当接させることで機械的に制限するようにしている。このため、バルブタイミングを可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置(最遅角位置や最進角位置)又はその近傍へ制御する際に、オーバーシュートして位相可変機構の可動部品が十分に減速されずにストッパ部に激突することがある。この激突時の衝撃荷重によって、位相可変機構のギヤの噛み合い部分に大きな荷重が掛かって、ギヤ同士が噛み込んでロック状態になったり、ギヤ機構が損傷するおそれがあり、バルブタイミングを正常に制御できなくなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、バルブタイミングを可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置又はその近傍へ制御する際に、可変バルブタイミング装置のギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができ、可変バルブタイミング装置の動作信頼性を向上させることができる内燃機関の可変バルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置は、実バルブタイミングが可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置付近に設定された所定の速度制限領域内にあるときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に制限する速度制限制御を実行するようにしたものである。このようにすれば、実バルブタイミングが限界位置付近の速度制限領域内にあるときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に減速して位相可変機構の可動部品の動作速度を強制的に減速することができるので、位相可変機構の可動部品が減速されずにストッパ部に激突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0007】
この場合、実バルブタイミングが速度制限領域内にある場合でも、その速度制限領域の限界位置と反対方向へ実バルブタイミングを変化させるとき(例えば最遅角位置付近から進角方向へ実バルブタイミングを変化させるとき)には、バルブタイミング変化速度が大きくても、位相可変機構の可動部品とストッパ部との衝突は発生しない。
【0008】
そこで、請求項2のように、実バルブタイミングが速度制限領域内にある場合でも、その速度制限領域の限界位置と反対方向へ実バルブタイミングを変化させるときには、速度制限制御を実行しないようにすると良い。このようにすれば、実バルブタイミングが速度制限領域内であっても、位相可変機構の可動部品とストッパ部との衝突が発生しない方向へ実バルブタイミングを変化させるときには、バルブタイミング変化速度を減速せずに、実バルブタイミングを速やかに目標バルブタイミングへ変化させることができ、可変バルブタイミング制御の応答性も確保することができる。
【0009】
ところで、速度制限領域の幅が狭いと、速度制限領域に入るバルブタイミング変化速度が速いときに、バルブタイミング変化速度が十分に減速されずに、位相可変機構の可動部品がストッパ部に激突してしまう可能性がある。また、実バルブタイミングの検出誤差(ばらつき)が大きければ、実バルブタイミングが速度制限領域に入ったことを検出するタイミングが遅れて、バルブタイミング変化速度が十分に減速されずに、位相可変機構の可動部品がストッパ部に激突してしまう可能性がある。
【0010】
これらの事情を考慮して、請求項3のように、速度制限領域は、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に減速するのに必要なバルブタイミング変化量及び/又は実バルブタイミングの検出誤差に基づいて設定するようにすると良い。このようにすれば、減速に必要なバルブタイミング変化量や実バルブタイミングの検出誤差を考慮して、バルブタイミング変化速度を確実に所定速度以下に減速できる幅を持った速度制限領域を設定することができ、実バルブタイミングの検出誤差やバルブタイミング変化速度の影響を受けない安定した速度制限制御を行うことができる。この場合、可変バルブタイミング制御中に、バルブタイミング変化速度(又は実バルブタイミングの検出誤差)を演算して、その演算値に応じて速度制限領域を設定しても良いし、予め、設計段階等で、技術者がバルブタイミングの最大変化速度(又は実バルブタイミングの最大検出誤差)を測定又は演算して、その値に応じて一定の速度制限領域を設定してメモリに記憶しておくようにしても良い。
【0011】
一般に、可変バルブタイミング制御システムでは、所定の学習条件が成立する毎(例えば内燃機関の始動毎)に、バルブタイミングの基準位置(例えば最遅角位置)を学習することによって、実バルブタイミングの検出精度を維持するようにしている。従って、基準位置学習が完了していないときには、実バルブタイミングの検出精度が低下している(検出誤差が増大している)ため、この状態で、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御すると、位相可変機構の可動部品を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性がある。
【0012】
そこで、請求項4,5のように、基準位置学習が完了していないときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に制限する速度制限制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習の完了前で実バルブタイミングの検出精度が低下しているときに、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御する場合でも、位相可変機構の可動部品が高速でストッパ部に衝突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0013】
この場合、基準位置学習が完了していないときに、実バルブタイミングの検出誤差が大きくなることを考慮して、全バルブタイミング領域で速度制限制御を実行するようにしても良いが、請求項6のように、基準位置学習が完了していないときに、実バルブタイミングと限界位置(最遅角位置や最進角位置)との差が所定値以内の領域でのみ、速度制限制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習の際に、位相可変機構の可動部品とストッパ部との衝突が発生しない領域では、バルブタイミング変化速度を制限せずに、実バルブタイミングを速やかに変化させることができ、基準位置学習の所要時間を短くすることができる。
【0014】
更に、請求項7のように、基準位置学習が完了していない状態で可変バルブタイミング制御を実行するときには、前記速度制限制御により所定速度以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングを設定するようにしても良い。このようにすれば、速度制限制御により減速されたバルブタイミング変化速度で可変バルブタイミング制御を行う場合でも、内燃機関の燃焼性等をある程度確保して運転を継続できるように目標バルブタイミングを設定することができる。
【0015】
また、請求項8のように、基準位置学習が完了するまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習が完了して実バルブタイミングの検出精度を確保できるようになってから通常の可変バルブタイミング制御に移行することができる。
【0016】
また、基準位置学習が完了していても、万一、基準位置学習に異常が発生して基準位置が誤学習されると、実バルブタイミングの検出誤差が大きくなるため、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御するときに、位相可変機構の可動部品を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性がある。
【0017】
そこで、請求項9のように、基準位置学習の異常の有無を判定し、基準位置学習の異常有りと判定されたときに、バルブタイミング変化速度を所定速度に制限する速度制限制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、基準位置が誤学習されて実バルブタイミングの検出誤差が大きくなっても、位相可変機構の可動部品が高速でストッパ部に衝突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0018】
この場合、基準位置学習の異常判定は、例えば、請求項10のように、学習した基準位置学習値が所定のガード値を越えたときに基準位置学習の異常有りと判定するようにしても良い。基準位置学習値のガード値は、システムの個体差や経時変化等による基準位置の正常なばらつき範囲を考慮して設定されるため、基準位置学習値がガード値を越えるような状態になったときには、基準位置学習の異常有り(基準位置の誤学習)と判定することができる。
【0019】
更に、請求項11のように、基準位置学習の異常有りと判定された状態で可変バルブタイミング制御を行うときに、前記速度制限制御により所定速度以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングを設定するようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習の異常時に、速度制限制御により減速されたバルブタイミング変化速度で可変バルブタイミング制御を実行する場合でも、内燃機関の燃焼性等をある程度確保して運転を継続できるように目標バルブタイミングを設定することができる。
【0020】
また、請求項12のように、基準位置学習の異常無しと判定されるまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習が正常に完了して実バルブタイミングの検出精度を確保できるようになってから通常の可変バルブタイミング制御に移行することができる。
【0021】
また、内燃機関の始動前に可変バルブタイミング装置を制御可能な場合は、請求項13のように、内燃機関の始動前に基準位置学習を実行するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の始動当初から実バルブタイミングを精度良く検出して実バルブタイミングを始動に適した目標バルブタイミングに精度良く制御することができ、内燃機関の始動性を向上させることができる。
【0022】
この場合、請求項14のように、基準位置学習が完了するまで内燃機関の始動制御を禁止するようにしても良い。このようにすれば、基準位置学習の完了前に内燃機関の始動制御(スタータ作動)を開始してまうことを防止でき、基準位置学習が確実に完了してから内燃機関の始動制御を開始することができる。
【0023】
更に、請求項15のように、基準位置学習が完了するまで内燃機関の始動制御を禁止する処理をイグニッションスイッチのオンから所定期間内に限って実行するようにしても良い。このようにすれば、何らかの原因でイグニッションスイッチのオンから所定期間内に基準位置学習を完了できない場合でも、その後に、内燃機関の始動制御(スタータ作動)を開始することができ、内燃機関が始動不能に陥る不具合を防止できる。
【0024】
以上説明した請求項1〜15に係る発明は、ギヤ機構を有する可変バルブタイミング装置であれば、駆動源や位相可変機構の種類を問わず、適用できるが、例えば、請求項16にように、ギヤ機構を、カム軸と同心状に配置され且つクランク軸の回転駆動力によって回転駆動される第1の回転部材と、カム軸と一体的に回転する第2の回転部材と、前記第1の回転部材の回転力を前記第2の回転部材に伝達し且つ前記第1の回転部材に対する前記第2の回転部材の回転位相を変化させる位相可変部材とから構成し、前記第1の回転部材と前記位相可変部材との駆動力伝達手段及び/又は前記第2の回転部材と前記位相可変部材との駆動力伝達手段が歯車(ギア)であり、前記位相可変部材の回転位相を制御するモータを設け、バルブタイミングを変化させないときは、前記モータの回転速度を前記カム軸の回転速度に一致させて、前記位相可変部材の旋回速度を前記カム軸の回転速度に一致させることで、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転位相の差を現状維持して、バルブタイミングを現状維持し、バルブタイミングを変化させるときは、前記モータの回転速度を前記カム軸の回転速度に対して変化させて、前記位相可変部材の旋回速度を前記カム軸の回転速度に対して変化させることで、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転位相の差を変化させてバルブタイミングを変化させるようにしても良い。この構成では、モータ全体を回転させる必要がないため、可変バルブタイミング装置の回転系の慣性重量を軽量化することができると共に、モータと外部の電気配線とを固定的な接続手段によって直接接続することができ、総じて、可変バルブタイミング装置の耐久性を向上させることができる。しかも、可変バルブタイミング装置の構成が比較的簡単であり、低コスト化の要求も満たすことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
《実施形態(1)》
以下、本発明を吸気バルブの可変バルブタイミング制御装置に適用した実施形態(1)を図1乃至図7に基づいて説明する。まず、図1に基づいてシステム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11は、クランク軸12からの動力がタイミングチェーン13(又はタイミングベルト)により各スプロケット14、15を介して吸気側カム軸16と排気側カム軸17とに伝達されるようになっている。また、吸気側カム軸16側には、モータ駆動式の可変バルブタイミング装置18が設けられている。この可変バルブタイミング装置18によって、クランク軸12に対する吸気側カム軸16の回転位相(カム軸位相)を可変することで、吸気側カム軸16によって開閉駆動される吸気バルブ(図示せず)のバルブタイミングを可変するようになっている。
【0026】
また、吸気側カム軸16の外周側には、所定のカム角毎にカム角信号を出力するカム角センサ19が取り付けられている。一方、クランク軸12の外周側には、所定のクランク角毎にクランク角信号を出力するクランク角センサ20が取り付けられている。
【0027】
次に、図2に基づいて可変バルブタイミング装置18の概略構成を説明する。可変バルブタイミング装置18の位相可変機構21は、吸気側カム軸16と同心状に配置された内歯付きのアウタギヤ22(第1の回転部材)と、このアウタギヤ22の内周側に同心状に配置された外歯付きのインナギヤ23(第2の回転部材)と、これらアウタギヤ22とインナギヤ23との間に配置されて両者に噛み合う遊星ギヤ24(位相可変部材)とから構成されている。アウタギヤ22は、クランク軸12と同期して回転するスプロケット14と一体的に回転するように設けられ、インナギヤ23は、吸気側カム軸16と一体的に回転するように設けられている。また、遊星ギヤ24は、アウタギヤ22とインナギヤ23に噛み合った状態でインナギヤ23の回りを円軌道を描くように旋回することで、アウタギヤ22の回転力をインナギヤ23に伝達する役割を果たすと共に、インナギヤ23の回転速度(吸気側カム軸16の回転速度)に対する遊星ギヤ24の旋回速度(公転速度)を変化させることで、アウタギヤ22に対するインナギヤ23の回転位相(カム軸位相)を調整するようになっている。
【0028】
一方、エンジン11には、遊星ギヤ24の旋回速度を可変するためのモータ26が設けられている。このモータ26の回転軸27は、吸気側カム軸16、アウタギヤ22及びインナギヤ23と同軸上に配置され、このモータ26の回転軸27と遊星ギヤ24の支持軸25とが、径方向に延びる連結部材28を介して連結されている。これにより、モータ26の回転に伴って、遊星ギヤ24が支持軸25を中心に回転(自転)しながらインナギヤ23の外周の円軌道を旋回(公転)できるようになっている。また、モータ26には、モータ26の回転速度RM(回転軸27の回転速度)を検出するモータ回転速度センサ29(図1参照)が取り付けられている。
【0029】
この可変バルブタイミング装置18は、モータ26の回転速度RMを吸気側カム軸16の回転速度RCに一致させて、遊星ギヤ24の公転速度をインナギヤ23の回転速度(アウタギヤ22の回転速度)に一致させると、アウタギヤ22とインナギヤ23との回転位相の差が現状維持されて、バルブタイミング(カム軸位相)が現状維持されるようになっている。
【0030】
そして、吸気バルブのバルブタイミングを進角する場合には、モータ26の回転速度RMを吸気側カム軸16の回転速度RCよりも速くして、遊星ギヤ24の公転速度をインナギヤ23の回転速度よりも速くする。これにより、アウタギヤ22に対するインナギヤ23の回転位相が進角されて、バルブタイミング(カム軸位相)が進角される。
【0031】
一方、吸気バルブのバルブタイミングを遅角する場合には、モータ26の回転速度RMを吸気側カム軸16の回転速度RCよりも遅くして、遊星ギヤ24の公転速度をインナギヤ23の回転速度よりも遅くする。これにより、アウタギヤ22に対するインナギヤ23の回転位相が遅角されて、バルブタイミングが遅角される。
【0032】
このような構成の可変バルブタイミング装置18は、モータ26全体を回転させる必要がないため、可変バルブタイミング装置18の回転系の慣性重量を軽量化することができると共に、モータ26と外部の電気配線とを固定的な接続手段によって直接接続することができ、総じて、可変バルブタイミング装置18の耐久性を向上させることができる。しかも、可変バルブタイミング装置18の構成が比較的簡単であり、低コスト化の要求も満たすことができる。
【0033】
また、可変バルブタイミング装置18には、バルブタイミングの可変範囲(位相可変機構21の可動範囲)を制限するために、例えば、位相可変機構21に可動部とストッパ部(共に図示せず)が設けられている。そして、図3に示すように、位相可変機構21の可動範囲を、可動部が遅角側ストッパ部に当接する位置から進角側ストッパ部に当接する位置までの範囲に制限して、バルブタイミングの可変範囲を制限するようにしている。この場合、位相可変機構21の可動部が遅角側ストッパ部に当接する位置が、位相可変機構21の最遅角位置(遅角側の限界位置)、つまり、バルブタイミングの最遅角位置となる。一方、位相可変機構21の可動部が進角側ストッパ部に当接する位置が、位相可変機構21の最進角位置(進角側の限界位置)、つまり、バルブタイミングの最進角位置となる。
【0034】
前述した各種センサの出力は、ECU30(制御手段)に入力される。このECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、そのROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁(図示せず)の燃料噴射量や点火プラグ(図示せず)の点火時期を制御する。
【0035】
また、ECU30は、後述する図6に示す可変バルブタイミング制御プログラムを実行することで、吸気バルブの目標バルブタイミングVTtgと実バルブタイミングVTとの偏差Dを小さくするように要求バルブタイミング変化速度Vreq を算出し、この要求バルブタイミング変化速度Vreq を実現するようにモータ26の回転速度RMを制御することで、吸気バルブの実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtgに一致させる。
【0036】
更に、ECU30は、後述する図7に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムを実行することで、吸気バルブの実バルブタイミングVTが、最遅角位置付近に設定された遅角側速度制限領域又は最進角位置付近に設定された進角側速度制限領域内にあるときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0037】
図3に示すように、遅角側速度制限領域は、最遅角位置から進角方向に所定幅α[℃A]の範囲で設定され、進角側速度制限領域は、最進角位置から遅角方向に所定幅α[℃A]の範囲で設定されている。これらの速度制限領域の幅α[℃A]は、実バルブタイミングVTの検出誤差C[℃A]と、バルブタイミング変化速度Vを制限速度Vs まで減速するのに必要なバルブタイミング変化量D[℃A]とを合計した値に設定されている。
α=C+D
【0038】
図4に示すように、エンジン回転速度NEが高くなるほど実バルブタイミングVTの検出誤差Cが大きくなるため、本実施形態(1)では、実バルブタイミングVTの検出誤差Cとしてその最大検出誤差Cmax (最大エンジン回転速度NEmax に対応する実バルブタイミングVTの検出誤差Cmax )を用いる。
【0039】
また、図5に示すように、バルブタイミング変化速度Vが速くなるほど、制限速度Vs まで減速するのに必要なバルブタイミング変化量Dが大きくなるため、本実施形態(1)では、減速に必要なバルブタイミング変化量Dとしてその最大値Dmax (バルブタイミング変化速度Vを最高速度Vmax から制限速度Vs まで減速するのに必要なバルブタイミング変化量Dmax )を用いる。
【0040】
以下、ECU30が実行する図6に示す可変バルブタイミング制御プログラム及び図7に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理内容を説明する。
【0041】
図6に示す可変バルブタイミング制御プログラムは、例えば、イグニッションスイッチ(図示せず)のオン後に所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、エンジン運転状態等に基づいて目標バルブタイミングVTtgを算出した後、ステップ102に進み、クランク角センサ20から出力されるクランク角信号とカム角センサ19から出力されるカム角信号とに基づいて実バルブタイミングVTを算出する。
【0042】
尚、カム角信号が出力される毎に、クランク角信号とカム角信号とに基づいてカム角信号出力時の実バルブタイミングVTCを算出すると共に、所定の演算周期でモータ26の回転速度RMと吸気側カム軸16の回転速度RCとの差に基づいて演算周期当たりのバルブタイミング変化量を算出して、カム角信号出力後の演算周期当たりのバルブタイミング変化量を積算することで、カム角信号出力後のバルブタイミング変化量ΔVTを求め、カム角信号出力時の実バルブタイミングVTCにカム角信号出力後のバルブタイミング変化量ΔVTを加算して最終的な実バルブタイミングVTを求めるようにしても良い。
【0043】
実バルブタイミングVTの算出後、ステップ103に進み、目標バルブタイミングVTtgと実バルブタイミングVTとの偏差Dを小さくするように該偏差Dに応じてマップ等により要求バルブタイミング変化速度Vreq を算出する。この要求バルブタイミング変化速度Vreq は、バルブタイミングの変化方向が進角側のときにプラス値、遅角側のときにマイナス値になる。
【0044】
この後、ステップ104に進み、バルブタイミング変化速度の制限速度Vs が設定されているか否かを判定する。この制限速度Vs は、位相可変機構21の可動範囲を制限するための可動部がストッパ部に衝突してもギヤ機構(ギヤ22〜24)の噛み込みや損傷が発生しない比較的遅いバルブタイミング変化速度であり、後述する図7に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムにより設定/解除される。
【0045】
このステップ104で、制限速度Vs が設定されていると判定された場合には、ステップ105に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq の絶対値が制限速度Vs よりも大きいか否かを判定する。その結果、要求バルブタイミング変化速度Vreq の絶対値が制限速度Vs よりも大きいと判定された場合には、ステップ106に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq の絶対値を制限速度Vs でガード処理した後、ステップ107に進む。
【0046】
一方、上記ステップ104で、制限速度Vs が設定されていないと判定された場合、又は、上記ステップ105で、要求バルブタイミング変化速度Vreq の絶対値が制限速度Vs 以下であると判定された場合には、目標バルブタイミングVTtgと実バルブタイミングVTとの偏差Dに応じて算出した要求バルブタイミング変化速度Vreq をそのまま採用して、ステップ107に進む。
【0047】
このステップ107で、要求バルブタイミング変化速度Vreq [℃A/s]を用いて、次式によりモータ26と吸気側カム軸16の要求回転速度差DMCreq [rpm]を算出する。
DMCreq =Vreq ×60×G/720℃A
ここで、Gは位相可変機構21の減速比であり、吸気側カム軸16に対するモータ26の相対回転量とバルブタイミング変化量(カム軸位相の変化量)との比である。
【0048】
この後、ステップ108に進み、上記要求回転速度差DMCreq を実現するようにモータ26の制御値(印加電圧値、電圧制御デューティ値等)を算出して、モータ26の回転速度RMを制御することで、吸気バルブの実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtgに制御する。
【0049】
一方、図7に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムは、例えば、イグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内であるか否か(|最遅角位置−VT|≦遅角側速度制限領域の幅αであるか否か)を判定し、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内であると判定されれば、ステップ202に進み、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも遅角側であるか否か(VTtg−VT<0であるか否か)を判定する。
【0050】
その結果、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも遅角側であると判定された場合には、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内でその限界位置である最遅角位置の方向へ変化するため、位相可変機構21の可動部が遅角側ストッパ部に衝突する可能性があると判断して、ステップ205に進み、ギヤ機構(ギヤ22〜24)の噛み込みや損傷を防ぐために、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0051】
これに対して、上記ステップ202で、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも進角側(VTtg−VT>0)であると判定された場合には、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内で最遅角位置と反対方向(進角方向)へ変化するため、位相可変機構21の可動部が遅角側ストッパ部に衝突する可能性がないと判断して、ステップ206に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0052】
一方、上記ステップ201で、実バルブタイミングVTが遅角側速度制限領域内ではないと判定された場合には、ステップ203に進み、実バルブタイミングVTが進角側速度制限領域内であるか否か(最進角位置−VT≦進角側速度制限領域の幅αであるか否か)を判定し、実バルブタイミングVTが進角側速度制限領域内であると判定されれば、ステップ204に進み、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも進角側であるか否か(VTtg−VT<0であるか否か)を判定する。
【0053】
その結果、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも進角側であると判定された場合には、実バルブタイミングVTが進角側速度制限領域内でその限界位置である最進角位置の方向へ変化するため、位相可変機構21の可動部が進角側ストッパ部に衝突する可能性があると判断して、ステップ205に進み、ギヤ機構(ギヤ22〜24)の噛み込みや損傷を防ぐために、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0054】
これに対して、上記ステップ204で、目標バルブタイミングVTtgが実バルブタイミングVTよりも遅角側であると判定された場合には、実バルブタイミングVTが進角側速度制限領域内で最進角位置と反対方向(遅角方向)へ変化するため、位相可変機構21の可動部が進角側ストッパ部に衝突する可能性がないと判断して、ステップ206に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0055】
以上の処理により、実バルブタイミングVTが遅角側・進角側速度制限領域内でその限界位置の方向へ変化するときに、制限速度Vs を設定して要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限速度Vs 以下に制限する速度制限制御を実行する。これにより、遅角側・進角側速度制限領域内でバルブタイミング変化速度Vを制限速度Vs 以下に減速して位相可変機構21の可動部の動作速度を遅くすることができるので、位相可変機構21の可動部が高速でストッパ部に衝突することを回避することができて、ギヤ機構(ギヤ22〜24)の噛み込みや損傷を未然に防止することができ、可変バルブタイミング装置18の動作信頼性を向上させることができる。
【0056】
一方、実バルブタイミングVTが遅角側・進角側速度制限領域内であっても、その限界位置と反対方向へ変化するときには、制限速度Vs を解除して速度制限制御を実行しない。これにより、実バルブタイミングVTが遅角側・進角側速度制限領域内であっても、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生しない方向へ実バルブタイミングVTが変化するときには、バルブタイミング変化速度速度を減速せずに、実バルブタイミングVTを速やかに目標バルブタイミングVTtgへ変化させることができ、可変バルブタイミング制御の応答性も確保することができる。
【0057】
ところで、遅角側・進角側速度制限領域の幅αが狭いと、遅角側・進角側速度制限領域に入るバルブタイミング変化速度が速いときに、バルブタイミング変化速度が十分に減速されずに、位相可変機構21の可動部がストッパ部に激突してしまう可能性がある。また、実バルブタイミングVTの検出誤差(ばらつき)が大きければ、実バルブタイミングVTが遅角側・進角側速度制限領域に入ったことを検出するタイミングが遅れて、バルブタイミング変化速度が十分に減速されずに、位相可変機構21の可動部がストッパ部に激突してしまう可能性がある。
【0058】
これらの事情を考慮して、本実施形態(1)では、遅角側・進角側速度制限領域の幅αを、実バルブタイミングVTの検出誤差Cと、十分な減速に必要なバルブタイミング変化量Dとを合計した値に設定するようにしたので、バルブタイミング変化速度を確実に所定の制限速度Vs 以下に減速できる幅を持った遅角側・進角側速度制限領域を設定することができ、実バルブタイミングVTの検出誤差やバルブタイミング変化速度の影響を受けない安定した速度制限制御を行うことができる。
【0059】
尚、本実施形態(1)では、バルブタイミング可変範囲(位相可変機構21の可動範囲)の最遅角側と最進角側の両方に同一幅の速度制限領域を設定したが、バルブタイミングの実用範囲等によっては、遅角側速度制限領域の幅と進角側速度制限領域の幅とを異ならせるようにしたり、遅角側と進角側のいずれか一方のみに速度制限領域を設定するようにしても良い。
【0060】
《実施形態(2)》
次に、本発明の実施形態(2)を図8及び図9を用いて説明する。
ECU30は、基準位置学習プログラム(図示せず)を実行することで基準位置学習手段として機能し、所定の学習条件が成立する毎(例えばエンジン始動毎)に、バルブタイミングの基準位置(例えば最遅角位置)を学習することによって、実バルブタイミングVTの検出精度を維持するようにしている。従って、基準位置学習が完了していないときには、実バルブタイミングVTの検出精度が低下している(検出誤差が増大している)ため、この状態で、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御すると、位相可変機構21の可動部を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性がある。
【0061】
そこで、本実施形態(2)では、ECU30は、図8に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムを所定周期で実行することで、基準位置学習が完了していないときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行するようにしている。
【0062】
更に、ECU30は、図9に示す目標バルブタイミング算出プログラムを所定周期で実行することで、基準位置学習が完了していない状態で可変バルブタイミング制御を実行するときに、速度制限制御により制限速度VS 以下に制限された要求バルブタイミング変化速度Vreq に応じた目標バルブタイミングVTtgを算出するようにしている。以下、これら各プログラムの処理内容を説明する。
【0063】
図8に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムが起動されると、まず、ステップ301で、基準位置学習が未完了であるか否かを判定する。
基準位置学習が未完了であると判定された場合には、実バルブタイミングVTの検出精度が低下している(検出誤差が増大している)ため、位相可変機構21の可動部を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性があると判断して、ステップ302に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0064】
その後、本プログラムが起動されて、ステップ301で、基準位置学習が完了したと判定された段階で、ステップ303に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0065】
また、図9に示す目標バルブタイミング算出プログラムが起動されると、まず、ステップ401で、基準位置学習の未完了による速度制限制御を実行中であるか否かを判定する。
【0066】
速度制限制御を実行中であると判定された場合には、ステップ402に進み、制限速度VS 以下に制限された要求バルブタイミング変化速度Vreq に応じた目標バルブタイミングVTtgを算出する。この速度制限制御実行中の目標バルブタイミングVTtgは、減速されたバルブタイミング変化速度でも失火等の不具合が発生しない目標バルブタイミングに設定される。
【0067】
一方、速度制限制御の実行中ではないと判定された場合には、ステップ403に進み、エンジン運転状態等に基づいて通常の目標バルブタイミングVTtgを算出する。
【0068】
以上説明した本実施形態(2)では、基準位置学習が完了していないときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限速度Vs 以下に制限する速度制限制御を実行するようにしたので、基準位置学習の完了前で実バルブタイミングVTの検出精度が低下しているときに、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御する場合でも、位相可変機構21の可動部が高速でストッパ部に衝突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0069】
更に、本実施形態(2)では、基準位置学習が完了していない状態で可変バルブタイミング制御を実行するときに、速度制限制御により制限速度Vs 以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングVTtgを設定するようにしたので、速度制限制御により減速されたバルブタイミング変化速度で可変バルブタイミング制御を行う場合でも、エンジン11の燃焼性等をある程度確保して運転を継続できるように目標バルブタイミングVTtgを設定することができる。
【0070】
《実施形態(3)》
前記実施形態(2)では、基準位置学習が完了していないときに、全バルブタイミング領域で速度制限制御を実行するようにしたが、本発明の実施形態(3)では、図10に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムを所定周期で実行することで、基準位置学習が完了していないときに実バルブタイミングVTと限界位置(最遅角位置や最進角位置)との差が所定値以内の領域(学習前速度制限領域)でのみ、速度制限制御を実行するようにしている。
【0071】
図10に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムは、図8のステップ301とステップ302の処理の間に、ステップ301aの処理を追加したものであり、これ以外のステップの処理は図8と同じである。
【0072】
本プログラムでは、ステップ301で、基準位置学習が未完了であると判定されたときに、ステップ301aに進み、実バルブタイミングVTが所定の学習前速度制限領域内であるか否かを判定する。この学習前速度制限領域は、基準位置の未学習による実バルブタイミングVTの検出精度の低下(検出誤差の増大)等を考慮に入れて、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生する可能性がある領域であり、前記実施形態(1)で説明した速度制限領域(図3参照)よりも広い領域に設定される。
【0073】
基準位置学習が完了していないときに実バルブタイミングVTが学習前速度制限領域内であると判定された場合には、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生する可能性があると判断して、ステップ302に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。尚、実バルブタイミングVTが学習前速度制限領域内であっても、その限界位置と反対方向へ変化するときには、制限速度Vs を解除して速度制限制御を実行しないようにしても良い。
【0074】
これに対して、基準位置学習が完了していないときでも、実バルブタイミングVTが学習前速度制限領域内ではないと判定された場合には、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生する可能性が低いと判断して、ステップ303に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0075】
以上説明した本実施形態(3)では、基準位置学習が完了していないときに実バルブタイミングVTが学習前速度制限領域内にあるときに、速度制限制御を実行するようにしたので、基準位置学習の際に、位相可変機構21の可動部とストッパ部との衝突が発生しない領域では、バルブタイミング変化速度を制限せずに、実バルブタイミングVTを速やかに変化させることができ、基準位置学習の所要時間を短くすることができる。
【0076】
尚、本実施形態(3)においても、図9の目標バルブタイミング算出プログラムを実行して、基準位置学習が完了していない状態で可変バルブタイミング制御を実行するときに、速度制限制御により制限速度Vs 以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングVTtgを設定するようにしても良い。
【0077】
《実施形態(4)》
本発明の実施形態(4)では、図11に示す基準位置学習優先制御プログラムを実行することで、基準位置学習が完了するまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしている。
【0078】
図11に示す基準位置学習優先制御プログラムは、例えば、イグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ501で、基準位置学習が未完了であるか否かを判定し、基準位置学習が未完了であると判定された場合には、ステップ502に進み、通常の可変バルブタイミング制御を禁止した後、ステップ503に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を設定する。
【0079】
この後、ステップ504に進み、基準位置学習を実行する。この基準位置学習では、バルブタイミングを基準位置に制御した状態(例えば、最遅角位置を基準位置とする場合には、位相可変機構21の可動部を遅角側ストッパ部に突き当てた状態)で実バルブタイミングVTを算出し、それを基準位置として学習する。
【0080】
その後、ステップ501で、基準位置学習が完了したと判定されたときに、ステップ505に進み、通常の可変バルブタイミング制御を許可した後、ステップ506に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0081】
以上説明した本実施形態(4)では、基準位置学習が完了するまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしたので、基準位置学習が完了して実バルブタイミングVTの検出精度を確保できるようになってから通常の可変バルブタイミング制御に移行することができる。
【0082】
《実施形態(5)》
ところで、基準位置学習が完了していても、万一、基準位置学習に異常が発生して基準位置を誤学習していると、実バルブタイミングVTの検出誤差が増大するため、バルブタイミングをその可変範囲の限界位置又はその付近に制御するときに、位相可変機構21の可動部を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性がある。
【0083】
そこで、本発明の実施形態(5)では、図12に示す基準位置学習異常判定プログラム及び図13に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムを実行することで、基準位置学習の異常の有無を判定し、基準位置学習の異常有りと判定されたときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行するようにしている。
【0084】
図12に示す基準位置学習異常判定プログラムは、例えば、イグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう学習異常判定手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ601で、現在の基準位置学習値VT0 が上限側学習ガード値VTGmax 以下であるか否かを判定し、ステッ602で、現在の基準位置学習値VT0 が下限側学習ガード値VTGmin 以上であるか否かを判定する。ここで、上限側学習ガード値VTGmax と下限側学習ガード値VTGmin は、システムの個体差や経時変化等による基準位置の正常なばらつき範囲を考慮して設定された値である。
【0085】
そして、基準位置学習値VT0 が下限側学習ガード値VTGmin から上限側学習ガード値VTGmax までの正常範囲内(VTGmin ≦VT0 ≦VTGmax )であれば、ステップ603に進み、基準位置学習の異常無し(正常)であると判定する。
【0086】
これに対して、基準位置学習値VT0 が上限側学習ガード値VTGmax よりも大きいか、或は、下限側学習ガード値VTGmin よりも小さい場合、つまり、基準位置学習値VT0 が上下限の学習ガード値VTGmax ,VTGmin の範囲に収まっていない場合には、ステップ604に進み、基準位置学習の異常有り(基準位置の誤学習)と判定する。
【0087】
また、図13に示すバルブタイミング変化速度制限制御プログラムが起動されると、まず、ステップ701で、前述した図12の基準位置学習異常判定プログラムによる異常判定結果に基づいて基準位置学習が異常であるか否か(基準位置を誤学習しているか否か)を判定する。
【0088】
その結果、基準位置学習が異常である(基準位置を誤学習している)と判定された場合には、実バルブタイミングVTの検出精度が低下している(検出誤差が増大している)ため、位相可変機構21の可動部を高速でストッパ部に衝突させてしまう可能性があると判断して、ステップ702に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限する制限速度Vs を設定して速度制限制御を実行する。
【0089】
一方、ステップ701で、基準位置学習が正常であると判定された場合には、ステップ703に進み、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する。
【0090】
以上説明した本実施形態(5)では、基準位置学習が異常である(基準位置を誤学習している)と判定されたときに、要求バルブタイミング変化速度Vreq を制限速度Vs 以下に制限する速度制限制御を実行するようにしたので、基準位置が誤学習されて実バルブタイミングVTの検出誤差が大きくなっても、位相可変機構21の可動部が高速でストッパ部に衝突することを回避することができ、ギヤ機構の噛み込みや損傷を未然に防止することができる。
【0091】
尚、本実施形態(5)においても、図9の目標バルブタイミング算出プログラムを実行して、基準位置学習の異常有りと判定された状態で可変バルブタイミング制御を行うときに、速度制限制御により制限速度Vs 以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングVTtgを設定するようにしても良い。
【0092】
《実施形態(6)》
本発明の実施形態(6)では、図14に示す基準位置学習優先制御プログラムを実行することで、基準位置学習が正常と判定されるまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしている。
【0093】
図14に示す基準位置学習優先制御プログラムは、図11のステップ501の処理を、ステップ501aの処理に変更したものであり、これ以外のステップの処理は図11と同じである。
【0094】
本プログラムでは、まずステップ501aで、前述した図12の基準位置学習異常判定プログラムによる異常判定結果に基づいて基準位置学習が異常であるか否か(基準位置を誤学習しているか否か)を判定する。
【0095】
その結果、基準位置学習が異常であると判定された場合には、通常の可変バルブタイミング制御を禁止すると共に、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を設定した後、基準位置学習を実行する(ステップ502〜504)。
【0096】
その後、ステップ501aで、基準位置学習が正常であると判定されたときに、通常の可変バルブタイミング制御を許可すると共に、要求バルブタイミング変化速度Vreq に対する制限速度Vs を解除する(ステップ505、506)。
【0097】
以上説明した本実施形態(6)では、基準位置学習が正常であると判定されるまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して基準位置学習のみを実行可能とするようにしたので、基準位置学習が正常に完了して実バルブタイミングVTの検出精度を確保できるようになってから通常の可変バルブタイミング制御に移行することができる。
【0098】
《実施形態(7)》
モータ駆動式の可変バルブタイミング装置18(図2参照)は、エンジン11の始動前(エンジン停止中)でも制御可能である。そこで、本発明の実施形態(7)では、図15に示す始動前基準位置学習制御プログラムを実行することで、エンジン11の始動前(クランキング前)に基準位置学習を実行するようにしている。
【0099】
図15に示す始動前基準位置学習制御プログラムは、ECU30への電源投入直後(イグニッションスイッチをOFF位置からACC位置又はON位置へ操作した直後)から所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ801で、イグニッションスイッチがON位置に操作されているか否かを判定し、イグニッションスイッチがON位置に操作されていれば、ステップ802に進み、基準位置学習が完了しているか否かを判定する。まだ、基準位置学習が完了していなければ、ステップ803に進み、基準位置学習を実行する。
【0100】
以上の処理によりエンジン11の始動前に基準位置学習が実行されるため、エンジン11の始動当初から実バルブタイミングVTを精度良く検出して実バルブタイミングVTを始動に適した目標バルブタイミングVTtgに精度良く制御することができ、エンジン11の始動性を向上させることができる。
【0101】
《実施形態(8)》
本発明の実施形態(8)では、図16に示す始動前基準位置学習制御プログラムを実行することで、エンジン11の始動前に基準位置学習を実行し、基準位置学習が完了するまでエンジン11の始動制御(スタータの作動)を禁止するようにしている。
【0102】
図16に示す始動前基準位置学習制御プログラムが起動されると、まず、ステップ901で、イグニッションスイッチがON位置に操作されているか否かを判定し、イグニッションスイッチがON位置に操作されていれば、ステップ902に進み、基準位置学習が完了しているか否かを判定する。まだ、基準位置学習が完了していなければ、ステップ903に進み、エンジン11のスタータの作動(クランキング)を禁止した後、ステップ904に進み、基準位置学習を実行する。上記ステップ903の処理が特許請求の範囲でいう始動禁止手段としての役割を果たす。
【0103】
その後、ステップ902で、基準位置学習が完了したと判定されたときに、ステップ905に進み、エンジン11のスタータの作動を許可する。この後は、イグニッションスイッチをSTART位置に操作すれば、スタータが作動してエンジン11が始動される。
【0104】
以上説明した本実施形態(8)では、基準位置学習が完了するまでスタータの作動を禁止するようにしたので、基準位置学習の完了前にスタータの作動を開始してまうことを防止でき、基準位置学習が確実に完了してからスタータの作動を開始してエンジン11を始動することができる。
【0105】
《実施形態(9)》
本発明の実施形態(9)では、図17に示す始動前基準位置学習制御プログラムを実行することで、基準位置学習が完了するまでエンジン11の始動制御(スタータの作動)を禁止する処理をイグニッションスイッチのオンから所定時間内に限って実行するようにしている。
【0106】
図17に示す始動前基準位置学習制御プログラムは、図16のステップ901の処理の後に、ステップ901aの処理を追加したものであり、これ以外のステップの処理は図16と同じである。
【0107】
本プログラムでは、ステップ901で、イグニッションスイッチのオン(ON位置への操作)と判定された後に、ステップ901aに進み、イグニッションスイッチのオンから所定時間が経過したか否かを判定する。
【0108】
イグニッションスイッチのオンから所定時間が経過する前であれば、ステップ901aからステップ902に進み、基準位置学習が完了するまでエンジン11のスタータの作動を禁止して、基準位置学習が完了した後に、エンジン11のスタータの作動を許可する(ステップ902〜905)。
【0109】
これに対して、基準位置学習が完了する前に、イグニッションスイッチのオンから所定時間が経過した場合には、ステップ901aからステップ905に進み、基準位置学習の完了前でも、エンジン11のスタータの作動を許可する。
【0110】
以上説明した本実施形態(9)では、基準位置学習が完了するまでエンジン11のスタータの作動を禁止する処理をイグニッションスイッチのオンから所定時間内に限って実行するようにしたので、何らかの原因でイグニッションスイッチのオンから所定時間内に基準位置学習を完了できない場合でも、その後に、エンジン11の始動制御(スタータ作動)を開始することができ、エンジン11が始動不能に陥る不具合を防止できる。
【0111】
以上説明した各実施形態(1)〜(9)では、本発明を吸気バルブの可変バルブタイミング制御装置に適用したが、これに限定されず、本発明を排気バルブの可変バルブタイミング制御装置に適用しても良い。更に、可変バルブタイミング装置18の構成は、適宜変更しても良く、要は、ギヤ機構を用いてバルブタイミングを可変する可変バルブタイミング装置であれば良い。また、可変バルブタイミング装置の駆動源もモータに限定されず、油圧を駆動源とするものでも、ギヤ機構を用いていれば、本発明を適用して実施できる。
【0112】
その他、本発明は、前記各実施形態を適宜組み合わせて実施しても良い等、種々変更して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)における制御システム全体の概略構成図
【図2】可変バルブタイミング装置の概略構成図
【図3】バルブタイミングの可変範囲及び速度制限領域を説明するための図
【図4】エンジン回転速度と実バルブタイミングとの関係を示す図
【図5】バルブタイミング変化速度と減速時変化量との関係を示す図
【図6】実施形態(1)の可変バルブタイミング制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図7】実施形態(1)のバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図8】実施形態(2)のバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図9】実施形態(2)の目標バルブタイミング算出プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図10】実施形態(3)のバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図11】実施形態(4)の基準位置学習優先制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図12】実施形態(5)の基準位置学習異常判定プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図13】実施形態(5)のバルブタイミング変化速度制限制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図14】実施形態(6)の基準位置学習優先制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図15】実施形態(7)の始動前基準位置学習制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図16】実施形態(8)の始動前基準位置学習制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図17】実施形態(9)の始動前基準位置学習制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、12…クランク軸、16…吸気側カム軸、17…排気カム軸、18…可変バルブタイミング装置、21…位相可変機構、22…アウタギヤ(第1の回転部材)、23…インナギヤ(第2の回転部材)、24…遊星ギヤ(位相可変部材)、26…モータ、30…ECU(制御手段,基準位置学習手段,学習異常判定手段,始動禁止手段)。
Claims (16)
- 内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミングをギヤ機構を介して可変する可変バルブタイミング装置と、この可変バルブタイミング装置を制御する制御手段とを備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、
前記制御手段は、実バルブタイミングが前記可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置付近に設定された所定の速度制限領域内にあるときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に制限する速度制限制御を実行することを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。 - 前記制御手段は、実バルブタイミングが前記速度制限領域内にある場合でも、該速度制限領域の限界位置と反対方向へ実バルブタイミングを変化させるときには、前記速度制限制御を実行しないようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 前記速度制限領域は、バルブタイミング変化速度を前記所定速度まで減速するのに必要なバルブタイミング変化量及び/又は実バルブタイミングの検出誤差に基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- バルブタイミングの基準位置を学習する基準位置学習手段を備え、
前記制御手段は、前記基準位置学習手段による基準位置学習が完了していないときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に制限する速度制限制御を実行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。 - 内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミングをギヤ機構を介して可変する可変バルブタイミング装置と、この可変バルブタイミング装置を制御する制御手段とを備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、
バルブタイミングの基準位置を学習する基準位置学習手段を備え、
前記制御手段は、前記基準位置学習手段による基準位置学習が完了していないときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に制限する速度制限制御を実行することを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。 - 前記制御手段は、前記基準位置学習手段による基準位置学習が完了していないときに、実バルブタイミングと前記可変バルブタイミング装置の可動範囲の限界位置との差が所定値以内の領域で、前記速度制限制御を実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 前記制御手段は、前記基準位置学習手段による基準位置学習が完了していない状態で可変バルブタイミング制御を実行するときに、前記速度制限制御により所定速度以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングを設定することを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 前記基準位置学習手段は、前記基準位置学習が完了するまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して前記基準位置学習のみを実行可能とすることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミングをギヤ機構を介して可変する可変バルブタイミング装置と、この可変バルブタイミング装置を制御する制御手段とを備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、
バルブタイミングの基準位置を学習する基準位置学習手段と、
前記基準位置学習手段による基準位置学習の異常の有無を判定する学習異常判定手段とを備え、
前記制御手段は、前記学習異常判定手段により基準位置学習の異常有りと判定されたときに、バルブタイミング変化速度を所定速度以下に制限する速度制限制御を実行することを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。 - 前記学習異常判定手段は、前記基準位置学習手段により学習した基準位置学習値が所定のガード値を越えたときに基準位置学習の異常有りと判定することを特徴とする請求項9に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 前記制御手段は、前記学習異常判定手段により基準位置学習の異常有りと判定された状態で可変バルブタイミング制御を行うときに、前記速度制限制御により所定速度以下に制限されたバルブタイミング変化速度に応じた目標バルブタイミングを設定することを特徴とする請求項9又は10に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 前記制御手段は、前記学習異常判定手段により基準位置学習の異常無しと判定されるまで、通常の可変バルブタイミング制御を禁止して前記基準位置学習のみを実行可能とすることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 前記基準位置学習手段は、前記内燃機関の始動前に前記基準位置を学習することを特徴とする請求項4乃至12のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 前記基準位置学習が完了するまで前記内燃機関の始動制御を禁止する始動禁止手段を備えていることを特徴とする請求項13に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 前記始動禁止手段は、前記基準位置学習が完了するまで前記内燃機関の始動制御を禁止する処理をイグニッションスイッチのオンから所定期間内に限って実行することを特徴とする請求項14に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
- 前記ギヤ機構は、カム軸と同心状に配置され且つクランク軸の回転駆動力によって回転駆動される第1の回転部材と、前記カム軸と一体的に回転する第2の回転部材と、前記第1の回転部材の回転力を前記第2の回転部材に伝達し且つ前記第1の回転部材に対する前記第2の回転部材の回転位相を変化させる位相可変部材とから構成され、前記第1の回転部材と前記位相可変部材との駆動力伝達手段及び/又は前記第2の回転部材と前記位相可変部材との駆動力伝達手段が歯車で構成され、
前記位相可変部材の回転位相を制御するモータを備え、
前記制御手段は、前記バルブタイミングを変化させないときは、前記モータの回転速度を前記カム軸の回転速度に一致させて、前記位相可変部材の旋回速度を前記カム軸の回転速度に一致させることで、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転位相の差を現状維持して、前記バルブタイミングを現状維持し、前記バルブタイミングを変化させるときは、前記モータの回転速度を前記カム軸の回転速度に対して変化させて、前記位相可変部材の旋回速度を前記カム軸の回転速度に対して変化させることで、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との回転位相の差を変化させて前記バルブタイミングを変化させることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
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