JP2004150118A - 建設機械の旋回装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】センタジョイント挿通孔からグリースバスへの水の浸入を防止できセンタジョイントの取付精度の低下を招かない建設機械の旋回装置を提供する。
【解決手段】上部旋回体を下部走行体に対して旋回させる機構と、旋回フレーム1のセンタジョイント挿通孔1aに挿通されて走行体フレーム2のセンタジョイント取付台2aに取り付けられるセンタジョイント3と、同取付台2aの周囲の窪み1bにより走行体フレーム2に形成されたグリースバス8とを備えた建設機械の旋回装置において、センタジョイント取付台2aに環状の隔壁6を局部溶接により非連続的に固着して隔壁6をセンタジョイント3を囲むように設けるとともに、上側リップ部7b及び下側リップ部7cを有するシール7を隔壁6に取り付けて隔壁6の上方及び下方の双方の隙間をシール7で密閉するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】上部旋回体を下部走行体に対して旋回させる機構と、旋回フレーム1のセンタジョイント挿通孔1aに挿通されて走行体フレーム2のセンタジョイント取付台2aに取り付けられるセンタジョイント3と、同取付台2aの周囲の窪み1bにより走行体フレーム2に形成されたグリースバス8とを備えた建設機械の旋回装置において、センタジョイント取付台2aに環状の隔壁6を局部溶接により非連続的に固着して隔壁6をセンタジョイント3を囲むように設けるとともに、上側リップ部7b及び下側リップ部7cを有するシール7を隔壁6に取り付けて隔壁6の上方及び下方の双方の隙間をシール7で密閉するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上部旋回体を下部走行体に対して旋回させる機構と、旋回フレームと走行体フレームとの間に形成されたグリースバスと、旋回フレームの旋回中心部に挿通されて下部走行体側に取り付けられるセンタジョイントとを備えた油圧ショベル、油圧式クレーン等の建設機械の旋回装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル、油圧式クレーン等の自走式建設機械は、自走式建設機械を走行可能にするためのクローラやホイール等による下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に設置された上部旋回体とを設けて構成される。建設機械の旋回装置は、こうした自走式建設機械において上部旋回体を下部走行体に対して旋回させるようにするための種々の機器からなる装置である。この旋回装置では、下部走行体上部の走行体フレームと上部旋回体下部の旋回フレームとの間に、潤滑油を貯溜するためのグリースバスが形成されているとともに、旋回フレームの旋回中心部にセンタジョイント挿通孔を設けて、この挿通孔にセンタジョイントを挿通して下部走行体側に取り付けている。
【0003】
自走式建設機械では、上部旋回体側に油圧発生源としての油圧ポンプやアクチュエータからの戻り油を戻すための油タンクが設置されているとともに、下部走行体側に左右の走行用油圧モータ等のアクチュエータが設置されている。センタジョイントは、上部旋回体の旋回を可能にしつつ、上部旋回体側の前記油圧ポンプや油タンクに連結した油圧や戻り油の流通管路と下部走行体側の前記アクチュエータに連結した油圧や戻り油の流通管路とを接続する管継手であり、スイベルジョイントとも称する。
【0004】
建設機械の旋回装置では、こうしたセンタジョイントを前記のようにセンタジョイント挿通孔に挿通して設置しているため、建設機械の運転時等に雨水や泥水等がセンタジョイント挿通孔とセンタジョイントとの隙間から入り込んでグリースバスに浸入する。こうしたグリースバスへの水の浸入を防止することは、建設機械にとってきわめて重要なテーマであり、これまで種々の技術が提案されていたが、実際上、必ずしも満足できるものではなかった。本発明は、この種の従来の技術を改良しようとするものである。
【0005】
そこで、後述する本発明に係る建設機械の旋回装置についてその特徴を容易に理解できるようにするため、従来実施していたこの種の従来の技術の一例を図5に基づいて説明する。図5は、従来例の建設機械の旋回装置における要部の垂直断面図である。
【0006】
図5において、1は上部旋回体の基盤となる鋼板製の旋回フレーム、1aは旋回フレーム1の旋回中心部に形成されたセンタジョイント挿通孔、2は旋回フレーム1よりも薄い鋼板で形成された下部走行体の上部をなす走行体フレーム、3はセンタジョイント挿通孔1aに挿通されて下部走行体側の走行体フレーム2に取り付けられたセンタジョイント、4はセンタジョイント3を走行体フレーム2に取り付けるためのセンタジョイント取付ボルト、5はセンタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3との間の隙間を塞ぐための挿通孔用カバー、8は潤滑油としてのグリース8aを貯溜するためのグリースバスである。
【0007】
図示はしていないが、旋回フレーム1上には、走行用油圧モータ等のアクチュエータを駆動するための圧油を発生する油圧ポンプやアクチュエータの戻り油を溜める油タンク、旋回フレーム1を旋回させるためのピニオン駆動装置を構成する旋回モータやその回転を減速する減速機、さらには運転室、エンジンルーム、カウンタウエイト等の諸装置を設置して上部旋回体を構成している。走行体フレーム2は、クローラベルト等の走行装置を支持する図示しない走行台枠上に設置されている。この走行体フレーム2は、これを隆起させて高台状のセンタジョイント取付台2aを形成することによりセンタジョイント取付部材に兼用し、そのセンタジョイント取付台2aにセンタジョイント3を取り付けている。また、この高台状のセンタジョイント取付台2aの周囲にできている走行体フレーム2の窪み2bを利用してグリースバス8を形成している。
【0008】
紙面の関係上図には表れていないが、走行体フレーム2側には、内歯車を有する環状の内輪(インナレース)がグリースバス8の外周壁を形成するように固定されている。また、旋回フレーム1側には、この内輪を同心円状に囲むように環状の外輪(アウタレース)が固定され、この外輪は、内輪との間に介在させたベアリングで支持されて、センタジョイント3の軸心を中心に内輪の周りを旋回できるようになっている。これらの内輪及び外輪を設けて旋回輪(旋回軸受)が構成されており、内輪の内歯車には、図に表れていないピニオンを噛み合わせている。そして、このピニオンを旋回フレーム1側の前述のピニオン駆動装置で回転駆動することにより上部旋回体を旋回させることができるようにしている。
【0009】
建設機械の旋回装置は、こうした機構により上部旋回体を下部走行体に対して旋回させるための装置であり、前記の旋回輪、ピニオン及びピニオン駆動装置のほか、センタジョイント3やグリースバス8を備えている。なお、この種の構造は、従来周知の事項であるが、後述する特許文献1には、その構造が具体的に図示されているので、必要なら特許文献1も参考にされたい。
【0010】
内輪の内歯車やこれと噛み合うピニオンは、グリースバス8内のグリース8aに浸漬されていて、グリース8aは、両者の噛み合い部を潤滑する働きをする。前述したように、センタジョイント3は、上部旋回体の旋回を可能にしつつ、上部旋回体側の油圧ポンプや油タンクに連結した油圧や戻り油の流通管路と下部走行体側の走行用油圧モータ等のアクチュエータに連結した油圧や戻り油の流通管路とを接続する管継手である。このセンタジョイント3は、下部走行体側の走行体フレーム2に固定されるハウジング3aとこのハウジング3aに回転可能に嵌入されて上部旋回体側に固定されるローター3bとを設けて構成されている。
【0011】
センタジョイント3をセンタジョイント取付台2aに取り付けるため、センタジョイント取付台2aには、ハウジング3aを挿通した状態でセンタジョイント取付ボルト4で取り付けることができるようにするためのセンタジョイント取付孔2cが形成されている。挿通孔用カバー5は、旋回フレーム1の上面及びセンタジョイント3のローター3bの側面に密接させてセンタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3の間の隙間を密閉するカバー用シール5aと、このカバー用シール5aを取り付けるためのシール取付部材5bとで構成されている。このシール取付部材5bは、環状をなしており、下端部を旋回フレーム1の上面に溶接により固着しているとともに上端部をカバー用シール5aの溝に嵌入することにより同シール5aを取り付けている。
【0012】
こうした挿通孔用カバー5を設けないと、自走式建設機械の運転時等にセンタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3の間の隙間から雨水や泥水等の水が入り込んでグリースバス8に浸入するが、挿通孔用カバー5は、こうしたグリースバス8への外部からの水の浸入を防止することを意図して設けられたものである。こうしたことを意図して、本従来例の建設機械の旋回装置に類する構造を採用した先行技術は、例えば、特許文献1の第6図に開示されている。
【0013】
この先行技術は、グリース室(グリースバス8に相当)の底部を形成するための床板を走行体フレームの上方位置に固定してこの床板にセンタジョイント外筒(センタジョイント3のハウジング3aに相当)を取り付けている点で本従来例の旋回装置とは周辺の構造が異なるが、センタジョイント挿通孔からの水の浸入をシール部材(挿通孔用カバー5に相当)で阻止することを意図している点で従来例の旋回装置と同系統の技術である。この先行技術では、こうした技術的意図を達成するため、シール部材をセンタジョイントのうちの特にセンタジョイント外筒の方に密接させるようにしていて、その技術的意図を達成するための具体的な構造も、本従来例の旋回装置とは若干異なる。
【0014】
また、この特許文献1の第5図には、グリース室への外部からの水の浸入を防止することを意図した技術として、本従来例の旋回装置とは別系統の技術も示されている。この第2の先行技術は、前記先行技術と同様、床板を走行体フレームの上方位置に固定してセンタジョイント外筒をその床板に取り付けるとともに、旋回体フレーム(旋回フレーム1に相当)と床板の間を密閉するためのシール部材を、センタジョイントの近傍にこれを囲むように設けている。このシール部材は、床板に固定されるシール保持部材とこのシール保持部材に取り付けられ旋回体フレームの下面に密接させてシール保持部材の上方の隙間を密閉するシールとで構成されている。床板には、こうしたシール部材を固定するほか、このシール部材と距離を置いてその外周側に環状のグリース保持壁を固定し、このグリース保持壁及び床板等でグリース室を形成するようにしている。
【0015】
この第2の先行技術では、センタジョイント挿通孔とセンタジョイントの間の隙間から入った水がグリース室に浸入するのを、旋回体フレームと床板の間を密閉するためのシール部材により阻止するようにしている。そして、特に、シール部材及びグリース保持壁の二つの仕切り部材を床板上に独立別個に設けるようにしていることから、グリース室を、シール部材によることなくグリース保持壁で区画して適正容量に形成することにより、グリース室へのグリースの貯溜量を節減することができる。また、これに伴って、シール部材をグリース室の区画に兼用しなくても済むようになるため、シール部材の径をグリース室と関係なく設定して必要最小限にすることにより、シールの摺動速度の低下させてシールの摩耗を抑制し、さらにはシール部材の製作費を節減することができる。
【0016】
【特許文献1】
実開昭58ー6860号公報(第4−6頁、第5−6図)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
図5に基づいて詳述した従来例の建設機械の旋回装置では、センタジョイント3の組立工程で不可避的に生じるセンタジョイント3の取付位置の僅かな誤差や積雪の重みによる挿通孔用カバー5の変形、さらには外界にさらされることによるカバー用シール5aの劣化等により、センタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3の間の隙間から水が入り込んでグリースバス8に浸入する危険性が大きかった。そして、その隙間がたとえ僅かな隙間であっても、水は、その僅かな隙間から毛細管現象により入り込むため、挿通孔用カバー5によりグリースバス8への水の浸入を確実に防止することは、困難であった。また、この従来例の旋回装置に類する構造を採用した前述した特許文献1の第6図に開示の先行技術についても、同様のことがいえる。
【0018】
一方、この従来例の旋回装置とは別系統の技術である前述した特許文献1の第5図に開示の第2の先行技術では、シール部材と床板の間を密閉するようにシール保持部材を床板に溶接で連続的に固着する限り、グリースバスへの水の浸入を防止することができる。しかしながら、このようにシール保持部材を床板に溶接で連続的に固着した場合には、床板が熱歪により変形する。そして、この床板には、センタジョイントが取り付けられるため、床板が熱歪により変形すると、センタジョイントの軸心が旋回フレームの旋回中心線に対してずれたり傾いたりして床板に取り付けられることとなり、ただでさえ高精度の取付が要求されるセンタジョイントの取付精度が低下する。また、シール保持部材を床板に固着する場合に、ボルトで固着する等溶接以外の方法で固着すると、非連続的に固着されることとなって、シール保持部材と床板との間に隙間ができるため、グリースバスへの水の浸入を確実に防止することが困難となる。
【0019】
本発明は、こうした問題を解決するために創作されたものであって、その技術課題は、センタジョイント挿通孔からグリースバスへの水の浸入を確実に防止することができるだけでなくセンタジョイントの取付精度の低下を招かない建設機械の旋回装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、こうした技術課題を達成するため、
上部旋回体を下部走行体に対して旋回させる機構と、上部旋回体の基盤となる旋回フレームと下部走行体の上部をなす走行体フレームとの間に形成されたグリースバスと、旋回フレームの旋回中心部に設けたセンタジョイント挿通孔に挿通されて下部走行体側に取り付けられるセンタジョイントとを備えた建設機械の旋回装置において、
センタジョイントを下部走行体側に取り付けるためのセンタジョイント取付部材に環状の隔壁を非連続的に固着してこの隔壁をグリースバスの内側にセンタジョイントを囲むように設けるとともに、隔壁にシールを取り付けて隔壁の上方及び下方の双方の隙間をシールにより密閉して構成した。
【0021】
環状の隔壁をセンタジョイント取付部材に固着する場合においてグリースバスへの水の浸入を防止するには、センタジョイント取付部材と隔壁の底面と間を密閉するように隔壁をセンタジョイント取付部材に連続的に溶接する必要がある。これに対し、本発明の建設機械の旋回装置では、隔壁をセンタジョイント取付部材に対して局部溶接やボルト等により敢えて非連続的に固着するようにし、代わりに、隔壁にシールを取り付けて、隔壁上方の隙間だけはなく、隔壁下方の非溶接部の隙間もシールにより密閉するようにした。
【0022】
本発明の建設機械の旋回装置では、こうした手段を採用したことにより、センタジョイント挿通孔とセンタジョイントとの隙間から環状の隔壁の内部に雨水や泥水等の水が入り込んでも、この隔壁やこれに取り付けられたシールにより水がグリースバスに浸入するのを確実に防止することができる。さらに、こうした所期の機能を果たせることに加え、隔壁をセンタジョイント取付部材に対して連続的に溶接することなく、特に非連続的に固着するようにしたので、連続的に溶接した場合のようにセンタジョイント取付部材が熱歪により変形するようなことはない。そのため、高精度の取付が必要なセンタジョイントの組立工程において、センタジョイントの軸心が旋回フレームの旋回中心線に対してずれたり傾いたりしてセンタジョイント取付部材に取り付けられるようなことも同時に防止することができて、センタジョイントの取付精度を低下させることもない。
【0023】
以上のように、本発明の建設機械の旋回装置によれば、センタジョイント挿通孔からグリースバスへの水の浸入を確実に防止することができるだけではなく、センタジョイントの取付精度の低下を招くようなこともない。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図4に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。
【0025】
図1は、本発明を具体化した建設機械の旋回装置における要部の垂直断面図、図2は、図1中のシールの部分の拡大図、図3は、センタジョイントとシールを取外した状態における図1の建設機械の旋回装置のA−A線断面図、図4は、図3に図示されている部分周辺の側面図である。これらの図において前述の図5と同一の符号を付けた部分は、同図と同等の部分を表すので、詳述しない。
【0026】
本建設機械の旋回装置は、上部旋回体を下部走行体に対して旋回させるための旋回輪、ピニオン及びピニオン駆動装置を有する機構と、上部旋回体の基盤となる旋回フレーム1と下部走行体の上部をなす走行体フレーム2との間に形成されたグリースバス8と、旋回フレーム1の旋回中心部に設けたセンタジョイント挿通孔1aに挿通されて下部走行体側の走行体フレーム2に取り付けられるセンタジョイント3とを備えている点において、従来実施していた図5の従来例の建設機械の旋回装置と基本的な構造は変わらない。
【0027】
また、走行体フレーム2は、これを隆起させて高台状のセンタジョイント取付台2aを形成することにより、従来例の旋回装置と同様、センタジョイント取付部材に兼用し、そのセンタジョイント取付台2aには、センタジョイント3を取り付けるとともに、高台状のセンタジョイント取付台2aの周囲の窪み2bによりグリースバス8を形成するようにしている。ここに示す例では、センタジョイント挿通孔1aを密閉するための挿通孔用カバー5を、従来例の旋回装置と同様の態様で設けている。この挿通孔用カバー5は、本発明にとって不可欠のものではないが、後述するように独自の役割を果たす。
【0028】
そこで、本建設機械の旋回装置について特徴的な技術内容を説明する。
【0029】
図1乃至図4において、6はセンタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3の間の隙間から浸入する水を隔離して排水するための排水室を形成する鉄鋼製の環状の隔壁、7はこの隔壁6に取り付けて隔壁6の上方及び下方の双方の隙間を密閉するシール、9はセンタジョイント取付台2aに形成され環状の隔壁6内に浸入した水を排出する排水孔である。
【0030】
隔壁6は、センタジョイント取付台2a上に固着することにより、グリースバス8の内側にセンタジョイント3を囲むように設けられる。ここでは、隔壁6を溶接で固着しているが、その場合、図3に示すように、連続的に溶接しないで略90°の間隔で局部溶接部10を形成して断続溶接している。したがって、センタジョイント取付台2aと隔壁6の底面との間には、連続溶接した場合とは異なり非溶接部11に僅かな隙間ができている。隔壁6は、こうしてセンタジョイント取付台2aに固着した状態において、隔壁6の上端と旋回フレーム1との間にシール7の取り付けに必要な所定の隙間ができるように形成されている。
【0031】
シール7は、環状をなし、隔壁6に嵌合するための嵌合溝を有するシール本体7aと、このシール本体7aの上端部側に設けられ隔壁6の上方の隙間すなわちシール本体7aの上端と旋回フレーム1の下面との間の隙間を密閉する上側リップ部7bと、シール本体7aの下端部側に設けられ隔壁6の下方の隙間すなわちシール本体7aの下端と走行体フレーム2の上面との間の非溶接部11の僅かな隙間を密閉する下側リップ部7cとを設けて構成されている。このシール7は、上側リップ部7b及び下側リップ部7cを何れも内側に曲折してそれぞれ隔壁6の上方の隙間及び下方の隙間を密閉するものである。
【0032】
そのため、シール7は、隔壁6に取り付ける前の状態では、図2に実線で示すように、旋回フレーム1と走行体フレーム2との間の間隔a(例えば50mm)よりも大きい丈bを有しており、これにより、上側リップ部7b及び下側リップ部7cにそれぞれ曲折代c及び曲折代dを設けようにしている。したがって、シール本体7aの溝を隔壁6に嵌合することによりシール7を隔壁6に取り付けて旋回フレーム1と走行体フレーム2の間に装着すると、リップ部7b,7cが図2に鎖線で示すように内側に曲折して、環状の隔壁6内の水がグリースバス8に浸入しないように隔壁6の上方、下方の隙間をそれぞれ密閉する。ここで、シール7により、隔壁6の下方の隙間だけでなく特に上方の隙間も密閉するようにしたのは、センタジョイント挿通孔1aから入った水が旋回フレーム1の下面を伝わってグリースバス8に浸入する危険性があるからである。
【0033】
次に、本建設機械の旋回装置の作用効果について説明する。
【0034】
環状の隔壁6を走行体フレーム2に固着する場合においてグリースバス8への水の浸入を防止するには、センタジョイント取付台2aと隔壁6の底面と間を密閉するように隔壁6をセンタジョイント取付台2aに連続的に溶接する必要がある。しかしながら、走行体フレーム2や特許文献1に記載の床板のようなセンタジョイント取付部材は、旋回フレーム1のような厚い鋼板では形成されていないため、隔壁6を連続的に溶接すると、熱歪により変形する。
【0035】
こうした問題に対応して、本建設機械の旋回装置では、図3に示すように、隔壁6をセンタジョイント取付台2aに対して局部溶接により敢えて非連続的に固着するようにしているが、センタジョイント取付台2aと隔壁6との間には、非溶接部11ができることとなる。そのため、このような構造では、非溶接部11の僅かな隙間から水がグリースバス8に浸入する危険性があるが、こうした構造を補完するため、隔壁6にシール7を取り付けることにより、隔壁6の上方の隙間に加えて隔壁6の下方も、シール7により密閉するようにしている。
【0036】
本建設機械の旋回装置では、こうした手段を採用したことにより、センタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3との隙間から環状の隔壁6の内部に雨水や泥水等の水が入り込んでも、この隔壁6やこれに取り付けられたシール7により、水が隔壁6の上方及び下方の隙間からグリースバス8に浸入するのを確実に防止することができる。さらに、こうした所期の機能を果たせることに加え、隔壁6をセンタジョイント取付台2aに対して連続的に溶接することなく、特に非連続的に溶接するようにしたので、連続的に溶接した場合のようにセンタジョイント取付台2aが熱歪により変形するようなことはない。そのため、高精度の取付が必要なセンタジョイント3の組立工程において、センタジョイント3の軸心が旋回フレーム1の旋回中心線に対してずれたり傾いたりしてセンタジョイント取付台2aに取り付けられるようなことも同時に防止することができて、センタジョイント3の取付精度を低下させることもない。
【0037】
このように、本建設機械の旋回装置によれば、センタジョイント挿通孔1aからグリースバス8への水の浸入を確実に防止することができるだけではなく、センタジョイント3の取付精度の低下を招くようなこともない。
【0038】
なお、非溶接部11からグリースバス8への水の浸入を防止する場合、非溶接部11の隙間をシール7で密閉する代わりに非溶接部11にコーキング剤を塗布する方法も考えられる。しかしながら、コーキング剤の塗布は、手作業で行うことを要するため、多大の手間を要することに加えて作業の精度にバラツキが生じるきらいがあり、こうした方法は、グリースバス8への水の浸入を常に確実に防止することができるとは限らず、実用上望ましい方法ではない。ここでは、環状の隔壁6をセンタジョイント取付台2aに固着する場合に局部溶接により固着する例を示したが、隔壁6は、底部にフランジ等を設けてボルト等により固着してもよく、要は、走行体フレーム2や特許文献1に記載の床板のようなセンタジョイント取付部材に非連続的に固着しさえすればよい。
【0039】
ここでは、挿通孔用カバー5を設けて、カバー用シール5aを特にセンタジョイント3のローター3bの側面に密接させることにより、センタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3との間の隙間を密閉するようにしているので、泥水や微細な塵埃等が同隙間を通じてハウジング3aとローター3bの間の回転摺動部に浸入しようとするのを阻止することができてセンタジョイント3を保護することができる。
【0040】
前述したように、特許文献1の第6図に開示の先行技術では、シール部材(挿通孔用カバー5に相当)をセンタジョイントのうちの特にセンタジョイント外筒(ハウジング3aに相当)の方に密接させることによりセンタジョイント挿通孔とセンタジョイントの間の隙間を密閉するようにしているので、センタジョイントの回転摺動部は、シール部材上方に位置して外界に露出されることとなり、シール部材は、センタジョイントの回転摺動部を保護する働きをしない。したがって、本建設機械の旋回装置における挿通孔用カバー5は、先行技術におけるシール部材と異なる独自の役割を果たすものである。この挿通孔用カバー5は、このようにセンタジョイント3の回転摺動部を泥水や微細な塵埃等から保護することを主目的に設けたものであって、図5に示した従来例の旋回装置のようにグリースバス8への水の浸入を阻止することを主目的にして設けたものではないから、本発明にとって不可欠のものではない。
【0041】
ここに示す例では、走行体フレーム2を隆起させることにより高台状のセンタジョイント取付台2aを形成して同取付台2aに環状の隔壁6を固着するとともに、同取付台2aの周囲の窪み2bによりグリースバス8を形成するようにしたので、センタジョイント取付台2aの径を適切に選択することのよりグリースバス8を適正容量に形成することができるとともに、センタジョイント取付台2a上に適切な径の隔壁6を固着することによりシール7の径を必要最小限にすることができる。したがって、特許文献1の第5図に開示の第2の先行技術におけるグリース保持壁や床板のような無駄な部材を設けることなく走行体フレーム2を隆起させるだけでグリースバス8を適正容量に形成して、グリース8aの貯溜量を節減できるとともに、シール7の径を必要最小限にしてシール7の摩耗を抑制し、シール7の製作費を節減できるため、第2の先行技術と同様の効果を発揮する旋回装置を簡単な工程で製作することができる。
【0042】
また、特許文献1の第2の先行技術におけるグリース保持壁のようなグリースバス8を形成するための仕切り壁をセンタジョイント取付部材に溶接することは要しないので、仕切り壁の溶接時に生じる恐れのあるセンタジョイント取付部材の熱歪による変形も生じる危惧がなく、センタジョイント3の取付精度の低下を確実に招かないようにすることができる。ここに示す例では、センタジョイント取付台2aに、特に、環状の隔壁6内に浸入した水を排出するための排水孔9を形成していて、隔壁6内に浸入した水をこの排水孔9から漸次排出するようにしているので、隔壁6の径を、第2の先行技術のように排水孔9を設けない場合に比べて小さくすることができる。したがって、このことによってもシール7の径を減少させることができてシール7の摩耗を一層生じにくくし、さらには、シール7の製作費を一層節減することができる。
【0043】
ここに示す例では、隔壁6に嵌合するための嵌合溝を有するシール本体7aとこのシール本体7aの上端部側に設けられた上側リップ部7bとシール本体7aの下端部側に設けられた下側リップ部7cとを設けてシール7を構成しているので、一つのシール7を隔壁6に嵌着するだけで隔壁6の上方及び下方の双方の隙間を同時に密封することができて旋回装置の組立作業を能率的に行うことができる。また、このシール7は、上側リップ部7b及び下側リップ部7cを何れも内側に曲折して、それぞれ隔壁上方及び下方の隙間を密閉するように構成されているので、旋回フレーム1の下面及びセンタジョイント取付台2aの上面を伝わってグリースバス8に浸入しようとする水の流れに両リップ部7b,7cが逆らって、グリースバス8への水の浸入を確実に阻止することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の建設機械の旋回装置は、特に、「センタジョイントを下部走行体側に取り付けるためのセンタジョイント取付部材に環状の隔壁を非連続的に固着して隔壁をグリースバスの内側にセンタジョイントを囲むように設けるとともに、隔壁にシールを取り付けて隔壁の上方及び下方の双方の隙間をシールにより密閉して構成した」ので、センタジョイント挿通孔からグリースバスへの水の浸入を確実に防止することができるだけでなく、隔壁の溶接時に生じるセンタジョイント取付部材の熱歪による変形をなくすことができてセンタジョイントの取付精度の低下を招かない。
【0045】
本発明を具体化する場合、特に、特許請求の範囲の請求項2に記載のように具体化すれば、特許文献1の第2の先行技術におけるグリース保持壁や床板のような無駄な部材を設けることなく走行体フレームを隆起させるだけでグリースバスを適正容量に形成して、グリースの貯溜量を節減することができるとともに、シールの径を必要最小限にしてシールの摩耗を抑制し、シールの製作費を節減することができるため、第2の先行技術と同様の効果を発揮する旋回装置を簡単な工程で製作することができる。また、第2の先行技術におけるグリース保持壁のようなグリースバスを形成するための仕切り壁をセンタジョイント取付部材に溶接することは要しないので、仕切り壁の溶接時に生じる恐れがあるセンタジョイント取付部材の熱歪による変形も生じる危惧がなく、センタジョイントの取付精度の低下を確実に招かないようにすることができる。
【0046】
本発明を具体化する場合、特に、特許請求の範囲の請求項3に記載のように具体化すれば、一つのシールを隔壁に嵌着するだけで隔壁の上方及び下方の双方の隙間を同時に密封することができて旋回装置の組立作業を能率的に行うことができる。また、シールの上側リップ部及び下側リップ部は、それぞれ、旋回フレームの下面及びセンタジョイント取付台の上面を伝わってグリースバスに浸入しようとする水の流れに逆らって、グリースバスへの水の浸入を効果的に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した建設機械の旋回装置における要部の垂直断面図である。
【図2】図1中のシールの部分の拡大図である。
【図3】センタジョイントとシールを取外した状態における図1の建設機械の旋回装置のA−A線断面図である。
【図4】図3に図示されている部分周辺の側面図である。
【図5】従来例の建設機械の旋回装置における要部の垂直断面図である。
【符号の説明】
1 旋回フレーム
1a センタジョイント挿通孔
2 走行体フレーム
2a センタジョイント取付台
2b 窪み
2c センタジョイント取付孔
3 センタジョイント
4 センタジョイント取付ボルト
5 挿通孔用カバー
5a カバー用シール
5b シール取付部材
6 隔壁
7 シール
7a シール本体
7b 上側リップ部
7c 下側リップ部
8 グリースバス
8a グリース
9 排水孔
10 局部溶接部
11 非溶接部
【発明の属する技術分野】
本発明は、上部旋回体を下部走行体に対して旋回させる機構と、旋回フレームと走行体フレームとの間に形成されたグリースバスと、旋回フレームの旋回中心部に挿通されて下部走行体側に取り付けられるセンタジョイントとを備えた油圧ショベル、油圧式クレーン等の建設機械の旋回装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベル、油圧式クレーン等の自走式建設機械は、自走式建設機械を走行可能にするためのクローラやホイール等による下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に設置された上部旋回体とを設けて構成される。建設機械の旋回装置は、こうした自走式建設機械において上部旋回体を下部走行体に対して旋回させるようにするための種々の機器からなる装置である。この旋回装置では、下部走行体上部の走行体フレームと上部旋回体下部の旋回フレームとの間に、潤滑油を貯溜するためのグリースバスが形成されているとともに、旋回フレームの旋回中心部にセンタジョイント挿通孔を設けて、この挿通孔にセンタジョイントを挿通して下部走行体側に取り付けている。
【0003】
自走式建設機械では、上部旋回体側に油圧発生源としての油圧ポンプやアクチュエータからの戻り油を戻すための油タンクが設置されているとともに、下部走行体側に左右の走行用油圧モータ等のアクチュエータが設置されている。センタジョイントは、上部旋回体の旋回を可能にしつつ、上部旋回体側の前記油圧ポンプや油タンクに連結した油圧や戻り油の流通管路と下部走行体側の前記アクチュエータに連結した油圧や戻り油の流通管路とを接続する管継手であり、スイベルジョイントとも称する。
【0004】
建設機械の旋回装置では、こうしたセンタジョイントを前記のようにセンタジョイント挿通孔に挿通して設置しているため、建設機械の運転時等に雨水や泥水等がセンタジョイント挿通孔とセンタジョイントとの隙間から入り込んでグリースバスに浸入する。こうしたグリースバスへの水の浸入を防止することは、建設機械にとってきわめて重要なテーマであり、これまで種々の技術が提案されていたが、実際上、必ずしも満足できるものではなかった。本発明は、この種の従来の技術を改良しようとするものである。
【0005】
そこで、後述する本発明に係る建設機械の旋回装置についてその特徴を容易に理解できるようにするため、従来実施していたこの種の従来の技術の一例を図5に基づいて説明する。図5は、従来例の建設機械の旋回装置における要部の垂直断面図である。
【0006】
図5において、1は上部旋回体の基盤となる鋼板製の旋回フレーム、1aは旋回フレーム1の旋回中心部に形成されたセンタジョイント挿通孔、2は旋回フレーム1よりも薄い鋼板で形成された下部走行体の上部をなす走行体フレーム、3はセンタジョイント挿通孔1aに挿通されて下部走行体側の走行体フレーム2に取り付けられたセンタジョイント、4はセンタジョイント3を走行体フレーム2に取り付けるためのセンタジョイント取付ボルト、5はセンタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3との間の隙間を塞ぐための挿通孔用カバー、8は潤滑油としてのグリース8aを貯溜するためのグリースバスである。
【0007】
図示はしていないが、旋回フレーム1上には、走行用油圧モータ等のアクチュエータを駆動するための圧油を発生する油圧ポンプやアクチュエータの戻り油を溜める油タンク、旋回フレーム1を旋回させるためのピニオン駆動装置を構成する旋回モータやその回転を減速する減速機、さらには運転室、エンジンルーム、カウンタウエイト等の諸装置を設置して上部旋回体を構成している。走行体フレーム2は、クローラベルト等の走行装置を支持する図示しない走行台枠上に設置されている。この走行体フレーム2は、これを隆起させて高台状のセンタジョイント取付台2aを形成することによりセンタジョイント取付部材に兼用し、そのセンタジョイント取付台2aにセンタジョイント3を取り付けている。また、この高台状のセンタジョイント取付台2aの周囲にできている走行体フレーム2の窪み2bを利用してグリースバス8を形成している。
【0008】
紙面の関係上図には表れていないが、走行体フレーム2側には、内歯車を有する環状の内輪(インナレース)がグリースバス8の外周壁を形成するように固定されている。また、旋回フレーム1側には、この内輪を同心円状に囲むように環状の外輪(アウタレース)が固定され、この外輪は、内輪との間に介在させたベアリングで支持されて、センタジョイント3の軸心を中心に内輪の周りを旋回できるようになっている。これらの内輪及び外輪を設けて旋回輪(旋回軸受)が構成されており、内輪の内歯車には、図に表れていないピニオンを噛み合わせている。そして、このピニオンを旋回フレーム1側の前述のピニオン駆動装置で回転駆動することにより上部旋回体を旋回させることができるようにしている。
【0009】
建設機械の旋回装置は、こうした機構により上部旋回体を下部走行体に対して旋回させるための装置であり、前記の旋回輪、ピニオン及びピニオン駆動装置のほか、センタジョイント3やグリースバス8を備えている。なお、この種の構造は、従来周知の事項であるが、後述する特許文献1には、その構造が具体的に図示されているので、必要なら特許文献1も参考にされたい。
【0010】
内輪の内歯車やこれと噛み合うピニオンは、グリースバス8内のグリース8aに浸漬されていて、グリース8aは、両者の噛み合い部を潤滑する働きをする。前述したように、センタジョイント3は、上部旋回体の旋回を可能にしつつ、上部旋回体側の油圧ポンプや油タンクに連結した油圧や戻り油の流通管路と下部走行体側の走行用油圧モータ等のアクチュエータに連結した油圧や戻り油の流通管路とを接続する管継手である。このセンタジョイント3は、下部走行体側の走行体フレーム2に固定されるハウジング3aとこのハウジング3aに回転可能に嵌入されて上部旋回体側に固定されるローター3bとを設けて構成されている。
【0011】
センタジョイント3をセンタジョイント取付台2aに取り付けるため、センタジョイント取付台2aには、ハウジング3aを挿通した状態でセンタジョイント取付ボルト4で取り付けることができるようにするためのセンタジョイント取付孔2cが形成されている。挿通孔用カバー5は、旋回フレーム1の上面及びセンタジョイント3のローター3bの側面に密接させてセンタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3の間の隙間を密閉するカバー用シール5aと、このカバー用シール5aを取り付けるためのシール取付部材5bとで構成されている。このシール取付部材5bは、環状をなしており、下端部を旋回フレーム1の上面に溶接により固着しているとともに上端部をカバー用シール5aの溝に嵌入することにより同シール5aを取り付けている。
【0012】
こうした挿通孔用カバー5を設けないと、自走式建設機械の運転時等にセンタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3の間の隙間から雨水や泥水等の水が入り込んでグリースバス8に浸入するが、挿通孔用カバー5は、こうしたグリースバス8への外部からの水の浸入を防止することを意図して設けられたものである。こうしたことを意図して、本従来例の建設機械の旋回装置に類する構造を採用した先行技術は、例えば、特許文献1の第6図に開示されている。
【0013】
この先行技術は、グリース室(グリースバス8に相当)の底部を形成するための床板を走行体フレームの上方位置に固定してこの床板にセンタジョイント外筒(センタジョイント3のハウジング3aに相当)を取り付けている点で本従来例の旋回装置とは周辺の構造が異なるが、センタジョイント挿通孔からの水の浸入をシール部材(挿通孔用カバー5に相当)で阻止することを意図している点で従来例の旋回装置と同系統の技術である。この先行技術では、こうした技術的意図を達成するため、シール部材をセンタジョイントのうちの特にセンタジョイント外筒の方に密接させるようにしていて、その技術的意図を達成するための具体的な構造も、本従来例の旋回装置とは若干異なる。
【0014】
また、この特許文献1の第5図には、グリース室への外部からの水の浸入を防止することを意図した技術として、本従来例の旋回装置とは別系統の技術も示されている。この第2の先行技術は、前記先行技術と同様、床板を走行体フレームの上方位置に固定してセンタジョイント外筒をその床板に取り付けるとともに、旋回体フレーム(旋回フレーム1に相当)と床板の間を密閉するためのシール部材を、センタジョイントの近傍にこれを囲むように設けている。このシール部材は、床板に固定されるシール保持部材とこのシール保持部材に取り付けられ旋回体フレームの下面に密接させてシール保持部材の上方の隙間を密閉するシールとで構成されている。床板には、こうしたシール部材を固定するほか、このシール部材と距離を置いてその外周側に環状のグリース保持壁を固定し、このグリース保持壁及び床板等でグリース室を形成するようにしている。
【0015】
この第2の先行技術では、センタジョイント挿通孔とセンタジョイントの間の隙間から入った水がグリース室に浸入するのを、旋回体フレームと床板の間を密閉するためのシール部材により阻止するようにしている。そして、特に、シール部材及びグリース保持壁の二つの仕切り部材を床板上に独立別個に設けるようにしていることから、グリース室を、シール部材によることなくグリース保持壁で区画して適正容量に形成することにより、グリース室へのグリースの貯溜量を節減することができる。また、これに伴って、シール部材をグリース室の区画に兼用しなくても済むようになるため、シール部材の径をグリース室と関係なく設定して必要最小限にすることにより、シールの摺動速度の低下させてシールの摩耗を抑制し、さらにはシール部材の製作費を節減することができる。
【0016】
【特許文献1】
実開昭58ー6860号公報(第4−6頁、第5−6図)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
図5に基づいて詳述した従来例の建設機械の旋回装置では、センタジョイント3の組立工程で不可避的に生じるセンタジョイント3の取付位置の僅かな誤差や積雪の重みによる挿通孔用カバー5の変形、さらには外界にさらされることによるカバー用シール5aの劣化等により、センタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3の間の隙間から水が入り込んでグリースバス8に浸入する危険性が大きかった。そして、その隙間がたとえ僅かな隙間であっても、水は、その僅かな隙間から毛細管現象により入り込むため、挿通孔用カバー5によりグリースバス8への水の浸入を確実に防止することは、困難であった。また、この従来例の旋回装置に類する構造を採用した前述した特許文献1の第6図に開示の先行技術についても、同様のことがいえる。
【0018】
一方、この従来例の旋回装置とは別系統の技術である前述した特許文献1の第5図に開示の第2の先行技術では、シール部材と床板の間を密閉するようにシール保持部材を床板に溶接で連続的に固着する限り、グリースバスへの水の浸入を防止することができる。しかしながら、このようにシール保持部材を床板に溶接で連続的に固着した場合には、床板が熱歪により変形する。そして、この床板には、センタジョイントが取り付けられるため、床板が熱歪により変形すると、センタジョイントの軸心が旋回フレームの旋回中心線に対してずれたり傾いたりして床板に取り付けられることとなり、ただでさえ高精度の取付が要求されるセンタジョイントの取付精度が低下する。また、シール保持部材を床板に固着する場合に、ボルトで固着する等溶接以外の方法で固着すると、非連続的に固着されることとなって、シール保持部材と床板との間に隙間ができるため、グリースバスへの水の浸入を確実に防止することが困難となる。
【0019】
本発明は、こうした問題を解決するために創作されたものであって、その技術課題は、センタジョイント挿通孔からグリースバスへの水の浸入を確実に防止することができるだけでなくセンタジョイントの取付精度の低下を招かない建設機械の旋回装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、こうした技術課題を達成するため、
上部旋回体を下部走行体に対して旋回させる機構と、上部旋回体の基盤となる旋回フレームと下部走行体の上部をなす走行体フレームとの間に形成されたグリースバスと、旋回フレームの旋回中心部に設けたセンタジョイント挿通孔に挿通されて下部走行体側に取り付けられるセンタジョイントとを備えた建設機械の旋回装置において、
センタジョイントを下部走行体側に取り付けるためのセンタジョイント取付部材に環状の隔壁を非連続的に固着してこの隔壁をグリースバスの内側にセンタジョイントを囲むように設けるとともに、隔壁にシールを取り付けて隔壁の上方及び下方の双方の隙間をシールにより密閉して構成した。
【0021】
環状の隔壁をセンタジョイント取付部材に固着する場合においてグリースバスへの水の浸入を防止するには、センタジョイント取付部材と隔壁の底面と間を密閉するように隔壁をセンタジョイント取付部材に連続的に溶接する必要がある。これに対し、本発明の建設機械の旋回装置では、隔壁をセンタジョイント取付部材に対して局部溶接やボルト等により敢えて非連続的に固着するようにし、代わりに、隔壁にシールを取り付けて、隔壁上方の隙間だけはなく、隔壁下方の非溶接部の隙間もシールにより密閉するようにした。
【0022】
本発明の建設機械の旋回装置では、こうした手段を採用したことにより、センタジョイント挿通孔とセンタジョイントとの隙間から環状の隔壁の内部に雨水や泥水等の水が入り込んでも、この隔壁やこれに取り付けられたシールにより水がグリースバスに浸入するのを確実に防止することができる。さらに、こうした所期の機能を果たせることに加え、隔壁をセンタジョイント取付部材に対して連続的に溶接することなく、特に非連続的に固着するようにしたので、連続的に溶接した場合のようにセンタジョイント取付部材が熱歪により変形するようなことはない。そのため、高精度の取付が必要なセンタジョイントの組立工程において、センタジョイントの軸心が旋回フレームの旋回中心線に対してずれたり傾いたりしてセンタジョイント取付部材に取り付けられるようなことも同時に防止することができて、センタジョイントの取付精度を低下させることもない。
【0023】
以上のように、本発明の建設機械の旋回装置によれば、センタジョイント挿通孔からグリースバスへの水の浸入を確実に防止することができるだけではなく、センタジョイントの取付精度の低下を招くようなこともない。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図4に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。
【0025】
図1は、本発明を具体化した建設機械の旋回装置における要部の垂直断面図、図2は、図1中のシールの部分の拡大図、図3は、センタジョイントとシールを取外した状態における図1の建設機械の旋回装置のA−A線断面図、図4は、図3に図示されている部分周辺の側面図である。これらの図において前述の図5と同一の符号を付けた部分は、同図と同等の部分を表すので、詳述しない。
【0026】
本建設機械の旋回装置は、上部旋回体を下部走行体に対して旋回させるための旋回輪、ピニオン及びピニオン駆動装置を有する機構と、上部旋回体の基盤となる旋回フレーム1と下部走行体の上部をなす走行体フレーム2との間に形成されたグリースバス8と、旋回フレーム1の旋回中心部に設けたセンタジョイント挿通孔1aに挿通されて下部走行体側の走行体フレーム2に取り付けられるセンタジョイント3とを備えている点において、従来実施していた図5の従来例の建設機械の旋回装置と基本的な構造は変わらない。
【0027】
また、走行体フレーム2は、これを隆起させて高台状のセンタジョイント取付台2aを形成することにより、従来例の旋回装置と同様、センタジョイント取付部材に兼用し、そのセンタジョイント取付台2aには、センタジョイント3を取り付けるとともに、高台状のセンタジョイント取付台2aの周囲の窪み2bによりグリースバス8を形成するようにしている。ここに示す例では、センタジョイント挿通孔1aを密閉するための挿通孔用カバー5を、従来例の旋回装置と同様の態様で設けている。この挿通孔用カバー5は、本発明にとって不可欠のものではないが、後述するように独自の役割を果たす。
【0028】
そこで、本建設機械の旋回装置について特徴的な技術内容を説明する。
【0029】
図1乃至図4において、6はセンタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3の間の隙間から浸入する水を隔離して排水するための排水室を形成する鉄鋼製の環状の隔壁、7はこの隔壁6に取り付けて隔壁6の上方及び下方の双方の隙間を密閉するシール、9はセンタジョイント取付台2aに形成され環状の隔壁6内に浸入した水を排出する排水孔である。
【0030】
隔壁6は、センタジョイント取付台2a上に固着することにより、グリースバス8の内側にセンタジョイント3を囲むように設けられる。ここでは、隔壁6を溶接で固着しているが、その場合、図3に示すように、連続的に溶接しないで略90°の間隔で局部溶接部10を形成して断続溶接している。したがって、センタジョイント取付台2aと隔壁6の底面との間には、連続溶接した場合とは異なり非溶接部11に僅かな隙間ができている。隔壁6は、こうしてセンタジョイント取付台2aに固着した状態において、隔壁6の上端と旋回フレーム1との間にシール7の取り付けに必要な所定の隙間ができるように形成されている。
【0031】
シール7は、環状をなし、隔壁6に嵌合するための嵌合溝を有するシール本体7aと、このシール本体7aの上端部側に設けられ隔壁6の上方の隙間すなわちシール本体7aの上端と旋回フレーム1の下面との間の隙間を密閉する上側リップ部7bと、シール本体7aの下端部側に設けられ隔壁6の下方の隙間すなわちシール本体7aの下端と走行体フレーム2の上面との間の非溶接部11の僅かな隙間を密閉する下側リップ部7cとを設けて構成されている。このシール7は、上側リップ部7b及び下側リップ部7cを何れも内側に曲折してそれぞれ隔壁6の上方の隙間及び下方の隙間を密閉するものである。
【0032】
そのため、シール7は、隔壁6に取り付ける前の状態では、図2に実線で示すように、旋回フレーム1と走行体フレーム2との間の間隔a(例えば50mm)よりも大きい丈bを有しており、これにより、上側リップ部7b及び下側リップ部7cにそれぞれ曲折代c及び曲折代dを設けようにしている。したがって、シール本体7aの溝を隔壁6に嵌合することによりシール7を隔壁6に取り付けて旋回フレーム1と走行体フレーム2の間に装着すると、リップ部7b,7cが図2に鎖線で示すように内側に曲折して、環状の隔壁6内の水がグリースバス8に浸入しないように隔壁6の上方、下方の隙間をそれぞれ密閉する。ここで、シール7により、隔壁6の下方の隙間だけでなく特に上方の隙間も密閉するようにしたのは、センタジョイント挿通孔1aから入った水が旋回フレーム1の下面を伝わってグリースバス8に浸入する危険性があるからである。
【0033】
次に、本建設機械の旋回装置の作用効果について説明する。
【0034】
環状の隔壁6を走行体フレーム2に固着する場合においてグリースバス8への水の浸入を防止するには、センタジョイント取付台2aと隔壁6の底面と間を密閉するように隔壁6をセンタジョイント取付台2aに連続的に溶接する必要がある。しかしながら、走行体フレーム2や特許文献1に記載の床板のようなセンタジョイント取付部材は、旋回フレーム1のような厚い鋼板では形成されていないため、隔壁6を連続的に溶接すると、熱歪により変形する。
【0035】
こうした問題に対応して、本建設機械の旋回装置では、図3に示すように、隔壁6をセンタジョイント取付台2aに対して局部溶接により敢えて非連続的に固着するようにしているが、センタジョイント取付台2aと隔壁6との間には、非溶接部11ができることとなる。そのため、このような構造では、非溶接部11の僅かな隙間から水がグリースバス8に浸入する危険性があるが、こうした構造を補完するため、隔壁6にシール7を取り付けることにより、隔壁6の上方の隙間に加えて隔壁6の下方も、シール7により密閉するようにしている。
【0036】
本建設機械の旋回装置では、こうした手段を採用したことにより、センタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3との隙間から環状の隔壁6の内部に雨水や泥水等の水が入り込んでも、この隔壁6やこれに取り付けられたシール7により、水が隔壁6の上方及び下方の隙間からグリースバス8に浸入するのを確実に防止することができる。さらに、こうした所期の機能を果たせることに加え、隔壁6をセンタジョイント取付台2aに対して連続的に溶接することなく、特に非連続的に溶接するようにしたので、連続的に溶接した場合のようにセンタジョイント取付台2aが熱歪により変形するようなことはない。そのため、高精度の取付が必要なセンタジョイント3の組立工程において、センタジョイント3の軸心が旋回フレーム1の旋回中心線に対してずれたり傾いたりしてセンタジョイント取付台2aに取り付けられるようなことも同時に防止することができて、センタジョイント3の取付精度を低下させることもない。
【0037】
このように、本建設機械の旋回装置によれば、センタジョイント挿通孔1aからグリースバス8への水の浸入を確実に防止することができるだけではなく、センタジョイント3の取付精度の低下を招くようなこともない。
【0038】
なお、非溶接部11からグリースバス8への水の浸入を防止する場合、非溶接部11の隙間をシール7で密閉する代わりに非溶接部11にコーキング剤を塗布する方法も考えられる。しかしながら、コーキング剤の塗布は、手作業で行うことを要するため、多大の手間を要することに加えて作業の精度にバラツキが生じるきらいがあり、こうした方法は、グリースバス8への水の浸入を常に確実に防止することができるとは限らず、実用上望ましい方法ではない。ここでは、環状の隔壁6をセンタジョイント取付台2aに固着する場合に局部溶接により固着する例を示したが、隔壁6は、底部にフランジ等を設けてボルト等により固着してもよく、要は、走行体フレーム2や特許文献1に記載の床板のようなセンタジョイント取付部材に非連続的に固着しさえすればよい。
【0039】
ここでは、挿通孔用カバー5を設けて、カバー用シール5aを特にセンタジョイント3のローター3bの側面に密接させることにより、センタジョイント挿通孔1aとセンタジョイント3との間の隙間を密閉するようにしているので、泥水や微細な塵埃等が同隙間を通じてハウジング3aとローター3bの間の回転摺動部に浸入しようとするのを阻止することができてセンタジョイント3を保護することができる。
【0040】
前述したように、特許文献1の第6図に開示の先行技術では、シール部材(挿通孔用カバー5に相当)をセンタジョイントのうちの特にセンタジョイント外筒(ハウジング3aに相当)の方に密接させることによりセンタジョイント挿通孔とセンタジョイントの間の隙間を密閉するようにしているので、センタジョイントの回転摺動部は、シール部材上方に位置して外界に露出されることとなり、シール部材は、センタジョイントの回転摺動部を保護する働きをしない。したがって、本建設機械の旋回装置における挿通孔用カバー5は、先行技術におけるシール部材と異なる独自の役割を果たすものである。この挿通孔用カバー5は、このようにセンタジョイント3の回転摺動部を泥水や微細な塵埃等から保護することを主目的に設けたものであって、図5に示した従来例の旋回装置のようにグリースバス8への水の浸入を阻止することを主目的にして設けたものではないから、本発明にとって不可欠のものではない。
【0041】
ここに示す例では、走行体フレーム2を隆起させることにより高台状のセンタジョイント取付台2aを形成して同取付台2aに環状の隔壁6を固着するとともに、同取付台2aの周囲の窪み2bによりグリースバス8を形成するようにしたので、センタジョイント取付台2aの径を適切に選択することのよりグリースバス8を適正容量に形成することができるとともに、センタジョイント取付台2a上に適切な径の隔壁6を固着することによりシール7の径を必要最小限にすることができる。したがって、特許文献1の第5図に開示の第2の先行技術におけるグリース保持壁や床板のような無駄な部材を設けることなく走行体フレーム2を隆起させるだけでグリースバス8を適正容量に形成して、グリース8aの貯溜量を節減できるとともに、シール7の径を必要最小限にしてシール7の摩耗を抑制し、シール7の製作費を節減できるため、第2の先行技術と同様の効果を発揮する旋回装置を簡単な工程で製作することができる。
【0042】
また、特許文献1の第2の先行技術におけるグリース保持壁のようなグリースバス8を形成するための仕切り壁をセンタジョイント取付部材に溶接することは要しないので、仕切り壁の溶接時に生じる恐れのあるセンタジョイント取付部材の熱歪による変形も生じる危惧がなく、センタジョイント3の取付精度の低下を確実に招かないようにすることができる。ここに示す例では、センタジョイント取付台2aに、特に、環状の隔壁6内に浸入した水を排出するための排水孔9を形成していて、隔壁6内に浸入した水をこの排水孔9から漸次排出するようにしているので、隔壁6の径を、第2の先行技術のように排水孔9を設けない場合に比べて小さくすることができる。したがって、このことによってもシール7の径を減少させることができてシール7の摩耗を一層生じにくくし、さらには、シール7の製作費を一層節減することができる。
【0043】
ここに示す例では、隔壁6に嵌合するための嵌合溝を有するシール本体7aとこのシール本体7aの上端部側に設けられた上側リップ部7bとシール本体7aの下端部側に設けられた下側リップ部7cとを設けてシール7を構成しているので、一つのシール7を隔壁6に嵌着するだけで隔壁6の上方及び下方の双方の隙間を同時に密封することができて旋回装置の組立作業を能率的に行うことができる。また、このシール7は、上側リップ部7b及び下側リップ部7cを何れも内側に曲折して、それぞれ隔壁上方及び下方の隙間を密閉するように構成されているので、旋回フレーム1の下面及びセンタジョイント取付台2aの上面を伝わってグリースバス8に浸入しようとする水の流れに両リップ部7b,7cが逆らって、グリースバス8への水の浸入を確実に阻止することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の建設機械の旋回装置は、特に、「センタジョイントを下部走行体側に取り付けるためのセンタジョイント取付部材に環状の隔壁を非連続的に固着して隔壁をグリースバスの内側にセンタジョイントを囲むように設けるとともに、隔壁にシールを取り付けて隔壁の上方及び下方の双方の隙間をシールにより密閉して構成した」ので、センタジョイント挿通孔からグリースバスへの水の浸入を確実に防止することができるだけでなく、隔壁の溶接時に生じるセンタジョイント取付部材の熱歪による変形をなくすことができてセンタジョイントの取付精度の低下を招かない。
【0045】
本発明を具体化する場合、特に、特許請求の範囲の請求項2に記載のように具体化すれば、特許文献1の第2の先行技術におけるグリース保持壁や床板のような無駄な部材を設けることなく走行体フレームを隆起させるだけでグリースバスを適正容量に形成して、グリースの貯溜量を節減することができるとともに、シールの径を必要最小限にしてシールの摩耗を抑制し、シールの製作費を節減することができるため、第2の先行技術と同様の効果を発揮する旋回装置を簡単な工程で製作することができる。また、第2の先行技術におけるグリース保持壁のようなグリースバスを形成するための仕切り壁をセンタジョイント取付部材に溶接することは要しないので、仕切り壁の溶接時に生じる恐れがあるセンタジョイント取付部材の熱歪による変形も生じる危惧がなく、センタジョイントの取付精度の低下を確実に招かないようにすることができる。
【0046】
本発明を具体化する場合、特に、特許請求の範囲の請求項3に記載のように具体化すれば、一つのシールを隔壁に嵌着するだけで隔壁の上方及び下方の双方の隙間を同時に密封することができて旋回装置の組立作業を能率的に行うことができる。また、シールの上側リップ部及び下側リップ部は、それぞれ、旋回フレームの下面及びセンタジョイント取付台の上面を伝わってグリースバスに浸入しようとする水の流れに逆らって、グリースバスへの水の浸入を効果的に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した建設機械の旋回装置における要部の垂直断面図である。
【図2】図1中のシールの部分の拡大図である。
【図3】センタジョイントとシールを取外した状態における図1の建設機械の旋回装置のA−A線断面図である。
【図4】図3に図示されている部分周辺の側面図である。
【図5】従来例の建設機械の旋回装置における要部の垂直断面図である。
【符号の説明】
1 旋回フレーム
1a センタジョイント挿通孔
2 走行体フレーム
2a センタジョイント取付台
2b 窪み
2c センタジョイント取付孔
3 センタジョイント
4 センタジョイント取付ボルト
5 挿通孔用カバー
5a カバー用シール
5b シール取付部材
6 隔壁
7 シール
7a シール本体
7b 上側リップ部
7c 下側リップ部
8 グリースバス
8a グリース
9 排水孔
10 局部溶接部
11 非溶接部
Claims (3)
- 上部旋回体を下部走行体に対して旋回させる機構と、上部旋回体の基盤となる旋回フレームと下部走行体の上部をなす走行体フレームとの間に形成されたグリースバスと、旋回フレームの旋回中心部に設けたセンタジョイント挿通孔に挿通されて下部走行体側に取り付けられるセンタジョイントとを備えた建設機械の旋回装置において、センタジョイントを下部走行体側に取り付けるためのセンタジョイント取付部材に環状の隔壁を非連続的に固着してこの隔壁をグリースバスの内側にセンタジョイントを囲むように設けるとともに、隔壁にシールを取り付けて隔壁の上方及び下方の双方の隙間をシールにより密閉して構成したことを特徴とする建設機械の旋回装置。
- 走行体フレームを隆起させて高台状のセンタジョイント取付台を形成することにより走行体フレームをセンタジョイント取付部材に兼用し、そのセンタジョイント取付台にセンタジョイントを取り付け、環状の隔壁を固着するとともに、高台状のセンタジョイント取付台の周囲の窪みによりグリースバスを形成したことを特徴とする請求項1に記載の建設機械の旋回装置。
- シールが、隔壁に嵌合するための嵌合溝を有するシール本体と、このシール本体の上端部側に設けられ内側に曲折して隔壁上方の隙間を密閉する上側リップ部と、シール本体の下端部側に設けられ内側に曲折して隔壁下方の隙間を密閉する下側リップ部とを設けて構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建設機械の旋回装置。
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JP2007092283A (ja) * | 2005-09-26 | 2007-04-12 | Kubota Corp | バックホー |
KR101116954B1 (ko) * | 2006-12-28 | 2012-03-14 | 현대중공업 주식회사 | 크레인용 선회연결부 구조 |
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-
2002
- 2002-10-30 JP JP2002316273A patent/JP2004150118A/ja active Pending
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