JP3645485B2 - 旋回軸受 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上部旋回体側の駆動ピニオンと噛み合う内歯車を有し下部走行体側に固定される内輪と、内輪を囲んで上部旋回体側に固定される外輪とを備え、外輪と内輪との間に多数の転動体と間座を配設して上部旋回体を支持しながら旋回させる旋回軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
旋回軸受は、旋回ベアリングとも称し、油圧ショベル等の自走式建設作業機械の上部旋回体を支持しながら下部走行体に対して旋回させるための装置である。この旋回軸受は、通常、上部旋回体側の駆動ピニオンと噛み合う内歯車を有し下部走行体側に固定される内輪と、この内輪を囲んで上部旋回体側に固定される外輪とを備えている。そして、上部旋回体を旋回可能に支持するため、外輪と内輪との間に環状の転動体収容空間を形成して、この転動体収容空間内に多数のベアリング状の転動体を収容し、これらの転動体を介して外輪を内輪で回動可能に支持している。また、その転動体収容空間には、転動体同士を接触させないようにするための間座(カンザ)と称するスペーサ部品を収容して間座を転動体間に配置するようにしている。こうした旋回軸受においては、内輪や外輪と転動体との接触部を潤滑して保護するため、外輪の内周部と内輪の外周部との間に若干の間隙を設けて、この間隙内に、潤滑油としてのグリースを供給する。
【0003】
こうした転動体の接触部の潤滑を行うため、これまでは、この外輪と内輪間のグリース供給間隙に外部から定期的に給脂する方法が通常採られていた。すなわち、従来、通常用いられていた旋回軸受では、外輪と内輪間のグリース供給間隙の上端部及び下端部にグリース流出防止用のシール部材を設けてグリース供給間隙でグリース溜りを形成するとともに、外輪の外周部の複数個所にグリースニップルを設け、これらのグリースニップルとグリース供給間隙とを、外輪に設けた内部通路で接続してグリース供給路を形成していた。そして、作業員がそのグリースニップルから内部通路を通じて内輪や外輪と転動体との接触部にグリースを供給することにより、外輪や内輪の壁面と転動体の球面との間に油膜を形成するようにしていた。
【0004】
この従来の通常の旋回軸受では、作業員が外輪外側からグリースニップルを通じて定期的に給脂する必要があり、給脂作業が煩雑なため、ややもすると給脂を怠りがちになって、給脂間隔が規定通りに守られない事態も起こる。その結果、内輪や外輪と転動体との接触部に送られたグリースが交換されずに劣化して潤滑不良を招くという問題が生じる。こうした問題に対応して、内輪の内側に設けたピニオン室内のグリースをグリース供給間隙に供給して循環させることにより、定期給脂を必要としないようにした旋回軸受(旋回ベアリング)が実開平2ー148057号公報で提案されている。本発明は、この公開実用新案公報に記載の旋回軸受を更に改良しようとするものである。
【0005】
そこで、本発明の技術内容の理解を容易にするため、この公開実用新案公報に記載の旋回軸受の概要を、図7及び図8を用いて説明する。図7は、従来の旋回軸受周辺の縦断面図、図8は、図7のVIII−VIII線断面図である。なお、旋回軸受を設けた自走式建設作業機械の全体像については、「発明の実施の形態」の項における図1に関する説明を参考にされたい。
【0006】
この旋回軸受(旋回ベアリング)11’は、下部走行体側の部材であるロワーフレーム13’にボルト30Aで固定される内輪12’と、この内輪12を同心円状に囲んで上部旋回体のメインフレーム3’にボルト30Bで固定される外輪16’とを備えている。内輪12’の内周部には、上部旋回体側に固定の旋回モータで回転駆動される駆動ピニオン(後述の図2参照)と噛み合うリング状の内歯車(リングギヤ)12B’を形成している。また、内輪12’の内部には、これら駆動ピニオンや内歯車12B’を収容するためのピニオン室15’が設けられ、その下部に駆動ピニオンと内歯車12B’の噛み合い部を潤滑するためのグリースが貯溜される。外輪16’は、次に述べるように、ベアリング状の転動体20’を介して内輪12’に旋回可能に支持される。
【0007】
内輪12’の外周面及び外輪16’の内周面には、各周面に沿って、転動体20’を転動させるための横断面略半円状の転動面12A’及び転動面16A’を対向するように形成しており、これにより、内輪12’と外輪16’との間に、転動体20’を収容するための転動体収容空間18’を環状に形成している。この転動体収容空間18’内には、多数の転動体20’が周方向にリング状に収容され、これらの転動体20’を介して外輪16’を内輪12’で回動可能に支持している。また、転動体収容空間18’には、転動体20’同士を接触させないようにするための図示しない間座(スペーサ)を収容して間座を転動体20’間に配置している。
【0008】
内輪12’の外周部と外輪16’の内周部との間には、若干の間隙を設けて、ピニオン室15’内のグリースを供給するためのグリース供給間隙14’を設けている。このグリース供給間隙14’の頂部は、ピニオン室15’内のグリースを導入するためのグリース導入口14A’に連通している。また、グリース供給間隙14’の底部は、内輪12’側に固着したシール部材19’により、外輪16’の回転を許容するように密封してグリース供給間隙14’でグリース溜り17’を形成している。こうした構造と関連して、内輪12’には、このグリース溜り17’の底部近傍に開口するグリース溜り側開口部32Aと、この開口部32Aよりもhだけ低位置に位置しピニオン室15’の底部近傍に開口するピニオン室側開口部32Bとを有する小径通路32を設けている。
【0009】
一方、ピニオン室15’には、ピニオン室15’内のグリースを掻き上げてグリース供給間隙14’に送り込むための図8に示すような水平断面V字状のスクレーパ31を上部旋回体のメインフレーム3’に垂下するようにして取り付けている。このV字状のスクレーパ31は、そのV字状の頂角31Aを外側(内輪12’側)に向けるようにして、図示しない駆動ピニオンと干渉しない位置に複数個配設している。
【0010】
この従来の旋回軸受11’では、図示しない駆動ピニオンを上部旋回体側に固定し、内輪12’を、地上に設置した下部走行体側に固定しているので、駆動ピニオンを回転駆動すると、駆動ピニオンは、内輪12’内周部のリング状の内歯車12B’と噛み合って自転しながら公転する。その結果、外輪16’は、転動体20’により内輪12’の外周部を滑動するようにしながら回転して上部旋回体を旋回させる。そうすると、この上部旋回体の旋回に伴って上部旋回体に取り付けられているスクレーパ31も旋回し、スクレーパ31は、ピニオン室15’内のグリースを掻き上げてグリース導入口14A’に送り込み、同グリース導入口14A’からグリース供給間隙14’にグリースを供給する。
【0011】
このグリース供給間隙14’に供給されたグリースは、内輪12’及び外輪16’に対する転動体20’の接触部である転動面12A’及び転動面16A’を潤滑して、グリース溜り17’のグリース溜り側開口部32Aから排出され、小径通路32を経由してピニオン室側開口部32Bからピニオン室15’に戻される。旋回軸受11’の潤滑不良を招かないようにするためには、グリース供給間隙14’内のグリースの新陳代謝を活発にして、転動面12A’,16A’に劣化したグリースを停滞させないようにすることが必要であるが、以上述べた従来の旋回軸受11’では、このようにグリース供給間隙14’に供給するグリースを循環させるようにしているので、定期給脂を行わないでも、従来の通常の旋回軸受より潤滑不良を生じにくくすることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の旋回軸受11’は、こうした優れた効果を発揮する反面、次のような難点がある。
【0013】
イ)グリース供給間隙14’内のグリースを循環させるため、内輪12’に小径通路32を穿設しなければならず、加工が大変である。その場合、グリースを、内輪12’及び外輪16’と転動体20’との接触部の全周にわたって満遍なく潤滑させる必要があるため、実際上は小径通路32を複数個所に設けなければならず、小径通路32の加工に多大の手間を要して、製作コストが少なからず増加する。
【0014】
ロ)内輪12’の内周部には、内歯車12B’を形成していて、小径通路32を設けるにしても、内歯車12B’の強度を損なわない程度の小径のものしか設けることができないため、グリース供給間隙14’内のグリースを効果的に循環させることは実際上困難であって、潤滑不良を招かない信頼性の高い潤滑が行えるものとはいい難い。
【0015】
本発明は、こうした問題を解消するために創作されたものあって、その技術課題は、定期給脂を必要とせず従来の技術よりも加工が簡単で信頼性の高い潤滑が行える旋回軸受を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、こうした技術課題を達成するため、
上部旋回体側の駆動ピニオンと噛み合う内歯車を有し下部走行体側に固定されて内部にグリースバスを設ける内輪と、グリース供給間隙を設けるように内輪を囲んで上部旋回体側に固定される外輪とを備え、外輪と内輪との間に環状の転動体収容空間を形成して、この転動体収容空間内に多数の転動体と間座を収容して間座を転動体間に配置するとともに、グリースバス内のグリースを導入するためのグリース導入口をグリース供給間隙に連通させて同間隙の下部を密封した旋回軸受において、
内輪の内歯車と駆動ピニオンとの噛み合い部を潤滑して上方に達したグリースを取り込めるようにグリース導入口を形成するとともに、間座本体にプラスチックグリースを充填して間座本体の外周部からプラスチックグリース内のグリースを供給できるように間座を構成して、グリース供給間隙内に供給されたグリースバス内のグリースをグリースバスに循環させることなく内輪及び外輪と転動体との接触部を潤滑するように構成した。
【0017】
本発明の旋回軸受は、このように構成したので、駆動ピニオンを回転駆動すると、駆動ピニオンは、内輪内周部のリング状の内歯車と噛み合って自転しながら内歯車に沿うように公転し、これに伴って、グリースバス内のグリースは、内輪の内歯車と駆動ピニオンとの噛み合い部を潤滑しながら上方に達してグリース導入口に取り込まれ、グリース供給間隙内に供給される。このグリース供給間隙に供給されたグリースは、内輪及び外輪と転動体との接触部を潤滑する。また、駆動ピニオンが公転すると、外輪が転動体を介して内輪の周りを滑動するようにして回転し、外輪に固定される上部旋回体を旋回させることができる。
【0018】
一方、本発明の旋回軸受では、間座本体にプラスチックグリースを充填して、特に、間座本体の外周部からプラスチックグリース内のグリースを供給できるように間座を構成しているので、プラスチックグリース内のグリースが間座本体の外周部から絶えず滲み出て、環状の転動体収容空間を形成する内輪及び外輪の壁面に供給される。その場合、プラスチックグリースを充填した各間座は、外輪の回転に伴って環状の転動体収容空間の周方向に移動するため、プラスチックグリース内のグリースは、環状の転動体収容空間を形成する壁面の周方向領域に満遍なく供給される。
【0019】
このように、間座本体の外周部からプラスチックグリース内のグリースを供給できるようにして、転動体収容空間を形成する外輪及び内輪の壁面にグリースを満遍なく供給できるようにしたことにより、内輪及び外輪と転動体との間に確実にグリースを供給することができて、内輪及び外輪と転動体との接触部をプラスチックグリース内のグリースによっても効果的に潤滑することができる。旋回軸受の潤滑は、内輪及び外輪と転動体との接触部に対して行えばよいが、本発明の旋回軸受では、その接触部にグリースバス内のグリースを供給するだけでなく、プラスチックグリース内のグリースを絶えず補給するようにしているので、定期給脂を行わなくても、内輪及び外輪と転動体との接触部に劣化したグリースが滞留して潤滑不良を招くことを防止することができる。
【0020】
特に、旋回軸受において転動体にかかる負荷が大きい場合には、内輪及び外輪と転動体との間に入り込むグリースが不足して潤滑不良を起しやすいが、本発明の旋回軸受では、プラスチックグリース内のグリースを特に間座本体の外周部から供給できるようにしているので、転動体にかかる負荷が大きい場合でも、内輪及び外輪と転動体との間にグリースバス内のグリースを供給するほか、プラスチックグリース内のグリースを、転動体が接触する壁面である転動面に直接的に供給することができて潤滑不良の発生を防止することができる。その場合、転動体にかかる負荷が増加すると、その負荷の増加に応じてプラスチックグリースから滲出するグリースの量も増加して、プラスチックグリース内のグリースを負荷の増加に応じて合理的に供給することができる。
【0021】
また、間座本体に充填されたプラスチックグリースは、グリースが間座本体から滲出しても、グリース供給間隙内からグリースを吸収するので、消耗することはなく、帰するところ、グリース供給間隙内に溜められたグリースを、内輪及び外輪と転動体との接触部に循環して継続的に供給する働きをして、その接触部を潤滑するグリースの新陳代謝を促進させることになる。
【0022】
以上の結果、本発明の旋回軸受によれば、潤滑不良を招かない信頼性の高い潤滑を行うことができる。さらに、グリース供給間隙内に供給されたグリースバス内のグリースをグリースバスに循環させないようにしているので、従来の技術のようにグリース供給間隙内のグリースをグリースバスに循環させるための小径通路を内輪に設けるようなことは、行わなくても済み、こうした優れた性能の旋回軸受の加工を従来の技術よりも簡単に行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図6に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例の旋回軸受を設けた自走式建設作業機械の全体像を示す側面図、図2は、本発明の具体化例の旋回軸受周辺の縦断面図、図3は、図2の要部の拡大縦断面図、図4は、本発明の具体化例の旋回軸受に使用する間座の拡大縦断面図、図5は、図4の間座の VーV 線断面図で転動体を装着するときの状態を示す図、図6は、図4の間座における間座本体の斜視図である。
【0024】
まず、図1に基づいて、旋回軸受を設けた自走式建設作業機械の全体像を説明する。図1には、自走式建設作業機械の一例としてクローラ式の油圧ショベルを示しているが、本発明は、クローラ式のクレーン、ホイールローダ等他の自走式建設作業機械にも適用することができる。
【0025】
1は自走式建設機械を走行可能にするためのクローラ式の下部走行体、2は下部走行体1上に旋回可能に搭載された旋回フレーム3とその上部に設置された諸装置からなる上部旋回体、3はこの上部旋回体2の基盤となる旋回フレーム、4は運転室、5はエンジンルームを構成する建屋カバー、6は作業時に自走式建設作業機械に作用する外力と釣り合わせるためのカウンタウエイト、7は土砂の掘削作業等を行う油圧ショベルによる作業機、8は後に詳述する旋回軸受11やこれを駆動するための駆動機構で構成され上部旋回体2を旋回させる旋回装置、11は上部旋回体2を支持しながら旋回させる旋回軸受である。
【0026】
旋回フレーム3上には、運転室4、建屋カバー5、カウンタウエイト6等の諸装置が設置されている。また、上部旋回体2の前部側には、ブーム、アーム及びバケットを備えた油圧ショベルによる作業機が俯仰動可能に設置されている。旋回装置8は、図2に示すように、例えば遊星歯車機構等からなり旋回フレーム3に取り付けられた減速機9とこの減速機9の上部に取り付けられた油圧駆動の旋回モータ10と減速機9で回転駆動される駆動ピニオン9Bとからなる旋回軸受11の駆動機構を備え、旋回軸受11を含んで構成されている。
【0027】
次に、図2乃至図6に基づいて旋回軸受11の細部の構造及びその周辺部の構造を説明する。
【0028】
11は内輪12と外輪16とを備え上部旋回体2を支持しながら旋回させる旋回軸受、12は下部走行体1側の部材である丸胴13の上面に複数のねじで固定される環状の内輪、13はこの内輪12と略同径の環状形状をなす旋回軸受11の取付座としての丸胴、14は内輪12の外周部と外輪16の内周部との間に若干の隙間を設けて形成された、潤滑用のグリースを供給するための環状のグリース供給間隙、15は駆動ピニオン9Bと内歯車12Bの噛み合い部を潤滑するためのグリースを貯溜するグリースバス、16は上部旋回体2側の部材である旋回フレーム3の下面に複数のねじで固定され内輪12を囲んで配置される環状の外輪、17はグリース供給間隙14の底部をシール部材19で密封して形成されたグリース溜り、18は転動体20を収容するための環状の転動体収容空間、19は内輪12に固着して外輪16の回転を許容するようにグリース供給間隙14の底部を密封したシール部材、20は転動体収容空間18内に収容したベアリング状の転動体、21は転動体収容空間18内に収容して転動体20同士を接触させないように転動体20間に配置した間座である。
【0029】
内輪12の内周部には、駆動ピニオン9Bと噛み合うリング状の内歯車12Bを形成している。また、内輪12の内部には、グリースバス15を設けて駆動ピニオン9Bや内歯車12Bを収容しており、グリースバス15内では、駆動ピニオン9Bと内輪12の内歯車12Bとが噛み合っている。このグリースバス15は、従来の旋回軸受11’のピニオン室15’に設けられていたスクレーパ31のようなものを備えておらず、この点を除けば、従来の旋回軸受11’のピニオン室15’と実質上差異はない。内輪12の外周面及び外輪16の内周面には、各周面に沿って横断面略半円状の転動面12A及び転動面16Aを対向するように形成して、転動体収容空間18を内輪12と外輪16との間に水平方向に環状に形成している。この環状の転動体収容空間18内には、間座21を介して配置された多数の転動体20が周方向に収容され、これらの転動体20を介して外輪16を内輪12で回動可能に支持している。
【0030】
こうした内輪12及び外輪16の構造は、従来の旋回軸受11’の内輪12’及び外輪16’の構造と基本的に変わらないが、この旋回軸受11では、従来の旋回軸受11’にみられるような小径通路32を内輪12に設けておらず、この点で内輪12の構造が従来のものとは異なる。したがって、この旋回軸受11では、グリースバス15からグリース供給間隙14内に供給されたグリースは、従来の旋回軸受11’とは異なりグリース溜り17に貯溜したままにしておき、グリースバス15には循環させない。この旋回軸受11は、このようなグリースを循環させない潤滑方式でも、定期給脂を行わずに従来の旋回軸受11’より信頼性の高い潤滑が行えるようにするものであるが、こうしたことは、後に詳述する間座21の構造と相俟って達成される。
【0031】
グリース供給間隙14の頂部は、グリースバス15内のグリースを導入するためのグリース導入口14Aに連通している。このグリース導入口14Aは、内輪12の上面と上部旋回体2の下面との間の間隙により内輪12の上面の全周にわたって形成され、環状をなしている。グリースバス15内のグリースは、駆動ピニオン9Bが公転する過程において、駆動ピニオン9Bと内輪12の内歯車12Bとの噛み合い部の上端からグリース導入口14Aの環状間隙に取り込まれ、図3に矢印gで示すようにグリース供給間隙14に供給される。
【0032】
駆動ピニオン9Bを内歯車12Bと噛み合わせて駆動すると、グリースバス15内のグリースが駆動ピニオン9Bと内歯車12Bの噛み合い部を潤滑した後、内輪12の上方にまで達して内輪12の上面に堆積する。旋回軸受の潤滑時にこうした現象が生じることは、例えば実昭62ー89356号(実開昭63ー198648号)のマイクロフィルム記載されているように従来から知られている。従来は、その内輪12の上面に堆積したグリースが駆動ピニオン9Bの軸の軸受に浸入して弊害をもたらすものと認識されていたが、この旋回軸受11では、こうした現象を逆用してそのグリースの一部をグリース供給間隙14に供給するようにする。そのため、グリース導入口14Aを前記のように内輪12の上面個所に設けて、内歯車12Bと駆動ピニオン9Bとの噛み合い部を潤滑して上方に達したグリースを取り込めるようにグリース導入口14Aを形成している。
【0033】
従来の旋回軸受11’では、グリース供給間隙14’内のグリースを循環させるため、ピニオン室15’内のグリースを掻き上げてグリース供給間隙14’に積極的に送り込むための水平断面V字状のスクレーパ31を設けているが、この旋回軸受11では、グリース供給間隙14内のグリースをグリースバス15に循環させないため、こうしたスクレーパ31を省略しても、支障は生じない。その結果、部品点数を減らして構造を簡素化することができる。
【0034】
この旋回軸受11に用いられる間座21の特徴的な構造について説明する。この間座21は、大別すると、転動体20同士を接触させないようにするためのスペーサの役割を果たす間座本体21Aと、この間座本体21Aに充填されて潤滑用のグリースを滲出する固形物としてのプラスチックグリース21Bとで構成されている。間座本体21Aは、転動体20の球面と合致する凹球面部21Cを両側面に有するとともに、環状の転動体収容空間18の径と同径又は若干小径の円筒状の外周面をなす円筒面部21Dを有し、プラスチックで形成されている。図5には、間座本体21Aの凹球面部21Cの形状を表すため、転動体20の球面を鎖線で示している。
【0035】
間座本体21Aの中心部には、プラスチックグリース21Bを充填して補助的な潤滑機能を果たすための補助グリース充填室21Eを形成している。また、間座本体21Aの周辺部には、プラスチックグリース21Bを充填して中心的な潤滑機能を果たすための主グリース充填室21Fを形成して放射状に複数個設けている。補助グリース充填室21E及び主グリース充填室21Fには、凹球面部21Cの個所で開口する開口部を設けている。間座本体21Aの外周部には、主グリース充填室21Fに充填したプラスチックグリース21B内のグリースを、転動体収容空間18の壁面をなす転動面12A及び転動面16Aに供給できるようにするためのグリース供給路21Gを形成している。このグリース供給路21Gは、円筒面部21Dの個所で開口するとともに主グリース充填室21Fに連通させ、プラスチックグリース21Bを充填している。ここに示す例では、こうしたグリース供給路21Gを、各主グリース充填室21Fに対応して2個ずつ設けているが、その数は、設計上必要に応じて適宜選択すればよい。
【0036】
転動体20は、間座本体21Aの凹球面部21Cと常には接触していないが、補助グリース充填室21Eは、転動体20が凹球面部21Cに接触したときにその凹球面部21Cの個所の開口部から転動体20の球面にプラスチックグリース21B内のグリースを供給する働きをする。このとき、グリースは、転動面12Aや転動面16Aには面しない側の転動体20の球面(潤滑を必要としない凹球面部21C側の転動体20の球面)に供給されるので、直ぐには転動面12A,16A側を潤滑する機能を果たさないが、転動体20が転動して変位する過程で所期の潤滑機能を果たす。また、主グリース充填室21Fも凹球面部21Cの個所で開口しているので、この主グリース充填室21Fにおける凹球面部21C側の開口も、転動体20の球面にグリースを供給して同様に潤滑機能を果たす。
【0037】
この旋回軸受11に用いられる間座21の最大の特徴は、間座本体21Aに、グリース供給路21Gに連通する主グリース充填室21Fを設けてこれらの個所にプラスチックグリース21Bを充填し、このプラスチックグリース21B内のグリースを、グリース供給路21Gを通じて特に間座本体21Aの外周部から供給できるようにした点にある。転動体20や間座21は、上部旋回体2の旋回時に、環状の転動体収容空間18の周方向(上部旋回体2の旋回方向)に離合集散を繰り返しながら接触するので、転動体20を介して転動面12Aや転動面16Aにグリースを供給するが、転動体収容空間18の円形断面の径方向には大きな負荷を受けて転動面12Aや転動面16Aと強力に接触する。この旋回軸受11では、プラスチックグリース21B内のグリースを、このように間座本体21の外周部から供給できるようにしたことにより、上部旋回体2の旋回時に転動体20や間座21が接触して大きな負荷のかかる転動面12A,16Aに対し直接的にグリースで供給することができる。
【0038】
プラスチックグリースとは、グリースを混合した樹脂材料のことである。このプラスチックグリースは、ポリエチレン等の樹脂材料とグリースとを混合して樹脂材料が溶解する適度の温度に加熱した後、冷却して固形化した組成物である。間座21に充填されるプラスチックグリース21Bは、こうした組成物を用いたものであり、転動面12A,16Aや転動体20の球面が接触すると、その内部から徐々に滲み出た油がこれらの転動面12A,16Aや転動体20の球面に供給される。また、このプラスチックグリース21Bは、負荷が加わると、その負荷により、あたかもスポンジ内の水が絞り出されるようにしてグリースが滲出するため、プラスチックグリース21Bにかかる負荷が増加すると、プラスチックグリース21Bから滲出するグリースの量も増加する傾向になる。
【0039】
以上のような構造を備えた旋回軸受11において、駆動ピニオン9Bを旋回モータ10で回転駆動すると、駆動ピニオン9Bは、内輪12内周部のリング状の内歯車12Bと噛み合って自転しながら内歯車12Bに沿うように公転し、これに伴って、グリースバス15内のグリースは、内輪12の内歯車12Bと駆動ピニオン9Bとの噛み合い部を潤滑しながら上方に達してグリース導入口14Aに取り込まれ、グリース供給間隙14内に供給される。このグリース供給間隙14に供給されたグリースは、内輪12及び外輪16と転動体20との接触部すなわち転動面12A,16Aの部位を潤滑する。また、駆動ピニオン9Bが公転すると、外輪16が転動体20を介して内輪12の周りを滑動するように回転し、外輪16に固定される上部旋回体2を旋回させることができる。
【0040】
一方、この旋回軸受11では、間座本体21Aの主グリース充填室21Fにプラスチックグリース21Bを充填して、特に、グリース供給路21Gを通じて間座本体21Aの外周部からグリースを供給できるように間座21を構成しているので、プラスチックグリース21B内のグリースが間座本体21の外周部から絶えず滲み出て、環状の転動体収容空間18を形成する内輪12及び外輪16の壁面すなわち転動面12A及び転動面16Aに供給される。その場合、プラスチックグリース21Bを充填した各間座21は、外輪16の回転に伴って環状の転動体収容空間18の周方向に移動するため、プラスチックグリース21B内のグリースは、環状の転動体収容空間18の周方向に沿うようにして転動面12A,16Aの広い領域に行き渡り、満遍なく供給される。
【0041】
このように、間座本体21Aの外周部からプラスチックグリース21B内のグリースを供給できるようにして、転動体収容空間18を形成する転動面12A,16Aにグリースを満遍なく供給するようにしたことにより、内輪12及び外輪16と転動体20との間に確実にグリースを供給することができて、負荷のかかる転動面12A,16Aの部位をプラスチックグリース21B内のグリースによっても効果的に潤滑することができる。旋回軸受11の潤滑は、内輪12及び外輪16と転動体20との接触部である転動面12A,16Aの部位に対して行えばよいが、この旋回軸受11では、その転動面12A,16Aにグリースバス15内のグリースを供給するだけでなく、プラスチックグリース21B内のグリースを絶えず補給するようにしているので、グリース供給間隙14に供給するグリースを循環させず、かつ、定期給脂を行わなくても、転動面12A,16Aの部位に劣化したグリースが滞留して潤滑不良を招くのを防ぐことができる。
【0042】
一般に、旋回軸受においては、例えば油圧ショベルのような使われ方をする場合にスラスト方向やラジアル方向に大きなモーメント荷重が加わって転動体に大きな負荷がかかることがある。このように転動体に大きな負荷がかかると、内輪及び外輪と転動体との間に入り込むグリースが不足して潤滑不良を起しやすい。この旋回軸受11では、プラスチックグリース21B内のグリースを特に間座本体21Aの外周部から供給できるようにしているので、転動体20にかかる負荷が大きい場合でも、内輪12及び外輪16と転動体20との間にグリースバス15内のグリースを供給するほか、プラスチックグリース21B内のグリースを、転動体20が接触する壁面である転動面12A,16Aに直接的に供給することができて潤滑不良の発生を防止することができる。その場合、転動体20にかかる負荷が増加すると、その負荷の増加に応じてプラスチックグリース21Bに加わる圧力も増加して、プラスチックグリース21Bから滲出するグリースの量が増加するため、プラスチックグリース21B内のグリースを負荷の増加に応じて合理的に供給することができる。
【0043】
また、この間座本体21Aに充填されたプラスチックグリース21Bは、グリースが間座本体21Aから滲出しても、グリース供給間隙14内からグリースを吸収するので、消耗することはない。このように、間座本体21Aに充填されたプラスチックグリース21Bは、滲出してもグリース供給間隙14内からグリースを吸収するため、帰するところ、グリース供給間隙14内に溜められたグリースを、転動面12A,16Aの部位に循環して継続的に供給する働きをして、同部位を潤滑するグリースの新陳代謝を促進させることになる。
【0044】
以上の結果、この旋回軸受11によれば、潤滑不良を招かない信頼性の高い潤滑を行うことができる。さらに、グリース供給間隙14内に供給したグリースバス15内のグリースは、グリースバス15に循環させないようにしているので、従来の技術のようにグリース供給間隙14内のグリースをグリースバス15に循環させるための小径通路32を内輪12に設けるようなことは、行わなくても済み、こうした優れた性能を有する旋回軸受11の加工を従来の技術よりも簡単に行うことができる。
【0045】
ここに例示する旋回軸受11では、間座本体21Aの中心部に補助グリース充填室21Eを特設して凹球面部21Cの個所で開口するとともに、間座本体21Aの周辺部に設けた主グリース充填室21Fも凹球面部21Cの個所で開口しているので、間座本体21Aに充填したプラスチックグリース21B内のグリースを転動面12A,16Aだけでなく、転動体20の球面にも広範に供給することができて、一層効果的な潤滑を行うことができる。更に付言するならば、定期給脂を行わなくても済むので、従来の通常の旋回軸受で設けていたグリースニップルやこれとグリース供給間隙とを接続する内部通路を外輪に設ける必要がなく、さらには、その従来の旋回軸受でグリース供給間隙の上端部に設けていたグリース流出防止用のシール部材も不要にして、旋回軸受の部品点数を少なくし、加工工程を簡素化することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「課題を解決するための手段」の項に示した手段を採用しているので、内輪及び外輪と転動体との接触部に、グリースバス内のグリースを供給するだけでなく、間座本体に充填したプラスチックグリース内のグリースによりグリースを絶えず補給することができ、定期給脂を行わなくても、内輪及び外輪と転動体との接触部に劣化したグリースが滞留して潤滑不良を招くことを防ぐことができる。
【0047】
特に、転動体にかかる負荷が大きい場合には、内輪及び外輪と転動体との間に入り込むグリースが不足して潤滑不良を起しやすいが、本発明の旋回軸受では、プラスチックグリース内のグリースを特に間座本体の外周部から供給できるようにしているので、転動体にかかる負荷が大きい場合でも、内輪及び外輪と転動体との接触部にグリースバス内のグリースを供給するほか、プラスチックグリース内のグリースを、転動体が接触する壁面である転動体収容空間の壁面に直接的に供給することができて潤滑不良の発生を防止することができる。その場合、転動体にかかる負荷が増加すると、その負荷の増加に応じてプラスチックグリースから滲出するグリースの量も増加して、プラスチックグリース内のグリースを負荷の増加に応じて合理的に供給することができる。
【0048】
また、間座本体に充填されたプラスチックグリースは、グリースが間座本体から滲出しても、グリース供給間隙内部からグリースを吸収するので、消耗することはなく、帰するところ、グリース供給間隙内に溜められたグリースを、内輪及び外輪と転動体との接触部に循環して継続的に供給する働きをして、その接触部を潤滑するグリースの新陳代謝を促進することになる。以上の結果、本発明によれば、定期給脂を必要とせず従来の技術よりも信頼性の高い潤滑が行える旋回軸受が得られる。さらに、グリース供給間隙内に供給されたグリースバス内のグリースをグリースバスに循環させないようにしているので、従来の技術のようにグリース供給間隙内のグリースをグリースバスに循環させるための小径通路を内輪に設けるようなことは、行わなくても済み、こうした優れた性能を有する旋回軸受の加工を従来の技術よりも簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例の旋回軸受を設けた自走式建設作業機械の全体像を示す側面図である。
【図2】本発明の具体化例の旋回軸受周辺の縦断面図である。
【図3】図2の要部の拡大縦断面図である。
【図4】本発明の具体化例の旋回軸受に使用する間座の拡大縦断面図である。
【図5】図4の間座の VーV 線断面図で転動体を装着するときの状態を示す図である。
【図6】図4の間座における間座本体の斜視図である。
【図7】従来の旋回軸受周辺の縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【符号の説明】
1 下部走行体
2 上部走行体
3 旋回フレーム
8 旋回装置
9 減速機
10 旋回モータ
11 旋回軸受
12 内輪
12A 転動面
12B リング状の内歯車(リングギヤ)
13 丸胴
14 グリース供給間隙
14A グリース導入口
15 グリースバス
16 外輪
16A 転動面
17 グリース溜り
18 転動体収容空間
19 シール部材
20 転動体
21 間座
21A 間座本体
21B プラスチックグリース
21C 凹球面部
21F 主グリース充填室
21G グリース供給路
【発明の属する技術分野】
本発明は、上部旋回体側の駆動ピニオンと噛み合う内歯車を有し下部走行体側に固定される内輪と、内輪を囲んで上部旋回体側に固定される外輪とを備え、外輪と内輪との間に多数の転動体と間座を配設して上部旋回体を支持しながら旋回させる旋回軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
旋回軸受は、旋回ベアリングとも称し、油圧ショベル等の自走式建設作業機械の上部旋回体を支持しながら下部走行体に対して旋回させるための装置である。この旋回軸受は、通常、上部旋回体側の駆動ピニオンと噛み合う内歯車を有し下部走行体側に固定される内輪と、この内輪を囲んで上部旋回体側に固定される外輪とを備えている。そして、上部旋回体を旋回可能に支持するため、外輪と内輪との間に環状の転動体収容空間を形成して、この転動体収容空間内に多数のベアリング状の転動体を収容し、これらの転動体を介して外輪を内輪で回動可能に支持している。また、その転動体収容空間には、転動体同士を接触させないようにするための間座(カンザ)と称するスペーサ部品を収容して間座を転動体間に配置するようにしている。こうした旋回軸受においては、内輪や外輪と転動体との接触部を潤滑して保護するため、外輪の内周部と内輪の外周部との間に若干の間隙を設けて、この間隙内に、潤滑油としてのグリースを供給する。
【0003】
こうした転動体の接触部の潤滑を行うため、これまでは、この外輪と内輪間のグリース供給間隙に外部から定期的に給脂する方法が通常採られていた。すなわち、従来、通常用いられていた旋回軸受では、外輪と内輪間のグリース供給間隙の上端部及び下端部にグリース流出防止用のシール部材を設けてグリース供給間隙でグリース溜りを形成するとともに、外輪の外周部の複数個所にグリースニップルを設け、これらのグリースニップルとグリース供給間隙とを、外輪に設けた内部通路で接続してグリース供給路を形成していた。そして、作業員がそのグリースニップルから内部通路を通じて内輪や外輪と転動体との接触部にグリースを供給することにより、外輪や内輪の壁面と転動体の球面との間に油膜を形成するようにしていた。
【0004】
この従来の通常の旋回軸受では、作業員が外輪外側からグリースニップルを通じて定期的に給脂する必要があり、給脂作業が煩雑なため、ややもすると給脂を怠りがちになって、給脂間隔が規定通りに守られない事態も起こる。その結果、内輪や外輪と転動体との接触部に送られたグリースが交換されずに劣化して潤滑不良を招くという問題が生じる。こうした問題に対応して、内輪の内側に設けたピニオン室内のグリースをグリース供給間隙に供給して循環させることにより、定期給脂を必要としないようにした旋回軸受(旋回ベアリング)が実開平2ー148057号公報で提案されている。本発明は、この公開実用新案公報に記載の旋回軸受を更に改良しようとするものである。
【0005】
そこで、本発明の技術内容の理解を容易にするため、この公開実用新案公報に記載の旋回軸受の概要を、図7及び図8を用いて説明する。図7は、従来の旋回軸受周辺の縦断面図、図8は、図7のVIII−VIII線断面図である。なお、旋回軸受を設けた自走式建設作業機械の全体像については、「発明の実施の形態」の項における図1に関する説明を参考にされたい。
【0006】
この旋回軸受(旋回ベアリング)11’は、下部走行体側の部材であるロワーフレーム13’にボルト30Aで固定される内輪12’と、この内輪12を同心円状に囲んで上部旋回体のメインフレーム3’にボルト30Bで固定される外輪16’とを備えている。内輪12’の内周部には、上部旋回体側に固定の旋回モータで回転駆動される駆動ピニオン(後述の図2参照)と噛み合うリング状の内歯車(リングギヤ)12B’を形成している。また、内輪12’の内部には、これら駆動ピニオンや内歯車12B’を収容するためのピニオン室15’が設けられ、その下部に駆動ピニオンと内歯車12B’の噛み合い部を潤滑するためのグリースが貯溜される。外輪16’は、次に述べるように、ベアリング状の転動体20’を介して内輪12’に旋回可能に支持される。
【0007】
内輪12’の外周面及び外輪16’の内周面には、各周面に沿って、転動体20’を転動させるための横断面略半円状の転動面12A’及び転動面16A’を対向するように形成しており、これにより、内輪12’と外輪16’との間に、転動体20’を収容するための転動体収容空間18’を環状に形成している。この転動体収容空間18’内には、多数の転動体20’が周方向にリング状に収容され、これらの転動体20’を介して外輪16’を内輪12’で回動可能に支持している。また、転動体収容空間18’には、転動体20’同士を接触させないようにするための図示しない間座(スペーサ)を収容して間座を転動体20’間に配置している。
【0008】
内輪12’の外周部と外輪16’の内周部との間には、若干の間隙を設けて、ピニオン室15’内のグリースを供給するためのグリース供給間隙14’を設けている。このグリース供給間隙14’の頂部は、ピニオン室15’内のグリースを導入するためのグリース導入口14A’に連通している。また、グリース供給間隙14’の底部は、内輪12’側に固着したシール部材19’により、外輪16’の回転を許容するように密封してグリース供給間隙14’でグリース溜り17’を形成している。こうした構造と関連して、内輪12’には、このグリース溜り17’の底部近傍に開口するグリース溜り側開口部32Aと、この開口部32Aよりもhだけ低位置に位置しピニオン室15’の底部近傍に開口するピニオン室側開口部32Bとを有する小径通路32を設けている。
【0009】
一方、ピニオン室15’には、ピニオン室15’内のグリースを掻き上げてグリース供給間隙14’に送り込むための図8に示すような水平断面V字状のスクレーパ31を上部旋回体のメインフレーム3’に垂下するようにして取り付けている。このV字状のスクレーパ31は、そのV字状の頂角31Aを外側(内輪12’側)に向けるようにして、図示しない駆動ピニオンと干渉しない位置に複数個配設している。
【0010】
この従来の旋回軸受11’では、図示しない駆動ピニオンを上部旋回体側に固定し、内輪12’を、地上に設置した下部走行体側に固定しているので、駆動ピニオンを回転駆動すると、駆動ピニオンは、内輪12’内周部のリング状の内歯車12B’と噛み合って自転しながら公転する。その結果、外輪16’は、転動体20’により内輪12’の外周部を滑動するようにしながら回転して上部旋回体を旋回させる。そうすると、この上部旋回体の旋回に伴って上部旋回体に取り付けられているスクレーパ31も旋回し、スクレーパ31は、ピニオン室15’内のグリースを掻き上げてグリース導入口14A’に送り込み、同グリース導入口14A’からグリース供給間隙14’にグリースを供給する。
【0011】
このグリース供給間隙14’に供給されたグリースは、内輪12’及び外輪16’に対する転動体20’の接触部である転動面12A’及び転動面16A’を潤滑して、グリース溜り17’のグリース溜り側開口部32Aから排出され、小径通路32を経由してピニオン室側開口部32Bからピニオン室15’に戻される。旋回軸受11’の潤滑不良を招かないようにするためには、グリース供給間隙14’内のグリースの新陳代謝を活発にして、転動面12A’,16A’に劣化したグリースを停滞させないようにすることが必要であるが、以上述べた従来の旋回軸受11’では、このようにグリース供給間隙14’に供給するグリースを循環させるようにしているので、定期給脂を行わないでも、従来の通常の旋回軸受より潤滑不良を生じにくくすることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の旋回軸受11’は、こうした優れた効果を発揮する反面、次のような難点がある。
【0013】
イ)グリース供給間隙14’内のグリースを循環させるため、内輪12’に小径通路32を穿設しなければならず、加工が大変である。その場合、グリースを、内輪12’及び外輪16’と転動体20’との接触部の全周にわたって満遍なく潤滑させる必要があるため、実際上は小径通路32を複数個所に設けなければならず、小径通路32の加工に多大の手間を要して、製作コストが少なからず増加する。
【0014】
ロ)内輪12’の内周部には、内歯車12B’を形成していて、小径通路32を設けるにしても、内歯車12B’の強度を損なわない程度の小径のものしか設けることができないため、グリース供給間隙14’内のグリースを効果的に循環させることは実際上困難であって、潤滑不良を招かない信頼性の高い潤滑が行えるものとはいい難い。
【0015】
本発明は、こうした問題を解消するために創作されたものあって、その技術課題は、定期給脂を必要とせず従来の技術よりも加工が簡単で信頼性の高い潤滑が行える旋回軸受を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、こうした技術課題を達成するため、
上部旋回体側の駆動ピニオンと噛み合う内歯車を有し下部走行体側に固定されて内部にグリースバスを設ける内輪と、グリース供給間隙を設けるように内輪を囲んで上部旋回体側に固定される外輪とを備え、外輪と内輪との間に環状の転動体収容空間を形成して、この転動体収容空間内に多数の転動体と間座を収容して間座を転動体間に配置するとともに、グリースバス内のグリースを導入するためのグリース導入口をグリース供給間隙に連通させて同間隙の下部を密封した旋回軸受において、
内輪の内歯車と駆動ピニオンとの噛み合い部を潤滑して上方に達したグリースを取り込めるようにグリース導入口を形成するとともに、間座本体にプラスチックグリースを充填して間座本体の外周部からプラスチックグリース内のグリースを供給できるように間座を構成して、グリース供給間隙内に供給されたグリースバス内のグリースをグリースバスに循環させることなく内輪及び外輪と転動体との接触部を潤滑するように構成した。
【0017】
本発明の旋回軸受は、このように構成したので、駆動ピニオンを回転駆動すると、駆動ピニオンは、内輪内周部のリング状の内歯車と噛み合って自転しながら内歯車に沿うように公転し、これに伴って、グリースバス内のグリースは、内輪の内歯車と駆動ピニオンとの噛み合い部を潤滑しながら上方に達してグリース導入口に取り込まれ、グリース供給間隙内に供給される。このグリース供給間隙に供給されたグリースは、内輪及び外輪と転動体との接触部を潤滑する。また、駆動ピニオンが公転すると、外輪が転動体を介して内輪の周りを滑動するようにして回転し、外輪に固定される上部旋回体を旋回させることができる。
【0018】
一方、本発明の旋回軸受では、間座本体にプラスチックグリースを充填して、特に、間座本体の外周部からプラスチックグリース内のグリースを供給できるように間座を構成しているので、プラスチックグリース内のグリースが間座本体の外周部から絶えず滲み出て、環状の転動体収容空間を形成する内輪及び外輪の壁面に供給される。その場合、プラスチックグリースを充填した各間座は、外輪の回転に伴って環状の転動体収容空間の周方向に移動するため、プラスチックグリース内のグリースは、環状の転動体収容空間を形成する壁面の周方向領域に満遍なく供給される。
【0019】
このように、間座本体の外周部からプラスチックグリース内のグリースを供給できるようにして、転動体収容空間を形成する外輪及び内輪の壁面にグリースを満遍なく供給できるようにしたことにより、内輪及び外輪と転動体との間に確実にグリースを供給することができて、内輪及び外輪と転動体との接触部をプラスチックグリース内のグリースによっても効果的に潤滑することができる。旋回軸受の潤滑は、内輪及び外輪と転動体との接触部に対して行えばよいが、本発明の旋回軸受では、その接触部にグリースバス内のグリースを供給するだけでなく、プラスチックグリース内のグリースを絶えず補給するようにしているので、定期給脂を行わなくても、内輪及び外輪と転動体との接触部に劣化したグリースが滞留して潤滑不良を招くことを防止することができる。
【0020】
特に、旋回軸受において転動体にかかる負荷が大きい場合には、内輪及び外輪と転動体との間に入り込むグリースが不足して潤滑不良を起しやすいが、本発明の旋回軸受では、プラスチックグリース内のグリースを特に間座本体の外周部から供給できるようにしているので、転動体にかかる負荷が大きい場合でも、内輪及び外輪と転動体との間にグリースバス内のグリースを供給するほか、プラスチックグリース内のグリースを、転動体が接触する壁面である転動面に直接的に供給することができて潤滑不良の発生を防止することができる。その場合、転動体にかかる負荷が増加すると、その負荷の増加に応じてプラスチックグリースから滲出するグリースの量も増加して、プラスチックグリース内のグリースを負荷の増加に応じて合理的に供給することができる。
【0021】
また、間座本体に充填されたプラスチックグリースは、グリースが間座本体から滲出しても、グリース供給間隙内からグリースを吸収するので、消耗することはなく、帰するところ、グリース供給間隙内に溜められたグリースを、内輪及び外輪と転動体との接触部に循環して継続的に供給する働きをして、その接触部を潤滑するグリースの新陳代謝を促進させることになる。
【0022】
以上の結果、本発明の旋回軸受によれば、潤滑不良を招かない信頼性の高い潤滑を行うことができる。さらに、グリース供給間隙内に供給されたグリースバス内のグリースをグリースバスに循環させないようにしているので、従来の技術のようにグリース供給間隙内のグリースをグリースバスに循環させるための小径通路を内輪に設けるようなことは、行わなくても済み、こうした優れた性能の旋回軸受の加工を従来の技術よりも簡単に行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図6に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例の旋回軸受を設けた自走式建設作業機械の全体像を示す側面図、図2は、本発明の具体化例の旋回軸受周辺の縦断面図、図3は、図2の要部の拡大縦断面図、図4は、本発明の具体化例の旋回軸受に使用する間座の拡大縦断面図、図5は、図4の間座の VーV 線断面図で転動体を装着するときの状態を示す図、図6は、図4の間座における間座本体の斜視図である。
【0024】
まず、図1に基づいて、旋回軸受を設けた自走式建設作業機械の全体像を説明する。図1には、自走式建設作業機械の一例としてクローラ式の油圧ショベルを示しているが、本発明は、クローラ式のクレーン、ホイールローダ等他の自走式建設作業機械にも適用することができる。
【0025】
1は自走式建設機械を走行可能にするためのクローラ式の下部走行体、2は下部走行体1上に旋回可能に搭載された旋回フレーム3とその上部に設置された諸装置からなる上部旋回体、3はこの上部旋回体2の基盤となる旋回フレーム、4は運転室、5はエンジンルームを構成する建屋カバー、6は作業時に自走式建設作業機械に作用する外力と釣り合わせるためのカウンタウエイト、7は土砂の掘削作業等を行う油圧ショベルによる作業機、8は後に詳述する旋回軸受11やこれを駆動するための駆動機構で構成され上部旋回体2を旋回させる旋回装置、11は上部旋回体2を支持しながら旋回させる旋回軸受である。
【0026】
旋回フレーム3上には、運転室4、建屋カバー5、カウンタウエイト6等の諸装置が設置されている。また、上部旋回体2の前部側には、ブーム、アーム及びバケットを備えた油圧ショベルによる作業機が俯仰動可能に設置されている。旋回装置8は、図2に示すように、例えば遊星歯車機構等からなり旋回フレーム3に取り付けられた減速機9とこの減速機9の上部に取り付けられた油圧駆動の旋回モータ10と減速機9で回転駆動される駆動ピニオン9Bとからなる旋回軸受11の駆動機構を備え、旋回軸受11を含んで構成されている。
【0027】
次に、図2乃至図6に基づいて旋回軸受11の細部の構造及びその周辺部の構造を説明する。
【0028】
11は内輪12と外輪16とを備え上部旋回体2を支持しながら旋回させる旋回軸受、12は下部走行体1側の部材である丸胴13の上面に複数のねじで固定される環状の内輪、13はこの内輪12と略同径の環状形状をなす旋回軸受11の取付座としての丸胴、14は内輪12の外周部と外輪16の内周部との間に若干の隙間を設けて形成された、潤滑用のグリースを供給するための環状のグリース供給間隙、15は駆動ピニオン9Bと内歯車12Bの噛み合い部を潤滑するためのグリースを貯溜するグリースバス、16は上部旋回体2側の部材である旋回フレーム3の下面に複数のねじで固定され内輪12を囲んで配置される環状の外輪、17はグリース供給間隙14の底部をシール部材19で密封して形成されたグリース溜り、18は転動体20を収容するための環状の転動体収容空間、19は内輪12に固着して外輪16の回転を許容するようにグリース供給間隙14の底部を密封したシール部材、20は転動体収容空間18内に収容したベアリング状の転動体、21は転動体収容空間18内に収容して転動体20同士を接触させないように転動体20間に配置した間座である。
【0029】
内輪12の内周部には、駆動ピニオン9Bと噛み合うリング状の内歯車12Bを形成している。また、内輪12の内部には、グリースバス15を設けて駆動ピニオン9Bや内歯車12Bを収容しており、グリースバス15内では、駆動ピニオン9Bと内輪12の内歯車12Bとが噛み合っている。このグリースバス15は、従来の旋回軸受11’のピニオン室15’に設けられていたスクレーパ31のようなものを備えておらず、この点を除けば、従来の旋回軸受11’のピニオン室15’と実質上差異はない。内輪12の外周面及び外輪16の内周面には、各周面に沿って横断面略半円状の転動面12A及び転動面16Aを対向するように形成して、転動体収容空間18を内輪12と外輪16との間に水平方向に環状に形成している。この環状の転動体収容空間18内には、間座21を介して配置された多数の転動体20が周方向に収容され、これらの転動体20を介して外輪16を内輪12で回動可能に支持している。
【0030】
こうした内輪12及び外輪16の構造は、従来の旋回軸受11’の内輪12’及び外輪16’の構造と基本的に変わらないが、この旋回軸受11では、従来の旋回軸受11’にみられるような小径通路32を内輪12に設けておらず、この点で内輪12の構造が従来のものとは異なる。したがって、この旋回軸受11では、グリースバス15からグリース供給間隙14内に供給されたグリースは、従来の旋回軸受11’とは異なりグリース溜り17に貯溜したままにしておき、グリースバス15には循環させない。この旋回軸受11は、このようなグリースを循環させない潤滑方式でも、定期給脂を行わずに従来の旋回軸受11’より信頼性の高い潤滑が行えるようにするものであるが、こうしたことは、後に詳述する間座21の構造と相俟って達成される。
【0031】
グリース供給間隙14の頂部は、グリースバス15内のグリースを導入するためのグリース導入口14Aに連通している。このグリース導入口14Aは、内輪12の上面と上部旋回体2の下面との間の間隙により内輪12の上面の全周にわたって形成され、環状をなしている。グリースバス15内のグリースは、駆動ピニオン9Bが公転する過程において、駆動ピニオン9Bと内輪12の内歯車12Bとの噛み合い部の上端からグリース導入口14Aの環状間隙に取り込まれ、図3に矢印gで示すようにグリース供給間隙14に供給される。
【0032】
駆動ピニオン9Bを内歯車12Bと噛み合わせて駆動すると、グリースバス15内のグリースが駆動ピニオン9Bと内歯車12Bの噛み合い部を潤滑した後、内輪12の上方にまで達して内輪12の上面に堆積する。旋回軸受の潤滑時にこうした現象が生じることは、例えば実昭62ー89356号(実開昭63ー198648号)のマイクロフィルム記載されているように従来から知られている。従来は、その内輪12の上面に堆積したグリースが駆動ピニオン9Bの軸の軸受に浸入して弊害をもたらすものと認識されていたが、この旋回軸受11では、こうした現象を逆用してそのグリースの一部をグリース供給間隙14に供給するようにする。そのため、グリース導入口14Aを前記のように内輪12の上面個所に設けて、内歯車12Bと駆動ピニオン9Bとの噛み合い部を潤滑して上方に達したグリースを取り込めるようにグリース導入口14Aを形成している。
【0033】
従来の旋回軸受11’では、グリース供給間隙14’内のグリースを循環させるため、ピニオン室15’内のグリースを掻き上げてグリース供給間隙14’に積極的に送り込むための水平断面V字状のスクレーパ31を設けているが、この旋回軸受11では、グリース供給間隙14内のグリースをグリースバス15に循環させないため、こうしたスクレーパ31を省略しても、支障は生じない。その結果、部品点数を減らして構造を簡素化することができる。
【0034】
この旋回軸受11に用いられる間座21の特徴的な構造について説明する。この間座21は、大別すると、転動体20同士を接触させないようにするためのスペーサの役割を果たす間座本体21Aと、この間座本体21Aに充填されて潤滑用のグリースを滲出する固形物としてのプラスチックグリース21Bとで構成されている。間座本体21Aは、転動体20の球面と合致する凹球面部21Cを両側面に有するとともに、環状の転動体収容空間18の径と同径又は若干小径の円筒状の外周面をなす円筒面部21Dを有し、プラスチックで形成されている。図5には、間座本体21Aの凹球面部21Cの形状を表すため、転動体20の球面を鎖線で示している。
【0035】
間座本体21Aの中心部には、プラスチックグリース21Bを充填して補助的な潤滑機能を果たすための補助グリース充填室21Eを形成している。また、間座本体21Aの周辺部には、プラスチックグリース21Bを充填して中心的な潤滑機能を果たすための主グリース充填室21Fを形成して放射状に複数個設けている。補助グリース充填室21E及び主グリース充填室21Fには、凹球面部21Cの個所で開口する開口部を設けている。間座本体21Aの外周部には、主グリース充填室21Fに充填したプラスチックグリース21B内のグリースを、転動体収容空間18の壁面をなす転動面12A及び転動面16Aに供給できるようにするためのグリース供給路21Gを形成している。このグリース供給路21Gは、円筒面部21Dの個所で開口するとともに主グリース充填室21Fに連通させ、プラスチックグリース21Bを充填している。ここに示す例では、こうしたグリース供給路21Gを、各主グリース充填室21Fに対応して2個ずつ設けているが、その数は、設計上必要に応じて適宜選択すればよい。
【0036】
転動体20は、間座本体21Aの凹球面部21Cと常には接触していないが、補助グリース充填室21Eは、転動体20が凹球面部21Cに接触したときにその凹球面部21Cの個所の開口部から転動体20の球面にプラスチックグリース21B内のグリースを供給する働きをする。このとき、グリースは、転動面12Aや転動面16Aには面しない側の転動体20の球面(潤滑を必要としない凹球面部21C側の転動体20の球面)に供給されるので、直ぐには転動面12A,16A側を潤滑する機能を果たさないが、転動体20が転動して変位する過程で所期の潤滑機能を果たす。また、主グリース充填室21Fも凹球面部21Cの個所で開口しているので、この主グリース充填室21Fにおける凹球面部21C側の開口も、転動体20の球面にグリースを供給して同様に潤滑機能を果たす。
【0037】
この旋回軸受11に用いられる間座21の最大の特徴は、間座本体21Aに、グリース供給路21Gに連通する主グリース充填室21Fを設けてこれらの個所にプラスチックグリース21Bを充填し、このプラスチックグリース21B内のグリースを、グリース供給路21Gを通じて特に間座本体21Aの外周部から供給できるようにした点にある。転動体20や間座21は、上部旋回体2の旋回時に、環状の転動体収容空間18の周方向(上部旋回体2の旋回方向)に離合集散を繰り返しながら接触するので、転動体20を介して転動面12Aや転動面16Aにグリースを供給するが、転動体収容空間18の円形断面の径方向には大きな負荷を受けて転動面12Aや転動面16Aと強力に接触する。この旋回軸受11では、プラスチックグリース21B内のグリースを、このように間座本体21の外周部から供給できるようにしたことにより、上部旋回体2の旋回時に転動体20や間座21が接触して大きな負荷のかかる転動面12A,16Aに対し直接的にグリースで供給することができる。
【0038】
プラスチックグリースとは、グリースを混合した樹脂材料のことである。このプラスチックグリースは、ポリエチレン等の樹脂材料とグリースとを混合して樹脂材料が溶解する適度の温度に加熱した後、冷却して固形化した組成物である。間座21に充填されるプラスチックグリース21Bは、こうした組成物を用いたものであり、転動面12A,16Aや転動体20の球面が接触すると、その内部から徐々に滲み出た油がこれらの転動面12A,16Aや転動体20の球面に供給される。また、このプラスチックグリース21Bは、負荷が加わると、その負荷により、あたかもスポンジ内の水が絞り出されるようにしてグリースが滲出するため、プラスチックグリース21Bにかかる負荷が増加すると、プラスチックグリース21Bから滲出するグリースの量も増加する傾向になる。
【0039】
以上のような構造を備えた旋回軸受11において、駆動ピニオン9Bを旋回モータ10で回転駆動すると、駆動ピニオン9Bは、内輪12内周部のリング状の内歯車12Bと噛み合って自転しながら内歯車12Bに沿うように公転し、これに伴って、グリースバス15内のグリースは、内輪12の内歯車12Bと駆動ピニオン9Bとの噛み合い部を潤滑しながら上方に達してグリース導入口14Aに取り込まれ、グリース供給間隙14内に供給される。このグリース供給間隙14に供給されたグリースは、内輪12及び外輪16と転動体20との接触部すなわち転動面12A,16Aの部位を潤滑する。また、駆動ピニオン9Bが公転すると、外輪16が転動体20を介して内輪12の周りを滑動するように回転し、外輪16に固定される上部旋回体2を旋回させることができる。
【0040】
一方、この旋回軸受11では、間座本体21Aの主グリース充填室21Fにプラスチックグリース21Bを充填して、特に、グリース供給路21Gを通じて間座本体21Aの外周部からグリースを供給できるように間座21を構成しているので、プラスチックグリース21B内のグリースが間座本体21の外周部から絶えず滲み出て、環状の転動体収容空間18を形成する内輪12及び外輪16の壁面すなわち転動面12A及び転動面16Aに供給される。その場合、プラスチックグリース21Bを充填した各間座21は、外輪16の回転に伴って環状の転動体収容空間18の周方向に移動するため、プラスチックグリース21B内のグリースは、環状の転動体収容空間18の周方向に沿うようにして転動面12A,16Aの広い領域に行き渡り、満遍なく供給される。
【0041】
このように、間座本体21Aの外周部からプラスチックグリース21B内のグリースを供給できるようにして、転動体収容空間18を形成する転動面12A,16Aにグリースを満遍なく供給するようにしたことにより、内輪12及び外輪16と転動体20との間に確実にグリースを供給することができて、負荷のかかる転動面12A,16Aの部位をプラスチックグリース21B内のグリースによっても効果的に潤滑することができる。旋回軸受11の潤滑は、内輪12及び外輪16と転動体20との接触部である転動面12A,16Aの部位に対して行えばよいが、この旋回軸受11では、その転動面12A,16Aにグリースバス15内のグリースを供給するだけでなく、プラスチックグリース21B内のグリースを絶えず補給するようにしているので、グリース供給間隙14に供給するグリースを循環させず、かつ、定期給脂を行わなくても、転動面12A,16Aの部位に劣化したグリースが滞留して潤滑不良を招くのを防ぐことができる。
【0042】
一般に、旋回軸受においては、例えば油圧ショベルのような使われ方をする場合にスラスト方向やラジアル方向に大きなモーメント荷重が加わって転動体に大きな負荷がかかることがある。このように転動体に大きな負荷がかかると、内輪及び外輪と転動体との間に入り込むグリースが不足して潤滑不良を起しやすい。この旋回軸受11では、プラスチックグリース21B内のグリースを特に間座本体21Aの外周部から供給できるようにしているので、転動体20にかかる負荷が大きい場合でも、内輪12及び外輪16と転動体20との間にグリースバス15内のグリースを供給するほか、プラスチックグリース21B内のグリースを、転動体20が接触する壁面である転動面12A,16Aに直接的に供給することができて潤滑不良の発生を防止することができる。その場合、転動体20にかかる負荷が増加すると、その負荷の増加に応じてプラスチックグリース21Bに加わる圧力も増加して、プラスチックグリース21Bから滲出するグリースの量が増加するため、プラスチックグリース21B内のグリースを負荷の増加に応じて合理的に供給することができる。
【0043】
また、この間座本体21Aに充填されたプラスチックグリース21Bは、グリースが間座本体21Aから滲出しても、グリース供給間隙14内からグリースを吸収するので、消耗することはない。このように、間座本体21Aに充填されたプラスチックグリース21Bは、滲出してもグリース供給間隙14内からグリースを吸収するため、帰するところ、グリース供給間隙14内に溜められたグリースを、転動面12A,16Aの部位に循環して継続的に供給する働きをして、同部位を潤滑するグリースの新陳代謝を促進させることになる。
【0044】
以上の結果、この旋回軸受11によれば、潤滑不良を招かない信頼性の高い潤滑を行うことができる。さらに、グリース供給間隙14内に供給したグリースバス15内のグリースは、グリースバス15に循環させないようにしているので、従来の技術のようにグリース供給間隙14内のグリースをグリースバス15に循環させるための小径通路32を内輪12に設けるようなことは、行わなくても済み、こうした優れた性能を有する旋回軸受11の加工を従来の技術よりも簡単に行うことができる。
【0045】
ここに例示する旋回軸受11では、間座本体21Aの中心部に補助グリース充填室21Eを特設して凹球面部21Cの個所で開口するとともに、間座本体21Aの周辺部に設けた主グリース充填室21Fも凹球面部21Cの個所で開口しているので、間座本体21Aに充填したプラスチックグリース21B内のグリースを転動面12A,16Aだけでなく、転動体20の球面にも広範に供給することができて、一層効果的な潤滑を行うことができる。更に付言するならば、定期給脂を行わなくても済むので、従来の通常の旋回軸受で設けていたグリースニップルやこれとグリース供給間隙とを接続する内部通路を外輪に設ける必要がなく、さらには、その従来の旋回軸受でグリース供給間隙の上端部に設けていたグリース流出防止用のシール部材も不要にして、旋回軸受の部品点数を少なくし、加工工程を簡素化することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「課題を解決するための手段」の項に示した手段を採用しているので、内輪及び外輪と転動体との接触部に、グリースバス内のグリースを供給するだけでなく、間座本体に充填したプラスチックグリース内のグリースによりグリースを絶えず補給することができ、定期給脂を行わなくても、内輪及び外輪と転動体との接触部に劣化したグリースが滞留して潤滑不良を招くことを防ぐことができる。
【0047】
特に、転動体にかかる負荷が大きい場合には、内輪及び外輪と転動体との間に入り込むグリースが不足して潤滑不良を起しやすいが、本発明の旋回軸受では、プラスチックグリース内のグリースを特に間座本体の外周部から供給できるようにしているので、転動体にかかる負荷が大きい場合でも、内輪及び外輪と転動体との接触部にグリースバス内のグリースを供給するほか、プラスチックグリース内のグリースを、転動体が接触する壁面である転動体収容空間の壁面に直接的に供給することができて潤滑不良の発生を防止することができる。その場合、転動体にかかる負荷が増加すると、その負荷の増加に応じてプラスチックグリースから滲出するグリースの量も増加して、プラスチックグリース内のグリースを負荷の増加に応じて合理的に供給することができる。
【0048】
また、間座本体に充填されたプラスチックグリースは、グリースが間座本体から滲出しても、グリース供給間隙内部からグリースを吸収するので、消耗することはなく、帰するところ、グリース供給間隙内に溜められたグリースを、内輪及び外輪と転動体との接触部に循環して継続的に供給する働きをして、その接触部を潤滑するグリースの新陳代謝を促進することになる。以上の結果、本発明によれば、定期給脂を必要とせず従来の技術よりも信頼性の高い潤滑が行える旋回軸受が得られる。さらに、グリース供給間隙内に供給されたグリースバス内のグリースをグリースバスに循環させないようにしているので、従来の技術のようにグリース供給間隙内のグリースをグリースバスに循環させるための小径通路を内輪に設けるようなことは、行わなくても済み、こうした優れた性能を有する旋回軸受の加工を従来の技術よりも簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例の旋回軸受を設けた自走式建設作業機械の全体像を示す側面図である。
【図2】本発明の具体化例の旋回軸受周辺の縦断面図である。
【図3】図2の要部の拡大縦断面図である。
【図4】本発明の具体化例の旋回軸受に使用する間座の拡大縦断面図である。
【図5】図4の間座の VーV 線断面図で転動体を装着するときの状態を示す図である。
【図6】図4の間座における間座本体の斜視図である。
【図7】従来の旋回軸受周辺の縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【符号の説明】
1 下部走行体
2 上部走行体
3 旋回フレーム
8 旋回装置
9 減速機
10 旋回モータ
11 旋回軸受
12 内輪
12A 転動面
12B リング状の内歯車(リングギヤ)
13 丸胴
14 グリース供給間隙
14A グリース導入口
15 グリースバス
16 外輪
16A 転動面
17 グリース溜り
18 転動体収容空間
19 シール部材
20 転動体
21 間座
21A 間座本体
21B プラスチックグリース
21C 凹球面部
21F 主グリース充填室
21G グリース供給路
Claims (1)
- 上部旋回体側の駆動ピニオンと噛み合う内歯車を有し下部走行体側に固定されて内部にグリースバスを設ける内輪と、グリース供給間隙を設けるように内輪を囲んで上部旋回体側に固定される外輪とを備え、外輪と内輪との間に環状の転動体収容空間を形成して、この転動体収容空間内に多数の転動体と間座を収容して間座を転動体間に配置するとともに、グリースバス内のグリースを導入するためのグリース導入口をグリース供給間隙に連通させて同間隙の下部を密封した旋回軸受において、内輪の内歯車と駆動ピニオンとの噛み合い部を潤滑して上方に達したグリースを取り込めるようにグリース導入口を形成するとともに、間座本体にプラスチックグリースを充填して間座本体の外周部からプラスチックグリース内のグリースを供給できるように間座を構成して、グリース供給間隙内に供給されたグリースバス内のグリースをグリースバスに循環させることなく内輪及び外輪と転動体との接触部を潤滑するように構成したことを特徴とする旋回軸受。
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