JP2004149722A - 熱伝導性高分子成形体 - Google Patents
熱伝導性高分子成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004149722A JP2004149722A JP2002318969A JP2002318969A JP2004149722A JP 2004149722 A JP2004149722 A JP 2004149722A JP 2002318969 A JP2002318969 A JP 2002318969A JP 2002318969 A JP2002318969 A JP 2002318969A JP 2004149722 A JP2004149722 A JP 2004149722A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid crystalline
- thermally conductive
- polymer
- conductive polymer
- molded article
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K19/00—Liquid crystal materials
- C09K19/04—Liquid crystal materials characterised by the chemical structure of the liquid crystal components, e.g. by a specific unit
- C09K19/38—Polymers
- C09K19/3804—Polymers with mesogenic groups in the main chain
- C09K19/3809—Polyesters; Polyester derivatives, e.g. polyamides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L101/00—Compositions of unspecified macromolecular compounds
- C08L101/12—Compositions of unspecified macromolecular compounds characterised by physical features, e.g. anisotropy, viscosity or electrical conductivity
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K19/00—Liquid crystal materials
- C09K19/04—Liquid crystal materials characterised by the chemical structure of the liquid crystal components, e.g. by a specific unit
- C09K19/38—Polymers
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K19/00—Liquid crystal materials
- C09K19/04—Liquid crystal materials characterised by the chemical structure of the liquid crystal components, e.g. by a specific unit
- C09K19/38—Polymers
- C09K19/3833—Polymers with mesogenic groups in the side chain
- C09K19/3838—Polyesters; Polyester derivatives
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K19/00—Liquid crystal materials
- C09K19/52—Liquid crystal materials characterised by components which are not liquid crystals, e.g. additives with special physical aspect: solvents, solid particles
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
- Y10T—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
- Y10T428/00—Stock material or miscellaneous articles
- Y10T428/249921—Web or sheet containing structurally defined element or component
- Y10T428/249924—Noninterengaged fiber-containing paper-free web or sheet which is not of specified porosity
- Y10T428/24994—Fiber embedded in or on the surface of a polymeric matrix
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
- Y10T—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
- Y10T428/00—Stock material or miscellaneous articles
- Y10T428/249921—Web or sheet containing structurally defined element or component
- Y10T428/249924—Noninterengaged fiber-containing paper-free web or sheet which is not of specified porosity
- Y10T428/24994—Fiber embedded in or on the surface of a polymeric matrix
- Y10T428/249942—Fibers are aligned substantially parallel
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)
Abstract
【課題】優れた熱伝導性を発揮することができる熱伝導性高分子成形体を提供する。
【解決手段】熱伝導性高分子成形体は、液晶性高分子を含有する液晶性組成物から得られる。この熱伝導性高分子成形体における液晶性高分子の配向度αは、0.5以上1.0未満の範囲である。この配向度αは、X線回折測定から下記式(1)によって求められる値である。
配向度α=(180−Δβ)/180・・・(1)
(ただし、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布における半値幅を表す。)
また、液晶性組成物には、液晶性高分子100重量部に対し、100重量部未満の熱伝導性充填剤を含有させることが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】熱伝導性高分子成形体は、液晶性高分子を含有する液晶性組成物から得られる。この熱伝導性高分子成形体における液晶性高分子の配向度αは、0.5以上1.0未満の範囲である。この配向度αは、X線回折測定から下記式(1)によって求められる値である。
配向度α=(180−Δβ)/180・・・(1)
(ただし、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布における半値幅を表す。)
また、液晶性組成物には、液晶性高分子100重量部に対し、100重量部未満の熱伝導性充填剤を含有させることが好ましい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品等から発生する熱を伝導する熱伝導性高分子成形体に関し、さらに詳しくは、優れた熱伝導性を発揮することができる熱伝導性高分子成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器においては高性能化、小型化、軽量化等に伴って半導体パッケージの高密度実装化、LSIの高集積化及び高速化等が行われている。これらに伴って、各種の電子部品において発生する熱が増大するため、電子部品から熱を効果的に外部へ放散させる熱対策が非常に重要な課題になっている。このような熱対策として、プリント配線基板、半導体パッケージ、筐体、ヒートパイプ、放熱板、熱拡散板等の放熱部材には、金属、セラミックス、高分子組成物等の放熱材料からなる熱伝導性成形体が適用されている。
【0003】
これらの放熱部材の中でも、高分子組成物からなる熱伝導性成形体(以下、熱伝導性高分子成形体という。)は、任意の形状に成形加工し易く、比較的軽量であることから広く利用されている。
【0004】
熱伝導性高分子成形体を構成する高分子組成物は、樹脂、ゴム等の高分子マトリックス材料中に、熱伝導率の高い熱伝導性充填剤を配合したものが知られている。熱伝導性充填剤としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、石英等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、金、銀、銅等の金属、炭素繊維、黒鉛等が用いられている。
【0005】
一方、電子部品の実装工程及び使用時の高い温度環境でも変形が生じない耐熱性が要求される用途には、マトリックスの樹脂としては成形加工性が良好で耐熱性に優れる熱液晶性高分子を用いた高分子組成物及び熱伝導性高分子成形体が提唱されている。この種の高分子組成物としては、熱伝導性充填剤として50〜90重量%のジルコンと50〜10重量%の熱液晶性高分子を含む熱伝導性に優れる電気絶縁性組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。さらに、炭素繊維等の熱伝導性充填剤20〜80重量%と熱液晶性高分子80〜20重量%を含む組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−271465号公報(段落番号[0011])
【特許文献2】
特表2001−523892号公報(段落番号[0037])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近の電子部品はその高性能化に伴って発熱量が増大しているため、上記従来の技術の組成物から得られる熱伝導性高分子成形体では熱伝導性が不十分となっている。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、優れた熱伝導性を発揮することができる熱伝導性高分子成形体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の熱伝導性高分子成形体では、液晶性高分子を含有する液晶性組成物から得られる熱伝導性高分子成形体であって、X線回折測定から下記式(1)によって求められる前記液晶性高分子の配向度αが、0.5以上1.0未満の範囲であることを特徴とする。
【0010】
配向度α=(180−Δβ)/180・・・(1)
(ただし、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布における半値幅を表す。)
請求項2に記載の発明の熱伝導性高分子成形体では、請求項1に記載の発明において、前記液晶性組成物は、液晶性高分子100重量部に対し、100重量部未満の熱伝導性充填剤を含有するものである。
【0011】
請求項3に記載の発明の熱伝導性高分子成形体では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記液晶性高分子は、加熱溶融すると光学的異方性溶融相を示す熱液晶性高分子であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明の熱伝導性高分子成形体では、請求項3に記載の発明において、前記熱液晶性高分子が(A)全芳香族ポリエステル及び(B)全芳香族ポリエステルアミドから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における熱伝導性高分子成形体は、液晶性高分子を含有する液晶性組成物から得られる。また、この熱伝導性高分子成形体における液晶性高分子の配向度αは、0.5以上1.0未満の範囲である。この液晶性高分子の配向度αは、X線回折測定としての広角X線回折測定(透過)から下記式(1)によって求められた値である。
【0014】
配向度α=(180−Δβ)/180・・・(1)
(ただし、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布における半値幅を表す。)
この熱伝導性高分子成形体は、プリント配線基板、半導体パッケージ、筐体、ヒートパイプ、放熱板、熱拡散板等の放熱部材に適用することができ、各種電子部品で発生する熱を伝導伝熱させ、電子機器の外部に放熱することができるものである。
【0015】
まず、液晶性組成物について詳述する。液晶性組成物に含有する液晶性高分子は、液晶状態において高分子の分子鎖が規則的に配列することによって光学的異方性溶融相を示すものである。この光学的異方性は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法によって確認することができる。液晶性高分子の具体例としては、熱液晶性高分子(サーモトロピック液晶性高分子)及びリオトロピック液晶性高分子が挙げられる。
【0016】
熱液晶性高分子は、熱可塑性を有する高分子であって、加熱溶融すると、ある温度範囲で光学的異方性溶融相を示す液晶状態となる液晶性高分子である。熱液晶性高分子は細長く、扁平で分子の長鎖に沿って剛性が高い分子鎖を有するものから構成される。そして、同軸又は平行のいずれかの関係にある複数の分子鎖は、連鎖伸長結合を有している。一方、リオトロピック液晶性高分子は溶媒に溶解すると、ある濃度範囲において光学的異方性を示す液晶状態となる液晶性高分子である。
【0017】
これらの液晶性高分子の中でも、好ましくは熱液晶性高分子である。液晶性高分子として熱液晶性高分子を配合した場合、溶媒を使用せず、加熱溶融によって液晶状態を発現するため、液晶性高分子を容易に配向させることができる。
【0018】
熱液晶性高分子の具体例としては、熱液晶性ポリエステル、熱液晶性ポリエステルアミド、熱液晶性ポリエステルエーテル、熱液晶性ポリエステルカーボネート、熱液晶性ポリエステルイミド等が挙げられる。また、熱液晶性高分子の分類としては、主鎖型の熱液晶性高分子、側鎖型の熱液晶性高分子及び複合型の熱液晶性高分子等が挙げられる。主鎖型の熱液晶性高分子は、液晶構造発現のもととなるメソゲン基が主鎖に入ったものいい、ポリエステルのコポリマー(ポリエチレンテレフタレートとヒドロキシ安息香酸のコポリマー等)、ヒドロキシナフトエ酸とヒドロキシ安息香酸のコポリマー等が挙げられる。側鎖型の熱液晶性高分子は、メソゲン基が側鎖に入ったものをいい、エチレン系やシロキサン系等の主鎖にメソゲン基が側鎖として連なった構造を繰り返し単位として含むものである。複合型の熱液晶性高分子は、主鎖型と側鎖型が複合されたものをいう。
【0019】
熱液晶性ポリエステルとしては、例えば熱液晶性全芳香族ポリエステル(A)が挙げられる。熱液晶性全芳香族ポリエステルとは、一般に光学的異方性溶融相を形成するセグメント部分が芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成されたものをいう。本実施形態における熱液晶性全芳香族ポリエステルは、光学的異方性溶融相を形成しないセグメント部分を脂肪族又は脂環族の酸とアルコールによるエステルで構成することも可能である。また、本実施形態における熱液晶性全芳香族ポリエステルは、光学的異方性溶融相を形成するセグメント部分を脂肪族又は脂環族の酸とアルコールによるエステルで構成し、光学的異方性溶融相を形成しないセグメント部分を芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成することも可能である。さらに、脂肪族又は脂環族の酸と、芳香族アルコールとによるエステルで構成することも可能である。加えて、脂肪族又は脂環族のアルコールと、芳香族カルボン酸とによるエステルで構成することも可能である。
【0020】
熱液晶性全芳香族ポリエステルの構成成分としては、(a)芳香族ジカルボン酸系化合物及び脂環族ジカルボン酸系化合物の少なくとも一種、(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくとも一種、(c)芳香族ジオール系、脂環族ジオール系及び脂環族ジオール系化合物の少なくとの一種、(d)芳香族ジチオール系、芳香族チオフェノール系及び芳香族チオールカルボン酸系化合物の少なくとも一種、(e)芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミン系化合物の少なくとも一種、等が挙げられる。これらの成分(a)〜(e)は単独で構成してもよいが、好ましくは(a)及び(c)、(a)及び(d)、(a)、(b)及び(c)、(a)、(b)及び(e)、(a)、(b)、(c)及び(e)等のように組み合わせて構成される。
【0021】
芳香族ジカルボン酸系化合物(a)としては、芳香族ジカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸誘導体は、芳香族ジカルボン酸にアルキル、アルコキシ及びハロゲン等の置換基を導入したものであって、クロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸等が挙げられる。
【0022】
脂環族ジカルボン酸系化合物(a)としては、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸誘導体は、脂環族ジカルボン酸にアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、トランス−1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジカルボン酸トランス−1,4−(2−クロル)シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
【0023】
芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物(b)としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸にアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメエチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0024】
芳香族ジオール系化合物(c)としては、芳香族ジオール及びその誘導体が挙げられる。芳香族ジオールとしては、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−ジヒドロキシトリフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。芳香族ジオール誘導体は、芳香族ジオールにアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等が挙げられる。
【0025】
脂環族ジオール系化合物(c)としては、脂環族ジオール及びその誘導体が挙げられる。脂環族ジオールとしては、トランス−1,4−シクロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。脂環族ジオール誘導体は、脂環族ジオールにアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、トランス−1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−(2−クロロ)シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
【0026】
脂肪族ジオール系化合物(c)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の直鎖状又は分岐状脂肪族ジオールが挙げられる。
【0027】
芳香族ジチオール系化合物(d)としては、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙げられる。
【0028】
芳香族チオフェノール系化合物(d)としては、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
芳香族チオールカルボン酸系化合物(d)としては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0029】
芳香族ヒドロキシアミン系化合物(e)としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−エチレンジアニリン等が挙げられる。
【0030】
芳香族ジアミン系化合物(e)としては、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられる。
【0031】
熱液晶性ポリエステルアミドとしては、例えば全芳香族ポリエステルアミド(B)が挙げられる。全芳香族ポリエステルアミドとしては、芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸、芳香族オキシアミノ化合物及びこれらの誘導体から選ばれる二種以上の構成成分から組み合わせられるものが挙げられる。
【0032】
これらの熱液晶性高分子の中でも、熱伝導性に優れる熱伝導性高分子成形体が容易に得られることから、好ましくは全芳香族ポリエステル(A)及び全芳香族ポリエステルアミド(B)から選ばれる少なくとも一種、さらに好ましくは全芳香族ポリエステル(A)である。
【0033】
液晶性組成物には、耐熱性、成形加工性等を改良するためにその他の高分子を少量配合することができる。その他の高分子としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン、アクリル系高分子、ポリサルホン、シリコーン系高分子、ハロゲン系高分子、オレフィン系高分子等が挙げられる。
【0034】
また、液晶性組成物には必要に応じて顔料、染料、蛍光増白剤、分散剤、安定剤、紫外線吸収剤、エネルギー消光剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、溶剤等を少量添加することも可能である。
【0035】
さらに、液晶性組成物には熱伝導性高分子成形体の熱伝導性を向上させるために熱伝導性充填剤を適量配合することも可能である。熱伝導性充填剤としては、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、金属被覆樹脂、炭素繊維、黒鉛化炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、球状黒鉛粒子、メソカーボンマイクロビーズ、ウィスカー状カーボン、マイクロコイル状カーボン、ナノコイル状カーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等が挙げられる。金属としては、銀、銅、金、白金、ジルコン等、金属酸化物としては酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等、金属窒化物としては窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等、金属炭化物としては炭化ケイ素等、金属水酸化物としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの熱伝導性充填剤の配合量は、液晶性高分子100重量部に対して、好ましくは100重量部未満、より好ましくは80重量部未満、さらに好ましくは70重量部未満である。この配合量が液晶性高分子100重量部に対して100重量部以上であると、熱伝導性高分子成形体の密度を高めてしまい、適用物の軽量化を妨げるおそれがある。適用物の軽量化がさらに要求される場合は、液晶性組成物には実質的に熱伝導性充填剤を含有しないことが好ましい。ここで、実質的に熱伝導性充填剤を含有しない液晶性組成物として、好ましくは液晶性高分子100重量部に対して熱伝導性充填剤が5重量部以下の液晶性組成物、より好ましくは液晶性高分子100重量部に対して熱伝導性充填剤が1重量部以下の液晶性組成物、さらに好ましくは液晶性高分子のみからなる液晶性組成物である。
【0036】
液晶性高分子としてリオトロピック液晶性高分子を配合する場合は、リオトロピック液晶性高分子を溶解させるための溶媒が配合される。溶媒としては、リオトロピック液晶性高分子が溶解するものであれば特に限定されないが、溶媒は熱伝導性充填剤の分散媒にもなるため、熱伝導性充填剤の分散性を考慮して選択することが好ましい。溶媒の配合量は、リオトロピック液晶性高分子が液晶状態を発現する量に設定される。
【0037】
次に、熱伝導性高分子成形体について詳述する。
熱伝導性高分子成形体における液晶性高分子の配向度αは、熱伝導性高分子成形体の広角X線回折測定(透過)によって求められる値を示す。配向度αを求めるには、まず熱伝導性高分子成形体について広角X線回折測定を行うことにより、図1に示すような赤道方向の回折パターンを得る。この回折パターンにおいて、2θ=20度の位置に確認される回折ピークは、液晶性高分子鎖間の距離を表すとされている。この回折ピークの角度(ピーク散乱角)は、液晶性高分子の構造の違いや液晶性組成物の配合の違いによって、20度を前後して、約15〜30度の範囲となる場合もあるが、概ね20度である。この回折ピークの角度(ピーク散乱角)を20度に固定して、さらに方位角方向に0度から360度までの強度を測定することにより、図2に示すような方位角方向の強度分布が得られる。この方位角方向の強度分布において、ピーク高さの半分の位置における幅(半値幅Δβ)を求める。この半値幅Δβを上記(1)式に代入することによって配向度αを算出する。図2に示す方位角方向の強度分布の場合、配向度αは0.83である。
【0038】
配向度αの範囲は0.5以上1.0未満、好ましくは0.55以上1.0未満、さらに好ましくは0.6以上1.0未満、最も好ましくは0.7以上1.0未満である。この配向度αが0.5未満であると、熱伝導率λが低く、十分な熱伝導性が得られない。一方、1.0以上の配向度αは、半値幅Δβが常に正の値を示すため、上記(1)式からはとりえない範囲となる。配向度αの範囲が0.5以上1.0未満であると、熱伝導率λが高く、優れた熱伝導性を発揮することができる。
【0039】
液晶性高分子として熱液晶性高分子を含有する液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を得るには、まず成形装置によって熱液晶性高分子を加熱溶融させるとともに、配向度αが0.5以上1.0未満となるように熱液晶性高分子を配向させる。次に、熱液晶性高分子が配向した状態で、溶融状態の熱液晶性高分子を冷却固化させ、液晶状態から固体状態に相転移させることにより、上記の範囲の配向度αを有する熱伝導性高分子成形体を得ることができる。
【0040】
液晶性高分子としてリオトロピック液晶性高分子を含有する液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を得るには、まず成形装置によって液晶性組成物を溶液成形するとともに、配向度αが0.5以上1.0未満となるようにリオトロピック液晶性高分子を配向させる。次に、リオトロピック液晶性高分子が配向した状態で、揮発等によって溶媒を除去させ、リオトロピック液晶性高分子を液晶状態から固体状態に相転移させることによって上記の範囲の配向度αを有する熱伝導性高分子成形体を得ることができる。
【0041】
液晶性高分子を配向させる方法としては、流動場、せん断場、磁場及び電場から選ばれる少なくとも一種の場による配向方法が挙げられる。これらの配向方法の中でも、配向する方向及び配向度を容易に制御できることから、磁場による配向方法が好ましい。磁場を利用して液晶性高分子を配向するには、液晶状態の液晶性高分子に磁場を印加し、液晶性高分子の剛直な分子鎖を磁力線と平行方向又は垂直方向に配向させる。続いて、磁場を印加した状態で液晶性高分子を液晶状態から固体状態に相転移させる。ここで、液晶性高分子の配向度αは、磁場の磁束密度、磁場の印加時間等によって0.5以上1.0未満となるように設定することができる。
【0042】
磁場を発生する磁場発生手段としては、永久磁石、電磁石、超電導磁石、コイル等が挙げられる。これらの磁場発生手段の中でも、実用的な磁束密度を有する磁場を発生させることができることから超電導磁石が好ましい。
【0043】
液晶性高分子に印加する磁場の磁束密度は、好ましくは1〜20テスラ(T)、さらに好ましくは2〜20T、最も好ましくは3〜20Tである。この磁束密度が1T未満であると、液晶性高分子の剛直な分子鎖を十分に配向させることができないおそれがあり、配向度αが0.5以上の熱伝導性高分子成形体が得られにくくなるおそれがある。一方、磁束密度が20Tを超える磁場は、実用上得られにくい。この磁束密度の範囲が3〜20Tであると、高い熱伝導率λを有する熱伝導性高分子成形体が得られるとともに、実用的である。
【0044】
成形装置としては、射出成形装置、押出成形装置、プレス成形装置等の合成樹脂を成形する装置を用いることができる。液晶性組成物は、シート状、フィルム状、ブロック状、粒状、繊維状等の様々な形状の熱伝導性高分子成形体に成形することができる。
【0045】
熱伝導性高分子成形体の熱伝導率λは、液晶性高分子の分子鎖が一定方向に配向され、その配向度αが上記の範囲に設定されることによって、その分子鎖方向に極めて高くなる。この熱伝導率λの値は、好ましくは0.7〜20W/(m・K)、さらに好ましくは1.0〜10W/(m・K)、最も好ましくは2.0〜10W/(m・K)である。この熱伝導率λが0.7W/(m・K)未満であると、電子部品から発生する熱を効果的に外部へ伝えることが困難になるおそれがある。一方、20W/(m・K)を超える熱伝導性高分子成形体を得るのは液晶性高分子の物性を考慮すると困難である。
【0046】
この熱伝導性高分子成形体の密度は、好ましくは1.10g/cm3以上、2.10g/cm3未満、さらに好ましくは1.20g/cm3以上、1.90g/cm3未満、最も好ましくは1.30g/cm3以上、1.80g/cm3未満である。この密度が2.10g/cm3以上であると、適用物の軽量化を妨げるおそれがある。一方、1.10未満である熱伝導性高分子成形体を得るのは、液晶性高分子の物性を考慮すると困難である。
【0047】
この熱伝導性高分子成形体をシート状に成形する場合、その厚さは好ましくは0.02〜10mm、さらに好ましくは0.1〜7mm、最も好ましくは0.2〜5mmである。この厚さが0.02mm未満であると、適用物に適用する際、操作性が悪くなるおそれがある。一方、10mmを超えると、電子機器等の適用物を軽量化することが困難となるおそれがある。
【0048】
続いて、液晶性高分子として熱液晶性高分子を配合した液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を製造する方法について図5〜図7に基づいて詳細に説明する。図5に示すように、熱伝導性高分子成形体としてのシート状の熱伝導性シート11は、プリント配線基板、放熱シート等の放熱部材として電子機器等に適用することができるものである。
【0049】
まず、熱伝導性シート11の厚さ方向(図5におけるZ軸方向)に熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を配向させる場合について説明する。図6に示すように、金型12aの内部には、キャビティ13aがシート状に形成されている。また、金型12aの上下には磁場発生手段としての一対の永久磁石14aが配設され、永久磁石14aによって発生する磁場の磁力線M1は、キャビティ13aの厚さ方向に一致するようになっている。
【0050】
このキャビティ13aに熱液晶性高分子が溶融状態となった液晶性組成物15を充填させる。ここで、金型12aには図示しない加熱装置が備えられ、キャビティ13aに充填された液晶性組成物15に含有する熱液晶性高分子は溶融状態に維持される。次に、永久磁石14aによってキャビティ13aに充填された液晶性組成物15に所定の磁束密度の磁場を印加する。このとき、磁力線M1は、シート状の液晶性組成物15の厚さ方向に一致するため、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖をシート状の液晶性組成物15の厚さ方向に配向することができる。この配向状態で熱液晶性高分子を冷却固化させて、金型12aから取り出すと熱液晶性高分子の剛直な分子鎖が厚さ方向に配向し、配向度αが0.5以上1.0未満である熱伝導性シート11を得ることができる。
【0051】
このとき、熱伝導性シート11の厚さ方向の配向度αは、0.5以上1.0未満である。従って、熱伝導性シート11は、厚さ方向に高い熱伝導率λを有し、厚さ方向に熱伝導性が要求される回路基板材料、半導体パッケージ用の放熱シート等に適用することができる。
【0052】
次に、熱伝導性シート11の面内方向(図5におけるX軸方向、Y軸方向等)に熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を配向させる場合について説明する。図7に示すように、金型12bに形成されるキャビティ13bの面内方向に磁力線M2が一致するように、一対の永久磁石14bを金型12bの両側方に対向させて配設する。次に、永久磁石14bによってキャビティ13bの内部に充填された液晶性組成物15に磁場を印加する。このとき、磁力線M2はシート状の液晶性組成物15の面内方向に一致するため、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を液晶性組成物15の面内方向に配向することができる。この配向状態で熱液晶性高分子を冷却固化させ、金型12bから取り出すと、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖が面内方向に配向した熱伝導性シート11を得ることができる。
【0053】
このとき、熱伝導性シート11の面内方向の配向度αは、0.5以上1.0未満である。従って、熱伝導性シート11は、面内方向に高い熱伝導率λを有し、面内方向に熱伝導性が要求される回路基板材料、半導体パッケージ用の放熱シート等に適用することができる。
【0054】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、液晶性高分子を含有する液晶性組成物から得られ、液晶性高分子の配向度αが0.5以上1.0未満の範囲である。従って、液晶性高分子の配向方向に高い熱伝導率λを有し、優れた熱伝導性を発揮することができる。また、液晶性組成物に熱伝導性充填剤を配合し、得られる熱伝導性高分子成形体の熱伝導性を向上させた場合でも、液晶性高分子の配向度αを上記の範囲に設定することによって、その熱伝導性がさらに向上される。従って、優れた熱伝導性を発揮することができる。
【0055】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、好ましくは液晶性高分子100重量部に対し、100重量部未満の熱伝導性充填剤を含有する。この場合、熱伝導性充填剤を多量に配合しないため、得られる熱伝導性高分子成形体は、適用物の軽量化に貢献することができる。さらに熱伝導性充填剤を多量に配合しないため、液晶性高分子に対する熱伝導性充填剤の分散性等を考慮する手間が省け、液晶性組成物を容易に製造することができる。加えて、液晶性組成物は液晶性高分子を主成分としているため、得られる熱伝導性高分子成形体は、液晶性高分子が有する電気絶縁性等の特性を発揮することができる。
【0056】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、液晶性高分子は熱液晶性高分子であることが好ましい。この場合、液晶性高分子を容易に配向させることができ、優れた熱伝導性を有する熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0057】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、熱液晶性高分子が(A)全芳香族ポリエステル及び(B)全芳香族ポリエステルアミドから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。このように構成した場合、光学的異方性溶融相を容易に発現させることができるとともに、これらの熱液晶性高分子の成形加工性は良好であって、種々の形状に容易に成形することができる。従って、熱液晶性高分子を容易に配向させることができるとともに、液晶性組成物を容易に成形することができ、優れた熱伝導性を有する熱伝導性高分子成形体をさらに容易に得ることができる。
【0058】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、液晶状態の液晶性高分子に磁場を印加することによって、液晶性高分子の剛直な分子鎖を一定方向に配向制御させている。このように構成した場合、液晶性高分子を容易に配向させることができ、優れた熱伝導性を有する熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0059】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記実施形態においては、液晶性高分子に熱伝導性充填剤を配合しているが、ガラス繊維等の通常の充填剤を配合してもよい。
【0060】
・ 前記永久磁石14a、14bは、金型12a、12bを挟むように一対配設されているが、一方の永久磁石14a、14bを省略してもよい。
・ 前記永久磁石14a、14bは、S極とN極とが互いに対向するように一対配設されているが、S極同士又はN極同士が対向するように配設してもよい。
【0061】
・ 前記磁力線M1、M2は、直線状であるが、曲線状等でもよい。また、前記永久磁石14a、14bは磁力線M1、M2が一方向に延びるように配設されているが、磁力線M1、M2が二方向以上に延びるように永久磁石14a、14bを配設してもよい。さらに、磁力線M1、M2又は金型12a、12bを回転させてもよい。
【0062】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
熱液晶性高分子として構成単位が4−ヒドロキシ安息香酸/(テレフタル酸とエチレングリコール)=80/20モル%である全芳香族ポリエステル(i)のペレットを脱湿乾燥し、射出成形によって、縦50mm×横50mm×厚み2mmのシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁束密度2.5テスラの超伝導磁石の磁場中で溶融させた後、同磁場中で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。磁力線の方向はシート状成形体の厚み方向とした。(実施例2及び実施例3)
実施例1と同一の全芳香族ポリエステル(i)のペレットを射出成形したシート状成形体を使用し、表1に記載の磁束密度に変更した以外は実施例1と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
(実施例4)
熱液晶性高分子として構成単位が4−ヒドロキシ安息香酸/(テレフタル酸とエチレングリコール)=60/40モル%からなる全芳香族ポリエステル(ii)を使用し、実施例1と同様にシート状成形体を作製した。このシート状成形体を使用し、磁束密度を5テスラとした以外は実施例1と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
(実施例5)
実施例4と同様にシート状成形体を得た。このシート状成形体を使用し、磁束密度を10テスラに変更した以外は実施例1と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例1)
実施例1と同一の全芳香族ポリエステル(i)のペレットを脱湿乾燥し、射出成形によって、縦50mm×横50mm×厚み2mmのシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁場を印加せずに溶融させた後、溶融状態で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例2)
比較例1と同様にシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁束密度1テスラの磁場中で溶融させた後、同磁場中で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。磁力線の方向はシート状の厚み方向とした。
(比較例3)
実施例4と同様にシート状成形体を作製した。このシート状成形体を使用し、比較例2と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
【0063】
実施例1〜5及び比較例1〜3の配向度αを株式会社マック・サイエンス製のX線回折装置を使用して算出した。実施例3のX線回折測定による赤道方向の回折パターンを図1に、回折ピーク角度2θ=20度における方位角分布を図2に示す。また、比較例1のX線回折測定による赤道方向の回折パターンを図3に、回折ピーク角度2θ=20度における方位角分布を図4に示す。
【0064】
実施例1〜5及び比較例1〜3の熱伝導率λをレーザーフラッシュ法で測定した。実施例1〜5及び比較例1〜3の配向度α及び熱伝導率λを表1に示す。
【0065】
【表1】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜5では、配向度αが0.7以上の熱伝導性高分子成形体が得られ、熱伝導率λが0.7W/(m・K)以上の優れた熱伝導性が発揮されている。また、実施例1〜5では、磁束密度を高くするほど、高い配向度αを有する熱伝導性高分子成形体が得られることがわかる。
【0066】
一方、比較例1〜3では、配向度αが0.41未満の熱伝導性高分子成形体であるため、熱伝導率λが0.38W/(m・K)以下の不十分な熱伝導性を示している。
【0067】
(実施例6)
実施例1と同一の全芳香族ポリエステル(i)100重量部に対し、黒鉛化された炭素繊維粉末(株式会社ペトカマテリアルズ製)60重量部を配合した混合物を押出機にて溶融混練し、ペレット状の液晶性組成物を得た。この液晶性組成物を脱湿乾燥し、射出成形によって、縦50mm×横50mm×厚み2mmのシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁束密度5テスラの超伝導磁石の磁場中で溶融させた後、同磁場中で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。磁力線の方向はシート状成形体の厚み方向とした。
(実施例7)
磁束密度を10テスラに変更した以外は実施例6と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
(実施例8)
実施例1と同一の全芳香族ポリエステル(i)100重量部に対し、アルミナ粉末(昭和電工株式会社製)50重量部を配合した混合物を押出機にて溶融混練し、ペレット状の液晶性組成物を得た。磁束密度を10テスラに変更した以外は実施例6と同様にして、液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を作製した。
(実施例9)
実施例4と同一の全芳香族ポリエステル(ii)100重量部に対し、黒鉛化された炭素繊維粉末(株式会社ペトカマテリアルズ製)60重量部を配合した混合物を押出機にて溶融混練し、ペレット状の液晶性組成物を得た。磁束密度を10テスラにした以外は実施例6と同様にして、液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例4)
実施例6と同様にして液晶性組成物を得た。この液晶性組成物を脱湿乾燥し、射出成形によって、縦50mm×横50mm×厚み2mmのシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁場を印加せずに溶融させた後、溶融状態で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例5)
実施例8と同様にして液晶性組成物を得た。比較例4と同様にして、この液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例6)
実施例9と同様にして液晶性組成物を得た。比較例4と同様にして、この液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を作製した。
【0068】
実施例6〜9及び比較例4〜6の配向度α及び熱伝導率λを表2に示す。
【0069】
【表2】
表2の結果から明らかなように、実施例6〜9では、配向度αが0.7以上の熱伝導性高分子成形体が得られるとともに、熱伝導性充填剤が配合されているため、熱伝導率λが1.1W/(m・K)以上の優れた熱伝導性が発揮されている。
【0070】
一方、比較例4〜6は、熱液晶性高分子と熱伝導性充填剤からなる液晶性組成物から得られる従来の熱伝導性高分子成形体である。このように熱伝導性充填剤を少量配合しても熱液晶性高分子が配向されていないと、熱伝導率λが0.43W/(m・K)未満の不十分な熱伝導性しか示さない。
【0071】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記液晶性高分子は、磁場発生手段によって発生される磁場が印加されることにより、前記液晶性高分子の配向度αが設定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱伝導性高分子成形体。このように構成した場合、配向度αを容易に設定することができる。
【0072】
(2) シート状をなし、少なくとも厚み方向の前記液晶性高分子の配向度αが0.5以上1.0未満の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項4、及び上記(1)のいずれか一項に記載の熱伝導性高分子成形体。このように構成した場合、厚み方向の熱伝導性が要求される回路基板材料、半導体パッケージ用の放熱シート等に適用することができる。
【0073】
(3) 少なくとも一方向の熱伝導率λが0.7〜20W/(m・K)であることを特徴とする請求項1から請求項4、上記(1)及び(2)のいずれか一項に記載の熱伝導性高分子成形体。このように構成した場合、所定の熱伝導率λを有する熱伝導性高分子成形体を提供することができる。
【0074】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の熱伝導性高分子成形体によれば、優れた熱伝導性を発揮することができる。
【0075】
請求項2に記載の発明の熱伝導性高分子成形体によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、適用物の軽量化に貢献することができる。
請求項3に記載の発明の熱伝導性高分子成形体によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0076】
請求項4に記載の発明の熱伝導性高分子成形体によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、熱伝導性高分子成形体をさらに容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における熱伝導性高分子成形体(実施例3)の赤道方向の回折パターンを示すグラフ。
【図2】実施の形態における熱伝導性高分子成形体(実施例3)の方位角方向の強度分布を示すグラフ。
【図3】従来の熱伝導性高分子成形体(比較例1)の赤道方向の回折パターンを示すグラフ。
【図4】従来の熱伝導性高分子成形体(比較例1)の方位角方向の強度分布を示すグラフ。
【図5】実施の形態における熱伝導性シートを示す斜視図。
【図6】厚さ方向に高い配向度を有する熱伝導性シートの製造方法を示す概念図。
【図7】面内方向に高い配向度を有する熱伝導性シートの製造方法を示す概念図。
【符号の説明】
11…熱伝導性高分子成形体としての熱伝導性シート、15…液晶性組成物、Δβ…半値幅。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品等から発生する熱を伝導する熱伝導性高分子成形体に関し、さらに詳しくは、優れた熱伝導性を発揮することができる熱伝導性高分子成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器においては高性能化、小型化、軽量化等に伴って半導体パッケージの高密度実装化、LSIの高集積化及び高速化等が行われている。これらに伴って、各種の電子部品において発生する熱が増大するため、電子部品から熱を効果的に外部へ放散させる熱対策が非常に重要な課題になっている。このような熱対策として、プリント配線基板、半導体パッケージ、筐体、ヒートパイプ、放熱板、熱拡散板等の放熱部材には、金属、セラミックス、高分子組成物等の放熱材料からなる熱伝導性成形体が適用されている。
【0003】
これらの放熱部材の中でも、高分子組成物からなる熱伝導性成形体(以下、熱伝導性高分子成形体という。)は、任意の形状に成形加工し易く、比較的軽量であることから広く利用されている。
【0004】
熱伝導性高分子成形体を構成する高分子組成物は、樹脂、ゴム等の高分子マトリックス材料中に、熱伝導率の高い熱伝導性充填剤を配合したものが知られている。熱伝導性充填剤としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、石英等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、金、銀、銅等の金属、炭素繊維、黒鉛等が用いられている。
【0005】
一方、電子部品の実装工程及び使用時の高い温度環境でも変形が生じない耐熱性が要求される用途には、マトリックスの樹脂としては成形加工性が良好で耐熱性に優れる熱液晶性高分子を用いた高分子組成物及び熱伝導性高分子成形体が提唱されている。この種の高分子組成物としては、熱伝導性充填剤として50〜90重量%のジルコンと50〜10重量%の熱液晶性高分子を含む熱伝導性に優れる電気絶縁性組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。さらに、炭素繊維等の熱伝導性充填剤20〜80重量%と熱液晶性高分子80〜20重量%を含む組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−271465号公報(段落番号[0011])
【特許文献2】
特表2001−523892号公報(段落番号[0037])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近の電子部品はその高性能化に伴って発熱量が増大しているため、上記従来の技術の組成物から得られる熱伝導性高分子成形体では熱伝導性が不十分となっている。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、優れた熱伝導性を発揮することができる熱伝導性高分子成形体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の熱伝導性高分子成形体では、液晶性高分子を含有する液晶性組成物から得られる熱伝導性高分子成形体であって、X線回折測定から下記式(1)によって求められる前記液晶性高分子の配向度αが、0.5以上1.0未満の範囲であることを特徴とする。
【0010】
配向度α=(180−Δβ)/180・・・(1)
(ただし、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布における半値幅を表す。)
請求項2に記載の発明の熱伝導性高分子成形体では、請求項1に記載の発明において、前記液晶性組成物は、液晶性高分子100重量部に対し、100重量部未満の熱伝導性充填剤を含有するものである。
【0011】
請求項3に記載の発明の熱伝導性高分子成形体では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記液晶性高分子は、加熱溶融すると光学的異方性溶融相を示す熱液晶性高分子であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明の熱伝導性高分子成形体では、請求項3に記載の発明において、前記熱液晶性高分子が(A)全芳香族ポリエステル及び(B)全芳香族ポリエステルアミドから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における熱伝導性高分子成形体は、液晶性高分子を含有する液晶性組成物から得られる。また、この熱伝導性高分子成形体における液晶性高分子の配向度αは、0.5以上1.0未満の範囲である。この液晶性高分子の配向度αは、X線回折測定としての広角X線回折測定(透過)から下記式(1)によって求められた値である。
【0014】
配向度α=(180−Δβ)/180・・・(1)
(ただし、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布における半値幅を表す。)
この熱伝導性高分子成形体は、プリント配線基板、半導体パッケージ、筐体、ヒートパイプ、放熱板、熱拡散板等の放熱部材に適用することができ、各種電子部品で発生する熱を伝導伝熱させ、電子機器の外部に放熱することができるものである。
【0015】
まず、液晶性組成物について詳述する。液晶性組成物に含有する液晶性高分子は、液晶状態において高分子の分子鎖が規則的に配列することによって光学的異方性溶融相を示すものである。この光学的異方性は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法によって確認することができる。液晶性高分子の具体例としては、熱液晶性高分子(サーモトロピック液晶性高分子)及びリオトロピック液晶性高分子が挙げられる。
【0016】
熱液晶性高分子は、熱可塑性を有する高分子であって、加熱溶融すると、ある温度範囲で光学的異方性溶融相を示す液晶状態となる液晶性高分子である。熱液晶性高分子は細長く、扁平で分子の長鎖に沿って剛性が高い分子鎖を有するものから構成される。そして、同軸又は平行のいずれかの関係にある複数の分子鎖は、連鎖伸長結合を有している。一方、リオトロピック液晶性高分子は溶媒に溶解すると、ある濃度範囲において光学的異方性を示す液晶状態となる液晶性高分子である。
【0017】
これらの液晶性高分子の中でも、好ましくは熱液晶性高分子である。液晶性高分子として熱液晶性高分子を配合した場合、溶媒を使用せず、加熱溶融によって液晶状態を発現するため、液晶性高分子を容易に配向させることができる。
【0018】
熱液晶性高分子の具体例としては、熱液晶性ポリエステル、熱液晶性ポリエステルアミド、熱液晶性ポリエステルエーテル、熱液晶性ポリエステルカーボネート、熱液晶性ポリエステルイミド等が挙げられる。また、熱液晶性高分子の分類としては、主鎖型の熱液晶性高分子、側鎖型の熱液晶性高分子及び複合型の熱液晶性高分子等が挙げられる。主鎖型の熱液晶性高分子は、液晶構造発現のもととなるメソゲン基が主鎖に入ったものいい、ポリエステルのコポリマー(ポリエチレンテレフタレートとヒドロキシ安息香酸のコポリマー等)、ヒドロキシナフトエ酸とヒドロキシ安息香酸のコポリマー等が挙げられる。側鎖型の熱液晶性高分子は、メソゲン基が側鎖に入ったものをいい、エチレン系やシロキサン系等の主鎖にメソゲン基が側鎖として連なった構造を繰り返し単位として含むものである。複合型の熱液晶性高分子は、主鎖型と側鎖型が複合されたものをいう。
【0019】
熱液晶性ポリエステルとしては、例えば熱液晶性全芳香族ポリエステル(A)が挙げられる。熱液晶性全芳香族ポリエステルとは、一般に光学的異方性溶融相を形成するセグメント部分が芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成されたものをいう。本実施形態における熱液晶性全芳香族ポリエステルは、光学的異方性溶融相を形成しないセグメント部分を脂肪族又は脂環族の酸とアルコールによるエステルで構成することも可能である。また、本実施形態における熱液晶性全芳香族ポリエステルは、光学的異方性溶融相を形成するセグメント部分を脂肪族又は脂環族の酸とアルコールによるエステルで構成し、光学的異方性溶融相を形成しないセグメント部分を芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成することも可能である。さらに、脂肪族又は脂環族の酸と、芳香族アルコールとによるエステルで構成することも可能である。加えて、脂肪族又は脂環族のアルコールと、芳香族カルボン酸とによるエステルで構成することも可能である。
【0020】
熱液晶性全芳香族ポリエステルの構成成分としては、(a)芳香族ジカルボン酸系化合物及び脂環族ジカルボン酸系化合物の少なくとも一種、(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくとも一種、(c)芳香族ジオール系、脂環族ジオール系及び脂環族ジオール系化合物の少なくとの一種、(d)芳香族ジチオール系、芳香族チオフェノール系及び芳香族チオールカルボン酸系化合物の少なくとも一種、(e)芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミン系化合物の少なくとも一種、等が挙げられる。これらの成分(a)〜(e)は単独で構成してもよいが、好ましくは(a)及び(c)、(a)及び(d)、(a)、(b)及び(c)、(a)、(b)及び(e)、(a)、(b)、(c)及び(e)等のように組み合わせて構成される。
【0021】
芳香族ジカルボン酸系化合物(a)としては、芳香族ジカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸誘導体は、芳香族ジカルボン酸にアルキル、アルコキシ及びハロゲン等の置換基を導入したものであって、クロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸等が挙げられる。
【0022】
脂環族ジカルボン酸系化合物(a)としては、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸誘導体は、脂環族ジカルボン酸にアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、トランス−1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジカルボン酸トランス−1,4−(2−クロル)シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
【0023】
芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物(b)としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸にアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメエチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0024】
芳香族ジオール系化合物(c)としては、芳香族ジオール及びその誘導体が挙げられる。芳香族ジオールとしては、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−ジヒドロキシトリフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。芳香族ジオール誘導体は、芳香族ジオールにアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等が挙げられる。
【0025】
脂環族ジオール系化合物(c)としては、脂環族ジオール及びその誘導体が挙げられる。脂環族ジオールとしては、トランス−1,4−シクロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。脂環族ジオール誘導体は、脂環族ジオールにアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、トランス−1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−(2−クロロ)シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
【0026】
脂肪族ジオール系化合物(c)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の直鎖状又は分岐状脂肪族ジオールが挙げられる。
【0027】
芳香族ジチオール系化合物(d)としては、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙げられる。
【0028】
芳香族チオフェノール系化合物(d)としては、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
芳香族チオールカルボン酸系化合物(d)としては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0029】
芳香族ヒドロキシアミン系化合物(e)としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−エチレンジアニリン等が挙げられる。
【0030】
芳香族ジアミン系化合物(e)としては、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられる。
【0031】
熱液晶性ポリエステルアミドとしては、例えば全芳香族ポリエステルアミド(B)が挙げられる。全芳香族ポリエステルアミドとしては、芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸、芳香族オキシアミノ化合物及びこれらの誘導体から選ばれる二種以上の構成成分から組み合わせられるものが挙げられる。
【0032】
これらの熱液晶性高分子の中でも、熱伝導性に優れる熱伝導性高分子成形体が容易に得られることから、好ましくは全芳香族ポリエステル(A)及び全芳香族ポリエステルアミド(B)から選ばれる少なくとも一種、さらに好ましくは全芳香族ポリエステル(A)である。
【0033】
液晶性組成物には、耐熱性、成形加工性等を改良するためにその他の高分子を少量配合することができる。その他の高分子としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン、アクリル系高分子、ポリサルホン、シリコーン系高分子、ハロゲン系高分子、オレフィン系高分子等が挙げられる。
【0034】
また、液晶性組成物には必要に応じて顔料、染料、蛍光増白剤、分散剤、安定剤、紫外線吸収剤、エネルギー消光剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、溶剤等を少量添加することも可能である。
【0035】
さらに、液晶性組成物には熱伝導性高分子成形体の熱伝導性を向上させるために熱伝導性充填剤を適量配合することも可能である。熱伝導性充填剤としては、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、金属被覆樹脂、炭素繊維、黒鉛化炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、球状黒鉛粒子、メソカーボンマイクロビーズ、ウィスカー状カーボン、マイクロコイル状カーボン、ナノコイル状カーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等が挙げられる。金属としては、銀、銅、金、白金、ジルコン等、金属酸化物としては酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等、金属窒化物としては窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等、金属炭化物としては炭化ケイ素等、金属水酸化物としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの熱伝導性充填剤の配合量は、液晶性高分子100重量部に対して、好ましくは100重量部未満、より好ましくは80重量部未満、さらに好ましくは70重量部未満である。この配合量が液晶性高分子100重量部に対して100重量部以上であると、熱伝導性高分子成形体の密度を高めてしまい、適用物の軽量化を妨げるおそれがある。適用物の軽量化がさらに要求される場合は、液晶性組成物には実質的に熱伝導性充填剤を含有しないことが好ましい。ここで、実質的に熱伝導性充填剤を含有しない液晶性組成物として、好ましくは液晶性高分子100重量部に対して熱伝導性充填剤が5重量部以下の液晶性組成物、より好ましくは液晶性高分子100重量部に対して熱伝導性充填剤が1重量部以下の液晶性組成物、さらに好ましくは液晶性高分子のみからなる液晶性組成物である。
【0036】
液晶性高分子としてリオトロピック液晶性高分子を配合する場合は、リオトロピック液晶性高分子を溶解させるための溶媒が配合される。溶媒としては、リオトロピック液晶性高分子が溶解するものであれば特に限定されないが、溶媒は熱伝導性充填剤の分散媒にもなるため、熱伝導性充填剤の分散性を考慮して選択することが好ましい。溶媒の配合量は、リオトロピック液晶性高分子が液晶状態を発現する量に設定される。
【0037】
次に、熱伝導性高分子成形体について詳述する。
熱伝導性高分子成形体における液晶性高分子の配向度αは、熱伝導性高分子成形体の広角X線回折測定(透過)によって求められる値を示す。配向度αを求めるには、まず熱伝導性高分子成形体について広角X線回折測定を行うことにより、図1に示すような赤道方向の回折パターンを得る。この回折パターンにおいて、2θ=20度の位置に確認される回折ピークは、液晶性高分子鎖間の距離を表すとされている。この回折ピークの角度(ピーク散乱角)は、液晶性高分子の構造の違いや液晶性組成物の配合の違いによって、20度を前後して、約15〜30度の範囲となる場合もあるが、概ね20度である。この回折ピークの角度(ピーク散乱角)を20度に固定して、さらに方位角方向に0度から360度までの強度を測定することにより、図2に示すような方位角方向の強度分布が得られる。この方位角方向の強度分布において、ピーク高さの半分の位置における幅(半値幅Δβ)を求める。この半値幅Δβを上記(1)式に代入することによって配向度αを算出する。図2に示す方位角方向の強度分布の場合、配向度αは0.83である。
【0038】
配向度αの範囲は0.5以上1.0未満、好ましくは0.55以上1.0未満、さらに好ましくは0.6以上1.0未満、最も好ましくは0.7以上1.0未満である。この配向度αが0.5未満であると、熱伝導率λが低く、十分な熱伝導性が得られない。一方、1.0以上の配向度αは、半値幅Δβが常に正の値を示すため、上記(1)式からはとりえない範囲となる。配向度αの範囲が0.5以上1.0未満であると、熱伝導率λが高く、優れた熱伝導性を発揮することができる。
【0039】
液晶性高分子として熱液晶性高分子を含有する液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を得るには、まず成形装置によって熱液晶性高分子を加熱溶融させるとともに、配向度αが0.5以上1.0未満となるように熱液晶性高分子を配向させる。次に、熱液晶性高分子が配向した状態で、溶融状態の熱液晶性高分子を冷却固化させ、液晶状態から固体状態に相転移させることにより、上記の範囲の配向度αを有する熱伝導性高分子成形体を得ることができる。
【0040】
液晶性高分子としてリオトロピック液晶性高分子を含有する液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を得るには、まず成形装置によって液晶性組成物を溶液成形するとともに、配向度αが0.5以上1.0未満となるようにリオトロピック液晶性高分子を配向させる。次に、リオトロピック液晶性高分子が配向した状態で、揮発等によって溶媒を除去させ、リオトロピック液晶性高分子を液晶状態から固体状態に相転移させることによって上記の範囲の配向度αを有する熱伝導性高分子成形体を得ることができる。
【0041】
液晶性高分子を配向させる方法としては、流動場、せん断場、磁場及び電場から選ばれる少なくとも一種の場による配向方法が挙げられる。これらの配向方法の中でも、配向する方向及び配向度を容易に制御できることから、磁場による配向方法が好ましい。磁場を利用して液晶性高分子を配向するには、液晶状態の液晶性高分子に磁場を印加し、液晶性高分子の剛直な分子鎖を磁力線と平行方向又は垂直方向に配向させる。続いて、磁場を印加した状態で液晶性高分子を液晶状態から固体状態に相転移させる。ここで、液晶性高分子の配向度αは、磁場の磁束密度、磁場の印加時間等によって0.5以上1.0未満となるように設定することができる。
【0042】
磁場を発生する磁場発生手段としては、永久磁石、電磁石、超電導磁石、コイル等が挙げられる。これらの磁場発生手段の中でも、実用的な磁束密度を有する磁場を発生させることができることから超電導磁石が好ましい。
【0043】
液晶性高分子に印加する磁場の磁束密度は、好ましくは1〜20テスラ(T)、さらに好ましくは2〜20T、最も好ましくは3〜20Tである。この磁束密度が1T未満であると、液晶性高分子の剛直な分子鎖を十分に配向させることができないおそれがあり、配向度αが0.5以上の熱伝導性高分子成形体が得られにくくなるおそれがある。一方、磁束密度が20Tを超える磁場は、実用上得られにくい。この磁束密度の範囲が3〜20Tであると、高い熱伝導率λを有する熱伝導性高分子成形体が得られるとともに、実用的である。
【0044】
成形装置としては、射出成形装置、押出成形装置、プレス成形装置等の合成樹脂を成形する装置を用いることができる。液晶性組成物は、シート状、フィルム状、ブロック状、粒状、繊維状等の様々な形状の熱伝導性高分子成形体に成形することができる。
【0045】
熱伝導性高分子成形体の熱伝導率λは、液晶性高分子の分子鎖が一定方向に配向され、その配向度αが上記の範囲に設定されることによって、その分子鎖方向に極めて高くなる。この熱伝導率λの値は、好ましくは0.7〜20W/(m・K)、さらに好ましくは1.0〜10W/(m・K)、最も好ましくは2.0〜10W/(m・K)である。この熱伝導率λが0.7W/(m・K)未満であると、電子部品から発生する熱を効果的に外部へ伝えることが困難になるおそれがある。一方、20W/(m・K)を超える熱伝導性高分子成形体を得るのは液晶性高分子の物性を考慮すると困難である。
【0046】
この熱伝導性高分子成形体の密度は、好ましくは1.10g/cm3以上、2.10g/cm3未満、さらに好ましくは1.20g/cm3以上、1.90g/cm3未満、最も好ましくは1.30g/cm3以上、1.80g/cm3未満である。この密度が2.10g/cm3以上であると、適用物の軽量化を妨げるおそれがある。一方、1.10未満である熱伝導性高分子成形体を得るのは、液晶性高分子の物性を考慮すると困難である。
【0047】
この熱伝導性高分子成形体をシート状に成形する場合、その厚さは好ましくは0.02〜10mm、さらに好ましくは0.1〜7mm、最も好ましくは0.2〜5mmである。この厚さが0.02mm未満であると、適用物に適用する際、操作性が悪くなるおそれがある。一方、10mmを超えると、電子機器等の適用物を軽量化することが困難となるおそれがある。
【0048】
続いて、液晶性高分子として熱液晶性高分子を配合した液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を製造する方法について図5〜図7に基づいて詳細に説明する。図5に示すように、熱伝導性高分子成形体としてのシート状の熱伝導性シート11は、プリント配線基板、放熱シート等の放熱部材として電子機器等に適用することができるものである。
【0049】
まず、熱伝導性シート11の厚さ方向(図5におけるZ軸方向)に熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を配向させる場合について説明する。図6に示すように、金型12aの内部には、キャビティ13aがシート状に形成されている。また、金型12aの上下には磁場発生手段としての一対の永久磁石14aが配設され、永久磁石14aによって発生する磁場の磁力線M1は、キャビティ13aの厚さ方向に一致するようになっている。
【0050】
このキャビティ13aに熱液晶性高分子が溶融状態となった液晶性組成物15を充填させる。ここで、金型12aには図示しない加熱装置が備えられ、キャビティ13aに充填された液晶性組成物15に含有する熱液晶性高分子は溶融状態に維持される。次に、永久磁石14aによってキャビティ13aに充填された液晶性組成物15に所定の磁束密度の磁場を印加する。このとき、磁力線M1は、シート状の液晶性組成物15の厚さ方向に一致するため、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖をシート状の液晶性組成物15の厚さ方向に配向することができる。この配向状態で熱液晶性高分子を冷却固化させて、金型12aから取り出すと熱液晶性高分子の剛直な分子鎖が厚さ方向に配向し、配向度αが0.5以上1.0未満である熱伝導性シート11を得ることができる。
【0051】
このとき、熱伝導性シート11の厚さ方向の配向度αは、0.5以上1.0未満である。従って、熱伝導性シート11は、厚さ方向に高い熱伝導率λを有し、厚さ方向に熱伝導性が要求される回路基板材料、半導体パッケージ用の放熱シート等に適用することができる。
【0052】
次に、熱伝導性シート11の面内方向(図5におけるX軸方向、Y軸方向等)に熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を配向させる場合について説明する。図7に示すように、金型12bに形成されるキャビティ13bの面内方向に磁力線M2が一致するように、一対の永久磁石14bを金型12bの両側方に対向させて配設する。次に、永久磁石14bによってキャビティ13bの内部に充填された液晶性組成物15に磁場を印加する。このとき、磁力線M2はシート状の液晶性組成物15の面内方向に一致するため、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖を液晶性組成物15の面内方向に配向することができる。この配向状態で熱液晶性高分子を冷却固化させ、金型12bから取り出すと、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖が面内方向に配向した熱伝導性シート11を得ることができる。
【0053】
このとき、熱伝導性シート11の面内方向の配向度αは、0.5以上1.0未満である。従って、熱伝導性シート11は、面内方向に高い熱伝導率λを有し、面内方向に熱伝導性が要求される回路基板材料、半導体パッケージ用の放熱シート等に適用することができる。
【0054】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、液晶性高分子を含有する液晶性組成物から得られ、液晶性高分子の配向度αが0.5以上1.0未満の範囲である。従って、液晶性高分子の配向方向に高い熱伝導率λを有し、優れた熱伝導性を発揮することができる。また、液晶性組成物に熱伝導性充填剤を配合し、得られる熱伝導性高分子成形体の熱伝導性を向上させた場合でも、液晶性高分子の配向度αを上記の範囲に設定することによって、その熱伝導性がさらに向上される。従って、優れた熱伝導性を発揮することができる。
【0055】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、好ましくは液晶性高分子100重量部に対し、100重量部未満の熱伝導性充填剤を含有する。この場合、熱伝導性充填剤を多量に配合しないため、得られる熱伝導性高分子成形体は、適用物の軽量化に貢献することができる。さらに熱伝導性充填剤を多量に配合しないため、液晶性高分子に対する熱伝導性充填剤の分散性等を考慮する手間が省け、液晶性組成物を容易に製造することができる。加えて、液晶性組成物は液晶性高分子を主成分としているため、得られる熱伝導性高分子成形体は、液晶性高分子が有する電気絶縁性等の特性を発揮することができる。
【0056】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、液晶性高分子は熱液晶性高分子であることが好ましい。この場合、液晶性高分子を容易に配向させることができ、優れた熱伝導性を有する熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0057】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、熱液晶性高分子が(A)全芳香族ポリエステル及び(B)全芳香族ポリエステルアミドから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。このように構成した場合、光学的異方性溶融相を容易に発現させることができるとともに、これらの熱液晶性高分子の成形加工性は良好であって、種々の形状に容易に成形することができる。従って、熱液晶性高分子を容易に配向させることができるとともに、液晶性組成物を容易に成形することができ、優れた熱伝導性を有する熱伝導性高分子成形体をさらに容易に得ることができる。
【0058】
・ この実施形態の熱伝導性高分子成形体においては、液晶状態の液晶性高分子に磁場を印加することによって、液晶性高分子の剛直な分子鎖を一定方向に配向制御させている。このように構成した場合、液晶性高分子を容易に配向させることができ、優れた熱伝導性を有する熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0059】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 前記実施形態においては、液晶性高分子に熱伝導性充填剤を配合しているが、ガラス繊維等の通常の充填剤を配合してもよい。
【0060】
・ 前記永久磁石14a、14bは、金型12a、12bを挟むように一対配設されているが、一方の永久磁石14a、14bを省略してもよい。
・ 前記永久磁石14a、14bは、S極とN極とが互いに対向するように一対配設されているが、S極同士又はN極同士が対向するように配設してもよい。
【0061】
・ 前記磁力線M1、M2は、直線状であるが、曲線状等でもよい。また、前記永久磁石14a、14bは磁力線M1、M2が一方向に延びるように配設されているが、磁力線M1、M2が二方向以上に延びるように永久磁石14a、14bを配設してもよい。さらに、磁力線M1、M2又は金型12a、12bを回転させてもよい。
【0062】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
熱液晶性高分子として構成単位が4−ヒドロキシ安息香酸/(テレフタル酸とエチレングリコール)=80/20モル%である全芳香族ポリエステル(i)のペレットを脱湿乾燥し、射出成形によって、縦50mm×横50mm×厚み2mmのシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁束密度2.5テスラの超伝導磁石の磁場中で溶融させた後、同磁場中で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。磁力線の方向はシート状成形体の厚み方向とした。(実施例2及び実施例3)
実施例1と同一の全芳香族ポリエステル(i)のペレットを射出成形したシート状成形体を使用し、表1に記載の磁束密度に変更した以外は実施例1と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
(実施例4)
熱液晶性高分子として構成単位が4−ヒドロキシ安息香酸/(テレフタル酸とエチレングリコール)=60/40モル%からなる全芳香族ポリエステル(ii)を使用し、実施例1と同様にシート状成形体を作製した。このシート状成形体を使用し、磁束密度を5テスラとした以外は実施例1と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
(実施例5)
実施例4と同様にシート状成形体を得た。このシート状成形体を使用し、磁束密度を10テスラに変更した以外は実施例1と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例1)
実施例1と同一の全芳香族ポリエステル(i)のペレットを脱湿乾燥し、射出成形によって、縦50mm×横50mm×厚み2mmのシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁場を印加せずに溶融させた後、溶融状態で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例2)
比較例1と同様にシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁束密度1テスラの磁場中で溶融させた後、同磁場中で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。磁力線の方向はシート状の厚み方向とした。
(比較例3)
実施例4と同様にシート状成形体を作製した。このシート状成形体を使用し、比較例2と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
【0063】
実施例1〜5及び比較例1〜3の配向度αを株式会社マック・サイエンス製のX線回折装置を使用して算出した。実施例3のX線回折測定による赤道方向の回折パターンを図1に、回折ピーク角度2θ=20度における方位角分布を図2に示す。また、比較例1のX線回折測定による赤道方向の回折パターンを図3に、回折ピーク角度2θ=20度における方位角分布を図4に示す。
【0064】
実施例1〜5及び比較例1〜3の熱伝導率λをレーザーフラッシュ法で測定した。実施例1〜5及び比較例1〜3の配向度α及び熱伝導率λを表1に示す。
【0065】
【表1】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜5では、配向度αが0.7以上の熱伝導性高分子成形体が得られ、熱伝導率λが0.7W/(m・K)以上の優れた熱伝導性が発揮されている。また、実施例1〜5では、磁束密度を高くするほど、高い配向度αを有する熱伝導性高分子成形体が得られることがわかる。
【0066】
一方、比較例1〜3では、配向度αが0.41未満の熱伝導性高分子成形体であるため、熱伝導率λが0.38W/(m・K)以下の不十分な熱伝導性を示している。
【0067】
(実施例6)
実施例1と同一の全芳香族ポリエステル(i)100重量部に対し、黒鉛化された炭素繊維粉末(株式会社ペトカマテリアルズ製)60重量部を配合した混合物を押出機にて溶融混練し、ペレット状の液晶性組成物を得た。この液晶性組成物を脱湿乾燥し、射出成形によって、縦50mm×横50mm×厚み2mmのシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁束密度5テスラの超伝導磁石の磁場中で溶融させた後、同磁場中で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。磁力線の方向はシート状成形体の厚み方向とした。
(実施例7)
磁束密度を10テスラに変更した以外は実施例6と同様に熱伝導性高分子成形体を作製した。
(実施例8)
実施例1と同一の全芳香族ポリエステル(i)100重量部に対し、アルミナ粉末(昭和電工株式会社製)50重量部を配合した混合物を押出機にて溶融混練し、ペレット状の液晶性組成物を得た。磁束密度を10テスラに変更した以外は実施例6と同様にして、液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を作製した。
(実施例9)
実施例4と同一の全芳香族ポリエステル(ii)100重量部に対し、黒鉛化された炭素繊維粉末(株式会社ペトカマテリアルズ製)60重量部を配合した混合物を押出機にて溶融混練し、ペレット状の液晶性組成物を得た。磁束密度を10テスラにした以外は実施例6と同様にして、液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例4)
実施例6と同様にして液晶性組成物を得た。この液晶性組成物を脱湿乾燥し、射出成形によって、縦50mm×横50mm×厚み2mmのシート状成形体を作製した。このシート状成形体を、温度340℃に加熱した金型のキャビティに入れて磁場を印加せずに溶融させた後、溶融状態で20分間保持し、その後、室温まで冷却固化させて熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例5)
実施例8と同様にして液晶性組成物を得た。比較例4と同様にして、この液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を作製した。
(比較例6)
実施例9と同様にして液晶性組成物を得た。比較例4と同様にして、この液晶性組成物から熱伝導性高分子成形体を作製した。
【0068】
実施例6〜9及び比較例4〜6の配向度α及び熱伝導率λを表2に示す。
【0069】
【表2】
表2の結果から明らかなように、実施例6〜9では、配向度αが0.7以上の熱伝導性高分子成形体が得られるとともに、熱伝導性充填剤が配合されているため、熱伝導率λが1.1W/(m・K)以上の優れた熱伝導性が発揮されている。
【0070】
一方、比較例4〜6は、熱液晶性高分子と熱伝導性充填剤からなる液晶性組成物から得られる従来の熱伝導性高分子成形体である。このように熱伝導性充填剤を少量配合しても熱液晶性高分子が配向されていないと、熱伝導率λが0.43W/(m・K)未満の不十分な熱伝導性しか示さない。
【0071】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記液晶性高分子は、磁場発生手段によって発生される磁場が印加されることにより、前記液晶性高分子の配向度αが設定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱伝導性高分子成形体。このように構成した場合、配向度αを容易に設定することができる。
【0072】
(2) シート状をなし、少なくとも厚み方向の前記液晶性高分子の配向度αが0.5以上1.0未満の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項4、及び上記(1)のいずれか一項に記載の熱伝導性高分子成形体。このように構成した場合、厚み方向の熱伝導性が要求される回路基板材料、半導体パッケージ用の放熱シート等に適用することができる。
【0073】
(3) 少なくとも一方向の熱伝導率λが0.7〜20W/(m・K)であることを特徴とする請求項1から請求項4、上記(1)及び(2)のいずれか一項に記載の熱伝導性高分子成形体。このように構成した場合、所定の熱伝導率λを有する熱伝導性高分子成形体を提供することができる。
【0074】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の熱伝導性高分子成形体によれば、優れた熱伝導性を発揮することができる。
【0075】
請求項2に記載の発明の熱伝導性高分子成形体によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、適用物の軽量化に貢献することができる。
請求項3に記載の発明の熱伝導性高分子成形体によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、熱伝導性高分子成形体を容易に得ることができる。
【0076】
請求項4に記載の発明の熱伝導性高分子成形体によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、熱伝導性高分子成形体をさらに容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における熱伝導性高分子成形体(実施例3)の赤道方向の回折パターンを示すグラフ。
【図2】実施の形態における熱伝導性高分子成形体(実施例3)の方位角方向の強度分布を示すグラフ。
【図3】従来の熱伝導性高分子成形体(比較例1)の赤道方向の回折パターンを示すグラフ。
【図4】従来の熱伝導性高分子成形体(比較例1)の方位角方向の強度分布を示すグラフ。
【図5】実施の形態における熱伝導性シートを示す斜視図。
【図6】厚さ方向に高い配向度を有する熱伝導性シートの製造方法を示す概念図。
【図7】面内方向に高い配向度を有する熱伝導性シートの製造方法を示す概念図。
【符号の説明】
11…熱伝導性高分子成形体としての熱伝導性シート、15…液晶性組成物、Δβ…半値幅。
Claims (4)
- 液晶性高分子を含有する液晶性組成物から得られる熱伝導性高分子成形体であって、X線回折測定から下記式(1)によって求められる前記液晶性高分子の配向度αが、0.5以上1.0未満の範囲であることを特徴とする熱伝導性高分子成形体。
配向度α=(180−Δβ)/180・・・(1)
(ただし、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布における半値幅を表す。) - 前記液晶性組成物は、液晶性高分子100重量部に対し、100重量部未満の熱伝導性充填剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性高分子成形体。
- 前記液晶性高分子は、加熱溶融すると光学的異方性溶融相を示す熱液晶性高分子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導性高分子成形体。
- 前記熱液晶性高分子が(A)全芳香族ポリエステル及び(B)全芳香族ポリエステルアミドから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の熱伝導性高分子成形体。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002318969A JP2004149722A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 熱伝導性高分子成形体 |
EP20030256167 EP1416031B1 (en) | 2002-10-31 | 2003-09-30 | Heat conducting polymer mold products |
DE2003605411 DE60305411T2 (de) | 2002-10-31 | 2003-09-30 | Wärmeleitende polymere gussgeformte Gegenstände |
TW92127319A TWI324631B (en) | 2002-10-31 | 2003-10-02 | Heat conducting polymer mold products |
US10/686,384 US7347955B2 (en) | 2002-10-31 | 2003-10-14 | Heat conducting polymer mold products |
KR1020030073680A KR100975613B1 (ko) | 2002-10-31 | 2003-10-22 | 열전도성 고분자 성형체 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002318969A JP2004149722A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 熱伝導性高分子成形体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004149722A true JP2004149722A (ja) | 2004-05-27 |
Family
ID=32089596
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002318969A Pending JP2004149722A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 熱伝導性高分子成形体 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7347955B2 (ja) |
EP (1) | EP1416031B1 (ja) |
JP (1) | JP2004149722A (ja) |
KR (1) | KR100975613B1 (ja) |
DE (1) | DE60305411T2 (ja) |
TW (1) | TWI324631B (ja) |
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005085334A1 (ja) * | 2004-03-09 | 2005-09-15 | Polymatech Co., Ltd. | 高分子複合成形体、該成形体を用いたプリント配線基板及びそれらの製造方法 |
JP2007146068A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-14 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いてなる成形体 |
WO2008063709A2 (en) * | 2006-06-20 | 2008-05-29 | Polyone Corporation | Thermally conductive polymer compounds containing zinc sulfide |
JP2008150525A (ja) * | 2006-12-19 | 2008-07-03 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性高分子成形体及びその製造方法 |
JP2009532557A (ja) * | 2006-04-03 | 2009-09-10 | シーメンス エナジー インコーポレイテッド | ポリマー基礎構造の結晶化度を向上させるためのシーディング樹脂 |
JP2010150377A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Kaneka Corp | 高熱伝導性熱可塑性樹脂及び組成物 |
JP2011084716A (ja) * | 2009-09-18 | 2011-04-28 | Kaneka Corp | 熱可塑性樹脂組成物および放熱・伝熱用樹脂材料 |
JP2011084715A (ja) * | 2009-09-16 | 2011-04-28 | Kaneka Corp | 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 |
JP2011084714A (ja) * | 2009-09-16 | 2011-04-28 | Kaneka Corp | 押出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 |
JP2011233608A (ja) * | 2010-04-26 | 2011-11-17 | Kaneka Corp | 高熱伝導性熱可塑性樹脂製ヒートシンク |
JP2011231158A (ja) * | 2010-04-26 | 2011-11-17 | Kaneka Corp | 難燃性高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 |
JP2013155370A (ja) * | 2012-01-04 | 2013-08-15 | Kaneka Corp | 熱伝導性熱可塑性樹脂成形体 |
WO2013133181A1 (ja) * | 2012-03-07 | 2013-09-12 | 株式会社カネカ | 熱伝導性樹脂成形体および当該熱伝導性樹脂成形体の製造方法 |
WO2016024516A1 (ja) * | 2014-08-11 | 2016-02-18 | 株式会社アイ.エス.テイ | エラストマーの熱伝導性改質剤、熱伝導性改質液晶性エラストマー、液晶性高分子およびその前駆体の使用方法、エラストマーの熱伝導性改質方法、ならびに発熱体および被加熱体 |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4664626B2 (ja) * | 2004-07-05 | 2011-04-06 | ポリマテック株式会社 | イオン伝導性高分子電解質膜及びその製造方法 |
EP2479202B1 (en) * | 2009-09-16 | 2019-02-13 | Kaneka Corporation | Thermally-conductive organic additive, resin composition, and cured product |
KR101042950B1 (ko) * | 2009-09-25 | 2011-06-20 | 현대로템 주식회사 | 철도차량용 히터장치 |
US11024449B2 (en) | 2017-06-06 | 2021-06-01 | Apple Inc. | Multipole elastomeric magnet with magnetic-field shunt |
EP3825353A1 (en) | 2019-11-20 | 2021-05-26 | Storopack Hans Reichenecker GmbH | A product made of an expanded plastic material, extruded expandable plastic particles, and method for producing a plurality of expandable plastic particles |
US11674084B2 (en) * | 2021-02-11 | 2023-06-13 | Hrl Laboratories, Llc | Anisotropic thermally conductive polymers and methods of making and using the same |
EP4095186A1 (en) | 2021-05-25 | 2022-11-30 | Storopack Hans Reichenecker GmbH | Product made of expanded polystyrene material |
Family Cites Families (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63242513A (ja) | 1987-03-30 | 1988-10-07 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 液晶性全芳香族ポリエステルフイルムの製造方法 |
DE3721055A1 (de) * | 1987-06-26 | 1989-01-05 | Bayer Ag | Thermotrope aromatische polyester mit hoher reissdehnung, verfahren zu ihrer herstellung und ihre verwendung zur herstellung von formkoerpern, filamenten, fasern und folien |
JPH03122129A (ja) * | 1989-10-05 | 1991-05-24 | Mitsubishi Kasei Corp | 高分子成形体の製造方法 |
JPH04140115A (ja) | 1990-10-01 | 1992-05-14 | Mitsubishi Kasei Corp | 高分子成形体の製造方法 |
JP2961857B2 (ja) | 1990-10-01 | 1999-10-12 | 三菱化学株式会社 | 高分子成形体の製造方法 |
US5490319A (en) * | 1992-01-29 | 1996-02-13 | Ebara Corporation | Thermotropic liquid crystal polymer composition and insulator |
EP0553831B1 (en) * | 1992-01-29 | 1998-12-02 | Ebara Corporation | Thermotropic liquid crystal polymer composition and insulator |
US5529740A (en) * | 1994-09-16 | 1996-06-25 | Jester; Randy D. | Process for treating liquid crystal polymer film |
CA2309630A1 (en) * | 1997-11-13 | 1999-05-27 | James D. Miller | Heat pipe thermal management apparatus |
EP0944098B1 (en) * | 1998-03-19 | 2005-06-01 | Hitachi, Ltd. | Thermally conductive electrical insulating composition |
JP2000281802A (ja) * | 1999-03-30 | 2000-10-10 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性成形体およびその製造方法ならびに半導体装置 |
JP2001040283A (ja) * | 1999-07-29 | 2001-02-13 | Jsr Corp | 膜形成用組成物の製造方法、膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 |
US6503964B2 (en) * | 2000-01-11 | 2003-01-07 | Cool Options, Inc. | Polymer composition with metal coated carbon flakes |
JP5015366B2 (ja) | 2000-09-12 | 2012-08-29 | ポリマテック株式会社 | 熱伝導性成形体及びその製造方法 |
JP4759122B2 (ja) * | 2000-09-12 | 2011-08-31 | ポリマテック株式会社 | 熱伝導性シート及び熱伝導性グリス |
JP4833398B2 (ja) | 2000-09-18 | 2011-12-07 | ポリマテック株式会社 | 熱伝導性成形体の製造方法 |
JP4714371B2 (ja) * | 2001-06-06 | 2011-06-29 | ポリマテック株式会社 | 熱伝導性成形体及びその製造方法 |
JP3834528B2 (ja) | 2002-07-11 | 2006-10-18 | ポリマテック株式会社 | 熱伝導性高分子成形体の製造方法 |
JP4017932B2 (ja) | 2002-07-22 | 2007-12-05 | ポリマテック株式会社 | 熱伝導性高分子成形体の製造方法 |
JP2004051852A (ja) | 2002-07-22 | 2004-02-19 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性高分子成形体及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002318969A patent/JP2004149722A/ja active Pending
-
2003
- 2003-09-30 EP EP20030256167 patent/EP1416031B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2003-09-30 DE DE2003605411 patent/DE60305411T2/de not_active Expired - Lifetime
- 2003-10-02 TW TW92127319A patent/TWI324631B/zh not_active IP Right Cessation
- 2003-10-14 US US10/686,384 patent/US7347955B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2003-10-22 KR KR1020030073680A patent/KR100975613B1/ko not_active IP Right Cessation
Cited By (22)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005085334A1 (ja) * | 2004-03-09 | 2005-09-15 | Polymatech Co., Ltd. | 高分子複合成形体、該成形体を用いたプリント配線基板及びそれらの製造方法 |
JP4771939B2 (ja) * | 2004-03-09 | 2011-09-14 | ポリマテック株式会社 | 高分子複合成形体、該成形体を用いたプリント配線基板及びそれらの製造方法 |
JP2007146068A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-14 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いてなる成形体 |
JP2009532557A (ja) * | 2006-04-03 | 2009-09-10 | シーメンス エナジー インコーポレイテッド | ポリマー基礎構造の結晶化度を向上させるためのシーディング樹脂 |
WO2008063709A3 (en) * | 2006-06-20 | 2008-07-24 | Polyone Corp | Thermally conductive polymer compounds containing zinc sulfide |
WO2008063709A2 (en) * | 2006-06-20 | 2008-05-29 | Polyone Corporation | Thermally conductive polymer compounds containing zinc sulfide |
JP2008150525A (ja) * | 2006-12-19 | 2008-07-03 | Polymatech Co Ltd | 熱伝導性高分子成形体及びその製造方法 |
JP2010150377A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Kaneka Corp | 高熱伝導性熱可塑性樹脂及び組成物 |
JP2011084715A (ja) * | 2009-09-16 | 2011-04-28 | Kaneka Corp | 高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 |
JP2011084714A (ja) * | 2009-09-16 | 2011-04-28 | Kaneka Corp | 押出成形用高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 |
JP2014145084A (ja) * | 2009-09-16 | 2014-08-14 | Kaneka Corp | 樹脂組成物 |
JP2011084716A (ja) * | 2009-09-18 | 2011-04-28 | Kaneka Corp | 熱可塑性樹脂組成物および放熱・伝熱用樹脂材料 |
JP2011231158A (ja) * | 2010-04-26 | 2011-11-17 | Kaneka Corp | 難燃性高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物 |
JP2011233608A (ja) * | 2010-04-26 | 2011-11-17 | Kaneka Corp | 高熱伝導性熱可塑性樹脂製ヒートシンク |
JP2013155370A (ja) * | 2012-01-04 | 2013-08-15 | Kaneka Corp | 熱伝導性熱可塑性樹脂成形体 |
WO2013133181A1 (ja) * | 2012-03-07 | 2013-09-12 | 株式会社カネカ | 熱伝導性樹脂成形体および当該熱伝導性樹脂成形体の製造方法 |
JPWO2013133181A1 (ja) * | 2012-03-07 | 2015-07-30 | 株式会社カネカ | 熱伝導性樹脂成形体および当該熱伝導性樹脂成形体の製造方法 |
WO2016024516A1 (ja) * | 2014-08-11 | 2016-02-18 | 株式会社アイ.エス.テイ | エラストマーの熱伝導性改質剤、熱伝導性改質液晶性エラストマー、液晶性高分子およびその前駆体の使用方法、エラストマーの熱伝導性改質方法、ならびに発熱体および被加熱体 |
JPWO2016024516A1 (ja) * | 2014-08-11 | 2017-04-27 | 株式会社アイ.エス.テイ | エラストマーの熱伝導性改質剤、熱伝導性改質液晶性エラストマー、液晶性高分子の使用方法、エラストマーの熱伝導性改質方法、ならびに発熱体および被加熱体 |
CN106661439A (zh) * | 2014-08-11 | 2017-05-10 | 株式会社I.S.T | 弹性体的导热性改性剂、导热性改性液晶性弹性体、液晶性高分子及其前体的使用方法、弹性体的导热性改性方法及发热体和被加热体 |
CN106661439B (zh) * | 2014-08-11 | 2019-10-15 | 株式会社I.S.T | 弹性体的导热性改性剂及导热性改性液晶性弹性体 |
US11391526B2 (en) | 2014-08-11 | 2022-07-19 | I.S.T Corporation | Heat-transmitting modifier for elastomer, heat-transmission-modified crystalline elastomer, method for using crystalline polymer and precursor thereof, method for heat-transmission modification of elastomer, heater body, and heated body |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
DE60305411T2 (de) | 2006-11-23 |
TWI324631B (en) | 2010-05-11 |
KR100975613B1 (ko) | 2010-08-17 |
DE60305411D1 (de) | 2006-06-29 |
KR20040038673A (ko) | 2004-05-08 |
EP1416031A1 (en) | 2004-05-06 |
US20040087697A1 (en) | 2004-05-06 |
TW200415230A (en) | 2004-08-16 |
US7347955B2 (en) | 2008-03-25 |
EP1416031B1 (en) | 2006-05-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3834528B2 (ja) | 熱伝導性高分子成形体の製造方法 | |
JP2004051852A (ja) | 熱伝導性高分子成形体及びその製造方法 | |
JP2004149722A (ja) | 熱伝導性高分子成形体 | |
KR101618239B1 (ko) | 고열전도성의 열가소성 수지 조성물 및 열가소성 수지 | |
JP2008150525A (ja) | 熱伝導性高分子成形体及びその製造方法 | |
JP4017932B2 (ja) | 熱伝導性高分子成形体の製造方法 | |
JP5941840B2 (ja) | 高熱伝導性熱可塑性樹脂 | |
TW201012857A (en) | Liquid-crystalline polymer composition containing nanostructured hollow-carbon material and molded article thereof | |
JP2001523892A (ja) | 熱管理デバイス | |
JP2004149723A (ja) | 異方熱伝導性高分子成形体 | |
JP5468975B2 (ja) | 高熱伝導性熱可塑性樹脂製ヒートシンク | |
JPWO2011132390A1 (ja) | 高熱伝導性熱可塑性樹脂 | |
JPH04504643A (ja) | 電気機器 | |
JP3981641B2 (ja) | 熱伝導性反応硬化型樹脂成形体の製造方法 | |
KR900003312B1 (ko) | 전기성분의 기판 | |
KR890004228B1 (ko) | 자기 테이프 | |
JPH0289617A (ja) | フィルムとその製造方法 | |
JP2005297456A (ja) | 耐摩耗性樹脂部材及びその製造方法 | |
CN117769749A (zh) | 磁性聚合物组合物 | |
TW202409194A (zh) | 具有低介電常數之液晶聚合物組合物 | |
TW202313813A (zh) | 磁性聚合物組合物 | |
JPH0693173A (ja) | 液晶ポリエステル樹脂組成物 | |
KR20150113605A (ko) | 열전도성 수지 조성물 및 이를 이용한 성형품 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050913 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060519 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060530 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070109 |