JP2004144860A - トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結着樹脂として、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、カルボキシル基とエポキシ基を有するビニル樹脂、及びカルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を少なくとも含有し、さらに、芳香族ジオール、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸からなるグループより選択される1種以上の芳香族化合物と1種以上の金属元素が配位または/及び結合している有機金属化合物を含有し、上記金属化合物がTHF可溶分よりもTHF不溶分中に多く存在することを特徴とするトナー。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法及びトナージェット記録法の如き記録法に用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては、特許文献1乃至3に記載されているように、多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し種々の手段により感光体上に電気的潜像(静電潜像)を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧或いは溶剤蒸気等により定着し、複写物を得るものであり、感光体上に転写されずに残ったトナーは種々の方法でクリーニングされ、上記の工程が繰り返されるものである。
【0003】
近年、このような複写装置は、複合化やパーソナル化等、変遷しつつある市場ニーズを反映し、より小型化、より軽量化、より高速化、そして更なる高信頼性が厳しく追及されてきており、その結果、トナーに要求される性能もより高度化してきている。
【0004】
中でも、シンプルな構造の現像器でトラブルが少なく、寿命も長く、メンテナンスが容易であることから、磁性トナーを用いた一成分現像法が好ましく用いられている。
【0005】
また近年、複写機及びレーザービームプリンタの如き電子写真技術を用いた画像形成装置の機能が多様化し、得られたトナー画像の高精細化、高画質化が求められており、それらに適したトナー及び該トナーを用いたプロセスカートリッジが用いられている。
【0006】
例えば、特許文献4には架橋剤と分子量調整剤を加え、適度に架橋されたビニル系重合体からなるトナーが開示され、さらにはビニル系重合体において、Tg、分子量及びゲルコンテントを組み合わせたブレンド系のトナーが多数提案されている。
【0007】
このような架橋されたビニル系重合体或いはゲル分を含有するトナーは、耐オフセット性においては優れた効果を示す。しかし、これらを含有させるにあたり、トナー原材料としてこの架橋されたビニル重合体を用いると、トナー製造時の溶融混練工程にて、重合体中の内部摩擦が非常に大きくなり、大きなせん断力が重合体にかかる。このために多くの場合、分子鎖の切断が起こり、溶融粘度の低下を招き、耐オフセット性に悪影響を与える。
【0008】
そこで、これを解決するために、特許文献5乃至8では、カルボン酸を有する樹脂と金属化合物をトナー原材料として用い、溶融混練時に加熱反応させ、架橋重合体を形成させてトナー中に含有させることが開示されている。
【0009】
また、ビニル系樹脂単量体とさらに特異なモノエステル化合物とを必須構成単位とするバインダーと多価金属化合物とを反応させ、金属を介して架橋する技術が、例えば特許文献9及び10に開示されている。
【0010】
また、特許文献11乃至14では、低分子量と高分子量の2群に分かれる分子量分布を有し、低分子量側に含有されたカルボン酸基と多価金属イオンを反応させ架橋させる(溶液重合して得られた溶液に金属化合物の分散液を加え、加温して反応させる)という技術が開示されている。
【0011】
また、特許文献15乃至19では、結着樹脂中の低分子量成分と高分子量成分の分子量、混合比、酸価及びその比率を制御し、定着性や耐オフセット性等を改良したトナー用バインダー組成物及びトナーが提案されている。
【0012】
また、特許文献20には、分子量と樹脂酸価が異なる2種類のビニル系樹脂をブレンドしたトナー用バインダー組成物が開示されている。
【0013】
また、特許文献21乃至24では、カルボキシル基含有ビニル共重合体とエポキシ基含有ビニル共重合体に金属化合物を反応させて架橋させる技術が開示されている。
【0014】
また、特許文献25及び26では、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ樹脂が反応し架橋構造を形成する技術が開示されている。
【0015】
また、特許文献27乃至35では、グリシジル基含有樹脂を架橋剤として用い、カルボキシル基含有樹脂より構成される樹脂組成物において、分子量分布、ゲル分、酸価、エポキシ価などを制御し、定着性や耐オフセット性等を改良したトナー用バインダー組成物及びトナーが開示されている。
【0016】
以上述べてきたこれらの提案は、耐オフセット性を向上させるという点で、一長一短はあるものの、優れた効果が得られることは事実である。但し、一成分現像用の磁性トナーに適用した場合、現像性と耐久性に問題があり、更なる改良が必要である。
【0017】
また、トナーは、現像される静電荷像の極性及び現像方法に応じて、正または負の電荷を有する必要がある。
【0018】
トナーに電荷を保有せしめるためには、トナー成分である樹脂の摩擦帯電性を利用することもできるが、その場合は一般にトナーの帯電性が安定しないので、濃度の立ち上がりが遅く、画像がカブリやすい。そこで、所望の摩擦帯電性をトナーに付与するために荷電制御剤をトナーに添加することが行われる。
【0019】
今日、当該技術分野で知られている荷電制御剤としては、負摩擦帯電性荷電制御剤として、モノアゾ染料の金属錯塩、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、芳香族ジオールの如き金属錯塩、酸成分を含む樹脂が知られている。正摩擦帯電性荷電制御剤として、ニグロシン染料、アジン染料、トリフェニルメタン系染顔料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩を側鎖に有するポリマー等が知られている。
【0020】
しかしながら、これらの荷電制御剤のほとんどは、有色でありカラートナーには使えないものが多い。そして、カラートナーに適用可能な、無色、白色或いは淡色のものは、性能的に改善すべき点がある。それらはハイライト部の均一性が得られにくかったり、耐久試験での画像濃度の変動が大きい等の改善すべき点を有する。
【0021】
この他、改善すべき点として、画像濃度とカブリのバランスが取りにくい、高湿環境で、十分な画像濃度を得にくい、樹脂への分散性が悪い、保存安定性、定着性、耐オフセット性に悪影響を与えるという点が挙げられる。
【0022】
従来、芳香族カルボン酸類の金属錯体または金属塩は例えば特許文献36乃至49に提案されている。しかしながら、従来提案されているのは、摩擦帯電付与という観点からはいずれも優れたものであるが、簡易な現像器構成で環境変動、経時、使用状況に関わらず、安定した現像性の得られるものは少ない。また、高速機において長期耐久時おいても安定した現像性が得られるものも少ない。さらに、他の原材料の影響があり、他の原材料への制約が発生するものも多い。
【0023】
【特許文献1】
米国特許第2,297,691号明細書
【特許文献2】
特公昭42−23910号公報
【特許文献3】
特公昭43−24748号公報
【特許文献4】
特公昭51−23354号公報
【特許文献5】
特開昭55−90509号公報
【特許文献6】
特開昭57−178249号公報
【特許文献7】
特開昭57−178250号公報
【特許文献8】
特開昭60−4946号公報
【特許文献9】
特開昭61−110155号公報
【特許文献10】
特開昭61−110156号公報
【特許文献11】
特開昭63−214760号公報
【特許文献12】
特開昭63−217362号公報
【特許文献13】
特開昭63−217363号公報
【特許文献14】
特開昭63−217364号公報
【特許文献15】
特開平2−168264号公報
【特許文献16】
特開平2−235069号公報
【特許文献17】
特開平5−173363号公報
【特許文献18】
特開平5−173366号公報
【特許文献19】
特開平5−241371号公報
【特許文献20】
特開昭62−9256号公報
【特許文献21】
特開平3−63661号公報
【特許文献22】
特開平3−63662号公報
【特許文献23】
特開平3−63663号公報
【特許文献24】
特開平3−118552号公報
【特許文献25】
特開平7−225491号公報
【特許文献26】
特開平8−44107号公報
【特許文献27】
特開昭62−294260号公報
【特許文献28】
特開平6−11890号公報
【特許文献29】
特開平6−222612号公報
【特許文献30】
特開平7−20654号公報
【特許文献31】
特開平9−185182号公報
【特許文献32】
特開平9−244295号公報
【特許文献33】
特開平9−319410号公報
【特許文献34】
特開平10−87837号公報
【特許文献35】
特開平10−90943号公報
【特許文献36】
特開昭53−127726号公報
【特許文献37】
特開昭57−111541号公報
【特許文献38】
特開昭57−124357号公報
【特許文献39】
特開昭57−104940号公報
【特許文献40】
特開昭61−69073号公報
【特許文献41】
特開昭61−73963号公報
【特許文献42】
特開昭61−267058号公報
【特許文献43】
特開昭62−105156号公報
【特許文献44】
特開昭62−145255号公報
【特許文献45】
特開昭62−163061号公報
【特許文献46】
特開昭63−208865号公報
【特許文献47】
特開平3−276166号公報
【特許文献48】
特開平4−84141号公報
【特許文献49】
特開平8−160668号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決し、定着性、耐オフセット性に優れたトナーを提供することにある。
【0025】
また、本発明の目的は、高速時での現像安定性及び耐久性に優れているトナーを提供することにある。
【0026】
さらにまた、本発明の目的は、感光体への耐トナー融着性に優れたトナーを提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤及び金属化合物を有するトナーにおいて、
該結着樹脂として、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、カルボキシル基とエポキシ基を有するビニル樹脂、及びカルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を少なくとも含有し、
該金属化合物として、芳香族ジオール、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸からなるグループより選択される1種以上の芳香族化合物と金属元素が配位または/及び結合している有機金属化合物を少なくとも含有し、
該トナーの結着樹脂成分中の金属化合物の金属元素の存在割合をA(ppm)、該トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中の金属化合物の金属元素の存在割合をB(ppm)としたとき、、1<A/Bであることを特徴とするトナーである。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、少なくとも結着樹脂、着色剤及び金属化合物を有するトナーにおいて、該結着樹脂として、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、カルボキシル基とエポキシ基を有するビニル樹脂、及びカルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を少なくとも含有し、特定の金属化合物を含有し、トナー中のTHF可溶分中の該金属化合物の金属元素の存在割合がある特定の割合であるとき、優れた定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性を達成できることを明らかにした。また、高速時での優れた現像安定性及び耐久性を発現し、また、感光体への耐トナー融着性優れていることを見いだした。
【0029】
さらに、該トナー中のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布が特定の分子量分布を有する、または、該トナーの結着樹脂成分中に特定のTHF不溶分を有する、または、該トナーのTHF可溶分が特定の酸価を有する、また、さらに、特有のワックスを含有させることにより、さらに上記の効果を向上させることができる。
【0030】
本発明における効果発現の理由について以下に述べる。
【0031】
本発明のトナーは、トナー製造工程中の混練工程などで熱溶融混練され、トナー中の結着樹脂成分が架橋反応を行う。その際、結着樹脂中のカルボキシル基ユニットとエポキシ基ユニットの架橋反応の他に、本発明にかかる金属化合物が共存することにより、さらなる架橋反応促進効果が生まれる。具体的には、芳香族化合物と金属とが配位または/及び結合している有機金属化合物が、トナー溶融状態下において、結着樹脂中のカルボキシル基ユニット及びエポキシ基ユニットと架橋反応を行っていると考えられている。この時、生成した架橋成分中にかかる金属化合物が選択的に取り込まれているため、該金属化合物中の金属元素の、架橋成分以外のTHF可溶分中における存在割合が相対的に減少する。即ち、トナーの結着樹脂成分中の該金属元素の存在割合Aと、トナーのTHF可溶分中の該金属元素の存在割合Bが、1<A/Bの関係になる。
【0032】
ここで、トナーの結着樹脂成分中の金属化合物の金属元素の存在割合Aとは、トナー中の樹脂成分全体量に対する金属化合物中の金属元素の含有率のことであり、トナーのTHF可溶分中の金属化合物の金属元素の存在割合Bは、トナーのTHF可溶分量に対する金属化合物中に金属元素の含有率のことである。
【0033】
A(ppm)=(金属元素含有量/トナー中の樹脂成分量)×106
B(ppm)=(金属元素含有量/トナーのTHF可溶分量)×106
【0034】
<金属化合物中の金属元素の含有率の測定方法>
トナー中の樹脂成分量は、以下の方法で求められたトナー焼却成分含有率より求まる。予め精秤した30mlの磁性るつぼに約2.0gの試料を入れて精秤し、該試料の質量(Wa)gを精秤する。るつぼを電気炉に入れ約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケータ中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量(Wb)gを精秤する。ここから、焼却残灰分を求め、さらに、消却成分の含有率を求める。
【0035】
トナー焼却成分含有率(質量%)=[{Wa−(Wb−磁性るつぼ質量)}/Wa]×100
トナー中の樹脂成分量=トナー量×トナー焼却成分含有率/100
【0036】
トナー中の樹脂のTHF可溶分量は、以下の方法で求められたトナーTHF可溶分含有率より求まる。トナー1.0〜2.0を秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙社製No.86R)を入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mlを用いて10時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分溶液をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶分量を秤量する(W2g)。
【0037】
トナーTHF可溶分含有率(質量%)=(W2/W1)×100
トナーのTHF可溶分量=トナー量×トナーTHF可溶分含有率/100
【0038】
トナー中の樹脂成分及びトナーのTHF可溶分中に含まれる本発明にかかる金属化合物中の金属元素量は以下の方法で測定される。
【0039】
トナー中の結着樹脂成分に含まれる金属化合物中の金属元素量は、トナー中の架橋成分が溶解可能な溶媒(例えば、o−ジクロロベンゼンや酢酸エチル等)で、THF可溶分を精製した方法と同様にして抽出し、溶媒を蒸発乾固させ、蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業(株)製)を使用し、JISK0119「蛍光X線分析通則」に従って、蛍光X線分析を行うことにより測定する。
【0040】
トナーのTHF可溶分中に含まれる金属化合物中の金属元素量は、上記THF可溶分成分を蛍光X線分析を行うことにより測定される。
【0041】
本発明のトナーに含まれる架橋成分は、少量の架橋成分でも有効な耐オフセット性が達成できることにより、多量の低分子量成分をトナー中に存在させることができ、低温時の定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性を達成できる。
【0042】
また、トナー自身をさらに強靭化させることができるため、高速機などに適用した場合、コピーボリュームが増加した際においても、高速時での安定した現像安定性及び耐久性を達成できる。また、感光体への耐トナー融着性に優れる。
【0043】
本発明において、トナーの結着樹脂成分中の金属化合物の金属元素の存在割合Aと、トナーのTHF可溶分中の金属化合物の金属元素の存在割合Bの関係が、1≧A/Bであるとき、架橋成分中の金属化合物の存在割合が低いため、本発明のトナーを用いた時の効果は発現しにくい。
【0044】
本発明において、結着樹脂成分中の金属化合物の金属元素の存在割合Aは、50乃至10000ppmが好ましく、さらに好ましくは50乃至5000ppmである。Aが上記範囲内のトナーは、帯電量の初期変動が少なく、現像時に必要な絶対帯電量が得られやすく、結果的に「カブリ」や画像濃度ダウンの如き画像品質の低下がなく好ましい。該Aの値が50ppm未満であるとき、該金属化合物の添加効果は発現しにくく、10000ppmを超える場合には、架橋成分の密度が高くなりすぎ、トナーの混練時の粘度が高くなりすぎ、剪断力が増加してしまい、結果として、THF不溶分の生成が減少する。また、磁性トナーに適用した場合、磁性体の分散不良を起こしてしまい、現像安定性、耐久性が損なわれる。
【0045】
本発明に使用する金属化合物としては、少なくとも、芳香族ジオール、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸からなるグループより選択される1種以上の芳香族化合物と金属元素が配位または/及び結合している有機金属化合物を用いる。
【0046】
特に、芳香族化合物として、下記一般式(I)で示される芳香族オキシカルボン酸を用いることが定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性の点で好ましい。
【0047】
【化2】
【0048】
(上記式中、R1は水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基を表し、置換基R1は相互に連結して脂肪族環、芳香族環或いは複素環を形成しても良く、さらに該環に上記R1と同じ置換基R2を1乃至8個有していても良く、複数のR2は、それぞれ同じであっても、異なっていても良い。)
【0049】
中でも、芳香族オキシカルボン酸が、アルキル基を置換基として有するサリチル酸であることが、高い帯電量を得ることが可能となるため、高速時での現像安定性及び耐久性に優れ、また、感光体へのトナー融着防止効果を発現できる。
【0050】
以下に、本発明で用いられる芳香族オキシカルボン酸の具体例を挙げる。
【0051】
【化3】
【0052】
【化4】
【0053】
【化5】
【0054】
【化6】
【0055】
【化7】
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
本発明にかかる金属化合物は、2価以上の原子価を有する金属元素を用いることが好ましい。2価の原子価を有する金属元素として、Be、Mg、Al、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Sn、Ba、Ce、Hf、Hg、Pbが好ましく、さらに好ましくは、Al、Cr、Zn、Zr、Hfである。
【0059】
該芳香族化合物と上記の金属元素が配位/または結合している有機金属化合物を用いた場合、定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性の点で優れ、さらに、Al、Cr、Zn、Zr、Hfを用いた有機金属化合物の場合、高い帯電量を得ることが可能となるため、高速時での現像安定性及び耐久性に優れ、また、感光体への耐トナー融着性に優れる。
【0060】
本発明にかかる金属化合物は、例えば、芳香族オキシカルボン酸等の芳香族化合物を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、金属元素を溶解している金属水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより芳香族オキシカルボン酸の芳香族金属化合物を合成し得る。但し、上記の合成方法だけに限定されるものではない。
【0061】
本発明のトナーのTHF可溶分の酸価は、0.1乃至50mgKOH/gが好ましく、さらに好ましくは0.5乃至50mgKOH/g、特に好ましくは0.5乃至40mgKOH/gである。本発明のトナーは、所望の酸価を有することにより、良好な現像性と耐久性を達成できる。
【0062】
トナーのTHF可溶分の酸価が0.1mgKOH/g未満の場合、カルボキシル基と金属化合物との相互反応による分散性の向上やそれに伴うトナー粒子からの脱離防止効果が発現しない。50mgKOH/gを超える場合には、正帯電性トナーに適用した場合、トナー粒子中の負帯電性が強くなり、現像性が悪化する。
【0063】
本発明において、トナー中のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布において、好ましくは分子量4,000乃至30,000の領域にメインピークを持つのが良く、さらに好ましくは分子量5,000乃至20,000の領域にメインピークを持つものが良い。
【0064】
メインピークが分子量4,000未満の場合には、トナーの溶融粘度が低下し、トナー粒子中における材料の分散性が悪化し、不均一な帯電分布になり、カブリ等が悪化し、現像性及び耐久性が悪く、分子量が30,000を超える場合には、磁性トナーに適用した場合、磁性体の分散性が悪化し、現像性が悪化する。
【0065】
また、上記分子量分布において、分子量30,000以下のピーク面積が全体のピーク面積に対して、60乃至100%の割合であることが好ましい。分子量30,000以下のピーク面積が、上記範囲内である場合、磁性トナー粒子中において、磁性体の良好な分散性が達成できる。60%未満の場合、樹脂の溶融粘度が増加し、磁性体の分散性が悪化し、その結果、耐久現像性、耐久性が悪化する。
【0066】
さらに、本発明のトナーの樹脂成分は、THF不溶分を0.1乃至60質量%含有しても良い。さらに好ましくは5乃至60質量%、特に好ましくは10乃至45質量%含有することが好ましい。THF不溶分が上記範囲内である場合、トナー粒子中において、材料の均一な分散性が達成でき、良好な現像性を達成できる。
【0067】
THF不溶分が60質量%を超える場合、トナー粒子内において、材料の分散状態が悪化し、不均一な帯電を持つようになるため、感光体上においても不均一な帯電分布になり、現像性が悪化する。
【0068】
本発明のトナーのガラス転移温度(Tg)は、50乃至70℃が好ましい。Tgが50℃未満の場合は保存性が悪化し、70℃を超える場合には定着性が悪化する。
【0069】
本発明において、トナー及び結着樹脂のTHFを溶媒としたGPCによる分子量分布は次の条件で測定される。
【0070】
<GPCによる分子量分布の測定>
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100ml注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合わせを挙げることができる。
【0071】
また、試料は以下の様にして作製する。
【0072】
試料をTHF中に入れ、数時間後放置した後、十分振とうしTHFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、さらに12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5mm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)などが使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。また、試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0073】
本発明において、トナー中の結着樹脂成分のTHF不溶分及び原料結着樹脂のTHF不溶分は以下のようにして測定される。
【0074】
<THF不溶分の測定>
トナー1.0〜2.0を秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙社製No.86R)を入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mlを用いて10時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶分溶液をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶分量を秤量する(W2g)。次いで、トナー中の焼却残灰分の重さを求める(W3g)。
【0075】
トナー中の焼却残灰分含有率は以下の手順で求める。予め精秤した30mlの磁性るつぼに約2.0gの試料を入れて精秤し、試料の質量(Wa)gを精秤する。るつぼを電気炉に入れ約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケータ中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量(Wb)gを精秤する。ここから、焼却残灰分の含有率を求める。
【0076】
焼却残灰分の含有率(%)={(Wb−磁性るつぼ質量)/Wa}×100
この含有率より試料中の焼却残灰分の質量(W3g)が求められる。
【0077】
W3=W1×焼却残灰分の含有率/100
THF不溶分は下記式から求められる。
【0078】
THF不溶分(%)=[{W1−(W3+W2)}/(W1−W3)]×100
【0079】
本発明において、トナーのTHF可溶分及び結着樹脂の酸価(JIS酸価)は、以下の方法により求める。尚、結着樹脂の酸価は、結着樹脂中のTHF可溶分の酸価を意味する。
【0080】
<酸価の測定>
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予めトナー及び結着樹脂のTHF不溶分を除去して使用するか、上記のTHF不溶分の測定で得られるソックスレー抽出器によるTHF溶媒によって抽出された可溶分を試料として使用する。試料の粉砕品0.5〜2.0(g)を精秤し、可溶分の重さをW(g)とする。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置ATー400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。)
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
(5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
【0081】
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
【0082】
本発明のトナーのガラス転移温度の測定方法を以下に示す。
【0083】
<トナーのガラス転移温度の測定>
トナーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0084】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。この時の比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、本発明のトナーのガラス転移温度Tgとする。
【0085】
本発明において、トナーは、結着樹脂として、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、或いは、カルボキシル基及びエポキシ基を有するビニル樹脂、或いは、これらの官能基を反応させた樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を少なくとも含有する。
【0086】
カルボキシル基を有するビニル樹脂を構成するカルボキシル基ユニットを有するモノマーとして以下のものが挙げられる。
【0087】
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、チグリン酸及びアンゲリカ酸などのアクリル酸、これらの無水物及びα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和ジカルボン酸、そのモノエステル誘導体、無水物及びα−或いはβ−アルキル誘導体などが挙げられる。
【0088】
このようなカルボキシル基ユニットを有するモノマーは単独、或いは混合して、他のビニル系モノマーと公知の重合方法に共重合させることによりカルボキシル基を有するビニル樹脂を得ることができる。
【0089】
カルボキシル基を有するビニル樹脂の酸価は、0.5乃至60mgKOH/gが好ましい。0.5mgKOH/g未満の場合には、カルボキシル基とエポキシ基と金属化合物との架橋反応部位が少なくなるため、架橋成分が少なく、トナーの耐久性が発現されにくくなるが、このような場合には、エポキシ価の高いエポキシ基を有するビニル樹脂を用いたり、該金属化合物を多く添加することによりある程度補償は行える。60mgKOH/gを超える場合には、正帯電性トナーに適用した場合、トナー粒子中の結着樹脂の負帯電性が強くなり、画像濃度が低下し、カブリが増加する傾向がある。
【0090】
カルボキシル基を有するビニル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜70℃が好ましい。Tgが40℃未満の場合、トナーの耐ブロッキング性が悪化し、70℃を超える場合はトナーの定着性が悪化する。
【0091】
カルボキシル基を有するビニル樹脂において、数平均分子量は、良好な定着性や現像性を達成するために、1,000乃至40,000が好ましく、重量平均分子量は、良好な耐オフセット性、耐ブロッキング性や耐久性を達成するために、10,000乃至10,000,000が好ましい。
【0092】
カルボキシル基を有するビニル樹脂は、低分子量成分と高分子量成分で構成されていることが望ましい。
【0093】
低分子量成分のピーク分子量は良好な定着性を達成するために、4,000乃至30,000が好ましく、高分子量成分のピーク分子量は、良好な耐オフセット性、耐ブロッキング性や耐久性を達成するために、100,000乃至1,000,000が好ましい。
【0094】
また、低分子量成分の酸価(AvL)と高分子量成分の酸価(AvH)は、AvL≦AvHであることが好ましい。この場合、高分子量成分中のカルボキシル基ユニットとエポキシ基を有する樹脂または本発明にかかる金属化合物が選択的に反応を行うため、低温定着性を阻害しない架橋成分を生成することができる。また、架橋成分が高分子量成分同士の反応になるため、実質の分子量が高くなり、耐高温オフセット性に有効に働く。
【0095】
高分子量成分の合成方法として本発明に用いることのできる重合法としては、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げられる。
【0096】
このうち、乳化重合法は、水にほとんど不溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合濃度が大きく、高重合度のものが得られる。さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であることから、トナー用バインダー樹脂の製造方法として有利な点がある。
【0097】
しかしながら、添加した乳化剤のために重合体が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要で、この不便を避けるためには溶液重合及び懸濁重合が好都合である。
【0098】
懸濁重合においては、水系溶媒100質量部に対して、モノマー100質量部以下(好ましくは10〜90質量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、一般に水系溶媒100質量部に対して0.05〜1質量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択される。
【0099】
また、高分子量成分は、本発明の目的を達成するために、以下に例示する様な多官能性重合開始剤単独或いは単官能性重合開始剤と併用して生成することが好ましい。
【0100】
多官能構造を有する多官能性重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス−(tert−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−tert−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−tert−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−tert−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサイド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びtert−ブチルパーオキシイソプロピルフマレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有する多官能性重合開始剤が挙げられる。
【0101】
これらのうち、よリ好ましいものは、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキサン)プロバン、及びtert−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
【0102】
これらの多官能性重合開始剤は、トナー用バインダーとして要求される種々の性能を満足するためには、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得るための分解温度よりも低い半減期10時間を有する重合開始剤と併用することが好ましい。
【0103】
具体的には、ベンゾイルパーオキシド、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシド、α−α’−ビス(tert−ブチルパーオキシジイソプロピル)べンゼン、tert−ブチルパーオキシクメン、ジ−tert−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾ及びジアゾ化合物等が挙げられる。
【0104】
これらの単官能性重合開始剤は、前記多官能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良いが、該多官能性重合開始剤の効率を適正に保つためには、重合エ程において該多官能性重合開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好ましい。
【0105】
これらの開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.01〜10質量部用いるのが好ましい。
【0106】
また必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体であってもよい。
【0107】
芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えばジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレー卜類として例えば、商品名「MANDA」(日本化薬)が挙げられる。
【0108】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;が挙げられる。
【0109】
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量%に対して、0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.03〜5質量%用いることができる。
【0110】
これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0111】
低分子量成分の合成方法としては、公知の方法を用いることができる。しかしながら、塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を速めることで、低分子量の重合体を得ることができるが、反応をコントロールしにくいという問題点がある。その点、溶液重合法では、溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用して、また、開始剤量や反応温度を調整することで低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、カルボキシル基を有するビニル樹脂中の低分子量成分を得るには好ましい。
【0112】
溶液重合で用いる溶媒として、キシレン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピルアルコールまたはベンゼンが用いられる。スチレンモノマーを使用する場合、キシレン、トルエンまたはクメンが好ましい。重合するポリマーによって溶媒は適宜選択される。反応温度としては、使用する溶媒、重合開始剤、重合するポリマーによって異なるが、通常70〜230℃で行うのが良い。溶液重合においては、溶媒100質量部に対してモノマー30〜400質量部で行うのが好ましい。
【0113】
さらに、重合終了時に溶液中で他の重合体を混合することも好ましく、数種の重合体を混合できる。
【0114】
本発明で用いられるエポキシ基を有するビニル樹脂中のエポキシ基とは、酸素原子が同一分子内の2原子の炭素と結合している官能基のことであり、環状エーテル構造を有する。代表的な環状エーテル構造としては、3員環、4員環、5員環、6員環があるが、中でも3員環構造のものが好ましい。
【0115】
エポキシ基を有するビニル樹脂を構成するエポキシ基ユニットを有するモノマーとして以下のものが挙げられる。
【0116】
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸β−メチルグリシジル、メタクリル酸β−メチルグリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリルβ−メチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、一般式(II)で表されるグリシジルモノマーが好ましく用いられる。
【0117】
【化10】
【0118】
(上記式中、R’1、R’2及びR’3は、水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボキシル基及びアルコシキカルボニル基を示す。)
【0119】
このようなエポキシ基ユニットを有するモノマーは単独、或いは混合して、ビニル系モノマーと公知の重合方法により共重合させることにより該エポキシ基を有するビニル樹脂を得ることができる。
【0120】
エポキシ基を有するビニル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは2,000乃至100,000、より好ましくは2,000乃至50,000、さらに好ましくは3,000乃至40,000であることが良い。Mwが2,000未満の場合、結着樹脂中の架橋反応によって分子量が増大して混練工程によって分子の切断が多く、耐久性を悪化させる。Mwが100,000を超える場合には、定着性に影響を及ぼす様になる。
【0121】
また、エポキシ価は、0.05乃至5.0eq/kgものが好ましい。0.05eq/kg未満の場合、架橋反応が進行しにくく、高分子量成分やTHF不溶分の生成量が少なくなり、トナーの強靭性が小さくなる。5.0eq/kgを超える場合、架橋反応は起こりやすい反面、混練工程において分子切断が多く、磁性体の分散性が悪化する。
【0122】
本発明のエポキシ基を有するビニル樹脂は、カルボキシル基含有ビニル樹脂中のカルボキシル基1当量に対して、エポキシ基が0.01乃至10.0当量、好ましくは0.03乃至5.0当量の混合比で用いられることが好ましい。
【0123】
エポキシ基が0.01当量未満の場合、結着樹脂中において、架橋点が少なくなり、耐久性などの架橋反応による効果が発現しにくくなる。また、10当量を超えると、架橋反応が起こりやすくなる反面、過剰のTHF不溶分の生成などにより、分散性の悪化などが生じ、粉砕性の悪化、現像の安定性に問題が出てくる。
【0124】
エポキシ基を有するビニル樹脂のエポキシ価は、以下の方法により求める。
【0125】
〈エポキシ価の測定〉
基本操作はJIS K−7236に準ずる。
(1)試料を0.5〜2.0(g)を精秤し、その重さをW(g)とする。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、クロロホルム10ml及び酢酸20mlに溶解する。
【0126】
この溶液に、臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液10mlを加える。0.1mol/lの過塩素酸酢酸溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置ATー400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用い、自動滴定が利用できる。)。この時の過塩素酸酢酸溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時の過塩素酸酢酸溶液の使用量をB(ml)とする。
【0127】
次式によりエポキシ価を計算する。fは過塩素酸酢酸溶液のファクターである。
【0128】
エポキシ価(eq/kg)=0.1×f×(S−B)/W
【0129】
本発明において用いられる、カルボキシル基及びエポキシ基を有するビニル樹脂の数平均分子量は、良好な現像性と耐久性を達成するため、10,000乃至40,000が好ましい。また、重量平均分子量は、耐オフセット性、耐ブロッキング性及び耐久性を達成するため、10,000乃至10,000,000が好ましい。
【0130】
また、カルボキシル基及びエポキシ基を有するビニル樹脂は、前記したカルボキシル基ユニットを有するモノマーとエポキシ基ユニットを有するモノマーを混合し、他のビニルモノマーと公知の重合方法により共重合させることにより得られる。
【0131】
また、本発明において、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂を樹脂製造時において、予め反応させたものを使用しても良い。反応手段としては、▲1▼カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂を溶液状態で混合し、反応釜内で熱を加えることにより架橋反応を起こさせる、また、▲2▼カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂をそれぞれ反応釜から取り出し、ヘンシェルミキサー等でドライブレンドを行い、2軸押し出し機等で熱溶融混練する事により、架橋反応を起こさせたものを使用しても良い。
【0132】
上記のカルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有する樹脂が反応したビニル樹脂を用いる場合、THF不溶分を0.1乃至60質量%含有することが好ましい。THF不溶分が上記範囲である場合、製造工程中の混練工程において、樹脂自体が適度な溶融粘度を有することができるため、材料の均一な分散性を達成する事ができる。
【0133】
THF不溶分が60質量%を超える場合、樹脂自体の溶融粘度が大きくなり、材料の分散性を悪化させてしまう。
【0134】
カルボキシル基ユニットを有するモノマー及びエポキシ基ユニット有するモノマーと共重合させるビニルモノマーは以下のものが挙げられる。
【0135】
カルボキシル基ユニットを有するモノマー、エポキシ基ユニットを有するモノマー以外のモノマーとして、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのようなエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのような不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルのようなビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−1−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸ステアリル、アクリル酸(2−クロルエチル)、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロぺニルケトンのようなビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンのようなN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸誘導体もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。これらのビニルモノマーは単独もしくは2つ以上のモノマーを混合して用いられる。
【0136】
これらの中でもスチレン系共重合体及びスチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましく、この場合、少なくともスチレン系共重合体成分またはスチレン−アクリル系共重合体成分を65質量%以上含有することが定着性、混合性の点で好ましい。
【0137】
本発明のトナーの結着樹脂としては、上記したカルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、カルボキシル基とエポキシ基を有するビニル樹脂、及びカルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を用いていればよいが、これらビニル樹脂以外の樹脂を結着樹脂として併用しても良い。但し、本発明においては結着樹脂中に上記特定のビニル樹脂を50質量%以上含むことが好ましい。
【0138】
本発明のトナーに使用される、上記特定のビニル樹脂以外の結着樹脂としては、下記の重合体が挙げられる。
【0139】
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレンーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
【0140】
本発明において、ポリエステル樹脂を添加する場合、以下の組成のものが好ましい。
【0141】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;下記式(B)で表されるジオール類が挙げられる。
【0142】
【化11】
【0143】
(式中、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、且つ、x+yの平均値は0〜10である。)
【0144】
【化12】
が挙げられる。
【0145】
2価の酸成分としては、ジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられ、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類またはその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類またはその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、またはその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類またはその無水物、低級アルキルエステルが挙げられる。
【0146】
架橋成分としても働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0147】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0148】
3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;下記式(C)で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステルの如き多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0149】
【化13】
【0150】
(式中、Xは炭素数1以上の側鎖を1個以上有する炭素数1〜30のアルキレン基またはアルケニレンを示す)
【0151】
本発明に用いられるアルコール成分としては、アルコール成分と酸成分の総量基準で40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては、アルコール成分と酸成分の総量基準で60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。
【0152】
3価以上の多価成分は、全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。
【0153】
本発明に用いられる結着樹脂の合成方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法が適用可能である。
【0154】
また、上記重合法において使用される開始剤としてはtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−tert−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−tert−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−tert−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(tert−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−tert−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(tert−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(tert−ブチルパーオキシ)シランが挙げられ、これらが単独或いは併用して使用できる。
【0155】
開始剤使用量はモノマー100質量部に対し、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1〜15質量部の濃度で用いられる。
【0156】
本発明のトナーには、正帯電性または負帯電性を保持させるために、荷電制御剤を含有させることが好ましい。
【0157】
トナーを正帯電性に制御するものとして下記の物質がある。
【0158】
例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物がある。これらを単独或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、イミダゾール化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0159】
また、トナーを負帯電性に制御するものとして下記の物質が挙げられる。
【0160】
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、本発明にかかる金属化合物以外の芳香族ヒドロキシカルボン酸金属錯体、芳香族ジカルボン酸金属錯体がある。他には、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。
【0161】
また、次に示した一般式(III)で表されるアゾ系金属化合物も好ましい。
【0162】
【化14】
【0163】
〔上記式中、Mは配位中心金属を表し、Sc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、及びFeからなるグループより選択される金属であり、Arは、フェニル基、ナフチル基の如きアリール基であり、置換基を有してもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン元素、カルボキシル基、アニリド基及び炭素数1乃至18のアルキル基、炭素数1乃至18のアルコキシ基が挙げられる。X、X’、Y及びY’は、−O−、−CO−、−NH−または−NR−(Rは炭素数1乃至4のアルキル基)である。A+はカチオンを示し、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンまたは脂肪族アンモニウムイオンを示す。〕
【0164】
上記一般式(III)で示されるアゾ系金属化合物において、特に中心元素としては、FeまたはCrが好ましく、アリール基の有する置換基としては、ハロゲン元素、アルキル基、アニリド基が好ましい。また、カウンターイオンの異なる金属化合物の混合物も好ましく用いられる。
【0165】
また、負帯電性電荷制御剤としてスチレン/アクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド系単量体との共重合体(荷電制御樹脂)を用いることにより、立ち上がりの良さを保持しつつ、高湿環境においても高い帯電量を得、低湿環境においても帯電過剰となることのないトナーを得ることができる。
【0166】
該荷電制御剤は、結着樹脂100質量部あたり0.1〜10質量部の割合で含有される。0.1質量部より少ないと、帯電特性に対する効果が不十分なものとなり、耐久画像安定性も好ましいものとはならない。10質量部より多くなるとトナーの定着性に対して悪影響を及ぼすようになり、さらには結着樹脂との相溶性も低下するために、トナーを小粒径化した場合には、環境変動や経時などにより安定した帯電特性が得られなくなる。
【0167】
該荷電制御樹脂に使用されるスチレン/アクリル系単量体としては、上述のビニル系共重合体を生成するためのビニル系モノマーの中から適宜選択される。好ましくはスチレンとアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルとの組み合わせが挙げられる。
【0168】
またスルホン酸含有アクリルアミド系単量体としては、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸などを挙げることができる。好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。
【0169】
荷電制御樹脂を合成する際に使用される重合開始剤としては、上述のビニル系共重合体を生成する際に使用される開始剤の中から適宜選択される。好ましくは過酸化物開始剤が使用される。
【0170】
また荷電制御樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、溶液重合、懸濁重合、塊状重合などいずれの方法も使用可能であるが、低級アルコールを含む有機溶剤中で共重合させる溶液重合が好ましい。
【0171】
またスチレン/アクリル系単量体とスルホン酸含有アクリルアミド系単量体との共重合比は98:2〜80:20であり、重量平均分子量が2000〜15000の重合体であることが好ましい。スルホン酸含有アクリルアミド系単量体の割合が2質量%より少なくなると、帯電特性に対する効果が不十分なものとなる。20質量%以上を超えると、耐湿性などの環境安定性が悪化する。また重量平均分子量が2000未満になると高湿環境下において帯電量の低下を招き、さらには耐オフセット性も悪化する。また重量平均分子量が15000を超えると、樹脂との相溶性が悪化し、トナーの小粒径化により環境変動や経時により安定した帯電性が得られなくなる。
【0172】
荷電制御剤をトナーに含有させる方法として、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの荷電制御剤の使用量は結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に決定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0173】
本発明に用いられる離型剤としては次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物:カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類:ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類:ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0174】
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧化でラジカル重合或いは低圧化でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー:高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、或いはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行なったものがより好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
【0175】
本発明において使用されるワックスは、ワックスを含有するトナーの示差走査熱量計で測定されるDSC曲線において、温度70〜140℃、好ましくは80〜130℃の領域に吸熱メインピークを有することが、トナーの低温定着性及び耐高温オフセット性の点で好ましい。
【0176】
これらのワックスは、トナー製造に際し、予め重合体成分中に添加・混合しておくこともできる。その場合は、重合体成分の調製時に、ワックスと高分子量重合体とを溶剤に予備溶解した後、低分子重合体溶液と混合する方法が好ましい。これによりミクロな領域での相分離が緩和され、高分子量成分の再凝集が制御され、低分子重合体との良好な分散状態も得られる。
【0177】
また、上記ワックスの添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.2〜20質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましい。尚、2種類以上のワックスを併用して添加しても良い。
【0178】
本発明のトナーに使用できる着色剤としては、任意の適当な顔料または染料が挙げられる。例えば、顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を維持するために必要な量が用いられ、結着樹脂100質量部に対して、0.1乃至20質量部、好ましくは0.2乃至10質量部の添加量が良い。同様の目的で、さらに染料が用いられる。例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり、結着樹脂100質量部に対して、0.1乃至20質量部、好ましくは0.3乃至10質量部の添加量が良い。
【0179】
本発明のトナーにおいては、着色剤として磁性体を用い、磁性トナーとしても使用することができる。好ましくは、磁性体として磁性酸化鉄が用いられる。
【0180】
また、磁性体の個数平均粒子径としては、0.05〜1.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.6μm、特に好ましくは0.1〜0.4μmである。
【0181】
本発明においてトナーに含有させる磁性体の量は、結着樹脂100質量部に対して10〜200質量部、好ましくは20〜170質量部、さらに好ましくは30〜150質量部である。
【0182】
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を添加することが好ましい。
【0183】
本発明に用いられるシリカ微粉末は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対してシリカ微粉体0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部使用するのが良い。
【0184】
また、本発明に用いられるシリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
【0185】
本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。
【0186】
例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラー定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子などである。
【0187】
例えば滑剤としては、テフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末等が挙げられ、中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。また研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。流動性付与剤としては、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末等が挙げられ、中でも疎水性のものが好ましい。導電性付与剤としては、カーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化アンチモン粉末、酸化スズ粉末等が挙げられる。またさらに、逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0188】
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤、及び金属化合物、さらに必要に応じて用いられるその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行い、さらに必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合し、本発明のトナーを得ることができる。
【0189】
例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製銅所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日新エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる箭い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動飾い等が挙げられる。
【0190】
【実施例】
以下、具体的実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0191】
<高分子量成分の製造例A−1>
・スチレン 77.4質量部
・アクリル酸n−ブチル 19.4質量部
・メタクリル酸 3.2質量部
・2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロへキシル)プ
ロパン 0.8質量部
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後4時間かけて滴下した。さらにキシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去した。このようにして得られた樹脂をA−1とする。
【0192】
<高分子量成分樹脂の製造例A−2>
製造例A−1において、
・スチレン 79.7質量部
・アクリル酸n−ブチル 19.9質量部
・アクリル酸 0.4質量部
・2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロへキシル)プ
ロパン 0.8質量部
に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−2を得た。
【0193】
<高分子量成分樹脂の製造例A−3>
製造例A−1において、
・スチレン 76.0質量部
・アクリル酸n−ブチル 19.0質量部
・メタクリル酸 5.0質量部
・2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロへキシル)プ
ロパン 0.8質量部
に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−3を得た。
【0194】
<高分子量成分樹脂の製造例A−4>
製造例A−1において、
・スチレン 74.4質量部
・アクリル酸n−ブチル 18.6質量部
・アクリル酸 7質量部
・2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロへキシル)プ
ロパン 0.8質量部
に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−4を得た。
【0195】
<高分子量成分樹脂の製造例A−5>
製造例A−1において、
・スチレン 80質量部
・アクリル酸n−ブチル 20質量部
・2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロへキシル)プ
ロパン 8質量部
に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−5を得た。
【0196】
<高分子量成分樹脂の製造例A−6>
製造例A−1において、
・スチレン 72.8質量部
・アクリル酸n−ブチル 18.2質量部
・アクリル酸 9質量部
・2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロへキシル)プ
ロパン 0.8質量部
に変えた以外は製造例A−1と同様に樹脂A−6を得た。
【0197】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−1>
・高分子量成分樹脂A−1 30質量部
・スチレン 55.5質量部
・アクリル酸n−ブチル 13.9質量部
・メタクリル酸 0.6質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 1.4質量部
【0198】
上記原材料をキシレン200質量部中に4時間かけて滴下した。さらに、キシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、このようにして得られた樹脂をB−1とする。
【0199】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−2>
製造例B−1において、
・高分子量成分樹脂A−2 25質量部
・スチレン 60質量部
・アクリル酸n−ブチル 15質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 1.4質量部
に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−2を得た。
【0200】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−3>
製造例B−1において、
・高分子量成分樹脂A−3 30質量部
・スチレン 54.4質量部
・アクリル酸n−ブチル 13.6質量部
・メタクリル酸 2.0質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 1.4質量部
に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−3を得た。
【0201】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−4>
製造例B−1において、
・高分子量成分樹脂A−4 30質量部
・スチレン 52.8質量部
・アクリル酸n−ブチル 13.2質量部
・アクリル酸 4質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 1.4質量部
に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−4を得た。
【0202】
<カルボキシル基を有しないビニル樹脂の製造例B−5>
製造例B−1において、
・高分子量成分樹脂A−6 30質量部
・スチレン 56質量部
・アクリル酸n−ブチル 14質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 1.4質量部
に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−5を得た。
【0203】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−6>
製造例B−1において、
・高分子量成分樹脂A−7 30質量部
・スチレン 52.8質量部
・アクリル酸n−ブチル 13.2質量部
・アクリル酸 4.0質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 1.4質量部
に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−6を得た。
【0204】
<カルボキシル基を有するビニル樹脂の製造例B−7>
製造例B−1において、
・高分子量成分樹脂A−2 50質量部
・スチレン 40質量部
・アクリル酸n−ブチル 10質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 1.0質量部
に変えた以外は製造例B−1と同様に樹脂B−7を得た。
【0205】
<エポキシ基を有するビニル樹脂の製造例C−1>
・スチレン 79.2質量部
・アクリル酸n−ブチル 19.8質量部
・メタクリル酸グリシジル 1質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 5質量部
【0206】
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し、120℃に昇温させた後4時間かけて滴下した。さらにキシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、このように得られた樹脂をC−1とする。
【0207】
<エポキシ基を有するビニル樹脂の製造例C−2>
製造例C−1において、
・スチレン 72質量部
・アクリル酸n−ブチル 18質量部
・メタクリル酸グリシジル 10質量部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 5質量部
に変えた以外は製造製C−1と同様に樹脂C−2を得た。
【0208】
<金属化合物の合成例D−1〜D−6>
表1に示す芳香族化合物或いは芳香族化合物のナトリウム塩を水、アルコール水溶液、アルコールに溶解し、該当する塩化酸化金属化合物の水溶液を反応させ、芳香族化合物と金属元素の反応生成物を濾過、水洗して得た。この時芳香族化合物と塩化酸化金属化合物の仕込み比、溶媒、添加順序、添加速度、反応温度、反応時間を調整して種々の金属化合物を調整した。尚、表1における芳香族化合物の番号は、先に例示した芳香族オキシカルボン酸に付した番号を示す。
【0209】
【表1】
【0210】
〔実施例1〕
製造例B−1で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部及び製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンシェルミキサーにて混合後、二軸混練押し出し器にて180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂1を得た。
・上記結着樹脂1 100質量部
・磁性酸化鉄(個数平均粒径0.2μm) 90質量部
・フィッシャートロプシュワックス(融点101℃) 4質量部
・金属化合物D−1 2質量部
・モノアゾ鉄錯体 2質量部
【0211】
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に前混合した後、130℃に設定した二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕物をさらに風力分級機で分級し、重量平均径6.7μmの分級微粉体(トナー粒子)を得た。
【0212】
得られた分級微粉体100質量部に、乾式法で製造されたシリカ微粉体(BET比表面積200m2/g)100質量部あたり、ジメチルジクロロシラン処理した後ヘキサメチレンジシラザン処理し、ジメチルシリーコンオイル処理を行った疎水性シリカ1.2質量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。トナー物性を表2にまとめた。
【0213】
また、得られたトナー1について、次に示す各評価試験を行った。
【0214】
<画像評価試験>
市販の複写機GP−405(キヤノン(株)社製)を用い、常温/常湿環境下(23℃/60%RH)において、印字比率4%のテストチャートを用いて、100,000枚複写し、常温低湿環境下(23℃/5%RH)及び高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)の各環境下において、印字比率4%のテストチャートを用いて、それぞれ、50,000枚複写を行い、画像濃度、カブリ、感光体融着の画像評価を行った。
【0215】
画像濃度は、「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて測定した。カブリは、「反射濃度計」(東京電色技術センター社製)を用いて、転写紙の反射濃度とベタ白をコピーした後の転写紙の反射濃度を測定し、その差分をカブリ値とした。
【0216】
感光体融着は、得られた画像を目視して観察することにより評価した。
A(優):全く発生しない。
B(良):微小な汚れが発生するが実用上問題ない。
C(可):斑点状、線上の汚れが発生し、発生、消失を繰り返す。
D(悪い):汚れが発生し、消失しない。
【0217】
<定着評価試験>
市販の複写機GP−405(キヤノン(株)社製)の定着器を外部に取り出し、複写機外でも動作し、定着温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを150mm/secとなるように改造した外部定着器を用い、未定着画像を担持している100g/m2紙を通紙することにより評価を行った。130〜180℃の温度範囲で、5℃おきに温調して、各々の温度で未定着画像の定着を行い、得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で往復5回摺擦し、摺擦前後での画像濃度低下率が10%以下になる点を定着開始温度とした。この温度が低いほど定着性に優れている。画像濃度の測定は、マクベス濃度計(マクベス社製)で反射濃度を測定することにより行った(評価環境;23℃、60%RH)。
【0218】
<耐オフセット性評価試験>
上記外部定着器のプロセススピードを50mm/secに改造し、未定着画像を通紙することにより耐オフセット性試験を評価した。評価に際し、定着ローラー温度を180〜240℃の温度範囲で5℃おきに温調して、定着ローラーにトナーがオフセットした温度をオフセット温度とした(評価環境;23℃、60%RH)。
【0219】
これらの画像評価、定着評価、耐オフセット性評価を表3にまとめた。
【0220】
〔実施例2〕
製造例B−2で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部と、製造例C−2で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂2を得た。
【0221】
結着樹脂1を結着樹脂2に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー2を得た。このトナー2について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0222】
〔実施例3〕
製造例B−3で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部と、製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、結着樹脂3を得た。
【0223】
結着樹脂1を結着樹脂3に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー3を得た。このトナー3について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0224】
〔実施例4〕
製造例B−4で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂95質量部と、製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂5質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂4を得た。
【0225】
結着樹脂1を結着樹脂4に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー4を得た。このトナー4について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0226】
〔比較例1〕
製造例B−5で得られたカルボキシル基を含まないビニル樹脂90質量部と、製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂5を得た。
【0227】
結着樹脂1を結着樹脂5に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー5を得た。このトナー5について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0228】
〔実施例5〕
製造例B−6で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部と、製造例C−1で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、180℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂6を得た。
【0229】
結着樹脂1を結着樹脂6に変更する以外は実施例1と同様にし、トナー6を得た。このトナー6について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0230】
〔比較例2〕
製造例B−7で得られたカルボキシル基を有するビニル樹脂90質量部と、製造例C−2で得られたエポキシ基を有するビニル樹脂10質量部をヘンセルミキサーにて混合し、二軸押し出し機にて、200℃で混練し、冷却粉砕し、結着樹脂7を得た。
【0231】
結着樹脂1を結着樹脂7に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー7を得た。このトナー7について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0232】
〔実施例6〕
金属化合物D−1を金属化合物D−2に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー8を得た。このトナー8について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0233】
〔実施例7〕
金属化合物D−1を金属化合物D−3に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー9を得た。このトナー9について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0234】
〔実施例8〕
金属化合物D−1を金属化合物D−4に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー10を得た。このトナー10について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0235】
〔実施例9〕
金属化合物D−1を金属化合物D−5に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー11を得た。このトナー11について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0236】
〔実施例10〕
金属化合物D−1を金属化合物D−6に変更する以外は実施例1と同様にしトナー12を得た。このトナー12について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0237】
〔比較例3〕
金属化合物D−1を硫酸アルミに変更する以外は実施例1と同様にしてトナー13を得た。このトナー13について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0238】
〔実施例11〕
モノアゾ鉄錯体をスチレン/アクリルスルホン酸含有アクリルアミド共重合体に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー14を得た。このトナー14について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0239】
〔比較例4〕
金属化合物を添加しない以外は実施例3と同様にしてトナー15を得た。このトナー15について、実施例1と同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0240】
〔実施例12〕
金属化合物D−1に代えて、金属化合物D−6を20質量部添加する以外は実施例1と同様にし、トナー16を得た。このトナー16について、同様の評価を行った。トナー物性については表2に、評価結果を表3にまとめた。
【0241】
【表2】
【0242】
【表3】
【0243】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、定着性、体オフセット性に優れ、さらに高速時の現像安定性、耐久性にも優れ、感光体への耐トナー融着生に優れたトナーが提供される。
Claims (13)
- 少なくとも結着樹脂、着色剤及び金属化合物を有するトナーにおいて、
該結着樹脂として、カルボキシル基を有するビニル樹脂とエポキシ基を有するビニル樹脂、カルボキシル基とエポキシ基を有するビニル樹脂、及びカルボキシル基とエポキシ基が反応したビニル樹脂からなるグループより選択される1種以上のビニル樹脂を少なくとも含有し、
該金属化合物として、芳香族ジオール、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸からなるグループより選択される1種以上の芳香族化合物と1種以上の金属元素が配位または/及び結合している有機金属化合物を少なくとも含有し、
該トナーの結着樹脂成分中の上記金属化合物含有金属元素の存在割合をA(ppm)、該トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中の上記金属化合物含有金属元素の存在割合をB(ppm)としたとき、1<A/Bであることを特徴とするトナー。 - 該トナーの結着樹脂成分中の金属化合物含有金属元素の存在割合A(ppm)は、50乃至10000ppmであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該有機金属化合物中の芳香族化合物が、下記一般式(I)で示される芳香族オキシカルボン酸であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
- 該有機金属化合物中の芳香族化合物が、置換基としてアルキル基を有するサリチル酸であることを特徴とする請求項3に記載のトナー。
- 該有機金属化合物中の金属元素が、Al、Cr、Zn、Zr、Hfからなるグループより選択される1種以上の金属元素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーのTHF可溶分の酸価が0.1乃至50mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
- 該トナー中のTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、分子量4,000乃至30,000の領域に少なくとも一つのメインピークを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
- 該分子量分布において、分子量30,000以下のピーク面積が全体のピーク面積に対して、60乃至100%の割合であることを特徴とする請求項7に記載のトナー。
- 該トナーの結着樹脂成分は、THF不溶分を0.1乃至60質量%含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーは、ワックスを結着樹脂100質量部に対して0.2乃至20質量部含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
- 該トナーのDSCにより測定される吸熱曲線において、70乃至140℃の領域に最大ピークを有することを特徴とする請求項10に記載のトナー。
- 該着色剤が磁性酸化鉄であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー。
- 該磁性酸化鉄が、結着樹脂100質量部に対して10乃至200質量部含有されていることを特徴とする請求項14に記載のトナー。
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