JP2002207313A - トナー - Google Patents

トナー

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JP2002207313A
JP2002207313A JP2001000964A JP2001000964A JP2002207313A JP 2002207313 A JP2002207313 A JP 2002207313A JP 2001000964 A JP2001000964 A JP 2001000964A JP 2001000964 A JP2001000964 A JP 2001000964A JP 2002207313 A JP2002207313 A JP 2002207313A
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JP
Japan
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wax
toner
peak
molecular weight
parts
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Application number
JP2001000964A
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English (en)
Inventor
Tsuneo Nakanishi
恒雄 中西
Nobuyuki Okubo
信之 大久保
Tsutomu Konuma
努 小沼
Katsuhisa Yamazaki
克久 山崎
Kaori Hiratsuka
香織 平塚
Hirohide Tanigawa
博英 谷川
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 定着性と耐オフセット性に優れ、且つ、長期
の耐久を行っても定着部材等へ付着しにくいトナーを提
供する。 【解決手段】 少なくとも結着樹脂とワックスを含有す
るトナーにおいて、該トナーは、示差走査熱量計により
測定されるDSC曲線の昇温時の吸熱ピークに関し、6
0〜90℃の温度領域に第一の吸熱ピークP1を持ち、
90〜120℃の温度領域に第二の吸熱ピークP2を持
ち、120〜150℃の温度領域に第三の吸熱ピークP
3を持つことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法、静電印刷法、またはトナージェット方式記録法
の如き画像形成方法に用いられるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真法を用いた機器は、オリ
ジナル原稿を複写するための複写機以外にも、コンピュ
ーターの出力用のプリンター、ファクシミリなどにも使
われ始めた。そのため、より小型、より軽量、そしてよ
り高速、より高信頼性が厳しく追及されており、機械は
さまざまな点で、よりシンプルな要素で構成されるよう
になってきている。その結果、トナーに要求される性能
はより高度になり、トナーの性能向上が達成できなけれ
ば、より優れた機械が成り立たなくなってきている。
【0003】例えば、デジタルプリンター及び高細密画
像のコピーにおいてトナーに要求される性能のうち、最
も重要なものに、定着性能及び耐オフセット性能があ
る。定着工程に関しては、種々の方法や装置が開発され
ているが、現在最も一般的な方法は熱ローラーによる圧
着加熱方式である。この熱ローラーによる圧着加熱方式
は、トナーに対し離型性を有する材料で表面を形成した
熱ローラーの表面に、被定着シートのトナー像面を加圧
下で接触しながら通過せしめることにより定着を行うも
のである。この方法は、熱ローラーの表面と被定着シー
トのトナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を被
定着シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であ
り、迅速に定着を行うことができ、高速度電子写真複写
機においても非常に有効である。
【0004】従来、定着ローラー表面にトナーを付着さ
せない目的で、例えばローラー表面をトナーに対して離
型性の優れた材料、シリコーンゴムやフッ素系樹脂など
で形成し、更にその表面にオフセット防止剤及びローラ
ー表面の疲労を防止するためにシリコーンオイルの如き
離型性の良い液体の薄膜でローラー表面を皮膜すること
が行われている。しかしながら、この方法はトナーのオ
フセットを防止する点では有効であるが、オフセット防
止用液体を供給するための装置が必要なため、定着装置
が複雑になる等の問題点を有している。
【0005】そこでシリコーンオイル供給装置等を用い
ないで、替わりにトナー中から加熱時にオフセット防止
液体を供給しようという考えから、トナー中に低分子量
ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の離型剤を添
加しようという方法が提案されている。充分な効果を出
すために多量にこのような添加剤を加えると、感光体へ
のフィルミングやキャリアやスリーブ等のトナー担持体
表面を汚染し、画像が劣化し、実用上問題となる。そこ
で画像を劣化させない程度に少量の離型剤をトナー中に
添加し、若干の離型性オイルの供給もしくはオフセット
したトナーを、巻き取り式の例えばウェッブの如き部材
を用いた装置でクリーニングする装置を併用することが
行われている。
【0006】しかし最近の小型化、軽量化、高信頼性の
要求を考慮すると、これらの補助的な装置すら除去する
ことが好ましい。従ってトナーの定着性、耐オフセット
性などの更なる向上がなければ対応しきれず、それはト
ナーのバインダー樹脂や離型剤の更なる改良がなければ
実現することが困難である。
【0007】トナー中に離型剤としてワックスを含有さ
せることは知られている。例えば、特開昭52−330
4号公報、特開昭52−3305号公報、特開昭57−
52574号公報等の技術が開示されている。
【0008】これらのワックス類は、トナーの低温時や
高温時の耐オフセット性の向上のために用いられてい
る。しかしながら、これらの性能を向上させる反面、耐
ブロッキング性を悪化させたり、現像性が悪化したりし
ていた。
【0009】また、低温領域から高温領域にかけて、よ
りワックス添加の効果を発揮させるために2種類以上の
ワックスを含有するトナーとして、例えば特公昭52−
3305号公報、特開昭58−215659号公報、特
開昭62−100775号公報、特開平4−12467
6号公報、特開平4−299357号公報、特開平4−
362953号公報、特開平5−197192号公報等
の技術が開示されている。
【0010】しかし、これらのトナーにおいても、全て
の性能を満足し得るものはなく、何らかの問題点を生じ
ていた。例えば、耐高温オフセット性や現像性は優れて
いるが低温定着性が今一歩であったり、耐低温オフセッ
ト性や低温定着性には優れているが、耐ブロッキング性
にやや劣り、現像性が低下する等の弊害があったり、低
温時と高温時の耐オフセット性が両立できなかったり、
遊離ワックス成分によるトナーコート不均一のためにブ
ロッチが発生し、画像欠陥を生じたり、画像上にカブリ
が生じたりしていた。
【0011】これらのトナーに含有されているワックス
類は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線の昇
温時の吸熱ピークに関して、単に幅広いまたは偏った温
度領域にワックス成分が存在しているため、前記の性能
を満足させるには足りないものであったり、あるいは劣
化させる成分や効果の少ない成分を多く含んでいた。
【0012】また、特開平8−278657号公報、特
開平8−334919号公報、特開平8−334920
号公報等には、低温定着性及び耐オフセット性に優れる
トナーを得るために、2種類以上のワックス成分をトナ
ーに含有させることが提案されている。また、特開平7
−281478号公報には、定着下限温度を下げ、ホッ
トオフセット温度を高くするために、ポリプロピレン系
樹脂と酸変性したポリエチレン系樹脂をトナー用の離型
剤として使用することが提案されている。また、特開平
8−166686号公報には、特定のモノマー構成より
成るポリエステル樹脂と酸価を持つ2種の異なる軟化点
のオフセット防止剤を含むトナーが提案されている。
【0013】しかしながら、これらの離型剤を使ったト
ナーでは確かに低温定着性と耐高温オフセット性の幅は
拡大するものの、各々のワックス成分をトナー中に均一
に分散させることが困難であり、分散不良に伴うカブリ
の増大や現像性の悪化を引き起こす場合があった。ま
た、複写機やプリンター等の装置中の定着器ローラー
(加熱ローラー、加圧ローラー等)や紙送りローラー、
コロ部材等へのトナー汚染、付着については何ら解決手
段が示されていない。
【0014】加熱ローラーや加圧ローラー、フィルムを
介した加熱方式の定着においては、トナー像は溶融状態
でローラーやフィルム表面と接触するため、トナー像の
一部がローラーやフィルム表面に付着し、転移し、次の
被定着シートを汚すことがある。
【0015】近年、複写機やプリンター用の転写紙に
は、漂白剤として炭酸カルシウムなどが含有されてい
る。この炭酸カルシウムやタルクなどの不純物が定着ロ
ーラー、加圧ローラー、定着フィルムなどの定着部材に
付着すると、これらの定着部材にトナーが付着しやすく
なり、付着したトナーは通紙により紙に移され、結果と
して画像を汚してしまうことがある。従って加熱ローラ
ーや加圧ローラー、フィルム表面にトナーが付着しない
ようにすることが、加熱定着方式の必須条件の一つとさ
れている。
【0016】つまり、定着性と耐オフセット性に優れ、
且つ、長期の耐久を行っても定着部材等へ付着しにくい
トナーが必要となっている。
【0017】
【課題が解決しようとする課題】本発明の目的は、定着
性と耐オフセット性に優れ、且つ、長期の耐久を行って
も定着部材等へ付着しにくいトナーを提供することにあ
る。
【0018】本発明の目的は、微粒子化に対しても良好
な現像性を維持できるトナーを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の発明は、
少なくとも結着樹脂とワックスを含有するトナーにおい
て、該トナーは、示差走査熱量計により測定されるDS
C曲線の昇温時の吸熱ピークに関して、60〜90℃の
温度領域に第一の吸熱ピークP1を持ち、90〜120
℃の温度領域に第二の吸熱ピークP2を持ち、120〜
160℃の温度領域に第三の吸熱ピークP3を持つこと
を特徴とするトナーに関する。
【0020】本発明の第二の発明は、少なくとも結着樹
脂とワックスを含有するトナーにおいて、該ワックス
は、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線の昇温
時の最大吸熱ピーク温度が異なる少なくとも3種類のワ
ックスから成り、60〜90℃の温度領域に最大吸熱ピ
ークPAを持つワックスAと、90〜120℃の温度領
域に最大吸熱ピークPBを持つワックスBと、120〜
160℃の温度領域に最大吸熱ピークPCを持つワック
スCで構成されることを特徴とするトナーに関する。
【0021】
【発明の実施の形態】デジタルプリンター及び複写機で
の定着工程においては、トナーの熱特性や熱的挙動を知
ることが、トナー設計上極めて重要である。トナーの熱
特性や熱的挙動は、トナーの示差走査熱量計により測定
されるDSC吸熱曲線により観測することができ、トナ
ーの熱のやり取りとトナーの状態変化を知ることができ
る。特に昇温時には、ワックスの転移・融解に伴う吸熱
ピークが観測され、トナーに熱を与えた時の変化を知る
ことができる。したがって、トナーのDSC曲線によ
り、トナーの熱に対する電子写真特性に関する知見が得
られる。
【0022】本発明の第一の発明では、示差走査熱量計
により測定されるトナーのDSC曲線の昇温時の3つの
温度領域、すなわち60〜90℃、90〜120
℃、120〜160℃を重視する。 60〜90℃の温度領域は、定着時にトナーが溶融し
始める温度領域であり、主にトナーの定着性に寄与し、
コールドスタート時や定着器が冷えた時の定着性に影響
する。 90〜120℃の温度領域は、トナーが溶融する通常
の温度領域であり、主に通常定着時の離型性に寄与し、
実使用の定着部材汚れに影響する。 120〜160℃の温度領域は、トナーの高温定着時
の温度領域であり、主にトナーの高温定着時の離型性に
寄与し、オーバーシュートや端部昇温での耐オフセット
性に影響する。
【0023】本発明のトナーは、示差走査熱量計により
測定されるDSC曲線の昇温時の吸熱ピークに関して、
60〜90℃の温度領域に第一の吸熱ピークP1を持
ち、90〜120℃の温度領域に第二の吸熱ピークP2
を持ち、120〜150℃の温度領域に第三の吸熱ピー
クP3を持つことを特徴とする。吸熱ピークの好ましい
温度領域としては、第一の吸熱ピークP1は65〜85
℃、更に好ましくは70〜80℃であり、第二の吸熱ピ
ークP2は92〜115℃、更に好ましくは95〜11
0℃であり、第三の吸熱ピークP3は120〜155
℃、更に好ましくは125〜150℃である。
【0024】これら3つの吸熱ピークのうち、60〜9
0℃、好ましくは65〜85℃、更に好ましくは70〜
80℃という低温度領域の吸熱ピークP1を発現するワ
ックス成分が可塑化作用を発揮し、トナーの低温定着性
に寄与し、また保存安定性を保証する。トナーの第一の
吸熱ピークP1のピーク温度が60℃未満である場合、
可塑化作用が強すぎてトナーがブロッキングしてしま
い、また耐オフセット性も低下する。反対に、トナーの
第一の吸熱ピークP1のピーク温度が90℃を超えてし
まうと、定着部材汚れ防止との機能分離効果が現れにく
く、所望の定着性能が得られなくなる。
【0025】また、90〜120℃、好ましくは92〜
115℃、更に好ましくは95〜110℃という中温度
領域の吸熱ピークP2を発現するワックス成分がトナー
の定着部材への付着・融着による汚れを高度に防止し、
長期の耐久を行っても定着部材を汚すことがなく、従っ
て画像を汚すことがない。トナーの第二の吸熱ピークP
2のピーク温度が90℃未満である場合、定着性能との
機能分離効果が現れにくく、所望の定着部材汚れ防止効
果が得られなくなる。反対に、トナーの第二の吸熱ピー
クP2のピーク温度が120℃を超えてしまうと、耐オ
フセット性能との機能分離効果が現れにくく、所望の定
着部材汚れ防止効果が得られなくなる。
【0026】更に、120〜160℃、好ましくは12
0〜155℃、更に好ましくは125〜150℃という
高温度領域の吸熱ピークP3を発現するワックス成分が
高温時の離型作用に対する効果を発揮し、トナーの耐オ
フセット性に寄与し、高温時のオフセットによる画像汚
れを防止する。トナーの第三の吸熱ピークP3のピーク
温度が120℃未満である場合、定着部材汚れ防止との
機能分離効果が現れにくく、所望の耐オフセット性能が
得られなくなる。反対に、トナーの第三の吸熱ピークP
3のピーク温度が160℃を超えてしまうと、ワックス
の相分離がうまくいかず、耐オフセット効果が発揮でき
ない。
【0027】これらの吸熱ピークP1、P2、P3の温度
差をそれぞれ10℃以上、より好ましくは15℃以上と
することで、更に好ましく20℃以上であるが、所望の
定着性能、耐オフセット性能、定着部材汚れ防止といっ
た機能を分離させることができ、バランスの良いトナー
を得ることができる。ピーク温度差が10℃未満では、
機能分離効果が減少する。
【0028】本発明は次に述べる第二の発明のワックス
の構成を有するトナーによっても達成できる。
【0029】加熱定着工程においては、使用するワック
スの熱特性や熱的挙動を知ることが、トナー用ワックス
の設計上極めて重要である。ワックスの熱特性や熱的挙
動は、ワックスの示差走査熱量計により測定されるDS
C吸熱曲線により観測することができ、ワックスの熱の
やり取りとワックスの状態変化を知ることができる。特
に昇温時には、ワックスの転移・融解に伴う吸熱ピーク
が観測され、ワックスに熱を与えた時の変化を知ること
ができる。したがって、ワックスのDSC曲線により、
トナー中のワックス成分の熱に対する電子写真特性に関
する知見が得られる。
【0030】本発明の第二の発明のトナーに使用するワ
ックス成分は、示差走査熱量計により測定されるワック
スのDSC曲線の昇温時の最大吸熱ピーク温度が異なる
少なくとも3種類のワックスから成り、60〜90℃の
温度領域に最大吸熱ピークP Aを持つワックスAと、9
0〜120℃の温度領域に最大吸熱ピークPBを持つワ
ックスBと、120〜160℃の温度領域に最大吸熱ピ
ークPCを持つワックスCで構成されることを特徴とす
る。ワックスの最大吸熱ピークの好ましい温度領域とし
ては、ワックスAの最大吸熱ピークPAが65〜85
℃、更に好ましくは70〜80℃であり、ワックスBの
最大吸熱ピークPBが92〜115℃、更に好ましくは
95〜110℃であり、ワックスCの最大吸熱ピークP
Cが120〜155℃、更に好ましくは125〜150
℃である。
【0031】これらの3種類のワックスのうち、60〜
90℃、好ましくは65〜85℃、更に好ましくは70
〜80℃という低温度領域に最大吸熱ピークPAを持つ
ワックスAが可塑化作用を発揮し、トナーの低温定着性
及び保存安定性に寄与する。ワックスAの最大吸熱ピー
クPAのピーク温度が60℃未満である場合、可塑化作
用が強すぎてトナーがブロッキングしてしまい、また耐
オフセット性も低下する。反対に、ワックスAの最大吸
熱ピークPAのピーク温度が90℃を超えてしまうと、
定着部材汚れ防止との機能分離効果が現れにくく、所望
の定着性能が得られなくなる。
【0032】また、90〜120℃、好ましくは92〜
115℃、更に好ましくは95〜110℃という中温度
領域に最大吸熱ピークPBを持つワックスBがトナーの
定着部材への付着・融着による汚れを高度に防止する。
ワックスBがこの温度範囲に吸熱ピークを持つことによ
り、トナーが加熱定着する時にワックスが迅速にトナー
表面にしみだすことができ、かつ適度な離型効果を有す
るためにトナーと定着部材との付着を抑制することがで
きる。ワックスBの最大吸熱ピークPBのピーク温度が
90℃未満である場合、定着性能との機能分離効果が現
れにくく、またトナー全体を可塑化させすぎてしまい、
所望の定着部材汚れ防止効果が得られなくなる。反対
に、ワックスBの最大吸熱ピークPBのピーク温度が1
20℃を超えてしまうと、耐オフセット性能との機能分
離効果が現れにくく、所望の定着部材汚れ防止効果が得
られなくなり、耐オフセット性も低下する。
【0033】更に、120〜160℃、好ましくは12
0〜155℃、更に好ましくは125〜150℃という
高温度領域に最大吸熱ピークPCを持つワックスCが離
型作用に対する効果を発揮し、トナーの耐オフセット性
に寄与する。ワックスCの最大吸熱ピークPCのピーク
温度が120℃未満である場合、定着部材汚れ防止との
機能分離効果が現れにくく、所望の耐オフセット性能が
得られなくなる。反対に、ワックスCの最大吸熱ピーク
Cのピーク温度が160℃を超えてしまうと、ワック
スの相分離がうまくいかずに離型効果が低減し、耐オフ
セット効果が発揮できない。
【0034】低温度領域に最大吸熱ピークPAを持つワ
ックスAと高温度領域に最大吸熱ピークPCを持つワッ
クスCの2種類をトナー中に含有させるだけでも定着
性、耐オフセット性、定着部材汚れの防止をある程度達
成することは可能ではあるが、ピーク温度差が大きすぎ
るため、トナーを溶融混練する際の融解しやすさに差が
生じることから、両者をトナー中に均一に分散させるこ
とが困難となり、ワックスAのみ、ワックスCのみで偏
析して存在することがあり、このためトナーの帯電不良
やカブリを生じることがある。
【0035】そこで、ワックスAとワックスCに加え
て、中間の温度領域に最大吸熱ピークPBを持つワック
スBを併用することにより、3種類のワックスを良好に
分散させることができる。また、ワックスの可塑作用や
離型作用がより効果的に働くため、各々のワックスが持
つ機能(ワックスAは定着性能、ワックスBは定着部材
汚れ防止、ワックスCは耐オフセット性能)を、それぞ
れ単独で用いるよりも、相乗的に向上させることができ
る。
【0036】更に、各々のワックスの最大吸熱ピークP
A、PB、PCの温度差をそれぞれ10℃以上、より好ま
しくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上とするこ
とで、所望の定着性能、耐オフセット性能、定着部材汚
れ防止といった機能を分離させることができ、バランス
の良いトナーを得ることができる。ピーク温度差が10
℃未満では、機能分離効果が減少する。
【0037】トナーのDSC曲線における吸熱ピーク
は、トナーに含有させたワックスの融解に伴う熱的挙動
を示している。本発明の第一の発明のトナーのような3
つのDSC吸熱ピークP1(60〜90℃)、P2(90
〜120℃)、P3(120〜160℃)を持たせるの
に、例えば吸熱ピーク幅の大きいワックスや、サブピー
クを有するワックスを用いて2種類以下のワックスでも
達成することは可能であり、定着性、耐オフセット性、
定着部材汚れ防止を満足することも可能ではある。例え
ば、60〜120℃にピークを有するワックス、90〜
160℃にピークを有し、幅広いピークや複数のピーク
を有するワックスを用いることで達成できる。しかしな
がら、前述したような、3種類のワックスを用いる方が
相乗効果が大きくなり、より大きな効果が期待でき、よ
り好ましい。また、最大吸熱ピーク温度の異なる3種類
のワックスを用いてトナー化した時、トナーのDSC曲
線の吸熱ピークが3つにならない場合もあるが、この場
合であっても本発明の効果は発揮される。また、この
時、トナーの吸熱ピークが第一の発明の如くのトナーの
DSCピークを有せば、より優れた、定着性、耐オフセ
ット性、定着部材汚れ防止効果を得られる。
【0038】従って、定着性、耐オフセット性、定着部
材汚れ防止を最も向上させるためには、トナーに含有さ
せるワックス成分としては、ワックスA(最大吸熱ピー
クP Aが60〜90℃)、ワックスB(最大吸熱ピーク
Bが90〜120℃)、ワックスC(最大吸熱ピーク
Cが120〜160℃)の3つを使用し、トナーに3
つのDSC吸熱ピークP1(60〜90℃)、P2(90
〜120℃)、P3(120〜160℃)を持たせるこ
とが好ましい。
【0039】本発明において、トナー及びワックスの示
差走査熱量計によるDSC曲線の吸熱ピーク温度の測定
は、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7やTAイ
ンスツルメンツジャパン社製のDSC2920が利用で
きる。測定は、ASTMD3418−82に準じて行
う。測定試料は、ワックスの場合は2〜5mg、トナー
の場合は5〜10mgを精密に秤量する。これをアルミ
パン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用
い、測定温度範囲30〜200℃の間で、常温常湿下で
一回昇温、降温させて前履歴を取った後、昇温速度10
℃/minで測定を行う。この昇温過程で、温度30〜
200℃の範囲におけるDSC曲線の吸熱ピークが得ら
れ、ピークトップの温度をピーク温度とする。
【0040】また、本発明に用いるワックス成分のトナ
ー中の含有量は、結着樹脂成分100質量部に対して
0.2〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である
ことが好ましい。
【0041】0.2質量部未満では、ワックスを含有し
た効果が表れず、高温での耐オフセット性が得られず、
また、定着性も低下する。また、20質量部を超える場
合には、トナー中にワックス成分を均一に分散させるこ
とが困難となり、帯電性に影響を与え、またトナーの凝
集性が高くなり、現像性が悪化し、更に不良帯電による
カブリも増加する。
【0042】更に、該ワックスの25℃における針入度
は10mm未満であることが好ましい。より好ましく
は、ワックスAは10mm未満であり、ワックスBは7
mm未満であり、ワックスCは5mm未満である。針入
度が10mm以上では、高温における耐オフセット性能
を悪化させ、更にはトナーの粉体流動性や凝集性に悪影
響を及ぼし、フェーディング現象やカブリ等が悪化しや
すい。
【0043】ワックスの針入度は、JISK2207に
準じて測定される。具体的には、直径約9°の円錐形先
端を持つ針を一定荷重で貫入させたときの深さを0.1
mmの単位で表した数値である。なお、試験条件は試料
温度25℃、荷重100g、貫入時間5秒である。
【0044】該ワックスは、GPCにより測定される数
平均分子量(Mn)がポリエチレン換算で100〜30
00であることが好ましい。より好ましくは、ワックス
Aは100〜1000であり、ワックスBは500〜1
500であり、ワックスCは700〜3000である。
【0045】Mnが100未満では、離型効果を十分に
得ることが困難となり、またトナー中に分散させること
も困難となる。また、Mnが3000を超える場合に
は、定着性に悪影響を及ぼすため、好ましくない。
【0046】本発明におけるワックスの分子量の測定
は、以下の方法により行った。
【0047】<ワックスのGPC測定条件> ・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製) ・カラム:GMH−HT(東ソー社製)×2 ・温度:135℃ ・溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール
添加) ・流速:1.0ml/min ・試料:濃度0.15質量%の試料を0.4ml注入 以上の条件で測定し、試料の分子量換算にあたっては単
分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲
線をする。更に、ワックスの分子量は、Mark−Ho
uwink粘度式から導き出される換算式で換算するこ
とによって算出される。
【0048】本発明に用いられるワックスには次のよう
なものがある。例えば低分子量ポリエチレン、低分子量
ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフ
ィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフ
ィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き
脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス
の如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それ
らのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナ
バワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワック
ス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワック
ス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱
物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスター
ワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス
類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部
又は全部を脱酸化したものが挙げられる。更に、パルミ
チン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いは更に長鎖の
アルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽
和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バ
リナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコー
ル、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウ
ナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコ
ール、或いは更に長鎖のアルキル基を有するアルキルア
ルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多
価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、
ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスス
テアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エ
チレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステ
アリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレン
ビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸
アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,
N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸
アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,
N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系
ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カル
シウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム
の如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれている
もの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリ
ル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させた
ワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多
価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添
加することによって得られるヒドロキシル基を有するメ
チルエステル化合物が挙げられる。
【0049】好ましく用いられるワックスとしては、オ
レフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン;
高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生
成物を精製したポリオレフィン;低圧下でチーグラー触
媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオ
レフィン;放射線、電磁波又は光を利用して重合したポ
リオレフィン;パラフィンワックス、マイクロクリスタ
リンワックス、フィッシャートロプシュワックス;ジン
トール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成され
る合成炭化水素ワックス;炭素数1個の化合物をモノマ
ーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基の如
き官能基やエステル結合を有する炭化水素系ワックス;
炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワック
スとの混合物;これらのワックスを母体としてスチレ
ン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレー
ト、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変
性したワックスが挙げられる。特に好ましく用いられる
のは、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワ
ックス、ポリエチレンワックスである。
【0050】また、これらのワックスを、プレス発汗
法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法
又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたも
のや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低
分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好
ましく用いられる。
【0051】特に好ましく用いられるワックスは、DS
C曲線の60〜90℃の温度領域に吸熱ピークを持つワ
ックスAとしてはパラフィンワックス、フィッシャート
ロプシュワックス、ポリオレフィンワックス、またはア
ルコールワックス、エステルワックス、脂肪酸ワックス
等の官能基を有するワックスであり、DSC曲線の90
〜120℃の温度領域に吸熱ピークを持つワックスBと
してはフィッシャートロプシュワックス、エチレンを主
成分とするエチレン共重合体ワックス、メタロセン触媒
によるポリプロピレンワックス、メタロセン触媒による
エチレン・プロピレン共重合体ワックスまたはポリエチ
レンワックスであり、DSC曲線の120〜160℃の
温度領域に吸熱ピークを持つワックスCとしてはフィッ
シャートロプシュワックスまたはポリオレフィンワック
スである。また、ワックスAとして好ましいポリオレフ
ィンワックスは、ポリエチレンワックス、エチレン・α
オレフィン共重合体ワックス等であり、ワックスCとし
て好ましいポリオレフィンワックスは、ポリエチレンワ
ックス、ポリプロピレンワックス、エチレン・プロピレ
ン共重合体ワックス等である。
【0052】本発明においては、DSC最大吸熱ピーク
温度の異なるワックス成分をより均一にトナー中に分散
させるという観点から、予め2種類以上または3種類の
ワックスA、B、Cを溶剤中で結着樹脂と混合;分散さ
せてから用いることが好ましい。特に、バインダー製造
時にワックス成分と高分子量重合体とを溶剤に予備溶解
した後、低分子量重合体溶液と混合する方法が好まし
い。予めワックス成分と高分子量成分を混合しておくこ
とで、ミクロ領域での相分離が緩和され、高分子量成分
を再凝集させず、低分子量成分との良好な分散状態が得
られる。3種類のワックスを予め溶融状態で混合させ、
均一にトナー中に分散することにより、高度な定着性、
耐オフセット性、定着部材汚れ防止効果が得られ、ま
た、遊離成分の生成を抑えることができるので、カブリ
の低減や帯電のコントロール上好ましいものとなる。
【0053】更に、本発明のトナーは、THF可溶成分
のGPCにより測定される分子量分布において、分子量
3,000〜50,000の領域、好ましくは分子量
3,000〜30,000の領域に少なくとも一つピー
クを有し、分子量50,000〜10,000,00
0、好ましくは分子量100,000〜5,000,0
00、更に好ましくは100,000〜1,000,0
00の領域に少なくとも一つピーク又はショルダーを有
することが良い。分子量分布において、トナーがこのよ
うなピークを有することによって、定着性、耐オフセッ
ト性及び保存性がバランス良く保たれると共に、耐久
性、均一帯電性をトナーに付与することができる。
【0054】高分子量成分のピーク分子量が50,00
0未満の場合、トナーの耐高温オフセット性が十分満足
なものはとならず、本発明に係るワックス成分の分散性
や分散状態の保持が不十分となり、画像濃度の低下等の
画像欠陥を生じ易くなる。一方、ピーク分子量が10,
000,000を超える場合には、耐高温オフセット性
は良好になるものの、定着性が悪化し、また、トナー製
造時における粉砕性が低下して生産性の低下を招くこと
がある。
【0055】また、低分子量成分のピーク分子量が3,
000未満の場合には、ワックス成分による可塑化が急
激なものとなるため、耐高温オフセット性や保存性に問
題を生じる。また、局部的に相分離を生じ易くなるた
め、トナーの摩擦帯電も不均一なものとなり現像特性も
悪化する場合がある。一方、低分子量成分のピーク分子
量が50,000を超えると、該ワックス成分の分散状
態はある程度改善され、現像特性は向上するものの定着
性が十分なものではなくなり、この場合にもトナー製造
時の粉砕性が低下し、生産性の低下を招く。
【0056】このような、トナーの2つの分子量領域に
少なくとも一つずつピークを持たせ、トナーのDSC吸
熱ピークを60〜90℃、90〜120℃、120〜1
60℃の温度領域にそれぞれ1つずつ有することで、相
乗的に、定着性、耐オフセット性、定着部材汚れ防止を
更に良好にする効果が表れる。
【0057】本発明のトナーに上記のような分子量分布
を持たせるために、本発明に用いる結着樹脂成分は、T
HF可溶成分のGPCにより測定される分子量分布にお
いて、分子量3,000〜50,000の領域に少なく
とも一つピークを有する低分子量重合体と、分子量5
0,000〜10,000,000の領域に少なくとも
一つピーク又はショルダーを有する高分子量重合体から
なることが好ましい。
【0058】本発明において、トナー又は結着樹脂の、
THF(テトラハイドロフラン)を溶媒としたGPCに
よる分子量分布は次の条件で測定される。
【0059】40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定
化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF
を毎分1mlの流速で流し、試料のTHF溶液を約10
0μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたって
は、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチ
レン標準試料により作成された検量線の対数値とカウン
ト数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリス
チレン試料としては、例えば東ソー社製、或いは昭和電
工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少な
くとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが
適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用い
る。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラム
を複数本組み合わせるのが良い。例えば昭和電工社製の
shodexGPCKF−801,802,803,8
04,805,806,807,800Pの組み合わせ
や、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),
G2000H(HXL),G3000H(HXL),G40
00H(HXL),G5000H(HXL),G6000H
(HXL),G7000H(HXL),TSKguardc
olumnの組み合わせを挙げることができる。
【0060】試料は以下のようにして作製する。
【0061】試料をTHFに入れ、数時間放置した後、
十分振とうしTHFとよく混ぜ(試料の合一体がなくな
るまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF
中への試料の放置時間が24時間以上となるようにす
る。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.
45〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25
−5東ソー社製、エキクロディスク25CRゲルマンサ
イエンスジャパン社製等が利用できる)を通過させたも
のを、GPCの測定試料とする。試料濃度は、樹脂成分
が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0062】本発明に用いられる結着樹脂としては、ビ
ニル系樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール
樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メ
タクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラ
ン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチ
ラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系
樹脂等が挙げられる。中でもビニル系樹脂とポリエステ
ル系樹脂が帯電性や定着性で好ましい。
【0063】ビニル系樹脂として、例えばスチレン;o
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレ
ン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、
p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−
n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、
p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレ
ン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレ
ン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン誘導体;
エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き
エチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエンの如き不
飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビ
ニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニ
ルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、
メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、
メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエ
チルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボ
ン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル
酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル
酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル
酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエ
ーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、
ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの
如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニル
カルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロ
リドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミ
ドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体;α,
β−不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類;ア
クリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロ
トン酸、ケイヒ酸、ビニル酢酸、イソクロトン酸、アン
ゲリカ酸等のアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキ
ル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アル
ケニルコハク酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマ
レイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和ジカルボン酸及
びそのモノエステル誘導体又は無水物が挙げられる。こ
れらのビニル系モノマーが単独もしくは2つ以上で用い
られる。
【0064】これらの中でもスチレン系共重合体、スチ
レン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み
合わせが好ましい。
【0065】また、必要に応じて以下に例示するような
架橋性モノマーで架橋された重合体又は共重合体であっ
てもよい。
【0066】芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビ
ニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキ
ル鎖で結ばれたジアクリレート化合物として例えば、エ
チレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレング
リコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジア
クリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のア
クリレートをメタクリレートの代えたものが挙げられ;
エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレー
ト化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジ
アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエ
チレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレ
ングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレング
リコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレー
トをメタクリレートの代えたものが挙げられ;芳香族基
及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化
合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリ
レート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以
上の化合物のアクリレートをメタクリレートの代えたも
のが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として
例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
【0067】多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、トリメチロールエタントリア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリ
ゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレー
トをメタクリレートの代えたもの;トリアリルシアヌレ
ート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0068】これらの架橋剤は、単独もしくは混合して
用いられ、他のモノマー成分100質量部に対して、
0.01〜10質量部(さらに好ましくは0.03〜5
質量部)用いることができる。
【0069】これらの架橋性モノマーのうち、トナー用
樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられ
るものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベ
ンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれ
たジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0070】本発明において、ビニル系モノマーの単重
合体又は共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポ
キシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジ
ン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族
炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等を、必要に応じて前
述した結着樹脂に混合して用いることができる。
【0071】2種以上の樹脂を混合して、結着樹脂とし
て用いる場合、より好ましい形態としては分子量の異な
るものを適当な割合で混合するのが好ましい。
【0072】結着樹脂のガラス転移温度は好ましくは4
5〜80℃、より好ましくは55〜70℃であり、数平
均分子量(Mn)は2,500〜50,000、重量平
均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000
であることが好ましい。
【0073】ビニル系重合体又は共重合体からなる結着
樹脂を合成する方法としては、塊状重合法、溶液重合
法、懸濁重合法、乳化重合法の如き重合法が利用でき
る。カルボン酸モノマー又は酸無水物モノマーを用いる
場合には、モノマーの性質上、塊状重合法又は溶液重合
法を利用することが好ましい。
【0074】塊状重合法では、高温で重合させて停止反
応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることも
できるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。
【0075】溶液重合法では、溶媒によるラジカルの連
鎖移動の差を利用して、また重合開始剤の量や反応温度
を調節することで低分子量重合体を温和な条件で容易に
得ることができ、本発明で用いる樹脂組成物の中で低分
子量体を得るときには好ましい。
【0076】溶液重合で用いる溶媒としては、キシレ
ン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピル
アルコールまたはベンゼンが用いられる。スチレンモノ
マーを使用する場合にはキシレン、トルエンまたはクメ
ンが好ましい。重合するポリマーによって溶媒は適宜選
択される。反応温度としては、使用する溶媒、重合開始
剤、重合するポリマーによって異なるが、通常70〜2
30℃で行うのが良い。溶液重合においては溶媒100
質量部に対してモノマー30〜400質量部で行うのが
好ましい。更に、重合終了時に溶液中で他の重合体を混
合することも好ましく、数種の重合体をよく混合でき
る。
【0077】高分子量成分やゲル成分を得る重合法とし
ては、乳化重合法や懸濁重合法が好ましい。
【0078】このうち、乳化重合法は水にほとんど不溶
のモノマーを乳化剤で小さい粒子として水相中に分散さ
せ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法であ
る。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行
われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別
であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が
大きく、高重合度のものが得られる。更に、重合プロセ
スが比較的簡単であること、及び重合生成物が微細粒子
であるために、トナーの製造において、着色剤及び荷電
制御剤その他の添加物との混合が容易であることの理由
から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として他の方
法に比較して有利である。
【0079】しかし、添加した乳化剤のため生成重合体
が不純になりやすく、重合体を取り出すには塩折などの
操作が必要であるので懸濁重合の方が簡便な方法であ
る。
【0080】懸濁重合においては、水系媒体100質量
部に対して、モノマー100質量部以下(好ましくは1
0〜90質量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤と
しては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール
部分ケン化物またはリン酸カルシウムが用いられる。一
般に水系媒体100質量部に対して、0.05〜1質量
部の分散剤が用いられる。重合温度は50〜95℃が適
当であるが、使用する重合開始剤及び目的とするポリマ
ーによって適宜選択すべきである。重合開始剤として
は、水に不溶あるいは難溶のものであれば用いることが
可能である。
【0081】重合開始剤としては、t−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレー
ト、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパー
オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイル
パーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−
ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’
−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−
アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)、2,
2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−
ビス(t−ブチルパーオキシルカルボニル)シクロヘキ
サン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタ
ン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イ
ソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−
t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,2−ビス
(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)
プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシ
ネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレー
ト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレ
ート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、ジエチレ
ングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネー
ト)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペー
ト、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニ
ルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン等が挙げら
れ、これらが単独あるいは併用して使用できる。その使
用量はモノマー100質量部に対し、0.05質量部以
上(好ましくは0.1〜15質量部)の割合で用いられ
る。
【0082】結着樹脂としては、以下に示すポリエステ
ル樹脂も好ましい。
【0083】ポリエステル樹脂は、全成分中45〜55
mol%がアルコール成分であり、55〜45mol%
が酸成分である。
【0084】2価のアルコール成分としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−
ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記
(A)式で表されるビスフェノール及びその誘導体;
【0085】
【化1】 (式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及び
yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値
は2〜10である。)また、(B)式で示されるジオー
ル類;
【0086】
【化2】
【0087】2価の酸成分としては、例えばフタル酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベン
ゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエス
テル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級
アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデ
シルコハク酸の如きアルケニルコハク酸もしくはアルキ
ルコハク酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;
フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如
き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキル
エステル等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられ
る。
【0088】架橋成分としても働く3価以上のアルコー
ル成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0089】3価以上の多価アルコール成分としては、
例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロ
ール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジ
ペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、
1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタン
トリオール、グリセロール、2−メチルプロピントリオ
ール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,
3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0090】3価以上の多価カルボン酸成分としては、
例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−
ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカ
ルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、
1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−
ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカル
ボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メ
チレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキ
シル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボ
ン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級
アルキルエステル;次の(C)式
【0091】
【化3】 (式中、Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素
数5〜30のアルキレン基又はアルケニレン基)で表さ
れるテトラカルボン酸及びこれらの無水物、低級アルキ
ルエステルの如き多価カルボン酸及びその誘導体が挙げ
られる。
【0092】特に好ましいポリエステル樹脂のアルコー
ル成分としては前記(A)式で示されるビスフェノール
誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸又はその無水物、コハク酸、n−ドデ
セニルコハク酸又はその無水物、フマル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸類;トリメリッ
ト酸又はその無水物のトリカルボン酸類が挙げられる。
【0093】これらの酸成分及びアルコール成分から得
られたポリエステル樹脂を結着樹脂として使用した熱ロ
ーラー定着用トナーとして定着性が良好で、耐オフセッ
ト性に優れているからである。
【0094】ポリエステル樹脂の酸価は好ましくは90
mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/
g以下であり、OH価は好ましくは50mgKOH/g
以下、より好ましくは30mgKOH/gであることが
良い。これは、分子鎖の末端基数が増えるとトナーの帯
電特性において環境依存性が大きくなるためである。
【0095】ポリエステル樹脂のガラス転移温度は好ま
しくは50〜75℃、より好ましくは55〜65℃であ
り、更に数平均分子量(Mn)は好ましくは1,500
〜50,000、より好ましくは2,000〜20,0
00であり、重量平均分子量(Mw)は好ましくは6,
000〜100,000、より好ましくは10,000
〜90,000であることが良い。
【0096】本発明のトナーは、その帯電性を更に安定
化させるために、必要に応じて荷電制御剤を用いること
ができる。電荷制御剤をトナーに含有させる方法として
は、トナー内部に添加する方法と外添する方法があり、
結着樹脂100質量部当り0.1〜10質量部、好まし
くは0.5〜5質量部使用するのが好ましい。
【0097】荷電制御剤としては、以下のものが挙げら
れる。
【0098】トナーを負荷電性にする負荷電性制御剤と
して、例えば有機金属錯体又はキレート化合物が有効で
ある。モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸
の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げら
れる。金属錯体型モノアゾ化合物としては、特公昭41
−20153号公報、同42−27596号公報、同4
4−6397号公報、同45−26478号公報などに
記載されているモノアゾ染料の金属錯体などがある。特
に分散性、帯電性などの面から、下記一般式(D)で表
される金属錯体型モノアゾ化合物であることが好まし
く、中でも中心金属が鉄である金属錯体型モノアゾ化合
物を用いることが好ましい。
【0099】
【化4】 (式中、Mは配位中心金属を表し、Cr、Co、Ni、
Mn、Fe、Ti又はAlである。Arはアリール基で
あり、フェニル基又はナフチル基であり、置換基を有し
てもよい。この場合の置換基とは、ニトロ基、ハロゲン
基、カルボキシル基、アニリド基および炭素数1〜18
のアルキル基、アルコキシ基である。X、X’、Y、
Y’は−O−、―CO―、―NH―、―NR―(Rは炭
素数1〜4のアルキル基)である。A+は水素イオン、
ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオ
ン又は脂肪族アンモニウムイオンを示す。)
【0100】他には、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳
香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水
物、又はそのエステル類、又は、ビスフェノールのフェ
ノール誘導体類が挙げられる。
【0101】トナーを正荷電性にする正荷電性制御剤と
しては、ニグロシン及びニグロシンの脂肪酸金属塩等に
よる変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒ
ドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルア
ンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニ
ウム塩、及びホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれ
らのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらの
レーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン
酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン
酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン
化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;
ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、
ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズ
オキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボ
レート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガ
ノスズボレート;グアニジン化合物、イミダゾール化合
物等が挙げられ、これらを単独で或いは2種類以上組み
合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフ
ェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでな
い四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0102】本発明のトナーに流動性向上剤を添加して
も良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することに
より、流動性が添加前後を比較すると増加し得るもので
ある。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフ
ルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製
法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末
酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、
チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処
理を施した処理シリカ等がある。これらを単独あるいは
併用して用いても良い。
【0103】好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハ
ロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であ
り、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称さ
れる乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆ
る湿式シリカであるが、表面及び内部にあるシラノール
基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残渣の少な
い乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいて
は、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化
チタン、他のハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と
共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複
合微粉体を得ることも可能であり、それらも包合する。
【0104】その粒径は、平均の一次粒径として、0.
001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好
ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微
粉体を使用するのが良い。
【0105】ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により
生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の
様な商品名で市販されているものがある。
【0106】 AEROSIL(日本アエロジル社) 130 200 300 380 TT600 MOX170 MOX80 COK84 Ca−O−SiL(CABOTCo.社) M−5 MS−7 MS−75 HS−5 EH−5 WackerHDKN20(WACKER−CHEMIEGMBH社) V15 N20E T30 T40 D−CFineSilica(ダウコーニングCo.社) Fransol(Fransil社)
【0107】更には、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸
化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理
シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体にお
いて、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度
が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処
理したものが特に好ましい。
【0108】疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応
或いは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理
することによって付与される。好ましい方法としては、
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された乾
式シリカ微粉体をシランカップリング剤で処理した後、
あるいはシランカップリング剤で処理すると同時にシリ
コーンオイルの如き有機ケイ素化合物で処理する方法が
挙げられる。
【0109】疎水化処理に使用されるシランカップリン
グ剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリ
メチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエ
トキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリク
ロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェ
ニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、
ブロモメトリジメチルクロロシラン、α−クロロエチル
トリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラ
ン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノ
シリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、
トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセ
トキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメ
トキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメ
チルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシ
ロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサ
ン及び1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し末
端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水
酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。
【0110】有機ケイ素化合物としては、シリコーンオ
イルが挙げられる。好ましいシリコーンオイルとして
は、25℃における粘度が30〜1000mm2/sス
のものが用いられ、例えばジメチルシリコーンオイル、
メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン
変性シリコーンオイル、クロロフェニルシリコーンオイ
ル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。こ
れらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0111】シリコーンオイル処理の方法としては、例
えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体と
シリコーンオイルをヘンシェルミキサー等の混合機を用
いて直接混合しても良いし、ベースとなるシリカ微粉体
にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いても良い。
【0112】流動性向上剤は、BET法で測定した窒素
吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは5
0m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー1
00質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、
好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0113】本発明のトナーには、必要に応じてシリカ
微粉体又は酸化チタン微粉体以外の外部添加剤を添加し
ても良い。例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、ケーキ
ング防止剤、熱ロール定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等
の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子等である。
【0114】例えば、テフロン(登録商標)、ステアリ
ン酸、ポリフッ化ビニリデンの如き滑剤、中でもポリフ
ッ化ビニリデンが好ましい。あるいは酸化セリウム、炭
化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、中でも
チタン酸ストロンチウムが好ましい。あるいは酸化チタ
ン、酸化アルミニウム等の流動性付与剤、中でも特に疎
水性のものが好ましい。ケーキング防止剤、あるいは例
えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸
化スズ等の導電性付与剤、また、逆極性の白色微粒子及
び黒色微粒子を現像剤向上剤として少量用いることもで
きる。
【0115】トナーと混合される樹脂微粒子または無機
微粉体または疎水性無機微粉体などは、トナー100質
量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.1〜3
質量部使用するのが良い。
【0116】本発明のトナーは、キャリアと併用して二
成分現像剤として用いることができ、二成分現像方法に
用いる場合のキャリアとしては、従来知られているもの
が使用可能である。具体的には、表面酸化または未酸化
の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類
の如き金属及びそれらの合金または酸化物などの平均粒
径20〜300μmの粒子が使用される。
【0117】それらのキャリア粒子の表面に、スチレン
系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系
樹脂、ポリエステル樹脂の如き樹脂を付着または被覆さ
せたものが好ましく使用される。
【0118】本発明のトナーは更に磁性材料を含有さ
せ、磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性材
料は着色剤の役割をかねる。磁性トナーに含まれる磁性
材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライ
トの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;F
e、Co、Niのような金属、或いは、これらの金属と
Al、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、S
b、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、
Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げ
られる。
【0119】具体的には、磁性材料としては、四三酸化
鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄
亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5
12)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄ガ
ドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe2
4)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル
(NiFe24)、酸化鉄ニオジム(NdFe23)、
酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウ
ム(MgFe24)、酸化鉄ランタン(LaFe
3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル
粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独で
或いは2種以上組み合わせて使用する。特に好適な磁性
材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末であ
る。
【0120】これら磁性材料の形状としては、八面体、
六面体、球状、針状、鱗片状などがあるが、八面体、六
面体、球状等の異方性の少ないものが好ましい。等方性
の形状を有するものは、本発明に用いる結着樹脂やワッ
クスに対しても良好な分散性を達成できるからである。
【0121】また、これらの強磁性体は平均粒径が0.
05〜2μmで、795.8kA/m印加での磁気特性
が抗磁力1.6〜12.0kA/m、飽和磁化50〜2
00Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/k
g)、残留磁化2〜20Am2/kgのものが好まし
い。
【0122】結着樹脂100質量部に対して、磁性体1
0〜200質量部、好ましくは20〜150質量部使用
するのが好ましい。10質量部未満ではトナーの搬送性
が不十分で現像剤担持体上の現像剤層にムラが生じ、画
像ムラとなる傾向があり、更に現像剤の帯電の過剰な上
昇に起因する画像濃度の低下が生じやすくなる。また、
200質量部を超える場合には現像剤の帯電が十分には
得られなくなるために、画像濃度の低下が生じやすくな
る。
【0123】本発明のトナーに使用できる非磁性の着色
剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。
例えば顔料として、カーボンブラック、アニリンブラッ
ク、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザ
イエロー、ローダミンレーキ、アリザレンレーキ、ベン
ガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等
がある。これらは結着樹脂100質量部に対し0.1〜
20質量部、好ましくは1〜10質量部の添加量が良
い。また、同様に染料が用いられ、例えば、アントラキ
ノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり、
結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ま
しくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
【0124】本発明のトナーは、トナー構成材料をヘン
シェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分
混合してから、ロール、ニーダー及びエクストルーダー
の如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して樹脂類
を互いに相溶せしめた中に、顔料又は染料を分散又は溶
解せしめ、冷却固化後、粉砕及び厳密な分級を行うこと
により生成することができる。更に必要に応じ所望の添
加剤をヘンシェルミキサーの如き混合機によりトナー粒
子と十分混合し、トナーを得ることができる。
【0125】例えば混合機としては、ヘンシェルミキサ
ー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社
製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキ
サー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワ
ミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工
社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げら
れ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社
製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型
押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本
製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本
ロールミル、ミキシングロール、ニーダー(井上製作所
社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニ
ーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリ
ーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。粉砕機
としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェッ
ト、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミ
ル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社
製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマ
ックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・
オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎
重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げら
れる。分級機としては、クラッシール、マイクロンクラ
ッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セ
イシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日新エ
ンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボフ
レックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミク
ロン社製);エルボージェット(日鉄工業社製);ディ
スパージョンセパレータ(日本ニューマチック社製);
YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。ま
た、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置
としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナ
シーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社製);バイブ
ラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン
(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社
製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い
等が挙げられる。
【0126】
【実施例】次に、本発明の実施例及び比較例を挙げて本
発明を更に詳細に説明するが、これは、本発明を何ら限
定するものではない。「部」は「質量部」を意味する。
【0127】<実施例1>四つ口フラスコ内にキシレン
300部を投入し、撹拌しながら容器内を十分に窒素で
置換した後、昇温して還流させ、この還流下でスチレン
68.8部、アクリル酸n−ブチル18部、マレイン酸
モノブチル9.2部、及びジ−tert−ブチルパーオ
キサイド1.8部の混合液を4時間かけて滴下した後、
2時間保持して重合を完了し、脱溶剤して重合体L1を
得た。この重合体L1のGPC測定を行ったところ、ピ
ーク分子量13000であった。
【0128】次に、四つ口フラスコ内に脱気水180部
とポリビニルアルコールの2質量%水溶液20部を投入
した後、スチレン74.9部、アクリル酸n−ブチル2
0部、マレイン酸モノブチル5.0部、及び2,2−ビ
ス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘ
キシル)プロパン0.2部の混合液を加え、攪拌し懸濁
液とした。フラスコ内を十分に窒素で置換した後、90
℃まで昇温して重合を開始した。24時間同温度に保持
して重合を完了し、重合体H1を得た。その後重合体H
1を濾別し、乾燥した後、GPC測定を行ったところ、
ピーク分子量81万であった。
【0129】ワックス成分としては、表1に示すパラフ
ィンワックスW1〔DSC最大吸熱ピーク75℃、針入
度(25℃)6.5mm、GPCにより測定された数平
均分子量(ポリエチレン換算)390〕3.0部と、ポ
リエチレンワックスW2〔DSC最大吸熱ピーク102
℃、針入度(25℃)2.0mm、GPCにより測定さ
れた数平均分子量(ポリエチレン換算)820〕2.0
部と、ポリプロピレンワックスW3〔DSC最大吸熱ピ
ーク143℃、針入度(25℃)0.5mm、GPCに
より測定された数平均分子量(ポリエチレン換算)10
10〕3.0部とを準備した。
【0130】これらのワックス成分(7部)と、先に述
べた重合体H1(30部)をキシレン溶液中で予備溶解
し、更に重合体L1(70部)を加えて混合し、溶解さ
せた後、有機溶剤を留去し、得られた樹脂を冷却固化し
た後、粉砕し、トナー用樹脂・ワックス原材料とした。
【0131】上記トナー用樹脂・ワックス原材料108
部、球形磁性酸化鉄90部、モノアゾ金属錯体(負荷電
制御剤)2部をヘンシェルミキサーで混合し、これを1
30℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し
た。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて粗粉砕
し、更にジェットミルで微粉砕した後、得られた粉砕物
を風力分級し、重量平均径6.7μmの分級粉を得た。
この分級粉100部に対し、疎水化処理シリカ微粉体
1.2部を乾式混合外添し、トナーT1を得た。トナー
T1のDSCチャートを図1に示す。
【0132】<実施例2>ワックス成分として、表1に
示すパラフィンワックスW1を3.5部、ポリエチレン
ワックスW2を1部、ポリプロピレンワックスW3を
3.5部とし、樹脂・ワックス原材料108部とした以
外は実施例1と同様にして、トナーT2を得た。
【0133】<実施例3>ワックス成分として、表1に
示すパラフィンワックスW1を1.5部、ポリエチレン
ワックスW2を3部、ポリプロピレンワックスW3を
1.5部とし、予め結着樹脂と予備混合せずに、重合体
H1、L1のみを混合した結着樹脂や他の構成材料と同
時にヘンシェルミキサーで混合した以外は実施例1と同
様にして、トナーT3を得た。
【0134】<実施例4>ワックス成分として、表1に
示すパラフィンワックスW4〔DSC最大吸熱ピーク6
6℃、針入度(25℃)7.0mm、GPCにより測定
された数平均分子量(ポリエチレン換算)330〕を2
部、ポリエチレンワックスW2を2.5部、ポリプロピ
レンワックスW3を2.5部とし、樹脂・ワックス原材
料を107部とした以外は実施例1と同様にして、トナ
ーT4を得た。
【0135】<実施例5>ワックス成分として、表1に
示すフィッシャートロプシュワックスW5〔DSC最大
吸熱ピーク86℃、針入度(25℃)5.0mm、GP
Cにより測定された数平均分子量(ポリエチレン換算)
520〕を3.5部、フィッシャートロプシュワックス
W6〔DSC最大吸熱ピーク106℃、針入度(25
℃)1.5mm、GPCにより測定された数平均分子量
(ポリエチレン換算)850〕を2部、ポリプロピレン
ワックスW3を2.5部とし、樹脂・ワックス原材料1
08部とした以外は実施例1と同様にして、トナーT5
を得た。
【0136】<実施例6>ワックス成分として、表1に
示すポリエチレンワックスW7〔DSC最大吸熱ピーク
80℃、針入度(25℃)6.5mm、GPCにより測
定された数平均分子量(ポリエチレン換算)400〕を
2部、ポリエチレンワックスW8〔DSC最大吸熱ピー
ク95℃、針入度(25℃)4.5mm、GPCにより
測定された数平均分子量(ポリエチレン換算)720〕
を3部、ポリプロピレンワックスW3を2.5部とし、
樹脂・ワックス原材料107.5部とした以外は実施例
1と同様にして、トナーT6を得た。
【0137】<実施例7>ワックス成分として、表1に
示すアルコールワックスW9〔DSC最大吸熱ピーク7
8℃、針入度(25℃)3.0mm、GPCにより測定
された数平均分子量(ポリエチレン換算)410〕を
2.5部、ポリエチレンワックスW2を2部、ポリエチ
レンワックスW10〔DSC最大吸熱ピーク127℃、
針入度(25℃)1.0mm、GPCにより測定された
数平均分子量(ポリエチレン換算)890〕を2.5部
とし、樹脂・ワックス原材料を107部とした以外は実
施例1と同様にして、トナーT7を得た。
【0138】<実施例8>ワックス成分として、表1に
示すフィッシャートロプシュワックスW11〔DSC最
大吸熱ピーク73℃、針入度(25℃)6.0mm、G
PCにより測定された数平均分子量(ポリエチレン換
算)360〕を3.0部、フィッシャートロプシュワッ
クスW6を0.5部、ポリプロピレンワックスW3〔D
SC最大吸熱ピーク143℃、針入度(25℃)1.5
mm、GPCにより測定された数平均分子量(ポリエチ
レン換算)840〕を2.0部とし、樹脂・ワックス原
材料を105.5部とした以外は実施例1と同様にし
て、トナーT8を得た。
【0139】<実施例9>ワックス成分として、表1に
示すパラフィンワックスW1を2.5部、エチレン・プ
ロピレン共重合体ワックスW13〔DSC最大吸熱ピー
ク105℃、針入度(25℃)1.0mm、GPCによ
り測定された数平均分子量(ポリエチレン換算)98
0〕を5部とし、樹脂・ワックス原材料107.5部と
した以外は実施例1と同様にして、トナーT9を得た。
【0140】<実施例10>ワックス成分として、表1
に示すフィッシャートロプシュワックスW11を2.5
部、無水マレイン酸で変性したポリエチレンワックスW
14〔DSC最大吸熱ピーク96℃、針入度(25℃)
2.5mm、GPCにより測定された数平均分子量(ポ
リエチレン換算)930〕を2部、ポリプロピレンワッ
クスW3を2.5部とし、樹脂・ワックス原材料を10
7部とした以外は実施例1と同様にして、トナーT10
を得た。
【0141】<比較例1>ワックス成分として、表1に
示すパラフィンワックスW15〔DSC最大吸熱ピーク
57℃、針入度(25℃)9.0mm、GPCにより測
定された数平均分子量(ポリエチレン換算)330〕を
2.5部、ポリエチレンワックスW2を2部、ポリプロ
ピレンワックスW3を2.5部とし、樹脂・ワックス原
材料を107部とした以外は実施例1と同様にして、ト
ナーT11を得た。
【0142】<比較例2>ワックス成分として、表1に
示すパラフィンワックスW1を2.5部、ポリエチレン
ワックスW10を2部、ポリプロピレンワックスW3を
2.5部とし、樹脂・ワックス原材料を107部とした
以外は実施例1と同様にして、トナーT12を得た。
【0143】<比較例3>ワックス成分として、表1に
示すパラフィンワックスW1を2.5部、ポリエチレン
ワックスW2を2部、フィッシャートロプシュワックス
W6を2.5部とし、樹脂・ワックス原材料を107部
とした以外は実施例1と同様にして、トナーT13を得
た。
【0144】<比較例4>ワックス成分として、表1に
示すポリエチレンワックスW2を3.5部、ポリプロピ
レンワックスW3を3.5部とし、樹脂・ワックス原材
料を107部とした以外は実施例1と同様にして、トナ
ーT14を得た。
【0145】<比較例5>ワックス成分として、表1に
示すパラフィンワックスW1を3.5部、ポリプロピレ
ンワックスW3を3.5部とし、樹脂・ワックス原材料
を107部とした以外は実施例1と同様にして、トナー
T15を得た。
【0146】<比較例6>ワックス成分として、表1に
示すパラフィンワックスW1を3.5部、ポリエチレン
ワックスW2を3.5部とし、樹脂・ワックス原材料を
107部とした以外は実施例1と同様にして、トナーT
16を得た。
【0147】
【表1】
【0148】[評価]上記実施例及び比較例のトナーT1
〜T16について、市販のレーザービームプリンターL
BP−930(キヤノン製)を以下の構成に改造し、下
記条件でプリントアウト試験を実施した。トナー切れに
際しては、カートリッジ上部のトナー容器部分に切り込
みを設け、そこからトナーを補給することによってプリ
ントアウト試験を続けた。一次帯電を−670Vとして
静電潜像を形成し、感光ドラムと現像剤担持体(磁石内
包)上の現像剤層とが非接触となるように間隙(290
μm)を設定し、交流バイアス(f=2000Hz;V
pp=1600V)及び直流バイアス(Vdc=−50
0V)として現像ドラムに印加した。プリントアウトの
速度は、毎分40枚(A4横)となるように改造した。
【0149】得られた画像を下記の項目について評価し
た。これらの結果については、表2にまとめて記した。
【0150】(1)画像濃度 画像濃度は、高温高湿(32.5℃,相対湿度80%)
及び低温低湿(15℃,相対湿度10%)の各々の環境
下で、通常の複写機用普通紙(75g/m2)に200
00枚プリントアウト終了時の画像濃度維持を測定する
ことにより評価した。画像濃度は「マクベス反射濃度
計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の
白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定
した。
【0151】(2)カブリ カブリは、リフレクトメーター(東京電色(株)製)を
用いて、あらかじめプリント前の転写紙の白色度(%)
を測定し、低温低湿環境下(15℃,10%RH)にお
いて通常の複写機用普通紙(75g/m2)に1000
0枚耐久プリントアウトを行った後のベタ白画像をプリ
ント後の転写紙の白色度(%)との比較からカブリを算
出した。
【0152】(3)定着性 定着性は、評価紙として表面が粗い厚紙(90g/
2)を用い、4.9×10-3MPaの荷重をかけ、柔
和な薄紙により定着画像を摺擦し、摺擦前後での画像濃
度の低下率(%)の最悪値で評価した。なお定着時は定
着機の温調温度を通常の設定温度より10℃下げて行っ
た。 ◎(優):5%未満 ○(良):5〜10% △(可):10〜15% ×(不良):15%以上
【0153】(4)定着部材(加圧ローラー、加熱ロー
ラー、紙搬送コロ部材)汚れ 定着部材汚れは、評価紙として炭酸カルシウムやタルク
等を25質量%含む紙を用い、低温低湿環境下(15
℃,10%RH)において500000枚プリントアウ
ト終了時の定着器内部材及び画像へのトナー汚れの程度
を目視で評価した。 ◎(優):定着部材に汚れはなく、画像にも汚れはな
い。 ○(良):定着部材に汚れはほとんどなく、画像には汚
れはない。 △(可):定着部材には汚れがあるが、画像には汚れは
ない。 ×(不良):定着部材に汚れがあり、画像にも汚れがあ
る。
【0154】(5)耐オフセット性 耐オフセット性は、半面ベタ黒のサンプル画像をプリン
トアウトし、印字されていないベタ白部への画像上の汚
れの程度により評価した。試験紙として複写機用普通紙
(64g/m2)を使用した。なお定着時は定着機の温
調温度を通常の設定温度より20℃上げ、プリントアウ
トの速度は、毎分10枚(A4横)となるように改造し
て行った。 ◎(優):未発生 ○(良):ほとんど発生せず △(可):若干発生(実用上問題がない) ×(不良):汚れている
【0155】(6)耐ブロッキング性 耐ブロッキング性は、20gのトナーを100ccのポ
リカップに入れ、50℃で3日間放置した後、目視で評
価した。 ◎(優):凝集物は見られない。 ○(良):凝集物が見られるが、容易に崩れる。 △(可):凝集物が見られるが、ポリカップを振れば崩
れる。 ×(不良):凝集物を掴むことができ、容易に崩れな
い。
【0156】
【表2】
【0157】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
定着性と耐オフセット性に優れ、且つ、長期の耐久を行
っても定着部材等へ付着しにくいトナーを得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に記載のトナーT1のDSC
チャートを示す。
フロントページの続き (72)発明者 小沼 努 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山崎 克久 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 平塚 香織 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 谷川 博英 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA06 CA13 CA14 EA03 EA06 EA07 EA10

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂とワックスを含有す
    るトナーにおいて、該トナーは、示差走査熱量計により
    測定されるDSC曲線の昇温時の吸熱ピークに関して、
    60〜90℃の温度領域に第一の吸熱ピークP1を持
    ち、90〜120℃の温度領域に第二の吸熱ピークP2
    を持ち、120〜160℃の温度領域に第三の吸熱ピー
    クP3を持つことを特徴とするトナー。
  2. 【請求項2】 該トナーの示差走査熱量計により測定さ
    れるDSC曲線の昇温時の吸熱ピークP1、P2、P3
    おいて、P1とP2のピーク温度差が10℃以上であり、
    2とP3のピーク温度差が10℃以上であることを特徴
    とする請求項1に記載のトナー。
  3. 【請求項3】 該結着樹脂成分100質量部に対し、ワ
    ックスを0.2〜20質量部含有することを特徴とする
    請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 【請求項4】該結着樹脂成分100質量部に対し、ワッ
    クスを1〜10質量部含有することを特徴とする請求項
    1又は2に記載のトナー。
  5. 【請求項5】 該ワックスの25℃における針入度が1
    0mm未満であることを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれかに記載のトナー。
  6. 【請求項6】 該ワックスのGPCにより測定される数
    平均分子量がポリエチレン換算で、100〜3000で
    あることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載
    のトナー。
  7. 【請求項7】 該トナーのTHF可溶成分のGPCによ
    り測定される分子量分布において、分子量3,000〜
    50,000の領域に少なくとも一つピークを有し、分
    子量50,000〜10,000,000の領域に少な
    くとも一つピーク又はショルダーを有することを特徴と
    する請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  8. 【請求項8】 該トナーのTHF可溶成分のGPCによ
    り測定される分子量分布において、分子量3,000〜
    30,000の領域に少なくとも一つピークを有し、分
    子量100,000〜5,000,000の領域に少な
    くとも一つピーク又はショルダーを有することを特徴と
    する請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  9. 【請求項9】 少なくとも結着樹脂とワックスを含有す
    るトナーにおいて、該ワックスは、示差走査熱量計によ
    り測定されるDSC曲線の昇温時の最大吸熱ピーク温度
    が異なる少なくとも3種類のワックスから成り、60〜
    90℃の温度領域に最大吸熱ピークPAを持つワックス
    Aと、90〜120℃の温度領域に最大吸熱ピークPB
    を持つワックスBと、120〜160℃の温度領域に最
    大吸熱ピークPCを持つワックスCで構成されることを
    特徴とするトナー。
  10. 【請求項10】 該ワックスの示差走査熱量計により測
    定されるDSC曲線の昇温時の最大吸熱ピークPA
    B、PCにおいて、PAとPBのピーク温度差が10℃以
    上であり、PBとPCのピーク温度差が10℃以上である
    ことを特徴とする請求項9に記載のトナー。
  11. 【請求項11】 該結着樹脂成分100質量部に対し、
    ワックスを0.2〜20質量部含有することを特徴とす
    る請求項9又は10に記載のトナー。
  12. 【請求項12】該結着樹脂成分100質量部に対し、ワ
    ックスを1〜10質量部含有することを特徴とする請求
    項9又は10に記載のトナー。
  13. 【請求項13】 該ワックスの25℃における針入度
    が、ワックスAは10mm未満であり、ワックスBは7
    mm未満であり、ワックスCは5mm未満であることを
    特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載のトナ
    ー。
  14. 【請求項14】 該ワックスのGPCにより測定される
    数平均分子量がポリエチレン換算で、ワックスAは10
    0〜1000であり、ワックスBは500〜1500で
    あり、ワックスCは700〜3000であることを特徴
    とする請求項項9乃至13のいずれかに記載のトナー。
  15. 【請求項15】 該トナーのTHF可溶成分のGPCに
    より測定される分子量分布において、分子量3,000
    〜50,000の領域に少なくとも一つピークを有し、
    分子量50,000〜10,000,000の領域に少
    なくとも一つピーク又はショルダーを有することを特徴
    とする請求項9乃至14のいずれかに記載のトナー。
  16. 【請求項16】 該トナーのTHF可溶成分のGPCに
    より測定される分子量分布において、分子量3,000
    〜30,000の領域に少なくとも一つピークを有し、
    分子量100,000〜5,000,000の領域に少
    なくとも一つピーク又はショルダーを有することを特徴
    とする請求項9乃至14のいずれかに記載のトナー。
  17. 【請求項17】 該ワックスの組成が、ワックスAはパ
    ラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、
    ポリオレフィンワックス、または官能基を有するワック
    スであり、ワックスBはフィッシャートロプシュワック
    スまたはポリエチレンワックスであり、ワックスCはフ
    ィッシャートロプシュワックスまたはポリオレフィンワ
    ックスであることを特徴とする請求項項9乃至16のい
    ずれかに記載のトナー。
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