JP2004130461A - ダイカッタの抜き型 - Google Patents

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Katsuji Hashimoto
橋本 勝治
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Abstract

【課題】シートを所定の形状に打抜く抜き型において、環状打抜き刃内に侵入する打抜き屑を外方に押し出すクッション材の耐久性の向上を図ることである。
【解決手段】型板1に取付けられた抜き孔形成用の環状打抜き刃2内に、シート打抜き時に圧縮変形し、その復元弾性によって打抜き屑aを外方に押し出すクッション材3を組込む。クッション材3を第1弾性体3aと、その第1弾性体3aより弾性率の低い硬質の第2弾性体3bとで形成してクッション材3の耐久性の向上を図る。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、段ボールシート等のシートを所定の形状に打抜くダイカッタの抜き型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイカッタには平盤式とロータリ式とが存在し、平盤式ダイカッタにおいては、平盤状のアンビルに対して相対的に移動される型板に抜き型を取付け、その抜き型とアンビルとの相対的な移動によって抜き型に取付けられた打抜き刃により段ボールシート等のシートを所定の形状に打抜くようにしている。
【0003】
一方、ロータリ式のダイカッタにおいては、アンビルシリンダに対して上下方向で対向するダイシリンダの外周に抜き型を取付け、その抜き型に取付けられた打抜き刃によって両シリンダ間に送り込まれるシートを所定の形状に打抜くようにしている。
【0004】
ここで、打抜きされる製品には、その外周縁内に手提げ孔等の抜き孔が形成されている場合がある。このような抜き孔を有する製品の打抜きに際しては、抜き型に抜き孔と同形状の環状打抜き刃を取付けるようにしている。
【0005】
環状打抜き刃を有する抜き型においては、シート打抜き時に、環状打抜き刃内に打抜き屑が侵入し、その打抜き屑が製品部から分離して環状打抜き刃内に侵入した状態で保持されると、次の打抜きを阻害することになる。
【0006】
そのような不都合を解消するため、環状打抜き刃内にクッション材を取付け、打抜き時に弾性変形するクッション材の復元弾性によって環状打抜き刃内から打抜き屑を押し出すようにしている。
【0007】
ここで、クッション材が環状打抜き刃の内周面との間に大きな隙間が形成される大きさであると、復元弾性によって打抜き屑を押し出す場合に、打抜き屑が傾いて環状打抜き刃内に引っ掛かり、排出させることができない。また、環状打抜き刃内に密に嵌合する大きさであると、環状打抜き刃によってクッション材の圧縮変形が阻害されることになると共に、圧縮変形時に環状打抜き刃が負圧とされて打抜き屑が吸着保持されるおそれがある。
【0008】
そこで、クッション材は、環状打抜き刃の内周面間に小さな隙間が形成される大きさとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、打抜き屑の押出し用クッション材が弾性率の高い軟質のものであると、打抜き屑を押し出すことができないため、従来では比較的弾性率の低い硬質の弾性体によってクッション材を形成するようにしている。
【0010】
しかしながら、弾性率の低い硬質のクッション材では、弾性変形能が小さいため、破損し易く、耐久性が悪いという問題があった。また、クッション材が圧縮変形した際に、環状打抜き刃の内周面が強く押されることになる。このとき、環状打抜き刃は帯状の刃板を環状に成形して両端縁を突き合わせた構成であるため、クッション材の押圧により外方に倒れて変形が生じ易いという問題があった。
【0011】
この発明の課題は、環状打抜き刃を有するダイカッタ用の抜き型において、環状打抜き刃内に組込まれた打抜き屑押出し用クッション材の耐久性の向上を図ると共に、環状打抜き刃の倒れを防止することができるようにすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、孔形成用の環状打抜き刃と、その内側に組込まれたクッション材とを有し、前記環状打抜き刃によるシートの打抜き時にクッション材を圧縮変形させ、その復元弾性によって環状打抜き刃の内側に侵入する打抜き屑を外側に押し出すようにしたダイカッタの抜き型において、前記クッション材が、前記環状打抜き刃の内周と間隔をおいて設けられた第1弾性体と、その第1弾性体のシート押圧面から背面に貫通する挿入孔内に組込まれた第2弾性体から成り、前記第1弾性体と第2弾性体の一方を他方より軟質とした構成を採用したのである。
【0013】
上記のように、クッション材を、第1弾性体と第2弾性体とで形成し、その第1弾性体と第2弾性体の一方を他方より軟質とすることによって硬質の弾性体からのみなるクッション材に比較して、弾性変形能に優れ、クッション材の耐久性の向上を図ることができる。
【0014】
また、クッション材の圧縮変形時、硬質の弾性体の圧縮変形を軟質の弾性体が吸収するため、クッション材が環状抜き刃を外方向に押圧する押圧力も弱く、環状打抜き刃が外方向に変形するのを防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2は、この発明に係る抜き型Aの第1の実施形態を示す。図示のように、抜き型は型板1を有し、その型板1に孔形成用の環状打抜き刃2が取付けられ、その環状打抜き刃2の内側にクッション材3が組込まれている。
【0016】
環状打抜き刃2として、ここでは長円形のものを示したが、形状はこれに限定されるものではない。例えば、円形のもの、あるいは角形のものであってもよい。環状打抜き刃2は、一側縁に切刃を有する帯状の刃板を環状に成形しており、突き合わせ端2aを有している。2bは環状打抜き刃2に形成された切刃を示す。
【0017】
クッション材3は、第1弾性体3aと、第2弾性体3bとから成る。第1弾性体3aは環状打抜き刃2の内周面との間に小さな間隙が形成される大きさとされ、その外周には溝4が形成されている。
【0018】
なお、第1弾性体3aは環状打抜き刃2の内周面に外周面が軽く接触し、溝4の位置において環状打抜き刃2との間に間隙が形成される大きさのものであってもよい。
【0019】
第1弾性体3aは、接着による手段を介して型板1に取付けられ、その取付け状態において、先端のシート押圧面5が環状打抜き刃2の切刃2bから外方に突出している。
【0020】
また、第1弾性体3aには、シート押圧面5から型板1に接着される背面に貫通する挿入孔6が形成され、その挿入孔6内に前記第2弾性体3bが挿入されている。
【0021】
第2弾性体3bは、接着による手段を介して型板1に取付けられ、その取付け状態において、先端のシート押圧面7が第1弾性体3aのシート押圧面5より外方に突出している。
【0022】
第2弾性体3bは、従来から一般的に使用されている発泡ポリウレタンや発泡ポリエチレンにより形成されて比較的硬質とされ、一方、第1弾性体3aは第2弾性体3bより軟質とされている。
【0023】
図2(I)は、平盤式ダイカッタの平盤状アンビル10に対向配置された型支持体11に抜き型Aをセットした状態を示し、その抜き型Aとアンビル10間に段ボールシート等のシートSが送り込まれた状態において、アンビル10と型支持体11とを相対的に接近する方向に移動させると、図2(II)に示すように、環状打抜き刃2によってシートSが打抜かれ、シートSに打抜き切断線が形成される。
【0024】
このとき、打抜き切断線の内側の打抜き屑aは環状打抜き刃2内に侵入すると共に、クッション材3は圧縮変形し、アンビル10と型支持体11とが離反する方向に相対的に移動すると、クッション材3の復元弾性によって打抜き屑aが環状打抜き刃2から押し出され、打抜き屑aはシートSに保持される状態とされる。
【0025】
ここで、クッション材3は、適度に柔軟性を有する第1弾性体3aが硬質の第2弾性体3bの外周を包み込む状態であるため、硬質の弾性体によってのみ形成された従来のクッション材に比較して弾性変形能に優れ、長期の使用においても破損することが少なく、耐久性に優れたクッション材を得ることができる。
【0026】
また、クッション材3が圧縮変形するとき、弾性率の高い柔軟な第1弾性体3aが硬質の第2弾性体3bの圧縮変形を吸収すると共に、その第1弾性体3aが環状の打抜き刃2の内周面を押圧するため、環状打抜き刃2が外方向に変形することもない。
【0027】
硬質の第2弾性体3bのシート押圧面7を第1弾性体3aのシート押圧面5より外方に突出させた場合、シート打抜き時、第2弾性体3bの先端部は図2(II)に示すように、打抜き屑aを強く押圧することになり、シートSが段ボールシートの場合、打抜き屑aは波状中しんが押し潰されて皿状に変形することになる。その皿状に変形した打抜き屑aは、打抜き加工後にシートSに保持されるため、シートSによる打抜き屑aの保持力が弱く、次工程の屑落し工程において打抜き屑aを簡単に落すことができる。
【0028】
なお、図2(I)では、アンビル10の上方に型支持体11を設けた平盤式のダイカッタを示したが、アンビル10の下方に型支持体を設けた平盤式のダイカッタを用いて打抜き作業を行なうようにしてもよい。この場合、型支持体11の上面に抜き型を取付けるようにする。
【0029】
また、平盤式のダイカッタに代えて、ロータリ式のダイカッタを用いて打抜き加工を行なうようにしてもよい。この場合、抜き型Aの型板1は円弧状とし、その型板1に環状打抜き刃2とクッション材3とを取付ける。
【0030】
図1および図2に示す第1の実施形態では、第1弾性体3aに一つの挿入孔6を形成し、その挿入孔6内に第2弾性体3bを設けるようにしたが、図3に示す第2の実施形態のように、第1弾性体3aにシート押圧面5から背面に貫通する複数の挿入孔6を形成し、各挿入孔6内に第2弾性体3bを挿入するようにしてもよい。第2弾性体3bの形状として、丸形のものや角形のものを採用することができる。
【0031】
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、第2弾性体3bのシート押圧面7を第1弾性体3aのシート押圧面5より外方に突出させたが、図4に示す第3の実施形態のように、第2弾性体3bのシート押圧面7を第1弾性体3aのシート押圧面5とほぼ同一の平面上に配置してもよく、あるいは、図では省略したが、第2弾性体3bのシート押圧面7を第1弾性体3aのシート押圧面5より低くしてもよい。
【0032】
さらに、第1の実施形態乃至第3の実施形態では第1弾性体3aを第2弾性体3bより軟質としたが、第1弾性体3aを硬質の発泡ポリウレタンや硬質の発泡ポリエチレン等で形成し、第2弾性体3bを第1弾性体3aより軟質としてもよい。この場合においても、弾性変形能に優れたクッション材を得ることができると共に、硬質の第1弾性体3aの圧縮変形を第2弾性体3bによって吸収することができるため、環状打抜き刃2の外方向への倒れを防止することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、この発明は、クッション材を第1弾性体と、第2弾性体とで形成し、その第1弾性体と第2弾性体の一方を他方より軟質としたことにより、弾性変形能に優れた耐久性の良好なクッション材を得ることができると共に、環状打抜き刃の変形防止に効果を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る抜き型の第1の実施形態を示す斜視図
【図2】(I)は図1に示す抜き型のシート打抜き前の状態を示す断面図、(II)はシートの打抜き状態を示す断面図
【図3】この発明に係る抜き型の第2の実施形態を示す斜視図
【図4】この発明に係る抜き型の第3の実施形態を示す断面図
【符号の説明】
2 環状打抜き刃
3 クッション材
3a 第1弾性体
3b 第2弾性体
6 挿入孔

Claims (1)

  1. 孔形成用の環状打抜き刃と、その内側に組込まれたクッション材とを有し、前記環状打抜き刃によるシートの打抜き時にクッション材を圧縮変形させ、その復元弾性によって環状打抜き刃の内側に侵入する打抜き屑を外側に押し出すようにしたダイカッタの抜き型において、前記クッション材が、前記環状打抜き刃の内周と間隔をおいて設けられた第1弾性体と、その第1弾性体のシート押圧面から背面に貫通する挿入孔内に組込まれた第2弾性体から成り、前記第1弾性体と第2弾性体の一方を他方より軟質としたことを特徴とするダイカッタの抜き型。
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