JP4038322B2 - 打抜きクッション部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として段ボールなど板紙を打抜いて紙器などのブランクを製造する工程で使用される打抜き型の抜き屑押戻し用クッション部材に係るものであって、詳しくは幅狭く細長い抜き孔や切込み部などの打抜きラインを形成する抜き刃に関係付けて使用される打抜きクッション部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
段ボールなど板紙を打抜いて紙器などを製作する際には、段ボールなどの材料シートから打抜き型によって、所要の形状に型打抜きが行なわれ、その次の工程で型打抜きされた材料シートから製品となる部分以外のいわゆる抜き屑となる部分を打抜き屑分離装置によって除去される。そして、この打抜きには、材料シートから目的製品となる例えば函体を展開した状態に予め設計された形状寸法で、打抜き刃を合板製の基板上に植設されてなる打抜き型が使用される。
【0003】
このような打抜き工程で使用される打抜き型においては、得ようとする製品の形状に打抜きラインを形成する帯状の屈曲容易な刃物(以下、打抜き刃という)を基板上に所要の形状寸法にして植設されている。当然、その打抜きラインとなる部分では、幅の細い状態にされた切込みや、図示省略される幅狭い長穴などが形成されている。
【0004】
そのような幅狭い切込みや長穴形成部では、材料シートを打抜き型で打抜き操作を行った場合、打抜き刃の刃間で打抜かれた屑となる部分が挟まった状態のまま下降する状態になりやすく、打抜きラインを形成されたシートが移動して次の打抜き操作に移行したとき、抜き屑が刃に付着していると正しい打抜き操作が行えなくなる。このようなことから、打抜き刃に抜き屑が付着しないように打抜き操作が終わって型が下降行程に移行する際、抜き屑を元の位置に押し戻す働きをするブロック状の弾性体(主にスポンジゴム材)を打抜き刃に近接する箇所に、打抜き刃より少し高い寸法(1〜2mm)で配設してその弾性力で打抜き型から外脱させるようにしている。
【0005】
ところが、幅狭い打抜き部分ではスポンジゴム製の弾性体を使用することが困難であるので、これに代わるものとして例えば図4(a)(b)で示されるように、ゴム製の板片101に所要の間隔で切込み部102を設けてなる弾性部材100や、帯状の基部材106に多数の突起107を一定間隔で一列状に配してなる成形品の弾性部材105を用いて対応させている。これらの弾性部材100,105では、切込み部102や突起107を所定の間隔で設けて、切込み部102や突起107形成間の空間部で弾性変形させて弾性力を発揮させようとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、打抜き刃の配置間隔が狭い場合、弾性体を装着する隙間となる部分には帯状の厚みの薄い弾性体を用いることになるので、安定性が悪く、適切な弾性力を発揮できず座屈したり、弾性変形が大きくてその弾性変形力で幅方向に膨らんで、植設されている打抜き刃に側圧を与えて刃を傾けてしまうというような問題点が生じている。また、打抜き時に発生する紙粉が弾性部材の表面に付着して変形する際に打抜き刃側に紙粉を押し付ける現象が生じ、繰り返し打抜き操作を続けると次第に紙粉が間隙部に蓄積されて、さらに打抜き刃を横方向に押付け、打抜き条件を悪くするという問題点がある。
【0007】
このような弾性部材のほかに、例えば実開昭64−38298号公報によって知られるようなウレタンゴム板に多数の屈曲を設けたものが提案されている。
この公報によって知られる弾性部材にあっては、ウレタンゴムをいわゆる波形に成形するものであるから、その公報の記載によれば取付部の状況に応じて、その長手方向に引張ったり押付けたりして幅方向の寸法を調節して基板に取り付けることにより、弾性部材を取付部の状態に合わせるようにして、弾性力を維持させるとともに打抜き刃に対する影響を考慮したものであることが認められる。
【0008】
しかしながら、このような弾性部材では、成形時に波形にされることになるので、使用に際して無理に引張ったり押付けたりしても意のままに変形できるものではなく、結果的には、かえって弾性力が低下したり(引張った場合)、押し付けた場合側方に弾性力が作用して打抜き刃に側圧を付勢するというような不具合が発生するという問題点がある。また、形状的にも成形によって得られるものであるから、製品コストが高くなり経済性が損なわれるという問題点がある。
【0009】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、構造をより簡素化して無理なく確実に抜き屑を押し戻す機能を発揮できる打抜きクッション部材を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、本発明による打抜きクッション部材は、
硬質の多孔ゴム質材よりなる所要厚さを有する帯状部材で、基部とその基部の長手方向の一方の側部に沿って所要ピッチで連接される複数の突起部とで構成され、前記突起部間に凹欠部が設けられ、前記突起部は、押圧力を受ける部分が前記基部に連なる基端部分よりも広い面にされて全体としてバチ形に形成され、前記凹欠部は、前記突起部と逆同一形状のバチ形に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明においては、使用に際して所要厚みで硬質の多孔ゴム質材にてなる帯状部材を、突起部が打抜き刃の刃先側となるようにして、他方の側面を打抜き型の打抜き刃による狭い幅の切抜き部対応箇所の基板に接着して使用される。そして、この打抜きクッション部材は、打抜き時に材料シートと接して押圧されると、所要ピッチで設けられた突起部における押圧力を受ける面が基部に連なる基端部分よりも広い面に形成されているので、突起部が隣接する凹欠部側に無理なく大きく弾性変形して吸収される。この際、クッション部材全体が硬質の多孔ゴム質であるから厚み方向への膨出が少なく、結果的に打抜き刃に側圧を加えることなくクッション効果を発揮できるのである。しかも、この硬質の多孔ゴム質材でもってクッション部材とすることにより、その外表面が一般のゴム材のように濡れ性が高くないので、打抜き時に発生する紙粉の付着が生じ難く、弾性力を損なわれず作業性の向上を図ることができるという効果を奏するのである。
【0012】
また、本発明によれば、凹欠部が突起部と逆同一形状のバチ形に形成されているので、製作時に所要高さ寸法(幅方向の寸法)の2倍よりも短い寸法(突起部が相手側の凹欠部に係合する分短くなる)にされた所要厚さの多孔ゴム質材を設定された形状寸法に、幅方向の中間部で打抜くことにより、一挙に二個の部材を得ることができ、製作コストを低減できる。しかも、使用時には分離して所要長さに切断使用すれば、嵩張ることなく使用できる利便さがある。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による打抜きクッション部材の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1に本実施例の打抜きクッション部材の斜視図が示され、図2に本実施例の打抜きクッション部材の使用態様と打抜きラインが形成された材料シートとを併記された斜視図が示されている。
【0015】
本実施例の打抜きクッション部材1は、所要厚さ寸法tで全高寸法hが打抜き刃の植設高さ(一般に5.6mm,7.6mmなど被処理シートにより異なる)より1〜2mm高くなるように設定される寸法の帯状で、比較的硬度の高い多孔ゴム質材にて、その幅寸法(使用時における高さ)方向の一側部に沿って所要のピッチPでバチ形に形成された多数の突起部2とそれら突起部2を連接する基部3とで構成されたものである。そして、前記突起部2,2間に形成される凹欠部4は、前記バチ形の突起部2と逆の形状になっている。
【0016】
この打抜きクッション部材1を構成する多孔ゴム質材としては、種々実験した結果、ゴム硬度が70°付近のウレタンゴム製スポンジ材が弾性力を備えて耐久性もよく、打抜き時発生する紙粉の付着もなくて最も効果的であった。なお、このウレタンゴム製スポンジ以外のゴム質材による発泡体であってもよく、そのゴム硬度が前記ウレタンゴム製スポンジと同程度であれば、ウレタンゴム製スポンジに限定されない。また、この実施形態の説明中、「比較的硬度の高い多孔ゴム質材」の記載は、前述のウレタンゴム製スポンジ材または同等品に対応するものを指す。
【0017】
このように構成される打抜きクッション部材1は、図2に例示されるように、打抜き型10において基板11上に所要形状にて植設される打抜き刃12の特に細幅に打抜かれる切込み部13に、その切込み部13を形成する両側の打抜き刃12,12間で一側面を接着剤で基板11面に接着して使用される。この際、装着された打抜きクッション部材1は、打抜き刃12の刃先より1〜2mm突出した状態となる。なお、図中符号14はゴムスポンジ製の弾性材である。
【0018】
こうして狭い間隔で配された打抜き刃12,12間に装着される打抜きクッション部材1によれば、被処理シート20を周知の手段で打抜きされるとき、打抜き刃12が被処理シート20に打ち込まれると、その打抜き刃12の刃先より突出している打抜きクッション部材1の先端部が被処理シート20によって瞬間的に押付けられて押圧力を受けることになる。すると、多数形成されている突起部2はバチ形にされて押圧力を受ける部分が基部3に連なる基端部分よりも広い面になっているので、その押圧力によって圧縮されるとき抵抗のない隣接する凹欠部4側に無理なく弾性変形され、厚さ方向に膨れ出すことなく圧縮されることになる。したがって、この打抜きクッション部材1は、打抜き操作を繰り返しても打抜き刃12の側面に向かって押出すような働きをしない。
【0019】
また、この打抜きクッション部材1は硬度の比較的高いゴム質スポンジ材で構成されているから、単に突起部4のみの弾性変形による圧縮のみならず、基部3側でも適度に圧縮されて負荷を分担させることができ、前記押圧力による圧縮を容易に許容して、しかも復元弾発力を十分に発揮させることができる。したがって、被処理シート20における狭い幅の打抜き箇所21においては、打抜き型10が後退行程に移行して、打抜き刃12がその被処理シート20から離れると同時に打抜かれた箇所の抜き屑部分21′を打抜きクッション部材1の復元弾発力によって押し戻され、打抜きライン23を形成されて次の抜き屑分離工程への搬送を確実なものとすることができる。
【0020】
そして、この打抜きクッション部材1は、外表面における濡れ性が小さいので、打抜き操作時に発生する紙粉の付着性も小さく、そのためにこの打抜きクッション部材1と打抜き刃12の側面部との間隙が非常に狭い状態であってもその隙間に紙粉が溜まって打抜き刃に影響を来すようなことがなく、長時間にわたる打抜き型の使用によっても打抜き刃12が横方向に変位するような問題点の発生はない。
【0021】
本実施例の打抜きクッション材1は、前述のように一側部にバチ形の突起部2とその逆形の凹欠部4とを所要のピッチPで配されているので、その基部3の高さ寸法の2倍になる幅で所要厚さの帯状をした材料を用いて、その幅方向の中央位置で前記バチ形の突起部2と凹欠部4とを形成した抜き形によって打抜き形成すれば、一挙に2個のクッション部材を製作することができる。そして、得られた製品1Aは、図3に示されるように、二個の打抜きクッション部材1,1が突起部2と凹欠部4で組合わさったままの状態にあるので、一片の部材の姿で嵩張ることなく取扱うことができ、使用するときには両者を切り分けられた部分で分離して使用すれば、万一外力を受けても突起部2が千切れたりすることもない。
【0022】
なお、本実施例の打抜きクッション部材1は、使用される打抜き刃の間隔が比較的広い箇所については、厚さ寸法を厚くしたものを使用することにより、効果的に打抜き作業が行え、打抜き刃の間隔が狭い箇所には許容範囲で厚さ寸法の薄いものを使用すればよい。したがって、厚さ寸法の異なるものを、例えば、1.5mm,2.0mm,3.0mm,4.0mm,5.0mmなど複数種作成して使用箇所に応じて使い分けるようにすると、より有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施例の打抜きクッション部材の斜視図である。
【図2】図2は、本実施例の打抜きクッション部材の使用態様と打抜きラインが形成された材料シートとを併記された斜視図である。
【図3】図3は、本実施例の打抜きクッション部材を2個組合わせて作成された場合の外形図である。
【図4】図4(a)(b)は、従来の狭隘な箇所に使用する弾性体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 打抜きクッション部材
2 突起部
3 基部
4 凹欠部
10 打抜き型
11 基板
12 打抜き刃
Claims (1)
- 硬質の多孔ゴム質材よりなる所要厚さを有する帯状部材で、基部とその基部の長手方向の一方の側部に沿って所要ピッチで連接される複数の突起部とで構成され、前記突起部間に凹欠部が設けられ、前記突起部は、押圧力を受ける部分が前記基部に連なる基端部分よりも広い面にされて全体としてバチ形に形成され、前記凹欠部は、前記突起部と逆同一形状のバチ形に形成されていることを特徴とする打抜きクッション部材。
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