JP2011005627A - 積層体の切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層体の一部(フイルム)が伸張率の低いフイルムであっても、コストや手間をかけることなく、良好な切断面の品質を得ることができる積層体の切断方法を提供する。
【解決手段】セパレータフイルム12と、該セパレータフイルム12上に粘着剤14を介して積層された多層膜16とを有し、多層膜16が、粘着剤14上に積層される第1保護フイルム18aと、該第1保護フイルム18a上に積層される偏光子20と、該偏光子20上に積層される第2保護フイルム18bとを有する積層体を切断刃46によって切断する積層体の切断方法において、積層体に対する切断刃46の進入速度(切断速度v)を実測で8mm/sec以上、好ましくは10mm/sec以上に調整して、積層体を切断する。
【選択図】図7
【解決手段】セパレータフイルム12と、該セパレータフイルム12上に粘着剤14を介して積層された多層膜16とを有し、多層膜16が、粘着剤14上に積層される第1保護フイルム18aと、該第1保護フイルム18a上に積層される偏光子20と、該偏光子20上に積層される第2保護フイルム18bとを有する積層体を切断刃46によって切断する積層体の切断方法において、積層体に対する切断刃46の進入速度(切断速度v)を実測で8mm/sec以上、好ましくは10mm/sec以上に調整して、積層体を切断する。
【選択図】図7
Description
本発明は、1以上のフイルムが粘着剤を介して積層された積層体を切断用治具によって切断する積層体の切断方法に関する。
近時、1以上のフイルムが粘着剤を介して積層された積層体を切断刃を用いて切断する方法として、特許文献1及び2に記載の方法が知られている。
特許文献1に記載の切断方法は、切断刃が積層体を切断する際に、該積層体に加える圧縮応力を低減して行うものであって、圧縮応力の低減は、積層体の表面側に引張応力を加え、かつ裏面側に圧縮応力を加えた状態で行うようにしている。これにより、切断過程で切断面から切断刃に向かう内部応力が緩和され、切断面と切断刃との密着度を低減することができ、その結果、粘着剤が切断刃に付着する、いわゆる糊付着を防止することができる、というものである。
特許文献2に記載の切断方法は、光学部材の中でも親水性材料を用いた偏光板は特に水分の影響を受け易いことから、この光学部材の水分率を一定範囲内に制御することにより、切断面にクラックの発生がなく、かつ切断後にフイルムがカールしなくなることを見出してなされたもので、光学部品の水分率が2〜4質量%となるように調製した後、切断するというものである。
特許文献1に記載の切断方法では、切断刃により積層体を切断する際に該積層体に加える圧縮応力を低減させる表面形状を有する、あるいは、積層体の表面側に引張応力を生じさせ、かつ裏面側に圧縮応力を生じさせる表面形状を有する台座と、前記積層体を台座上に密着して固定させる固定手段とを有する切断装置を使用することになるが、台座の準備にコストと手間がかかるという問題がある。しかも、積層体の表面に対して面方向に圧力がかかることから、しわが生じたり、変形する等の問題が生じるおそれがある。
特許文献2に記載の切断方法では、光学部品の水分率を2〜4質量%に調製するわけだが、切断時において、水分率が2〜4質量%でなければならないため、光学部品の保管管理や工程管理にコストと手間がかかるという問題がある。
なお、特許文献1及び2においては、積層体を切断した際のデラミ(層間剥離)やクラックの発生率が積層体の構成材料の伸張率によって大きく変わるという検証は一切なされていない。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、積層体の一部(フイルム)が伸張率の低いフイルムであっても、コストや手間をかけることなく、良好な切断面の品質を得ることができる積層体の切断方法を提供することを目的とする。
[1] 第1の本発明に係る積層体の切断方法は、1以上のフイルムが粘着剤を介して積層された積層体を切断用治具によって切断する積層体の切断方法において、前記切断用治具は少なくとも切断刃を有し、前記積層体に対する前記切断刃の進入速度を実測で8mm/sec以上に調整して、前記積層体を切断することを特徴とする。
[2] 第1の本発明において、前記積層体に対する前記切断刃の進入速度を実測で10mm/sec以上に調整して、前記積層体を切断することを特徴とする。
[3] 第1の本発明において、前記切断刃として、刃先角度が43°以下である切断刃を用いることを特徴とする。
[4] 第1の本発明において、前記切断刃として、刃先角度が30°以下である切断刃を用いることを特徴とする。
[5] 第1の本発明において、前記切断刃として刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いることを特徴とする。
[6] 第1の本発明において、同時に生じる切断荷重が80,000N以上の場合、前記切断刃として、刃先の硬度が80°(Hs)、刃先本体の硬度が70°(Hs)以上の加工刃を用いることを特徴とする。
[7] 第1の本発明において、前記切断用治具は、前記切断刃と、該切断刃を支持する基台と、該基台上に前記切断刃に隣接して設けられた弾性体とを有し、前記弾性体としてスポンジ硬度が30°以上である弾性体を用いることを特徴とする。
[8] 第1の本発明において、前記弾性体としてスポンジ硬度が50°以上である弾性体を用いることを特徴とする。
[9] 第1の本発明において、前記積層体は、セパレータフイルムと、前記粘着剤と、前記セパレータフイルム上に前記粘着剤を介して積層された前記1以上のフイルムとを有することを特徴とする。
[10] 第1の本発明において、前記セパレータフイルム上に前記粘着剤を介して前記1以上のフイルムからなる多層膜が積層され、前記多層膜は、前記粘着剤上に積層された第1保護フイルムと、該第1保護フイルム上に積層された偏光子と、該偏光子上に積層された第2保護フイルムとを有することを特徴とする。
[11] 第1の本発明において、前記第1保護フイルム及び第2保護フイルムは、トリアセチルセルロースにて構成され、縦方向の伸張率が42%未満、横方向の伸張率が43%未満であることを特徴とする。
[12] 第2の本発明に係る積層体の切断方法は、1以上のフイルムが粘着剤を介して積層された積層体を切断用治具によって切断する積層体の切断方法において、前記積層体は、セパレータフイルムと、前記粘着剤と、前記セパレータフイルム上に前記粘着剤を介して積層された前記1以上のフイルムからなる多層膜とを有し、前記積層体を、前記セパレータフイルム側から前記多層膜に向けて切断することを特徴とする。
[13] 第2の本発明において、前記多層膜は、前記粘着剤上に積層された第1保護フイルムと、該第1保護フイルム上に積層された偏光子と、該偏光子上に積層された第2保護フイルムとを有することを特徴とする。
[14] 第2の本発明において、前記第1保護フイルム及び第2保護フイルムは、トリアセチルセルロースにて構成され、縦方向の伸張率が42%未満、横方向の伸張率が43%未満であることを特徴とする。
以上説明したように、本発明に係る積層体の切断方法によれば、積層体の一部(フイルム)が伸張率の低いフイルムであっても、コストや手間をかけることなく、良好な切断面の品質を得ることができる。
以下、本発明に係る積層体の切断方法を、液晶表示装置等に使用される偏光板を製造するための積層フイルムの切断方法に適用した実施の形態例を図1〜図9を参照しながら説明する。
先ず、本実施の形態に係る積層フイルム10は、図1に示すように、セパレータフイルム12と、該セパレータフイルム12上に粘着剤14を介して積層された多層膜16とを有する。
セパレータフイルム12は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製のフイルムを用いることができる。
多層膜16は、偏光板本体を構成するものであって、粘着剤14上に積層される第1保護フイルム18aと、該第1保護フイルム18a上に積層される偏光子20と、該偏光子20上に積層される第2保護フイルム18bとを有する。第1保護フイルム18aと第2保護フイルム18bは、それぞれセルロースアシレートフイルム、中でも57.5%〜62.5%の平均酢化度を有するセルローストリアセテート(TAC)から構成されるTACフイルムを用いることができる。また、偏光子20は、ポリビニルアルコール製のフイルムを用いることができる。
そして、本実施の形態に係る切断方法は、例えば図2に示すような第1切断装置30Aや、長尺の積層フイルムに対応した第2切断装置30B(図4参照)等を用いて積層フイルムを切断する。これによって、例えば液晶表示装置等に使用される偏光板が多数個得られる。
第1切断装置30Aは、図2に示すように、積層フイルム10が載置固定される送りテーブル32と、該送りテーブル32を一方向に搬送する搬送機構34と、送りテーブル32上に載置固定された積層フイルム10を切断する切断用治具36と、切断用治具36を上下方向に移動させる移動機構38とを有する。なお、送りテーブル32上には、下敷きとしてのプラスチック板40(例えばPET製)が固定されており、積層フイルム10は、このプラスチック板40上に載置固定されることとなる。
移動機構38は、プレス盤42を有し、該プレス盤42を、送りテーブル32上に載置固定された積層フイルム10に対して接近及び離間する方向に移動させる。プレス盤42の下面には切断用治具36が固定されている。
切断用治具36は、図3に示すように、プレス盤42の下面に固定された基台44(例えば木製)と、該基台44によって刃先が下方を向くように支持固定された切断刃46とを有する。また、基台44の下面には、切断刃46に隣接して弾性体48が設置されている。この場合、切断刃46の基台44からの突出量ta(基台44から突き出た長さ)は、弾性体48の高さtbよりも小に設定されている。従って、積層フイルム10を切断する際には、移動機構38が切断用治具36を積層フイルム10に向けて押し付けることで、基台44と積層フイルム10によって挟まれた弾性体48が圧縮方向に弾性変形し、これにより、切断刃46のみが積層フイルム10内に進入し、積層フイルム10を切断することになる。その後、切断用治具36を積層フイルム10から離間する方向に移動させると、弾性体48が弾性復帰し、切断刃46が切断箇所から素早く離脱することとなる。そのため、切断刃46が積層フイルム10から引き抜かれるときに、積層フイルム10の表面が変形するということが抑制されたり、また、積層フイルム10内の粘着剤14が切断刃46の刃先に付着するということもない。これにより、連続した切断作業を行うことができる。
上述した切断刃46の刃先に沿った形状(刃先をたどって形づくられる形状)は、直線状であってもよいし、枠状であってもよい。枠状の場合は、打抜きによる切断作業となる。
第2切断装置30Bは、図4及び図5に示すように、長尺の積層フイルム10を供給する送り出し部50と、積層フイルム10を打抜いて多数個の偏光板を得るプレス部52と、打抜き後の積層フイルム10(カス)を回収する巻き取り部53と、積層フイルム10を一定の張力をもって搬送する搬送機構54と、各部を駆動制御する図示しない制御部とを有する。
搬送機構54は、積層フイルム10をプレス部52側に搬送する第1搬送部56aと、積層フイルム10の下敷きとして機能すると共に、積層フイルム10を一方向に搬送するためのフイルム58(二点鎖線で示す)を循環搬送する第2搬送部56bとを有する。フイルム58としては、例えばPET製のフイルムが用いられる。
第1搬送部56aは、プレス部52の上流側に設置され、且つ、積層フイルム10を挟んでプレス部52側に送り出す第1ピンチロール60aと、送り出し部50と第1ピンチロール60aとの間に設置されたダンサーロール62と、案内ロール64とを有する。第2搬送部56bは、プレス部52の下流側に設置され、且つ、フイルム58をプレス部52の上流側へ循環させる第2ピンチロール60bと、複数の案内ロール64とを有する。
プレス部52は、例えば4本の支軸70a〜70d(図5参照)によって筐体72の上方に位置されたプレス盤42と、筐体72内に設置され、プレス盤42を上下方向に移動駆動する駆動機構74(図6参照)と、プレス盤42の下面(搬送される積層フイルム10と対向する面)に設置された切断用治具36とを有する。
駆動機構74は、図6に示すように、4本の支軸70a〜70dのうち、例えば手前側の2本の支軸70a及び70bを上下方向に移動駆動する第1駆動部74aと、残りの2本の支軸70c及び70dを上下方向に移動駆動する第2駆動部74bとを有する。
第1駆動部74aは、2本の支軸70a及び70bを連結する第1連結部76aと、該第1連結部76に設けられた第1長孔77aと、第1偏心カム78aと、該第1偏心カム78aの第1シャフト80aを回転中心とする第1フライホイール82aと、第1モータ84aと、該第1モータ84aの回転力を第1フライホイール82aに伝える第1タイミングベルト86aとを有する。第1偏心カム78aのうち、第1シャフト80aと反対の面の偏心位置には、第1長孔77aに回転自在に挿通される軸が設けられている。
第2駆動部74bも上述した第1駆動部74aと同様の構成を有し、2本の支軸70c及び70dを連結する第2連結部76bと、該第1連結部76に設けられた第2長孔77bと、該第2連結部76bに回転自在に取り付けられた第2偏心カム78bと、該第2偏心カム78bの第2シャフト80bを回転中心とする第2フライホイール82bと、第2モータ84bと、該第2モータ84bの回転力を第2フライホイール82bに伝える第2タイミングベルト86bとを有する。
ここで、第1駆動部74aの第1モータ84aと第2駆動部74bの第2モータ84bは、制御部からのタイミング信号に基づいて同期駆動するようになっている。従って、第1駆動部74a及び第2駆動部74bの第1モータ84a及び第2モータ84bが同期駆動することによって、第1偏心カム78a及び第2偏心カム78bがそれぞれ第1シャフト80a及び第2シャフト80bを中心に回転し、第1連結部76a及び第2連結部76b並びに4つの支軸70a〜70dがほぼ同じタイミングで上下方向に移動することになる。その結果、プレス盤42が積層フイルム10に対して接近及び離間する方向に移動することとなる。
切断用治具36は、図3に示す構成とほぼ同じであるが、一度の切断(打抜き)で、角部が面取り(R面)された4つの矩形状の偏光板(図5参照)が得られるように、4つの枠状の切断刃46が設けられている。
ところで、積層フイルム10を構成する第1保護フイルム18a及び第2保護フイルム18bとして、TACフイルムを用いた場合、伸張率が高いTACフイルムや伸張率の低いTACフイルムの使用が考えられる。
ここでの伸張率は、幅20mm×長さ100mmのTACフイルムを破断するまで荷重をかけて引っ張り、破断時のTACフイルムの長さの増加分の元の長さに対する割合(百分率)、すなわち、{伸びて増えた長さ(増加分)/元の長さ}×100(%)によって得られる値である。
伸張率の高いTACフイルムとは、縦方向(MD:Machine Direction)の伸張率が42%以上、横方向(TD:Transverse Direction)の伸張率が43%以上のTACフイルムであり、伸張率の低いTACフイルムとは、縦方向の伸張率が42%未満、横方向の伸張率が43%未満のTACフイルムである。
そして、伸張率の高いTACフイルムを用いた積層フイルム10を切断した場合と、伸張率の低いTACフイルムを用いた積層フイルム10を切断した場合とで、切断面の品質が大きく異なることがわかった。
切断面の品質は、偏光子20と下層の第1保護フイルム18aとの間に発生したデラミ(層間剥離)と、多層膜16内のいずれかで発生したクラック数にて評価することができる。
デラミは、積層フイルム10を切断して得られる偏光板の端面(エッジ)に沿った方向のデラミ(層間剥離)の長さの基準長さ(50mm)に対する比率(以下、エッジ方向長さ比率と記す)と、切断して得られる偏光板の端面に沿った基準長さ(50mm)当たりの奥行き方向(内方)のデラミの長さの最大値を、複数の端面で計測した平均(以下、奥行き方向長さと記す)とで評価することができる。また、クラック数は、切断して得られる偏光板の端面(エッジ)に発生したクラックの数で評価することができる。
ここで、1つの実験例を示す。この実験例は、伸張率が高いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル1)と、伸張率が低いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル2)とを切断した際の切断面の品質を測定したものである。切断にあたっては、例えば図7に示すように、サンプル1及び2に対する切断刃46の進入速度(以下、切断速度vという)を6mm/sec(実測値)に調整し、弾性体48(図3参照)として、スポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。スポンジ硬度は、アスカーC硬度計(ASKER C)で測定した値で、以下同じである。また、多層膜16の上面(第2保護フイルム18bの上面)が切断刃46の刃先に対向するようにして、サンプル1及び2を送りテーブル32上に載置固定し、多層膜16側からセパレータフイルム12に向けて切断した。実験結果を表1に示す。
表1の実験結果からわかるように、伸張率が高いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル1)の切断面の品質は、エッジ方向長さ比率が0、奥行き方向長さが0mm、クラック数も0であった。反対に、伸張率が低いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル2)の切断面の品質は、エッジ方向長さ比率が0.25、奥行き方向長さが0.18mm、クラック数が66であった。
このように、伸張率が低いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル2)の切断面の品質が悪くなる原因としては、図8A〜図8Dに示すようなメカニズムによるものと考えられる。
すなわち、先ず、図8Aに示すように、切断刃46の刃先が多層膜16の上面(第2保護フイルム18bの上面)に接触し、さらに切断刃46が下方に押し込まれると、多層膜16の上面の刃先から切断荷重がかかり、積層フイルム10は、厚み方向に圧縮変形する(「逆への字」の屈曲変形)。
その後、図8Bに示すように、切断刃46がさらに下方に移動すると、刃先が多層膜16に食い込み、上層の第2保護フイルム18bを切断し、さらに、偏光子20まで進入する。このとき、下層の第1保護フイルム18aは刃先により圧縮変形を受け、さらに、積層フイルム10全体がくの字変形することとなる。特に、上層の第2保護フイルム18bの切断が完了すると、刃先は勢いを増して進入していく。
その後、伸張率が高いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル1)においては、図8Cに示すように、下層の第1保護フイルム18aまで速い勢いで刃先が進入する。このとき、刃先による切断より早く、下層の第1保護フイルム18aが刃先に沿って破断する。
一方、伸張率が低いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル2)においては、図8Dに示すように、下層の第1保護フイルム18aまで速い勢いで刃先が進入するが、上層の第2保護フイルム18bの破断完了時の荷重反動(切断荷重)が、伸張率が高いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル1)よりも大きいことから、刃先による切断より早く、下層の第1保護フイルム18aが崩れるように、斜めに破断することとなる。これがクラックの発生原因となる。すなわち、伸張率が低いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル2)においては、屈曲変形状態で破断すると、その硬く脆い物性のため、クラックが発生し易いものと考えられる。デラミは、クラックによる層間密着部位の微小な滑落により隙間ができ、発生するものと考えられる。
従って、このような伸張率が低いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル2)においても、伸張率が高いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル1)と同程度の切断面の品質を得られるようにすれば、TACフイルムの選択性の幅を広げることができ、例えば液晶表示装置の種類に応じて最適な特性を有する偏光板を提供することが可能となる。
以下に示す第1の実施の形態に係る切断方法(第1切断方法)及び第2の実施の形態に係る切断方法(第2切断方法)は、伸張率が低いTACフイルムを用いた積層フイルム10(サンプル2)であっても、コストや手間をかけることなく、良好な切断面の品質を得ることができる切断方法である。
先ず、第1切断方法は、例えば図7に示すように、積層フイルム10を、多層膜16側からセパレータフイルム12に向けて切断するものであって、切断速度vを8mm/sec(実測値)以上、好ましくは10mm/sec(実測値)以上に設定して、積層フイルム10を切断する。
さらに好ましくは、以下の条件(1)〜(5)のうち、いずれか1つ以上を満足することである。
(1)切断刃46として、刃先角度θ(図7参照)が43°以下である切断刃(両刃仕様)を用いる。
(2)切断刃46として、刃先角度θが30°以下である切断刃を用いる。
(3)(2)において、さらに、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いる。
(4)弾性体48(図3参照)としてスポンジ硬度が30°以上である弾性体を用いる。
(5)弾性体48としてスポンジ硬度が50°以上である弾性体を用いる。
なお、切断刃46の硬度(Hs)は、ボディ部が40以上、刃先が50以上であることが好ましい。
第2切断方法は、図9に示すように、第1切断方法とは異なり、セパレータフイルム12が切断刃46の刃先に対向するようにして、積層フイルム10を送りテーブル32上に載置固定し、セパレータフイルム12側から多層膜16に向けて切断する。
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[第1実施例]
第1切断方法に準じて(図7参照)、多層膜16の上面(第2保護フイルム18bの上面)が切断刃46の刃先に対向するようにして、積層フイルム10を送りテーブル32上に載置固定し、多層膜16側からセパレータフイルム12に向けて切断した。
第1切断方法に準じて(図7参照)、多層膜16の上面(第2保護フイルム18bの上面)が切断刃46の刃先に対向するようにして、積層フイルム10を送りテーブル32上に載置固定し、多層膜16側からセパレータフイルム12に向けて切断した。
(積層フイルム10)
積層フイルム10を構成する各種フイルムの構成は以下の通りである。
積層フイルム10を構成する各種フイルムの構成は以下の通りである。
セパレータフイルム12:厚み40μmのPETフイルム
粘着剤14:厚み30μm
第1保護フイルム18a:厚み40μmのTACフイルム(富士フイルム社製の商品名:フジタック)
偏光子20:厚み28μmのPVAフイルム
第2保護フイルム18b:厚み40μmのTACフイルム(富士フイルム社製の商品名:フジタック)
第1保護フイルム18a及び第2保護フイルム18bの伸張率は、縦方向(MD)の伸張率が22%、横方向(TD)の伸張率が18%である。
粘着剤14:厚み30μm
第1保護フイルム18a:厚み40μmのTACフイルム(富士フイルム社製の商品名:フジタック)
偏光子20:厚み28μmのPVAフイルム
第2保護フイルム18b:厚み40μmのTACフイルム(富士フイルム社製の商品名:フジタック)
第1保護フイルム18a及び第2保護フイルム18bの伸張率は、縦方向(MD)の伸張率が22%、横方向(TD)の伸張率が18%である。
(実施例1〜17、比較例1〜20)
実施例1〜17、比較例1〜20の内訳を後述する内容、並びに表2及び表3に示す。なお、表2及び表3のうち、実施例1〜17、比較例1〜20以外のデータは参考例として示した。切断速度vはいずれも実測値であり、スポンジ硬度はアスカーC硬度計(ASKER C)で測定した値である。
実施例1〜17、比較例1〜20の内訳を後述する内容、並びに表2及び表3に示す。なお、表2及び表3のうち、実施例1〜17、比較例1〜20以外のデータは参考例として示した。切断速度vはいずれも実測値であり、スポンジ硬度はアスカーC硬度計(ASKER C)で測定した値である。
(実施例1〜3:表2)
実施例1は、切断速度vを8mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
実施例1は、切断速度vを8mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
実施例2は、切断速度vを9mm/secに調整したこと以外は、実施例1と同じにした。
実施例3は、切断速度vを10mm/secに調整したこと以外は、実施例1と同じにした。
(比較例1、2:表2)
比較例1は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
比較例1は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
比較例2は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例1と同じにした。
(実施例4〜6:表2)
実施例4は、切断速度vを8mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
実施例4は、切断速度vを8mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
実施例5は、切断速度vを9mm/secに調整したこと以外は、実施例4と同じにした。
実施例6は、切断速度vを10mm/secに調整したこと以外は、実施例4と同じにした。
(比較例3、4:表2)
比較例3は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
比較例3は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
比較例4は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例3と同じにした。
(実施例7:表2)
実施例7は、切断速度vを10mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
実施例7は、切断速度vを10mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
(比較例5、6:表2)
比較例5は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃(鏡面加工されていない刃)を用いた。
比較例5は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃(鏡面加工されていない刃)を用いた。
比較例6は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例5と同じにした。
(実施例8〜10:表2)
実施例8は、切断速度vを8mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃を用いた。
実施例8は、切断速度vを8mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃を用いた。
実施例9は、切断速度vを9mm/secに調整したこと以外は、実施例8と同じにした。
実施例10は、切断速度vを10mm/secに調整したこと以外は、実施例8と同じにした。
(比較例7、8:表2)
比較例7は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃を用いた。
比較例7は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃を用いた。
比較例8は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例7と同じにした。
(実施例11、12:表2)
実施例11は、切断速度vを9mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃を用いた。
実施例11は、切断速度vを9mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃を用いた。
実施例12は、切断速度vを10mm/secに調整したこと以外は、実施例11と同じにした。
(比較例9、10:表2)
比較例9は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃を用いた。
比較例9は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°の標準刃を用いた。
比較例10は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例9と同じにした。
(比較例11、12:表3)
比較例11は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
比較例11は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが43°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
比較例12は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例11と同じにした。
(比較例13、14:表3)
比較例13は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度が45°の標準刃を用いた。
比較例13は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度が45°の標準刃を用いた。
比較例14は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例13と同じにした。
(実施例13〜15:表3)
実施例13は、切断速度vを8mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
実施例13は、切断速度vを8mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
実施例14は、切断速度vを9mm/secに調整したこと以外は、実施例13と同じにした。
実施例15は、切断速度vを10mm/secに調整したこと以外は、実施例13と同じにした。
(比較例15、16:表3)
比較例15は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
比較例15は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
比較例16は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例16と同じにした。
(実施例16:表3)
実施例16は、切断速度vを10mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
実施例16は、切断速度vを10mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
(比較例17、18:表3)
比較例17は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
比較例17は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が50°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。
比較例18は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例17と同じにした。
(比較例19、20:表3)
比較例19は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
比較例19は、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
比較例20は、切断速度vを7mm/secに調整したこと以外は、比較例19と同じにした。
(実施例17:表3)
実施例17は、切断速度vを10mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
実施例17は、切断速度vを10mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が25°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度θが45°の標準刃を用いた。
(評価)
実施例1〜17、比較例1〜20の内訳、切断面の品質(デラミ(エッジ方向長さ比率、奥行き方向長さ)及びクラック数)及び評価を表2及び表3に示す。
実施例1〜17、比較例1〜20の内訳、切断面の品質(デラミ(エッジ方向長さ比率、奥行き方向長さ)及びクラック数)及び評価を表2及び表3に示す。
評価は、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」及び「×」の6段階とした。その内訳は以下の通りである。
評価「A」:エッジ方向長さ比率が0.35以下、奥行き方向長さが0.25mm以下であって、クラック数が20以下。
評価「B」:エッジ方向長さ比率が0.35以下、奥行き方向長さが0.25mm以下であって、クラック数が21〜30。
評価「C」:エッジ方向長さ比率が0.35以下、奥行き方向長さが0.25mm以下であって、クラック数が31〜40。
評価「D」:エッジ方向長さ比率が0.35以下、奥行き方向長さが0.25mm以下であって、クラック数が41〜50。
評価「E」:エッジ方向長さ比率が0.35以下、奥行き方向長さが0.25mm以下であって、クラック数が51〜60。
評価「×」:エッジ方向長さ比率が0.35を超えた場合、あるいは奥行き方向長さが0.25mmを超えた場合、あるいはクラック数が61以上の場合。
評価「B」:エッジ方向長さ比率が0.35以下、奥行き方向長さが0.25mm以下であって、クラック数が21〜30。
評価「C」:エッジ方向長さ比率が0.35以下、奥行き方向長さが0.25mm以下であって、クラック数が31〜40。
評価「D」:エッジ方向長さ比率が0.35以下、奥行き方向長さが0.25mm以下であって、クラック数が41〜50。
評価「E」:エッジ方向長さ比率が0.35以下、奥行き方向長さが0.25mm以下であって、クラック数が51〜60。
評価「×」:エッジ方向長さ比率が0.35を超えた場合、あるいは奥行き方向長さが0.25mmを超えた場合、あるいはクラック数が61以上の場合。
表2及び表3の結果から、実施例1〜17のうち、実施例1〜3、6、8〜10、12、13〜15は共に評価が「A」で品質が最も良好であった。実施例7、16、17は共に評価が「B」で上述した実施例と比してやや品質は劣るもののクラックが30以下であり、実質的には良好であった。実施例4、5、11は共に評価が「C」であったが、実用的には問題ないレベルであった。
一方、比較例1〜20は、いずれも評価が「×」又は「E」であり、切断面の品質が低下していることがわかった。
このように、切断速度を8mm/sec以上、好ましくは10mm/sec以上に調整して、積層フイルム10を切断することで、伸張率が低いTACフイルムを用いた積層フイルム10においても良好な切断面の品質を得ることができ、特に、上述した条件(1)〜(5)のいずれかと組み合わせることで、安定して良好な切断面の品質を得ることができることがわかる。
すなわち、縦方向(MD)の伸張率が22%、横方向(TD)の伸張率が18%である第1保護フイルム18a及び第2保護フイルム18bを使用したにも関わらず、切断面の品質が向上した理由は、切断速度vを8mm/sec以上、好ましくは10mm/sec以上に調整することで、粘着剤14の粘性による第1保護フイルム18aの屈曲変形が小さいうちに第1保護フイルム18aの切断が完了するため、クラックが発生しにくくなっているものと考えられる。
また、弾性体48として、スポンジ硬度が30°以上、好ましくは50°以上の弾性体を使用することで、切断前(弾性体48のみが多層膜16の表面に接触している段階)及び切断中の積層フイルム10の屈曲変形を物理的に抑制することとなるため、クラックが発生しにくいものとなっていると考えられる。
[第2実施例]
第2切断方法に準じて(図9参照)、セパレータフイルム12が切断刃46の刃先に対向するようにして、積層フイルム10を送りテーブル32上に載置固定し、セパレータフイルム12側から多層膜16に向けて切断して実施例18を得た。
第2切断方法に準じて(図9参照)、セパレータフイルム12が切断刃46の刃先に対向するようにして、積層フイルム10を送りテーブル32上に載置固定し、セパレータフイルム12側から多層膜16に向けて切断して実施例18を得た。
この実施例18に係る積層フイルム10の構成は上述した第1実施例と同様である。また、下記表4に示すように、切断速度vを6mm/secに調整し、弾性体48としてスポンジ硬度が30°の弾性体を用い、切断刃46として、刃先角度が26°であって、且つ、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いた。切断後の切断面の品質を確認したところ、エッジ方向長さ比率が0、奥行き方向長さが0mm、クラック数も0であった。
切断速度vが6mm/secと遅いにも関わらず、切断面の品質が良好になっているのは、この第2実施例では、切断刃46は、セパレータフイルム12→粘着剤14→第1保護フイルム18aというように進入し、しかも、粘着剤14よりも硬い第1保護フイルム18aが下層に存在することから、粘着剤14の粘性に起因する第1保護フイルム18aの屈曲変形がほとんど起こらず、これにより、クラックの発生が抑制されたものと考えられる。
[第3実施例]
次に、切断治具の大きさが1辺当たり約1m以上で、同時にかかる切断荷重が80,000N以上、同時に切断する延べ長さが長い場合における好適な条件を見出すために、参考例と実施例19を確認した。この参考例と実施例19の内訳及び判定結果を下記表5に示す。
参考例は、上述した実施例1と同様の条件で切断した。この参考例では、デラミ、クラックとも悪化した。これは、刃物はその製作精度上、長さ方向に同じ高さに作製されていることはない。そこで、同時に切断する長さが長くなると、切断開始の瞬間に、刃の高さが部分的に高い箇所に荷重が集中するため、瞬間的に刃が撓んだり、ぶれたことが悪化の原因と考えられる。
次に、切断治具の大きさが1辺当たり約1m以上で、同時にかかる切断荷重が80,000N以上、同時に切断する延べ長さが長い場合における好適な条件を見出すために、参考例と実施例19を確認した。この参考例と実施例19の内訳及び判定結果を下記表5に示す。
参考例は、上述した実施例1と同様の条件で切断した。この参考例では、デラミ、クラックとも悪化した。これは、刃物はその製作精度上、長さ方向に同じ高さに作製されていることはない。そこで、同時に切断する長さが長くなると、切断開始の瞬間に、刃の高さが部分的に高い箇所に荷重が集中するため、瞬間的に刃が撓んだり、ぶれたことが悪化の原因と考えられる。
一方、実施例19は、刃材の硬度を高くし、刃先の硬度を80°(Hs)、ボディの硬度を72°にして、切断後の切断面の品質を確認したところ、エッジ方向長さ比率が0、奥行き方向長さが0mm、クラック数も0という良好な結果が得られた。これは刃材の硬度が向上したことから、刃物に強い力が作用しても、撓んだり、ぶれることが生じ難くなり、その結果、デラミとクラックの発生が抑制されたものと考えられる。
なお、本発明に係る積層体の切断方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…積層フイルム 12…セパレータフイルム
14…粘着剤 16…多層膜
18a…第1保護フイルム 18b…第2保護フイルム
20…偏光子 30A…第1切断装置
30B…第2切断装置 36…切断用治具
44…基台 46…切断刃
48…弾性体
14…粘着剤 16…多層膜
18a…第1保護フイルム 18b…第2保護フイルム
20…偏光子 30A…第1切断装置
30B…第2切断装置 36…切断用治具
44…基台 46…切断刃
48…弾性体
Claims (14)
- 1以上のフイルムが粘着剤を介して積層された積層体を切断用治具によって切断する積層体の切断方法において、
前記切断用治具は少なくとも切断刃を有し、
前記積層体に対する前記切断刃の進入速度を実測で8mm/sec以上に調整して、前記積層体を切断することを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項1記載の積層体の切断方法において、
前記積層体に対する前記切断刃の進入速度を実測で10mm/sec以上に調整して、前記積層体を切断することを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項1又は2記載の積層体の切断方法において、
前記切断刃として、刃先角度が43°以下である切断刃を用いることを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項3記載の積層体の切断方法において、
前記切断刃として、刃先角度が30°以下である切断刃を用いることを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項4記載の積層体の切断方法において、
前記切断刃として、刃先部が鏡面に仕上げられた加工刃を用いることを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項5記載の積層体の切断方法において、
同時に生じる切断荷重が80,000Nを超える場合、前記切断刃として、刃先の硬度が80°(Hs)、刃先本体の硬度が70°(Hs)以上の加工刃を用いることを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体の切断方法において、
前記切断用治具は、前記切断刃と、該切断刃を支持する基台と、該基台上に前記切断刃に隣接して設けられた弾性体とを有し、
前記弾性体としてスポンジ硬度が30°以上である弾性体を用いることを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項7記載の積層体の切断方法において、
前記弾性体としてスポンジ硬度が50°以上である弾性体を用いることを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体の切断方法において、
前記積層体は、セパレータフイルムと、前記粘着剤と、前記セパレータフイルム上に前記粘着剤を介して積層された前記1以上のフイルムとを有することを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項9記載の積層体の切断方法において、
前記セパレータフイルム上に前記粘着剤を介して前記1以上のフイルムからなる多層膜が積層され、
前記多層膜は、前記粘着剤上に積層された第1保護フイルムと、該第1保護フイルム上に積層された偏光子と、該偏光子上に積層された第2保護フイルムとを有することを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項10記載の積層体の切断方法において、
前記第1保護フイルム及び第2保護フイルムは、トリアセチルセルロースにて構成され、縦方向の伸張率が42%未満、横方向の伸張率が43%未満であることを特徴とする積層体の切断方法。 - 1以上のフイルムが粘着剤を介して積層された積層体を切断用治具によって切断する積層体の切断方法において、
前記積層体は、セパレータフイルムと、前記粘着剤と、前記セパレータフイルム上に前記粘着剤を介して積層された前記1以上のフイルムからなる多層膜とを有し、
前記積層体を、前記セパレータフイルム側から前記多層膜に向けて切断することを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項12記載の積層体の切断方法において、
前記多層膜は、前記粘着剤上に積層された第1保護フイルムと、該第1保護フイルム上に積層された偏光子と、該偏光子上に積層された第2保護フイルムとを有することを特徴とする積層体の切断方法。 - 請求項13記載の積層体の切断方法において、
前記第1保護フイルム及び第2保護フイルムは、トリアセチルセルロースにて構成され、縦方向の伸張率が42%未満、横方向の伸張率が43%未満であることを特徴とする積層体の切断方法。
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