JP2004123924A - 合成高分子フィルム用帯電防止剤及び合成高分子フィルムの帯電防止方法 - Google Patents

合成高分子フィルム用帯電防止剤及び合成高分子フィルムの帯電防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】合成高分子フィルムへの塗布性、塗布した合成高分子フィルムの再利用性及び塗布面の非転写性に優れ、低湿度下においても合成高分子フィルムに優れた帯電防止性を付与できる、合成高分子フィルム用帯電防止剤及び合成高分子フィルムの帯電防止方法を提供する。
【解決手段】合成高分子フィルム用帯電防止剤として、分子中に特定のジアリルアンモニウム塩から形成された構成単位と側鎖に第四級アンモニウム塩基を有する特定のビニル単量体から形成された構成単位とを所定割合で有する所定の数平均分子量のビニル共重合体を用いた。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は合成高分子フィルム用帯電防止剤及び合成高分子フィルムの帯電防止方法に関する。各種の合成高分子フィルムが、単層フィルムとして、また単層フィルム相互間に接着性剤を介在させた複層フィルムとして広く使用されている。しかし、かかる合成高分子フィルムには、その製造乃至加工工程で、またその使用時に、様々な静電気障害の生じることが知られている。合成高分子フィルムの製造乃至加工では、かかる静電気障害を充分に防止できる帯電防止剤を使用することが要求されるのである。更に近年では、環境汚染を回避し、同時に製造乃至加工コストを低減する観点から、合成高分子フィルムの製造乃至加工工程で生じる屑類や使用済み合成高分子フィルムを再利用することが望まれているが、そのためには、かかる再利用に問題を生じない帯電防止剤を使用することが要求される。本発明は、以上の要求に応える、合成高分子フィルム用帯電防止剤及び合成高分子フィルムの帯電防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成高分子フィルム用帯電防止剤として一般に、多種多様なイオン性高分子化合物が使用されている。しかし、合成高分子フィルム用帯電防止剤として従来一般に使用されているイオン性高分子化合物には、1)合成高分子フィルムの特に製膜時において加熱延伸に対する耐熱性に劣るため、結果として合成高分子フィルムに充分な帯電防止性を付与できない、2)イオン性高分子化合物を用いた合成高分子フィルムの製造乃至加工工程で生じる屑類や使用済み合成高分子フィルムを再溶融すると、着色するため、これらの再利用が制約される、という問題がある。かかる問題を解決する合成高分子フィルム用帯電防止剤として、分子中に複数のピロリジウム環を有するポリカチオンポリマーが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、従来提案されているポリカチオンポリマーには、製膜時の加熱延伸に対する耐熱性が相応に改善され、したがって合成高分子フィルムに相応の帯電防止性を付与できるものの、再利用に際しての再溶融時に着色があるために再利用が制約されたり、合成高分子フィルムへの塗布性が劣っていたり、塗布面から転写により移行して帯電防止性が劣化するという問題がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−146931号公報
【特許文献2】
特開平1−174538号公報
【特許文献3】
特開平9−31224号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、再利用に際しての再溶融時に着色がなく、また合成高分子フィルムへの塗布性に優れ、更に塗布面から転写により移行することのない優れた合成高分子用帯電防止剤を提供する処にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者は、前記の課題を解決するべく研究した結果、合成高分子フィルム用帯電防止剤としては、分子中に特定のジアリルアンモニウム塩から形成された構成単位と側鎖に第四級アンモニウム塩基を有する特定のビニル単量体から形成された構成単位とを所定割合で有する所定の数平均分子量のビニル共重合体が好適であること、またかかる合成高分子フィルム用帯電防止剤を合成高分子フィルムに適用するに際しては、該合成高分子フィルム用帯電防止剤を延伸工程前の合成高分子フィルムに所定量塗布するのが好適であること、以上を見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記のビニル共重合体M及び下記のビニル共重合体Nから選ばれる一つ又は二つ以上から成ることを特徴とする合成高分子フィルム用帯電防止剤に係る。また本発明は、かかる合成高分子フィルム用帯電防止剤を、延伸工程に供される合成高分子フィルムに、延伸工程後に製品となる合成高分子フィルム1m当たり0.01〜3gの割合となるよう塗布することを特徴とする合成高分子フィルムの帯電防止方法に係る。
【0007】
ビニル共重合体M:分子中に下記の式1で示される単量体から形成された構成単位Aを10〜50モル%及び下記の式2で示される単量体から形成された構成単位Bを50〜90モル%(合計100モル%)有する数平均分子量5000〜1000000のビニル共重合体
【0008】
ビニル共重合体N:分子中に下記の式1で示される単量体から形成された構成単位Aを10〜50モル%、下記の式2で示される単量体から形成された構成単位Bを30〜89.9モル%及び下記の式1で示される単量体又は下記の式2で示される単量体と共重合可能な単量体から形成された構成単位Cを0.1〜20モル%(合計100モル%)有する数平均分子量5000〜1000000のビニル共重合体
【0009】
【式1】
Figure 2004123924
【0010】
【式2】
Figure 2004123924
【0011】
式1,式2において、
:水素原子又はメチル基
:水素原子、メチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基(但し、Rが水素原子の場合、Rはメチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基)
:水素原子又はメチル基
,R,R:水素原子、メチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基(但し、R〜Rのうちで少なくとも二つはメチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基)
A:−COO−で示される有機基又は−CONH−で示される有機基
B:炭素数2〜6のアルキレン基
,Y:硝酸イオン基又はアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルスルホン酸イオン基
【0012】
本発明に係る合成高分子フィルム用帯電防止剤(以下、単に本発明の帯電防止剤という)としてのビニル共重合体には、式1で示される単量体から形成された構成単位Aと式2で示される単量体から形成された構成単位Bとから成るビニル共重合体(ビニル共重合体M)、式1で示される単量体から形成された構成単位Aと式2で示される単量体から形成された構成単位Bと式1で示される単量体又は式2で示される単量体と共重合可能な単量体(以下、単に他の単量体という)から形成された構成単位Cとから成るビニル共重合体(ビニル共重合体N)、以上のビニル共重合体M及びビニル共重合体Nから選ばれる一つ又は二つ以上が包含される。
【0013】
ビニル共重合体Mを構成する構成単位Aを形成することとなる式1で示される単量体において、式1中のRは水素原子又はメチル基である。式1中のRとしては、1)水素原子、2)メチル基、3)2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基等のアルキル基の炭素数が2又は3のヒドロキシアルキル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。式1中のRとRにおいて、Rが水素原子の場合、Rはメチル基又はアルキル基の炭素数が2又は3のヒドロキシアルキル基であり、Rが水素原子の場合、Rはメチル基である。式1中のXとしては、1)硝酸イオン基、2)メチルスルホン酸イオン基、エチルスルホン酸イオン基、プロピルスルホン酸イオン基、イソプロピルスルホン酸イオン基、ブチルスルホン酸イオン基、イソブチルスルホン酸イオン基等の炭素数が1〜4のアルキルスルホン酸イオン基が挙げられるが、硝酸イオン基又はメチルスルホン酸イオン基が好ましく、メチルスルホン酸イオン基がより好ましい。
【0014】
以上説明した式1で示される単量体Aの具体例としては、ジアリルメチルアンモニウム硝酸塩、ジアリルメチルアンモニウムメチルスルホン酸塩、ジアリルメチルアンモニウムエチルスルホン酸塩、ジアリルメチルアンモニウムプロピルスルホン酸塩、ジアリルメチルアンモニウムイソプロピルスルホン酸塩、ジアリルメチルアンモニウムブチルスルホン酸塩、ジアリルメチルアンモニウムイソブチルスルホン酸塩、ジアリルジメチルアンモニウム硝酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムメチルスルホン酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムエチルスルホン酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムプロピルスルホン酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムイソプロピルスルホン酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムブチルスルホン酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムイソブチルスルホン酸塩、ジアリルメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、ジアリルメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルスルホン酸塩、ジアリルメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムエチルスルホン酸塩、ジアリルメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムプロピルスルホン酸塩、ジアリルメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムイソプロピルスルホン酸塩、ジアリルメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムブチルスルホン酸塩、ジアリルメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムイソブチルスルホン酸塩等が挙げられる。
【0015】
ビニル共重合体Mを構成する構成単位Bを形成することとなる式2で示される単量体において、式2中のAで示される有機基はカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基である。カルボニルオキシ基は、置換基Rが結合している炭素にカルボニルオキシ基中のカルボニル基が結合し、アルキレン基のBと該カルボニルオキシ基中のオキシ基が結合したものである。またカルボニルアミノ基は、置換基Rが結合している炭素にカルボニルアミノ基中のカルボニル基が結合し、アルキレン基のBと該カルボニルアミノ基中のアミノ基が結合したものである。式2中のBは、一方をカルボニルオキシ基中のオキシ基又はカルボニルアミノ基中のアミノ基と、他方をアンモニウム基の窒素と結合している炭素数2〜6のアルキレン基である。かかる炭素数2〜6のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられるが、エチレン基、トリメチレン基が好ましい。
【0016】
ビニル共重合体Mを構成する構成単位Bを形成することとなる式2で示される単量体において、式2中のRは水素原子又はメチル基である。式2中のR,R,Rは、水素原子、メチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基であって、R〜Rのうちで少なくとも二つはメチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基である。すなわち、Rが水素原子の場合、RとRはメチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基である。同様にRが水素原子の場合、RとRはメチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基であり、Rが水素原子の場合、RとRはメチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基である。式2中のYは式1中のXについて前記したことと同じである。
【0017】
以上説明した式2で示される単量体の具体例としては、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルホン酸塩、アクリロイルアミノプロピルジメチルアンモニウムエチルスルホン酸塩、アクリロイルアミノプロピル2−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウム硝酸塩、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム硝酸塩、メタクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムメチルスルホン酸塩、メタクリロイルアミノヘキシルジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム硝酸塩等が挙げられる。
【0018】
本発明の帯電防止剤としてのビニル共重合体Mは、以上説明した式1で示される単量体と式2で示される単量体とをラジカル共重合して得られる。ラジカル共重合それ自体は、公知の方法、通常は水又は水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いた水性溶液中にて行なうことができる。例えば、式1で示されるビニル単量体と式2で示される単量体とを水に溶解し、これらの単量体を合計量として10〜45重量%含む水溶液を調整した後、窒素ガス雰囲気下において、これにラジカル開始剤を加え、50〜80℃で4〜8時間ラジカル重合反応させる。用いるラジカル開始剤としては、重合反応温度下において分解し、ラジカル発生するものであれば、その種類は特に制限されないが、水溶性のラジカル開始剤を用いるのが好ましい。かかる水溶性のラジカル開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等が挙げられる。これらは、亜硫酸塩やL−アスコルビン酸の如き還元性物質更にはアミン等と組み合わせ、レドックス開始剤として用いることもできる。
【0019】
ビニル共重合体Mは、以上説明したラジカル共重合により得られるが、分子中に式1で示される単量体から形成された構成単位Aを10〜50モル%、好ましくは15〜45モル%、より好ましく20〜40モル%、式2で示される単量体から形成された構成単位Bを50〜90モル%、好ましくは55〜85モル%、より好ましく60〜80モル%(合計100モル%)有するものとする。またビニル共重合体Mの数平均分子量は、5000〜1000000のものとするが、7000〜100000のものとするのが好ましい。数平均分子量が5000未満であると、合成高分子フィルムに付与する帯電防止性が不充分になり、逆に数平均分子量が1000000を超えると、そのようなビニル重合体を合成高分子フィルムに均一塗布するのが難しくなる。
【0020】
本発明の帯電防止剤としてのビニル共重合体Nにおいて、構成単位A及び構成単位Bは、ビニル共重合体Mについて前記したことと同じである。ビニル共重合体Nを構成する構成単位Cを形成することとなる他の単量体としては、1)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸等の炭素数が3〜18の不飽和一塩基酸、2)炭素数が1〜20の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、3)マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数が4若しくは5の不飽和二塩基酸及びその塩、4)マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数が4若しくは5の不飽和二塩基酸と炭素数が1〜20の脂肪族アルコールとの(ジ)エステル、5)マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数が4若しくは5の不飽和二塩基酸と炭素数が2〜8のグリコールとの(ジ)エステル、6)マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数が4若しくは5の不飽和二塩基酸とオキシアルキレン基の繰り返し数が2〜100のポリアルキレングリコールとの(ジ)エステル、7)(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたN−アルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール化アクリルアミド等の不飽和アミド、8)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、9)α−メチルスチレン、スチレン等の芳香族ビニル単量体、10)酸性ビニルスルホン酸、酸性(メタ)アリルスルホン酸、酸性スルホアルキル(メタ)アクリレート、酸性スチレンスルホン酸等の分子中に酸性スルホン酸基を有するビニル単量体、11)ビニルスルホン酸アルカリ金属塩、(メタ)アリルスルホン酸アルカリ金属塩、スルホアルキル(メタ)アクリレートアルカリ金属塩、スチレンスルホン酸アルカリ金属塩等の分子中にスルホン酸アルカリ金属塩基を有するビニル単量体、12)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール等の分子中にヒドロキシ基を有する炭素数が5〜20のビニル単量体、13)グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等の分子中にエポキシ基を有する炭素数が5〜20のビニル単量体等が挙げられるが、なかでも、炭素数が3〜18の不飽和一塩基酸、炭素数が1〜4の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたN−アルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が4若しくは5の不飽和二塩基酸と炭素数が2〜8のグリコールとの(ジ)エステル、分子中にヒドロキシ基を有する炭素数が5〜20のビニル単量体及び分子中にエポキシ基を有する炭素数が5〜20のビニル単量体から選ばれる一つ又は二つ以上が好ましい。
【0021】
ビニル共重合体Nは、以上説明した式1で示される単量体と式2で示される単量体と他の単量体とをラジカル共重合して得られる。かかるラジカル共重合は、ビニル共重合体Mについて前記したことと同じである。
【0022】
ビニル共重合体Nは、分子中に式1で示される単量体から形成された構成単位Aを10〜50モル%、好ましくは15〜45モル%、より好ましく20〜40モル%、式2で示される単量体から形成された構成単位Bを30〜89.9モル%、好ましくは45〜84.9モル%、より好ましく50〜79モル%、他の単量体から形成された構成単位Cを0.1〜20モル%、好ましくは0.1〜10モル%、より好ましく0.5〜9モル%(合計100モル%)有するものとする。またビニル共重合体Nの数平均分子量は、5000〜1000000のものとするが、7000〜100000のものとするのが好ましい。数平均分子量が5000未満であると、合成高分子フィルムに付与する帯電防止性が不充分になり、逆に数平均分子量が1000000を超えると、そのようなビニル重合体を合成高分子フィルムに均一塗布するのが難しくなる。
【0023】
以上説明したビニル共重合体M及びビニル共重合体Nから選ばれる一つ又は二つ以上から成る本発明の帯電防止剤は通常、水を主溶媒とし、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の低級アルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類等を含有する溶媒を用いた水性液として合成高分子フィルムに適用される。
【0024】
本発明の帯電防止剤は、延伸工程に供される合成高分子フィルム、例えば延伸されて製品化される未延伸フイルムや一軸延伸フイルム等に塗布するのが好ましい。この場合、本発明の帯電防止剤の塗布量は、延伸工程後に製品となる合成高分子フィルム1m当たり0.01〜3g、好ましくは0.02〜0.1gの割合となるようにする。塗布には公知の方法が適用でき、これには例えば、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、エアナイフコート法、バーコート法、キスコート法等が挙げられる。塗布に際しては、本発明の効果を損なわない範囲で、バインダー樹脂、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、架橋剤等を併用することもできる。
【0025】
本発明の帯電防止剤を適用する合成高分子フィルムとしては、1)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル又はこれらの共重合ポリエステルから製膜されるポリエステル系フィルム、2)ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10等の脂肪族ポリアミドから製膜されるポリアミド系フィルム、3)1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと脂肪族ジカルボン酸とのポリアミド、脂肪族ジアミンと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とのポリアミド等の脂環族ポリアミドから製膜されるポリアミド系フィルム、4)ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−m−フェニレンイソフタラミド等の芳香族ポリアミド等から製膜されるポリアミド系フィルムが挙げられる。なかでも、本発明の帯電防止剤は、ポリエステル系フィルムに適用する場合に効果の発現が高い。本発明の帯電防止剤を適用する合成高分子フィルムは、合目的的に酸化チタン、タルク、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリコーン等の無機フィラー、架橋ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機フィラー、ポリエチレン、ポリプロピレン等の他の樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、易滑剤、難燃剤等を含有していても、支障はない。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の帯電防止剤の実施形態としては、次の1)〜15)が挙げられる。
1)式1中のRがメチル基、Rがメチル基、Xがメチルスルホン酸イオン基である場合の式1で示される単量体(E−1)から形成された構成単位を22モル%、式2中のRが水素原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Rがメチル基、Aがカルボニルオキシ基、Bがエチレン基、Yがメチルスルホン酸イオン基である場合の式2で示される単量体(F−1)から形成された構成単位を78モル%(合計100モル%)有する数平均分子量30000のビニル共重合体(M−1)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(M−1)。
【0027】
2)前記の単量体(E−1)から形成された構成単位を30モル%、前記の単量体(F−1)から形成された構成単位を70モル%(合計100モル%)有する数平均分子量18000のビニル共重合体(M−2)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(M−2)。
【0028】
3)前記の単量体(E−1)から形成された構成単位を38モル%、式2中のRが水素原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Rが水素原子、Aがカルボニルアミノ基、Bがトリメチレン基、Yがメチルスルホン酸イオン基である場合の式2で示される単量体(F−2)から形成された構成単位を62モル%(合計100モル%)有する数平均分子量20000のビニル共重合体(M−3)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(M−3)。
【0029】
4)式1中のRがメチル基、Rが水素原子、Xがメチルスルホン酸イオン基である場合の式1で示される単量体(E−2)から形成された構成単位を22モル%、式2中のRが水素原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Rが2−ヒドロキシエチル基、Aがカルボニルアミノ基、Bがトリメチレン基、Yがメチルスルホン酸イオン基である場合の式2で示される単量体(F−3)から形成された構成単位を78モル%(合計100モル%)有する数平均分子量10000のビニル共重合体(M−4)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(M−4)。
【0030】
5)式1中のRがメチル基、Rが2−ヒドロキシエチル基、Xがメチルスルホン酸イオン基である場合の式1で示される単量体(E−3)から形成された構成単位を30モル%、式2中のRが水素原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Rが3−ヒドロキシプロピル基、Aがカルボニルアミノ基、Bがトリメチレン基、Yがメチルスルホン酸イオン基である場合の式2で示される単量体(F−4)から形成された構成単位を70モル%(合計100モル%)有する数平均分子量35000のビニル共重合体(M−5)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(M−5)。
【0031】
6)式1中のRがメチル基、Rが3−ヒドロキシプロピル基、Xがメチルスルホン酸イオン基である場合の式1で示される単量体(E−4)から形成された構成単位を38モル%、式2中のRが水素原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Rがメチル基、Aがカルボニルアミノ基、Bがトリメチレン基、Yがメチルスルホン酸イオン基である場合の式2で示される単量体(F−5)から形成された構成単位を62モル%(合計100モル%)有する数平均分子量15000のビニル共重合体(M−6)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(M−6)。
【0032】
7)式1中のRがメチル基、Rがメチル基、Xが硝酸イオン基である場合の式1で示される単量体(E−5)から形成された構成単位を22モル%、式2中のRが水素原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Rが水素原子、Aがカルボニルオキシ基、Bがエチレン基、Yが硝酸イオン基である場合の式2で示される単量体(F−6)から形成された構成単位を78モル%(合計100モル%)有する数平均分子量16000のビニル共重合体(M−7)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(M−7)。
【0033】
8)式1中のRがメチル基、Rが水素原子、Xが硝酸イオン基である場合の式1で示される単量体(E−6)から形成された構成単位を30モル%、式2中のRが水素原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Rが2−ヒドロキシエチル基、Aがカルボニルアミノ基、Bがトリメチレン基、Yが硝酸イオン基である場合の式2で示される単量体(F−7)から形成された構成単位を70モル%(合計100モル%)有する数平均分子量10000のビニル共重合体(M−8)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(M−8)。
【0034】
9)式1中のRがメチル基、Rが2−ヒドロキシエチル基、Xが硝酸イオン基である場合の式1で示される単量体(E−7)から形成された構成単位を38モル%、式2中のRがメチル基、Rがメチル基、Rがメチル基、Rがメチル基、Aがカルボニルオキシ基、Bがトリメチレン基、Yが硝酸イオン基である場合の式2で示される単量体(F−8)から形成された構成単位を62モル%(合計100モル%)有する数平均分子量10000のビニル共重合体(M−9)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(M−9)。
【0035】
10)前記の単量体(E−1)から形成された構成単位を22モル%、前記の単量体(F−1)から形成された構成単位を76モル%、メタクリル酸から形成された構成単位を2モル%(合計100モル%)有する数平均分子量40000のビニル共重合体(N−1)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(N−1)。
【0036】
11)前記の単量体(E−1)から形成された構成単位を30モル%、前記の単量体(F−1)から形成された構成単位を65モル%、ブチルアクリレートから形成された構成単位を5モル%(合計100モル%)有する数平均分子量32000のビニル共重合体(N−2)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(N−2)。
【0037】
12)前記の単量体(E−1)から形成された構成単位を38モル%、前記の単量体(F−2)から形成された構成単位を55モル%、N−メチルアクリルアミドから形成された構成単位を7モル%(合計100モル%)有する数平均分子量18000のビニル共重合体(N−3)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(N−3)。
【0038】
13)前記の単量体(E−2)から形成された構成単位を22モル%、前記の単量体(F−3)から形成された構成単位を76モル%、N,N−ジメチルアクリルアミドから形成された構成単位を2モル%(合計100モル%)有する数平均分子量12000のビニル共重合体(N−4)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(N−4)。
【0039】
14)前記の単量体(E−3)から形成された構成単位を30モル%、前記の単量体(F−4)から形成された構成単位を65モル%、マレイン酸モノ2−ヒドロキシエチルから形成された構成単位を5モル%(合計100モル%)有する数平均分子量48000のビニル共重合体(N−5)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(N−5)。
【0040】
15)前記の単量体(E−4)から形成された構成単位を38モル%、前記の単量体(F−5)から形成された構成単位を60モル%、グリシジルメタクリレートから形成された構成単位を2モル%(合計100モル%)有する数平均分子量14000のビニル共重合体(N−6)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(N−6)。
【0041】
16)前記の単量体(E−4)から形成された構成単位を37モル%、前記の単量体(F−5)から形成された構成単位を62モル%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルから形成された構成単位を1モル%(合計100モル%)有する数平均分子量20000のビニル共重合体(N−7)から成る合成高分子フィルム用帯電防止剤(N−7)。
【0042】
本発明に係る合成高分子フィルムの帯電防止方法の実施形態としては、次の17)が挙げられる。
17)ポリエチレンテレフタレート製の未延伸フィルムを、縦方向に延伸した後、更に横方向にも延伸して、製品フィルムを製造するに際し、前記1)〜16)のいずれかの帯電防止剤を水希釈した5重量%の水溶液を、縦方向に延伸したフィルムに、製品フィルム1m当たり帯電防止剤として0.05gの割合となるよう、キスコート法で塗布する方法。
【0043】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【0044】
【実施例】
試験区分1(ビニル共重合体の合成)
・ビニル共重合体(M−1)の合成
反応容器に水200gを仕込み、撹拌下に該反応容器内を窒素置換して80℃とした後、ジアリルジメチルアンモニウムメチルスルホン酸塩22.1g(0.1モル)とアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルホン酸塩88.6g(0.35モル)と水150gとからなるビニル単量体水溶液と、5%過硫酸アンモニウム水溶液30gとを、2時間かけて同時に滴下し、ラジカル重合反応を行なった。次いで5%過硫酸アンモニウム水溶液30gを1時間かけて追加した後、反応温度を80℃に保持して6時間ラジカル重合反応を続け、反応物を得た。反応物の一部を精製して分析した結果、式1中のRがメチル基、Rがメチル基、Xがメチルスルホン酸イオン基である場合の式1で示される単量体(E−1)から形成された構成単位を22モル%、式2中のRが水素原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Rがメチル基、Aがカルボニルオキシ基、Bがエチレン基、Yがメチルスルホン酸イオン基である場合の式2で示される単量体(F−1)から形成された構成単位を78モル%(合計100モル%)有する数平均分子量30000のビニル共重合体(M−1)であった。これを本発明の帯電防止剤(M−1)とした。
【0045】
・ビニル共重合体(M−2)〜(M−11)、(N−1)〜(N−12)及び(R−1)〜(R−7)の合成
ビニル共重合体(M−1)と同様にして、ビニル共重合体(M−2)〜(M−11)、(N−1)〜(N−12)及び(R−1)〜(R−7)を合成した。これらをそれぞれ、本発明の帯電防止剤(M−2)〜(M−11)、(N−1)〜(N−12)及び比較の帯電防止剤(R−1)〜(R−7)とした。ビニル共重合体(M−1)も含め、これらの内容を表1にまとめて示した。
【0046】
【表1】
Figure 2004123924
【0047】
表1において、
単量体(E−1)〜(E−8):下記の表2に内容をまとめて示した。
単量体(F−1)〜(F−10):下記の表3に内容をまとめて示した。
G−1:メタクリル酸
G−2:ブチルアクリレート
G−3:N−メチルアクリルアミド
G−4:N,N−ジメチルアクリルアミド
G−5:マレイン酸モノ2−ヒドロキシエチル
G−6:グリシジルメタクリレート
G−7:メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル
G−8:アクリルアミド
G−9:マレイン酸ジメチル
G−10:スチレンスルホン酸ナトリウム
G−11:マレイン酸ジポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール部分の平均分子量200)
G−12:スチレン
【0048】
【表2】
Figure 2004123924
【0049】
【表3】
Figure 2004123924
【0050】
表3において、
A−1:カルボニルオキシ基
A−2:カルボニルアミノ基
B−1:エチレン基
B−2:トリメチレン基
B−3:テトラメチレン基
B−4:ヘキサメチレン基
H−1:2−ヒドロキシエチル基
H−2:3−ヒドロキシプロピル基
Y−1:メチルスルホン酸イオン基
Y−2:エチルスルホン酸イオン基
Y−3:硝酸イオン基
【0051】
試験区分2(合成高分子フィルムへの帯電防止剤の塗布及びその評価)
・合成高分子フィルムへの帯電防止剤の塗布
極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを280〜300℃で溶融押し出しし、15℃の冷却ロールで冷却して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方向に3.5倍に一軸延伸した。次に、試験区分1で合成したビニル共重合体(帯電防止剤)を水希釈して5%水性液となし、この5%水性液を、一軸延伸フィルムに、更に延伸されて製品となる二軸延伸フィルム1m当たり表4に記載の塗布量となるようキスコート法で塗布し、70℃の熱風で乾燥して、一軸延伸コーティングポリエステルフィルムとした。最後に、一軸延伸コーティングポリエステルフィルムをテンターにより98℃で横方向に3.5倍延伸し、200〜210℃で熱固定して、製品としての厚さ100μmの二軸延伸コーティングポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸コーティングポリエステルフィルムについて以下の評価を行なった。結果を表4にまとめて示した。
【0052】
・塗布性の評価
前記で得た二軸延伸コーティングポリエステルフィルムの表面を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。
評価基準
◎:塗布抜けがなく、均一な塗布膜である
○:塗布抜けが極めて僅にあるが、ほぼ均一な塗布膜である
△:塗布抜けが幾分あるが、全体としてはほぼ均一な塗布膜である
×:塗布抜けが多く、不均一な塗布膜である
【0053】
・帯電防止性の評価
条件1
前記で得た一軸延伸コーティングポリエステルフィルムを、20℃で相対湿度50%の条件下に24時間調湿した後、同条件で表面比抵抗(Ω)を表面抵抗値測定装置(シシド電気社製の商品名メガレスタHT−301)を用いて測定し、下記の基準で評価した。
評価基準
◎:表面比抵抗が1×1010Ω未満
○:表面比抵抗が1×1010Ω以上1×1011Ω未満
△:表面比抵抗が1×1011Ω以上1×1012Ω未満
×:表面比抵抗が1×1012Ω以上
【0054】
条件2
前記で得た二軸延伸コーティングポリエステルフィルムを、20℃で相対湿度50%の条件下に24時間調湿した後、同条件で表面比抵抗(Ω)を表面抵抗値測定装置(シシド電気社製の商品名メガレスタHT−301)を用いて測定し、下記の基準で評価した。
評価基準
◎:表面比抵抗が1×1010Ω未満
○:表面比抵抗が1×1010Ω以上1×1011Ω未満
△:表面比抵抗が1×1011Ω以上1×1012Ω未満
×:表面比抵抗が1×1012Ω以上
【0055】
条件3
前記で得た二軸延伸コーティングポリエステルフィルムを、20℃で相対湿度30%の条件下に24時間調湿した後、同条件で表面比抵抗(Ω)を表面抵抗値測定装置(シシド電気社製の商品名メガレスタHT−301)を用いて測定し、下記の基準で評価した。
評価基準
◎:表面比抵抗が1×1011Ω未満
○:表面比抵抗が1×1011Ω以上1×1012Ω未満
△:表面比抵抗が1×1012Ω以上1×1013Ω未満
×:表面比抵抗が1×1013Ω以上
【0056】
・再利用性
前記で得た二軸延伸コーティングポリエステルフィルムを粉砕し、押し出し機にて約300℃で溶融してチップ化した。このチップを用いて溶融製膜し、再生フィルムを作製した。別にブランクとして、水のみを塗布した二軸延伸コーティングポリエステルフィルムを用いて再生フィルムを作製した。再生フィルムの着色から再利用性を下記の基準で評価した。
評価基準
◎:ブランクと同等であって、ほとんど着色していない
○:ブランクと比較して僅に着色しているが、再利用に問題がない
△:ブランクと比較して着色しており、再利用に制約がある
×:ブランクと比較して著しく着色しており、再利用できない
【0057】
・非転写性
前記で得た一軸延伸コーティングポリエステルフィルムから20cm×20cmの正方形に切り出した試料片とコーティング処理していない一軸延伸ポリエステルフィルムとをコーティング面で重ね、荷重1kg/mを均等にかけて、20℃で相対湿度50%の条件下に60日間時間調湿した後、同条件で試料片のコーティング面の表面比抵抗(Ω)を表面抵抗値測定装置(シシド電気社製の商品名メガレスタHT−301)を用いて測定し、下記の基準で評価した。
評価基準
◎:表面比抵抗が1×1010Ω未満
○:表面比抵抗が1×1010Ω以上1×1011Ω未満
△:表面比抵抗が1×1011Ω以上1×1012Ω未満
×:表面比抵抗が1×1012Ω以上
【0058】
【表4】
Figure 2004123924
【0059】
表4において、
R−8:分子中にm個の下記の式3で示されるピロリジウム環を有する数平均分子量32000のポリカチオンポリマー
R−9:分子中にn個の下記の式4で示されるピロリジウム環を有する数平均分子量23000のポリカチオンポリマー
【0060】
【式3】
Figure 2004123924
【0061】
【式4】
Figure 2004123924
【0062】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、合成高分子フィルムへの塗布性、塗布した合成高分子フィルムの再利用性及び塗布面の非転写性に優れ、低湿度下においても合成高分子フィルムに優れた帯電防止性を付与できるという効果がある。

Claims (10)

  1. 下記のビニル共重合体M及び下記のビニル共重合体Nから選ばれる一つ又は二つ以上から成ることを特徴とする合成高分子フィルム用帯電防止剤。
    ビニル共重合体M:分子中に下記の式1で示される単量体から形成された構成単位Aを10〜50モル%及び下記の式2で示される単量体から形成された構成単位Bを50〜90モル%(合計100モル%)有する数平均分子量5000〜1000000のビニル共重合体
    ビニル共重合体N:分子中に下記の式1で示される単量体から形成された構成単位Aを10〜50モル%、下記の式2で示される単量体から形成された構成単位Bを30〜89.9モル%及び下記の式1で示される単量体又は下記の式2で示される単量体と共重合可能な単量体から形成された構成単位Cを0.1〜20モル%(合計100モル%)有する数平均分子量5000〜1000000のビニル共重合体
    【式1】
    Figure 2004123924
    【式2】
    Figure 2004123924
    {式1,式2において、
    :水素原子又はメチル基
    :水素原子、メチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基(但し、Rが水素原子の場合、Rはメチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基)
    :水素原子又はメチル基
    ,R,R:水素原子、メチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基(但し、R〜Rのうちで少なくとも二つはメチル基又はアルキル基の炭素数が2若しくは3のヒドロキシアルキル基)
    A:−COO−で示される有機基又は−CONH−で示される有機基
    B:炭素数2〜6のアルキレン基
    ,Y:硝酸イオン基又はアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルスルホン酸イオン基}
  2. 式1で示される単量体が、式1中のXが硝酸イオン基又はメチルスルホン酸イオン基である場合のものである請求項1記載の合成高分子フィルム用帯電防止剤。
  3. 式2で示される単量体が、式2中のBがエチレン基又はトリメチレン基であり、またYが硝酸イオン基又はメチルスルホン酸イオン基である場合のものである請求項1又は2記載の合成高分子フィルム用帯電防止剤。
  4. 式1で示される単量体又は式2で示される単量体と共重合可能な単量体が、炭素数が3〜18の不飽和一塩基酸、炭素数が1〜4の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたN−アルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が4若しくは5の不飽和二塩基酸と炭素数が2〜8のグリコールとの(ジ)エステル、分子中にヒドロキシ基を有する炭素数が5〜20のビニル単量体及び分子中にエポキシ基を有する炭素数が5〜20のビニル単量体から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1〜3のいずれか一つの項記載の合成高分子フィルム用帯電防止剤。
  5. ビニル共重合体Mが、分子中に式1で示される単量体から形成された構成単位Aを15〜45モル%及び式2で示される単量体から形成された構成単位Bを55〜85モル%(合計100モル%)有する数平均分子量7000〜100000のビニル共重合体である請求項1〜4のいずれか一つの項記載の合成高分子フィルム用帯電防止剤。
  6. ビニル共重合体Nが、分子中に式1で示される単量体から形成された構成単位Aを15〜45モル%、式2で示される単量体から形成された構成単位Bを45〜84.9モル%及び式1で示される単量体又は式2で示される単量体と共重合可能な単量体から形成された構成単位Cを0.1〜10モル%(合計100モル%)有する数平均分子量7000〜100000のビニル共重合体である請求項1〜5のいずれか一つの項記載の合成高分子フィルム用帯電防止剤。
  7. 延伸工程に供されるポリエステル系フィルム用のものである請求項1〜6のいずれか一つの項記載の合成高分子フィルム用帯電防止剤。
  8. 請求項1〜6のいずれか一つの項記載の合成高分子用帯電防止剤を、延伸工程に供される合成高分子フィルムに、延伸工程後に製品となる合成高分子フィルム1m当たり0.01〜3gの割合となるよう塗布することを特徴とする合成高分子フィルムの帯電防止方法。
  9. 合成高分子用帯電防止剤を水性液となし、該水性液を、延伸工程に供される合成高分子フィルムに、延伸工程後に製品となる合成高分子フィルム1m当たり該合成高分子用帯電防止剤として0.01〜3gの割合となるよう塗布する請求項8記載の合成高分子フィルムの帯電防止方法。
  10. 合成高分子フィルムがポリエステル系フィルムである請求項8又は9記載の合成高分子フィルムの帯電防止方法。
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