JP2004123636A - 二重被覆造粒物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒径2mm以下の水溶性ビタミン類の体内吸収性が改善された二重被覆造粒物を提供する。
【解決手段】(A)芯材;ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸およびビオチンからなる粒径2mm以下の水溶性ビタミン類からなる群から選択される1種および2種以上と、
(B)第1被膜材料;ツェイン、グルテンからなるアルコール可溶性蛋白質、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼインナトリウムからなる増粘安定剤、および寒天、ジェランタンガム、カラギーナンからなるゲル化剤で常温において難水溶性を示す物質から選択される1種および2種以上と、
(C)第2被膜材料;融点40℃以上の硬化油と、からなる二重被覆造粒物であって、かつ、A成分の芯材にB成分の第1被膜材料が被覆されており、更にその最外層にC成分の第2被膜材料が被覆されてなることを特徴とする二重被覆造粒物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)芯材;ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸およびビオチンからなる粒径2mm以下の水溶性ビタミン類からなる群から選択される1種および2種以上と、
(B)第1被膜材料;ツェイン、グルテンからなるアルコール可溶性蛋白質、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼインナトリウムからなる増粘安定剤、および寒天、ジェランタンガム、カラギーナンからなるゲル化剤で常温において難水溶性を示す物質から選択される1種および2種以上と、
(C)第2被膜材料;融点40℃以上の硬化油と、からなる二重被覆造粒物であって、かつ、A成分の芯材にB成分の第1被膜材料が被覆されており、更にその最外層にC成分の第2被膜材料が被覆されてなることを特徴とする二重被覆造粒物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二重被覆造粒物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、水溶性ビタミン類を芯材とし、二重被覆してなる造粒物を経口投与したときに、その体内吸収性を改善した二重被覆造粒物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ある種のビタミン類は、摂取量が少ないと欠乏症を生じることが知られている。例えば、ビタミンB2は狭義にはリボフラビンを意味し、水溶性ビタミンであるが、そのビタミンB2が不足すると、舌炎、口内炎、脂漏性皮膚炎、角膜周囲血管増生などの症状が現れる。通常日本人の摂取量としては、年齢にもよるが0.5〜1.5mg/日が必要とされている(小学館発行、日本大百科事典19巻252頁、同3巻389頁、非特許文献1)。食事等からの摂取量が少ない場合、ビタミン剤等の形状で補給するが、水溶性のビタミンであるので、摂取されずに排出される量が多い。
ビタミンCの一重被覆処理による吸収性改善について、特開昭61−141862号公報に可食性徐放性顆粒の技術が開示されている。しかし、この技術は、芯材がビタミンC、一重被覆処理材として、ツェインまたはセラックを用いている一重被覆粒子の製造技術であり、単に溶出性を検討しているが、具体的な体内吸収性改善効果の記載はない。
水溶性化合物の二重被覆処理については、特開平11−308985号公報に被覆粒状組成物とその製造方法が開示されている。具体的には、ビタミンB群やエキス等を芯材として、ツェイン等の難水溶性材料と融点40℃以上の粉末油脂をその表面にコーティングする二重被覆粒子組成物及び製造方法について開示されている。しかし、この技術では、芯材の粒径が5.0×10−2mm以下の微粉末についてのみ開示されているが、芯材の粒径が5.0×10−2mm〜2mmの大きな粒子の場合において、開示されていない。また、芯材の体内の吸収性が改善されることについては、開示されていない。
【非特許文献1】日本大百科事典19巻252頁、同3巻389頁3巻、19巻(小学館)
【特許文献1】特開昭61−141862号公報
【特許文献2】特開平11−308985号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、芯材として粒径2mm以下の水溶性ビタミン類の体内吸収性を改善した二重被覆造粒物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記の二重被覆造粒物の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の問題点に対し鋭意検討した結果、水溶性ビタミン類の特定の粒径の二重被覆造粒物を得て、その体内吸収性改善効果が優れることの知見により、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、次の[1]〜[3]である。
[1] (A)芯材;ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸およびビオチンからなる粒径2mm以下の水溶性ビタミン類からなる群から選択される1種および2種以上と、
(B)第1被膜材料;ツェイン、グルテンからなるアルコール可溶性蛋白質、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼインナトリウムからなる増粘安定剤、および寒天、ジェランタンガム、カラギーナンからなるゲル化剤で常温において難水溶性を示す物質から選択される1種および2種以上と、
(C)第2被膜材料;融点40℃以上の硬化油と、
を必須成分とする二重被覆造粒物であって、かつ、
A成分の芯材にB成分の第1被膜材料が被覆されており、更にその最外層にC成分の第2被膜材料が被覆されていることを特徴とする二重被覆造粒物。
[2] 前記[1]の二重被覆造粒物の製造方法であって、次の工程I〜IIIを順次行なうことを特徴とする製造方法。
工程I;第1被膜材料の難水溶性物質を溶媒に溶解する。
工程II;A成分の芯材に、前記の難水溶性溶液を吹き付け、造粒して一次被覆造粒物を得る。
工程III;前記の一次被覆造粒物に、融点40℃以上の粉末油脂を接触・衝突させて、前記の一次被覆造粒物の表面に第2被覆材料の油脂を固着させる。
[3] 前記[1]の二重被覆造粒物の製造方法であって、次の工程I、II、IVを順次行なうことを特徴とする製造方法。
工程I;第1被膜材料の難水溶性物質を溶媒に溶解する。
工程II;A成分の芯材に、前記の難水溶性溶液を吹き付け、造粒して一次被覆造粒物を得る。
工程IV;前記の一次造粒物に、融点40℃以上の油脂を液状として噴霧し、その後冷却して前記の1次被覆造粒物の表面に第2被覆材料の油脂を固着させる。
[4] 前記の[1]記載の二重被覆造粒物を含む食品。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の二重被覆造粒物は、(A)芯材;ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸およびビオチンからなる粒径2mm以下の水溶性ビタミン類からなる群から選択される1種および2種以上、
(B)第1被膜材料;ツェイン、グルテンからなるアルコール可溶性蛋白質、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼインナトリウムからなる増粘安定剤、および寒天、ジェランタンガム、カラギーナンからなるゲル化剤で常温において難水溶性を示す物質から選択される1種および2種以上、
(C)第2被膜材料;融点40℃以上の硬化油、
からなる二重被覆造粒物であって、かつ、
A成分の芯材にB成分の第1被膜材料が被覆されており、更にその最外層にC成分の第2被膜材料が被覆されてなることを特徴とする。
【0006】
ここで、芯材となる水溶性ビタミン類としては、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、およびビオチンが挙げられる。ビタミンC等は、様々な粒径のものが市場に流出しているが、2mm以下のものが一般的であり、それより大きいものは入手が困難であり、食品として用いられることはほとんどない。また、粒径が2mmより大きいビタミンC等は非常に重く、流動層内において、良好な流動化状態を得にくいため、好ましくは、粒径2mmの芯材が取り扱い性や、入手性の点から好ましい。芯材の純度は、特に限定はされないが、高純度のものが望ましい。これらの水溶性ビタミン類は、1種単独で使用しても、2種以上を配合して使用してもよい。
【0007】
本発明に用いる第1被膜材料としては、ツェイン、グルテンからなるアルコール可溶性蛋白質、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼインナトリウムからなる増粘安定剤、および寒天、ジェランタンガム、カラギーナンからなるゲル化剤で常温において難水溶性を示す物質が挙げられる。好ましくは、アルコール可溶性蛋白質のツェインである。
食品として使用できる品質であれば、特に純度等は、限定されない。好ましくは、例えば、市販品として、「昭和ツェインDP」「昭和ツェインC」(昭和産業(株)製)、等が挙げられる。これらの第1被覆材料は、1種単独で使用しても、2種以上を配合して使用してもよい。
【0008】
本発明に用いる第2被膜材料としては、融点40℃以上の油脂であればよく、具体的には、それらの原料としては、牛脂、豚脂、魚油等の動物性油脂;ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、エゴマ油、ゴマ油、コメ油、アマニ油等の植物性油脂が挙げられ、これらの油脂を水素添加による硬化処理を行い、融点を40℃以上にしたものが使用できる。さらに、分別、エステル交換等の油脂加工を行なった精製脱臭油等のもので融点が40℃以上のものであってもかまわない。また、前記の融点40℃以上の油脂は、その使用する場合の形態として、液状、半固形状、固体状のいずれであってもよく、被覆方法により適宜選択することができる。好ましくは、ナタネ極度硬化油である。使用形態としては、取り扱い性から粉末固体状もしくは液状が好ましい。これらの第2被覆材料は、1種単独で使用しても、2種以上を配合して使用してもよい。
【0009】
本発明の二重被覆造粒物は、前記のA成分の芯材にB成分の第1被膜材料が被覆されており、更にその最外層にC成分の第2被膜材料が被覆されている。
造粒物中の芯材として使用される水溶性ビタミン類の量は、組成物全体に対して、5〜95重量%とし、好ましくは40〜80重量%とする。造粒物中の第1被膜材として使用される難水溶性物質の量は、組成物全体に対して、2〜95重量%とし、好ましくは10〜50重量%とする。第2被膜材として使用される油脂の量は、組成物全体に対して、2〜70重量%とし、好ましくは10〜40重量%とする。
【0010】
次に本発明の二重被覆造粒物の二通りの製造方法について示す。
本発明の第1の二重被覆造粒物の製造方法は、次の工程I〜IIIを順次行なうことを特徴とする製造方法である。
工程I;第1被膜材料の難水溶性物質を常温、もしくは加温しながら、撹拌して溶解する。この時用いる溶媒として、アルコール溶液、酢酸等の酸性溶液等が挙げられる。溶媒の使用量は、難水溶性材料が溶解すればよく、特に限定されないが、通常、難水溶性材料が5〜50重量%となるように調製したものを用いる。また、被膜性能向上のために可塑剤を用いることが望ましい。可塑剤として、中鎖トリグリセリド、グリセリン、遊離脂肪酸、蒸留酢酸モノグリセリド等が挙げられる。可塑剤の使用量は、通常、コーティング液中に0.1〜20重量%とし、好ましくは0.5〜10重量%とする。
工程II;A成分の芯材に、前記の難水溶性溶液を、ノズル、アトマイザー等の公知の噴霧器を用いて吹き付け、造粒して一次被覆造粒物を得る。
工程III;前記の一次被覆造粒物に、融点40℃以上の粉末油脂を接触・衝突させて、前記の一次被覆造粒物の表面に第2被覆材料の油脂を固着させる。
本発明の第2の二重被覆造粒物の製造方法は、上記の工程I、IIで得られた一次造粒物に、次の工程IVを順次行なうことを特徴とする製造方法である。
工程IV;工程I、IIで得られた一次造粒物に、融点40℃以上の油脂を加温して液状とし、ノズル、アトマイザー等の公知の噴霧器を用いて噴霧し、その後冷却して前記の一次被覆造粒物の表面に第2被覆材料の油脂を固着させる。
【0011】
前記の工程IIに使用する機械として、例えば、
(1)食品分野にて通常使用される流動層造粒機、
(2)流動層造粒機に撹拌羽を取り付けた撹拌型流動層造粒機、
(3)転動板を備えた転動型流動層造粒機、
(4)ワースター型流動層コーティング機等の流動層造粒機、
(5)粉末を撹拌し、その中にバインダーを添加して顆粒状にする撹拌型造粒機、
(6)粉末をバインダーと共に高圧で押し出す押出し造粒機、
等が挙げられる。これらの装置の中でも、(1)の流動層造粒機が好ましく挙げられる。
造粒条件は、特に限定されず、例えば、流動層造粒機を用いて行なう場合、公知の条件で行なうことができる。好ましくは、芯材を第1被膜材料で被覆造粒した造粒物が5.0×10−2mmを越えるように、さらに好ましくは0.1〜2.5mmとなるような条件で、且つ、芯材と第1被膜材料の配合割合を前記粒径となるように適宜決定して行なうのが望ましい。
【0012】
上記の工程IIで得られた一次被覆造粒物を、油脂により被覆する方法としては、特に限定されないが、前記の工程IIIである、一次被覆造粒物に融点40℃以上の硬化油粉末を接触・衝突させて一次被覆造粒物の表面全体に固着させて被覆する方法、
前記の工程IVである、一次被覆造粒物に流動層内で融点40℃以上の油脂を液状噴霧し、一次被覆造粒物の表面全体に被覆する方法が挙げられる。
【0013】
前記工程IIIに用いる硬化油粉末の粒径(直径)は、1.0×10−5mm〜5.0×10−1mm程度、特に1×10−4mm〜1.0×10−2mmが好ましい。一次被覆造粒物と硬化油粉末の混合比は、一次被覆造粒物の粒径と前記硬化油粉末の粒径比を考慮して適宜決定することができ、例えば、一次被覆造粒物:硬化油粉末が重量比で1:0.01〜5、特に1:0.05〜1の範囲から選択するのが好ましい。
前記の工程IIIにおいて、一次被覆造粒物と硬化油粉末の接触・衝突は、例えば、高能率粉体混合装置等の公知の粉体を衝突させる装置を用いて行なうことができる。接触・衝突の条件は、融点40℃以上の硬化油粉末が溶融しない40℃未満の温度において、接触・衝突により硬化油粉末の表面が溶け、一次被覆造粒物の外表面に溶着し固着する条件であれば特に限定されない。
【0014】
前記工程IVにおいて、一次被覆造粒物に流動層内で油脂を液状噴霧するには、例えば、撹拌機等により一次被覆造粒物を撹拌させておき、加温溶融した液状の油脂をノズル、アトマイザー等を使用して噴霧する公知の方法等で行なうことができる。
また、造粒後の冷却については、特に限定されないが、溶融した油脂が、冷却固化すればよく、冷風等により冷却することができる。
【0015】
造粒に際しては、必要に応じてバインダーを添加することもできる。バインダーとしては、デキストリン、乳糖、コーンスターチ、粉糖等の糖類;脱脂粉乳、大豆蛋白質等の蛋白質;セルロース粉等が挙げられ、その使用量は、公知の方法に基づいて適宜決定することができる。例えば、5重量〜90重量%が挙げられる。少量の水やアルコールを加えて溶解させながら造粒することが成形性の点から好ましい。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として、抗酸化剤や、着色料、香料等を配合してもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明の二重被覆造粒物は、難水溶性物質による一重被覆造粒し、さらにその表面に油脂による二重被覆することにより、芯材である水溶性ビタミン類の体内吸収性を改善し、水溶性ビタミン類の体内アベイラビリティーを向上することができる。そのため、水溶性ビタミン類の過剰投与、または複数回に分けて投与することなく、一日の所要量を効率よく摂取することができる。また、芯材の粒径が1〜2mmのような比較的粗大な粒子でも、5.0×10−3〜1mmのような小さい粒子であっても高い体内吸収性改善効果を示す。したがって、これらの二重被覆造粒物を含む食品は吸収性が優れた食品である。
【0017】
【実施例】
以下実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。次に用いた試験方法を示す。
1.造粒物の形状・粒径の測定方法;
2.ビタミンB2の造粒物を経口摂取する方法;
レーザー回折式粒度分布測定機「SALD−2100」((株)島津製作所)を用いて測定する。
下記の実施例の二重被覆造粒物、比較例の造粒物を試料とし、30〜60才男性を3人に対してリボフラビン量として60mgに相当する二重被覆造粒物を経口投与する。
3.血液中のビタミンB2の測定方法;
二重被覆造粒物を経口投与する直前およびその後、1、3、6、24時間後に静脈から血液を採取し、その血中リボフラビン含量を液体クロマトグラフィー(HPLC)の方法により測定する。
4.造粒物の物性の溶解性試験;
第14改正日本薬局方一般試験溶出試験(パドル法)(廣川書店)の方法により測定した。
試料の造粒物を用いて、37℃での温水に溶解する量を調べる。
【0018】
実施例1−1
リボフラビン(第一ファインケミカル(株)製、平均粒径 mm)500gを結晶セルロース100g、デキストリン50gと共に流動層造粒機(商品名「フローコーターミニ」、フロイント産業(株)製)に仕込み、ツェイン112.5g(商品名「昭和ツェインDP」昭和産業(株)製)を70%アルコール溶液750gに溶解して噴霧し、造粒した。造粒条件は、給気温度を70℃、製品温度を35℃となるように給気量、送液量を調整した。次いで、得られた造粒物を320g用い、平均粒径3×10−3mmのナタネ極度硬化油微粉末80gを添加し、撹拌型造粒機(商品名「OMD−3型」奈良機械(株)製)にて、機内温度25℃、窒素ガス封入下で主軸回転数1000rpm、副軸回転数2000rpmの条件で、20分間撹拌して二重被覆造粒物を得た。得られた造粒物の粒径は、1.1mm、収率は92%であった。
実施例1−2
前記の二重被覆造粒物(VB2MC品)を用い、前記の方法で被試験者男性3人に、リボフラビン量として60mgに相当する二重被覆造粒物を経口投与し、投与前、および所定時間後に血液を採取し、その中のリボフラビン含量を測定した。
【0019】
比較例1;ブランク試験
その後1週間あけ、同被験者にリボフラビン原末(VB2原末)を60mg経口投与し、同様に血液を採取し、その中のリボフラビン含量を測定した。
この結果、二重被覆造粒物投与群は、原末投与群と比較して、リボフラビン吸収量(AUC値)が2.4倍増加した。結果を表1、図1および2に示す。図1の血中濃度の単位はng/mlである。図1は非試験者3名の二重被覆造粒物および原末の投与前およびその後の経過に対する、血中のビタミンB2の濃度を示す。また図2は、初期値に対する経過時間に従う増加量による吸収量の比較を示す図である。その結果より、同じ経口摂取量に対して原末のリボフラビンの血中増加量比べて、本発明の二重被覆造粒物を摂取した場合に血中増加量が2.4倍量が多くなっていることが分かる。
【0020】
試験例1
実施例1−1で作製した二重被覆造粒物と、原末の試料を用いて、前記の溶解性試験の方法に基づいて、試験を行なった。その結果を表2および図3に示す。原末と比較して、二重被覆造粒物は、ゆっくり溶解することが分かる。したがって、吸収の過程において、原末の場合ではリボフラビンが局在化し、吸収許容量を超えた量は排出されてしまうが、本発明の二重被覆造粒物では、溶解性を調製することにより、吸収許容量の範囲で長時間維持し効率よく吸収できる。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の二重被覆造粒物(VB2MC品)と、ブランクの原末(VB2減末)を摂取した場合のリボフラビンの血中量の測定結果(経過時間に対する)を示す。
【図2】図2は、実施例1の二重被覆造粒物と、ブランクの原末を摂取した場合のリボフラビンの測定結果(血中量の増加量)を示す。
【図3】図3は、実施例1、ブランクのリボフラビン原末の溶解性の試験結果を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、二重被覆造粒物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、水溶性ビタミン類を芯材とし、二重被覆してなる造粒物を経口投与したときに、その体内吸収性を改善した二重被覆造粒物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ある種のビタミン類は、摂取量が少ないと欠乏症を生じることが知られている。例えば、ビタミンB2は狭義にはリボフラビンを意味し、水溶性ビタミンであるが、そのビタミンB2が不足すると、舌炎、口内炎、脂漏性皮膚炎、角膜周囲血管増生などの症状が現れる。通常日本人の摂取量としては、年齢にもよるが0.5〜1.5mg/日が必要とされている(小学館発行、日本大百科事典19巻252頁、同3巻389頁、非特許文献1)。食事等からの摂取量が少ない場合、ビタミン剤等の形状で補給するが、水溶性のビタミンであるので、摂取されずに排出される量が多い。
ビタミンCの一重被覆処理による吸収性改善について、特開昭61−141862号公報に可食性徐放性顆粒の技術が開示されている。しかし、この技術は、芯材がビタミンC、一重被覆処理材として、ツェインまたはセラックを用いている一重被覆粒子の製造技術であり、単に溶出性を検討しているが、具体的な体内吸収性改善効果の記載はない。
水溶性化合物の二重被覆処理については、特開平11−308985号公報に被覆粒状組成物とその製造方法が開示されている。具体的には、ビタミンB群やエキス等を芯材として、ツェイン等の難水溶性材料と融点40℃以上の粉末油脂をその表面にコーティングする二重被覆粒子組成物及び製造方法について開示されている。しかし、この技術では、芯材の粒径が5.0×10−2mm以下の微粉末についてのみ開示されているが、芯材の粒径が5.0×10−2mm〜2mmの大きな粒子の場合において、開示されていない。また、芯材の体内の吸収性が改善されることについては、開示されていない。
【非特許文献1】日本大百科事典19巻252頁、同3巻389頁3巻、19巻(小学館)
【特許文献1】特開昭61−141862号公報
【特許文献2】特開平11−308985号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、芯材として粒径2mm以下の水溶性ビタミン類の体内吸収性を改善した二重被覆造粒物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記の二重被覆造粒物の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の問題点に対し鋭意検討した結果、水溶性ビタミン類の特定の粒径の二重被覆造粒物を得て、その体内吸収性改善効果が優れることの知見により、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、次の[1]〜[3]である。
[1] (A)芯材;ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸およびビオチンからなる粒径2mm以下の水溶性ビタミン類からなる群から選択される1種および2種以上と、
(B)第1被膜材料;ツェイン、グルテンからなるアルコール可溶性蛋白質、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼインナトリウムからなる増粘安定剤、および寒天、ジェランタンガム、カラギーナンからなるゲル化剤で常温において難水溶性を示す物質から選択される1種および2種以上と、
(C)第2被膜材料;融点40℃以上の硬化油と、
を必須成分とする二重被覆造粒物であって、かつ、
A成分の芯材にB成分の第1被膜材料が被覆されており、更にその最外層にC成分の第2被膜材料が被覆されていることを特徴とする二重被覆造粒物。
[2] 前記[1]の二重被覆造粒物の製造方法であって、次の工程I〜IIIを順次行なうことを特徴とする製造方法。
工程I;第1被膜材料の難水溶性物質を溶媒に溶解する。
工程II;A成分の芯材に、前記の難水溶性溶液を吹き付け、造粒して一次被覆造粒物を得る。
工程III;前記の一次被覆造粒物に、融点40℃以上の粉末油脂を接触・衝突させて、前記の一次被覆造粒物の表面に第2被覆材料の油脂を固着させる。
[3] 前記[1]の二重被覆造粒物の製造方法であって、次の工程I、II、IVを順次行なうことを特徴とする製造方法。
工程I;第1被膜材料の難水溶性物質を溶媒に溶解する。
工程II;A成分の芯材に、前記の難水溶性溶液を吹き付け、造粒して一次被覆造粒物を得る。
工程IV;前記の一次造粒物に、融点40℃以上の油脂を液状として噴霧し、その後冷却して前記の1次被覆造粒物の表面に第2被覆材料の油脂を固着させる。
[4] 前記の[1]記載の二重被覆造粒物を含む食品。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の二重被覆造粒物は、(A)芯材;ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸およびビオチンからなる粒径2mm以下の水溶性ビタミン類からなる群から選択される1種および2種以上、
(B)第1被膜材料;ツェイン、グルテンからなるアルコール可溶性蛋白質、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼインナトリウムからなる増粘安定剤、および寒天、ジェランタンガム、カラギーナンからなるゲル化剤で常温において難水溶性を示す物質から選択される1種および2種以上、
(C)第2被膜材料;融点40℃以上の硬化油、
からなる二重被覆造粒物であって、かつ、
A成分の芯材にB成分の第1被膜材料が被覆されており、更にその最外層にC成分の第2被膜材料が被覆されてなることを特徴とする。
【0006】
ここで、芯材となる水溶性ビタミン類としては、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、およびビオチンが挙げられる。ビタミンC等は、様々な粒径のものが市場に流出しているが、2mm以下のものが一般的であり、それより大きいものは入手が困難であり、食品として用いられることはほとんどない。また、粒径が2mmより大きいビタミンC等は非常に重く、流動層内において、良好な流動化状態を得にくいため、好ましくは、粒径2mmの芯材が取り扱い性や、入手性の点から好ましい。芯材の純度は、特に限定はされないが、高純度のものが望ましい。これらの水溶性ビタミン類は、1種単独で使用しても、2種以上を配合して使用してもよい。
【0007】
本発明に用いる第1被膜材料としては、ツェイン、グルテンからなるアルコール可溶性蛋白質、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼインナトリウムからなる増粘安定剤、および寒天、ジェランタンガム、カラギーナンからなるゲル化剤で常温において難水溶性を示す物質が挙げられる。好ましくは、アルコール可溶性蛋白質のツェインである。
食品として使用できる品質であれば、特に純度等は、限定されない。好ましくは、例えば、市販品として、「昭和ツェインDP」「昭和ツェインC」(昭和産業(株)製)、等が挙げられる。これらの第1被覆材料は、1種単独で使用しても、2種以上を配合して使用してもよい。
【0008】
本発明に用いる第2被膜材料としては、融点40℃以上の油脂であればよく、具体的には、それらの原料としては、牛脂、豚脂、魚油等の動物性油脂;ナタネ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、エゴマ油、ゴマ油、コメ油、アマニ油等の植物性油脂が挙げられ、これらの油脂を水素添加による硬化処理を行い、融点を40℃以上にしたものが使用できる。さらに、分別、エステル交換等の油脂加工を行なった精製脱臭油等のもので融点が40℃以上のものであってもかまわない。また、前記の融点40℃以上の油脂は、その使用する場合の形態として、液状、半固形状、固体状のいずれであってもよく、被覆方法により適宜選択することができる。好ましくは、ナタネ極度硬化油である。使用形態としては、取り扱い性から粉末固体状もしくは液状が好ましい。これらの第2被覆材料は、1種単独で使用しても、2種以上を配合して使用してもよい。
【0009】
本発明の二重被覆造粒物は、前記のA成分の芯材にB成分の第1被膜材料が被覆されており、更にその最外層にC成分の第2被膜材料が被覆されている。
造粒物中の芯材として使用される水溶性ビタミン類の量は、組成物全体に対して、5〜95重量%とし、好ましくは40〜80重量%とする。造粒物中の第1被膜材として使用される難水溶性物質の量は、組成物全体に対して、2〜95重量%とし、好ましくは10〜50重量%とする。第2被膜材として使用される油脂の量は、組成物全体に対して、2〜70重量%とし、好ましくは10〜40重量%とする。
【0010】
次に本発明の二重被覆造粒物の二通りの製造方法について示す。
本発明の第1の二重被覆造粒物の製造方法は、次の工程I〜IIIを順次行なうことを特徴とする製造方法である。
工程I;第1被膜材料の難水溶性物質を常温、もしくは加温しながら、撹拌して溶解する。この時用いる溶媒として、アルコール溶液、酢酸等の酸性溶液等が挙げられる。溶媒の使用量は、難水溶性材料が溶解すればよく、特に限定されないが、通常、難水溶性材料が5〜50重量%となるように調製したものを用いる。また、被膜性能向上のために可塑剤を用いることが望ましい。可塑剤として、中鎖トリグリセリド、グリセリン、遊離脂肪酸、蒸留酢酸モノグリセリド等が挙げられる。可塑剤の使用量は、通常、コーティング液中に0.1〜20重量%とし、好ましくは0.5〜10重量%とする。
工程II;A成分の芯材に、前記の難水溶性溶液を、ノズル、アトマイザー等の公知の噴霧器を用いて吹き付け、造粒して一次被覆造粒物を得る。
工程III;前記の一次被覆造粒物に、融点40℃以上の粉末油脂を接触・衝突させて、前記の一次被覆造粒物の表面に第2被覆材料の油脂を固着させる。
本発明の第2の二重被覆造粒物の製造方法は、上記の工程I、IIで得られた一次造粒物に、次の工程IVを順次行なうことを特徴とする製造方法である。
工程IV;工程I、IIで得られた一次造粒物に、融点40℃以上の油脂を加温して液状とし、ノズル、アトマイザー等の公知の噴霧器を用いて噴霧し、その後冷却して前記の一次被覆造粒物の表面に第2被覆材料の油脂を固着させる。
【0011】
前記の工程IIに使用する機械として、例えば、
(1)食品分野にて通常使用される流動層造粒機、
(2)流動層造粒機に撹拌羽を取り付けた撹拌型流動層造粒機、
(3)転動板を備えた転動型流動層造粒機、
(4)ワースター型流動層コーティング機等の流動層造粒機、
(5)粉末を撹拌し、その中にバインダーを添加して顆粒状にする撹拌型造粒機、
(6)粉末をバインダーと共に高圧で押し出す押出し造粒機、
等が挙げられる。これらの装置の中でも、(1)の流動層造粒機が好ましく挙げられる。
造粒条件は、特に限定されず、例えば、流動層造粒機を用いて行なう場合、公知の条件で行なうことができる。好ましくは、芯材を第1被膜材料で被覆造粒した造粒物が5.0×10−2mmを越えるように、さらに好ましくは0.1〜2.5mmとなるような条件で、且つ、芯材と第1被膜材料の配合割合を前記粒径となるように適宜決定して行なうのが望ましい。
【0012】
上記の工程IIで得られた一次被覆造粒物を、油脂により被覆する方法としては、特に限定されないが、前記の工程IIIである、一次被覆造粒物に融点40℃以上の硬化油粉末を接触・衝突させて一次被覆造粒物の表面全体に固着させて被覆する方法、
前記の工程IVである、一次被覆造粒物に流動層内で融点40℃以上の油脂を液状噴霧し、一次被覆造粒物の表面全体に被覆する方法が挙げられる。
【0013】
前記工程IIIに用いる硬化油粉末の粒径(直径)は、1.0×10−5mm〜5.0×10−1mm程度、特に1×10−4mm〜1.0×10−2mmが好ましい。一次被覆造粒物と硬化油粉末の混合比は、一次被覆造粒物の粒径と前記硬化油粉末の粒径比を考慮して適宜決定することができ、例えば、一次被覆造粒物:硬化油粉末が重量比で1:0.01〜5、特に1:0.05〜1の範囲から選択するのが好ましい。
前記の工程IIIにおいて、一次被覆造粒物と硬化油粉末の接触・衝突は、例えば、高能率粉体混合装置等の公知の粉体を衝突させる装置を用いて行なうことができる。接触・衝突の条件は、融点40℃以上の硬化油粉末が溶融しない40℃未満の温度において、接触・衝突により硬化油粉末の表面が溶け、一次被覆造粒物の外表面に溶着し固着する条件であれば特に限定されない。
【0014】
前記工程IVにおいて、一次被覆造粒物に流動層内で油脂を液状噴霧するには、例えば、撹拌機等により一次被覆造粒物を撹拌させておき、加温溶融した液状の油脂をノズル、アトマイザー等を使用して噴霧する公知の方法等で行なうことができる。
また、造粒後の冷却については、特に限定されないが、溶融した油脂が、冷却固化すればよく、冷風等により冷却することができる。
【0015】
造粒に際しては、必要に応じてバインダーを添加することもできる。バインダーとしては、デキストリン、乳糖、コーンスターチ、粉糖等の糖類;脱脂粉乳、大豆蛋白質等の蛋白質;セルロース粉等が挙げられ、その使用量は、公知の方法に基づいて適宜決定することができる。例えば、5重量〜90重量%が挙げられる。少量の水やアルコールを加えて溶解させながら造粒することが成形性の点から好ましい。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として、抗酸化剤や、着色料、香料等を配合してもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明の二重被覆造粒物は、難水溶性物質による一重被覆造粒し、さらにその表面に油脂による二重被覆することにより、芯材である水溶性ビタミン類の体内吸収性を改善し、水溶性ビタミン類の体内アベイラビリティーを向上することができる。そのため、水溶性ビタミン類の過剰投与、または複数回に分けて投与することなく、一日の所要量を効率よく摂取することができる。また、芯材の粒径が1〜2mmのような比較的粗大な粒子でも、5.0×10−3〜1mmのような小さい粒子であっても高い体内吸収性改善効果を示す。したがって、これらの二重被覆造粒物を含む食品は吸収性が優れた食品である。
【0017】
【実施例】
以下実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。次に用いた試験方法を示す。
1.造粒物の形状・粒径の測定方法;
2.ビタミンB2の造粒物を経口摂取する方法;
レーザー回折式粒度分布測定機「SALD−2100」((株)島津製作所)を用いて測定する。
下記の実施例の二重被覆造粒物、比較例の造粒物を試料とし、30〜60才男性を3人に対してリボフラビン量として60mgに相当する二重被覆造粒物を経口投与する。
3.血液中のビタミンB2の測定方法;
二重被覆造粒物を経口投与する直前およびその後、1、3、6、24時間後に静脈から血液を採取し、その血中リボフラビン含量を液体クロマトグラフィー(HPLC)の方法により測定する。
4.造粒物の物性の溶解性試験;
第14改正日本薬局方一般試験溶出試験(パドル法)(廣川書店)の方法により測定した。
試料の造粒物を用いて、37℃での温水に溶解する量を調べる。
【0018】
実施例1−1
リボフラビン(第一ファインケミカル(株)製、平均粒径 mm)500gを結晶セルロース100g、デキストリン50gと共に流動層造粒機(商品名「フローコーターミニ」、フロイント産業(株)製)に仕込み、ツェイン112.5g(商品名「昭和ツェインDP」昭和産業(株)製)を70%アルコール溶液750gに溶解して噴霧し、造粒した。造粒条件は、給気温度を70℃、製品温度を35℃となるように給気量、送液量を調整した。次いで、得られた造粒物を320g用い、平均粒径3×10−3mmのナタネ極度硬化油微粉末80gを添加し、撹拌型造粒機(商品名「OMD−3型」奈良機械(株)製)にて、機内温度25℃、窒素ガス封入下で主軸回転数1000rpm、副軸回転数2000rpmの条件で、20分間撹拌して二重被覆造粒物を得た。得られた造粒物の粒径は、1.1mm、収率は92%であった。
実施例1−2
前記の二重被覆造粒物(VB2MC品)を用い、前記の方法で被試験者男性3人に、リボフラビン量として60mgに相当する二重被覆造粒物を経口投与し、投与前、および所定時間後に血液を採取し、その中のリボフラビン含量を測定した。
【0019】
比較例1;ブランク試験
その後1週間あけ、同被験者にリボフラビン原末(VB2原末)を60mg経口投与し、同様に血液を採取し、その中のリボフラビン含量を測定した。
この結果、二重被覆造粒物投与群は、原末投与群と比較して、リボフラビン吸収量(AUC値)が2.4倍増加した。結果を表1、図1および2に示す。図1の血中濃度の単位はng/mlである。図1は非試験者3名の二重被覆造粒物および原末の投与前およびその後の経過に対する、血中のビタミンB2の濃度を示す。また図2は、初期値に対する経過時間に従う増加量による吸収量の比較を示す図である。その結果より、同じ経口摂取量に対して原末のリボフラビンの血中増加量比べて、本発明の二重被覆造粒物を摂取した場合に血中増加量が2.4倍量が多くなっていることが分かる。
【0020】
試験例1
実施例1−1で作製した二重被覆造粒物と、原末の試料を用いて、前記の溶解性試験の方法に基づいて、試験を行なった。その結果を表2および図3に示す。原末と比較して、二重被覆造粒物は、ゆっくり溶解することが分かる。したがって、吸収の過程において、原末の場合ではリボフラビンが局在化し、吸収許容量を超えた量は排出されてしまうが、本発明の二重被覆造粒物では、溶解性を調製することにより、吸収許容量の範囲で長時間維持し効率よく吸収できる。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の二重被覆造粒物(VB2MC品)と、ブランクの原末(VB2減末)を摂取した場合のリボフラビンの血中量の測定結果(経過時間に対する)を示す。
【図2】図2は、実施例1の二重被覆造粒物と、ブランクの原末を摂取した場合のリボフラビンの測定結果(血中量の増加量)を示す。
【図3】図3は、実施例1、ブランクのリボフラビン原末の溶解性の試験結果を示す。
Claims (4)
- (A)芯材;ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸およびビオチンからなる粒径2mm以下の水溶性ビタミン類からなる群から選択される1種および2種以上と、
(B)第1被膜材料;ツェイン、グルテンからなるアルコール可溶性蛋白質、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、カゼインナトリウムからなる増粘安定剤、および寒天、ジェランタンガム、カラギーナンからなるゲル化剤で常温において難水溶性を示す物質から選択される1種および2種以上と、
(C)第2被膜材料;融点40℃以上の硬化油と、
を必須成分とする二重被覆造粒物であって、かつ、A成分の芯材にB成分の第1被膜材料が被覆されており、更にその最外層にC成分の第2被膜材料が被覆されてなる、体内吸収性を改善することを特徴とする二重被覆造粒物。 - 前記の請求項1の二重被覆造粒物の製造方法であって、次の工程I〜IIIを順次行なうことを特徴とする製造方法。
工程I;第一被膜材料の難水溶性物質を溶媒に溶解する。
工程II;A成分の芯材に、前記の難水溶性溶液を吹き付け、造粒して一次被覆造粒物を得る。
工程III;前記の一次被覆造粒物に、融点40℃以上の粉末油脂を接触・衝突させて、前記の一次被覆造粒物の表面に第2被膜材料の油脂を固着させる。 - 前記の請求項1の二重被覆造粒物の製造方法であって、次の工程I、IIおよびIVを順次行なうことを特徴とする製造方法。
工程I;第一被膜材料の難水溶性物質を溶媒に溶解する。
工程II;A成分の芯材に、前記の難水溶性溶液を吹き付け、造粒して一次被覆造粒物を得る。
工程IV;前記の一次造粒物に、融点40℃以上の油脂を液状として噴霧し、その後冷却して前記の一次被覆造粒物の表面に第2被膜材料の油脂を固着させる。 - 請求項1記載の二重被覆造粒物を含む食品。
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