JP5991573B2 - 被覆粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、粉粒体の被覆において、被覆層の膜厚均一性を向上させ、長時間の徐放性を付与した被覆粒子に関する。
食品、飼料、医薬品、医薬部外品、化粧品などの各分野において、原材料として用いられる粉粒体は、外気や水分、又は相互に接触することによる劣化を防止するために、あるいは流動性の改善、徐放性、マスキング性、溶出防止性、耐酸性などを付与するために、粉粒体を何らかの被膜剤で被覆することが広く行われている。
例えば、食品、飼料、医薬品等の場合、難水溶性又は水に不溶性の被膜剤で粉粒体を被覆することで、粉粒体に消化管内での徐放性を付与することができる。核となる粉粒体が生理活性成分である場合、徐放性の付与により腸内で徐々に溶出させることで生体利用性の向上が期待される。
ここで、徐放性とは「成分を徐々に放出させる性質」の意である。生理活性成分に徐放性がなく摂取後即座に溶解する場合、消化管内での生理活性成分濃度は摂取直後に急上昇した後に短時間で減少し、通常のレベルに戻ってしまう。一方で生理活性成分に徐放性を付与した場合には、生理活性成分が徐々に溶解し、生理活性成分濃度はある一定範囲の濃度を長時間維持することができる。胃及び腸管内での時間あたりの成分の吸収速度には限界があるため、摂取された成分量が同じでも、徐放性を有していた方が吸収される生理活性成分総量は多くなる。
摂取された成分の吸収のほとんどは腸管においてなされる。通常、胃内容物の腸管への移送は食後10分頃から開始し、3〜6時間で十二指腸への移送が完了する。生理活性成分の中には胃酸によるダメージを受けるものあるが、そうした生理活性成分をダメージの少ない状態で腸に移送させ吸収効率を向上させるために、長時間の徐放性が必要となる場合がある。
また、摂取から排泄までに要する時間は24〜36時間程度とされている。このため、生理活性成分の徐放性が長時間にわたりすぎると溶出しきらないままに排泄されてしまう可能性もあるため、完全溶出に要する時間は12〜24時間程度が望ましいと考えられる。
粉粒体の被覆技術として、溶融した油脂又は粉末状の油脂で核粒子を被覆する方法や、ゼイン等の含水アルコール可溶タンパク質で粉粒体を造粒被覆する方法(特許文献1)などが知られている。
これらの技術は油脂あるいは難水溶性物質等で核となる粉粒体を造粒被覆することで、核粒子の口腔内あるいは消化管内での溶出を抑制し、不快な味のマスキング効果や徐放性を付与することを目的としている。
上述の従来技術は、核となる粉粒体が造粒されながら被覆される工程を有しているため、被覆粒子の膜厚が部位によって異なり、また空隙の多いポーラスで不均一な被覆粒子となる。
これらの被覆粒子が生体内に摂取された場合、被覆粒子周辺の水分により膜厚の薄い部分あるいは空隙周辺部から早期に溶解する。この薄膜部・空隙周辺部の溶解が引き金となり、被覆粒子全体が早期に溶出してしまい、長時間の徐放性付与が困難である。
このため、従来技術では生理活性成分の効果を継続して発揮させたい場合、一日の間で複数回に分けた摂取が必要となり、摂取者にとって負担となる。
また、生理活性成分の中には酸性条件下で変質・劣化するものもあり、これらの生理活性成分の従来技術による被覆では、胃内で早期に溶解することで腸に移送される前に変質・劣化してしまい、当該生理活性効果を十分に発揮させることは困難であった。
ステアリン酸カルシウムは、錠剤打錠時の離型目的で滑沢剤として汎用されるものであり、また、錠剤のフィルムコートや糖衣工程時の錠剤同士の付着・合一防止目的でも使用される(特許文献2)。しかし、より小さな粒径の被覆粒子の被覆層に合一防止目的で含有させる技術は報告されていない。
上述のステアリン酸カルシウムによる錠剤打錠時の離型作用は、ステアリン酸カルシウム自体の物質同士の結合・付着を妨げる作用によるものであるが、本願発明におけるような粒子の被覆層にステアリン酸カルシウムを配合した場合、被覆層中の物質の結合・付着が妨げられ、被覆層の強度が低下するおそれがある。このため、従来はステアリン酸カルシウムの添加により被覆粒子同士の付着・合一防止と被覆層の強度維持を両立することができなかった。
特許文献1には、ゼイン等の含水アルコール可溶性タンパク質による、造粒物の被覆技術が開示されていて、被膜溶液中の、可溶性タンパク質の均一溶解分散性を高めるために、グリセリン脂肪酸エステル等の可塑剤を用いる技術が記載されている。可塑剤は、被膜の柔軟性や被膜強度を向上させる目的で被膜溶液に添加されるものでもあるが、粒子同士の付着抑制を目的として使用されるものではない。特許文献1では、元来が核粒子を造粒させながら被覆する技術のため、粒子同士の付着・合一は大きな問題とならない。しかし、粒子同士の付着・合一が起こってしまうと、工程中の解砕やそれに伴う被膜のはがれにより被覆層の膜厚均一性が損なわれてしまうため、特許文献1のようなグリセリン脂肪酸エステル等の可塑剤の添加によっては、膜厚均一性を向上させ、長時間の徐放性を付与するという本願発明の目的は達成できなかった。
特許文献3には、ゼイン又はセラックを溶解した、粒状菓子類のためのコーティング剤の組成が記載され、そのうちの比較例として、中鎖脂肪酸やグリセリン脂肪酸エステルを添加した例が示されている。当該コーティング剤の使用によって、被覆工程中の菓子粒子同士の付着がある程度抑制されることは示されているが、本願発明におけるような粒径の小さな被覆粒子の場合、粒子同士の付着力が強く、特許文献3と同様の方法では粒子同士の付着を防止することはできない。
特開平6−24963号公報 特開2008−24702号公報 特開平10−108630号公報
本発明が解決しようとする課題は、被覆層の膜厚均一性を一定水準以上にすることで、被覆層の不均一な溶解・崩壊を防止し、長時間の徐放性を有した被覆粒子を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、被膜溶液に炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロール及びステアリン酸カルシウムを含有させることが被膜の膜厚均一性向上に大きく寄与することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)メディアン径50〜5000μmの核粒子を、難水溶性被覆層全量に対し、1〜30質量の、炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロール、及び、1〜30質量のステアリン酸カルシウムを含有する難水溶性被覆層で被覆してなる、被覆粒子。
(2)以下に定義する、被覆層の膜厚均一係数が0.2以下である、(1)に記載の被覆粒子。

膜厚均一係数
被覆された1粒子を、長径を通りかつ長径と平行面で割断し、割断面の長径に平行かつ重心点を通る直線A、直線Aと直交する直線B、直線Aと45°に交わる直線C、D、それぞれが通る8点の膜厚の変動係数を測定・算出し、5つの粒子の変動係数の平均を膜厚均一係数と定義する。
(3)さらに、水溶性被覆層を有する、(1)又は(2)に記載の被覆粒子。
(4)難水溶性被覆層の外層に水溶性被覆層があり、さらにその外層に難水溶性被覆層を有する、(3)に記載の被覆粒子。
本発明により得られる被覆粒子は、膜厚が均一であるために薄膜部・空隙部からの早期溶出・崩壊を防止することができる。すなわち、被覆層の膜厚均一性を保持させた上で被覆層の膜厚を調整することで、被覆粒子に所望の長時間の徐放性を付与することができる。
この長時間の徐放性により、生体への吸収効率を向上させ、製剤の1日あたりの摂取回数を減らすことができる。
また、酸性条件で変質・劣化してしまう生理活性成分であっても、胃内滞留中の酸性条件での変質・劣化を抑制し、腸に移送後に吸収させることができる。
本発明においては、メディアン径50〜5000μmの粒径を有する核粒子を用いる。
平均粒径が50μmより小さい微粉を核粒子とした場合、粒径が小さすぎて良好な被覆粒子とすることができない。また、粒径が5000μmを越えると粉粒体は、工程中に荷重により欠損が生じてしまうため、良好な被覆粒子を得ることができない。核粒子の粒径は、好ましくは100〜2000μm、より好ましくは150〜1000μmである。
核粒子の粒度の測定は、粒径1000μm未満の場合レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて行い、粒径1000μm以上の場合篩い分け法を用いて行う。
核粒子は、被覆粒子全体の形態の基礎となるものであり、生理活性成分の有無を問わない。
核粒子を構成する成分としては、製剤用の素材として通常に使用される各種担体物質であればいずれでも良く、例えば、還元パラチノース、セルロース、スクロースなどが例示される。
本発明の被覆粒子は、核粒子上に難水溶性層からなる被覆層、又は難水溶性層と水溶性層との繰り返しからなる複数層を有するものである。
本発明における難水溶性被覆層は、常温で難水溶性あるいは水に不溶な、食品のコーティングに用いられる成分を含んでいれば良い。この例としてゼイン、シェラック、グルテン、硬化油脂、脂肪酸金属塩、などが挙げられるが、膜厚均一性を向上させる観点からゼインを用いるのがより好ましい。
ゼインはトウモロコシタンパクの主要成分であり、難水溶性かつ含水アルコール可溶という性質を持つ。溶液濃度を高くできる、良好なフィルム性を持つ、といった理由から、上述のコーティング基材の中でも均一な膜形成に適しているといえる。
ゼインを含水アルコールに溶解する場合、50〜95w/w%、好ましくは60〜80w/w%の含水エタノールに溶解するのが適している。エタノール濃度が高すぎても低すぎてもゼインは溶解しないため、不適である。
難水溶性被覆層は被覆粒子に徐放性を付与する機能を担っており、生理活性成分を含有していても含有していなくても良い。
難水溶性被覆層の合計膜厚は、好ましくは10μm〜500μm、より好ましくは15μm〜100μmである。薄すぎると長時間溶出の効果が得らなかったり、厚すぎると人体に摂取した場合に被覆粒子中に含有させた生理活性成分が有効に溶出する前に体外に排泄されてしまったりするおそれがある。
本発明における水溶性被覆層は、水溶性被膜剤を含んでいれば良く、水溶性被膜剤としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、プルラン、キサンタンガム、寒天、カードラン、カラギーナン、アラビアガム、グアーガム、ジェランガム、ペクチン又はアルギン酸ナトリウムなどが挙げられ、なかでもヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
水溶性被覆層には、種々の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、水溶性色素やグリセリン、アシルグリセロールなどの可塑剤、その他一般に被膜形成に用いられる添加剤を挙げることができる。
水溶性被覆層には、水溶性あるいは水分散性の生理活性成分を含有させることが好ましく、生体内において生理活性成分を放出させる機能を担う。
核粒子、難水溶性被覆層、水溶性被覆層に配合可能な生理活性成分としては、例えばチアミン、リボラビン、ピリドキシン、シアノコバラミン、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチンといった水溶性ビタミン及びこれらの誘導体、アミノ酸、ラクトフェリン、クエン酸、L-カルニチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、プロポリス、α-リポ酸、CoQ10、植物抽出物などを挙げることができる。
核粒子・水溶性被覆層・難水溶性被覆層の上述の機能から、本発明の実施形態としては、以下が可能である。
(1)核粒子−難水溶性被覆層(単層)
(2)核粒子−難水溶性被覆層(複層)
(3)核粒子−水溶性被覆層及び/又は難水溶性被覆層(複層)
(1)〜(3)のいずれにおいても、核粒子及び/又は被覆層中に生理活性成分を含有させることができる。また、当該生理活性成分に徐放性を付与するため、難水溶性被覆層で被覆することが必須である。
好適な実施形態としては、生理活性成分を含有しない核粒子の周囲内層から順に、(a)生理活性成分を含有した水溶性被覆層、(b)難水溶性被覆層、(c)生理活性成分を含有した被覆層、(d)難水溶性被覆層を被覆した徐放性被覆粒子が挙げられる。
別の好適な実施形態としては、生理活性成分を含有した核粒子の周囲内層から順に、(a)難水溶性被覆層、(b)生理活性成分を含有した水溶性被覆層、(c)難水溶性被覆層を被覆した徐放性被覆粒子が挙げられる。
被覆層の数は、上記好適な実施形態に限られず、さらに複層を重ねることも可能である。
難水溶性被覆層に含有される炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロールは、例えば、カプリル酸(炭素鎖長8)、カプリン酸(炭素鎖長10)、ラウリン酸(炭素鎖長12)などの脂肪酸と、グリセリンのエステルである、中鎖脂肪酸トリグリセリドが挙げられる。
グリセリンには、エステル結合に寄与し得るヒドロキシル基が3つあることから、脂肪酸の種類及び結合部位により種々のアシルグリセロールが存在する。本発明における炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロールは、この脂肪酸の結合部位を限定するものではない。
炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを、本発明における難水溶性被膜に配合することで、被膜の柔軟性・付着性を向上させ、工程中の被膜のはがれを防止し、膜厚の均一な被膜を形成させることができる。
炭素鎖長14以上の長鎖脂肪酸を有するトリアシルグリセロールは、融点が高く、また粘度も高いために被膜の付着性が高くなりすぎ、粒子の合一が起こりやすく、本発明の難水溶性被膜に含有させるには不適である。
ステアリン酸カルシウムは、食品添加物公定書あるいは日本薬局方に記載の基準を満たすものであれば良く、ステアリン酸(炭素鎖長18の脂肪酸)及びパルミチン酸(炭素鎖長16の脂肪酸)を主成分とする高級脂肪酸のカルシウム塩混合物であっても良い。
ステアリン酸カルシウムを本発明における難水溶性被膜に配合することで、工程中の粒子の合一を防止し、被膜の膜厚均一性を向上させることができる。
難水溶性被覆層中の、炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロールの含有量は、難水溶性被覆層全量に対し1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%であり、1質量%より少ないと、膜のはがれを防止する効果が得られず、30質量%より多いと、膜の強度を損ねる傾向となるため好ましくない。
難水溶性被覆層中の、ステアリン酸カルシウムの含有量は、難水溶性被覆層全量に対し1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、1質量%より少ないと、工程中の粒子の合一を防止する効果が得られず、30質量%より多いと、膜の付着性及び強度を損ねる傾向となるため好ましくない。
本発明において膜厚均一係数とは、膜厚のばらつきを示す指標であり、測定方法は以下のとおりである。
被覆された1粒子を、2片に割断する。割断方法はカミソリ刃を用いても良く、粒径が小さい場合には樹脂への包埋後にミクロトームを用いても良い。電子顕微鏡観察により割断面の長径に平行かつ割断面の重心を通る直線A、直線Aと直交し、割断面の重心を通る直線B、直線A・Bの交点を通り、かつ直線Aと45°に交わる直線C・Dを規定する。直線A・B・C・Dそれぞれが膜と交わる8点の膜厚の標準偏差を測定・算出し、得られた標準偏差を8点の膜厚の平均値で除して変動係数を算出する。膜厚の変動係数の算出法は以下のとおりである。
Figure 0005991573
得られた変動係数について、5つの粒子の平均を、膜厚均一係数と定義する。
被覆層の被覆が均一になされた被覆粒子は、膜厚均一係数が0.2以下となる。しかし、2粒子以上が合一及び荷重による剥離を繰り返した粒子では、一部の膜厚が極端に薄くあるいは厚くなり、膜圧均一係数は上昇する。こうして膜厚が不均一となった被覆粒子では、膜の一部が早期に溶解してしまい、期待された徐放性を発揮することができない。
本発明で用いられる被覆方法は、通常の流動層造粒機によるもので良く、装置下部からの送風により、流動層を形成している粉粒体に対して被覆液をスプレー噴霧することで、粉粒体周囲に被膜物質を含む被覆液を付着させ、同時に装置下部からの送風により乾燥させることで、被覆層を形成させるものである。スプレー方式としては、トップスプレー、サイドスプレー、タンジェンシャルスプレーなど、いずれでも良い。
ここで流動層とは、粉粒体が装置下部からの均一な送風による浮遊と重力による落下が釣り合い、ある一定範囲の高さで動き回る状態のことを指す。
膜厚均一性の向上のためには、被膜の柔軟性・展延性を向上させるとともに、粒子同士の凝集を防ぐ必要がある。
すなわち、被膜物質はスプレーされて芯物質に付着後、完全に固定化されるのではなく、粒子同士や装置壁への衝突や転動により展延され、より密な被膜となる。この際に被膜物質に柔軟性・展延性が欠けていると、被膜の展延が起こらず、荷重により被膜が剥がれ落ちてしまう。
また、被覆工程で粒子同士の凝集が起こると、一度凝集した粒子が粒子同士又は装置壁への衝突荷重により崩れる際に被膜の剥離をともなってしまい、均一な膜厚を保持することができない。
本発明では、難水溶性被覆層に炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するアシルグリセロールを0.1〜30質量部、及びステアリン酸カルシウムを0.1〜30質量部を同時に含有させることで、被膜物質の展延性の向上・凝集抑制の効果を及ぼし、膜厚の均一性向上に寄与する。
本発明の被覆粒子は、生理活性成分の持続的な放出を必要とする、食品、飼料、医薬品、医薬部外品、動物薬、化粧品などの各分野において、被覆粒子をそのまま、あるいは各種製剤に加工して利用することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
以下の記載において、%は特に断らない限り質量基準である。
[実施例1]
パラチニット(還元パラチノース:三井製糖(株)製、粒径16〜22メッシュ)600gを流動層造粒機(フロイント産業(株)製、スパイラフロー)に仕込み、被覆液Aを145g噴霧し、被覆した。その後、被覆液Bを363.2g、被覆液Aを145g、被覆液Bを363.2gの順に噴霧し、被覆した。
被覆液Aの組成は、リボフラビンリン酸エステルNa 4%、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名「セルニーL」日本曹達(株)製)2%、水94%、である。
被覆液Bの組成は、ゼイン(商品名「小林ツェインDP」小林香料(株)製)13.5%、中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「パナセート810」日油(株)製、脂肪酸組成:カプリル酸(炭素鎖長8)85%、カプリン酸(炭素鎖長10)15%)1%、ステアリン酸カルシウム(日油(株)製)0.5%、70%エタノール85%、である。
被覆粒子全体の組成、及び各被覆層の組成を表1に記した。
[比較例1]
被覆液Bの組成を、ゼイン(商品名「小林ツェインDP」小林香料(株)製)14%、中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「パナセート810」日油(株)製)1%、70%エタノール85%、とした以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
被覆粒子全体の組成、及び各被覆層の組成を表1に記した。
[比較例2]
被覆液Bの組成を、ゼイン(商品名「小林ツェインDP」小林香料(株)製)10%、中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名「パナセート810」日油(株)製)5%、70%エタノール85%、とした以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
被覆粒子全体の組成、及び各被覆層の組成を表1に記した。
[比較例3]
被覆液Bの組成を、ゼイン(商品名「小林ツェインDP」小林香料(株)製)14.5%、ステアリン酸カルシウム(日油(株)製)0.5%、70%エタノール85%、とした以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
被覆粒子全体の組成、及び各被覆層の組成を表2に記した。
[比較例4]
被覆液Bの組成を、ゼイン(商品名「小林ツェインDP」小林香料(株)製)10%、ステアリン酸カルシウム(日油(株)製)5%、70%エタノール85%、とした以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
被覆粒子全体の組成、及び各被覆層の組成を表2に記した。
[比較例5]
被覆液Bの組成を、ゼイン(商品名「小林ツェインDP」小林香料(株)製)15%、70%エタノール85%、とした以外は、実施例1と同様にして被覆粒子を得た。
被覆粒子全体の組成、及び各被覆層の組成を表2に記した。
[比較例6]
リボフラビンリン酸エステルNa 2.7%、及びデンプン(商品名「パインフロー」松谷化学工業(株)製)97.3%の混合粉末600gを、流動層造粒機(フロイント産業(株)製、スパイラフロー)に仕込み、被覆液705.9g(ゼイン(商品名「小林ツェインDP」小林香料(株)製)15%、70%エタノール85%)を噴霧し、被覆した。
被覆粒子全体の組成を表3に記した。
[膜厚均一係数]
実施例1及び比較例1〜6で得られた被覆顆粒について、粒子を、目視下でカミソリ刃で割断し、電子顕微鏡観察により割断面の長径に平行かつ割断面の重心を通る直線A、直線Aと直交し、割断面の重心を通る直線B、直線A・Bの交点を通り、かつ直線Aと45°に交わる直線C・Dを規定する。直線A・B・C・Dそれぞれが膜と交わる8点の膜厚の変動係数を測定・算出した。5粒子について得られた膜厚の変動係数をもとに、膜厚均一係数を算出した。各粒子の膜厚測定値、膜厚平均値、標準偏差、膜厚の変動係数、膜厚均一係数、平均膜厚について表4・5に記載した。
[平均膜厚]
上記[膜厚均一係数]で測定した8点、5つの粒子についての膜厚の平均とした。
[溶出性試験]
実施例1及び比較例1〜6で得られた被覆顆粒について、日本薬局方溶出試験法に基づき、以下の条件で溶出試験を行った。
溶出液: 日本薬局方崩壊試験法第二液(pH6.8)
試験方法: 日本薬局方溶出試験法パドル法
回転数: 100rpm
温度: 37℃
試験サンプル: リボフラビンリン酸エステルNaとして30mg相当量
測定方法: 自動溶出試験機(波長266nmによる吸光度測定)
Figure 0005991573
Figure 0005991573
Figure 0005991573
Figure 0005991573
Figure 0005991573
表4より、難水溶性被覆層に、炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロール及びステアリン酸カルシウムを含有させた実施例1では、膜厚が均一であり良好な溶出性能を有する被覆顆粒が得られたことがわかる。溶出試験3時間経過時点及び12時間経過時点でも完全溶出しておらず、長時間の徐放性を有することがわかる。
比較例1では、難水溶性被覆層にステアリン酸カルシウムを含有していない。平均膜厚は実施例1とほぼ同じであるが膜厚均一係数は0.29と高めであり、不均一な被覆層を有しており、長時間の徐放性は実施例1に比べ劣っている。
比較例2では、難水溶性被覆層にステアリン酸カルシウムを含有せず、トリアシルグリセロールを33.3%含有しているが、ステアリン酸カルシウムを含有せず、多すぎるトリアシルグリセロールを含有することにより、被覆層が不均一かつ脆弱となり、長時間の徐放性を有していない。
表5より、難水溶性被覆層に、ステアリン酸カルシウムを33.33%含有し、炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを含有しない比較例3では、被覆層の展延性・柔軟性が低く不均一な被覆層となり、長時間の徐放性を有していない。
比較例4では、難水溶性被覆層に、炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロールを33.3%含有しているが、多すぎるアシルグリセロールにより工程中での被覆粒子相互の付着・合一と解砕が多く見られ、不均一な被覆層となり長時間の徐放性を有していない。
比較例5では、難水溶性被覆層中に、炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロール及びステアリン酸カルシウム両方を含有していないが、被覆層の展延性・柔軟性が低く、また粒子の付着・合一と解砕による不均一な被覆層となり、長時間の徐放性を有していない。
表3の、従来技術による比較例6では、溶出試験3時間経過時点で、すでに完全溶出してしまっており、長時間の徐放性を有していない。

Claims (4)

  1. メディアン径50〜5000μmの核粒子を、難水溶性被覆層全量に対し、1〜30質量の、炭素鎖長8〜12の脂肪酸を有するトリアシルグリセロール、及び、1〜30質量のステアリン酸カルシウムを含有する難水溶性被覆層で被覆してなる、被覆粒子。
  2. 以下に定義する、被覆層の膜厚均一係数が0.2以下である、請求項1に記載の被覆粒子。

    膜厚均一係数
    被覆された1粒子を、長径を通りかつ長径と平行面で割断し、割断面の長径に平行かつ重心点を通る直線A、直線Aと直交する直線B、直線Aと45°に交わる直線C、D、それぞれが通る8点の膜厚の変動係数を測定・算出し、5つの粒子の変動係数の平均を膜厚均一係数と定義する。
  3. さらに、水溶性被覆層を有する、請求項1又は2に記載の被覆粒子。
  4. 難水溶性被覆層の外層に水溶性被覆層があり、さらにその外層に難水溶性被覆層を有する、請求項3に記載の被覆粒子。
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