JP2023049298A - 圧縮成形用粉末混合物および圧縮成形物 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形障害が発生しない圧縮成形用粉末混合物および該混合物を圧縮成形して得られる崩壊性と徐放性に優れる圧縮成形物を提供することにある。【解決手段】二重被覆粒子および炭水化物(D)を含む圧縮成形用粉末混合物であって、二重被覆粒子が、芯物質(A)、該芯物質(A)の粉末表面を被覆した一次被覆材(B)および該一次被覆材(B)の表面を被覆した二次被覆材(C)の構成を含み、該(A)が水溶性物質の粉末であり、該(B)が難水溶性物質であり、該(C)が融点40℃~90℃の食用油脂であり、ならびに、該炭水化物(D)が糖アルコール、単糖が三つ以上結合した糖質、食物繊維からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の炭水化物である、ことを特徴とする圧縮成形用粉末混合物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、圧縮成形時に成形障害が発生しない圧縮成形用粉末混合物、および該混合物を圧縮成形して得られる崩壊性と徐放性が優れた圧縮成形物に関する。
一般的に健康食品は法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指す。東京オリンピック開催を経た健康増進への意識醸成や、新型ウィルス感染症拡大を経た体調管理の重要性の認識拡大により、健康への関心はますます高まり、健康食品の需要は今後も大きくなっていく。
健康食品は、錠剤とも呼ばれる打錠品以外に、ハードカプセル、ソフトカプセル、顆粒、ドリンク、ゼリーなど様々な形態を含む。打錠品は、元来医薬品の一形態であったが、2001年「医薬品の範囲に関する基準」の改正後にハード・ソフトカプセルとともに食品での形態として急速に普及した。打錠品は、消費者の取り扱いが容易なため、顆粒やカプセルよりも広く普及し、最も重要な形態のひとつとなっている。打錠品は粉体を圧縮成形して作られる。打錠品の配合原料は、有効成分以外に賦形剤や滑沢剤、崩壊剤など様々な添加剤が用いられる。食品の有効成分は、医薬品の有効成分と比較して、生理機能を発揮するために摂取量が多いことが多く、有効成分を高含有化すると、相対的に配合できる添加剤の量が少なくならざるを得ない。また、食品として選択できる添加剤は、医薬品よりも限定されるため、設計のハードルは高く、打錠品中の有効成分の高含有化と圧縮成形性の品質のバランスが課題となってくる。
健康食品の製品ラインナップが増えてくると、消費者はより高機能な健康食品を求めるようになっている。各社は、高機能により差別化を図る必要がでてきている。差別化のポイントとして、生理機能効果の高い有効成分を配合するだけでなく、飲み込みやすさ、少ない粒数摂取を可能とする有効成分が高含有されてる等が挙げられるが、有効成分をいかに効率よく生体に届けるかも重要視される差別化のポイントになっている。
例えば、乳酸菌などの生菌を生きたまま腸に届ける機能であったり、有効成分の生体吸収をより効率的に行ったりすることが具体的な例として挙げられる。
生体吸収性は、医薬品においては評価すべき重要な品質であるが、機能の差別化が求められる健康食品の技術開発においては、医薬品レベルの品質が求められるようになっている。
有効成分の生体吸収が適正に行われるためには、摂取後に消化管内で打錠品が適切に崩壊する必要がある。従来は、医薬品は、日本薬局方に記載された崩壊試験により崩壊時間の規格が設定されている。それに準じて、健康食品においても、業界団体である公益財団法人日本健康・栄養食品協会が2019年8月2日にGMP認定工場に対して崩壊試験の義務化を決定した。このように業界団体は、生体吸収性を重要視し、その一つの評価項目として崩壊性を挙げている。健康食品は、医薬品に倣った製剤設計が求められる傾向にあり、少なくとも崩壊性など生体吸収性を考慮した製剤設計がこれまで以上に求められている。
圧縮成形物が、消化管内の吸収部位よりも下流で崩壊したり、崩壊されずに生体から放出されると、有効成分が生体に吸収されなくなるため、適切に崩壊することが重要である。
健康食品の有効成分の生体利用をより効率にする他の要因としては、徐放性が挙げられる。水溶性ビタミンなどの水溶性有効成分は、消化管からの吸収量に上限があったり、吸収されても体内濃度が上限を超えたりすると、代謝など体内で利用される前に体外に排出されてしまう場合があり、一度に多量摂取しても一定量以上になると生体利用率が低下する。一方で、消費者にとって摂取回数はなるべく少なくしたいため、有効成分を打錠品に高濃度に配合し、一度の摂取量を増やして、長時間生理効果を持続させたいニーズがある。このような場合、生体吸収を徐放化することで生体利用率を高める手法がある。この具体的な方法として、打錠品自体を崩壊させにくくすることで有効成分の放出を徐放化することや、打錠品自体をフィルムコーティングや糖衣コーティングすることで徐放性を持たせる方法が知られている。
これまで良好な崩壊性や徐放性をもつ打錠品を提供するために様々な工夫がなされてきた。例えば、圧縮成形物の表面全体を水になじみにくい物質で被覆することで徐放性を付与する方法が知られている。しかし、この方法では水溶性有効成分の生体利用性を上げることはできるが、圧縮成形物の崩壊性が遅延してしまうため、水溶性有効成分以外の生体利用性が低くなってしまう。
また、苦味などの好ましくない味をマスキングするなどの目的で、水溶性有効成分の粒子をコーティングすることによって徐放性が付与される場合もあるが、崩壊性に影響を及ぼし崩壊しにくくなってしまったり、圧縮成形物を成形することが難しくなったりする場合が多い。
特許文献1には、崩壊遅延抑制被覆粉末に関する技術が開示されている。
特許文献2には、医薬成分であるラコサミドの徐放性製剤に関する技術が開示されている。
非特許文献1には、特定のコーティング剤とゲル化剤の組み合わせにより、徐放性を制御する「食品デリバリーシステム」に関する技術が開示されている。
特開2019-119675号公報 特開2017-31206号公報
食品機能を最大に発揮する製剤を目指した「B-ReC(ビーレック)錠」機能性研究レポート,FOODSTYLE21(食品化学新聞社),23, 27-29(2019)
崩壊性と徐放性はいずれも生体利用率を高めるための加工技術であるが、両立させることは容易ではない。特に、食品では、有効成分を高配合する必要があり、添加物を配合できる量や種類に制限があるので、両立が困難である。
以上のように、良好な崩壊性を有しながら、一度に多量摂取すると生体利用性が充分でなくなってしまう性質をもつ有効成分に徐放性を付与した打錠品が求められていた。
本発明は、成形障害が発生しない圧縮成形用粉末混合物および該混合物を圧縮成形して得られる崩壊性と徐放性に優れた圧縮成形物、特に食品用途の圧縮成形用粉末混合物および該混合物を圧縮成形して得られる圧縮成形物を提供することにある。
本発明者らは、前記の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定の原材料かつ割合で特定の被覆構造を含む二重被覆粒子および特定の炭水化物を含む圧縮成形用粉末混合物が、上記の課題を解決できることを確認して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔3〕である。
[1]二重被覆粒子および炭水化物(D)を含む圧縮成形用粉末混合物であって、
二重被覆粒子が、芯物質(A)、該芯物質(A)の粉末表面を被覆した一次被覆材(B)および該一次被覆材(B)の表面を被覆した二次被覆材(C)の構成を含み、
該(A)が水溶性物質の粉末であり、
該(B)が難水溶性物質であり、
該(C)が融点40℃~90℃の食用油脂であり、ならびに、
該炭水化物(D)が糖アルコール、単糖が三つ以上結合した糖質、食物繊維からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の炭水化物である、
ことを特徴とする圧縮成形用粉末混合物。
[2]さらに、機能性成分を含む[1]に記載の圧縮成形用粉末混合物。
[3][1]又は[2]に記載の圧縮成形用粉末混合物を圧縮成形してなる圧縮成形物。
成形障害が発生しない圧縮成形用粉末混合物および該混合物を圧縮成形して得られる崩壊性と徐放性に優れた圧縮成形物、特に食品用途の圧縮成形用粉末混合物および該混合物を圧縮成形して得られる圧縮成形物に関する。
<圧縮成形用粉末混合物>
本発明の圧縮成形用粉末混合物は、以下の二重被覆粒子および炭水化物(D)を含む。
二重被覆粒子が、芯物質(A)、該芯物質(A)の粉末表面を被覆した一次被覆材(B)および該一次被覆材(B)の表面を被覆した二次被覆材(C)の構成を含み、
(A)が水溶性物質の粉末であり、
(B)が難水溶性物質であり、および
(C)が融点40℃~90℃の食用油脂である。
炭水化物(D)が糖アルコール、単糖が三つ以上結合した糖質、食物繊維からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の炭水化物である。
本発明の圧縮成形用粉末混合物の用途は特に限定されないが、例えば、食品(健康食品、錠菓)、医薬品、飼料等を例示することができる。特に好ましい用途としては、芯物質(A)の含有量が高い食品を例示することができる。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、質量%)を段階的に記載した場合、各下限値および上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは20以上、そして、好ましくは100以下、より好ましくは90以下」という記載において、「好ましい下限値:10」と「より好ましい上限値:90」とを組合せて、「10以上90以下」とすることができる。また、例えば、「好ましくは10~100、より好ましくは20~90」という記載においても、同様に「10~90」とすることができる。
<圧縮成形物>
本発明の圧縮成形物は、本発明の圧縮成形用粉末混合物を圧縮成形により得ることができる。本発明の圧縮成形物は、食品分野における健康食品の代表的な形態である打錠品、ラムネのような錠菓、スープや粉ミルクのブロックタイプに該当する。
本発明の圧縮成形物の用途は特に限定されないが、例えば、食品(健康食品、錠菓)、医薬品、飼料等を例示することができる。特に好ましい用途としては、芯物質(A)の含有量が高い食品を例示することができる。
本発明の圧縮成形物の錠剤時の錠剤硬度は、本発明の効果を奏することができれば特に限定されないが、例えば、95~104Nの範囲を例示することができる。
<二重被覆粒子の芯物質(A)>
本発明の二重被覆粒子の芯物質(A)は、20℃における水への溶解度が0.01g/100g以上である水溶性物質の粉末であれば特に限定されない。
水溶性物質の種類は、本発明の範囲を逸脱しない範囲であれば以下を列挙できる。
いわゆるビタミンCと呼ばれるアスコルビン酸やアスコルビン酸塩または水溶性である誘導体、ビタミンB群であるチアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンセチル硫酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩、チアミンラウリル硫酸塩、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、ビスベンチアミン、リボフラビンやリボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ピリドキシン塩酸塩、シアノコバラミン、葉酸、ビオチン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、その他イノシトールやヘスペリジン誘導体などのビタミン様物質。
アミノ酸であるアルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、トリプトファン、シスチン。
水溶性ミネラルである塩化第二鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、乳酸鉄、硫酸第一鉄、アスコルビン酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、グルコン酸銅、硫酸銅、その他ミネラル含有微生物粉末。
また、これら水溶性物質の含量を調整する目的で賦形剤との混合粉末を芯物質(A)としても良い。賦形剤としては、例えば、乳糖、澱粉、白糖、マルチトール、ソルビトール、デキストリン、結晶セルロース等の粉末が挙げられる。
本発明の二重被覆粒子中の芯物質(A)は、50質量%~95質量%であると、より本発明の効果が得られやすい。50質量%より多いと圧縮成形物中の有効成分の配合量を多くすることができる。95質量%より少ないと芯物質(A)のコーティングをより効果的にすることができ、徐放性が得られやすくなる。
二重被覆粒子中の(A)は、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%であり、より好ましくは65質量%~85質量%である。特に、このような質量%の含有量は、二重被覆粒子、圧縮成形用粉末混合物又圧縮成形物の製造時点の値であることが好ましい。
<二重被覆粒子の一次被覆材(B)>
本発明の二重被覆粒子の一次被覆材(B)は、20℃における水への溶解度が0.1g/100g以下であり、かつ20℃における80%エタノール含有水溶液への溶解度が0.1g/100g以上である難水溶性物質であれば特に限定されない。
難水溶性物質の種類は、本発明の範囲を逸脱しない範囲であれば以下を列挙できる。
ゼイン、グリアジン、ホルデイン、アベニン、セカリンなどのプロラミン。
シェラックなどの樹脂状物質。
ゼインはツェインなどとも言われる、トウモロコシ由来の含水アルコールに可溶なタンパク質であり、一般的にはコーングルテンミールなどを60~95質量%のアルコールやアセトンなどを含む水溶液と混合して抽出される。これら含水アルコールに可溶なタンパク質はプロラミンと称され、プロリンなどの疎水性アミノ酸の多いタンパク質である。
シェラックは、セラックなどともいわれる、ラックカイガラムシの分泌物で、ラックカイガラムシが特定の樹木から樹液を吸って体外に分泌する樹脂状物質である。一般的にはそこから不純物を除去した精製シェラックが用いられる。
本発明の二重被覆粒子の一次被覆材(B)は、3質量%~45質量%であると、より本発明の効果が得られやすい。3質量%より多いと徐放性が得られやすくなり、45質量%よりも少ないと圧縮成形物中の有効成分である芯物質(A)の配合量を多くすることができる。二重被覆粒子中の(B)は、3質量%~45質量%、より好ましくは5質量%~35質量%であり、最も好ましくは10質量%~27質量%である。特に、このような質量%の含有量は、二重被覆粒子、圧縮成形用粉末混合物又圧縮成形物の製造時点の値であることが好ましい。
<二重被覆粒子の二次被覆材(C)>
本発明の二重被覆粒子の二次被覆材(C)は、融点40℃~90℃の食用油脂であれば特に限定されない。
融点40℃~90℃の食用油脂の種類は、本発明の範囲を逸脱しない範囲であれば例えば、脂肪酸エステル、高級アルコール、ワックス等を例示することができる。
脂肪酸エステルであるトリグリセライドは、グリセリンに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有し、その由来は、例えば、大豆油、ナタネ油、綿実油、コメ油、コーン油、ゴマ油、落花生油、ヒマワリ油、サフラワー油、椿油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、エゴマ油、シソ油、豚脂、牛脂、鶏油、鯨油、および魚油などが挙げられる。融点の調整は、水素添加などにより行われる。
その他の脂肪酸エステルは、乳化剤も含み、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
高級アルコールは、炭素数20~36の直鎖、もしくは分岐鎖を持つアルコールを含み、具体的には、例えば、エイコサノール(炭素数20)、ドコサノール(炭素数26)、オクタコサノール(炭素数28)、トリアコンタノール(=ミリシルアルコール、炭素数30)、ヘキサトリアコンタノール(炭素数36)等が挙げられる。
ワックスは、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等を含む。
食用油脂の融点は、基準油脂分析試験法「2.2.4.2 融点(上昇融点)」に準じて測定することができる。食用油脂の融点は好ましくは50℃~80℃であり、より好ましくは50℃~70℃である。
本発明の二重被覆粒子の二次被覆材(C)は、トリグリセライドまたは乳化剤の一種としてのグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。トリグリセライドでは、水素添加により構成脂肪酸中の二重結合がほぼ飽和となった極度硬化油を使用すると良好な被膜が得られ、圧縮成形物の良好な崩壊性を付与することに好ましい。グリセリン脂肪酸エステルとして、ナタネ極度硬化油、パーム極度硬化油が好ましく、乳化剤としてのグリセリン脂肪酸エステルでは、モノグリセリンモノステアリン酸エステル、モノグリセリンモノパルミチン酸エステル、モノグリセリンジステアリン酸エステル、モノグリセリンジパルミチン酸エステル、モノグリセリンモノステアリン酸モノパルミチン酸エステルが好ましい。
二重被覆粒子中の(C)は2質量%~40質量%であると、より本発明の効果が得られやすい。2質量%より多いと徐放性が好ましく得られる。40質量%よりも少ないと圧縮成形物中の有効成分である芯物質(A)の配合量を多くすることができ、また圧縮成形物内への水の浸透を促すことができるため、崩壊性が好ましくなる。
二重被覆粒子中の(C)は、2質量%~40質量%、好ましくは2質量%~30質量%であり、最も好ましくは2質量%~20質量%である。特に、このような質量%の含有量は、二重被覆粒子、圧縮成形用粉末混合物又圧縮成形物の製造時点の値であることが好ましい。
<二重被覆粒子の構造>
二重被覆粒子の構造は、芯物質(A)、該芯物質(A)を被覆した一次被覆材(B)および一次被覆材(B)の表面を被覆した二次被覆材(C)の構成を含む。
一次被覆粒子内の芯物質(A)は単一粒子または複数粒子のいずれでもよく、一次被覆材(B)が芯物質(A)の粒子表面を覆っていることが重要である。
一次被覆材(B)の粒子表面を二次被覆材(C)で覆われていることが重要であるが、二重被覆粒子内の一次被覆粒子は単一粒子であることが好ましい。二重被覆粒子内に一次被覆粒子が単一で存在することで、圧縮成形時にその圧力で二重被覆粒子が崩れにくくなり、圧縮成形物内でも被覆状態を良好に保つことで徐放性がより効果的に発揮される。
さらに一次被覆粒子の平均粒子径は、好ましくは5~2000μmであり、さらに好ましくは10~1000μmであり、最も好ましくは100~500μmである。一次被覆粒子の平均粒子径が5~2000μmであると二次被覆を効率的に行うことができ、徐放性が得られやすい。
芯物質(A)を徐放化させるためには、芯物質(A)を被覆することが重要であるが、単に被覆するだけでは圧縮成形することが困難になったり、圧縮成形できても適切に崩壊しなくなったりする。
本発明の一次被覆材(B)は被覆性能には優れるが、一次被覆だけでは、一次被覆材(B)の物性から圧縮成形が困難である。
本発明の二次被覆材(C)は、芯物質(A)の被覆に適した物質だが、一次被覆材なしに二次被覆材(C)のみによる被覆では、徐放性が充分に得られないか、圧縮成形物が適切に崩壊しなくなる。
よって、本発明の二重被覆粒子は、一次被覆材(B)による被覆のあとに二次被覆材(C)によって二重被覆することが重要である。
<(B)と(C)の質量比>
本発明の一次被覆材(B)と二次被覆材(C)の質量比は、1:3~9:1であることが好ましい。1:3~9:1の範囲であることで徐放性と崩壊性が両方とも適切に得られやすくなる。また圧縮成形時にもバインディングとよばれる圧縮成形物の側面に傷が入るような成形障害を起きにくくすることができる。
一次被覆材(B)と二次被覆材(C)の質量比は、1:3~9:1、より好ましくは1:2~9:1であり、最も好ましくは1:1~9:1である。特に、このような質量比は、二重被覆粒子、圧縮成形用粉末混合物又圧縮成形物の製造時点の値であることが好ましい。
<圧縮成形用粉末混合物中の二重被覆粒子の質量割合>
本発明の圧縮成形用粉末混合物中の二重被覆粒子の質量割合は1質量%~60質量であることが好ましい。1質量%より多くすることで圧縮成形物中の有効成分の配合量を多くすることができる。60質量%より少なくすることで崩壊性が良好となる。
圧縮成形用粉末混合物中の二重被覆粒子の質量割合は、1質量%~60質量、より好ましくは、10質量%~40質量%であり、最も好ましくは10質量%~30質量%である。特に、このような質量%の含有量は、二重被覆粒子、圧縮成形用粉末混合物又圧縮成形物の製造時点の値であることが好ましい。
<圧縮成形用粉末混合物中の二次被覆材(C)の質量割合>
本発明の圧縮成形用粉末混合物中の二次被覆材(C)の質量割合は0.02質量%~10質量%であることが好ましい。0.02質量%よりも多くすることで充分な徐放性を得るとともに、圧縮成形時のバインディングとよばれる圧縮成形物の側面に傷が入るような成形障害を起きにくくすることができる。10質量%より少なくすることで圧縮成形物の崩壊性を良好にしやすくできる。圧縮成形用粉末混合物中の二次被覆材(C)の質量割合は、0.02質量%~10質量%、より好ましくは、0.02質量%~5質量%であり、最も好ましくは0.02質量%~2.5質量%である。特に、このような質量%の含有量は、二重被覆粒子、圧縮成形用粉末混合物又圧縮成形物の製造時点の値であることが好ましい。
<炭水化物>
本発明の炭水化物(D)は、糖アルコール、単糖が三つ以上結合した糖質、食物繊維からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の炭水化物であれば特に限定されない。炭水化物(D)は、錠剤や打錠品などの製剤設計においては賦形剤や崩壊剤といわれる。
糖アルコールとしては、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。
単糖が三つ以上結合した糖質としては、でんぷん、キチン、デキストリン、シクロデキストリン、グリコーゲン、カードラン、パラミロン、ペクチン、キシログルカン、アラビノガラクタン、キシラン、グルコマンナン、ラフィノース、スタキオース、ベルバスコースなどが挙げられる。
食物繊維としては、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、イヌリン、βグルカン、その他複数成分を含むシトラスファイバーなどが挙げられる。
上記の中でも、単糖が五つ以上結合した糖質および食物繊維が好ましい。これらの炭水化物を用いると、圧縮成形がしやすくなるだけでなく、圧縮成形物が適正に崩壊するようになる。
この理由としては、本発明の二重被覆粒子の表面は二次被覆材(C)である食用油脂であるため、圧縮成形物の表面および内部が疎水性となり、圧縮成形物の内部に水が浸透しにくくなり、結果として消化管内で圧縮成形物が崩壊しにくい状態となる。炭水化物(D)が、圧縮成形物中に存在することにより、圧縮成形物の内部への導水を促し、適切に崩壊することを促進する。さらに、単糖が五つ以上結合した糖質および食物繊維であると、圧縮成形物の内部に水が浸透しやすくするだけでなく、水を吸水することにより炭水化物が膨潤し体積が増えることで、圧縮成形物の崩壊性をさらに促すことができる。
<その他の成分>
本発明の圧縮成形用粉末混合物は、本発明の効果を逸脱しない範囲において、その他の成分を含むことができる。例えば、芯物質(A)と同じ物質、徐放性を付与せず速やかに溶出させたい機能性成分、圧縮時に圧縮成形機への粉体の付着を防止し圧縮成形物の表面を平滑にする滑沢剤、呈味を与える果汁粉末、風味を与える粉末香料などが挙げられる。滑沢剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
なお、機能性成分とは、体内で吸収されることを目的とする成分であり、特に限定されず、また、芯物質(A)と同じ物質であってもよい。
本発明の効果を応用することで、徐放性を付与したい機能性成分と徐放性を付与せず速やかに溶出させたい機能性成分を、同じ圧縮成形物に配合することができる。つまり、徐放性を付与せず速やかに溶出させたい機能性成分を、二重被覆粒子に含ませないようにすることで、成分ごとに異なる溶出挙動となるよう意図的にコントロールした圧縮成形物を得ることが出来る。
より詳しくは、本発明の圧縮成形用粉末混合物は、二重被覆粒子、機能成分(特に、徐放性を付与せず速やかに溶出させたい機能性成分)および炭水化物(D)を含む圧縮成形用粉末混合物であって、二重被覆粒子が、芯物質(A)、該芯物質(A)の粉末表面を被覆した一次被覆材(B)および該一次被覆材(B)の表面を被覆した二次被覆材(C)の構成を含む。
また同じ機能性成分を、芯物質(A)として二重被覆粒子に配合することと、二重被覆粒子外のその他の成分として配合することを、同じ圧縮成形物で同時に行うことで、この機能性成分の溶出が速やかに始まり、かつ長時間溶出し続けるタイムリリース型の圧縮成形物を得ることが出来る。
より詳しくは、本発明の圧縮成形用粉末混合物は、二重被覆粒子、その他の成分としての芯物質(A)および炭水化物(D)を含む圧縮成形用粉末混合物であって、二重被覆粒子が、芯物質(A)、該芯物質(A)の粉末表面を被覆した一次被覆材(B)および該一次被覆材(B)の表面を被覆した二次被覆材(C)の構成を含む。
本発明の圧縮成形用粉末混合物中のその他の成分の質量割合は0.1質量%~30質量%である。
<二重被覆粒子の製造方法>
本発明において、二重被覆粒子の製造方法は、一次被覆材(B)にて芯物質(A)を被覆した一次造粒被覆粒子を、二重被覆粒子の二次被覆材(C)で被覆できる方法であれば特に限定されない。
一次被覆材(B)にて芯物質(A)を被覆する方法として、例えば、一次被覆材(B)をエタノール水溶液等の溶媒に溶解した噴霧液を流動層造粒機にて芯物質(A)の表面に噴霧し被覆する方法、攪拌造粒機にて同様に被覆する方法、その他にも、転動型造粒機、噴流層造粒機、転動盤付流動層造粒機などでの造粒方法が挙げられる。
さらに、一次造粒被覆粒子を二次被覆材(C)で被覆する方法としては、例えば、二次被覆材(C)を溶融して一次造粒被覆粒子に噴霧する方法、粉末状の二次被覆材(C)をミキサーにて混合し一次造粒被覆粒子の表面に接触や衝突させる方法等が挙げられる。
<圧縮成形用粉末混合物の製造方法>
本発明において、圧縮成形用粉末混合物の製造方法は各粉末が均一に混合される方法であれば特に限定されない。例えば、二重被覆粒子と炭水化物(D)、必要に応じてその他をV型混合機に投入し混合する方法が挙げられる。その他、タンブラー混合機、二重円錐混合機、コンテナミキサー、リボンミキサーなどで混合する方法が挙げられる。
<圧縮成形物の製造方法>
本発明において、圧縮成形物の製造方法は特に限定されない。例えば、圧縮成形用粉末混合物を連続ロータリー式打錠機にて打錠する方法が挙げられる。連続式以外に単発式の打錠機を使用することも可能である。また、圧縮成形物の形状は特に限定されない。目的や用途にあわせて、重量や臼杵のサイズを設定し、圧縮成形することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。実施例および比較例において用いた共重合体は、次の通りである。
<崩壊性の評価方法>
本発明の崩壊性とは、生体が経口により圧縮成形物をそのままの形状で飲み込んだ場合、消化管内で適切に崩壊する性質を指す。崩壊性の評価方法は以下の通り行った。
圧縮成形物を水中にいれ撹拌したときに崩壊するまでの崩壊時間を崩壊試験により評価した。
崩壊試験は、富山産業(株)の崩壊試験機TMB-81を用いて第十七改正日本薬局方に準じた測定方法で実施した。具体的には、37±2℃に調製した精製水を試験液とし、ガラス管に打錠品(圧縮成形物)を1つずつ入れた状態で試験器内にて1分間30往復、振幅55mmで上下に振動させたとき、圧縮成形物が崩壊しガラス管内に圧縮成形物の残留物がなくなるまでの時間を測定した。
[崩壊性の基準 ◎:20分未満、〇:20分以上、25分未満、△:25分以上、30分未満、×:30分以上]
<徐放性の評価方法>
本発明の徐放性とは、圧縮成形物に含まれる有効成分が生体のなかの消化管内において通常の状態よりも長時間かけて少しずつ溶出する性質を指す。徐放性の評価方法は以下の通り行った。
圧縮成形物を水中にいれ撹拌したときに芯物質(A)が水中に溶出してくる量を測定する溶出時間により評価した。溶出試験は、富山産業(株)の溶出試験器NTR-6600Aを用いて第十七改正日本薬局方に準じた測定方法(パドル法)で実施した。具体的には、37±0.5℃に調製した精製水900mlをベッセルに充填し、圧縮成形物を入れた状態で100rpmでパドルを回転させたときの60分後の芯物質(A)の溶出量を測定した。
[徐放性の基準 ◎:40%未満、〇:40%以上、45%未満、△:45%以上、50%未満、×:50%以上]
<圧縮成形適性の評価方法>
打錠適性については、主にスティッキング、キャッピング、バインディングの3つの打錠障害が発生していないかを目視により評価した。スティッキングとは、圧縮成形物の表面に凹凸が生じている、中心部がくぼんでいるなどの状態、キャッピングとは、圧縮成形物の上面または下面が帽子の様に剥離するなどの状態、バインディングとは、錠剤原料が臼へ吸着し、排出の際に錠剤側面に垂直の傷がつく状態をいう。評価は以下のように行った。
〇:圧縮成形物10粒中1粒も打錠障害が発生しない
△:圧縮成形物10粒中1、2粒で打錠障害が発生
×:圧縮成形物10粒中5粒以上で打錠障害が発生
(実施例1)
<二重被覆粒子の芯物質(A)の製造方法>
ビタミンB2(リボフラビンユニバーサル:DSM(株)製)19.0質量%、デキストリン(パインフロー:松谷化学工業(株)製)81.0質量%を混合し、総量500gのリボフラビン希釈粉末を得て、二重被覆粒子の芯物質(A)とした。
<二重被覆粒子の製造方法>
一次被覆材(B)としてのシェラックを32質量%、エタノールを68質量%含むシェラック-エタノール溶液(FSP.No.232:興洋化学(株)製)と、99%エタノール(エタノール99%一級:今津薬品工業(株)製)および水を用いて、シェラック15.0g/100mLを含む75%含水エタノール溶液を500mL得て、噴霧液とした。流動層造粒機(フローコーター:フロイント産業(株)製)を用い、芯物質(A)であるリボフラビン希釈粉末500gに対し、上記噴霧液を416.2mL噴霧し、これを乾燥し、リボフラビン希釈粉末を芯物質(A)として88.9質量%、シェラックを11.1質量%含む一次造粒被覆粒子を得た。
得られた一次造粒被覆粒子450gと二次被覆材(C)としてナタネ極度硬化油脂(日油(株)製、融点67℃)50gを、混合機(VG-05 (株)パウレック製)にて混合し、二次被覆粒子500g(芯物質(A):80質量%、一次被覆材(B):10質量%、二次被覆材(C):10質量%)を得た。
<圧縮成形用粉末混合物の製造方法>
得られた二次被覆粒子150gと炭水化物(D)としてデンプン(ロンフードOWP:日澱化学(株)製)830g、その他の成分としてステアリン酸カルシウム(ステアリン酸カルシウム:太平化学産業(株)製)20gを混合して圧縮成形用粉末混合物を得た。
<圧縮成形物の製造方法>
得られた圧縮成形用粉末混合物を回転式ロータリー打錠機(商品名「VELA5」、(株)菊水製作所製)を用いて500g打錠し、硬度が95~104Nの錠剤を得た。打錠条件は臼・杵9.0mm、R7.5、重量350mg/粒、タレット回転数20rpm、打錠圧5~20kNで行った。
圧縮成形物の徐放性の評価については、対象成分をリボフラビンとし、吸収極大を持つ275nmでの吸光度を測定することで評価した。
(実施例2、3、5~18、比較例1~4、6、7)
表に基づいて実施例1と同様に製造した。実施例、比較例で使用した原料は以下である。
セルロース(セオラスUF-F711:旭化成(株)製)
マルチトール(アマルティMR50:三菱商事ライフサイエンス(株)製)
ラクトース(SuperTab 11SD:ディーエムヴイ・フォンテラ・イクシピエンツ(株)製)
ツェイン(小林ツエインDP-N:小林香料(株)製)
パーム極度硬化油(日油(株)製、融点60℃)
カルナウバワックス(東亜化成(株)製、融点85℃)
パーム核硬化油(日油(株)製、融点34℃)
(実施例4)
二重被覆粒子の芯物質(A)としてL-アスコルビン酸(ビタミンC TypeS:扶桑化学工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同じ方法で圧縮成形物を得た。
圧縮成形物の徐放性の評価については、対象成分をアスコルビン酸とし、吸収極大を持つ265nmでの吸光度を測定することで評価した。
(実施例19)
実施例2において、炭水化物(D)としてデンプン(ロンフードOWP:日澱化学(株)製)830gを760gとし、その他の成分(徐放性を付与せず速やかに溶出させたい機能性成分)としてL-アスコルビン酸を70g配合した以外は同じ方法で圧縮成形物を得た。
(比較例5)
二重被覆粒子の製造方法において、芯物質(A)88.9質量%の表面を被覆材(C)11.1質量%で被覆した一次被覆粒子を450g調製した。この一次被覆粒子90.0質量%の表面を被覆材(B)10.0質量%で被覆した二次被覆粒子500gとして、被覆材の順番を入れ替えて製造した以外は実施例1と同じ方法で圧縮成形物を得た。
上記実施例および比較例の結果を表2、3に示す。
実施例1~19の結果により、本発明の圧縮成形物は、圧縮成形時にスティッキング、キャッピング、バインディングの打錠障害が発生せず、崩壊時間として25分以内で崩壊し、かつ60分後の溶出率が45%以下であったので、崩壊性と徐放性に優れていることを確認した。
実施例1~3の結果により、炭水化物(D)としてデンプンが最も好ましく、セルロースが好ましいことを確認した。
実施例1および4の結果により、芯物質(A)としてリボフラビン希釈粉末が好ましいことを確認した。
実施例1および5の結果により、一次被覆材(B)としてシェラックが好ましいことを確認した。
実施例1、6および7の結果により、二次被覆材(C)としてナタネ極度硬化油が最も好ましく、パーム極度硬化油が好ましいことを確認した。
実施例1、8~18の結果により、二重被覆粒子中の(A)が50質量%~95質量%で本発明の効果が得られやすいことを確認した。さらに、二重被覆粒子中の(A)の含有量は、好ましくは60質量%~90質量%であり、より好ましくは65質量%~85質量%であることを特定した。
実施例1、8~18の結果により、二重被覆粒子中の(B)が3質量%~45質量%で本発明の効果が得られやすいことを確認した。さらに、二重被覆粒子中の(B)の含有量は、好ましくは5質量%~35質量%であり、より好ましくは10質量%~27質量%であることを特定した。
実施例1、8~18の結果により、二重被覆粒子中の(C)が2質量%~40質量%で本発明の効果が得られやすいことを確認した。さらに、二重被覆粒子中の(C)の含有量は、好ましくは2質量%~30質量%であり、より好ましくは2質量%~20質量%であることを特定した。
実施例1、8~18の結果により、二重被覆粒子中の(B)と(C)の質量比が好ましくは1:3~9:1であり、より好ましくは1:2~9:1であり、最も好ましくは1:1~9:1であることを確認した。
実施例1~18の結果により、圧縮成形用粉末混合物中の二重被覆粒子の質量割合が好ましくは1質量%~60質量%であり、より好ましくは10質量%~40質量%であり、最も好ましくは10質量%~30質量%であることを特定した。
実施例1~18の結果により、圧縮成形用粉末混合物中の(C)の質量割合が好ましくは0.02質量%~10質量%であり、より好ましくは0.02質量%~5質量%であり、最も好ましくは0.02質量%~2.5質量%であることを特定した。
実施例19の結果では、徐放性を付与せず速やかに溶出させたい機能性成分であるアスコルビン酸の5分後の溶出率が100%であり、芯物質(A)であるリボフラビンの60分後の溶出率が38%であった。これにより、徐放性を付与したい機能性成分(リボフラビン)と徐放性を付与せず速やかに溶出させたい機能性成分(アスコルビン酸)を、同じ圧縮成形物に配合することができた。
比較例1、2は、二重被覆粒子の二次被覆材(C)が配合されていないため、圧縮成形時に二重被覆粒子の最外層となる一次被覆材(B)の摩擦力によりバインディングが発生して圧縮成形適性が悪かった。
比較例1に関し、バインディングにより圧縮成形適性の評価が×であったので、他の評価を行っていない。
比較例2に関し、一次被覆材(B)の配合量を少なくするとバインディングは軽減されるが、それに伴い溶出率が高くなり、徐放性が得られなかった。
比較例3に関し、二重被覆粒子の一次被覆材(B)が配合されていないため、被覆性能が弱くなり、60分後の溶出率が95%となり、徐放性が不十分であった。
比較例4に関し、二重被覆粒子の一次被覆材(B)が配合されておらず、二次被覆材(C)の配合量を多くすると徐放性は得られるようになるが、崩壊時間が長くなり適正な崩壊性が得られなかった。
比較例5に関し、二重被覆粒子の一次被覆材(B)と二次被覆材(C)の被覆順が反転しているため、比較例2と同様に圧縮成形時に二重被覆粒子の最外層となる一次被覆材(B)の摩擦力によりバインディングが発生してしまい圧縮成形適性が悪かった。バインディングにより圧縮成形適性の評価が×であったので、他の評価を行っていない。
比較例6に関し、炭水化物(D)が二糖であるラクトースであったため、炭水化物の結着力が強く、崩壊時間が長く、崩壊性が悪かった。
比較例7に関し、二重被覆粒子の二次被覆材(C)の融点が40℃よりも低いため、打錠時の熱で二次被覆材が徐々に溶融し、スティッキングが発生するとともに、二重被覆粒子の被覆層がはがれてくることで徐放性が悪かった。
Figure 2023049298000001
Figure 2023049298000002
Figure 2023049298000003
従来、良好な崩壊性を有しながら、一度に多量摂取すると生体利用率が充分でなくなってしまう性質をもつ有効成分に徐放性を付与した打錠品は、これまでなかった。
しかし、以上の結果から、本発明の二重被覆粒子および炭水化物を含む圧縮成形用粉末混合物は、圧縮成形時にスティッキング、キャッピング、バインディング等の打錠障害が発生せず、崩壊時間として30分以内(特に、25分以内)で崩壊し、かつ60分後の溶出率が50%以下(特に、45%以下)である、崩壊性と徐放性に優れた圧縮成形物を提供することができる。
成形障害が発生しない圧縮成形用粉末混合物、および該混合物を圧縮成形して得られる崩壊性と徐放性に優れた圧縮成形物を提供する。

Claims (3)

  1. 二重被覆粒子および炭水化物(D)を含む圧縮成形用粉末混合物であって、
    二重被覆粒子が、芯物質(A)、該芯物質(A)の粉末表面を被覆した一次被覆材(B)および該一次被覆材(B)の表面を被覆した二次被覆材(C)の構成を含み、
    該(A)が水溶性物質の粉末であり、
    該(B)が難水溶性物質であり、
    該(C)が融点40℃~90℃の食用油脂であり、ならびに、
    該炭水化物(D)が糖アルコール、単糖が三つ以上結合した糖質、食物繊維からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の炭水化物である、
    ことを特徴とする圧縮成形用粉末混合物。
  2. さらに、機能性成分を含む請求項1に記載の圧縮成形用粉末混合物。
  3. 請求項1又は2に記載の圧縮成形用粉末混合物を圧縮成形してなる圧縮成形物。
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