JP3769447B2 - タブレット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の有効成分を含有するタブレット及びその効率的な圧縮成形による製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人の健康を維持するために求められる栄養成分は、通常、天然物等の飲食により摂取されるが、バランスのよい摂取、あるいは個別に重要な成分の摂取は困難であることが多い。そこで、従来から、各種栄養成分を含有するタブレットが開発されており、求められる栄養成分の摂取が容易となっている。
ここで、上述のようなタブレットの製造の際に用いられる基材や栄養成分としての各種原料粉体としては、単体での圧結着性が高いもの、つまり打錠により容易に結着する性質の強いもの(例えば、糖、グルコサミン及び大豆胚軸抽出物等)と圧結着性の低いもの(例えば、デンプン及びカルシウム等)がある。これらの成分を単独で又は併用する場合には、圧力をかけて圧縮成形したときに、その成分が打錠機のうすやきねに結着(スティッキング)して、得られるタブレットの表面につやがなく、凹凸が生じてしまうといった問題が生じ易く、あるいは、一定の強度を得るために過度な圧力をかけないと圧縮成形できないといった問題が生じる。また、原料粉体の流動性が悪く、打錠機への充填の際にホッパ等に付着するといった問題も生じる。
一方、上述したような問題を解決するために、滑沢剤の使用も提案されている。滑沢剤を原料粉体として添加することで、原料粉体の流動性が改良されて打錠機のうすに充填する際の充填が良好なものとなると同時に、圧縮成形時のスティッキングを防止することができる。また、滑沢剤は、圧縮成形時の粉体内部摩擦及び粉体とうす間の摩擦を低減する役割を果たすため、圧縮圧を低くすることができ、排出圧も小さくなり機械的な困難性も低減する。しかしながら、代表的な滑沢剤であるショ糖エステルは、健康指向の観点からすると、食品添加物として使用しない方が望ましい場合がある。
よって、圧結着性の高い原料粉体やこれが弱い原料粉体を用いる場合、あるいは両者を併用する場合にも、原料粉体が流動性に優れ、打錠機のうす中への充填がスムーズで、これらの原料粉体を直打する際にも圧縮成形しやすく、スティッキングが発生せず、しかも一定以上の強度の錠剤を得ることができる直打の技術が求められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、種々の有効成分を含有するタブレットを提供することを目的とする。また、本発明は、原料粉体が流動性に優れ、打錠機のうす中への充填がスムーズで、粉体を圧縮成形しやすく、かつスティッキング、即ち、錠がきねの面を剥離する際一部付着して残る現象が発生しにくく、良好に錠剤を製造することができる方法を提供することを目的とする。更に、食品添加物を滑沢剤として含有しないタブレットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定の原料粉体を用いることにより、上記課題を効率的に解決することができるとの知見に基づくものである。
即ち、本発明は、(A)常温で固体の硬化油脂及び(B)コラーゲンを含有し、乳化剤を滑沢剤として含有しない原料粉体混合物を含むタブレットであって、該原料粉体混合物を直接打錠することにより製造された該タブレットを提供する。
また、本発明は、(A)常温で固体の硬化油脂、(B)コラーゲン並びに(C)グルコサミン及び/又はイソフラボンを含有する原料粉体混合物を含むタブレットであって、該原料粉体混合物を直接打錠することにより製造された該タブレットを提供する。
また、本発明は、粒度600μm以下の常温で固体の硬化油脂0.5〜20質量%、粒度500μm以下のコラーゲン3〜70質量%及びグルコサミン、カルシウム及びイソフラボンからなる群から選択された少なくとも1種の粉体成分を含む原料粉体混合物であって、粒度850μm以下の大きさを有する該粉体混合物を直接打錠してなるタブレットを提供する。
また、本発明は、(A)常温で固体の硬化油脂及び(B)コラーゲンを含有し、乳化剤を滑沢剤として含有しない原料粉体混合物を直接打錠することを含むタブレットの製造方法を提供する。
また、本発明は、粒度600μm以下の常温で固体の硬化油脂0.5〜20質量%、粒度500μm以下のコラーゲン3〜70質量%及びグルコサミン、カルシウム及びイソフラボンからなる群から選択された少なくとも1種の粉体成分を含む原料粉体混合物であって、粒度850μm以下の大きさを有する該粉体混合物を直接打錠することを含むタブレットの製造方法を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のある態様においては、(A)常温で固体の硬化油脂及び(B)コラーゲンを含有する原料粉体混合物を含むタブレットであって、該原料粉体混合物を直接打錠することにより製造された該タブレット、並びに(A)常温で固体の硬化植物油脂、(B)コラーゲン並びに(C)グルコサミン及び/又はイソフラボンを含有する原料粉体混合物を含むタブレットであって、該原料粉体混合物を直接打錠することにより製造された該タブレットが提供される。ここで、(A)常温で固体の硬化油脂としては、ナタネ硬化油、大豆硬化油等の植物油脂、動物油脂等の粉体原料が挙げられ、植物油脂、特にナタネ硬化油が好ましい。その融点は50〜100℃であるのが好ましく、より好ましくは60〜80℃である。前記(A)成分の含有量は、得られるタブレットの質量をベースとして、0.5〜20質量%(以下、%と略称する)であるのが好ましく、より好ましくは1〜10%である。また、(B)コラーゲンとしては、例えば、牛骨、豚皮、魚類から得られた粉体原料等が挙げられ、得られるタブレット中に3〜70%含有されるのが好ましく、より好ましくは5〜50%である。(C)グルコサミン及び/又はイソフラボン等の粉体原料は、それぞれ単独で含有していてもよく、あるいはその組合せを含有していてもよい。例えば、グルコサミンを単独で使用する場合、そのタブレット中における含有量は、10〜70%とするのが好ましく、より好ましくは30〜60%である。また、イソフラボンを単独で使用する場合、そのタブレット中における含有量は、0.1〜50%とするのが好ましく、より好ましくは10〜30%である。
【0006】
また、上記タブレットにおいては、上記成分(A)常温で固体の硬化油脂が、好ましくは600μm以下の粒度を有するのがよい。硬化油脂は粒度20μm以上の大きさであることが望ましい。また、粒度100μm付近に50%以上の粒度分布を有するものであることが望ましい。また、上記成分(B)コラーゲンは500μm以下の粒度を有するのが好ましく、あるいは20〜200μmの平均粒径を有するのが好ましい。更に、上記タブレットにおいては、原料粉体混合物が、粒度850μm以下の大きさを有するのが好ましく、より好ましくは粒度710μm以下の大きさである。本発明において粒度とは、試料100gの量を日本工業規格Z8801(1987)に規定する基準寸法の網ふるいに移し、約10分間振動を与えた後、ふるい目を通過するか否かを検査して、当該基準寸法のふるい目を通過することをもって規定したものである。尚、この測定方法は、糖類の日本農林規格第6条に規定された測定方法に準じたものである。
【0007】
上記成分(A)〜(C)の他に、任意成分が該原料粉体混合物に含有されていてもよい。他の任意成分としては、例えば、デンプン、糖、糖アルコール、デキストリン、食物繊維、蛋白質及び寒天等が挙げられる。これらの含有量は、その用途に応じて適宜決定することができる。また、上記タブレットは、例えば、ショ糖エステルや脂肪酸エステル等の乳化剤自体を滑沢剤として含有しないものであるのが好ましい。尚、滑沢剤とは、原料粉体の流動性を改良して打錠機の金型(うす)の中へ一定量が充填されるようにすると同時に、原料をうすやきねに付着するスティッキングを防止するための添加剤である。
【0008】
また、本発明において、「直接打錠」とは、上記原料粉体に対し直接的に圧力をかけて圧縮成形してタブレットの形態とすることを意味する。従って、このような打錠方法は、原料粉体を所定の形状、例えば一旦顆粒状としてから、その顆粒状物を打錠してタブレットを製造する方法とは区別される。
本発明におけるタブレット製造に用いることができる打錠機としては、上述したような原料粉体を打錠してタブレットを製造できる打錠機であれば特に制限されないが、例えば、ロータリ打錠機及び単発打錠機等が挙げられる。このような打錠機は、通常、原料粉体の一定量をはかり取りする機能と、それを圧縮成形する機能とを備える。一定量をはかり取りするためには容積法を用いることができる。即ち、うすと下きねとの間の空間に粉体原料を満たし、それをフィーダの下面ですりきることができる。尚、打錠は、上述したような原料粉体を混合撹拌して、原料粉体混合物を調製し、これを直接打錠することにより行うことができる。
また、本発明においては、前記打錠を、例えば、湿度10〜50%、好ましくは20〜40%で、温度10〜30℃、好ましくは15〜25℃の条件下で、60〜8000個/分、好ましくは800〜1600個/分の速度で行うことができる。また、このような打錠により得られるタブレットは、一個あたり100〜1000mg、好ましくは200〜300mgの質量とすることができる。
【0009】
本発明の別の態様においては、粒度600μm以下の常温で固体の硬化油脂0.5〜20質量%、粒度500μm以下のコラーゲン3〜70質量%及びグルコサミン、カルシウム及びイソフラボンからなる群から選択された少なくとも1種の粉体成分を含む原料粉体混合物であって、粒度850μm以下の大きさを有する該粉体混合物を直接打錠してなるタブレットが提供される。グルコサミン、カルシウム及びイソフラボンからなる群から選択された少なくとも1種の粉体成分としては、グルコサミン、カルシウム又はイソフラボンのそれぞれを単独で用いることができ、あるいは、それらの2種以上の混合物を使用してもよい。ここで、前記粉体成分は、得られるタブレットの質量をベースとして、0.1〜70%含有するのが好ましく、より好ましくは15〜65%である。尚、硬化油脂及びコラーゲンの粒度及び含有量、並びに原料粉体混合物の大きさの好ましい範囲は、上述したと同様のものである。
【0010】
更に別の本発明の態様においては、(A)常温で固体の硬化油脂及び(B)コラーゲンを含有する原料粉体混合物を直接打錠することを含むタブレットの製造方法、並びに粒度600μm以下の常温で固体の硬化油脂0.5〜20質量%、粒度500μm以下のコラーゲン3〜70質量%及びグルコサミン、カルシウム及びイソフラボンからなる群から選択された少なくとも1種の粉体成分を含む原料粉体混合物であって、粒度850μm以下の大きさを有する該粉体混合物を直接打錠することを含むタブレットの製造方法が提供される。硬化油脂及びコラーゲンの粒度及び含有量、粉体成分の含有量、粉体原料の大きさ並びに打錠条件についての好ましいものは、上述したと同様のものである。
【0011】
次に、本発明の一態様であるタブレットの製造方法の一例を簡単に説明するが、本発明の製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、粒度600μm以下の常温で固体の硬化油脂1〜10%、粒度500μm以下のコラーゲン及びグルコサミン、カルシウム及びイソフラボンからなる群から選択された少なくとも1種の粉体成分20〜60%を混合して各成分が均一に分散された原料粉体混合物を調製する。この際、健康指向から、ショ糖エステル等の乳化剤を滑沢剤として添加しないのが好ましい。この原料粉体混合物を、例えばホッパを通して、得られるタブレット一個あたりの質量が240〜260mgとなるような割合で、うすときねにより形成された金型に充填する。この金型は、所望の形状を有していてもよく、例えば、得ようとするタブレットの形状により設定することが可能である。その後、金型に充填された原料粉体混合物に直接的に圧力をかけて圧縮成形することによる直接打錠を行う。打錠条件は、湿度10〜50%で、温度15〜25℃の条件下で行うことができる。このようにして得られたタブレットは、種々の形態のものであってもよく、上面からみた形態が円、四角形又は三角形をしていてもよく、それらの角は丸みを帯びていてもよい。また、側面からみたときに、モディファイドディープ、スペシャルディープ、エキストラディープ、スタンダード等の種々の形態のものとなるように打錠することもできる。また、得られるタブレットの硬度は、2kgf以上であるのが好ましく、より好ましくは4kgf以上である。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、種々の原料粉体を含有するタブレットが提供される。また、得られるタブレットは、ショ糖エステル等の食品添加物を用いずとも、その表面につやがあり、あるいは凹凸のすくないものとすることができる。また、ショ糖エステルなどの滑沢剤を用いないことにより健康指向に合ったタブレットを提供することができる。更に、本発明の製造方法においては、原料粉体が流動性に優れ、打錠機のうす中への充填がスムーズで、粉体を圧縮成形しやすく、かつスティッキング、即ち、錠がきねの面を剥離する際一部付着して残る現象が発生しにくく、良好に錠剤を製造することができる方法を提供することができる。例えば、単体での圧結着性の強い原料粉体と圧結着性の弱い原料粉体を任意に用いる場合でも、打錠時のスティッキングがなく、一定以上の硬度のタブレットを製造することができる。例えば、グルコサミン等の圧結着性が強く、僅かな圧力上昇でスティッキングが発生しやすい原料粉体であっても、スティッキングを発生させずに圧縮成形することができる。
本発明によって提供されるタブレットは、例えば、薬品の錠剤の場合と同様にして、水で飲み込んで摂取することができる。
【0013】
【実施例】
実施例1
粒度600μm以下(平均粒径70μm)のなたね硬化油8部、粒度500μm以下(平均粒径100μm)のコラーゲン42部、及び粒度850μm以下(平均粒径100μm)のグルコサミン50部を混合撹拌して、各成分が均一に分散された原料粉体混合物を調製した。この原料粉体混合物を、畑式会社製の打錠機(型式HT−AP18SS2)のうす中へ充填し、打錠を行った。この際の打錠条件は、湿度45%、温度25℃、720個/分の速度で、250mg/個の割合とした。
原料粉体混合物は流動性が高く、打錠機のうす中への充填がスムーズで、粉体を良好に圧縮成形できた。また、製造中スティッキングが発生せず、その表面につやがあって凹凸のない所望の形状のタブレットを製造することができた。尚、得られたタブレットの強度は、8kgfであった。
【0014】
実施例2
粒度600μm以下(平均粒径70μm)のなたね硬化油3部、粒度500μm以下(平均粒径100μm)のコラーゲン10部、粒度300μm以下(平均粒径20μm)のカルシウム60部及びデンプン27部を混合撹拌して、各成分が均一に分散された原料粉体混合物を調製した。この原料粉体混合物を、実施例1と同様の条件で打錠した。
原料粉体混合物は流動性が高く、打錠機のうす中への充填がスムーズで、粉体を良好に圧縮成形できた。また、製造中スティッキングが発生せず、その表面につやがあって凹凸のない所望の形状のタブレットを製造することができた。尚、得られたタブレットの強度は、20kgf以上であった。
【0015】
実施例3
粒度600μm以下(平均粒径70μm)のなたね硬化油5部、粒度500μm以下(平均粒径100μm)のコラーゲン10部、粒度850μm以下の大豆胚軸抽出物(イソフラボン)20部及び糖(トレハロース)65部を混合撹拌して、各成分が均一に分散された原料粉体混合物を調製した。この原料粉体混合物を、実施例1と同様の条件で打錠した。
原料粉体混合物は流動性が高く、打錠機のうす中への充填がスムーズで、粉体を良好に圧縮成形できた。また、製造中スティッキングが発生せず、その表面につやがあって凹凸のない所望の形状のタブレットを製造することができた。尚、得られたタブレットの強度は、9kgfであった。
Claims (5)
- (A)常温で固体の硬化油脂及び(B)コラーゲンを含有し、乳化剤を滑沢剤として含有しない原料粉体混合物を含むタブレットであって、該原料粉体混合物を直接打錠することにより製造された該タブレット。
- (A)常温で固体の硬化油脂、(B)コラーゲン並びに(C)グルコサミン及び/又はイソフラボンを含有する原料粉体混合物を含むタブレットであって、該原料粉体混合物を直接打錠することにより製造された該タブレット。
- 粒度600μm以下の常温で固体の硬化油脂0.5〜20質量%、粒度500μm以下のコラーゲン3〜70質量%及びグルコサミン、カルシウム及びイソフラボンからなる群から選択された少なくとも1種の粉体成分を含む原料粉体混合物であって、粒度850μm以下の大きさを有する該粉体混合物を直接打錠してなるタブレット。
- (A)常温で固体の硬化油脂及び(B)コラーゲンを含有し、乳化剤を滑沢剤として含有しない原料粉体混合物を直接打錠することを含むタブレットの製造方法。
- 粒度600μm以下の常温で固体の硬化油脂0.5〜20質量%、粒
度500μm以下のコラーゲン3〜70質量%及びグルコサミン、カルシウム及びイソフラボンからなる群から選択された少なくとも1種の粉体成分を含む原料粉体混合物であって、粒度850μm以下の大きさを有する該粉体混合物を直接打錠することを含むタブレットの製造方法。
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