JP2004102109A - 画像形成ドラム用防振ゴム - Google Patents
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Abstract
【課題】画像形成ドラムへの挿入性が良く、かつ安価に製作可能な防振ゴムを提供する。
【解決手段】複写機の感光体ドラム1など、画像形成ドラムの内周面に密接状態に挿入可能な円筒状を呈し、放射音の発生を抑制する防振ゴム3であって、スチレンブタジエンゴムで成形されている。このため、外周面の粘着性が小さくなって挿入性が大幅に改善され、シロキサンの発生もなくすことができる。また、材料自体が安価であるため、低コストで提供することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】複写機の感光体ドラム1など、画像形成ドラムの内周面に密接状態に挿入可能な円筒状を呈し、放射音の発生を抑制する防振ゴム3であって、スチレンブタジエンゴムで成形されている。このため、外周面の粘着性が小さくなって挿入性が大幅に改善され、シロキサンの発生もなくすことができる。また、材料自体が安価であるため、低コストで提供することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やファクシミリ等に装備される画像形成ドラムに対する防振技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機などに内蔵された画像形成装置は、感光体ドラム及びこれに近接又は接触した状態に配置されて互いに逆方向へ回転する転写ドラムとを備える。そして、感光体ドラムの外周面に、画像信号に対応したレーザビーム等の像光の照射により帯電させて、静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを静電付着させることによって、可視化したトナー画像とし、このトナー画像を、転写ドラムとの間へ給紙された記録紙に転写して、加熱・加圧により定着させるものである。
【0003】
この種の画像形成装置において、感光体ドラム、転写ドラム、給紙機構等は、モータからギヤ列あるいはベルトプーリ等による動力伝達装置を介して駆動される。ところが、ギヤ列あるいはベルトプーリからなる動力伝達装置には、振動を生じることがあり、この振動が感光体ドラムに伝達されると、その円筒状の表面から騒音が放射され、像光の照射による静電潜像形成時の静電潜像の歪みや、トナー像形成時のトナー分布の不均一や、トナー像の転写時にの画像の歪みを引き起こすことがある。
【0004】
このような感光体ドラムの振動を吸収するためには、感光体ドラム内に、ブチルゴムからなる弾性体を装着することが有効である。ブチルゴムからなる防振ゴムは、室温で50Hzの加振を行った場合のtanδ(力学的損失係数)が0.6程度と、比較的高く、すなわち振動による変形を受けた時のゴムの内部摩擦による優れた防振効果を得ることができる。しかしながら、ブチルゴムは、粘着剤や接着剤としても使用されていることからもわかるように、表面の粘着性が大きく、したがって成形性や、感光体ドラムの内周への挿入性が悪かった。
【0005】
このようなブチルゴムの粘着性による悪影響は、従来、下記の特許文献1に記載されているように、ブチルゴムにシリコーンオイルを添加することで、改善可能であることが知られている。
【0006】
【特許文献1】
特許第3125802号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ブチルゴムにシリコーンオイルを添加した場合は、シロキサンが揮発する問題がある。しかも、ブチルゴムからなる防振ゴムは、トナー画像を記録紙に熱転写するための加熱による周囲の温度変化や、局部的な外力によって特性が変化しやすく、他のゴム材料に比較して高価であるといった問題も指摘されていた。
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、感光体ドラム等、画像形成ドラムへの挿入性が良く、シロキサンの発生もなく、かつ安価に製作可能な防振ゴムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、スチレンブタジエンゴムで成形され、画像形成ドラムの内周面に密接状態に挿入可能な円筒状を呈するものである。
【0010】
請求項2の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、請求項1に記載の構成において、スチレンブタジエンゴムが、結合スチレンを40〜65%含むものである。
【0011】
請求項3の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、請求項1又は2に記載の構成において、スチレンブタジエンゴムに、適量のテルペン樹脂が配合されたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムの好ましい実施の形態を、防振対象の感光体ドラムと共に示す断面図で、図中の参照符号1は複写機の感光体ドラムである。
【0013】
感光体ドラム1は、金属製の有底円筒状のドラム本体11と、その開口端に封着された金属製の円盤状の端板12とからなる。ドラム本体11の閉塞端の端壁13と、端板12には、それぞれ軸部14,15が同心的に形成されており、この軸部14,15が、図示されていない支持フレームにそれぞれ軸受2を介して支持され、これによって、感光体ドラム1は回転自在に支持されている。
【0014】
また、感光体ドラム1の端壁13の外周面にはギヤ16が形成されており、この感光体ドラム1の外周面に接触又は近接状態に配置された図示されていない転写ドラムの一端に形成されたギヤと噛合することによって、この転写ドラムと連動して互いに逆方向(紙送り方向)へ回転するようになっている。
【0015】
すなわち、この感光体ドラム1は、ドラム本体11の外周面が、画像信号に対応したレーザビーム等の像光の照射により帯電して静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを静電付着させることによって形成したトナー像を、転写ドラムとの間へ給紙された記録紙に、転写ドラムとの間での加圧及び転写ドラムからの加熱によって転写するものである。
【0016】
参照符号3は、本発明に係る防振ゴムであって、スチレンブタジエンゴム
(Styrene Butadiene Rubber;SBRと略称)によって有底円筒状に成形されており、感光体ドラム1のドラム本体11の内周に挿入されている。この防振ゴム3の一端外周には、ドラム本体11への挿入を容易にするための面取り3aが施されている。
【0017】
防振ゴム3は、未装着状態では、外径が感光体ドラム1におけるドラム本体11の内径よりも僅かに大径に形成されており、かつドラム本体11の円筒部と略同等の軸方向長さを有するものである。したがって、図示の装着状態では、防振ゴム3の外周面3bの全周が、前記ドラム本体11の内周面11aの全域に適当な面圧をもって密接されている。
【0018】
防振ゴム3は、上述のように、ドラム本体11の内周面11aに外周面3bの全周が密接しているので、その粘弾性によって、感光体ドラム1におけるドラム本体11の外周壁の振動を減衰する作用を有する。しかも、この防振ゴム3の装着によって、感光体ドラム1の実質的な質量が大きくなり、したがって共振点がずれ、モータやギヤ等からの入力振動との共振等によるドラム本体11からの放射音を有効に抑制することができる。
【0019】
後述の表1に示されるように、防振ゴム3の材料であるスチレンブタジエンゴムは、スチレンモノマーとブタジエンを共重合させて製造されるもので、結合スチレンを40〜65%、好ましくは45〜60%含む高スチレンタイプとし、かつ適量のテルペン樹脂を配合したものである。すなわち、スチレンブタジエンゴムは、このような材質とすることによって、室温条件で50Hzの振動を与えた場合の力学的損失係数tanδが、従来のブチルゴム製の防振ゴムと略同等となり、このため良好な振動減衰性能を発揮する。なお、結合スチレン量が65%を超えると、ゴムが硬くなってしまうため、その含有量の上限を65%とした。また、テルペン樹脂は、添加量を増大させるのに伴ってtanδを上昇させる効果を発揮する反面、表面粘着性も増大するため、両者をバランス良く満足させるためには、ポリマー100重量部に対して、テルペン樹脂の配合量を10部以上25部以下、好ましくは15部以上20部以下とする。
【0020】
また、防振ゴム3の肉厚を適切に設定することによって、この防振ゴム3に、内周部を実質的にマスとし、ドラム本体11と密着した外周部をばねとする副振動系が構成され、この副振動系が、感光体ドラム1の捩り振動(回転むら)等の振動数域で共振することにより、感光体ドラム1の捩り振動を動的に吸振し、静電潜像形成時の静電潜像の歪みや、トナー像形成時のトナー分布の不均一や、トナー像の転写時における画像の歪みを防止する効果を得ることも可能である。
【0021】
そして、スチレンブタジエンゴムは、ブチルゴムに比較して粘着性が小さいので、ドラム本体11の内周への挿入性を大幅に改善できる。しかもこのため、従来必要としていた外周面3bへの防着剤の塗布も不要である。また、一般に、耐老化性や耐摩耗性、温度特性などに比較的優れているほか、材料自体が安価であるため、低コストで提供することができる。
【0022】
また、ブチルゴム製の防振ゴムの場合、材料中に、加硫時に高分子化されなかった低分子シロキサンが僅かに残存しており、長期使用のうちにこの低分子シロキサンが揮発し、機器内のモータや電子部品の接点部に付着して絶縁膜を形成する可能性が皆無ではないのに対し、本発明によるスチレンブタジエンゴム製の防振ゴム3は、このような低分子シロキサンの発生がみられない。したがって、複写機等の電子機器の防振手段として有用である。
【0023】
下記の表1は、ブチルゴムによる防振ゴムとスチレンブタジエンゴムによる本発明の防振ゴムの物性(tanδ、圧縮永久歪、耐オゾン性、シロキサン発生の有無)を比較したものである。
【表1】
【0024】
また、下記の表2は、ブチルゴムからなる比較例1と、ブチルゴムにシリコーンオイルを添加した(先に説明した従来の技術に相当する)材料からなる比較例2と、天然ゴムからなる比較例3と、汎用タイプのスチレンブタジエンゴムからなる比較例4と、高スチレンタイプのスチレンブタジエンゴムからなる比較例5と、高スチレンタイプのスチレンブタジエンゴムにテルペン樹脂を添加した材料からなる実施例の特性比較表である。この表2から明らかなように、高スチレンタイプのスチレンブタジエンゴムにテルペン樹脂を添加した材料からなる実施例のものは、tanδ及び装着性、シロキサン及びコストの全ての要求を満足するものであった。
【表2】
【0025】
なお、上述した実施の形態は、本発明を複写機の感光体ドラム用として適用したものであるが、本発明の防振ゴムは、転写ドラムや、その他の画像形成ドラムの防振手段としても実施可能である。
【0026】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、スチレンブタジエンゴムからなるものとしたため、感光体ドラムの内周への挿入性を良好にすることができ、このため、挿入の際に防着剤の塗布を不要にすることができ、しかも安価に提供することができる。
【0027】
請求項2の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、スチレンブタジエンゴムを高スチレンとしたことによって、防振性能を確保することができる。
【0028】
請求項3の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、スチレンブタジエンゴムにテルペン樹脂を配合したことによって、防振性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムの実施の形態として、複写機の感光体ドラムに取り付けられた防振ゴムを示す断面図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(画像形成ドラム)
11 ドラム本体
12 端板
13 端壁
14,15 軸部
16 ギヤ
2 軸受
3 防振ゴム
3a 面取り
3b 外周面
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やファクシミリ等に装備される画像形成ドラムに対する防振技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機などに内蔵された画像形成装置は、感光体ドラム及びこれに近接又は接触した状態に配置されて互いに逆方向へ回転する転写ドラムとを備える。そして、感光体ドラムの外周面に、画像信号に対応したレーザビーム等の像光の照射により帯電させて、静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを静電付着させることによって、可視化したトナー画像とし、このトナー画像を、転写ドラムとの間へ給紙された記録紙に転写して、加熱・加圧により定着させるものである。
【0003】
この種の画像形成装置において、感光体ドラム、転写ドラム、給紙機構等は、モータからギヤ列あるいはベルトプーリ等による動力伝達装置を介して駆動される。ところが、ギヤ列あるいはベルトプーリからなる動力伝達装置には、振動を生じることがあり、この振動が感光体ドラムに伝達されると、その円筒状の表面から騒音が放射され、像光の照射による静電潜像形成時の静電潜像の歪みや、トナー像形成時のトナー分布の不均一や、トナー像の転写時にの画像の歪みを引き起こすことがある。
【0004】
このような感光体ドラムの振動を吸収するためには、感光体ドラム内に、ブチルゴムからなる弾性体を装着することが有効である。ブチルゴムからなる防振ゴムは、室温で50Hzの加振を行った場合のtanδ(力学的損失係数)が0.6程度と、比較的高く、すなわち振動による変形を受けた時のゴムの内部摩擦による優れた防振効果を得ることができる。しかしながら、ブチルゴムは、粘着剤や接着剤としても使用されていることからもわかるように、表面の粘着性が大きく、したがって成形性や、感光体ドラムの内周への挿入性が悪かった。
【0005】
このようなブチルゴムの粘着性による悪影響は、従来、下記の特許文献1に記載されているように、ブチルゴムにシリコーンオイルを添加することで、改善可能であることが知られている。
【0006】
【特許文献1】
特許第3125802号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ブチルゴムにシリコーンオイルを添加した場合は、シロキサンが揮発する問題がある。しかも、ブチルゴムからなる防振ゴムは、トナー画像を記録紙に熱転写するための加熱による周囲の温度変化や、局部的な外力によって特性が変化しやすく、他のゴム材料に比較して高価であるといった問題も指摘されていた。
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、感光体ドラム等、画像形成ドラムへの挿入性が良く、シロキサンの発生もなく、かつ安価に製作可能な防振ゴムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、スチレンブタジエンゴムで成形され、画像形成ドラムの内周面に密接状態に挿入可能な円筒状を呈するものである。
【0010】
請求項2の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、請求項1に記載の構成において、スチレンブタジエンゴムが、結合スチレンを40〜65%含むものである。
【0011】
請求項3の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、請求項1又は2に記載の構成において、スチレンブタジエンゴムに、適量のテルペン樹脂が配合されたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムの好ましい実施の形態を、防振対象の感光体ドラムと共に示す断面図で、図中の参照符号1は複写機の感光体ドラムである。
【0013】
感光体ドラム1は、金属製の有底円筒状のドラム本体11と、その開口端に封着された金属製の円盤状の端板12とからなる。ドラム本体11の閉塞端の端壁13と、端板12には、それぞれ軸部14,15が同心的に形成されており、この軸部14,15が、図示されていない支持フレームにそれぞれ軸受2を介して支持され、これによって、感光体ドラム1は回転自在に支持されている。
【0014】
また、感光体ドラム1の端壁13の外周面にはギヤ16が形成されており、この感光体ドラム1の外周面に接触又は近接状態に配置された図示されていない転写ドラムの一端に形成されたギヤと噛合することによって、この転写ドラムと連動して互いに逆方向(紙送り方向)へ回転するようになっている。
【0015】
すなわち、この感光体ドラム1は、ドラム本体11の外周面が、画像信号に対応したレーザビーム等の像光の照射により帯電して静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを静電付着させることによって形成したトナー像を、転写ドラムとの間へ給紙された記録紙に、転写ドラムとの間での加圧及び転写ドラムからの加熱によって転写するものである。
【0016】
参照符号3は、本発明に係る防振ゴムであって、スチレンブタジエンゴム
(Styrene Butadiene Rubber;SBRと略称)によって有底円筒状に成形されており、感光体ドラム1のドラム本体11の内周に挿入されている。この防振ゴム3の一端外周には、ドラム本体11への挿入を容易にするための面取り3aが施されている。
【0017】
防振ゴム3は、未装着状態では、外径が感光体ドラム1におけるドラム本体11の内径よりも僅かに大径に形成されており、かつドラム本体11の円筒部と略同等の軸方向長さを有するものである。したがって、図示の装着状態では、防振ゴム3の外周面3bの全周が、前記ドラム本体11の内周面11aの全域に適当な面圧をもって密接されている。
【0018】
防振ゴム3は、上述のように、ドラム本体11の内周面11aに外周面3bの全周が密接しているので、その粘弾性によって、感光体ドラム1におけるドラム本体11の外周壁の振動を減衰する作用を有する。しかも、この防振ゴム3の装着によって、感光体ドラム1の実質的な質量が大きくなり、したがって共振点がずれ、モータやギヤ等からの入力振動との共振等によるドラム本体11からの放射音を有効に抑制することができる。
【0019】
後述の表1に示されるように、防振ゴム3の材料であるスチレンブタジエンゴムは、スチレンモノマーとブタジエンを共重合させて製造されるもので、結合スチレンを40〜65%、好ましくは45〜60%含む高スチレンタイプとし、かつ適量のテルペン樹脂を配合したものである。すなわち、スチレンブタジエンゴムは、このような材質とすることによって、室温条件で50Hzの振動を与えた場合の力学的損失係数tanδが、従来のブチルゴム製の防振ゴムと略同等となり、このため良好な振動減衰性能を発揮する。なお、結合スチレン量が65%を超えると、ゴムが硬くなってしまうため、その含有量の上限を65%とした。また、テルペン樹脂は、添加量を増大させるのに伴ってtanδを上昇させる効果を発揮する反面、表面粘着性も増大するため、両者をバランス良く満足させるためには、ポリマー100重量部に対して、テルペン樹脂の配合量を10部以上25部以下、好ましくは15部以上20部以下とする。
【0020】
また、防振ゴム3の肉厚を適切に設定することによって、この防振ゴム3に、内周部を実質的にマスとし、ドラム本体11と密着した外周部をばねとする副振動系が構成され、この副振動系が、感光体ドラム1の捩り振動(回転むら)等の振動数域で共振することにより、感光体ドラム1の捩り振動を動的に吸振し、静電潜像形成時の静電潜像の歪みや、トナー像形成時のトナー分布の不均一や、トナー像の転写時における画像の歪みを防止する効果を得ることも可能である。
【0021】
そして、スチレンブタジエンゴムは、ブチルゴムに比較して粘着性が小さいので、ドラム本体11の内周への挿入性を大幅に改善できる。しかもこのため、従来必要としていた外周面3bへの防着剤の塗布も不要である。また、一般に、耐老化性や耐摩耗性、温度特性などに比較的優れているほか、材料自体が安価であるため、低コストで提供することができる。
【0022】
また、ブチルゴム製の防振ゴムの場合、材料中に、加硫時に高分子化されなかった低分子シロキサンが僅かに残存しており、長期使用のうちにこの低分子シロキサンが揮発し、機器内のモータや電子部品の接点部に付着して絶縁膜を形成する可能性が皆無ではないのに対し、本発明によるスチレンブタジエンゴム製の防振ゴム3は、このような低分子シロキサンの発生がみられない。したがって、複写機等の電子機器の防振手段として有用である。
【0023】
下記の表1は、ブチルゴムによる防振ゴムとスチレンブタジエンゴムによる本発明の防振ゴムの物性(tanδ、圧縮永久歪、耐オゾン性、シロキサン発生の有無)を比較したものである。
【表1】
【0024】
また、下記の表2は、ブチルゴムからなる比較例1と、ブチルゴムにシリコーンオイルを添加した(先に説明した従来の技術に相当する)材料からなる比較例2と、天然ゴムからなる比較例3と、汎用タイプのスチレンブタジエンゴムからなる比較例4と、高スチレンタイプのスチレンブタジエンゴムからなる比較例5と、高スチレンタイプのスチレンブタジエンゴムにテルペン樹脂を添加した材料からなる実施例の特性比較表である。この表2から明らかなように、高スチレンタイプのスチレンブタジエンゴムにテルペン樹脂を添加した材料からなる実施例のものは、tanδ及び装着性、シロキサン及びコストの全ての要求を満足するものであった。
【表2】
【0025】
なお、上述した実施の形態は、本発明を複写機の感光体ドラム用として適用したものであるが、本発明の防振ゴムは、転写ドラムや、その他の画像形成ドラムの防振手段としても実施可能である。
【0026】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、スチレンブタジエンゴムからなるものとしたため、感光体ドラムの内周への挿入性を良好にすることができ、このため、挿入の際に防着剤の塗布を不要にすることができ、しかも安価に提供することができる。
【0027】
請求項2の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、スチレンブタジエンゴムを高スチレンとしたことによって、防振性能を確保することができる。
【0028】
請求項3の発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムは、スチレンブタジエンゴムにテルペン樹脂を配合したことによって、防振性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成ドラム用防振ゴムの実施の形態として、複写機の感光体ドラムに取り付けられた防振ゴムを示す断面図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(画像形成ドラム)
11 ドラム本体
12 端板
13 端壁
14,15 軸部
16 ギヤ
2 軸受
3 防振ゴム
3a 面取り
3b 外周面
Claims (3)
- スチレンブタジエンゴムで成形され、画像形成ドラムの内周面に密接状態に挿入可能な円筒状を呈することを特徴とする画像形成ドラム用防振ゴム。
- スチレンブタジエンゴムが、結合スチレンを40〜65%含むものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成ドラム用防振ゴム。
- スチレンブタジエンゴムに、適量のテルペン樹脂が配合されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成ドラム用防振ゴム。
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---|---|---|---|
JP2002266549A JP2004102109A (ja) | 2002-09-12 | 2002-09-12 | 画像形成ドラム用防振ゴム |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018154897A1 (ja) * | 2017-02-21 | 2018-08-30 | 住友理工株式会社 | 車両用開閉扉の防振装置 |
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JPH05188839A (ja) * | 1992-01-07 | 1993-07-30 | Canon Inc | 画像形成装置 |
JPH07300511A (ja) * | 1994-12-02 | 1995-11-14 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 改良されたゴム状重合体組成物 |
JP2000273434A (ja) * | 1999-03-18 | 2000-10-03 | Tokai Rubber Ind Ltd | 制振シートの製法 |
-
2002
- 2002-09-12 JP JP2002266549A patent/JP2004102109A/ja active Pending
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