JP2003206993A - 駆動伝達装置及び該装置を備えた画像形成装置 - Google Patents

駆動伝達装置及び該装置を備えた画像形成装置

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JP2003206993A
JP2003206993A JP2002006793A JP2002006793A JP2003206993A JP 2003206993 A JP2003206993 A JP 2003206993A JP 2002006793 A JP2002006793 A JP 2002006793A JP 2002006793 A JP2002006793 A JP 2002006793A JP 2003206993 A JP2003206993 A JP 2003206993A
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driven gear
driven
drive
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drive transmission
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JP2002006793A
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Yasunari Kawashima
康成 川島
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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  • Electrophotography Configuration And Component (AREA)
  • Friction Gearing (AREA)
  • Discharging, Photosensitive Material Shape In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 起動時や減速時に大きなトルクを必要とせ
ず、簡単な構成、低コスト、省スペースで、定常速度に
おいて安定した回転を保ち、しかも静的な負荷トルクに
対して回転偏差を生じない駆動伝達装置及び画像形成装
置を提供する。 【解決手段】 感光体ドラム5を回転させる従動軸19
に回転自在に取付けられた慣性体としてのフライホイー
ル20と、このフライホイール20を従動ギヤ側面に押
し付けて摩擦力で回転させる押し付け部材21等からな
る押し付け機構を備えた。加減速時は、フライホイール
20が従動ギヤ18に対して滑るため、大きなモータト
ルクを必要とせずモータ16の小型化、省エネ化、省ス
ペース化が図れる。一方、定常状態ではフライホイール
20が従動ギヤ18と一体で回転するため、従動軸回り
の慣性モーメントが増加し、イナーシャ効果でギヤの噛
合い振動を小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、ファクシ
ミリ、プリンター等の画像形成装置及び画像形成装置に
備えられる駆動伝達装置に係り、詳しくは、駆動源に連
結されて回転駆動される駆動軸と、該駆動軸に固設され
た駆動ギヤと、従動軸と、該駆動ギヤの回転駆動力を伝
達して該従動軸を回転駆動する従動ギヤとを有する駆動
伝達装置及び該装置を備えた画像形成装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】電子写真式の複写機、プリンタ、ファク
シミリ等の画像形成装置において使用される回転体、例
えば感光体ドラム等のような回転体は一定の回転速度で
安定して回転させることが求められる。一般的に、モー
タ等の駆動源から駆動伝達装置によって伝達された駆動
力で感光体ドラムに直結した従動軸を回転させて感光体
ドラムを回転させるので、従動軸を安定して回転させる
ことによって感光体ドラムの安定した回転が得られる。
しかし、モータの振動や、ギヤ噛合い周波数での外乱ト
ルクやモータの変動トルクの影響で、従動軸が安定して
回転しない場合がある。従来より、従動軸を一定の回転
速度で安定して回転させる方法としては、以下に説明す
る2つの方法がある。一つの方法は、弾性部材(剛性
K)を伝達機構部に介することで振動を遮断する方法で
ある。もう一つの方法は、従動軸の慣性モーメントJを
大きくし、ギヤ噛合い周波数での外乱トルクやモータの
変動トルクに対して応答しない様にするイナーシャ効果
と呼ばれるものを利用する方法である。上記いずれの方
法も、伝達機構部の固有振動数f(=1/2π*√(K
/J))を小さくする方法であり、前者は剛性Kを小さ
くし、後者は慣性モーメントJを大きくしている。
【0003】上記剛性Kを小さくする方法として、ギヤ
などの伝達機構部の中に回転方向の力を受ける弾性部材
を組込んで回転方向の振動を吸収させる方法などがあ
る。一方、上記慣性モーメントJを大きくする方法とし
ては、従動軸にフライホイールを直結する方法がある。
しかし、従動軸にフライホイールを直結すると、フライ
ホイールの慣性モーメントが大きいため、起動時に駆動
モータが感光体ドラムの回転を加速するために必要なト
ルク(これを「起動トルク」と呼ぶ。)が大きくなり、
駆動モータを大型(高トルクのタイプ)にしなければな
らず、コストアップが生ずるという問題がある。また、
回転開始から所定の回転速度に達するまでの時間が長く
なるという問題がある。これらの問題を解決するため
に、特開平10−318292号公報や特開2000−
220695号公報において、フライホイールを従動軸
に直結せず、起動時や減速時に従動軸とフライホイール
とを切り離す機構を組み入れて、起動時や減速時の慣性
モーメントを小さくするものが開示されている。上記特
開平10−318292号公報では、回転軸に遠心クラ
ッチを設けて、回転軸とフライホイールとの締結・切り
離しを行なっている。また、上記特開2000−220
695号公報で開示された発明では、フライホイールを
回転軸の軸心方向に並進移動させる移動手段と、フライ
ホイールが回転軸を移動して接触したときにこのフライ
ホイールを吸着して軸心の回りに一体で回転させる吸着
体とを設けて、回転軸とフライホイールとの締結・切り
離しを行なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記ギヤなどの伝達機
構部の中に回転方向の力を受ける弾性部材を組込んで回
転方向の振動を吸収させる、上記剛性Kを小さくする方
法では、周波数の高い変動トルクを遮断することができ
る。しかし、回転負荷によって上記弾性部材が撓むた
め、弾性部材を組込まない構成に比べ回転偏差が大きく
なるという問題がある。また、上記特開平10−318
292号公報で開示された発明では、従動軸とフライホ
イールとを遠心クラッチで締結しているが、遠心クラッ
チの機構が若干複雑で、コストアップになるおそれがあ
る。また、小型化した製品への搭載が困難である。ま
た、上記特開2000−220695号公報で開示され
た発明では、フライホイールを並進移動させて従動軸に
締結させているが、並進移動させる分、従動軸が長くな
り、装置が大きくなる問題がある。
【0005】本発明は以上の背景に鑑みなされたもので
あり、その目的とするところは、起動時や減速時に大き
なトルクを必要とせず、簡単な構成、低コスト、省スペ
ースで、定常速度において安定した回転を保ち、しかも
回転負荷に対して回転偏差を生じない駆動伝達装置及び
該装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、駆動源に連結されて回転駆動さ
れる駆動軸と、該駆動軸に固設された駆動ギヤと、従動
軸と、該駆動ギヤの回転駆動力を伝達して該従動軸を回
転駆動する従動ギヤとを有する駆動伝達装置において、
上記従動ギヤが上記従動軸に固設して支持されるように
構成するとともに、該従動軸に回動自在に支持された慣
性体と、該慣性体を従動ギヤ側面に押し付ける押し付け
手段とを有し、該慣性体と該従動ギヤ側面との間に生じ
る摩擦力で該慣性体を回転させ、該従動ギヤの加減速時
の少なくとも初期期間は該慣性体が該従動ギヤに対して
滑り、且つ該従動ギヤの定速時は該慣性体と該従動ギヤ
とが一体で回転し得るように該摩擦力の大きさを設定し
たことを特徴とするものである。この請求項1の駆動伝
達装置では、駆動源が駆動ギヤの回転を開始すると、従
動ギヤと従動軸とが一体で回転し始める。ここで、上記
従動ギヤの回転トルクが、従動ギヤと慣性体との間の静
止摩擦力によって慣性体を回転させる回転トルクよりも
大きくなると、慣性体は滑って従動ギヤと一体には回転
せず、従動軸回りの慣性モーメントは小さい状態にあ
る。この状態では、従動ギヤと慣性体との間の動摩擦力
によって慣性体は回転する。したがって、上記従動軸が
所定の回転速度に達するまでの時間が短縮される。言い
かえれば、起動時に上記駆動源の起動トルクが少なくて
済む。この結果、上記駆動源が小型化、低コスト化され
る。そして、上記摩擦力で上記慣性体が上記従動ギヤと
ともに上記従動軸と一体で回転し、従動軸回りの慣性モ
ーメントが大きくなり、従動軸の回転の安定性が保たれ
る。また、従動ギヤの減速時に、慣性体の慣性力が、従
動ギヤと慣性体との間の静止摩擦力によって慣性体を減
速させる従動ギヤの回転トルクよりも大きくなると、慣
性体は滑って従動ギヤと一体には回転せず、従動軸回り
の慣性モーメントは小さい状態となる。なお、伝達機構
部の中に回転方向の力を受ける弾性部材を組み込んで前
記剛性Kを小さくする構成とは異なるので、回転負荷に
よる回転偏差が生じることはない。また、請求項2の発
明は、駆動源に連結されて回転駆動される駆動軸と、該
駆動軸に固設された駆動ギヤと、従動軸と、該駆動ギヤ
の回転駆動力を伝達して該従動軸を回転駆動する従動ギ
ヤとを有する駆動伝達装置において、上記従動ギヤが上
記従動軸に回動自在に支持されるように構成するととも
に、該従動軸に固設された慣性体と、従動ギヤ側面を該
慣性体に押し付ける押し付け手段とを有し、該慣性体と
該従動ギヤ側面との間に生じる摩擦力で該慣性体と該従
動軸とを回転させ、該従動ギヤの加減速時の少なくとも
初期期間は該慣性体が該従動ギヤに対して滑り、且つ該
従動ギヤの定速時は該慣性体と該従動ギヤとが一体で回
転し得るように該摩擦力の大きさを設定したことを特徴
とするものである。この請求項2の駆動伝達装置では、
駆動源が駆動ギヤの回転を開始すると、従動ギヤが回転
し始める。ここで、上記従動ギヤの回転トルクが、従動
ギヤと慣性体との間の静止摩擦力によって慣性体を回転
させる回転トルクよりも大きくなると、慣性体は滑って
従動ギヤと一体には回転せず、従動軸回りの慣性モーメ
ントは小さい状態にある。この状態では、従動ギヤと慣
性体との間の動摩擦力によって慣性体は回転する。した
がって、上記従動軸が所定の回転速度に達するまでの時
間が短縮される。言いかえれば、起動時に上記駆動源の
起動トルクが少なくて済む。この結果、上記駆動源が小
型化、低コスト化される。そして、上記摩擦力で上記慣
性体が上記従動ギヤと一体で回転すると上記従動軸も一
体で回転し、従動軸回りの慣性モーメントが大きくな
り、従動軸の回転の安定性が保たれる。また、従動ギヤ
の減速時に、慣性体の慣性力が、従動ギヤと慣性体との
間の静止摩擦力によって慣性体を減速させる従動ギヤの
回転トルクよりも大きくなると、慣性体は滑って従動ギ
ヤと一体には回転せず、従動軸回りの慣性モーメントは
小さい状態となる。なお、駆動伝達中に弾性部材を一体
化して組み込んで前記剛性Kを小さくする構成とは異な
るので、静的な負荷に対して回転偏差が生じることはな
い。また、請求項3の発明は、請求項1又は2の駆動伝
達装置において、上記押し付け手段を弾性部材を用いて
構成したことを特徴とするものである。また、請求項4
の発明は、請求項1又は2の駆動伝達装置において、上
記押し付け手段を磁石を用いて構成したことを特徴とす
るものである。また、請求項5の発明は、請求項1、
2、3又は4の駆動伝達装置において、上記従動ギヤと
接触する慣性体表面部と、上記慣性体と接触する従動ギ
ヤ側面部の少なくとも一方を、銅系の金属材料よりも柔
らかい材料を用いて構成したことを特徴とするものであ
る。また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又
は5の駆動伝達装置において、上記慣性体を2つ設け、
該2つの慣性体を上記従動ギヤの両側面から挟み込んで
押し付けるように構成したことを特徴とするものであ
る。また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4又
は5の駆動伝達装置において、上記駆動ギヤと上記従動
ギヤとをはすばギヤを用いて構成し、該駆動ギヤによる
駆動伝達により該従動ギヤにスラスト力がかかる方向側
に上記慣性体を配設し、該従動ギヤに対して該慣性体を
該スラスト力がかかる方向と反対方向に押し付けるよう
に構成したことを特徴とするものである。また、請求項
8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6又は7の駆
動伝達装置において、上記慣性体と上記従動ギヤとの接
触半径の大きさを調整して上記摩擦力で伝達し得る回転
トルクの大きさを設定したことを特徴とするものであ
る。また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、
5、6又は7の駆動伝達装置において、上記押し付け手
段による上記慣性体と上記従動ギヤとの押し付け力の大
きさを調整して上記摩擦力で伝達し得る回転トルクの大
きさを設定したことを特徴とするものである。また、請
求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6又は
7の駆動伝達装置において、上記慣性体と上記従動ギヤ
との接触部の摩擦係数を調整して上記摩擦力で伝達し得
る回転トルクの大きさを設定したことを特徴とするもの
である。また、請求項11の発明は、表面に静電潜像を
形成し周方向に回転移動する像担持体と、駆動源からの
回転駆動力を該像担持体に伝達する駆動伝達手段と、該
像担持体上の静電潜像を顕像化する現像手段と、顕像化
されるトナー像を記録材に転写する転写手段と、転写さ
れる記録材上のトナー像を定着する定着手段とを有する
画像形成装置において、上記駆動伝達手段として、請求
項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10に記載
の駆動伝達装置を用いることを特徴とするものである。
この請求項11の画像形成装置では、定速時には従動軸
回りの慣性モーメントが大きいため、ギヤ歯の噛み合い
周期等での速度変動から生じる振動を低減でき、像担持
体の安定した回転が得られ濃度ムラのない高品質な画像
を形成することができる。また、駆動源や駆動伝達手段
を小型化、低コスト化できるので、画像形成装置の小型
化、省エネルギ化及び低コスト化を図ることもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を画像形成装置であ
る電子写真プリンタ(以下単に、「プリンタ」という)
に適用した一実施形態について説明する。図1は、本実
施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略正面図であ
る。図1において、プリンタ1の右側面には給紙カセッ
ト2が着脱自在に装着され、左側面には排紙口3が設け
られている。給紙カセット2から排紙口3に至る用紙搬
送路4の上方には感光体ドラム5が回転自在に設けられ
ており、その周囲にはそれぞれプロセスユニットとして
の帯電器6、露光器7、現像器8が配設されている。さ
らに感光体ドラム5の外周には転写器9、クリーニング
器10、除電器11等が配設されている。さらに用紙搬
送路4に沿って上流側から下流側にむけて、給紙ローラ
12、レジストローラ13、ヒートローラ14aとプレ
スローラ14bとを有する定着器14、排紙ローラ15
が配設されている。
【0008】上記構成のプリンタ1において、帯電器6
によって感光体ドラム5表面を帯電させ、その部分に露
光器7からのレーザー光Lを走査することで静電潜像を
形成する。その後、感光体ドラム5の回転により、静電
画像は現像器8によってトナー画像として現像される。
一方、給紙カセット2内の用紙Pが給紙ローラ12によ
ってレジストローラ13まで引き出され、感光体ドラム
5の回転運動に同期回転するレジストローラ13によっ
て用紙Pは感光体ドラム5下部に給紙される。感光体ド
ラム5上のトナー画像は転写器9によって用紙Pに転写
され、その用紙Pが定着器14を通るときに用紙上の転
写画像が定着される。そして、定着後の用紙Pは排紙ロ
ーラ15によって、排紙口3より排出される。
【0009】上記構成のプリンタ1では、感光体ドラム
5の回転軸の一定速度特性が画像品質に直接影響を与え
るものである。特に、モータトルクをギヤを介して感光
体ドラム5の回転軸に伝え駆動している場合、モータ自
身のトルク変動とギヤ噛合いによるトルク振動の低減は
重要である。
【0010】そこで、本実施形態に係るプリンタでは、
感光体ドラム5を回転させる従動軸に関して回転自在に
取付けられた慣性体としてのフライホイールと、このフ
ライホイールを従動ギヤ側面に押し付けて摩擦力で回転
させる機構を備えた駆動伝達装置を設けた。これによ
り、定常状態では従動軸回りの慣性モーメントが増加
し、イナーシャ効果でギヤの噛合い振動を小さくするこ
とができ、高画質を出力できる。特にギヤの噛合い周波
数は、濃度ムラであるバンディングとして人間の目にと
って目立つ周波数帯である。この周波数の振動を抑える
ことで、画質向上が可能となる。また、加減速時は、フ
ライホイールが従動ギヤに対して滑るので、大きなモー
タトルクを必要とせず、省エネ駆動ができる。また、小
型のモータで間に合うので駆動機構部の省スペース化が
図られ、製品の小型化にも貢献する。
【0011】以下、上記駆動伝達装置について詳細に説
明する。図2は、本実施形態に係るプリンタの駆動伝達
装置の振動モデルの説明図である。駆動軸側の駆動ギヤ
と従動軸側の従動ギヤ間には、ギヤの形状精度や噛合い
歯数で変化するギヤ歯対剛性K2によって発生されるギ
ヤ外乱トルクTdが加わる。このギヤ外乱トルクTd
は、駆動ギヤと従動ギヤの両方の歯部に作用・反作用の
形で加わる。この外乱トルクTdの影響を抑えるために
慣性体(フライホイール)を用いる。ただし、従来のよ
うに従動軸基準に取り付け固定するのではなく、外乱ト
ルクTdの発生元である従動ギヤに摩擦力を介して締結
するようにする。振動源となるギヤに直接慣性体を締結
することで振動を根元から抑えることができる。また、
起動時や減速時に大きなトルクが必要とならないよう
に、加速度が所定の大きさを超えた場合には、フライホ
イールと従動ギヤとが滑るようにする。
【0012】図3は、上記振動モデルの具体的な駆動伝
達装置を示す説明図である。モータ16の駆動軸16a
に連結された駆動ギヤ17と噛合うように、従動ギヤ1
8を従動軸19に固定して設ける。従動軸19上には感
光体ドラム5(不図示)が連結されている。また、慣性
体としてのフライホイール20が従動軸上に回転自在に
組み込まれている。このフライホイール20を、押し付
け部材21、ワッシャー22及び止め輪23によって従
動ギヤ18の側面に押し付けて、摩擦力によって回転す
るように拘束する。ただし、起動時や減速時には、従動
ギヤ18に対してフライホイール20がすべって遅れて
動作するように、従動ギヤ18とフライホイール20と
の最大静止摩擦力を設定しておく。加速度の大きな起動
時や減速時は最大静止摩擦力を超える回転トルクが加わ
るので、フライホイール20は従動ギヤ18に対して滑
って従動ギヤ18に追従せず、従動軸回りの慣性モーメ
ントが小さくなる。この状態では、フライホイール20
は、従動ギヤ18とフライホイール20との間の動摩擦
力によって滑りながら回転する。この結果、従動軸19
の振動は大きくなるが、モータトルクは小さくてすむ。
その後、動摩擦力で回転してきたフライホイール20の
回転速度が従動ギヤ18の回転速度(従動軸回転速度)
に追いつき、フライホイール20と従動ギヤ18とは同
じ回転速度で回転するようになる。この結果、従動軸上
の慣性モーメントはフライホイール分増加することにな
り、イナーシャ効果で外乱トルクによる従動軸側への振
動は、小さくできる。
【0013】この現象の解析結果例を図4(a)〜
(e)に示す。図中A区間はフライホイールが従動ギヤ
に対して滑り動作をしている区間を示し、B区間は目標
速度に達するまでの間であって、静止摩擦力によりフラ
イホイールが従動ギヤに対して一体動作をして回転する
区間を示している。A区間では、図4(e)に示すよう
に、従動ギヤの回転トルクが、従動ギヤとフライホイー
ルとの間の最大静止摩擦力による回転トルクを超える
と、フライホイールが従動ギヤに対して滑り、動摩擦力
によって回転トルクを伝達する。この状態では、フライ
ホイールは従動ギヤに対して滑り、同図(b)及び
(c)に示すように、従動ギヤに対してフライホイール
の回転速度が遅れていることがわかる。一方、B区間で
は、図4(b)及び(c)に示すように、フライホイー
ルの回転速度が従動ギヤの回転速度に追いつき、同速度
になって回転していることがわかる。また、図4(b)
に示すように、B区間では、フライホイールのイナーシ
ャ効果により従動ギヤの振動がA区間に比べて減少して
いることがわかる。図15に示す従来構成のように、従
動軸19にフライホイール取付板50で直接フライホイ
ール20を固定すると、この締結部やギヤ締結部の剛性
を高くしないと共振現象が発生しやすい問題があった。
そこで、本実施形態では、振動を発生させるギヤに直接
フライホイールを摩擦力を介して組付けることにより、
振動源の振動を抑えることができ、効果的に振動抑制が
できるようにしている。また、起動時のA区間では、フ
ライホイールが滑って従動軸回りの慣性モーメントが小
さくなり、このA区間のモータトルクを、フライホイー
ルを従動軸に直結したときと比べ、小さくすることがで
きる(図4(d)参照)。
【0014】次に、上記フライホイール20を従動ギヤ
18の側面に押し付ける押し付け部材21について、よ
り詳細に説明する。図5(a)、(b)は、上記押し付
け部材として弾性部材を用い、フライホイール20を従
動ギヤ18の側面に付勢して押し付ける構成を示す説明
図である。図5(a)では、フライホイール20に押し
付け力(摩擦抗力)を与えるための弾性部材としてゴム
24を用い、このゴム24をフライホイール20とワッ
シャー22との間に挟んで撓ませて配設し、その復元力
(付勢力)を押し付け力とする。弾性部材としては、上
記ゴム24に限らず、図5(b)に示すようにスプリン
グ25を用いてもよく、或いは板バネ(不図示)を用い
てもよい。なお上記構成では、フライホイール20、ゴ
ム等の弾性部材及び弾性部材を支えるワッシャー22が
一体となって回転する。一方、止め輪23は従動軸19
と一体となって回転する。この結果、フライホイール2
0と従動ギヤ18とに回転速度差がある起動時などで
は、フライホイール20と従動ギヤ側面との摩擦に加
え、止め輪23とワッシャー22との間の摩擦も加わる
ことになる。止め輪23とワッシャー22との間では摩
擦半径が小さいので摩擦の影響は小さいが、この摩擦の
影響をより小さくするために、止め輪23とワッシャー
22との間にスラスト軸受けを配設したり、滑りやすい
材質の部材を配設したりする方法がある。このように、
汎用部材を用いることで低コスト化でき、しかも省スペ
ース化や構成の簡素化を実現できる。
【0015】また、図6(a)、(b)は、上記押し付
け部材として磁石を用い、フライホイール20を従動ギ
ヤ18の側面に付勢して押し付ける構成を示す説明図で
ある。図6(a)に示すように、フライホイール20と
ワッシャー22との間に一対の磁石26を互いに同極
(例えば、N極同士)が向かい合うように配設し、磁石
26の反発力を利用して、フライホイール20を従動ギ
ヤ18の側面に付勢して押し付ける。この構成では、フ
ライホイール20とフライホイール側の磁石26bとが
一体となって回転し、ワッシャー22とワッシャー側の
磁石26a及び止め輪23とが従動軸19と一体となっ
て回転する。この結果、フライホイール20と従動ギヤ
18とに回転速度差がある起動時や減速時でも、ワッシ
ャー側の磁石26aとフライホイール側の磁石26bと
が非接触で回転するため、押し付け部材側の摩耗や摩擦
(例えば、止め輪23とワッシャー22との間での摩
耗)の心配はなく、信頼性が高く、長寿命のプリンタに
使用できる。なお、磁石の反発力ではなく、吸引力を利
用してフライホイール20を従動ギヤ18の側面に付勢
して引き付けることもできる。例えば、図6(b)に示
すように、従動ギヤ18の側面に鉄板27を貼り付け、
フライホイール20の従動ギヤ側の面にざぐり加工を施
して磁石28を配置することで、吸引力を摩擦抗力とし
て使用できる。この構成では、従動軸19を短くするこ
とができ、プリンタ本体の省スペース化が可能となる。
【0016】また、本実施形態に係るプリンタでは、従
動ギヤ18のフライホイール20と接触する接触面材質
を銅系の金属よりも柔らかい材質、例えばポリアセター
ル(POM)等のプラスチックとしている。図3におい
て、フライホイール20と従動ギヤ18との接触面Sで
は、起動時や減速時にすべりを発生させるので、上記接
触面材質をすべり易いプラスチック等の樹脂を用いるこ
とで、滑らかな起動減速が可能となる。また、磨耗粉が
発生しても、銅系の金属に比べ柔らかいので、この磨耗
紛によってギヤの歯面を傷つけたり、キューと鳴くよう
な異音を発生したりすることがない。なお、従動ギヤ全
体をプラスチック等の樹脂材料で構成してもよい。さら
に、フライホイールの接触面部をポリアセタール等のプ
ラスチック材料で構成してもよい。
【0017】ここで、従動ギヤ全体をプラスチック等の
樹脂材料で構成すると、例えば金属材料からなるギヤに
比べて強度が弱い。このため、フライホイール20を従
動ギヤ18の側面に押し付けると、従動ギヤ18が反対
面側に変形してしまう。特に、近年では歯先が高精度に
なっているため、この従動ギヤ18の変形によって、駆
動ギヤ17との間で片当たりが発生し、ギヤ外乱トルク
が大きくなってしまう。そこで、図7に示すように、フ
ライホイール20を2つ設け、従動ギヤ18の左右両側
からフライホイール20を同じ力で押し付けるように構
成することもできる。これにより、従動ギヤ18の変形
を防ぎ、歯先を高精度に保ったまま、フライホイール2
0の組込みができる。この結果、振動の少ない高精度な
伝達特性を得ることができる。
【0018】また、フライホイールの押し付けによる従
動ギヤの変形を防ぐために、はすばギヤを用いることも
できる。はすばギヤは、伝達トルクや、ねじれ角によっ
て接触している歯面に軸方向のスラスト力が加わる。は
すばギヤをプラスチック等の樹脂材料で構成した場合、
例えば金属材料からなるギヤに比べて強度が弱いため、
歯面に軸方向のスラスト力が加わると変形して撓みやす
い。そこで、図8に示すように、プラスチック等の樹脂
材料からなる従動はすばギヤ29がスラスト力30で撓
む側にフライホイール20を配設し、スラスト力30が
かかる方向と反対方向にフライホイール20を押し付け
る構成とした。非駆動伝達時にはフライホイール20の
押し付け力で従動はすばギヤ29が押し付け方向に若干
撓んで変形するが、駆動はすばギヤ31が回転して駆動
力を伝達すると、従動はすばギヤ29にフライホイール
20の押し付け方向と反対方向にスラスト力30がかか
り、従動はすばギヤ29の変形を補正することが可能と
なる。これにより、従動はすばギヤ29の歯先を高精度
に保ったまま、駆動力の伝達が可能となり、片当りによ
るギヤ外乱トルクの増大を防ぐことが可能となる。この
結果、振動の少ない高精度な伝達特性を得ることが可能
となる。
【0019】なお、フライホイールと従動ギヤとの摩擦
力の大きさを調整して、フライホイールが従動ギヤ(従
動軸)の回転速度に追いつくまでの時間(以下、「起動
時間」という)を変化させることができる。この起動時
間より前は、従動ギヤにはフライホイールのイナーシャ
が加わっていないので、振動が大きいが、フライホイー
ルと従動ギヤとの回転速度が同じになる起動時間以降
は、従動軸側のイナーシャが大きくなり、振動が小さく
なる。この起動時間を遅く、即ちフライホイールと従動
ギヤとの接触部における摩擦力で伝達できる最大回転ト
ルクを小さくすれば、駆動トルクは小さくて済み、駆動
モータを小型化できる。一方、起動時間を短く、即ち摩
擦力で伝達できる最大回転トルクを大きくすれば、その
分モータ容量は大きくなる。このように設計仕様となる
起動時間とモータ容量との関係を設定する際に、摩擦力
を調整して起動時間やモータ容量を設定することができ
る。上記摩擦力は図9に示す構成において、次の数1で
表すことができる。数1中、摩擦力で伝達できる最大回
転トルクをFfmax、静止摩擦係数をμ、押し付け力
(摩擦抗力)をP、平均摩擦半径をr、接触部外径を
D、接触部内径をdとしている。
【数1】Ffmax=μPr=μP(D+d)/4
【0020】上記数1から、摩擦力で伝達できる最大回
転トルクFfmaxは、静止摩擦係数μ、押し付け力
(摩擦抗力)P又は平均摩擦半径rによって変化するこ
とがわかる。
【0021】まず、平均摩擦半径rにより摩擦力で伝達
できる最大回転トルクFfmaxを調整する方法につい
て説明する。図10(a)、(b)は、平均摩擦半径r
を異ならせて摩擦力で伝達できる最大回転トルクFfm
axを調整する場合の説明図である。摩擦係数μと押し
付け力Pとが変化しなければ、平均摩擦半径rが大きい
ほど摩擦力で伝達できる最大回転トルクFfmaxは大
きくなる。図示するように、従動ギヤ32をリブのない
形状とし、リブのない平らな側面となる半径領域では、
フライホイール33の平均摩擦半径を自由に設定するこ
とができる。図10(a)中の平均摩擦半径r1と、図
(b)中の平均摩擦半径r2とは、r1>r2の関係に
あるので、図(a)に示す構成の方が図(b)に示す構
成よりも摩擦力で伝達できる最大回転トルクFfmax
が大きくなっている。このように、平均摩擦半径rによ
り摩擦力で伝達できる最大回転トルクFfmaxを簡単
に調整することができる。この結果、設計仕様となる起
動時間とモータ容量との関係を設定する際に、フライホ
イールと従動ギヤとの平均摩擦半径rにより摩擦力で伝
達できる最大回転トルクFfmaxを調整して起動時間
とモータ容量とを設定することができる。
【0022】次に、フライホイールの従動ギヤに対する
押し付け力(摩擦抗力)Pを調整して摩擦力で伝達でき
る最大回転トルクFfmaxを調整する方法について説
明する。押し付け力Pを調整するには、例えば、図5
(a)において、ゴム24の硬度や厚みを変えて調整す
ることができる。また、図5(b)において、スプリン
グ25の自由長やバネ定数を変えて、押し付け力Pを調
整することもできる。また、弾性体として非線形ばねや
非線形ゴムを用いることで押し付け力の微調整が可能と
なる。これらの非線形ばねや非線形ゴムは、変位量に対
して弾性力が比例して変化せず、例えば、非線形ばねの
長さを縮めていったときに、最初は柔らかいが、徐々に
硬くなる性質を持たせることができるものである。図1
1(a)は、弾性体として非線形ゴムを用いた例を示し
ており、例えばワッシャー22の厚みを変えることで押
し付け力Pの微調整を行なうことができる。また、図1
1(b)は、弾性体を支える従動軸側の部品(止め輪3
5)の位置を変えることで押し付け力Pを簡単に調整す
ることができる構成を示したものである。従動軸36と
止め輪35にネジ溝を設けて止め輪35を従動軸36に
螺合し、止め輪35を回転させて適切な位置にセットす
ることで、無段階で押し付け力Pの調整を行なうことが
できる。また、図11(b)において、フライホイール
33の従動ギヤ32との接触面を平面ではなく曲面と
し、かつ、ある程度弾性変形可能な部材で構成しておく
ことにより、止め輪35のセット位置による押し付け力
Pの調整に加えて、接触面積や平均摩擦半径を同時に変
化させることもできる。このよに、フライホイール33
の従動ギヤ32に対する押し付け力(摩擦抗力)Pを簡
単に調整することができる。この結果、設計仕様となる
起動時間とモータ容量との関係を設定する際に、フライ
ホイールの従動ギヤに対する押し付け力(摩擦抗力)P
により摩擦力で伝達できる最大回転トルクFfmaxを
調整して起動時間とモータ容量とを設定することができ
る。
【0023】次に、フライホイールと従動ギヤとの接触
部における静止摩擦係数μを調整して摩擦力で伝達でき
る最大回転トルクFfmaxを調整する方法について説
明する。静止摩擦係数μを調整する方法としては、フラ
イホイールと従動ギヤとの接触部で少なくとも一方の表
面粗さを変えたり、いずれか一方に摩擦用接触シートを
貼ったり、接触部に潤滑剤を塗布したりする方法があ
る。図12は、従動ギヤ32の側面に摩擦用接触シート
37を貼付した構成を示す。このように、フライホイー
ル33と従動ギヤ32との接触部における静止摩擦係数
μを簡単に調整することができる。この結果、設計仕様
となる起動時間とモータ容量との関係を設定する際に、
フライホイールと従動ギヤとの接触部における静止摩擦
係数μにより摩擦力で伝達できる最大回転トルクFfm
axを調整して起動時間とモータ容量とを設定すること
ができる。
【0024】なお、本実施形態では、駆動伝達機構を感
光体ドラムの駆動に適用した構成について説明したが、
感光体ベルトを駆動する駆動ローラの駆動伝達機構に適
用できることはもちろんである。
【0025】以上本実施形態によれば、上記駆動伝達装
置において、上記押し付け手段を弾性部材としてのゴム
やスプリングを用いて構成した。これらのゴムやスプリ
ング等の弾性部材を撓ませて配設することで、弾性部材
の弾性力が常時フライホールと従動ギヤ側面とを押し付
ける押し付け力として働く。この押し付け力がフライホ
イールと従動ギヤ側面との間で摩擦力を発生させ、フラ
イホイールと従動ギヤとの加減速時の滑りと、定速時の
摩擦による締結が行える。このように、弾性部材を用い
ることで、フライホイールと従動ギヤとの締結・切り離
しを簡単な構成で実現できる。また、上記駆動伝達装置
において、上記押し付け手段を磁石を用いて構成した。
磁石による反発力や吸引力を常時フライホールと従動ギ
ヤ側面とを押し付ける押し付け力として作用させること
ができる。よって、上記弾性部材を用いた場合と同様に
フライホイールと従動ギヤとの締結・切り離しを簡単な
構成で実現できる。また、反発力や吸引力は非接触で発
生させることができるので摩耗が生じず、長寿命化でき
る。また、上記駆動伝達装置において、上記従動ギヤと
接触する慣性体としてのフライホイール表面部と、上記
フライホイールと接触する従動ギヤ側面部の少なくとも
一方を、銅系の金属材料よりも柔らかい材料を用いて構
成した。よって、起動時や減速時に発生するフライホイ
ールと従動ギヤとの間での滑りに対して、異音が発生し
たり、磨耗紛がギヤ面を傷つけたりすることがなく、滑
らかな滑り動作が行える。従って、起動時や減速時にお
いて騒音がなく、また、高精度な駆動伝達ができる。ま
た、上記駆動伝達装置において、上記慣性体としてのフ
ライホイールを2つ設け、2つのフライホイールを上記
従動ギヤの両側面から挟み込んで押し付けるように構成
した。よって、軸方向の押し付け力が、従動ギヤの両側
から加わる形になり、これら双方の力を同じにしておく
ことで従動ギヤの倒れ変形を防止することができる。従
って、高精度にギヤ歯面を維持することでき、振動の少
ない高精度な伝達特性を保つことができる。また、上記
駆動伝達装置において、上記駆動ギヤと上記従動ギヤと
をはすばギヤを用いて構成し、該駆動ギヤによる駆動伝
達により該従動ギヤにスラスト力がかかる方向側に上記
慣性体としてのフライホイールを配設し、該従動ギヤに
対して該フライホイールを該スラスト力がかかる方向と
反対方向に押し付けるように構成した。よって、駆動伝
達によって生じるはすばギヤのスラスト力により、フラ
イホイールの押し付け力で生じる従動ギヤの変形を補正
することが可能となる。従って、高精度にギヤ歯面を維
持することができ、振動の少ない高精度な伝達特性を保
つことが可能となる。また、上記駆動伝達装置におい
て、上記慣性体としてのフライホイールと上記従動ギヤ
との接触半径としての平均摩擦半径rの大きさを調整し
て上記摩擦力で伝達し得る回転トルクの大きさを設定し
た。摩擦力で伝達できる最大回転トルクをFfmax、
静止摩擦係数をμ、押し付け力(摩擦抗力)をP、平均
摩擦半径をrとすると、摩擦力で伝達できる最大回転ト
ルクはFfmax=μPrで表すことができる。よっ
て、平均摩擦半径rを調整することで、加減速時におけ
るフライホイールの従動ギヤに対する滑りを調整でき
る。従って、トレードオフの関係である加減速時のトル
クと立ち上がり時間の関係を簡単に調整することができ
る。また、上記駆動伝達装置において、上記押し付け手
段による上記慣性体としてのフライホイールと上記従動
ギヤとの押し付け力Pの大きさを調整して上記摩擦力で
伝達し得る回転トルクの大きさを設定した。よって、上
記関係式から押し付け力Pを調整することで、加減速時
におけるフライホイールの従動ギヤに対する滑りを調整
できる。従って、トレードオフの関係である加減速時の
トルクと立ち上がり時間の関係を簡単に調整することが
できる。また、上記駆動伝達装置において、上記慣性体
と上記従動ギヤとの接触部の摩擦係数μを調整して上記
摩擦力で伝達し得る回転トルクの大きさを設定した。よ
って、上記関係式から摩擦係数μを調整することで、加
減速時におけるフライホイールの従動ギヤに対する滑り
を調整できる。従って、トレードオフの関係である加減
速時のトルクと立ち上がり時間の関係を簡単に調整する
ことができる。
【0026】〔実施形態2〕上記実施形態1では、慣性
体を従動軸に回動支持し、この慣性体を従動軸に固設し
た従動ギヤに摩擦力で締結して駆動伝達する構成につい
て説明したが、従動ギヤを従動軸に回動支持し、この従
動ギヤを従動軸に固設した慣性体に摩擦力で締結して駆
動伝達する構成とすることもできる。図13は、本実施
形態に係る振動モデルの説明図である。また、図14は
振動モデルの具体的構成を示す説明図である。図14に
おいて、モータ16の駆動軸16aに連結された駆動ギ
ヤ17と噛合うように、従動ギヤ38を従動軸39に回
動し得るように設ける。従動軸39上には感光体ドラム
5(不図示)が連結されている。また、慣性体としての
フライホイール40が従動軸39に固設されている。そ
して、従動ギヤ38を、押し付け部材41、ワッシャー
42及び止め輪43によってフライホイール40の側面
に押し付けて、摩擦力によって回転するように拘束す
る。ただし、起動時や減速時には、従動ギヤ38に対し
てフライホイール40が滑って遅れて動作するように、
従動ギヤ38とフライホイール40との摩擦力を設定し
ておく。
【0027】ここで、定常時における外乱トルクを上記
実施形態1では慣性体を含む従動軸のイナーシャ効果で
低減しているが、本実施形態2でも、摩擦力を実施形態
1の場合と同じ値にすれば、同じようにイナーシャ効果
で外乱トルクを低減することができる。また、本実施形
態2では、摩擦力を弱い方向へ調整し、高周波数成分に
関して滑らすようにすることで、外乱トルクのような高
周波帯域での応答性を低下させ、上記イナーシャ効果に
加えて、摩擦作用で振動の低減を図ることもできる。特
に外乱トルクの原因となるギヤの噛合い周波数は、濃度
ムラであるバンディングとして人間の目にとって目立つ
周波数帯である。この周波数の振動を抑えることで、画
質向上が可能となる。また、加減速時は、従動軸を含む
慣性体が従動ギヤに対して滑るので、大きなモータトル
クを必要とせず、省エネ駆動ができる。また、小型のモ
ータで間に合うので駆動機構部の省スペース化が図ら
れ、製品の小型化にも貢献する。
【0028】なお、本実施形態2に係るプリンタの駆動
伝達機構において、押し付け部材として上記実施形態1
で説明したようなゴムやスプリング等の弾性体を用いた
り、磁石を用いた構成を適用することができる。また、
従動ギヤの変形を防ぐために上記実施形態1で説明した
ように従動ギヤをフライホイールで挟み込む構成やはす
ばギヤを用いる構成とすることもできる。また、上記実
施形態1で説明したように、摩擦係数μ、平均摩擦半径
r、押し付け力Pにより摩擦力で伝達し得る回転トルク
の大きさを調整する構成を適用することもできる。さら
に、駆動伝達機構を感光体ドラムの駆動に適用した構成
について説明したが、感光体ベルトを駆動する駆動ロー
ラの駆動伝達機構に適用できることはもちろんである。
【0029】
【発明の効果】請求項1及び2の発明によれば、駆動源
が駆動ギヤの回転を開始すると、従動ギヤが回転し始め
るが、従動軸に固設された慣性体は滑るため従動ギヤと
一体には回転せず、従動軸回りの慣性モーメントは小さ
い状態にある。したがって、上記従動軸の起動時間が短
縮される。言いかえれば、起動時に上記駆動源の起動ト
ルクが少なくて済む。この結果、上記駆動源が小型化、
低コスト化される。そして、上記摩擦力で上記慣性体が
上記従動ギヤと一体で回転すると上記従動軸も一体で回
転し、従動軸回りの慣性モーメントが大きくなり、従動
軸の回転の安定性が保たれる。また、従動ギヤの減速時
に、慣性体の慣性力が、従動ギヤと慣性体との間の静止
摩擦力によって慣性体を減速させる従動ギヤの回転トル
クよりも大きくなると、慣性体は滑って従動ギヤと一体
には回転せず、従動軸回りの慣性モーメントは小さい状
態となる。このように、簡易な構成で、従動軸回りの慣
性モーメントの大きさを切替えることができるので、例
えば遠心クラッチを用いた従来構成に比べ、構成が簡単
となり、低コスト化、省スペース化が図れる。また、振
動源となる従動ギヤに直接慣性体を押し付けて一体で回
転させることで振動を根元から抑えることができる。な
お、伝達機構部の中に回転方向の力を受ける弾性部材を
組み込んで前記剛性Kを小さくする構成とは異なるの
で、回転負荷による回転偏差が生じることはない。ま
た、特に請求項2の発明によれば、高周波数帯域の従動
ギヤ振動を慣性体に伝達しないで遮断する(滑らす)よ
うに摩擦力を弱めに設定しておくことで、高周波数の振
動の低減化が可能となる。また、請求項11の発明によ
れば、ギヤ歯の噛み合い周期等での速度変動から生じる
振動を低減でき、像担持体の安定した回転が得られ肉眼
で目立つ帯域の濃度ムラを防いで高品質な画像を形成す
ることができる。また、駆動源や駆動伝達手段を小型
化、低コスト化できるので、画像形成装置の小型化、省
エネルギ化及び低コスト化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】振動モデルの説明図。
【図3】駆動伝達機構の概略構成図。
【図4】(a)は、駆動ギヤの回転速度の変化を示すグ
ラフ。(b)は、従動ギヤの回転速度の変化を示すグラ
フ。(c)は、フライホイールの回転速度の変化を示す
グラフ。(d)は、モータトルクの変化を示すグラフ。
(e)は、摩擦力による回転トルクの変化を示すグラ
フ。
【図5】(a)は、押し付け部材としてゴムを用いた構
成の説明図。(b)は、押し付け部材としてスプリング
を用いた構成の説明図。
【図6】(a)は、押し付け部材として磁石の反発力を
利用する構成の説明図。(b)は、押し付け部材として
磁石の吸引力を利用する構成の説明図。
【図7】従動ギヤを2つのフライホイールで挟み込む構
成の説明図。
【図8】駆動ギヤと従動ギヤとをはすばギヤを用いて構
成した説明図。
【図9】摩擦力による回転トルクの説明図。
【図10】(a)は、平均摩擦半径r1が大きい構成の
摩擦力による回転トルクの説明図。(b)は、平均摩擦
半径r2が小さい構成の摩擦力による回転トルクの説明
図。
【図11】(a)は、弾性体として非線形ゴムを用いた
構成の摩擦力による回転トルクの説明図。(b)は、弾
性体としてのゴムを支える部品(止め輪)の位置を変え
るて押し付け力を調整する構成の摩擦力による回転トル
クの説明図。
【図12】従動ギヤの側面に摩擦用接触シートを貼付し
た構成の摩擦力による回転トルクの説明図。
【図13】他の実施形態に係る振動モデルの説明図。
【図14】他の実施形態に係る振動モデルの駆動伝達機
構の概略構成図。
【図15】従来技術に係る駆動伝達機構の概略構成図
【符号の説明】
1 プリンタ 5 感光体ドラム 8 現像器 16 モータ 16a モータの駆動軸 17 駆動ギヤ 18 従動ギヤ 19 従動軸 20 フライホイール 21 押し付け部材 22 ワッシャー 23 止め輪 24 ゴム 25 スプリング 26 磁石

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動源に連結されて回転駆動される駆動軸
    と、該駆動軸に固設された駆動ギヤと、従動軸と、該駆
    動ギヤの回転駆動力を伝達して該従動軸を回転駆動する
    従動ギヤとを有する駆動伝達装置において、上記従動ギ
    ヤが上記従動軸に固設して支持されるように構成すると
    ともに、該従動軸に回動自在に支持された慣性体と、該
    慣性体を従動ギヤ側面に押し付ける押し付け手段とを有
    し、該慣性体と該従動ギヤ側面との間に生じる摩擦力で
    該慣性体を回転させ、該従動ギヤの加減速時の少なくと
    も初期期間は該慣性体が該従動ギヤに対して滑り、且つ
    該従動ギヤの定速時は該慣性体と該従動ギヤとが一体で
    回転し得るように該摩擦力の大きさを設定したことを特
    徴とする駆動伝達装置。
  2. 【請求項2】駆動源に連結されて回転駆動される駆動軸
    と、該駆動軸に固設された駆動ギヤと、従動軸と、該駆
    動ギヤの回転駆動力を伝達して該従動軸を回転駆動する
    従動ギヤとを有する駆動伝達装置において、上記従動ギ
    ヤが上記従動軸に回動自在に支持されるように構成する
    とともに、該従動軸に固設された慣性体と、従動ギヤ側
    面を該慣性体に押し付ける押し付け手段とを有し、該慣
    性体と該従動ギヤ側面との間に生じる摩擦力で該慣性体
    と該従動軸とを回転させ、該従動ギヤの加減速時の少な
    くとも初期期間は該慣性体が該従動ギヤに対して滑り、
    且つ該従動ギヤの定速時は該慣性体と該従動ギヤとが一
    体で回転し得るように該摩擦力の大きさを設定したこと
    を特徴とする駆動伝達装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の駆動伝達装置において、
    上記押し付け手段を弾性部材を用いて構成したことを特
    徴とする駆動伝達装置。
  4. 【請求項4】請求項1又は2の駆動伝達装置において、
    上記押し付け手段を磁石を用いて構成したことを特徴と
    する駆動伝達装置。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3又は4の駆動伝達装置に
    おいて、上記従動ギヤと接触する慣性体表面部と、上記
    慣性体と接触する従動ギヤ側面部の少なくとも一方を、
    銅系の金属材料よりも柔らかい材料を用いて構成したこ
    とを特徴とする駆動伝達装置。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4又は5の駆動伝達装
    置において、上記慣性体を2つ設け、該2つの慣性体を
    上記従動ギヤの両側面から挟み込んで押し付けるように
    構成したことを特徴とする駆動伝達装置。
  7. 【請求項7】請求項1、2、3、4又は5の駆動伝達装
    置において、上記駆動ギヤと上記従動ギヤとをはすばギ
    ヤを用いて構成し、該駆動ギヤによる駆動伝達により該
    従動ギヤにスラスト力がかかる方向側に上記慣性体を配
    設し、該従動ギヤに対して該慣性体を該スラスト力がか
    かる方向と反対方向に押し付けるように構成したことを
    特徴とする駆動伝達装置。
  8. 【請求項8】請求項1、2、3、4、5、6又は7の駆
    動伝達装置において、上記慣性体と上記従動ギヤとの接
    触半径の大きさを調整して上記摩擦力で伝達し得る回転
    トルクの大きさを設定したことを特徴とする駆動伝達装
    置。
  9. 【請求項9】請求項1、2、3、4、5、6又は7の駆
    動伝達装置において、上記押し付け手段による上記慣性
    体と上記従動ギヤとの押し付け力の大きさを調整して上
    記摩擦力で伝達し得る回転トルクの大きさを設定したこ
    とを特徴とする駆動伝達装置。
  10. 【請求項10】請求項1、2、3、4、5、6又は7の
    駆動伝達装置において、上記慣性体と上記従動ギヤとの
    接触部の摩擦係数を調整して上記摩擦力で伝達し得る回
    転トルクの大きさを設定したことを特徴とする駆動伝達
    装置。
  11. 【請求項11】表面に静電潜像を形成し周方向に回転移
    動する像担持体と、駆動源からの回転駆動力を該像担持
    体に伝達する駆動伝達手段と、該像担持体上の静電潜像
    を顕像化する現像手段と、顕像化されるトナー像を記録
    材に転写する転写手段と、転写される記録材上のトナー
    像を定着する定着手段とを有する画像形成装置におい
    て、上記駆動伝達手段として、請求項1、2、3、4、
    5、6、7、8、9又は10に記載の駆動伝達装置を用
    いることを特徴とする画像形成装置。
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