JP2004156746A - 駆動伝達装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ギヤ伝動機構部において、はすばギヤで発生するスラスト力を利用して、従動側のギヤに摩擦負荷トルクを与えることにより、簡単な構成で且つ部品加工精度を高くすることなく、ギヤ噛合い周期や外部負荷変動による回転ムラを低減すること。
【解決手段】モータ等の駆動源の駆動軸と、画像形成装置等の被駆動装置に連結される従動軸と、前記駆動軸から従動軸にトルクを伝達する少なくとも駆動ギヤと従動ギヤとを有するギヤ伝動機構部とからなる駆動伝達装置において、前記ギヤ伝動機構部を構成するそれぞれのギヤははすばギヤからなり、前記従動ギヤはその回転軸線方向に移動自在に支承されており、前記駆動源により前記従動軸が駆動されるとき、前記従動ギヤは、はすばギヤで発生するスラスト力を受けてその回転軸方向に移動されて、回転しない固定部と接触部において摺動接触することにより、前記従動ギヤに摩擦負荷トルクが付与され、前記従動軸の回転ムラを低減することができるよう構成すること。
【選択図】 図1
【解決手段】モータ等の駆動源の駆動軸と、画像形成装置等の被駆動装置に連結される従動軸と、前記駆動軸から従動軸にトルクを伝達する少なくとも駆動ギヤと従動ギヤとを有するギヤ伝動機構部とからなる駆動伝達装置において、前記ギヤ伝動機構部を構成するそれぞれのギヤははすばギヤからなり、前記従動ギヤはその回転軸線方向に移動自在に支承されており、前記駆動源により前記従動軸が駆動されるとき、前記従動ギヤは、はすばギヤで発生するスラスト力を受けてその回転軸方向に移動されて、回転しない固定部と接触部において摺動接触することにより、前記従動ギヤに摩擦負荷トルクが付与され、前記従動軸の回転ムラを低減することができるよう構成すること。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、駆動軸と従動軸とギヤ伝動機構部からなり、モータ等の駆動軸からギヤ伝動機構部を介して従動軸を精度良く回転駆動させるための駆動伝達装置に関するものであり、複写機やプリンタ等の感光体ドラムを有する画像形成装置の駆動系に使用されるだけでなく、ギヤ伝動機構部で発生する噛合い周期の回転ムラを抑制して、従動軸を精度良く回転する必要のある幅広い分野の駆動系に応用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置の感光体ドラム等に連結される従動軸の回転ムラを低減する駆動伝達装置にあっては、その従動軸に結合された従動ギヤに負荷手段を接続して、ギヤ伝動機構部のギヤに対して負荷をかけることにより、各ギヤの歯面同士が離れないように(換言すれば、バックラッシ分ガタつかないように)して、高精度で回転させるものが既に提案されている(特開平5−107828号公報参照)。
この従来の駆動伝達装置について、図10を参照しながら具体的に説明する。この駆動伝達装置は、駆動モータ47の駆動軸に一体化された駆動ギヤ41が中間ギヤ42を介して従動ギヤ43に駆動力を伝達し、この従動ギヤ43は感光体ドラム49に連結される従動軸と同軸状に一体化されている。また、従動ギヤ43は別の中間ギヤ44,45を介して被駆動負荷48の入力ギヤ46に駆動力を伝達するようになっている。
【0003】
この駆動モータ47、駆動ギヤ41、中間ギヤ42及び従動ギヤ43から構成される感光体ドラム駆動機構では、従動ギヤ43に対して中間ギヤ44,45を介して大きな被駆動負荷48が接続されているため、駆動ギヤ41、中間ギヤ42及び従動ギヤ43の各ギヤの歯面上に加わる負荷が増大するだけでなく、従動ギヤ43と一体の感光体ドラム49に対しても、大きな負荷が加わることになる。このため、前記各ギヤの歯面同士の飛び跳ねがなくなり、従動ギヤ43の回転ムラを低減することができるばかりでなく、記録用紙が感光体ドラム49に接した際の衝撃のようなある程度の外力が感光体ドラムの回転方向に加わった場合でも、感光体ドラムがモータからの駆動トルクを越えて速く回転するようなことはなくなり、感光体ドラムの回転ムラに起因する画質低下を防止することができる。
【0004】
また、別の従来技術として、駆動伝達装置のギヤの歯面精度を高精度に加工することにより、歯面同士が飛び跳ねないようにして回転ムラを低減することも提案されている。
【0005】
【従来技術の問題点】
上記従来の駆動伝達装置の場合には、従動ギヤ43に負荷を加えるための負荷機構が必要となり、装置の小型化や省エネルギー化が必要な製品には、そのような負荷機構を配置できない場合がある。また、仮に配置できるとしても、必要な大きさの負荷を加えることができない場合もある。
また、歯面精度を高精度に加工することにより、歯面同士が飛び跳ねないようにして回転ムラを低減する上記別の従来技術の場合は、歯面精度を高くする必要があるので製造コストが高くなり、製品への搭載を考えると実用的な手段では必ずしもない。
このように、従来技術では、歯面精度や外部負荷変動による噛合い周期の回転ムラを簡単な構成で低減することはできないし、また部品精度を高くしなければこの回転ムラを低減することができないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の課題は、従来技術の問題を解消すべく、ギヤ伝動機構部において、はすばギヤで発生するスラスト力を利用して、従動側のギヤに摩擦負荷トルクを与えることにより、簡単な構成で且つ部品加工精度を高くすることなく、ギヤ噛合い周期や外部負荷変動による回転ムラを低減することであり、また、画像形成装置において、駆動系として、はすばギヤで発生するスラスト力を利用して従動側のギヤに摩擦負荷トルクを与えるギヤ伝動機構部を使用することにより、製造コストを抑えると共に、小型化、省エネルギー化を図りながら、画像成形用の回転体の回転ムラを低減して、画像の濃度ムラ(バンディング)を防止し画質の向上を図ることである。
【0007】
【課題解決のために講じた手段】
【解決手段】(請求項1に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段は、モータ等の駆動源の駆動軸と、画像形成装置等の被駆動装置に連結される従動軸と、前記駆動軸から従動軸にトルクを伝達する少なくとも駆動ギヤと従動ギヤとを有するギヤ伝動機構部とからなる駆動伝達装置を前提として、
上記ギヤ伝動機構部を構成するそれぞれのギヤははすばギヤからなり、上記従動ギヤはその回転軸線方向に移動自在に支承されており、
上記駆動源により前記従動軸が駆動されるとき、前記従動ギヤは、はすばギヤで発生するスラスト力を受けてその回転軸方向に移動されて、回転しない固定部と接触部において摺動接触することにより、前記従動ギヤに摩擦負荷トルクが付与され、前記従動軸の回転ムラを低減することができるよう構成することである。
【0008】
【作用】
モータ等の駆動源により駆動ギヤ及び従動ギヤを介して従動軸が駆動されると、従動ギヤは、はすばギヤで発生するスラスト力を受けその回転軸線方向に移動し、接触部において回転しない固定部と摺動接触して摩擦負荷トルクを付与される。これにより、駆動ギヤと従動ギヤに摩擦負荷が加わり、各ギヤの歯面同士を押さえ付ける力が増大することになり、歯面同士の飛び跳ねを防止し、また、歯面上の小さな凹凸は押されて変形することにより、前記従動軸において、噛合い周期の回転ムラを低減することができ、外部負荷変動による回転ムラも低減することができる。
【0009】
【実施態様1】(請求項2に対応)
実施態様1は、上記解決手段において、接触部の半径、はすばギヤのねじり角、又は接触部での摩擦係数を増減することにより、従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクを調整することである。
【作用】
上記実施態様1において、はすばギヤのねじり角を増減させれば、それに応じて従動ギヤが受けるスラスト力を増減する。その結果、従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクを増減することができる。また、上記実施態様1において、接触部の半径、又は接触部での摩擦係数を増減させれば、従動ギヤの受けるスラスト力が一定であっても、従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクを増減することができる。
【0010】
【実施態様2】(請求項3に対応)
実施態様2は、上記解決手段において、従動ギヤと回転しない固定部とが摺動接触する接触部を、前記従動ギヤと固定部に対してどのように形成するかを特定するものである。
【0011】
【実施態様3】(請求項4に対応)
実施態様3は、上記解決手段及び実施態様1、実施態様2において、従動ギヤが受けるスラスト力にさらに磁力による力を加えることにより、従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクを調整することである。
【作用】
上記磁力による力は、はすばギヤで発生するスラスト力に対してさらに付加することができるものである。そして、磁石を電磁石により構成すれば、磁力によって付加する力を簡単に調整することができる。
【0012】
【実施態様4】(請求項5に対応)
実施態様4は、上記解決手段及び実施態様1乃至実施態様3において、従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクの大きさを、歯形誤差や歯すじ誤差等のギヤの形状精度に応じて設定することである。
【作用】
従動軸に発生する回転ムラは、ギヤの形状精度の大小に応じて変動するものであり、ギヤの形状精度が低下すればそれに伴って回転ムラは増大する。これを抑制するためには、従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクを増加させて、回転ムラの増大分を減らす必要がある。そこで、ギヤの形状精度に応じて摩擦負荷トルクの設定を変更すれば、回転ムラを所定の小さい範囲に保つことができる。
【0013】
【実施態様5】(請求項6に対応)
実施態様5は、上記解決手段及び実施態様1乃至実施態様4において、駆動ギヤと従動ギヤとの間に中間ギヤを介在させるものである。この場合、中間ギヤの個数には制限がなく、多段ギヤとすることも可能である。
【作用】
上記中間ギヤを介在させることにより、上記駆動軸と従動軸の変速比、軸間距離、回転方向等を自由に変更することができる。
【0014】
【実施態様6】(請求項7に対応)
実施態様6は、上記解決手段及び実施態様5において、接触部が設けられる領域と、画像形成装置等の被駆動装置が設けられる領域とを隔離するために筐体を設けたものである。
【作用】
従動ギヤと回転しない固定部とは接触部において摺動接触するため、前記接触部では、必ず各摺動部材の磨耗による微粒子が発生する。この微粒子は、特に、画像形成装置等の被駆動装置に侵入してその動作や性能に対して種々の悪影響を及ぼす。そこで、接触部が設けられている領域と被駆動装置が設けられている領域とを隔離して、微粒子の侵入を防止することにより、画像形成装置等の被駆動装置の性能の低下や故障の発生を回避する。
【0015】
【実施態様7】(請求項8に対応)
実施態様7は、上記解決手段、実施態様2及び実施態様5において、従動ギヤと回転しない固定部とが摺動接触する接触部が、従動ギヤの径方向のどの位置に置かれるかを特定するものである。
【作用】
上記従動ギヤは、はすばギヤで発生するスラスト力を受けて、その外周部分において弾性変形するため、歯面精度が低下する。この現象は、合成樹脂製の大径ギヤにおいて特に顕著に表れるが、上記接触部を、従動ギヤのギヤ歯噛合い部の近傍(ギヤ外周部の近傍)において、上記弾性変形を抑制する方向に設けることにより、当該弾性変形によって歯面精度が低下することを防止できる。
【0016】
【実施態様8】(請求項9に対応)
実施態様8は、上記実施態様7において、ギヤ伝動機構部のギヤの材質を合成樹脂に特定するものである。
【0017】
【実施態様9】(請求項10に対応)
実施態様9は、画像形成装置において、画像形成用の回転体を回転駆動する駆動伝達装置として、上記解決手段及び実施態様1乃至実施態様8のいずれかのものを用いることである。
【作用】
画像形成装置において、画像形成用の回転体を上記解決手段及び実施態様1乃至実施態様8のいずれかの駆動伝達装置を用いて回転駆動することによって、前記画像形成用の回転体に発生する回転ムラを低減して、濃度ムラの少ない高画質の画像を形成することができる。
【0018】
【実施の形態】
次に、この駆動伝達装置に係る発明の実施の形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。
【0019】
〔実施形態1〕
先ず、実施形態1(請求項1に対応)について、図1及び図2を参照しながら説明する。
駆動ギヤ1は駆動モータ2の駆動軸3に結合され、この駆動モータ2はベース部4に固定される。従動ギヤ5は従動軸6に結合され、この従動軸6は前記ベース部4に組み込まれている軸受ユニット部7により支承されている。駆動ギヤ1と従動ギヤ5は共にはすばギヤからなり、相互に噛み合ってギヤ伝動機構部を構成する。前記従動ギヤ5と従動軸6との結合は、従動ギヤ5の従動ギヤフランジ部5aと従動軸6の従動軸フランジ6aを合わせてネジ等で締結することによって行われる。前記軸受ユニット部7は軸受を備えており、従動軸6をその半径方向(ラジアル方向)に拘束するが、その回転軸方向(スラスト方向)には拘束しないため、この従動軸6は軸受ユニット部7により回転自在に且つ回転軸方向に摺動自在に支承される。
【0020】
そして、前記従動ギヤ5と回転しないベース部4(固定部)とは、接触部Aにおいて摺動接触することにより、前記従動ギヤ5に摩擦負荷トルクを与えるように構成されている。なお、前記ベース部4は、図示しない画像形成装置等の被駆動装置本体に取り付けられる。
【0021】
はすばギヤからなるギヤ伝動達機構部では、回転を滑らかに伝達するためにギヤ歯にねじり角を与えて、噛合い歯が常時2歯以上噛合っており、回転駆動時には回転方向の力の他に回転軸方向のスラスト力も発生するものである。このスラスト力は、従来のギヤ伝動機構部では軸受によって支持されるのが普通であるが、本発明では、このスラスト力を利用して従動ギヤ5を移動させることにより、従動ギヤ5と回転しないベース部(固定部)4とを接触部Aにおいて摺動接触させる。このとき、該スラスト力はベース部4により支持されることになる。これにより、前記従動ギヤ5とベース部4との間には摩擦力が発生し、前記従動ギヤ5には摩擦負荷トルクが付与されて、駆動ギヤ1と従動ギヤ5のギヤ歯にも負荷が加わることになる。この負荷によって各ギヤの歯面同士を押さえ付ける力(摩擦負荷)が加わることになり、歯面同士の飛び跳ねが防止できると共に、歯面上の小さな凹凸は押されて変形することにより、噛合い周期での回転ムラが低減して滑らかに回転する。
【0022】
図1では、従動ギヤ5が回転自在で且つ回転軸方向(スラスト方向)に摺動自在に支承される機構として、従動軸6が軸受けユニット7に対して回転軸方向に摺動できるものを示したが、このような構成に限定されるものではない。即ち、従動軸6が軸受けユニット7により回転軸方向にも拘束され、この拘束された従動軸6に対して従動ギヤ5が回転軸方向に摺動できる(例えば、スプライン等を用いる)ものでもよい。
図2は、摩擦負荷トルクに対する噛合い周期の回転ムラの実測値を示しており、このように摩擦負荷トルクを加えて回転駆動させることにより、駆動ギヤ1と従動ギヤ5間の噛合い周期の回転ムラ(1ピッチムラ)を小さくして、回転特性を良好なものとすることができる。
【0023】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2(請求項2に対応)について、図3を参照しながら説明する。
上記実施形態1では、はすばギヤによって生じるスラスト力を利用して摩擦負荷を生じさせて、回転ムラを低減する構成について説明した。この摩擦負荷を発生させる摩擦負荷トルクと回転ムラとの関係は、図2に示すように、ある程度の摩擦負荷トルクを与えれば、回転ムラは小さくなるが、必要以上に摩擦負荷トルクを大きくすると、駆動源の負荷を増大するだけでなく、ギヤの寿命にも悪影響を及ぼすので、回転ムラが小さくて摩擦負荷トルクも小さい領域で摩擦負荷を設定する必要がある。
【0024】
はすばギヤについて、スラスト力Fs、駆動力Fr(従動軸に加わる負荷)及びねじり角βは、図3に示す関係にあり、次の式が成立する。
Fs=Fr・tanβ‥‥‥(1)
また、図1に示すように、従動ギヤ5の突出部5bとベース部4(固定部)とがドーナツ形状の接触部Aにおいて、スラスト力Fsで接触した場合の摩擦負荷トルクTfは、接触部Aの摩擦係数をμ、接触部外径をD、接触部内径をdとして、次の式で得られる。
Tf=μ・Fs(D+d)/4‥‥‥(2)
そこで、接触する接触部Aの直径(内径d、外径D)の大きさを調整して最適な摩擦負荷トルクTfを設定することができる。このように、接触する接触部5bの半径(D/2、d/2)を変化させることで、スラスト力Fsが一定でも摩擦負荷トルクTfを簡単に調整でき、最適な摩擦負荷を与えることができる。
【0025】
さらに、摩擦負荷トルクTfの調整は、先に説明した接触部Aの径の変化により行うことができる他に、ねじり角β又は摩擦係数μを変化させることによっても行うことができる。
ねじり角βについてみれば、ねじり角βに対する摩擦負荷トルクTfの関係は、上記式(1)及び(2)に示すように、ねじり角βを変化させるとスラスト力Fsが増減し、これに比例して摩擦負荷トルクTfも増減する。このように、ねじり角βを変化させることで、駆動力Frが一定でも摩擦負荷トルクTfを簡単に調整でき、最適な摩擦負荷を与えることができる。
【0026】
また、摩擦係数μについてみれば、摩擦係数μに対する摩擦負荷トルクTfの関係は、上記式(2)に示すように、摩擦係数μを変化させるとこれに比例して摩擦負荷トルクTfも増減する。摩擦係数μは、接触する部材同士の材質によって簡単に変えることができる。また、表面の粗さや潤滑油の有無によっても変えることができる。例えば、ナイロン製のギヤとスチール製のベース部ではμ=0.09、グリスを加えるとμ=0.05になる。また、スチール製同士にするとμ=0.25となる。このように、摩擦係数μを変化させることで、スラスト力Fsが一定でも摩擦負荷トルクTfを簡単に調整でき、最適な摩擦負荷を与えることができる。
【0027】
〔実施形態3〕
実施形態3(請求項3に対応)について、図1を参照しながら説明する。
上記実施形態1において、従動ギヤ5と回転しない固定部であるベース部4とが摺動接触する接触部Aは、前記従動ギヤ5側又はベース部4のどちらか一方又は双方に突出部を設けることによって構成することができる。図1に示したものは、従動ギヤ5側に突出部5bを設けて接触部Aを構成した一例である。
【0028】
〔実施形態4〕
次に、実施形態4(請求項4に対応)について、図4を参照しながら説明する。
この実施形態4は、上記実施形態1の駆動伝達装置において、はすばギヤで発生するスラスト力Fsに磁気吸引力を付加して、摩擦負荷トルクTfを大きくするものである。駆動力Frとねじり角βから得られるスラスト力Fsだけでは、所定の摩擦負荷トルクTfが得られないような場合、前記スラスト力Fsに更に磁気吸引力を付加して対応する。図4に示すように、従動はすばギヤ5に磁性材10を組み込むが、この磁性材10としては薄い鉄板、又は樹脂に磁性材を含ませたものでも良い。
【0029】
一方、ベース部4(固定部)には、前記磁性材10と対向する位置に該磁性材10を吸引する磁石11を配置する。この磁石11は、永久磁石又は電磁石でもよい。電磁石の場合は、この電磁石に与える電流を調整し、起動時など駆動源に高トルクが要求されるときに摩擦負荷トルクを軽減することができる。このように、従動側の負荷が小さく駆動力Frが小さい場合でも、磁気吸引力によるスラスト力を付加することにより摩擦負荷トルクTfを増大させることができるので、最適な摩擦負荷を与えることができる。また、起動時に磁気吸引力を小さく変化させることで、駆動源の小型化や省エネルギー化にもつながる。
また、磁力による力を付加する構成としては、従動ギヤ5側に磁石11を、ベース部4側に磁性材10を設けてもよい。
【0030】
〔実施形態5〕
実施形態5(請求項5に対応)について、図5を参照しながら説明する。
この実施形態5は、歯形誤差、歯すじ誤差等のギヤの形状精度に対応して従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクの大きさを決めるものである。図2に示すように摩擦負荷トルクに対する回転ムラの実測を行って付与すべき摩擦負荷トルクを求めてもよいが、実測した時と異なるギヤの形状精度になった場合、再度実測するのではなく、ギヤの形状精度の低下した分に応じて、付与すべき摩擦負荷トルクを大きくするように設定するものである。即ち、ギヤの歯面精度が低下すると、歯面同士が飛びやすくなり、また歯面の凹凸が大きくなった分だけ弾性変形を大きくするように、歯面同士の押し付け力(摩擦負荷)を生成する摩擦負荷トルクを増やすことにより対応するものである。これにより、異なる形状精度のギヤの場合でも簡単に従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクを設定をすることができる。
【0031】
〔実施形態6〕
次に、実施形態6(請求項6に対応)について、図6を参照しながら説明する。
この実施形態6は、駆動ギヤ1と最終ギヤ(従動ギヤ)5との間に複数の中間ギヤ13〜中間ギヤ16を介在する多段ギヤ構成からなる駆動伝達装置であって、摩擦負荷トルクを付与するギヤを最終段のギヤ5とするものである。摩擦負荷トルクを最終段のギヤ5に加えることで、最終段のギヤ以外のギヤにも摩擦負荷が加わり、歯面同士の飛び跳ね現象を防ぐことができる。前記多段ギヤ構成の各段に摩擦負荷トルクを付与する機構を設けると、駆動側上流段ギヤには、各段で付与される摩擦負荷トルクが加算されて大きくなり過ぎるため、これを防ぐために最終段のギヤにだけ摩擦負荷トルクを付与するようにしている。
このように、駆動ギヤ1と最終段のギヤ(従動ギヤ)5との間に中間ギヤを介在させることにより、駆動軸と従動軸間の変速比、軸間距離、回転方向等を自由に選択することができる。
【0032】
〔実施形態7〕
実施形態7(請求項7に対応)について、図7を参照しながら説明する。
この実施形態7は、上記実施形態1又は実施形態6の駆動伝達装置において、摩擦負荷トルクを発生させる接触部Aを備える従動ギヤ5と駆動ギヤ1とを含むギヤ伝動機構部からなる部分と、従動軸6に連結されて画像形成装置等の被駆動装置の部分とを別個の筐体内に配置するために、前記接触部Aを備える部分を筐体カバー18により包囲したものである。前記接触部Aでは、従動ギヤ5とベース部4の静止している部分(固定部)とが摺動接触することにより摩擦負荷トルクを発生させているので、摺動接触による磨耗紛が発生することになる。この磨耗紛が画像形成装置等の被駆動装置に侵入しないように筐体により隔離することにより、前記被駆動装置の性能の低下や故障の発生を未然に回避している。
【0033】
〔実施形態8〕
次に、実施形態8(請求項8及び請求項9に対応)について、図8を参照しながら説明する。
この実施態様8は、上記実施形態1の駆動伝達装置において、摩擦負荷トルクを発生させる接触部Aを従動ギヤ5の噛合い部Bの近傍に設けたものである。従動ギヤ5は、はすばギヤで発生するスラスト力を受けて、その外周部分において弾性変形を生じるため、その部分において歯面精度が低下する。ところが、接触部Aを従動ギヤ5の噛合い部Bの近傍において、前記弾性変形を抑制する方向に設けることにより歯面精度の低下を防止することができる。
そして、前記従動ギヤ5を合成樹脂製の大径のものにした場合、特に弾性変形を生じ易く歯面精度を低下するので、前記接触部Aをそのような位置に設けることが有効である。
【0034】
〔実施形態9〕
実施形態9(請求項10に対応)について、図9を参照しながら説明する。
この図9は画像形成装置の内部構造を概略的に示す縦断正面図であり、画像形成装置本体20の一側に給紙カセット21が着脱自在に装着され、この装置本体20の他側には排紙口26が設けられている。この給紙カセット21から排紙口26に至る用紙搬送路27の上方には、感光体ドラム30が回転自在に設けられている。この感光体ドラム30は画像形成用の回転体であり、この回転体は、既に実施形態1〜実施形態8として説明した駆動伝達装置の従動軸6にカップリングを介して連結される。感光体ドラム30の周囲に、それぞれプロセスユニットとしての帯電器31、露光器32、及び現像器33が配列され、さらに転写器34、クリーニング器35、及び除電器36等も配列されている。そして、上記用紙搬送路27に沿って上流から下流に向けて、給紙ローラ22、レジストローラ23、ヒートローラ24aとプレスローラ24bを有する定着器24、及び排紙ローラ25が配列されている。
【0035】
このような構成により、帯電器31によって感光体ドラム30の表面を帯電させ、その部分に露光器32からのレーザー光を走査することで静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム30の回転により、前記静電潜像は現像器33によってトナー画像として現像される。一方、給紙カセット21内の用紙は給紙ローラ22によってレジストローラ23まで引き出され、さらに感光体ドラム30の回転運動に同期回転するレジストローラ23によって感光体ドラム30の下部に給紙される。感光体ドラム30上のトナー画像は転写器34によって給紙された用紙に転写され、その用紙が定着器24を通るときに用紙上に転写された画像が定着される。その後、画像が定着された用紙は排紙ローラ25によって、装置本体20の排紙口26より排出される。
【0036】
このような画像形成装置では、感光体ドラム30の回転速度特性(回転特性、回転ムラ)が画像の品質に直接影響を与えるものであり、駆動モータ2のトルクをギヤ伝動機構部を介して感光体ドラム30に伝達して駆動している場合、ギヤ噛合い周期の回転ムラを低減させることは濃度ムラ(バンディング)という観点で重要なことである。
そこで、濃度ムラに一番影響を及ぼす従動ギヤ5の噛合い周期の回転ムラを低減するために、回転ムラを発生させる原因であるギヤの形状誤差や負荷変動による歯面上の飛び跳ねを小さくするように、歯面を押さえ付ける力となる摩擦負荷トルクを前記従動ギヤ5に付与している。これにより、噛合い周期の回転ムラを低減することができ、濃度ムラの少ない高画質の画像形成が可能となる。
【0037】
このような構成を採用することによって、回転ムラの振動を抑えるために必要とされてきたフライホイールが不要となり、大型のモータを必要とせず、省エネルギーで駆動することができる。また、小型のモータを採用することができるので駆動機構部の省スペース化が図られ、装置の小型化も図られる。
ここまで、画像形成装置の感光体ドラム30に適用した場合について説明したが、同様に感光体ベルトを駆動する駆動ローラの伝達機構部にも適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の効果を主な請求項毎に整理すれば次のとおりである。
(1)請求項1に係る発明の効果
はすばギヤで発生するスラスト力により従動ギヤに摩擦負荷トルクを付与して、駆動ギヤと従動ギヤのギヤ歯にも負荷を加えることにより、簡単な構成で且つ部品加工精度を高くすることなく、歯面同士の飛び跳ねを防止すると共に、歯面上の小さな凹凸は押されて変形されて、噛合い周期での回転ムラを低減して滑らかな回転を得ることができる。
【0039】
(2)請求項2に係る発明の効果
従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクは、接触部の半径、はすばギヤのねじり角、又は接触部の摩擦係数の少なくとも1つを変えることにより、増減することができるので、簡単に最適な摩擦負荷トルクを付与することができる。したがって噛み合い周期での回転ムラを低減するための摩擦負荷の大きさを簡単に調整することができる。
【0040】
(3)請求項4に係る発明の効果
はすばギヤで発生するスラスト力に対して磁力による力を付加することにより、
摩擦負荷トルクを増加することができる。これにより、噛合い周期での回転ムラを抑制するための摩擦負荷の大きさを簡単に調整することができる。また、電磁石を利用して、駆動源の起動時に付加する力を調整することにより、駆動源の小型化、省エネルギー化を図ることもできる。
【0041】
(4)請求項5に係る発明の効果
従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクの大きさを、ギヤの形状精度(歯形誤差、歯すじ誤差)に応じて設定することができるので、ギヤの形状精度が異なる毎に実測して最適な摩擦負荷トルクを求める必要がなくなる。したがって、噛合い周期での回転ムラを低減するための摩擦負荷トルクの大きさを、形状精度の異なるギヤであっても簡単に設定することができる。
【0042】
(5)請求項6に係る発明の効果
摩擦負荷トルクを付与する機構を多段ギヤの最終段に設けることにより、各段のギヤに摩擦負荷トルクが加わるので、それぞれに摩擦負荷機構を設ける必要がない。したがって、多段ギヤ装置における噛合い周期の回転ムラを単純な構成で低減することができる。
【0043】
(6)請求項7に係る発明の効果
摩擦負荷トルクを発生させる接触部が設けられる部分と、従動軸に連結されて作業を行う被駆動装置の部分とを別筐体内に配置することにより、接触部で発生する摩耗紛が、前記被駆動装置の部分に広がらないようにすることができる。したがって、前記被駆動装置をクリーンに保つことができる。
【0044】
(7)請求項8及び請求項9に係る発明の効果
摩擦負荷トルクを発生させる接触部を従動ギヤの噛合い部近傍に設けることにより、スラスト力によってギヤ素材が弾性変形するのを抑えることができる。したがって、はすばギヤの歯面上の弾性変形を防ぎ、高精度な回転を維持することができる。
【0045】
(9)請求項10係る発明の効果
画像形成装置において、画像形成用の回転体を上記請求項1〜請求項9のいずれかの駆動伝達装置を用いて回転駆動することによって、上記画像形成用の回転体に発生する回転ムラを低減して、濃度ムラの少ない高画質の画像形成が可能となる。そして、高精度に加工したギヤを必要としないため製造コストの増加を抑えることができると共に、フライホイールを用いない小型で省エネルギの画像形成装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の駆動伝達装置の正面図であり、実施形態1を示す図である。
【図2】は、駆動伝達装置の摩擦負荷トルクと回転ムラとの関係を示す図である。
【図3】は、はすばギヤにおける駆動力、ねじり角、スラスト力の相互関係を示す図である。
【図4】は、スラスト力に磁力を利用する実施形態4を示す図である。
【図5】は、ギヤの形状精度と摩擦負荷トルクとの関係を示す図である。
【図6】は、中間ギヤを備える実施形態6を示す図である。
【図7】は、筐体カバーを備える実施形態7を示す図である。
【図8】は、接触部が従動ギヤの外周部に設けられた実施形態8を示す図である。
【図9】は、画像形成装置の内部構造を概略的に示す縦断正面図である。
【図10】は、従来の画像形成装置の駆動系を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1:駆動ギヤ
2:駆動モータ
3:駆動軸
4:ベース部
5:従動ギヤ
6:従動軸
7:軸受けユニット部
10:磁性材
11:磁石
13〜16:中間ギヤ
18:筐体カバー
24:定着器
30:感光体ドラム
33:現像器
34:転写器
【産業上の利用分野】
本発明は、駆動軸と従動軸とギヤ伝動機構部からなり、モータ等の駆動軸からギヤ伝動機構部を介して従動軸を精度良く回転駆動させるための駆動伝達装置に関するものであり、複写機やプリンタ等の感光体ドラムを有する画像形成装置の駆動系に使用されるだけでなく、ギヤ伝動機構部で発生する噛合い周期の回転ムラを抑制して、従動軸を精度良く回転する必要のある幅広い分野の駆動系に応用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置の感光体ドラム等に連結される従動軸の回転ムラを低減する駆動伝達装置にあっては、その従動軸に結合された従動ギヤに負荷手段を接続して、ギヤ伝動機構部のギヤに対して負荷をかけることにより、各ギヤの歯面同士が離れないように(換言すれば、バックラッシ分ガタつかないように)して、高精度で回転させるものが既に提案されている(特開平5−107828号公報参照)。
この従来の駆動伝達装置について、図10を参照しながら具体的に説明する。この駆動伝達装置は、駆動モータ47の駆動軸に一体化された駆動ギヤ41が中間ギヤ42を介して従動ギヤ43に駆動力を伝達し、この従動ギヤ43は感光体ドラム49に連結される従動軸と同軸状に一体化されている。また、従動ギヤ43は別の中間ギヤ44,45を介して被駆動負荷48の入力ギヤ46に駆動力を伝達するようになっている。
【0003】
この駆動モータ47、駆動ギヤ41、中間ギヤ42及び従動ギヤ43から構成される感光体ドラム駆動機構では、従動ギヤ43に対して中間ギヤ44,45を介して大きな被駆動負荷48が接続されているため、駆動ギヤ41、中間ギヤ42及び従動ギヤ43の各ギヤの歯面上に加わる負荷が増大するだけでなく、従動ギヤ43と一体の感光体ドラム49に対しても、大きな負荷が加わることになる。このため、前記各ギヤの歯面同士の飛び跳ねがなくなり、従動ギヤ43の回転ムラを低減することができるばかりでなく、記録用紙が感光体ドラム49に接した際の衝撃のようなある程度の外力が感光体ドラムの回転方向に加わった場合でも、感光体ドラムがモータからの駆動トルクを越えて速く回転するようなことはなくなり、感光体ドラムの回転ムラに起因する画質低下を防止することができる。
【0004】
また、別の従来技術として、駆動伝達装置のギヤの歯面精度を高精度に加工することにより、歯面同士が飛び跳ねないようにして回転ムラを低減することも提案されている。
【0005】
【従来技術の問題点】
上記従来の駆動伝達装置の場合には、従動ギヤ43に負荷を加えるための負荷機構が必要となり、装置の小型化や省エネルギー化が必要な製品には、そのような負荷機構を配置できない場合がある。また、仮に配置できるとしても、必要な大きさの負荷を加えることができない場合もある。
また、歯面精度を高精度に加工することにより、歯面同士が飛び跳ねないようにして回転ムラを低減する上記別の従来技術の場合は、歯面精度を高くする必要があるので製造コストが高くなり、製品への搭載を考えると実用的な手段では必ずしもない。
このように、従来技術では、歯面精度や外部負荷変動による噛合い周期の回転ムラを簡単な構成で低減することはできないし、また部品精度を高くしなければこの回転ムラを低減することができないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の課題は、従来技術の問題を解消すべく、ギヤ伝動機構部において、はすばギヤで発生するスラスト力を利用して、従動側のギヤに摩擦負荷トルクを与えることにより、簡単な構成で且つ部品加工精度を高くすることなく、ギヤ噛合い周期や外部負荷変動による回転ムラを低減することであり、また、画像形成装置において、駆動系として、はすばギヤで発生するスラスト力を利用して従動側のギヤに摩擦負荷トルクを与えるギヤ伝動機構部を使用することにより、製造コストを抑えると共に、小型化、省エネルギー化を図りながら、画像成形用の回転体の回転ムラを低減して、画像の濃度ムラ(バンディング)を防止し画質の向上を図ることである。
【0007】
【課題解決のために講じた手段】
【解決手段】(請求項1に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段は、モータ等の駆動源の駆動軸と、画像形成装置等の被駆動装置に連結される従動軸と、前記駆動軸から従動軸にトルクを伝達する少なくとも駆動ギヤと従動ギヤとを有するギヤ伝動機構部とからなる駆動伝達装置を前提として、
上記ギヤ伝動機構部を構成するそれぞれのギヤははすばギヤからなり、上記従動ギヤはその回転軸線方向に移動自在に支承されており、
上記駆動源により前記従動軸が駆動されるとき、前記従動ギヤは、はすばギヤで発生するスラスト力を受けてその回転軸方向に移動されて、回転しない固定部と接触部において摺動接触することにより、前記従動ギヤに摩擦負荷トルクが付与され、前記従動軸の回転ムラを低減することができるよう構成することである。
【0008】
【作用】
モータ等の駆動源により駆動ギヤ及び従動ギヤを介して従動軸が駆動されると、従動ギヤは、はすばギヤで発生するスラスト力を受けその回転軸線方向に移動し、接触部において回転しない固定部と摺動接触して摩擦負荷トルクを付与される。これにより、駆動ギヤと従動ギヤに摩擦負荷が加わり、各ギヤの歯面同士を押さえ付ける力が増大することになり、歯面同士の飛び跳ねを防止し、また、歯面上の小さな凹凸は押されて変形することにより、前記従動軸において、噛合い周期の回転ムラを低減することができ、外部負荷変動による回転ムラも低減することができる。
【0009】
【実施態様1】(請求項2に対応)
実施態様1は、上記解決手段において、接触部の半径、はすばギヤのねじり角、又は接触部での摩擦係数を増減することにより、従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクを調整することである。
【作用】
上記実施態様1において、はすばギヤのねじり角を増減させれば、それに応じて従動ギヤが受けるスラスト力を増減する。その結果、従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクを増減することができる。また、上記実施態様1において、接触部の半径、又は接触部での摩擦係数を増減させれば、従動ギヤの受けるスラスト力が一定であっても、従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクを増減することができる。
【0010】
【実施態様2】(請求項3に対応)
実施態様2は、上記解決手段において、従動ギヤと回転しない固定部とが摺動接触する接触部を、前記従動ギヤと固定部に対してどのように形成するかを特定するものである。
【0011】
【実施態様3】(請求項4に対応)
実施態様3は、上記解決手段及び実施態様1、実施態様2において、従動ギヤが受けるスラスト力にさらに磁力による力を加えることにより、従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクを調整することである。
【作用】
上記磁力による力は、はすばギヤで発生するスラスト力に対してさらに付加することができるものである。そして、磁石を電磁石により構成すれば、磁力によって付加する力を簡単に調整することができる。
【0012】
【実施態様4】(請求項5に対応)
実施態様4は、上記解決手段及び実施態様1乃至実施態様3において、従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクの大きさを、歯形誤差や歯すじ誤差等のギヤの形状精度に応じて設定することである。
【作用】
従動軸に発生する回転ムラは、ギヤの形状精度の大小に応じて変動するものであり、ギヤの形状精度が低下すればそれに伴って回転ムラは増大する。これを抑制するためには、従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクを増加させて、回転ムラの増大分を減らす必要がある。そこで、ギヤの形状精度に応じて摩擦負荷トルクの設定を変更すれば、回転ムラを所定の小さい範囲に保つことができる。
【0013】
【実施態様5】(請求項6に対応)
実施態様5は、上記解決手段及び実施態様1乃至実施態様4において、駆動ギヤと従動ギヤとの間に中間ギヤを介在させるものである。この場合、中間ギヤの個数には制限がなく、多段ギヤとすることも可能である。
【作用】
上記中間ギヤを介在させることにより、上記駆動軸と従動軸の変速比、軸間距離、回転方向等を自由に変更することができる。
【0014】
【実施態様6】(請求項7に対応)
実施態様6は、上記解決手段及び実施態様5において、接触部が設けられる領域と、画像形成装置等の被駆動装置が設けられる領域とを隔離するために筐体を設けたものである。
【作用】
従動ギヤと回転しない固定部とは接触部において摺動接触するため、前記接触部では、必ず各摺動部材の磨耗による微粒子が発生する。この微粒子は、特に、画像形成装置等の被駆動装置に侵入してその動作や性能に対して種々の悪影響を及ぼす。そこで、接触部が設けられている領域と被駆動装置が設けられている領域とを隔離して、微粒子の侵入を防止することにより、画像形成装置等の被駆動装置の性能の低下や故障の発生を回避する。
【0015】
【実施態様7】(請求項8に対応)
実施態様7は、上記解決手段、実施態様2及び実施態様5において、従動ギヤと回転しない固定部とが摺動接触する接触部が、従動ギヤの径方向のどの位置に置かれるかを特定するものである。
【作用】
上記従動ギヤは、はすばギヤで発生するスラスト力を受けて、その外周部分において弾性変形するため、歯面精度が低下する。この現象は、合成樹脂製の大径ギヤにおいて特に顕著に表れるが、上記接触部を、従動ギヤのギヤ歯噛合い部の近傍(ギヤ外周部の近傍)において、上記弾性変形を抑制する方向に設けることにより、当該弾性変形によって歯面精度が低下することを防止できる。
【0016】
【実施態様8】(請求項9に対応)
実施態様8は、上記実施態様7において、ギヤ伝動機構部のギヤの材質を合成樹脂に特定するものである。
【0017】
【実施態様9】(請求項10に対応)
実施態様9は、画像形成装置において、画像形成用の回転体を回転駆動する駆動伝達装置として、上記解決手段及び実施態様1乃至実施態様8のいずれかのものを用いることである。
【作用】
画像形成装置において、画像形成用の回転体を上記解決手段及び実施態様1乃至実施態様8のいずれかの駆動伝達装置を用いて回転駆動することによって、前記画像形成用の回転体に発生する回転ムラを低減して、濃度ムラの少ない高画質の画像を形成することができる。
【0018】
【実施の形態】
次に、この駆動伝達装置に係る発明の実施の形態について、図1〜図9を参照しながら説明する。
【0019】
〔実施形態1〕
先ず、実施形態1(請求項1に対応)について、図1及び図2を参照しながら説明する。
駆動ギヤ1は駆動モータ2の駆動軸3に結合され、この駆動モータ2はベース部4に固定される。従動ギヤ5は従動軸6に結合され、この従動軸6は前記ベース部4に組み込まれている軸受ユニット部7により支承されている。駆動ギヤ1と従動ギヤ5は共にはすばギヤからなり、相互に噛み合ってギヤ伝動機構部を構成する。前記従動ギヤ5と従動軸6との結合は、従動ギヤ5の従動ギヤフランジ部5aと従動軸6の従動軸フランジ6aを合わせてネジ等で締結することによって行われる。前記軸受ユニット部7は軸受を備えており、従動軸6をその半径方向(ラジアル方向)に拘束するが、その回転軸方向(スラスト方向)には拘束しないため、この従動軸6は軸受ユニット部7により回転自在に且つ回転軸方向に摺動自在に支承される。
【0020】
そして、前記従動ギヤ5と回転しないベース部4(固定部)とは、接触部Aにおいて摺動接触することにより、前記従動ギヤ5に摩擦負荷トルクを与えるように構成されている。なお、前記ベース部4は、図示しない画像形成装置等の被駆動装置本体に取り付けられる。
【0021】
はすばギヤからなるギヤ伝動達機構部では、回転を滑らかに伝達するためにギヤ歯にねじり角を与えて、噛合い歯が常時2歯以上噛合っており、回転駆動時には回転方向の力の他に回転軸方向のスラスト力も発生するものである。このスラスト力は、従来のギヤ伝動機構部では軸受によって支持されるのが普通であるが、本発明では、このスラスト力を利用して従動ギヤ5を移動させることにより、従動ギヤ5と回転しないベース部(固定部)4とを接触部Aにおいて摺動接触させる。このとき、該スラスト力はベース部4により支持されることになる。これにより、前記従動ギヤ5とベース部4との間には摩擦力が発生し、前記従動ギヤ5には摩擦負荷トルクが付与されて、駆動ギヤ1と従動ギヤ5のギヤ歯にも負荷が加わることになる。この負荷によって各ギヤの歯面同士を押さえ付ける力(摩擦負荷)が加わることになり、歯面同士の飛び跳ねが防止できると共に、歯面上の小さな凹凸は押されて変形することにより、噛合い周期での回転ムラが低減して滑らかに回転する。
【0022】
図1では、従動ギヤ5が回転自在で且つ回転軸方向(スラスト方向)に摺動自在に支承される機構として、従動軸6が軸受けユニット7に対して回転軸方向に摺動できるものを示したが、このような構成に限定されるものではない。即ち、従動軸6が軸受けユニット7により回転軸方向にも拘束され、この拘束された従動軸6に対して従動ギヤ5が回転軸方向に摺動できる(例えば、スプライン等を用いる)ものでもよい。
図2は、摩擦負荷トルクに対する噛合い周期の回転ムラの実測値を示しており、このように摩擦負荷トルクを加えて回転駆動させることにより、駆動ギヤ1と従動ギヤ5間の噛合い周期の回転ムラ(1ピッチムラ)を小さくして、回転特性を良好なものとすることができる。
【0023】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2(請求項2に対応)について、図3を参照しながら説明する。
上記実施形態1では、はすばギヤによって生じるスラスト力を利用して摩擦負荷を生じさせて、回転ムラを低減する構成について説明した。この摩擦負荷を発生させる摩擦負荷トルクと回転ムラとの関係は、図2に示すように、ある程度の摩擦負荷トルクを与えれば、回転ムラは小さくなるが、必要以上に摩擦負荷トルクを大きくすると、駆動源の負荷を増大するだけでなく、ギヤの寿命にも悪影響を及ぼすので、回転ムラが小さくて摩擦負荷トルクも小さい領域で摩擦負荷を設定する必要がある。
【0024】
はすばギヤについて、スラスト力Fs、駆動力Fr(従動軸に加わる負荷)及びねじり角βは、図3に示す関係にあり、次の式が成立する。
Fs=Fr・tanβ‥‥‥(1)
また、図1に示すように、従動ギヤ5の突出部5bとベース部4(固定部)とがドーナツ形状の接触部Aにおいて、スラスト力Fsで接触した場合の摩擦負荷トルクTfは、接触部Aの摩擦係数をμ、接触部外径をD、接触部内径をdとして、次の式で得られる。
Tf=μ・Fs(D+d)/4‥‥‥(2)
そこで、接触する接触部Aの直径(内径d、外径D)の大きさを調整して最適な摩擦負荷トルクTfを設定することができる。このように、接触する接触部5bの半径(D/2、d/2)を変化させることで、スラスト力Fsが一定でも摩擦負荷トルクTfを簡単に調整でき、最適な摩擦負荷を与えることができる。
【0025】
さらに、摩擦負荷トルクTfの調整は、先に説明した接触部Aの径の変化により行うことができる他に、ねじり角β又は摩擦係数μを変化させることによっても行うことができる。
ねじり角βについてみれば、ねじり角βに対する摩擦負荷トルクTfの関係は、上記式(1)及び(2)に示すように、ねじり角βを変化させるとスラスト力Fsが増減し、これに比例して摩擦負荷トルクTfも増減する。このように、ねじり角βを変化させることで、駆動力Frが一定でも摩擦負荷トルクTfを簡単に調整でき、最適な摩擦負荷を与えることができる。
【0026】
また、摩擦係数μについてみれば、摩擦係数μに対する摩擦負荷トルクTfの関係は、上記式(2)に示すように、摩擦係数μを変化させるとこれに比例して摩擦負荷トルクTfも増減する。摩擦係数μは、接触する部材同士の材質によって簡単に変えることができる。また、表面の粗さや潤滑油の有無によっても変えることができる。例えば、ナイロン製のギヤとスチール製のベース部ではμ=0.09、グリスを加えるとμ=0.05になる。また、スチール製同士にするとμ=0.25となる。このように、摩擦係数μを変化させることで、スラスト力Fsが一定でも摩擦負荷トルクTfを簡単に調整でき、最適な摩擦負荷を与えることができる。
【0027】
〔実施形態3〕
実施形態3(請求項3に対応)について、図1を参照しながら説明する。
上記実施形態1において、従動ギヤ5と回転しない固定部であるベース部4とが摺動接触する接触部Aは、前記従動ギヤ5側又はベース部4のどちらか一方又は双方に突出部を設けることによって構成することができる。図1に示したものは、従動ギヤ5側に突出部5bを設けて接触部Aを構成した一例である。
【0028】
〔実施形態4〕
次に、実施形態4(請求項4に対応)について、図4を参照しながら説明する。
この実施形態4は、上記実施形態1の駆動伝達装置において、はすばギヤで発生するスラスト力Fsに磁気吸引力を付加して、摩擦負荷トルクTfを大きくするものである。駆動力Frとねじり角βから得られるスラスト力Fsだけでは、所定の摩擦負荷トルクTfが得られないような場合、前記スラスト力Fsに更に磁気吸引力を付加して対応する。図4に示すように、従動はすばギヤ5に磁性材10を組み込むが、この磁性材10としては薄い鉄板、又は樹脂に磁性材を含ませたものでも良い。
【0029】
一方、ベース部4(固定部)には、前記磁性材10と対向する位置に該磁性材10を吸引する磁石11を配置する。この磁石11は、永久磁石又は電磁石でもよい。電磁石の場合は、この電磁石に与える電流を調整し、起動時など駆動源に高トルクが要求されるときに摩擦負荷トルクを軽減することができる。このように、従動側の負荷が小さく駆動力Frが小さい場合でも、磁気吸引力によるスラスト力を付加することにより摩擦負荷トルクTfを増大させることができるので、最適な摩擦負荷を与えることができる。また、起動時に磁気吸引力を小さく変化させることで、駆動源の小型化や省エネルギー化にもつながる。
また、磁力による力を付加する構成としては、従動ギヤ5側に磁石11を、ベース部4側に磁性材10を設けてもよい。
【0030】
〔実施形態5〕
実施形態5(請求項5に対応)について、図5を参照しながら説明する。
この実施形態5は、歯形誤差、歯すじ誤差等のギヤの形状精度に対応して従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクの大きさを決めるものである。図2に示すように摩擦負荷トルクに対する回転ムラの実測を行って付与すべき摩擦負荷トルクを求めてもよいが、実測した時と異なるギヤの形状精度になった場合、再度実測するのではなく、ギヤの形状精度の低下した分に応じて、付与すべき摩擦負荷トルクを大きくするように設定するものである。即ち、ギヤの歯面精度が低下すると、歯面同士が飛びやすくなり、また歯面の凹凸が大きくなった分だけ弾性変形を大きくするように、歯面同士の押し付け力(摩擦負荷)を生成する摩擦負荷トルクを増やすことにより対応するものである。これにより、異なる形状精度のギヤの場合でも簡単に従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクを設定をすることができる。
【0031】
〔実施形態6〕
次に、実施形態6(請求項6に対応)について、図6を参照しながら説明する。
この実施形態6は、駆動ギヤ1と最終ギヤ(従動ギヤ)5との間に複数の中間ギヤ13〜中間ギヤ16を介在する多段ギヤ構成からなる駆動伝達装置であって、摩擦負荷トルクを付与するギヤを最終段のギヤ5とするものである。摩擦負荷トルクを最終段のギヤ5に加えることで、最終段のギヤ以外のギヤにも摩擦負荷が加わり、歯面同士の飛び跳ね現象を防ぐことができる。前記多段ギヤ構成の各段に摩擦負荷トルクを付与する機構を設けると、駆動側上流段ギヤには、各段で付与される摩擦負荷トルクが加算されて大きくなり過ぎるため、これを防ぐために最終段のギヤにだけ摩擦負荷トルクを付与するようにしている。
このように、駆動ギヤ1と最終段のギヤ(従動ギヤ)5との間に中間ギヤを介在させることにより、駆動軸と従動軸間の変速比、軸間距離、回転方向等を自由に選択することができる。
【0032】
〔実施形態7〕
実施形態7(請求項7に対応)について、図7を参照しながら説明する。
この実施形態7は、上記実施形態1又は実施形態6の駆動伝達装置において、摩擦負荷トルクを発生させる接触部Aを備える従動ギヤ5と駆動ギヤ1とを含むギヤ伝動機構部からなる部分と、従動軸6に連結されて画像形成装置等の被駆動装置の部分とを別個の筐体内に配置するために、前記接触部Aを備える部分を筐体カバー18により包囲したものである。前記接触部Aでは、従動ギヤ5とベース部4の静止している部分(固定部)とが摺動接触することにより摩擦負荷トルクを発生させているので、摺動接触による磨耗紛が発生することになる。この磨耗紛が画像形成装置等の被駆動装置に侵入しないように筐体により隔離することにより、前記被駆動装置の性能の低下や故障の発生を未然に回避している。
【0033】
〔実施形態8〕
次に、実施形態8(請求項8及び請求項9に対応)について、図8を参照しながら説明する。
この実施態様8は、上記実施形態1の駆動伝達装置において、摩擦負荷トルクを発生させる接触部Aを従動ギヤ5の噛合い部Bの近傍に設けたものである。従動ギヤ5は、はすばギヤで発生するスラスト力を受けて、その外周部分において弾性変形を生じるため、その部分において歯面精度が低下する。ところが、接触部Aを従動ギヤ5の噛合い部Bの近傍において、前記弾性変形を抑制する方向に設けることにより歯面精度の低下を防止することができる。
そして、前記従動ギヤ5を合成樹脂製の大径のものにした場合、特に弾性変形を生じ易く歯面精度を低下するので、前記接触部Aをそのような位置に設けることが有効である。
【0034】
〔実施形態9〕
実施形態9(請求項10に対応)について、図9を参照しながら説明する。
この図9は画像形成装置の内部構造を概略的に示す縦断正面図であり、画像形成装置本体20の一側に給紙カセット21が着脱自在に装着され、この装置本体20の他側には排紙口26が設けられている。この給紙カセット21から排紙口26に至る用紙搬送路27の上方には、感光体ドラム30が回転自在に設けられている。この感光体ドラム30は画像形成用の回転体であり、この回転体は、既に実施形態1〜実施形態8として説明した駆動伝達装置の従動軸6にカップリングを介して連結される。感光体ドラム30の周囲に、それぞれプロセスユニットとしての帯電器31、露光器32、及び現像器33が配列され、さらに転写器34、クリーニング器35、及び除電器36等も配列されている。そして、上記用紙搬送路27に沿って上流から下流に向けて、給紙ローラ22、レジストローラ23、ヒートローラ24aとプレスローラ24bを有する定着器24、及び排紙ローラ25が配列されている。
【0035】
このような構成により、帯電器31によって感光体ドラム30の表面を帯電させ、その部分に露光器32からのレーザー光を走査することで静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム30の回転により、前記静電潜像は現像器33によってトナー画像として現像される。一方、給紙カセット21内の用紙は給紙ローラ22によってレジストローラ23まで引き出され、さらに感光体ドラム30の回転運動に同期回転するレジストローラ23によって感光体ドラム30の下部に給紙される。感光体ドラム30上のトナー画像は転写器34によって給紙された用紙に転写され、その用紙が定着器24を通るときに用紙上に転写された画像が定着される。その後、画像が定着された用紙は排紙ローラ25によって、装置本体20の排紙口26より排出される。
【0036】
このような画像形成装置では、感光体ドラム30の回転速度特性(回転特性、回転ムラ)が画像の品質に直接影響を与えるものであり、駆動モータ2のトルクをギヤ伝動機構部を介して感光体ドラム30に伝達して駆動している場合、ギヤ噛合い周期の回転ムラを低減させることは濃度ムラ(バンディング)という観点で重要なことである。
そこで、濃度ムラに一番影響を及ぼす従動ギヤ5の噛合い周期の回転ムラを低減するために、回転ムラを発生させる原因であるギヤの形状誤差や負荷変動による歯面上の飛び跳ねを小さくするように、歯面を押さえ付ける力となる摩擦負荷トルクを前記従動ギヤ5に付与している。これにより、噛合い周期の回転ムラを低減することができ、濃度ムラの少ない高画質の画像形成が可能となる。
【0037】
このような構成を採用することによって、回転ムラの振動を抑えるために必要とされてきたフライホイールが不要となり、大型のモータを必要とせず、省エネルギーで駆動することができる。また、小型のモータを採用することができるので駆動機構部の省スペース化が図られ、装置の小型化も図られる。
ここまで、画像形成装置の感光体ドラム30に適用した場合について説明したが、同様に感光体ベルトを駆動する駆動ローラの伝達機構部にも適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の効果を主な請求項毎に整理すれば次のとおりである。
(1)請求項1に係る発明の効果
はすばギヤで発生するスラスト力により従動ギヤに摩擦負荷トルクを付与して、駆動ギヤと従動ギヤのギヤ歯にも負荷を加えることにより、簡単な構成で且つ部品加工精度を高くすることなく、歯面同士の飛び跳ねを防止すると共に、歯面上の小さな凹凸は押されて変形されて、噛合い周期での回転ムラを低減して滑らかな回転を得ることができる。
【0039】
(2)請求項2に係る発明の効果
従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクは、接触部の半径、はすばギヤのねじり角、又は接触部の摩擦係数の少なくとも1つを変えることにより、増減することができるので、簡単に最適な摩擦負荷トルクを付与することができる。したがって噛み合い周期での回転ムラを低減するための摩擦負荷の大きさを簡単に調整することができる。
【0040】
(3)請求項4に係る発明の効果
はすばギヤで発生するスラスト力に対して磁力による力を付加することにより、
摩擦負荷トルクを増加することができる。これにより、噛合い周期での回転ムラを抑制するための摩擦負荷の大きさを簡単に調整することができる。また、電磁石を利用して、駆動源の起動時に付加する力を調整することにより、駆動源の小型化、省エネルギー化を図ることもできる。
【0041】
(4)請求項5に係る発明の効果
従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクの大きさを、ギヤの形状精度(歯形誤差、歯すじ誤差)に応じて設定することができるので、ギヤの形状精度が異なる毎に実測して最適な摩擦負荷トルクを求める必要がなくなる。したがって、噛合い周期での回転ムラを低減するための摩擦負荷トルクの大きさを、形状精度の異なるギヤであっても簡単に設定することができる。
【0042】
(5)請求項6に係る発明の効果
摩擦負荷トルクを付与する機構を多段ギヤの最終段に設けることにより、各段のギヤに摩擦負荷トルクが加わるので、それぞれに摩擦負荷機構を設ける必要がない。したがって、多段ギヤ装置における噛合い周期の回転ムラを単純な構成で低減することができる。
【0043】
(6)請求項7に係る発明の効果
摩擦負荷トルクを発生させる接触部が設けられる部分と、従動軸に連結されて作業を行う被駆動装置の部分とを別筐体内に配置することにより、接触部で発生する摩耗紛が、前記被駆動装置の部分に広がらないようにすることができる。したがって、前記被駆動装置をクリーンに保つことができる。
【0044】
(7)請求項8及び請求項9に係る発明の効果
摩擦負荷トルクを発生させる接触部を従動ギヤの噛合い部近傍に設けることにより、スラスト力によってギヤ素材が弾性変形するのを抑えることができる。したがって、はすばギヤの歯面上の弾性変形を防ぎ、高精度な回転を維持することができる。
【0045】
(9)請求項10係る発明の効果
画像形成装置において、画像形成用の回転体を上記請求項1〜請求項9のいずれかの駆動伝達装置を用いて回転駆動することによって、上記画像形成用の回転体に発生する回転ムラを低減して、濃度ムラの少ない高画質の画像形成が可能となる。そして、高精度に加工したギヤを必要としないため製造コストの増加を抑えることができると共に、フライホイールを用いない小型で省エネルギの画像形成装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の駆動伝達装置の正面図であり、実施形態1を示す図である。
【図2】は、駆動伝達装置の摩擦負荷トルクと回転ムラとの関係を示す図である。
【図3】は、はすばギヤにおける駆動力、ねじり角、スラスト力の相互関係を示す図である。
【図4】は、スラスト力に磁力を利用する実施形態4を示す図である。
【図5】は、ギヤの形状精度と摩擦負荷トルクとの関係を示す図である。
【図6】は、中間ギヤを備える実施形態6を示す図である。
【図7】は、筐体カバーを備える実施形態7を示す図である。
【図8】は、接触部が従動ギヤの外周部に設けられた実施形態8を示す図である。
【図9】は、画像形成装置の内部構造を概略的に示す縦断正面図である。
【図10】は、従来の画像形成装置の駆動系を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1:駆動ギヤ
2:駆動モータ
3:駆動軸
4:ベース部
5:従動ギヤ
6:従動軸
7:軸受けユニット部
10:磁性材
11:磁石
13〜16:中間ギヤ
18:筐体カバー
24:定着器
30:感光体ドラム
33:現像器
34:転写器
Claims (10)
- モータ等の駆動源の駆動軸と、画像形成装置等の被駆動装置に連結される従動軸と、前記駆動軸から従動軸にトルクを伝達する少なくとも駆動ギヤと従動ギヤとを有するギヤ伝動機構部とからなる駆動伝達装置において、
前記ギヤ伝動機構部を構成するそれぞれのギヤははすばギヤからなり、前記従動ギヤはその回転軸線方向に移動自在に支承されており、
前記駆動源により前記従動軸が駆動されるとき、前記従動ギヤは、はすばギヤで発生するスラスト力を受けてその回転軸線方向に移動して、回転しない固定部と接触部において摺動接触することにより、前記従動ギヤに摩擦負荷トルクが付与され、前記従動軸の回転ムラを低減することができる駆動伝達装置。 - 上記従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクは、上記接触部の半径の大きさ、上記はすばギヤのねじり角の大きさ、又は上記接触部での摩擦係数の大きさの少なくとも1つにより調整することができる請求項1の駆動伝達装置。
- 上記接触部は、上記従動ギヤ側又は回転しない固定部側のどちらか一方又は双方に突出部を設けることによって構成される請求項1の駆動伝達装置。
- 上記はすばギヤで発生するスラスト力に、磁力による力を付加することにより、上記従動ギヤに付与される摩擦負荷トルクを調整することができる請求項1乃至請求項3の駆動伝達装置。
- 上記従動ギヤに付与すべき摩擦負荷トルクの大きさは、歯形誤差や歯すじ誤差等のギヤの形状精度に応じて設定することができる請求項1乃至請求項4の駆動伝達装置。
- 上記ギヤ伝動機構部の駆動ギヤと従動ギヤとの間に中間ギヤを介在させた請求項1乃至請求項5の駆動伝達装置。
- 上記摩擦負荷トルクを発生させる接触部が設けられる領域と、上記従動軸が連結される画像形成装置等の被駆動装置が設けられる領域とを、筐体により隔離した請求項1又は請求項6の駆動伝達装置。
- 上記摩擦負荷トルクを発生させる接触部が、上記従動ギヤのギヤ歯噛合い部近傍に設けられる請求項1、請求項3又は請求項6の駆動伝達装置。
- 上記ギヤ伝動機構部を構成するギヤが合成樹脂からなる請求項8の駆動伝達装置。
- 表面に静電潜像を形成し回転駆動される画像形成用の回転体と、当該回転体上の静電潜像をトナー画像として顕像化する現像手段と、上記トナー画像を用紙等の記録材に転写する転写手段と、転写された記録材上のトナー画像を固定する定着手段とを有する画像形成装置において、
上記画像形成用の回転体が、上記請求項1乃至請求項9の駆動伝達装置の従動軸に連結されて回転駆動されることによって、前記回転体の回転ムラを低減して画像の濃度ムラを防止する画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002324395A JP2004156746A (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | 駆動伝達装置及びそれを用いた画像形成装置 |
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JP2004156746A true JP2004156746A (ja) | 2004-06-03 |
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ID=32803995
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004156746A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009067561A (ja) * | 2007-09-14 | 2009-04-02 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
JP2012154417A (ja) * | 2011-01-26 | 2012-08-16 | Nachi Fujikoshi Corp | バックラッシ調整装置 |
JP2015231298A (ja) * | 2014-06-05 | 2015-12-21 | ファナック株式会社 | スラスト荷重を抑制する機能を備えた歯車電動機装置 |
JP2017190223A (ja) * | 2016-04-13 | 2017-10-19 | 株式会社リコー | 駆動装置及び画像形成装置 |
-
2002
- 2002-11-07 JP JP2002324395A patent/JP2004156746A/ja active Pending
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