JP2006163198A - 駆動伝達装置、及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 各種駆動機構に使用されるはすば歯車から成るギヤ伝達機構部において、はすば歯車の回転時の負荷トルクによって発生するスラスト力によってギヤが撓みを起こしたり、歯面が軸方向(スラスト方向)に振動したり、噛合い周期での振動、回転ムラが発生するという不具合が発生するが、本発明ではこのような不具合を改善して従動ギヤを精度よく駆動する。
【解決手段】 駆動源によって回転駆動されるはすば歯車から成る駆動ギヤ2と、駆動ギヤと噛合して駆動力の伝達を受けるはすば歯車としての従動ギヤ11と、を有する駆動伝達装置であって、回転時のスラスト力によって従動ギヤが変形する方向とは反対側の面に、従動ギヤより大きい直径を有したフランジ部15を従動ギヤと同軸状、且つ一体的に固定し、該従動ギヤの外周から張り出したフランジ部の一面を駆動ギヤの一面と摺接させつつ回転駆動させる構成とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、駆動ギヤと従動ギヤと伝達機構からなる機構系を備えた駆動伝達装置に関し、特に従動ギヤを精度良く回転させるための改良を施した駆動伝達装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
はすば歯車はギヤ山を軸方向に対して所定のねじれ角βだけ傾けた構成を有しており、平歯ギヤに比べて噛合う歯数を増やすことで回転方向のトルク伝達を滑らかにすることができるが、ねじれ角βに応じて異なったスラスト力が発生する(図11参照)。特に、大径、樹脂製のはすば歯車では、このスラスト力の影響によって、歯車本体がスラスト方向に撓み、これにより、ギヤ歯面が傾き、正規の歯面位置からの誤差が発生する。また、トルク伝達が滑らかになったとはいえ、噛合い周期での振動が発生し、大径の歯面が軸方向(スラスト方向)に振動するという不具合が発生する。また、はすば歯車の耐久性も低下しやすい。
特開平08−074971号「ギア及び画像形成装置」(特許文献1)には、はすば歯車の側面に補強部材を取付け、負荷トルクで発生するスラスト力によってギヤ本体がたわまないようにした技術が開示されている。
特開平10−161477号「感光体駆動装置」(特許文献2)には、同じ諸元でねじれ方向が異なるはすば歯車を2枚重ねて使用することでスラスト力を打ち消して使用する技術が開示されている。
特開2003−028277「駆動伝達装置」(特許文献3)には、実稼動時のスラスト力によりはすば歯車が変形する分をキャンセルできるように、予め歯車を傾斜させておく構成が開示されている。
しかし、特許文献1の発明では、樹脂製の歯車側面に金属の補強部材を取付け、ネジなどで固定しているので、温度変化があったとき、樹脂と金属の熱膨張の差からひずみが発生する。その結果、歯面形状に誤差が発生し、回転ムラとなってしまう。
特許文献2の発明では、従動側ギヤが2個必要であり、その分だけ部品コストと組付け工数が増えることで低コストな装置には不向きである。
特許文献3の発明では、常温状態では問題ないかもしれないが、装置内部の温度が上昇した場合、樹脂の剛性が変化するので、歯車の傾きが予め設定した角度よりも大きくなり、その分、歯面形状に誤差が生じ、回転ムラとなってしまう。
特開平08−074971号公報 特開平10−161477号公報 特開2003−028277公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、各種駆動機構に使用されるはすば歯車から成るギヤ伝達機構部において、はすば歯車の回転時の負荷トルクによって発生するスラスト力によってギヤが撓みを起こしたり、歯面が軸方向(スラスト方向)に振動したり、噛合い周期での振動、回転ムラが発生するという不具合が発生するが、本発明ではこのような不具合を改善して従動ギヤを精度よく駆動することを目的としている。
また、はすば歯車の耐久性の向上を図ることもその目的としている。
また、複写機などの画像機器におけるギヤ伝達機構系で発生する振動は、塗りつぶし画像での濃度ムラ(バンディング)をもたらす虞が高い。これは、ギヤ山の噛合い周期での速度変動から伝わる振動があるためである。このギヤ山噛合い時の振動を従動ギヤの画像形成用の回転体に伝えない様にし、画質向上を図るとともに低コストに適した駆動系の提供を目的とする。
更に、本発明は、複写機やプリンタの感光体ドラム駆動系への応用をはじめ、ギヤ伝達機構部で発生する噛合い周期の回転ムラを抑制して、従動ギヤを精度良く運転する幅広い分野に応用できる。
即ち、請求項1、2の発明は、負荷トルクによるスラスト荷重に対し、ギヤ本体がスラスト方向に撓むことなく、高精度に歯面形状を維持し、高精度な回転伝達ができる機構を低コストかつ環境温度にも影響されにくい構成で提供することを目的とする。
請求項3の発明は、ギヤの摺動面接触するフランジ部の半径を決める際の設計指針の提供を目的とする。
請求項4の発明は、フランジ部とギヤ面との接触によって増加する負荷トルクの低減方法の提供を目的とする。
請求項5の発明は、環境負荷軽減のため、長期にわたって性能を維持できる構成の提供を目的とする。
請求項6の発明は、ギヤ駆動伝達装置の寿命を簡単に判断できる方法の提供を目的とする。
請求項7の発明は、環境負荷軽減のため、長期間の使用を可能にできる方法の提供を目的とする。
請求項8の発明は、接触に伴う騒音を低減できる方法の提供を目的とする。
次に、画像機器におけるギヤ伝達機構系の影響は、塗りつぶし画像での濃度ムラ(バンディング)との関連が高い。これは、ギヤ歯の噛合い周期での速度変動から伝わる振動があるためである。請求項9の発明は、ギヤ噛合い時の振動を従動軸の画像形成用の回転体に伝えない様にし、画質向上を図るとともに低コストに適した駆動系の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、駆動源によって回転駆動されるはすば歯車から成る駆動ギヤと、該駆動ギヤと噛合して駆動力の伝達を受けるはすば歯車としての従動ギヤと、を有する駆動伝達装置であって、回転時のスラスト力によって前記従動ギヤが変形する方向とは反対側の面に、該従動ギヤより大きい直径を有したフランジ部を従動ギヤと同軸状、且つ一体的に固定し、該従動ギヤの外周から張り出したフランジ部の一面を前記駆動ギヤの一面と摺接させつつ回転駆動させる構成としたことを特徴とする。
請求項2の発明は、駆動源によって回転駆動されるはすば歯車から成る駆動ギヤと、該駆動ギヤと噛合して駆動力の伝達を受けるはすば歯車としての従動ギヤと、を有する駆動伝達装置であって、回転時のスラスト力によって前記従動ギヤが変形する方向と同じ側の駆動ギヤ面に、該駆動ギヤより大きい直径を有したフランジ部を駆動ギヤと同軸状、且つ一体的に固定し、該駆動ギヤの外周から張り出したフランジ部の一面を前記従動ギヤの一面と摺接させつつ回転駆動させる構成としたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1、又は2において、前記フランジ部の半径は、負荷トルク、ギヤ山のねじれ角、ギヤ半径に対応させて設定することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1、2、又は3において、前記フランジ部が前記各ギヤ面と接触する面に、摩擦係数が小さい部材を付与したことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4において、前記従動ギヤは、スラスト方向に移動可能な構成を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5において、前記各ギヤ面との摺接により減少する前記フランジ部の厚さに基づいて、ギヤ駆動伝達装置の寿命を判定することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1乃至6において、前記フランジ部と接触する前記各ギヤの面に、凹形状の溝を設けたことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7において、前記溝内、及び該溝付近には、グリスを塗布してあることを特徴とする。
請求項9の発明は、表面に静電潜像を形成し周方向に回転移動する像担持体と、該像担持体上の静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段と、該トナー像を記録材に転写する転写手段と、該記録材上のトナー像を固定する定着手段と、を有する画像形成装置であって、請求項1乃至8の何れか一項に記載の駆動伝達装置によって、前記像担持体を駆動することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、従動側はすば歯車(従動ギヤ)のスラスト力が加わる方向と反対側の面に、従動ギヤ歯先径よりも大きいフランジ部を設け、このフランジ部の側面と駆動側はすば歯車(駆動ギヤ)の側面とを接触するようにして回転する構成としたことで、負荷トルクの大きさによって変化するスラスト力が大径ギヤ歯部に加わった際の弾性変形の低減と、噛合い周期での歯面側面がスラスト方向に振動の抑制の働きがある。その結果、噛合い状態を高精度に保つことができ、かつ、噛合い周期でのスラスト振動が小さくできるので高精度に回転を伝達することが可能となる。
請求項2の発明によれば、従動側はすば歯車のスラスト力が加わる方向と同じ側の駆動ギヤ面に、駆動ギヤ歯先径よりも大きいフランジ部を設け、このフランジ側面と従動側はすば歯車の側面とを接触するようにして回転する構成としたことで、負荷トルクの大きさによって変化するスラスト力が大径ギヤ歯部に加わった際の弾性変形の低減と、噛合い周期での歯面側面がスラスト方向に振動の抑制の働きがある。その結果、噛合い状態を高精度に保つことができ、かつ、噛合い周期でのスラスト振動が小さくできるので高精度に回転を伝達することが可能となる。
請求項3の発明によれば、ギヤ面と接触するフランジ部の半径を、負荷トルク、ねじれ角、ギヤ半径に対応させて設定することで、接触面に加わるスラスト力とギヤ材質の許容面圧に応じたフランジ半径が得られる。その結果、負荷や材質に応じた最適なフランジ半径を設定することができる。
請求項4の発明によれば、ギヤメント接触するフランジ部には摩擦係数が小さくなる部材を付与したことで、接触部の摺動性が向上すると共に摩擦負荷が軽減する。その結果、接触によって発生する負荷トルクを低減できる。
請求項5の発明によれば、従動ギヤは、軸方向(スラスト方向)に移動可能な構成とすることで、接触部の摩耗によって減少した分、ギヤをスライドさせて駆動することになる。その結果、長期にわたって性能を維持したまま稼動できると共に、長く使えるので環境負荷軽減にも役立つ。
請求項6の発明によれば、接触するフランジ部の厚さから、ギヤ駆動伝達装置の寿命を判定することで、ギヤ歯の接触によって摩耗した歯面形状誤差と比例関係となるフランジ厚さを計測することで使用時間が推定できる。その結果、専用のギヤ歯形状測定器を用いることなく、汎用の測定器でギヤ寿命時間を評価できる。
請求項7の発明によれば、フランジ部と接触するギヤの摺動面に凹形状の溝を設けてあることで、接触で発生した摩耗紛や塵をこの溝に集めることができる。その結果、接触面は常に綺麗なままであり、長期間の使用を可能にすると共に、環境負荷低減にもつながる。
請求項8の発明によれば、ギヤ面に設けた溝内、あるいは溝の付近にグリスを塗布することで、接触面は摺動性を増し、滑らかな動作を維持できる。その結果、接触に伴う騒音(摺動音、噛合い振動による駆動音)を低減できる。
請求項9の発明によれば、表面に静電潜像を形成し周方向に回転移動する像担持体と、像担持体上の静電潜像を顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像を記録材に転写する転写手段と、転写される記録材上のトナー像を固定する定着手段とを有する画像形成装置であって、像担持体を駆動する従動側はすば歯車のスラスト力が加わる方向と反対側の面に、従動ギヤ歯先径(又は駆動ギヤ歯先径)よりも大きいフランジ部を従動ギヤ(又は駆動ギヤ)に設け、このフランジ側面と駆動側はすば歯車(又は従動側はすば歯車)の側面とが接触するようにして回転する構成としたことで、負荷トルクの大きさによって変化するスラスト力が大径ギヤ歯部に加わった際の弾性変形の低減と、噛合い周期での歯面側面がスラスト方向に振動の抑制の働きがある。その結果、噛合い状態を高精度に保つことができ、かつ、噛合い周期でのスラスト振動が小さくできるので高精度に回転を伝達することが可能となる。特に、画像機器における濃度ムラ(バンディング)を小さくし、画質向上を図るとともに小型軽量に適した駆動系を提供できる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る駆動伝達装置(ギヤ伝達機構)の構成を示す正面図、及び底面図である。
この駆動伝達装置1は、図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動されるはすば歯車から成る駆動ギヤ2と、駆動ギヤ2と噛合して駆動力の伝達を受けるはすば歯車としての従動ギヤ11と、を有する。この駆動伝達装置1は、回転時のスラスト力Fsによって大径の従動ギヤ11の端部が変形する方向(下方)とは反対側の面11aに、従動ギヤ11より大きい直径を有した円盤状のフランジ部15を従動ギヤ11と同軸状、且つ一体的に固定し、従動ギヤ11の外周から張り出したフランジ部の張出し部15aの一面(下面)15a’を駆動ギヤ2の一面(上面)と摺接させつつ回転駆動させる構成とした点が特徴的である。
はすば歯車は、平歯ギヤに比べ、噛合う歯数を増やすことで回転方向のトルク伝達を滑らかにしているが、ねじれ角βの違いに応じて多様なスラスト力が発生する。特に大径の樹脂ギヤではこのスラスト力の影響によってギヤ全体がスラスト方向に撓み、これによりギヤ歯面が傾き、正規の歯面位置からの誤差が発生する。また、トルク伝達が滑らかになったとはいえ、噛合い周期での振動が発生し、大径の歯面が軸方向(スラスト方向)に振動する。
これらの不具合を抑制する方法として、本発明の第1の実施形態では、従動ギヤ11のスラスト力Fsが加わる方向と反対側の面11aに大径円盤状のフランジ部15の片面を固定し、このフランジ部15の張出し部15aの一面15a’と駆動ギヤ2の一面2aとを常時接触させつつ回転させる構成とする。このため、駆動ギヤ2の一面2aと従動ギヤ11の面11aは面一状態となる。
フランジ部の張出し部15aと駆動ギヤ2との接触部の存在は、(1)負荷トルクの大きさによって変化するスラスト力が大径の従動ギヤ11の歯部に加わった際の弾性変形を抑え、歯面位置の誤差を軽減させる(図2)。また、(2)噛合い周期で歯面側面がスラスト方向に振動するが、これをフランジ部の張出し部15aと駆動ギヤ2の側面との接触によって抑制する、という2つの働きがある。これにより、歯面位置が正規の位置に近づき回転ムラが小さくなると共に、スラスト振動を直接抑えることができるので効果が倍増する。また、従来のようにギヤ本体の剛性のみに依存してスラスト力を支える構成でないため(フランジ面15a’とギヤ側面2aとのつき当て部でスラスト力を支えているため)、環境温度が変化しても有利である。
次に、図3(a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の構成を示す正面図、及び底面図である。
この実施形態では、図1の実施形態とは逆に、駆動ギヤ2側にフランジ部20を設ける。このフランジ部20は円盤状であり、駆動ギヤ2の下面、即ちスラスト力Fsが発生する方向と同じ側の面2bに同軸状に固定されている。フランジ部20は、駆動ギヤ2よりも大径であり、その外周縁は全周に亘って駆動ギヤ2の外周縁よりも外径方向へ張り出している。この張出し部20aの一面(上面)を従動ギヤ11の下面に摺接させている。このため、駆動ギヤ2の一面2bと、従動ギヤの同じ側の面は面一となる。
このように本実施形態では、駆動ギヤ2側に設けるフランジ部20の半径は、図1のように従動側にフランジ部を設ける場合よりも小さくなり、駆動系の平面方向サイズを小さくすることができると共に、半径が小さいのでフランジ部の厚みを小さくして厚み方向寸法を小さくすることができる。
次に、図4は本発明の他の実施形態の要部構成説明図であり、この実施形態に係る駆動伝達装置は、前記各実施形態におけるフランジ部15、20の半径を、負荷トルク、ねじれ角、ギヤ半径に対応させて設定するようにしている。
なお、図4では図1の例について本実施形態を説明するが、図3の例についても適用することができることは言うまでもない。
即ち、図4に示す構成において、駆動ギヤ2の側面と接触する円形のフランジ部15の半径rfは、ギヤに加わる負荷トルクT、各ギヤ山のねじれ角β、ギヤ半径rに対応させて設定する。駆動ギヤから従動ギヤに加わる負荷トルクT、各ギヤ山のねじれ角β、ギヤ半径rTの各要素によって、従動ギヤ11に加わるスラスト力Fs(=T/r×tanβ)が求まり、このスラスト力Fsの大きさと、ギヤ材質の許容面圧Psによって必要な接触部面積S(≧Fs/Ps)が得られる。そして、両ギヤ2、11間の軸間距離Lと、駆動ギヤ半径rgと、接触部面積Sから幾何学的に適切なフランジ半径rfが得られる。
必要以上にフランジ半径rfを大きくすると、伝達機構部が大型化すると共に、面精度など高精度を要求される接触面の加工コスト増大を招くため、上記手法によって適正なフランジ半径rfを算出することにより、生産性の向上を図ることができる。
次に、本発明の他の実施形態を図5に示す。金属製の駆動ギヤ2と樹脂製の従動ギヤ11とを噛合させたギヤ機構において、いずれか一方のギヤの面にフランジ部15、20を固定することにより、フランジ部の張出し部を他方のギヤの一面に摺接させる構成を採用した場合、樹脂材料の摺動性によってフランジ張出し部とギヤ面との摩擦負荷は小さくなるが、摩擦負荷を更に低減させるために、図5に示すように、フランジ張出し部の接触と、ギヤ側の接触面の何れか一方、或いは双方に摺動性の良い(摩擦抵抗の小さい)低摩擦抵抗部材25を付与することが有効である。摺動性のよい部材(低摩擦抵抗部材)25を付与する方法として、テープ状の低摩擦シートを貼り付けても良いし、また、同様の材質をコーティングしても良い。摺動性をより高めることで、接触部での摩擦負荷の低減および、摺動音の低減、発熱の減少化が図られる。
ところで、図1、図3、図4、図5の各実施形態において、フランジ部15、20の張出し部の摺動面と、ギヤ2、11側の摺動面を接触させて長時間駆動すると、接触摩擦によってフランジ部側の接触面が摩耗されてくる。特に、いずれか一方のギヤをスラスト方向に固定して相対的なスラスト方向移動を禁止しておくと、この摩耗によって損耗したフランジ部分が駆動ギヤ2側の摺動面2aから浮き上がって接触できなくなる(図6(a)(b))。そこで、本発明では、フランジ部15を固定した従動ギヤ11をスラスト方向に移動可能な構成とし、摩耗によってフランジ側の摺動面15a’が減少した分だけ従動ギヤ11を上記方向へスライドさせて駆動する。この結果、フランジ部15の摩耗し易い摺動面が常に駆動ギヤ2の摺動面2aと接触した状態を維持することができる。従動ギヤ11を軸方向へ移動させる構成としては、スラスト力によって自動で移動するようにしてもよいが、場合によってはスラストバネを設けてスラスト方向へ付勢するようにしても構わない。
なお、図6は図1の例で説明したが、図3の実施形態に本実施形態を適用することも可能である。
次に、樹脂製ギヤは、長時間使用することで歯面同士が摩耗して正規の歯面からずれて形状誤差が増加し、形状誤差があるレベルになると、回転ムラが許容値を超え、使用できない状態(寿命)となる。通常、これを判断するには、歯面の形状誤差を測定する必要があるが、その測定には専用の測定器が必要となり手間もかかる。
そこで、図7に示した請求項6では、簡単にギヤの使用状況(寿命)を求める方法を提供する。それは、歯面と同じ様にフランジ部15の摺動面15a’とギヤ側面2aとが接触して回転しているので、計測しやすいフランジ端部の厚さを評価する。厚みの評価なので汎用の測定器で正確な測定が可能である。ギヤ歯部摩耗量と、フランジ部の摺動面の摩耗量とは比例関係となるので、このフランジ端部の厚さより、ギヤの使用時間や残寿命が簡単に推定できる。
なお、図7は図1の構成例について本実施形態の適用可能性について説明したが、本実施形態は図3の構成例にも適用することもできる。
次に、上記各実施形態のようにフランジ部の摺動面とギヤ側面とを接触させてギヤを駆動すると、フランジ部の摩擦によって摩耗紛が発生する。そこで、この摩耗紛を排除するために、図8の実施形態では、フランジ部15の摺動面15a’と接触する駆動ギヤ2の摺動面2a側に断面形状が凹形状の溝30を設ける。溝30は、ギヤ面の全周に亘って円形に連続形成してもよいし、断続的に配置してもよい。ギヤ面との接触でフランジ部が摩耗することによって発生した摩耗紛は、接触面からこの溝30内に移動し堆積するので、周辺部を汚すことなく長期にわたっての使用か可能となる。また、接触面に付着する他からの塵もこの溝30内に集まり捕捉されるので、接触面は常にきれいなままとなる。接触面自体に摩耗紛や塵が付くと、これによって摩耗が進行しやすくなるのでこれも防ぐことができる。
次に、図9に示した実施形態では、溝30内にグリス31を塗布、充填する。溝30内にあるグリス31によって、フランジ部とギヤとの接触面は摺動性を増して滑らかな動作を維持できる。また、グリス31は摩耗紛や塵などを吸収して保持する働きもあり、周辺部を摩耗紛で汚すこともなくなる。
次に、図10は、本発明の駆動伝達装置を適用する画像形成装置の一例としてのプリンタ(複写機)の構成説明図であり、上記各実施形態における従動ギヤ11の従動軸11Aに画像形成用の回転体(像担持体)が装着されている場合を想定している。
まず、図10を用いて画像形成装置の概要を説明する。画像形成装置本体の一側に給紙カセット40が着脱自在に装着され、本体他側には排紙口41が設けられている。給紙カセット40から排紙口41に至る用紙搬送路の上方には感光体42が回転自在に設けられて、その周囲にはそれぞれプロセスユニットとしての帯電器43、露光器44、現像器45が配列されている。さらに感光体の外周には転写器46、クリーニング器47、除電器48等が配列されている。さらに用紙搬送路に沿って上流から下流にむけて、給紙ローラ49、レジストローラ50、ヒートローラとプレスローラを有する定着器51、排紙ローラ52が配列されている。このような構成で、帯電器43によって感光体表面を帯電させ、その部分に露光器44からのレーザー光を走査することで静電潜像を形成する。その後、感光体ドラム42の回転により、静電画像は現像器によってトナー画像として現像される。一方では、給紙カセット内の用紙が給紙ローラ49によってレジストローラ50まで引き出され、感光体ドラムの回転運動に同期回転するレジストローラによって用紙は感光体ドラム下部に給紙される。感光体上のトナー画像は転写器によって用紙に転写され、その用紙が定着器51を通るときに用紙上の転写画像が定着される。その後、定着後の用紙は排紙ローラによって、装置排紙口より排出される。
このような画像形成装置では、感光体ドラム軸の一定速度特性が画像品質に直接影響を与えるものであり、感光体を駆動するためのモータトルクをギヤによって感光体ドラム軸に伝えて駆動している場合、モータ自身のトルク変動を抑えることはもちろんギヤ噛合いによるトルク振動の低減は重要である。
そこで、従動側はすば歯車(従動ギヤ11)のスラスト力が加わる方向と反対側の面11aに、従動ギヤ歯先径よりも大きいフランジ部15を固定し、このフランジ部15の張出し部15aの側面と駆動側はすば歯車(駆動ギヤ2)の側面2aとを接触するようにして回転させる構成とする。このフランジ部の接触部は、(1)負荷トルクの大きさによって変化するスラスト力が大径ギヤ歯部に加わった際の弾性変形を抑え、歯面位置の誤差を軽減させる。また、(2)噛合い周期で歯面側面がスラスト方向に振動するが、これをフランジとギヤ側面の接触によって抑制する、という2つの働きがある。これにより、歯面位置が正規の位置に近づき回転ムラが小さくなると共にスラスト振動を直接抑えることができるので効果が倍増する。
特にギヤの噛合い周波数は、濃度ムラであるバンディングとして人間の目にとって目立つ周波数帯である。この周波数の振動を抑えることで、画質向上が可能となる。
また、フライホイール等を用いて噛合い周波数の振動(回転ムラ)低減を図る場合と比べ、小型、軽量で回転ローラを構成することができるので、駆動機構部の省スペース化が図られ、製品の小型化にも貢献する。
上記では、本発明の駆動伝達装置を感光体ドラムの軸部に適用した例について説明したが、本発明の駆動伝達装置は同様に感光体ベルトを駆動する駆動ローラの伝達機構部や、中間転写ベルト方式での駆動ローラの伝達機構部にも適用できることは言うまでも無い。
また、上記においては、図1に記載した構成例を画像形成装置の駆動機構に適用した例を示したが、図3乃至図9に夫々示した全ての実施形態を画像形成装置の駆動機構に適用することができる。
(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る駆動伝達装置(ギヤ伝達機構)の構成を示す正面図、及び底面図。 フランジ部の接触による変形抑制の原理を説明する図。 (a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の構成を示す正面図、及び底面図。 本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成説明図。 本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成説明図。 (a)(b)及び(c)は本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成説明図。 (a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成説明図。 (a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成説明図。 本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成説明図。 本発明を適用する画像形成装置の構成説明図。 従来例の説明図。
符号の説明
1 駆動伝達装置、2 駆動ギヤ(駆動側はすば歯車)、2a 摺動面、11 従動ギヤ(従動側はすば歯車)、11a 変形方向と反対側の面、15 フランジ部、15a 張出し部、15a’ 摺動面、20 フランジ部、20 張出し部、25 低摩擦抵抗部材、30 溝、31 グリス。

Claims (9)

  1. 駆動源によって回転駆動されるはすば歯車から成る駆動ギヤと、該駆動ギヤと噛合して駆動力の伝達を受けるはすば歯車としての従動ギヤと、を有する駆動伝達装置であって、
    回転時のスラスト力によって前記従動ギヤが変形する方向とは反対側の面に、該従動ギヤより大きい直径を有したフランジ部を従動ギヤと同軸状、且つ一体的に固定し、該従動ギヤの外周から張り出したフランジ部の一面を前記駆動ギヤの一面と摺接させつつ回転駆動させる構成としたことを特徴とする駆動伝達装置。
  2. 駆動源によって回転駆動されるはすば歯車から成る駆動ギヤと、該駆動ギヤと噛合して駆動力の伝達を受けるはすば歯車としての従動ギヤと、を有する駆動伝達装置であって、
    回転時のスラスト力によって前記従動ギヤが変形する方向と同じ側の駆動ギヤ面に、該駆動ギヤより大きい直径を有したフランジ部を駆動ギヤと同軸状、且つ一体的に固定し、該駆動ギヤの外周から張り出したフランジ部の一面を前記従動ギヤの一面と摺接させつつ回転駆動させる構成としたことを特徴とする駆動伝達装置。
  3. 前記フランジ部の半径は、負荷トルク、ギヤ山のねじれ角、ギヤ半径に対応させて設定することを特徴とする請求項1、又は2記載の駆動伝達装置。
  4. 前記フランジ部が前記各ギヤ面と接触する面に、摩擦係数が小さい部材を付与したことを特徴とする請求項1、2、又は3記載の駆動伝達装置。
  5. 前記従動ギヤは、スラスト方向に移動可能な構成を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の駆動伝達装置。
  6. 前記各ギヤ面との摺接により減少する前記フランジ部の厚さに基づいて、ギヤ駆動伝達装置の寿命を判定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の駆動伝達装置。
  7. 前記フランジ部と接触する前記各ギヤの面に、凹形状の溝を設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の駆動伝達装置。
  8. 前記溝内、及び該溝付近には、グリスを塗布してあることを特徴とする請求項7記載の駆動伝達装置。
  9. 表面に静電潜像を形成し周方向に回転移動する像担持体と、該像担持体上の静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段と、該トナー像を記録材に転写する転写手段と、該記録材上のトナー像を固定する定着手段と、を有する画像形成装置であって、
    請求項1乃至8の何れか一項に記載の駆動伝達装置によって、前記像担持体を駆動することを特徴とする画像形成装置。
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