JP2017101812A - 動力伝達装置、駆動装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動源の汎用性を損なうことなく、簡易な構成で、駆動源の回転軸に取り付けられる伝達部材の抜けや回転軸の空転を抑制することのできる動力伝達装置及びこれを備えた駆動装置を提供する。
【解決手段】動力伝達装置50は、駆動源31の回転軸31aの軸線の周りを回転する伝達部材36と、回転軸31aが圧入されると共に、伝達部材36と係合して回転軸31aの回転を伝達部材36に伝達する圧入係合部材38と、を有し、圧入係合部材38の線膨張係数は伝達部材36の線膨張係数よりも小さい構成とする。
【選択図】図5
【解決手段】動力伝達装置50は、駆動源31の回転軸31aの軸線の周りを回転する伝達部材36と、回転軸31aが圧入されると共に、伝達部材36と係合して回転軸31aの回転を伝達部材36に伝達する圧入係合部材38と、を有し、圧入係合部材38の線膨張係数は伝達部材36の線膨張係数よりも小さい構成とする。
【選択図】図5
Description
本発明は、駆動源の回転軸の回転を伝達する動力伝達装置、これを備えた駆動装置、画像形成装置に関するものである。より詳細には、本発明は、駆動源の回転軸に取り付けられる伝達部材の回転軸方向にスラスト力が発生する動力伝達装置、これを備えた駆動装置、画像形成装置に好適に適用できるものである。
一般的に、伝達部材としてのウォームギアは、その固定穴に駆動源としてのモータの回転軸(出力軸)が圧入されることにより回転軸に固定され、回転軸の回転動力をウォームホイールに伝達する。また、ウォームギアの歯面は回転軸に対して斜めに設けられているため、ウォームギアの回転軸方向にスラスト力が発生する。この力がウォームギアと回転軸との固定力(摩擦力)を上回るとウォームギアが回転軸から抜けてしまったり、回転軸が空転して動力が伝達できなくなったりする。
また、ウォームギア、ウォームホイールの材料としては、POMなどのプラスチックを用いる場合がある。この場合、雰囲気温度の上昇よってウォームギアの抜けや回転軸の空転を引き起こしやすくなる。これは雰囲気温度の上昇によってギアの固定穴の内径(穴径)が拡大し、この内径の拡大にともなってウォームギアと回転軸との固定力が減少するためである。
このような抜けや空転といった課題は、ウォームギアだけでなく、ハス歯ギアや傘歯ギアにおいても同様にある。これらのギアも歯面が回転軸に対して斜めに設けられているため、駆動伝達時には力が回転軸方向に伝達される。この力の大きさは各ギアのねじれ角によって異なり、ねじれ角が大きいほど回転軸方向の力も大きい。この回転軸方向の力が圧入による摩擦力を上回ると、ハス歯ギアや傘歯ギアは回転軸方向に移動しようとする。
特許文献1は、ウォームギアの抜けを抑制するために、回転軸に段差を設け、ウォームギアの固定穴の内面に突起を設けて、これらの段差と突起とを嵌合させる構成を開示している。また、特許文献1の構成では、空転を抑制するために、回転軸に圧入部を設け、この圧入部をウォームギアの固定穴に圧入している。
しかしながら、特許文献1に記載されるような構成には、次のような問題がある。
まず、モータの回転軸に直接ギアを取り付けるために、モータの回転軸に段差を設ける必要がある。モータの回転軸に段差を設けると、モータの汎用性が低下する。一般的に、モータは、回転軸に溝などがない状態で市販されており、特別に溝加工を行うことが必要となる。
また、固定穴の内面に突起の無いギアを回転軸に取り付けた場合は、回転軸の段差によってギアと回転軸との圧入面積が減少し、摩擦力が減少する。これにより、ウォームギアが抜けるおそれや、回転軸が空転してしまうおそれがある。
さらに、雰囲気温度の上昇によって、ギアの固定穴の内径が拡大し、ウォームギアの抜けや回転軸の空転が生じるおそれがある。
したがって、本発明の目的は、駆動源の汎用性を損なうことなく、簡易な構成で、駆動源の回転軸に取り付けられる伝達部材の抜けや回転軸の空転を抑制することのできる動力伝達装置及びこれを備えた駆動装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る動力伝達装置、駆動装置及び画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、駆動源の回転軸の軸線の周りを回転する伝達部材と、前記回転軸が圧入されると共に、前記伝達部材と係合して前記回転軸の回転を前記伝達部材に伝達する圧入係合部材と、を有し、前記圧入係合部材の線膨張係数は前記伝達部材の線膨張係数よりも小さいことを特徴とする動力伝達装置である。
本発明の他の態様によると、回転可能な回転軸を備えた駆動源と、上記本発明の動力伝達装置と、を有することを特徴とする駆動装置が提供される。
本発明の他の態様によると、像担持体にトナー像を形成し、前記像担持体から記録材にトナー像を転写して出力する画像形成装置において、上記本発明の駆動装置を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、駆動源の汎用性を損なうことなく、簡易な構成で、駆動源の回転軸に取り付けられる伝達部材の抜けや回転軸の空転を抑制することができる。
以下、本発明に係る動力伝達装置、駆動装置及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置
まず、本発明に従う動力伝達装置及び駆動装置を用い得る機器の一例である画像形成装置について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。
1.画像形成装置
まず、本発明に従う動力伝達装置及び駆動装置を用い得る機器の一例である画像形成装置について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。
本実施例の画像形成装置100は、第1の像担持体としての感光ドラム1が第2の像担持体(中間転写体)としての中間転写ベルト4に沿って配置された高速モノクロプリンタである。
画像形成装置100では、感光ドラム1に形成されたブラックトナー像が、一次転写部T1で中間転写ベルト4に一次転写され、中間転写ベルト4によって二次転写部T2へ搬送されて、二次転写部T2で紙などの記録材Pに二次転写される。二次転写部T2でトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置17で加熱及び加圧されて、表面にトナー像が定着された後に、画像形成装置100の装置本体の外部へ排出される。
感光ドラム1の周囲には、帯電手段としてのコロナ帯電器2、露光手段としての露光装置15、現像手段としての現像装置3、一次転写手段としての一次転写ローラ6、感光体クリーニング手段としてのトナー回収装置5が配置されている。
感光ドラム1は、帯電極性が負極性の感光層が表面に形成された金属製の円筒で構成され、400mm/secのプロセススピード(周速度)で図中矢印R1方向に回転する。
コロナ帯電器2は、コロナ放電に伴う荷電粒子を感光ドラム1に照射して感光ドラム1の表面を一様な負極性の電位に帯電させる。
露光装置15は、画像データを展開した走査線画像データに基づいてON−OFF変調されたレーザービームを多面体ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1の表面に画像の静電像を書き込む。
現像装置3は、一成分現像剤(磁性トナー粒子、トナー)を負極性に帯電させた状態で一対の現像スリーブに担持させて、感光ドラム1を摺擦する。そして、現像装置3は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が現像スリーブに印加されることにより、相対的に正極性になった感光ドラム1の露光部に磁性トナーを移転させて静電像を反転現像する。
一次転写ローラ6は、中間転写ベルト4を介して感光ドラム1に圧接して、感光ドラム1と中間転写ベルト4との間に一次転写部T1を形成する。そして、一次転写ローラ6に正極性の直流電圧が印加されることにより、負極性に帯電して感光ドラム1に担持されたトナー像が、図中矢印R2方向に回転(周回移動)する中間転写ベルト4に一次転写される。
記録材デッキ9から1枚ずつ引き出された記録材Pは、レジストローラ16で待機させられ、中間転写ベルト4上のトナー像とタイミングを合わせて、二次転写部T2へ送り出される。
二次転写手段としての二次転写ローラ7は、対向ローラに支持された中間転写ベルト4に圧接して二次転写部T2を形成する。二次転写部T2では、トナー像を担持した中間転写ベルト4に重ね合わせるようにして、記録材Pが中間転写ベルト4と二次転写ローラ7とで挟持されて搬送される。そして、二次転写ローラ7に正極性の直流電圧が印加されることで、中間転写ベルト4から記録材Pへトナー像が二次転写される。
トナー回収装置(感光体クリーニング装置)5は、一次転写部T1を通過した感光ドラム1の表面に付着している転写残トナーを除去する。トナー回収装置5は、感光ドラム1にクリーニングブレードを摺擦させて感光ドラム1上の転写残トナーを回収する。トナー回収装置5については、後述して更に詳しく説明する。また、ベルトクリーニング装置10は、二次転写部T2を通過した中間転写ベルト4に付着している転写残トナーを除去する。ベルトクリーニング装置10は、トナー回収装置5と同様の構成とされ、中間転写ベルト4にクリーニングブレードを摺擦させて中間転写ベルト4上の転写残トナーを回収する。
2.トナー回収装置
図2は、トナー回収装置5の断面図である。また、図3は、トナー回収装置5及びその駆動装置としてのギアボックス30の斜視図である。
図2は、トナー回収装置5の断面図である。また、図3は、トナー回収装置5及びその駆動装置としてのギアボックス30の斜視図である。
トナー回収装置5は、回転する感光ドラム1にクリーニングブレード33を摺擦させて、感光ドラム1から転写残トナーを回収する。転写残トナーは、回収トナー容器20の内部において、回収マグローラ25、規制ローラ24、隔壁板(スクレーパーシート保持部材)21を経由して、隔壁板21に設けられた開口部21bからスクリュー搬送部材(搬送スクリュー)22上へ落下する。そして、転写残トナーは、回収トナー容器20の内部において、スクリュー搬送部材22によって感光ドラム1の軸線方向の一端側へ搬送されて、図示しない回収トナーボトルに回収される。
回収部材(クリーニング部材)としてのクリーニングブレード33は、弾性材料としてのゴム材料で形成された板状部材であり、感光ドラム1に当接して配置され、回転する感光ドラム1の表面からトナーを掻き取る。
クリーニングブレード33は、感光ドラム1に付着している磁性トナー粒子を感光ドラム1から剥ぎ取って、クリーニングブレード33と回収マグローラ25との間にトナー塊を形成する。トナー塊からクリーニングブレード33の先端へトナーが安定して供給されることで、クリーニングブレード33は、感光ドラム1に対して安定した動摩擦係数で摺擦を継続できる。
クリーニングブレード33は、感光ドラム1の定常速度の回転で振動したり異音を発生したりしないでクリーニングを行うことができるように、材料、厚み、先端形状、ヤング率が設計され、感光ドラム1に対する押圧力、侵入量が設定されている。
回収マグローラ25は、磁性トナー粒子を表面に磁気的に吸着して回転することにより、クリーニングブレード33と回収マグローラ25との間に形成されたトナー塊からトナーをトナー回収装置5の奥側へ運び出す。これにより、クリーニングブレード33の先端のトナー切れを抑制しつつ、クリーニングブレード33と回収マグローラ25との間に過剰な量のトナーが停滞して感光ドラム1側へ溢れ出すことが抑制される。
規制ローラ24は、回収マグローラ25に対して所定距離をあけて対向してカウンタ方向(対向部で互いの表面が逆方向に移動する方向)に回転し、回収マグローラ25上のトナーの量(層厚)を規制する。規制ローラ24は、回収マグローラ25上のトナーの層厚を規制して回収マグローラ25から除去した余分なトナーをトナー回収装置5の奥側へ搬送する。
トナー回収装置5の感光ドラム1とは反対側の略垂直の内壁面に、感光ドラム1側の所定範囲を垂直方向に対して約120度に曲げた板材で構成された隔壁板21が取り付けられている。そして、隔壁板21の上記曲げられた所定範囲の傾斜部21aの上面にスクレーパーシート23が固定されている。スクレーパーシート23及び隔壁板21の傾斜部21aは、案内部材を構成しており、層状に成形されて押し出されるように搬送されるトナーを、開口部21bへ案内して落下させる。
スクレーパーシート23は、回収されたトナーをクリーニングブレード33から離れる方向に案内する。スクレーパーシート23は、低摩擦係数の樹脂材料シートで構成されており、隔壁板21の傾斜部21aの上面に両面テープで貼り付けられている。そして、スクレーパーシート23は、先端が規制ローラ24に対してカウンタ方向(自由端が規制ローラ24の回転方向の上流側を向く方向)に当接されている。具体的には、スクレーパーシート23は、厚み100μmのPET樹脂シート材料で形成されている。スクレーパーシート23は、規制ローラ24に付着したトナーを剥ぎ取り、スクレーパーシート23上で傾斜部21aに沿った方向にトナーを積層させて層状に成形する。層状に成形されたトナーは、傾斜部21aを押し上げられて開口部21bに達し、開口部21bを通じてスクリュー搬送部材22上へ落下する。
スクリュー搬送部材22は、樹脂材料で成形されており、スパイラル状の1枚の連続したスクリュー羽根を有する。スクリュー搬送部材22は、回収トナー容器20の底部に形成された断面が略U字状の溝と規制ローラ24とに囲まれた排出経路において回転して、トナーを感光ドラム1の軸線方向の一端側に送り出す。具体的には、スクリュー搬送部材22は、樹脂材料を用いて射出成形により形成されており、スクリュー羽根の直径は18mm、1ピッチは20mmである。
感光ドラム1の軸線方向におけるトナー回収装置5の一端側には、スクリュー搬送部材22によって搬送された回収トナーが落下して堆積するように、図示しない回収トナーボトルが配置されている。
図3に示すように、隔壁板21の先端にスクレーパーシート23が固定され、スクレーパーシート23の先端が規制ローラ24に当接している。隔壁板21には、スクリュー搬送部材22に沿って複数(5個)の同一形状の開口部21bが形成されている。そして、2つの開口部21bの間隔及び感光ドラム1の軸線方向における両端部には、橋部21cが配置されており、この橋部21cにより隔壁板21の先端側が支持されている。上述したように、回収マグローラ25から規制ローラ24に受け渡されたトナーが、スクレーパーシート23で規制ローラ24から掻き取られてスクレーパーシート23上で層状に成形される。層状に成形されたトナーは、スクレーパーシート23上を押し上げられ、開口部21bを通じてスクリュー搬送部材22上へ落下する。
また、トナー回収装置5には、スクリュー搬送部材22、規制ローラ24、回収マグローラ25を回転させるための第1、第2の端部ギア27、28が設けられており、これら第1、第2の端部ギア27、28は駆動伝達可能なように連結されている。そして、第2の端部ギア28は、駆動装置としてのギアボックス30によって駆動源からの駆動が複数のギア(歯車)を介して伝達されて回転させられる。ギアボックス30は、図示しない画像形成装置100のフレームに固定されている。
ギアボックス30には、トナー回収装置5の第2の端部ギア28と駆動伝達可能なように連結される第1のギア29が設けられている。第1のギア29は、後述する第2のギア34、第3のギア35、ウォームギア36を介して(図4参照)、回転可能な回転軸(出力軸)を備えた駆動源としてのモータ(電動モータ)31に、駆動伝達可能なように接続される。第1のギア29、第2のギア34、第3のギア35は、ギアボックス30の支持部材としての駆動フレーム32に回転自在に支持されている。ウォームギア36は、モータ31に取り付けられている。また、モータ31は、駆動フレーム32に固定されている。そして、この駆動フレーム32が図示しない画像形成装置100のフレームに固定されている。
3.ギアボックス
図4は、ギアボックス30の要部の斜視図である。図4では、説明のため駆動フレーム32の図示は省略されている。
図4は、ギアボックス30の要部の斜視図である。図4では、説明のため駆動フレーム32の図示は省略されている。
第1のギア29は、トナー回収装置5の第2の端部ギア28と駆動伝達可能なように連結されていると共に、第2のギア34と駆動伝達可能に連結されている。第2のギア34は、第1のギア29と駆動伝達可能なように連結されていると共に、第3のギア35と駆動伝達可能なように連結されている。第3のギア35は、第2のギア34と駆動伝達可能なように連結されていると共に、ウォームギア36と駆動伝達可能なように連結されている。
第2のギア34は、第1ギア部34aと第2ギア部34bとを有し、第1ギア部34aが第1のギア29と噛み合い、第2ギア部34bが第3のギア35と噛み合う。第3のギア35は、第1ギア部35aと第2ギア部35bとを有し、第1ギア部35aが第2のギア34と噛み合い、第2ギア部35bはウォームギア36と噛み合うウォームホイールとされている。
伝達部材の一例であるウォームギア36は、詳しくは後述するようにモータ31の回転軸(出力軸)31aに取り付けられており、回転軸31aの軸線の周りを回転する。本実施例では、回転軸31aは、その軸線方向と略直交する断面が略円形の略円柱形状を有しており、溝や突起が形成されていない一般的に市販されているモータの回転軸の状態のまま使用される。
ここで、モータ31が図中矢印A方向に回転すると、その回転はウォームギア36を介してウォームホイール35bに伝えられる。このときウォームギア36はウォームホイール35bを回転させるため図中矢印B方向、すなわち回転軸31aの軸線に沿って回転軸31aから抜ける方向に力を受ける。また、雰囲気温度が上昇した場合、ウォームギア36の材料の膨張により、ウォームギア36の回転軸31aに対する固定力は低下する傾向となる。そのため、前述のように、ウォームギア36の抜けや回転軸31aの空転といった課題がある。
そこで、本実施例では、回転軸31aに圧入固定される圧入係合部材38(図5参照)を介して回転軸31aの回転をウォームギア36に伝達すると共に、該圧入係合部材38によって係止して回転軸31aの軸線方向の移動を規制するようにする。本実施例では、圧入係合部材38と、伝達部材としてのウォームギア36と、を有して、動力伝達装置50が構成される。そして、圧入係合部材38の線膨張係数が、ウォームギア36の線膨張係数よりも小さい構成とされる。これにより、雰囲気温度が上昇しても回転軸31aと圧入係合部材38との固定力の低下を抑制することができる。また、以下詳しく説明するように、圧入係合部材38は、典型的には一般的な市販のモータの回転軸が圧入固定され得る、比較的簡易な構成とされる。したがって、圧入係合部材38を用いることによって、モータ31の汎用性を損なうことなく、簡易な構成で、ウォームギア36の抜けや回転軸31aの空転を抑制することができる。
なお、圧入係合部材、伝達部材の線膨張係数は、それぞれを構成する材料と同じ材料の試料についてJIS(JIS K 7197、JIS Z 2285)等で定義される測定方法に従って測定することができる。線膨張係数は、動力伝達装置の使用可能温度範囲(例えば15度から65度)において測定すればよい。
4.圧入係合部材
図5は、本実施例におけるモータ31及び動力伝達装置50を示す分解斜視図である(説明のため各要素は拡大率を変えて図示されている。)。本実施例では、動力伝達装置50は、伝達部材としてのウォームギア36と、圧入係合部材としての係合パイプ38と、を有する。図6(a)は、モータ31の回転軸31aに取り付けた状態の係合パイプ38及びウォームギア36の回転軸31aの軸線方向の部分断面図、図6(b)は図6(a)の図中左側から見た動力伝達装置50の平面図である。
図5は、本実施例におけるモータ31及び動力伝達装置50を示す分解斜視図である(説明のため各要素は拡大率を変えて図示されている。)。本実施例では、動力伝達装置50は、伝達部材としてのウォームギア36と、圧入係合部材としての係合パイプ38と、を有する。図6(a)は、モータ31の回転軸31aに取り付けた状態の係合パイプ38及びウォームギア36の回転軸31aの軸線方向の部分断面図、図6(b)は図6(a)の図中左側から見た動力伝達装置50の平面図である。
ウォームギア36は、係合パイプ38が挿入される挿入穴36aを略中央に有する。挿入穴36aは、ウォームギア36の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)の一方の端面から他方の端面まで貫通している。挿入穴36aの内面には、後述する係合パイプ38の凹部と係合する凸部としての突起37が設けられている。突起37は、挿入穴36aの内面からウォームギア36の回転半径方向の内側に向けて突出している。突起37は、ウォームギア36の軸線方向の一方の端面側(回転軸31aの先端とは反対側)から、該軸線方向に沿って挿入穴36aの途中まで延在する。
係合パイプ38は、モータ31の回転軸31aが圧入されて固定される固定穴38aを略中央に有する略管状部材である。本実施例では、係合パイプ38は、その軸線方向と略直交する断面が略円形の略円管状部材である。係合パイプ38は、その周方向の一部に、係合パイプ38の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)の一方の端部(回転軸31aの先端とは反対側)から他方の端部側に向けて切り欠かれて形成された切り欠き部39を有する。切り欠き部39は、ウォームギア36の凸部としての突起37と係合する凹部を構成する。
ウォームギア36をモータ31の回転軸31aに取り付ける際には、ウォームギア36の回転方向において突起37と切り欠き部39との位置を合わせて、ウォームギア36の挿入穴36aに係合パイプ38を挿入する。そして、係合パイプ38の固定穴38aに回転軸31aを圧入する。本実施例では、突起37と切り欠き部39とは、互いに略嵌合するようにそれぞれ形成されている。
切り欠き部39における係合パイプ38の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)に沿う側面39aが突起37の対応する側面に37aと係合することで(図6(b))、係合パイプ38は回転軸31aの回転をウォームギア36に伝達する。また、切り欠き部39における係合パイプ38の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)と交差する方向に沿う側面39bが突起37の対応する側面37bと係合することで(図6(a))、係合パイプ38はウォームギア36の図中矢印B方向への移動を規制する。つまり、突起37が切り欠き部39に突き当たることで、ウォームギア36の回転軸31aから抜ける方向への移動が規制される。これにより、ウォームギア36の回転軸31aからの抜けが抑制される。なお、係合パイプ38において、切り欠き部39が設けられていない略円筒状部分を圧入部38bという。係合パイプ38は、特にこの圧入部38bにおいて回転軸31aに対し圧入固定される。
本実施例では、ウォームギア36は、自己潤滑性を有する樹脂材料であるPOMで形成されている。これにより、ウォームギア36はスムーズに駆動を伝達することができる。一方、本実施例では、係合パイプ38は、POMよりも線膨張係数の小さい金属材料であるSUS304で形成されている。また、本実施例では、回転軸31aは、金属材料であるSUS420J2で形成されている。
本実施例では、係合パイプ38の固定穴38a(特に圧入部38b)の内径(穴径)は、3.987(+0.008/0)mmであり、寸法許容差はh6級である。また、本実施例では、ウォームギア36の突起37の突出量(高さ)は、0.3mm±0.05mmであり、係合パイプ38の厚みも300μ(0/−0.01)mmである。なお、本実施例では、挿入穴36aの内径は係合パイプ38の外径に対し同じか又は若干大きくされているが、挿入穴36aに係合パイプ38が圧入されるようになっていてもよい。また、本実施例では、回転軸31aの外径(軸径)は4.018(0/−0.008)mmであり寸法許容差はh6級である。
つまり、本実施例では、圧入部38bの内径の最大値(最大穴径)は3.995mm(=3.987mm+0.008mm)である。一方、回転軸31aの外径の最小値(最小軸径)は4.01mm(=4.018mm−0.008mm)である。よって、最小圧入代は0.015mm(=4.010mm−3.995mm)である。
図7は、係合パイプ38をPOM、ナイロン、アルミニウム、SUS304、SUS420J2の各材料で作製した場合の圧入部38bの内径の変化を示す。各材料の係合パイプ38について、初期状態の雰囲気温度を20℃、初期状態における圧入部38bの内径を3.995mmで統一した。同図からわかるように、雰囲気温度の上昇と共に圧入部38bの内径は拡大していく。
ここで、上記各材料の線膨張係数を以下に示す。
POM 90×10−6[/℃]
ナイロン 80×10−6[/℃]
アルミニウム 24×10−6[/℃]
SUS304 17.3×10−6[/℃]
SUS420J2 10.3×10−6[/℃]
POM 90×10−6[/℃]
ナイロン 80×10−6[/℃]
アルミニウム 24×10−6[/℃]
SUS304 17.3×10−6[/℃]
SUS420J2 10.3×10−6[/℃]
POMで作製した係合パイプ38を用い、モータ31の回転トルクを11.5cNm、スラスト力14.2Nとして動作させる実験を行った。この場合、雰囲気温度が20℃のときは回転軸31aの空転は発生しなかったが、62℃に到達すると圧入部38aの内径の拡大によって回転軸31aが空転を始めた。
図7より、係合パイプ38をPOMで作製した場合、雰囲気温度が62℃のときの圧入部38aの内径は4.010mmである。また、このときのSUS420J2で作製された回転軸31aの外径は、下記式より、初期状態から0.002mm熱膨張している。
10.3×10−6×4.01mm×(62℃−20℃)≒0.002mm
10.3×10−6×4.01mm×(62℃−20℃)≒0.002mm
よって、このときの圧入代は、下記式より、0.002mmである。
軸径(4.01mm)+膨張分(0.002mm)−穴径(4.01mm)
=0.002mm
軸径(4.01mm)+膨張分(0.002mm)−穴径(4.01mm)
=0.002mm
そして、係合パイプ38をPOMで作製した場合、雰囲気温度が20℃のときの係合パイプ38と回転軸31aとの固定力は20Nであったが、雰囲気温度が62℃のときの係合パイプ38と回転軸31aとの固定力はスラスト力14.2Nより小さくなった。
一方、SUS304で作製した係合パイプ38を用いて上記同様の実験を行った。この場合、雰囲気温度が20℃のときも、62℃に到達したときも、回転軸31aの空転は発生しなかった。図7より、係合パイプ38をSUS304で作製した場合、雰囲気温度が62℃のときの圧入部38aの内径は約3.998mmである。また、このときのSUS420J2で作製された回転軸31aの外径は、上記同様初期状態から0.002mm熱膨張している。よって、このときの圧入代は、下記式より、0.014mmである。
軸径(4.01mm)+膨張分(0.002mm)−穴径(3.998mm)
=0.014mm
軸径(4.01mm)+膨張分(0.002mm)−穴径(3.998mm)
=0.014mm
また、係合パイプ38をSUS304で作製した場合、雰囲気温度が20℃のときも、62℃のときも、係合パイプ38と回転軸31aとの固定力は100N以上となり、スラスト力14.2Nよりも十分に大きかった。
同様に、係合パイプ38をアルミニウム、SUS420J2で作製した場合、雰囲気温度が62℃のときの圧入部38bの内径はそれぞれ3.999mm、3.996mmであり、圧入代はそれぞれ0.013mm、0.016mmとなった。そして、これらいずれの場合も、雰囲気温度が62℃のときにも回転軸31aの空転は発生せず、圧入状態は維持された。
また、ウォームギア36の突起37の高さは、最小で0.25mm(=0.3mm−0.05mm)である。この高さは、POMで作製されたウォームギア36の挿入穴36aの内径の変化量(上記同様の実験より20℃から62℃への雰囲気温度の変化で0.015mm程度)よりも十分大きい。そのため、雰囲気温度が上昇しても、突起37と切り欠き部39との係合が外れることはない。
本実施例では、ウォームギア36の材料としてPOMを用い、係合パイプ38の材料としてSUS304を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。圧入係合部材の材料の線膨張係数が伝達部材の材料の線膨張係数よりも小さければよい。上記例示の材料であれば、ウォームギア36の材料としてナイロンを選択することも可能であるし、係合パイプ36の材料をアルミニウムに変更することも可能である。
ただし、伝達部材の材料は、圧入係合部材の材料よりも相対的に摺動性が高い(伝達部材が係合する被伝達部材の材料などの所定の材料に対する摩擦係数(動摩擦係数)が相対的に小さい)ことが好ましい。典型的には、伝達部材の材料はプラスチック材料、圧入係合部材の材料は金属であるが、これに限定されるものではない。摺動性が相対的に高く伝達部材の材料として好適な材料としては、上記POM、ナイロンの他、PEEK(線膨張係数50×10−6[/℃])が挙げられる。また、摺動性が相対的に低く圧入係合部材の材料として好適な材料としては、上記SUSの他、ガラス強化ABS(線膨張係数30×10−6[/℃])、鉄(線膨張係数11.7×10−6[/℃])が挙げられる。なお、典型的には、駆動源の回転軸の材料は金属であるが、これに限定されるものではない。ただし、駆動源の回転軸の材料の線膨張係数は伝達部材の材料の線膨張係数よりも小さいことが好ましい。駆動源の回転軸の材料としては、圧入係合部材の材料として例示したものと同じものが例示できる。
軸を穴に圧入して固定する場合、通常軸及び穴のいずれにおいても加工公差を有するため、最小軸径と最大穴径とに基づいて適切な圧入代を設定することが望まれる。そして、動力伝達装置の使用温度が大きく変化する場合には、穴及び軸の材料の選定が重要となる。穴及び軸の材料として相対的に線膨張係数の小さな材料を用いることで、雰囲気温度が上昇したときにも穴と軸との固定力の低下が相対的に少ない構成とすることが可能となる。これによって穴と軸との間での空転を抑制することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、モータ31の回転軸31aに加工を施す必要がないため、モータ31の汎用性を維持することが可能となる。また、例えば図6(b)及び図8からわかるように、回転軸31aの外径が異なるモータ31に対しても、内径の異なる係合パイプ38を用意することで対応することができ、ウォームギア36の汎用性も高めることができる。また、回転軸31aに段差を設けることがないため、摩擦力の低下を抑制し、ウォームギア36の抜けや回転軸31aの空転を抑制することができる。また、雰囲気温度が上昇した場合でも、係合パイプ38の材料の線膨張係数は相対的に小さいので、固定穴38aの内径の拡大を抑制することができ、これによりウォームギア36の抜けや回転軸31aの空転を抑制することができる。したがって、本実施例によれば、駆動源の汎用性を損なうことなく、簡易な構成で、駆動源の回転軸に取り付けられる伝達部材の抜けや回転軸の空転を抑制することができる。
なお、本実施例では、圧入係合部材の凹部と伝達部材の凸部とはそれぞれ1個ずつ設けられていたが、これらはそれぞれ複数個ずつ設けられていてもよい。また、圧入係合部材に凸部、伝達部材に凹部を設けてもよい。さらに、圧入係合部材と伝達部材とにそれぞれ凹部及び凸部の両方を設けてもよい。すなわち、圧入係合部材が凹部又は凸部の少なくとも一方を有し、伝達部材が圧入係合部材の凹部と係合する凸部又は圧入係合部材の凸部と係合する凹部の少なくとも一方を有していればよい。
また、本実施例では、圧入係合部材の軸線方向と略直交する断面は略円形であったが、圧入係合部材の断面形状は円形に限定されるものではない。例えば、圧入係合部材の外面の断面形状は多角形(例えば四角形)、楕円(長円)などであってもよい。例えば、圧入係合部材の外面の断面形状が多角形である場合、伝達部材の挿入穴の断面形状をそれと嵌合する多角形とすることができる。あるいは、伝達部材の挿入穴の断面形状を略円形などとして、断面形状が多角形の圧入係合部材が圧入されるようにしてもよい。これらの場合、圧入係合部材は、圧入係合部材の外面と伝達部材の内面との係合によっても、回転軸の回転を伝達部材に伝達することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例において実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例において実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
図9は、本実施例におけるモータ31及び動力伝達装置50を示す分解斜視図である(説明のため各要素は拡大率を変えて図示されている。)。本実施例では、動力伝達装置50は、伝達部材として実施例1におけるウォームギア36の代わりにハス歯ギア40を有する。ハス歯ギア40は、実施例1におけるウォームギア36の挿入穴36a、突起37とそれぞれ実質的に同じ構成の挿入穴40a、突起41を有する。また、本実施例では、動力伝達装置50は、圧入係合部材として実施例1におけるものと実質的に同じ構成の係合パイプ38を有する。
モータ31が回転すると、その駆動力は実施例1と同様にして係合パイプ38を介してハス歯ギア40に伝達される。ハス歯ギア40には、これと噛み合って従動する図示しない従動ギアが駆動伝達可能なように連結されている。この従動ギアの回転は、この従動ギアと噛み合う図4に示す第3のギア35の第2ギア部35bに伝達される。
モータ31が回転すると、回転動力によってハス歯ギア40は図中矢印B方向、すなわち回転軸31aの軸線に沿って回転軸31aから抜ける方向に押圧される。しかし、ハス歯ギア40の突起41が係合パイプ38の切り欠き部39と係合することで、ハス歯ギア40は図中矢印B方向への移動を規制される。これにより、ハス歯ギア40の回転軸31aからの抜けが抑制される。
また、実施例1と同様に、係合パイプ38の材料としては、ハス歯ギア40の材料よりも線膨張係数の小さいものが選択されている。本実施例では、ハス歯ギア40の材料としてはナイロンを用い、係合パイプ38の材料としてはSUS304を用いた。
これにより、雰囲気温度が上昇しても突起41と切り欠き部39との係合が外れることはなく、また係合パイプ38と回転軸31aとの圧入代も確保されるので回転軸31aが空転することもない。
以上説明したように、伝達部材がハス歯ギア40であっても、実施例1と同様に係合パイプ38によってハス歯ギア40の抜けや回転軸31aの空転を抑制することができる。同様に、伝達部材が傘歯ギアであっても、ギアの抜けや回転軸の空転を抑制できる。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例において実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例において実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
図10は、本実施例におけるモータ31及び動力伝達装置50を示す分解斜視図である(説明のため各要素は拡大率を変えて図示されている。)。本実施例では、動力伝達装置50は、伝達部材として実施例1におけるウォームギア36の代わりに、後述する凸部43を有するウォームギア42を有する。また、本実施例では、動力伝達装置50は、圧入係合部材として実施例1における係合パイプ38の代わりに、上記凸部43と係合する後述する凹部45を有するストッパー44を有する。図11は、モータ31の回転軸31aにウォームギア42及びストッパー44を取り付けた状態を示す側面図である。
ウォームギア42は、モータ31の回転軸31aが挿入される挿入穴42aを略中央に有する。挿入穴42aは、ウォームギア42の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)の一方の端面から他方の端面まで貫通している。ウォームギア42の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)の一方の端面(回転軸31aの先端側)には、後述するストッパー44の凹部45と係合する凸部43が設けられている。本実施例では、凸部43は、挿入穴42aの開口部の周方向に沿って3個設けられている。凸部43は、上記一方の端面からウォームギア42の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)に沿って回転軸31aの先端側に突出している。
ストッパー44は、モータ31の回転軸31aが圧入されて固定される固定穴44aを略中央に有する略管状部材である。本実施例では、ストッパー44は、その軸線方向と略直交する断面が略円形の略円管状部材である。ストッパー44の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)の一方の端部(回転軸31aの先端とは反対側)には、ウォームギア42の凸部43と係合する凹部45が設けられている。本実施例では、凹部45は、固定穴44aの開口部の周方向に沿って3個設けられている。
ウォームギア42をモータ31の回転軸31aに取り付ける際には、ウォームギア42の挿入穴42aに回転軸31aを挿入する。また、ウォームギア42の回転方向において凸部43と凹部45との位置を合わせて、ストッパー44の固定穴44aに回転軸31aを圧入する。本実施例では、凸部43と凹部45とは、互いに略篏合するようにそれぞれ形成されている。
凹部45におけるストッパー44の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)に沿う側面45aが凸部43の対応する側面43aと係合することで、ストッパー44は回転軸31aの回転をウォームギア42に伝達する。また、凹部45におけるストッパー44の軸線方向(回転軸31aの軸線方向)と交差する方向に沿う側面45bが凸部43の対応する側面43bと係合することで、ストッパー44はウォームギア42の図中矢印B方向への移動を規制する。つまり、凸部43が凹部45に突き当たることで、ウォームギア42の回転軸31aから抜ける方向への移動が規制される。
なお、ここではウォームギア42に凸部が設けられ、ストッパー44に凹部45が設けられているものとして説明したが、ウォームギア42に凹部が設けられ、ストッパー44に凸部が設けられているものとしてもよい。
モータ31が回転すると、その駆動力はストッパー44の凹部45及びウォームギア42の凸部43を介して、ウォームギア42に伝達される。ウォームギア42の回転は、ウォームギア42と噛み合う図4に示す第3のギア35の第2ギア部35bに伝達される。
モータ31が回転すると、回転動力によってウォームギア42は図中矢印B方向、すなわち回転軸31aの軸線方向に沿って回転軸31aから抜ける方向に押圧される。しかし、ウォームギア42の凸部43がストッパー44の凹部45と係合することで、ウォームギア42は図中矢印B方向への移動を規制される。これにより、ウォームギア42の回転軸31aからの抜けが抑制される。
また、ストッパー44の材料としては、ウォームギア42の材料よりも線膨張係数の小さいものが選択されている。本実施例では、ウォームギア42の材料としてはPOMを用い、ストッパー44の材料としてはアルミニウムを用いた。
本実施例では、ストッパー44の固定穴44aの内径は、3.987(+0.008/0)mmであり、寸法許容差はh6級である。また、本実施例では、ウォームギア42の挿入穴42aの内径は、4.020mmであり、回転軸31aの外径よりも大きい。
実施例1で説明したのと同様の実験により、ストッパー44をアルミニウムで作製した場合、雰囲気温度が62℃のときの固定穴44aの内径は約3.999mmとなる。また、実施例1で説明したのと同様に回転軸31aの膨張分も加味して、下記式より、このときの圧入代は0.013mmとなる。
軸径(4.010mm)+膨張分(0.002mm)−穴径(3.999mm)
=0.013mm
軸径(4.010mm)+膨張分(0.002mm)−穴径(3.999mm)
=0.013mm
これにより、雰囲気温度が上昇しても凸部43と凹部45との係合が外れることはなく、またストッパー44と回転軸31aとの圧入代も確保されるので回転軸31aが空転することもない。
以上説明したように、本実施例の構成によっても、実施例1と同様の効果が得られる。
なお、ウォームギアの抜けを抑制する方法として、回転軸にE型止め輪を嵌めて、スラスト方向のストッパーとする方法があるが、この場合は回転軸にE型止め輪に対応した溝を形成する必要がある。これに対し、本実施例によれば、回転軸に加工を施す必要はない。
[実施例4]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例において実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例において実施例1のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
図12は、本実施例におけるモータ31及び動力伝達装置50を示す分解斜視図である(説明のため各要素は拡大率を変えて図示されている。)。本実施例では、動力伝達装置50は、伝達部材として実施例1におけるウォームギア36の代わりに、突起37を有さないウォームギア47を有する。また、本実施例では、動力伝達装置50は、圧入係合部材として実施例1における係合パイプ38の代わりに、切り欠き部39を有さない係合パイプ46を有する。
本実施例におけるウォームギア47は、突起37を有していないことを除いて、実施例1におけるウォームギア36と実質的に同じ構成であり、実施例1におけるウォームギア36の挿入穴36aに対応する挿入穴47aを有する。
係合パイプ46は、モータ31の回転軸31aが圧入されて固定される固定穴46aを略中央に有する略管状部材である。本実施例では、係合パイプ46は、その軸線方向と略直交する断面が略円形の略円管状部材である。係合パイプ46の外周面(外面)46bはサンドブラストによって粗い面とされている。本実施例では、係合パイプ46の外周面46bの表面粗さは、最大高さ粗さ(JIS)で100μmとされている。
ウォームギア47をモータ31の回転軸31aに取り付ける際には、ウォームギア47の挿入穴47aに係合パイプ46を圧入する。そして、係合パイプ46の固定穴46aに回転軸31aを圧入する。なお、この圧入の順番は逆でもよい。
本実施例では、係合パイプ46がウォームギア47の挿入穴47aに圧入されることで、係合パイプ46の外周面(係合面)46bがウォームギア47の挿入穴47aの内面(係合面)47bと摩擦係合する。
モータ31が回転すると、その駆動力は係合パイプ46の外周面46b及びウォームギア47の内面47bを介して、ウォームギア47に伝達される。ウォームギア47の回転は、ウォームギア47と噛み合う図4に示す第3のギア35の第2ギア部35bに伝達される。
モータ31が回転すると、回転動力によってウォームギア47は図中矢印B方向、すなわち、回転軸31aの軸線方向に沿って回転軸31aから抜ける方向に押圧される。しかし、ウォームギア47の内面47bと係合パイプ46bの外周面46bとが摩擦係合することで、ウォームギア47は図中矢印B方向への移動を規制される。これにより、ウォームギア47の回転軸31aからの抜けが抑制される。
また、係合パイプ46の材料としては、ウォームギア47の材料よりも線膨張係数の小さいものが選択されている。本実施例では、ウォームギア47の材料としてはPOMを用い、係合パイプ46の材料としてはSUS304を用いた。これにより、実施例1と同様に、雰囲気温度が62℃のときでも回転軸31aの空転は発生しない。
本実施例では、係合パイプ46とウォームギア47も圧入によって固定されている。本実施例では、係合パイプ46の外周面46bの外径は4.600(0/−0.1)mmであり、ウォームギア47の内面47bの内径は4.500(+0.1/0)mmである。雰囲気温度が62℃のときには、ウォームギア47の内面47bは20℃のときと比べて拡大する。その拡大量はPOMの線膨張係数が0.00009mm/℃であるため、下記式より、0.016mmとなる。
4.5mm×0.00009×(60℃−20℃)=0.016mm
4.5mm×0.00009×(60℃−20℃)=0.016mm
このとき係合パイプ46の外周面46bの最大高さ粗さは0.100mm(100μm)であるため、上記拡大量に比べて十分に大きい。よって、圧入代は0.084mm(=0.100mm−0.016mm)となり、圧入状態は維持される。これにより、雰囲気温度が上昇しても係合パイプ46とウォームギア47との圧入状態(摩擦係合状態)が解除されることはない。
以上説明したように、本実施例の構成によっても、実施例1と同様の効果が得られる。
なお、圧入係合部材の粗面化された表面の表面粗さの値は本実施例のものに限定されるものではなく、十分な係合状態が得られるように適宜設定することができる。また、表面を粗くする方法も、本実施例におけるサンドブランストに限定されるものではなく、やすりなどを用いて粗くしてもよい。また、圧入係合部材の表面にローレット形状(斜めローレット、平目ローレット、綾目ローレットなどのいずれの形状でもよい。)を施してもかまわない。また、伝達部材の表面を粗面化してもよく、圧入係合部材の係合面と伝達部材の係合面の少なくとも一方を粗面化することで同様の効果が得られる。ただし、伝達部材の材料がプラスチックであり、圧入係合部材の材料が金属である場合など、圧入係合部材の方が伝達部材よりも硬度が高い場合には、少なくとも圧入係合部材の係合面を粗面化することが好ましい。さらに、係合パイプ46の固定穴46aの内面も同様に粗くして、回転軸31aとの固定力を大きくしてもよい(実施例1、2の係合パイプ、実施例3のストッパーも同様。)。これにより、係合パイプ46の固定穴46aの内径が変化した場合の回転軸31aとの固定強度の低下を抑制し、回転軸31aの空転を更に抑制することができる。
31 モータ
36、42、47 ウォームギア(伝達部材)
38、46 係合パイプ(圧入係合部材)
40 ハス歯ギア(伝達部材)
44 ストッパー(圧入係合部材)
36、42、47 ウォームギア(伝達部材)
38、46 係合パイプ(圧入係合部材)
40 ハス歯ギア(伝達部材)
44 ストッパー(圧入係合部材)
Claims (13)
- 駆動源の回転軸の軸線の周りを回転する伝達部材と、
前記回転軸が圧入されると共に、前記伝達部材と係合して前記回転軸の回転を前記伝達部材に伝達する圧入係合部材と、
を有し、
前記圧入係合部材の線膨張係数は前記伝達部材の線膨張係数よりも小さいことを特徴とする動力伝達装置。 - 前記圧入係合部材は凹部又は凸部の少なくとも一方を有し、前記伝達部材は前記圧入係合部材の凹部と係合する凸部又は前記圧入係合部材の凸部と係合する凹部の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
- 前記圧入係合部材及び前記伝達部材の互いに係合する凹部と凸部とは、互いに突き当たって前記回転軸の軸線方向への前記伝達部材の移動を規制することを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
- 前記圧入係合部材は、前記回転軸が圧入される固定穴を有する略管状部材であり、前記回転軸の軸線方向の一方の端部から他方の端部側に向けて切り欠かれて形成された凹部を有し、
前記伝達部材は、前記圧入係合部材が挿入される挿入穴を有し、前記挿入穴の内面に前記圧入係合部材の凹部と係合する凸部を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の動力伝達装置。 - 前記圧入係合部材は、前記回転軸が圧入される固定穴を有する略管状部材であり、前記回転軸の軸線方向の一方の端面に凹部又は凸部を有し、
前記伝達部材は、前記回転軸が挿入される挿入穴を有し、前記回転軸の軸線方向の一方の端面に前記圧入係合部材の凹部と係合する凸部又は前記圧入係合部材の凸部と係合する凹部を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の動力伝達装置。 - 前記圧入係合部材は、前記回転軸が圧入される固定穴を有する略管状部材であり、
前記伝達部材は、前記圧入係合部材が挿入される挿入穴を有し、
前記圧入係合部材の外面又は前記伝達部材の前記挿入穴の内面の少なくとも一方は粗面化されていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。 - 前記伝達部材は、該伝達部材と係合する被伝達部材に駆動を伝達する際に前記回転軸の軸線方向に駆動力の一部が加わるギアであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
- 前記伝達部材は、ウォームギア、ハス歯ギア又は傘歯ギアであることを特徴とする請求項7に記載の動力伝達装置。
- 前記伝達部材の所定の材料に対する動摩擦係数は、前記圧入係合部材の前記所定の材料に対する動摩擦係数よりも小さいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
- 前記回転軸は、略円柱形状を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
- 回転可能な回転軸を備えた駆動源と、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の動力伝達装置と、
を有することを特徴とする駆動装置。 - 像担持体にトナー像を形成し、前記像担持体から記録材にトナー像を転写して出力する画像形成装置において、
請求項11に記載の駆動装置を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記像担持体の表面からトナーを回収するトナー回収装置を有し、前記トナー回収装置は回収したトナーを搬送する搬送部材を有し、前記駆動装置は前記搬送部材に駆動力を伝達することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
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