JP2004100916A - 直動案内軸受装置及び直動案内軸受装置の軌道溝設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】案内レールやスライダの軌道溝を転造加工により成形する場合において、軸受としての機能を満足するのに必要な精度が確保でき、かつ実用に耐え得る負荷能力を備える直動案内軸受装置を提供する。
【解決手段】案内レール1の軌道溝3を転造加工により成形し、当該転造加工により成形した軌道溝の溝深さを、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下にする。
【選択図】 図5
【解決手段】案内レール1の軌道溝3を転造加工により成形し、当該転造加工により成形した軌道溝の溝深さを、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下にする。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業機械等に用いられ、特に軌道溝が転造により成形される直動案内軸受装置及びそのような直動案内軸受装置の軌道溝設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
直動案内軸受装置としては、軸方向に延びる案内レールと、当該案内レール上に軸方向に移動可能に跨架されたスライダとを備えたものが知られている。案内レールの両側面にはそれぞれ軸方向に延びる直線状の軌道溝が形成されており、スライダには、その両袖部の内側面に、その軌道溝に対向する直線状の軌道溝が形成されている。
【0003】
ところで、レールやスライダの軌道溝は通常、素材を引き抜き加工した後、仕上げ工程としての研削加工により仕上げられる。しかしながら、研削加工は、加工時間が長く、加工コストが高くなるという問題点がある。
その解決策として、特許文献1には、転造加工の技術を直線溝に適用することで軌道溝を成形する方法が開示されている。この方法では、軌道溝形状に合わせた凸状加工部が円周上に形成された回転ダイスを用い、レール素材の両側から凸状加工部を押圧することで軌道溝を成形している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−227539号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、転造加工により軌道溝を成形する場合、回転ダイスの形状に対して、レール素材に転写される軌道溝の形状はスプリングバック等により誤差を含んだ形状になる。また、熱処理を施すことにより、さらに溝形状は変化する。例えば、これらの誤差及びそのばらつきは加工量(加工代)が多くなるに従い増える傾向にある。
【0006】
このような誤差及びばらつきが軌道溝に生じると、軌道溝と転動体との接触角が目標通りにならなくなり、それが直動案内軸受装置としての負荷能力に影響し、剛性の低下、さらには寿命の低下につながってしまう。
また、誤差を少なくするために加工量を少なくする、すなわち軌道溝の溝深さを浅くしすぎると、高荷重の条件では軌道溝と転動体との接触部に形成される接触楕円が途中で切れることになり、それにより局部的に接触面圧が過大になり、早期の破損につながってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みてなされたものであり、案内レールやスライダの軌道溝を転造加工により成形する場合において、軸受としての機能を満足するのに必要な精度が確保でき、かつ実用に耐え得る負荷能力を備える直動案内軸受装置及びそのような直動案内軸受装置の軌道溝設計方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記問題を解決するために、請求項1記載の発明に係る直動案内軸受装置は、軸方向に延びる軌道溝を有して軸方向に延長された案内レールと、当該案内レールの前記軌道溝に対向する軌道溝を有し、これらの軌道溝間に挿入された多数の転動体の転動を介して軸方向に沿って移動可能に前記案内レールに支持されたスライダとを備えた直動案内軸受装置であって、前記案内レールの軌道溝又はスライダの軌道溝の少なくとも一方の軌道溝が転造加工により成形されており、当該転造加工により成形された軌道溝の溝深さが、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下であることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載の発明に係る直動案内軸受装置の軌道溝設計方法は、転動体が転動する軌道溝の形状に合わせた凸状加工部付きの回転ダイスを用い、転造加工により素材に溝加工して直動案内レールの軌道溝又はスライダの軌道溝を成形するための直動案内軸受装置の軌道溝設計方法であって、前記軌道溝の溝深さを、前記転造加工により発生する溝形状の誤差分を考慮した寸法としていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3記載の発明に係る直動案内軸受装置の軌道溝設計方法は、請求項2記載の発明に係る直動案内軸受装置の軌道溝設計方法において、前記転造加工により成形された軌道溝の溝深さを、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下に選定していることを特徴としている。
【0011】
このように、本発明では、転造加工により成形された軌道溝の溝深さを、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下にしている。
ここで、溝深さを玉径比で0.45以下とし、転造加工による加工量が多い場合でも溝形状の誤差分を一定範囲内に抑え、一方、溝深さを玉径比で0.26以上とし、溝深さが浅い場合でも実使用時に耐え得る負荷能力を実現している。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態の一例である直動案内軸受装置を説明するための斜視図であり、図2は直動案内軸受装置のスライダについての分解斜視図であり、図3は、図1中に示す矢視A−Aについての直動案内軸受装置の断面図である。
【0013】
直動案内軸受装置は、軸方向に延びる案内レール1と、この案内レール1上に軸方向に移動可能に跨架されたスライダ20とを備えている。
案内レール1は、断面略四角形の棒状体であり、その両側面にはそれぞれ軸方向に延びる直線状の軌道溝3が形成されている。ここで、軌道溝3は、転造加工により成形されており、その溝深さが玉径比で0.26以上であり0.45以下になるように選定されている。これについては後で詳述する。
【0014】
一方、スライダ20は、スライダ本体20Aと、当該スライダ本体20Aの両端面にそれぞれ固定されるエンドキャップ(転動体循環部品)50とを備えている。
スライダ本体20Aは、断面略コ字形状をなしている。このスライダ本体20Aの各袖部21には、その内側面に、それぞれ軌道溝3に対向する直線状の軌道溝31が形成されている。また、スライダ本体20Aの各袖部21には、その両端面にねじ穴22が形成されている。
【0015】
ここで、このスライダ本体20Aの軌道溝25と前記案内レール1の軌道溝3とは、転動体としてのボールBを転動する溝を構成するのであるが、この軌道溝25及び前記案内レール1の軌道溝3はそれぞれ、上下左右の四方向等負荷容量となるように接触角αが45°とされ、V字形に形成され、すなわちゴシックアーチ溝形になっている。例えば、軌道溝25は研削加工により仕上げが行われている。
【0016】
また、スライダ本体20Aの上面には軸方向に貫通する溝部23が形成されており、当該溝部23の底面は平坦な水平面とされている。さらに、溝部23の両側内面と底面との間は、ボールBの球面に対応した断面R形状とされている。この溝部23の略中央部には、断面矩形の長尺部材であるセパレータ30が配置されるようになっている。例えば、セパレータ30の両端面には、それぞれねじ穴32が同心に形成されている。
【0017】
このようなセパレータ30を溝部23の中央に配置することで、溝部23のセパレータ30の両側に、前記軌道溝3,25間に対応する二列の転動体通路24が形成される。
エンドキャップ50は、スライダ本体20Aと同様に断面略コ字形状をなしている。このエンドキャップ50内には、両軌道溝3,25間と転動体通路24とを連通する転動体循環部60が上下方向に湾曲して形成されている。そして、このエンドキャップ50には、セパレータ30のねじ穴及びスライダ本体20Aのねじ穴22に対応する位置にねじ挿通穴51がそれぞれ形成されている。
【0018】
そして、このようなエンドキャップ50をスライダ本体20Aの両端部に配置し、当該エンドキャップ50の各ねじ挿通穴51から挿入したねじ12をねじ穴22,32に締め付けることによりスライダ本体20Aの両端面にエンドキャップ50が固定されるようになっている。
スライダ本体20Aの両端面にエンドキャップ50を固定した後、スライダ本体20Aの溝部23(転動体通路24)はカバー(脱落防止部材)40によって覆われるようになっている。カバー40は略長方形状をなしてスライダ20の軸方向長さより若干長く形成されており、両端部が略90°下方に折り曲げられて当該折り曲げ部分に取付穴41が二か所ずつ形成されている。そして、この取付穴41をエンドキャップ50の外面に取付穴41に対応して形成された突起53に嵌め込むことにより、カバー40がスライダ20の上面に着脱自在に固定されるようになっている。
【0019】
このようなスライダ20を案内レール1に装着することで、これにより向き合った軌道溝3,25がスライダ本体20Aの転動体通路24とエンドキャップ50の転動体循環部60により連通することで無限循環軌道路が構成され、この無限循環軌道路に多数のボールBを転動自在に装填することで、そのボールBの転動を介してスライダ20が案内レール1上を軸方向に沿って移動できるようになっている。
【0020】
次に、転造加工による案内レール1の軌道溝3の成形を説明する。
図4は、案内レール1の軌道溝3を転造加工により成形する転造加工装置の要部の概略で、(a)は側面図、(b)は正面図である。2つの転造加工用の回転ダイス110が案内レール1の素材であるワークWを挟むように向かい合って設置されている。
【0021】
各回転ダイス110は円盤形の丸ダイスで、その回転軸の方向がワークWの軸の方向に対して直角に配設されている。ダイス外周面(溝加工面)の形状は、転造すべき案内レール1の軌道溝3の溝形状に合わせた凸形状、具体的にはゴシックアーク形凸形状に整えられて凸状加工部Tを形成している。
各回転ダイス110には駆動装置であるダイス回転用のモータ111がそれぞれに付設されており、回転ダイス110はこのモータ111によりベルト112を介して回転駆動される(能動型ダイスである)。また、回転ダイス110をそのモータ111と共にワークWに向けて矢印B方向として示すように移動させることで、回転ダイス110をワークWに押し付ける図示されない移動加圧機構を備えている。
【0022】
その移動加圧機構により加圧位置に送り出された回転ダイス110は、図外のストッパに突き当てて位置決めするか、または油圧NC、BS駆動等の公知の位置決め送り機構を有して位置決めを行うようになっている。
さらに、溝加工時に矢符号Xで示す方向(すなわちダイス対向方向と90°位相をずらした方向)の位置を安定させるために、加工位置(又はその前後の近傍位置でも良い)に、ワークWを両側から挟んで加圧支持する例えば油圧式あるいは固定式などの位置決め支持装置113を備えている。
【0023】
このような転造加工装置により、案内レールの軌道溝3は次のように成形される。
例えば、ワークWは、加工前硬さHRC20以下に焼きなまししておく。また、このワークWの表面には、薄い脱炭層が存在し、このままの状態で転造加工すると、熱処理後に十分な表面焼入れ硬さが得られない。このため、転造加工前に、ワークWの脱炭層を、0.5mm程度あらかじめ削り取っておく。
【0024】
そして、対向する一対の回転ダイス110は、図外の移動加圧機構により加圧位置に送り出し、ストッパに突き当てるなどして位置決めされる。かくて、ダイス間距離Lを、ワークWの両側の軌道溝3,3間の既知寸法L1に対応させて予め設定しておく。
そして、回転ダイス110を回転させた状態でワークWを、当該回転ダイス110間に挿入して位置決め支持装置113で正しく加工位置に保持しつつ矢印C方向に送り、回転ダイス110間を通過させて案内レールの軌道溝3を素材Wの側面に転造成形する。
【0025】
ここで、回転ダイス110間を1回通過して最終形状に仕上げる場合と、ダイス間距離を変えながら複数回の通過を繰り返して最終形状に仕上げる場合とがあり、ワークWの素材の種類や溝の加工精度、溝形状等に応じて通過回数が決定される。
このように、転造加工により案内レール1の軌道溝3が成形されるが、その溝深さは玉径比で0.26以上であり0.45以下になるように設計している。これについて以下に説明する。
【0026】
なお、玉径比とは、図5に示すように、溝深さをDgとし、転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値(Dg/Dw)である。
先ず、軌道溝3の溝深さを玉径比で上限値を0.45に選定している理由について説明する。
【0027】
軌道溝を転造加工で成形する場合、加工量(溝深さ)の増加に伴い、スプリングバック等により、実際の溝形状と目標とする溝形状との誤差及びそのばらつきは大きくなる。ここで、玉径比と接触角(図5に図示)の誤差との関係は、図6に示すような関係として得ることができる。
ところで、ベアリングの上下方向に作用する外部荷重をFとし、接触角をαとし、転動体(鋼球)と軌道溝との接触部の法線方向に作用する荷重(玉荷重)をQとした場合、その関係は下記(1)式となる。
【0028】
Q=F/sinα ・・・(1)
この式をもとに、外部荷重を一定とし、接触角が45°に対して誤差が5°生じた場合の玉荷重は下記表のようになる。
【0029】
【表1】
【0030】
この表に示すように、接触角αが45°から5°ずれて40°になった場合には、玉荷重は10%増加することになり、軌道溝への負担は大きくなる。また、接触角αが45°から5°ずれて50°になった場合には、上下方向の荷重に対しての玉荷重は小さくなるが、横方向荷重に対しては接触角αが40°の場合に相当し、10%増加することになる。
【0031】
したがって、玉荷重の誤差を10%以下に抑えることを目標とするのであれば、接触角誤差を5°以下にする必要があり、図6に示す関係から、溝深さを玉径比で0.45以下が最適であるといえる。
その一方で、溝深さを浅くすると、高荷重の条件では軌道溝と転動体との接触部に形成される接触楕円が途中で切れることになり、それにより局部的に接触面圧が過大になり、早期の破損につながる。このようなことからできるだけ、溝深さを確保する必要があることから、玉径比で0.45を上限と選定している。
【0032】
なお、前記接触楕円については、図5に示すように、軌道溝と転動体との接触部で形成される領域である。
次に、軌道溝3の溝深さを玉径比で下限値を0.26に選定している理由について説明する。
溝深さを浅くすると、目標とする溝形状に対しての誤差は少なくなるが、逆に溝深さを浅くしすぎると、高荷重の条件では軌道溝と転動体との接触部に形成される接触楕円が切れやすくなる。しかし、接触楕円が途中で切れると、局部的に接触面圧が過大になる部分が生じ、早期の破損につながる。このようなことから、溝深さを浅くする方が好ましいが、高荷重の条件でも接触楕円が切れない程度で浅くすることが望ましいといえる。
【0033】
ところで、直動案内軸受装置の最大許容荷重という位置付けとして、静定格荷重が規定されている。このようなことから、接触楕円が切れないように接触部に作用する荷重の上限として、直動案内軸受装置が静定格荷重相当の荷重に耐えられことを条件とし、この関係から溝深さを決定することを考える。
ここで、玉径比と最大接触面圧との関係は図7に示すような関係として得ることができる。なお、通常、軌道溝の半径Rgを転動体の直径Dwの比で表した溝R比は51〜56%に設定され、この溝R比が大きいほど面圧が高くなる傾向にあることから、図7に示す関係は、51〜56%で面圧が最大にな56%の場合としている。
【0034】
そして、通常、前記静定格荷重相当の荷重が作用した場合の軌道溝と転動体との接触部の最大面圧は約4000MPaであるとされている。このようなことから、最大接触面圧が4000MPaになる荷重が、接触楕円が切れないように接触部に作用する荷重の上限とし、図7に示す関係から、この最大接触面圧が4000MPaのときの玉径比0.26を、溝深さの玉径比の下限値として選定している。
【0035】
以上のような理由から、直動案内軸受装置の軌道溝の設計では、転造加工により成形される案内レール1の軌道溝3の溝深さを玉径比で0.26〜0.45に選定している。
このようにすることで、軌道溝を転造加工で成形することによる加工時間の短縮、コスト削減、さらには機能を満足するのに必要な精度の確保といったことを実現しつつも、軌道溝3の溝深さを玉径比で0.26〜0.45とすることで、実使用で要求される負荷能力を備える直動案内軸受装置を提供することができる。
【0036】
なお、前述の実施の形態では、転造加工により案内レール1に軌道溝を成形する場合を説明したが、転造加工によりスライダ20(スライダ本体20A)の軌道溝を成形することもできる。この場合、その転造加工によりスライダ20に成形する軌道溝についても、前記玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下にする。また、転造加工装置の構成や配置等については、スライダ20に軌道溝を成形するために考慮されたものとなることはいうまでもない。
また、前述の実施の形態では、直動案内軸受装置の構成や転造加工装置の構成を具体的に説明しているが、これに限定されるものではなく、他の構成を有する直動案内軸受装置や転造加工装置に本発明を適用できることはいうまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、案内レール又はスライダに転造加工により軌道溝を成形し、その軌道溝の溝深さを玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下にすることで、加工時間の短縮、コスト削減、さらには機能を満足するのに必要な精度の確保といったことを実現しつつも、実使用で要求される負荷能力を備える直動案内軸受装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である直動案内軸受装置の構成を示す斜視図である。
【図2】前記直動案内軸受装置のスライダの構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1中に示す矢視A−Aについての直動案内軸受装置の断面図を示す。
【図4】レール軌道溝の転造加工装置の要部の概略で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】転造加工により成形する軌道溝の溝深さの説明に使用した図である。
【図6】玉径比と接触角誤差との関係を示す特性図である。
【図7】玉径比と最大接触面圧との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 案内レール
3 軌道溝
20 スライダ
20A スライダ本体
23 溝部
24 転動体通路
25 軌道溝
30 セパレータ(長尺部材)
40 カバー(脱落防止部材)
50 エンドキャップ(転動体循環部品)
52 ねじ
60 転動体循環部
110 回転ダイス
111 回転用モータ(ダイス駆動装置)
B ボール(転動体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業機械等に用いられ、特に軌道溝が転造により成形される直動案内軸受装置及びそのような直動案内軸受装置の軌道溝設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
直動案内軸受装置としては、軸方向に延びる案内レールと、当該案内レール上に軸方向に移動可能に跨架されたスライダとを備えたものが知られている。案内レールの両側面にはそれぞれ軸方向に延びる直線状の軌道溝が形成されており、スライダには、その両袖部の内側面に、その軌道溝に対向する直線状の軌道溝が形成されている。
【0003】
ところで、レールやスライダの軌道溝は通常、素材を引き抜き加工した後、仕上げ工程としての研削加工により仕上げられる。しかしながら、研削加工は、加工時間が長く、加工コストが高くなるという問題点がある。
その解決策として、特許文献1には、転造加工の技術を直線溝に適用することで軌道溝を成形する方法が開示されている。この方法では、軌道溝形状に合わせた凸状加工部が円周上に形成された回転ダイスを用い、レール素材の両側から凸状加工部を押圧することで軌道溝を成形している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−227539号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、転造加工により軌道溝を成形する場合、回転ダイスの形状に対して、レール素材に転写される軌道溝の形状はスプリングバック等により誤差を含んだ形状になる。また、熱処理を施すことにより、さらに溝形状は変化する。例えば、これらの誤差及びそのばらつきは加工量(加工代)が多くなるに従い増える傾向にある。
【0006】
このような誤差及びばらつきが軌道溝に生じると、軌道溝と転動体との接触角が目標通りにならなくなり、それが直動案内軸受装置としての負荷能力に影響し、剛性の低下、さらには寿命の低下につながってしまう。
また、誤差を少なくするために加工量を少なくする、すなわち軌道溝の溝深さを浅くしすぎると、高荷重の条件では軌道溝と転動体との接触部に形成される接触楕円が途中で切れることになり、それにより局部的に接触面圧が過大になり、早期の破損につながってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みてなされたものであり、案内レールやスライダの軌道溝を転造加工により成形する場合において、軸受としての機能を満足するのに必要な精度が確保でき、かつ実用に耐え得る負荷能力を備える直動案内軸受装置及びそのような直動案内軸受装置の軌道溝設計方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記問題を解決するために、請求項1記載の発明に係る直動案内軸受装置は、軸方向に延びる軌道溝を有して軸方向に延長された案内レールと、当該案内レールの前記軌道溝に対向する軌道溝を有し、これらの軌道溝間に挿入された多数の転動体の転動を介して軸方向に沿って移動可能に前記案内レールに支持されたスライダとを備えた直動案内軸受装置であって、前記案内レールの軌道溝又はスライダの軌道溝の少なくとも一方の軌道溝が転造加工により成形されており、当該転造加工により成形された軌道溝の溝深さが、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下であることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載の発明に係る直動案内軸受装置の軌道溝設計方法は、転動体が転動する軌道溝の形状に合わせた凸状加工部付きの回転ダイスを用い、転造加工により素材に溝加工して直動案内レールの軌道溝又はスライダの軌道溝を成形するための直動案内軸受装置の軌道溝設計方法であって、前記軌道溝の溝深さを、前記転造加工により発生する溝形状の誤差分を考慮した寸法としていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3記載の発明に係る直動案内軸受装置の軌道溝設計方法は、請求項2記載の発明に係る直動案内軸受装置の軌道溝設計方法において、前記転造加工により成形された軌道溝の溝深さを、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下に選定していることを特徴としている。
【0011】
このように、本発明では、転造加工により成形された軌道溝の溝深さを、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下にしている。
ここで、溝深さを玉径比で0.45以下とし、転造加工による加工量が多い場合でも溝形状の誤差分を一定範囲内に抑え、一方、溝深さを玉径比で0.26以上とし、溝深さが浅い場合でも実使用時に耐え得る負荷能力を実現している。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態の一例である直動案内軸受装置を説明するための斜視図であり、図2は直動案内軸受装置のスライダについての分解斜視図であり、図3は、図1中に示す矢視A−Aについての直動案内軸受装置の断面図である。
【0013】
直動案内軸受装置は、軸方向に延びる案内レール1と、この案内レール1上に軸方向に移動可能に跨架されたスライダ20とを備えている。
案内レール1は、断面略四角形の棒状体であり、その両側面にはそれぞれ軸方向に延びる直線状の軌道溝3が形成されている。ここで、軌道溝3は、転造加工により成形されており、その溝深さが玉径比で0.26以上であり0.45以下になるように選定されている。これについては後で詳述する。
【0014】
一方、スライダ20は、スライダ本体20Aと、当該スライダ本体20Aの両端面にそれぞれ固定されるエンドキャップ(転動体循環部品)50とを備えている。
スライダ本体20Aは、断面略コ字形状をなしている。このスライダ本体20Aの各袖部21には、その内側面に、それぞれ軌道溝3に対向する直線状の軌道溝31が形成されている。また、スライダ本体20Aの各袖部21には、その両端面にねじ穴22が形成されている。
【0015】
ここで、このスライダ本体20Aの軌道溝25と前記案内レール1の軌道溝3とは、転動体としてのボールBを転動する溝を構成するのであるが、この軌道溝25及び前記案内レール1の軌道溝3はそれぞれ、上下左右の四方向等負荷容量となるように接触角αが45°とされ、V字形に形成され、すなわちゴシックアーチ溝形になっている。例えば、軌道溝25は研削加工により仕上げが行われている。
【0016】
また、スライダ本体20Aの上面には軸方向に貫通する溝部23が形成されており、当該溝部23の底面は平坦な水平面とされている。さらに、溝部23の両側内面と底面との間は、ボールBの球面に対応した断面R形状とされている。この溝部23の略中央部には、断面矩形の長尺部材であるセパレータ30が配置されるようになっている。例えば、セパレータ30の両端面には、それぞれねじ穴32が同心に形成されている。
【0017】
このようなセパレータ30を溝部23の中央に配置することで、溝部23のセパレータ30の両側に、前記軌道溝3,25間に対応する二列の転動体通路24が形成される。
エンドキャップ50は、スライダ本体20Aと同様に断面略コ字形状をなしている。このエンドキャップ50内には、両軌道溝3,25間と転動体通路24とを連通する転動体循環部60が上下方向に湾曲して形成されている。そして、このエンドキャップ50には、セパレータ30のねじ穴及びスライダ本体20Aのねじ穴22に対応する位置にねじ挿通穴51がそれぞれ形成されている。
【0018】
そして、このようなエンドキャップ50をスライダ本体20Aの両端部に配置し、当該エンドキャップ50の各ねじ挿通穴51から挿入したねじ12をねじ穴22,32に締め付けることによりスライダ本体20Aの両端面にエンドキャップ50が固定されるようになっている。
スライダ本体20Aの両端面にエンドキャップ50を固定した後、スライダ本体20Aの溝部23(転動体通路24)はカバー(脱落防止部材)40によって覆われるようになっている。カバー40は略長方形状をなしてスライダ20の軸方向長さより若干長く形成されており、両端部が略90°下方に折り曲げられて当該折り曲げ部分に取付穴41が二か所ずつ形成されている。そして、この取付穴41をエンドキャップ50の外面に取付穴41に対応して形成された突起53に嵌め込むことにより、カバー40がスライダ20の上面に着脱自在に固定されるようになっている。
【0019】
このようなスライダ20を案内レール1に装着することで、これにより向き合った軌道溝3,25がスライダ本体20Aの転動体通路24とエンドキャップ50の転動体循環部60により連通することで無限循環軌道路が構成され、この無限循環軌道路に多数のボールBを転動自在に装填することで、そのボールBの転動を介してスライダ20が案内レール1上を軸方向に沿って移動できるようになっている。
【0020】
次に、転造加工による案内レール1の軌道溝3の成形を説明する。
図4は、案内レール1の軌道溝3を転造加工により成形する転造加工装置の要部の概略で、(a)は側面図、(b)は正面図である。2つの転造加工用の回転ダイス110が案内レール1の素材であるワークWを挟むように向かい合って設置されている。
【0021】
各回転ダイス110は円盤形の丸ダイスで、その回転軸の方向がワークWの軸の方向に対して直角に配設されている。ダイス外周面(溝加工面)の形状は、転造すべき案内レール1の軌道溝3の溝形状に合わせた凸形状、具体的にはゴシックアーク形凸形状に整えられて凸状加工部Tを形成している。
各回転ダイス110には駆動装置であるダイス回転用のモータ111がそれぞれに付設されており、回転ダイス110はこのモータ111によりベルト112を介して回転駆動される(能動型ダイスである)。また、回転ダイス110をそのモータ111と共にワークWに向けて矢印B方向として示すように移動させることで、回転ダイス110をワークWに押し付ける図示されない移動加圧機構を備えている。
【0022】
その移動加圧機構により加圧位置に送り出された回転ダイス110は、図外のストッパに突き当てて位置決めするか、または油圧NC、BS駆動等の公知の位置決め送り機構を有して位置決めを行うようになっている。
さらに、溝加工時に矢符号Xで示す方向(すなわちダイス対向方向と90°位相をずらした方向)の位置を安定させるために、加工位置(又はその前後の近傍位置でも良い)に、ワークWを両側から挟んで加圧支持する例えば油圧式あるいは固定式などの位置決め支持装置113を備えている。
【0023】
このような転造加工装置により、案内レールの軌道溝3は次のように成形される。
例えば、ワークWは、加工前硬さHRC20以下に焼きなまししておく。また、このワークWの表面には、薄い脱炭層が存在し、このままの状態で転造加工すると、熱処理後に十分な表面焼入れ硬さが得られない。このため、転造加工前に、ワークWの脱炭層を、0.5mm程度あらかじめ削り取っておく。
【0024】
そして、対向する一対の回転ダイス110は、図外の移動加圧機構により加圧位置に送り出し、ストッパに突き当てるなどして位置決めされる。かくて、ダイス間距離Lを、ワークWの両側の軌道溝3,3間の既知寸法L1に対応させて予め設定しておく。
そして、回転ダイス110を回転させた状態でワークWを、当該回転ダイス110間に挿入して位置決め支持装置113で正しく加工位置に保持しつつ矢印C方向に送り、回転ダイス110間を通過させて案内レールの軌道溝3を素材Wの側面に転造成形する。
【0025】
ここで、回転ダイス110間を1回通過して最終形状に仕上げる場合と、ダイス間距離を変えながら複数回の通過を繰り返して最終形状に仕上げる場合とがあり、ワークWの素材の種類や溝の加工精度、溝形状等に応じて通過回数が決定される。
このように、転造加工により案内レール1の軌道溝3が成形されるが、その溝深さは玉径比で0.26以上であり0.45以下になるように設計している。これについて以下に説明する。
【0026】
なお、玉径比とは、図5に示すように、溝深さをDgとし、転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値(Dg/Dw)である。
先ず、軌道溝3の溝深さを玉径比で上限値を0.45に選定している理由について説明する。
【0027】
軌道溝を転造加工で成形する場合、加工量(溝深さ)の増加に伴い、スプリングバック等により、実際の溝形状と目標とする溝形状との誤差及びそのばらつきは大きくなる。ここで、玉径比と接触角(図5に図示)の誤差との関係は、図6に示すような関係として得ることができる。
ところで、ベアリングの上下方向に作用する外部荷重をFとし、接触角をαとし、転動体(鋼球)と軌道溝との接触部の法線方向に作用する荷重(玉荷重)をQとした場合、その関係は下記(1)式となる。
【0028】
Q=F/sinα ・・・(1)
この式をもとに、外部荷重を一定とし、接触角が45°に対して誤差が5°生じた場合の玉荷重は下記表のようになる。
【0029】
【表1】
【0030】
この表に示すように、接触角αが45°から5°ずれて40°になった場合には、玉荷重は10%増加することになり、軌道溝への負担は大きくなる。また、接触角αが45°から5°ずれて50°になった場合には、上下方向の荷重に対しての玉荷重は小さくなるが、横方向荷重に対しては接触角αが40°の場合に相当し、10%増加することになる。
【0031】
したがって、玉荷重の誤差を10%以下に抑えることを目標とするのであれば、接触角誤差を5°以下にする必要があり、図6に示す関係から、溝深さを玉径比で0.45以下が最適であるといえる。
その一方で、溝深さを浅くすると、高荷重の条件では軌道溝と転動体との接触部に形成される接触楕円が途中で切れることになり、それにより局部的に接触面圧が過大になり、早期の破損につながる。このようなことからできるだけ、溝深さを確保する必要があることから、玉径比で0.45を上限と選定している。
【0032】
なお、前記接触楕円については、図5に示すように、軌道溝と転動体との接触部で形成される領域である。
次に、軌道溝3の溝深さを玉径比で下限値を0.26に選定している理由について説明する。
溝深さを浅くすると、目標とする溝形状に対しての誤差は少なくなるが、逆に溝深さを浅くしすぎると、高荷重の条件では軌道溝と転動体との接触部に形成される接触楕円が切れやすくなる。しかし、接触楕円が途中で切れると、局部的に接触面圧が過大になる部分が生じ、早期の破損につながる。このようなことから、溝深さを浅くする方が好ましいが、高荷重の条件でも接触楕円が切れない程度で浅くすることが望ましいといえる。
【0033】
ところで、直動案内軸受装置の最大許容荷重という位置付けとして、静定格荷重が規定されている。このようなことから、接触楕円が切れないように接触部に作用する荷重の上限として、直動案内軸受装置が静定格荷重相当の荷重に耐えられことを条件とし、この関係から溝深さを決定することを考える。
ここで、玉径比と最大接触面圧との関係は図7に示すような関係として得ることができる。なお、通常、軌道溝の半径Rgを転動体の直径Dwの比で表した溝R比は51〜56%に設定され、この溝R比が大きいほど面圧が高くなる傾向にあることから、図7に示す関係は、51〜56%で面圧が最大にな56%の場合としている。
【0034】
そして、通常、前記静定格荷重相当の荷重が作用した場合の軌道溝と転動体との接触部の最大面圧は約4000MPaであるとされている。このようなことから、最大接触面圧が4000MPaになる荷重が、接触楕円が切れないように接触部に作用する荷重の上限とし、図7に示す関係から、この最大接触面圧が4000MPaのときの玉径比0.26を、溝深さの玉径比の下限値として選定している。
【0035】
以上のような理由から、直動案内軸受装置の軌道溝の設計では、転造加工により成形される案内レール1の軌道溝3の溝深さを玉径比で0.26〜0.45に選定している。
このようにすることで、軌道溝を転造加工で成形することによる加工時間の短縮、コスト削減、さらには機能を満足するのに必要な精度の確保といったことを実現しつつも、軌道溝3の溝深さを玉径比で0.26〜0.45とすることで、実使用で要求される負荷能力を備える直動案内軸受装置を提供することができる。
【0036】
なお、前述の実施の形態では、転造加工により案内レール1に軌道溝を成形する場合を説明したが、転造加工によりスライダ20(スライダ本体20A)の軌道溝を成形することもできる。この場合、その転造加工によりスライダ20に成形する軌道溝についても、前記玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下にする。また、転造加工装置の構成や配置等については、スライダ20に軌道溝を成形するために考慮されたものとなることはいうまでもない。
また、前述の実施の形態では、直動案内軸受装置の構成や転造加工装置の構成を具体的に説明しているが、これに限定されるものではなく、他の構成を有する直動案内軸受装置や転造加工装置に本発明を適用できることはいうまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、案内レール又はスライダに転造加工により軌道溝を成形し、その軌道溝の溝深さを玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下にすることで、加工時間の短縮、コスト削減、さらには機能を満足するのに必要な精度の確保といったことを実現しつつも、実使用で要求される負荷能力を備える直動案内軸受装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である直動案内軸受装置の構成を示す斜視図である。
【図2】前記直動案内軸受装置のスライダの構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1中に示す矢視A−Aについての直動案内軸受装置の断面図を示す。
【図4】レール軌道溝の転造加工装置の要部の概略で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】転造加工により成形する軌道溝の溝深さの説明に使用した図である。
【図6】玉径比と接触角誤差との関係を示す特性図である。
【図7】玉径比と最大接触面圧との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 案内レール
3 軌道溝
20 スライダ
20A スライダ本体
23 溝部
24 転動体通路
25 軌道溝
30 セパレータ(長尺部材)
40 カバー(脱落防止部材)
50 エンドキャップ(転動体循環部品)
52 ねじ
60 転動体循環部
110 回転ダイス
111 回転用モータ(ダイス駆動装置)
B ボール(転動体)
Claims (3)
- 軸方向に延びる軌道溝を有して軸方向に延長された案内レールと、当該案内レールの前記軌道溝に対向する軌道溝を有し、これらの軌道溝間に挿入された多数の転動体の転動を介して軸方向に沿って移動可能に前記案内レールに支持されたスライダとを備えた直動案内軸受装置であって、
前記案内レールの軌道溝又はスライダの軌道溝の少なくとも一方の軌道溝が転造加工により成形されており、当該転造加工により成形された軌道溝の溝深さが、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下であることを特徴とする直動案内軸受装置。 - 転動体が転動する軌道溝の形状に合わせた凸状加工部付きの回転ダイスを用い、転造加工により素材に溝加工して直動案内レールの軌道溝又はスライダの軌道溝を成形するための直動案内軸受装置の軌道溝設計方法であって、
前記軌道溝の溝深さを、前記転造加工により発生する溝形状の誤差分を考慮した寸法としていることを特徴とする直動案内軸受装置の軌道溝設計方法。 - 前記転造加工により成形された軌道溝の溝深さを、当該溝深さをDgとし、前記転動体の直径をDwとした場合に、溝深さDgを転動体の直径Dwで除算した値である玉径比(Dg/Dw)で0.26以上かつ0.45以下に選定していることを特徴とする請求項2記載の直動案内軸受装置の軌道溝設計方法。
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