JP2004100601A - カムフォロア装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロッカーアーム3cを構成する1対の支持壁部4cに対する支持軸5cの両端部のがたつき防止と、この支持軸5cの回り止めとを図る。
【解決手段】上記各支持壁部4cの互いに整合する位置に形成した1対の支持孔13aの外端寄り部分に雌ねじ部18を形成する。上記支持軸5cの両端部をこれら各支持孔13aに内嵌した状態で、この支持軸5cの両端部をかしめ広げる。この構成により、この支持軸5cの両端部外周面で焼き入れを施していない部分が上記各雌ねじ部18の形状に沿って塑性変形し、これら両端部と各雌ねじ部18とが螺合して、上記課題の解決を図る。
【選択図】 図3
【解決手段】上記各支持壁部4cの互いに整合する位置に形成した1対の支持孔13aの外端寄り部分に雌ねじ部18を形成する。上記支持軸5cの両端部をこれら各支持孔13aに内嵌した状態で、この支持軸5cの両端部をかしめ広げる。この構成により、この支持軸5cの両端部外周面で焼き入れを施していない部分が上記各雌ねじ部18の形状に沿って塑性変形し、これら両端部と各雌ねじ部18とが螺合して、上記課題の解決を図る。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係るカムフォロア装置は、エンジンの燃料噴射装置や吸排気弁用駆動装置等の被駆動部品として使用し、例えばカムシャフトの回転をロッカーアームの往復揺動運動に変換する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン内部での摩擦低減を図り、燃料消費率を低減する事を目的として、クランクシャフトと同期したカムシャフトの回転を給気弁及び排気弁の往復運動に変換する部分に、タペットローラを組み込んだカムフォロア装置を利用する事が一般的に行われている。図5〜7は、特許文献1に記載された、従来から知られているカムフォロア装置の第1例を示している。
【0003】
エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフト1に固定された(一般的には一体に形成された)カム2に対向し、このカム2の動きを受けて往復揺動する揺動部材であるロッカーアーム3が設けられている。このロッカーアーム3の端部(後述する第2例の様に、中間部の場合もある)には1対の支持壁部4、4が、互いに間隔を開けて設けられている。そして、これら1対の支持壁部4、4の間に、鋼製で中空又は中実の支持軸5を掛け渡している。この支持軸5は、タペットローラ6をラジアルニードル軸受7を介して回転自在に支承すべく、その両端部を上記1対の支持壁部4、4に固定している。又、上記タペットローラ6の外周面を、上記カム2の外周面に当接させている。この様に構成されるタペットローラ6を組み込んだエンジンの動弁機構によれば、ロッカーアーム3とカム2との間に働く摩擦力を低減し、エンジン運転時に於ける燃料消費率の低減を図れる。
【0004】
又、特許文献2には、図8〜11に示す様に、ロッカーアームを鋼板等の金属板にプレス加工を施す事により造り、このロッカーアームの強度を確保しつつ軽量化を図る構造が記載されている。この従来の第2例のカムフォロア装置の場合、板金製のロッカーアーム3aにタペットローラ6aを、支持軸5aにより回転自在に支持している。
【0005】
このうちのロッカーアーム3aは、例えば2〜4mm程度の厚さを有する鋼板等の金属板に、不要部分を除却する為の打ち抜き加工、並びに所望形状を得る為の、絞り加工等の塑性加工を施して成るもので、1対の支持壁部4a、4aと、これら両支持壁部4a、4a同士を連結する第一、第二の連結部8、9とを備える。これら両連結部8、9のうちの第一の連結部8は、弁体10の基端面を突き当ててこの弁体10を変位させる為の押圧部として、第二の連結部9は、ラッシュアジャスタを構成し、上記ロッカーアーム3aの揺動中心となるプランジャ11の先端面を突き当てる為の支点部として、それぞれ機能する。この為に図示の例では、上記第二の連結部9の片面(図8、10、11の下面)に、球状凹部を形成している。尚、図示の例とは異なり、第二の連結部に相当する部分にねじ孔を設け、このねじ孔部分に、端部に凸球面部を有するアジャストねじを螺合固定する構造も、従来から知られている。
【0006】
一方、上記両連結部8、9同士の間部分はローラ設置部分となっており、この部分に、上記支持軸5aにより回転自在に支持した上記タペットローラ6aを配置している。当該部分にこのタペットローラ6aを支持する為に、上記1対の支持壁部4a、4aの互いに整合する位置に形成した支持孔に前記支持軸5aの両端部を内嵌し、更にこの支持軸5aの両端面外周縁部をこれら各支持孔の周縁部に向けかしめ広げている。この構成により、この支持軸5aの両端部を上記1対の支持壁部4a、4aに、これら両支持壁部4a、4a同士の間に掛け渡した状態で固定している。上記タペットローラ6aは、この様にしてこれら両支持壁部4a、4a同士の間に掛け渡された上記支持軸5aの中間部周囲に、直接或はラジアルニードル軸受を介して、回転自在に支持している。
【0007】
エンジンへの組み付け状態では、図11に示す様に、前記第一の連結部8の片面(図11の下面)に前記弁体10の基端部を、上記第二の連結部9の片面に設けた球状凹部に前記プランジャ11の先端面を、それぞれ突き当てると共に、上記タペットローラ6aの外周面に、カムシャフト1aの中間部に固設したカム2aの外周面を当接させる。エンジンの運転時には、このカム2aの回転に伴って前記ロッカーアーム3aが、上記プランジャ11の先端面と上記球状凹部との当接部を中心(支点)として、図11に実線で示した状態と同じく鎖線で示した状態との間で揺動変位し、上記弁体10を、上記第一の連結部8の押圧力とリターンスプリング12の弾力とにより軸方向に往復移動させる。尚、図示は省略するが、特許文献3等にも、同様の構造を有する板金製ロッカーアームを備えたカムフォロア装置が記載されている。
【0008】
何れの構造の場合でも、支持軸5、5aの両端部は1対の支持壁部4、4aに対し、がたつきなく、且つ、カム2、2aからタペットローラ6、6aを介して加えられるラジアル荷重を支承できる構造である必要がある。一方で、上記支持軸5、5aの中間部外周面は、タペットローラ6、6aを回転自在に支持する為のラジアルニードル軸受7の内輪軌道としての役目を有するので、この中間部外周面に傷等が付く事は好ましくない。従って、上記支持軸5、5aを、上記各支持壁部4、4aに形成した支持孔に圧入する構造は、傷付き防止の面から採用できない。
【0009】
この為に従来から、図12〜13に示す様な構造により、ロッカーアーム3bを構成する1対の支持壁部4b、4bに、タペットローラ6bを支持する為の支持軸5bの両端部を固定している。この従来構造で、これら両支持壁部4b、4bに互いに同心に形成した円形の支持孔13、13の内径は、上記支持軸5bの外径よりも僅かに大きい。又、この支持軸5bは、中間部外周面のみを高周波焼き入れにより硬化させており、両端部は焼き入れせずに軟らかい(生の)ままとしている。この様な支持軸5bを上記ロッカーアーム3bに対し固定する場合には、この支持軸5bの両端部を上記両支持孔13、13内に位置させた状態で、この支持軸5bの両端部を径方向外方に塑性変形させる。即ち、この支持軸5bの両端面にパンチの如き治具を押し当てて、この両端面に円形の凹溝14を形成し、この凹溝14の周囲部分を全周に亙り径方向外方に押し広げて、この部分を上記両支持孔13、13の内周面に押し付ける。尚、本発明に関する先行技術文献として、前記特許文献1〜3の他にも、特許文献4、5が存在する。
【0010】
【特許文献1】
特開平3−78507号公報
【特許文献2】
米国特許第5048475号明細書
【特許文献3】
特公平6−81892号公報
【特許文献4】
特開2001−47179号公報
【特許文献5】
特開2001−280106号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様な従来構造の場合、支持壁部4、4a、4bに対する支持軸5、5a、5bの支持強度を確保する事が、カムフォロア装置全体としての耐久性を確保する上から重要である。即ち、エンジンの運転に伴って上記支持軸5、5a、5bには大きなラジアル荷重が、リターンスプリングの反力として加わる。この為、この支持軸5、5a、5bを支持壁部4、4a、4bに支持する部分の構造を工夫しないと、この部分に早期にがたつき等の損傷が発生する可能性がある。
【0012】
即ち、この支持軸5、5a、5bは、1対の支持壁部4、4a、4bの互いに整合する位置に形成した1対の支持孔13、13に内嵌した状態で、その両端面外周縁部をこれら両支持孔13、13の内周面に向けかしめ広げる事により、上記1対の支持壁部4、4a、4b同士の間に掛け渡す状態で固定している。この様な固定作業に伴い、上記支持軸5、5a、5bの両端部外周面と上記各支持孔13、13の内周面とが、僅かとは言え離隔する。即ち、この支持軸5、5a、5bの両端部をこれら各支持孔13、13の内周面に向けかしめ広げるのに伴って、この支持軸5、5a、5bの両端部外周面で、軸方向に関してこのかしめ広げた部分の内側部分が、上記各支持孔13、13の内周面から離隔する。そして、この様に離隔した部分に上記ラジアル荷重が加わると、上記かしめ広げた部分でこのラジアル荷重を支承する事になる。
【0013】
上記かしめ広げた部分は容積が小さく、しかもかしめ作業に伴って亀裂等の損傷が生じない様にする為、焼き入れ等の硬化処理を施す事なく、軟らかい(生の)ままとしている。従って、上記かしめ広げた部分でこのラジアル荷重を支承すると、この部分が径を小さくする方向に塑性変形し(へたり)、上記各支持壁部4、4a、4bに対する上記支持軸5、5a、5bの支持部にがたつきを生じる。この様ながたつきを生じた場合には、エンジンの運転時に発生する振動や騒音が著しくなる為、好ましくない。又、上記かしめ広げた部分が径を小さくする方向に塑性変形した場合には、上記各支持孔13、13に対し支持軸5、5a、5bが、タペットローラ6、6a、6bと同方向に回転し易くなる。この様にして上記支持軸5、5a、5bが回転した場合には、各支持孔13、13の内周面と支持軸5、5a、5bの外周面との当接部が摩耗して、カムフォロア装置の耐久性の低下を招く。
【0014】
これに対して、支持軸の両端部の円周方向一部を支持孔の周縁部の一部にかしめ付けると共に、この支持軸の両端部のうち、この円周方向一部から外れた残部の外周面を支持孔の内周面に当接させる事も、従来から考えられている。この様な構造によれば、使用時に上記支持軸に加わるラジアル荷重に拘らず、各支持壁部に対するこの支持軸の支持部にがたつきが生じたり、上記各支持孔内でこの支持軸が回転する事を、或る程度抑える事ができる。但し、この様な構造を採用した場合でも、上記がたつきや、上記各支持孔内での上記支持軸の回転を抑える事に関して、未だ改良の余地がある。
本発明のカムフォロア装置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のカムフォロア装置は、前述した従来のカムフォロア装置と同様に、ロッカーアームと、支持軸と、タペットローラとを備える。
このうちのロッカーアームは、1対の支持壁部及びこれら両支持壁部同士を連結する連結部を有する。
又、上記支持軸は、その両端部をこれら両支持壁部の互いに整合する位置に形成した1対の支持孔に内嵌する事により、これら両支持壁部同士の間に掛け渡す状態で固定されている。
又、上記タペットローラは、上記支持軸の中間部周囲に回転自在に支持され、ラジアル荷重に基づいて変位する。
【0016】
特に、本発明のカムフォロア装置に於いては、上記両支持孔を上記支持軸の両端部を、この支持軸の外周面を傷付けない程度の隙間嵌で緩く内嵌できる大きさとしている。これと共に、これら両支持孔の内周面の外端寄り部分に雌ねじ部を形成している。又、上記支持軸の中間部で、表面に硬化処理を施した部分の軸方向長さを、上記両支持壁部の内側面同士の間隔よりも大きく、且つ、上記両雌ねじ部の内端同士の間隔よりも小さくしている。そして、上記支持軸の両端部を上記各支持孔の内周面に向けかしめ広げる事により、この支持軸の両端部を上記両支持孔内に固定している。更に、好ましくは、上記各支持孔の内周面に形成した雌ねじ部の(螺旋の)方向を、これら両支持孔同士で互いに逆にする。
【0017】
【作用】
上述の様に構成する本発明のカムフォロア装置の場合には、支持軸の両端部を各支持孔の内周面に向けかしめ広げる事により、この支持軸の両端部外周面を各雌ねじ部に食い込ませて、これら各雌ねじ部と螺合する雄ねじ状に塑性変形させる事ができる。この為、これら支持軸の両端部と各雌ねじ部とが螺合した状態となり、上記各支持壁部に対する上記支持軸の支持強度を高くでき、当該支持部でのがたつきを防止できると共に、この支持軸の回り止めを確実に図れる。更に、好ましい構成によれば、上記支持軸の回り止めを、より有効に図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1〜4は、本発明の実施の形態の1例を示している。カムフォロア装置15は、ロッカーアーム3cと、支持軸5cと、タペットローラ6cとを備える。本例の場合、このうちのロッカーアーム3cは、低炭素肌焼鋼板等の1枚の金属板に、プレスに基づく打ち抜き加工及び曲げ加工を施す事により、一体形成している。上記ロッカーアーム3cは、互いにほぼ平行な1対の支持壁部4c、4cと、これら両支持壁部4c、4cの幅方向一端縁同士を連結する第一、第二の連結部8a、9aと、これら両支持壁部4c、4cの中間部で互いに整合する位置に形成した1対の支持孔13a、13aとを備える。
【0019】
又、上記両第一、第二の連結部8a、9aのうち、第一の連結部8aの片面には、エンジンへの組み込み状態で弁体の基端部を突き当てる為の第一の係合部16を形成している。この第一の係合部16は、上記第一の連結部8aの幅方向(図1の表裏方向、図2の上下方向)中間部を、上記両支持壁部4c、4cの折れ曲がり方向(図1の上方、図2の手前方向)に凹ませる事により構成している。一方、上記第二の連結部9aの片面には、エンジンへの組み込み状態でラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の、第二の係合部17を形成している。この第二の係合部17は、上記第二の連結部9aの片面中央部を球面状に凹ませた曲面としている。更に、上記両支持壁部4c、4cの中間部で上記第一、第二の連結部8a、9aの間部分に、上記両支持孔13a、13aを、互いに同心に形成している。
【0020】
又、これら各支持孔13a、13aの内周面の外端寄り部分(図3、4の上端寄り部分)にタップを立てる事により、この外端寄り部分に雌ねじ部18、18を形成している。又、本例の場合には、これら各雌ねじ部18、18の方向を、上記各支持孔13a、13a同士で左右逆に(一方を逆ねじに)している。又、上記支持軸5cは、中炭素鋼、高炭素クロム軸受鋼等の硬質金属製で、軸方向中間部の外周面を、高周波焼き入れを行なった後、焼き戻しを行なう処理を施す等により硬化させると共に、両端部は焼き入れせずに軟らかい(生の)ままとしている。そして、この支持軸5cの軸方向中間部で、外周面に硬化処理を施した部分(図3、4に斜格子で示す部分)の軸方向長さL1 を、前記両支持壁部4c、4cの内側面同士の間隔L2 よりも大きく、且つ、上記両雌ねじ部18、18の内端Q同士の間隔L3 よりも小さくしている(L2 <L1 <L3 )。又、上記各支持孔13a、13aの外端開口部に、上記各雌ねじ部18、18の全長よりも幅が小さい面取り20を形成している。
【0021】
又、上記支持軸5cの両端部は、上記両支持孔13a、13a内に緩く内嵌している。又、この支持軸5cの中間部で外周面に硬化処理を施した部分の両端Pを、上記両雌ねじ部18、18の内端Qよりも軸方向中央側(図3、4の下側)に位置させている。そして、この状態で、パンチの如きかしめ治具の先端部で、欠円環状に尖った部分を上記支持軸5cの両端面に突き当てる事により、この支持軸5cの両端面に略C字形で断面V字形の凹溝14aを形成している。そしてこの支持軸5cの両端部で、この凹溝14aの周囲部分である円周方向一部を、上記各支持孔13a、13aの内周面に向けかしめ広げて、かしめ部19を形成し、このかしめ部19の外周面を上記各支持孔13a、13aの外端開口部に形成した面取り20に強く当接させる事により、上記支持軸5cの両端部を上記各支持壁部4cに対し結合固定している。又、この支持軸5cの両端部で、上記円周方向一部から外れた残部の外周面を、上記各支持孔13a、13aの内周面に当接させている。前記タペットローラ6cは、この様な支持軸5cの中間部周囲に、ラジアルニードル軸受7を介して、回転自在に支持している。尚、この支持軸5cの両端部で上記円周方向一部から外れた残部の外周面と上記各支持孔13a、13aの内周面との当接部は、カムフォロア装置15の使用時にラジアル荷重を支承する部分である、図1の下側部分に位置させる。
【0022】
上述の様に構成する本例のカムフォロア装置15は、前述した従来構造の第2〜3例の場合と同様、例えば図11に示す様にエンジンの動弁機構中に組み込む。そして、カム2aの動きを弁体10に伝達し、エンジンの吸気弁或は排気弁を開閉させる。特に、本例のカムフォロア装置15の場合には、支持軸5cの両端部を各支持孔13a、13aの内周面に向けかしめ広げる事により、この支持軸5cの両端部外周面を上記各雌ねじ部18、18に食い込ませて、これら各雌ねじ部18、18と螺合する雄ねじ状に塑性変形させる事ができる。この為、これら支持軸5cの両端部と各雌ねじ部18、18とが螺合した状態となり、上記各支持壁部4c、4cに対する上記支持軸5cの支持強度を高くでき、当該支持部でのがたつきを防止できると共に、この支持軸5cの回り止めを確実に図れる。
【0023】
更に、本例の場合には、上記各支持孔13a、13aに形成した雌ねじ部18、18の方向を、これら各支持孔13a、13a同士で左右逆にしている。この為、上記支持軸5cの両端部をかしめ広げた状態で、この支持軸5cの両端部外周面と上記各雌ねじ部18、18とが、両端部で互いに逆方向に螺合した状態となり、この支持軸5cの回り止めを、より有効に図れる。即ち、カムフォロア装置15の使用時に上記支持軸5cが回転する傾向となった場合には、上記各雌ねじ部18、18とこの支持軸5cの両端部外周面との螺合により、これら各雌ねじ部18、18が互いに近づくか、又は互いに遠ざかる傾向となる。何れの場合でも、螺合部で生じる軸方向の力が上記支持軸5c内で相殺される状態となり、この支持軸5cが軸方向に動かず、従ってこの支持軸5cが回転する事はない。
【0024】
又、本例のカムフォロア装置15の場合、前記第一、第二の係合部16、17に弁体の基端部又はラッシュアジャスタの先端部が、図1の下方から突き当てられ、上記タペットローラ6cの外周面とカムの外周面とは、図1の上部で互いに当接する。従って、上記カムフォロア装置15の使用時に上記支持軸5cには、図1の下向きのラジアル荷重が加わる。本例の場合には、このラジアル荷重を支承する部分に於いて、上記支持軸5cの両端部外周面にかしめ部を形成していない。この為、この支持軸5cの両端部外周面で、かしめ部19を形成した円周方向一部のこのかしめ部19よりも軸方向に関して内側部分が、上記各支持孔13a、13aの内周面から離隔した場合でも、上記ラジアル荷重を支承する部分に於いて、上記支持軸5cの両端部外周面が各支持孔13a、13aの内周面から離隔する事を防止できる。又、上記支持軸5cの両端部近傍で上記各支持孔13a、13a内に入り込んでいる部分が焼き入れ硬化されているので、上記ラジアル荷重により、上記支持軸5cの両端部近傍が塑性変形する事もない。従って、使用時に繰り返し加わるラジアル荷重に拘らず、前記両支持壁部4c、4cに対する上記支持軸5cの両端部のがたつき防止を、より有効に図れる。
【0025】
尚、本例の場合、上記各支持孔13a、13aの外端開口部に面取り20を形成しているが、この面取り20は、上記かしめ部19をかしめ付ける部分(図1に角度θで示す範囲の部分)で大きくすると共に、このかしめ部19をかしめ付けない部分で小さくするか、又は省略する事もできる。
【0026】
又、本例の場合には、各雌ねじ部18、18の方向を、これら各雌ねじ部18、18同士で左右逆にしているが、これら各雌ねじ部18、18の方向を、これら各雌ねじ部18、18同士で同じとする事もできる。この様に構成した場合でも、支持軸5cが回転する傾向となった場合には、この支持軸5cの一端部が、この一端部を内嵌した支持孔13aの内側で、軸方向内端寄りに進行する傾向となり、この一端部外周面で雄ねじ状となった部分とこの支持孔13aの内周面とが強く緊締された状態となる為、上記支持軸5cの回り止めを図れる。又、この場合には、かしめ部19を全周に亙り形成しても、繰り返し加わるラジアル荷重に拘らず、上記支持軸5cの一端部の支持部にがたつきを生じるのを防止できる。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用する為、各支持壁部に対する支持軸の支持部のがたつきを防止できると共に、この支持軸の回り止めを確実に図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す側面図。
【図2】同じく部分切断平面図。
【図3】図2のA部拡大断面図。
【図4】支持軸の端部を支持孔の内側に位置させた状態で、この支持軸の端部をかしめ広げる以前の状態を示す、図3と同様の図。
【図5】カムフォロア装置を備えるエンジンの動弁機構の第1例を示す部分側面図。
【図6】図5のB−B断面図。
【図7】同C−C断面図。
【図8】従来のカムフォロア装置の第2例を示す斜視図。
【図9】同じく平面図。
【図10】図9のD−D断面図。
【図11】従来の第2例のカムフォロア装置の組み付け状態を示す断面図。
【図12】従来のカムフォロア装置の第3例を示す側面図。
【図13】同じく平面図。
【符号の説明】
1、1a カムシャフト
2、2a カム
3、3a、3b、3c ロッカーアーム
4、4a、4b、4c 支持壁部
5、5a、5b、5c 支持軸
6、6a、6b、6c タペットローラ
7 ラジアルニードル軸受
8、8a 第一の連結部
9、9a 第二の連結部
10 弁体
11 プランジャ
12 リターンスプリング
13、13a 支持孔
14、14a 凹溝
15 カムフォロア装置
16 第一の係合部
17 第二の係合部
18 雌ねじ部
19 かしめ部
20 面取り
【発明の属する技術分野】
この発明に係るカムフォロア装置は、エンジンの燃料噴射装置や吸排気弁用駆動装置等の被駆動部品として使用し、例えばカムシャフトの回転をロッカーアームの往復揺動運動に変換する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン内部での摩擦低減を図り、燃料消費率を低減する事を目的として、クランクシャフトと同期したカムシャフトの回転を給気弁及び排気弁の往復運動に変換する部分に、タペットローラを組み込んだカムフォロア装置を利用する事が一般的に行われている。図5〜7は、特許文献1に記載された、従来から知られているカムフォロア装置の第1例を示している。
【0003】
エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフト1に固定された(一般的には一体に形成された)カム2に対向し、このカム2の動きを受けて往復揺動する揺動部材であるロッカーアーム3が設けられている。このロッカーアーム3の端部(後述する第2例の様に、中間部の場合もある)には1対の支持壁部4、4が、互いに間隔を開けて設けられている。そして、これら1対の支持壁部4、4の間に、鋼製で中空又は中実の支持軸5を掛け渡している。この支持軸5は、タペットローラ6をラジアルニードル軸受7を介して回転自在に支承すべく、その両端部を上記1対の支持壁部4、4に固定している。又、上記タペットローラ6の外周面を、上記カム2の外周面に当接させている。この様に構成されるタペットローラ6を組み込んだエンジンの動弁機構によれば、ロッカーアーム3とカム2との間に働く摩擦力を低減し、エンジン運転時に於ける燃料消費率の低減を図れる。
【0004】
又、特許文献2には、図8〜11に示す様に、ロッカーアームを鋼板等の金属板にプレス加工を施す事により造り、このロッカーアームの強度を確保しつつ軽量化を図る構造が記載されている。この従来の第2例のカムフォロア装置の場合、板金製のロッカーアーム3aにタペットローラ6aを、支持軸5aにより回転自在に支持している。
【0005】
このうちのロッカーアーム3aは、例えば2〜4mm程度の厚さを有する鋼板等の金属板に、不要部分を除却する為の打ち抜き加工、並びに所望形状を得る為の、絞り加工等の塑性加工を施して成るもので、1対の支持壁部4a、4aと、これら両支持壁部4a、4a同士を連結する第一、第二の連結部8、9とを備える。これら両連結部8、9のうちの第一の連結部8は、弁体10の基端面を突き当ててこの弁体10を変位させる為の押圧部として、第二の連結部9は、ラッシュアジャスタを構成し、上記ロッカーアーム3aの揺動中心となるプランジャ11の先端面を突き当てる為の支点部として、それぞれ機能する。この為に図示の例では、上記第二の連結部9の片面(図8、10、11の下面)に、球状凹部を形成している。尚、図示の例とは異なり、第二の連結部に相当する部分にねじ孔を設け、このねじ孔部分に、端部に凸球面部を有するアジャストねじを螺合固定する構造も、従来から知られている。
【0006】
一方、上記両連結部8、9同士の間部分はローラ設置部分となっており、この部分に、上記支持軸5aにより回転自在に支持した上記タペットローラ6aを配置している。当該部分にこのタペットローラ6aを支持する為に、上記1対の支持壁部4a、4aの互いに整合する位置に形成した支持孔に前記支持軸5aの両端部を内嵌し、更にこの支持軸5aの両端面外周縁部をこれら各支持孔の周縁部に向けかしめ広げている。この構成により、この支持軸5aの両端部を上記1対の支持壁部4a、4aに、これら両支持壁部4a、4a同士の間に掛け渡した状態で固定している。上記タペットローラ6aは、この様にしてこれら両支持壁部4a、4a同士の間に掛け渡された上記支持軸5aの中間部周囲に、直接或はラジアルニードル軸受を介して、回転自在に支持している。
【0007】
エンジンへの組み付け状態では、図11に示す様に、前記第一の連結部8の片面(図11の下面)に前記弁体10の基端部を、上記第二の連結部9の片面に設けた球状凹部に前記プランジャ11の先端面を、それぞれ突き当てると共に、上記タペットローラ6aの外周面に、カムシャフト1aの中間部に固設したカム2aの外周面を当接させる。エンジンの運転時には、このカム2aの回転に伴って前記ロッカーアーム3aが、上記プランジャ11の先端面と上記球状凹部との当接部を中心(支点)として、図11に実線で示した状態と同じく鎖線で示した状態との間で揺動変位し、上記弁体10を、上記第一の連結部8の押圧力とリターンスプリング12の弾力とにより軸方向に往復移動させる。尚、図示は省略するが、特許文献3等にも、同様の構造を有する板金製ロッカーアームを備えたカムフォロア装置が記載されている。
【0008】
何れの構造の場合でも、支持軸5、5aの両端部は1対の支持壁部4、4aに対し、がたつきなく、且つ、カム2、2aからタペットローラ6、6aを介して加えられるラジアル荷重を支承できる構造である必要がある。一方で、上記支持軸5、5aの中間部外周面は、タペットローラ6、6aを回転自在に支持する為のラジアルニードル軸受7の内輪軌道としての役目を有するので、この中間部外周面に傷等が付く事は好ましくない。従って、上記支持軸5、5aを、上記各支持壁部4、4aに形成した支持孔に圧入する構造は、傷付き防止の面から採用できない。
【0009】
この為に従来から、図12〜13に示す様な構造により、ロッカーアーム3bを構成する1対の支持壁部4b、4bに、タペットローラ6bを支持する為の支持軸5bの両端部を固定している。この従来構造で、これら両支持壁部4b、4bに互いに同心に形成した円形の支持孔13、13の内径は、上記支持軸5bの外径よりも僅かに大きい。又、この支持軸5bは、中間部外周面のみを高周波焼き入れにより硬化させており、両端部は焼き入れせずに軟らかい(生の)ままとしている。この様な支持軸5bを上記ロッカーアーム3bに対し固定する場合には、この支持軸5bの両端部を上記両支持孔13、13内に位置させた状態で、この支持軸5bの両端部を径方向外方に塑性変形させる。即ち、この支持軸5bの両端面にパンチの如き治具を押し当てて、この両端面に円形の凹溝14を形成し、この凹溝14の周囲部分を全周に亙り径方向外方に押し広げて、この部分を上記両支持孔13、13の内周面に押し付ける。尚、本発明に関する先行技術文献として、前記特許文献1〜3の他にも、特許文献4、5が存在する。
【0010】
【特許文献1】
特開平3−78507号公報
【特許文献2】
米国特許第5048475号明細書
【特許文献3】
特公平6−81892号公報
【特許文献4】
特開2001−47179号公報
【特許文献5】
特開2001−280106号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様な従来構造の場合、支持壁部4、4a、4bに対する支持軸5、5a、5bの支持強度を確保する事が、カムフォロア装置全体としての耐久性を確保する上から重要である。即ち、エンジンの運転に伴って上記支持軸5、5a、5bには大きなラジアル荷重が、リターンスプリングの反力として加わる。この為、この支持軸5、5a、5bを支持壁部4、4a、4bに支持する部分の構造を工夫しないと、この部分に早期にがたつき等の損傷が発生する可能性がある。
【0012】
即ち、この支持軸5、5a、5bは、1対の支持壁部4、4a、4bの互いに整合する位置に形成した1対の支持孔13、13に内嵌した状態で、その両端面外周縁部をこれら両支持孔13、13の内周面に向けかしめ広げる事により、上記1対の支持壁部4、4a、4b同士の間に掛け渡す状態で固定している。この様な固定作業に伴い、上記支持軸5、5a、5bの両端部外周面と上記各支持孔13、13の内周面とが、僅かとは言え離隔する。即ち、この支持軸5、5a、5bの両端部をこれら各支持孔13、13の内周面に向けかしめ広げるのに伴って、この支持軸5、5a、5bの両端部外周面で、軸方向に関してこのかしめ広げた部分の内側部分が、上記各支持孔13、13の内周面から離隔する。そして、この様に離隔した部分に上記ラジアル荷重が加わると、上記かしめ広げた部分でこのラジアル荷重を支承する事になる。
【0013】
上記かしめ広げた部分は容積が小さく、しかもかしめ作業に伴って亀裂等の損傷が生じない様にする為、焼き入れ等の硬化処理を施す事なく、軟らかい(生の)ままとしている。従って、上記かしめ広げた部分でこのラジアル荷重を支承すると、この部分が径を小さくする方向に塑性変形し(へたり)、上記各支持壁部4、4a、4bに対する上記支持軸5、5a、5bの支持部にがたつきを生じる。この様ながたつきを生じた場合には、エンジンの運転時に発生する振動や騒音が著しくなる為、好ましくない。又、上記かしめ広げた部分が径を小さくする方向に塑性変形した場合には、上記各支持孔13、13に対し支持軸5、5a、5bが、タペットローラ6、6a、6bと同方向に回転し易くなる。この様にして上記支持軸5、5a、5bが回転した場合には、各支持孔13、13の内周面と支持軸5、5a、5bの外周面との当接部が摩耗して、カムフォロア装置の耐久性の低下を招く。
【0014】
これに対して、支持軸の両端部の円周方向一部を支持孔の周縁部の一部にかしめ付けると共に、この支持軸の両端部のうち、この円周方向一部から外れた残部の外周面を支持孔の内周面に当接させる事も、従来から考えられている。この様な構造によれば、使用時に上記支持軸に加わるラジアル荷重に拘らず、各支持壁部に対するこの支持軸の支持部にがたつきが生じたり、上記各支持孔内でこの支持軸が回転する事を、或る程度抑える事ができる。但し、この様な構造を採用した場合でも、上記がたつきや、上記各支持孔内での上記支持軸の回転を抑える事に関して、未だ改良の余地がある。
本発明のカムフォロア装置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のカムフォロア装置は、前述した従来のカムフォロア装置と同様に、ロッカーアームと、支持軸と、タペットローラとを備える。
このうちのロッカーアームは、1対の支持壁部及びこれら両支持壁部同士を連結する連結部を有する。
又、上記支持軸は、その両端部をこれら両支持壁部の互いに整合する位置に形成した1対の支持孔に内嵌する事により、これら両支持壁部同士の間に掛け渡す状態で固定されている。
又、上記タペットローラは、上記支持軸の中間部周囲に回転自在に支持され、ラジアル荷重に基づいて変位する。
【0016】
特に、本発明のカムフォロア装置に於いては、上記両支持孔を上記支持軸の両端部を、この支持軸の外周面を傷付けない程度の隙間嵌で緩く内嵌できる大きさとしている。これと共に、これら両支持孔の内周面の外端寄り部分に雌ねじ部を形成している。又、上記支持軸の中間部で、表面に硬化処理を施した部分の軸方向長さを、上記両支持壁部の内側面同士の間隔よりも大きく、且つ、上記両雌ねじ部の内端同士の間隔よりも小さくしている。そして、上記支持軸の両端部を上記各支持孔の内周面に向けかしめ広げる事により、この支持軸の両端部を上記両支持孔内に固定している。更に、好ましくは、上記各支持孔の内周面に形成した雌ねじ部の(螺旋の)方向を、これら両支持孔同士で互いに逆にする。
【0017】
【作用】
上述の様に構成する本発明のカムフォロア装置の場合には、支持軸の両端部を各支持孔の内周面に向けかしめ広げる事により、この支持軸の両端部外周面を各雌ねじ部に食い込ませて、これら各雌ねじ部と螺合する雄ねじ状に塑性変形させる事ができる。この為、これら支持軸の両端部と各雌ねじ部とが螺合した状態となり、上記各支持壁部に対する上記支持軸の支持強度を高くでき、当該支持部でのがたつきを防止できると共に、この支持軸の回り止めを確実に図れる。更に、好ましい構成によれば、上記支持軸の回り止めを、より有効に図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1〜4は、本発明の実施の形態の1例を示している。カムフォロア装置15は、ロッカーアーム3cと、支持軸5cと、タペットローラ6cとを備える。本例の場合、このうちのロッカーアーム3cは、低炭素肌焼鋼板等の1枚の金属板に、プレスに基づく打ち抜き加工及び曲げ加工を施す事により、一体形成している。上記ロッカーアーム3cは、互いにほぼ平行な1対の支持壁部4c、4cと、これら両支持壁部4c、4cの幅方向一端縁同士を連結する第一、第二の連結部8a、9aと、これら両支持壁部4c、4cの中間部で互いに整合する位置に形成した1対の支持孔13a、13aとを備える。
【0019】
又、上記両第一、第二の連結部8a、9aのうち、第一の連結部8aの片面には、エンジンへの組み込み状態で弁体の基端部を突き当てる為の第一の係合部16を形成している。この第一の係合部16は、上記第一の連結部8aの幅方向(図1の表裏方向、図2の上下方向)中間部を、上記両支持壁部4c、4cの折れ曲がり方向(図1の上方、図2の手前方向)に凹ませる事により構成している。一方、上記第二の連結部9aの片面には、エンジンへの組み込み状態でラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の、第二の係合部17を形成している。この第二の係合部17は、上記第二の連結部9aの片面中央部を球面状に凹ませた曲面としている。更に、上記両支持壁部4c、4cの中間部で上記第一、第二の連結部8a、9aの間部分に、上記両支持孔13a、13aを、互いに同心に形成している。
【0020】
又、これら各支持孔13a、13aの内周面の外端寄り部分(図3、4の上端寄り部分)にタップを立てる事により、この外端寄り部分に雌ねじ部18、18を形成している。又、本例の場合には、これら各雌ねじ部18、18の方向を、上記各支持孔13a、13a同士で左右逆に(一方を逆ねじに)している。又、上記支持軸5cは、中炭素鋼、高炭素クロム軸受鋼等の硬質金属製で、軸方向中間部の外周面を、高周波焼き入れを行なった後、焼き戻しを行なう処理を施す等により硬化させると共に、両端部は焼き入れせずに軟らかい(生の)ままとしている。そして、この支持軸5cの軸方向中間部で、外周面に硬化処理を施した部分(図3、4に斜格子で示す部分)の軸方向長さL1 を、前記両支持壁部4c、4cの内側面同士の間隔L2 よりも大きく、且つ、上記両雌ねじ部18、18の内端Q同士の間隔L3 よりも小さくしている(L2 <L1 <L3 )。又、上記各支持孔13a、13aの外端開口部に、上記各雌ねじ部18、18の全長よりも幅が小さい面取り20を形成している。
【0021】
又、上記支持軸5cの両端部は、上記両支持孔13a、13a内に緩く内嵌している。又、この支持軸5cの中間部で外周面に硬化処理を施した部分の両端Pを、上記両雌ねじ部18、18の内端Qよりも軸方向中央側(図3、4の下側)に位置させている。そして、この状態で、パンチの如きかしめ治具の先端部で、欠円環状に尖った部分を上記支持軸5cの両端面に突き当てる事により、この支持軸5cの両端面に略C字形で断面V字形の凹溝14aを形成している。そしてこの支持軸5cの両端部で、この凹溝14aの周囲部分である円周方向一部を、上記各支持孔13a、13aの内周面に向けかしめ広げて、かしめ部19を形成し、このかしめ部19の外周面を上記各支持孔13a、13aの外端開口部に形成した面取り20に強く当接させる事により、上記支持軸5cの両端部を上記各支持壁部4cに対し結合固定している。又、この支持軸5cの両端部で、上記円周方向一部から外れた残部の外周面を、上記各支持孔13a、13aの内周面に当接させている。前記タペットローラ6cは、この様な支持軸5cの中間部周囲に、ラジアルニードル軸受7を介して、回転自在に支持している。尚、この支持軸5cの両端部で上記円周方向一部から外れた残部の外周面と上記各支持孔13a、13aの内周面との当接部は、カムフォロア装置15の使用時にラジアル荷重を支承する部分である、図1の下側部分に位置させる。
【0022】
上述の様に構成する本例のカムフォロア装置15は、前述した従来構造の第2〜3例の場合と同様、例えば図11に示す様にエンジンの動弁機構中に組み込む。そして、カム2aの動きを弁体10に伝達し、エンジンの吸気弁或は排気弁を開閉させる。特に、本例のカムフォロア装置15の場合には、支持軸5cの両端部を各支持孔13a、13aの内周面に向けかしめ広げる事により、この支持軸5cの両端部外周面を上記各雌ねじ部18、18に食い込ませて、これら各雌ねじ部18、18と螺合する雄ねじ状に塑性変形させる事ができる。この為、これら支持軸5cの両端部と各雌ねじ部18、18とが螺合した状態となり、上記各支持壁部4c、4cに対する上記支持軸5cの支持強度を高くでき、当該支持部でのがたつきを防止できると共に、この支持軸5cの回り止めを確実に図れる。
【0023】
更に、本例の場合には、上記各支持孔13a、13aに形成した雌ねじ部18、18の方向を、これら各支持孔13a、13a同士で左右逆にしている。この為、上記支持軸5cの両端部をかしめ広げた状態で、この支持軸5cの両端部外周面と上記各雌ねじ部18、18とが、両端部で互いに逆方向に螺合した状態となり、この支持軸5cの回り止めを、より有効に図れる。即ち、カムフォロア装置15の使用時に上記支持軸5cが回転する傾向となった場合には、上記各雌ねじ部18、18とこの支持軸5cの両端部外周面との螺合により、これら各雌ねじ部18、18が互いに近づくか、又は互いに遠ざかる傾向となる。何れの場合でも、螺合部で生じる軸方向の力が上記支持軸5c内で相殺される状態となり、この支持軸5cが軸方向に動かず、従ってこの支持軸5cが回転する事はない。
【0024】
又、本例のカムフォロア装置15の場合、前記第一、第二の係合部16、17に弁体の基端部又はラッシュアジャスタの先端部が、図1の下方から突き当てられ、上記タペットローラ6cの外周面とカムの外周面とは、図1の上部で互いに当接する。従って、上記カムフォロア装置15の使用時に上記支持軸5cには、図1の下向きのラジアル荷重が加わる。本例の場合には、このラジアル荷重を支承する部分に於いて、上記支持軸5cの両端部外周面にかしめ部を形成していない。この為、この支持軸5cの両端部外周面で、かしめ部19を形成した円周方向一部のこのかしめ部19よりも軸方向に関して内側部分が、上記各支持孔13a、13aの内周面から離隔した場合でも、上記ラジアル荷重を支承する部分に於いて、上記支持軸5cの両端部外周面が各支持孔13a、13aの内周面から離隔する事を防止できる。又、上記支持軸5cの両端部近傍で上記各支持孔13a、13a内に入り込んでいる部分が焼き入れ硬化されているので、上記ラジアル荷重により、上記支持軸5cの両端部近傍が塑性変形する事もない。従って、使用時に繰り返し加わるラジアル荷重に拘らず、前記両支持壁部4c、4cに対する上記支持軸5cの両端部のがたつき防止を、より有効に図れる。
【0025】
尚、本例の場合、上記各支持孔13a、13aの外端開口部に面取り20を形成しているが、この面取り20は、上記かしめ部19をかしめ付ける部分(図1に角度θで示す範囲の部分)で大きくすると共に、このかしめ部19をかしめ付けない部分で小さくするか、又は省略する事もできる。
【0026】
又、本例の場合には、各雌ねじ部18、18の方向を、これら各雌ねじ部18、18同士で左右逆にしているが、これら各雌ねじ部18、18の方向を、これら各雌ねじ部18、18同士で同じとする事もできる。この様に構成した場合でも、支持軸5cが回転する傾向となった場合には、この支持軸5cの一端部が、この一端部を内嵌した支持孔13aの内側で、軸方向内端寄りに進行する傾向となり、この一端部外周面で雄ねじ状となった部分とこの支持孔13aの内周面とが強く緊締された状態となる為、上記支持軸5cの回り止めを図れる。又、この場合には、かしめ部19を全周に亙り形成しても、繰り返し加わるラジアル荷重に拘らず、上記支持軸5cの一端部の支持部にがたつきを生じるのを防止できる。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用する為、各支持壁部に対する支持軸の支持部のがたつきを防止できると共に、この支持軸の回り止めを確実に図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す側面図。
【図2】同じく部分切断平面図。
【図3】図2のA部拡大断面図。
【図4】支持軸の端部を支持孔の内側に位置させた状態で、この支持軸の端部をかしめ広げる以前の状態を示す、図3と同様の図。
【図5】カムフォロア装置を備えるエンジンの動弁機構の第1例を示す部分側面図。
【図6】図5のB−B断面図。
【図7】同C−C断面図。
【図8】従来のカムフォロア装置の第2例を示す斜視図。
【図9】同じく平面図。
【図10】図9のD−D断面図。
【図11】従来の第2例のカムフォロア装置の組み付け状態を示す断面図。
【図12】従来のカムフォロア装置の第3例を示す側面図。
【図13】同じく平面図。
【符号の説明】
1、1a カムシャフト
2、2a カム
3、3a、3b、3c ロッカーアーム
4、4a、4b、4c 支持壁部
5、5a、5b、5c 支持軸
6、6a、6b、6c タペットローラ
7 ラジアルニードル軸受
8、8a 第一の連結部
9、9a 第二の連結部
10 弁体
11 プランジャ
12 リターンスプリング
13、13a 支持孔
14、14a 凹溝
15 カムフォロア装置
16 第一の係合部
17 第二の係合部
18 雌ねじ部
19 かしめ部
20 面取り
Claims (2)
- 1対の支持壁部及びこれら両支持壁部同士を連結する連結部を有するロッカーアームと、その両端部をこれら両支持壁部の互いに整合する位置に形成した1対の支持孔に内嵌する事により、これら両支持壁部同士の間に掛け渡す状態で固定された支持軸と、この支持軸の中間部周囲に回転自在に支持され、ラジアル荷重に基づいて変位するタペットローラとを備えたカムフォロア装置に於いて、上記両支持孔を上記支持軸の両端部を内嵌できる大きさとすると共に、これら両支持孔の内周面の外端寄り部分に雌ねじ部を形成しており、上記支持軸の中間部で、表面に硬化処理を施した部分の軸方向長さを、上記両支持壁部の内側面同士の間隔よりも大きく、且つ、上記両雌ねじ部の内端同士の間隔よりも小さくしており、上記支持軸の両端部を上記各支持孔の内周面に向けかしめ広げる事により、この支持軸の両端部を上記両支持孔内に固定している事を特徴とするカムフォロア装置。
- 各支持孔の内周面に形成した雌ねじ部の方向を、これら両支持孔同士で互いに逆にした、請求項1に記載したカムフォロア装置。
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