JP2004100499A - カムフォロア装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐久性を有し、しかも低コストで造れる構造を実現する。
【解決手段】タペットローラ6cを支持する為の支持軸5cの両端部をロッカーアーム3cに支持する為、支持壁部4cに形成した支持孔13aの内径Rを、上記支持軸5cの外径Dよりも十分に大きくする。そして、この支持軸5cの両端部外周面と上記支持孔13aの内周面とを、ラジアル荷重を支承する部分で直接当接させる。更に、上記支持軸4cの両端部外周面と上記支持孔13aの内周面との間の隙間内に、スペーサ18を押し込む。
【選択図】 図1
【解決手段】タペットローラ6cを支持する為の支持軸5cの両端部をロッカーアーム3cに支持する為、支持壁部4cに形成した支持孔13aの内径Rを、上記支持軸5cの外径Dよりも十分に大きくする。そして、この支持軸5cの両端部外周面と上記支持孔13aの内周面とを、ラジアル荷重を支承する部分で直接当接させる。更に、上記支持軸4cの両端部外周面と上記支持孔13aの内周面との間の隙間内に、スペーサ18を押し込む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係るカムフォロア装置は、エンジンの燃料噴射装置や吸排気弁用駆動装置等の被駆動部品として使用し、例えばカムシャフトの回転をロッカーアームの往復揺動運動に変換する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン内部での摩擦低減を図り、燃料消費率を低減する事を目的として、クランクシャフトと同期したカムシャフトの回転を給気弁及び排気弁の往復運動に変換する部分に、タペットローラを組み込んだカムフォロア装置を利用する事が一般的に行われている。図6〜8は、特許文献1に記載された、従来から知られているカムフォロア装置の第1例を示している。
【0003】
エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフト1に固定された(一般的には一体に形成された)カム2に対向し、このカム2の動きを受けて往復揺動する揺動部材であるロッカーアーム3が設けられている。このロッカーアーム3の端部(後述する第2例の様に、中間部の場合もある)には1対の支持壁部4、4が、互いに間隔を開けて設けられている。そして、この1対の支持壁部4、4の間に、鋼製で中空又は中実の支持軸5を掛け渡している。この支持軸5は、タペットローラ6をラジアルニードル軸受7を介して回転自在に支承すべく、その両端部を上記1対の支持壁部4、4に固定している。又、上記タペットローラ6の外周面を、上記カム2の外周面に当接させている。この様に構成されるタペットローラ6を組み込んだエンジンの動弁機構によれば、ロッカーアーム3とカム2との間に働く摩擦力を低減し、エンジン運転時に於ける燃料消費率の低減を図れる。
【0004】
又、特許文献2には、図9〜12に示す様に、ロッカーアームを鋼板等の金属板にプレス加工を施す事により造り、このロッカーアームの強度を確保しつつ軽量化を図る構造が記載されている。この従来の第2例のカムフォロア装置の場合、板金製のロッカーアーム3aにタペットローラ6aを、支持軸5aにより回転自在に支持している。
【0005】
このうちのロッカーアーム3aは、例えば2〜4mm程度の厚さを有する鋼板等の金属板に、不要部分を除却する為の打ち抜き加工、並びに所望形状を得る為の、絞り加工等の塑性加工を施して成るもので、1対の支持壁部4a、4aと、これら両支持壁部4a、4a同士を連結する第一、第二の連結部8、9とを備える。これら両連結部8、9のうちの第一の連結部8は、弁体10の基端面を突き当ててこの弁体10を変位させる為の押圧部として、第二の連結部9は、ラッシュアジャスタを構成し、上記ロッカーアーム3aの揺動中心となるプランジャ11の先端面を突き当てる為の支点部として、それぞれ機能する。この為に図示の例では、上記第二の連結部9の片面(図11の下面)に、球状凹部を形成している。尚、図示の例とは異なり、第二の連結部に相当する部分にねじ孔を設け、このねじ孔部分に、端部に凸球面部を有するアジャストねじを螺合固定する構造も、従来から知られている。
【0006】
一方、上記両連結部8、9同士の間部分はローラ設置部分となっており、この部分に、上記支持軸5aにより回転自在に支持した上記タペットローラ6aを配置している。当該部分にこのタペットローラ6aを支持する為に、上記1対の支持壁部4a、4aの互いに整合する位置に形成した支持孔に前記支持軸5aの両端部を内嵌し、更にこの支持軸5aの両端面外周縁部をこれら各支持孔の周縁部に向けかしめ広げている。この構成により、この支持軸5aの両端部を上記1対の支持壁部4a、4aに、これら両支持壁部4a、4a同士の間に掛け渡した状態で固定している。上記タペットローラ6aは、この様にしてこれら両支持壁部4a、4a同士の間に掛け渡された上記支持軸5aの中間部周囲に、直接或はラジアルニードル軸受を介して、回転自在に支持している。
【0007】
エンジンへの組み付け状態では、図12に示す様に、前記第一の連結部8の片面(図12の下面)に前記弁体10の基端部を、上記第二の連結部9の片面に設けた球状凹部に前記プランジャ11の先端面を、それぞれ突き当てると共に、上記タペットローラ6aの外周面に、カムシャフト1aの中間部に固設したカム2aの外周面を当接させる。エンジンの運転時には、このカム2aの回転に伴って前記ロッカーアーム3aが、上記プランジャ11の先端面と上記球状凹部との当接部を中心(支点)として、図12に実線で示した状態と同じく鎖線で示した状態との間で揺動変位し、上記弁体10を、上記第一の連結部8の押圧力とリターンスプリング12の弾力とにより軸方向に往復移動させる。尚、図示は省略するが、特許文献3等にも、同様の構造を有する板金製ロッカーアームを備えたカムフォロア装置が記載されている。
【0008】
何れの構造の場合でも、支持軸5、5aの両端部は1対の支持壁部4、4aに対し、がたつきなく、且つ、カム2、2aからタペットローラ6、6aを介して加えられるラジアル荷重を支承できる構造である必要がある。一方で、上記支持軸5、5aの中間部外周面は、タペットローラ6、6aを回転自在に支持する為のラジアルニードル軸受7の内輪軌道としての役目を有するので、上記中間部外周面に傷等が付く事は好ましくない。従って、上記支持軸5、5aを、上記各支持壁部4、4aに形成した支持孔に圧入する構造は、傷付き防止の面から採用できない。
【0009】
この為に従来から、図13〜14に示す様な構造により、ロッカーアーム3bを構成する1対の支持壁部4b、4bに、タペットローラ6bを支持する為の支持軸5bの両端部を固定している。この従来構造で、これら両支持壁部4b、4bに互いに同心に形成した円形の支持孔13、13の内径は、上記支持軸5bの外径よりも僅かに大きい。又、この支持軸5bは、中間部外周面のみを高周波焼き入れにより硬化させており、両端部は焼き入れせずに軟らかい(生の)ままとしている。この様な支持軸5bを上記ロッカーアーム3bに対し固定する場合には、この支持軸5bの両端部を上記両支持孔13、13内に位置させた状態で、この支持軸5bの両端部を径方向外方に塑性変形させる。即ち、この支持軸5bの両端面にパンチの如き治具を押し当てて、この両端面に凹溝14を形成し、この凹溝14の周囲部分を径方向外方に押し広げて、この部分を上記両支持孔13、13の内周面に押し付ける。
【0010】
【特許文献1】
特開平3−78507号公報
【特許文献2】
米国特許第5048475号明細書
【特許文献3】
特公平6−81892号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様な従来構造の場合、次の▲1▼〜▲3▼の理由により、コストが嵩む事が避けられなかった。
▲1▼ 支持軸5bの加工コストが嵩む。
この理由は、上記支持軸5bの両端部に生の部分を残しつつ、中間部外周面を焼き入れ硬化する為に、加工コストが嵩む高周波焼き入れ処理を行なう為である。
▲2▼ 各支持壁部4b、4bに形成する支持孔13、13の加工コストが嵩む。
この理由は、上記支持軸5bの両端外周縁部を径方向外方に塑性変形させる事により形成したかしめ部を受ける為、上記各支持孔13、13の外端開口周縁部に面取り部を形成する為である。
▲3▼ 上記かしめ部の加工コストが嵩む。
この理由は、このかしめ部を形成すべく、上記支持軸5bの両端面に押し付けるパンチの如き治具の耐久性が限られたものであり、この治具を頻繁に交換する必要がある為である。
本発明は、これら▲1▼〜▲3▼の様なコスト上昇の原因をなくす事により、カムフォロア装置の低廉化を図るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のカムフォロア装置は、前述した従来のカムフォロア装置と同様に、ロッカーアームと、支持軸と、タペットローラとを備える。
このうちのロッカーアームは、1対の支持壁部及びこれら両支持壁部同士を連結する連結部を有する。
又、上記支持軸は、その両端部をこれら両支持壁部の互いに整合する位置に形成した1対の支持孔に内嵌する事により、これら両支持壁部同士の間に掛け渡す状態で固定されている。
又、上記タペットローラは、上記支持軸の中間部周囲に回転自在に支持され、ラジアル荷重に基づいて変位する。
【0013】
特に、本発明のカムフォロア装置に於いては、上記両支持孔を上記支持軸の両端部を緩く内嵌できる大きさとしている。
そして、上記両支持孔の内周面とこの支持軸の両端部外周面との間に、上記ロッカーアーム及び支持軸と別体で塑性変形自在なスペーサを圧入して、この支持軸の両端部を上記両支持孔内に固定している。
【0014】
【作用】
上述の様に構成する本発明のカムフォロア装置の場合には、特に面倒な加工を行なう必要がなく、製造コストの低減を図れる。
第一に、支持軸の両端部を塑性変形させる必要がないので、この支持軸の焼き入れを、全体を加熱してから焼き入れ用の油に浸漬する、所謂ズブ焼きにより行なえる。ズブ焼きによる焼き入れ処理は、高周波焼き入れ処理よりも低コストで行なえる為、その分、製造コストを低減できる。
第二に、支持軸を両支持孔に挿通する作業を容易にできる。この理由は、支持軸の両端部外周面と両支持孔の内周面との間の隙間をスペーサにより埋める為、これら両支持孔の内径を上記支持軸の外径よりも十分に大きくする事が可能になる為である。
第三に、これら両支持孔の加工コストを低減できる。この理由は、上記支持軸の両端外周縁部にかしめ部を形成しない為、このかしめ部を受ける為に上記両支持孔に面取り部を形成する必要がなくなる為である。
第四に、上記スペーサを上記支持軸の両端部外周面と両支持孔の内周面との間の隙間内に押し込む為の押圧治具のコストを低く抑えられる。この理由は、上記スペーサの基端面を押圧できるものであれば良く、押圧面は単なる平坦面でも良い為である。しかも、上記スペーサは未焼き入れの鋼等、比較的軟質である為、上記押圧治具の押圧面の耐久性は十分に確保できる。
尚、従来構造に対して上記スペーサが必要になるが、このスペーサは小さなものであり、廃材の一部を利用できる為、このスペーサを使用する事によるコスト上昇は僅少である。即ち、このコスト上昇よりも、上記第一〜第四のコスト低減効果の方が遥かに大きい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。カムフォロア装置15は、ロッカーアーム3cと、支持軸5cと、タペットローラ6cとを備える。本例の場合、このうちのロッカーアーム3cは、低炭素肌焼鋼板等の1枚の金属板に、プレスに基づく打ち抜き加工及び曲げ加工を施す事により一体形成している。上記ロッカーアーム3cは、互いにほぼ平行な1対の支持壁部4c、4cと、これら両支持壁部4c、4cの幅方向一端縁同士を連結する第一、第二の連結部8a、9aと、これら両支持壁部4c、4cの中間部で互いに整合する位置に形成した1対の支持孔13a、13aとを備える。
【0016】
又、上記両第一、第二の連結部8a、9aのうち、第一の連結部8aの片面には、エンジンへの組み込み状態で弁体の基端部を突き当てる為の第一の係合部16を形成している。この第一の係合部16は、上記第一の連結部8aの幅方向(図1の表裏方向、図2の上下方向)中間部を、上記両支持壁部4c、4cの折れ曲がり方向(図1の上方、図2の手前方向)に凹ませる事により構成している。一方、上記第二の連結部9aの片面には、エンジンへの組み込み状態でラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の、第二の係合部17を形成している。この第二の係合部17は、上記第二の連結部9aの他端中央部を球面状に凹ませた曲面としている。更に、上記両支持壁部4c、4cの中間部で上記第一、第二の連結部8a、9aの間部分に、上記両支持孔13a、13aを互いに同心に形成している。
【0017】
前記支持軸5cの両端部は上記両支持孔13a、13aの内側に、スペーサ18、18を介して内嵌固定している。本例の場合、これら両支持孔13a、13aは、上記支持軸5cの外径Dよりも十分に大きな内径R(R>D)を有する円孔である。上記支持軸5cの両端部は、この様に大きな内径を有する上記両支持孔13a、13a内に、それぞれが円弧形である上記両スペーサ18、18を介して、がたつきなく内嵌固定している。又、上記支持軸5cは、中炭素鋼、高炭素クロム軸受鋼等の硬質金属製で、ズブ焼きにより全体を熱処理硬化させている。前記タペットローラ6cは、この様な支持軸5cの中間部周囲に、ラジアルニードル軸受7を介して、回転自在に支持している。
【0018】
上記両スペーサ18、18は、低炭素鋼板、アルミニウム合金板等の、前記ロッカーアーム3cを構成する金属板に比べて軟質の金属材により、欠円筒状に形成している。上記両スペーサ18、18の厚さは、円周方向中間部で最も厚く、円周方向両端縁に向かうに従って次第に薄くなる。従って、上記両スペーサ18、18の断面形状は、三日月を薄くした如き形状である。この様な両スペーサ18、18は、それぞれ上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面との間への組み付け状態で、内外両周面のうちの内周面が上記支持軸5cの両端部外周面に、同じく外周面が上記両支持孔13a、13aの内周面に、それぞれ円周方向の一部を除いて密着(強く当接)する。
【0019】
上記両スペーサ18、18を、この様に上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面との間に容易に組み付け可能にすべく、上記両スペーサ18、18の挿入方向先端部の厚さは、先端縁に向かうに従って漸次薄くなっている。言い換えれば、上記両スペーサ18、18の挿入方向先端部を、それぞれくさび状に形成している。これに対して、これら両スペーサ18、18の挿入方向後端縁は、中心軸に対し直角方向に存在する平坦面としている。
【0020】
この様な上記両スペーサ18、18により、上記支持軸5cの両端部を前記両支持壁部4c、4cに支持固定する作業は、次の様にして行なう。
先ず、これら両支持壁部4c、4c同士の間に前記タペットローラ6c及びラジアルニードル軸受7を、上記両支持孔13a、13aとほぼ同心に配置する。そして、このラジアルニードル軸受7及びこれら両支持孔13a、13aに、上記支持軸5cを挿通する。これら両支持孔13a、13aの内径Rが上記支持軸5cの外径Dよりも十分に大きい為、この挿通作業は、容易に、且つ、この支持軸5cの外周面を傷める事なく行なえる。
【0021】
次いで、上記支持軸5cの両端部外周面の円周方向一部と、上記両支持孔13a、13aの内周面の円周方向一部とを当接させ、これら両周面の残部同士の間に、上記両スペーサ18、18を押し込むべき、円弧形の隙間を介在させる。この場合に、上記支持軸5cの両端部外周面の円周方向一部と上記両支持孔13a、13aの内周面の円周方向一部とを互いに当接させる部分を、カムフォロア装置15の使用時にラジアル荷重を支承する部分である、図1の下側部分に位置させる。
【0022】
そして、この状態で、上記円弧形の隙間内に、上記両スペーサ18、18を押し込む。この押し込み作業は、これら両スペーサ18、18の、くさび状の先端部を上記隙間内に差し込んだ後、これら両スペーサ18、18の後端縁を、押し込み治具により上記隙間に向け押圧する事により行なう。この押圧作業により上記両スペーサ18、18は、変形(塑性変形と弾性変形とが複合した変形)しつつ、上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面との間に押し込まれる。そして、押し込まれた状態で、上記両スペーサ18、18の内外両周面が、上記支持軸5cの両端部外周面及び上記両支持孔13a、13aの内周面に強く当接する。又、上記両スペーサ18、18の不連続部である、図1の下側部分に於いて、上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面とが、互いに直接当接する。
【0023】
本例のカムフォロア装置15の場合、前記第一、第二の係合部16、17に弁体の基端部又はラッシュアジャスタの先端部が、図1の下方から突き当てられ、上記タペットローラ6cの外周面とカムの外周面とは、図1の上部で互いに当接する。従って、上記カムフォロア装置15の使用時に上記支持軸5cには、図1の下向きのラジアル荷重が加わる。本例の場合には、このラジアル荷重を支承する部分に於いて、上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面とが、比較的軟質の金属材製の上記両スペーサ18、18を介する事なく、直接当接している。従って、使用時に繰り返し加わるラジアル荷重に拘らず、上記両スペーサ18、18が変形する(へたる)事はなく、上記支持軸5cの両端部を前記両支持壁部4c、4cに対し、長期間に亙ってがたつきを生じる事なく、確実に支持固定できる。
【0024】
上述の様に構成する本例のカムフォロア装置15は、前述した従来構造の第2〜3例の場合と同様、例えば図12に示す様にエンジンの動弁機構中に組み込む。そして、カム2aの動きを弁体10に伝達し、エンジンの吸気弁或は排気弁を開閉させる。特に、本例のカムフォロア装置15の場合には、特に面倒な加工を行なう必要がなく、製造コストの低減を図れる。
【0025】
第一に、前述の図7〜8或は図13〜14に示した従来例とは異なり、上記支持軸5cの両端部を塑性変形させる必要がない。従って、この支持軸5cの焼き入れを、全体を加熱してから焼き入れ油に浸漬する、所謂ズブ焼きにより行なえる。ズブ焼きによる焼き入れ処理は、高周波焼き入れ処理よりも低コストで行なえる為、その分、製造コストを低減できる。
【0026】
第二に、前記両支持孔13a、13aの内径を、上記支持軸5cの外径よりも十分に大きくしている為、この支持軸5cを上記両支持孔13a、13aに挿通する作業が容易になる。この為、カムフォロア装置15の組立作業を自動化する事も含め、この組立作業の能率化により、製造コストの低減を図れる。
【0027】
第三に、上記支持軸5cの両端外周縁部にかしめ部を形成しない為、このかしめ部を受ける為に上記両支持孔13a、13aに面取り部を形成する必要がなくなって、これら両支持孔13a、13aの加工コストを低減できる。
【0028】
第四に、前記両スペーサ18、18を上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面との間の隙間内に押し込む為の押圧治具は、上記スペーサ18、18の基端面を押圧できるものであれば良い。そして、上記押圧治具の押圧面は単なる平坦面で良い。しかも、上記両スペーサ18、18は未焼き入れの鋼等、軟質材である為、上記押圧治具の押圧面が損傷を受けにくい。従って、上記押圧治具の耐久性は、十分に確保できる。
尚、本発明を実施する場合、上記両スペーサ18、18は、上記隙間内に押し込めば足り、これら両スペーサ18、18をかしめ変形させる必要はないが、かしめ変形させても良い。
【0029】
次に、図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、支持孔13bを、支持軸5cの外径よりも大径の部分と、この外径と一致する内径を有する部分とを直線部で連続させた形状としている。これに合わせて、上記支持軸5cの両端部外周面と上記支持孔13bの内周面との間に押し込むスペーサ18aの形状を変えている。これら各部の形状を異ならせた以外の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様である。
【0030】
次に、図4は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、支持孔13cを、支持軸5cの外径よりも少しだけ大径の部分と、この外径よりも小径の部分とを滑らかに連続させた、卵形としている。これに合わせて、上記支持軸5cの両端部外周面と上記支持孔13cの内周面との間に押し込むスペーサ18bの形状を変えている。これら各部の形状を異ならせた以外の構成及び作用は、前述した第1例及び上述した第2例の場合と同様である。
【0031】
次に、図5は、本発明の実施の形態の第4例を示している。上述した第1〜3例が何れも、ロッカーアーム3cの支持壁部4cに形成した支持孔13a〜13cを、軸方向全長に亙って同じ形状としていたのに対して、本例の場合には、支持孔13d、13dの形状を途中で変えている。即ち、本例の場合には、これら各支持孔13d、13dの内半部を、支持軸5cの外径よりも少しだけ大きな内径を有する小径部19、19とし、外半部を、この外径よりも十分に大きな内径を有する大径部20、20としている。そして、上記両小径部19、19の内周面と上記支持軸5cの外周面両端寄り部分とを、少なくともラジアル荷重を支承する部分で当接させると共に、上記支持軸5cの外周面両端部と上記大径部20、20の内周面との間に、スペーサ18c、18cを押し込んでいる。上記小径部19、19の形状は円形であるが、上記大径部20、20の形状は、円形であっても、或は、例えば図1、3、4に示す様な非円形であっても良い。その他の部分の構成及び作用は、前述した第1〜2例及び上述した第3例と同様である。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用する為、信頼性の高いカムフォロア装置を低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す側面図。
【図2】同じく部分切断平面図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例を示す側面図。
【図4】同第3例を示す側面図。
【図5】同第4例を示す部分切断平面図。
【図6】カムフォロア装置を備えるエンジンの動弁機構の第1例を示す部分側面図。
【図7】図6のA−A断面図。
【図8】同B−B断面図。
【図9】従来のカムフォロア装置の第2例を示す斜視図。
【図10】同じく平面図。
【図11】図10のC−C断面図。
【図12】従来の第2例のカムフォロア装置の組み付け状態を示す断面図。
【図13】従来のカムフォロア装置の第3例を示す側面図。
【図14】同じく平面図。
【符号の説明】
1、1a カムシャフト
2、2a カム
3、3a、3b、3c ロッカーアーム
4、4a、4b、4c 支持壁部
5、5a、5b、5c 支持軸
6、6a、6b、6c タペットローラ
7 ラジアルニードル軸受
8、8a 第一の連結部
9、9a 第二の連結部
10 弁体
11 プランジャ
12 リターンスプリング
13、13a、13b、13c、13d 支持孔
14 凹溝
15 カムフォロア装置
16 第一の係合部
17 第二の係合部
18、18a、18b、18c スペーサ
19 小径部
20 大径部
【発明の属する技術分野】
この発明に係るカムフォロア装置は、エンジンの燃料噴射装置や吸排気弁用駆動装置等の被駆動部品として使用し、例えばカムシャフトの回転をロッカーアームの往復揺動運動に変換する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン内部での摩擦低減を図り、燃料消費率を低減する事を目的として、クランクシャフトと同期したカムシャフトの回転を給気弁及び排気弁の往復運動に変換する部分に、タペットローラを組み込んだカムフォロア装置を利用する事が一般的に行われている。図6〜8は、特許文献1に記載された、従来から知られているカムフォロア装置の第1例を示している。
【0003】
エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシャフト1に固定された(一般的には一体に形成された)カム2に対向し、このカム2の動きを受けて往復揺動する揺動部材であるロッカーアーム3が設けられている。このロッカーアーム3の端部(後述する第2例の様に、中間部の場合もある)には1対の支持壁部4、4が、互いに間隔を開けて設けられている。そして、この1対の支持壁部4、4の間に、鋼製で中空又は中実の支持軸5を掛け渡している。この支持軸5は、タペットローラ6をラジアルニードル軸受7を介して回転自在に支承すべく、その両端部を上記1対の支持壁部4、4に固定している。又、上記タペットローラ6の外周面を、上記カム2の外周面に当接させている。この様に構成されるタペットローラ6を組み込んだエンジンの動弁機構によれば、ロッカーアーム3とカム2との間に働く摩擦力を低減し、エンジン運転時に於ける燃料消費率の低減を図れる。
【0004】
又、特許文献2には、図9〜12に示す様に、ロッカーアームを鋼板等の金属板にプレス加工を施す事により造り、このロッカーアームの強度を確保しつつ軽量化を図る構造が記載されている。この従来の第2例のカムフォロア装置の場合、板金製のロッカーアーム3aにタペットローラ6aを、支持軸5aにより回転自在に支持している。
【0005】
このうちのロッカーアーム3aは、例えば2〜4mm程度の厚さを有する鋼板等の金属板に、不要部分を除却する為の打ち抜き加工、並びに所望形状を得る為の、絞り加工等の塑性加工を施して成るもので、1対の支持壁部4a、4aと、これら両支持壁部4a、4a同士を連結する第一、第二の連結部8、9とを備える。これら両連結部8、9のうちの第一の連結部8は、弁体10の基端面を突き当ててこの弁体10を変位させる為の押圧部として、第二の連結部9は、ラッシュアジャスタを構成し、上記ロッカーアーム3aの揺動中心となるプランジャ11の先端面を突き当てる為の支点部として、それぞれ機能する。この為に図示の例では、上記第二の連結部9の片面(図11の下面)に、球状凹部を形成している。尚、図示の例とは異なり、第二の連結部に相当する部分にねじ孔を設け、このねじ孔部分に、端部に凸球面部を有するアジャストねじを螺合固定する構造も、従来から知られている。
【0006】
一方、上記両連結部8、9同士の間部分はローラ設置部分となっており、この部分に、上記支持軸5aにより回転自在に支持した上記タペットローラ6aを配置している。当該部分にこのタペットローラ6aを支持する為に、上記1対の支持壁部4a、4aの互いに整合する位置に形成した支持孔に前記支持軸5aの両端部を内嵌し、更にこの支持軸5aの両端面外周縁部をこれら各支持孔の周縁部に向けかしめ広げている。この構成により、この支持軸5aの両端部を上記1対の支持壁部4a、4aに、これら両支持壁部4a、4a同士の間に掛け渡した状態で固定している。上記タペットローラ6aは、この様にしてこれら両支持壁部4a、4a同士の間に掛け渡された上記支持軸5aの中間部周囲に、直接或はラジアルニードル軸受を介して、回転自在に支持している。
【0007】
エンジンへの組み付け状態では、図12に示す様に、前記第一の連結部8の片面(図12の下面)に前記弁体10の基端部を、上記第二の連結部9の片面に設けた球状凹部に前記プランジャ11の先端面を、それぞれ突き当てると共に、上記タペットローラ6aの外周面に、カムシャフト1aの中間部に固設したカム2aの外周面を当接させる。エンジンの運転時には、このカム2aの回転に伴って前記ロッカーアーム3aが、上記プランジャ11の先端面と上記球状凹部との当接部を中心(支点)として、図12に実線で示した状態と同じく鎖線で示した状態との間で揺動変位し、上記弁体10を、上記第一の連結部8の押圧力とリターンスプリング12の弾力とにより軸方向に往復移動させる。尚、図示は省略するが、特許文献3等にも、同様の構造を有する板金製ロッカーアームを備えたカムフォロア装置が記載されている。
【0008】
何れの構造の場合でも、支持軸5、5aの両端部は1対の支持壁部4、4aに対し、がたつきなく、且つ、カム2、2aからタペットローラ6、6aを介して加えられるラジアル荷重を支承できる構造である必要がある。一方で、上記支持軸5、5aの中間部外周面は、タペットローラ6、6aを回転自在に支持する為のラジアルニードル軸受7の内輪軌道としての役目を有するので、上記中間部外周面に傷等が付く事は好ましくない。従って、上記支持軸5、5aを、上記各支持壁部4、4aに形成した支持孔に圧入する構造は、傷付き防止の面から採用できない。
【0009】
この為に従来から、図13〜14に示す様な構造により、ロッカーアーム3bを構成する1対の支持壁部4b、4bに、タペットローラ6bを支持する為の支持軸5bの両端部を固定している。この従来構造で、これら両支持壁部4b、4bに互いに同心に形成した円形の支持孔13、13の内径は、上記支持軸5bの外径よりも僅かに大きい。又、この支持軸5bは、中間部外周面のみを高周波焼き入れにより硬化させており、両端部は焼き入れせずに軟らかい(生の)ままとしている。この様な支持軸5bを上記ロッカーアーム3bに対し固定する場合には、この支持軸5bの両端部を上記両支持孔13、13内に位置させた状態で、この支持軸5bの両端部を径方向外方に塑性変形させる。即ち、この支持軸5bの両端面にパンチの如き治具を押し当てて、この両端面に凹溝14を形成し、この凹溝14の周囲部分を径方向外方に押し広げて、この部分を上記両支持孔13、13の内周面に押し付ける。
【0010】
【特許文献1】
特開平3−78507号公報
【特許文献2】
米国特許第5048475号明細書
【特許文献3】
特公平6−81892号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様な従来構造の場合、次の▲1▼〜▲3▼の理由により、コストが嵩む事が避けられなかった。
▲1▼ 支持軸5bの加工コストが嵩む。
この理由は、上記支持軸5bの両端部に生の部分を残しつつ、中間部外周面を焼き入れ硬化する為に、加工コストが嵩む高周波焼き入れ処理を行なう為である。
▲2▼ 各支持壁部4b、4bに形成する支持孔13、13の加工コストが嵩む。
この理由は、上記支持軸5bの両端外周縁部を径方向外方に塑性変形させる事により形成したかしめ部を受ける為、上記各支持孔13、13の外端開口周縁部に面取り部を形成する為である。
▲3▼ 上記かしめ部の加工コストが嵩む。
この理由は、このかしめ部を形成すべく、上記支持軸5bの両端面に押し付けるパンチの如き治具の耐久性が限られたものであり、この治具を頻繁に交換する必要がある為である。
本発明は、これら▲1▼〜▲3▼の様なコスト上昇の原因をなくす事により、カムフォロア装置の低廉化を図るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のカムフォロア装置は、前述した従来のカムフォロア装置と同様に、ロッカーアームと、支持軸と、タペットローラとを備える。
このうちのロッカーアームは、1対の支持壁部及びこれら両支持壁部同士を連結する連結部を有する。
又、上記支持軸は、その両端部をこれら両支持壁部の互いに整合する位置に形成した1対の支持孔に内嵌する事により、これら両支持壁部同士の間に掛け渡す状態で固定されている。
又、上記タペットローラは、上記支持軸の中間部周囲に回転自在に支持され、ラジアル荷重に基づいて変位する。
【0013】
特に、本発明のカムフォロア装置に於いては、上記両支持孔を上記支持軸の両端部を緩く内嵌できる大きさとしている。
そして、上記両支持孔の内周面とこの支持軸の両端部外周面との間に、上記ロッカーアーム及び支持軸と別体で塑性変形自在なスペーサを圧入して、この支持軸の両端部を上記両支持孔内に固定している。
【0014】
【作用】
上述の様に構成する本発明のカムフォロア装置の場合には、特に面倒な加工を行なう必要がなく、製造コストの低減を図れる。
第一に、支持軸の両端部を塑性変形させる必要がないので、この支持軸の焼き入れを、全体を加熱してから焼き入れ用の油に浸漬する、所謂ズブ焼きにより行なえる。ズブ焼きによる焼き入れ処理は、高周波焼き入れ処理よりも低コストで行なえる為、その分、製造コストを低減できる。
第二に、支持軸を両支持孔に挿通する作業を容易にできる。この理由は、支持軸の両端部外周面と両支持孔の内周面との間の隙間をスペーサにより埋める為、これら両支持孔の内径を上記支持軸の外径よりも十分に大きくする事が可能になる為である。
第三に、これら両支持孔の加工コストを低減できる。この理由は、上記支持軸の両端外周縁部にかしめ部を形成しない為、このかしめ部を受ける為に上記両支持孔に面取り部を形成する必要がなくなる為である。
第四に、上記スペーサを上記支持軸の両端部外周面と両支持孔の内周面との間の隙間内に押し込む為の押圧治具のコストを低く抑えられる。この理由は、上記スペーサの基端面を押圧できるものであれば良く、押圧面は単なる平坦面でも良い為である。しかも、上記スペーサは未焼き入れの鋼等、比較的軟質である為、上記押圧治具の押圧面の耐久性は十分に確保できる。
尚、従来構造に対して上記スペーサが必要になるが、このスペーサは小さなものであり、廃材の一部を利用できる為、このスペーサを使用する事によるコスト上昇は僅少である。即ち、このコスト上昇よりも、上記第一〜第四のコスト低減効果の方が遥かに大きい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。カムフォロア装置15は、ロッカーアーム3cと、支持軸5cと、タペットローラ6cとを備える。本例の場合、このうちのロッカーアーム3cは、低炭素肌焼鋼板等の1枚の金属板に、プレスに基づく打ち抜き加工及び曲げ加工を施す事により一体形成している。上記ロッカーアーム3cは、互いにほぼ平行な1対の支持壁部4c、4cと、これら両支持壁部4c、4cの幅方向一端縁同士を連結する第一、第二の連結部8a、9aと、これら両支持壁部4c、4cの中間部で互いに整合する位置に形成した1対の支持孔13a、13aとを備える。
【0016】
又、上記両第一、第二の連結部8a、9aのうち、第一の連結部8aの片面には、エンジンへの組み込み状態で弁体の基端部を突き当てる為の第一の係合部16を形成している。この第一の係合部16は、上記第一の連結部8aの幅方向(図1の表裏方向、図2の上下方向)中間部を、上記両支持壁部4c、4cの折れ曲がり方向(図1の上方、図2の手前方向)に凹ませる事により構成している。一方、上記第二の連結部9aの片面には、エンジンへの組み込み状態でラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の、第二の係合部17を形成している。この第二の係合部17は、上記第二の連結部9aの他端中央部を球面状に凹ませた曲面としている。更に、上記両支持壁部4c、4cの中間部で上記第一、第二の連結部8a、9aの間部分に、上記両支持孔13a、13aを互いに同心に形成している。
【0017】
前記支持軸5cの両端部は上記両支持孔13a、13aの内側に、スペーサ18、18を介して内嵌固定している。本例の場合、これら両支持孔13a、13aは、上記支持軸5cの外径Dよりも十分に大きな内径R(R>D)を有する円孔である。上記支持軸5cの両端部は、この様に大きな内径を有する上記両支持孔13a、13a内に、それぞれが円弧形である上記両スペーサ18、18を介して、がたつきなく内嵌固定している。又、上記支持軸5cは、中炭素鋼、高炭素クロム軸受鋼等の硬質金属製で、ズブ焼きにより全体を熱処理硬化させている。前記タペットローラ6cは、この様な支持軸5cの中間部周囲に、ラジアルニードル軸受7を介して、回転自在に支持している。
【0018】
上記両スペーサ18、18は、低炭素鋼板、アルミニウム合金板等の、前記ロッカーアーム3cを構成する金属板に比べて軟質の金属材により、欠円筒状に形成している。上記両スペーサ18、18の厚さは、円周方向中間部で最も厚く、円周方向両端縁に向かうに従って次第に薄くなる。従って、上記両スペーサ18、18の断面形状は、三日月を薄くした如き形状である。この様な両スペーサ18、18は、それぞれ上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面との間への組み付け状態で、内外両周面のうちの内周面が上記支持軸5cの両端部外周面に、同じく外周面が上記両支持孔13a、13aの内周面に、それぞれ円周方向の一部を除いて密着(強く当接)する。
【0019】
上記両スペーサ18、18を、この様に上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面との間に容易に組み付け可能にすべく、上記両スペーサ18、18の挿入方向先端部の厚さは、先端縁に向かうに従って漸次薄くなっている。言い換えれば、上記両スペーサ18、18の挿入方向先端部を、それぞれくさび状に形成している。これに対して、これら両スペーサ18、18の挿入方向後端縁は、中心軸に対し直角方向に存在する平坦面としている。
【0020】
この様な上記両スペーサ18、18により、上記支持軸5cの両端部を前記両支持壁部4c、4cに支持固定する作業は、次の様にして行なう。
先ず、これら両支持壁部4c、4c同士の間に前記タペットローラ6c及びラジアルニードル軸受7を、上記両支持孔13a、13aとほぼ同心に配置する。そして、このラジアルニードル軸受7及びこれら両支持孔13a、13aに、上記支持軸5cを挿通する。これら両支持孔13a、13aの内径Rが上記支持軸5cの外径Dよりも十分に大きい為、この挿通作業は、容易に、且つ、この支持軸5cの外周面を傷める事なく行なえる。
【0021】
次いで、上記支持軸5cの両端部外周面の円周方向一部と、上記両支持孔13a、13aの内周面の円周方向一部とを当接させ、これら両周面の残部同士の間に、上記両スペーサ18、18を押し込むべき、円弧形の隙間を介在させる。この場合に、上記支持軸5cの両端部外周面の円周方向一部と上記両支持孔13a、13aの内周面の円周方向一部とを互いに当接させる部分を、カムフォロア装置15の使用時にラジアル荷重を支承する部分である、図1の下側部分に位置させる。
【0022】
そして、この状態で、上記円弧形の隙間内に、上記両スペーサ18、18を押し込む。この押し込み作業は、これら両スペーサ18、18の、くさび状の先端部を上記隙間内に差し込んだ後、これら両スペーサ18、18の後端縁を、押し込み治具により上記隙間に向け押圧する事により行なう。この押圧作業により上記両スペーサ18、18は、変形(塑性変形と弾性変形とが複合した変形)しつつ、上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面との間に押し込まれる。そして、押し込まれた状態で、上記両スペーサ18、18の内外両周面が、上記支持軸5cの両端部外周面及び上記両支持孔13a、13aの内周面に強く当接する。又、上記両スペーサ18、18の不連続部である、図1の下側部分に於いて、上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面とが、互いに直接当接する。
【0023】
本例のカムフォロア装置15の場合、前記第一、第二の係合部16、17に弁体の基端部又はラッシュアジャスタの先端部が、図1の下方から突き当てられ、上記タペットローラ6cの外周面とカムの外周面とは、図1の上部で互いに当接する。従って、上記カムフォロア装置15の使用時に上記支持軸5cには、図1の下向きのラジアル荷重が加わる。本例の場合には、このラジアル荷重を支承する部分に於いて、上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面とが、比較的軟質の金属材製の上記両スペーサ18、18を介する事なく、直接当接している。従って、使用時に繰り返し加わるラジアル荷重に拘らず、上記両スペーサ18、18が変形する(へたる)事はなく、上記支持軸5cの両端部を前記両支持壁部4c、4cに対し、長期間に亙ってがたつきを生じる事なく、確実に支持固定できる。
【0024】
上述の様に構成する本例のカムフォロア装置15は、前述した従来構造の第2〜3例の場合と同様、例えば図12に示す様にエンジンの動弁機構中に組み込む。そして、カム2aの動きを弁体10に伝達し、エンジンの吸気弁或は排気弁を開閉させる。特に、本例のカムフォロア装置15の場合には、特に面倒な加工を行なう必要がなく、製造コストの低減を図れる。
【0025】
第一に、前述の図7〜8或は図13〜14に示した従来例とは異なり、上記支持軸5cの両端部を塑性変形させる必要がない。従って、この支持軸5cの焼き入れを、全体を加熱してから焼き入れ油に浸漬する、所謂ズブ焼きにより行なえる。ズブ焼きによる焼き入れ処理は、高周波焼き入れ処理よりも低コストで行なえる為、その分、製造コストを低減できる。
【0026】
第二に、前記両支持孔13a、13aの内径を、上記支持軸5cの外径よりも十分に大きくしている為、この支持軸5cを上記両支持孔13a、13aに挿通する作業が容易になる。この為、カムフォロア装置15の組立作業を自動化する事も含め、この組立作業の能率化により、製造コストの低減を図れる。
【0027】
第三に、上記支持軸5cの両端外周縁部にかしめ部を形成しない為、このかしめ部を受ける為に上記両支持孔13a、13aに面取り部を形成する必要がなくなって、これら両支持孔13a、13aの加工コストを低減できる。
【0028】
第四に、前記両スペーサ18、18を上記支持軸5cの両端部外周面と上記両支持孔13a、13aの内周面との間の隙間内に押し込む為の押圧治具は、上記スペーサ18、18の基端面を押圧できるものであれば良い。そして、上記押圧治具の押圧面は単なる平坦面で良い。しかも、上記両スペーサ18、18は未焼き入れの鋼等、軟質材である為、上記押圧治具の押圧面が損傷を受けにくい。従って、上記押圧治具の耐久性は、十分に確保できる。
尚、本発明を実施する場合、上記両スペーサ18、18は、上記隙間内に押し込めば足り、これら両スペーサ18、18をかしめ変形させる必要はないが、かしめ変形させても良い。
【0029】
次に、図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、支持孔13bを、支持軸5cの外径よりも大径の部分と、この外径と一致する内径を有する部分とを直線部で連続させた形状としている。これに合わせて、上記支持軸5cの両端部外周面と上記支持孔13bの内周面との間に押し込むスペーサ18aの形状を変えている。これら各部の形状を異ならせた以外の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様である。
【0030】
次に、図4は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、支持孔13cを、支持軸5cの外径よりも少しだけ大径の部分と、この外径よりも小径の部分とを滑らかに連続させた、卵形としている。これに合わせて、上記支持軸5cの両端部外周面と上記支持孔13cの内周面との間に押し込むスペーサ18bの形状を変えている。これら各部の形状を異ならせた以外の構成及び作用は、前述した第1例及び上述した第2例の場合と同様である。
【0031】
次に、図5は、本発明の実施の形態の第4例を示している。上述した第1〜3例が何れも、ロッカーアーム3cの支持壁部4cに形成した支持孔13a〜13cを、軸方向全長に亙って同じ形状としていたのに対して、本例の場合には、支持孔13d、13dの形状を途中で変えている。即ち、本例の場合には、これら各支持孔13d、13dの内半部を、支持軸5cの外径よりも少しだけ大きな内径を有する小径部19、19とし、外半部を、この外径よりも十分に大きな内径を有する大径部20、20としている。そして、上記両小径部19、19の内周面と上記支持軸5cの外周面両端寄り部分とを、少なくともラジアル荷重を支承する部分で当接させると共に、上記支持軸5cの外周面両端部と上記大径部20、20の内周面との間に、スペーサ18c、18cを押し込んでいる。上記小径部19、19の形状は円形であるが、上記大径部20、20の形状は、円形であっても、或は、例えば図1、3、4に示す様な非円形であっても良い。その他の部分の構成及び作用は、前述した第1〜2例及び上述した第3例と同様である。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用する為、信頼性の高いカムフォロア装置を低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す側面図。
【図2】同じく部分切断平面図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例を示す側面図。
【図4】同第3例を示す側面図。
【図5】同第4例を示す部分切断平面図。
【図6】カムフォロア装置を備えるエンジンの動弁機構の第1例を示す部分側面図。
【図7】図6のA−A断面図。
【図8】同B−B断面図。
【図9】従来のカムフォロア装置の第2例を示す斜視図。
【図10】同じく平面図。
【図11】図10のC−C断面図。
【図12】従来の第2例のカムフォロア装置の組み付け状態を示す断面図。
【図13】従来のカムフォロア装置の第3例を示す側面図。
【図14】同じく平面図。
【符号の説明】
1、1a カムシャフト
2、2a カム
3、3a、3b、3c ロッカーアーム
4、4a、4b、4c 支持壁部
5、5a、5b、5c 支持軸
6、6a、6b、6c タペットローラ
7 ラジアルニードル軸受
8、8a 第一の連結部
9、9a 第二の連結部
10 弁体
11 プランジャ
12 リターンスプリング
13、13a、13b、13c、13d 支持孔
14 凹溝
15 カムフォロア装置
16 第一の係合部
17 第二の係合部
18、18a、18b、18c スペーサ
19 小径部
20 大径部
Claims (1)
- 1対の支持壁部及びこれら両支持壁部同士を連結する連結部を有するロッカーアームと、その両端部をこれら両支持壁部の互いに整合する位置に形成した1対の支持孔に内嵌する事により、これら両支持壁部同士の間に掛け渡す状態で固定された支持軸と、この支持軸の中間部周囲に回転自在に支持され、ラジアル荷重に基づいて変位するタペットローラとを備えたカムフォロア装置に於いて、上記両支持孔を上記支持軸の両端部を緩く内嵌できる大きさとすると共に、これら両支持孔の内周面とこの支持軸の両端部外周面との間に、上記ロッカーアーム及び支持軸と別体で塑性変形自在なスペーサを圧入して、この支持軸の両端部を上記両支持孔内に固定した事を特徴とするカムフォロア装置。
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