JP2004099862A - 低い蒸気圧を有する発泡剤、プレミックスおよび発泡体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートの発泡体を製造する方法において、発泡剤として、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとグリコール系化合物および/またはアミド系化合物とからなる混合物を使用することを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂発泡体を製造する方法、発泡剤およびプレミックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオールとポリイソシアネート化合物とを触媒と発泡剤の存在下に反応させて、合成樹脂発泡体を製造することは広く行われている。得られる合成樹脂発泡体としては、たとえばポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどがある。
【0003】
上記ポリウレタン発泡体などの合成樹脂発泡体の製造に使用される発泡剤として、これまでトリクロロフルオロメタン(CFC−11)が主に使用されてきた。
【0004】
近年、ある種のフロンが、大気中に放出されると成層圏のオゾン層を破壊し、その結果、人類を含む地球上の生態系に重大な悪影響を及ぼすことが指摘されてきた。このため、オゾン層破壊の危険性の高いフロンについては、国際的な取り決めによって使用が制限されている。上記CFC−11は、この使用制限の対象となっている。この点から、オゾン層を破壊しない又はその危険性の低い新たな発泡剤の開発が必要となっていた。
【0005】
現在は、オゾン層に対する影響が小さいフロンとして、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)がCFC−11の代替として使用されている。
【0006】
しかしながら、この物質も分子中に塩素原子を含むので、依然としてオゾン層を破壊する危険性がある。
【0007】
特許文献1、特許文献2等には、塩素を含まずオゾン層を破壊する危険性のないフッ素化炭化水素を用いて発泡体を製造する方法が、開示されている。また、特許文献3には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)をプラスチック発泡体製造用発泡剤として使用することが開示されている。
【0008】
HFC−245faは、沸点15℃の不燃性の化合物であり、水素原子を含むフッ素化炭化水素であることから、オゾン層破壊のおそれはないものと考えられている。更に、HFC−245faは、沸点がCFC−11やHCFC−141bに近く、しかも、不燃性であるので、HCFC−141bに代わる発泡剤の非常に有力な候補として注目を集めている。
【0009】
HFC−245faの沸点(15℃)は、許容範囲ではあるものの、CFC−11(沸点24℃)やHCFC−141b(沸点32℃)に比べるとやや低い。そのため、環境温度が高い場合には、蒸発が早いので発泡体の製造が難しくなる。また、ポリオールに対する溶解性が必ずしも高くはなく、HFC−245faとポリオールとを含むプレミックスは、相分離を生じることがある。このため使用できるポリオールが限定されるという問題点がある。
【0010】
発泡剤の沸点が低い場合、ポリオールに対する溶解性が低い場合には、ポリオールとイソシアネート化合物とを混合反応させて発泡体を製造する時に、混合不良、未反応成分の残留、ボイドと呼ばれる粗泡などが生じ易く、結果、硬質ウレタンフォームに要求される物性である強度や熱伝導率を悪化させることとなる。さらに、HFC−245fa自身または発泡体原料との混合品(特にポリオールとの混合物であるプレミックス)が、気象条件によってはかなり高い蒸気圧を持つので、ハンドリングが難しい。更に、運搬時や貯蔵時の容器として、これまでにない耐圧性を持つものが必要となる。
【0011】
このように、HFC−245faをHCFC−141bの代替品として有効に使用するために、その沸点、溶解性等を制御する技術の開発が望まれている。
【0012】
【特許文献1】特開平2−29440号公報
【0013】
【特許文献2】特開平2−235982号公報
【0014】
【特許文献3】特開平5−239251号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、HFC−245faの発泡剤としての性能は維持したままで、HFC−245faの有する課題を解決または低減した発泡剤および該発泡剤を使用した合成樹脂発泡体の製造方法を提供することを主な目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術における上記の如き問題点を鑑みて研究を重ねた結果、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリウレタン、ポリイソシアヌレートなどの合成樹脂発泡体を製造する方法において、特定の発泡剤を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0017】
即ち、本発明は、以下の発泡体の製造方法、発泡剤およびプレミックスに係るものである。
1.発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
2.発泡剤が、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む発泡剤である上記1に記載の方法。
3.(a)グリコール系化合物および/またはアミド系化合物、(b) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン並びに(c)ポリオールを含むプレミックスを調製する工程を有し、得られたプレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスから(a)を除いた以外は同じ組成のプレミックスの蒸気圧に対して95%以下である上記1または2に記載の方法。
4.グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤。
5.グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む上記4に記載の発泡剤。
6.(a)グリコール系化合物および/またはアミド系化合物、(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン並びに(c)ポリオールを含むプレミックスとしたときの蒸気圧が、前記プレミックスから(a)を除いた以外は同じ組成のプレミックスの蒸気圧に対して95%以下である上記4または5に記載の発泡剤。
7.発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、発泡剤が、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む発泡剤であるプレミックス。
8.発泡剤が、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む発泡剤である上記7に記載のプレミックス。
9.プレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール系化合物およびアミド系化合物を除いた以外は同じ組成のプレミックスの蒸気圧に対して95%以下である上記7または8に記載のプレミックス。
【0018】
また、本発明は、以下のような発泡体の製造方法、発泡剤およびプレミックスをも含む。
1.発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、エチレングリコール系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
2.発泡剤が、エチレングリコール系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む発泡剤である上記1に記載の方法。
3.(a)エチレングリコール系化合物、(b) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび(c)ポリオールとを混合する工程を有し、得られた(a)〜(c)を含む混合物の蒸気圧が、前記混合物と同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である上記1または2に記載の方法。即ち、得られた(a)〜(c)を含む混合物の蒸気圧が、その混合物から(a)を除いた混合物の蒸気圧に対して90%以下であればよい。また、95%以下であってもよい。
4.エチレングリコール系化合物が、以下の式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記1〜3のいずれかに記載の方法:
CaH2a+1(OCH2CH2O)b CcH2c+1 (I)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=0, 1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3、c=0, 1, 2, 3, 4]、
CdH2d+1CO(OCH2CH2O)eCO CfH2f+1 (II)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3、f=0, 1, 2, 3, 4]および
CiH2i+1CO(OCH2CH2O)jCkH2k+1 (III)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3、k=0, 1, 2, 3, 4]。
5.エチレングリコール系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤。
6.エチレングリコール系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む上記5に記載の発泡剤。
7.(a)エチレングリコール系化合物、(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび(c)ポリオールを含むプレミックスとしたときの蒸気圧が、前記プレミックスと同じ重量組成比である(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと(c)ポリオールからなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である上記5または6に記載の発泡剤。即ち、得られた(a)〜(c)を含むプレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスから(a)を除いたプレミックスの蒸気圧に対して90%以下であればよい。また、95%以下であってもよい。
8.エチレングリコール系化合物が、以下の式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記5〜7のいずれかに記載の発泡剤:
CaH2a+1(OCH2CH2O)b CcH2c+1 (I)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=0, 1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3、c=0, 1, 2, 3, 4]、
CdH2d+1CO(OCH2CH2O)eCO CfH2f+1 (II)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3、f=0, 1, 2, 3, 4]および
CiH2i+1CO(OCH2CH2O)jCkH2k+1 (III)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3、k=0, 1, 2, 3, 4]。
9.発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、発泡剤が、エチレングリコール系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む発泡剤であるプレミックス。
10.発泡剤が、エチレングリコール系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む発泡剤である上記9に記載のプレミックス。
11.プレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスと同じ重量組成比のポリオールと1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンからなる混合物の蒸気圧に対して90%以下である上記9または10に記載のプレミックス。即ち、プレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスからエチレングリコール系化合物を除いた以外は同じ組成のプレミックスの蒸気圧に対して90%以下であればよい。また、95%以下であってもよい。
12.エチレングリコール系化合物が、以下の式(I)〜(III)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記9〜11のいずれかに記載のプレミックス:
CaH2a+1(OCH2CH2O)b CcH2c+1 (I)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=0, 1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3、c=0, 1, 2, 3, 4]、
CdH2d+1CO(OCH2CH2O)eCO CfH2f+1 (II)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3、f=0, 1, 2, 3, 4]および
CiH2i+1CO(OCH2CH2O)jCkH2k+1 (III)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3、k=0, 1, 2, 3, 4]。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤に係る。本発明の発泡剤は、グリコール系化合物およびアミド系化合物からなる群から選択される化合物を、1種または2種以上含んでいる。
【0020】
また、本発明は、前記発泡剤を用いる合成樹脂発泡樹脂を製造する方法も含む。即ち、本発明の製造方法は、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であることを特徴とする。
【0021】
以下、エチレングリコール系化合物などのグリコール系化合物および/またはアミド系化合物とHFC−245faからなる混合物を「混合発泡剤」ということがある。また、発泡剤とポリオールとを含む混合物を「プレミックス」ということがある。プレミックスには、発泡剤、ポリオール以外にも発泡用触媒、安定剤、整泡剤、難燃剤等が含まれていてもよい。
【0022】
本発明の発泡剤の沸点は、1気圧において、通常15℃以上程度であり、好ましくは17〜35℃程度、より好ましくは18〜30℃程度である。
【0023】
*グリコール系化合物
本発明において用いるグリコール系化合物としては、例えば、エチレングリコール化合物、プロピレングリコール化合物、ブチレングリコール化合物などのアルキレングリコールを例示することができる。アルキレングリコールは、通常炭素数2〜4程度のアルキレン基を有し、好ましくは炭素数2〜3程度のアルキレン基を有する。
【0024】
エチレングリコール系化合物としては、例えば、以下の式(I)〜(III)で示される化合物などを例示することができる。
CaH2a+1(OCH2CH2O)b CcH2c+1 (I)
[式中、a, bおよびcは、独立にa=0, 1, 2, 3, 4、b=1, 2, 3、c=0, 1, 2, 3, 4]、
CdH2d+1CO(OCH2CH2O)eCO CfH2f+1 (II)
[式中、d, eおよびfは、独立にd=0, 1, 2, 3, 4、e=1, 2, 3、f=0, 1, 2, 3, 4]、
CiH2i+1CO(OCH2CH2O)jCkH2k+1 (III)
[式中、i, jおよびkは、独立にi=0, 1, 2, 3, 4、j=1, 2, 3、k=0, 1, 2, 3, 4]式(I)で示されるエチレングリコール系化合物の具体例として、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテルなどを例示できる。更に、エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、どを例示することができる。
【0025】
式(II)で示されるエチレングリコール系化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールモノフォルメート、エチレングリコールジフォルメート、ジエチレングリコールモノフォルメート、ジエチレングリコールジフォルメート、トリエチレングリコールモノフォルメート、トリエチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノプロピオネート、エチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールモノプロピオネート、ジエチレングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコールモノプロピオネート、トリエチレングリコールジプロピオネートなどを例示できる。
【0026】
式(III)で示されるエチレングリコール系化合物の具体例として、例えば、エチレングリコールメチルエーテルフォルメート、エチレングリコールエチルエーテルフォルメート、エチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールメチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールエチルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールプロピルエーテルフォルメート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、トリエチレングリコールプロピルエーテルプロピオネートなどを例示できる。更に、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテートなどを例示することができる。
【0027】
さらに、式(I)においてb=4である化合物、式(II)においてe=4である化合物、式(III)においてj=4である化合物もエチレングルコール系化合物として例示することができる。具体的には、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどを例示できる。
【0028】
エチレングルコール系化合物としては、式(I)においてaおよびcが1以上であるジエーテル化合物、式(II)においてdおよびfが1以上であるジエステル化合物、式(III)においてkおよびiが1以上であるエーテルエステル化合物などが好ましく、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどがより好ましく、エチレングリコールモノエチルエーテルも好適に用いることができる。好適に用いることができるエチレングリコール系化合物としては、更に、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールn−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどを例示することができる。
【0029】
また、例えば、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルのようなプロピレングリコール系の化合物でも所望の効果を得ることができる。プロピレングリコール化合物としては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−メトキシー1−プロパノール、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の化合物が挙げられる。特にトリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテートが好ましい。
【0030】
グリコール化合物としては、例えば、ブチレングリコールジアセテートなどのブチレングリコール化合物も例示することができる。
【0031】
*アミド系化合物
本発明において用いるアミド系化合物としては、以下の式(A)、式(B)で表される化合物などを例示することができる。
式(A) R1CONR2R3
[式中、R1は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基を示し、R2およびR3は、同一または相異なって、水素原子または低級アルキル基を示す。R1およびR2は、R1が結合するカルボニル炭素原子およびR2が結合する窒素原子とともに複素環を形成してもよい。]
式(B) R4R5NCONR6R7
[式中、R4、R5、R6およびR7は、同一または相異なって、水素原子または低級アルキル基を示す。R4およびR6は、R6が結合する窒素原子、R4が結合する窒素原子およびカルボニル炭素とともに複素環を形成してもよい。]
【0032】
式(A)においてR1、R2またはR3として示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜2程度であり、メチル基が好ましい。
【0033】
R1は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基であり、水素原子、メチル基が好ましい。
【0034】
R2は、水素原子または低級アルキル基であり、好ましくは低級アルキル基であり、なかでもメチル基が好ましい。
【0035】
R3は、水素原子または低級アルキル基であり、好ましくは低級アルキル基であり、なかでもメチル基が好ましい。
【0036】
さらに、式(A)においてR1およびR2は、R1が結合するカルボニル炭素原子およびR2が結合する窒素原子とともに複素環を形成してもよい。即ち、式(A)の化合物は、環状アミド化合物であってもよい。上記複素環としては、例えば、5員環を例示できる。
【0037】
式(A)で示されるアミド系化合物としては、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチルベンズアミドなどを例示することができる。また、式(A)で示される環状アミド化合物としては、N−メチルピロリドンなどを例示することができる。
【0038】
式(A)で示されるアミド系化合物としては、R2とR3の両方が低級アルキル基である化合物が好ましく、なかでもN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオン酸アミド、N−メチルピロリドンなどが好ましい。
【0039】
式(B)において、R4、R5、R6またはR7として示される低級アルキル基の炭素数は、通常1〜2程度であり、メチル基が好ましい。
【0040】
更に、R4およびR6は、R6が結合する窒素原子、R4が結合する窒素原子およびカルボニル炭素とともに複素環を形成してもよい。即ち、式(B)の化合物は、環状化合物であってもよい。上記複素環としては、例えば、5員環を例示できる。
【0041】
式(B)で示されるアミド系化合物としては、例えば、テトラメチル尿素などを例示することができる。また、式(B)で示される環状化合物としては、1,3−ジメチルイミダゾリジノンなどを例示することができる。
【0042】
エチレングリコール系化合物としては、HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましい。例えば、HFC−245faとエチレングリコール系化合物とポリオールとを10分程度振とうした後、0〜25℃程度において5時間程度静置した後も相分離しないエチレングリコール系化合物が好ましい。エチレングリコール系化合物以外のグリコール系化合物またはアミド系化合物も、同様に、HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い化合物が好ましく、上述したような性質を有する化合物が好ましい。HFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性の点においては、具体名を上述した化合物を好ましく使用できる。エチレングリコール系化合物などのグリコール化合物および/またはアミド系化合物とHFC−245faおよび/またはポリオールとの相溶性が高い程、ポリオールと発泡剤の混合物を開放系に置いた時の発泡剤のロス(飛散量)を低減することができる。また、前記混合物の蒸気圧も低下できる。
【0043】
エチレングリコール系化合物としては、難燃性のものが好ましい。しかしながら、エチレングリコール系化合物が全く不燃である必要はなく、不燃性であるHFC−245faとの混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。エチレングリコール系化合物としては、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有していることが好ましいが、プレミックスの状態とした時に、危険物第4類、3石以上程度の難燃性を有している限り、エチレングリコール系化合物の難燃性は、特に制限されない。エチレングリコール系化合物以外のグリコール系化合物およびアミド系化合物も、同様に、難燃性のものが好ましいが、グリコール系化合物またはアミド系化合物が全く不燃である必要はなく、HFC−245faとの混合物としたときに、難燃性を保てる程度であればよい。また、上述したような性質を有するグリコール系化合物またはアミド系化合物が好ましい。難燃性のグリコール系化合物を用いると、発泡剤を難燃性に保ち、現場での発泡時に要求される難燃性を維持できる。「危険物第4類、3石の難燃性」とは、引火点が70℃以上200℃未満の引火性を有する液体であることを意味する。なお、液体であるかどうかは1気圧20℃において判断する。「危険物第4類、3石以上の難燃性」とは、引火点が、70℃以上の引火性液体であることを意味する。例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの引火点は110℃であり、エチレングリコールジアセテートの引火点は96℃であり、ともに20℃において液体である。従って、これらは、危険物第4類、3石に分類される。
【0044】
HFC−245faとエチレンエチレングリコール系化合物との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。例えば、30℃程度において、(a)エチレングリコール系化合物および/またはアミド系化合物、(b)HFC−245faおよび(c)ポリオールを含む混合物(プレミックス)の蒸気圧が、前記混合物から(a)を除いた以外は同じ組成の混合物の蒸気圧に対して95%以下程度、好ましくは90%以下程度、より好ましくは80%以下程度となるようにHFC−245faとエチレングリコール系化合物との比を設定するのが好ましい。即ち、(a)エチレングリコール系化合物および/またはアミド系化合物、(b)HFC−245faおよび(c)ポリオールからなる混合物(プレミックス)の蒸気圧が、前記混合物と同じ重量組成比の(b)と(c)からなる混合物の蒸気圧に対して95%以下程度、好ましくは90%以下程度、より好ましくは80%以下程度となるようにHFC−245faとエチレングリコール系化合物との比を設定するのが好ましい。
【0045】
より具体的には、(a) エチレングリコール系化合物:A重量部、(b)HFC−245fa:B重量部および(c)ポリオール:C重量部からなる発泡剤の場合を例に挙げると、前記(a)〜(c)からなる発泡剤の蒸気圧が、(b)HFC−245faに対する(c)ポリオールの重量組成比がB:Cである(b)と(C)の混合物の蒸気圧に対して、95%以下程度、好ましくは90%以下程度、より好ましくは80%以下程度となるようにHFC−245faとエチレングリコール系化合物との比を設定するのが好ましい。なお、蒸気圧の比の測定には、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faとエチレングリコール系化合物の合計量が、20〜70重量部程度である混合物を用いる。
【0046】
エチレングリコール系化合物以外のグリコール系化合物またはアミド系化合物を用いる場合も、同様にHFC−245faとグリコール系化合物との混合割合は、用途、合成樹脂発泡体原料の組成などに応じて任意に選択できる。また、エチレングルコール系化合物の場合と同様の混合割合とすることができる。
【0047】
または、プレミックスの沸点(プレミックスの蒸気圧が1気圧になる温度)は、通常15℃以上程度であり、好ましくは17〜35℃程度、より好ましくは18〜30℃程度になるように、HFC−245faとエチレングリコール系化合物との比を設定しポリオールと混合するのが好ましい。エチレングリコール系化合物以外のグリコール系化合物またはアミド系化合物を用いる場合も、エチレングリコール化合物の場合と同様の比となるようにポリオールと混合するのが好ましい。
【0048】
本発明の発泡剤におけるHFC−245faの配合量は、HFC−245faとエチレングリコール系化合物との総量に対して、通常50重量%以上程度、好ましくは65〜99重量%程度、より好ましくは75〜98重量%程度である。エチレングリコール系化合物以外のグリコール系化合物またはアミド系化合物を用いる場合も、同様である。
【0049】
本発明の発泡剤は、他の発泡剤を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、単独で使用することは勿論、他の発泡剤と併用してもよい。併用し得る発泡剤としては、例えばHFC134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、HFC227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)などの低沸点ハロゲン化炭化水素;空気、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスなどを例示できる。このような発泡剤は沸点が0℃以下と低く、通常は発泡体の製造の際、発泡時に添加されて使用されることが多く、プレミックスの状態で保存されることは少ない。例えば、低沸点ハロゲン化炭化水素としては、沸点が1気圧(約0.1MPa)において、−30〜0℃程度である低沸点ハロゲン化炭化水素を例示することができる。他の発泡剤を使用する場合、全発泡剤中のエチレングリコール系化合物とHFC−245faの総量の割合は、20重量%以上程度、特に40重量%以上程度が好ましい。エチレングリコール系化合物以外のグリコール化合物またはアミド系化合物の場合も、同様の割合とすることができる。
【0050】
本発明の発泡剤は、水を含んでいてもよい。即ち、混合発泡剤は、単独使用しても良く、水と併用してもよい。多くの場合、混合発泡剤は、水と併用される。これは、水を加えることにより発泡時に炭酸ガスが生成し、炭酸ガスが発泡に寄与するためである。しかし、多量に水を加えすぎると、発泡体の断熱性能等を低下させるおそれがある。水の添加量は、HFC−245faと水の総量に対して、通常60モル%以下程度である。この範囲内とすることによって、より確実に高断熱性発泡体を製造することができる。
【0051】
また本発明発泡剤は、必要に応じて、分解抑制剤を配合していてもよい。分解抑制剤としては、例えばニトロベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ化合物;α−メチルスチレン、p−イソプロペニルトルエンなどの芳香族炭化水素;イソプレン、2,3−ジメチルブタジエンなどの脂肪族不飽和炭化水素;1,2−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリンなどのエポキシ化合物;p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール化合物;クロロ酢酸イソプロピルエステルなどのクロロ酢酸エステル化合物などを好ましいものとして例示できる。
【0052】
分解抑制剤の配合割合は、抑制剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、本発明の発泡剤100重量部に対して、通常0.05〜5重量部程度である。分解抑制剤は、予め発泡剤と混合しておいても良く、または発泡時に別々に添加しても良い。
【0053】
本発明の発泡剤の使用量は、組成などに応じて適宜設定することができるが、ポリオール100重量部に対して、HFC−245faが、通常1〜60重量部程度、好ましくは10〜50重量部程度、より好ましくは20〜45重量部程度含まれる。
【0054】
本発明の製造方法では、発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する。得られる合成樹脂発泡体としては、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体などを例示できる。
【0055】
ポリオール、ポリイソシアネート化合物などの発泡剤以外の原料は、特に制限されず、公知のものを使用することができる。これらのものとしては、以下のものを例示することができる。
【0056】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック71〜98頁、日刊工業新聞社」に記載されている脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の有機イソシアネートなどをいずれも使用することができる。最も一般的に使用されているポリイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)等を例示でき、中でも2,4−TDI/2,6−TDIの重量比が80/20程度の混合物、65/35程度の混合物などが特に一般的に使用されており、本発明においても好適に使用できる。また、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合物をホスゲン化することにより得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製−MDI)も一般的に使用されており、本発明においても好適に使用できる。
【0057】
ポリオールとしては、例えば、「岩田敬治、ポリウレタン樹脂ハンドブック99〜117頁、日刊工業新聞社」等に記載されているポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0058】
ポリエーテルポリオールは、例えば、活性水素原子を持つ開始剤とアルキレンオキサイドとの反応などによって得ることができる。例えば、開始剤としてエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルコジット、トリレンジアミン、ソルビトール、しょ糖などを使用し、アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを使用して、両者を反応させて得られる官能基数が2〜8程度で水酸基価が300〜800mgKOH/g程度のポリエーテルポリオールを使用することができる。
【0059】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジピン酸とグリコールまたはトルオールとの脱水縮合によって得られる縮合系ポリエステルポリオール;カプロラクタムの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルおよびポリカーボネートジオールなどを例示でき、このうち官能基数が2〜4程度で水酸基価が250〜500mgKOH/g程度のポリエステルポリオールを好適に使用することができる。
【0060】
ポリオールとポリイソシアネート化合物との配合割合は、適宜決定することができるが、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基1当量に対するポリオール中の活性水素は、通常1〜3当量程度である。
【0061】
本発明の製造方法では、発泡剤および触媒の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを発泡させて合成樹脂発泡体を製造する。このような触媒としては、3級アミン、有機金属化合物等、それらの混合物などの公知の触媒を使用することができる。触媒の使用量は、ポリオール100重量部に対して、通常0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部程度である。
【0062】
触媒として使用できる3級アミンとして、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N, N, N’, N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンなどのジアミン類;トリエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾールなどの環状アミン類;ジメチルアミノエタノールなどのアルコールアミン類等が挙げられる。また、有機金属化合物としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテートなどが挙げられる。
【0063】
本発明の製造方法では、当該分野において公知の添加剤(例えば整泡剤など)を用いてもよい。整泡剤として、例えば、シリコーン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤等が例示でき、より具体的には、ポリシロキサン−ポリアルキレンブロックコポリマー、メチルポリシロキサンをベースにした界面活性剤などを使用することができる。含フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマーなどを例示することができる。整泡剤の添加量は、ポリオール100重量部に対して、通常0.1〜10重量部程度である。勿論、本発明には、含フッ素系界面活性剤を使用しない態様が含まれる。
【0064】
製造条件は、常法に従えば良い。例えば、原料を均一に混合できる装置であれば、如何なるものを用いても良く、具体的には、ミキサー、発泡機などを用いて、ポリオール、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、触媒、その他の添加剤などの各原料をよく混合し、成形することによって、目的とする発泡体とすることができる。発泡剤及びその他の添加剤は、ポリオール成分に予め溶解してプレミックスとして用いと、均一な発泡体を得易くなるが、これに限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物に予め溶解してもよい。
【0065】
【発明の効果】
本発明によると、HFC−245faの発泡剤としての性能は維持したままで、ポリオールに対する溶解性が改善された発泡剤を得ることができる。即ち、本発明によると、発泡剤としてHFC−245faを単独で用いた場合と同等の断熱性、機械的強度などを有する合成樹脂発泡体を得ることができる。
【0066】
本発明の発泡剤は、オゾン層を破壊する危険性がない。
【0067】
本発明によると、適度な沸点を有する発泡剤を得ることができる。
【0068】
本発明の発泡剤とポリオールとの混合物を開放系に置いた時の発泡剤のロスをHFC−245faとポリオールからなる混合物の場合よりも低減することができる。
【0069】
本発明の発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)は、適度な蒸気圧を有するので、HFC−245faとポリオールからなる混合物よりもハンドリングがしやすい。
【0070】
本発明の発泡剤とポリオールとの混合物(プレミックス)は、運搬時、貯蔵時などの容器として従来のものを使用でき、特に耐圧性の高い容器を用いる必要はない。
【0071】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0072】
なお、以下の実施例において用いたポリオールおよび発泡剤は、次のとおりである。
ポリオールA:水酸基価300 mgKOH/gのポリエステルポリオール
ポリオールB:水酸基価440 mgKOH/gのポリエーテルポリオール
混合発泡剤A:エチレングリコールジアセテートとHFC−245faとの混合物
混合発泡剤B:ジエチレングリコールモノエチルエーテルとHFC−245faとの混合物混合発泡剤C:ジエチレングリコールエチルエーテルアセテートとHFC−245faとの混合物
混合発泡剤D:ジエチレングリコールジメチルエーテルとHFC−245faとの混合物
混合発泡剤E:ジプロピレングリコールモノメチルエーテルとHFC−245faとの混合物
混合発泡剤F:N,N−ジメチルアセトアミドとHFC−245faとの混合物
なお、混合発泡剤A〜EにおけるHFC−245faの割合は、いずれも85重量%である。
【0073】
発泡剤A〜Eに含まれるグリコール系化合物は、いずれも危険物第4類、3石以上の難燃性を有する。HFC−245faは非危険物であるので、発泡剤A〜Eは、難燃性であると判断される。
【0074】
実施例1:ポリオールとの相溶性
容量50mlのスクリュー栓付ガラス瓶に、各混合発泡剤10gと各ポリオール20gとを合計30gを入れ、振とう機で10分間振とうした後、室温で5時間静置し、分離の有無を肉眼にて確認した。また、HFC−245fa 10gと各ポリオール20gとを用いた以外は、前記方法と同様にして、分離の有無を確認した。表1に結果を示す。なお、判定は次の基準で行った。
○;均一溶解し、分離なし 。△;分離しないが均一になり難い。 ×;分離
【0075】
【表1】
【0076】
表1の結果から明らかなように、混合発泡剤A〜Eは、実際に使用される混合割合においてポリオールと良好な相溶性を示し、安定したプレミックスを形成することが確認された。
【0077】
実施例2〜5:プレミックスからの飛散性
混合発泡剤A、B、CまたはDとポリオールBとをそれぞれ重量比47:100(グリコール系化合物:HFC−245fa:ポリオールの重量比=7:40:100)で混合した。得られた混合物をシャーレーに入れ、40℃で1時間放置し飛散量を比較した。比較として、HFC−245faとポリオールBを重量比で40:100にした場合について同様にして飛散量を測定し、この時の飛散量を1として相対値を求めた。結果を以下に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
混合発泡剤を用いることにより、大幅に飛散量を抑制できた。即ち、プレミックスを開放系においた時のロスを大幅に低減できた。
【0080】
実施例6〜9および比較例2:プレミックスの蒸気圧
混合発泡剤A、B、CまたはDとポリオールBをそれぞれ重量比47:100で混合し金属容器に封入し空気を排除し蒸気圧を20℃と30℃で測定した。HFC−245faとポリオールAを重量比で40:100にした場合のプレミックスの蒸気圧も同様に測定した。結果を以下の表に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
混合発泡剤を用いることにより、HFC−245faを単独で用いた場合に比べて、大幅にプレミックスの蒸気圧を低下することができた。また、20℃における蒸気圧が、0.101MPa以下であることから明らかなように、プレミックスの沸点を20℃以上とすることができた。
【0083】
実施例10および11
ポリオールB100部に対して、シリコーン系整泡剤1.5重量部、水1重量部、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンおよび表3に記載の発泡剤を混合し、激しく攪拌した。触媒であるN, N, N’, N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミンは、ライズタイムを70秒とするための必要量加えた。この攪拌混合物と粗製ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業製 MR−100)112重量部とを混合し、激しく攪拌して発泡させて、硬質ポリウレタン発泡体を得た。なお、発泡剤の使用量は、発泡体のコア密度が 25±1kg/m3となるよう調整した。
【0084】
得られた発泡体について、発泡1日後、−20℃又は室温条件(20℃)で1週間エージングした後の物理的性質の測定結果を表3に示す。なお、発泡体の評価方法は、JIS A 9514に準じた。
【0085】
【表4】
【0086】
表4の結果から明らかなように、本発明の発泡剤を用いることによって、優れた特性を持つポリウレタン発泡体を得ることができることが確認された。即ち、本発明の発泡剤を用いるとHFC−245faを単独で用いた場合と同程度の熱伝導率および圧縮強度を有する発泡体を得ることができた。また、熱伝導率変化率および強度変化率についても、HFC−245faを単独で用いた場合と同程度の値を示した。
【0087】
実施例12および13
混合発泡剤として、混合発泡剤EまたはFを使用する以外は、実施例2〜5と同様の方法に従って、プレミックスからの飛散量を測定した。結果は、表2に示す。
【0088】
混合発泡剤EまたはFを用いることにより、大幅に飛散量を抑制できた。即ち、プレミックスを開放系においた時のロスを大幅に低減できた。
【0089】
実施例14
混合発泡剤として、混合発泡剤Eを使用する以外は、実施例6〜9と同様の方法に従って、プレミックスの蒸気圧を測定した。結果を表3に示す。
【0090】
混合発泡剤Eを用いることにより、HFC−245faを単独で用いた場合に比べて、大幅にプレミックスの蒸気圧を低下することができた。また、20℃における蒸気圧が、0.101MPa以下であることから明らかなように、プレミックスの沸点を20℃以上とすることができた。
Claims (9)
- 発泡剤の存在下に、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて合成樹脂発泡体を製造する方法において、発泡剤が、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む混合物であることを特徴とする合成樹脂発泡体の製造方法。
- 発泡剤が、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む発泡剤である請求項1に記載の方法。
- (a)グリコール系化合物および/またはアミド系化合物、(b) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン並びに(c)ポリオールを含むプレミックスを調製する工程を有し、得られたプレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスから(a)を除いた以外は同じ組成のプレミックスの蒸気圧に対して95%以下である請求項1または2に記載の方法。
- グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む合成樹脂発泡体製造用発泡剤。
- グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む請求項4に記載の発泡剤。
- (a)グリコール系化合物および/またはアミド系化合物、(b)1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン並びに(c)ポリオールを含むプレミックスとしたときの蒸気圧が、前記プレミックスから(a)を除いた以外は同じ組成のプレミックスの蒸気圧に対して95%以下である請求項4または5に記載の発泡剤。
- 発泡剤とポリオールとを含むプレミックスであって、発泡剤が、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとを含む発泡剤であるプレミックス。
- 発泡剤が、グリコール系化合物および/またはアミド系化合物と1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとの総量に対して、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを50重量%以上含む発泡剤である請求項7に記載のプレミックス。
- プレミックスの蒸気圧が、前記プレミックスからグリコール系化合物およびアミド系化合物を除いた以外は同じ組成のプレミックスの蒸気圧に対して95%以下である請求項7または8に記載のプレミックス。
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