JP2004359891A - 硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【目的】水を発泡剤として使用した場合に、特定のポリオール成分を用いることで、寸法安定性、圧縮強度、断熱性が良好となる硬質発泡ポリウレタンフォームを製造する。
【構成】発泡剤、整泡剤、触媒の存在下でポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られる硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法において、発泡剤として水を全ポリオールに対して1〜10重量%使用し、ポリオール成分として、グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンが全ポリオールに対して1〜30重量%であり、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であるものを用いる。
【構成】発泡剤、整泡剤、触媒の存在下でポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られる硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法において、発泡剤として水を全ポリオールに対して1〜10重量%使用し、ポリオール成分として、グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンが全ポリオールに対して1〜30重量%であり、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であるものを用いる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特定のポリオール成分に対して水を発泡剤として使用した場合に、寸法安定性、圧縮強度、断熱性が良好となる硬質発泡ポリウレタンフォームの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、硬質発泡ポリウレタンフォーム用の発泡剤としてトリクロロモノフルオロメタン(CFC−11)に代表される特定フロン(CFC)類や代替フロン(HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボン)類がよく用いられてきたが、このものを用いた硬質発泡ポリウレタンフォームは低温寸法安定性や断熱性に優れるため、冷蔵庫、冷凍庫、建築用等の断熱材料として広く使用されてきた。しかしながら、地球のオゾン層破壊を引き起こす原因であるとの理由より、特定フロン類(CFC−11など)はすでに全廃となり、また代替フロン類も規制により漸次削減されてきており、全廃に向けた動きがなされている。
【0003】
これはCFC類の代替発泡剤として使用されているHCFC類もオゾン破壊係数(ODP)がゼロではなく、またさらに次世代発泡剤の1つとして考えられているHFC(ハイドロフルオロカーボン)類は、ODPはゼロであるが、地球温暖化係数(GWP)が比較的高いこと、発泡剤として使用するには沸点が低いものが多いこと、その多くが毒性について未だ明確ではないこと等の問題点を多く有している。
【0004】
上記のハロゲン化炭化水素に代えて、シクロペンタン、n−ペンタン等の炭化水素化合物を発泡剤として使用する技術も提案されているが、これらの発泡剤は可燃性であり、さらに硬質発泡ポリウレタンフォーム製造時に厳重な防爆対策を必要とするなどのことより、設備コストが非常に高価になるという課題を有している。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、従来より硬質発泡ポリウレタンフォームの発泡剤としては、水が知られており、一部においては使用もされている。しかし、水を発泡剤として使用する系において、従来から使用されていたプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを開環付加させたエーテル系ポリオール化合物を使用すると、硬質発泡ポリウレタンフォームの寸法安定性が悪化するという問題があった。これを改善するポリオールとしてm−トルエンジアミンにアルキレンオキサイドを付加した第1のポリオール成分及びo−トルエンジアミンにアルキレンオキサイドを付加した第2のポリオール成分を含み、第1のポリオール成分の含有量は第2のポリオール成分の含有量以上である特許(例えば、特許文献1参照。)が開示されているが、発泡剤として水と共に炭化水素系化合物であるシクロペンタンを使用している。また、ポリオール成分の一部または全部に、分子骨格中に第3級アミノ基を持ち分子両末端にヒドロキシル基を有する第3級アミノアルコールを必須として使用し、且つ水酸基価1000以上の多官能アルコール、脂肪族アミン及び芳香族アミンから選ばれる1種または2種以上の化合物、特に水酸基価1000以上の多官能アルコールを併用する特許(例えば、特許文献2参照。)も開示されているが、発泡剤として代替フロン発泡剤である2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R−123)と水とを併用しており、発泡剤として水を単独で使用したものではない。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−122941号公報(
【0030】〜
【0056】)
【特許文献2】
特開平5−97955号公報(
【0030】〜
【0044】)
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、発泡剤、整泡剤、触媒の存在下でポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られる硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法において、発泡剤として水を全ポリオールに対して1〜10重量%使用し、ポリオール成分として、グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンが全ポリオールに対して1〜30重量%であり、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であるものを用いることにより上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
本発明で用いるポリオールは、グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンが全ポリオールに対して1〜30重量%であり、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であることが必要である。全ポリオールに対してグリセリン及び/または平均重合度が2〜10のポリグリセリンが1重量%未満の場合は、フォームの寸法安定性、圧縮強度が低下する他、セルサイズが大きくなるため熱伝導率が高くなり、断熱材としての性能が低下する。また、全ポリオールに対してグリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンが30重量%を超える場合は、ポリオールの粘度が高くなり、イソシアネートと均一に混合されにくくなる他、反応に用いるイソシアネート量が多くなり経済性が悪くなる。また、イソシアネートとの反応性が早くなるためフォームの充填性が損なわれ、不均一な形状のフォームとなるため、寸法安定性、圧縮強度、断熱性が低下する他、フォーム表面にセル荒れが生じ外観を損ねたり、フォーム内部に亀裂や空洞が生じる。
【0009】
また、本発明のポリオールに使用する他のポリオールとしては、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ショ糖、ソルビトール、ペンタエリスリトット等のポリオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。また、アンモニア、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、トリメチルジエチレントリアミン、ポリエーテルポリアミン、トルエンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシレンジアミン等の多価アミンや芳香族アミンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。全ポリオールの水酸基価が200未満の場合は、架橋密度が低下するためフォームの寸法安定性、圧縮強度等の物理的、機械的強度が低下する他、セルサイズが大きくなるため熱伝導率が高くなり、断熱材としての性能が低下する。また、全ポリオールの水酸基価が800を超える場合は、ポリオールの粘度が高くなり、反応に用いるイソシアネート量が多くなり経済性が悪くなる他、イソシアネートとの反応性が早くなるためフォームの充填性が損なわれ、不均一な形状のフォームとなるため、寸法安定性、圧縮強度、断熱性が低下し、フォーム表面にセル荒れが生じ外観を損ねたり、フォーム内部に亀裂や空洞が生じる。
【0010】
また、本発明には発泡剤として水を全ポリオールに対して1〜10重量%使用することが必要である。全ポリオールに対する水の量が1重量%未満の場合はフォームの膨らみが抑制され、10重量%を超えると反応が早くなり、フォームの内部に割れが生じ均一なフォームが得られない。即ち、発泡剤、整泡剤、触媒の存在下でポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られる硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法において、ポリオール成分が、全ポリオールに対してグリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンを1〜30重量%含み、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であるポリオールで構成され、発泡剤として水を全ポリオールに対して1〜10重量%使用することにより、本発明の目的とする寸法安定性、圧縮強度、断熱性が良好となる硬質発泡ウレタンフォームが得られる。中でも、全ポリオールに対してジグリセリンまたはトリグリセリンを2〜15重量%含み、且つ全ポリオールの水酸基価が400〜600であるポリオールで構成され、発泡剤として水を全ポリオールに対して2〜8重量%使用することが特に好ましい。
【0011】
本発明のポリオール成分は、グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンを全ポリオールに対して1〜30重量%含み、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であることが必要である。グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリン以外のポリオールとして2価のエチレングリコール、プロピレングリコールを使用した場合はフォームの寸法安定性、圧縮強度が低下する。また、3価のトリメチロールプロパンや4価のペンタエリスリトールは常温で固体のため、これらを使用する場合は作業性が悪くなる他、ポリオールの粘度が高くなりイソシアネートと均一に混合されにくくなるため、フォームの充填性が損なわれ、不均一な形状のフォームとなり、寸法安定性、圧縮強度、断熱性が低下する。即ち、2価のポリオールや3価または4価の固体のポリオールに比べて液状で官能基数が多いグリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンを使用することにより、樹脂の架橋密度が高くなり、寸法安定性、圧縮強度の良好なフォームが得られる。
【0012】
有機ポリイソシアネートとしては、公知のものが全て使用できるが、最も一般的なものはトルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である。TDIは異性体の混合物や多官能性タールを含有する粗TDIも使用できる。また、MDIとしては、4,4’−ジフェニルメタンジシシアネートを主成分とする純品の他に、3核体以上の多核体を含有するポリメリックMDIが使用できる。有機ポリイソシアネートと原料中の活性水素のNCO/OH=0.70〜2.00(当量比)が特に好適である。
【0013】
触媒としては、例えばトリメチルアミノエチルピヘラジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアミン系ウレタン化触媒が好適に使用できる。また、有機スズ化合物等の金属化合物系触媒や有機酸等のウレタン化触媒も使用可能である。これらの触媒は、単独で、又は混合して用いることができ、その使用量は活性水素を持つ化合物100部に対して0.0001〜10.0部が好ましい。
【0014】
整泡剤としては、シリコーン系整泡剤や含フッ素化合物系整泡剤等があり、使用量は、全活性水素化合物と有機ポリイソシアネートの総和100部に対して0.1〜10部である。その他、難燃剤、可塑剤、安定剤、着色剤等を必要に応じて添加することができる。
【0015】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0016】
【実施例1〜4、比較例1〜5】
下記のポリオールを使用して発泡評価を行った。
ポリオールA:グリセリン(水酸基価1830)
ポリオールB:ジグリセリン(水酸基価1352)
ポリオールC:ヘキサグリセリン(水酸基価1169、阪本薬品工業(株)製ポリグリセリン#500(水分10%配合品))
ポリオールD:エチレングリコール(水酸基価1810)
ポリオールE:プロピレングリコール(水酸基価1476)
ポリオールF:トルエンジアミンにプロピレンオキサイドを付加した水酸基価487のポリエーテルポリオール
ポリオールG:エチレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加した水酸基価438のポリエーテルポリオール
ポリオールH:グリセリンにプロピレンオキサイドを付加した水酸基価405のポリエーテルポリオール
ポリオールI:ソルビトールにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを付加した水酸基価480のポリエーテルポリオール
【0017】
発泡評価は次の様に行った。表1に表示したポリオール、発泡剤として水、シリコーン系整泡剤、触媒として、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを所定量配合した後、全活性水素に対して1.05倍当量のイソシアネート基を含む量のポリメチレンポリフェニルイソシアネートを液温20℃で10秒間高速混合し、200mm×200mm×200mmの木製ボックス内に投入し、発泡させ評価した。評価結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
硬質発泡ポリウレタンフォームの諸特性値の測定条件は以下の通りである。
【0020】
寸法安定性:100mm×100mm×40mmに裁断した硬質発泡ポリウレタンフォームの試験片を70℃、95%RH条件下に72時間静置後のフォームの寸法変化率を測定した。
【0021】
圧縮強度:JIS K 7220に準拠して測定した。60mm×60mm×35mmに裁断した硬質発泡ポリウレタンフォーム試験片を万能試験機を使用して圧縮強度を測定した。
【0022】
独立気泡率:20mm×20mm×25mmに裁断した硬質発泡ポリウレタンフォームの試験を空気比較式比重計を使用して測定した。
【0023】
熱伝導率:200mm×200mm×30mmに裁断した硬質発泡ポリウレタンフォームの試験片を熱伝導率測定装置により測定した。
【0024】
フォーム状態:フォーム外観(セル荒れ)及びフォーム内部(亀裂や空洞)の状態を観察した。
○:セル荒れがなく、フォーム内部も均一であった。
×:セル荒れがひどく、内部に亀裂や空洞が生じた。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、発泡剤として水を使用した場合でも強度、寸法安定性、断熱性に優れた硬質発泡ポリウレタンフォームを得ることができるという効果を有する。
【産業上の利用分野】
本発明は、特定のポリオール成分に対して水を発泡剤として使用した場合に、寸法安定性、圧縮強度、断熱性が良好となる硬質発泡ポリウレタンフォームの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、硬質発泡ポリウレタンフォーム用の発泡剤としてトリクロロモノフルオロメタン(CFC−11)に代表される特定フロン(CFC)類や代替フロン(HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボン)類がよく用いられてきたが、このものを用いた硬質発泡ポリウレタンフォームは低温寸法安定性や断熱性に優れるため、冷蔵庫、冷凍庫、建築用等の断熱材料として広く使用されてきた。しかしながら、地球のオゾン層破壊を引き起こす原因であるとの理由より、特定フロン類(CFC−11など)はすでに全廃となり、また代替フロン類も規制により漸次削減されてきており、全廃に向けた動きがなされている。
【0003】
これはCFC類の代替発泡剤として使用されているHCFC類もオゾン破壊係数(ODP)がゼロではなく、またさらに次世代発泡剤の1つとして考えられているHFC(ハイドロフルオロカーボン)類は、ODPはゼロであるが、地球温暖化係数(GWP)が比較的高いこと、発泡剤として使用するには沸点が低いものが多いこと、その多くが毒性について未だ明確ではないこと等の問題点を多く有している。
【0004】
上記のハロゲン化炭化水素に代えて、シクロペンタン、n−ペンタン等の炭化水素化合物を発泡剤として使用する技術も提案されているが、これらの発泡剤は可燃性であり、さらに硬質発泡ポリウレタンフォーム製造時に厳重な防爆対策を必要とするなどのことより、設備コストが非常に高価になるという課題を有している。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、従来より硬質発泡ポリウレタンフォームの発泡剤としては、水が知られており、一部においては使用もされている。しかし、水を発泡剤として使用する系において、従来から使用されていたプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを開環付加させたエーテル系ポリオール化合物を使用すると、硬質発泡ポリウレタンフォームの寸法安定性が悪化するという問題があった。これを改善するポリオールとしてm−トルエンジアミンにアルキレンオキサイドを付加した第1のポリオール成分及びo−トルエンジアミンにアルキレンオキサイドを付加した第2のポリオール成分を含み、第1のポリオール成分の含有量は第2のポリオール成分の含有量以上である特許(例えば、特許文献1参照。)が開示されているが、発泡剤として水と共に炭化水素系化合物であるシクロペンタンを使用している。また、ポリオール成分の一部または全部に、分子骨格中に第3級アミノ基を持ち分子両末端にヒドロキシル基を有する第3級アミノアルコールを必須として使用し、且つ水酸基価1000以上の多官能アルコール、脂肪族アミン及び芳香族アミンから選ばれる1種または2種以上の化合物、特に水酸基価1000以上の多官能アルコールを併用する特許(例えば、特許文献2参照。)も開示されているが、発泡剤として代替フロン発泡剤である2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(R−123)と水とを併用しており、発泡剤として水を単独で使用したものではない。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−122941号公報(
【0030】〜
【0056】)
【特許文献2】
特開平5−97955号公報(
【0030】〜
【0044】)
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、発泡剤、整泡剤、触媒の存在下でポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られる硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法において、発泡剤として水を全ポリオールに対して1〜10重量%使用し、ポリオール成分として、グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンが全ポリオールに対して1〜30重量%であり、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であるものを用いることにより上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
本発明で用いるポリオールは、グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンが全ポリオールに対して1〜30重量%であり、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であることが必要である。全ポリオールに対してグリセリン及び/または平均重合度が2〜10のポリグリセリンが1重量%未満の場合は、フォームの寸法安定性、圧縮強度が低下する他、セルサイズが大きくなるため熱伝導率が高くなり、断熱材としての性能が低下する。また、全ポリオールに対してグリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンが30重量%を超える場合は、ポリオールの粘度が高くなり、イソシアネートと均一に混合されにくくなる他、反応に用いるイソシアネート量が多くなり経済性が悪くなる。また、イソシアネートとの反応性が早くなるためフォームの充填性が損なわれ、不均一な形状のフォームとなるため、寸法安定性、圧縮強度、断熱性が低下する他、フォーム表面にセル荒れが生じ外観を損ねたり、フォーム内部に亀裂や空洞が生じる。
【0009】
また、本発明のポリオールに使用する他のポリオールとしては、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ショ糖、ソルビトール、ペンタエリスリトット等のポリオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。また、アンモニア、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、トリメチルジエチレントリアミン、ポリエーテルポリアミン、トルエンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシレンジアミン等の多価アミンや芳香族アミンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。全ポリオールの水酸基価が200未満の場合は、架橋密度が低下するためフォームの寸法安定性、圧縮強度等の物理的、機械的強度が低下する他、セルサイズが大きくなるため熱伝導率が高くなり、断熱材としての性能が低下する。また、全ポリオールの水酸基価が800を超える場合は、ポリオールの粘度が高くなり、反応に用いるイソシアネート量が多くなり経済性が悪くなる他、イソシアネートとの反応性が早くなるためフォームの充填性が損なわれ、不均一な形状のフォームとなるため、寸法安定性、圧縮強度、断熱性が低下し、フォーム表面にセル荒れが生じ外観を損ねたり、フォーム内部に亀裂や空洞が生じる。
【0010】
また、本発明には発泡剤として水を全ポリオールに対して1〜10重量%使用することが必要である。全ポリオールに対する水の量が1重量%未満の場合はフォームの膨らみが抑制され、10重量%を超えると反応が早くなり、フォームの内部に割れが生じ均一なフォームが得られない。即ち、発泡剤、整泡剤、触媒の存在下でポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られる硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法において、ポリオール成分が、全ポリオールに対してグリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンを1〜30重量%含み、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であるポリオールで構成され、発泡剤として水を全ポリオールに対して1〜10重量%使用することにより、本発明の目的とする寸法安定性、圧縮強度、断熱性が良好となる硬質発泡ウレタンフォームが得られる。中でも、全ポリオールに対してジグリセリンまたはトリグリセリンを2〜15重量%含み、且つ全ポリオールの水酸基価が400〜600であるポリオールで構成され、発泡剤として水を全ポリオールに対して2〜8重量%使用することが特に好ましい。
【0011】
本発明のポリオール成分は、グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンを全ポリオールに対して1〜30重量%含み、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であることが必要である。グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリン以外のポリオールとして2価のエチレングリコール、プロピレングリコールを使用した場合はフォームの寸法安定性、圧縮強度が低下する。また、3価のトリメチロールプロパンや4価のペンタエリスリトールは常温で固体のため、これらを使用する場合は作業性が悪くなる他、ポリオールの粘度が高くなりイソシアネートと均一に混合されにくくなるため、フォームの充填性が損なわれ、不均一な形状のフォームとなり、寸法安定性、圧縮強度、断熱性が低下する。即ち、2価のポリオールや3価または4価の固体のポリオールに比べて液状で官能基数が多いグリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンを使用することにより、樹脂の架橋密度が高くなり、寸法安定性、圧縮強度の良好なフォームが得られる。
【0012】
有機ポリイソシアネートとしては、公知のものが全て使用できるが、最も一般的なものはトルエンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である。TDIは異性体の混合物や多官能性タールを含有する粗TDIも使用できる。また、MDIとしては、4,4’−ジフェニルメタンジシシアネートを主成分とする純品の他に、3核体以上の多核体を含有するポリメリックMDIが使用できる。有機ポリイソシアネートと原料中の活性水素のNCO/OH=0.70〜2.00(当量比)が特に好適である。
【0013】
触媒としては、例えばトリメチルアミノエチルピヘラジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアミン系ウレタン化触媒が好適に使用できる。また、有機スズ化合物等の金属化合物系触媒や有機酸等のウレタン化触媒も使用可能である。これらの触媒は、単独で、又は混合して用いることができ、その使用量は活性水素を持つ化合物100部に対して0.0001〜10.0部が好ましい。
【0014】
整泡剤としては、シリコーン系整泡剤や含フッ素化合物系整泡剤等があり、使用量は、全活性水素化合物と有機ポリイソシアネートの総和100部に対して0.1〜10部である。その他、難燃剤、可塑剤、安定剤、着色剤等を必要に応じて添加することができる。
【0015】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0016】
【実施例1〜4、比較例1〜5】
下記のポリオールを使用して発泡評価を行った。
ポリオールA:グリセリン(水酸基価1830)
ポリオールB:ジグリセリン(水酸基価1352)
ポリオールC:ヘキサグリセリン(水酸基価1169、阪本薬品工業(株)製ポリグリセリン#500(水分10%配合品))
ポリオールD:エチレングリコール(水酸基価1810)
ポリオールE:プロピレングリコール(水酸基価1476)
ポリオールF:トルエンジアミンにプロピレンオキサイドを付加した水酸基価487のポリエーテルポリオール
ポリオールG:エチレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加した水酸基価438のポリエーテルポリオール
ポリオールH:グリセリンにプロピレンオキサイドを付加した水酸基価405のポリエーテルポリオール
ポリオールI:ソルビトールにプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを付加した水酸基価480のポリエーテルポリオール
【0017】
発泡評価は次の様に行った。表1に表示したポリオール、発泡剤として水、シリコーン系整泡剤、触媒として、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを所定量配合した後、全活性水素に対して1.05倍当量のイソシアネート基を含む量のポリメチレンポリフェニルイソシアネートを液温20℃で10秒間高速混合し、200mm×200mm×200mmの木製ボックス内に投入し、発泡させ評価した。評価結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
硬質発泡ポリウレタンフォームの諸特性値の測定条件は以下の通りである。
【0020】
寸法安定性:100mm×100mm×40mmに裁断した硬質発泡ポリウレタンフォームの試験片を70℃、95%RH条件下に72時間静置後のフォームの寸法変化率を測定した。
【0021】
圧縮強度:JIS K 7220に準拠して測定した。60mm×60mm×35mmに裁断した硬質発泡ポリウレタンフォーム試験片を万能試験機を使用して圧縮強度を測定した。
【0022】
独立気泡率:20mm×20mm×25mmに裁断した硬質発泡ポリウレタンフォームの試験を空気比較式比重計を使用して測定した。
【0023】
熱伝導率:200mm×200mm×30mmに裁断した硬質発泡ポリウレタンフォームの試験片を熱伝導率測定装置により測定した。
【0024】
フォーム状態:フォーム外観(セル荒れ)及びフォーム内部(亀裂や空洞)の状態を観察した。
○:セル荒れがなく、フォーム内部も均一であった。
×:セル荒れがひどく、内部に亀裂や空洞が生じた。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、発泡剤として水を使用した場合でも強度、寸法安定性、断熱性に優れた硬質発泡ポリウレタンフォームを得ることができるという効果を有する。
Claims (1)
- 発泡剤、整泡剤、触媒の存在下でポリオールと有機イソシアネートとを反応させて得られる硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法において、発泡剤として水を全ポリオールに対して1〜10重量%使用し、ポリオール成分として、グリセリン及び/または平均重合度2〜10のポリグリセリンが全ポリオールに対して1〜30重量%であり、且つ全ポリオールの水酸基価が200〜800であるものを用いることを特徴とする硬質発泡ポリウレタンフォーム製造方法。
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JP2003162387A JP2004359891A (ja) | 2003-06-06 | 2003-06-06 | 硬質発泡ポリウレタンフォームの製造方法 |
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-
2003
- 2003-06-06 JP JP2003162387A patent/JP2004359891A/ja active Pending
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