JP2004098838A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】操縦安定性及びウエットグリップ性を損ねることなく転がり抵抗を低減しうる。
【解決手段】5%内圧状態におけるタイヤ子午断面において、トレッド表面の輪郭線11は、タイヤ赤道点Pcからトレッド接地端TEへて第1の端点P1まで、曲率半径を次第に減じた円弧状面Soからなり、かつタイヤ最大巾点Mよりも半径方向外方のサイドウォール上領域の輪郭線Uは、直線状または曲率半径の大きい凸円弧状でのびるサイド壁面U1と、このサイド壁面U1を円弧状面に滑らかに連ねる小円弧状のサイド継面U2とからなる。タイヤ全厚さTは、タイヤ赤道点Pcから第1の端点P1まで連続的に減少する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッド部の歪みを減じ、操縦安定性及びウエットグリップ性を損ねることなく転がり抵抗を改善した空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
タイヤの転がり抵抗は、粘弾性体であるゴムとタイヤコードとからなるタイヤが、たわみながら回転することによる抵抗であり、エネルギーロスを発生せしめ燃費性能を悪化させる。
【0003】
タイヤは、その部位によって様々な損失係数(tan δ)のゴムを用いており、またその体積も相違し、かつ発生する歪みも部位によって相違する。そして、これら各ゴムの損失係数、体積、歪みの兼ね合いで、タイヤの転がり抵抗が生じ、それぞれが大きければ、相乗効果で転がり抵抗への寄与が大きくなる。
【0004】
ここで、各部位別に転がり抵抗の寄与を解析した結果によると、従来のタイヤにおいては、トレッド部の寄与率は50%、サイドウォール部の寄与率は18%であることが判明している。このようにトレッド部は、タイヤ内で最も体積が大きく、又ウエットグリップ性との兼ね合い上損失係数の高いゴムが使われるため、転がり抵抗への寄与が非常に高くなっている。
【0005】
従来、この転がり抵抗を低減させるために、トレッドゴムの体積を低下させたり、トレッドゴムに損失係数の低いものを使用することなどが行われているが、何れも操縦安定性の低下につながりやすく、特に損失係数の低いゴムを使用した場合には、ウエットグリップ性を損ねるという問題がある。このように、トレッド部において、その体積やゴム物性を変化させて転がり抵抗を低減させることは、他性能への影響が大きすぎる。
【0006】
そこで、本発明者は、トレッド部の歪みに着目し、この歪みを寄与の小さいサイドウォール部に振り替えることを提案した。即ち、従来的なタイヤでは、図4に略示する如く、トレッド表面saは、タイヤ赤道点Pcからトレッド接地端TEまで曲率半径を一定或いは次第に減じながら凸円弧状にのびるとともに、このトレッド接地端TEより外側では、曲率半径を増大させ或いは直線状にのびるバットレス部分sbを経てサイドウォール表面scに連なっている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−72506号公報(第1,3図)
【0008】
そのため、このバットレス部分sbでは、タイヤ全厚さTの変化が不均一となって歪みが集中しやすくなり、しかも損失係数の高いトレッドゴムTgが介在するため、転がり抵抗に非常に不利なものとなっている。
【0009】
従って、本発明者は、トレッド表面saを、バットレス部分sbに相当する領域まで、曲率半径を次第に減じた滑らかな凸円弧状曲線で形成し、かつこの領域までタイヤ全厚さを滑らかに漸減させて歪みの抑制を図る一方、サイドウォール部には歪みが生じやすい小円弧状の部分(サイド継面)を形成することにより、荷重による歪みを、転がり抵抗への寄与の小さいサイドウォール部に振り替えることができることを、究明し得た。
【0010】
即ち本発明は、トレッド部の歪みをサイドウォール部に振り替えることができ、操縦安定性及びウエットグリップ性を損ねることなくタイヤ全体の転がり抵抗を減少しうる空気入りタイヤの提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつ前記カーカスの外側に配されるベルト層とを具える空気入りタイヤであって、
トレッド表面は正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに正規荷重を負荷した正規荷重状態におけるトレッド接地端よりもタイヤ軸方向外側に延在するとともに、
正規リムにリム組みしかつ正規内圧の5%の内圧を充填した5%内圧状態におけるタイヤ子午断面において、
前記トレッド表面の輪郭線は、タイヤ赤道点Pcから、前記トレッド接地端よりタイヤ軸方向外方に20mmの距離を隔たる少なくとも第1の端点P1までは、曲率半径をタイヤ軸方向外方に向かって次第に減じた円弧状面からなり、
かつサイドウォール表面の輪郭線は、タイヤ最大巾点Mよりも半径方向外方のサイドウォール上領域において、半径方向外方に、直線状または曲率半径の大きい凸円弧状でのびるサイド壁面と、このサイド壁面及び前記円弧状面の各曲率半径よりも小な曲率半径を有しかつ前記サイド壁面を前記円弧状面に滑らかに連ねる小円弧状のサイド継面とからなるとともに、
前記トレッド表面の輪郭線に対して法線方向のタイヤ全厚さTは、前記タイヤ赤道点Pcから第1の端点P1まで、タイヤ軸方向外方に連続的に減じたことを特徴としている。
【0012】
又請求項2の発明では、トレッド表面の輪郭線をなす前記円弧状面は、前記第1の端点P1のタイヤ軸方向外側かつ、前記タイヤ赤道点Pcからタイヤ断面高さの20%の距離を半径方向内方に隔てる第2の端点P2までのびることを特徴としている。
【0013】
又請求項3の発明では、前記サイド壁面は、凸円弧状をなしその曲率半径R1を接地巾TWの0.5倍以上としたことを特徴としている。
【0014】
又請求項4の発明では、前記サイドウォール部の前記サイド壁面における、該サイド壁面の法線方向のタイヤ全厚さTを実質的に一定としたことを特徴としている。
【0015】
又請求項5の発明では、前記カーカスは、前記サイド継面の位置に、曲率半径が1〜100mmの円弧で折れ曲がる折曲部を有することを特徴としている。
【0016】
又請求項6の発明では、前記円弧状面は、タイヤ赤道点Pcから前記第1の端点P1に向かって曲率半径が連続的に減じ、かつ該曲率半径の中心が楕円の軌道をなす基準の輪郭線からなるとともに、タイヤ内腔面でのタイヤ赤道が通る内タイヤ赤道点から該円弧状面のタイヤ軸方向外方端を通る法線がタイヤ内腔面と交わる点までの内円弧状面も、曲率半径の中心が楕円の軌道をなす基準の輪郭線に基づいて設定されることを特徴としている。
【0017】
又請求項7の発明では、前記円弧状面と内円弧状面との各基準の輪郭線において、各楕円は、タイヤ子午断面における前記輪郭線のタイヤ赤道をY軸、輪郭線のタイヤ赤道点における曲率半径Crの中心点をタイヤ軸方向に通るタイヤ軸方向線をX軸とした座標系において下記▲1▼式の楕円曲線で表されるとともに、
前記基準の輪郭線は、一端を前記座標系の原点Oに固定して前記楕円に巻き付けた糸が引張されつつ巻き戻されるときに該糸の他端が描く基礎円を楕円とするインボリュート状曲線上にあることを特徴としている。
(X−a)2 /a2 +y2 /b2 =1 … ▲1▼
(ここで式▲1▼におけるa、bは、この座標系の前記原点Oから点(a,b)である90°点Eに至る楕円周長OEを前記曲率半径Crと等しい基準楕円に設定しうる定数である)。
【0018】
又請求項8の発明では、前記円弧状面と内円弧状面は、前記基準の輪郭線と1mm以内を離れる領域を通り該基準の輪郭線に近似する複数個の円弧を用いて形成したことを特徴としている。
【0019】
なお本明細書において、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、JATMAであれば ”標準リム” 、TRAであれば ”Design Rim” 、ETRTOであれば ”Measuring Rim”を意味する。
また前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定める空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”INFLATION PRESSURE” であるが、タイヤが乗用車用の場合には180kPaとする。また前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定める荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”LOAD CAPACITY”であるが、タイヤが乗用車用の場合にはこれらの88%の荷重とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤが、正規リムにリム組みされかつ正規内圧の5%の内圧を充填した5%内圧状態における子午断面を示している。
【0021】
図1において、空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の外側に配されるベルト層7とを具える。
【0022】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90度の角度で配列した少なくとも1枚、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。該カーカスプライ6Aは、ビードコア5、5間を跨るプライ本体部6aの両端に、前記ビードコア5の廻りを内から外に折返されるプライ折返し部6bを一連に具える。またプライ折返し部6bとプライ本体部6aとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配される。
【0023】
本例では、前記プライ折返し部6bが、ビードエーペックスゴム8を越えてタイヤ最大巾点Mの高さ位置近傍まで延在する場合を例示しており、これによってビード部4を補強しかつタイヤ横剛性を高めている。なお前記「タイヤ最大巾点M」とは、サイドウォール表面がタイヤ軸方向外側に最も張り出す点であり、例えば本例の如く、タイヤ軸方向外側に最も張り出す部分が点ではなく半径方向の線MLである場合には、この線MLの半径方向下端点をタイヤ最大巾点Mと呼ぶ。
【0024】
次に、前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して10〜35度の角度で配列する少なくとも2枚、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成される。該ベルトプライ7A、7Bは、各コードがプライ間相互で交差する所謂クロス構造をなし、これによってトレッド部2を高い剛性を有して補強する。このベルト層7のタイヤ軸方向のベルト巾BWは、トレッド接地巾TWの0.8〜1.2倍の範囲である。
【0025】
またベルト層7の外端部とカーカス6との間には、前記外端部での応力を緩和する目的で、断面三角形状の軟質のクッションゴム10を挿入することができる。このとき、転がり抵抗の観点からは、その挿入巾W1を20mm以下に抑えるのが好ましく、1.5mm以下とすることが特に好ましい。更にクッションゴム10を配することなく、ベルト層7をその全巾に亘りとカーカス6に隣接させることが望ましい。
【0026】
またベルト層7の外側には、高速耐久性、高速操縦安定性などを高める目的で、バンド層9を配することができる。このバンド層9は、バンドコードをタイヤ周方向とほぼ並行に配列したバンドプライからなり、少なくともベルト層7の外端部分を被覆しその動きを拘束する。
【0027】
次に、本発明の空気入りタイヤ1では、図2に示すように、前記5%内圧状態におけるタイヤの子午断面において、前記トレッド表面の輪郭線11は、タイヤ赤道点Pcから、トレッド接地端TEよりタイヤ軸方向外方に20mmの距離L1を隔たる少なくとも第1の端点P1までは、曲率半径Rtをタイヤ軸方向外方に向かって次第に減じた滑らかな円弧状面Soで形成している。ここで、前記第1の端点P1は、トレッドゴム2Gの外端近傍に位置し、従って、損失係数(tan δ)が相対的に高いトレッドゴム2Gが配される領域(トレッド部2)の略全体を、前記円弧状面Soで形成することになる。
【0028】
又前記トレッド部2では、前記トレッド表面の輪郭線11に対して法線方向のタイヤ全厚さTを、前記タイヤ赤道点Pcから第1の端点P1まで、タイヤ軸方向外方に連続的に滑らかに減じている。
【0029】
言い換えるとタイヤ1では、タイヤ赤道点Pcから第1の端点P1までの領域において、従来的なタイヤのバットレス部分の如く、輪郭形状及びタイヤ全厚さTの変化が不均一となって歪みの集中を招く部分がなく、転がり抵抗への寄与が大きいトレッド部2での歪みの発生を抑えることが可能となる。特に、この歪み抑制のためには、前記第1の端点P1をタイヤ軸方向外側に越え、前記タイヤ赤道点Pcからタイヤ断面高さHの20%の距離L2を半径方向内方に隔てる第2の端点P2まで、前記円弧状面Soを延在させるのが好ましい。
【0030】
これに対して、サイドウォール表面の輪郭線12のうち、前記タイヤ最大巾点Mよりも半径方向外方のサイドウォール上領域12Uは、タイヤ最大巾点Mから半径方向外方にのびるサイド壁面U1と、このサイド壁面U1を前記円弧状面So(トレッド表面の輪郭線11)に滑らかに連ねるサイド継面U2とで形成している。
【0031】
このとき前記サイド壁面U1は、直線状または曲率半径R1が大きい凸円弧状をなし、凸円弧状の場合には、その曲率半径R1を接地巾TWの0.5倍以上で形成されるが、接地巾TWの1倍以上、更には1.5倍以上で形成されることが望ましい。又前記サイド継面U2は、前記サイド壁面U1の前記曲率半径R1(直線のときにはR1=∞と考える)、及び円弧状面Soの曲率半径Rtよりも小な曲率半径R2を有する小円弧状をなし、これによって、タイヤ輪郭形状が矩形状に近づく好ましい態様となる。なおサイド継面U2の前記曲率半径R2は、前記第1の端点P1での曲率半径Rt1の0.8倍以下が好ましい。
【0032】
このように、タイヤ輪郭形状を矩形状に近づけることにより、前記サイド継面U2の位置を起点としてサイドウォール部3が屈曲変形しやすくなる。即ち、荷重によるたわみを、損失係数が相対的に低く転がり抵抗への寄与が小さいサイドウォール部3の側で発生し易くさせ、逆に寄与の大きいトレッド部2の側で発生し難くさせる効果を奏することができる。
【0033】
従って、前述の如く、タイヤ赤道点Pcから第1の端点P1までの領域において歪みの集中を抑制する効果と相俟って、タイヤ全体の転がり抵抗を減少させることができる。またベルト端での歪みも緩和されることから、ベルト端剥離を防止しながら、前記クッションゴム10を、従来的なタイヤに比して小型化、或いは排除することが可能となり、軽量化及びそれに伴う転がり抵抗の低減が期待できる。さらに、タイヤ輪郭形状が矩形状に近づくことにより、タイヤ内腔の内部容積が高まるため、タイヤの負荷能力が増加傾向となり、タイヤ全体の歪み低減にも期待がもてる。
【0034】
又このものは、トレッドゴム2Gのボリュームを減じたり、そのゴム特性を変えずにすむため、操縦安定性、及びウエットグリップ性等を高く確保することができる。そのためには、トレッドゴム2Gとして、損失係数(tan δ)を0.16〜0.28、好ましくは0.18〜0.25としたウエットグリップ性に優れるゴムが好適であり、又サイドウォールゴム3Gとして、損失係数(tan δ)を0.07〜0.15とした低発熱性のゴムが好適である。
【0035】
ここで、サイドウォール部3での変形をさらに容易とするためには、サイドウォール部3の、前記サイド壁面U1における該サイド壁面U1の法線方向のタイヤ全厚さTを実質的に一定とすることが好ましい。なお「実質的に一定」とは、厚さTの最大値Tmaxと最小値Tmin との差の、最小値Tmin に対する比(Tmax−Tmin )/Tmin が0.05以下、即ち5%の範囲の厚さ変動を許容することを意味する。
【0036】
同じ目的で、前記カーカス6にも、前記サイド継面U2の位置に、曲率半径R3が1〜100mmの小円弧で折れ曲がる折曲部15を形成することが好ましく、5〜50mm、更には5〜30mmとすることが望ましい。これによってサイド継面U2での屈曲変形がさらに容易となる。なお、前記クッションゴム10の小型化は、カーカス6がベルト層7の輪郭形状に近づくため、前記折曲部15の形成が容易となる。
【0037】
又トレッド部2での前記タイヤ全厚さTの変化をより均一化して、トレッド部2での歪みをより低減させるためには、図3(A)、(B)に概念的に示すように、
(1) 前記円弧状面So(トレッド表面の輪郭線11)が、タイヤ赤道点Pcから前記第1の端点P1に向かって曲率半径Rtが連続的に減じ、かつ該曲率半径Rtの中心が楕円Joの軌道をなす基準の輪郭線Koからなるとともに、
(2) タイヤ内腔面でのタイヤ赤道Cが通る内タイヤ赤道点pcから該円弧状面Soのタイヤ軸方向外方端Peを通る法線がタイヤ内腔面と交わる点peまでの内円弧状面Siも、曲率半径rtの中心が楕円Jiの軌道をなす基準の輪郭線Kiに基づいて設定するのが好ましい。
【0038】
特に前記円弧状面Soと内円弧状面Siとの各基準の輪郭線Ko、Kiにおいて、各楕円Jo、Jiを、タイヤ子午断面における前記輪郭線Ko、Kiのタイヤ赤道CをY軸、輪郭線Ko、Kiのタイヤ赤道点Pc、pcにおける曲率半径Crの中心点Oをタイヤ軸方向に通るタイヤ軸方向線をX軸とした座標系において下記▲1▼式の楕円曲線で表するとともに、
前記基準の輪郭線Ko、Kiを、一端を前記座標系の原点Oに固定して前記楕円Jo、Jiに巻き付けた糸が引張されつつ巻き戻されるときに該糸の他端が描く基礎円を楕円とするインボリュート状曲線とするのが好ましい。
(X−a)2 /a2 +y2 /b2 =1 … ▲1▼
(ここで式▲1▼におけるa、bは、この座標系の前記原点Oから点(a,b)である90°点Eに至る楕円周長OEを前記曲率半径Crと等しい基準楕円に設定しうる定数である)。
【0039】
このとき、前記円弧状面Soおよび内円弧状面Siを、夫々前記基準の輪郭線Ko、Ki自体によって形成しても良く、又複数個の円弧を連結させて前記基準の輪郭線Ko、Kiに近似させた近似曲線で形成することもできる。なお近似曲線とする場合には、その連結する各円弧は、前記基準の輪郭線Ko、Kiとの誤差を1mm以下とする、即ち、前記基準の輪郭線Ko、Kiと1mm以内を離れる領域を通る複数の円弧を連結して、前記基準の輪郭線Ko、Kiに近似させる。
【0040】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0041】
【実施例】
図1に示す構造をなしかつタイヤサイズが195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤを表1の仕様に基づき試作するとともに、該試供タイヤの転がり抵抗を測定し、比較した。
【0042】
(1)転がり抵抗:
試供タイヤを、リム(15×5.5JJ)、内圧(200kPa)を充填して、転がり抵抗試験機のドラム上で荷重(4.5kN)、速度(80km/h)で走行させた時の転がり抵抗を測定し、比較例1(従来タイヤ)を100とした時の指数で表示した。指数は小さい方が良好である。
【0043】
【表1】
Figure 2004098838
【0044】
表の如く実施例のものは、転がり抵抗が改善されているのが確認できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明は叙上の如く構成しているため、トレッド部の歪みを、転がり抵抗への寄与の小なサイドウォール部に振り替えることができ、操縦安定性及びウエットグリップ性を損ねることなくタイヤ全体の転がり抵抗を効果的に低減しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す断面図である。
【図2】その主要部の輪郭形状を拡大して説明する線図である。
【図3】(A)、(B)は、円弧状面および内円弧状面における基準の輪郭線を説明する線図である。
【図4】表1で用いた比較例1(従来タイヤ)のタイヤの断面図である。
【符号の説明】
2   トレッド部
3   サイドウォール部
4   ビード部
5   ビードコア
6   カーカス
7   ベルト層
11  トレッド表面の輪郭線
12  サイドウォール表面の輪郭線
12U サイドウォール上領域
Ji、Jo   楕円
Ki  基準の輪郭線
Ko  基準の輪郭線
Si  内円弧状面
So  円弧状面
TE  トレッド接地端
U1  サイド壁面
U2  サイド継面

Claims (8)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつ前記カーカスの外側に配されるベルト層とを具える空気入りタイヤであって、
    トレッド表面は正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに正規荷重を負荷した正規荷重状態におけるトレッド接地端よりもタイヤ軸方向外側に延在するとともに、
    正規リムにリム組みしかつ正規内圧の5%の内圧を充填した5%内圧状態におけるタイヤ子午断面において、
    前記トレッド表面の輪郭線は、タイヤ赤道点Pcから、前記トレッド接地端よりタイヤ軸方向外方に20mmの距離を隔たる少なくとも第1の端点P1までは、曲率半径をタイヤ軸方向外方に向かって次第に減じた円弧状面からなり、
    かつサイドウォール表面の輪郭線は、タイヤ最大巾点Mよりも半径方向外方のサイドウォール上領域において、半径方向外方に、直線状または曲率半径の大きい凸円弧状でのびるサイド壁面と、このサイド壁面及び前記円弧状面の各曲率半径よりも小な曲率半径を有しかつ前記サイド壁面を前記円弧状面に滑らかに連ねる小円弧状のサイド継面とからなるとともに、
    前記トレッド表面の輪郭線に対して法線方向のタイヤ全厚さTは、前記タイヤ赤道点Pcから第1の端点P1まで、タイヤ軸方向外方に連続的に減じたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. トレッド表面の輪郭線をなす前記円弧状面は、前記第1の端点P1のタイヤ軸方向外側かつ、前記タイヤ赤道点Pcからタイヤ断面高さHの20%の距離を半径方向内方に隔てる第2の端点P2までのびることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイド壁面は、凸円弧状をなしその曲率半径R1を接地巾TWの0.5倍以上としたことを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記サイドウォール部の前記サイド壁面における、該サイド壁面の法線方向のタイヤ全厚さTを実質的に一定としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記カーカスは、前記サイド継面の位置に、曲率半径が1〜100mmの円弧で折れ曲がる折曲部を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記円弧状面は、タイヤ赤道点Pcから前記第1の端点P1に向かって曲率半径が連続的に減じ、かつ該曲率半径の中心が楕円の軌道をなす基準の輪郭線からなるとともに、タイヤ内腔面でのタイヤ赤道が通る内タイヤ赤道点から該円弧状面のタイヤ軸方向外方端を通る法線がタイヤ内腔面と交わる点までの内円弧状面も、曲率半径の中心が楕円の軌道をなす基準の輪郭線に基づいて設定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記円弧状面と内円弧状面との各基準の輪郭線において、各楕円は、タイヤ子午断面における前記輪郭線のタイヤ赤道をY軸、輪郭線のタイヤ赤道点における曲率半径Crの中心点をタイヤ軸方向に通るタイヤ軸方向線をX軸とした座標系において下記▲1▼式の楕円曲線で表されるとともに、
    前記基準の輪郭線は、一端を前記座標系の原点Oに固定して前記楕円に巻き付けた糸が引張されつつ巻き戻されるときに該糸の他端が描く基礎円を楕円とするインボリュート状曲線上にあることを特徴とする請求項6記載の空気入りタイヤ。
    (X−a)2 /a2 +y2 /b2 =1 … ▲1▼
    (ここで式▲1▼におけるa、bは、この座標系の前記原点Oから点(a,b)である90°点Eに至る楕円周長OEを前記曲率半径Crと等しい基準楕円に設定しうる定数である)。
  8. 前記円弧状面と内円弧状面は、前記基準の輪郭線と1mm以内を離れる領域を通り該基準の輪郭線に近似する複数個の円弧を用いて形成したことを特徴とする請求項6又は7記載の空気入りタイヤ。
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