JP2004089063A - 根菜収穫機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】根菜収穫機において、機体1の左側に、根菜を圃場から抜き取るとともに根菜の茎葉部を除去する収穫部aを配備し、機体1の後部に、収穫部aで収穫された根菜を機体1の横他側へ向けて搬送する横送りコンベヤbを配備し、機体1の右側の後部に、横送りコンベヤbで送られてくる根菜を上方へ搬送する持上げコンベヤcを、かつ、機体1の右側の前部に運転部dをそれぞれ配備し、運転部dの後に、持上げコンベヤcで搬送されてくる根菜を容器2に回収するための回収部eを設ける。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、にんじん、玉ねぎ、大根等の根菜を圃場から抜き取って回収する根菜収穫機に係り、詳しくは、機体の全体レイアウトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の根菜収穫機は、特開平9−322624号公報で開示されたように、機体の左側に、根菜を圃場から抜き取るとともに茎葉を切断して除去する収穫部を、かつ、右側の前部に運転部をそれぞれ配備し、機体後部に、収穫部で収穫された根菜を右に向けて横送りしてから後方に送る選別コンベヤを配備するとともに、選別コンベヤから送られてくる根菜を回収する収容袋を機体後部から後方に突出配備して成る回収部を設けて構成されていた。
【0003】
運転部の後側には、選別コンベヤで送られる根菜を大きさや形状によって種分けする人為選別作業用のスペースが設けてあり、機体の操縦を担う運転者と、選別作業者とが機体に搭乗して根菜の収穫作業を行うように構成されていた。回収部において吊り下げ装備される収容袋は、一回で沢山の根菜を回収できるように、「大袋」と呼ばれる丈夫で大きなものが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
回収部を機体の後方に配置する構造では、一度に多量の根菜を回収できるように収容袋を大きくすることが容易であるが、その反面、機体からの後方突出量が大となって機体全長が大型化するので、機体の操縦面からは不利である。そして、収穫作業が進行して回収部に回収される根菜量が多くなるに連れて回収部が重くなって、機体の後方バランスが強くなるので、収穫部の先端高さ位置が変化することの対処が必要になるとか、走行に伴う機体の揺れが増してしまうといった作業走行時の機体操縦が行い難くなるものでもあり、根菜収穫機の全体構成としては改善の余地が残されているものであった。
【0005】
本発明の目的は、後方バランスや機体全長の大型化を抑制して、機体全長のコンパクト化や、圃場における操縦がし易くなるように改良された根菜収穫機を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の構成〕
請求項1の構成は、根菜収穫機において、機体の横一側に、根菜を圃場から抜き取るとともに根菜の茎葉部を除去する収穫部を配備し、機体の後部に、収穫部で収穫された根菜を機体の横他側へ向けて搬送する横送りコンベヤを配備し、機体の横他側の後部に、横送りコンベヤで送られてくる根菜を上方へ搬送する持上げコンベヤを、かつ、機体の横他側の前部に運転部をそれぞれ配備し、運転部の後に、持上げコンベヤで搬送されてくる根菜を容器に回収するための回収部を設けてあることを特徴とする。
【0007】
〔請求項1の構成による作用、効果〕
請求項1の構成によれば、機体後部の横送りコンベヤと機体前部の運転部との前後間、すなわち機体の前後中間部に回収部を配置したので、機体後方に回収部が配置されていた従来の根菜収穫機に比べて、根菜の回収に伴って重量変化する場所を機体の重心位置に近づけられるので、沢山の根菜を回収しての重量増加が機体の重量バランスに与える影響を軽減できるようになり、前後バランスの変化が起き難いようにすることが可能になる。そして、選別用の人為作業スペースは、横送りコンベヤの前又は後に形成することが可能であり、後に設けた場合でも、その後方突出量は少しで済むとともに、その重量が機体の重量バランスに与える影響は極小さいもので済むようになる。
【0008】
その結果、機体の横一側に配備された収穫部の左右方向で反対側における前後中間に回収部を配置するレイアウト工夫により、操縦し易いように機体全長をコンパクト化できるとともに、根菜の回収量が増しても後方バランスにならず、重量バランスが改善される合理的な根菜収穫機を提供することができた。
【0009】
〔請求項2の構成〕
請求項2の構成は、請求項1の構成において、収穫部と回収部との左右間で、かつ、横送りコンベヤの前側における機体に作業用スペースを設けてあることを特徴とするものである。
【0010】
〔請求項2の構成による作用、効果〕
請求項2の構成によれば、横送りコンベヤの前に作業用スペースを設けたので、横送りコンベヤ上で搬送される根菜の人為選別作業、或いは選別された非回収用根菜を別の容器に回収する作業等を、機体上において便利に行うことができるとともに、横送りコンベヤの後側に作業用スペースを設ける場合に比べて、機体全長を短くすることや、質量の集中化も可能となる。
【0011】
その結果、請求項1の構成による作用効果を奏するとともに、機体全長のコンパクト化と質量の集中化とを強化することができ、より操縦し易い根菜収穫機を得ることができた。
【0012】
〔請求項3の構成〕
請求項3の構成は、請求項1又は2の構成において、持上げコンベヤを、横送りコンベヤで送られてきた根菜をほぼ水平に若干距離前方に搬送する下部前送り部と、この下部前送り部からの根菜を上方に搬送する持上げ部と、この持上げ部からの根菜をほぼ水平に若干距離前方に搬送する上部前送り部とから構成してあることを特徴とするものである。
【0013】
〔請求項3の構成による作用、効果〕
請求項3の構成によれば、下部前送り部において、横送りコンベヤから受け渡された根菜を持上げ部による持上げ移動に適した状態(姿勢、向き)に準備することができるとともに、上部前送り部において、持上げられた根菜を回収部に渡すに適した状態(姿勢、向き)にすることができるので、持上げ部のみで持上げコンベヤを構成する場合に比べて、より円滑な根菜の持上げ作用と、より的確な回収部への根菜送り出し作用とを実現させることが可能になる。
【0014】
その結果、請求項1又は2の構成による作用効果を奏するとともに、横送りコンベヤからの根菜を、持上げコンベヤにおいて傷つけること少なく円滑に持上げ搬送して回収部に受け渡すことができるので、根菜を良好な状態に維持しながら回収部での受け渡し高さを高くして回収量を増大できる根菜収穫機を提供することができた。
【0015】
〔請求項4の構成〕
請求項4の構成は、請求項1〜3の構成において、回収部に、容器を支持して昇降自在で、かつ、その昇降された位置に維持自在な昇降台を設けてあることを特徴とするものである。
【0016】
〔請求項4の構成による作用、効果〕
請求項4の構成によれば、容器を支持して昇降及び維持自在な昇降台を回収部に設けてあるので、回収量の少ない回収初期には昇降台を上昇させて、持上げコンベヤから送られてくる根菜の落下距離を短くして根菜が傷み難いようにすることができるとともに、回収根菜量が増えるに連れて昇降台を下降させることにより、落下距離があまり高くならないようにしながら容器内に確実に回収できるようになる。これにより、大なる容器を用いながら、根菜を良好な状態で回収することができる。
【0017】
その結果、請求項1〜3の構成によるいずれかの作用効果を奏するとともに、持上げコンベヤを配備して回収部で大量の根菜を回収できるようにしながら、持上げコンベヤからの落下高さを低めて、傷の少ない良好な状態で根菜を回収できる有用の根菜収穫機を実現することができた。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4に、根菜収穫機の一例である人参収穫機Aが示されている。すなわち、走行機台28に支持された左右のクローラ走行装置3,3で走行自在な機体1に、圃場から人参を収穫する収穫部a、運転部d、原動部f等に各種の機械装置類を配置して、1条用の人参収穫機Aを構成してある。
【0019】
機体1上における各部のレイアウトは、人参を圃場から抜き取るとともに人参の茎葉部を除去する収穫部aを機体1の左側に配備し、収穫部aで収穫された人参を機体1の右側へ向けて横送り搬送する選別コンベヤ(横送りコンベヤの一例)bを機体1の後部に配備し、選別コンベヤbで送られてくる人参を上方へ搬送する持上げコンベヤcを機体1の右側の後部に、かつ、運転部dを機体1の右側の前部にそれぞれ配備し、運転部dの後に、持上げコンベヤcで搬送されてくる人参を収容袋(容器の一例)2に回収するための回収部eを設けて構成されている。エンジンEを有する原動部fは、運転座席4の下部に配置されている。
【0020】
収穫部aは、人参の抜取りに先立って圃場を切り崩して柔らかくするためのソイラ機構5、及び人参の茎葉部を上方に引き上げる左右一対の引上げ機構6,6、引き上げられた人参の茎葉部を左右一対のベルト7,7で挟持して圃場から抜き取って後方上方に持上げる抜取り機構8、左右一対の回転刃によって茎葉部をその根元部位で切断する葉切り機構9、および抜取り機構8で運ばれる人参を持ち換えて歯切り機構9に好適な姿勢で送るために左右一対の挟持ベルトで成る位置揃え搬送機構10等から構成されている。80は切断された茎葉を機外に排出するための茎葉排出機構である。
【0021】
選別コンベヤbは、前後方向の軸心を有する左右のスプロケット11,12に巻回された前後一対のチェーン13,13に、多数のコンベヤバー14を架設して構成されており、収穫部aの後端部から排出されてくる人参をやや持上げながら右に横送りさせるよう機能する(図6参照)。
【0022】
持上げコンベヤcは、図5にも示すように、選別コンベヤbから送られてきた人参をほぼ水平に若干距離前方に搬送する下部前送り部15と、この下部前送り部15からの人参を垂直に近い急角度で上方に搬送する持上げ部16と、この持上げ部16からの人参をほぼ水平に若干距離前方に搬送する上部前送り部17とから構成されている。左右に配置されたスプロケット29〜34とガイド19とで側面視で略Z形状に巻掛けされた左右の搬送チェーン20,20に亘って、前後方向に適宜の間隔を空けて起伏自在な受け板21を多数取付けてある。
【0023】
回収部eは、収容袋2を吊下げる枠体22と、収容袋2を載置支持して昇降自在で、かつ、その昇降された位置に維持自在な昇降台23とを、持上げコンベヤcにおける上部前送り部17の下方に配置して構成されている。布製の収容袋2の底部分2aが載置される昇降台23は、電動油圧シリンダ27によって駆動昇降されるようになっている。
【0024】
運転部dは、原動部f上に配置された運転座席4、機体1の右側前端に立設された操縦塔24、及び、運転座席4と操縦塔24との前後間に形成されたフロアステップ25等から構成されている。そして、機体1における選別コンベヤbの前側で、かつ、収穫部aと回収部eの左右間には作業用スペース26が形成してある(図2参照)。この作業用スペース26は、機体1に形成された作業デッキであって、補助作業者が、選別コンベヤb上で横送りされる人参の選別作業、選別された非回収用の人参(形の歪な人参、傷が付いた人参、未生育の人参等)を専用の回収箱(図示省略)に回収する作業等を行うために形成されている。
【0025】
ここで、人参収穫機Aによる一連の人参収穫作用について概略説明しておく。ソイラ機構5で圃場を切り崩して柔らかくした状態で、左右の引き上げ機構6,6によって上方に引き上げられた茎葉部を抜取り機構8で挟持して人参を圃場から抜き取るとともに後方上方に搬送し、葉切り機構9で茎葉部を除去した人参を選別コンベヤbによって右に送るとともに、切断された茎葉部は、突起付きチェン81と摺動レール82とで成る茎葉排出機構80によって後方に挟持搬送され、機体1の後方に落下排出される。
【0026】
選別コンベヤbでは、不良人参等の非回収人参が取り除かれて回収すべき人参を持上げコンベヤcに向けて横送りし、持上げコンベヤcで前方上方に持上げられた人参を、持上げコンベヤcの終端下方の回収部eに配置された収容袋2に落下させて回収するようになる。運転部dでは、運転座席4に運転者が着座して機体進行の操縦を行い、作業用スペース26では、補助作業者が選別コンベヤb上での人参選別作業や非回収人参の回収作業等が行われる。
【0027】
次に、持上げコンベヤについて詳細説明する。図5〜図8に示すように、搬送チェーン20を、下部前送り部15部位に装備された駆動スプロケット29及び緊張輪体30と、位置固定の第1〜第4円板状輪体31〜34と、ガイド19とに亘って巻回させて、側面視で略Z状の搬送経路(図5では略逆Z形状である)を形成してある。緊張輪体30は、第1円板状輪体31の回転軸31aを中心として揺動自在で、かつ、巻バネ36で引張り付勢されたテンションアーム30aに支承されている。
【0028】
左右の搬送チェーン20,20には、人参を載せて移動可能とするためのコンベヤバー20bが架設されるとともに、搬送方向に適宜の間隔を空けた状態で搬送チェーン20の構成部品であるピンを左右つないだ形状のロングピン20aに、屈曲板材製のブラケット37を揺動自在に支持してある。そして、ブラケット37には、受け板21がリベットやボルト止め等の連結手段によって架設装備してあるとともに、ブラケット37の左右量端部にはベアリング38が取付けてある。ベアリング38は、ガイド部材39に摺接案内されて受け板21の姿勢を制御するためのものであり、ガイド部材39は、下部前送り部15から持上げ部16の終端に亘って配設されている。
【0029】
これにより、図5及び図8(イ)に示すように、受け板21は、ガイド部材39によってベアリング38が案内される区間では、人参を乗せ付けるに適した緩い後上がり姿勢に維持され、選別コンベヤbからの人参を的確に受け板21に乗せ付けて持上げ搬送する。この緩い後上がり姿勢により、選別コンベヤbからの人参を受け板21の後端部で人参を引っ掛けてしまう場合に、人参に与えるダメージを小さくできる利点がある。また、下部前送り部15の始端部には、後端部が枠体70に取付けられて前下がり傾斜する姿勢のゴム板71を設けてあり、選別コンベヤbから送られてくる人参をソフトに受けるクッション機能と、その人参をコンベヤバー20bに乗るように滑らせて前送りするガイド機能とが発揮されるように構成してある。
【0030】
上部前送り部17では、持上げ部16を上りきった直後にガイド部材39の後端が位置するように設定してあるので、受け板21は、重力によって後上がり姿勢からコンベヤバー20bにもたれ掛る水平姿勢に変化するから、第3輪体33に巻き付いて回動移動する際の受け板21の先端を、極力第3輪体33の軸心33aに近づけることができ、旋回移動する経路では受け板21の先端側程増速されることを最小限度に抑制できるようにしてある。これにより、持上げコンベヤc終端にて受け板21で放出される人参に極力勢いが付かないようになり、下方に配置された収容袋2に向けてソフトに人参を落下供給できるようにしてある。
【0031】
次に、回収部eについて詳細説明する。図9〜図12に示すように、平面視で矩形を呈する回収部eは、左右方向で機体内側で前後一対の主支柱40,40と、機体外側で前後一対のガイド支柱41,41とを基にした枠体22を有するとともに、昇降台23は、主支柱40,40に対して昇降移動自在に支持される台本体23Aと、これに前後移動可能に支持された載せ台23Bとで構成されている。
【0032】
断面が略C形状のチャンネル材で成る主支柱40の内部には、台本体23Aに装備された上下一対の計4個のベアリング42を配置してあるとともに、下端が機体1に取付けられた電動油圧シリンダ27の伸縮ロッド27a先端に装備されたスプロケット43に、一端が台本体23Aに、かつ、他端が左右の主支柱40,40に架設された横フレーム材44にそれぞれ連結されたチェーン45を巻掛けてあり、これによって台本体23Aを駆動昇降及びその昇降位置にて維持自在な昇降装置46を構成してある。伸縮ロッド27aのスプロケット43は動滑車として機能するから、台本体23Aは、電動油圧シリンダ27の伸縮量の倍の量でもって昇降移動される。
【0033】
台本体23Aを構成する前後一対の横枠部材47,48のそれぞれに支承された左右一対のベアリング68,69は、載せ台23Bを構成するべく前後一対の断面が略C形状のチャンネル材で成る横フレーム49,50に内装されている。従って、載せ台23Bは所定範囲内で台本体23Aに対して横移動自在であり、機体1の横外方に突出した排出位置(図10参照)と、左右方向で機体1の内側に退入した回収位置(図11参照)とに切換え自在である。
【0034】
載せ台23Bは、前述の横フレーム49,50と、これらを連結一体化する内側パイプ51及び外側パイプ52とで成る枠体上に固着された主載置板53と、外側パイプ52に前後軸心52aで上昇揺動自在に枢支された延長載置板54とで構成されている。内側パイプ51の前後両端にはベアリング55が支持してあり、これらベアリング55は、主支柱40とガイド支柱41とに亘って固着された前後の仕切り壁56,57の外側(前仕切り壁56の前側と、後仕切り壁57の後側)に位置している。但し、前後の仕切り壁56,57には、内側パイプ51の自由な昇降移動を許容するための上下に長い縦切欠き56a,57aを形成してあり、載せ台23Bが回収位置にある状態(図11参照)においてのみ、昇降台23が自由に昇降移動できるように構成してある。
【0035】
図11〜図13に示すように、載せ台23Bが排出位置にあるときには、台本体23Aに対して載せ台23Bの外側端が下がる方向へ所定角度揺動自在に構成してある。すなわち、前後の仕切り壁56,57には、縦切欠き56a,57aの下端部から続く左右方向の横切り欠き56b、57b、及びこれらに続く横外で上方に向かう斜め切り欠き56c,57cを形成してある。載せ台23Bが排出位置に移動された状態では、前後の横フレーム49,50は、横枠部材47,48に支持された機体左右方向で内側のベアリング68から左右方向で外れた状態に設定されている[図13(イ)参照]。
【0036】
従って、斜め切り欠き56c,57cの存在により、外側のベアリング69を支点として載せ台23Bを、内側パイプ51のベアリング55が斜め切り欠き56c,57cの上限に接当する位置まで、載せ台23Bを、その先端側が下がる方向に揺動移動する排出揺動が可能である。それによって図16や図13(ロ)に示すように、載せ台23Bを傾いた取出し姿勢にすることができ、人参の収容された重い収容袋2を昇降台23から楽に取り出せるように構成してある。
図12〜図14に示すように、前仕切り壁56部位には、回収位置にある載せ台23Bの排出位置へ向けての移動を阻止するロック機構rを設けてある。すなわち、前仕切り壁56における縦切欠き56aの右側近傍に、横切り欠き56bに干渉しないように、上下長さの長い上筒58と上下長さの短い下筒59とを固着してあるとともに、これら上下の筒58,59に抜き差し自在なロックロッド60と、これを天秤アーム61と連動部材62とを介して昇降操作自在な操作ハンドル63とを設けて、ロック機構rを構成してある。天秤アーム61は、操作ハンドル63に固着されたピン軸63bに枢支連結されている。
【0037】
つまり、支点63aで揺動操作自在な操作ハンドル63を、その前側の被操作部63Aを上昇揺動させたロック位置(図14に実線で示す位置)に操作すると、上筒58に挿通されているロックロッド60を下筒59に挿通することができ、内側パイプ51の移動を阻止することで載せ台23Bを回収位置に維持することができる。そして、被操作部63Aが下降する方向に操作ハンドル63を揺動させてロック解除位置(図14に仮想線で示す位置)に操作すると、ロックロッド60を持上げ移動して、その下端が横切り欠き56bよりも上昇した状態になる(図13参照)。従ってこのロック解除位置では、ロックロッド60が退避移動してベアリング55の横外への移動が許容されるから、内側パイプ51の左右移動が自在となり、載せ台23Bを回収位置から右方に引き出した排出位置に移動自在なロック解除状態が得られるのである。
【0038】
図9、図12、図13に示すように、載せ台23Bの排出揺動を穏やかに行わせるためのダンパ機構64を装備してある。すなわち、前仕切り壁56の下端部における左右中間部位に、前後方向の支点Pで揺動するアーム部材65を、その先端側が機体1の左右方向で支点Pの内側に位置させて設けるとともに、このアーム部材65の先端側部分と前側のガイド支柱41とに亘って架設される第1及び第2ダンパユニット66,67を設けてダンパ機構64が構成されている。
【0039】
アーム部材65は、前仕切り壁56の前側に配置されており、その最先端側の第1ダンパユニット66を、通常は伸長付勢されて短縮側にダンパ作用する圧縮型に、かつ、第2ダンパユニット67を、通常は短縮付勢されて伸長側にダンパ作用する引張り型にそれぞれ構成してある。第1ダンパユニット66による伸長付勢力は、第2ダンパユニット67による短縮付勢力よりも強いので、自由状態ではアーム部材65を最も下方に揺動した待機位置(図12に示す位置)に維持している。
【0040】
載せ台23Bを突出移動させると、その状態では載せ台23Bの重心位置が外側のベアリング69よりも外側に位置しており、従って、重力によって排出揺動しようとするが、第1ダンパユニット66の伸張付勢力が強いので、アーム部材65に形成された凹入部65aにベアリング55が接当した状態、すなわち、実質的に排出揺動しない状態[図示しないが、図13(イ)に描かれた姿勢から僅かに載せ台23Bが傾いた状態]に載せ台23Bが維持される。
【0041】
これに対して、収容袋2に人参が沢山収容された状態(図15参照)において載せ台23Bを突出移動させると、その重い状態では載せ台23Bが排出揺動しようとする力が第1ダンパユニット66の伸張付勢力に十分勝り、第1ダンパユニット66のダンパ作用が発揮されることによって載せ台23Bが排出揺動する状態となり、重力によってアーム部材65と共に載せ台23Bの排出揺動がゆっくりと行われて取出し姿勢(図16参照)に移行する。
【0042】
そして、重い収容袋2が載せ台23Bから除去されて軽くなると、第1ダンパユニット66の伸長付勢力によって載せ台23Bの基端側のベアリング55に、アーム部材65を介して下降付勢力が作用し、載せ台23Bが、アーム部材65が待機位置に戻る方向に復帰揺動される。この場合には、第2ダンパユニット67による伸び側のダンパ作用が発揮されるので、排出姿勢にある載せ台23Bはゆっくりと戻り揺動して水平姿勢に自動復帰されるのである。
【0043】
〔別実施形態〕
<1> 回収部eの容器2としては、収容袋の他、合成樹脂製や鋼板製の箱体、或いは、網袋、ダンボール箱等、種々のものが可能である。根菜としては、人参、大根、玉ねぎ等であり、茎葉部を掴んで圃場から抜き取れる作物であれば良い。
【0044】
<2> 収穫部aを機体1の右側に、かつ、運転部dや回収部eを機体1の左側に配備した根菜収穫機でも良い。また、横送りコンベヤbにおける根菜の選別作業を、機体1の後からついて歩く補助作業者が行うようにして、横送りコンベヤbの前側に作業用スペース26を設けない根菜収穫機Aも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】人参収穫機の左側面図
【図2】人参収穫機の平面図
【図3】人参収穫機の背面図
【図4】人参収穫機の右側面図
【図5】持上げコンベヤを示す側面図
【図6】持上げコンベヤ下部の構造を示す拡大側面図
【図7】持上げコンベヤ上部の構造を示す拡大側面図
【図8】(イ)は受け板のチェーンへの取付構造を示す背面図、(ロ)はコンベヤバーの取付構造を示す背面図
【図9】回収部の構造を示す側面図
【図10】回収部の平面図
【図11】昇降台の昇降構造を示す側面図
【図12】ダンパ機構の構造を示す回収部の正面図
【図13】載せ台の揺動構造を示し、(イ)は排出揺動前の状態を示す側面図、(ロ)は排出揺動した状態を示す側面図
【図14】ロック機構の構造を示す要部の側面図
【図15】収容袋が満タンになった状態を示す人参収穫機の側面図
【図16】満タン収容袋の機外排出状態を示す作用図
【符号の説明】
1 機体
2 容器
15 下部前送り部
16 持上げ部
17 上部前送り部
23 昇降台
a 収穫部
b 選別コンベヤ
c 持上げコンベヤ
d 運転部
e 回収部
Claims (4)
- 機体の横一側に、根菜を圃場から抜き取るとともに根菜の茎葉部を除去する収穫部を配備し、機体の後部に、前記収穫部で収穫された根菜を機体の横他側へ向けて搬送する横送りコンベヤを配備し、前記機体の横他側の後部に、前記横送りコンベヤで送られてくる根菜を上方へ搬送する持上げコンベヤを、かつ、前記機体の横他側の前部に運転部をそれぞれ配備し、前記運転部の後に、前記持上げコンベヤで搬送されてくる根菜を容器に回収するための回収部を設けてある根菜収穫機。
- 前記収穫部と前記回収部との左右間で、かつ、前記横送りコンベヤの前側における機体に作業用スペースを設けてある請求項1に記載の根菜収穫機。
- 前記持上げコンベヤを、前記横送りコンベヤで送られてきた根菜をほぼ水平に若干距離前方に搬送する下部前送り部と、この下部前送り部からの根菜を上方に搬送する持上げ部と、この持上げ部からの根菜をほぼ水平に若干距離前方に搬送する上部前送り部とから構成してある請求項1又は2に記載の根菜収穫機。
- 前記回収部に、前記容器を支持して昇降自在で、かつ、その昇降された位置に維持自在な昇降台を設けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の根菜収穫機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002254265A JP2004089063A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 根菜収穫機 |
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