JP2004087392A - AlNヒータ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータを提供する、また、その製造方法を提供する。
【解決手段】AlNヒータは、AlN焼結体基材2の一面側2aに設けられた抵抗発熱体3と、この抵抗発熱体3に接合される金属製の端子5と、抵抗発熱体3を覆うAlN焼結体蓋体6とを有し、端子5は、ほぼ円柱形状をなし、抵抗発熱体3との接合面5aが縮径されている。また、その製造方法である。
【選択図】 図2
【解決手段】AlNヒータは、AlN焼結体基材2の一面側2aに設けられた抵抗発熱体3と、この抵抗発熱体3に接合される金属製の端子5と、抵抗発熱体3を覆うAlN焼結体蓋体6とを有し、端子5は、ほぼ円柱形状をなし、抵抗発熱体3との接合面5aが縮径されている。また、その製造方法である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はAlNヒータ及びその製造方法に係わり、特に端子を改良したAlNヒータ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に半導体製造装置に用いられているAlNヒータには、AlN基材中に埋設された抵抗発熱体に電力を供給するための端子が設けられている。この端子と抵抗発熱体の接合部の抵抗が大きいと、これに起因する端子部分での異常発熱、断線などの問題が生じる。一般に端子には、タングステン、モリブデンなどの高融点金属が用いられるが、抵抗発熱体との接合には、通常ろう接合が用いられており、その他には、端子にカシメ構造を持たせ、端子と抵抗発熱体を機械的に接合する等の方法が採られている。
【0003】
端子と抵抗発熱体の接合方法として、ろう接合やカシメ等が用いられている場合、下記のような問題がある。
【0004】
ろう接合では、ろう材の融点以上の温度でヒータを使用することができず、AlNと高融点金属のろう接合に用いられる一般的なろう材の融点は800C程度である。また、抵抗発熱体との熱膨張係数差によって接合部にストレスがかかり切断が生じることがある。
【0005】
カシメ接合では、タングステン箔などの脆弱な抵抗発熱体を用いる場合には、抵抗発熱体自体の破損を生じるおそれがある。
【0006】
これらの問題点は、AlNヒータの信頼性を著しく低下させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータが要望されていた。
【0008】
また、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータの製造方法が要望されていた。
【0009】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータを提供することを目的とする。
【0010】
また、AlNの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の1つの態様によれば、AlN焼結体基材と、このAlN焼結体基材の一面側に設けられた抵抗発熱体と、前記AlN基材に設けられ他面側から前記一面側に連通された端子挿入孔と、この端子挿入孔に嵌合され抵抗発熱体に接合された金属製の端子と、前記抵抗発熱体を覆うように前記AlN基材に取付けられたAlN焼結体蓋体とを有し、前記端子は、ほぼ円柱形状をなし、前記抵抗発熱体との接合面が縮径されていることを特徴とするAlNヒータが提供される。これにより、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータが実現される。
【0012】
好適な一例では、上記端子は、抵抗発熱体との接合面周囲がR面取りされて縮径されている。これにより、端子の接合面は、ホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0013】
また、好適な一例では、上記端子は、抵抗発熱体との接合面がC面取りされて縮径されている。これにより、端子の接合面は、ホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0014】
また、他の好適な一例では、上記端子は、截頭円錐形状に形成されて抵抗発熱体との接合面が縮径されている。これにより、端子の接合面は、ホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0015】
また、他の好適な一例では、上記端子は、その縮径比が、0.3〜0.8である。
【0016】
本発明の他の態様によれば、発熱体収納部及び端子挿入孔を設けたAlN焼結体基材を用意し、発熱体収納部には抵抗発熱体を、端子挿入孔にはほぼ円柱形状をなし抵抗発熱体との接合面を縮径した端子をそれぞれ収納し、接合剤を塗布したAlN焼結体蓋体をAlN焼結体基板に合せ、ホットプレスにより加圧し、一体化することを特徴とするAlNヒータの製造方法が提供される。これにより、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータの製造方法が実現される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるAlNの実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明に係わるAlNヒータの縦断面図、図2は図1における端子部分を拡大して示す縦断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、本発明に係わるAlNヒータ1は、平板形状のAlN焼結体基材2と、このAlN焼結体基材2の一面側2aに発熱体収納部2bに収納されて取付けられた抵抗発熱体3と、AlN基材2に設けられ他面側2cから一面側2aに連通された端子挿入孔4と、この端子挿入孔4に嵌合され抵抗発熱体3に接合された金属製の端子5と、抵抗発熱体3を覆うようにAlN焼結体基材2に取付けられた平板形状のAlN焼結体蓋体6とを有している。
【0020】
上記抵抗発熱体3は、例えば、タングステン等の箔で形成され、厚さが100〜200μmで、出力1400W程度に相当する所定の渦巻き状等のパターンに加工されたものである。
【0021】
図3に示すように、上記端子5は、ほぼ円柱形状をなし、抵抗発熱体3との接合面5aが縮径されている。ここでほぼ円柱形状とは、その全長に渡り断面が真円で円柱形状であるものに限らず、その断面が多少変形された円形状である円柱体を含み、また、截頭円柱体をも含むものである。この縮径は、抵抗発熱体3との接合面5aの周囲が弧状、例えば円弧状にR面取りされて実現されている。この縮径比、すなわち、端子上端と下端との投影断面積比は、0.3〜0.8であることが好ましい。これにより、製造時接合圧力をより高い圧力で端子5と抵抗発熱体3を圧着することができる。0.3よりも小さいと、圧着圧力が大きくなり過ぎて抵抗発熱体を破損してしまうおそれがあり、0.8を超えると大きな圧着圧力が接合面に作用せず、十分な接合が得られない。
【0022】
本発明に係わるAlNヒータは、上述のように圧着により端子と抵抗発熱体との接合が行われるので、ろう接合等を用いなくとも両者の良好な接合が図れ、また、ろう材の融点によるヒータ使用温度の制限がなく900℃以上でも使用可能となり、さらに、ろう材の腐食による端子部の劣化が生じない。また、ろう材との熱膨張係数の差に起因する抵抗発熱体の切断も生じず、AlNヒータの信頼性が向上する。
【0023】
次に本発明に係わるAlNヒータの製造方法について説明する。
【0024】
発熱体収納部及び端子挿入孔を設けたAlN焼結体基材を用意し、発熱体収納部には抵抗発熱体を収納し、端子挿入孔にはほぼ円柱形状をなし抵抗発熱体との接合面を縮径した端子を収納し、接合剤が塗布され大気中600℃で脱脂されたAlN焼結体蓋体をAlN焼結体基板に合せ、ホットプレスにより加圧し、一体化することによりAlNヒータを製造する。
【0025】
このようなAlNヒータの製造工程において、金属製の端子の下端は縮径されているので、端子の接合面は、ホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0026】
また、本発明に係わるAlNヒータの第二実施形態について説明する。
【0027】
上記第一実施形態のAlNヒータは、端子がR面取りされて縮径されているのに対して、本第二実施形態のAlNヒータは、端子がC面取りされて縮径されるものである。
【0028】
例えば、図4に示すように、AlNヒータ1Aに設けられる金属製の端子5Aは、ほぼ円柱形状をなし、抵抗発熱体との接合面5Aaの周囲がC面取りされて縮径されている。この縮径比は、0.3〜0.8であることが好ましい。従って、ろう接合等を用いなくとも両者の良好な接合が図れ、900℃以上でも使用可能となり、また、ろう材の腐食による端子部の劣化が生じず、さらに、ろう材との熱膨張係数の差に起因する抵抗発熱体の切断も生じず、AlNヒータの信頼性が向上する。また、端子はホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0029】
さらに、本発明に係わるAlNヒータの第三実施形態について説明する。
【0030】
上記第一実施形態のAlNヒータは、端子がR面取りされて縮径されているのに対して、本第三実施形態のAlNヒータは、端子が截頭円錐形状に形成されて、接合面が縮径されたものである。
【0031】
例えば、図5に示すように、AlNヒータ1Aに設けられる金属製の端子5Bは、例えば、開きテーパ角度が2.3°、接合面5Baの縮径比は、0.3〜0.8が好ましい。従って、ろう接合等を用いなくとも両者の良好な接合が図れ、900℃以上でも使用可能となり、また、ろう材の腐食による端子部の劣化が生じず、さらに、ろう材との熱膨張係数の差に起因する抵抗発熱体の切断も生じず、AlNヒータの信頼性が向上する。また、端子はホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0032】
【実施例】
試験目的: 本発明に係わるAlNヒータの製造方法を用い、下記のような製造条件で、AlNヒータを製造し、これを加熱テストして、端子と抵抗発熱体の接合状態を調べた。
【0033】
試験方法: 上記のようにして製造されたAlNヒータを真空チャンバー内にセットし、電源を接続して加熱テストを行った。真空チャンバー上部にはヒータ全景を観察できる石英製の窓が設けられ、この窓を通して赤外線熱画像装置で、最高温度到達後のヒータの面内温度を測定しながら2〔Pa〕の真空下で加熱を行った。なお、図6に加熱面の端子配置を示し、領域Aの平均温度をTA、そのときの最大温度差をΔTAとして表し、端子周りの平均温度をTt、TtとTAとの温度差をΔTとした。
【0034】
実施例1:
製造条件:
a)図1に示すように、抵抗発熱体3としてタングステン箔を1400Wに相当する渦巻き状のパターンに加工した。
b)直径200mm×厚さ10mmのAlN焼結体基材2に抵抗発熱体3を収納する発熱体収納部2b及び端子挿入孔4を加工した。
c)直径200mm×厚さ7mmのAlN焼結体蓋体6にY2O3とAlNからなる接合剤8を塗布し、大気中600℃で脱脂した。
d)AlN焼結体基材2に抵抗発熱体3と図3に示す形状の端子5(直径2.5×長さ10mm、面取りR0.4、縮径比0.46)を組込み、接合剤を塗布したAlN焼結体蓋体6と合わせてホットプレスによって1800℃、0.1トン/cm2の圧力で接合、一本化した。
e)上記d)によって得られたものを形状加工し、直径190mm×厚さ8mの円盤状AlNヒータを得た。
【0035】
実施例2:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えて図4に示す形状の端子(直径2.5×長さ10mm、面取りC0.4、縮径比0.46)を用いた。
【0036】
実施例3:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えて図5に示す形状の端子(直径2.5×長さ10mm、開き角度2°、縮径比0.36)を用いた。
【0037】
比較例1:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、面取りR0.7、縮径比0.19)を用いた。
【0038】
比較例2:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、面取りR0.1縮径比0.85)を用いた。
【0039】
比較例3:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、面取りC0.7縮径比0.19)を用いた。
【0040】
比較例4:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、面取りC0.1縮径比0.85)を用いた。
【0041】
比較例5:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、開き角度4°、縮径比0.19)を用いた。
【0042】
従来例1:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えて端子(直径2.5×長さ10mm、縮径なし(縮径比1))を用いた。
【0043】
試験結果: 表1に示す。
【表1】
【0044】
表1からも明らかなように、実施例1〜3は、いずれも異常発熱等は認められず、端子先端とタングステン箔との接合も良好であった。
【0045】
これに対して、縮径比が所定範囲0.3〜0.8よりも小さくいずれも0.19である比較例1、3、5は、接合後の接合部の破損により加熱が不可能であった。また、縮径比が所定範囲0.3〜0.8よりも大きいいずれも0.85である比較例2、4は、端子接合部に異常発熱が見られたため、加熱を中止した。さらに、縮径を行わない(縮径比1)従来例は、600℃まで昇温した時点でΔT0≒40℃となり、そのまま700℃付近まで加熱を続けたところ、端子部とその周辺の温度差による熱応力でヒータにクラックが発生したため加熱を中止した。SEMによる断面観察では、箔と端子先端の接合部には隙間が存在し、強固に圧着されていないことがわかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明に係わるAlNヒータによれば、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータを提供することができる。
【0047】
また、本発明に係わるAlNヒータの製造方法によれば、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるAlNヒータの縦断面。
【図2】図1における端子部分を拡大して示す縦断面図。
【図3】(a)は本発明に係わるAlNヒータに用いられる端子の第一実施形態の側面図であり、(b)はその底面図。
【図4】(a)は本発明に係わるAlNヒータに用いられる端子の第二実施形態の側面図であり、(b)はその底面図。
【図5】(a)は本発明に係わるAlNヒータに用いられる端子の第三実施形態の側面図であり、(b)はその底面図。
【図6】実施例における試験において、本発明に係わるAlNヒータの端子位置を示す概念図。
【符号の説明】
1 AlNヒータ
2 AlN焼結体基材
2a 一面側
2b 発熱体収納部
2c 他面側
3 抵抗発熱体
4 端子挿入孔
5 端子
5a 接合面
6 AlN焼結体蓋体
【発明の属する技術分野】
本発明はAlNヒータ及びその製造方法に係わり、特に端子を改良したAlNヒータ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に半導体製造装置に用いられているAlNヒータには、AlN基材中に埋設された抵抗発熱体に電力を供給するための端子が設けられている。この端子と抵抗発熱体の接合部の抵抗が大きいと、これに起因する端子部分での異常発熱、断線などの問題が生じる。一般に端子には、タングステン、モリブデンなどの高融点金属が用いられるが、抵抗発熱体との接合には、通常ろう接合が用いられており、その他には、端子にカシメ構造を持たせ、端子と抵抗発熱体を機械的に接合する等の方法が採られている。
【0003】
端子と抵抗発熱体の接合方法として、ろう接合やカシメ等が用いられている場合、下記のような問題がある。
【0004】
ろう接合では、ろう材の融点以上の温度でヒータを使用することができず、AlNと高融点金属のろう接合に用いられる一般的なろう材の融点は800C程度である。また、抵抗発熱体との熱膨張係数差によって接合部にストレスがかかり切断が生じることがある。
【0005】
カシメ接合では、タングステン箔などの脆弱な抵抗発熱体を用いる場合には、抵抗発熱体自体の破損を生じるおそれがある。
【0006】
これらの問題点は、AlNヒータの信頼性を著しく低下させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータが要望されていた。
【0008】
また、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータの製造方法が要望されていた。
【0009】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータを提供することを目的とする。
【0010】
また、AlNの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の1つの態様によれば、AlN焼結体基材と、このAlN焼結体基材の一面側に設けられた抵抗発熱体と、前記AlN基材に設けられ他面側から前記一面側に連通された端子挿入孔と、この端子挿入孔に嵌合され抵抗発熱体に接合された金属製の端子と、前記抵抗発熱体を覆うように前記AlN基材に取付けられたAlN焼結体蓋体とを有し、前記端子は、ほぼ円柱形状をなし、前記抵抗発熱体との接合面が縮径されていることを特徴とするAlNヒータが提供される。これにより、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータが実現される。
【0012】
好適な一例では、上記端子は、抵抗発熱体との接合面周囲がR面取りされて縮径されている。これにより、端子の接合面は、ホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0013】
また、好適な一例では、上記端子は、抵抗発熱体との接合面がC面取りされて縮径されている。これにより、端子の接合面は、ホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0014】
また、他の好適な一例では、上記端子は、截頭円錐形状に形成されて抵抗発熱体との接合面が縮径されている。これにより、端子の接合面は、ホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0015】
また、他の好適な一例では、上記端子は、その縮径比が、0.3〜0.8である。
【0016】
本発明の他の態様によれば、発熱体収納部及び端子挿入孔を設けたAlN焼結体基材を用意し、発熱体収納部には抵抗発熱体を、端子挿入孔にはほぼ円柱形状をなし抵抗発熱体との接合面を縮径した端子をそれぞれ収納し、接合剤を塗布したAlN焼結体蓋体をAlN焼結体基板に合せ、ホットプレスにより加圧し、一体化することを特徴とするAlNヒータの製造方法が提供される。これにより、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータの製造方法が実現される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるAlNの実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明に係わるAlNヒータの縦断面図、図2は図1における端子部分を拡大して示す縦断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、本発明に係わるAlNヒータ1は、平板形状のAlN焼結体基材2と、このAlN焼結体基材2の一面側2aに発熱体収納部2bに収納されて取付けられた抵抗発熱体3と、AlN基材2に設けられ他面側2cから一面側2aに連通された端子挿入孔4と、この端子挿入孔4に嵌合され抵抗発熱体3に接合された金属製の端子5と、抵抗発熱体3を覆うようにAlN焼結体基材2に取付けられた平板形状のAlN焼結体蓋体6とを有している。
【0020】
上記抵抗発熱体3は、例えば、タングステン等の箔で形成され、厚さが100〜200μmで、出力1400W程度に相当する所定の渦巻き状等のパターンに加工されたものである。
【0021】
図3に示すように、上記端子5は、ほぼ円柱形状をなし、抵抗発熱体3との接合面5aが縮径されている。ここでほぼ円柱形状とは、その全長に渡り断面が真円で円柱形状であるものに限らず、その断面が多少変形された円形状である円柱体を含み、また、截頭円柱体をも含むものである。この縮径は、抵抗発熱体3との接合面5aの周囲が弧状、例えば円弧状にR面取りされて実現されている。この縮径比、すなわち、端子上端と下端との投影断面積比は、0.3〜0.8であることが好ましい。これにより、製造時接合圧力をより高い圧力で端子5と抵抗発熱体3を圧着することができる。0.3よりも小さいと、圧着圧力が大きくなり過ぎて抵抗発熱体を破損してしまうおそれがあり、0.8を超えると大きな圧着圧力が接合面に作用せず、十分な接合が得られない。
【0022】
本発明に係わるAlNヒータは、上述のように圧着により端子と抵抗発熱体との接合が行われるので、ろう接合等を用いなくとも両者の良好な接合が図れ、また、ろう材の融点によるヒータ使用温度の制限がなく900℃以上でも使用可能となり、さらに、ろう材の腐食による端子部の劣化が生じない。また、ろう材との熱膨張係数の差に起因する抵抗発熱体の切断も生じず、AlNヒータの信頼性が向上する。
【0023】
次に本発明に係わるAlNヒータの製造方法について説明する。
【0024】
発熱体収納部及び端子挿入孔を設けたAlN焼結体基材を用意し、発熱体収納部には抵抗発熱体を収納し、端子挿入孔にはほぼ円柱形状をなし抵抗発熱体との接合面を縮径した端子を収納し、接合剤が塗布され大気中600℃で脱脂されたAlN焼結体蓋体をAlN焼結体基板に合せ、ホットプレスにより加圧し、一体化することによりAlNヒータを製造する。
【0025】
このようなAlNヒータの製造工程において、金属製の端子の下端は縮径されているので、端子の接合面は、ホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0026】
また、本発明に係わるAlNヒータの第二実施形態について説明する。
【0027】
上記第一実施形態のAlNヒータは、端子がR面取りされて縮径されているのに対して、本第二実施形態のAlNヒータは、端子がC面取りされて縮径されるものである。
【0028】
例えば、図4に示すように、AlNヒータ1Aに設けられる金属製の端子5Aは、ほぼ円柱形状をなし、抵抗発熱体との接合面5Aaの周囲がC面取りされて縮径されている。この縮径比は、0.3〜0.8であることが好ましい。従って、ろう接合等を用いなくとも両者の良好な接合が図れ、900℃以上でも使用可能となり、また、ろう材の腐食による端子部の劣化が生じず、さらに、ろう材との熱膨張係数の差に起因する抵抗発熱体の切断も生じず、AlNヒータの信頼性が向上する。また、端子はホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0029】
さらに、本発明に係わるAlNヒータの第三実施形態について説明する。
【0030】
上記第一実施形態のAlNヒータは、端子がR面取りされて縮径されているのに対して、本第三実施形態のAlNヒータは、端子が截頭円錐形状に形成されて、接合面が縮径されたものである。
【0031】
例えば、図5に示すように、AlNヒータ1Aに設けられる金属製の端子5Bは、例えば、開きテーパ角度が2.3°、接合面5Baの縮径比は、0.3〜0.8が好ましい。従って、ろう接合等を用いなくとも両者の良好な接合が図れ、900℃以上でも使用可能となり、また、ろう材の腐食による端子部の劣化が生じず、さらに、ろう材との熱膨張係数の差に起因する抵抗発熱体の切断も生じず、AlNヒータの信頼性が向上する。また、端子はホットプレス時の接合圧力よりも高い圧力で加圧され、確実かつ強固に抵抗発熱体に圧着される。
【0032】
【実施例】
試験目的: 本発明に係わるAlNヒータの製造方法を用い、下記のような製造条件で、AlNヒータを製造し、これを加熱テストして、端子と抵抗発熱体の接合状態を調べた。
【0033】
試験方法: 上記のようにして製造されたAlNヒータを真空チャンバー内にセットし、電源を接続して加熱テストを行った。真空チャンバー上部にはヒータ全景を観察できる石英製の窓が設けられ、この窓を通して赤外線熱画像装置で、最高温度到達後のヒータの面内温度を測定しながら2〔Pa〕の真空下で加熱を行った。なお、図6に加熱面の端子配置を示し、領域Aの平均温度をTA、そのときの最大温度差をΔTAとして表し、端子周りの平均温度をTt、TtとTAとの温度差をΔTとした。
【0034】
実施例1:
製造条件:
a)図1に示すように、抵抗発熱体3としてタングステン箔を1400Wに相当する渦巻き状のパターンに加工した。
b)直径200mm×厚さ10mmのAlN焼結体基材2に抵抗発熱体3を収納する発熱体収納部2b及び端子挿入孔4を加工した。
c)直径200mm×厚さ7mmのAlN焼結体蓋体6にY2O3とAlNからなる接合剤8を塗布し、大気中600℃で脱脂した。
d)AlN焼結体基材2に抵抗発熱体3と図3に示す形状の端子5(直径2.5×長さ10mm、面取りR0.4、縮径比0.46)を組込み、接合剤を塗布したAlN焼結体蓋体6と合わせてホットプレスによって1800℃、0.1トン/cm2の圧力で接合、一本化した。
e)上記d)によって得られたものを形状加工し、直径190mm×厚さ8mの円盤状AlNヒータを得た。
【0035】
実施例2:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えて図4に示す形状の端子(直径2.5×長さ10mm、面取りC0.4、縮径比0.46)を用いた。
【0036】
実施例3:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えて図5に示す形状の端子(直径2.5×長さ10mm、開き角度2°、縮径比0.36)を用いた。
【0037】
比較例1:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、面取りR0.7、縮径比0.19)を用いた。
【0038】
比較例2:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、面取りR0.1縮径比0.85)を用いた。
【0039】
比較例3:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、面取りC0.7縮径比0.19)を用いた。
【0040】
比較例4:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、面取りC0.1縮径比0.85)を用いた。
【0041】
比較例5:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えた端子(直径2.5×長さ10mm、開き角度4°、縮径比0.19)を用いた。
【0042】
従来例1:
実施例1と同様にして製造し、端子は、上記実施例1の端子に代えて端子(直径2.5×長さ10mm、縮径なし(縮径比1))を用いた。
【0043】
試験結果: 表1に示す。
【表1】
【0044】
表1からも明らかなように、実施例1〜3は、いずれも異常発熱等は認められず、端子先端とタングステン箔との接合も良好であった。
【0045】
これに対して、縮径比が所定範囲0.3〜0.8よりも小さくいずれも0.19である比較例1、3、5は、接合後の接合部の破損により加熱が不可能であった。また、縮径比が所定範囲0.3〜0.8よりも大きいいずれも0.85である比較例2、4は、端子接合部に異常発熱が見られたため、加熱を中止した。さらに、縮径を行わない(縮径比1)従来例は、600℃まで昇温した時点でΔT0≒40℃となり、そのまま700℃付近まで加熱を続けたところ、端子部とその周辺の温度差による熱応力でヒータにクラックが発生したため加熱を中止した。SEMによる断面観察では、箔と端子先端の接合部には隙間が存在し、強固に圧着されていないことがわかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明に係わるAlNヒータによれば、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータを提供することができる。
【0047】
また、本発明に係わるAlNヒータの製造方法によれば、AlNヒータの信頼性を向上させることができる端子が設けられたAlNヒータの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるAlNヒータの縦断面。
【図2】図1における端子部分を拡大して示す縦断面図。
【図3】(a)は本発明に係わるAlNヒータに用いられる端子の第一実施形態の側面図であり、(b)はその底面図。
【図4】(a)は本発明に係わるAlNヒータに用いられる端子の第二実施形態の側面図であり、(b)はその底面図。
【図5】(a)は本発明に係わるAlNヒータに用いられる端子の第三実施形態の側面図であり、(b)はその底面図。
【図6】実施例における試験において、本発明に係わるAlNヒータの端子位置を示す概念図。
【符号の説明】
1 AlNヒータ
2 AlN焼結体基材
2a 一面側
2b 発熱体収納部
2c 他面側
3 抵抗発熱体
4 端子挿入孔
5 端子
5a 接合面
6 AlN焼結体蓋体
Claims (6)
- AlN焼結体基材と、このAlN焼結体基材の一面側に設けられた抵抗発熱体と、前記AlN基材に設けられ他面側から前記一面側に連通された端子挿入孔と、この端子挿入孔に嵌合され抵抗発熱体に接合された金属製の端子と、前記抵抗発熱体を覆うように前記AlN基材に取付けられたAlN焼結体蓋体とを有し、前記端子は、ほぼ円柱形状をなし、前記抵抗発熱体との接合面が縮径されていることを特徴とするAlNヒータ。
- 上記端子は、抵抗発熱体との接合面周囲がR面取りされて縮径されていることを特徴とする請求項1に記載のAlNヒータ。
- 上記端子は、抵抗発熱体との接合面周囲がC面取りされて縮径されていることを特徴とする請求項1に記載のAlNヒータ。
- 上記端子は、截頭円錐形状に形成されて抵抗発熱体との接合面が縮径されていることを特徴とする請求項1に記載のAlNヒータ。
- 上記端子は、その縮径比が、0.3〜0.8であることを特徴とする請求項2ないし3のいずれか1項に記載のAlNヒータ。
- 発熱体収納部及び端子挿入孔を設けたAlN焼結体基材を用意し、発熱体収納部には抵抗発熱体を、端子挿入孔にはほぼ円柱形状をなし抵抗発熱体との接合面を縮径した端子をそれぞれ収納し、接合剤を塗布したAlN焼結体蓋体をAlN焼結体基板に合せ、ホットプレスにより加圧し、一体化することを特徴とするAlNヒータの製造方法。
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-
2002
- 2002-08-28 JP JP2002249123A patent/JP2004087392A/ja active Pending
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