JP2004083862A - 非水系インク組成物及びその製造方法 - Google Patents
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- C09D11/30—Inkjet printing inks
- C09D11/36—Inkjet printing inks based on non-aqueous solvents
Abstract
【課題】低粘度のインク組成物を、特殊加工が施されていない記録紙、いわゆる普通紙に対しても、裏抜けが少なくかつ画像滲みの少ない、高品位な画像形成が可能なものとする。
【解決手段】溶剤、着色顔料、分散剤を含み、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物であって、記録紙への印刷時に着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する実質的に着色能を有さない固体粒子を含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】溶剤、着色顔料、分散剤を含み、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物であって、記録紙への印刷時に着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する実質的に着色能を有さない固体粒子を含有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録を行うプリンタに供するインク組成物に関し、特に低粘度の非水系インク組成物、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録システムは、流動性の高い液体インクを微細なノズルから噴射し、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷システムであり、比較的安価な装置で高解像度、高品位の画像を、高速かつ低騒音で印刷可能という特徴を有し、最近急速に普及しつつあるシステムである。
【0003】
このインクジェット記録システムに用いられるインクは、大きく水系タイプインクと非水系タイプインクに分けられる。水系タイプインクは、水溶性染料をグリコール系溶剤と水等に溶解したものであり、耐光性や画像滲み等を向上させるため、固体の顔料をグリコール系溶剤と水等に分散させたものも用いられる。さらに、高速で印字するためにはインク液吐出速度が速い方がよいため、このインク液吐出速度を早くするために水性溶剤にシリカ粒子を添加することが提案されている(特許文献1)。しかし、いずれにしても水系タイプインクは一般的に耐水性が悪いという問題がある。
【0004】
これに対し、非水系タイプインクは耐水性に優れているという利点を有しており、この非水系タイプインクは、揮発性溶剤を主体とする溶剤系インクと、不揮発性溶剤を主体とするオイル系インクに分けられる。特に後者のオイル系インクは、ノズルの目詰まりが生じにくいため印刷中のクリーニングの回数が少なくて済むといった特徴を有し、高速インクジェットプリンタ用インクとしてより適したものである。オイル系インクは溶剤に溶解する染料を着色剤として用いると、インク滲みや裏抜け等が発生するという問題が生じるため、顔料を着色剤として用いるとともに、この顔料の分散性を向上させることによってノズルの目詰まりを抑制している。顔料の分散性を向上させる方法としては、例えばシリカ粒子表面に着色顔料を物理的に結合させることが提案されている(特許文献2)。
【0005】
また、孔版印刷原紙を用いて製版を行い、原紙に形成された穿孔部からインクを供給して紙などの被印刷体に印刷を行う孔版印刷の分野では、多孔性支持体の一方の面上に、多孔性樹脂膜を塗工した孔版原紙を使用し、非画線部に対応する多孔性樹脂膜の孔を閉塞させてインキ非透過部を形成させる孔版印刷システム(特願2001−283600号)、あるいは非弾性樹脂フィルムからなる微多孔性孔版原紙を用いた孔版印刷システム(特許文献3)が提案されている。これらの孔版印刷システムは、低粘度インクを使用することによって、インクの乾燥性を従来のシステムより飛躍的に向上できることから大きな注目を集めている(以下、これらの低粘度インクを使用する孔版システムを低粘度孔版システムという)。
【0006】
このような低粘度孔版システムに用いられるインクとしては、水系タイプインク、油中水系エマルションタイプインクや非水系タイプインクがあるが、版や印刷ドラムでインクが乾燥し目詰まりが発生しにくいという理由から、オイル系インクが選択されることが多い。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−117562号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2003−49096号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002−2140号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のインクジェット記録システムや低粘度孔版システムは、いずれも低粘度インクの使用が必要であり、紙などのように浸透性がある記録媒体(以下、記録紙という)に画像を形成した場合、インクの粘度が低いことに起因して、記録紙の裏側近くまで色材が移動し、裏側から画像が透けて見える、いわゆる裏抜けが発生するという問題がある。特に紙の繊維間の空隙が大きい普通紙では色材が移動しやすいため、この傾向が顕著である。
【0011】
このような問題を解決するために、記録紙の表面に顔料等を塗工するなどの特殊な加工を施すことによって色材を記録紙表面に留め、裏抜けを低減させる方法が提案されているが、このような特殊な加工を施した塗工紙やインクジェット専用紙などの使用は印刷コストが高くなるといった問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、耐水性に優れ、特殊加工が施されていない記録紙、いわゆる普通紙に対しても、裏抜けが少なくかつ画像滲みの少ない、高品位な画像形成が可能な低粘度のインク組成物を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の非水系インク組成物は、少なくとも溶剤、着色顔料、分散剤を含み、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物であって、記録紙への印刷時に前記着色顔料が前記記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する実質的に着色能を有さない固体粒子を含有したことを特徴とするものである。
【0014】
記録紙への印刷時に前記着色顔料が前記記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する実質的に着色能を有さない固体粒子とは、インクが記録紙内部に浸透する過程において、記録紙の繊維に留まってインクに含有されている着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止し、かつそれ自体は記録紙を着色する機能を有さない固体粒子であることを意味する。従って、そのような機能を有していればその形状は必ずしも粒子状である必要はなく、例えば微細な繊維状であってもよい。但し、固体粒子が着色顔料と結合していると、結合した着色顔料によってシリカ粒子間の相互作用が妨害され、用紙の繊維空隙に残ったインクの増粘効果が発生せず、繊維空隙に残ったインクが用紙の裏面に抜けてしまうため着色顔料と結合している固体粒子は除かれる。
【0015】
固体粒子としては、例えば、シリカ粒子であることが好ましい。シリカ粒子は、インク組成物中に1〜10重量%含有することがより好ましい。また、その場合、シリカ粒子の平均粒子径は300nm以下であることが望ましい。さらに、前記シリカ粒子の平均粒子径は前記着色顔料の平均粒子径の0.1〜10倍であることが好ましい。
【0016】
本発明の非水系インク組成物は、前記溶剤と前記分散剤と前記シリカ粒子を含み、前記着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、前記溶剤と前記分散剤と前記着色顔料を含み、前記シリカ粒子を含まない着色顔料分散液とを混合して得られることが好ましい。この場合、前記シリカ粒子分散液に含まれる前記分散剤がポリエステルアミン系の高分子分散剤であり、かつ前記シリカ粒子に対する前記ポリエステルアミン系の高分子分散剤の含有量が重量比で0.1以上であることが好ましい。
【0017】
本発明の非水系インク組成物の製造方法は、前記溶剤と前記分散剤と前記シリカ粒子を含み、前記着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、前記溶剤と前記分散剤と前記着色顔料を含み、前記シリカ粒子を含まない着色顔料分散液とをそれぞれ調製した後、前記シリカ粒子分散液と前記着色顔料分散液を混合することを特徴とするものである。
【0018】
【発明の効果】
裏抜けは、インク中に含有される色材が記録紙の記録表面から裏面に移動し易いほど発生し易い。特に、粘度が低くかつ顔料粒子が小さく分散された印刷・記録用インクや、繊維間の空隙が大きい普通紙では裏抜けが顕著である。
【0019】
本発明の非水系インク組成物は、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物において、記録紙への印刷時に着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する、実質的に着色能を有さない固体粒子を含有したので、インクが記録紙内部に浸透する過程において、固体粒子が記録紙の繊維に留まってインクに含有されている着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止し、かつそれ自体は記録紙を着色する機能を有さないため、裏抜けを効果的に防止することが可能となる。また、記録紙表面上では、着色顔料が記録紙の水平方向にも移動するが、固体粒子が記録紙の繊維に留まっていることによって、着色顔料の水平方向への移動も阻止することが可能となるため、画像の滲みも低減させることが可能となり高品位な印刷物を得ることができる。
【0020】
特に、本発明の非水系インク組成物は固体粒子が着色顔料と結合していないため、インクが用紙に転移すると溶剤の大部分が用紙の繊維に吸収され、繊維空隙間にはシリカ粒子(固体)の割合が大きくなったインクが残る。このような状態になると、シリカ粒子間の相互作用(シラノール基の水素架橋結合)によりインク粘度が増大し、用紙の繊維空隙を通り抜けてインクが裏面へ抜けることが抑制され、裏抜けを効果的に防止することが可能となる。
【0021】
なお、固体粒子として、シリカ粒子を用いた場合、インク組成物中に1〜10重量%含有することによって、上記裏抜けを効果的に防止することが可能となるとともに、インクジェット記録システムや低粘度孔版システムにおいて画像滲みの少ない、高品位な画像形成が可能となる。
【0022】
また、その場合、シリカ粒子の平均粒子径を300nm以下とすることによって、さらにシリカ粒子の平均粒子径を着色顔料の平均粒子径の0.1〜10倍とすることによって、上記裏抜けをさらに効果的に防止することが可能となる。
【0023】
なお、本発明の非水系インク組成物を、前記溶剤と前記分散剤と前記シリカ粒子を含み、前記着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、前記溶剤と前記分散剤と前記着色顔料を含み、前記シリカ粒子を含まない着色顔料分散液とをそれぞれ調製した後、前記シリカ粒子分散液と前記着色顔料分散液を混合して得ると、非水系インク組成物中のシリカ粒子と着色顔料の粒子の大きさをそれぞれ制御することが容易となり、裏抜けや画像の滲みの抑制効果をより得やすくなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の非水系インク組成物は、少なくとも溶剤、着色顔料、分散剤を含み、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物であって、所定の固体粒子を含有したものである。
【0025】
固体粒子としては、例えばシリカ、白土、タルク、クレー、ケイソウ土、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等の無機微粒子のほか、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機微粒子またはこれらの共重合体からなる微粒子などが用いられる。これらの 固体粒子は、使用する溶剤に対してぬれ性が高いものであることが望ましいが、分散剤を適宜選択することによってぬれ性が低いものであっても用いることができる。
【0026】
上記の固体粒子は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である。固体粒子の添加量は、固体粒子の種類によって異なるが、例えば、シリカ粒子の場合にはインク組成物全体に対して1〜10重量%の範囲、より好ましくは1〜7重量%、さらには1〜4重量%含有させることが望ましい。
【0027】
1重量%未満の場合には、着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する効果が少なくなるため、裏抜け防止効果が低減する。一方、添加量は多い方が裏抜けの低減効果が大きいが、あまりに多く添加するとインク粘度が増大し、インクジェット記録システムにおいてはヘッドからのインク吐出が困難となったり、孔版システムでは孔版原紙のインク透過性が悪くなって、画像形成不良が発生する。また、シリカ粒子の添加量があまりに多いと、特に静置状態におけるインク粘度が増大し、チキソトロピー性が増大する。このチキソトロピー性とは、粒径1μm〜1nmのコロイド粒子と呼ばれる微粒子を液体に分散させることにより発現するもので、この分散液に加わるずり応力が静置状態などのように小さいときは粘度が増大し、攪拌したときなどのようにずり応力が大きいときは粘度が低下する性質である。特に、インクジェット記録システムにおいては、インク粘度とインク吐出量および吐出速度には密接な関係があり、インクにチキソトロピー性が発現すると、インクの置かれた環境、状況によってインクの粘度が変化して、安定したインク吐出ができなくなる。よって、インクにチキソトロピー性を発現させない程度、より具体的には、ずり応力10(1/s)での粘度がずり応力100(1/s)での2倍以内とすることによって、インクの置かれた環境に関係なく、安定した画像形成を行うことが可能となる。なお、後述する極性溶剤を適宜選択することによって、さらには、後述する分散剤を適宜選択することによって、チキソトロピー性を発現させずに、より多くのシリカ粒子を添加することが可能となる。このような手法をとった場合でも、10重量%よりもあまりに多くシリカ粒子を添加するとチキソトロピー性が発現するため好ましくない。従って、シリカ粒子以外の固体粒子を用いる場合には、これらの観点から添加量を調整することが可能である。
【0028】
シリカ粒子の場合、記録紙の種類によって多少異なるが、インク中のシリカ粒子の平均粒子径を300nm以下とすることによってより裏抜けを低減させることができる。シリカ粒子の平均粒子径は300nm以下とすることが好ましく、より好ましくは200nm以下、さらには150nm以下であることが望ましい。
【0029】
また、シリカ粒子の平均粒子径は着色顔料の平均粒子径の0.1〜10倍であることが好ましい。シリカ粒子の平均粒子径が着色顔料の平均粒子径の0.1倍よりも小さい場合、あるいはシリカ粒子の平均粒子径が着色顔料の平均粒子径の10倍よりも大きい場合には裏抜けが起こりやすくなる。
【0030】
本発明の非水系インク組成物に用いる溶剤は、極性溶剤であっても、非極性溶剤であってもよく、極性溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤およびこれらの混合溶剤等を用いることができる。極性溶剤は、非極性溶剤と混合した時に、単一の相となるものから選択される。
【0031】
具体的には、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2エチルヘキサン酸グリセリルなどのエステル系溶剤、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどのアルコール系溶剤、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸系溶剤、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤があげられる。
【0032】
非極性溶剤としては、ナフテン系溶剤、パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤等の非極性溶剤があげられる。具体的には、エクソン社のIsoparG、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxolD40,ExxolD80、ExxolD100、ExxolD130、ExxolD140、日本石油社のAF−4、AF−5,AF−6,AF−7、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、サン石油社のサンセン、サンパー等を好ましくあげることができる。
【0033】
上記の溶剤は、例えば、極性溶剤あるいは非極性溶剤をそれぞれ単独で、あるいはそれぞれから2種類以上を適宜選択して用いてもよいし、極性溶剤と非極性溶剤を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0034】
分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
【0035】
分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイドリン酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイドリン酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen(高分子量不飽和酸エステル)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
【0036】
また、EfkaCHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローレンDOPA−15B(アクリルオリゴマー)」、「フローレンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」「DA−703−50(ポリエステル酸アマイドアミン塩)」が挙げられる。
【0037】
さらに、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS.C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、アビシア社製「ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、22000、24000、28000」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−O(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等があげられる。
【0038】
着色顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などの従来公知の顔料を特に限定することなく用いることができる。
【0039】
上記顔料は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能であり、インク組成物全体に対して0.01〜20重量%の範囲で含有させることが望ましい。
【0040】
本発明の非水系インク組成物は、従来公知の製造方法によって製造することが可能であるが、シリカ粒子と着色顔料を別々に分散液として調製した後に、これを混合することによって、シリカ粒子と着色顔料が物理的に結合していない状態の非水系インク組成物とすることができる。すなわち、溶剤と分散剤とシリカ粒子を含み、着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、溶剤と分散剤と着色顔料を含み、シリカ粒子を含まない着色顔料分散液をそれぞれ調製し、その後これを混合して非水系インク組成物を得ることが好ましい。なお、固体粒子や着色顔料は、ビーズミル等の従来公知の分散手段によって分散することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
植物性脂肪酸エステル溶剤8重量部に分散剤としてソルスパース13940(ポリエステルアミン系の高分子分散剤:アビシア社製)を3重量部溶解し、カーボンブラック(MA−8:三菱化学社製)5重量部を添加してプレミックスした。その後ビーズミルにて滞留時間約20分間で分散し、顔料分散液を得た。一方、植物性脂肪酸エステル溶剤56重量部、ナフテン系溶剤20重量部を混合し、これに分散剤としてソルスパース13940を4重量部溶解し、さらにシリカ粒子としてアエロジェルR972(日本アエロジル社製)4重量部を添加してプレミックスし、その後、ビーズミルにて滞留時間約20分間で分散し、シリカ分散液を得た。得られた顔料分散液とシリカ分散液を混合してインクを得た。
【0042】
(実施例2)
シリカ粒子としてアエロジェルRY200(日本アエロジル社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0043】
(実施例3)
シリカ粒子としてアエロジェルR812(日本アエロジル社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0044】
(実施例4)
シリカ粒子としてアエロジェルOX50(日本アエロジル社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0045】
(実施例5)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりにした以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0046】
(実施例6)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりにした以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0047】
(実施例7)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりにした以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0048】
(実施例8)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりとし、顔料をピグメントイエロー(大日精化社製)に換えた以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0049】
(実施例9)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりとした以外は実施例3と同様にしてインクを得た。
【0050】
(実施例10)
シリカ分散液の滞留時間を60分とした以外は実施例8と同様にしてインクを得た。
【0051】
(比較例1)
実施例1と同様にして得た顔料分散液に、植物性脂肪酸エステル62重量部、ナフテン系溶剤20重量部を混合しインクを得た。
【0052】
(比較例2)
シリカ粒子としてアエロジェルR972を用い、シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりにした以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0053】
(比較例3)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりとした以外は実施例3と同様にしてインクを得た。
【0054】
実施例1〜10、比較例1および3のインクの配合、およびインク粘度、顔料粒子径、シリカ粒子径をまとめたものを表1に示す。
【0055】
【表1】
表1に記載したインク粘度、顔料粒子径およびシリカ粒子径は以下のように測定した。
【0056】
<インク粘度の測定>
ハーケ社製レオメータRS75を使用し、直径6cmコーンを用いて、23℃において、60秒間でずり応力を0.7〜100(1/s)まで上昇させたときの、ずり応力が100(1/s)のときの粘度を測定した。
【0057】
<顔料粒子径の測定>
顔料濃度が0.1%となるように顔料分散液を溶剤で希釈し、これを普通紙(理想科学工業社製「理想用紙厚口S」)に印字し、印字部分を走査型電子顕微鏡で観察し、紙の繊維上に観察できる顔料粒子を任意に100個選び、顔料粒子の直径(長さが最も長くなる方向)を測定し、その平均値を粒子径とした。
【0058】
<シリカ粒子径の測定>
顔料粒子径と同様に、シリカ濃度が0.1%となるようにシリカ分散液を溶剤で希釈し、これを普通紙(理想科学工業社製「理想用紙厚口S」)に印字し、印字部分を走査型電子顕微鏡で観察し、紙の繊維上に観察できるシリカ粒子を任意に100個選び、シリカ粒子の直径(長さが最も長くなる方向)を測定し、その平均値を粒子径とした。
【0059】
(評価方法)
<インクジェットシステムによる裏抜けおよび画像性>
普通紙(理想科学工業社製「理想用紙厚口S」)に、2cm角のベタをインクジェットにより印刷し、24時間放置後、ベタ部の裏側をOD計(マクベス社製)で測定し、以下のように評価した。
○:OD値が0.13未満
△:OD値が0.13以上0.20未満
×:OD値が0.20以上
また、画像性を以下のように評価した。
○:画像のかすれなし
×:画像のかすれ発生(インク吐出不良)
【0060】
<低粘度孔版システムによる裏抜けおよび画像性>
多孔性支持体(和紙)の一方の面上に、平均気孔径5.2μm、密度0.39g/cm3 である多孔性樹脂層を有する孔版原紙を用いて、デジタル孔版印刷機(RP3790:理想科学工業社製)を使用して、普通紙(理想科学工業社製「理想用紙厚口S」)に印刷し、24時間放置後、ベタ部の裏側をOD計(マクベス社製)で測定し、以下のように評価した。
○:OD値が0.13未満
△:OD値が0.13以上0.20未満
×:OD値が0.20以上
また、画像性を以下のように評価した。
○:画像のかすれなし
×:画像のかすれ発生(インク転移不良)
以上の評価方法により実施例1〜実施例8および比較例1および2のインクを評価した。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
表2から明らかなように、実施例1〜10のインク組成物は、23℃における粘度が30mPa・s以下であるため、インクジェット記録システムや低粘度孔版システムに用いても、ヘッドからのインク吐出が困難となったり、孔版原紙のインク透過性が悪くなって、画像形成不良が発生するといった問題が生じることがなく、固体粒子としてシリカ粒子を含有したので、裏抜けを効果的に防止することが可能となった。
【0063】
また、記録紙表面上では、固体粒子が記録紙の繊維に留まっていることによって、着色顔料の水平方向への移動も阻止することができるため、画像の滲みも低減することが可能となり高品位な印刷物を得ることができた。実際、印刷物の断面を光学顕微鏡で観察すると、シリカ粒子を添加した実施例1〜10では、シリカ粒子を含有していない比較例1に比べて、着色顔料の紙裏側への移動量が少ないことが観察された。また、この効果は顔料粒子径の大きさに関係なく認められた。なお、シリカ粒子の添加量は、多い方が裏抜けの低減効果が大きいものの、添加量を15重量部とした比較例2では、インク粘度が増大し(38mPa・s)、インクジェット記録システムにおいてはヘッドからのインク吐出が困難となり、孔版システムでは孔版原紙のインク透過性が困難となった。比較例3では、ポリエステルアミン系の高分子分散剤の含有量がシリカ粒子に対して重量比で0.05と少ないために、シリカ粒子の分散状態が安定したシリカ分散液が得られなかった。
【0064】
シリカ粒子の平均粒子径は、概ね300nm以下であると裏抜け低減効果、画像形成が良好である。なお、実施例5では、平均粒子径が300nm以下であるが、裏抜けが若干認められた。これは、シリカ粒子の添加量が0.5重量部と低いためである。また、実施例10でも、平均粒子径が300nm以下であるのに裏抜けが若干認められたが、これはシリカ粒子の平均粒子径が着色顔料の粒子径の0.1倍未満のためである。
【0065】
以上のように、本発明のインク組成物は、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物において、記録紙への印刷時に着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する実質的に着色能を有さない固体粒子を含有したので、インクが記録紙内部に浸透する過程において、固体粒子が記録紙の繊維に留まってインクに含有されている着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止し、かつ固体粒子自体は記録紙を着色する機能を有さないため、裏抜けを効果的に防止することが可能となった。
【0066】
なお、本発明の非水系インク組成物は、溶剤、着色顔料、分散剤、固体粒子以外の、例えば各種添加剤を含有していてもよく、さらに、実施例では固体粒子としてシリカ粒子を用いたが、これ以外の固体粒子を用いても同様に、本発明の裏抜け低減効果や、画像滲みのない高品位な画像形成を実現することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録を行うプリンタに供するインク組成物に関し、特に低粘度の非水系インク組成物、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録システムは、流動性の高い液体インクを微細なノズルから噴射し、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷システムであり、比較的安価な装置で高解像度、高品位の画像を、高速かつ低騒音で印刷可能という特徴を有し、最近急速に普及しつつあるシステムである。
【0003】
このインクジェット記録システムに用いられるインクは、大きく水系タイプインクと非水系タイプインクに分けられる。水系タイプインクは、水溶性染料をグリコール系溶剤と水等に溶解したものであり、耐光性や画像滲み等を向上させるため、固体の顔料をグリコール系溶剤と水等に分散させたものも用いられる。さらに、高速で印字するためにはインク液吐出速度が速い方がよいため、このインク液吐出速度を早くするために水性溶剤にシリカ粒子を添加することが提案されている(特許文献1)。しかし、いずれにしても水系タイプインクは一般的に耐水性が悪いという問題がある。
【0004】
これに対し、非水系タイプインクは耐水性に優れているという利点を有しており、この非水系タイプインクは、揮発性溶剤を主体とする溶剤系インクと、不揮発性溶剤を主体とするオイル系インクに分けられる。特に後者のオイル系インクは、ノズルの目詰まりが生じにくいため印刷中のクリーニングの回数が少なくて済むといった特徴を有し、高速インクジェットプリンタ用インクとしてより適したものである。オイル系インクは溶剤に溶解する染料を着色剤として用いると、インク滲みや裏抜け等が発生するという問題が生じるため、顔料を着色剤として用いるとともに、この顔料の分散性を向上させることによってノズルの目詰まりを抑制している。顔料の分散性を向上させる方法としては、例えばシリカ粒子表面に着色顔料を物理的に結合させることが提案されている(特許文献2)。
【0005】
また、孔版印刷原紙を用いて製版を行い、原紙に形成された穿孔部からインクを供給して紙などの被印刷体に印刷を行う孔版印刷の分野では、多孔性支持体の一方の面上に、多孔性樹脂膜を塗工した孔版原紙を使用し、非画線部に対応する多孔性樹脂膜の孔を閉塞させてインキ非透過部を形成させる孔版印刷システム(特願2001−283600号)、あるいは非弾性樹脂フィルムからなる微多孔性孔版原紙を用いた孔版印刷システム(特許文献3)が提案されている。これらの孔版印刷システムは、低粘度インクを使用することによって、インクの乾燥性を従来のシステムより飛躍的に向上できることから大きな注目を集めている(以下、これらの低粘度インクを使用する孔版システムを低粘度孔版システムという)。
【0006】
このような低粘度孔版システムに用いられるインクとしては、水系タイプインク、油中水系エマルションタイプインクや非水系タイプインクがあるが、版や印刷ドラムでインクが乾燥し目詰まりが発生しにくいという理由から、オイル系インクが選択されることが多い。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−117562号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2003−49096号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2002−2140号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のインクジェット記録システムや低粘度孔版システムは、いずれも低粘度インクの使用が必要であり、紙などのように浸透性がある記録媒体(以下、記録紙という)に画像を形成した場合、インクの粘度が低いことに起因して、記録紙の裏側近くまで色材が移動し、裏側から画像が透けて見える、いわゆる裏抜けが発生するという問題がある。特に紙の繊維間の空隙が大きい普通紙では色材が移動しやすいため、この傾向が顕著である。
【0011】
このような問題を解決するために、記録紙の表面に顔料等を塗工するなどの特殊な加工を施すことによって色材を記録紙表面に留め、裏抜けを低減させる方法が提案されているが、このような特殊な加工を施した塗工紙やインクジェット専用紙などの使用は印刷コストが高くなるといった問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、耐水性に優れ、特殊加工が施されていない記録紙、いわゆる普通紙に対しても、裏抜けが少なくかつ画像滲みの少ない、高品位な画像形成が可能な低粘度のインク組成物を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の非水系インク組成物は、少なくとも溶剤、着色顔料、分散剤を含み、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物であって、記録紙への印刷時に前記着色顔料が前記記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する実質的に着色能を有さない固体粒子を含有したことを特徴とするものである。
【0014】
記録紙への印刷時に前記着色顔料が前記記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する実質的に着色能を有さない固体粒子とは、インクが記録紙内部に浸透する過程において、記録紙の繊維に留まってインクに含有されている着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止し、かつそれ自体は記録紙を着色する機能を有さない固体粒子であることを意味する。従って、そのような機能を有していればその形状は必ずしも粒子状である必要はなく、例えば微細な繊維状であってもよい。但し、固体粒子が着色顔料と結合していると、結合した着色顔料によってシリカ粒子間の相互作用が妨害され、用紙の繊維空隙に残ったインクの増粘効果が発生せず、繊維空隙に残ったインクが用紙の裏面に抜けてしまうため着色顔料と結合している固体粒子は除かれる。
【0015】
固体粒子としては、例えば、シリカ粒子であることが好ましい。シリカ粒子は、インク組成物中に1〜10重量%含有することがより好ましい。また、その場合、シリカ粒子の平均粒子径は300nm以下であることが望ましい。さらに、前記シリカ粒子の平均粒子径は前記着色顔料の平均粒子径の0.1〜10倍であることが好ましい。
【0016】
本発明の非水系インク組成物は、前記溶剤と前記分散剤と前記シリカ粒子を含み、前記着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、前記溶剤と前記分散剤と前記着色顔料を含み、前記シリカ粒子を含まない着色顔料分散液とを混合して得られることが好ましい。この場合、前記シリカ粒子分散液に含まれる前記分散剤がポリエステルアミン系の高分子分散剤であり、かつ前記シリカ粒子に対する前記ポリエステルアミン系の高分子分散剤の含有量が重量比で0.1以上であることが好ましい。
【0017】
本発明の非水系インク組成物の製造方法は、前記溶剤と前記分散剤と前記シリカ粒子を含み、前記着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、前記溶剤と前記分散剤と前記着色顔料を含み、前記シリカ粒子を含まない着色顔料分散液とをそれぞれ調製した後、前記シリカ粒子分散液と前記着色顔料分散液を混合することを特徴とするものである。
【0018】
【発明の効果】
裏抜けは、インク中に含有される色材が記録紙の記録表面から裏面に移動し易いほど発生し易い。特に、粘度が低くかつ顔料粒子が小さく分散された印刷・記録用インクや、繊維間の空隙が大きい普通紙では裏抜けが顕著である。
【0019】
本発明の非水系インク組成物は、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物において、記録紙への印刷時に着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する、実質的に着色能を有さない固体粒子を含有したので、インクが記録紙内部に浸透する過程において、固体粒子が記録紙の繊維に留まってインクに含有されている着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止し、かつそれ自体は記録紙を着色する機能を有さないため、裏抜けを効果的に防止することが可能となる。また、記録紙表面上では、着色顔料が記録紙の水平方向にも移動するが、固体粒子が記録紙の繊維に留まっていることによって、着色顔料の水平方向への移動も阻止することが可能となるため、画像の滲みも低減させることが可能となり高品位な印刷物を得ることができる。
【0020】
特に、本発明の非水系インク組成物は固体粒子が着色顔料と結合していないため、インクが用紙に転移すると溶剤の大部分が用紙の繊維に吸収され、繊維空隙間にはシリカ粒子(固体)の割合が大きくなったインクが残る。このような状態になると、シリカ粒子間の相互作用(シラノール基の水素架橋結合)によりインク粘度が増大し、用紙の繊維空隙を通り抜けてインクが裏面へ抜けることが抑制され、裏抜けを効果的に防止することが可能となる。
【0021】
なお、固体粒子として、シリカ粒子を用いた場合、インク組成物中に1〜10重量%含有することによって、上記裏抜けを効果的に防止することが可能となるとともに、インクジェット記録システムや低粘度孔版システムにおいて画像滲みの少ない、高品位な画像形成が可能となる。
【0022】
また、その場合、シリカ粒子の平均粒子径を300nm以下とすることによって、さらにシリカ粒子の平均粒子径を着色顔料の平均粒子径の0.1〜10倍とすることによって、上記裏抜けをさらに効果的に防止することが可能となる。
【0023】
なお、本発明の非水系インク組成物を、前記溶剤と前記分散剤と前記シリカ粒子を含み、前記着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、前記溶剤と前記分散剤と前記着色顔料を含み、前記シリカ粒子を含まない着色顔料分散液とをそれぞれ調製した後、前記シリカ粒子分散液と前記着色顔料分散液を混合して得ると、非水系インク組成物中のシリカ粒子と着色顔料の粒子の大きさをそれぞれ制御することが容易となり、裏抜けや画像の滲みの抑制効果をより得やすくなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の非水系インク組成物は、少なくとも溶剤、着色顔料、分散剤を含み、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物であって、所定の固体粒子を含有したものである。
【0025】
固体粒子としては、例えばシリカ、白土、タルク、クレー、ケイソウ土、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等の無機微粒子のほか、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機微粒子またはこれらの共重合体からなる微粒子などが用いられる。これらの 固体粒子は、使用する溶剤に対してぬれ性が高いものであることが望ましいが、分散剤を適宜選択することによってぬれ性が低いものであっても用いることができる。
【0026】
上記の固体粒子は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である。固体粒子の添加量は、固体粒子の種類によって異なるが、例えば、シリカ粒子の場合にはインク組成物全体に対して1〜10重量%の範囲、より好ましくは1〜7重量%、さらには1〜4重量%含有させることが望ましい。
【0027】
1重量%未満の場合には、着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する効果が少なくなるため、裏抜け防止効果が低減する。一方、添加量は多い方が裏抜けの低減効果が大きいが、あまりに多く添加するとインク粘度が増大し、インクジェット記録システムにおいてはヘッドからのインク吐出が困難となったり、孔版システムでは孔版原紙のインク透過性が悪くなって、画像形成不良が発生する。また、シリカ粒子の添加量があまりに多いと、特に静置状態におけるインク粘度が増大し、チキソトロピー性が増大する。このチキソトロピー性とは、粒径1μm〜1nmのコロイド粒子と呼ばれる微粒子を液体に分散させることにより発現するもので、この分散液に加わるずり応力が静置状態などのように小さいときは粘度が増大し、攪拌したときなどのようにずり応力が大きいときは粘度が低下する性質である。特に、インクジェット記録システムにおいては、インク粘度とインク吐出量および吐出速度には密接な関係があり、インクにチキソトロピー性が発現すると、インクの置かれた環境、状況によってインクの粘度が変化して、安定したインク吐出ができなくなる。よって、インクにチキソトロピー性を発現させない程度、より具体的には、ずり応力10(1/s)での粘度がずり応力100(1/s)での2倍以内とすることによって、インクの置かれた環境に関係なく、安定した画像形成を行うことが可能となる。なお、後述する極性溶剤を適宜選択することによって、さらには、後述する分散剤を適宜選択することによって、チキソトロピー性を発現させずに、より多くのシリカ粒子を添加することが可能となる。このような手法をとった場合でも、10重量%よりもあまりに多くシリカ粒子を添加するとチキソトロピー性が発現するため好ましくない。従って、シリカ粒子以外の固体粒子を用いる場合には、これらの観点から添加量を調整することが可能である。
【0028】
シリカ粒子の場合、記録紙の種類によって多少異なるが、インク中のシリカ粒子の平均粒子径を300nm以下とすることによってより裏抜けを低減させることができる。シリカ粒子の平均粒子径は300nm以下とすることが好ましく、より好ましくは200nm以下、さらには150nm以下であることが望ましい。
【0029】
また、シリカ粒子の平均粒子径は着色顔料の平均粒子径の0.1〜10倍であることが好ましい。シリカ粒子の平均粒子径が着色顔料の平均粒子径の0.1倍よりも小さい場合、あるいはシリカ粒子の平均粒子径が着色顔料の平均粒子径の10倍よりも大きい場合には裏抜けが起こりやすくなる。
【0030】
本発明の非水系インク組成物に用いる溶剤は、極性溶剤であっても、非極性溶剤であってもよく、極性溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤およびこれらの混合溶剤等を用いることができる。極性溶剤は、非極性溶剤と混合した時に、単一の相となるものから選択される。
【0031】
具体的には、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2エチルヘキサン酸グリセリルなどのエステル系溶剤、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどのアルコール系溶剤、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸系溶剤、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤があげられる。
【0032】
非極性溶剤としては、ナフテン系溶剤、パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤等の非極性溶剤があげられる。具体的には、エクソン社のIsoparG、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxolD40,ExxolD80、ExxolD100、ExxolD130、ExxolD140、日本石油社のAF−4、AF−5,AF−6,AF−7、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、サン石油社のサンセン、サンパー等を好ましくあげることができる。
【0033】
上記の溶剤は、例えば、極性溶剤あるいは非極性溶剤をそれぞれ単独で、あるいはそれぞれから2種類以上を適宜選択して用いてもよいし、極性溶剤と非極性溶剤を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0034】
分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
【0035】
分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイドリン酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイドリン酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen(高分子量不飽和酸エステル)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
【0036】
また、EfkaCHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローレンDOPA−15B(アクリルオリゴマー)」、「フローレンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」「DA−703−50(ポリエステル酸アマイドアミン塩)」が挙げられる。
【0037】
さらに、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS.C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、アビシア社製「ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、22000、24000、28000」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−O(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等があげられる。
【0038】
着色顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などの従来公知の顔料を特に限定することなく用いることができる。
【0039】
上記顔料は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能であり、インク組成物全体に対して0.01〜20重量%の範囲で含有させることが望ましい。
【0040】
本発明の非水系インク組成物は、従来公知の製造方法によって製造することが可能であるが、シリカ粒子と着色顔料を別々に分散液として調製した後に、これを混合することによって、シリカ粒子と着色顔料が物理的に結合していない状態の非水系インク組成物とすることができる。すなわち、溶剤と分散剤とシリカ粒子を含み、着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、溶剤と分散剤と着色顔料を含み、シリカ粒子を含まない着色顔料分散液をそれぞれ調製し、その後これを混合して非水系インク組成物を得ることが好ましい。なお、固体粒子や着色顔料は、ビーズミル等の従来公知の分散手段によって分散することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
植物性脂肪酸エステル溶剤8重量部に分散剤としてソルスパース13940(ポリエステルアミン系の高分子分散剤:アビシア社製)を3重量部溶解し、カーボンブラック(MA−8:三菱化学社製)5重量部を添加してプレミックスした。その後ビーズミルにて滞留時間約20分間で分散し、顔料分散液を得た。一方、植物性脂肪酸エステル溶剤56重量部、ナフテン系溶剤20重量部を混合し、これに分散剤としてソルスパース13940を4重量部溶解し、さらにシリカ粒子としてアエロジェルR972(日本アエロジル社製)4重量部を添加してプレミックスし、その後、ビーズミルにて滞留時間約20分間で分散し、シリカ分散液を得た。得られた顔料分散液とシリカ分散液を混合してインクを得た。
【0042】
(実施例2)
シリカ粒子としてアエロジェルRY200(日本アエロジル社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0043】
(実施例3)
シリカ粒子としてアエロジェルR812(日本アエロジル社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0044】
(実施例4)
シリカ粒子としてアエロジェルOX50(日本アエロジル社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0045】
(実施例5)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりにした以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0046】
(実施例6)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりにした以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0047】
(実施例7)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりにした以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0048】
(実施例8)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりとし、顔料をピグメントイエロー(大日精化社製)に換えた以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0049】
(実施例9)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりとした以外は実施例3と同様にしてインクを得た。
【0050】
(実施例10)
シリカ分散液の滞留時間を60分とした以外は実施例8と同様にしてインクを得た。
【0051】
(比較例1)
実施例1と同様にして得た顔料分散液に、植物性脂肪酸エステル62重量部、ナフテン系溶剤20重量部を混合しインクを得た。
【0052】
(比較例2)
シリカ粒子としてアエロジェルR972を用い、シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりにした以外は実施例1と同様にしてインクを得た。
【0053】
(比較例3)
シリカ分散液の配合を表1に記載のとおりとした以外は実施例3と同様にしてインクを得た。
【0054】
実施例1〜10、比較例1および3のインクの配合、およびインク粘度、顔料粒子径、シリカ粒子径をまとめたものを表1に示す。
【0055】
【表1】
表1に記載したインク粘度、顔料粒子径およびシリカ粒子径は以下のように測定した。
【0056】
<インク粘度の測定>
ハーケ社製レオメータRS75を使用し、直径6cmコーンを用いて、23℃において、60秒間でずり応力を0.7〜100(1/s)まで上昇させたときの、ずり応力が100(1/s)のときの粘度を測定した。
【0057】
<顔料粒子径の測定>
顔料濃度が0.1%となるように顔料分散液を溶剤で希釈し、これを普通紙(理想科学工業社製「理想用紙厚口S」)に印字し、印字部分を走査型電子顕微鏡で観察し、紙の繊維上に観察できる顔料粒子を任意に100個選び、顔料粒子の直径(長さが最も長くなる方向)を測定し、その平均値を粒子径とした。
【0058】
<シリカ粒子径の測定>
顔料粒子径と同様に、シリカ濃度が0.1%となるようにシリカ分散液を溶剤で希釈し、これを普通紙(理想科学工業社製「理想用紙厚口S」)に印字し、印字部分を走査型電子顕微鏡で観察し、紙の繊維上に観察できるシリカ粒子を任意に100個選び、シリカ粒子の直径(長さが最も長くなる方向)を測定し、その平均値を粒子径とした。
【0059】
(評価方法)
<インクジェットシステムによる裏抜けおよび画像性>
普通紙(理想科学工業社製「理想用紙厚口S」)に、2cm角のベタをインクジェットにより印刷し、24時間放置後、ベタ部の裏側をOD計(マクベス社製)で測定し、以下のように評価した。
○:OD値が0.13未満
△:OD値が0.13以上0.20未満
×:OD値が0.20以上
また、画像性を以下のように評価した。
○:画像のかすれなし
×:画像のかすれ発生(インク吐出不良)
【0060】
<低粘度孔版システムによる裏抜けおよび画像性>
多孔性支持体(和紙)の一方の面上に、平均気孔径5.2μm、密度0.39g/cm3 である多孔性樹脂層を有する孔版原紙を用いて、デジタル孔版印刷機(RP3790:理想科学工業社製)を使用して、普通紙(理想科学工業社製「理想用紙厚口S」)に印刷し、24時間放置後、ベタ部の裏側をOD計(マクベス社製)で測定し、以下のように評価した。
○:OD値が0.13未満
△:OD値が0.13以上0.20未満
×:OD値が0.20以上
また、画像性を以下のように評価した。
○:画像のかすれなし
×:画像のかすれ発生(インク転移不良)
以上の評価方法により実施例1〜実施例8および比較例1および2のインクを評価した。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
表2から明らかなように、実施例1〜10のインク組成物は、23℃における粘度が30mPa・s以下であるため、インクジェット記録システムや低粘度孔版システムに用いても、ヘッドからのインク吐出が困難となったり、孔版原紙のインク透過性が悪くなって、画像形成不良が発生するといった問題が生じることがなく、固体粒子としてシリカ粒子を含有したので、裏抜けを効果的に防止することが可能となった。
【0063】
また、記録紙表面上では、固体粒子が記録紙の繊維に留まっていることによって、着色顔料の水平方向への移動も阻止することができるため、画像の滲みも低減することが可能となり高品位な印刷物を得ることができた。実際、印刷物の断面を光学顕微鏡で観察すると、シリカ粒子を添加した実施例1〜10では、シリカ粒子を含有していない比較例1に比べて、着色顔料の紙裏側への移動量が少ないことが観察された。また、この効果は顔料粒子径の大きさに関係なく認められた。なお、シリカ粒子の添加量は、多い方が裏抜けの低減効果が大きいものの、添加量を15重量部とした比較例2では、インク粘度が増大し(38mPa・s)、インクジェット記録システムにおいてはヘッドからのインク吐出が困難となり、孔版システムでは孔版原紙のインク透過性が困難となった。比較例3では、ポリエステルアミン系の高分子分散剤の含有量がシリカ粒子に対して重量比で0.05と少ないために、シリカ粒子の分散状態が安定したシリカ分散液が得られなかった。
【0064】
シリカ粒子の平均粒子径は、概ね300nm以下であると裏抜け低減効果、画像形成が良好である。なお、実施例5では、平均粒子径が300nm以下であるが、裏抜けが若干認められた。これは、シリカ粒子の添加量が0.5重量部と低いためである。また、実施例10でも、平均粒子径が300nm以下であるのに裏抜けが若干認められたが、これはシリカ粒子の平均粒子径が着色顔料の粒子径の0.1倍未満のためである。
【0065】
以上のように、本発明のインク組成物は、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物において、記録紙への印刷時に着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する実質的に着色能を有さない固体粒子を含有したので、インクが記録紙内部に浸透する過程において、固体粒子が記録紙の繊維に留まってインクに含有されている着色顔料が記録紙表面から裏面へ移動することを阻止し、かつ固体粒子自体は記録紙を着色する機能を有さないため、裏抜けを効果的に防止することが可能となった。
【0066】
なお、本発明の非水系インク組成物は、溶剤、着色顔料、分散剤、固体粒子以外の、例えば各種添加剤を含有していてもよく、さらに、実施例では固体粒子としてシリカ粒子を用いたが、これ以外の固体粒子を用いても同様に、本発明の裏抜け低減効果や、画像滲みのない高品位な画像形成を実現することができる。
Claims (8)
- 少なくとも溶剤、着色顔料、分散剤を含み、23℃における粘度が30mPa・s以下の非水系インク組成物であって、記録紙への印刷時に前記着色顔料が前記記録紙表面から裏面へ移動することを阻止する実質的に着色能を有さない固体粒子を含有したことを特徴とする非水系インク組成物。
- 前記固体粒子がシリカ粒子であることを特徴とする請求項1記載の非水系インク組成物。
- 前記シリカ粒子をインク組成物中に1〜10重量%含有することを特徴とする請求項2記載の非水系インク組成物。
- 前記シリカ粒子の平均粒子径が300nm以下であることを特徴とする請求項3記載の非水系インク組成物。
- 前記シリカ粒子の平均粒子径が前記着色顔料の平均粒子径の0.1〜10倍であることを特徴とする請求項2、3または4記載の非水系インク組成物。
- 前記溶剤と前記分散剤と前記シリカ粒子を含み、前記着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、前記溶剤と前記分散剤と前記着色顔料を含み、前記シリカ粒子を含まない着色顔料分散液とを混合して得られることを特徴とする請求項2〜5いずれか1項記載の非水系インク組成物。
- 前記シリカ粒子分散液に含まれる前記分散剤がポリエステルアミン系の高分子分散剤であり、かつ前記シリカ粒子に対する前記ポリエステルアミン系の高分子分散剤の含有量が重量比で0.1以上であることを特徴とする請求項6記載の非水系インク組成物。
- 前記溶剤と前記分散剤と前記シリカ粒子を含み、前記着色顔料を含まないシリカ粒子分散液と、前記溶剤と前記分散剤と前記着色顔料を含み、前記シリカ粒子を含まない着色顔料分散液とをそれぞれ調製した後に、前記シリカ粒子分散液と前記着色顔料分散液を混合することを特徴とする非水系インク組成物の製造方法。
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