JP4158206B2 - インク、その付与方法及び付与装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録媒体に滲み防止処理を施さなくても高品位な画像あるいは均一な色無地を得るインクの付与に関するものである。特に、インクジェット、スプレー、パッディング等によるインクの被記録媒体への付与に適するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式には、大別してオンデマンド型とコンティニュアス型があるが、いずれの場合もインク滴の安定した吐出のために一般に数センチポイズの低粘度のインクが用いられる。
【0003】
しかしながら、そのような低粘度のインクを用いると、被記録媒体上でのインクの滲みが発生して高品位な画像が得られなくなる。この問題に対し、例えば、特開昭61−215787号公報に開示されているように、被記録媒体に、特定のインクに対応する特定物質を用いて前処理し、インクとその前処理物質と反応させて滲みを抑制する方法、あるいは特開昭61−55277号公報や特開昭58−24492号公報に開示されているように、インクの自由度は比較的高い方法であって、水溶性樹脂や高吸水性樹脂を用いて被記録媒体を前処理し、要するにインクをそれら樹脂に保持させて滲みを抑制する方法等、提案されている殆ど全部が被記録媒体に前処理を施すことにより解決が図られている。
【0004】
しかしながら、これらの被記録媒体に前処理を施す方法によると、例えばオフィスや個人でパソコンに接続して用いるインクジェットプリンターでは、専用紙を用いなければならないためにランニングコストが高くついたり、手近な紙が使えないという問題が生じる。また、上記の特開昭61−215787号公報等で用途が開示されているように、被記録媒体を布帛とするインクジェット染色に適用する場合においても、同様のことが言える。
【0005】
このような問題に対して、特開昭54−18975号公報では、被記録媒体上でインクを加熱して増粘させて滲みを抑制する方法が開示されている。この方法によると、被記録媒体の前処理を必要としないため、上記のような問題は回避できるが、しかしこの場合は、インクジェットプリンターに加熱機構を設けなければならず、通常のプリンターに比べて大型化や電力代増加等の問題が生じる。
【0006】
上記の如き問題点は、インクジェット記録だけではなく、概略的にはインクの吐出機構のみが大きく異なるスプレー記録についても同様である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような各種の滲み抑制方法の問題点を解決し、被記録媒体に前処理を必要とせず、またプリンターも特別の機構を設けることなしにインクの滲みを抑制することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクは、前記課題を解決するため、以下の構成を有する。
【0009】
すなわち、少なくとも、着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と、その反対荷電を有する物質(B)と、媒体を含有してなることを特徴とするインクである。
【0010】
また、本発明のインクの付与方法は、以下の構成を有する。
【0011】
すなわち、少なくとも、着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と、その反対荷電を有する物質(B)と、媒体を含有してなることを特徴とするインクを、被記録媒体にインクジェット法あるいはスプレー法あるいはパッディング法によって付与することを特徴とするインクの付与方法である。
【0012】
また、本発明のインク付与装置は、以下の構成を有する。
【0013】
すなわち、少なくとも、着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と、その反対荷電を有する物質(B)と、媒体を含有してなることを特徴とするインクが装填されたインクタンクと、該インクを吐出する機構を備えてなることを特徴とするインクの付与装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0015】
本発明のインクは、少なくとも、着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と、その反対荷電を有する物質(B)と、媒体を含有してなる。この構成を採ることにより、インクが静置されている場合には、着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と、その反対荷電を有する物質(B)の間には引力が働いて互いの運動を束縛するので、インク全体としては粘度が高くなる。しかしながら、インクが流動すると、(A)と(B)は引き離され、インク全体としては粘度が低くなる。これは、回転式粘度計の粘度によって容易に確かめられる。即ち、回転が低い時(即ち、ずり速度が低いとき)はインクの見掛け粘度は高いのに対し、回転が高い時(即ち、ずり速度が高いとき)はインクの見掛け粘度は低くなる(見掛け粘度は、あるずり速度において生じるずり応力を、そのずり速度で除算して得られる)。このような現象はチキソトロピー(擬塑性)として知られているが、このようなインクをインクジェットプリンター等に装填して被記録媒体に付与すると、インクが吐出する部分は高いずり速度の環境に相当するので実質的にインク粘度が低下してインクは吐出され、インク滴が被記録媒体に着弾したときは低いずり速度の環境に相当し、滲みが広がる前に粘度が上がり、滲みは抑制されるのである。
【0016】
本発明の目的には、ずり速度380/秒における見掛け粘度をη1 、ずり速度38/秒における見掛け粘度をη2 とするとき、
2η1 <η2
の関係を満たすようなチキソトロピー性を示すインクが、より好ましく用いられる。また、そのような条件の中で、インクジェット法に用いる場合には、η1 が20cp以下であると好ましく、10cp以下であると更に好ましく、5cp以下であるとなお更に好ましく、3cp以下であると特に好ましい。スプレー法に用いる場合には、η1 が100cp以下であると好ましく、50cp以下であると更に好ましく、20cp以下であると特に好ましい。パッディング法に用いる場合には、η1 が50cp以下であると好ましく、30cp以下であると更に好ましく、20cp以下であると特に好ましい。なお、実際の測定にあたっては、装置上の制約や、精度の問題等があるので、本発明で言うずり速度380/秒は実際には360〜400/秒を、38/秒は30〜50/秒の範囲を実質的に指す。
【0017】
このようなチキソトロピー性を示すインクとして特開昭62−101669号公報には、特定の水溶性高分子を添加する方法が開示されている。しかしながら、一般にこのような水溶性高分子を添加したインクは、インクジェットプリンターにおいてノズルが詰まる、滴が切れない、サテライト滴が発生する等のインクの吐出特性を悪化させる問題がある。これに対して本発明は、水溶性高分子の添加を必要としないので、インクの吐出特性に優れているという特長がある。
【0018】
着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と荷電を有する物質(B)の荷電の発生源は特に限定されないが、媒体である時にイオン性基を利用するのが簡単であって好ましい。特に、着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)の荷電については、主としてその着色剤を媒体に分散させる分散剤のイオン性基に基づくのが、基本的には種々の着色剤に適用し得るので好ましい。即ち、分散剤として公知の各種アニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
【0019】
反対荷電を有する物質(B)は、特に限定されないが、例えば上記のようなイオン性基を利用する場合、2価以上の金属塩やポリアニオンやポリカチオン等が好ましく用いられる。より好ましい形態は粒子状であって、それが荷電を有することである。更にまた、粒子状の中でも羽毛状は好ましい。
【0020】
本発明の基本思想は上記の通りであるが、実際には、粒子間引力が強すぎて凝集し、ずり速度を与えても再分散しないこともあり得る。従って、適度な斥力を与えて総合的に弱い引力にすることが重要であり、インクの高安定性に繋がる。その斥力の発生源は特に限定されないが、着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)及び/またはその反対荷電を有する物質(B)に、荷電によらずに媒体に分散させる分散剤を吸着もしくは固定化することによって達成される。具体的には例えば非イオン性界面活性剤を使用することである。
【0021】
着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)及びその反対荷電を有する物質(B)((B)については粒子の場合)の粒子径については、特に限定されるものではないが、いずれも0.01〜10μmであると好ましく、0.02〜5μmであるとなお好ましく、0.03〜1μmであると更に好ましく、0.04〜0.7μmであると特に好ましい。
着色剤を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と、その反対荷電を有する物質(B)との比は、上記粒子径も関係するので、本発明の目的を達成する範囲内で適宜選ばれるべきであるが、好ましくは重量比で10:1〜1:10である。より好ましくは5:1〜1:5、なお好ましくは3:1〜1:3、更に好ましくは1.5:1〜1:1.5である。
【0022】
着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と、その反対荷電を有する物質(B)との比は、上記粒子径も関係するので、本発明の目的を達成する範囲内で適宜選ばれるべきであるが、好ましくは重量比で10:1〜1:10である。より好ましくは5:1〜1:5、なお好ましくは3:1〜1:3、更に好ましくは1.5:1〜1:1.5である。
【0023】
本発明のインクの着色剤としては、特に限定されず、染料でも顔料でも用いられる。好ましくは実質的に媒体に溶解しないかまたは非常に溶解しにくい着色剤であって、例えば媒体が水を主体とするときには各種分散染料や顔料等は好ましい一例である。
【0024】
着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)の反対の荷電を有する物質(B)については、特に限定されず、着色剤を主体とする粒子であっても構わないし、特に色には関与しない物質であっても構わない。前者の場合は、着色剤の色あるいは種類は、着色剤として染料を主体としてなる粒子(A)の着色剤と同じであっても異なっても良い。目的に応じて設計すれば良く、例えば濃色を表現したい時は同色にすれば良い。後者の場合は、多色のインクを調製する際、共通した組成物を使えることになるので調製が簡便になり、製造コストも抑制できる。その場合には、マイナスの荷電を有する物としては、例えば、主としてケイ素酸化物からなるコロイダルシリカ(二酸化ケイ素)等の無機物はそれ自身が荷電を有しているので好ましい一例である。その他にも、例えば、アクリル酸やメタクリル酸モノマーが例えばスチレンやメタクリル酸エステル物、ジビニルベンゼン等と乳化共重合されたラテックス粒子等や、各種のアニオン性界面活性剤やポリアニオン化合物(例えば、ポリアクリル酸や芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等)によって分散安定化された種々の粒子等が挙げられる。粒子としては、例えば、ポリエステル系樹脂やエポキシ系樹脂を主成分とする微粒子、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4’−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4−イソオクチルフェノール、4,4’−ジオキシジフェニル、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、バライト、沈降性硫酸バリウム、白亜、沈降性炭酸カルシウム、胡粉、クレー、タルク、シリカホワイト、アルミナホワイト、チタンホワイト、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、亜鉛華、リトポン、鉛白、酸化ジルコン、アンチモンホワイト等が挙げられる。また、逆に、プラスの荷電を有する粒子としては、例えば、カチオン表面処理された、主としてケイ素酸化物からなるコロイダルシリカ、アルミナゾル(酸化アルミナ)等の無機物が好ましい一例である。その他、各種のカチオン性界面活性剤やポリカチオン化合物によって分散安定化された種々の粒子も用いることができる。これに用いられる粒子としては、上記と同様であるので省略する。
【0025】
本発明のインクの媒体としては、上述してきた如く、水を主体とするものが目的を達成しやすいので好ましいが、いわゆる溶剤系であっても構わない。
【0026】
本発明のインクの好ましい媒体の組合せの例を挙げると、水と有機溶剤からなる媒体であって、有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、へキシレングリコール、チオジグリコール等のグリコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、トリエタノールアミン等のアミン類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類等の少なくとも1種を使用することができる。特に好ましくは、水と炭素原子数が3〜6のアルキレングリコールから成る液体である。
【0027】
また、本発明のインクには、更にインク成分として合目的的に他の各種の添加剤を加えることができる。例えば、バインダ、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤、消泡剤、伝導度調製剤、粘度調製剤、キレート化剤等を配合できる。
【0028】
本発明のインクの付与方法は、上述してきたインクを用いてインクジェット法やスプレー法によって被記録媒体に付与する方法である。このような構成を採ることによって、従来ほぼ必須であった被記録媒体への滲み防止処理をすることなしに、滲みの抑制された高品位な画像が得られるのである。
【0029】
本発明に用いられる被記録媒体としては、インクジェット記録方式やスプレー記録方式が対象とする各種素材が対象となる。例えば、紙、金属、プラスチック、フィルム、糸、布帛、布帛製品、食品、ガラス、陶器等が挙げられる。好ましくは、にじみが顕著に現れる素材であり、微細な繊維状物から成る構造体、即ち紙や糸、布帛、布帛製品等である。特に好ましくは布帛である。なお、布帛は、一般に大別して織物、編物、不織布等に分類され、本発明はそれら全てを対象とし得るが、本発明の効果(従来の低粘度インクと本発明のインクの滲み量の差)が最も顕著に現れやすいのが一般に織物である。
【0030】
着色剤を被記録媒体に応じて適宜選択した染料とした場合、その着色剤のインクを用いて被記録媒体にインクジェットプリントし、その後に染料を被記録媒体に染着することも好ましいものである。被記録媒体に応じた染料選択は、染色業界では広く知られていることなので、ここではごく基本的な一例を挙げるに留めるが、例えば、ポリエステル系の被記録媒体であれば分散染料、絹やナイロン等のポリアミド系の被記録媒体であれば酸性染料や反応染料、綿等のセルロース系の被記録媒体であれば直接染料や反応染料、アクリル系等の被記録媒体であれば塩基性染料等である。なお、ここで染料が媒体に溶解するような場合、例えば媒体が水系の時に水溶性染料を選択するような場合、その水溶性染料を適当な方法で実質的に水不溶化して用いれば良い。例えば、芒硝や硫安等の塩を添加して溶解度を下げるとか多孔質の微粒子に吸収させて用いるとかマイクロカプセル化するとか等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
また、本発明は、予期せぬことに、インクジェット法やスプレー法等のもっぱら文字や絵や柄や識別マーク等の図柄を対象とするプリント法にのみ効果があるのではなく、本発明のインクを用いてパッディングによって無地色を表現することにもムラのない無地を表現できる効果があることが判った。特に上記のような布帛を被記録媒体とする場合に効果がある。
【0032】
着色剤が顔料であると、例えば、オフィスや個人で用いる紙へのプリント等には好ましく用いられる。また、布帛におけるポリエステル/綿やポリエステル/羊毛等の混紡品等へのプリント等に用いることも可能である。これらのような場合には、インク中に被記録媒体に着色剤を固着させるバインダーが含まれているとがなお好ましい。一般に、特にオフィスや個人向けではフルカラー画像を得るために、少なくともイエロー、シアン、マゼンタの3色、あるいはそれに加えてブラックの4色が用いられることが多く、本発明もそれに準じれば良いが、そればかりではなく、蛍光性の顔料や金属光沢を付与するための顔料、温度変化によって色が変わる顔料等も用い得る。即ち、本発明では、有機顔料や無機顔料、複合顔料等、その種類を問わず、目的に応じた顔料を選択して用いれば良い。
【0033】
あるいはまた、着色剤は染料として紙やフィルムのシート状物等にプリントして、後で布帛等にプリント面を重ね合わせて加熱して布帛を染色する、いわゆる転写捺染等にも好ましく利用できるものである。
【0034】
本発明のインクの付与装置は、上記構成のインクが装填されたインクタンクとそのインクを吐出する機構を備えたものであり、インク吐出機構としては特にインクジェット方式やスプレー方式等が挙げられる。インクジェット方式としては特に限定されず、オンデマンド方式としては圧電素子を用いたものや発熱素子を用いたもの等、コンティニュアス方式としては荷電電圧制御型や偏向電圧制御型やHertz 型等が用いられるが、より好ましいのは後述する。より好ましい形態はそれを装填するインクの付与装置のインクタンクには、流動性の確保、及び場合によっては沈降抑制のため、少なくともインクを攪拌する手段が備えられていることである。この攪拌手段は、一般的に使われているような攪拌羽根等や水流ポンプ等のようなもので十分であって、特殊な攪拌機構を必要とするものではない。ただし、本発明のインクは、組合せによってはむしろ系全体が非常に軽微なゲル状態となって沈降が抑制される場合もあり、その場合には攪拌する手段はなくても良い。
【0035】
また、インクを吐出するノズル近辺をキャップする機構を備えているのも好ましい。あるいは、ノズル近辺をワイプする機構が設けられているのも好ましい。
【0036】
また、好ましいのは、ノズル近傍のインク流路を変形させるよう機構が備えられていることである。これによって、インク粘度が低下し、円滑なインク吐出が確保できる。その変形は周波数の高い振動によるものであることが好ましく、変形手段としては電磁石を利用したものや圧電(ピエゾ)素子を利用したもの等が用いられるが、応答速度の点で圧電素子は好ましい。特に、インク滴の発生手段が圧電素子である場合、特に好ましい。例えば、Stemme型やGould 型を原型とするオンデマンド型のインク滴発生機構や圧電素子を用いたコンティニュアス型のインク滴発生機構は好ましいものである。
【0037】
また、インクタンクからインクの吐出部へのインクの供給をポンプ等を用いて強制的に送り出すような機構を備えるインクの付与装置は特に好ましい。
【0038】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明の有効性や権利の範囲はこれによって限定されたり、制限を受けるものではない。
【0039】
なお、インクの見掛け粘度は、回転式粘度計(東機産業(株)RE100L型粘度計、ローター(コーン):1゜34’×R24)で測定した。見掛け粘度の値は、装置の精度、サンプル量の誤差等により±20%程度の誤差を含む。
【0040】
[実施例1]
先ず、着色剤を主体とする荷電を有する粒子(A)の分散液を以下のようにして調製した。フルカラー画像を得るために、着色剤として4種類用いた。
【0041】
先ず、着色剤としてCIディスパースイエロー82、CIディスパースレッド362、CIディスパースブルー87、配合ブラックを用い、それぞれをアニオン性界面活性剤であるスチレン付加フェノールのエチレンオキサイド付加物のスルホン化物で水に分散させた。
【0042】
なお、上記アニオン性界面活性剤の各基の付加モル数やスルホン化度等は任意であって本発明の効果に格別の影響を及ぼすものではないが、以下の実施例ではスチレン付加モル数は5、エチレンオキサイド付加モル数10のものを用いた。次に、上記4種類の分散液それぞれに、エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖からなる非イオン性界面活性剤(旭電化(株)プルロニックL−44)を添加し、着色剤を主体とする荷電を有する粒子(A)の分散液を得た。
【0043】
次に、着色剤を主体とする荷電を有する粒子(A)の反対の荷電を有する粒子(B)の分散液を以下のようにして調製した。これは、上記の各色に対して共通に用いられるものであった。日産化学工業(株)スノーテックスAK(カチオン処理されたコロイダルシリカ)に、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤(日本油脂(株)ノニオンL−4)を添加し、粒子(B)の分散液を得た。
【0044】
上記の着色剤を主体とする荷電を有する粒子(A)の分散液(4種類)のそれぞれに反対荷電を有する粒子(B)の分散液を混合し、本発明のインクとした。得られたインクの見掛け粘度を、回転式粘度計で測定した結果、いずれのインクも100rpm(ずり速度約380/秒)のときに約3cp、20rpm(ずり速度約80/秒)のときに約5cp、10rpm(ずり速度約38/秒)のときに約8cpと、チキソトロピー性を示した。
【0045】
これらのインクをシャープ(株)カラーインクジェットプリンタIO−735に装填し、オフィスで広く用いられている複写機用のPPC用紙に画像を描かせた結果、いずれのインクも正常に吐出し、なおかつフェザリング等の滲みのない画像を得ることができた。
【0046】
[実施例2]
実施例1で調製したインクに、更に乾燥防止剤であるエチレングリコールと防腐剤を添加して得られたインクを、ノズルにキャップ機構を備え、インクタンクには攪拌機構が設けられた4色の荷電量偏向型コンティニュアスインクジェットプリンターに装填した。これを用いて、精錬工程を経たポリエステル繊維からなる、タテ糸が無撚、ヨコ糸が強撚の平織物にインクジェットプリントした結果、滲みのない高品位な画質であった。
【0047】
次に、このプリントされた布帛を高温スチーミングによって発色させ、次いでソーピングを行った。その結果、滲みが生じることなしに非常に綺麗な高品位の画像を染着させることができた。
【0048】
その後、ノズルにキャップをし、インクタンクを攪拌し続け、1ヶ月放置した後、再度同じ実験を繰り返した結果、インクは正常に吐出し、得られる画像も滲みのない高品位なものであった。
【0059】
[実施例3]着色剤を主体とする荷電を有する粒子(A)の分散液として、アニオン性界面活性剤により分散安定化された配合ブラックの分散染料の分散液を用いた。
【0060】
着色剤を主体とする荷電を有する粒子(A)の反対の荷電を有する粒子(B)の分散液として、羽毛状の形状をした日産化学工業(株)アルミナゾル−100の分散液を用いた。
【0061】
両者を混合した液をパッディング液としてポリエステル布帛をパッディングし、マングルで絞り、テンターにて乾燥させた。
【0062】
次に、高温スチーミングにて発色し、定法により洗浄した。得られた染色布帛は、非常に均染性に優れたものであった。
【0063】
[比較例1]
実施例1における着色剤を主体とする荷電を有する粒子(A)の分散液のみを用いて同様の操作を行った。
【0064】
その結果、得られた染色布帛は、マイグレーションが起こっており、不均染なものであった。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、被記録媒体に滲み防止を施すことなく、滲みのない高品位な画像を得ることができる。
Claims (25)
- 少なくとも、着色剤として染料を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と、その反対荷電を有する物質(B)と、媒体を含有してなることを特徴とするインク。
- 該染料が分散染料であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
- インクジェット法あるいはスプレー法あるいはパッディング法に用いられることを特徴とする請求項1または2に記載のインク。
- 物質(B)が粒子状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインク。
- 着色剤を主体としてなる荷電を有する粒子(A)と、その反対荷電を有する物質(B)との重量比が10:1〜1:10であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク。
- 着色剤を主体としてなる荷電を有する粒子(A)及び/またはその反対荷電を有する物質(B)の荷電がイオン性基によって発現されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインク。
- 着色剤を主体としてなる荷電を有する粒子(A)の荷電が、主として該着色剤を媒体に分散せしめる分散剤のイオン性基によるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインク。
- 着色剤を主体としてなる荷電を有する粒子(A)及び/またはその反対荷電を有する物質(B)は、荷電によらずに媒体に分散せしめる分散剤を含有してなることを特徴とする請求項1または2に記載のインク。
- 荷電によらずに媒体に分散せしめる分散剤が非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項8に記載のインク。
- 媒体が水を含有してなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のインク。
- 着色剤を主体としてなる荷電を有する粒子(A)の反対の荷電を有する物質(B)が、主として着色剤からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のインク。
- 着色剤を主体としてなる荷電を有する粒子(A)の反対の荷電を有する物質(B)が、主として無機物からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のインク。
- チキソトロピー性を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のインク。
- ずり速度380/秒における見掛け粘度をη1 、ずり速度38/秒における見掛け粘度をη2 とするとき、2η1 <η2の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のインク。
- ずり速度380/秒における見掛け粘度η1 が20cp以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のインク。
- 少なくとも、請求項1〜15のいずれかに記載のインクを、被記録媒体にインクジェット法あるいはスプレー法あるいはパッディング法によって付与することを特徴とするインクの付与方法。
- 被記録媒体が布帛であることを特徴とする請求項16に記載のインクの付与方法。
- 着色剤が染料であるインクを被記録媒体に付与する工程と、インクが付与された被記録媒体に該インク中の染料を染着せしめる工程からなることを特徴とする請求項16に記載のインクの付与方法。
- 少なくとも、請求項1〜15のいずれかに記載のインクが装填されたインクタンクと、該インクを吐出する機構を備えてなることを特徴とするインクの付与装置。
- 請求項19に記載のインクの付与装置であって、該装置のインクタンクには、少なくともインクを攪拌する手段を備えてなることを特徴とするインクの付与装置。
- 請求項19に記載のインクの付与装置であって、インクを吐出するノズル近辺をキャップする手段を備えてなることを特徴とするインクの付与装置。
- ノズル近傍のインク流路において、該インク流路を変形せしめる手段が備えられてなることを特徴とする請求項19に記載のインクの付与装置。
- 該インク流路を変形せしめる手段が、圧電素子であることを特徴とする請求項22に記載のインクの付与装置。
- 該インク流路を変形せしめる手段が、インク滴の発生手段であることを特徴とする請求項22に記載のインクの付与装置。
- インクタンクからインクを吐出する機構にインク供給するためのポンプが備えられてなることを特徴とする請求項22に記載のインクの付与装置。
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