JP2004082757A - 電動パワーステアリング装置の制御方法 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モータの温度を正確に推定し、温度センサの故障も検知することができる電動パワーステアリング装置の制御方法を提供する。
【解決手段】電動パワーステアリング装置10の制御部30に温度センサ27,28とモータ電流検出部25を設け、モータ電流検出部25で検出されたモータ電流Imから制御部30の温度を推定し、その制御部30の推定温度Tmcと温度センサ27,28が検出する温度T1,T2に基づいて電動パワーステアリング装置10のモータ20へ流すモータ電流Imの目標電流ITを制限するとともに、推定温度Tmcが上昇しているときのみ推定温度Tmcと温度センサ27,28の検出値T1,T2とを比較することにより温度センサ27,28の故障を検知する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動パワーステアリング装置の制御方法に関し、特に、モータの回転力をステアリング系に直接作用させて、運転者の操舵力を軽減する電動パワーステアリング装置の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動パワーステアリング装置は、ステアリング系にモータを備え、モータから供給する動力を、制御装置を用いて制御することにより、運転者の操舵力を軽減するものである。
【0003】
電動パワーステアリング装置では、操舵の仕方によってはスイッチング素子を介してモータに大電流が連続して流れ、抵抗損失による発熱でスイッチング素子やモータの破損が発生する可能性が高かった。そこで、そのような発熱によるスイッチング素子やモータの破損を回避するために、電動パワーステアリング装置のスイッチング素子とモータの各温度を検出して、電流値を制限するものが特開平2−92781号公報に開示されている。
【0004】
特開平2−92781号公報に開示された電動パワーステアリング装置によれば、ハンドルの操作によりステアリングに加えられる操舵トルクを変位に変換して右方向または左方向の操舵トルク信号に変換するトルクセンサと、上記ステアリングにアシストトルクを付与するモータと、このモータの温度を検出する第1の温度センサと、上記操舵トルク信号の大きさと方向に応じて上記モータに駆動電流を供給する半導体パワースイッチング素子とこの半導体パワースイッチング素子の温度を検出する第2の温度センサとを有し、さらに上記第1の温度センサと第2の温度センサの少なくとも一方で上記モータに流れる最大制限電流値を減少するように制御するコントロールユニットを備えたことを特徴としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術ではモータの温度やスイッチング素子の温度は温度センサによって検出しており、また、リレー、コネクタ、コンデンサの温度も検出しようとすると、各々の箇所に温度センサを配置しなければならず、センサの数が多くなってしまうという問題点がある。さらに、温度センサは、各電子部品あるいはモータの近くに配置するようにするが、各電子部品あるいはモータと密着しているわけではないため、各電子部品あるいはモータに流れる電流により発生するジュール熱によって生じる温度変化は、電流が流れている部分から温度センサの位置まで熱伝導によって伝わることにより温度が変化するので、実際の各電子部品あるいはモータの温度の検出が遅れ、実際の各電子部品あるいはモータの温度と温度センサによって検出される温度との食い違いが生じてしまうという問題点がある。また、従来技術では温度センサが故障しているかどうかの判断はされていないという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解決するため、モータの温度を正確に推定し、温度センサの故障も検知することができる電動パワーステアリング装置の制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る電動パワーステアリング装置の制御方法は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0008】
第1の電動パワーステアリング装置の制御方法(請求項1に対応)は、電動パワーステアリング装置の制御部に温度センサとモータ電流検出部を設け、モータ電流検出部で検出されたモータ電流から制御部の温度を推定し、その制御部の推定温度と温度センサが検出する温度に基づいて電動パワーステアリング装置のモータへ流すモータ電流の目標電流を制限するとともに、推定温度が上昇しているときのみ推定温度と温度センサの検出値とを比較することにより温度センサの故障を検知することで特徴づけられる。
【0009】
第1の電動パワーステアリング装置の制御方法によれば、電動パワーステアリング装置の制御部に温度センサとモータ電流検出部を設け、モータ電流検出部で検出されたモータ電流から制御部の温度を推定したので、センサの数を少なくすることができる。また、モータ電流検出部によって検出されるモータ電流から直接温度を推定するので、制御部の温度と温度センサによって検出される温度との食い違いが生じてしまうということがなくなる。さらに、その制御部の推定温度と温度センサが検出する温度に基づいて電動パワーステアリング装置のモータへ流すモータ電流の目標電流を制限するとともに、推定温度が上昇しているときのみ推定温度と温度センサの検出値とを比較することにより温度センサの故障を検知するため、温度センサが故障しているかどうかの判断を正確にすることができる。
【0010】
第2の電動パワーステアリング装置の制御方法(請求項2に対応)は、電動パワーステアリング装置の制御部に温度センサとモータ電流検出部を設け、モータ電流検出部で検出されたモータ電流から制御部の温度を推定し、その制御部の推定温度と温度センサが検出する温度に基づいて電動パワーステアリング装置のモータへ流すモータ電流の目標電流を制限するとともに、推定温度はスタート温度とスタート温度からの温度上昇値の和によって求められ、スタート温度は、推定温度が下降しているときに温度センサにより得られた検出温度と一致するようにリセットされるようにしたことで特徴づけられる。
【0011】
第2の電動パワーステアリング装置の制御方法によれば、電動パワーステアリング装置の制御部に温度センサとモータ電流検出部を設け、モータ電流検出部で検出されたモータ電流から制御部の温度を推定し、その制御部の推定温度と温度センサが検出する温度に基づいて電動パワーステアリング装置のモータへ流すモータ電流の目標電流を制限するとともに、推定温度はスタート温度とスタート温度からの温度上昇値の和によって求められ、スタート温度は、推定温度が下降しているときに温度センサにより得られた検出温度と一致するようにリセットされるようにしたため、温度が上下動しても、推定温度と温度センサの値との差が蓄積されていくことがなくなるので、常に温度を正確に推定することができる。
【0012】
第3の電動パワーステアリング装置の制御方法(請求項3に対応)は、上記の方法において、好ましくは温度センサはヒートシンク部と基板とにそれぞれ設けられたことで特徴づけられる。
【0013】
第3の電動パワーステアリング装置の制御方法によれば、温度センサはヒートシンク部と基板とにそれぞれ設けられたため、より正確に制御部の温度を検知することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の模式構造図である。電動パワーステアリング装置10では、ステアリング・ホイール(ハンドル)11に一体的に設けられたステアリング軸12に、自在継手13a,13bを有する連結軸13を介して、ラック・ピニオン機構15のピニオン15aに連結されることによって、手動操舵トルク発生機構16が構成されている。
【0016】
ピニオン15aに噛み合うラック歯17aを有し、これらの噛み合いにより軸方向に変換されて往復動するラック軸17は、その両端にタイロッド18を介して転動軸としての左右の前輪19に連結されている。運転者は、ハンドル11を操作することにより、手動操舵トルク発生機構16と通常のラック・ピニオン式のステアリング装置を介して、前輪を揺動させて車両の向きを変えることができる。
【0017】
この手動操舵トルク発生機構16によって発生する操舵トルクを軽減するために、アシストトルク(操舵補助トルク)を供給するモータ20が例えばラック軸17と同軸的に配設され、ラック軸17にほぼ平行に設けられたボールねじ機構21を介してモータ20からの回転運動により供給されるアシストトルクが直進運動のための力に変換され、ラック軸17に作用する。
【0018】
モータ20のロータには、駆動側ヘリカルギヤ20aが一体的に設けられている。このヘリカルギヤ20aは、ボールねじ機構21のねじ軸21aの軸端に一体的に設けられたヘリカルギヤ21bと噛み合っている。また、ボールねじ機構21のナットは、ラック軸17に連結されている。
【0019】
図2は、電動パワーステアリング装置の制御装置を示す図である。図1において、図示しないステアリングギヤボックス内には、ピニオン15aに作用する手動操舵トルクTを検出する手動操舵トルク検出部22が設けられる。この手動操舵トルク検出部22は、検出した手動操舵トルクTを手動操舵トルク検出信号Tdに変換し、その変換された手動操舵トルク検出信号Tdを制御装置24へ入力する。また、車両には車速に対応した車速信号vを検出する車速センサ23も設けられており、車速信号vを制御装置24に入力する。
【0020】
さらに、電動パワーステアリング装置10には図2で示すようにモータ電流検出部25が設けられている。このモータ電流検出部25は、モータ20に対して直列に接続された抵抗等を備え、モータ20に実際に流れるモータ電流IMの大きさおよび方向を検出する。そして、モータ電流検出部25は、モータ電流IMに対応したモータ電流信号Imを制御装置24に入力する。
【0021】
さらに、電動パワーステアリング装置10には、図2で示すようにモータ電圧検出部26が設けられている。モータ電圧検出部26は、モータ20の両端の電圧を各々検出し、モータ20に実際に印加されているモータ電圧VMの大きさおよび方向を検出する。そして、モータ電圧検出部26は、モータ電圧VMに対応したモータ電圧信号Vmを制御装置24に入力する。
【0022】
また、電動パワーステアリング装置10の制御装置24には、2つの温度センサ27,28を設けている。図3に、温度センサの取り付け位置を示す。第1の温度センサ27は、制御部30が設けられた基板31上に設け、表面実装部品で半田付けしたものである。第2の温度センサ28は、ヒートシンク32上に設け、熱を伝えるために金属の金具等で温度センサ28を固定し、さらにヒートシンク32にネジ等で取り付ける。このように、第1の温度センサ27と第2の温度センサ28の2つの温度センサを設けることにより、より精度よく温度センサの故障検知を行うことができる。第1の温度センサ27は、基板31の温度に対応する信号を電圧信号VT1とし出力し、その電圧信号を制御装置24に入力する。また、第2の温度センサ28は、ヒートシンク32の温度に対応する信号を電圧信号VT2とし出力し、その電圧信号VT2を制御装置24に入力する。
【0023】
なお、発熱部の温度検出部に対する自己診断は、同一箇所に2つの温度センサを設置して行うのが望ましい。しかしながら、同一箇所に2つの温度センサを設置するためにはネジ等による締結が必要である。そのため、ヒートシンク部に2つの温度センサを取り付けるのは実用的ではない。それに対して、ヒートシンク部に1つの温度センサを設置し、診断用の補助センサとしての温度センサを基板上に設置する場合は、温度検出には多少不適であるが取付は簡単である。基板上に設置された温度センサはヒートシンクに設置された温度センサの故障検知のための付加条件として使用するものであるため精度は要求されない。このように、本実施形態では、2つの温度センサを有効に配置している。
【0024】
制御装置24は、手動操舵トルク検出部22、車速センサ23、モータ電流検出部25、モータ電圧検出部26、第1の温度センサ27、第2の温度センサ28の各検出信号Td、v、Im、Vm、VT1、VT2が入力される。そして、制御装置24は、これらの検出信号Td、v、Im、Vm、VT1、VT2に基づいてモータ20に流すモータ電流IMの大きさおよび方向を決定し、モータの運転を行って、モータの出力する動力(操舵補助トルク)を制御する。
【0025】
制御装置24は、手動操舵トルク検出部22、車速センサ23、モータ電流検出部25、モータ電圧検出部26、第1の温度センサ27、第2の温度センサ28等からの検出信号がアナログ信号として入力されるので、図示しないA/D変換部によりアナログ信号をディジタル信号に変換し、各CPUに取り込んでいる。
【0026】
制御装置24は、目標電流決定部29と、制御部30とを備える。目標電流決定部29は、手動操舵トルク検出信号Td、車速信号v、モータ電流信号Im、モータ電圧信号Vmに基づいて目標補助トルクを決定し、目標補助トルクをモータ20から供給するために必要となる目標電流信号ITを出力する。そのとき、第1の温度センサ27からの電圧信号VT1と第2の温度センサ28からの電圧信号VT2とモータ電流信号Imから得られる推定温度信号Tmcにより出力が制限された目標電流信号ITを出力する。
【0027】
図4は、目標電流決定部29のブロック構成図である。目標電流決定部29は、主に、モータ回転速度算出部33、ベース電流算出部34、イナーシャ補償電流算出部35、ダンパー補償電流算出部36、イナーシャ補償部37、ダンパー補償部38、目標電流最終決定部39とローパスフィルタ40と位相補償部41とハイパスフィルタ42と温度推定部43と出力制限部44から構成される。
【0028】
モータ回転速度算出部33は、モータ電流検出部25からのモータ電流信号Imおよびモータ電圧検出部26からのモータ電圧信号Vmが入力され、ダンパー補償電流算出部36にモータ回転速度信号Nmを出力する。
【0029】
ベース電流算出部34は、手動操舵トルク検出部22からの操舵トルク信号Tdをローパスフィルタ40を通して、位相補償部41により位相補償された操舵トルク信号Tsおよび車速センサ23からの車速信号Vが入力され、イナーシャ補償部37に目標電流信号IMSを出力する。ベース電流算出部34は、予め実験値または設計値に基づいて設定した操舵トルク信号Tsおよび車速信号Vと目標電流信号IMSとの対応するデータに基づいて、操舵トルク信号Tsおよび車速信号Vをアドレスとして対応する目標電流信号IMSを読み出す。なお、目標電流信号IMSは、モータ20に流す目標のモータ電流を設定する上で基準となる電流の情報を含む信号である。
【0030】
イナーシャ補償電流算出部35は、モータおよびシステムの慣性モーメントを打ち消すための電流を算出するためのイナーシャ補償電流算出処理を行うためのものであり、手動操舵トルク検出部22からの操舵トルク信号Tdをローパスフィルタ40を通した信号Tlと信号Tlをハイパスフィルタ42を通した操舵トルク信号Thおよび車速センサ23からの車速信号Vが入力され、イナーシャ補償部37にイナーシャ補償信号ISを出力する。まず、イナーシャ補償電流算出部35は、操舵トルク信号Th、Tlを時間微分し、操舵トルクの時間微分値を算出する。そして、イナーシャ補償電流算出部35は、予め実験値または設計値に基づいて設定した操舵トルクの時間微分値および車速信号Vとイナーシャ補償信号ISとの対応するデータに基づいて、操舵トルクの時間微分値および車速信号Vをアドレスとして対応するイナーシャ補正信号ISを読み出す。
【0031】
ダンパー補償電流算出部36は、モータの回転を制限する電流を算出するためのものであり、モータ回転速度算出部33からのモータ回転速度信号Nmおよび車速センサ23からの車速信号Vと操舵トルク信号Tlが入力され、ダンパー補償部38にダンパー補償信号DSを出力する。
【0032】
イナーシャ補償部37は、ベース電流算出部34からの目標電流信号IMSおよびイナーシャ補償電流算出部35からのイナーシャ補償信号ISが入力され、ダンパー補償部38に補償目標電流信号IMS’を出力する。
【0033】
ダンパー補償部38は、イナーシャ補償部37からの補償目標電流信号IMS’およびダンパー補償電流算出部36からのダンパー補償信号DSが入力され、目標電流最終決定部39に補償目標電流信号IMS’’を出力する。
【0034】
目標電流最終決定部39は、ダンパー補償部38からの補償目標電流信号IMS’’および位相補償部41からの位相補償された操舵トルク信号Tsが入力され、目標電流信号IT’を出力する。
【0035】
温度推定部43は、詳細に後述するように、モータ電流信号Imと第1の温度センサ27と第2の温度センサ28からの電圧信号VT1,VT2を入力とし、制御部30の温度の推定と、温度センサ27,28の故障の診断を行い、推定温度信号Tmcを出力制限部44に出力する。また、第1の温度センサ27あるいは第2の温度センサ28の故障を判断する温度センサ故障判定信号Bを、表示部に出力する。
【0036】
出力制限部44は、詳細に後述するように、目標電流最終決定部39からの目標電流IT’と第1の温度センサ27と第2の温度センサ28からの電圧信号VT1,VT2と温度推定部から出力される推定温度信号Tmcを入力信号とし、目標電流IT’を制限し、最終目標電流ITとして出力する。
【0037】
図5は、制御部30のブロック構成図である。制御部30は、モータ運転制御部45とモータ駆動部46とモータ電流検出部25を備えている。
【0038】
モータ運転制御部45は、フィードバック(F/B)制御部47とフィードフォワード(F/F)制御部48とPWM信号生成部49とを備えている。フィードバック制御部47は、偏差演算部50と偏差電流制御部51から構成される。
【0039】
偏差演算部50は、目標電流決定部29から出力された目標電流信号ITとモータ電流検出部25からのモータ電流信号Imとの偏差を求め、その値を偏差信号50aとして出力する。
【0040】
偏差電流制御部51は、比例要素と積分要素と加算演算部から構成され、入力された偏差信号50aに対して、比例要素で比例処理した信号50a’を出力し、積分要素で積分処理した信号50a’’を出力し、加算演算部で信号50a’と信号50a’’を加算し、偏差信号50aの値がゼロに近づくように、デューティー比信号である偏差電流制御信号51aを生成・出力する。
【0041】
フィードフォワード制御部48は、フィードフォワード制御要素を生成し、出力するためのものであり、フィードフォワード比例要素52とリミッタ53と加算演算部54から構成される。フィードフォワード比例要素52は、或る任意のF/Fゲイン(Kff)によって、入力された目標電流信号ITに比例したF/F信号52aを出力し、リミッタ53は、F/F信号52aが所定の範囲内であれば、そのまま出力し、所定の範囲外では、制限して任意の一定の値の信号を出力するものである。
【0042】
すなわち、フィードフォワード制御部48のリミッタ53は、フィードフォワード比例要素52に入力された目標電流信号ITに対して、その値が所定範囲内にある場合には、上記F/Fゲインで目標電流信号ITに比例した値を持つデューティー比信号を出力し、その値が所定範囲外にある場合には、任意の一定の値のデューティー比信号を出力する。リミッタ53の出力信号をフィードフォワード制御信号53aと呼ぶことにする。
【0043】
加算演算部54は、偏差電流制御部51から出力された偏差電流制御信号51aにリミッタ53から出力されたフィードフォワード制御信号53aを加え、その値を、モータ20に供給するモータ電流をPWM制御するPWM信号のデューティー比を決める最終出力デューティー比信号54aとして出力する。
【0044】
PWM信号生成部49は、最終出力デューティー比信号54aに基づいてモータ20をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成し、生成したPWM信号を駆動制御信号49aとして出力する。このPWM信号49aは、最終出力デューティー比信号54aで決められるデューティー比を持つ信号である。
【0045】
図5に示すモータ駆動部46は、ゲート駆動回路部55と4個の電力用電界効果トランジスタをH型ブリッジ回路の構成で接続したモータ駆動回路56とを備える。ゲート駆動回路部55は、駆動制御信号(PWM信号)49aに基づいて、ハンドル11の操舵方向に応じて2つの電界効果トランジスタを選択し、選択した2つの電界効果トランジスタのゲートを駆動してこれらの電界効果トランジスタをスイッチング動作させる。
【0046】
モータ電流検出部25は、モータ駆動回路56に直列に接続されたシャント抵抗57の両端に生じる電圧からモータ20に流れるモータ電流(電機子電流)の値IMを検出してモータ電流信号Imを出力する。
【0047】
以上により、制御装置24は、手動操舵トルク検出部22によって検出された手動操舵トルクTと車速V、モータ電流IM、モータ電圧IVに基づいてバッテリ電源58からモータ20へ供給する電流をPWM制御し、モータ20が出力する動力(操舵補助トルク)を制御する。
【0048】
また、図5に示すように、制御装置24は、制御部30においてモータ駆動回路56に直列に接続されたシャント抵抗57の両端に生じる電圧からモータ20に実際に流れるモータ電流の値IMをモータ電流信号Imとして検出し、モータ電流信号Imに基づくフィードバック制御を行うことで、モータ20の制御特性を向上させている。
【0049】
さらに、制御装置24は、制御部30において、目標電流信号ITをフィードフォワード比例要素52に入力し、リミッタ53から出力されたフィードフォワード制御信号53aを加算演算部54で偏差電流制御信号51aに加算することにより、フィードフォワード制御を行うことで、モータ20の制御特性をさらに向上させている。
【0050】
次に、本発明において設けられた温度推定部43と出力制限部44について詳細に説明する。出力制限部44は、モータ電流検出部25で検出されたモータ電流Imから制御部30の温度を推定し、その制御部30の推定温度Tmcと制御部30に設けられた温度センサ27,28が検出する温度T1,T2に基づいて電動パワーステアリング装置10のモータ20へ流すモータ電流Imの目標電流IT’を制限する。また、温度推定部43は、推定温度Tmcが上昇しているときのみ推定温度Tmcと温度センサ27,28の検出値T1,T2とを比較することにより温度センサの故障を検知する。
【0051】
これにより、モータ電流から温度を推定するので、各々の箇所に温度センサを配置する必要がなくなり、センサの数を少なくすることができる。また、モータ電流から直接温度を推定するので、制御部でのジュール熱によって生じる温度変化は、温度センサによらず、そのまま検出できるので制御部の温度と温度センサによって検出される温度との食い違いが生じてしまうということがなくなる。また、温度が上昇しているときは、電流が支配的なパラメータになるので、温度の推定が精度よくできる。よって、温度センサの故障を正確に判断することができる。
【0052】
また、温度推定部43では、推定温度はスタート温度とスタート温度からの温度上昇値の和によって求められ、スタート温度は、推定温度が下降しているときに温度センサにより得られた検出温度あるいはと一致するようにリセットされるようにした。これにより、常に温度を正確に推定することができる。
【0053】
本発明の電動パワーステアリング装置の温度推定部43での温度推定の原理を説明する。ある発熱をする物体Mにおける発熱開始時刻t0から発熱を続けたときの時刻tにおける温度上昇値DTは、単位時間当たりの発熱量qhと単位時間当たりの放熱量qcの差を発熱開始時刻t0から時刻tまで時間で積分したものをその物体Mの熱容量Cで割った式で表現する。
【0054】
【数1】
Figure 2004082757
【0055】
ここで、簡単のために単位時間当たりの放熱量qcは物体Mの放熱特性値で決まる固定値として計算に用いても良いが、一般には、この単位時間当たりの放熱量qcは物体Mの温度Tと外気温TEとの差(T−TE)によって変化するため、この温度差(T−TE)をパラメータとすると精度が向上する。そのため、温度上昇値DTをそのままパラメータにしても良いし、物体Mの周辺温度(外気温)TEが解れば、周囲温度との差(T−TE)をパラメータにする。例えば、温度差がそれほど大きくない場合には、ニュートンの冷却の法則が成り立ち、物体が放射によって単位時間当たり失う熱量は、その物体と周囲との温度差に比例する。
【0056】
式(1)を用いて時刻tにおける物体Mの温度は式(2)で表される推定温度Tとして推定される。
【0057】
【数2】
推定温度T=スタート温度TS+温度上昇値DT      (2)
【0058】
ここで、スタート温度TSは、通常は、その物体Mが発熱を開始する時刻t0での物体Mの温度である。電動パワーステアリング装置においては、最悪条件の値、例えば、60℃とする場合もある。物体Mが発熱を停止したときは、物体Mは、単位時間当たりqcの放熱量で放熱することにより冷却する。それにより、再び、物体Mが発熱を開始するときは、スタート温度TSも以前に発熱を開始したときのスタート温度とは異なっている。そこで、本発明では、スタート温度TSは、物体Mの推定温度Tが温度センサにより検出される温度を下回った場合で、単位時間当たりの発熱量qhが単位時間当たりの放熱量qcよりも小さくなったときに温度センサにより検出された温度と同じ温度にリセットする。
【0059】
一般に電気部品の発熱は電流がその電気部品に流れることによって発生するジュール熱により生じる。その電気部品の単位時間当たりの発熱量の算出には、電流の2乗に比例した抵抗損失とその他の発熱量(還流ダイオードに流れる電流によるもの)を算出し、その和を計算して総発熱量を計算する。
【0060】
本発明の電動パワーステアリング装置の温度推定部では、温度推定計算において電気部品の総発熱量の算出を初めに計算する。そのとき、単位時間当たりの発熱量qcが電気部品に流れる電流の単純な一次関数にすることを特徴としCPUの負荷を軽減している。電気部品の単位時間当たりの総発熱量をより正確に算出する場合は、電気部品に流れる電流に対する発熱量を電流の大きさの所定区間の範囲毎で異なる一次関数により対応付けることにより誤差を少なくすることもできる。
【0061】
上記のような方法を用いることにより、正確な制御部の温度が得られ、その値を出力制限部44に入力するため、制御部の温度に応じて的確な目標電流の制限を行うことができ、モータの制御を的確に行うことができる。
【0062】
図6は、温度推定部43の具体例を示す構成図である。温度推定部43は、図示しないECU内に設けられ、CPU59とメモリ60を備えた構成となっている。メモリ60には、温度センサ出力電圧対温度データテーブル記憶領域61と温度センサ故障判断出力電圧上限値記憶領域62と温度センサ故障判断出力電圧下限値記憶領域63と損失係数記憶領域64と放熱定数記憶領域65と発熱量記憶領域66とスタート温度記憶領域67と発熱量積算値記憶領域68と温度センサ故障判断プログラム記憶領域69とモータ温度推定プログラム記憶領域70が設けられている。また、メモリには、推定温度記憶領域76とセンサ温度記憶領域77が設けられている。
【0063】
また、入力インターフェース部71と出力インターフェース部72とCPU59とメモリ60は、バス73,74,75により接続されている。入力インターフェース部71には、モータ電流検出部25から出力されるモータ電流信号Imと第1の温度センサ27と第2の温度センサ28から出力される電圧信号VT1とVT2が入力され、出力インターフェース部72からは、温度センサ故障判定信号Bと推定温度信号Tmcが出力される。
【0064】
温度センサ出力電圧対温度データテーブル記憶領域61は、温度センサの出力電圧に対応する温度データを記憶する領域である。温度センサ故障判断出力電圧上限値記憶領域62は、温度センサ故障判断出力電圧上限値を記憶させる領域である。温度センサ故障判断出力電圧下限値記憶領域63は、温度センサ故障判断出力電圧下限値を記憶するための領域である。損失係数記憶領域64はモータ電流から温度を推定するときの損失係数を記憶するための領域である。放熱定数記憶領域65はモータ電流から温度を推定するときの放熱定数を記憶するための領域である。発熱量記憶領域66は、モータ電流から求めた単位時間当たりの発熱量と放熱量との差を記憶する領域である。発熱量積算値記憶領域68は、発熱量と放熱量の差の積分値を求めるときに積算した発熱量と放熱量の差を記憶する領域である。スタート温度記憶領域67はモータ電流がゼロのときの温度センサによって検出される温度を記憶する領域である。推定温度記憶領域76は、得られた推定温度Tmcを記憶する領域である。実測温度記憶領域77は、温度センサにより出力される電圧に基づいて得られた温度を記憶する領域である。温度センサ故障判断プログラム記憶領域69は、温度センサ故障判断処理を行うための処理プログラムが記憶されている領域である。温度推定プログラム記憶領域70は、温度推定処理を行うための処理プログラムが記憶されている領域である。
【0065】
図7〜11は温度推定部での処理プログラムのフローチャートである。図7,8は、温度推定のフローチャートである。まず、イグニッションスイッチがオンにされると、温度推定部43では、温度推定プログラムが実行される。初期設定が完了されたかどうか判断する(ステップST10)。もし、初期設定が完了されていなければ、安定待ち終了かどうか判断する(ステップST11)。安定待ち終了でなければ、ステップST11を繰り返し実行し、安定待ち終了であれば、温度推定部に入力インターフェースを介して第1および第2の温度センサからの電圧信号VT1とVT2とモータ電流信号が入力される(ステップST12)。電圧信号VT1とVT2より温度センサでの温度を求める。第1および第2の温度センサのうち高い方をスタート温度として、スタート温度記憶領域67に記憶する(ステップST13)。また、ステップST10で初期設定が完了しているならば、推定温度算出処理を実行する(ステップST14)。
【0066】
図8は、推定温度算出処理(ステップST14)を示す処理フローチャートである。CPU59は、モータ電流の絶対値を計算し(ステップST15)、モータ電流の絶対値がゼロかどうか判断する(ステップST16)。その判断で、モータ電流の絶対値がゼロであったならば、放熱定数記憶領域65から放熱定数としてYWを取り出し(ステップST17)、モータ電流がゼロでないならば、放熱定数にXWを取り出す(ステップST18)。次に、モータ電流の絶対値と損失係数との積から放熱定数を引くことにより単位時間当たりの発熱量qhと放熱量qcの差を計算する(ステップST19)。その求めた単位時間当たりの発熱量qhと放熱量qcの差を発熱量記憶領域66に記憶する。次に、単位時間当たりの発熱量qhと放熱量qcの差を発熱開始時刻t0、すなわち、モータ電流がゼロではなくなった時刻から時刻tまで単位時間当たりの発熱量qhと放熱量qcの差を積算し、積分値を求める(ステップST20)。その積分値を熱容量Cで割ることにより、上昇温度DTを算出する(ステップST21)。CPU59は、スタート温度記憶領域67から、スタート温度を読み出し、その値と温度上昇値DTの和を求めることにより、推定温度Tを計算、推定温度記憶領域76に記憶する(ステップST22)。このようにして求めた推定温度Tは推定温度信号Tmcとして、出力インターフェース72から出力される(ステップST22’)
【0067】
次に、詳細に後述する温度センサ故障判断処理(ステップST23)を実行し、イグニッションスイッチがオンかどうか判断し(ステップST24)、オフであるときは終了し、オンであるときは、次のステップST25を実行する。
【0068】
ステップST25では、CPU59は、発熱量記憶領域66から単位時間当たりの発熱量と放熱量の差を読み出し、ゼロより小さいかどうか判断する(ステップST25)。もし、単位時間当たりの発熱量と放熱量の差がゼロより小さくないならば、再初期化カウンタをクリアし(ステップST26)、ステップST10から再び実行する。もし、ステップST25で単位時間当たりの発熱量と放熱量の差がゼロより小さいならば、CPU59は、推定温度記憶領域76から推定温度を読み出し、また、実測温度記憶領域から実測温度(センサ温度)を読み出し、推定温度が実測温度のうち低い値のものより低いかどうかを判断する(ステップST27)。もし、低くなければ、ステップST26に行き、再初期化カウンタをクリアし、ステップST10から再び実行する。もし、ステップST27で推定温度が実測温度よりも低いならば、この推定温度が実測温度よりも低い状態になってからカウントしているタイマーが規定時間以上かどうかを判断する(ステップST28)。規定時間経過していなければ、経過時間を更新し(ステップST29)、ステップST10から再び実行する。もし、規定時間経過したならば、スタート温度を実測温度のうち高い方の値に書き換え、リセットする(ステップST30)。そして、発熱量積算値記憶領域をクリアする(ステップST31)。その後、再初期化カウンタをクリアし(ステップST26)、再び、ステップST10から実行する。
【0069】
図9〜11は、温度推定部43での温度センサ故障判断処理プログラムのフローチャートである。第1および第2の温度センサ27,28からの電圧信号VT1とVT2を温度センサ電圧対温度データテーブルより検索し、電圧信号VT1とVT2を対応する温度T1とT2に変換する(ステップST50)。CPU59は、入力された第1および第2の温度センサ27,28からの出力電圧VT1とVT2を温度センサ故障判断出力電圧上限値記憶領域62に記憶された温度センサ故障判断出力電圧上限値と比較する(ステップST51)。もし、出力電圧が上限値以上であるならば、上限エラーカウンタインクリメント処理を行う。すなわち、上限エラーカウンタを1増加する(ステップST52)。次に、10回連続上限値以上かどうか判断する。すなわち、上限エラーカウンタが10以上かどうか判断する(ステップST53)。10回連続上限値以上であるならば、上限以上が確定し、上限値故障フラグを1にする(ステップST54)。10回連続上限値以上ではないならば、上限値故障フラグを0にする。もし、ステップST51で出力電圧が上限値以上でないならば、上限値故障フラグを0にし(ステップST55)、上限エラーカウンタをクリアする(ステップST56)。この温度センサ故障判断処理を入力された出力電圧VT1とVT2の両方に対してそれぞれ行う。
【0070】
次に、図10に示すように、CPUは、実測温度T1とT2を読み出し、その値が10℃より大きいかどうか判断する(ステップST57)。T1とT2が10℃より高い場合には、出力電圧VT1,VT2は下限値以下かどうか判断する(ステップST58)。電圧が下限値以下であるならば、下限エラーカウンタインクリメント処理を行い(ステップST59)、10回連続下限以下であるかどうか判断する(ステップST60)。10回連続下限以下であるならば、下限異常確定し、下限値以上フラグを1とする(ステップST61)。そして、10回連続下限値以下でなければ、下限値故障フラグを0とし(ステップST62)、発熱量が0より大きいかどうか判断する(図11のステップST70)。ステップST57で基板温度が10℃より大きくない場合には、下限値フラグを0とし(ステップST63)、下限エラーカウンタクリアがなされる(ステップST64)。これらの処理を両方の温度センサに対してそれぞれ行う。
【0071】
次に、図11で示すように、CPUは、発熱量記憶領域66から単位時間当たりの発熱量を取り出し、単位時間当たりの発熱量がゼロかどうかを判断する(ステップST70)。もし、発熱量がゼロであるならば、固着故障カウンタをクリアして(ステップST71)、ステップST72を実行する。CPUは、推定温度上昇値記憶領域78から、推定温度上昇値を読み出し、その値が10℃より大きいかどうか判断する(ステップST73)。その値が10℃より小さければ、ステップST71に行き、固着故障カウンタをクリアし(ステップST71)、ステップST72を実行する。推定温度上昇値が10℃より高い場合には、センサ温度から、初期温度すなわち、スタート温度を引きセンサ温度変化を計算する(ステップST74)。次に、センサ温度変化が推定温度上昇値を所定の値で割ったものより大きいかどうかを判断する(ステップST75)。もし、センサ温度変化の方が大きければ、固着故障フラグを0にし(ステップST76)、固着故障カウンタをクリアし(ステップST71)、ステップST72を実行する。もし、センサ変化値が小さければ、固着故障カウンタを1増加し(ステップST77)、このカウンタが10以上かどうか判断する(ステップST78)。もし、このカウンタが10より小さければ、固着故障フラグを0にし(ステップST72)、ステップST72を実行する。もし、このカウンタが10以上であるならば、固着故障フラグを1を立てる(ステップST80)。そして、ステップST72では、フラグのどれかが1かどうかを判断する。上限値故障フラグ、下限値故障フラグと固着故障フラグのいづれもが1でない場合は、出力インターフェースから温度センサ故障判定信号Bとして信号0が出力される(ステップST81)。ステップST72で、上限値故障フラグ、下限値故障フラグあるいは固着故障フラグのいずれかが1であるならば、出力インターフェースから温度センサ故障判定信号Bとして信号1が出力される(ステップST82)。温度センサ故障判定信号Bとして信号1を図示しない故障表示器が受信したとき、故障表示器はLEDの発光などにより故障を表示する。
【0072】
図12は、出力制限部44の具体例を示す構成図である。出力制限部44は、図示しないECU内に設けられ、CPU80とメモリ81を備えた構成となっている。メモリ81には、温度センサ出力電圧対温度データテーブル記憶領域82とセンサ温度対出力制限係数データテーブル記憶領域83と推定温度対出力制限係数データテーブル記憶領域84と出力制限処理プログラム記憶領域85が設けられている。
【0073】
また、入力インターフェース部86と出力インターフェース部87とCPU80とメモリ81は、バス88,89,90により接続されている。入力インターフェース部86には、目標電流最終決定部39から出力される目標電流IT’と温度センサからの出力電圧信号VT1,VT2と温度推定部43からの推定温度Tmcが入力され、出力インターフェース部87からは、最終目標電流ITが出力される。
【0074】
温度センサ出力電圧対温度データテーブル記憶領域82は、温度センサからの出力電圧に対応する温度のデータを記憶する領域である。センサ温度対出力制限係数データテーブル記憶領域83は、センサ温度に対する出力制限係数を記憶させる領域である。推定温度対出力制限係数データテーブル記憶領域84は、推定温度に対する出力制限係数を記憶するための領域である。出力制限処理プログラム記憶領域85は、出力制限処理を行うための処理プログラムが記憶されている領域である。図13は、センサ温度対出力制限係数データテーブルを示すグラフである。横軸は、センサ温度であり、縦軸は目標電流に掛ける出力制限係数R1を示す。出力制限係数R1は、センサ温度が所定の温度以下では1であるが、センサ温度が所定の温度以上になったとき、センサ温度の増加に伴い、1から減少する。図14は、推定温度対出力制限係数データテーブルを示すグラフである。横軸は、推定温度であり、縦軸は目標電流に掛ける出力制限係数R2を示す。出力制限係数R2は、推定温度が所定の温度以下では1であるが、推定温度が所定の温度以上になったとき、推定温度の増加に伴い、1から減少する。このような出力制限係数を目標電流IT’に掛けることにより、出力制限部44は、制限された目標電流ITを出力することができる。
【0075】
図15は、出力制限処理プログラムに基づく処理のフローチャートである。まず、出力制限部44の入力インターフェース部86を通して目標電流IT’と温度センサ出力電圧VT1,VT2と温度推定部43からの推定温度信号Tmcが入力される(ステップST90)。CPU86は、メモリ81の記憶領域から瞬時に入力されたセンサ出力電圧に対応する温度を検索し(ステップST91)、その温度に対応する出力制限係数R1を検索する(ステップST92)。また、メモリの記憶領域から瞬時に入力された推定温度信号Tmcに対応する出力制限係数R2を検索する(ステップST93)。CPU80は、出力制限係数R1とR2のうち、値の小さい方を取り出す。CPU80は、出力制限係数のうち小さい方の値と目標電流IT’との積を求め(ステップST94)。その積を出力インターフェース87を通して出力する(ステップST95)。
【0076】
以上の動作により温度によって出力制限された目標電流が制御部に出力される。
【0077】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、次の効果を奏する。
【0078】
電動パワーステアリング装置の制御部に温度センサとモータ電流検出部を設け、モータ電流検出部で検出されたモータ電流から制御部の温度を推定し、その制御部の推定温度と温度センサが検出する温度に基づいて電動パワーステアリング装置のモータへ流すモータ電流の目標電流を制限するとともに、推定温度が上昇しているときのみ推定温度と温度センサの検出値とを比較することにより温度センサの故障を検知するため、センサの数を少なくすることができる。また、モータ電流検出部によって検出されるモータ電流から直接温度を推定するので、制御部の温度と温度センサによって検出される温度との食い違いが生じてしまうということがなくなる。さらに、温度が上昇しているときには温度変化が大きく、温度センサは、故障しているかどうかの判断をしやすくすることができる。
【0079】
電動パワーステアリング装置の制御部に温度センサとモータ電流検出部を設け、モータ電流検出部で検出されたモータ電流から制御部の温度を推定し、その制御部の推定温度と温度センサが検出する温度に基づいて電動パワーステアリング装置のモータへ流すモータ電流の目標電流を制限するとともに、推定温度はスタート温度とスタート温度からの温度上昇値の和によって求められ、スタート温度は、推定温度が下降しているときに温度センサにより得られた検出温度と一致するようにリセットされるようにしたため、常に温度を正確に推定することができる。
【0080】
温度センサはヒートシンク部と基板とにそれぞれ設けられたため、より正確に制御部の温度を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の模式構造図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の制御装置を示す図である。
【図3】温度センサの取り付け位置を示す図である。
【図4】目標電流決定部のブロック構成図である。
【図5】制御部のブロック構成図である。
【図6】温度推定部の具体例を示す構成図である。
【図7】温度推定プログラムの処理フローチャートである。
【図8】温度推定プログラムの処理フローチャートである。
【図9】温度センサ故障判断処理プログラムの処理フローチャートである。
【図10】温度センサ故障判断処理プログラムの処理フローチャートである。
【図11】温度センサ故障判断処理プログラムの処理フローチャートである。
【図12】出力制限部の具体例を示す構成図である。
【図13】センサ温度対出力制限係数データテーブルを示すグラフである。
【図14】推定温度対出力制限係数データテーブルを示すグラフである。
【図15】出力制限処理プログラムの処理フローチャートである。
【符号の説明】
10     電動パワーステアリング装置
11     ステアリングホイール
12     ステアリング軸
13     連結軸
15     ピニオン機構
16     手動操舵トルク発生機構
17     ラック軸
18     タイロッド
19     前輪
20     モータ
21     ボールねじ機構
22     手動操舵トルク検出部
23     車速センサ
24     制御装置
25     モータ電流検出部
26     モータ電圧検出部
27     第1の温度センサ
28     第2の温度センサ
29     目標電流決定部
30     制御部
43     温度推定部
44     出力制限部

Claims (3)

  1. 電動パワーステアリング装置の制御部に温度センサとモータ電流検出部を設け、
    前記モータ電流検出部で検出されたモータ電流から前記制御部の温度を推定し、
    その制御部の推定温度と前記温度センサが検出する温度に基づいて前記電動パワーステアリング装置のモータへ流すモータ電流の目標電流を制限するとともに、
    前記推定温度が上昇しているときのみ前記推定温度と前記温度センサの検出値とを比較することにより前記温度センサの故障を検知することを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御方法。
  2. 電動パワーステアリング装置の制御部に温度センサとモータ電流検出部を設け、
    前記モータ電流検出部で検出されたモータ電流から前記制御部の温度を推定し、
    その制御部の推定温度と前記温度センサが検出する温度に基づいて前記電動パワーステアリング装置のモータへ流すモータ電流の目標電流を制限するとともに、
    前記推定温度はスタート温度と前記スタート温度からの温度上昇値の和によって求められ、
    前記スタート温度は、前記推定温度が下降しているときに前記温度センサにより得られた検出温度と一致するようにリセットされるようにしたことを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御方法。
  3. 前記温度センサはヒートシンク部と基板とにそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置の制御方法。
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