JP2004330879A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的特性変化が生じたことを運転者などに警告できる車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】操舵トルクTに応じた目標電流値Iobjは、目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差に応じた特性補償値Iωと電動パワーステアリング装置の使用期間に応じた経時変化補償値Itとを加算して得られる補正値Iω+Itによって補正される。補正値Iω+Itが予め定められたしきい値を超えた場合、警告判定部110によって、機械的特性変化が生じていると判定されて、たとえば、車両のインストルメントパネルに配置されたEPS警告灯9が点灯される。
【選択図】 図1
【解決手段】操舵トルクTに応じた目標電流値Iobjは、目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差に応じた特性補償値Iωと電動パワーステアリング装置の使用期間に応じた経時変化補償値Itとを加算して得られる補正値Iω+Itによって補正される。補正値Iω+Itが予め定められたしきい値を超えた場合、警告判定部110によって、機械的特性変化が生じていると判定されて、たとえば、車両のインストルメントパネルに配置されたEPS警告灯9が点灯される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アクチュエータが発生する駆動力を用いて操舵を達成する車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、電動モータの駆動力を用いて操舵を達成する車両用操舵装置として、電動モータの駆動力をステアリング機構に伝達することによって操舵補助する電動パワーステアリング装置が知られている。このような電動パワーステアリング装置では、予め定められたアシスト特性に従って、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクに応じた目標電流値が設定される。そして、目標電流値とモータに実際に流れる電流値とが一致するようにモータドライバが制御され、これによって、操舵トルクに応じた操舵補助力が電動モータからステアリング機構に与えられる。
【0003】
アシスト特性は、電動モータなどの構成部品が新品の状態で良好な操舵フィーリングを得られるように設定されている。そのため、構成部品の経時劣化に伴って車両用操舵装置の特性が変化(経時特性変化)すると、操舵トルクに応じた適正な操舵補助力をステアリング機構に与えることができず、操舵フィーリングが悪化するおそれがある。そこで、下記特許文献1では、電動モータの駆動力によるアシスト制御量に、経時特性変化に起因する操舵フィーリングの悪化を補償するための補正アシスト制御量を付加して、電動モータの駆動制御を行う手法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特許2704049号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、経時特性変化には、ステアリング機構に備えられているピニオンギヤの歯欠けなどに起因する機械的特性変化(機械的故障)が含まれていない。すなわち、ピニオンギヤの歯が欠けると、その欠けた歯の破片がピニオンギヤとこれに噛合するラックギヤとの間に挟まることがあり、この場合、ピニオンギヤの回転によってラックギヤが良好に移動しなくなってしまう。このような機械的特性変化は、従来から提案されている制御手法では補償しきれず、場合によっては操舵不能な状態に陥るおそれがあった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、制御によっては補償しきれない特性変化が生じたことを運転者などに警告できる車両用操舵装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、操舵のための駆動力を発生するアクチュエータ(M)と、目標駆動値(Iobj)に基づいて上記アクチュエータを駆動制御する駆動制御手段(109)と、上記目標駆動値を補正するための補正値(Iω+It)を設定する補正値設定手段(104,105,106)と、この補正値設定手段によって設定される補正値が所定値を超えていることを条件として警告を発生する警告手段(110,9)とを含むことを特徴とする車両用操舵装置である。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
たとえば、車両のステアリング機構に備えられているピニオンギヤの歯が欠けて、その欠けた歯の破片がピニオンギヤとこれに噛合するラックギヤとの間に挟まり、ピニオンギヤの回転に伴ってラックギヤが良好に移動しなくなるといったような機械的特性変化(機械的故障)が生じると、補正値が大きな値に設定されても、その機械的特性変化を補償しきれず、場合によっては操舵困難あるいは操舵不能な状態に陥るおそれもある。
【0009】
上記の構成によれば、補正値設定手段によって設定される補正値が所定値を超えたことに応答して警告が発生される。これにより、補正値では補償しきれない機械的特性変化のような特性変化が生じたことを運転者などに警告することができ、操舵困難または操舵不能な状態に陥る前に、その特性変化を生じる起因となった箇所の修理を促すことができる。
なお、上記警告は、警告灯の点灯によって達成されてもよいし、警告音または音声の出力によって達成されてもよい。
【0010】
また、請求項2に記載のように、上記補正値設定手段は、当該車両用操舵装置の特性に応じた特性補償値(Iω)を設定する特性補償値設定手段(104)と、当該車両用操舵装置の特性の経時変化を補償するための経時変化補償値(It)を設定する経時変化補償値設定手段(105)と、上記特性補償値設定手段によって設定される特性補償値と上記経時変化補償値設定手段によって設定される経時変化補償値とを加算し、その加算値を補正値(Iω+It)として設定する加算手段(106)とを含むものであってもよい。この場合、車両用操舵装置の特性およびその特性の経時変化以外の原因で操舵フィーリングが悪化したときに、そのことを運転者などに警告することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ステアリング機構3に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMから発生する駆動力が、操舵補助力として、図示しないギヤ機構を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、機械的に伝達されるようになっている。
【0012】
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクTに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。このトルクセンサ5の出力信号は、マイクロコンピュータ10に入力されている。
【0013】
マイクロコンピュータ10には、トルクセンサ5の出力信号のほかにも、電動モータMの端子間電圧を検出するモータ端子電圧検出部6の出力信号、および電動モータMに流れる駆動電流(モータ電流)を検出するモータ電流検出部7の出力信号も入力されている。
マイクロコンピュータ10は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTに応じた目標電流値(目標駆動値)を設定し、この目標電流値に基づいてモータドライバ8を制御する。これにより、電動モータMに適切な駆動電流が与えられ、操舵トルクTに応じた操舵補助力が電動モータMからステアリング機構3に与えられることになる。
【0014】
マイクロコンピュータ10は、プログラム処理によって実現される機能処理部を実質的に備えている。この機能処理部には、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTに応じた目標電流値Iobjを設定する目標駆動値設定部101が含まれる。目標駆動値設定部101は、運転者の好みに応じたアシスト特性に従って、操舵トルクTに応じた目標電流値Iobjを設定する。すなわち、この電動パワーステアリング装置では、その操舵トルクTに対する目標電流値Iobjの関係が互いに異なる複数のアシスト特性が用意されている。そして、運転者が複数のアシスト特性の中から好みのアシスト特性を1つ選んで設定しておけば、それ以後は、運転者が自動的に識別されて、その運転者の好みに応じたアシスト特性が自動的に選択されるようになっている。
【0015】
運転者の識別は、運転席のシートに体重計および/または体脂肪率計が組み込まれて、その体重計によって計測される体重および/または体脂肪率計によって計測される体脂肪率に基づいて達成されてもよい。また、インストルメントパネルまたはルームバックミラーなどにCCDカメラが付設されて、このCCDカメラによって撮像された運転者の顔に基づいて、その運転者の識別が達成されてもよい。さらには、運転者ごとに異なる識別情報(ID)を有するキー(鍵)が用いられて、車両の鍵穴(たとえば、運転席側のドアの鍵穴、ステアリングコラムに設けられた鍵穴)に差し込まれたキーが有する識別情報に基づいて、そのキーの使用者である運転者の識別が達成されてもよい。
【0016】
マイクロコンピュータ10が実質的に有する機能処理部にはさらに、予め求められた電動モータMの駆動電流値と回転角速度との関係に基づいて、目標電流値Iobjに対応する電動モータMの目標回転角速度ωobjを推定するモータ角速度推定部102、モータ端子電圧検出部6およびモータ電流検出部7からの信号に基づいて、電動モータMの実際の回転角速度ωを演算するモータ角速度演算部103、目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差に応じた特性補償値Iωを生成する特性補償部104、この電動パワーステアリング装置の使用期間に応じた経時変化補償値Itを生成する経時変化補償部105、特性補償部104が生成する特性補償値Iωと経時変化補償部105が生成する経時変化補償値Itとを加算することによって補正値Iω+Itを生成する補正値演算部106、ならびに、目標駆動値設定部101が設定する目標電流値Iobjに補正値演算部106が生成する補正値Iω+Itを加算することによって目標電流値Iobjを補正する目標駆動値補正部107が含まれる。
【0017】
そして、目標駆動値補正部107によって補正された後の目標電流値Iobj+Iω+Itとモータ電流検出部7が検出するモータ電流値との偏差が、偏差演算部108によって求められ、この偏差演算部108によって求められた偏差に基づいて、モータドライバ8に与えるべき制御信号(たとえば、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号)が、制御信号生成部109によって生成されるようになっている。
【0018】
特性補償部104は、電動パワーステアリング装置の応答性(ステアリングホイール1の操作に対する舵角変化の特性)を改善するために、目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差に応じた特性補償値Iωを生成する。すなわち、応答遅れが大きいほど目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差が大きくなるので、特性補償部104は、目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差が大きいほど特性補償値Iωを大きな値に設定する。これにより、応答遅れを補償することができ、電動パワーステアリング装置の応答性が改善される。
【0019】
電動パワーステアリング装置の応答性などの特性は、使用期間の経過に伴って低下していく。そのため、電動パワーステアリング装置の使用期間が長期に及ぶと、特性補償部104が生成する特性補償値Iωでは応答遅れなどを補償しきれなくなる。そこで、経時変化補償部105が備えられており、経時変化補償部105は、たとえば、耐久試験を行うことによって得られた経時特性変化のデータに基づいて、電動パワーステアリング装置の使用期間に応じた経時変化補償値Itを生成する。これにより、電動パワーステアリング装置の経時特性変化を補償することができ、この電動パワーステアリング装置は、長期にわたって使用されても、良好な特性を発揮することができる。
【0020】
ところが、ステアリング機構3に備えられているピニオンギヤの歯が欠けて、その欠けた歯の破片がピニオンギヤとこれに噛合するラックギヤとの間に挟まり、ピニオンギヤの回転に伴ってラックギヤが良好に移動しなくなるといったような機械的特性変化(機械的故障)が生じた場合には、補正値Iω+Itが大きな値に設定されても、その機械的特性変化を補償しきれず、操舵フィーリングが著しく悪化する。また、場合によっては、操舵困難あるいは操舵不能な状態に陥るおそれもある。したがって、このような機械的特性変化が生じた場合、そのことを運転者などに知らせて、電動パワーステアリング装置の修理を促すことが好ましい。
【0021】
そこで、マイクロコンピュータ10は、上記のような機械的特性変化が生じているか否かを判定する警告判定部110を備えている。警告判定部110は、補正値演算部106が生成する補正値Iω+Itと予め定められたしきい値との大小を比較して、補正値Iω+Itが予め定められたしきい値を超えていれば、機械的特性変化が生じていると判定して、たとえば、車両のインストルメントパネルに配置されたEPS警告灯9を点灯させる。これにより、制御によっては補償しきれない機械的特性変化が生じたことを運転者などに警告することができる。
【0022】
なお、この警告は、EPS警告灯9の点灯に限らず、警告音または音声の出力によって達成されてもよい。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、車両用操舵装置の一例として電動パワーステアリング装置を取り上げたが、この発明は、電動モータなどでオイルポンプを駆動し、このオイルポンプからの作動油をステアリング機構に結合されたパワーシリンダに供給して、パワーシリンダから操舵補助力を発生させる油圧式パワーステアリング装置に適用することもできる。また、これらのパワーステアリング装置に限らず、ステアリングホイールと舵取り用の車輪を転舵するための舵取り機構とが機械的に切り離されていて、電動モータの駆動力を舵取り機構に与えることによって操舵(舵取り用の車輪の転舵)を達成するようにしたステア・バイ・ワイヤ(SBW)システムにも適用することができる。
【0023】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
9 警告灯(警告手段)
10 マイクロコンピュータ
101 目標駆動値設定部
104 特性補償部(補正値設定手段、特性補償値設定手段)
105 経時変化補償部(補正値設定手段、経時変化補償値設定手段)
106 補正値演算部(補正値設定手段、加算手段)
107 目標駆動値補正部
109 制御信号生成部(駆動制御手段)
110 警告判定部(警告手段)
M 電動モータ(アクチュエータ)
【発明の属する技術分野】
この発明は、アクチュエータが発生する駆動力を用いて操舵を達成する車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、電動モータの駆動力を用いて操舵を達成する車両用操舵装置として、電動モータの駆動力をステアリング機構に伝達することによって操舵補助する電動パワーステアリング装置が知られている。このような電動パワーステアリング装置では、予め定められたアシスト特性に従って、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクに応じた目標電流値が設定される。そして、目標電流値とモータに実際に流れる電流値とが一致するようにモータドライバが制御され、これによって、操舵トルクに応じた操舵補助力が電動モータからステアリング機構に与えられる。
【0003】
アシスト特性は、電動モータなどの構成部品が新品の状態で良好な操舵フィーリングを得られるように設定されている。そのため、構成部品の経時劣化に伴って車両用操舵装置の特性が変化(経時特性変化)すると、操舵トルクに応じた適正な操舵補助力をステアリング機構に与えることができず、操舵フィーリングが悪化するおそれがある。そこで、下記特許文献1では、電動モータの駆動力によるアシスト制御量に、経時特性変化に起因する操舵フィーリングの悪化を補償するための補正アシスト制御量を付加して、電動モータの駆動制御を行う手法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特許2704049号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、経時特性変化には、ステアリング機構に備えられているピニオンギヤの歯欠けなどに起因する機械的特性変化(機械的故障)が含まれていない。すなわち、ピニオンギヤの歯が欠けると、その欠けた歯の破片がピニオンギヤとこれに噛合するラックギヤとの間に挟まることがあり、この場合、ピニオンギヤの回転によってラックギヤが良好に移動しなくなってしまう。このような機械的特性変化は、従来から提案されている制御手法では補償しきれず、場合によっては操舵不能な状態に陥るおそれがあった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、制御によっては補償しきれない特性変化が生じたことを運転者などに警告できる車両用操舵装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、操舵のための駆動力を発生するアクチュエータ(M)と、目標駆動値(Iobj)に基づいて上記アクチュエータを駆動制御する駆動制御手段(109)と、上記目標駆動値を補正するための補正値(Iω+It)を設定する補正値設定手段(104,105,106)と、この補正値設定手段によって設定される補正値が所定値を超えていることを条件として警告を発生する警告手段(110,9)とを含むことを特徴とする車両用操舵装置である。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
たとえば、車両のステアリング機構に備えられているピニオンギヤの歯が欠けて、その欠けた歯の破片がピニオンギヤとこれに噛合するラックギヤとの間に挟まり、ピニオンギヤの回転に伴ってラックギヤが良好に移動しなくなるといったような機械的特性変化(機械的故障)が生じると、補正値が大きな値に設定されても、その機械的特性変化を補償しきれず、場合によっては操舵困難あるいは操舵不能な状態に陥るおそれもある。
【0009】
上記の構成によれば、補正値設定手段によって設定される補正値が所定値を超えたことに応答して警告が発生される。これにより、補正値では補償しきれない機械的特性変化のような特性変化が生じたことを運転者などに警告することができ、操舵困難または操舵不能な状態に陥る前に、その特性変化を生じる起因となった箇所の修理を促すことができる。
なお、上記警告は、警告灯の点灯によって達成されてもよいし、警告音または音声の出力によって達成されてもよい。
【0010】
また、請求項2に記載のように、上記補正値設定手段は、当該車両用操舵装置の特性に応じた特性補償値(Iω)を設定する特性補償値設定手段(104)と、当該車両用操舵装置の特性の経時変化を補償するための経時変化補償値(It)を設定する経時変化補償値設定手段(105)と、上記特性補償値設定手段によって設定される特性補償値と上記経時変化補償値設定手段によって設定される経時変化補償値とを加算し、その加算値を補正値(Iω+It)として設定する加算手段(106)とを含むものであってもよい。この場合、車両用操舵装置の特性およびその特性の経時変化以外の原因で操舵フィーリングが悪化したときに、そのことを運転者などに警告することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ステアリング機構3に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMから発生する駆動力が、操舵補助力として、図示しないギヤ機構を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、機械的に伝達されるようになっている。
【0012】
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクTに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。このトルクセンサ5の出力信号は、マイクロコンピュータ10に入力されている。
【0013】
マイクロコンピュータ10には、トルクセンサ5の出力信号のほかにも、電動モータMの端子間電圧を検出するモータ端子電圧検出部6の出力信号、および電動モータMに流れる駆動電流(モータ電流)を検出するモータ電流検出部7の出力信号も入力されている。
マイクロコンピュータ10は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTに応じた目標電流値(目標駆動値)を設定し、この目標電流値に基づいてモータドライバ8を制御する。これにより、電動モータMに適切な駆動電流が与えられ、操舵トルクTに応じた操舵補助力が電動モータMからステアリング機構3に与えられることになる。
【0014】
マイクロコンピュータ10は、プログラム処理によって実現される機能処理部を実質的に備えている。この機能処理部には、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTに応じた目標電流値Iobjを設定する目標駆動値設定部101が含まれる。目標駆動値設定部101は、運転者の好みに応じたアシスト特性に従って、操舵トルクTに応じた目標電流値Iobjを設定する。すなわち、この電動パワーステアリング装置では、その操舵トルクTに対する目標電流値Iobjの関係が互いに異なる複数のアシスト特性が用意されている。そして、運転者が複数のアシスト特性の中から好みのアシスト特性を1つ選んで設定しておけば、それ以後は、運転者が自動的に識別されて、その運転者の好みに応じたアシスト特性が自動的に選択されるようになっている。
【0015】
運転者の識別は、運転席のシートに体重計および/または体脂肪率計が組み込まれて、その体重計によって計測される体重および/または体脂肪率計によって計測される体脂肪率に基づいて達成されてもよい。また、インストルメントパネルまたはルームバックミラーなどにCCDカメラが付設されて、このCCDカメラによって撮像された運転者の顔に基づいて、その運転者の識別が達成されてもよい。さらには、運転者ごとに異なる識別情報(ID)を有するキー(鍵)が用いられて、車両の鍵穴(たとえば、運転席側のドアの鍵穴、ステアリングコラムに設けられた鍵穴)に差し込まれたキーが有する識別情報に基づいて、そのキーの使用者である運転者の識別が達成されてもよい。
【0016】
マイクロコンピュータ10が実質的に有する機能処理部にはさらに、予め求められた電動モータMの駆動電流値と回転角速度との関係に基づいて、目標電流値Iobjに対応する電動モータMの目標回転角速度ωobjを推定するモータ角速度推定部102、モータ端子電圧検出部6およびモータ電流検出部7からの信号に基づいて、電動モータMの実際の回転角速度ωを演算するモータ角速度演算部103、目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差に応じた特性補償値Iωを生成する特性補償部104、この電動パワーステアリング装置の使用期間に応じた経時変化補償値Itを生成する経時変化補償部105、特性補償部104が生成する特性補償値Iωと経時変化補償部105が生成する経時変化補償値Itとを加算することによって補正値Iω+Itを生成する補正値演算部106、ならびに、目標駆動値設定部101が設定する目標電流値Iobjに補正値演算部106が生成する補正値Iω+Itを加算することによって目標電流値Iobjを補正する目標駆動値補正部107が含まれる。
【0017】
そして、目標駆動値補正部107によって補正された後の目標電流値Iobj+Iω+Itとモータ電流検出部7が検出するモータ電流値との偏差が、偏差演算部108によって求められ、この偏差演算部108によって求められた偏差に基づいて、モータドライバ8に与えるべき制御信号(たとえば、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号)が、制御信号生成部109によって生成されるようになっている。
【0018】
特性補償部104は、電動パワーステアリング装置の応答性(ステアリングホイール1の操作に対する舵角変化の特性)を改善するために、目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差に応じた特性補償値Iωを生成する。すなわち、応答遅れが大きいほど目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差が大きくなるので、特性補償部104は、目標回転角速度ωobjと実際の回転角速度ωとの偏差が大きいほど特性補償値Iωを大きな値に設定する。これにより、応答遅れを補償することができ、電動パワーステアリング装置の応答性が改善される。
【0019】
電動パワーステアリング装置の応答性などの特性は、使用期間の経過に伴って低下していく。そのため、電動パワーステアリング装置の使用期間が長期に及ぶと、特性補償部104が生成する特性補償値Iωでは応答遅れなどを補償しきれなくなる。そこで、経時変化補償部105が備えられており、経時変化補償部105は、たとえば、耐久試験を行うことによって得られた経時特性変化のデータに基づいて、電動パワーステアリング装置の使用期間に応じた経時変化補償値Itを生成する。これにより、電動パワーステアリング装置の経時特性変化を補償することができ、この電動パワーステアリング装置は、長期にわたって使用されても、良好な特性を発揮することができる。
【0020】
ところが、ステアリング機構3に備えられているピニオンギヤの歯が欠けて、その欠けた歯の破片がピニオンギヤとこれに噛合するラックギヤとの間に挟まり、ピニオンギヤの回転に伴ってラックギヤが良好に移動しなくなるといったような機械的特性変化(機械的故障)が生じた場合には、補正値Iω+Itが大きな値に設定されても、その機械的特性変化を補償しきれず、操舵フィーリングが著しく悪化する。また、場合によっては、操舵困難あるいは操舵不能な状態に陥るおそれもある。したがって、このような機械的特性変化が生じた場合、そのことを運転者などに知らせて、電動パワーステアリング装置の修理を促すことが好ましい。
【0021】
そこで、マイクロコンピュータ10は、上記のような機械的特性変化が生じているか否かを判定する警告判定部110を備えている。警告判定部110は、補正値演算部106が生成する補正値Iω+Itと予め定められたしきい値との大小を比較して、補正値Iω+Itが予め定められたしきい値を超えていれば、機械的特性変化が生じていると判定して、たとえば、車両のインストルメントパネルに配置されたEPS警告灯9を点灯させる。これにより、制御によっては補償しきれない機械的特性変化が生じたことを運転者などに警告することができる。
【0022】
なお、この警告は、EPS警告灯9の点灯に限らず、警告音または音声の出力によって達成されてもよい。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、車両用操舵装置の一例として電動パワーステアリング装置を取り上げたが、この発明は、電動モータなどでオイルポンプを駆動し、このオイルポンプからの作動油をステアリング機構に結合されたパワーシリンダに供給して、パワーシリンダから操舵補助力を発生させる油圧式パワーステアリング装置に適用することもできる。また、これらのパワーステアリング装置に限らず、ステアリングホイールと舵取り用の車輪を転舵するための舵取り機構とが機械的に切り離されていて、電動モータの駆動力を舵取り機構に与えることによって操舵(舵取り用の車輪の転舵)を達成するようにしたステア・バイ・ワイヤ(SBW)システムにも適用することができる。
【0023】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
9 警告灯(警告手段)
10 マイクロコンピュータ
101 目標駆動値設定部
104 特性補償部(補正値設定手段、特性補償値設定手段)
105 経時変化補償部(補正値設定手段、経時変化補償値設定手段)
106 補正値演算部(補正値設定手段、加算手段)
107 目標駆動値補正部
109 制御信号生成部(駆動制御手段)
110 警告判定部(警告手段)
M 電動モータ(アクチュエータ)
Claims (2)
- 操舵のための駆動力を発生するアクチュエータと、
目標駆動値に基づいて上記アクチュエータを駆動制御する駆動制御手段と、
上記目標駆動値を補正するための補正値を設定する補正値設定手段と、
この補正値設定手段によって設定される補正値が所定値を超えていることを条件として警告を発生する警告手段とを含むことを特徴とする車両用操舵装置。 - 上記補正値設定手段は、
当該車両用操舵装置の特性に応じた特性補償値を設定する特性補償値設定手段と、
当該車両用操舵装置の特性の経時変化を補償するための経時変化補償値を設定する経時変化補償値設定手段と、
上記特性補償値設定手段によって設定される特性補償値と上記経時変化補償値設定手段によって設定される経時変化補償値とを加算し、その加算値を補正値として設定する加算手段とを含むものであることを特徴とする請求項1記載の車両用操舵装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003129484A JP2004330879A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 車両用操舵装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003129484A JP2004330879A (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 車両用操舵装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=33505308
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