JP2005319824A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】雰囲気温度演算部16は、温度センサ21の温度検出値Tから、モータ駆動電流検出値Isに基づき算出される温度センサ21の温度上昇分を減ずることにより、雰囲気温度推定値Taを算出する。過熱保護演算部17は、その雰囲気温度推定値Ta(または温度検出値T)とモータ駆動電流検出値Isとに基づき複数の過熱保護対象の温度推定値を算出し、それらの温度推定値に基づきモータ駆動の目標電流の上限値ILimを決定する。また、温度補償演算部18は、所定部位の温度特性を補償するために目標電流値Itに加算すべき温度補償電流値ΔITcを雰囲気温度推定値Taに基づき算出する。
【選択図】図2
Description
前記電動モータの駆動に起因する発熱による過熱から保護すべき部位である第1および第2保護対象の温度の推定値をそれぞれ算出する第1および第2温度算出手段と、
前記第1保護対象の近傍に配置された温度検出手段と、
前記発熱による前記温度検出手段の温度上昇分である第1温度変化量を算出し、当該第1温度変化量を前記温度検出手段による温度検出値から減算することにより雰囲気温度の推定値を算出する雰囲気温度算出手段と、
前記第1および第2保護対象の温度の推定値に基づき、前記電動モータに流すべき電流を制限する電流制限手段とを備え、
前記第2温度算出手段は、前記発熱による前記第2保護対象の温度上昇分である第2温度変化量を算出し、当該第2温度変化量と前記雰囲気温度の推定値とに基づき前記第2保護対象の温度の推定値を算出することを特徴とする。
前記雰囲気温度算出手段は、前記電動モータの駆動のために前記第1保護対象またはその近傍に流れる電流に起因する発熱による前記温度検出手段の温度上昇分を前記第1温度変化量として算出し、
前記第2温度算出手段は、前記電動モータの駆動のために前記第2保護対象またはその近傍に流れる電流に起因する発熱による前記第2保護対象の温度上昇分を前記第2温度変化量として算出することを特徴とする。
前記第1温度算出手段は、前記発熱による前記第1保護対象の温度上昇分を算出し、前記第1保護対象の温度上昇分と前記温度検出手段による温度検出値とに基づき前記第1保護対象の温度の推定値を算出することを特徴とする。
前記電動モータの駆動に起因する発熱による過熱から保護すべき部位である保護対象の近傍に配置された温度検出手段と、
前記発熱による前記温度検出手段の温度上昇分である第1温度変化量を算出し、当該第1温度変化量を前記温度検出手段による温度検出値から減算することにより雰囲気温度の推定値を算出する雰囲気温度算出手段と、
所定部位の温度特性を補償するために修正すべき前記目標値の修正量を前記雰囲気温度の推定値に基づき算出する温度補償演算手段と、
前記修正量に応じて前記目標値を修正する目標値修正手段と、
前記発熱による前記保護対象の温度上昇分である第2温度変化量を算出し、当該第2温度変化量と前記雰囲気温度の推定値または前記温度検出値とに基づき前記保護対象の温度の推定値を算出する温度算出手段と、
前記保護対象の温度の推定値に基づき、前記電動モータに流すべき電流を制限する電流制限手段とを備えることを特徴とする。
<1.全体構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両構成と共に示す概略図である。この電動パワーステアリング装置は、操舵のための操作手段としてのハンドル(ステアリングホイール)100に一端が固着されるステアリングシャフト102と、そのステアリングシャフト102の他端に連結されたラックピニオン機構104と、ハンドル100の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ3と、当該車両の走行速度を検出する車速センサ4と、ハンドル操作における運転者の負荷を軽減するための操舵補助力を発生させる電動モータ6と、そのモータ6の発生する操舵補助力をステアリングシャフト102に伝達する減速ギヤ7と、車載バッテリ8から電源の供給を受けて、トルクセンサ3や車速センサ4からのセンサ信号に基づきモータ6の駆動を制御する電子制御ユニット(ECU)5とを備えている。
図2は、上記電動パワーステアリング装置を制御的観点から見た構成を示すブロック図である。上記電動パワーステアリング装置の制御装置であるECU5は、目標電流演算部12と、目標電流修正部13と、減算器14と、PI制御部15と、雰囲気温度演算部16と、過熱保護演算部17と、温度補償演算部18と、モータ駆動部20と、電流検出器19と、温度センサ21とを備えており、目標電流演算部12には、トルクセンサ3によって検出された操舵トルクTsの検出値を示す信号と、車速センサ4によって検出された車速Vsの検出値を示す信号とが入力される。このようなECU5の構成要素のうち、目標電流演算部12、目標電流修正部13、減算器14、PI制御部15、雰囲気温度演算部16、過熱保護演算部17、および温度補償演算部18は、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)10が所定のプログラムを実行することによりソフトウェア的に実現される。
Ta=T−Ga・Is/(1+τa・S) …(1)
ここで、Gaは上記熱伝導を模擬する一次遅れ要素のゲイン定数を、τaは当該一次遅れ要素の時定数をそれぞれ示しており、Gaとτaの具体的な値は実測データに基づき決定される。また、Is2は電流検出値Isの二乗値であり、Sはラプラス変換による複素変数である(以下同様)。このようにして算出された雰囲気温度推定値Taは、過熱保護演算部17および温度補償演算部18に入力される。なお、上記式(1)はラプラス演算子関数についての式であり、実際には、マイコン10による上記式(1)に対応する数値計算により、温度検出値Tおよび電流検出値Isの時系列データから雰囲気温度推定値Taが時系列的に繰り返し算出される。
図4は、この電動パワーステアリング装置における過熱保護演算部17の構成を示す機能ブロック図である。以下、図4を参照して過熱保護演算部17の詳細を説明する。なお以下では、モータ6の駆動に起因する発熱による過熱から保護すべき部位として第1〜第n保護対象のn個の部位が存在し、そのうち第1保護対象はモータ駆動部20であるものとするが、モータ駆動部20の構成要素(例えば各FET)やマイコン10等をそれぞれ1つの保護対象として扱ってもよい。また、モータ駆動部20に加えて、モータ6内のコイルやブラシ等を保護対象としてもよいが、以下では、ECU5内の構成要素を保護対象とするものとして説明する。
ΔT1=G1・Is/(1+τ1・S) …(2)
ここで、G1は上記一次遅れ要素のゲイン定数を、τ1は上記一次遅れ要素の時定数をそれぞれ示しており、G1とτ1の具体的な値は実測データに基づき決定される。なお、上記式(2)はラプラス演算子関数についての式であり、実際には、マイコン10による上記式(2)に対応する数値計算により、温度上昇分ΔT1および第1保護対象の温度推定値T1が時系列的に繰り返し算出される。
Tj=Ta+Gj・Is/(1+τj・S) …(3)
ここで、Gjはジュール熱による第j保護対象の温度上昇を近似するための一次遅れ要素のゲイン定数を、τjは当該一次遅れ要素の時定数をそれぞれ示しており、Gjとτjの具体的な値は実測データに基づき決定される。なお、上記式(3)はラプラス演算子関数についての式であり、実際には、マイコン10による上記式(3)に対応する数値計算により、雰囲気温度推定値Taおよび電流検出値Isの時系列データから第j保護対象の温度推定値Tjが時系列的に繰り返し算出される。
以上のような本実施形態によれば、図2に示すように雰囲気温度演算部16において、温度検出値Tと電流検出値Isに基づき雰囲気温度推定値Taが算出され、図4に示すように過熱保護演算部17において、その雰囲気温度推定値Taおよび電流検出値Isに基づき第2〜第n保護対象の温度推定値T2〜Tnが算出されると共に、温度検出値Tおよび電流検出値Isに基づき第1保護対象の温度推定値T1が算出される。そして、それらの温度推定値T1〜Tnに基づいて第1〜第n保護対象についての電流上限値IL1〜ILnが算出され、それらの電流上限値IL1〜ILnのうちの最小値が目標電流上限値ILimとして使用される。したがって、電動パワーステアリング装置の各部位のうち過熱によって最も破損し易い部位(以下「最弱部位」という)が当該装置の動作状態等によって変わっても、最弱部位となる可能性のある複数の部位を上記の第1〜第n保護対象とすることで、電動パワーステアリング装置の各部位の過熱による破損を確実に防止することができる。しかも本実施形態によれば、第1保護対象近傍に配置された温度センサ21からの温度検出値Tと電流検出値Isとに基づき算出される雰囲気温度推定値Taを用いて第2〜第n保護対象の温度推定値T1〜Tnが算出されるので、第2〜第n保護対象の近傍には温度センサを配置する必要がない。すなわち、最弱部位となり得る部位が複数存在する場合であっても、温度センサの個数を増やすことなく(最低限1個の温度センサで)過熱による破損を防止することができる。
上記実施形態では、第1〜第n保護対象における温度上昇は、いずれも、電流検出値Isの示すモータ駆動電流による発熱(ジュール熱)に起因するものとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1〜第n保護対象における温度上昇の原因となるジュール熱を生じさせる電流がそれらの保護対象によって異なっていてもよい。例えば、第1保護対象の温度上昇の原因となるジュール熱を生じさせる電流は上記駆動電流であるが、第2保護対象の温度上昇の原因となるジュール熱を生じさせる電流が上記駆動電流とは異なる電流(例えば駆動回路を構成する特定のスイッチング素子にのみ流れる電流)であってもよい。この場合、第2温度算出部は、当該異なる電流の値と雰囲気温度演算部16からの雰囲気温度推定値Taとに基づいて第2保護対象の温度推定値T2を算出することになる。
4 …車速センサ
5 …電子制御ユニット(ECU)
6 …モータ
10 …マイクロコンピュータ(マイコン)
12 …目標電流演算部
13 …目標電流修正部
14 …減算器
15 …PI制御部
16 …雰囲気温度演算部
17 …過熱保護演算部
18 …温度補償演算部
19 …電流検出器
20 …モータ駆動部
21 …温度センサ
132 …加算器
134 …電流制限器
1002 …目標電流上限値算出部
1010 …温度推定演算部
1020 …電流制限演算部
1011〜101n …第1〜第n温度算出部
1021〜102n …第1〜第n電流上限値算出部
T …温度検出値
Ta …雰囲気温度推定値
T1〜Tn …第1〜第n保護対象の温度推定値
IL1〜ILn …第1〜第n電流上限値
ILim …目標電流上限値
Is …電流検出値
It …目標電流値
ΔITc …温度補償電流値
Itr …修正後目標電流値
Claims (4)
- 車両操舵のための操作に応じて電動モータを駆動することにより、当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータの駆動に起因する発熱による過熱から保護すべき部位である第1および第2保護対象の温度の推定値をそれぞれ算出する第1および第2温度算出手段と、
前記第1保護対象の近傍に配置された温度検出手段と、
前記発熱による前記温度検出手段の温度上昇分である第1温度変化量を算出し、当該第1温度変化量を前記温度検出手段による温度検出値から減算することにより雰囲気温度の推定値を算出する雰囲気温度算出手段と、
前記第1および第2保護対象の温度の推定値に基づき、前記電動モータに流すべき電流を制限する電流制限手段とを備え、
前記第2温度算出手段は、前記発熱による前記第2保護対象の温度上昇分である第2温度変化量を算出し、当該第2温度変化量と前記雰囲気温度の推定値とに基づき前記第2保護対象の温度の推定値を算出することを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記雰囲気温度算出手段は、前記電動モータの駆動のために前記第1保護対象またはその近傍に流れる電流に起因する発熱による前記温度検出手段の温度上昇分を前記第1温度変化量として算出し、
前記第2温度算出手段は、前記電動モータの駆動のために前記第2保護対象またはその近傍に流れる電流に起因する発熱による前記第2保護対象の温度上昇分を前記第2温度変化量として算出することを特徴とする、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記第1温度算出手段は、前記発熱による前記第1保護対象の温度上昇分を算出し、前記第1保護対象の温度上昇分と前記温度検出手段による温度検出値とに基づき前記第1保護対象の温度の推定値を算出することを特徴とする、請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 車両操舵のための操作に応じて決定される目標値に基づき電動モータを駆動することにより、当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータの駆動に起因する発熱による過熱から保護すべき部位である保護対象の近傍に配置された温度検出手段と、
前記発熱による前記温度検出手段の温度上昇分である第1温度変化量を算出し、当該第1温度変化量を前記温度検出手段による温度検出値から減算することにより雰囲気温度の推定値を算出する雰囲気温度算出手段と、
所定部位の温度特性を補償するために修正すべき前記目標値の修正量を前記雰囲気温度の推定値に基づき算出する温度補償演算手段と、
前記修正量に応じて前記目標値を修正する目標値修正手段と、
前記発熱による前記保護対象の温度上昇分である第2温度変化量を算出し、当該第2温度変化量と前記雰囲気温度の推定値または前記温度検出値とに基づき前記保護対象の温度の推定値を算出する温度算出手段と、
前記保護対象の温度の推定値に基づき、前記電動モータに流すべき電流を制限する電流制限手段と
を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (6)
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2004
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