JP2016092944A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部要因や制御条件等の変化を考慮し、対象素子の温度推定精度を向上させるモータ制御装置を提供する。【解決手段】一次遅れ演算器1は、電流二乗値、又はその積算値の時間平均の一次遅れ応答を演算し、温度変化量ΔTを出力する。センサ値加算器14は、温度変化量ΔTに温度センサのセンサ値T_snsを加算し、オフセット加算器15は、さらにオフセット温度T_offを加算して推定温度T_estを出力する。応答定数決定手段2は、一次遅れ演算器1のゲインK及び時定数τを、オフセット温度決定手段5は、オフセット温度T_offを決定する。応答定数決定手段2又はオフセット温度決定手段5が、電源電圧VBに応じてゲインK、時定数τ又はオフセット温度T_offの少なくとも一つを変更することにより、ICやMOSについての温度推定精度が向上する。その結果、過剰な電流制限を回避し、モータの性能を有効に発揮させることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、過熱防止機能を有するモータ制御装置に関する。
従来、モータコイル、又は、電力変換器を構成する電子部品(素子)の温度を推定し、例えば電流指令値を制限することにより過熱を防止するモータ制御装置が知られている。特許文献1に開示されたモータコイルの温度推定方法では、モータコイルに通電する電流二乗値の積算値の時間平均を一次遅れ関数に入力してモータコイルの温度を推定している。また、特許文献2には、温度センサにより測定したモータ回転開始前のインバータの温度測定結果と、モータ回転時に各相電流に基づいて推定された発熱量予測値とを加算して各相推定温度を算出する技術が開示されている。
特許第4483298号公報 特開2009−17707号公報
特許文献1の温度推定方法はモータコイルの温度を推定対象としたものであるが、この方法は電力変換器の温度推定にも適用可能である。また、特許文献2に開示された技術と組み合わせると、「電流二乗値の積算値の時間平均を一次遅れ演算器に入力して得られる一次遅れ応答」と「温度センサ値」とを加算して温度を推定する構成が想定される。しかし、特許文献1、2を組み合わせたこの従来技術には、次のような問題点がある。
(1)電力変換器に通電中の電流の二乗値と温度センサ値とから温度を推定するため、電力変換器に通電前の各部品の自己発熱や他部品の発熱からの受熱分については原理的に推定することができない。仮にその分の発熱を一律に加算補正すると、温度上昇を大きく見込み過ぎて過剰に電流制限する結果、モータの性能を有効に発揮することができない場合がある。
(2)電源電圧によって消費電力が変化する素子(例えばIC)の温度をオフセット温度の加算によって推定する場合、オフセット温度を固定値とすると電源電圧の変化が反映されない。仮にフェールセーフの観点から、最大時の電源電圧を想定してオフセット温度を設定すると、電源電圧が低い時にはオフセット温度を大きく見込み過ぎることとなり、過剰に電流制限する結果、モータの性能を有効に発揮することができない場合がある。
(3)電力変換器のスイッチング素子の温度を推定する場合、電力変換器の入力電圧が変化するとデューティが変化する(例えば入力電圧が高くなると、同一出力に対する上アーム素子のオンデューティは小さくなる)ためスイッチング素子の発熱状態が変化する。そのため、一次遅れ応答のゲインや時定数を固定値とすると、精度の良い推定ができない場合がある。
(4)PWM制御においてスイッチング素子のデューティが変化すると、電流が流れるオン時間比率が変化する(例えばモータロック状態でオンデューティが大きいスイッチング素子の温度は上昇する)。したがって、デューティを考慮しない構成では十分な推定精度が得られない。
また、例えば三相モータのPWM制御において、電圧利用率等に応じて三相変調と二相変調とを切り替えるモータ制御装置を想定する。この場合、上アーム素子について上べた二相変調でデューティを上限値に張り付かせる電気角範囲、又は下アーム素子について下べた二相変調でデューティを下限値に張り付かせる電気角範囲の条件で温度推定すると、それ以外の電気角範囲や三相変調時においては過剰に電流制限をかけることとなり、モータの性能を有効に発揮することができない場合がある。
(5)多相モータにおける各相のスイッチング素子に関し、ヒートシンク形状や放熱構造等のハードウェア要因により、各相のスイッチング素子のジャンクションからヒートシンクへの放熱に関する熱抵抗や熱容量の違い(ばらつき)が発生し、発熱差が生じることがある。この場合、素子保護の観点から、熱抵抗が最も大きい(最も温度が上昇しやすい)相を基準として温度推定すると、熱抵抗が比較的小さい(温度が上昇しにくい)相については温度上昇を大きく見込み過ぎることとなる。そのため、過剰に電流制限をかけることとなり、モータの性能を有効に発揮することができない場合がある。
上記のように外部要因や制御条件等の変化を考慮すると、従来技術では、十分に精度の良い温度推定ができず、その結果、モータの性能を有効に発揮することができない場合がある。また、電流制限下でも要求トルクを確保しようとすると、部品の定格やヒートシンクの体格をアップしなければならないといった問題が生じる。
本発明は上述の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、外部要因や制御条件等の変化を考慮し、対象素子の温度推定精度を向上させるモータ制御装置を提供することにある。
本発明は、モータの通電時に所定の温度推定対象素子の温度を推定しつつ、電力変換器が供給する電力を制御することでモータを駆動するモータ制御装置に係る発明である。所定の温度推定対象素子としては、例えば電力変換器を構成するスイッチング素子や、制御演算を行うIC等が想定される。電力変換器は、例えば多相ブラシレスモータの場合はインバータであり、ブラシ付き直流モータの場合はHブリッジ回路である。
本発明の第一の態様のモータ制御装置は、一次遅れ演算器、センサ値加算器、オフセット加算器、応答定数決定手段、及び、オフセット温度決定手段を備える。
一次遅れ演算器は、モータの通電に係る電流についての電流二乗値、又はその積算値の時間平均を入力としゲイン及び時定数を用いて演算した一次遅れ応答を「温度変化量」として出力する。
センサ値加算器は、温度変化量に温度センサのセンサ値を加算する。温度センサは、例えば温度推定対象素子と同一基板に搭載され、素子温度推定のベース温度となるヒートシンク相当の温度やモータ通電開始時の温度推定対象素子の初期温度を検出する。
オフセット加算器は、センサ値加算器の出力にオフセット温度を加算する。
応答定数決定手段は、一次遅れ演算器のゲイン及び時定数である応答定数を決定する。
オフセット温度決定手段は、オフセット温度を決定する。
このモータ制御装置は、温度推定対象素子に入力される「電源電圧」、又は、電力変換器に入力される「入力電圧」に応じて、応答定数又はオフセット温度の少なくとも一つを変更することを特徴とする。例えば、温度推定対象素子としてのICの動作電源、及び、インバータの入力電源として同一のバッテリを共用する回路構成では、上記「電源電圧」及び「入力電圧」は、いずれもバッテリ電圧に相当する。
また、「応答定数を変更する」とは、ゲインもしくは時定数の少なくとも一方を変更することを意味する。つまり、応答定数決定手段がゲインのみ、又は時定数のみを変更してもよいし、オフセット温度決定手段がオフセット温度のみを変更してもよい。
具体的には、温度推定対象素子として、電源電圧によって消費電力が変化する電圧依存素子(例えばIC)の温度推定に用いられる場合、オフセット温度決定手段は、電圧依存素子に入力される電源電圧に応じて、オフセット温度を変更する。
或いは、温度推定対象素子として、上記の電圧依存素子、又は、電力変換器のスイッチング素子の温度推定に用いられる場合、応答定数決定手段は、電力変換器に入力される入力電圧に応じて、応答定数を変更する。
これにより、温度推定精度を向上させることができる。こうして温度推定精度を向上させることで、最も温度上昇の厳しい条件を前提として常に過剰な電流制限をすることを回避することができる。したがって、モータの性能を有効に発揮させることができる。また、同等の性能を維持しつつヒートシンクやスイッチング素子を小型化することができる。
本発明の第二の態様のモータ制御装置は、複数相のモータに適用され、一次遅れ演算器、センサ値加算器、及び、応答定数決定手段を備える。
一次遅れ演算器は、モータの通電に係る電流についての電流二乗値、又はその積算値の時間平均を入力としゲイン及び時定数を用いて演算した一次遅れ応答を「温度変化量」として出力する。
センサ値加算器は、温度変化量に温度センサのセンサ値を加算する。温度センサは、例えば温度推定対象素子と同一基板に搭載され、モータ通電開始時の温度推定対象素子の初期温度を検出する。
応答定数決定手段は、一次遅れ演算器のゲイン及び時定数である応答定数を決定する。
応答定数決定手段は、温度推定対象素子について推定される発熱の変化、又は、複数相の温度推定対象素子について推定される相間の発熱差に応じて、応答定数を変更することを特徴とする。ここで、「応答定数を変更する」とは、ゲインもしくは時定数の少なくとも一方を変更することを意味する。
「温度推定対象素子について推定される発熱の変化」には、例えばスイッチング素子のオン時間の変化が該当する。電流値が同等でもオン時間が長くなれば発熱は大きくなる。また、「複数相の温度推定対象素子について推定される相間の発熱差」については、例えば各相のスイッチング素子に対応するヒートシンク形状や放熱構造等のハードウェア要因により、各相のスイッチング素子のジャンクションからヒートシンクへの放熱に関する熱抵抗や熱容量の違い(ばらつき)が発生し、発熱差が生じる。つまり、各相のスイッチング素子の動作が同等でも、放熱性に影響するハードウェアの条件が異なっていれば発熱特性は異なる。
第二の態様の一つ目の例は、温度推定対象素子として、PWM制御される電力変換器の高電位側のスイッチング素子である上アーム素子、又は、電力変換器の低電位側のスイッチング素子である下アーム素子の温度推定に用いられる。応答定数決定手段は、上アーム素子もしくは下アーム素子のスイッチング周期に対するオン時間又はオフ時間の比率である「デューティ」に基づいて、応答定数を変更する。
すなわち、オン時間が長いスイッチング素子ほどゲインを大きくする、又は時定数を小さくすることにより温度上昇を大きく見込むことで、温度推定精度を向上させることができる。
第二の態様の二つ目の例は、温度推定対象素子として、電力変換器の高電位側のスイッチング素子である上アーム素子、又は、電力変換器の低電位側のスイッチング素子である下アーム素子の温度推定に用いられる。応答定数決定手段は、各相の通電に係る「ハードウェアの熱抵抗又は熱容量の違いによる発熱差」に応じて、応答定数を変更する。
すなわち、ハードウェアの熱抵抗、詳しくは、スイッチング素子のジャンクションからヒートシンクへの放熱に関する熱抵抗が大きく、温度が上昇しやすい相のスイッチング素子ほどゲインを大きくする、又は時定数を小さくすることにより温度上昇を大きく見込むことで、温度推定精度を向上させることができる。
こうして温度推定精度を向上させることで、最も温度上昇の厳しい条件を前提として常に過剰な電流制限をすることを回避することができる。したがって、モータの性能を有効に発揮させることができる。また、同等の性能を維持しつつヒートシンクやスイッチング素子を小型化することができる。
本発明の実施形態によるモータ制御装置が適用されるモータ駆動システムの概略構成図。 本発明の第1実施形態による温度推定構成を示すブロック図。 オフセット温度決定手段による電源電圧−オフセット温度特性図。 温度推定対象素子がICの場合の、応答定数決定手段による電源電圧−ゲイン特性図、電源電圧−時定数特性図。 温度推定対象素子がMOSの場合の、応答定数決定手段による電源電圧−ゲイン特性図、電源電圧−時定数特性図。 本発明の第1実施形態による推定温度を従来技術と比較したシミュレーション結果。 本発明の第2実施形態による温度推定構成を示すブロック図。 (a)q軸電流>0、(b)q軸電流<0での三相変調の波形図。 上べた二相変調の波形図。 下べた二相変調の波形図。 本発明の第2実施形態によるゲイン決定手段の詳細ブロック図(q軸電流>0)。 同ゲイン決定手段の詳細ブロック図(q軸電流<0)。 本発明の第3実施形態による温度推定構成を示すブロック図。 本発明の第3実施形態によるゲイン決定手段の詳細ブロック図。 第3実施形態の変形例による温度推定構成を示すブロック図。 シミュレーションに用いたゲイン決定手段の詳細ブロック図。 本発明の第3実施形態による推定温度を従来技術と比較したシミュレーション結果(下MOS推定時)。 本発明の第3実施形態による推定温度を従来技術と比較したシミュレーション結果(上MOS推定時)。 本発明の第4実施形態による温度推定構成を示すブロック図。 本発明の第4実施形態によるゲイン決定手段の詳細ブロック図。 本発明の第5、第6実施形態による温度推定構成を示すブロック図。 本発明の第5実施形態によるゲイン決定手段の詳細ブロック図(上MOS推定時)。 同ゲイン決定手段の詳細ブロック図(下MOS推定時)。 本発明の第6実施形態によるゲイン決定手段の詳細ブロック図。 従来技術の温度推定構成を示すブロック図。
以下、本発明のモータ制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(共通構成)
最初に各実施形態に共通の構成について説明する。以下、「本実施形態」という場合、後述の第1〜第6実施形態を包括する。
図1に示すように、本発明の実施形態のモータ制御装置90は、「電力変換器」としてのインバータ70のスイッチング動作を操作することでモータ80の通電を制御する。本実施形態のモータ80は、三相のモータコイル81、82、83を有する三相ブラシレスモータであり、例えば車両の電動パワーステアリング装置において、運転者の操舵を補助する操舵アシストモータとして使用される。回転角センサ85で検出されたモータ80のロータ回転角は、電気角θに換算され、モータ制御装置90に入力される。
インバータ70は、6つのスイッチング素子71〜76がブリッジ接続され、バッテリ91の直流電力をPWM制御によって三相交流電力に変換し、モータ80へ供給する。
本実施形態では、スイッチング素子71〜76としてMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)が用いられており、以下、「MOS71〜76」と記す。また、高電位側のスイッチング素子である「上アーム素子」を「上MOS71、72、73」、低電位側のスイッチング素子である「下アーム素子」を「下MOS74、75、76」と記す。なお、他の実施形態では、MOSFET以外の電界効果トランジスタやIGBT等を用いてもよい。
インバータ70は、電源ラインLpを経由してバッテリ91の正極側に接続され、グランドラインLgを経由してバッテリ91の負極側に接続される。インバータ70の入力側には、入力電圧の脈動を平滑化するコンデンサ92が設けられている。
バッテリ91は、例えば定格電圧14Vの車両補機用バッテリである。本実施形態では、バッテリ91の電圧VBが、そのままインバータ70の入力電圧となる。
インバータ70からモータコイル81、82、83への各電力経路には、各相の相電流Iu、Iv、Iwを検出する電流センサ77、78、79が設けられている。なお、他の実施形態では、下MOS74、75、76とグランドラインLgとの間等に電流センサを設けてもよい。また、電流センサを三相のうち二相に設け、キルヒホッフの法則を用いて他の一相の電流を推定してもよい。
また、例えばMOS71〜76が搭載される基板上に、サーミスタ等の温度センサ96が設けられる。温度センサ96によるセンサ値T_snsは、同一基板上のMOS71〜76等の素子温度推定のベース温度となるヒートシンク相当の温度や平均的な初期温度と推定される。
モータ制御装置90は、マイコンや駆動回路(プリドライバ)として機能するIC95等から構成される。モータ制御装置90は、外部から入力されるトルク信号等や、モータ80の相電流Iu、Iv、Iw及び電気角θのフィードバック信号に基づいて電圧指令値を演算する。このとき、周知のベクトル制御により、三相電流Iu、Iv、Iwは、dq軸電流Id、Iqに座標変換される。モータ制御装置90は、演算した電圧指令値に基づいて、PWM制御によりインバータ70の各スイッチング素子71〜76を動作させる。
また、PWM制御において例えば電圧利用率を向上させるため、三相変調や二相変調により一相以上のデューティを増加又は減少させる制御を行う場合がある。ただし、後述の実施形態によっては、インバータ70の駆動制御がPWM制御に限らない場合もある。
本実施形態では、IC95の動作電源としてバッテリ91の電圧VBが用いられる。すなわち、バッテリ91は、インバータ70の入力電源、及び、IC95の動作電源として共用される。
また、IC95は、直接的なモータ駆動制御を行うマイコンの他に、マイコンの監視、センサ電源回路、チャージポンプ等のインバータのドライバ回路、車両の他の装置とのCAN通信を行うドライバ回路等を集積したものであってもよい。
ところで、一般にインバータ70を構成するMOS71〜76は、頻繁なスイッチング動作による通電によって発熱する。また、IC95がMOS71〜76と同一基板上、又は、空間的に近接する位置に設けられる場合、MOS71〜76の発熱に伴いIC95の温度も上昇する。このような発熱による素子の故障を防止するため、モータ制御装置90は、素子の推定温度に基づいて電流指令値の上限を制限する等の過熱防止機能を有している。
ただし、仮に素子の温度を実際の温度よりも高く推定すると、過剰な電流制限をかけることとなり、本来モータ80が出せるはずの性能を有効に発揮することができないという状況が生ずる。また、電流制限下でも要求トルクを確保しようとすると、部品の定格やヒートシンクの体格をアップしなければならないといった問題が生じる。特に車両の電動パワーステアリング装置では、急なハンドル操作により大電流が要求され、且つ、搭載スペースの制約が厳しいため、この問題の解決が重要である。
そこで、素子の温度を可及的に精度良く推定することが求められる。例えば、特許文献1、2に記載された技術を組み合わせると、図25に示す温度推定構成が得られる。この従来技術の温度推定構成は、電流二乗値の積算値を入力として一次遅れ応答を演算する一次遅れ演算器1と、一次遅れ演算器1の出力値(=温度変化量)に温度センサ値T_sns(=初期温度)を加算するセンサ値加算器14とを備える。
しかし、実際のモータ制御において想定される外部要因(電源電圧等)や制御条件(デューティ等)の変化を考慮すると、従来技術では、十分に精度の良い温度推定ができない場合がある。その結果、素子の温度を実際の温度よりも高く推定することになり、過剰な電流制限によって、モータの性能を有効に発揮することができない場合がある。
このような問題点に対し、本発明のモータ制御装置は、電源電圧等の外部要因やデューティ等の制御条件の変化に応じて、温度推定演算に用いる定数を適切に変更することで温度推定精度を向上させ、過剰な電流制限を回避することを目的とする。その具体的な構成について、以下、実施形態毎に説明する。
各実施形態の制御ブロック図では、温度推定に係る特徴的な構成のみを示す。その他、フィードバック制御やPWM制御に関する一般的なモータ制御の構成については周知事項であるため図示及び説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態のモータ制御装置について、図2〜図6を参照して説明する。
図2に示すように、第1実施形態は、温度推定に係る構成として、一次遅れ演算器1、センサ値加算器14、オフセット加算器15、応答定数決定手段2、及び、オフセット温度決定手段5を備える。なお、第1実施形態では、インバータ70の駆動制御はPWM制御に限らない。
一次遅れ演算器1には、電流二乗値(I2)、又はその積算値の時間平均値(ΣI2/Δt)が入力される。この電流には、相電流Iu、Iv、Iw、及びdq軸電流Id、Iqを含む。一次遅れ演算器1は、入力された電流二乗値に対し、「K/(τs+1)」の伝達関数による一次遅れ応答を演算する。ここで、Kはゲイン、τは時定数である。この演算は、例えば数十〜数百ms周期で実行(積算値を算出する場合の積算演算はさらに短い周期で実行)され、温度上昇を過渡的に推定する。
また、本明細書では、ゲインKと時定数τとを合わせて「応答定数」という。また、「応答定数を変更する」とは、「ゲインK又は時定数τの少なくとも一方を変更する」ことを意味する。
通電による消費電力Wは、「W=I2×R」(I:電流、R:抵抗)で表される。この消費電力Wは、素子や放熱部(ヒートシンク)の熱抵抗、熱容量に応じて、伝達される量及び速度が異なる。そこで、熱伝達量及び伝達速度をゲインK及び時定数τに反映させ、一次遅れ応答を演算することで、通電開始からt秒後における素子の温度変化量を過渡的に推定可能である。こうして一次遅れ演算器1は、電流二乗値(I2)、又はその積算値の時間平均値(ΣI2/Δt)を入力として温度変化量ΔTを出力する。
なお、一次遅れ演算器1は一つに限らず、複数個を並列に設けてもよい。
センサ値加算器14は、一次遅れ演算器1が出力した温度変化量ΔTに、モータ80の通電開始時に温度センサ96が検出したセンサ値T_snsを加算する。現実には、複数の温度推定対象素子の初期温度を個別に測定することは困難であるため、例えば同一基板上に設けられた温度センサ96のセンサ値T_snsを、各温度推定対象素子の初期温度とみなす。
オフセット加算器15は、センサ値加算器14の出力にさらにオフセット温度T_offを加算し、推定温度T_estとして出力する。
応答定数決定手段2は、ゲイン決定手段3及び時定数決定手段4を含み、一次遅れ演算器1のゲインK及び時定数τである応答定数を決定する。
オフセット温度決定手段5は、オフセット温度T_offを決定する。
後述の図3〜図5に示すように、各決定手段3、4、5の出力部にはローパスフィルタ(以下、「LPF」と記す。)を設けることが好ましい。これにより、各決定手段3、4、5により定数が変更されたとき、推定温度T_estの急変により、制御が不安定になることを防止することができる。また、滑らかに変更できるのであればLPF以外の手法でもよい。
第1実施形態では、応答定数決定手段2及びオフセット温度決定手段5にバッテリ91の電源電圧VBが入力される。すなわち、応答定数決定手段2及びオフセット温度決定手段5は、それぞれ電源電圧VBに応じて、ゲインK、時定数τ、及びオフセット温度T_offを決定することを特徴とする。
第1実施形態の適用例として、温度推定対象素子がIC95の場合、及び、MOS71〜76の場合を想定する。図2の構成例では、電源電圧VBは、IC95に対しては動作電源電圧、MOS71〜76に対してはインバータ入力電圧の意味を有している。
まず、温度推定対象素子がIC95の場合について、図3、図4を参照して説明する。
IC95は、レギュレータなどを含み、電源電圧によって消費電力が変化する「電圧依存素子」に該当する。素子の発熱要因である消費電力は、一般に「I2×R」又は「I×V(電圧)」で表されるところ、電圧依存素子では、「I×V」の電圧を含んだ表現が望ましい。そこで、「I2×R」をMOSからの受熱として、IC95の発熱を(a)「I2×R+K×I’×V=I2×R+T(V)」と表す。或いは、(b)抵抗Rが電圧Vによって変化する関数とみなして「I2×R(V)」と丸めて表現する。(a)の思想は、オフセット温度T_offを変更することに対応し、(b)の思想は、ゲインKを変更することに対応する。
オフセット温度T_offを変更する構成の具体例を図3に示す。オフセット温度決定手段5は、IC95が正常に動作可能な電圧範囲である最小値VB_minから最大値VB_maxまでの有効電圧範囲において、下限値T_off_minから上限値T_off_maxまで、電源電圧VBが高いほどオフセット温度T_offを大きく設定する。つまり、電源電圧VBが高いほど、IC95の消費電力による発熱が大きいと推定する。決定されたオフセット温度T_offは、LPF59を通して出力される。
また、ゲインK又は時定数τを変更する構成の具体例を図4に示す。応答定数決定手段2のゲイン決定手段3は、有効電圧範囲において、下限値Kminから上限値Kmaxまで、電源電圧VBが高いほどゲインKを大きく設定する。また時定数決定手段4は、有効電圧範囲において、上限値τmaxから下限値τminまで、電源電圧VBが高いほど時定数τを小さく設定する。つまり、電源電圧VBが高いほど、IC95の発熱が大きく、且つ温度上昇が速いと推定する。決定されたゲインK、時定数τは、それぞれ、LPF39、49を通して出力される。
次に、温度推定対象素子がMOS71〜76である場合について、図5を参照して説明する。
モータ80の要求トルクが同一の前提で、インバータ70の入力電圧である電源電圧VBが高くなると、電圧利用率が低下するため、PWM制御によるDUTY(上MOSのオンデューティ)が小さくなり、発熱が小さくなる傾向となる。そのため、図5に示すように、応答定数決定手段2のゲイン決定手段3は、有効電圧範囲において、電源電圧VBが高いほどゲインKを小さく設定し、時定数決定手段4は、有効電圧範囲において、電源電圧VBが高いほど時定数τを大きく設定する。つまり、温度推定対象素子がIC95の場合(図4)とは逆の特性に基づき、ゲインK及び時定数τを決定する。
(シミュレーション結果)
本発明の第1実施形態と従来技術による温度推定精度を比較したシミュレーション結果について、図6を参照して説明する。
このシミュレーションは、電源電圧VBを低電圧VLから高電圧VHにステップ状に変化させた場合において、オフセット温度T_offを固定したとき(従来技術)と、電源電圧VBに応じてオフセット値T_offを変更したとき(本発明の第1実施形態)との推定温度を比較したものである。
図6には、従来技術による推定温度T_est’(二点鎖線)、及び、本発明の第1実施形態による推定温度T_est(破線)を示す。
電源電圧VBは、時刻t0まで低電圧VL(例えば12V)であり、時刻t0にて低電圧VLから高電圧VH(例えば14V)にステップ状に変化している。従来技術では、発熱の大きい高電圧時を想定してオフセット温度T_offを設定しているため、時刻t0以前の低電圧時にはオフセット温度T_offが過大となる。そのため、推定温度T_est’は、実測温度T_realに対し推定誤差Terrが高温側に大きくなっている。
一方、本実施形態による推定温度T_estは、時刻t0以前、実測温度T_realによく一致している。また、時刻t0で電源電圧VBが変化した後も、推定温度T_estは実測温度T_realに追従して変化しており、従来技術に比べ温度推定精度が向上していることがわかる。
本発明の第1実施形態のモータ制御装置90は、こうして温度推定精度を向上させることで、最も温度上昇の厳しい条件を前提として常に過剰な電流制限をすることを回避することができる。したがって、モータ80の性能を有効に発揮させることができる。また、同等の性能を維持しつつヒートシンクやMOS71〜76を小型化することができる。
次に第2〜第6実施形態では、温度推定対象素子としてMOS71〜76を想定する。第2〜第6実施形態の各図において、前述の実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2〜第4実施形態では、インバータ70はPWM制御によって駆動され、モータ80の要求トルクから算出される電圧利用率によって、三相変調と二相変調とが切り替えられる構成を前提とする。本明細書では、PWM制御における各MOS71〜76のスイッチング周期に対するオン時間又はオフ時間の比率である「デューティ」に関し、「上MOS71、72、73のオンデューティ」を英文字で「DUTY(%)」と記す。デッドタイムを無視すれば、「下MOS74、75、76のオンデューティ」は、「100−DUTY(%)」に相当する。なお、他の実施形態では、制御の基準となるデューティを適宜選択してよい。
また、第2〜第6実施形態の各制御ブロック図には、要求により設定可能なオプション構成として「モータロック判定手段」を破線で記載している。モータロックとは、通電されているにもかかわらず、モータ80が回転していない状態をいう。通電状態の判別方法としては、例えばdq軸電流の二乗和、又はq軸電流が実質的に0以外のとき、通電していると判定する方法などがある。ロック状態では特定の相に電流が集中することになり、その相のMOSが過剰に発熱するおそれがあるため、特に正確な温度推定が求められる。
一方、モータ80が正常に回転している状態では各相の発熱は平均化するため、過剰発熱を防止するニーズは比較的低い。したがって、各実施形態による特徴的な温度推定を、モータ80がロック状態でのみ実施してもよいし、ロック状態であるか否かにかかわらず常に実施してもよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態のモータ制御装置について、図7〜図12を参照して説明する。
図7に示すように、第2実施形態は、温度推定に係る構成として、一次遅れ演算器1、センサ値加算器14、オフセット加算器15、応答定数決定手段2、及び、モータロック判定手段6を備える。この基本構成は、以下の第3〜第6実施形態において同様である。
第2実施形態の一次遅れ演算器1には、推定する相に合わせた相電流の二乗値(Iu2、Iv2、Iw2)、又はその積算値の時間平均値(例えばΣIu2/Δt)が入力される。一次遅れ演算器1は、入力された相電流二乗値に対し、「K/(τs+1)」の伝達関数による一次遅れ応答を演算する。ここで、Kはゲイン、τは時定数である。本明細書では、ゲインKと時定数τとを合わせて、「応答定数」という。また、「応答定数を変更する」とは、「ゲインK又は時定数τの少なくとも一方を変更する」ことを意味する。
通電による消費電力Wは、「W=I2×R」(I:電流、R:抵抗)で表される。この消費電力Wは、素子や放熱部(ヒートシンク)の熱抵抗、熱容量に応じて、伝達される量及び速度が異なる。そこで、熱伝達量及び伝達速度をゲインK及び時定数τに反映させ、一次遅れ応答を演算することで、通電開始からt秒後における素子の温度変化量を過渡的に推定可能である。こうして一次遅れ演算器1は、相電流二乗値、又はその積算値の時間平均値を入力として、相毎に温度変化量ΔTを出力する。
センサ値加算器14は、一次遅れ演算器1が出力した温度変化量ΔTに、モータ80の通電開始時に温度センサ96が検出したセンサ値T_snsを加算する。現実には、複数の温度推定対象素子の初期温度を個別に測定することは困難であるため、例えば同一基板上に設けられた温度センサ96のセンサ値T_snsを、各温度推定対象素子の素子温度推定のベース温度となるヒートシンク相当の温度や初期温度とみなす。
オフセット加算器15は、センサ値加算器14の出力にさらにオフセット温度T_offを加算し、推定温度T_estとして出力する。
応答定数決定手段2は、ゲイン決定手段3及び時定数決定手段4を含み、一次遅れ演算器1のゲインK及び時定数τである応答定数を決定する。ここで、ゲインKを大きくすることと時定数τを小さくすることとは、いずれも推定温度T_estを高くする方向に働き、ゲインKを小さくすることと時定数τを大きくすることとは、いずれも推定温度T_estを低くする方向に働く。すなわち、ゲインK及び時定数τは逆の特性を有する。以下の各図では、応答定数の引数に対するゲインKの変化特性を代表として示し、時定数τの変化特性については、ゲインKの変化特性を逆にして解釈するものとする。
後述の図11以下に示すように、ゲイン決定手段3及び時定数決定手段4の出力部にはローパスフィルタ(以下、「LPF」と記す。)を設けることが好ましい。これにより、各決定手段3、4によりゲインK又は時定数τが変更されたとき、推定温度T_estの急変により、制御が不安定になることを防止することができる。また滑らかに変更できるのであればLPF以外の手法でもよい。
第2実施形態では、応答定数決定手段2に電気角θ、q軸電流Iq、変調モードが入力される。応答定数決定手段2は、q軸電流Iqの正負、及び、変調モードが三相変調か二相変調かを場合分けした上で、電気角θに応じてゲインK及び時定数τを決定することを特徴とする。
モータロック判定手段6は、モータ回転数N及びdq軸電流二乗和が入力される。モータ回転数Nは、電気角θを時間微分した電気角速度ωに基づいて算出される。或いは、電気角速度ωをそのまま回転数として扱ってもよい。
モータロック判定手段6は、通電されているにもかかわらず、モータ80が回転していない状態をモータロック状態と判定する。例えば、モータ回転数Nが実質的に0であり、且つ、dq軸電流二乗和が実質的に0でないとき、ロック状態であると判定する。
応答定数決定手段2は、少なくともロック状態のとき、後述する方法でゲインK及び時定数τを決定する。一方、ロック状態以外のとき、応答定数決定手段2は、従来技術と同様にゲインK及び時定数τを固定値としてもよい。
ここで、PWM制御の三相変調及び二相変調における各相電圧指令信号Du、Dv、Dwの波形を図8〜図10に示す。
図8に示すように、三相変調では各相電圧指令信号Du、Dv、Dwは略正弦波状に変化する。(a)に示すq軸電流Iqが正(Iq>0)のときと、(b)に示すq軸電流Iqが負(Iq<0)のときとでは、各相電圧指令信号Du、Dv、Dwは正負が反転する。例えば電動パワーステアリング装置では、q軸電流の正負は操舵方向に対応する。
q軸電流Iqが負(Iq<0)のときの上べた二相変調及び下べた二相変調の波形を、それぞれ図9、図10に示す。q軸電流Iqが正(Iq>0)のときの波形は、図9、図10の波形を上下反転したものに相当する。「上べた二相変調」及び「下べた二相変調」は、例えば特許第5045799号公報等に開示されている。
図9に示すように、「上べた二相変調」は、三相の電圧指令信号Du、Dv、Dwのうち最も大きい電圧指令信号が所定の上限値Dmaxとなるように、最も大きい相の電圧指令信号から所定の上限値Dmaxを差し引いた値を全ての相の電圧指令信号から減算する変調処理である。
図10に示すように、「下べた二相変調」は、三相の電圧指令信号Du、Dv、Dwのうち最も小さい電圧指令信号が所定の下限値Dminとなるように、最も小さい相の電圧指令信号から所定の下限値Dminを差し引いた値を全ての相の電圧指令信号から減算する変調処理である。
続いて第2実施形態のゲイン設定手段3の詳細な構成について、図11、図12を参照して説明する。
ゲイン設定手段3は、切替部(図中「SW」と記す。)31、相毎に作成された上べた二相変調用マップ321及び下べた二相変調マップ322、LPF39を有している。
切替部31は、変調モードによって「ゲインKを決定する処理」を切り替える。変調モードが三相変調のとき、電気角θに関係なくゲインKをK1(基準値)とする。変調モードが上べた二相変調のとき、上べた二相変調用マップ321を参照し、下べた二相変調のとき、下べた二相変調マップ322を参照して、ゲインK2を決定する。決定されたK1又はK2は、LPF39を通して出力される。ここで、三相変調のときのゲインK1は固定値ではない電気角θに対するマップとしてもよく、その場合は例えば回転状態とロック状態の消費電力の差に合わせたマップに設定する。
上べた二相変調用マップ321によると、DUTYが上限値Dmaxに張り付く電気角範囲において、上MOS推定時にはK1よりも大きいゲインK2にステップ状に増加させ、下MOS推定時にはK1よりも小さいゲインK2にステップ状に減少させている。
下べた二相変調用マップ322によると、DUTYが下限値Dminに張り付く電気角範囲において、上MOS推定時にはK1よりも小さいゲインK2にステップ状に減少させ、下MOS推定時にはK1よりも大きいゲインK2にステップ状に増加させている。
すなわち、温度推定するMOSのオン時間が最大で発熱が最大となると考えられる電気角範囲でゲインK2をK1より大きく設定し、温度推定するMOSのオフ時間が最大で発熱が最小となると考えられる電気角範囲でゲインK2をK1より小さく設定する。
これにより、変調モードを考慮しつつ各相の上MOS、下MOS毎に温度推定することができるため、温度推定精度を向上させることができる。
本発明の第2実施形態のモータ制御装置90は、こうして温度推定精度を向上させることで、最も温度上昇の厳しい条件を前提として常に過剰な電流制限をすることを回避することができる。したがって、モータ80の性能を有効に発揮させることができる。また、同等の性能を維持しつつヒートシンクやMOS71〜76を小型化することができる。
この効果は、以下の第3〜第6実施形態において共通である。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図13〜図18を参照して説明する。
図13に示すように、第3実施形態の一次遅れ演算器1には、第2実施形態の相電流に代えてdq軸電流の二乗値和(Id2+Iq2)が入力される。一次遅れ演算器1は、入力されたdq軸電流二乗値の積算値に対し、「K/(τs+1)」の伝達関数による一次遅れ応答を演算する。また、第3実施形態の応答定数決定手段2には変調モードのみが入力される。つまり第3実施形態では、相毎ではなく三相を包括した上MOS及び下MOSの温度を推定する。また、一次遅れ演算に用いるゲインK及び時定数τは、q軸電流Iqの正負や電気角θに依存しない。
図14に示すように、第3実施形態のゲイン設定手段3は、切替部31、上べた二相変調用マップ331及び下べた二相変調マップ332、LPF39を有している。
切替部31は、変調モードによってゲインKの設定ルートを切り替える。第2実施形態と同様に、三相変調のとき、電気角θに関係なくゲインKをK1(基準値)とする。上べた二相変調のとき、上べた二相変調用マップ331を参照し、下べた二相変調のとき、下べた二相変調マップ332を参照して、ゲインK2を決定する。決定されたK1又はK2は、LPF39を通して出力される。
上べた二相変調用マップ331によると、上MOS推定時にはK1よりも大きいゲインK2が決定され、下MOS推定時にはK1よりも小さいゲインK2が決定される。
下べた二相変調用マップ332によると、上MOS推定時にはK1よりも小さいゲインK2が決定され、下MOS推定時にはK1よりも大きいゲインK2が決定される。
すなわち、三相の上MOS又は三相の下MOSをそれぞれMOSグループとして扱い、温度推定するMOSグループの平均オン時間が三相変調時より長く発熱が増加すると考えられる場合、ゲインK2をK1より大きく設定し、温度推定するMOSグループの平均オフ時間が三相変調時より長く発熱が減少すると考えられる場合、ゲインK2をK1より小さく設定する。
これにより、変調モードを考慮しつつ三相の上MOS又は三相の下MOSのグループ毎に温度推定することができるため、より小さな演算負荷で、温度推定精度を向上させることができる。
(変形例)
温度推定の構成において、一次遅れ演算器は一つに限らず複数設けてもよい。例えば、図13の温度推定構成に対して一次遅れ演算器を二つにした構成を図15に示す。この例では、二つの一次遅れ演算器11、12で演算された温度変化量ΔT1、ΔT2がセンサ値加算器14に入力され加算されている。同様に一次遅れ演算器を三つ以上設けてもよい。また、他の実施形態の温度推定構成についても同様に一次遅れ演算器を複数設けてもよい。
(シミュレーション結果)
本発明の第3実施形態と従来技術による温度推定精度を比較したシミュレーション結果について、図16〜図18を参照して説明する。
このシミュレーションは、モータ回転停止中(ロック時)にPWM制御の変調モードを三相変調から下べた二相変調モードに切り替えた場合において、一次遅れ演算器1のゲインKを固定したとき(従来技術)と、変調モードに応じてゲインKを変更したとき(本発明の第3実施形態)との上MOS及び下MOSの推定温度を比較したものである。
このシミュレーションに用いたゲイン決定手段3の構成を図16に示す。シミュレーションでは、図14の構成に対し、ゲインKの切替部31を下べた二相変調用マップ332の後ろに設けている。また、モータロック時以外には、三相変調時のゲインK1が使用される。なお、上述の通り、ゲインKに代えて時定数τを変更する場合は、K2とK1との大小関係をゲイン用のマップに対して逆に設定する。
図17には下MOS、図18には上MOSについて、それぞれ(a)従来技術による推定温度T_est’(二点鎖線)、及び、(b)本発明の第3実施形態による推定温度T_est(破線)を示す。
時刻tx以前の三相変調時には、従来技術、本発明の第3実施形態ともに、推定温度T_est’、T_estは、実測温度T_realに一致している。
時刻txにて三相変調から下べた二相変調に切り替えると、下MOS(図17)の実測温度T_realは、ロックにより電流が集中する相の下MOSのオン時間が三相変調に比べて長くなり発熱が大きくなるため、三相変調の上昇カーブに比べて上昇する。一方、上MOS(図18)の実測温度T_realは、対応する上MOSのオフ時間が三相変調に比べて短くなり発熱が小さくなるため、三相変調の上昇カーブに比べて下降する。
変調モードに関係なくゲインKを固定した従来技術では、下MOS、上MOSとも推定温度T_est’が実測温度T_realから乖離しているのに対し、変調モードに応じてゲインKを変更する本発明の第3実施形態では、推定温度T_estが実測温度T_realに追従して変化しており、温度推定精度が向上していることがわかる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図19、図20を参照し、第3実施形態と異なる点のみを説明する。
図19に示すように、第4実施形態の一次遅れ演算器1には、第3実施形態と同様にdq軸電流の二乗値和(Id2+Iq2)が入力される。また、第4実施形態の応答定数決定手段2には、変調モード及びDUTYが入力される。第4実施形態は、第3実施形態による「変調モードに応じた三相の上MOSグループ及び三相の下MOSグループの温度推定」に加え、DUTYの変化を考慮した温度推定を行う。
図20に示すように、第4実施形態のゲイン設定手段3は、切替部31、上べた二相変調用マップ341及び下べた二相変調マップ342、LPF39を有している。
上べた二相変調用マップ341によると、上MOS推定時には、DUTYが増加していればK1よりも大きいゲインK2が決定され、DUTYが減少していればK1よりも小さいゲインK2が決定される。一方、下MOS推定時には、DUTYが増加していればK1よりも小さいゲインK2が決定され、DUTYが減少していればK1よりも大きいゲインK2が決定される。
下べた二相変調用マップ342によると、上MOS推定時には、DUTYが増加していればK1よりも小さいゲインK2が決定され、DUTYが減少していればK1よりも大きいゲインK2が決定される。一方、下MOS推定時には、DUTYが増加していればK1よりも大きいゲインK2が決定され、DUTYが減少していればK1よりも小さいゲインK2が決定される。
ここで、DUTYが上限値Dmax又は下限値Dminに張り付いて「一定」の場合、増加又は減少のいずれかに含めてもよいし、「K2=K1」としてもよい。
例えば上べた二相変調での上MOS推定時、又は、下べた二相変調での下MOS推定時には、DUTYが増加していれば、今後発熱が大きくなるためゲインK2をK1より大きく設定し、DUTYが減少していれば、今後発熱が小さくなるためゲインK2をK1より小さく設定する。上べた二相変調での下MOS推定時、又は、下べた二相変調での上MOS推定時には、その逆となる。
これにより、第3実施形態に対し、さらにDUTY変化を考慮して三相の上MOS又は三相の下MOSのグループ毎に温度推定することができるため、温度推定精度を一層向上させることができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について、図21〜図23を参照して説明する。第5実施形態では、三相インバータ70における各相のハードウェアの熱抵抗や熱容量の違い、詳しくはMOSのジャンクションからヒートシンクへの放熱に関する熱抵抗や熱容量の違い(ばらつき)によって発生する発熱差に注目する。
図21に示すように、第5実施形態の一次遅れ演算器1には、dq軸電流の二乗値和((Id2+Iq2)が入力される。一次遅れ演算器1は、入力されたdq軸電流二乗値和に対し、「K/(τs+1)」の伝達関数による一次遅れ応答を演算する。また、第5実施形態の応答定数決定手段2には電気角θ及びq軸電流Iqが入力される。
第5実施形態では、三相の上MOSグループ又は下MOSグループに対し、q軸電流Iqの正負それぞれにつき、各相の電流振幅が最大となる電気角θにおいてハードウェアの熱抵抗や熱容量の違いを反映した重み付けをして温度を推定する。
続いて第5実施形態のゲイン設定手段3の詳細な構成について、図22、図23を参照して説明する。
ゲイン設定手段3は、切替部31、電気角θに対するゲインKの関係を規定した上MOS推定用マップ351及び下MOS推定用マップ352、LPF39を有している。
上MOS推定用マップ351及び下MOS推定用マップ352は、それぞれ、q軸電流Iqが正(Iq>0)の場合と負の場合(Iq<0)とで上下反転した2つのマップがセットになっている。
例えばq軸電流Iqが正のとき、図22の例では、上MOSについてU相、W相、V相の順に、図23の例では、下MOSについてW相、V相、U相の順に、MOSのジャンクションからヒートシンクへの放熱に関する熱抵抗が大きくなるものとする。熱抵抗が最も小さい相のMOSでは、電流振幅が最大となる電気角θで相対的に温度上昇しにくく、熱抵抗が最も大きい相のMOSでは、電流振幅が最大となる電気角θで相対的に温度上昇しやすい。上MOS推定用マップ351及び下MOS推定用マップ352では、その温度上昇のしやすさに応じてゲインKを変化させる。
これにより、各相のMOSのジャンクションからヒートシンクへの放熱に関する熱抵抗や熱容量の違いによって発生する発熱差がある場合でも、発熱差を考慮しつつ、三相の上MOS又は三相の下MOSのグループ毎に温度推定することができる。したがって、温度推定精度を向上させることができる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について、図24を参照し、第5実施形態と異なる点のみを説明する。第6実施形態の温度推定の構成は、図21に示す第5実施形態と同一である。
図24に示すように、第6実施形態のゲイン設定手段3は、切替部31、上下MOS共通推定用マップ36、LPF39を有している。上下MOS共通推定用マップ36は、q軸電流Iqが正(Iq>0)の場合と負の場合(Iq<0)とで上下反転した2つのマップがセットになっている。
上下MOS共通推定用マップ36は、第5実施形態の上MOS推定用マップ351及び下MOS推定用マップ352を一つにまとめたものであり、マップの技術的意義は第5実施形態に準じる。第6実施形態では、6個のMOS71〜76の温度推定のためのゲインKを一つのマップで決定することができるため、演算負荷を低減することができる。
(その他の実施形態)
(ア)電源電圧に応じてオフセット温度又は応答定数を変更する第1実施形態は、ブラシ付き直流モータに適用されてもよい。その場合、「電力変換器」としてHブリッジ回路が用いられる。
また、主に多相ブラシレスモータを想定した実施形態は、三相ブラシレスモータに限らず、四相以上のブラシレスモータにも同様に適用可能である。
(イ)IC95の動作電源として、インバータ70の電力供給源であるバッテリ91とは別の専用電源を用いてもよい。その構成でIC95の温度を推定する場合、オフセット温度決定手段5は、専用電源の電圧に応じてオフセット温度T_offを変更する。
(ウ)オフセット温度T_offを変更する構成は、図2に破線で示すように、センサ値加算器14に入力される温度センサ値T_snsに対するゲインKsを乗算する構成としてもよい。
(エ)バッテリと電力変換器との間に昇圧コンバータを設ける構成では、スイッチング素子の温度を推定する場合、「電力変換器に入力される入力電圧」として昇圧後の電圧を用いることが適当である。この場合、電力変換器の入力部に設けた電圧センサのセンサ値を取得してもよく、或いは、昇圧コンバータに対する昇圧指令値を用いてもよい。
(オ)第1実施形態の図3〜図5の特性図では、電源電圧VBに対するオフセット温度T_off、ゲインK、時定数τの関係を、右上がり又は右下がりの直線(一次関数)で示している。これらの関係は、直線(一次関数)に限らず、ステップ状、二次関数等の曲線状、又は、それらの組合せとしてもよい。
(カ)第2実施形態の図11、12では、上べた/下べた二相変調時に、上MOS又は下MOSのDUTYが上限値Dmax又は下限値Dminに張り付く電気角範囲で、それ以外の電気角範囲に対し、ゲインK2をステップ状に変化させている。すなわち、発熱に対する影響が特に大きい「張り付き範囲」でのみゲインK2を変化させ、それ以外の電気角範囲でのDUTY変化は無視している。これにより、最小限の演算負荷でゲインK2を有効に変化させることができる。
ただし、演算容量に余裕があるような場合等、「張り付き範囲」以外の電気角範囲でもDUTYの変化に追従してゲインK2を変化させるようにしてもよい。例えば、図11、12に示す二段階ステップ状のマップに対し、電気角に応じて、多段階ステップ状、台形状、正弦波状等のマップを作成してもよい。
(キ)第2〜第6実施形態では、図中破線で示したモータロック判定手段6を設けず、通常のモータ回転状態においても、応答定数決定手段2が各種入力情報に応じて一次遅れ演算器1の応答定数を変更するようにしてもよい。
(ク)各実施形態においてのゲイン決定手段3、時定数決定手段4、オフセット温度決定手段5において、例えば応答定数やオフセット温度の急変が問題にならない場合には、図中破線で示したLPF39、49、59を設けなくてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
1 ・・・一次遅れ演算器、
14・・・センサ値加算器、
15・・・オフセット加算器、
2 ・・・応答定数決定手段、
5 ・・・オフセット温度決定手段、
70・・・インバータ(電力変換器)、
71−76・・・MOS、スイッチング素子(温度推定対象素子)、
80・・・モータ、
90・・・モータ制御装置、
95・・・IC(電圧依存素子、温度推定対象素子)、
96・・・温度センサ。

Claims (11)

  1. モータ(80)の通電時に所定の温度推定対象素子(95、71〜76)の温度を推定しつつ、電力変換器(70)が供給する電力を制御することで前記モータを駆動するモータ制御装置(90)であって、
    前記モータの通電に係る電流についての電流二乗値、又はその積算値の時間平均を入力としゲイン及び時定数を用いて演算した一次遅れ応答を温度変化量として出力する一次遅れ演算器(1)と、
    前記温度変化量に温度センサ(96)のセンサ値を加算するセンサ値加算器(14)と、
    前記センサ値加算器の出力にオフセット温度を加算するオフセット加算器(15)と、
    前記一次遅れ演算器のゲイン及び時定数である応答定数を決定する応答定数決定手段(2)と、
    前記オフセット温度を決定するオフセット温度決定手段(5)と、
    を備え、
    前記温度推定対象素子に入力される電源電圧、又は、前記電力変換器に入力される入力電圧に応じて、前記応答定数又は前記オフセット温度の少なくとも一つを変更することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記温度推定対象素子として、電源電圧によって消費電力が変化する電圧依存素子(95)の温度推定に用いられ、
    前記オフセット温度決定手段は、
    前記電圧依存素子に入力される電源電圧に応じて、前記オフセット温度を変更することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記温度推定対象素子として、電源電圧によって消費電力が変化する電圧依存素子(95)、又は、前記電力変換器のスイッチング素子(71〜76)の温度推定に用いられ、
    前記応答定数決定手段は、
    前記電力変換器に入力される入力電圧に応じて、前記応答定数を変更することを特徴とする請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 複数相のモータ(80)の通電時に所定の温度推定対象素子(71〜76)の温度を推定しつつ、電力変換器(70)が供給する電力を制御することで前記モータを駆動するモータ制御装置(90)であって、
    前記モータの通電に係る電流についての電流二乗値、又はその積算値の時間平均を入力としゲイン及び時定数を用いて演算した一次遅れ応答を温度変化量として出力する一次遅れ演算器(1)と、
    前記温度変化量に温度センサ(96)のセンサ値を加算するセンサ値加算器(14)と、
    前記一次遅れ演算器のゲイン及び時定数である応答定数を決定する応答定数決定手段(2)と、
    を備え、
    前記応答定数決定手段は、
    前記温度推定対象素子について推定される発熱の変化、又は、複数相の前記温度推定対象素子について推定される相間の発熱差に応じて、前記応答定数を変更することを特徴とするモータ制御装置。
  5. 前記温度推定対象素子として、PWM制御される前記電力変換器の高電位側のスイッチング素子である上アーム素子(71、72、73)、又は、前記電力変換器の低電位側のスイッチング素子である下アーム素子(74、75、76)の温度推定に用いられ、
    前記応答定数決定手段は、
    前記上アーム素子もしくは前記下アーム素子のスイッチング周期に対するオン時間又はオフ時間の比率であるデューティに基づいて、前記応答定数を変更することを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
  6. 前記応答定数決定手段は、
    前記電力変換器のPWM制御の変調モードに応じて、前記応答定数を変更することを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置。
  7. 前記モータは三相モータであり、
    前記応答定数決定手段は、
    前記電力変換器のPWM制御の変調モードが三相変調、上べた二相変調、又は、下べた二相変調のいずれであるかによって、前記応答定数を決定する処理を切り替えることを特徴とする請求項6に記載のモータ制御装置。
  8. 前記応答定数決定手段は、
    各相の前記上アーム素子の温度推定に用いる前記応答定数、及び、各相の前記下アーム素子の温度推定に用いる前記応答定数を、それぞれ前記モータの電気角に応じて相毎に決定することを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
  9. 前記温度推定対象素子として、前記電力変換器の高電位側のスイッチング素子である上アーム素子(71、72、73)、又は、前記電力変換器の低電位側のスイッチング素子である下アーム素子(74、75、76)の温度推定に用いられ、
    前記応答定数決定手段は、
    各相の通電に係るハードウェアの熱抵抗又は熱容量の違いによる発熱差に応じて、前記応答定数を変更することを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
  10. 前記応答定数決定手段は、
    各相の前記上アーム素子の温度推定に用いる前記応答定数、及び、各相の前記下アーム素子の温度推定に用いる前記応答定数を、それぞれ前記モータの電気角に応じて決定することを特徴とする請求項9に記載のモータ制御装置。
  11. 前記モータにトルクを発生させるq軸電流が指令されており、且つ、前記モータの回転が停止しているロック状態であることを判定するモータロック判定手段(6)を備え、
    前記モータロック判定手段により前記モータが前記ロック状態であると判定したとき、前記応答定数決定手段は、所定の入力情報に応じて前記応答定数を変更することを特徴とする請求項4〜10のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
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