JP7283402B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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本発明は、モータ制御装置に関する。
従来、インバータが供給する電力により多相モータの駆動を制御するモータ制御装置において、インバータの上側及び下側スイッチング素子間の発熱温度の差を減少させる技術が知られている。
例えば特許文献1に開示されたスイッチング制御装置は、空冷方式での送風方向や水冷方式での水路位置による上側及び下側スイッチング素子間の発熱温度差に着目している。このスイッチング制御装置は、PWM制御のDuty比の上限値を設定し、さらなる高出力が必要なときには、DC-DCコンバータの出力を上げることにより、上側及び下側スイッチング素子間の発熱温度差の増大を防止する。
特開2015-142418号公報
本明細書では、インバータを構成する複数のスイッチング素子を「インバータ素子」という。そのうち、上アームのスイッチング素子を「上アーム素子」といい、下アーム素子スイッチング素子を「下アーム素子」という。また、インバータと同一の基板に搭載されたインバータ周辺の素子を「周辺素子」という。
特許文献1には、インバータ素子以外の周辺素子の影響について言及されていない。例えば、各相の下アーム素子に電流検出用のシャント抵抗が接続された構成では、周辺素子であるシャント抵抗の発熱により、下アーム素子が上アーム素子よりも温度上昇しやすくなる。また、上アーム素子と下アーム素子との定格温度が異なる場合、上下アーム素子の温度を均等にすることが最適とは限らない。
また、コンデンサ等の周辺素子がインバータ素子の発熱の影響を受ける構成において、上下アーム素子の発熱均等化よりも優先して、周辺素子の発熱抑制が求められる場合がある。さらに、例えば三相のうち特定相のインバータ素子が、隣接する周辺素子の発熱の影響を大きく受ける場合等、特定相の発熱を優先して低減することが求められる。これらの課題に対する解決について特許文献1には何ら言及されていない。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のインバータ素子又は周辺素子の温度の偏りを適切に解消するモータ制御装置を提供することにある。
本発明は、多相モータ(80)の駆動を制御するモータ制御装置である。このモータ制御装置は、インバータ(60)と、複数の周辺素子(54-58)と、電圧指令演算部(27)と、PWM変調器(29)と、Duty比調整部(30)と、を備える。インバータは、多相の上アーム素子(61、62、63)及び下アーム素子(64、65、66)からなる複数のインバータ素子がブリッジ接続されている。
周辺素子は、インバータと同一の基板(40)に搭載されている。本発明の第一態様では、周辺素子は、自身の温度上昇がインバータ素子の温度に影響を与える。本発明の第二態様では、周辺素子は、インバータ素子の発熱の影響を受けて温度上昇する。実際には、インバータ素子と周辺素子との間で相互に熱の授受が行われるが、第一態様では、周辺素子における熱を与える側としての側面に着目し、第二態様では、周辺素子における熱を受ける側としての側面に着目する。
電圧指令演算部は、複数の周辺素子の一部である複数の電流検出器(54、55、56)が検出した相電流検出値に基づいて、多相モータに印加する電圧指令を演算する。典型的に電流検出器は、各相のインバータ素子に接続されたシャント抵抗で構成されている。
PWM変調器は、電圧指令から換算された各相のDuty比とキャリアとを比較するPWM制御により、インバータのスイッチング周期における上アーム素子及び下アーム素子の通電時間配分を決定する。Duty比調整部は、PWM制御における各相のDuty比を調整する。
各素子の定格温度から推定温度を減じた温度差分を「余裕度」と定義する。インバータの通電に関するいずれかの検出値に基づき、又は、設計予測に基づき、第一、第二態様におけるそれぞれの「余裕度の差」が余裕度差閾値以上であると認められるとき、Duty比調整部は、余裕度の差を低減するように、各相のDuty比を調整する。なお、「設計予測に基づき」とは、回路への通電時に余裕度の偏りが必然的に生じることがわかっている場合にその知見に基づくことを意味する。この場合を含めて、「余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき」と表す。
第一態様における「余裕度の差」は、「少なくとも一相の上アーム素子と下アーム素子との間での余裕度の差、又は、複数相のインバータ素子の相間での余裕度の差」である。この余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき、Duty比調整部は、余裕度が相対的に小さいインバータ素子の温度上昇を抑制し、余裕度の差を低減するように、各相のDuty比を調整する。
例えば、下アーム素子の余裕度が上アーム素子の余裕度より小さいとき、Duty比調整部は、上アーム素子の通電時間を長くし、下アーム素子の通電時間を短くするように各相のDuty比を共通のオフセット量によりオフセットさせる。また、三相インバータにおいてU相素子の余裕度がV相、W相の余裕度より小さいとき、Duty比調整部は、U相を発熱低減相として選択し、U相の電流振幅の絶対値のピークを低減するように、相ごとにDuty比を調整する。こうして余裕度の差を低減することにより、複数のインバータ素子の温度の偏りを適切に解消することができる。
第二態様における「余裕度の差」は、「いずれかの周辺素子といずれかのインバータ素子との間、又は、複数の周辺素子同士の間での余裕度の差」である。この余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき、Duty比調整部は、余裕度が相対的に小さい周辺素子もしくはインバータ素子の温度上昇を抑制し、余裕度の差を低減するように、各相のDuty比を調整する。
例えば、上アーム素子側に配置され上アーム素子の発熱の影響をより大きく受ける周辺素子を上部エリア周辺素子と定義し、下アーム素子側に配置され下アーム素子の発熱の影響をより大きく受ける周辺素子を下部エリア周辺素子と定義する。そして、第一態様における上下アーム素子間での余裕度の差の低減処理が、上部エリア周辺素子及び下部エリア周辺素子を含めた範囲にまで拡張されることで、周辺素子とインバータ素子との温度の偏りや、複数の周辺素子同士の温度の偏りを適切に解消することができる。
各実施形態によるモータ制御装置の全体構成図。 制御演算部の制御ブロック図。 第1実施形態での素子の基板配置を示す模式図。 第1実施形態によるDuty比調整処理のフローチャート。 Duty比オフセット前の電気角一周期における各パラメータの波形図。 Duty比オフセット後の電気角一周期における各パラメータの波形図。 (a)、(b)オフセット量の算出に用いる余裕度差の選択を説明する図。 第1実施形態の変形例での素子の基板配置を示す模式図。 第2実施形態での素子の基板配置を示す模式図。 第2実施形態によるDuty比調整処理のフローチャート。 第3実施形態での素子の基板配置を示す模式図。 第3実施形態によるDuty比調整処理のフローチャート。 振幅係数乗算方式での電気角一周期における各パラメータの波形図。 振幅係数乗算方式の演算方法を説明する波形図。 振幅制限方式での電気角一周期における各パラメータの波形図。 振幅制限方式の演算方法を説明する波形図。 第4実施形態でのロック時の課題を説明する波形図。 ロック時における(a)目標トルクへの追従、(b)素子の過熱保護の観点での制御切替処理のフローチャート。 その他の実施形態による相ごとの配分方式を説明する波形図。
以下、本発明によるモータ制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態で実質的に同一の構成、又はフローチャートにおける実質的に同一のステップには、同一の符号又はステップ番号を付して説明を省略する。第1~第4実施形態を包括して「本実施形態」という。本実施形態のモータ制御装置は、「多相モータ」の具体例として、車両の電動ブレーキ等においてトルクを出力する三相モータの駆動を制御する。
[全体構成]
最初に図1、図2を参照し、各実施形態に共通するモータ制御装置の全体構成について説明する。モータ制御装置200は、バッテリ15と三相モータ80との間に設けられ、インバータ60、シャント抵抗54、55、56、コンデンサ57C、及び、制御演算部20等を含む。制御演算部20がPWM制御によってインバータ60をスイッチング動作させ、インバータ60が所望の電力を三相モータ80に供給することで、モータ制御装置200は三相モータ80の駆動を制御する。三相モータ80の電気角θは、例えば回転角センサ85により検出される。以下、「三相モータ80」を単に「モータ80」と省略する。
インバータ(図2では「INV」と記す。)60は、三相の上アーム素子61、62、63及び下アーム素子64、65、66からなる複数のインバータ素子がブリッジ接続されている。インバータ60は、電源線Lpを介してバッテリ15の正極に接続され、グランド線Lgを介してバッテリ15の負極に接続されており、インバータ素子61-66のスイッチング動作によりバッテリ15の直流電力を三相交流電力に変換してモータ80の三相巻線に電圧を印加する。
詳しくは、インバータ素子61、62、63は、それぞれU相、V相、W相の上アーム素子であり、インバータ素子64、65、66は、それぞれU相、V相、W相の下アーム素子である。インバータ素子61-66は、例えばMOSFETである。その他、MOSFET以外の電界効果トランジスタやIGBT等が用いられてもよい。
図1の構成例では、各相の下アーム素子64、65、66とグランド線Lgとの間に、「電流検出器」としてのシャント抵抗54、55、56が接続されている。この例では、下アーム素子64、65、66が「シャント抵抗側インバータ素子」に相当し、上アーム素子61、62、63が「反シャント抵抗側インバータ素子」に相当する。シャント抵抗54、55、56が検出した各相電流Iu、Iv、Iwは制御演算部20に取得される。コンデンサ57Cは、インバータ60のバッテリ15側に設けられ、バッテリ15から供給される電圧を平滑化したり、インバータ60のスイッチングノイズがバッテリ15側に伝播することを防いだりする。
ここで、シャント抵抗54、55、56及びコンデンサ57Cは、いずれもインバータ60と同一の基板に搭載されており、インバータ素子61-66との間で相互に熱の授受が行われる。また、制御演算部20が設けられるIC58Aも、インバータ60と同一の基板に搭載されており、インバータ素子61-66との間で相互に熱の授受が行われる。これらの部品を包括して「周辺素子」と定義する。本実施形態における「周辺素子」には、ダイオード、コイル、チップ素子等の回路素子に限らず、図3等に示される「モータ以外の負荷」等も含むように拡張解釈される。
周辺素子は、自身の温度上昇がインバータ素子61-66の温度に影響を与える熱源としての側面と、インバータ素子61-66の発熱の影響を受けて温度上昇する受熱体としての側面とを併せ持つ。本明細書において、「発熱」とは自身の通電による発熱を意味する。「温度上昇」には、自身の発熱及び他からの受熱による温度上昇を含む。
一実施例としてモータ制御装置200は、上アーム素子61、62、63のエリアと、下アーム素子64、65、66及びシャント抵抗54、55、56のエリアとに、それぞれ破線で示す温度検出器71、74を備えてもよい。温度検出器71は、「一相以上の反シャント抵抗側インバータ素子」である上アーム素子61、62、63の温度TH_snsを検出する。温度検出器74は、「一相以上のシャント抵抗側インバータ素子」である下アーム素子64、65、66の温度TL_snsを検出する。複数の温度検出器を使うことで回路の熱偏りを正確に検出できる。
図2に制御演算部20の構成を示す。制御演算部20が設けられるIC58Aは、図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御演算部20は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理による制御を実行する。
制御演算部20は、速度及び電流のフィードバック制御により演算した電圧指令に基づき、PWM制御により駆動信号を生成する。制御演算部20は、基本構成として、微分器21、速度偏差算出部22、速度制御器23、電流指令生成部24、三相二相変換部25、電流偏差算出部26、電流制御器27、二相三相変換部28、PWM変調器29及びDuty比調整部30を含む。また制御部20は、破線で示すオプション構成として、素子温度推定部31、ロック判定部32等を含んでもよい。
微分器21は、回転角センサ85が検出した電気角θを時間微分して速度(すなわち角速度)ωを算出する。速度偏差算出部22は、上位の車両制御回路から入力された速度指令ω*と速度ωとの速度偏差Δωを算出する。速度制御器23は、速度偏差Δωを0に近づけるようにトルク指令τ*を演算する。電流指令生成部24は、トルク指令τ*に基づいてdq軸電流指令Id*、Iq*を演算する。dq軸電流指令Id*、Iq*に従ってモータ80に電流が通電されることで、モータ80は、トルク指令τ*に応じたトルクを出力する。
三相二相変換部25は、電気角θを用いて三相電流Iu、Iv、Iwをdq軸電流Id、Iqにdq変換する。電流偏差算出部26は、dq軸電流指令Id*、Iq*とdq軸電流Id、Iqとの電流偏差ΔId、ΔIqを算出する。電流制御器27は、電流偏差ΔId、ΔIqを0に近づけるようにdq軸電圧指令Vd*、Vq*を演算する。電流制御器27は、「シャント抵抗54、55、56が検出した相電流検出値に基づいて、モータ80に印加する電圧指令を演算する電圧指令演算部」に相当する。二相三相変換部28は、電気角θを用いてdq軸電圧指令Vd*、Vq*を三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*にdq変換する。
PWM変調器29は、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*から換算された各相のDuty比とキャリアとを比較するPWM制御により、PWM信号を生成する。PWM信号では、インバータ60のスイッチング周期における上アーム素子及び下アーム素子の通電時間配分が決定される。本実施形態での「Duty比」は、インバータ60のスイッチング周期に対する上アーム素子のON時間の比率を表す指令値である。PWM変調器29が生成したPWM信号は、各インバータ素子61-66に出力される。
一般的なモータ制御装置では、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*から換算された各相のDuty比は、そのままPWM制御に用いられる。これに対し本実施形態では、Duty比調整部30は、下記のような条件に応じて、PWM制御における各相のDuty比を調整する。例えばDuty比調整部30は、素子温度推定部31が推定した素子温度に基づき各相のDuty比を調整する。ここで、「素子温度」は、「インバータ素子又は周辺素子の温度」を意味する。
温度センサ71、74を備えるモータ制御装置200では、素子温度推定部31は、温度検出値TH_sns、TL_snsに基づいて素子温度を推定する。例えば、素子温度推定部31は、取得した温度検出値TH_sns、TL_snsをそのまま素子温度とみなす場合や、温度センサ71、74から素子までの熱抵抗等の伝熱特性に応じて温度検出値TH_sns、TL_snsを補正して素子温度を推定する場合がある。本明細書では、温度検出値TH_sns、TL_snsがそのまま素子温度とみなされる場合を含め、検出温度が「推定温度」に含まれるものとする。
温度センサ71、74を備えないモータ制御装置200では、素子温度推定部31は、「インバータ60の通電に関する温度以外の検出値」に基づいて素子温度を推定する。典型的には、素子温度推定部31は、各相電流Iu、Iv、Iwの検出値と素子の抵抗とから「電流の二乗×抵抗」の積分値により温度上昇量を算出し、温度上昇量を初期温度に加算することで、素子温度を推定する。
Duty比調整部30は、各素子の定格温度の情報を記憶しており、各素子の定格温度から推定温度を減じた温度差分を「余裕度」として算出する。ここで、余裕度算出の基準となる各素子の定格温度は、素子のデータシートやスペックの値が固定値として用いられてもよく、寿命設計等の設計上の理由により適宜設定されてもよい。また、駆動状態等に応じて可変の値としてもよい。
そして、着目する複数の素子、すなわち「均等化対象素子」の間で余裕度の偏りがある場合、余裕度を均等化するようにDuty比を調整する。ただし、設計予測に基づき、回路への通電時に余裕度の偏りが必然的に生じることがわかっている場合、Duty比調整部30は、素子温度推定部31から推定温度の情報を取得することなく、各相のDuty比を調整してもよい。また、Duty比調整部30は、PWM変調器29から取得したキャリア周波数fcに基づいて、後述するON時間のパルス幅が確保されるようにDuty比の調整範囲を決定してもよい。
また、ロック判定部32は、モータ80の回転速度ωが速度閾値未満のとき、「ロック時」であると判定する。第4実施形態で後述するように、Duty比調整部30は、ロック時に、「モータ80の回転速度ωが速度閾値以上である通常回転時」に対し制御を切り替える。例えばロック時の制御切替処理において、定格温度が切り替えられる。
続いて、Duty比調整部30による余裕度均等化処理について、インバータ素子61-66及び周辺素子54-58の間での熱影響のパターンを場合分けして、実施形態毎に説明する。本明細書において「余裕度を均等化する」とは、必ずしも余裕度を一致させるという意味ではなく、「余裕度の差を低減する」という意味で解釈される。
(第1実施形態)
図3~図7を参照し、第1実施形態について説明する。第1実施形態では、均等化対象素子がインバータ素子であり、周辺素子はインバータ素子に対する熱源として作用するモデルを想定する。図3に示すように、基板40に、上アーム素子61、62、63、下アーム素子64、65、66、シャント抵抗54、55、56、及び、ICやモータ以外の負荷等の周辺素子58が搭載されている。シャント抵抗54、55、56は、下アーム素子64、65、66に対し上アーム素子61、62、63とは反対側に配置されている。
また、U相の上下アーム素子61、64に隣接する位置にICやモータ以外の負荷等が配置されている。本実施形態では、周辺素子の種類や機能を問わず、単にインバータ素子61-66に対する配置や熱影響の程度のみに注目する。そこで、U相素子61、64に隣接するICやモータ以外の負荷を「U相エリア周辺素子58」と表す。
また、図3に各素子の定格温度Trtが例示される。6個のインバータ素子61-66の定格温度Trtは、いずれも175℃で同一である。また、シャント抵抗54、55、56の定格温度Trtは150℃であり、U相エリア周辺素子58の定格温度Trtは150℃である。
インバータ60に通電されると、インバータ素子61-66の他にシャント抵抗54、55、56やU相エリア周辺素子58も発熱し、両方向ブロック矢印で示すように、熱の授受が行われる。図3の例では、下アーム素子64、65、66とシャント抵抗54、55、56とは近接しており、それらの間の熱の授受は比較的大きい。U相エリア周辺素子58とU相素子61、64とはやや離れており、それらの間の熱の授受は比較的小さい。
そのため、各相の上アーム素子61、62、63及び下アーム素子64、65、66に均等に通電すると、全体に下アーム素子64、65、66が上アーム素子61、62、63よりも早く温度上昇し、特にU相下アーム素子64が早く温度上昇して定格温度に到達してしまう。すると、他のインバータ素子には定格温度までの余裕が残っている状態にもかかわらず、モータ駆動制御を停止せざるを得なくなる。
そこで第1実施形態では、通電時間における下アーム素子64、65、66の配分を減らし、上アーム素子61、62、63の配分を増やすことで、下アーム素子64、65、66の温度上昇を抑制する。具体的には、Duty比調整部30が各相のDuty比を共通にプラス側にオフセットさせる。これにより、モータ駆動制御をより長く継続させる。なお、U相エリア周辺素子58から受熱するU相下アーム素子64の温度上昇を抑制するように、相ごとに発熱バランスを調整する処理については第3実施形態で説明する。
図4のフローチャートを参照し、Duty比調整部30が実行する第1実施形態のDuty比調整処理について説明する。以下のフローチャートの説明で記号「S」はステップを意味する。各実施形態で互いに対応するステップには、同一のステップ番号の末尾にA、B、Cの記号を付す。第1実施形態特有の処理については末尾に「A」を付す。なお、複数のフローチャートでステップ番号を共用する都合上、ステップ番号に欠番が生じる場合がある。
S01Aでは、設計予測に基づく上下アーム素子間の余裕度の偏りがあるか、すなわち、モータ80の駆動条件や動作環境に関係なく、上下アーム素子間の余裕度の偏りが必然的に生じることがわかっているか判断される。例えば、シャント抵抗54、55、56の発熱の影響により、下アーム素子64、65、66の余裕度が上アーム素子61、62、63の余裕度よりも常に同程度に小さくなることが設計予測される場合、S01AでYESと判断され、S07に移行する。S07では、固定のオフセット方向(この場合はDuty比増加方向)で固定値のオフセット量が適用される。
設計予測に基づく余裕度の偏りが無く、S01AでNOと判断された場合、S02AでDuty比調整部30は、素子温度推定部31が推定した各相のインバータ素子61-66の温度TswUH、TswVH、TswWH、TswUL、TswVL、TswWLを取得する。図中及び以下の明細書中、3個の上アーム素子61、62、63、及び、3個の下アーム素子64、65、66の温度をまとめて、それぞれ「Tsw*H」、「Tsw*L」と記す。「*」は、U、V、Wのいずれかを意味する。素子温度の相間ばらつきが無いとみなされる場合、各相共通の上下アーム素子温度Tsw*H、Tsw*Lの2値のみが取得されてもよい。フローチャートの説明中、上アーム素子及び下アーム素子の符号の記載を適宜省略する。
S03AでDuty比調整部30は、各インバータ素子61-66について、定格温度から素子温度を減じて余裕度を算出する。上アーム素子の余裕度をMHと記し、下アーム素子の余裕度をMLと記す。S05では、少なくとも一相の上下アーム素子間の余裕度の差|MH-ML|が閾値(詳しくは「余裕度差閾値」)以上であるか判断される。S05でNOの場合、処理を終了する。
S05でYESの場合、S06でDuty比調整部30は、Duty比のオフセット量を算出する。まず、余裕度が相対的に小さいインバータ素子の温度上昇を抑制するようにオフセット方向が決められる。(MH-ML)が正の場合、下アーム素子の余裕度が小さいため、Duty比を増加させ、下アーム素子の通電時間を短くする。(MH-ML)が負の場合、上アーム素子の余裕度が小さいため、Duty比を減少させ、上アーム素子の通電時間を短くする。オフセット量の算出例については後述する。
こうして、設計予測以外の場合にはS06で、設計予測の場合にはS07で、Duty比のオフセット量が決まる。なお、S06及びS07で得られる結果を併用してもよい。例えば設計予測の寄与度を設定し、S06により算出されるオフセット量と、S07で適用される固定値のオフセット量との加重平均を算出する方法が考えられる。Duty比調整部30は、各相のDuty比を共通のオフセット量によりオフセットさせる。第1実施形態によるこの処理を「均等オフセット」ともいう。PWM変調器29は、オフセット後のDuty比に従って、インバータ60を動作させる。
図5にDuty比オフセット前、図6にDuty比オフセット後の電気角一周期における各パラメータの波形図の例を示す。横軸の0~360[°]について、「電気角θ」の記載を省略する。図5、図6の一段目には、電気角一周期におけるキャリアC、及び、正弦波状の各相Duty比Du、Dv、Dwを示す。キャリアCは、代表的な三角波を図示しているが、鋸波等の他のキャリアが使用されてもよい。オフセット後の各相Duty比には記号の末尾に「#」を付して区別する。オフセット前、素子寿命を考慮して上下アーム素子を均等に使用する観点から、平均Duty比は50%に設定される。余裕度均等化のために各相のDuty比が+25%の共通のオフセット量によりオフセットされた後、平均Duty比は75%となる。
図5、図6の二段目には各相の上アーム素子電流Iup、Ivp、Iwpを示し、三段目には各相の下アーム素子電流Iun、Ivn、Iwnを示す。図1に示す構成では、下アーム素子電流Iun、Ivn、Iwnは、各相のシャント抵抗54、55、56の電流でもある。各相のON時の電流波形の外縁を繋いだ波形は、その相のDuty比に比例する。オフセット前の上下アーム素子のON時間は均等であるが、オフセット後には上アーム素子のON時間が長くなり、下アーム素子のON時間が短くなる。
図5、図6の四段目には、q軸電圧Vqによりモータ80の出力トルクを示す。縦軸の数値「0.5」は無次元数であり、特に意味はないが、図13、図15との対比における基準値とする。オフセット前後とも電気角一周期にわたってq軸電圧Vqは基準値0.5で一定である。なお、参考までにd軸電圧Vdは0で一定である。各相のDuty比が共通のオフセット量によりオフセットする場合、線間電圧は変わらないため、出力トルクが維持される。
図4に戻り、S06でのオフセット量の算出例について説明する。例えばオフセット量は、上下アーム素子間の余裕度差が閾値を超えた量に比例して算出される。或いは、上下アーム素子間の余裕度差が閾値を超えた場合に、固定値のオフセット量が適用されるようにしてもよい。ところで、上アーム素子61、62、63及び下アーム素子64、65、66は3個ずつあり、どの素子について「上下アーム素子間の余裕度差」を選択するかが定まらない。
図7に各インバータ素子の余裕度の例を示す。個別素子の余裕度に着目すると、U相下アーム素子の余裕度が5[℃]で最も小さく、W相上アーム素子の余裕度が30[℃]で最も大きい。また、上アーム側、下アーム側のエリア別で見ると、上アームエリアの平均余裕度が25[℃]であり、下アームエリアの平均余裕度が10[℃]である。この例では、余裕度最小の素子を含むU相の余裕度差20[℃]を採用してもよい。又は、エリア平均の余裕度差15[℃]を採用してもよい。個別素子の余裕度に対する着眼点と、エリア平均の余裕度に対する着眼点とは、以下の各実施形態を通じて選択又は併用される。
また、Duty比調整部30は、キャリアの最小値から最大値までの範囲に入るように、各相のDuty比を調整する。つまり、図6において、オフセット後のDuty比は、少なくとも振幅ピークがキャリアCの0%~100%の範囲に収まるように設定される。仮にオフセット後のDuty比がこの範囲を超えると、指令通りの電圧が印加されないためモータ駆動が不安定となり、最悪の場合、停止するおそれがある。そこで、オフセット後のDuty比がこの範囲に収まるように設定することで安定した駆動が可能になる。
さらにDuty比調整部30は、インバータ素子61-66のON時間のパルス幅が電流検出に必要な最小パルス幅以上となるように、各相のDuty比を調整する。つまり、図6においてオフセット後の下アーム素子のON時間のパルス幅Xは、電流検出に必要な最小パルス幅Xmin以上となるように設定される。仮に電流検出ができなくなると、電流フィードバック制御が破綻してモータが停止するおそれがある。そこで、オフセット後のON時間のパルス幅Xが最小パルス幅Xmin以上となるようにオフセット値を設定することで安定した駆動が可能になる。
なお、キャリア周波数が一定の場合、この条件は、オフセット後のDuty比の範囲が例えばキャリアCの7%~93%の範囲に収まるようにすることにより実現される。これに対し、キャリア周波数がモータ回転数等に依存して変化する場合、キャリア周波数に応じてDuty比の許容範囲が都度算出されることとなる。
次に図8を参照し、第1実施形態の変形例について補足する。この変形例では、上アーム素子61、62、63の定格温度TrtH(例えば165[℃])と、下アーム素子64、65、66の定格温度TrtL(例えば175[℃])とが異なっている。つまり、余裕度が比較されるインバータ素子同士の定格温度が異なっている。これにより、余裕度が比較的大きい上アーム素子61、62、63については、過剰な保護をすることなく、定格温度TrtHの低い仕様の素子を用いることができる。
以上のように第1実施形態では、周辺素子であるシャント抵抗54、55、56が下アーム素子64、65、66に接続されたインバータ回路において、Duty比調整部30が各相Dutyを共通のオフセット量によりオフセットさせる。均等オフセットにより、複数のインバータ素子61-66の温度の偏りを適切に解消することができる。よって、回路全体の熱を抑制し、下アーム素子64、65、66及びシャント抵抗54、55、56の過熱により機器破損につながることを防止することができる。
(第2実施形態)
次に図9、図10を参照し、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、均等化対象素子がインバータ素子及び周辺素子の両方であり、周辺素子は熱源であるとともに受熱体としても作用するモデルを想定する。図9には、図3の構成に加え、ダイオード、コンデンサ等の周辺素子57が基板40に搭載された構成を示す。ダイオード、コンデンサ等の周辺素子57は、上アーム素子61、62、63に対し下アーム素子64、65、66とは反対側に近接して配置されており、上アーム素子61、62、63の発熱の影響を大きく受ける。一方、U相エリア周辺素子58は、U相素子61、64から比較的遠い位置にあるため、熱の授受の影響が比較的小さい。
このように、上アーム素子61、62、63と下アーム素子64、65、66とを比較したとき、上アーム素子61、62、63側に配置され上アーム素子61、62、63の発熱の影響をより大きく受ける周辺素子を「上部エリア周辺素子」と定義する。図9において、ダイオード、コンデンサ等の周辺素子57を「上部エリア周辺素子57」と表す。同様に、下アーム素子64、65、66側に配置され下アーム素子64、65、66の発熱の影響をより大きく受ける周辺素子を「下部エリア周辺素子」と定義する。シャント抵抗54、55、56は下部エリア周辺素子に該当する。
また、図3と同様の各素子の定格温度Trtに加え、上部エリア周辺素子57の定格温度Trtは125℃である。つまり、図9において、上部エリア周辺素子57の定格温度Trtが最も低い。したがって、最も高温の素子が下アーム素子64、65、66であったとしても、定格温度に対する余裕度で比較した場合、上部エリア周辺素子57の方が余裕度が小さい。この場合、上部エリア周辺素子57が均等化対象素子となる。
そして、「上アーム素子61、62、63と上部エリア周辺素子57との余裕度差」が余裕度差閾値以上である場合、Duty比調整部30は、上部エリア周辺素子57の温度上昇を抑制し、余裕度差を低減するように、各相のDuty比を共通にマイナス側にオフセットさせる。ただし、Duty比をマイナス側にオフセットさせると、下アーム素子64、65、66に対しては、むしろ温度上昇を促進する不利な方向に働く。したがって、上部エリア周辺素子57の余裕度と下アーム素子64、65、66の余裕度とのバランスを監視しつつ、随時、均等化対象素子を選択することが好ましい。
図9の例に限らず、上部エリア周辺素子又は下部エリア周辺素子を均等化対象素子とする場合の処理は、次のようにまとめられる。上部エリア周辺素子もしくは下部エリア周辺素子といずれかのインバータ素子との間、又は、上部エリア周辺素子と下部エリア周辺素子との間での余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき、Duty比調整部30は、各相のDuty比を共通のオフセット量によりオフセットさせる。具体的なオフセット処理については、第1実施形態の図5、図6を援用して参照する。
図10のフローチャートを参照し、Duty比調整部30が実行する第2実施形態のDuty比調整処理について説明する。第2実施形態では第1実施形態に対し、均等化対象素子が「インバータ素子及び周辺素子の両方」に拡張される。第2実施形態特有の処理についてはステップ番号の末尾に「B」を付す。S01Bでは、設計予測に基づく上下アーム素子及び周辺素子間での余裕度の偏りがあるか判断される。S01BでYESと判断されると、図4と同様にS07に移行し、固定値のオフセット量が適用される。
S01BでNOと判断された場合、S02BでDuty比調整部30は、素子温度推定部31が推定した各相のインバータ素子61-66の温度Tsw*H、Tsw*L、及び、周辺素子温度を推定する。S03BでDuty比調整部30は、各インバータ素子61-66及び周辺素子について、定格温度から素子温度を減じて余裕度を算出する。
S04では、注目する周辺素子と、他の周辺素子又はインバータ素子との余裕度の差が閾値以上であるか判断される。なお、これに代えて、単純に周辺素子の余裕度が所定値以下であるか判断されてもよい。S04でYESの場合、S06に移行する。S04でNOの場合、図4と同じS05の判断が行われる。S05でYESの場合、S06に移行し、S05でNOの場合、処理を終了する。続くS06、S08は図4と同じであるため説明を省略する。S06の説明において、「上下アーム素子間」と記載した箇所は、「上部エリア周辺素子、下部エリア周辺素子を含めた素子間」に読み替えて解釈される。
また、第1実施形態で言及した個別素子の余裕度に対する着眼点、及び、エリア平均の余裕度に対する着眼点についても、第2実施形態では周辺素子を含むように拡張される。例えば、個別では上部エリア周辺素子の余裕度が最も小さく、エリア平均では下アーム素子又は下部エリア周辺素子の余裕度が相対的に小さい、というように、個別素子の余裕度とエリア平均の余裕度とが競合する場合が想定される。この場合、個別素子の余裕度を優先的に確保するようにしてもよい。
さらに図9の例では、上部エリア周辺素子57の定格温度(125[℃])とシャント抵抗54、55、56の定格温度(150[℃])とは異なっている。また、上部エリア周辺素子57の定格温度(125[℃])とU相エリア周辺素子58の定格温度(150[℃])とも異なっている。したがって、これらの周辺素子同士で余裕度が比較される場合、第1実施形態の変形例で説明した「余裕度が比較される上下アーム素子同士の定格温度が異なっている」という特徴が周辺素子に拡張されたと解釈される。
(第3実施形態)
次に図11~図16を参照し、第3実施形態について説明する。図11には、図9と同じ各素子が基板40に搭載されており、例示される定格温度Trtも図9と同じである。ただし、図9の配置に比べ上部エリア周辺素子57は上アーム素子61、62、63から遠い位置にあり、U相エリア周辺素子58はU相下アーム素子64に特に近接している。第3実施形態では、余裕度を比較するエリアが、例えば「U相エリア」と「V相、W相エリア」のように分かれる。
インバータ素子を均等化対象素子とする観点では、U相下アーム素子64がU相エリア周辺素子58からの受熱により温度上昇し余裕度が小さくなる。そして、U相下アーム素子64とV相、W相の下アーム素子65、66との余裕度の差、つまり、「複数相のインバータ素子の相間での余裕度の差」が閾値以上となる。そこでDuty比調整部30は、インバータ素子の余裕度が相対的に小さいU相を「発熱低減相」として選択し、発熱低減相の発熱を低減するように、相ごとにDuty比を調整する。
周辺素子を均等化対象素子とする観点では、U相エリア周辺素子58がU相下アーム素子64からの受熱により温度上昇し余裕度が小さくなる。そして、例えばU相エリア周辺素子58と上部エリア周辺素子57との余裕度の差が閾値以上となる。このように、「相ごとのエリアに対応してインバータ素子の発熱の影響を受ける周辺素子」同士での余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき、Duty比調整部30は、対応する周辺素子の余裕度が相対的に小さいU相を「発熱低減相」として選択し、発熱低減相の発熱を低減するように、相ごとにDuty比を調整する。
また、上下アーム素子間の余裕度の差も考慮し、第1実施形態による均等オフセットと第3実施形態による相ごとの配分とを組み合わせてもよい。例えば、上部エリア周辺素子の余裕度が最も余裕度が小さく、エリア平均ではU相エリア周辺素子の余裕度が小さい場合、均等オフセットにより上アーム素子の熱を低減しつつ、相ごとの配分を併用しU相側の熱を低減してもよい。
図12のフローチャートを参照し、Duty比調整部30が実行する第3実施形態のDuty比調整処理について説明する。第3実施形態特有の処理についてはステップ番号の末尾に「C」を付す。ここでは、インバータ素子を均等化対象素子として相ごとのDuty比調整を行うものとする。周辺素子への熱影響が相ごとのエリアに対応する場合、周辺素子を均等化対象素子としてもよい。
S01Cでは、設計予測に基づくインバータ素子61-66の相間の余裕度の偏りがあるか判断される。S01CでYESと判断されると、S16の次までスキップする。S01CでNOと判断された場合、S02A、S03Aは第1実施形態の図4と同様である。S15では、複数相のインバータ素子の相間の余裕度の差が閾値(詳しくは「余裕度差閾値」)以上であるか判断される。S15でNOの場合、処理を終了する。S16でDuty比調整部30は、余裕度が相対的に小さい発熱低減相を選択する。S01CでYESと判断された場合、設計予測に基づき発熱低減相が既に決定している。
続いてS17では、Duty比調整に伴う平均トルクの維持が必要か判断される。なお、相ごとの配分では、「その他の実施形態」として後述する特殊な例を除き、トルクリップルが許容されることがほぼ前提となる。例えば電動ブレーキ用モータのように、トルクリップルがあってもよいが出力トルクを維持することが重要なモータでは、相ごとの配分方式が有効である。一方、トルクリップルが無いことが優先される場合、均等オフセットを選ぶか、制御を停止することが好ましい。特定の用途のモータ駆動に適用される場合、S17の判断は常に固定されてもよい。
平均トルクの維持が必要であり、S17でYESと判断された場合、S18でDuty比調整部30は、平均トルクを維持する方式で各相のDuty比を調整する。この方式の例は、図13、図14に示す「振幅係数乗算方式」である。平均トルクの維持が不要であり、S17でNOと判断された場合、S19でDuty比調整部30は、平均トルクを維持しない方式で各相のDuty比を調整してもよい。この方式の例は、図15、図16に示す「振幅制限方式」である。なお、平均トルクを維持する振幅係数乗算方式をS19で用いてもかまわない。
図13、図14を参照し、振幅係数乗算方式によるDuty比調整について説明する。調整前の波形は、第1実施形態の図5を援用する。図13には、図5と同様に、電気角一周期におけるキャリア及び各相Duty比、上アーム素子電流、下アーム素子及びシャント抵抗電流、並びに、モータ出力トルクの4つの図を示す。各相Duty比は、キャリアCとの比較を表す都合上、50%を基準として示している。ただし、第1実施形態によるオフセット処理と第3実施形態による相ごとの調整とを組み合わせ、オフセット後の値を基準としてもよい。
U相電流波形において、電気角90°及び270°の位相で電流ピークの絶対値が低減されており、発熱が低減する。出力トルクを示すq軸電圧Vqは、電気角一周期中に二周期の正弦波として現れる。q軸電圧Vqは電気角0°及び180°で最大となり、電気角90°及び270°で最小となる。q軸電圧Vqの平均は、調整前の基準値0.5に一致する。すなわち、平均トルクが変化せずに維持されている。
図14を参照し、振幅係数乗算方式の演算方法について説明する。ここでは、各相Duty比を各相電流指令値に置き換えて説明する。説明中の「電流指令値」は「電流」に省略する。調整前の各相電流Iu、Iv、Iwの平均は0であり、正弦波の電流振幅範囲が無次元数で±0.4と表される。この数値自体には意味はないが、調整前後の対比用として記す。図14の例では、U相電流Iuは「-0.4×sinθ」と表される。
U相振幅係数は、U相電流Iuのピ-ク、すなわちU相電流Iuの絶対値が最大となる位相で最小となり、U相電流Iuが0となる位相で最大となる正弦波関数である。また、U相振幅係数の電気角一周期での平均は1である。振幅をα、位相差をφとすると、一般式では「f=1+α×sin(2θ+φ)」と表される。図14の例では、U相振幅係数は「f=1+0.2sin(2θ+90°)=1+0.2cos(2θ)」と表される。調整前のU相電流IuにU相振幅係数を乗じることで、調整後のU相電流Iu#は、ピークの絶対値が約20%低減する。また、U相電流Iuの調整に伴い、三相電流和を0とするようにV相電流Iv、W相電流Iwが調整される。その結果、図14の下段に示される各相の調整後電流Iu#、Iv#、Iw#が演算される。
各相電流に置き換えてした説明を各相Duty比に戻せば、次のようにまとめられる。Duty比調整部30は、発熱低減相の電流振幅ピークの絶対値を低減するように、「電気角θに応じて変化し且つ電気角一周期での平均が1である振幅係数」を、発熱低減相の調整前のDuty比に乗じて調整後のDuty比を演算する。
このように、振幅係数乗算方式では、トルクリップルは発生するものの、平均トルクを維持しつつ発熱低減相の発熱を低減することができる。したがって、トルクフィードバックによるトルク調整処理が不要である。なお、振幅係数の振幅αが大きいほど電流ピーク低減効果が大きくなる反面、トルクリップルも大きくなる。そこで、余裕度とトルクリップルの許容度とのバランスにより振幅係数の振幅αが調整されることが好ましい。
次に図15、図16を参照し、振幅制限方式によるDuty比調整について説明する。図15には、上下アーム素子電流の図を省略し、電気角一周期におけるキャリア及び各相Duty比、並びに、モータ出力トルクの2つの図を示す。振幅制限方式では、U相電流振幅の絶対値の上限を制限することで電流ピークの絶対値が低減され、発熱が低減する。ただし、電流振幅が制限された位相範囲でq軸電圧Vqが低下しており、電気角一周期の平均トルクが低下する。
図16を参照し、振幅制限方式の演算方法について、図14と同様に各相Duty比を各相電流指令値に置き換えて説明する。縦軸の数値の意味は図14に準じて解釈される。図16の上段には、V相電流Iv、W相電流Iwを正弦波形としたまま、U相電流振幅の絶対値の上限を制限した状態を示す。この例では、電流振幅の上限の絶対値が0.2に制限される。中段には、この状態での三相電流和を示す。U相電流振幅が制限された位相範囲で三相電流和の計算値が0から乖離し、キルヒホッフの法則が成立しなくなる。そこで、0から乖離した分の電流が例えばV相、W相の電流指令値に均等に再分配される。その結果、図16の下段に示される各相の調整後電流Iu#、Iv#、Iw#が演算される。
各相電流に置き換えてした説明を各相Duty比に戻せば、次のようにまとめられる。Duty比調整部30は、発熱低減相の電流振幅の絶対値の上限を制限し、さらに全相の電流和が0になるように発熱低減相以外の相の電流振幅を調整して調整後のDuty比を演算する。
上述の通り、振幅制限方式では基本的に平均トルクが低下する。ただし、トルクフィードバックにより実出力トルクの平均値が目標トルクになるまで各相の電流指令値を増加する処理を行うことで、平均トルクを維持することも可能である。この場合の実出力トルクは、調整後のdq軸電流Id、Iqから推定演算してもよく、トルクセンサやオブザーバを用いてモニタしてもよい。また、振幅制限方式の演算において、調整前の電流指令値と上限の設定値との関係から、平均トルクを低下させないために必要な電流指令値増加分を数式やマップにより算出するようにしてもよい。
第3実施形態では、発熱低減相のインバータ素子がその相エリアの周辺素子からの受熱により温度上昇し余裕度が小さくなる場合等に、Duty比調整部30は、発熱低減相の発熱を低減するように、相ごとにDuty比を調整する。これにより、複数のインバータ素子61-66の温度の偏りを適切に解消することができる。
ただし、相ごとの配分によると、均等オフセットのように出力トルクが一定に維持されない。そこで、例えば上述の振幅係数乗算方式を実施することで、トルクリップルは発生するものの、モータ80の電気角一周期の平均出力トルクを維持することができる。
(第4実施形態)
次に図17、図18を参照し、第4実施形態について説明する。図1を参照して上述した通り、第4実施形態では、ロック判定部32により「ロック時」であると判定されたとき、Duty比調整部30が制御を切り替える。なお、従来、特許第3684871号公報には、モータのロック時にスイッチング周波数を通常周波数から保護周波数に低減する電力変換器の温度保護制御装置が開示されている。この装置では、スイッチング素子の温度が判定ラインを上回った場合にのみ保護周波数に切り替えることで、騒音を極力回避する。しかし、ロック時におけるDuty比の調整に関しては何ら言及されていない。
ここでは主に、第3実施形態にて平均トルクの維持が必要な場合に用いられる振幅係数乗算方式の応用について検討する。図17には、図14下段の調整後各相電流の図、及び、図13最下段の出力トルクの図を再掲する。太実線で示すように、仮に電気角90°の位相付近で回転数が低下すると、平均トルクよりも低トルクの状態が長く継続する。そのため、回転速度ωが低いロック時には、電気角一周期での平均トルクによりトルク性能を担保することができない。
図18(a)のフローチャートに、ロック時における目標トルクへの追従の観点での制御切替処理を示す。S21では、モータ80の回転速度ωが速度閾値ωth未満であるか判断される。S21でYESの場合、ロック時と判断され、S22に移行する。速度閾値ωthによっては、完全に停止している場合に限らず、低速回転時も「ロック時」に含まれる。S22では、図12のS17と同様に目標トルクへの追従が必要か判断される。S22でYESの場合、S23でDuty比調整部30は、振幅係数乗算方式による相ごとのDuty比調整を中止する。
これにより、ロック時且つ目標トルクへの追従要求がある場合に、目標トルクから乖離したトルクが継続して出力される事態を回避することができる。S21でNOの場合に相当する通常回転時、又は、S22でNOの場合、S24で、相ごとのDuty比調整を実施可と判断される。
また、図18(b)のフローチャートに、素子の過熱保護の観点での制御切替処理を示す。ロック時には、位相によって特定相に電流が集中し、通常回転時に比べ早く温度上昇する。そこで、早めに過熱を防止するため、定格温度を通常回転時よりも低い温度に切り替えることが考えられる。具体的には、Duty比調整部30は、各素子についてロック時用及び通常回転時用の2種類の定格温度を記憶しており、S21でYESの場合、S25でロック時用の定格温度を使用し、S26で通常回転時用の定格温度を使用する。これにより、ロック時に電流集中する素子を過熱から適切に保護することができる。
(その他の実施形態)
(a)第3、第4実施形態による振幅係数乗算方式や振幅制限方式ではトルクリップルが発生するのに対し、図19に、特定の位相範囲を除く電気角一周期での平均トルクを維持可能な相ごとの配分方式を示す。この方式は、効率の低下が許容されることを前提とするものであり、U軸電流振幅を制限した位相範囲、すなわち、図19の例では電気角90°前後及び270°前後の位相範囲で敢えてd軸電圧Vdを印加し、V相電流Iv及びW相電流Iwの絶対値を増加させる。
詳しい算出手順の例は以下のようである。まず、制御演算部20は、一相のみに電流が流れたと仮定したときの発生トルク(≒q軸電圧)とモータ位置との関係をマップとして持っておく。そして、制御演算部20は、U相電流Iuを調整前の電流指令値から減じた電流分を、V相電流Iv、W相電流Iwからも減ずる。このとき、例えば上記マップから求まる発生トルクの比で電流が分配されてもよい。次に制御演算部20は、「Iv+Iw=0」となるV相電流Iv、W相電流Iwを加算することにより、この時点の電流で不足するトルクを補う。ただし、特定の位相(図19の例では電気角90°及び270°)では、「Iv+Iw=0」の関係でV相電流Iv、W相電流Iwを変化させてもトルクが変化しないため、その動作点ではトルクを維持できない
このように図19の方式では、特定の位相範囲を除いて出力トルクの低下を防ぎつつ、U相電流Iuを低減し、U相素子61、64の発熱を低減することができる。ただし背反として、V相、W相の発熱は著しく増加する。例えば、第4実施形態のS22でYESの場合に、振幅係数乗算方式による相ごとのDuty比調整を中止し、この方法を適用してもよい。
(b)図1の構成例とは逆に、上アーム素子61、62、63と電源線Lpとの間にシャント抵抗が接続されてもよい。その場合、上アーム素子61、62、63が「シャント抵抗側インバータ素子」に相当し、下アーム素子64、65、66が「反シャント抵抗側インバータ素子」に相当する。また、三相インバータにおいて、シャント抵抗が二相に設けられ、他の一相の電流はキルヒホッフの法則により推定されてもよい。一般にN相インバータでは、(N-1)相以上にシャント抵抗が設けられればよい。
(c)シャント抵抗を設けず、他の種類の電流検出器が設けられてもよい。電流検出器は、インバータとモータとの間の経路に設けられてもよい。また、周辺素子として、上記実施形態に記載したダイオード、コンデンサ、IC、チップ素子等の他、熱の授受に影響するどのような素子がインバータ60と同一の基板に搭載されてもよい。
(d)制御演算部20は、図2に示す速度制御系の構成に限らず、トルク制御系、位置制御系等の構成でもよい。また、制御演算部20は、回転角センサ85によりモータ80の回転角を検出する構成の他、拡張誘起電圧等を用いてセンサレスで回転角を推定してもよい。
(e)通電により素子温度が上昇し余裕度が低下したとき、本実施形態によるDuty比調整と共に、単にモータ出力を低下させることにより発熱を低減する処理や、スイッチング周波数を低下させることにより発熱を低減する処理等を併用してもよい。例えば素子温度推定部31による推定温度が閾値以上となったとき、通電を停止するようにしてもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
本開示に記載の制御演算部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御演算部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御演算部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
200・・・モータ制御装置、
27 ・・・電流制御器(電圧指令演算部)、
29 ・・・PWM変調器、 30 ・・・Duty比調整部、
40 ・・・基板、
54、55、56・・・シャント抵抗(電流検出器、周辺素子)、
57 ・・・(上部エリア)周辺素子、
58 ・・・(U相エリア)周辺素子、
60 ・・・インバータ、
61、62、63・・・上アーム素子、 64、65、66・・・下アーム素子、
80 ・・・(三相)モータ(多相モータ)。

Claims (15)

  1. 多相モータ(80)の駆動を制御するモータ制御装置であって、
    多相の上アーム素子(61、62、63)及び下アーム素子(64、65、66)からなる複数のインバータ素子がブリッジ接続されたインバータ(60)と、
    前記インバータと同一の基板(40)に搭載されており、自身の温度上昇が前記インバータ素子の温度に影響を与える複数の周辺素子(54-58)と、
    前記複数の周辺素子の一部である複数の電流検出器(54、55、56)が検出した相電流検出値に基づいて、前記多相モータに印加する電圧指令を演算する電圧指令演算部(27)と、
    前記電圧指令から換算された各相のDuty比とキャリアとを比較するPWM制御により、前記インバータのスイッチング周期における前記上アーム素子及び前記下アーム素子の通電時間配分を決定するPWM変調器(29)と、
    前記PWM制御における各相のDuty比を調整するDuty比調整部(30)と、
    を備え、
    各素子の定格温度から推定温度を減じた温度差分を余裕度と定義すると、
    前記インバータの通電に関するいずれかの検出値に基づき、又は、設計予測に基づき、少なくとも一相の前記上アーム素子と前記下アーム素子との間での前記余裕度の差、又は、複数相の前記インバータ素子の相間での前記余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき、
    前記Duty比調整部は、前記余裕度が相対的に小さい前記インバータ素子の温度上昇を抑制し、前記余裕度の差を低減するように、各相のDuty比を調整するモータ制御装置。
  2. 少なくとも一相の前記上アーム素子と前記下アーム素子との間での前記余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき、
    前記Duty比調整部は、各相のDuty比を共通のオフセット量によりオフセットさせる請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 多相モータ(80)の駆動を制御するモータ制御装置であって、
    多相の上アーム素子(61、62、63)及び下アーム素子(64、65、66)からなる複数のインバータ素子がブリッジ接続されたインバータ(60)と、
    前記インバータと同一の基板(40)に搭載されており、前記インバータ素子の発熱の影響を受けて温度上昇する複数の周辺素子(54-58)と、
    前記複数の周辺素子の一部である複数の電流検出器(54、55、56)が検出した相電流検出値に基づいて、前記多相モータに印加する電圧指令を演算する電圧指令演算部(27)と、
    前記電圧指令から換算された各相のDuty比とキャリアとを比較するPWM制御により、前記インバータのスイッチング周期における前記上アーム素子及び前記下アーム素子の通電時間配分を決定するPWM変調器(29)と、
    前記PWM制御における各相のDuty比を調整するDuty比調整部(30)と、
    を備え、
    各素子の定格温度から推定温度を減じた温度差分を余裕度と定義すると、
    前記インバータの通電に関するいずれかの検出値に基づき、又は、設計予測に基づき、いずれかの前記周辺素子といずれかの前記インバータ素子との間、又は、複数の前記周辺素子同士の間での前記余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき、
    前記Duty比調整部は、前記余裕度が相対的に小さい前記周辺素子もしくは前記インバータ素子の温度上昇を抑制し、前記余裕度の差を低減するように、各相のDuty比を調整するモータ制御装置。
  4. 前記上アーム素子と前記下アーム素子とを比較したとき、前記上アーム素子側に配置され前記上アーム素子の発熱の影響をより大きく受ける前記周辺素子を上部エリア周辺素子と定義し、前記下アーム素子側に配置され前記下アーム素子の発熱の影響をより大きく受ける前記周辺素子を下部エリア周辺素子と定義すると、
    前記上部エリア周辺素子もしくは前記下部エリア周辺素子といずれかの前記インバータ素子との間、又は、前記上部エリア周辺素子と前記下部エリア周辺素子との間での前記余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき、
    前記Duty比調整部は、各相のDuty比を共通のオフセット量によりオフセットさせる請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 複数相の前記インバータ素子の相間での前記余裕度の差、又は、相ごとのエリアに対応して前記インバータ素子の発熱の影響を受ける前記周辺素子同士での前記余裕度の差が余裕度差閾値以上であると認められるとき、
    前記Duty比調整部は、前記インバータ素子又は対応する前記周辺素子の前記余裕度が相対的に小さい相を発熱低減相として選択し、前記発熱低減相の発熱を低減するように、相ごとにDuty比を調整する請求項1~4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記Duty比調整部は、前記多相モータの電気角一周期の平均出力トルクを維持するように、各相のDuty比を調整する請求項5に記載のモータ制御装置。
  7. 前記Duty比調整部は、前記発熱低減相の電流振幅ピークの絶対値を低減するように、電気角に応じて変化し且つ電気角一周期での平均が1である振幅係数を、前記発熱低減相の調整前のDuty比に乗じて調整後のDuty比を演算する請求項6に記載のモータ制御装置。
  8. 前記多相モータの回転速度が速度閾値未満のとき、ロック時であると判定するロック判定部(32)をさらに備え、
    前記Duty比調整部は、前記ロック時に、前記多相モータの電気角一周期の平均出力トルクを維持する相ごとのDuty比の調整を中止する請求項6または7に記載のモータ制御装置。
  9. 前記Duty比調整部は、前記発熱低減相の電流振幅の絶対値の上限を制限し、さらに全相の電流和が0になるように前記発熱低減相以外の相の電流振幅を調整して調整後のDuty比を演算する請求項5に記載のモータ制御装置。
  10. 前記余裕度の差が比較される前記インバータ素子又は前記周辺素子のうち少なくとも一組の素子同士は、互いに定格温度が異なっている請求項1~9のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  11. 前記Duty比調整部は、キャリアの最小値から最大値までの範囲に入るように、各相のDuty比を調整する請求項1~10のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  12. 前記Duty比調整部は、前記インバータ素子のON時間のパルス幅が電流検出に必要な最小パルス幅以上となるように、各相のDuty比を調整する請求項1~11のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  13. 一つ以上の温度検出器(71、74)が検出した前記インバータ素子もしくは前記周辺素子の温度検出値、又は、前記インバータの通電に関する温度以外の検出値に基づいて前記インバータ素子もしくは前記周辺素子の温度を推定する素子温度推定部(31)をさらに備える請求項1~12のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  14. 前記上アーム素子と電源線との間、又は、前記下アーム素子とグランド線との間に、前記電流検出器としてのシャント抵抗(54、55、56)が接続されている請求項1~13のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  15. 前記上アーム素子及び前記下アーム素子のうち前記シャント抵抗が接続された側のインバータ素子をシャント抵抗側インバータ素子とし、前記シャント抵抗側インバータ素子とは反対側のインバータ素子を反シャント抵抗側インバータ素子とすると、
    一相以上の前記シャント抵抗側インバータ素子の温度を検出するシャント抵抗側温度検出器(74)、及び、一相以上の前記反シャント抵抗側インバータ素子の温度を検出する反シャント抵抗側温度検出器(71)を備える請求項14に記載のモータ制御装置。
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