JP6416414B2 - 交流回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数相の巻線を複数組設けたステータと永久磁石を設けたロータとを有する交流回転機の制御装置に関するものである。
電気自動車やハイブリッド自動車といった電動車両に搭載され、交流回転機と接続される電力変換器(インバータ)は、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換して交流回転機を駆動したり、交流回転機の発生する交流電力を直流電力に変換して直流電源を充電したりする電力変換機能を有している。
こうした電力変換機能を実現するために、電力変換器にはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)といったスイッチング素子が一般的に使用されている。電力変換器は、スイッチング素子のオン状態とオフ状態を適切に切り替えることで電力変換を行っている。
スイッチング素子が故障し、オン状態のまま(短絡故障)、又はオフ状態のまま(開放故障)となった場合には、正規の状態で電力変換を行うことは困難となり、そのままでは意図しないトルクの発生や意図しない充電が行われてしまう。
スイッチング素子の故障時でも継続して交流回転機の駆動を行う技術として、例えば、下記の特許文献1の技術が開示されている。特許文献1の技術では、スイッチング素子の短絡故障又は開放故障を検出した場合に、故障した組の電力変換器について、各相の同電位側のスイッチング素子を故障と同じ状態に設定すると共に、故障していない組の電力変換器について、スイッチング素子のオンオフ制御を継続するように構成されている。
国際公開第2013/125057号
しかしながら、故障した組では、ブレーキトルク等の故障した組の巻線に関わる交流回転機の状態が、望ましくない状態になる場合がある。特許文献1の技術では、故障していない組のスイッチング素子のオンオフ制御において、故障した組の巻線に関わる交流回転機の状態は考慮されていない。
そこで、故障した組の巻線に関わる交流回転機の状態を考慮して、故障していない組のスイッチング素子のオンオフ制御を行うことができる交流回転機の制御装置が望まれる。
本発明に係る交流回転機の制御装置は、n相(nは2以上の自然数)の巻線をm組(mは2以上の自然数)設けたステータと永久磁石を設けたロータとを有する交流回転機の制御装置であって、直流電源の正極側に接続される正極側のスイッチング素子と前記直流電源の負極側に接続される負極側のスイッチング素子とが直列接続され、直列接続の接続点が対応する相の前記巻線に接続される直列回路を、前記n相各相に対応してnセット設けた、前記m組の電力変換器と、各組について、前記永久磁石のN極の向きに定めたd軸及び前記d軸より電気角で90°進んだ方向に定めたq軸からなるdq軸の回転座標系上で、前記巻線に流れる電流を制御するdq軸電流制御を実行して、前記スイッチング素子のそれぞれをオンオフ制御するスイッチング制御部と、前記スイッチング素子のそれぞれの短絡及び開放の故障を検出する故障検出部と、前記スイッチング素子が故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態を検出する運転状態検出部と、を備え、前記スイッチング制御部は、前記故障検出部により前記スイッチング素子の故障が検出された場合に、前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組については、前記dq軸電流制御による前記スイッチング素子のオンオフ制御を停止し、少なくとも、故障した前記スイッチング素子と同じ正極側又は負極側の各相の前記スイッチング素子を、短絡故障の場合はオンにさせ、開放故障の場合はオフにさせ、前記スイッチング素子が故障していない前記電力変換器の組については、前記dq軸電流制御による前記スイッチング素子のオンオフ制御を継続すると共に、前記運転状態検出部により検出した故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態に応じて、前記d軸の電流成分を変化させ
前記故障検出部により正極側の前記スイッチング素子の短絡故障又は負極側の前記スイッチング素子の開放故障が検出された場合に、
前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組について、各相の正極側の前記スイッチング素子をオンさせると共に各相の負極側の前記スイッチング素子をオフさせ、
前記故障検出部により正極側の前記スイッチング素子の開放故障又は負極側の前記スイッチング素子の短絡故障が検出された場合に、
前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組について、各相の正極側の前記スイッチング素子をオフさせると共に各相の負極側の前記スイッチング素子をオンさせ、
前記運転状態検出部は、故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態として、故障した組の前記巻線により生じるブレーキトルクを検出し、
前記スイッチング制御部は、
前記スイッチング素子が故障していない前記電力変換器の組について、前記運転状態検出部により検出した前記ブレーキトルクの大きさが減少するように、前記d軸の電流成分を負方向に増加させるものである。

スイッチング素子が故障した電力変換器の組が制御するn相巻線により、交流回転機に望ましくないトルク変動が発生することを抑制できる。一方、スイッチング素子が故障していない電力変換器の組が制御するn相巻線により、通常通り、交流回転機にトルクを発生させることができる。この際、故障していない組のn相巻線に係るd軸の電流成分を変化させることにより、永久磁石の磁束が存在するd軸方向の磁束を変化させることができる。すなわち、見かけ上、永久磁石によるd軸方向の鎖交磁束を変化させることができる。このd軸方向の鎖交磁束の変化は、故障した組のn相巻線にも作用する。d軸の電流成分は、故障した組のn相巻線に関わる交流回転機の状態に応じて変化されるため、故障した組のn相巻線に関わる交流回転機の状態を適切に変化させることができる。よって、スイッチング素子が故障した場合でも、適切に交流回転機を駆動することができる。
本発明の実施の形態1に係る交流回転機及び制御装置の概略構成図である。 本発明の実施の形態1に係る制御器のハードウェア構成図である。 本発明の実施の形態1に係る交流回転機の制御装置のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る交流回転機の制御装置の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る交流回転機の制御装置の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る交流回転機の制御装置の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態4に係る交流回転機の制御装置の処理を示すフローチャートである。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る交流回転機2の制御装置1(以下、単に制御装置1と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る交流回転機2及び制御装置1の概略構成図である。
交流回転機2は、n相(nは2以上の自然数)の巻線をm組(mは2以上の自然数)設けたステータと、永久磁石を設けたロータと、を有する永久磁石同期交流回転機とされている。交流回転機2は、非回転部材に固定された1つのステータと、当該ステータの径方向内側に配置され、非回転部材に対して回転可能に支持された1つのロータと、を備えている。1つのステータに、m組のn相巻線が設けられており、1つのロータに、単数又は複数の極対数の永久磁石が設けられている。1つのステータに設けられたm組のn相巻線の各組が作り出す回転磁界は、1つのロータに設けられた単数又は複数の極対数の永久磁石に作用し、1つのロータに設けられた単数又は複数の極対数の永久磁石が作り出す磁界は、1つのステータに設けられたm組のn相巻線の各組に作用する。
本実施の形態は、n=3、m=2とされており、1つのステータに、3相の巻線が2組設けられている。第1組の3相巻線は、U相巻線Cu、V相巻線Cv、W相巻線Cwから構成される。第2組の3相巻線は、U相巻線Cu、V相巻線Cv、W相巻線Cwから構成される。各組の3相巻線Cu、Cv、Cwは、スター結線とされている。なお、3相巻線は、デルタ結線とされてもよい。
制御装置1は、複数のスイッチング素子を有し、直流電源4と3相巻線との間で直流交流変換を行う電力変換器10を備えている。電力変換器10は、3相巻線の各組に1つずつ、合計2組設けられている。各組の電力変換器10は、直流電源4の正極に接続される正極側電線11と、直流電源4の負極に接続される負極側電線12と、を備えている。各組の電力変換器10は、直流電源4の正極側(正極側電線11)に接続される正極側のスイッチング素子3H(上アーム)と直流電源4の負極側(負極側電線12)に接続される負極側のスイッチング素子3L(下アーム)とが直列接続された直列回路(レッグ)を、3相各相の巻線に対応して3セット設けている。すなわち、各組の電力変換器10は、3つの正極側のスイッチング素子3HU、3HV、3HWと、3つの負極側のスイッチング素子3LU、3LV、3LWとの、合計6つのスイッチング素子を備えている。そして、正極側のスイッチング素子3Hと負極側のスイッチング素子3Lとが直列接続されている接続点が、対応する相の巻線に接続されている。
具体的には、各相の直列回路において、正極側のスイッチング素子3Hのコレクタ端子は、正極側電線11に接続され、正極側のスイッチング素子3Hのエミッタ端子は、負極側のスイッチング素子3Lのコレクタ端子に接続され、負極側のスイッチング素子3Lのエミッタ端子は、負極側電線12に接続されている。正極側のスイッチング素子3Hと負極側のスイッチング素子3Lとの接続点は、対応する相の巻線に接続される。スイッチング素子には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等が用いられる。電力変換器10は、各スイッチング素子に逆並列接続されたフリーホイールダイオード5を備えている。
各組の電力変換器10は、スイッチング素子を駆動するゲート駆動回路16を備えている。ゲート駆動回路16は、各スイッチング素子の制御端子であるゲート端子に接続されている(不図示)。ゲート駆動回路16は、制御器30からフォトカプラ等を介して伝達された制御信号に応じて、各スイッチング素子に対してオン電圧信号又はオフ電圧信号を出力して、各スイッチング素子をオン状態又はオフ状態にさせる。
各組の電力変換器10は、各巻線に流れる電流を検出するための電流センサ14を備えている。電流センサ14は、スイッチング素子の直列回路と巻線とをつなぐ各相の電線上に備えられている。電力変換器10は、正極側電線11と負極側電線12との間に接続された平滑コンデンサ13を備えている。電力変換器10は、正極側電線11及び負極側電線12との間の電圧(システム電圧)を検出するための電圧センサ15を備えている。交流回転機2は、ロータの回転角速度及び回転角度(磁極位置)を検出するためのレゾルバ等の回転速度センサ6を備えている。また、交流回転機2は、各組の巻線の温度を検出するための巻線温度センサ7を備えている。
直流電源4には、充放電可能な蓄電装置(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシタ)が用いられる。なお、直流電源4には、直流電圧を昇圧したり降圧したりする直流電力変換器であるDC−DCコンバータが設けられてもよい。直流電源4には、直流電源4に流れる電流を検出するための電源電流センサ8が備えられている。これら電流センサ14、電圧センサ15、回転速度センサ6、巻線温度センサ7、及び電源電流センサ8等の各種センサの出力信号は、制御器30に入力される。
制御装置1は、2組の電力変換器10を制御することにより、交流回転機2を制御する制御器30を備えている。制御器30は、後述するスイッチング制御部31、故障検出部32、及び運転状態検出部33等の機能部を備えている。制御器30の各機能は、制御器30が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御器30は、図2に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、及び演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93等を備えている。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)や、演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、電流センサ14等の各種のセンサやスイッチが接続され、これらセンサやスイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、ゲート駆動回路16等の電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。本実施の形態では、入力回路92には、電流センサ14、電圧センサ15、回転速度センサ6、巻線温度センサ7、及び電源電流センサ8等が接続されている。出力回路93には、電力変換器10(ゲート駆動回路16)等が接続されている。
そして、制御器30が備える各制御部31〜33等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置1の他のハードウェアと協働することにより実現される。
以下、制御器30の各機能について詳細に説明する。
運転状態検出部33は、各組について、電流センサ14の出力信号に基づいて、電力変換器10から交流回転機2の各相の巻線Cu、Cv、Cwに流れる電流Iu、Iv、Iwを検出する。運転状態検出部33は、回転速度センサ6の出力信号に基づいて、ロータの回転角速度及び回転角度(磁極位置)を検出する。運転状態検出部33は、電圧センサ15の出力信号に基づいて、入力電圧(システム電圧)を検出する。
スイッチング制御部31は、各組について、dq軸の回転座標系上で、巻線に流れる電流を制御するdq軸電流制御を実行して、スイッチング素子のそれぞれをオンオフ制御するdq軸電流制御部35を備えている。dq軸の回転座標系は、ロータに設けられた永久磁石のN極の向き(磁極位置)に定めたd軸、及びd軸より電気角で90°(π/2)進んだ方向に定めたq軸からなる、ロータの電気角での回転に同期して回転する2軸の回転座標系である。
本実施の形態では、図3のブロック図に示すように、dq軸電流制御部35は、各組について、基本電流指令算出部40、電流フィードバック制御部41、電圧座標変換部42、PWM信号生成部43、及び電流座標変換部44等を備えている。
基本電流指令算出部40は、各組の3相巻線Cu、Cv、Cwに流す電流の基本指令値をdq軸の回転座標系で表したd軸基本電流指令値Idcb及びq軸基本電流指令値Iqcbを算出する。例えば、基本電流指令算出部40は、目標トルクを交流回転機2に出力させるようなd軸基本電流指令値Idcb及びq軸基本電流指令値Iqcbを算出する。基本電流指令算出部40は、最大トルク電流制御、弱め磁束制御、Id=0制御、及び最大トルク磁束制御などの電流ベクトル制御方法に従って、dq軸基本電流指令値Idcb、Iqcbを演算する。最大トルク電流制御では、同一電流に対して発生トルクを最大にするようなdq軸基本電流指令値Idcb、Iqcbを算出する。弱め磁束制御では、目標トルクに応じて、定誘起電圧楕円上を、dq軸基本電流指令値Idcb、Iqcbを移動させる。Id=0制御では、d軸基本電流指令値Idcbを0に設定し、目標トルク等に応じて、q軸基本電流指令値Iqcbを変化させる。最大トルク磁束制御では、同一トルク発生時に鎖交磁束が最小となるようなdq軸基本電流指令値Idcb、Iqcbを算出する。
いずれの組のスイッチング素子にも故障が発生していない正常な場合には、dq軸基本電流指令値Idcb、Iqcbは、dq軸電流指令値Idc、Iqcとして、そのまま電流フィードバック制御部41に入力される。一方、本組のスイッチング素子には故障が発生していないが、他の組のスイッチング素子に故障が発生しているため、d軸電流補正部45によりd軸の電流成分を変化させる場合は、d軸基本電流指令値Idcbを、d軸電流補正部45により変化させた後のd軸電流指令値Idcが電流フィードバック制御部41に入力される。
電流座標変換部44は、運転状態検出部33により検出した各相の巻線に流れる3相電流Iu、Iv、Iwを、磁極位置に基づいて3相2相変換及び回転座標変換を行って、dq軸回転座標系で表したd軸電流Id及びq軸電流Iqに変換する。電流フィードバック制御部41は、dq軸電流Id、Iqが、dq軸電流指令値Idc、Iqcに近づくように、交流回転機2に印加する電圧の指令信号をdq軸回転座標系で表したd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqを、PI制御等により変化させる電流フィードバック制御を行う。その後、電圧座標変換部42は、dq軸電圧指令値Vd、Vqを、磁極位置に基づいて、固定座標変換及び2相3相変換を行って、3相各相の巻線への交流電圧指令値である3相交流電圧指令値Vu、Vv、Vwに変換する。
PWM信号生成部43は、3相交流電圧指令値Vu、Vv、Vwのそれぞれと、システム電圧の振動幅を有し、キャリア周波数で振動するキャリア波(三角波)とを比較し、交流電圧指令値がキャリア波を上回った場合は、矩形パルス波をオンさせ、交流電圧指令値がキャリア波を下回った場合は、矩形パルス波をオフさせる。PWM信号生成部43は、3相各相の矩形パルス波を、3相各相のインバータ制御信号Su、Sv、Swとして電力変換器10に出力する。
故障検出部32は、各組の電力変換器10について、スイッチング素子のそれぞれの短絡及び開放の故障を検出する。本実施の形態では、故障検出部32は、各組について、電流センサ14により検出した各相の巻線に流れる電流Iu、Iv、Iwと、各スイッチング素子をオン又はオフさせるインバータ制御信号Su、Sv、Swの設定値と、に基づいて、故障を判定するように構成されている。故障検出部32は、スイッチング素子にオン信号を指令しているにもかかわらず、当該スイッチング素子に電流が流れていないと判定できる場合は、スイッチング素子が開放故障していると判定する。一方、故障検出部32は、スイッチング素子にオフ信号を指令しているにもかかわらず、当該スイッチング素子に電流が流れていると判定できる場合は、スイッチング素子が短絡故障していると判定する。例えば、故障検出部32は、各相のインバータ制御信号Su、Sv、Swのオンオフ設定値と、各スイッチング素子が短絡故障又は開放故障している場合の各相の電流Iu、Iv、Iwとの関係が予め記憶された故障パターンと、実際のインバータ制御信号Su、Sv、Swのオンオフ設定値及び実際の各相の電流Iu、Iv、Iwと、を比較することにより、故障を判定する。
或いは、各スイッチング素子に電流センサが備えられており、故障検出部32は、各スイッチング素子のオン又はオフ信号の設定値と、電流センサにより検出した各スイッチング素子を流れる電流値と、に基づいて、故障を判定するように構成されてもよい。
運転状態検出部33は、スイッチング素子が故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態を検出するように構成されている。そして、スイッチング制御部31は、故障検出部32によりスイッチング素子の故障が検出された場合に、スイッチング素子が故障した電力変換器10の組については、dq軸電流制御によるスイッチング素子のオンオフ制御を停止し、少なくとも、故障したスイッチング素子と同じ正極側又は負極側の各相のスイッチング素子を、短絡故障の場合はオンにさせ、開放故障の場合はオフにさせる故障オンオフ制御を実行する。また、スイッチング制御部31は、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組については、dq軸電流制御によるスイッチング素子のオンオフ制御を継続すると共に、運転状態検出部33により検出した故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態に応じて、d軸の電流成分を変化させるd軸電流補正を実行する。
この構成によれば、スイッチング素子が故障した電力変換器10の組が制御する3相巻線により、交流回転機2にトルク脈動等のトルク変動が発生することを抑制できる。一方、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組が制御する3相巻線により、通常通り、交流回転機2にトルクを発生させることができる。この際、故障していない組の3相巻線に係るd軸の電流成分を変化させることにより、永久磁石の磁束が存在するd軸方向の磁束を変化させることができる。すなわち、見かけ上、永久磁石によるd軸方向の鎖交磁束を変化させることができる。このd軸方向の鎖交磁束の変化は、故障した組の3相巻線にも作用する。上記の構成によれば、d軸の電流成分は、故障した組の3相巻線に関わる交流回転機2の状態に応じて変化されるため、故障した組の3相巻線に関わる交流回転機2の状態を適切に変化させることができる。よって、スイッチング素子が故障した場合でも、適切に交流回転機2を駆動することができる。
本実施の形態では、スイッチング制御部31は、図3のブロック図に示すように、スイッチング素子が故障した組については、dq軸電流制御部35がdq軸電流制御を実行することによるスイッチング素子のオンオフ制御から、故障オンオフ制御部36が故障オンオフ制御を実行することによるスイッチング素子のオンオフ制御に切り替えるように構成されている。一方、スイッチング素子が故障していない組については、dq軸電流制御部35がdq軸電流制御を実行することによるスイッチング素子のオンオフ制御を継続すると共に、d軸電流補正部45がd軸電流補正を実行することにより、d軸基本電流指令値Idcbを補正するように構成されている。d軸電流補正部45は、d軸電流補正値ΔIdcを算出し、d軸電流補正値ΔIdcにより、基本電流指令算出部40により算出されたd軸基本電流指令値Idcbを補正する(Idc=Idcb+ΔIdc)。
ところで、永久磁石同期交流回転機では、ロータが回転すると、ロータに取り付けられた永久磁石により、故障した組の巻線にも誘起電圧が発生する。この誘起電圧Vindは、ロータの電気角速度をω[rad/s]とし、永久磁石による鎖交磁束をΦa[Wb]とすると、式(1)のように表せる。
Vind=ω×Φa ・・・(1)
式(1)からロータの電気角速度ωが増加するに従って、故障した組の巻線に生じる誘起電圧Vindも増加することがわかる。巻線から電力変換器10に印加される誘起電圧Vindが増加し過ぎると、スイッチング素子の耐圧限界を超えるおそれがあり、好ましくない。
本実施の形態では、故障オンオフ制御部36は、故障検出部32により正極側のスイッチング素子の短絡故障又は負極側のスイッチング素子の開放故障が検出された場合に、スイッチング素子が故障した電力変換器10の組について、各相の正極側のスイッチング素子をオンさせると共に各相の負極側のスイッチング素子をオフさせる故障オンオフ制御を実行するように構成されている。
この構成によれば、正極側のスイッチング素子の短絡故障が発生した場合には、3相全ての正極側のスイッチング素子が、短絡故障が発生した状態と同様のオン状態にされると共に、3相全ての負極側のスイッチング素子が、オフ状態にされる。一方、負極側のスイッチング素子の開放故障が発生した場合には、3相全ての正極側のスイッチング素子が、オン状態にされると共に、3相全ての負極側のスイッチング素子が、開放故障が発生した状態と同様のオフ状態にされる。
よって、正極側のスイッチング素子の短絡故障又は負極側のスイッチング素子の開放故障が発生した場合は、3相全ての正極側のスイッチング素子がオン状態とされ、3相全ての負極側のスイッチング素子がオフ状態とされる。この3相の正極側全オン状態及び負極側全オフ状態になると、故障した組の電力変換器10と巻線との間で電流が還流し、巻線から電力変換器10に印加される誘起電圧を低下させることができる。よって、ロータの電気角速度の増加に対して、誘起電圧の増加を抑制することができ、印加電圧がスイッチング素子の耐圧を超えることを抑制できる。
一方で、3相の正極側全オン状態及び負極側全オフ状態では、故障した組の巻線に還流電流が流れるため、ロータに負のトルクとなるブレーキトルクが発生する。交流回転機2のトルクTは、dq軸回転座標系において、式(2)のように表せる。
T=Pn×Φa×Iq+Pn×(Ld−Lq)×Id×Iq・・(2)
ここで、Pnは、永久磁石の極対数であり、Ldは、d軸インダクタンスであり、Lqは、q軸インダクタンスである。一般的に、Ld、Lqは、Id、Iqに比較して十分に小さいため、式(2)の第1項、すなわちq軸電流Iqが支配的になる。
また、dq軸回転座標系における電圧と電流の関係式は、式(3)及び式(4)のように表せる。
Vd=Ra×Id−ω×Lq×Iq ・・・(3)
Vq=Ra×Iq+ω×(Ld×Id+Φa) ・・・(4)
ここで、Vdは、d軸電圧であり、Vqは、q軸電圧であり、Raは、1相あたりの巻線の抵抗である。
3相の正極側全オン状態及び負極側全オフ状態の場合は、Vd=0、Vq=0になるため、その時のId、Iqは、式(3)及び式(4)から、式(5)及び式(6)のように導出される。
Id=−(Φa×ω×Lq)/(Ra+ω×Ld×Lq)・・(5)
Iq=−(Φa×ω×Ra)/(Ra+ω×Ld×Lq)・・(6)
前述のとおり、3相の正極側全オン状態及び負極側全オフ状態の場合は、q軸電流Iqが支配的であるため、式(6)で表せる、故障した組の巻線を流れるq軸電流Iqの大きさ(絶対値)を減少させることで、故障した組の巻線によるブレーキトルクの大きさ(絶対値)を減少させることができる。
ところで、故障していない組の巻線を流れるd軸電流Idを負方向に増加させると、見かけ上、永久磁石による鎖交磁束Φaを減少させることができる。鎖交磁束Φaを減少させると、式(6)から、故障した組の巻線を流れるq軸電流Iqの大きさを減少させることができ、ブレーキトルクの大きさを減少させることができる。
そこで、運転状態検出部33は、故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態として、故障した組の巻線によりロータに生じるブレーキトルクを検出するように構成されている。そして、d軸電流補正部45は、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組について、運転状態検出部33により検出したブレーキトルクの大きさ(絶対値)が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を行うように構成されている。ここで、「d軸の電流成分を負方向に増加させる」とは、d軸の電流成分を減少させることを意味する。
この構成によれば、故障していない組の巻線を流れるd軸の電流成分を負方向に増加させて、見かけ上、永久磁石による鎖交磁束Φaを減少させ、故障した組の巻線によるブレーキトルクを適切に減少させることができる。
d軸電流補正部45による補正後のd軸電流指令値Idcは、基本電流指令算出部40により算出されたd軸基本電流指令値Idcbよりも負方向に増加する。すなわち、d軸基本電流指令値Idcbを補正するd軸電流補正値ΔIdcが負の値になる。
運転状態検出部33は、故障していない組のd軸電流Idrにより、見かけ上、減磁された後の永久磁石による鎖交磁束(Φa+Ldr×Idr)と、故障している組のq軸電流Iqfとに基づき、式(7)を用いて、故障した組の巻線により生じるブレーキトルクTfを算出する。ここで、Ldrは、故障していない組の巻線のd軸インダクタンスである。
Tf=Pn×(Φa+Ldr×Idr)×Iqf ・・・(7)
d軸電流補正部45は、ブレーキトルクTfの大きさ(絶対値)が予め定めた上限トルク値以下になるように、故障していない組のd軸の電流成分を負方向に増加させるように構成されている。d軸電流補正部45は、ブレーキトルクTfの大きさ(絶対値)が、上限トルク値以下になるまで、d軸電流補正値ΔIdcを負方向に増加させる。なお、ロータの電気角速度ωに応じてq軸電流Iqfが変化し、q軸電流Iqfに応じてブレーキトルクTfが変化することに対応するため、d軸電流補正部45は、ブレーキトルクTfの大きさ(絶対値)が上限トルク値よりも小さくなった場合に、d軸電流補正値ΔIdcを正方向に増加させてもよい。d軸電流補正部45は、d軸電流補正値ΔIdcを0で上限制限する。この場合でも、d軸電流補正値ΔIdcは負の値となり、d軸電流補正部45は、d軸電流Idを、d軸基本電流指令値Idcbよりも負方向に増加させる。
故障時の制御装置1の処理の手順について、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。図4のフローチャートの処理は、制御器30の演算処理装置90が、記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行することにより、例えば一定の演算周期毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS01で、故障検出部32は、各組の電力変換器10について、スイッチング素子のそれぞれの短絡及び開放の故障を検出する故障検出処理を実行する。ステップS02で、故障検出部32は、正極側のスイッチング素子の短絡故障又は負極側のスイッチング素子の開放故障が検出されたか否かを判定する。故障検出部32は、正極側の短絡故障及び負極側の開放故障のいずれも検出しなかった場合(ステップS02:No)は、ステップS01に戻り、故障検出処理を継続する。
故障オンオフ制御部36は、正極側のスイッチング素子の短絡故障又は負極側のスイッチング素子の開放故障が検出された場合(ステップS02:Yes)は、ステップS03で、スイッチング素子が故障した電力変換器10の組について、各相の正極側のスイッチング素子をオンさせると共に各相の負極側のスイッチング素子をオフさせる故障オンオフ制御処理を実行する。
次に、ステップS04で、運転状態検出部33は、故障した組の巻線により生じるブレーキトルクを検出する処理を実行する。ステップS05で、d軸電流補正部45は、ブレーキトルクの大きさ(絶対値)が上限トルク値以下であるか否かを判定する。そして、d軸電流補正部45は、ブレーキトルクが上限トルク値以下でない場合(ステップS05:No)に、ステップS06で、故障していない組のd軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を実行した後、ステップS04に戻る。一方、d軸電流補正部45は、ブレーキトルクが上限トルク値以下である場合(ステップS05:Yes)に、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を終了する。
2.実施の形態2
次に、実施の形態2に係る制御装置1について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る交流回転機2及び制御装置1の基本的な構成及び処理は実施の形態1と同様であるが、スイッチング制御部31が対応するスイッチング素子の故障パターンと、故障判定時のスイッチング素子のオンオフパターンが異なる。
本実施の形態では、故障オンオフ制御部36は、故障検出部32により正極側のスイッチング素子の開放故障又は負極側のスイッチング素子の短絡故障が検出された場合に、スイッチング素子が故障した電力変換器10の組について、各相の正極側のスイッチング素子をオフさせると共に各相の負極側のスイッチング素子をオンさせる故障オンオフ制御を実行するように構成されている。
この構成によれば、正極側のスイッチング素子の開放故障が発生した場合には、3相全ての正極側のスイッチング素子が、開放故障が発生した状態と同様のオフ状態にされると共に、3相全ての負極側のスイッチング素子が、オン状態にされる。一方、負極側のスイッチング素子の短絡故障が発生した場合には、3相全ての正極側のスイッチング素子が、オフ状態にされると共に、3相全ての負極側のスイッチング素子が、短絡故障が発生した状態と同様のオン状態にされる。
よって、正極側のスイッチング素子の開放故障又は負極側のスイッチング素子の短絡故障が発生した場合は、3相全ての正極側のスイッチング素子がオフ状態にされ、3相全ての負極側のスイッチング素子をオン状態にされる。この3相の正極側全オフ状態及び負極側全オン状態になると、上記の実施の形態1の場合と同様に、故障した組の電力変換器10と巻線との間で電流が還流し、巻線から電力変換器10に印加される誘起電圧を低下させることができる。よって、ロータの電気角速度の増加に対して、誘起電圧の増加を抑制することができ、印加電圧がスイッチング素子の耐圧を超えることを抑制できる。
運転状態検出部33は、上記の実施の形態1と同様に、故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態として、故障した組の巻線により生じるブレーキトルクを検出するように構成されている。そして、d軸電流補正部45は、上記の実施の形態1と同様に、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組について、運転状態検出部33により検出したブレーキトルクの大きさ(絶対値)が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を行うように構成されている。
この構成によれば、上記の実施の形態1の場合と同様に、故障していない組の巻線を流れるd軸の電流成分を負方向に増加させて、見かけ上、永久磁石による鎖交磁束Φaを減少させ、故障した組の巻線によるブレーキトルクを適切に減少させることができる。
次に本実施の形態に係る図5のフローチャートについて説明する。まず、ステップS11で、故障検出部32は、各組の電力変換器10について、スイッチング素子のそれぞれの短絡及び開放の故障を検出する故障検出処理を実行する。ステップS12で、故障検出部32は、正極側のスイッチング素子の開放故障又は負極側のスイッチング素子の短絡故障が検出されたか否かを判定する。故障オンオフ制御部36は、正極側のスイッチング素子の開放故障又は負極側のスイッチング素子の短絡故障が検出された場合(ステップS12:Yes)は、ステップS13で、スイッチング素子が故障した電力変換器10の組について、各相の正極側のスイッチング素子をオフさせると共に各相の負極側のスイッチング素子をオンさせる故障オンオフ制御処理を実行する。
次に、ステップS14で、運転状態検出部33は、故障した組の巻線により生じるブレーキトルクを検出する処理を実行する。ステップS15で、d軸電流補正部45は、ブレーキトルクの大きさ(絶対値)が上限トルク値以下であるか否かを判定する。そして、d軸電流補正部45は、ブレーキトルクが上限トルク値以下でない場合(ステップS15:No)に、ステップS16で、故障していない組のd軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を実行した後、ステップS14に戻る。一方、d軸電流補正部45は、ブレーキトルクが上限トルク値以下である場合(ステップS15:Yes)に、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を終了する。
3.実施の形態3
次に、実施の形態3に係る制御装置1について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る交流回転機2及び制御装置1の基本的な構成及び処理は実施の形態1と同様であるが、スイッチング制御部31が対応するスイッチング素子の故障パターンと、故障判定時のスイッチング素子のオンオフパターンが異なる。
本実施の形態では、故障オンオフ制御部36は、同じ組の電力変換器10について、故障検出部32により正極側のスイッチング素子の開放故障及び負極側のスイッチング素子の開放故障が検出された場合に、スイッチング素子が故障した電力変換器10の組について、各相の正極側のスイッチング素子をオフさせると共に各相の負極側のスイッチング素子をオフさせる故障オンオフ制御を実行するように構成されている。ここで、開放故障が検出された正極側のスイッチング素子の相と、負極側のスイッチング素子の相とは、同じ相であってもよく、異なる相であってもよい。
正極側及び負極側のスイッチング素子の双方に開放故障が生じると、上記の実施の形態1及び2のように、正極側全オン状態及び負極側全オフ状態、又は正極側全オフ状態及び負極側全オン状態にすることができない。上記の構成によれば、同じ組の電力変換器10に、正極側及び負極側のスイッチング素子の双方に開放故障が生じた場合は、故障した組の全てのスイッチング素子をオフ状態にして、交流回転機2にトルク脈動等のトルク変動が発生することを防止できる。
一方、故障した組の全てのスイッチング素子がオフ状態になるため、故障した組の巻線には電流が流れない。よって、上記の実施の形態1及び2のように、電力変換器10と巻線との間で電流を還流させることにより、巻線から電力変換器10に印加される誘起電圧を低下させることができない。そのため、式(1)に示す通り、ロータの電気角速度ωが増加するに従って、誘起電圧が増加する。誘起電圧が、電源電圧よりも低い場合は、スイッチング素子が開放状態であるため電流が流れない。一方、誘起電圧が、電源電圧よりも高くなると、各スイッチング素子に逆並列接続されたフリーホイールダイオード5を通り、巻線側から直流電源側に電流が流れる。
そこで、本実施の形態では、運転状態検出部33は、故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態として、故障した組の巻線から直流電源4側に流れる充電電流を検出するように構成されている。そして、d軸電流補正部45は、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組について、運転状態検出部33により検出した充電電流が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を行うように構成されている。
故障していない組の巻線を流れるd軸電流Idを負方向に増加させると、見かけ上、永久磁石による鎖交磁束Φaを減少させることができる。鎖交磁束Φaを減少させると、式(1)から、故障した組の巻線に生じる誘起電圧を減少させることができ、充電電流を減少させることができる。よって、故障していない組のd軸の電流成分を負方向に増加させることにより、故障した組の誘起電圧による充電電流を適切に低下させることができる。
本実施の形態では、運転状態検出部33は、故障した組の電流センサ14により検出した電流値に基づいて、故障した組の巻線から直流電源4側に流れる充電電流を検出するように構成されている。d軸電流補正部45は、充電電流の大きさ(絶対値)が予め定めた上限電流値以下になるように、故障していない組のd軸の電流成分を負方向に増加させるように構成されている。d軸電流補正部45は、充電電流の大きさ(絶対値)が、上限電流値以下になるまで、d軸電流補正値ΔIdcを負方向に増加させる。なお、ロータの電気角速度ωに応じて誘起電圧が変化し、誘起電圧に応じて充電電流が変化することに対応するため、d軸電流補正部45は、充電電流の大きさ(絶対値)が上限電流値よりも小さくなった場合に、d軸電流補正値ΔIdcを正方向に増加させてもよい。d軸電流補正部45は、d軸電流補正値ΔIdcを0で上限制限する。この場合でも、d軸電流補正値ΔIdcは負の値となり、d軸電流補正部45は、d軸電流Idを、d軸基本電流指令値Idcbよりも負方向に増加させる。
d軸電流補正部45は、直流電源4の充電状態に応じて、上限電流値を変化させてもよい。例えば、d軸電流補正部45は、直流電源4に充電を行いたい場合は、上限電流値を増加させ、直流電源4に充電を行いたくない場合は、上限電流値を0に設定する。
次に本実施の形態に係る図6のフローチャートについて説明する。まず、ステップS21で、故障検出部32は、各組の電力変換器10について、スイッチング素子のそれぞれの短絡及び開放の故障を検出する故障検出処理を実行する。ステップS22で、故障検出部32は、同じ組の電力変換器10について、故障検出部32により正極側のスイッチング素子の開放故障及び負極側のスイッチング素子の開放故障が検出されたか否かを判定する。故障オンオフ制御部36は、正極側及び負極側のスイッチング素子の開放故障が検出された場合(ステップS22:Yes)は、ステップS23で、スイッチング素子が故障した電力変換器10の組について、各相の正極側のスイッチング素子をオフさせると共に各相の負極側のスイッチング素子をオフさせる故障オンオフ制御を実行する。
次に、ステップS24で、運転状態検出部33は、故障した組の巻線から直流電源4側に流れる充電電流を検出する処理を実行する。ステップS25で、d軸電流補正部45は、充電電流の大きさ(絶対値)が上限電流値以下であるか否かを判定する。そして、d軸電流補正部45は、充電電流が上限電流値以下でない場合(ステップS25:No)に、ステップS26で、故障していない組のd軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を実行した後、ステップS24に戻る。一方、d軸電流補正部45は、充電電流が上限電流値以下である場合(ステップS25:Yes)に、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を終了する。
4.実施の形態4
次に、実施の形態4に係る制御装置1について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る交流回転機2及び制御装置1の基本的な構成及び処理は実施の形態1と同様であるが、運転状態検出部33が検出する、故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態が異なる。
上記の実施の形態1と同様に、故障した組について、3相全ての正極側のスイッチング素子をオン状態とし、3相全ての負極側のスイッチング素子をオフ状態とした場合では、故障した組の巻線に還流電流が流れるため、ジュール熱が発生し、巻線の温度が上昇する。巻線の温度が上昇し、上限の温度を超えると、巻線が故障するおそれがある。
巻線の発熱量Wcは、式(8)に示すように、巻線に流れている電流Iaの2乗に比例する。
Wc=Ra×Ia ・・・(8)
巻線電流Iaは、式(9)で表され、d軸電流Id、q軸電流Iqが減少すると、巻線電流Iaは減少する。ここで、Ieは、各相に流れる電流の実効値である。
Ia=√3×Ie=√(Id+Iq) ・・・(9)
上記の実施の形態1で説明したように、故障していない組の巻線を流れるd軸電流Idを負方向に増加させると、見かけ上、永久磁石による鎖交磁束Φaを減少させることができる。鎖交磁束Φaを減少させると、故障した組の巻線を流れるq軸電流Iqの大きさを減少させることができる。よって、故障した組の巻線電流Iaを減少させることができ、故障した組の巻線の発熱量Wcを低減させることができる。
そこで、本実施の形態では、運転状態検出部33は、故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態として、故障した組の巻線の温度を検出するように構成されている。そして、d軸電流補正部45は、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組について、運転状態検出部33により検出した故障した組の巻線の温度が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を行うように構成されている。
この構成によれば、故障していない組の巻線を流れるd軸の電流成分を負方向に増加させて、見かけ上、永久磁石による鎖交磁束Φaを減少させ、故障した組の巻線電流を減少させることにより、故障した組の巻線の温度を適切に減少させることができる。
運転状態検出部33は、故障した組の巻線に設けられた巻線温度センサ7の出力信号に基づいて、故障した組の巻線温度を検出する。d軸電流補正部45は、故障した組の巻線温度が予め定めた上限温度値以下になるように、故障していない組のd軸の電流成分を負方向に増加させるように構成されている。d軸電流補正部45は、故障した組の巻線温度が、上限温度値以下になるまで、d軸電流補正値ΔIdcを負方向に増加させる。なお、ロータの電気角速度ωに応じてq軸電流Iqが変化し、q軸電流Iqに応じて巻線の発熱量が変化することに対応するため、d軸電流補正部45は、故障した組の巻線温度が、上限温度値よりも小さくなった場合に、d軸電流補正値ΔIdcを正方向に増加させてもよい。d軸電流補正部45は、d軸電流補正値ΔIdcを0で上限制限する。この場合でも、d軸電流補正値ΔIdcは負の値となり、d軸電流補正部45は、d軸電流Idを、d軸基本電流指令値Idcbよりも負方向に増加させる。
次に本実施の形態に係る図7のフローチャートについて説明する。まず、ステップS31で、故障検出部32は、各組の電力変換器10について、スイッチング素子のそれぞれの短絡及び開放の故障を検出する故障検出処理を実行する。ステップS32で、故障検出部32は、故障検出部32により正極側のスイッチング素子の短絡故障又は負極側のスイッチング素子の開放故障が検出されたか否かを判定する。故障オンオフ制御部36は、正極側のスイッチング素子の短絡故障又は負極側のスイッチング素子の開放故障が検出された場合(ステップS32:Yes)は、ステップS33で、スイッチング素子が故障した電力変換器10の組について、各相の正極側のスイッチング素子をオンさせると共に各相の負極側のスイッチング素子をオフさせる故障オンオフ制御処理を実行する。
次に、ステップS34で、運転状態検出部33は、故障した組の巻線温度を検出する処理を実行する。ステップS35で、d軸電流補正部45は、故障した組の巻線温度が上限温度値以下であるか否かを判定する。そして、d軸電流補正部45は、故障した組の巻線温度が上限温度値以下でない場合(ステップS35:No)に、ステップS36で、故障していない組のd軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を実行した後、ステップS34に戻る。一方、d軸電流補正部45は、故障した組の巻線温度が上限温度値以下である場合(ステップS35:Yes)に、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を終了する。
〔その他の実施の形態〕
最後に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する各実施の形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施の形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施の形態1から3においては、スイッチング制御部31が対応するスイッチング素子の故障パターン、及び故障判定時のスイッチング素子のオンオフパターンが異なる場合を、それぞれ異なる実施の形態として説明した。しかし、本発明の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、上記の実施の形態1から3が、任意に組み合わされた実施の形態とされ、複数のスイッチング素子の故障パターンに対応できるように構成されてもよい。例えば、実施の形態1と2が組み合わされて、正極側のスイッチング素子が開放故障又は短絡故障した場合、負極側のスイッチング素子が開放故障又は短絡故障した場合に対応できるようにされてもよく、実施の形態1から3が全て組み合わされて、更に、正極側及び負極側のスイッチング素子の開放故障した場合に対応できるようにされてもよい。
(2)上記の実施の形態4においては、スイッチング制御部31が対応するスイッチング素子の故障パターンと、故障判定時のスイッチング素子のオンオフパターンとが、実施の形態1と同様に構成され、故障した組の巻線の温度が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、スイッチング制御部31が対応するスイッチング素子の故障パターンと、故障判定時のスイッチング素子のオンオフパターンとが、実施の形態2又は3と同様に構成され、故障した組の巻線の温度が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるように構成されてもよい。
(3)上記の実施の形態3においては、運転状態検出部33は、故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態として、故障した組の巻線から直流電源4側に流れる充電電流を検出し、d軸電流補正部45は、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組について、充電電流が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を行うように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、上記の実施の形態3において、運転状態検出部33は、故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態として、スイッチング素子の故障が発生した組の巻線によりロータに生じる誘起電圧を検出するように構成され、d軸電流補正部45は、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組について、運転状態検出部33により検出した誘起電圧が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるd軸電流補正を行うように構成されてもよい。この場合、運転状態検出部33は、故障していない組のd軸電流Idrにより、見かけ上、減磁された後の永久磁石による鎖交磁束(Φa+Ldr×Idr)と、ロータの電気角速度ωとに基づき、式(10)を用いて、故障した組の巻線により生じる誘起電圧Vindfを算出する。
Vindf=ω×(Φa+Ldr×Idr) ・・・(10)
また、d軸電流補正部45は、誘起電圧が予め定めた上限誘起電圧値以下になるように、故障していない組のd軸の電流成分を負方向に増加させるように構成されてもよい。d軸電流補正部45は、誘起電圧が、上限誘起電圧値以下になるまで、d軸電流補正値ΔIdcを負方向に増加させる。なお、ロータの電気角速度ω等に応じて誘起電圧が変化することに対応するため、d軸電流補正部45は、誘起電圧が上限誘起電圧値よりも小さくなった場合に、d軸電流補正値ΔIdcを正方向に増加させてもよい。d軸電流補正部45は、d軸電流補正値ΔIdcを0で上限制限する。この場合でも、d軸電流補正値ΔIdcは負の値となり、d軸電流補正部45は、d軸電流Idを、d軸基本電流指令値Idcbよりも負方向に増加させる。
(4)上記の実施の形態1及び2においては、スイッチング制御部31は、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組について、ブレーキトルクの大きさが減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるように構成され、実施の形態3においては、充電電流(又は誘起電圧)が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるように構成され、実施の形態4においては、巻線温度が減少するように、d軸の電流成分を負方向に増加させるように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施の形態はこれに限定されない。すなわち、スイッチング制御部31は、スイッチング素子が故障していない電力変換器10の組について、故障した組の巻線に関わる交流回転機2の状態に応じて、d軸の電流成分を変化させるように構成されればよく、ブレーキトルクの大きさが増加するように、d軸の電流成分を正方向に増加させるように構成されてもよく、充電電流(又は誘起電圧)が増加するように、d軸の電流成分を正方向に増加させるように構成されてもよく、巻線温度が増加するように、d軸の電流成分を正方向に増加させるように構成されてもよい。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
この発明は、複数のスイッチング素子を備えて直流電源と交流回転電機との間で電力変換を行うインバータを制御する回転電機制御装置に好適に利用することができる。
1:交流回転機の制御装置、2:交流回転機、4:直流電源、10:電力変換器、31:スイッチング制御部、32:故障検出部、33:運転状態検出部

Claims (5)

  1. n相(nは2以上の自然数)の巻線をm組(mは2以上の自然数)設けたステータと永久磁石を設けたロータとを有する交流回転機の制御装置であって、
    直流電源の正極側に接続される正極側のスイッチング素子と前記直流電源の負極側に接続される負極側のスイッチング素子とが直列接続され、直列接続の接続点が対応する相の前記巻線に接続される直列回路を、前記n相各相に対応してnセット設けた、前記m組の電力変換器と、
    各組について、前記永久磁石のN極の向きに定めたd軸及び前記d軸より電気角で90°進んだ方向に定めたq軸からなるdq軸の回転座標系上で、前記巻線に流れる電流を制御するdq軸電流制御を実行して、前記スイッチング素子のそれぞれをオンオフ制御するスイッチング制御部と、
    前記スイッチング素子のそれぞれの短絡及び開放の故障を検出する故障検出部と、
    前記スイッチング素子が故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態を検出する運転状態検出部と、を備え、
    前記スイッチング制御部は、
    前記故障検出部により前記スイッチング素子の故障が検出された場合に、
    前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組については、前記dq軸電流制御による前記スイッチング素子のオンオフ制御を停止し、少なくとも、故障した前記スイッチング素子と同じ正極側又は負極側の各相の前記スイッチング素子を、短絡故障の場合はオンにさせ、開放故障の場合はオフにさせ、
    前記スイッチング素子が故障していない前記電力変換器の組については、前記dq軸電流制御による前記スイッチング素子のオンオフ制御を継続すると共に、前記運転状態検出部により検出した故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態に応じて、前記d軸の電流成分を変化させ
    前記故障検出部により正極側の前記スイッチング素子の短絡故障又は負極側の前記スイッチング素子の開放故障が検出された場合に、
    前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組について、各相の正極側の前記スイッチング素子をオンさせると共に各相の負極側の前記スイッチング素子をオフさせ、
    前記故障検出部により正極側の前記スイッチング素子の開放故障又は負極側の前記スイッチング素子の短絡故障が検出された場合に、
    前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組について、各相の正極側の前記スイッチング素子をオフさせると共に各相の負極側の前記スイッチング素子をオンさせ、
    前記運転状態検出部は、故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態として、故障した組の前記巻線により生じるブレーキトルクを検出し、
    前記スイッチング制御部は、
    前記スイッチング素子が故障していない前記電力変換器の組について、前記運転状態検出部により検出した前記ブレーキトルクの大きさが減少するように、前記d軸の電流成分を負方向に増加させる交流回転機の制御装置。
  2. 前記運転状態検出部は、故障した組の前記巻線により生じる前記ブレーキトルクをTfとし、前記永久磁石の極対数をPnとし、前記永久磁石による鎖交磁束をΦaとし、故障していない組の前記巻線の前記d軸のインダクタンスをLdrとし、故障していない組の前記d軸の電流をIdrとし、故障している組の前記q軸の電流をIqfとし、
    Tf=Pn×(Φa+Ldr×Idr)×Iqf
    の算出式により、故障した組の前記巻線により生じる前記ブレーキトルクを算出する請求項1に記載の交流回転機の制御装置。
  3. n相(nは2以上の自然数)の巻線をm組(mは2以上の自然数)設けたステータと永久磁石を設けたロータとを有する交流回転機の制御装置であって、
    直流電源の正極側に接続される正極側のスイッチング素子と前記直流電源の負極側に接続される負極側のスイッチング素子とが直列接続され、直列接続の接続点が対応する相の前記巻線に接続される直列回路を、前記n相各相に対応してnセット設けた、前記m組の電力変換器と、
    各組について、前記永久磁石のN極の向きに定めたd軸及び前記d軸より電気角で90°進んだ方向に定めたq軸からなるdq軸の回転座標系上で、前記巻線に流れる電流を制御するdq軸電流制御を実行して、前記スイッチング素子のそれぞれをオンオフ制御するスイッチング制御部と、
    前記スイッチング素子のそれぞれの短絡及び開放の故障を検出する故障検出部と、
    前記スイッチング素子が故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態を検出する運転状態検出部と、を備え、
    前記スイッチング制御部は、
    前記故障検出部により前記スイッチング素子の故障が検出された場合に、
    前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組については、前記dq軸電流制御による前記スイッチング素子のオンオフ制御を停止し、少なくとも、故障した前記スイッチング素子と同じ正極側又は負極側の各相の前記スイッチング素子を、短絡故障の場合はオンにさせ、開放故障の場合はオフにさせ、
    前記スイッチング素子が故障していない前記電力変換器の組については、前記dq軸電流制御による前記スイッチング素子のオンオフ制御を継続すると共に、前記運転状態検出部により検出した故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態に応じて、前記d軸の電流成分を変化させ、
    同じ組の前記電力変換器について、前記故障検出部により正極側の前記スイッチング素子の開放故障及び負極側の前記スイッチング素子の開放故障が検出された場合に、
    前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組について、各相の正極側の前記スイッチング素子をオフさせると共に各相の負極側の前記スイッチング素子をオフさせ、
    前記運転状態検出部は、故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態として、故障した組の前記巻線から前記直流電源に流れる充電電流、又は故障した組の前記巻線に生じる誘起電圧を検出し、
    前記スイッチング制御部は、
    前記スイッチング素子が故障していない前記電力変換器の組について、前記運転状態検出部により検出した前記充電電流又は前記誘起電圧が減少するように、前記d軸の電流成分を負方向に増加させる交流回転機の制御装置。
  4. 前記運転状態検出部は、故障した組の前記巻線により生じる前記誘起電圧をVindfとし、前記ロータの電気角速度をωとし、前記永久磁石による鎖交磁束をΦaとし、故障していない組の前記巻線の前記d軸のインダクタンスをLdrとし、故障していない組の前記d軸の電流をIdrとし、
    Vindf=ω×(Φa+Ldr×Idr)
    の算出式により、故障した組の前記巻線により生じる前記誘起電圧を算出する請求項3に記載の交流回転機の制御装置。
  5. n相(nは2以上の自然数)の巻線をm組(mは2以上の自然数)設けたステータと永久磁石を設けたロータとを有する交流回転機の制御装置であって、
    直流電源の正極側に接続される正極側のスイッチング素子と前記直流電源の負極側に接続される負極側のスイッチング素子とが直列接続され、直列接続の接続点が対応する相の前記巻線に接続される直列回路を、前記n相各相に対応してnセット設けた、前記m組の電力変換器と、
    各組について、前記永久磁石のN極の向きに定めたd軸及び前記d軸より電気角で90°進んだ方向に定めたq軸からなるdq軸の回転座標系上で、前記巻線に流れる電流を制御するdq軸電流制御を実行して、前記スイッチング素子のそれぞれをオンオフ制御するスイッチング制御部と、
    前記スイッチング素子のそれぞれの短絡及び開放の故障を検出する故障検出部と、
    前記スイッチング素子が故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態を検出する運転状態検出部と、を備え、
    前記スイッチング制御部は、
    前記故障検出部により前記スイッチング素子の故障が検出された場合に、
    前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組については、前記dq軸電流制御による前記スイッチング素子のオンオフ制御を停止し、少なくとも、故障した前記スイッチング素子と同じ正極側又は負極側の各相の前記スイッチング素子を、短絡故障の場合はオンにさせ、開放故障の場合はオフにさせ、
    前記故障検出部により正極側の前記スイッチング素子の短絡故障又は負極側の前記スイッチング素子の開放故障が検出された場合に、
    前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組について、各相の正極側の前記スイッチング素子をオンさせると共に各相の負極側の前記スイッチング素子をオフさせ、
    前記故障検出部により正極側の前記スイッチング素子の開放故障又は負極側の前記スイッチング素子の短絡故障が検出された場合に、
    前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組について、各相の正極側の前記スイッチング素子をオフさせると共に各相の負極側の前記スイッチング素子をオンさせ、
    同じ組の前記電力変換器について、前記故障検出部により正極側の前記スイッチング素子の開放故障及び負極側の前記スイッチング素子の開放故障が検出された場合に、
    前記スイッチング素子が故障した前記電力変換器の組について、各相の正極側の前記スイッチング素子をオフさせると共に各相の負極側の前記スイッチング素子をオフさせ、
    前記運転状態検出部は、故障した組の前記巻線に関わる前記交流回転機の状態として、故障した組の前記巻線の温度を検出し、
    前記スイッチング制御部は、
    前記スイッチング素子が故障していない前記電力変換器の組について、前記運転状態検出部により検出した故障した組の前記巻線の温度が減少するように、前記d軸の電流成分を負方向に増加させる交流回転機の制御装置。
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