JP2004075644A - 染毛剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体及び(B)アニオン性界面活性剤を含有し、(A)と(B)の質量比が1:2〜1:0.2であることを特徴とする染毛剤組成物。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、染毛剤組成物に関し、詳しくは、使用直前に第1剤と第2剤を混合して用いる酸化型の染毛剤組成物に係り、染毛性、毛髪損傷の少なさ、染毛後の毛髪の滑らかさ、かつ染毛色の堅牢性に優れた染毛剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に酸化型染毛剤は、別々の容器に保存された第1剤と第2剤を使用直前に混合してから使用する2剤混合式の形態が用いられている。これら2剤混合式の染毛剤の第1剤にはアルカリ剤と酸化染料中間体、第2剤には過酸化水素水が配合されている。そのため酸化型染毛剤で染毛した際、毛髪はアルカリによる膨潤、酸化剤による毛髪ケラチンタンパク質の酸化分解し、種々のタンパク質の溶出など様々な毛髪ダメージが発生する。これらの毛髪ダメージによって、つやの減少、毛髪強度の低下による枝毛・切毛の発生、ぱさつき等の現象として現れてくる。特に、染毛後に染液を洗い流した時、シャンプー時、乾燥時などに毛髪の傷みは顕著に現れる。
【0003】
これら毛髪の損傷を防止するために、染毛剤組成物には様々なコンディショニング成分や毛髪損傷を防止する油剤などが配合されている。例えば、特開2000−7542号公報には、アクリル酸とカチオン性モノマーからなる特定の両性ポリマーを含有した染毛剤組成物が開示されているが、毛髪の損傷において充分満足できるには至っていない。また、特開平07−316029号公報には、陽イオン性又は両性ポリマーと特定の酸化染料前駆物質からなる染毛料が開示されているが、この発明においても、均一な染毛及び毛髪損傷の防止については充分満足できるレベルには至っていない。また、特開平07−17836号公報には、アシル化コラーゲンペプタイドと陽イオン性ポリマーからなる染毛料が開示されているが、この発明においても、毛髪損傷の防止については充分満足できるレベルには至っていない。すなわち、これらの発明においては、水溶性の両性ポリマーや陽イオン性ポリマーを使用しており、これら水溶性ポリマーは洗浄時や洗髪時に簡単に洗い流されてしまい、有用な効果を発揮できないものと考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況下、本発明の目的は、染毛性、毛髪損傷の少なさ、染毛後の毛髪の滑らかさ、かつ染毛色の堅牢性に優れた染毛剤組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記した目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体とアニオン性界面活性剤を特定の割合で含有させることにより、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体とアニオン性界面活性剤がイオン的に結合したコンプレックスを形成し、そのコンプレックスが毛髪に対して高い収着性を有し、染毛後シャンプー等で洗浄を行っても毛髪上に収着している高い親和性を有しており、上記の難点を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、(A)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体及び(B)アニオン性界面活性剤を含有し、(A)と(B)の質量比が1:2〜1:0.2であることを特徴とする染毛剤組成物にある。また、本発明の請求項2は、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体が塩化ジメチルジアリルアンモニウム85〜98質量%とアクリル酸2〜15質量%とを共重合させたものである上記染毛剤組成物にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明で使用される塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体は、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との共重合体であり、塩化ジメチルジアリルアンモニウム70〜99質量%とアクリル酸1〜30質量%とを共重合させたものが好ましく、塩化ジメチルジアリルアンモニウム85〜98質量%とアクリル酸2〜15質量%とを共重合させたものが毛髪への吸着性に優れており、更に好ましい。その平均分子量としては50,000〜5,000,000であり、好ましくは100,000〜3,000,000である。これら、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体の好ましい具体的な例としては、オンデオ ナルコ カンパニーから入手可能であるマーコート280、マーコート295、Polygon社から入手可能であるPolysol HQなどが挙げられるが、オンデオ ナルコ カンパニーから入手可能であるマーコート295が特に効果が高く好ましい。
【0009】
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体の染毛剤組成物への配合量としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体の純分換算として、0.1〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.2〜3.0質量%である。0.1質量%未満の場合は、均染性および損傷防止効果が低いときがあり、5.0質量%を超えると染毛性を阻害する場合があり好ましくない。
【0010】
本発明で使用されるアニオン界面活性剤としては、通常化粧料で使用されるアニオン界面活性剤であれば得に限定されるものではなく、それらの具体例を示すと、ラウリル硫酸ナトリウム,ラウリル硫酸トリエタノールアミン,ラウリル硫酸アンモニウム,セチル硫酸ナトリウム,ステアリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム,ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン,ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ジエタノールアミン,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のアルキル及びアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル塩の硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、硫酸化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸,ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸,ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸,ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸,ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸,及びその塩(ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩)等のリン酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム,ラウロイルメチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸ナトリウム,スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム,ポリオキシエチレンスルホコハク酸二ナトリウム,ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム,スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミドエステル二ナトリウム,ウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ラウロイルサルコシンナトリウムなどのN−アシルサルコシン塩、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム,N−ステアロイル−L−グルタミン酸二ナトリウム,N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩等の高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、オレイン酸,スアリン酸,ラウリン酸,パルミチン酸などのナトリウム塩,カリウム塩,トリエタノールアミン塩あるいはアンモニウム塩等の脂肪酸石鹸が挙げられる。
【0011】
これらのアニオン界面活性剤の中でも、アルキル硫酸エステル塩、アルキル及びアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸との縮合物が好ましい。また、これらのアニオン界面活性剤は単独又は2種類以上組み合わせて配合してもよい。
【0012】
アニオン界面活性剤の染毛剤組成物への配合量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜3.0質量%である。0.01質量%未満の場合は、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体とのコンプレックスの形成性が不十分であり、感触的な面の改善や損傷防止効果が低い場合があり、5.0質量%を超えると組成物の安定性上問題が生じる場合があり、あまり好ましくない。
【0013】
本発明においては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体とアニオン性界面活性剤の質量比が1:2〜1:0.2であることが好ましく、1:1〜1:0.25であることがより好ましい。塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体とアニオン性界面活性剤の質量比が1:2〜1:0.2の範囲を超えると、両成分のイオン的結合によるコンプレックスが形成されにくく、その為、毛髪への収着性も低くくなり、本発明の効果が発揮されない。
【0014】
本発明においては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体とアニオン性界面活性剤は染毛剤組成物のアルカリまたは酸化染料中間体を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤のいずれか一方、或いは両方に配合されてもよいが、第1剤に塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体とアニオン性界面活性剤の両方を配合した場合、イオン的結合によるコンプレックスが第1剤中で形成されていて、高い効果が発揮されるため好ましい。
【0015】
本発明の染毛剤組成物中には、上記成分の他に、通常染毛剤で用いられる一般的な成分である酸化染料中間体、カプラー、直接染料、アルカリ剤、酸化剤等が配合される。
【0016】
酸化染料中間体としては、例えば、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類及びそれらの塩類が挙げられ、これらの中でも、p−フェニレンジアミン、p−トルイレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−(2’−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェニルスルファミン酸、2,5−ジアミノピリジン及びそれらの塩類が染毛力の点から好ましい。
【0017】
カプラーとしては、例えば、レゾルシン、ピロガロール、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、3,3’−イミノジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−o−クレゾール、ジフェニルアミン、p−メチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール及びそれらの塩類がある。また、「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されたものも、適宜、用いることができる。
【0018】
直接染料は、例えば、ニトロ系染料、HC染料、タール色素や、天然色素等の公知のものが使用でき、1種又は2種以上を併用しても良い。その中でも、ニトロ系染料、アゾ染料、ニトロソ染料、またはインジゴ染料が、良好な染毛効果を得られ好ましい。直接染料の具体例としては、例えば、ニトロ−p−フェニレンジアミン、p−ニトロ−o−フェニレンジアミン、p−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクラミン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシニトロベンゼン、2−アミノ−5−ヒドロキシニトロベンゼン、2−アミノ−3−ヒドロキシニトロベンゼン、2−アミノ−5−N,N−ビス−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2−アミノ−4−クロロ−5−N−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2−アミノ−4−メチル−5−N−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、3,4−ビス−(N−β−ヒドロキシエチルアミノ)ニトロベンゼン、2−アミノ−4−メチル−5−N−β,γ−ジヒドロキシプロピルアミノニトロベンゼン、2−アミノ−4−メチル−5−β−アミノエチルアミノニトロベンゼン、2−アミノ−4−ヒドロキシニトロベンゼン、及び特に有利なものとして;3,4−ジアミノニトロベンゼン、2,5−ジアミノニトロベンゼン、2−アミノ−5−N−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2−N−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−N,N−ビス−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2−N−メチルアミノ−5−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノニトロベンゼン、2−N−メチルアミノ−5−N−メチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2−N−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−ヒドロキシニトロベンゼン、3−メトキシ−4−N−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、4−ニトロ−3−メチルアミノフェノキシエタノール、2−N−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−アミノニトロベンゼン、2−N−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、3−アミノ−4−N−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、3−β−ヒドロキシエチロキシ−4−N−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2−アミノ−5−N−メチルアミノニトロベンゼン、2−アミノ−3−メチルニトロベンゼン、2−N−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−β,γ−ジヒドロキシプロピロキシニトロベンゼン、3−ヒドロキシ−4−N−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、3−ヒドロキシ−4−アミノニトロベンゼン、2,5−N,N′−β−ヒドロキシエチルアミノニトロベンゼン、2−N−メチルアミノ−4−o−β,γ−ジヒドロキシプロピロキシニトロベンゼン、2−N−β−アミノエチルアミノ−5−N,N−ビス−(β−ヒドロキシエチル)アミノニトロベンゼン、2−N−β−アミノエチルアミノ−4−メトキシニトロベンゼン、2−N−β−アミノエチルアミノ−5−β−ヒドロキシエチロキシニトロベンゼン、1−アミノ−4−メチルアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノンそれらの塩及び、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年告示、厚生省)により定められた染料(以下法定色素と略す)のうち、黄色403号の(1)等のニトロ系染料、同じく法定色素、赤色2号、赤色102号、赤色201号、赤色225号、赤色227号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、だいだい色205号、だいだい色402号、だいだい色403号、黄色4号、黄色5号、黄色402号、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、かっ色201号、黒色401号等のアゾ染料、同じく緑色401号等のニトロソ染料、同じく青色1号、青色202号、青色203号、青色205号、緑色3号、緑色205号、緑色402号等のトリフェニルメタン染料、同じく、赤色3号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色218号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、だいだい色201号、だいだい色207号、黄色201号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)等のキサンテン染料、同じく、黄色203号、黄色204号等のキノリン染料、1−アミノ4−メチルアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、法定色素青色403号、緑色201号、緑色202号、紫色201号、紫色401号等のアントラキノン染料、同じく青色2号、青色201号等のインジゴ染料等がある。
【0019】
アルカリ剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン及び2−アミノ−2−メチルプロパノール等のアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を、必要に応じて配合することができる。好ましいアルカリ剤としては、アンモニア、アンモニウム塩、モノエタノールアミンである。また、これらのアルカリ剤はそれぞれ単独、または2種以上を混合して使用され、アルカリ剤の配合量は、所望する脱色力によって適宜配合されるが、一般的な配合量としては第1剤と第2剤を混合した際、pHが9〜1:2の範囲に調整する為に適宜調整する。また、例えば、緩衝剤を配合することにより調整することができる。緩衝剤としては、例えば、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムがある。
【0020】
酸化剤としては、例えば過酸化水素、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、過酸化尿素、過酸化メラミン等が挙げられ、その中でも過酸化水素が好ましい。また、これらの酸化剤はそれぞれ単独、または2種以上を混合して使用することができ、酸化剤の配合量は、所望する脱色力によって適宜配合されるが、第2剤中に1.0〜10.0質量%が好ましく、2.0〜6.0質量%がより好ましい。
【0021】
本発明の染毛剤組成物は、通常化粧品分野で用いられる他の任意成分を本発明の効果を妨げない範囲で加えることができる。このような任意成分としては、例えばラウリルアルコール,ミリスチルアルコール,セチルアルコール,ステアリルアルコール,セトステアリルアルコール,ベヘニルアルコール,イソステアリルアルコール,オレイルアルコール,2−ヘキシルデカノール,2−オクチルドデカノール,2−デシルテトラデカノール等の高級アルコール、アボカド油,ホホバ油,マカデミアンナッツ油,オリーブ油のグリセライド等の油脂類、ミツロウ,ラノリン等のロウ類、流動パラフィン,固形パラフィン,イソパラフィン,スクワラン等の炭化水素類、ミリスチン酸イソプロピル,ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル類、オレイン酸ジエタノールアミド,ラウリン酸ジエタノールアミド等のアミド類、ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン誘導体、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム,ジステアリルジメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン,ラウリルジメチルカルボベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤、コラーゲン,フィブロイン,コンキオリン,大豆蛋白,小麦蛋白,ケラチン等の蛋白質の加水分解物、及びこれらを4級化したカチオン変性蛋白質等のポリペプタイド、多価アルコール,ピロリドンカルボン酸ナトリウム,ヒアルロン酸等の保湿剤、パラベン等の防腐剤、エデト酸塩,ポリリン酸ナトリウム,クエン酸ナトリウム,ヒドロキシエタンジホスホン酸等のキレート剤、フェナセチン等の安定化剤、チオグリコール酸,亜硫酸塩,アスコルビン酸等の酸化防止剤、その他、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、色素、香料、顔料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0022】
本発明の染毛剤組成物は、アルカリ剤と染料が配合された第1剤と酸化剤が配合された2剤型の酸化染毛剤、更に過硫酸塩を含有した第3剤を混合する3剤型の染毛剤としても利用できる。また、本発明の染毛剤組成物は常法に従って製造でき、その剤型は液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、フォーム状、スプレー状、粉末状等とすることができ、これらの中でも、乳液状、クリーム状又はフォーム状のものが、染毛時の毛髪への付着性がよく、染色性及び堅牢性の点で好ましい。また、本発明の染毛剤組成物は、樹脂ボトル、金属チューブ、樹脂チュープ、エアゾール缶、二剤同時吐出機構エアゾール容器等に充填され、使用直前にアルカリ剤を含む第1剤と酸化剤を含む第2剤が質量比で2:1〜1:2の割合で混合されて使用するものである。また、本発明に係る染毛剤組成物は種々の目的、例えば、頭髪の染色、頭髪の脱色脱染、皮膚体毛の脱色剤、かつら等の装飾具の染毛や脱色剤等として用いることも可能である。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例等により、さらに具体的に説明するが、これらにより本発明の技術的範囲が限定解釈されるべきものではない。尚、実施例に先立って各実施例で採用した試験法及び評価法を説明する。
【0024】
(1)染毛性試験
ヒト由来の白髪からなる毛束(長さ10cm、重さ2g)を作成し、まず、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)にて洗浄し、微温湯で十分にすすいだ後、一昼夜風乾させた。その後、本発明の染毛剤組成物(実施例及び比較例)を毛束に塗布し、30℃で20分間放置した。次いで、水洗後、風乾させた。20名の専門のパネラーにより、染毛性について、以下に示す評価基準により比較評価した。
【0025】
評価基準
◎:均一に染着し、白髪が目立たないと答えた被験者の数が17人以上
○:均一に染着し、白髪が目立たないと答えた被験者の数が12人以上、17人未満
△:均一に染着し、白髪が目立たないと答えた被験者の数が8人以上、12人未満
×:均一に染着し、白髪が目立たないと答えた被験者の数が8人未満
【0026】
(2)損傷防止効果
毛髪損傷防止効果の測定は、前記染毛性試験に供した毛束を室温にて24時間風乾し、次に、毛束中から直径80±10μmの毛髪を50本選び出し、引張強度試験を行なった。引張強度試験の測定は、引張強度試験機(エル・ビー・ケミカル社製)を用いて毛髪の破断強度を測定し、その平均値を求めた。なお、測定条件は、温度25℃および湿度60%で行った。
【0027】
(3)染毛後の滑らかさ
ヒト由来の白髪からなる毛束(長さ10cm、重さ2g)を作成し、まず、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)にて洗浄し、微温湯で十分にすすいだ後、風乾させた。その後、本発明の染毛剤組成物(実施例及び比較例)を毛束に塗布し、30℃で20分間放置した。次いで、水洗後、毛髪の滑らかさについて、動摩擦試験機(FRICTION TESTER KES−SE、カトーテック社製)を用いて摩擦力試験を行い、動摩擦係数(MIU)の測定を行った。
【0028】
(4)シャンプー処理後の滑らかさ
上記染毛後の滑らかさで評価した毛束について、次にシャンプーの主原料であるポリオキシエチレン(2E.O.)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(10質量%溶液)を用いてシャンプー洗浄を行い、再び水洗し、シャンプー後の毛髪の滑らかさについて、上記と同様な操作で摩擦力試験を行い、動摩擦係数(MIU)の測定を行った。
【0029】
(5)堅牢性
前記染毛性試験に供した毛束を、1日後に25℃において1質量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液100mLに48時間浸漬し、その後十分に水洗し、風乾させた。このときの退色の程度を前記染毛毛束と比較して、以下に示す基準により評価した。
【0030】
評価基準
◎:色落ちがほとんどなく、退色がとても優れている
○:色落ちが少なく、退色に優れている
△:色落ちがやや大きく、退色がやや悪い
×:色落ちが大きく、退色が悪い
【0031】
実施例1〜5、比較例1〜7
表1に示す配合組成の染毛剤を常法に従って製造し、第1剤と第2剤を1:1の比率で混合したものについて、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさおよび堅牢性を評価した。その結果を併せて表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1より明らかなように、本発明の染毛剤組成物(実施例1〜5)は、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさおよび堅牢性のいずれの項目においても優れていた。一方、本発明の必須成分を含有しない染毛剤組成物(比較例1〜4、7)は、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさ、及び堅牢性のいずれの項目においても劣っていた。また、(A)と(B)の質量比が1:2〜1:0.2でない染毛剤組成物(比較例5〜6)は、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさ、及び堅牢性のいずれの項目においても劣っていた。
【0034】
実施例6〜10、比較例8〜13
表2に示す配合組成の染毛剤を常法に従って製造し、第1剤と第2剤を2:3の比率で混合したものについて、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさおよび堅牢性を評価した。その結果を併せて表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
表2より明らかなように、本発明の染毛剤組成物(実施例6〜10)は、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさおよび堅牢性のいずれの項目においても優れていた。一方、本発明の必須成分を含有しない染毛剤組成物(比較例8、10、13)は、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさ、及び堅牢性のいずれの項目においても劣っていた。本発明のアニオン界面活性剤の変わりにカチオン界面活性剤を用いた染毛剤組成物(比較例9)は、従来カチオン界面活性剤を用いると滑らかさが向上するのが一般的であるが、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体と組み合わせることにより、染毛後及びシャンプー後の滑らかさが極端に悪いものであった。また、また、(A)と(B)の質量比が1:2〜1:0.2でない染毛剤組成物(比較例11〜12)は、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさ、及び堅牢性のいずれの項目においても劣っていた。
【0037】
実施例11
下記組成の染毛剤第1剤および第2剤を調製し、第1剤と第2剤を1:1の比率で混合し、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさおよび堅牢性を評価した。
【0038】
(第1剤の製法)
成分5〜9を80℃にて加温溶解したものに、成分18、21の一部を80℃にて加温したものを加えて乳化する。次いで冷却を行い、50℃にて成分1〜4、10、11、19、21の残部を均一に溶解したものを加え、40℃にて成分12〜17、20を加えてホモミキサーにて均一に混合し、室温まで冷却を行った。
【0039】
【0040】
(第2剤の製法)
成分2〜6を80℃にて加温溶解したものに、成分7〜10を80℃にて加温したものを加えて乳化する。次いで冷却を行い、50℃にて成分1を加えて、ホモミキサーにて均一に混合し、室温まで冷却を行った。
【0041】
実施例12
下記組成の染毛剤第1剤および第2剤を調製し、第1剤と第2剤を1:2の比率で混合し、混染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさおよび堅牢性を評価した。
【0042】
(第1剤の製法)
成分4〜9を85℃にて加温溶解したものに、成分16、20の一部を80℃にて加温したものを加えて乳化する。次いで冷却を行い、50℃にて成分1〜3、10、18、19、20の残部を均一に溶解したものを加え、40℃にて成分11〜15、17を加えてホモミキサーにて均一に混合し、20℃まで冷却を行った。
【0043】
【0044】
(第2剤の製法)
成分2〜6を80℃にて加温溶解したものに、成分7〜11を90℃にて加温したものを加えて乳化する。次いで冷却を行い、50℃にて成分1を加えて、ホモミキサーにて均一に混合し、20℃まで冷却を行った。
【0045】
実施例13
下記組成の頭髪用ブリーチ剤を調製し、第1剤と第2剤を1:2の比率で混合し、更に第3剤を第1剤と第2剤の混合液に対して1:20の比率で混合し、混染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさおよび堅牢性を評価した。
【0046】
(第1剤の製法)
成分1〜5を80℃にて加温溶解したものに、成分6〜13、15を80℃にて加温したものを加えて乳化する。次いで冷却を行い、40℃にて成分14を加え、20℃まで冷却を行った。
【0047】
【0048】
(第2剤の製法)
成分2〜6を80℃にて加温溶解したものに、成分7〜9、11を80℃にて加温したものを加えて乳化する。次いで冷却を行い、50℃にて成分1、10を加えて、ホモミキサーにて均一に混合し、20℃まで冷却を行った。
【0049】
【0050】
(第3剤の製法)
成分1〜5を攪拌混合して粉末状の第3剤を得た。
【0051】
実施例11〜13の本発明の染毛剤組成物は、染毛性、損傷防止効果、染毛後の滑らかさ、シャンプー処理後の滑らかさおよび堅牢性のいずれの項目においても優れていた。
【0052】
【発明の効果】
本発明の染毛剤組成物は、染毛性、毛髪損傷の少なさ、染毛後の毛髪の滑らかさ、かつ染毛色の堅牢性に優れた効果を奏するものである。
Claims (2)
- (A)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体及び(B)アニオン性界面活性剤を含有し、(A)と(B)の質量比が1:2〜1:0.2であることを特徴とする染毛剤組成物。
- 塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体が塩化ジメチルジアリルアンモニウム85〜98質量%とアクリル酸2〜15質量%とを共重合させたものである請求項1記載の染毛剤組成物。
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