JP2004075514A - 炭素複合体およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノカーボンサイズの炭素複合体及びその製法を提供する。
【解決手段】炭素に、沸点が炭素の沸点以下である金属、金属酸化物、酸性ガスから選ばれる少なくとも一種が担持されてなるナノサイズの炭素複合体。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高静電容量の電気二重層キャパシタ電極用炭素材料、水素や天然ガスの吸蔵用炭素材料や高容量の電池電極用炭素材料等、特殊な機能性複合炭素材料に関するものである。特に、ナノサイズ細孔構造とナノサイズの一次粒子径を持った炭素または水分散系の炭素と、沸点が炭素の沸点以下である、金属、金属酸化物、酸性ガスから選ばれる少なくとも一種が担持されてなる機能性炭素に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年普及してきた小型電子機器のバックアップ電源として、信頼性の高い高静電容量の小型キャパシタの採用に始まり、瞬間的にパワーを出せるデジカメメモリーや携帯電話のバケット電送用高静電容量キャパシタが要求されている。
特に、ハイブリッド自動車や電気自動車の実用化に向けて、主エネルギー源である内燃エンジン(ガソリン、ジーゼル、LPGやCNG・エンジン)、電源用二次電池や燃料電池の補助(パワーアシスト)電源として、主エネルギー源の負荷を平滑化するため、高静電容量の電気二重層キャパシタ(EDLC)が着目されて来ている。
【0003】
EDLCとは固体と液体の界面に生じる電気二重層を利用したコンデンサである。その構造は、セパレ−タを挟んだ1組の分極性電極を単極とし、これをロール状に巻きつけたり、積層したものをモジュールとしたものを収納するケ−スと電解液と集電体からなる。分極性電極材料として、大比表面積を有する活性炭(粉末を固めたもの、不織布状、シート状のもの等)が用いられる。活性炭の原料には、ヤシガラやセルロース等の植物質や石炭質や石油ピッチ等の石油質やフェノール樹脂、フルフラール樹脂、PAN等の樹脂質が使われている。一方、電解液として、例えば水系ならば硫酸水溶液、水酸化カリウム水溶液を、また、非水系ならば4級アンモニウム塩を溶解したプロピレンカーボネイト等の有機溶媒系電解液が使われている。水系電解液を用いた水系EDLCは、電解液の導電率が高いために低等価直列抵抗(ESR)に向いており、高出力密度(高電流密度での出力特性、Kw/Kg)であり、湿度に影響されず環境特性に優れる。
【0004】
また、有機系電解液を用いた有機系EDLCは、耐電圧が高いため、高エネルギー密度(WH/Kg)を持ち、より小型化できる特長を持っている。
EDLC用電極材料として高機能活性炭が各種提案されている。この活性炭への要求特性として、大きな比表面積を持つこと、高い導電性があること(低い
内部抵抗であること)、高いかさ密度であること、が挙げられる。活性炭への要求特性を満足するには活性炭の細孔容積や細孔径分布の細孔の幾何学的構造のみならず、細孔の化学的性質が重要と考えられる。
【0005】
EDLCの静電容量を改良するため、活性炭を代表とする炭素材料の細孔構造を制御する従来技術例として、細孔形状に着目した特許文献1の技術、活性炭の炭素原料に着目した特許文献2の技術、焼成して製造した活性炭にアルカリ賦活処理を施した特許文献3や特許文献4の技術が既に報告されている。
特許文献1の技術によれば、透過型電子顕微鏡写真(TEM写真)とその画像解析法を用いて、活性炭の細孔形状及び大きさを特定している。それによれば、細孔はスリット状か楕円状であり、水溶液電解液では水分子径の1.5〜3倍である範囲のスリット幅、スリット長の細孔の電極材が有効であり、有機系電解液では電解液の溶媒和したイオン径+0.2nm以上の細孔がある電極材が大静電容量のEDLCに最適であることが示されている。そして、この様な活性炭を製造する方法として、特開平3−78221号公報で示されたパルス衝撃電流により活性炭微粒子の相互間を焼結させる多孔質製造法が示されているが、特殊な焼結方法を用いなければならず、製造コスト及び汎用性の点で好ましくない。
【0006】
また、特許文献2の技術によれば、炭素原料としてポリ塩化ビニリデン(PVDC)を用い、非酸化雰囲気下窒素ガスN、800〜1000℃で通電焼結法にて炭化焼成することで多数の細孔を有するEDLC電極用炭素材料が得られることが示されている。炭素原料として、炭化の際、加熱処理による主鎖の脱離反応(脱塩酸反応)によって、容易に多数の電解液イオンの吸着に好適な場を与えるPVDCを用いたことは極めて優れた知見ではあるが、それでも800〜1000℃で焼成しなければならないこと、通電焼結という特殊な焼結方法を用いなければならないことは、製造コスト及び汎用性の点で好ましくはない(なお、PVDCを原料として脱塩酸処理して得られる炭素材料は、賦活処理をしていないため、厳密な意味では活性炭ではないが、活性炭の様な細孔構造を有するため、以下では活性炭として表記する)。
【0007】
更に、特許文献3の技術によれば、原料をアルカリ金属水酸化物の存在下320〜380℃及び450〜700℃で2段階焼成し、アルカリ金属水酸化物を除去した後、更に熱処理することを特徴とするEDLC電極用活性炭の製造方法が示されている。
特許文献5の技術によれば、特定の微結晶サイズを持ち特定組成の塩化ビニリデン樹脂からなる活性炭原料とこれを膨潤若しくは溶解する溶剤と、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類の水溶液とアルコール及び/又はエーテルとの混合溶液を用いて、100℃以下で脱塩酸処理工程を含む炭化処理および/または賦活してなる活性炭を得ることが記載されている。
【0008】
さらに、非特許文献1に記載されている技術によれば、上記の公報と同じく、実質的に有機溶剤とアルカリを併用した100℃以下で脱塩酸処理工程を含む炭化処理法が開示されている。
また、特許文献4の技術によれば、塩化ビニル系樹脂を熱分析で第1段目の重量減少が生じる温度2000℃で焼成した後、アルカリ賦活として、水酸化カ
リウム等を用いて賦活温度500〜1000℃で1〜20時間行うことを特徴とするEDLC電極用活性炭の製造方法が示されている。これらの技術で用いられているアルカリ処理は、いずれも炭化した後の活性炭の賦活処理に関するものである。これらの技術において使用されている炭素材料のサイズ、形状等は通常の重合方法、例えば溶液重合、懸濁重合や乳化重合後に塩析による方法で得られるもので、実質的に100ミクロン程度又はそれ以上のサイズである。
【0009】
また、特許文献4の技術によれば、塩化ビニル樹脂を熱分解で第1段目の重量減少が生じる温度2000℃で焼成した後、アルカリ賦活として、水酸化カリ
ウム等を用いて賦活温度500〜1000℃で1〜20時間行うことを特徴とするEDLC電極用活性炭の製造法が示されている。これらの技術で用いられるアルカリ処理は、いずれも炭化した後の活性炭の賦活処理に関するものである。これらの技術において使用される炭素材料のサイズ、形状等は通常の重合方法、例えば溶液重合、懸濁重合や乳化重合後に塩析による方法で得られるもので、実質的に100ミクロン程度間又はそれ以上のサイズである。さらに、特許文献4の技術によれば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂をアンモニア中で加圧下に加熱する、炭素前駆体の製造方法が示されている。
【0010】
ここで用いられるポリ塩化ビニリデン系樹脂はニートレジン、あるいはニートレジンに可塑剤、安定剤、抗酸化剤などの添加剤が添加されたもので、形態として、フィルム、ボトル、キャピラリーチューブ、糸、成形品、フレーク屑、微小球形などが挙げられており。実施例から、これらポリ塩化ビニリデン系樹脂は実質的に100ミクロン程度間又はそれ以上のサイズである。以下に述べるナノサイズ炭素前駆体やその製造法とは異なる。
【0011】
一方で、電気二重層キャパシタ電極用炭素材料としての炭素前駆体のみならず、非特許文献2に記載されているように、常温で、蒸気圧の高い水素やメタンを高濃度に吸蔵できる軽量な炭素材料が注目されている。天然ガス(液化天然ガス−LNG、圧縮天然ガス−CNG、吸着式天然ガス−ANG)自動車のうち、すでにLNG、CNG自動車は実用化されている。又、水素を用いた燃料電池を用いた電気自動車もロード走行試験に入っている。水素やCNGは貯蔵圧力を高めれば燃料貯蔵量を向上させることができるが、頑強で重い貯蔵タンクを搭載せざるを得ない。
【0012】
更に、電池電極用高機能性炭素材料としては炭素前駆体に活物質や貴金属触媒を担持させたり、それら炭素前駆体を更に、黒鉛化することにより使用できる。しかしながら、本発明のような特異の構造を有するナノサイズの炭素素材(以下、ナノカーボンと言う)はこれまで存在してなかった。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−220985号公報
【特許文献2】
特開平7−249551号公報
【特許文献3】
特開平9−213590号公報
【特許文献4】
特開平9−275042号公報
【特許文献5】
特開2000−353644号公報
【非特許文献1】
Journal of Colloid Interface Science, Vol. 80, No. 2, p512, April 1981”Dehydrochlorinatrion of Monodisperse Poly(vinylidene Chloride) Latex”
【非特許文献2】
”表面”Vol.38,No.2,p39(2000)「炭素材料によりるメタンと水素の貯蔵」
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、各種の応用に適用される、製造コスト的にも安価で、特異な構造を有するナノカーボン複合体およびその成形体とその製法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、各種応用に適用される物理・化学的変成できる汎用的なナノカーボン複合体を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.炭素に、沸点が炭素の沸点以下である、金属、金属酸化物、酸性ガスから選ばれる少なくとも一種が担持されてなるナノサイズの機能性炭素複合体、
2.炭素が、ナノサイズのポリハロゲン化ビニリデンまたはポリハロゲン化ビニリデン共重合体を含有する原料の一部が実質的に脱ハロゲン化水素されてなる炭素前駆体を含有する1.記載の炭素複合体、
3.ポリハロゲン化ビニリデンまたはポリハロゲン化ビニリデン共重合体が水分散系であり、その一部が実質的に脱ハロゲン化水素されてなる炭素前駆体を炭化してなる炭素を含有する1.記載の炭素複合体、
4.炭素複合体が粉末、ペレット、シート、または成型体である1〜3のいずれかに記載の炭素複合体、
5.水分散系のポリハロゲン化ビニリデンまたはポリハロゲン化ビニリデン共重合体であって、その一部が実質的に脱ハロゲン化水素されてなる炭素前駆体を炭化する工程、および得られた炭素に、沸点が炭素の沸点以下である、金属、金属酸化物、酸性ガスから選ばれる少なくとも一種を担持させる乾式工程からなる炭素複合体の製造法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明でいうナノサイズとは、例えば、1997年月31日C MC出版「高分子微粒子の最新技術と用途展開」記載の各種複合粒子、例えば、ソリッド、コア−シェル構造を有する炭素を含む。ソリッド型炭素は、例えば、公知の炭化できる材料、ポリアクリロニトリルラテックスやポリメタアクリロニトリルラテックス等を塩析したり、凍結乾燥し、炭化したり、石油や石炭ピッチ、フェノール樹脂、フルフラール樹脂等を乳化し、塩析したり、凍結乾燥した後、炭化することにより得られる。これらの炭素を以下に詳述するポリハロゲン化ビニリデン共重合体からなる炭素前駆体あるいは該前駆体からの炭素と混ぜて使用できる。
【0017】
コア−シェル構造を有する炭素とは1次粒子の炭素が、密度の異なる低密度のコア層と高密度のシェル層構造を有することを意味する。低密度のコア層には中空を含む。この構造は、後述するとおり、炭素粒子の断面を透過型電子顕微鏡により観察することができる。COガス等温吸着曲線からミクロ細孔径(IUPAC分類による0.5〜2nm)、Nガス等温吸・脱着曲線からメソ細孔径(同分類による2〜50nm)の測定によれば、細孔構造が推定できる。
【0018】
炭素粒子のコア−シェル構造を推定する別法は、Nガス等温吸・脱着曲線の差に基づく方法である。
本発明のコア層、シェル層の厚みの実際的な制御は、例えば前駆体原料のPVDCポリマ中のコモノマ種やその量、その原料のアルカリ炭化条件、例えば、アルカリ種、濃度、温度やPVDC原料とアルカリとの化学的量比と後に続く炭化条件、例えば、温度、時間により可能である。そのシェル層やコアー層の密度も同様である。
【0019】
コア−シェル構造を有するナノカーボンを得るためには、以下の要件を満足する炭素前駆体を採用することが好ましい。
すなわち、ナノサイズのポリハロゲン化ビニリデンおよびまたはポリハロゲン化ビニリデン共重合体を含有する原料の一部が実質的に脱ハロゲン化水素されてなる特定の炭素前駆体を使用することが好ましい。
本発明のナノカーボンの原料としては、水分散系ポリハロゲン化ビニリデンおよび/あるいはポリハロゲン化ビニリデン共重合体特に乳化重合してなるナノサイズで球形の粒子として水分散した該ポリマを採用することが好ましく、ナノサイズ粒子径が1nm〜10000nmであることが好ましい。
【0020】
脱ハロゲン化水素反応に利用されるアルカリ水溶液を添加する時や脱ハロゲン化水素反応過程において、該水分散体が異常凝集しない程度に安定であることが好ましい。比較的大きい粒子であるハロゲン化ビニリデンおよび/あるいはポリハロゲン化ビニリデン共重合体を機械的、化学的に微細粉砕したものやポリマ溶液をスプレー乾燥したものであっても、実質的に水分散できるナノサイズの粒子であれば、本発明の原料として利用できる。特に、ポリハロゲン化ビニリデンおよび/あるいはポリハロゲン化ビニリデン共重合体のハロゲンがフッ素又は塩素から選ばれ、乳化重合技術を採用するのが工業的で好ましい。
【0021】
以下に、好ましい炭素前駆体原料の特徴とその好ましい製造方法を述べる。
1.炭素前駆体の特徴
炭素前駆体のサイズはナノサイズ、すなわち、1nmから10000nmである。水分散したポリハロゲン化ビニリデンおよび/あるいはポリハロゲン化ビニリデン共重合体が持つ一次の粒子径を、実質的に保持したまま、表面から脱ハロゲン化水素され、化学的炭化されてなる炭素前駆体である。好ましくは、粒子サイズは、10nm〜1000nmである。より好ましくは、10nm〜500nmである。好ましい粒子サイズは、乳化重合や乳化重合の改良法であるミクロエマルジョン重合を採用することにより達成できる。
【0022】
炭素前駆体は、特に、後に続いて加えられる熱的炭化工程でも、水分散したポリハロゲン化ビニリデンおよび/あるいはポリハロゲン化ビニリデン共重合体は熱溶融が起こらずに、実質的に化学的炭化されてなる炭素前駆体の粒子径を保持したままの、炭素粒子である。また、本発明の炭素前駆体の形状は実質的に球状であることが好ましい。体積当たりの表面積が最小であるので、高固形分であっても水分散性になって好ましい。
炭素前駆体は、炭素粒子の一部が実質的に脱ハロゲン水素されている粒子表面が脱ハロゲン化水素されると、後に続く、例えば乾燥工程における粒子ブロッキングが起こり難いメリットやさらに続く高温での脱ハロゲン化水素工程や炭化工程でも粒子融着や完全シンタリングが起こり難いメリット等、工業化プロセスにおいて数多くのメリットがある。
【0023】
2.炭素前駆体の製造方法
特定のポリハロゲン化ビニリデンおよび/あるいはポリハロゲン化ビニリデン共重合体であって、アルカリ水溶液中や脱ハロゲン化水素反応過程においても水分散体として安定化されている該ポリマ水分散体を化学的炭化する製造方法である。
【0024】
以下に、詳細にその製造方法の好ましい態様を述べる。
[PVDC樹脂]
水分散系ポリハロゲン化ビニリデンおよび/あるいはポリハロゲン化ビニリデン共重合体の代表としてのPVDC樹脂は乳化剤を使用して重合する乳化(Emulsion)重合法、懸濁剤を使用して重合する懸濁(Suspension)重合法又は乳化剤と懸濁剤を併用して重合する乳化・懸濁水分散(Espension)重合法により準備できる。特に、乳化(E mulsion)重合法と乳化・懸濁水分散(Espension)重合法は粒子径が小さく、均一で、化学炭化工程での、脱塩酸反応が均一に進行して好ましい。
【0025】
ポリハロゲン化ビニリデンのうち、ハロゲンとしてフッ素、塩素、臭素とヨウ素が使用できるが、ポリ塩化ビニリデンやポリフッ化ビニリデンが、工業的にモノマが準備できて、最も好ましい。
ポリハロゲン化ビニリデン共重合体に使用できるコモノマとして、例えば、エチレン、アセチレン、プロピレン、ブチレン、ブチン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、塩化ビニル(VC)、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルノルマルアミルエーテル、ビニルイソアミルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニル−n−オクタデシルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、アクリロニトリル(AN)、メタアクリルニトリル(MAN)、アクリル酸、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド、アクリログアナミン、アクリロイルモルホリン、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルプロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸エチレングリコールエトキシレート、アクリル酸エチレングリコールメトキシレート、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸ジエチレングリコールメトキシレート、アクリル酸エチルヘキシル、エポキシアクリレート、ペンタエリスリトールのアクリル酸エステル類、n−ステアリルアクリレート、ジペンタエリスリトールのアクリル酸エステル類、トリメチロールプロパンのアクリル酸エステル類、カプロラクトン変性アクリル酸エステル類、ネオペンチルグリコールのアクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、アクリル酸グリシジル、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール、ジアクリル酸トリエチレングリコール、ジアクリル酸テトラエチレングリコール、ジアクリル酸−1,3−ブチレングリコール、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸アルミニウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸カルシウム、アクリル酸マグネシウム、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド、アクロレイン、メタクリル酸、メタクリル酸クロライド、メタクリル酸ブロマイド、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルプロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸
ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチレングリコールエトキシレート、メタクリル酸エチレングリコールメトキシレート、メタクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、メタクリル酸ジエチレングリコールメトキシレート、メタクリル酸エチルヘキシル、エポキシメタクリレート、ペンタエリスリトールのメタクリル酸エステル類、n−ステアリルメタクリレート、ジペンタエリスリトールのメタクリル酸エステル類、トリメチロールプロパンのメタクリル酸エステル類、カプロラクトン変性メタクリル酸エステル類、ネオペンチルグリコールのメタクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、メタクリル酸グリシジル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸−1,3−ブチレングリコール、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸アルミニウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸カルシウム、メタクリル酸マグネシウム、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクロレイン、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸カリウム、スチレン、メチルスチレン、ビニルピリジン、ヒドロキシエチルビニルアセテート、ヒドロキシエチルビニルアセテートのエステルやエーテルやウレタン等の誘導体、アリルアルコール、アリルクロライド、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルアミン、アリルアルデヒド、アリルブロマイド、アリルグリシジルエーテル、アリルカプロエート、アリル芥子油、アリルジグリコールカーボネート、アリルメタクリレート、アリルアデニン、アリルアデノシン、アリルアミノプリン、アリルアミノリボフラノシルプリン、グリセロールジアリールエーテル、ジシクロペンタジエン、クロロプレン、シクロヘキセン、α−メチルスチレン、重合性シリコン化合物、重合性フッ素化合物、マレイン酸、マレイン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体、クロトン酸、クロトン酸誘導体、オレイン酸、オレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、クロトンアルデヒド、クロロエチルビニルエーテル、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムブロマイド、ジアリルジメチルアンモニウムヨーダイド、アリルピリジニウムクロライド、アリルピリジニウムブロマイド、アリルピリジニウムヨーダイド、ジイソブチレン、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、不飽和カルボン酸及びその誘導体、不飽和アルデヒド、不飽和アルキル類、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、その他のN−置換マレイミド類等がその代表例として挙げられる。
【0026】
以下、ポリ塩化ビニリデンを中心に置いて述べるが、これにとらわれない。
なお、水分散系ポリハロゲン化ビニリデンおよび/あるいはポリハロゲン化ビニリデン共重合体と混合して使用される含塩素ポリマ水分散体として、ポリ塩化ビニル系ラテックス、クロロプレン系ラテックスや塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素化塩化ビニル水分散体がある。水分散系ポリハロゲン化ビニリデンおよび/あるいはポリハロゲン化ビニリデン共重合体と混合してなる含塩素ポリマ水分散体配合物やポリハロゲン化ビニリデン共重合体中のハロゲン化ビニリデンユニット成分の含有量は、化学炭化を均一化する点で50モル%以上が好ましい。
【0027】
[乳化重合]
ガラスライニングを施した耐圧反応機中に水85部、アルキルスルフォン酸ソーダ(バイエル社、商品名「ワロラートU」)0.15部および過硫酸ソーダ0.1部を仕込み、脱気した後、内容物の温度を55℃に保った。これとは別の容器に塩化ビニリデン98部、アクリロニトリル1部、メタアクリル酸メチル1部を計量混合してモノマ混合物を作成した。
【0028】
前記耐圧反応機中にモノマ混合物のうち10部を一括添加し、攪拌下、反応機の内圧が降下するまで重合した。続いて、残りのモノマ混合物90部を12時間連続的に定量添加した。並行して、アルキルスルフォン酸ソーダ1部も10時間連続的に定量添加した。この間内容物を55℃に保ち、内圧が十分に降下するまで反応を進行させた。重合収率はほぼ100%なので、共重合体の組成は仕込み比にほぼ等しくなる。かくして得られた固形分50%のラテックスにアルキルスルフォン酸ソーダを加えて、20℃における気液表面張力が42mN/mとなるように調整した。この後、スチーム・ストリッピングにより未反応モノマを除去し、セルロース系半透膜を用いて透析処理し、ラテックス精製した。このときの粒子サイズが130〜150nmであった。
【0029】
アルキルスルフォン酸ソーダ(バイエル社、商品名「ワロラートU」)全添加と使用モノマー全量やコモノマ種やその量、を変えることにより、粒子サイズが30〜50nm(ミクロエマルション)、実質的に球状のラテックスが得られる。
ここに記載した内部シード−逐次モノマ添加法以外に、外部シード−逐次モノマ添加法、モノマを一括して添加するバッチ法や分割添加法、連続法など公知の乳化重合法を採用できる。内部、外部シード−逐次モノマ添加法の変法として、シードのモノマ組成と異なるモノマ組成の逐次モノマを添加するコアーシェル重合法も採用できる。特に、逐次モノマ添加法は狭い粒子径分布を持つラテックスが得られるので、狭い粒子径分布の前駆体には好ましい。
【0030】
[エスペンション重合]
懸濁重合に使用される懸濁剤と乳化重合に使用される乳化剤を併用して重合する方法を総称して、エスペンション重合という。超音波やホモジナイザー等の力学的攪拌も併用できる。以下、好ましい方法の例を述べる。
ガラスライニングを施した耐圧反応機中に水280部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業製:商品名「メトローズ65SH−400」、粘度380mPa・s、表面張力49.5×10−5N/cm( 0.2% 固形分,25℃))0.5部、ジイソプロピルカーボネート0.2部を仕込み、脱気した後、内容物を常温に保った。これとは別の容器に塩化ビニリデン100部とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩(花王製:商品名「ペレックスTR」、純分70%)2部を計量混合してモノマ混合物を作成した。前記耐圧反応機中にモノマ混合物を一括添加し、常温のまま30分攪拌を続けた後、内容物の温度を上昇させ、40℃に保ち、内圧が十分に降下するまで反応を進行させた。これにより粒子サイズが1000nmから10000nmである、実質的に球状樹脂または1次粒子径が100〜200nmの凝集体が得られた。
【0031】
[アルカリ処理液]
ナノミクロンサイズのPVDC水分散体を用いることが好ましい。より好ましいのは、水分散体の粒子が1000nm以下、更に好ましいのは500nm以下、最も好ましいのは200nm以下である。以下に述べる広義のアルカリ処理液は実質的に水溶液や水分散体であり、この処理液で脱塩酸することが好ましい。広義のアルカリとして、例えば、アンモニアやアミンやそのアルキル誘導体類、ヒドラジンやそのアルキル誘導体類、イミダゾーやそのアルキル誘導体類、ピリジンやそのアルキル誘導体類等に代表される水溶液でpHが10を超えるアルカリ水溶液や水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液やアルカリ土類の水溶液や水分散体が使用できる。アンモニアやアルキルアミン類、ヒドラジン類、イミダゾー類、ピリジン類に代表される有機系アルカリ水溶液は、後に続く1000℃以下の熱炭化工程で生成塩化物が昇華したり、分解して、炭素中に残存しない特徴を持つ。又、アルカリ金属水酸化物は、脱塩酸によって生じる塩(例えば、KCl)が熱炭化時に賦活剤として働く特徴がある。又、高い電気伝導度をうるために、1400℃以上の黒鉛化工程時に、黒鉛化とアルカリ金属塩酸塩の昇華、蒸発、分解が同時に起こる特徴を持つ。アルカリ処理液中のアルカリ濃度は飽和溶液を使用できる。低い濃度のアルカリ水溶液中では、脱塩酸に時間がかかるが、化学炭化温度を高くすることで解決できる。
【0032】
又、特に、アルカリにより、膨潤するコモノマ、工業的なモノマで好ましいコモノマとして、例えばアクリル酸やメタクルル酸や容易に加水分解されるコモノマ、工業的なモノマで好ましいコモノマとして、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、イタコン酸エステル類、フマル酸エステル類、マレイン酸エステル類や膨潤するコモノマに化学変化する、工業的なモノマで好ましいコモノマとして、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の導入は、化学炭化過程で、水分散体粒子がアルカリにより膨潤され、化学炭化時あるいは熱炭化に生じる細孔径及び細孔分布を制御できる利点や加水分解されてなる局部が賦活点となったり、活物質を担持する活性点にできる利点もある。
【0033】
[炭素前駆体の製造工程]
炭素前駆体の好ましい製造方法は、該ポリマ分散体を実質的に有機溶剤を含まないアルカリ処理液中に、室温で分散させた後、5℃から200℃の温度範囲に調整し、1分以上攪拌して、粒子表面を脱塩酸反応させることが基本工程である。炭素前駆体の応用に応じて、反応温度と反応時間が決められる。脱塩酸に使用されるアルカリ処理液の室温でのpHは10以上が好ましい。更に好ましくは、pHが12以上である。
【0034】
反応後のアルカリ分散体や脱アルカリ処理した水分散体、脱水処理したスラッジ状前駆体や乾燥した前駆体が、用途に応じて準備できる。脱塩酸に使用した過剰のアルカリの脱アルカリ法として、公知のデカンテーション分離法、遠心分離法や膜分離法が採用できる。回収アルカリは、次の脱塩酸反応に再使用することもできる。脱水法として、公知の遠心分離法、濾過法等が採用できる。乾燥法として、公知の真空乾燥法、風乾法、流動乾燥法を採用できる。又、一次粒子が凝集した顆粒化や球形化を含む粒径が制御された炭素前駆体にする方法として、例えば、水分散体ポリマ組成のみならず水分散剤の選択や水分散体、水とアルカリ組成を変化させること、攪拌速度、温度を変化させることにより制御できる。
【0035】
又、脱水前や乾燥前に、水溶性高分子、例えば、ゼラチン(カゼイン)、ポリビニルアルコール、キチンや水溶性セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等を混合すれば、一次粒子の凝集体として粒径制御された炭素前駆体球も準備できる。
以下に、本発明で採用した炭化法の一例を述べるが、各種の公知の炭化法を採用できる。例えば、不活性ガス(ヘリウム、アルゴン、クリプトン等)中や真空中での炭化は好ましい方法である。
又、炭化中又は後に、細孔に化学エチング法、例えば水蒸気処理、KOH処理、硝酸や過酸化水素処理を施し、再度熱処理してもよいことは言うまでもない。黒鉛化を進めるため、更に高温、例えば1400℃、更には1800℃、更に好ましくは2000℃以上に高熱処理することも出来る。
【0036】
[炭化処理]
炭素前駆体を電気加熱式環状炉に仕込み、N雰囲気中、190℃、400℃、900℃に夫々2時間保持して、炭化させる。ナノカーボンの製造法として、公知の炭化法が採用できる。電気炉以外に、真空炭化炉、流動式炭化炉、固定式炭化炉、ロータリーキルンや例えば、He、Ar等の不活性ガス雰囲気下での炭化、水蒸気雰囲気での炭化、水素還元雰囲気での炭化、オゾンを含む酸素酸化雰囲気での炭化や真空下での炭化が採用できる。
又、化学的に修飾するため、酸性ガス、例えば、酸化窒素ガス、亜硫酸ガス、SOガスや塩基性ガス、例えば、アンモニア、各種アミンも用途により採用できる。従来の化学的炭素製法との併用もできる。炭化水素を不活性ガス中で炭化したり、COガスを還元したり出来る。具体例として、ナノ炭素に、炭化水素あるいはCOガスを吸着後に炭化あるいは還元することができる。
【0037】
3.炭素複合体の製造方法
例えば、”Material Stage”, Vol.1, No.8, p21, 2001記載の気相法が採用できる。CVD(Chemical Vapor Deposition)に代表される化学的方法やPVDに代表される物理的方法が採用できる。実質的に炭素の沸点以下の物質をナノカーボンに担持することができる。
【0038】
[担持されてなる金属、金属酸化物、酸性ガス]
例えば、EDLC用途に、酸化金属として、酸化ルビジュウム、酸化オスミウムが考えられる。又、電池用途に、Cathode用電極には各種金属酸化物、Li電池ではコバルト酸、ニッケル酸、マンガン酸、鉄酸、リン鉄酸などが考えれる。電池用途に、金属として、Ptは燃料電池のAnode用電極又、Pbは鉛電池のAnode用電極、CdはN−−Cd電池のAnode用電極、LiはLi電池のAnode用電極として選択できる。
さらに、EDLC用途に、蒸気圧を持ったLewis酸、例えば、無水硫酸、無水塩酸、無水硝酸、無水燐酸、弗化硼素、塩化Ti等が使用できる。
特に、無水硫酸−炭素複合体は水系EDLCには硫酸電解質が低内部抵抗で、電極として使用できる。
又、弗化硼酸−炭素複合体は、その後に、(Et)基を化学反応で形成させ、有機系EDLCの(Et)NBF電解質に使用することもできる。
【0039】
【実施例】
以下に、実施例により、より具体的に本発明を説明する。
実施例で行っている測定方法は以下の通りである。
[透過型電子顕微鏡(以下、TEMと言う)測定]
試料は濾液のpHが8以下で、1N硝酸銀で白濁しないまで十分洗浄した。80℃で2時間生成物を攪拌し、室温まで冷却した後、濾過した。この作業を6回繰り返すことにより、炭素前駆体にして、炭化処理して試料が準備できた。
透過型電子顕微鏡装置として、日本電子製「JEM−4000FX」(商品名)を用いた。試料をカーボン支持膜を張った銅グリッドに広げ、検鏡用試料とし、加速電圧350KVで測定した。
【0040】
[走査型電子顕微鏡(以下、SEMと言う)測定]
透過型電子顕微鏡測定したと同じ試料を日立製作所製「S−4700」(商品名)を用いて、加速電圧2KVで測定した。
[残留塩素測定]
走査型電子顕微鏡測定に使用した試料の残留塩素量を燃焼させ、灰分の塩素分をイオンクロマト法(日本ダイオネックス社製「イオンクロマトグラフ」(商品名))にて測定した。
[SO測定]
SOを吸着した炭素複合体の吸着SOはTGA(サーマルグラビティアナリシス)で測定した。
【0041】
(製造例1)
前記[乳化重合]により得られたラテックス10部を120℃、50%KOH水20部で8時間接触し、脱塩酸させた後、洗浄濾過水のpHが8以下になるまで、濾過と洗浄を繰り返して、炭素前駆体を得た。ウエットケーキを50℃真空乾燥機で乾燥し、室温から400℃まで、10℃/分で昇温させ、400℃で2時間保持後、900℃まで10℃/分で昇温させ、900℃で2時間保持後、一昼夜かけて、室温まで冷却させて準備した炭素をTEMとSEMの観察用試料とした。TEMによる数個のナノカーボンの断面写真を図1に、SEMによる燒結されたバルク相の塊状ナノカーボンの表面写真を図2に示す。断面写真から、1個の炭素が、密度の異なる低密度のコア層と高密度のシェル層構造を持っている。又、表面構造から、ナノサイズの1次原料が燒結した塊状ナノカーボン凝集体を形成している。炭素前駆体のサイズは130〜150nmで、これを炭化した炭素のサイズも実質的に同じサイズのナノカーボンであった。ナノカーボンの残留塩素量は0.2ppmであった。
【0042】
(実施例1)
製造例1のナノサイズの1次原料が燒結した塊状ナノカーボン凝集体を真空にしたデシケーターに保持して、発煙硫酸を導入し、室温、1週間、デシケーター中に発煙硫酸存在下に保存した。発煙硫酸を多量の硫酸で殺し、ナノカーボン凝集体複合体を取り出した。SO吸着量をTGAで測定したところ(図3)、35%SOが得られた。
【0043】
(実施例2)
製造例1のナノサイズの1次原料を真空中にしてデシケーターに保持して、酸化オスミウムを導入し、室温、1日間保持した。固体酸化オスミウム消失を待って、ナノカーボン複合体を取り出した。酸化オスミウムを担持したナノカーボン複合体(1)1個をTEM観察したところ、図4に示すように、ナノカーボン粒子内部又は表面に酸化オスミウムに相当する電子密度の高い部分が観察できた。又、図5に示すように、酸化オスミウムを担持した別のナノカーボン複合体(2)には、より高密度の酸化オスミウム粒子がナノカーボン粒子内部又は表面に存在することが観察された。
【0044】
(実施例3)
実施例1のウエットケーキ状ナノサイズの炭素前駆体に水を加え、固形分50重量%のペーストにし、直径30mm、厚み2mmの金型に流し込んだ。これを一昼夜風乾させて、炭素前駆体グリーンシートとした。引き続いて、900℃、10時間かけて、窒素雰囲気下で、直径13mm、厚み1mmの焼結電極とした。この電極を真空化で、Pd−Ptを蒸着させた後、SEM観察した(図6)。焼結したナノサイズの炭素粒子の表面に、炭素粒子より更らに細かいPd−Pt粒子が固着していることが観察された。
【0045】
【発明の効果】
本発明の炭素複合体は、各種炭素材料として応用できる球状のナノサイズ炭素である。球状のナノカーボンであるため、既存のプラスチックス成形技術やセラミック成形技術を応用できる加工上の特徴もある。例えば、バインダーと当該前駆体又は炭素をコンパウンドにして、射出成形、押出成形圧縮成形により所定の成形体(グリーン成形体)にして、後に続く、定法の賦活工程、および/あるいは黒鉛化工程にてバインダーを焼尽させたり、ポリハロゲン化ビニリデンを主成分としたバインダーの場合は炭素化させたりして、希望する形状の炭素加工品・成形品を製造できる。又、球状のナノサイズ炭素前駆体であるため、公知の炭素加工技術、例えば、燒結、塗工、スパッタリングは、最も得意な適用加工技術である。具体的用途として、例えば「新・炭素材料入門」炭素材料学会編集、出版社(株)リライズ社、2000年第1版第3刷や「炭素応用技術」出版社 (株) シーエムシー 2001年 普及版第1刷に記載の公知の炭素製品に応用できる。製鉄用途、製鋼用途、原子力用途、航空宇宙用途、電気機械用途、電子機械用途、電池用途、生物・生体用途、土木・建築用途、環境工学用途等広い分野に応用できる。より具体的には例えば、電極、集電体、電池用炭素、発熱体、断熱材、還元用炭素、研磨剤、摺動剤、触媒担体、酵素担体、バイオセンサー担体等に応用できる。
【0046】
最近、注目されている用途として、電気二重層キャパシター電極用炭素、水素やメタンガスやメタンハライドや天然ガスやLPGの吸蔵体炭素や水素吸蔵体炭素あるいは、ICチップやICメモリー、ICカード、光スイッチング・ディバイス、DNAチップ等幅広い用途が開発されている。又、ナノサイズ炭素前駆体又はこれを炭化或いは黒鉛化したナノサイズ炭素と金属、金属酸化物を担持させてなる炭素複合材として、研磨剤用途では、ハードディスク基板やヘッド、光ファイバー端面や光学部品の精密研磨用に開発が進んでいる。これは液状ポリッシングやコーティングされた研磨フィルム用しても使用される。又、電極用途では、正、負極活物質を担持させてなる炭素複合材として使用できる。本発明の前駆体は1次粒子が球状のナノサイズであることと粉体状、スラッジ状、水分散体あるいは酸やアルカリ水分散体で供給できることにより、各種加工技術が採用されることに優位性がある。
【0047】
更に、本発明の炭素を鋳型支持体と使用し、金属や金属酸化物との炭素コンポシットとし、炭素を加熱除去してナノサイズの金属や金属酸化物も出来る。
又、ナノ炭素や炭素との化合物、例えば、CN、TiC、BCを核として、ソリッド型や中空型ウイスカーを形成させることもできる。さらに、機能性炭素複合体にするため、ナノカーボン前駆体水分散液に、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属塩や複塩等を介在させて、湿式成形後に炭化させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1で得られた炭素の断面を観察した透過型電子顕微鏡写真。
【図2】製造例1で得られた炭素の表面を観察した走査型電子顕微鏡写真。
【図3】実施例1で得られたTGAデータの線図。
【図4】実施例2で得られた炭素複合体1個の断面を観察した透過型電子顕微鏡写真。
【図5】実施例2で得られた炭素複合体の別の1個の断面を観察した透過型電子顕微鏡写真。
【図6】実施例3で得られた炭素複合体を観察した走査型電子顕微鏡写真。

Claims (5)

  1. 炭素に、沸点が炭素の沸点以下である金属、金属酸化物、酸性ガスから選ばれる少なくとも一種が担持されてなるナノサイズの炭素複合体。
  2. 炭素が、ナノサイズのポリハロゲン化ビニリデンまたはポリハロゲン化ビニリデン共重合体を含有する原料の一部が実質的に脱ハロゲン化水素されてなる炭素前駆体を含有する請求項1に記載の炭素複合体。
  3. ポリハロゲン化ビニリデンまたはポリハロゲン化ビニリデン共重合体が水分散系であり、その一部が実質的に脱ハロゲン化水素されてなる炭素前駆体を炭化してなる炭素を含有する請求項1に記載の炭素複合体。
  4. 炭素複合体が粉末、ペレット、シート、または成型体である請求項1〜3のいずれかに記載の炭素複合体。
  5. 水分散系のポリハロゲン化ビニリデンまたはポリハロゲン化ビニリデン共重合体であって、その一部が実質的に脱ハロゲン化水素されてなる炭素前駆体を炭化する工程、および得られた炭素に、沸点が炭素の沸点以下である、金属、金属酸化物、酸性ガスから選ばれる少なくとも一種を担持させる乾式工程からなる炭素複合体の製造法。
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