JP2004074636A - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被転写媒体を補強しつつ印刷・転写された所定情報を高画質の状態で維持可能な印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】印刷装置20は、中間転写フィルム28に所定情報を印刷する印刷部3と、印刷部3により中間転写フィルム28に印刷された所定情報を被転写媒体1の一方の主面に転写する転写部4と、を備え、被転写媒体の他方の主面は補強部材72によって補強される。
【選択図】 図1
【解決手段】印刷装置20は、中間転写フィルム28に所定情報を印刷する印刷部3と、印刷部3により中間転写フィルム28に印刷された所定情報を被転写媒体1の一方の主面に転写する転写部4と、を備え、被転写媒体の他方の主面は補強部材72によって補強される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、印刷装置及び印刷方法に係り、特に、中間転写媒体に印刷した所定情報を通帳類等の被転写媒体に転写する印刷装置及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カード類や通帳類などの被転写媒体の表面状態になるべく影響を受けることなく高画質な印刷を行う印刷装置が求められれている。つまり、特殊な表面コートをしないと十分な表面平滑性が得られないなど、溶融転写印刷方式において印刷面上に直接印刷する上で障害となる要因を許容する印刷方式が求められている、と言い換えられる。
【0003】
そこで、中間転写媒体としての中間転写フィルムを用いる中間転写方式の印刷装置が提案されている。この印刷装置の印刷部では、所定の印刷位置に配置されたサーマルヘッドが所定情報に応じて発熱してインクリボンのインクを溶融することにより、印刷位置に供給された中間転写フィルムの表面に文字やバーコードなどの所定情報が印刷される。
【0004】
印刷装置の転写部では、所定情報が印刷された中間転写フィルムがヒートローラとバックアップローラとの間に送り込まれる。このとき、印刷頁が中間転写フィルムに対向するように配置された被転写媒体がヒートローラとバックアップローラとの間に送り込まれる。この状態からヒートローラが回転されて中間転写フィルム及び被転写媒体がバックアップローラに押し付けられるとともに加熱されることにより、所定情報が被転写媒体の表面に転写される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した印刷装置において、以下のような問題がある。すなわち、被転写媒体として通帳類のような紙が適用された場合、頁を繰り返しめくったときに破れるおそれがある。また、印刷頁の裏面から薬品や溶剤などが浸入した際に、インクが変質して印刷・転写された所定情報の画質が劣化するおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、被転写媒体を補強しつつ印刷・転写された所定情報を高画質の状態で維持可能な印刷装置及び印刷方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の様態による印刷装置は、
中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
前記印刷手段により前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写する転写手段と、
被転写媒体の他方の主面を補強部材によって補強する補強手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の第2の様態による印刷装置は、
中間転写媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
補強部材を供給する供給手段と、
前記印刷手段により前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写するとともに前記供給手段により供給された補強部材を被転写媒体の他方の主面に転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の第3の様態による印刷装置は、
中間転写媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
補強部材を供給する供給手段と、
転写位置において、被転写媒体の一方の主面側に配置された前記中間転写媒体と被転写媒体の他方の主面側に配置された補強部材とを圧着かつ加熱する対向配置されたヒートローラ及びバックアップローラを備え、前記中間転写媒体に印刷された所定情報及び補強部材を同一パターンで被転写媒体に並行して転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の第4の様態による印刷方法は、
中間転写媒体に所定情報を印刷し、
前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写し、
被転写媒体の他方の主面を補強部材によって補強する、
ことを特徴とする。
【0011】
この発明の第5の様態による印刷方法は、
中間転写媒体を搬送し、
搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷し、
補強部材を供給し、
前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写するのと並行して供給された補強部材を被転写媒体の他方の主面に転写する、
ことを特徴とする。
【0012】
この発明の第6の様態による印刷方法は、
中間転写媒体を搬送し、
搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷し、
補強部材を供給し、
転写位置において、被転写媒体の一方の主面側に配置された中間転写媒体と被転写媒体の他方の主面側に配置された補強部材とを圧着かつ加熱することにより、中間転写媒体に印刷された所定情報及び補強部材を同一パターンで被転写媒体に並行して転写する、
ことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態に係る印刷装置及び印刷方法について図面を参照して説明する。この印刷装置は、カード類の他に、通帳類のような冊子状の被転写媒体への所定情報の印刷と、印刷面の保護膜付与とを並行して行う中間転写方式の印刷装置である。
【0014】
(第1実施形態)
図1に示すように、印刷装置20は、印刷手段として機能する印刷部3、搬送手段として機能する搬送機構30、転写手段として機能する転写部4、供給手段として機能する供給部70などを備えて構成されている。
【0015】
すなわち、印刷部3は、中間転写媒体としての中間転写フィルム28に対して所定情報、すなわち識別情報や顔画像情報などの印刷情報を印刷する。この印刷部3は、熱転写方式であり、サーマルヘッド5、このサーマルヘッド5に対向配置されたプラテンローラ6などを備えている。
【0016】
この印刷装置20に適用される中間転写フィルム28は、図2に示すように、長尺フィルム状のフィルム基材28Aの一面に、ワックスよりなる離型層28B、樹脂よりなる保護層28C、受像層28Dの順に積層して形成されている。フィルム基材28Aは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのフィルム状合成樹脂が好適に用いられる。この実施の形態では、25μm厚のPETを用いている。
【0017】
受像層28Dは、後述するインクリボン7のインク層と相性が良いこと、受像表面が平滑であることが要求され、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂あるいはこれらの混合樹脂などが好適に用いられる。この実施の形態では、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂を主成分とした混合樹脂を用いて、厚さ5μmで保護層28C上にコートされている。
【0018】
ここで、保護層28Cは、ホログラムなどを含み、偽変造防止策を施してもよい。この実施の形態では、ホログラムを有する保護層28Cを用いており、保護層28Cの厚みは10μmとしている。
【0019】
サーマルヘッド5とプラテンローラ6との間には、図3の(a)及び(b)に示すような例えばイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の溶融インクをダンダラ(段だら)状に有したインクリボン7及び中間転写フィルム28が介在されている。
【0020】
インクリボン7は、長尺フィルム状の支持体7Aの一面に、熱溶融性のインク層を有している。このインク層は、例えばインクリボンの供給方向に沿ってシアンインク層7C、マゼンタインク層7M、イエローインク層7Y、ブラックインク層7Kの順に並んで形成されている。ここで、インク層の配置順序は、図3の(a)及び(b)に示した順序である必要性はなく、インク層の透明度などから決まる順序で並べても良い。
【0021】
各インク層の供給方向に沿った長さは、印刷される所定情報の長さに応じて適宜設定される。この実施の形態では、シアンインク層7C、マゼンタインク層7M、及び、イエローインク層7Yは、供給方向に沿って例えば90mmの長さを有し、ブラックインク層7Kは、供給方向に沿って例えば125mmの長さを有している。
【0022】
支持体7Aは、例えば、2〜6μm程度の厚さを有し、PETなどの合成樹脂フィルムによって形成される。この実施の形態では、4.5μm厚のPETを用いている。インク層は、樹脂からなるバインダ中に、無機顔料、有機顔料、微粒子などを分散したものである。バインダとしては、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、飽和ポリエステル樹脂などの熱溶融性で無色透明あるいは単色透明の樹脂で融点が約60℃〜約100℃のものが好適に用いられる。この実施の形態においては、中間転写フィルム28との相性から飽和ポリエステル樹脂を主成分とするバインダを用いている。また、微粒子は、顔料の分散剤などであるが、この実施の形態では、シリカを含有している。
【0023】
各色のインク層のドットを順次重ねて転写し、所望の色を表現するため、先に転写してあるインク層が厚いと、そのドットの凹凸の影響を強く受け、転写不良やドットの欠けなどを生じる場合があるため、インク層の厚みはできる限り薄い方が好ましく、1μm以下であることが望ましい。この実施の形態では、0.6μmとしている。
【0024】
この印刷部3では、このようなインクリボン7を用いてカラー印刷や黒色などの単色印刷が可能である。このインクリボン7は、図1に示すように、その一端部が送出軸8に巻き付けられ、その他端部が巻取軸9に巻き付けられている。送出軸8から送出されたインクリボン7の中途部は、ガイドシャフト21a、21bに掛け渡されている。
【0025】
なお、インクリボン7としては、単色インクのみのリボンでも良く、また、紫外線の照射によって発光する蛍光塗料インク、さらに、光沢面も持つ印刷用の金属薄膜(アルミ蒸着)層、或いは、印刷用のホログラム層等の機能を有するリボン材料を有していても良い。
【0026】
サーマルヘッド5は、発熱体をインクリボン7の供給方向に直交する方向(交差する方向)に一列に配置したライン型サーマルヘッドであり、所定の印刷位置において、中間転写フィルム28の印刷開始位置から所定情報を印刷する。プラテンローラ6は、正逆両方向に独立に駆動可能であり、中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。
【0027】
搬送機構30は、所定情報を有する中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。この搬送機構30は、第1軸31A及び第2軸31Bを有し、一方の軸から他方の軸に向かって中間転写フィルム28を搬送可能である。すなわち、中間転写フィルム28は、その一端側が印刷部3の上部側に設けられた第2軸31Bに巻き付けられ、その他端側が印刷部3の下部側に設けられた第1軸31Aに巻き付けられている。
【0028】
第1軸31A及び第2軸31Bは、それぞれ駆動モータM1及びM2によって駆動され、正逆両方向に独立に駆動可能である。また、これら第1軸31A及び第2軸31Bを駆動する駆動モータM1及びM2は、後述するモータ制御回路107によって駆動制御され、印刷部3における印刷位置及び転写部4における転写位置に向けて中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。
【0029】
第1軸31Aが中間転写フィルム28を巻き取る巻取軸として機能する場合、第2軸31Bが中間転写フィルム28を送出する送出軸として機能する。このとき、中間転写フィルム28は、順方向Aに搬送される(順搬送)。また、第2軸31Bが中間転写フィルム28を巻き取る巻取軸として機能する場合、第1軸31Aが中間転写フィルム28を送出する送出軸として機能する。このとき、中間転写フィルム28は、逆方向Bに搬送される(逆搬送)。
【0030】
また、搬送機構30は、プラテンローラ6と転写部4との間に配置された搬送ローラ32を備えている。この搬送ローラ32は、印刷部3にて所定情報を印刷された中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。また、この搬送ローラ32は、その表面が硬度30度乃至60度の範囲のゴム材料で構成されたローラである。中間転写フィルム28は、搬送ローラ32に対してできるだけ巻き付き角が大きい方が望ましい。この実施の形態では、90°乃至130°の巻き付き角で巻きついている。この搬送ローラ32は、5相ステッピングモータ32A、タイミングベルト32B、及び、プーリ32Cによる減速機構を組み合わせて、正確に中間転写フィルム28の搬送を行う。
【0031】
第2軸31B及び第1軸31Aとの間では、中間転写フィルム28の中途部がガイドシャフト31a〜31cに掛け渡され、ほぼ一定のあるいは所定のテンションに維持されている。ガイドシャフト31cは、ヒートローラ26を通過した後に中間転写フィルム28と被転写媒体1とを剥離する剥離ガイドとして機能する。
【0032】
供給部70は、紙などの被転写媒体の主面を補強するための補強部材72を転写部4の転写位置に供給する。補強部材72は、その一端部が送出軸74に巻き付けられ、その他端部が巻取軸76に巻き付けられている。送出軸74から送出された補強部材72の中途部は、ガイドシャフト78a、78bに掛け渡されている。
【0033】
図4に示すように、この補強部材72は、長尺フィルム状のフィルム基材72Aの一面に、ワックスよりなる離型層72B、樹脂よりなる保護層72C、接着層72Dの順に積層して形成されている。フィルム基材72は、PETやPENなどのフィルム状合成樹脂が好適に用いられる。この実施の形態では、25μm厚のPETを用いている。
【0034】
接着層72Dは、被転写媒体のカールなどを防ぐため、中間転写フィルム28の受像層28Dと同系の樹脂によって形成することが好ましく、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂あるいはこれらの混合樹脂などが好適に使われる。この実施の形態では、中間転写フィルム28の受像層28Dと同じく、ウレタン系樹脂とエポキシ系樹脂を主成分とした混合樹脂を用いて、厚さ5μmで保護層72C上にコートされている。
【0035】
ここで、後述するように、転写部4の転写位置において、中間転写フィルム28側に配置された一つのヒートローラ26で、中間転写フィルム28の受像層28Dと補強部材72の接着層72Dとを被転写媒体にともに並行して転写する場合、補強部材72の接着層72Dでの温度が、中間転写フィルム28の受像層28Dでの温度よりも低くなってしまう。
【0036】
これによる転写不良を防ぐために、補強部材72の接着層72Dの軟化点は、中間転写フィルム28の受像層28Dの軟化点よりも低く調整されている。この実施の形態では、接着層72Dの軟化点は、受像層28Dの軟化点より20℃ほど低くなるよう樹脂を調合している。
【0037】
また、補強部材72の保護層72Cにも、ホログラムなどの偽変造防止策を施しても良い。また、接着層72Dに予め文字、蛍光インクなどで画像情報を印刷しておいても良い。こうすることで、偽変造防止効果を強化することができる。この実施の形態では、ホログラムを有する保護層72Cを用いており、保護層72Cの厚みは10μmとしている。
【0038】
転写部4は、中間転写フィルム28に印刷された所定情報を被転写媒体1の一方の主面に転写するのと並行して、供給部70から供給された補強部材を被転写媒体1の他方の主面に転写する。より詳細には、中間転写フィルム28の受像層28D上に印刷された所定情報は、受像層28D及び保護層28Cとともに被転写媒体1の一方の主面に転写され、これと並行して、補強部材72の接着層72Dは、保護層72Cとともに被転写媒体1の他方の主面に転写される。
【0039】
この転写部4は、ヒートローラ26、このヒートローラ26に対向配置されたバックアップローラ27などを備えている。ヒートローラ26は、DCサーボモータもしくはステッピングモータにより正確な一定速度で駆動可能である。回転自在なバックアップローラ27は、ヒートローラ26との間に所定の圧力がかかるようにコイルバネ27Cによってヒートローラ26方向に付勢されている。
【0040】
このヒートローラ26とバックアップローラ27との間には、被転写媒体1、中間転写フィルム28、及び、補強部材72が介在されている。すなわち、被転写媒体1のヒートローラ26側には、印刷された所定情報が向かい合うように中間転写フィルム28が配置され、被転写媒体1のバックアップローラ27側には、補強部材72の接着層72Dが向かい合うように配置される。
【0041】
図5に示すように、ヒートローラ26は、円筒状の主面と平坦面とを組み合わせた形状を有し、回転軸に対して垂直な平面において、ほぼ半円形状の断面を有している。すなわち、このヒートローラ26は、芯金35を有している。この芯金35は、その一部の外周面に平面状にカットされたカット面35Aを有している。芯金35の内部には、加熱減としてのヒータ65が設けられている。芯金35の円弧部35Bの外周面には、厚さ1mm〜2mmの耐熱性ゴム36が被覆されている。
【0042】
なお、耐熱性ゴム36は、芯金35の円弧部35Bのみならず、カット面35Aを含む全周を覆っても良い。また、ヒートローラ26は、耐熱性ゴムがなくて芯金のみでもよい。この場合、ヒートローラ表面には、汚れの付着防止のテフロン加工などを行うことが望ましい。
【0043】
このヒートローラ26は、その円弧部35Bの周方向に沿った長さが被転写媒体1の転写エリアの長さ(または、中間転写フィルム28の転写長さ及び補強部材72の転写長さ)と略同等もしくはそれ以上の長さになるように形成されている。また、このヒートローラ26は、その円弧部35の軸方向に沿った長さが被転写媒体1の転写エリアの幅(または、中間転写フィルム28の転写幅及び補強部材72の転写幅)と略同等もしくはそれ以上の長さになるように形成されている。
【0044】
このようなヒートローラ26は、印刷待機時においては、そのカット面35Aを被転写媒体の搬送路11に対してほぼ並行に対向して配置されている。これにより、ヒートローラ26とバックアップローラ27との間には、被転写媒体1を容易に配置可能な隙間が形成されている。このとき、中間転写フィルム28及び補強部材72は、ヒートローラ26及びバックアップローラ27に接触していない。
【0045】
このヒートローラ26は、転写時にのみ回転し、中間転写フィルム28に接触する。すなわち、中間転写フィルム28への印刷動作に伴って、中間転写フィルム28は、ヒートローラ26及びバックアップローラ27に接触することなく搬送される。転写時には、これらヒートローラ26及びバックアップローラ27は、転写位置(ヒートローラ26とバックアップローラ27とが接触している位置)において、中間転写フィルム28及び補強部材72を被転写媒体1に一定の圧力で圧着しつつヒータ65からの熱によって加熱することにより、中間転写フィルム28の転写開始位置から中間転写フィルム28上に印刷された所定情報を被転写媒体1の一方の主面に転写するのと並行して補強部材72を被転写媒体1の他方の主面に転写する。
【0046】
図1に示すように、テンション機構80は、搬送ローラ32と転写部4との間に配置される。このテンション機構80は、搬送機構30によって搬送される中間転写フィルム28に対して所定テンションを付与する。すなわち、テンション機構80は、搬送される中間転写フィルム28にたるみが生じても、中間転写フィルム28に対して所定のテンションを付与して、たるみを改善することができる。
【0047】
被転写媒体搬送部2は、被転写媒体(この実施の形態では印刷頁を開いた状態の通帳類)1を搬送路11に沿って転写部4の転写位置まで搬送する搬送ローラ対13を備えている。すなわち、この搬送ローラ対13は、正方向に回転し、被転写媒体1の印刷頁における転写開始位置がヒートローラ26による転写位置に整合するように被転写媒体1を搬送する。また、この搬送ローラ対13は、逆方向に回転し、転写部4における転写動作が終了した被転写媒体1を排出する。
【0048】
中間転写フィルム28の供給路上には、第1センサS1及び第2センサS2が配置されている。これら第1センサS1及び第2センサS2は、後述する中間転写フィルム28の有効領域の外側に配置されたバーマークを検知するための出力信号を出力する。また、被転写媒体1の搬送路11上には、第3センサS3及び第4センサS4が配置されている。これら第3センサS3及び第4センサS4は、挿入された被転写媒体1の有無を検知するための出力信号を出力する。なお、これら第1乃至第4センサS1乃至S4は、例えば透過型センサであり、一対の発光部及び受光部を備えて構成されているが、反射型センサによって構成されてもよい。
【0049】
図6に示すように、印刷装置20は、装置全体を制御する制御手段として機能するCPU100を備えている。
【0050】
このCPU100には、メモリ部101、インタフェース部102などが接続されている。メモリ部101は、装置全体の駆動を制御するための制御プログラムなどを記憶している。また、メモリ部101は、インタフェース部102を介して受信した印刷データなどを一時的に記憶する。インタフェース部102は、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷に必要な印刷データを受信する。
【0051】
また、CPU100には、サーマルヘッド制御回路103、インクリボン搬送制御回路104、ヒータ温度制御回路105、ヒートローラ回転制御回路106、モータ制御回路107、媒体搬送制御回路108、センサ入力回路109、供給部制御回路110などが接続されている。
【0052】
サーマルヘッド制御回路103は、印刷データに基づいてサーマルヘッド5の印刷動作を制御する。インクリボン搬送制御回路104は、印刷部3における搬送機構として機能する送出軸8及び巻取軸9の駆動を制御する。ヒータ温度制御回路105は、ヒートローラ26内部のヒータ65を駆動して、ヒートローラ26を所定の温度に維持するよう制御する。
【0053】
ヒートローラ回転制御回路106は、ヒートローラ26の回転駆動を制御する。モータ制御回路107は、搬送機構30を構成するプラテンローラ6、第1軸31A、第2軸31B、及び、搬送ローラ32の駆動を制御する。媒体搬送制御回路108は、搬送ローラ対13の駆動を制御して被転写媒体1を取り込み、所定の転写位置まで搬送し、転写完了した被転写媒体1を排出する。
【0054】
センサ入力回路109は、第1センサS1及び第2センサS2から出力信号に基づいて中間転写フィルム28のバーマークを検知する。また、センサ入力回路109は、第3センサS3及び第4センサS4から出力信号に基づいて被転写媒体1の有無を検知する。供給部制御回路110は、供給部70の駆動を制御する。
【0055】
次に、印刷装置20の印刷部3による中間転写フィルム28へ所定情報の印刷動作について説明する。
【0056】
すなわち、印刷装置20のCPU100は、印刷開始指示を受信したのに基づいて、モータ制御回路107を制御して、搬送機構、すなわちプラテンローラ6、搬送ローラ32、第1軸31A、及び第2軸31Bを駆動し、中間転写フィルム28を送出する。そして、CPU100は、センサ入力回路109を介して第1センサS1からの出力信号に基づいて、送出された中間転写フィルム28に含まれるマークを検知する。
【0057】
続いて、CPU100は、検知したマークの位置を基準として中間転写フィルム28の送出量を算出する。すなわち、CPU100は、第1センサS1の位置でマークを検知してから、中間転写フィルム28における所定の印刷開始位置がサーマルヘッド5による印刷位置に到達するまでの中間転写フィルム28の送出量を算出する。
【0058】
続いて、CPU100は、算出した送出量に基づいてモータ制御回路107を制御して搬送機構30を駆動し、中間転写フィルム28を所定の送出量だけ送出し、中間転写フィルム28の所定の印刷開始位置をサーマルヘッド5による印刷位置に到達させる。
【0059】
続いて、CPU100は、印刷データに基づいてサーマルヘッド制御回路103を制御し、サーマルヘッド5を駆動して、中間転写フィルム28の受像層28D上における印刷開始位置からインクリボン7の所定の色のインク層を転写してカラーまたは黒色の所定情報45を印刷する。
【0060】
例えばカラー印刷を行う場合、まず、CPU100は、インクリボン搬送制御回路104を制御して搬送機構8及び9を駆動し、インクリボン7のシアンインク層7Cの頭出しを行う。中間転写フィルム28及びインクリボン7の搬送中においては、プラテンローラ6から離間していたサーマルヘッド5は、サーマルヘッド制御回路103の制御に基づいてプラテンローラ6に押し当てられ、印刷データに基づいてサーマルヘッド5の発熱体が選択的に給電されて発熱することにより、インクリボン7のインク層が溶融されて中間転写フィルム28の受像層28D表面に転写される。
【0061】
シアンインク層7Cによる中間転写フィルム28への印刷動作が完了したのに基づいて、CPU100は、サーマルヘッド制御回路103を制御してサーマルヘッド5をプラテンローラ6から離間させる一方で、モータ制御回路107を制御して中間転写フィルム28を逆搬送して頭出しを行うとともに、インクリボン搬送制御回路104を制御してインクリボン7のマゼンタインク層7Mの頭出しを行う。そして、同様に、印刷データに基づいてサーマルヘッド5の発熱体が発熱することにより、インクリボン7のインク層が溶融されて中間転写フィルム28の受像層28D表面に転写される。
【0062】
さらに、イエローインク層7Y及びブラックインク層7Kについても同様の動作を繰り返すことにより、カラー印刷が行われる。このように、印刷される所定情報は、黒色などの単色印刷でも良く、また、Y、M、C、Kの4色を重ね合わせたカラー印刷でも良い。必要に応じて、インクリボンを単色や複数色繰り返し塗布すればよい。また、文字印刷のために溶融黒インクを使用し、カラー印刷のためにY、M、C、Kの昇華染料が繰り返し塗布されても良い。複数色の重ね合わせ印刷の場合は、中間転写フィルム28がサーマルヘッド5を色数と同じ回数だけ往復することで行われる。
【0063】
次に、印刷装置の転写部4による被転写媒体1への所定情報の転写動作について説明する。
【0064】
すなわち、印刷装置20のCPU100は、センサ入力回路109を介して第4センサS4からの出力信号に基づいて被転写媒体1としての通帳類の挿入を検知したのに基づいて、媒体搬送制御回路108を制御し、搬送ローラ対13を正方向に駆動して、印刷頁10が開かれた通帳類1を綴目に対して垂直な方向に沿って搬送する。このとき、ヒートローラ26は、図5に示すような印刷待機状態となっており、カット面35Aを搬送路11に対してほぼ平行に対向して配置されている。
【0065】
続いて、CPU100は、センサ入力回路109を介して第4センサS4からの出力信号に基づいて通帳類1の通過を検知してから所定量だけ通帳類1を搬送したのに基づいて、媒体搬送制御回路108を制御し、搬送ローラ対13の駆動を一端停止する。そして、CPU100は、通帳類1上における印刷頁10の転写開始位置と転写部4における転写位置とを整合するよう媒体搬送制御回路108を制御し、搬送ローラ対13を駆動することにより通帳類1の位置を微調整する。
【0066】
一方、CPU100は、印刷開始指示を受信したのに基づいて、モータ制御回路107を制御して搬送機構30を駆動し、印刷部3において所定情報が印刷された中間転写フィルム28を順搬送する。そして、CPU100は、センサ入力回路109を介して第2センサS2からの出力信号に基づいて送出された中間転写フィルム28に含まれるマークを検知する。
【0067】
続いて、CPU100は、検知したマークの位置を基準として中間転写フィルム28の送出量を算出する。すなわち、CPU100は、第2センサS2の位置でマークを検知してから、中間転写フィルム28における所定の転写開始位置がヒートローラ26による転写位置に到達するまでの中間転写フィルム28の送出量を算出する。
【0068】
続いて、CPU100は、算出した送出量に基づいてモータ制御回路107を制御して搬送機構30を駆動して、中間転写フィルム28を所定の送出量だけ送出し、中間転写フィルム28の所定の転写開始位置を転写部4における転写位置に到達させる。
【0069】
続いて、CPU100は、ヒータ温度制御回路105を制御して、ヒータ65を駆動し、ヒートローラ26を所定の温度に加熱する。そして、CPU100は、所定のタイミングでヒートローラ回転制御回路106を制御して、ヒートローラ26を回転させる。これに基づき、CPU100は、モータ制御回路107を制御して搬送機構30を駆動することにより中間転写フィルム28を順搬送するとともに、供給部制御回路110を制御して供給部70を駆動することにより補強部材72を搬送する。また、同時に、CPU100は、媒体搬送制御回路108を制御して搬送ローラ対13を駆動して通帳類1を搬送する。
【0070】
すなわち、互いに位置決めされた中間転写フィルム28、通帳類1、及び、補強部材72は、円筒面の一部が切り欠かれた形状のカット面35Aを有するヒートローラ26の回転とともに重ね合わされる。このとき、中間転写フィルム28の搬送方向に直交する幅方向に対して、通帳類1の印刷頁10の綴目部が平行となるよう互いに重ね合わせて転写を開始する。このとき、ヒートローラ26及びバックアップローラ27により、通帳類1の印刷頁10側に中間転写フィルム28が加圧されながら加熱されると同時に、通帳類1の印刷頁10の裏側に補強部材72が加圧されながら加熱される。
【0071】
その後、通帳類1に対して60°〜110°の角度をもって中間転写リボン28のフィルム基材28Aが引き上げられて、所定情報が印刷された受像層28D及びホログラムを有する保護層28Cが通帳類1の印刷頁10に転写される。また、通帳類1に対して60°〜110°の角度をもって補強部材72のフィルム基材72Aが引き下げられて、接着層72D及びホログラムを有する保護層72Cが通帳類1の印刷頁10の裏面に転写される。
【0072】
CPU100は、さらに媒体搬送制御回路108を制御して、搬送ローラ対13を駆動し、転写が完了した通帳類1を排出させる。
上述したような印刷動作及び転写動作により、被転写媒体1の印刷頁10上に所定情報を印刷することが可能となる。
【0073】
以上説明した印刷装置20によれば、中間転写フィルムに印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面へ転写し、補強部材を被転写媒体の他方の主面へ転写するため、被転写媒体の機械的強度を増強することができるとともに、薬品や溶剤などの浸入を防止することができ、印刷・転写された所定情報を高画質の状態で維持することが可能となる。
【0074】
また、所定情報の被転写媒体への転写動作と並行して補強部材の被転写媒体への転写動作を行うため、被転写媒体を補強するための工程を別途用意する必要がなく、コストアップを抑制できる。
【0075】
さらに、補強部材の接着層の軟化点が中間転写フィルムの受像層の軟化点よりも低く設定されている。このため、補強部材に加わる熱が中間転写フィルムに加わる熱より下がっても、補強部材の接着層を容易に接着することができる。したがって、補強部材を転写するためにヒートローラを別個に設ける必要がないばかりでなく、補強部材を転写するためにヒートローラの温度を必要以上に上げる必要がなく、補強部材を転写しない場合と同等の温度に設定すればよい。
【0076】
また、中間転写フィルムの受像層と補強部材の接着層とを同一の材質で構成した場合、被転写媒体の一方の主面に転写された受像層と他方の主面に転写された接着層とによる被転写媒体のカールを相殺することができる。
【0077】
(第2実施形態)
図7に示すように、第2実施形態に係る印刷装置においては、概略的な構成は図1に示した第1実施形態に係る印刷装置と同様であり、印刷動作及び転写動作についても同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0078】
第1実施形態に係る印刷装置では、印刷頁10を開いた状態の通帳類1は、取込口から取り込まれ、同じ取込口から排出されていたが、第2実施形態に係る印刷装置では、印刷頁を開いた状態の通帳類1は、取込口24から取り込まれ、排出口25から排出される点が異なっている。すなわち、図7に示すように、転写動作の際、一定方向に通帳類1を搬送すれば良く、通帳類1の搬送機構を簡素化できる。
【0079】
また、図7に示すように、通帳類1は、印刷頁10を開いた状態で綴目に対して平行な方向に沿って搬送される。すなわち、中間転写フィルム28及び補強部材72の転写動作は、綴目に沿って行われる(図1に示した印刷装置では、中間転写フィルム28及び補強部材72の転写動作は、綴目に直交する方向に沿って行われる)。つまり、中間転写フィルム28及び補強部材72の転写方向は、第1実施形態と90度異なっている。
【0080】
このように構成することで、通帳類1の綴目に平行に転写動作を行うことができるため、ヒートローラ26が通帳類1の綴目に触れないようにさえしておけば、綴目に余計な転写膜を転写することがない。また、綴目に直交する方向に沿って転写動作を行う場合には、印刷頁の破損を防止するために綴目側から転写動作を開始する必要があるが、図7に示したような第2実施形態の場合、印刷頁の向きにかかわらず一定の方向で転写動作を行っても、転写方向が綴目に沿っているため、印刷頁の破損を防止することができる。
【0081】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る印刷装置は、図8に示すような構造のヒートローラ26を備えている。
【0082】
すなわち、このヒートローラ26は、円筒状の主面26aと平坦面26bとを組み合わせた形状を有し、回転軸に対して垂直な平面において、ほぼ半円形状の断面を有している。また、このヒートローラ26は、主面26aから突出した突部26cを有している。この突部26cのエッジ形状は、1つ以上の直線もしくは1つ以上の曲線のいずれか、または、これらの組み合わせによって形成される。図8に示した例では、突部26cのエッジ形状は、ギザギザ状の直線の組み合わせによって形成されている。また、突部26cの主面26aからの高さが同一であれば、主面26a上に複数の凸部を設けても良い。
【0083】
このような構造のヒートローラ26を備えた印刷装置においては、転写部4の転写位置において、ヒートローラ26とバックアップローラ27との間に配置された中間転写フィルム28及び補強部材72を同一パターンで被転写媒体1に同時に転写する。すなわち、転写部4においては、ヒートローラ26の表面に形成された凸部26cの形状に対応したパターンで中間転写フィルム28の所定情報等及び補強部材72の接着層等を被転写媒体1に転写する。
【0084】
図9に、図8のヒートローラ26を用いて転写した場合、排出された被転写媒体1と補強部材72の状態を概略的に示す。ヒートローラ26の突部26cのエッジ形状に沿って加圧・加熱されるため、印刷頁10の一方の主面には中間転写フィルム28の受像層28D及び保護層28Cが転写され、印刷頁10の他方の主面には補強部材72の接着層72D及び保護層72Cが転写され、それ以外の部分は転写されずに中間転写フィルム28のフィルム基材28Aや補強部材72のフィルム基材72Aに残る。
【0085】
なお、図10の(a)乃至(d)は、ヒートローラ26における突部26cのエッジ形状の他の例に基づく転写膜の転写例である。突部26cのエッジ形状は、例えば、(a)に示すような複数の直線を組み合わせたぎざぎざ形状、(b)に示すような曲線と直線とを組み合わせた形状、(c)に示すような複数の凸部を配置した形状、(d)に示すような転写膜が突部26cのエッジと被転写媒体の短太で形成される形状などが考えられる。
【0086】
この転写した部分のエッジ形状がヒートローラ26の突部26cの形状と異なる場合には、このヒートローラを備えた印刷装置で転写したものではないことがわかり、偽造あるいは変造したものであると容易に判断がなされる。このため、ヒートローラ表面に小さい凸部を設けることは、偽変造防止になる。
【0087】
また、紫外線カット性のある樹脂を用いて形成した保護層28Cを備えた中間転写フィルム28と、紫外線励起型の蛍光塗料を分散した保護層72Cを備えた補強部材72とを用いて、図8に示したようなヒートローラ26で転写を行った場合を考える。
【0088】
このような中間転写フィルム28の保護層28Cを含む転写膜及び補強部材72の保護層72Cを含む転写膜を転写した被転写媒体に対して、中間転写フィルム28の転写面側から紫外線を照射した場合、補強部材72の転写膜と中間転写フィルム28の転写膜とは同一形状をしているため、中間転写フィルム28の保護層28Cにより紫外線が遮られ、補強部材72の保護層72Cに分散された蛍光塗料の発光を確認することはできない。
【0089】
次に、どちらか一方の転写膜が別の装置で転写された場合は、中間転写フィルム28の保護層28Cを含む転写膜と補強部材72の保護層72Cを含む転写膜との形状が異なる。このため、中間転写フィルム28の転写面側から紫外線を照射した場合、形状の異なる補強部材72の保護層72Cが紫外線によって励起されて蛍光発色するため、確認できるようになる。つまり、偽変造されたことを容易に判別することができる。また、紫外線を補強部材72側から照射して、蛍光発色するか否かを確認するだけで、偽造の痕跡を確認することができる。
【0090】
以上説明したように、この印刷装置及び印刷方法によれば、被転写媒体を補強することができ、印刷・転写された所定情報を高画質の状態で維持することができる。また、被転写媒体を補強するための工程を別途用意する必要がなく、印刷物を安価に作成することができる。
【0091】
また、補強部材は、被転写媒体の他方の主面側に加わる熱が一方の主面側に加わる熱より小さくなっても、被転写媒体の他方の主面に接着することができる。このため、補強部材を転写するためのヒートローラを別個に設ける必要がなくなるため、装置の低電力化、低価格化、小型化を実現できる。
さらに、ヒートローラに所定形状の突部を設け、この突部の形状に対応して中間転写フィルム及び補強部材を同一パターンで転写することにより、印刷物の偽変造を容易に発見することができる。
【0092】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合組み合わせによる効果が得られる。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、被転写媒体を補強しつつ印刷・転写された所定情報を高画質の状態で維持可能な印刷装置及び印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の第1実施形態に係る印刷装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置に適用可能な中間転写フィルムの構造を概略的に示す断面図である。
【図3】図3の(a)は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置に適用可能なインクリボンの構造を概略的に示す平面図であり、図3の(b)は、このインクリボンの断面図である。
【図4】図4は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置に適用可能な補強部材の構造を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置に適用されるヒートローラの構造を概略的に示す断面図である。
【図6】図6は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置の制御系を概略的に示すブロック図である。
【図7】図7は、この発明の第2実施形態に係る印刷装置の構成を概略的に示す図である。
【図8】図8は、この発明の第3実施形態に係る印刷装置に適用されるヒートローラの構造を概略的に示す図である。
【図9】図9は、図8に示したヒートローラによって転写された補強部材の状態を示す図である。
【図10】図10の(a)乃至(d)は、第3実施形態に係る印刷装置によって転写された転写膜の転写例を示す図である。
【符号の説明】
1…被転写媒体
3…印刷部(印刷手段)
4…転写部(転写手段)
20…印刷装置
26…ヒートローラ
27…バックアップローラ
28…中間転写フィルム
30…搬送機構(搬送手段)
70…供給部(供給手段、補強手段)
72…補強部材
100…CPU
【発明の属する技術分野】
この発明は、印刷装置及び印刷方法に係り、特に、中間転写媒体に印刷した所定情報を通帳類等の被転写媒体に転写する印刷装置及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カード類や通帳類などの被転写媒体の表面状態になるべく影響を受けることなく高画質な印刷を行う印刷装置が求められれている。つまり、特殊な表面コートをしないと十分な表面平滑性が得られないなど、溶融転写印刷方式において印刷面上に直接印刷する上で障害となる要因を許容する印刷方式が求められている、と言い換えられる。
【0003】
そこで、中間転写媒体としての中間転写フィルムを用いる中間転写方式の印刷装置が提案されている。この印刷装置の印刷部では、所定の印刷位置に配置されたサーマルヘッドが所定情報に応じて発熱してインクリボンのインクを溶融することにより、印刷位置に供給された中間転写フィルムの表面に文字やバーコードなどの所定情報が印刷される。
【0004】
印刷装置の転写部では、所定情報が印刷された中間転写フィルムがヒートローラとバックアップローラとの間に送り込まれる。このとき、印刷頁が中間転写フィルムに対向するように配置された被転写媒体がヒートローラとバックアップローラとの間に送り込まれる。この状態からヒートローラが回転されて中間転写フィルム及び被転写媒体がバックアップローラに押し付けられるとともに加熱されることにより、所定情報が被転写媒体の表面に転写される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した印刷装置において、以下のような問題がある。すなわち、被転写媒体として通帳類のような紙が適用された場合、頁を繰り返しめくったときに破れるおそれがある。また、印刷頁の裏面から薬品や溶剤などが浸入した際に、インクが変質して印刷・転写された所定情報の画質が劣化するおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、被転写媒体を補強しつつ印刷・転写された所定情報を高画質の状態で維持可能な印刷装置及び印刷方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の様態による印刷装置は、
中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
前記印刷手段により前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写する転写手段と、
被転写媒体の他方の主面を補強部材によって補強する補強手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の第2の様態による印刷装置は、
中間転写媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
補強部材を供給する供給手段と、
前記印刷手段により前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写するとともに前記供給手段により供給された補強部材を被転写媒体の他方の主面に転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の第3の様態による印刷装置は、
中間転写媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
補強部材を供給する供給手段と、
転写位置において、被転写媒体の一方の主面側に配置された前記中間転写媒体と被転写媒体の他方の主面側に配置された補強部材とを圧着かつ加熱する対向配置されたヒートローラ及びバックアップローラを備え、前記中間転写媒体に印刷された所定情報及び補強部材を同一パターンで被転写媒体に並行して転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の第4の様態による印刷方法は、
中間転写媒体に所定情報を印刷し、
前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写し、
被転写媒体の他方の主面を補強部材によって補強する、
ことを特徴とする。
【0011】
この発明の第5の様態による印刷方法は、
中間転写媒体を搬送し、
搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷し、
補強部材を供給し、
前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写するのと並行して供給された補強部材を被転写媒体の他方の主面に転写する、
ことを特徴とする。
【0012】
この発明の第6の様態による印刷方法は、
中間転写媒体を搬送し、
搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷し、
補強部材を供給し、
転写位置において、被転写媒体の一方の主面側に配置された中間転写媒体と被転写媒体の他方の主面側に配置された補強部材とを圧着かつ加熱することにより、中間転写媒体に印刷された所定情報及び補強部材を同一パターンで被転写媒体に並行して転写する、
ことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態に係る印刷装置及び印刷方法について図面を参照して説明する。この印刷装置は、カード類の他に、通帳類のような冊子状の被転写媒体への所定情報の印刷と、印刷面の保護膜付与とを並行して行う中間転写方式の印刷装置である。
【0014】
(第1実施形態)
図1に示すように、印刷装置20は、印刷手段として機能する印刷部3、搬送手段として機能する搬送機構30、転写手段として機能する転写部4、供給手段として機能する供給部70などを備えて構成されている。
【0015】
すなわち、印刷部3は、中間転写媒体としての中間転写フィルム28に対して所定情報、すなわち識別情報や顔画像情報などの印刷情報を印刷する。この印刷部3は、熱転写方式であり、サーマルヘッド5、このサーマルヘッド5に対向配置されたプラテンローラ6などを備えている。
【0016】
この印刷装置20に適用される中間転写フィルム28は、図2に示すように、長尺フィルム状のフィルム基材28Aの一面に、ワックスよりなる離型層28B、樹脂よりなる保護層28C、受像層28Dの順に積層して形成されている。フィルム基材28Aは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのフィルム状合成樹脂が好適に用いられる。この実施の形態では、25μm厚のPETを用いている。
【0017】
受像層28Dは、後述するインクリボン7のインク層と相性が良いこと、受像表面が平滑であることが要求され、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂あるいはこれらの混合樹脂などが好適に用いられる。この実施の形態では、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂を主成分とした混合樹脂を用いて、厚さ5μmで保護層28C上にコートされている。
【0018】
ここで、保護層28Cは、ホログラムなどを含み、偽変造防止策を施してもよい。この実施の形態では、ホログラムを有する保護層28Cを用いており、保護層28Cの厚みは10μmとしている。
【0019】
サーマルヘッド5とプラテンローラ6との間には、図3の(a)及び(b)に示すような例えばイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の溶融インクをダンダラ(段だら)状に有したインクリボン7及び中間転写フィルム28が介在されている。
【0020】
インクリボン7は、長尺フィルム状の支持体7Aの一面に、熱溶融性のインク層を有している。このインク層は、例えばインクリボンの供給方向に沿ってシアンインク層7C、マゼンタインク層7M、イエローインク層7Y、ブラックインク層7Kの順に並んで形成されている。ここで、インク層の配置順序は、図3の(a)及び(b)に示した順序である必要性はなく、インク層の透明度などから決まる順序で並べても良い。
【0021】
各インク層の供給方向に沿った長さは、印刷される所定情報の長さに応じて適宜設定される。この実施の形態では、シアンインク層7C、マゼンタインク層7M、及び、イエローインク層7Yは、供給方向に沿って例えば90mmの長さを有し、ブラックインク層7Kは、供給方向に沿って例えば125mmの長さを有している。
【0022】
支持体7Aは、例えば、2〜6μm程度の厚さを有し、PETなどの合成樹脂フィルムによって形成される。この実施の形態では、4.5μm厚のPETを用いている。インク層は、樹脂からなるバインダ中に、無機顔料、有機顔料、微粒子などを分散したものである。バインダとしては、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、飽和ポリエステル樹脂などの熱溶融性で無色透明あるいは単色透明の樹脂で融点が約60℃〜約100℃のものが好適に用いられる。この実施の形態においては、中間転写フィルム28との相性から飽和ポリエステル樹脂を主成分とするバインダを用いている。また、微粒子は、顔料の分散剤などであるが、この実施の形態では、シリカを含有している。
【0023】
各色のインク層のドットを順次重ねて転写し、所望の色を表現するため、先に転写してあるインク層が厚いと、そのドットの凹凸の影響を強く受け、転写不良やドットの欠けなどを生じる場合があるため、インク層の厚みはできる限り薄い方が好ましく、1μm以下であることが望ましい。この実施の形態では、0.6μmとしている。
【0024】
この印刷部3では、このようなインクリボン7を用いてカラー印刷や黒色などの単色印刷が可能である。このインクリボン7は、図1に示すように、その一端部が送出軸8に巻き付けられ、その他端部が巻取軸9に巻き付けられている。送出軸8から送出されたインクリボン7の中途部は、ガイドシャフト21a、21bに掛け渡されている。
【0025】
なお、インクリボン7としては、単色インクのみのリボンでも良く、また、紫外線の照射によって発光する蛍光塗料インク、さらに、光沢面も持つ印刷用の金属薄膜(アルミ蒸着)層、或いは、印刷用のホログラム層等の機能を有するリボン材料を有していても良い。
【0026】
サーマルヘッド5は、発熱体をインクリボン7の供給方向に直交する方向(交差する方向)に一列に配置したライン型サーマルヘッドであり、所定の印刷位置において、中間転写フィルム28の印刷開始位置から所定情報を印刷する。プラテンローラ6は、正逆両方向に独立に駆動可能であり、中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。
【0027】
搬送機構30は、所定情報を有する中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。この搬送機構30は、第1軸31A及び第2軸31Bを有し、一方の軸から他方の軸に向かって中間転写フィルム28を搬送可能である。すなわち、中間転写フィルム28は、その一端側が印刷部3の上部側に設けられた第2軸31Bに巻き付けられ、その他端側が印刷部3の下部側に設けられた第1軸31Aに巻き付けられている。
【0028】
第1軸31A及び第2軸31Bは、それぞれ駆動モータM1及びM2によって駆動され、正逆両方向に独立に駆動可能である。また、これら第1軸31A及び第2軸31Bを駆動する駆動モータM1及びM2は、後述するモータ制御回路107によって駆動制御され、印刷部3における印刷位置及び転写部4における転写位置に向けて中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。
【0029】
第1軸31Aが中間転写フィルム28を巻き取る巻取軸として機能する場合、第2軸31Bが中間転写フィルム28を送出する送出軸として機能する。このとき、中間転写フィルム28は、順方向Aに搬送される(順搬送)。また、第2軸31Bが中間転写フィルム28を巻き取る巻取軸として機能する場合、第1軸31Aが中間転写フィルム28を送出する送出軸として機能する。このとき、中間転写フィルム28は、逆方向Bに搬送される(逆搬送)。
【0030】
また、搬送機構30は、プラテンローラ6と転写部4との間に配置された搬送ローラ32を備えている。この搬送ローラ32は、印刷部3にて所定情報を印刷された中間転写フィルム28を所定の搬送速度で搬送する。また、この搬送ローラ32は、その表面が硬度30度乃至60度の範囲のゴム材料で構成されたローラである。中間転写フィルム28は、搬送ローラ32に対してできるだけ巻き付き角が大きい方が望ましい。この実施の形態では、90°乃至130°の巻き付き角で巻きついている。この搬送ローラ32は、5相ステッピングモータ32A、タイミングベルト32B、及び、プーリ32Cによる減速機構を組み合わせて、正確に中間転写フィルム28の搬送を行う。
【0031】
第2軸31B及び第1軸31Aとの間では、中間転写フィルム28の中途部がガイドシャフト31a〜31cに掛け渡され、ほぼ一定のあるいは所定のテンションに維持されている。ガイドシャフト31cは、ヒートローラ26を通過した後に中間転写フィルム28と被転写媒体1とを剥離する剥離ガイドとして機能する。
【0032】
供給部70は、紙などの被転写媒体の主面を補強するための補強部材72を転写部4の転写位置に供給する。補強部材72は、その一端部が送出軸74に巻き付けられ、その他端部が巻取軸76に巻き付けられている。送出軸74から送出された補強部材72の中途部は、ガイドシャフト78a、78bに掛け渡されている。
【0033】
図4に示すように、この補強部材72は、長尺フィルム状のフィルム基材72Aの一面に、ワックスよりなる離型層72B、樹脂よりなる保護層72C、接着層72Dの順に積層して形成されている。フィルム基材72は、PETやPENなどのフィルム状合成樹脂が好適に用いられる。この実施の形態では、25μm厚のPETを用いている。
【0034】
接着層72Dは、被転写媒体のカールなどを防ぐため、中間転写フィルム28の受像層28Dと同系の樹脂によって形成することが好ましく、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂あるいはこれらの混合樹脂などが好適に使われる。この実施の形態では、中間転写フィルム28の受像層28Dと同じく、ウレタン系樹脂とエポキシ系樹脂を主成分とした混合樹脂を用いて、厚さ5μmで保護層72C上にコートされている。
【0035】
ここで、後述するように、転写部4の転写位置において、中間転写フィルム28側に配置された一つのヒートローラ26で、中間転写フィルム28の受像層28Dと補強部材72の接着層72Dとを被転写媒体にともに並行して転写する場合、補強部材72の接着層72Dでの温度が、中間転写フィルム28の受像層28Dでの温度よりも低くなってしまう。
【0036】
これによる転写不良を防ぐために、補強部材72の接着層72Dの軟化点は、中間転写フィルム28の受像層28Dの軟化点よりも低く調整されている。この実施の形態では、接着層72Dの軟化点は、受像層28Dの軟化点より20℃ほど低くなるよう樹脂を調合している。
【0037】
また、補強部材72の保護層72Cにも、ホログラムなどの偽変造防止策を施しても良い。また、接着層72Dに予め文字、蛍光インクなどで画像情報を印刷しておいても良い。こうすることで、偽変造防止効果を強化することができる。この実施の形態では、ホログラムを有する保護層72Cを用いており、保護層72Cの厚みは10μmとしている。
【0038】
転写部4は、中間転写フィルム28に印刷された所定情報を被転写媒体1の一方の主面に転写するのと並行して、供給部70から供給された補強部材を被転写媒体1の他方の主面に転写する。より詳細には、中間転写フィルム28の受像層28D上に印刷された所定情報は、受像層28D及び保護層28Cとともに被転写媒体1の一方の主面に転写され、これと並行して、補強部材72の接着層72Dは、保護層72Cとともに被転写媒体1の他方の主面に転写される。
【0039】
この転写部4は、ヒートローラ26、このヒートローラ26に対向配置されたバックアップローラ27などを備えている。ヒートローラ26は、DCサーボモータもしくはステッピングモータにより正確な一定速度で駆動可能である。回転自在なバックアップローラ27は、ヒートローラ26との間に所定の圧力がかかるようにコイルバネ27Cによってヒートローラ26方向に付勢されている。
【0040】
このヒートローラ26とバックアップローラ27との間には、被転写媒体1、中間転写フィルム28、及び、補強部材72が介在されている。すなわち、被転写媒体1のヒートローラ26側には、印刷された所定情報が向かい合うように中間転写フィルム28が配置され、被転写媒体1のバックアップローラ27側には、補強部材72の接着層72Dが向かい合うように配置される。
【0041】
図5に示すように、ヒートローラ26は、円筒状の主面と平坦面とを組み合わせた形状を有し、回転軸に対して垂直な平面において、ほぼ半円形状の断面を有している。すなわち、このヒートローラ26は、芯金35を有している。この芯金35は、その一部の外周面に平面状にカットされたカット面35Aを有している。芯金35の内部には、加熱減としてのヒータ65が設けられている。芯金35の円弧部35Bの外周面には、厚さ1mm〜2mmの耐熱性ゴム36が被覆されている。
【0042】
なお、耐熱性ゴム36は、芯金35の円弧部35Bのみならず、カット面35Aを含む全周を覆っても良い。また、ヒートローラ26は、耐熱性ゴムがなくて芯金のみでもよい。この場合、ヒートローラ表面には、汚れの付着防止のテフロン加工などを行うことが望ましい。
【0043】
このヒートローラ26は、その円弧部35Bの周方向に沿った長さが被転写媒体1の転写エリアの長さ(または、中間転写フィルム28の転写長さ及び補強部材72の転写長さ)と略同等もしくはそれ以上の長さになるように形成されている。また、このヒートローラ26は、その円弧部35の軸方向に沿った長さが被転写媒体1の転写エリアの幅(または、中間転写フィルム28の転写幅及び補強部材72の転写幅)と略同等もしくはそれ以上の長さになるように形成されている。
【0044】
このようなヒートローラ26は、印刷待機時においては、そのカット面35Aを被転写媒体の搬送路11に対してほぼ並行に対向して配置されている。これにより、ヒートローラ26とバックアップローラ27との間には、被転写媒体1を容易に配置可能な隙間が形成されている。このとき、中間転写フィルム28及び補強部材72は、ヒートローラ26及びバックアップローラ27に接触していない。
【0045】
このヒートローラ26は、転写時にのみ回転し、中間転写フィルム28に接触する。すなわち、中間転写フィルム28への印刷動作に伴って、中間転写フィルム28は、ヒートローラ26及びバックアップローラ27に接触することなく搬送される。転写時には、これらヒートローラ26及びバックアップローラ27は、転写位置(ヒートローラ26とバックアップローラ27とが接触している位置)において、中間転写フィルム28及び補強部材72を被転写媒体1に一定の圧力で圧着しつつヒータ65からの熱によって加熱することにより、中間転写フィルム28の転写開始位置から中間転写フィルム28上に印刷された所定情報を被転写媒体1の一方の主面に転写するのと並行して補強部材72を被転写媒体1の他方の主面に転写する。
【0046】
図1に示すように、テンション機構80は、搬送ローラ32と転写部4との間に配置される。このテンション機構80は、搬送機構30によって搬送される中間転写フィルム28に対して所定テンションを付与する。すなわち、テンション機構80は、搬送される中間転写フィルム28にたるみが生じても、中間転写フィルム28に対して所定のテンションを付与して、たるみを改善することができる。
【0047】
被転写媒体搬送部2は、被転写媒体(この実施の形態では印刷頁を開いた状態の通帳類)1を搬送路11に沿って転写部4の転写位置まで搬送する搬送ローラ対13を備えている。すなわち、この搬送ローラ対13は、正方向に回転し、被転写媒体1の印刷頁における転写開始位置がヒートローラ26による転写位置に整合するように被転写媒体1を搬送する。また、この搬送ローラ対13は、逆方向に回転し、転写部4における転写動作が終了した被転写媒体1を排出する。
【0048】
中間転写フィルム28の供給路上には、第1センサS1及び第2センサS2が配置されている。これら第1センサS1及び第2センサS2は、後述する中間転写フィルム28の有効領域の外側に配置されたバーマークを検知するための出力信号を出力する。また、被転写媒体1の搬送路11上には、第3センサS3及び第4センサS4が配置されている。これら第3センサS3及び第4センサS4は、挿入された被転写媒体1の有無を検知するための出力信号を出力する。なお、これら第1乃至第4センサS1乃至S4は、例えば透過型センサであり、一対の発光部及び受光部を備えて構成されているが、反射型センサによって構成されてもよい。
【0049】
図6に示すように、印刷装置20は、装置全体を制御する制御手段として機能するCPU100を備えている。
【0050】
このCPU100には、メモリ部101、インタフェース部102などが接続されている。メモリ部101は、装置全体の駆動を制御するための制御プログラムなどを記憶している。また、メモリ部101は、インタフェース部102を介して受信した印刷データなどを一時的に記憶する。インタフェース部102は、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷に必要な印刷データを受信する。
【0051】
また、CPU100には、サーマルヘッド制御回路103、インクリボン搬送制御回路104、ヒータ温度制御回路105、ヒートローラ回転制御回路106、モータ制御回路107、媒体搬送制御回路108、センサ入力回路109、供給部制御回路110などが接続されている。
【0052】
サーマルヘッド制御回路103は、印刷データに基づいてサーマルヘッド5の印刷動作を制御する。インクリボン搬送制御回路104は、印刷部3における搬送機構として機能する送出軸8及び巻取軸9の駆動を制御する。ヒータ温度制御回路105は、ヒートローラ26内部のヒータ65を駆動して、ヒートローラ26を所定の温度に維持するよう制御する。
【0053】
ヒートローラ回転制御回路106は、ヒートローラ26の回転駆動を制御する。モータ制御回路107は、搬送機構30を構成するプラテンローラ6、第1軸31A、第2軸31B、及び、搬送ローラ32の駆動を制御する。媒体搬送制御回路108は、搬送ローラ対13の駆動を制御して被転写媒体1を取り込み、所定の転写位置まで搬送し、転写完了した被転写媒体1を排出する。
【0054】
センサ入力回路109は、第1センサS1及び第2センサS2から出力信号に基づいて中間転写フィルム28のバーマークを検知する。また、センサ入力回路109は、第3センサS3及び第4センサS4から出力信号に基づいて被転写媒体1の有無を検知する。供給部制御回路110は、供給部70の駆動を制御する。
【0055】
次に、印刷装置20の印刷部3による中間転写フィルム28へ所定情報の印刷動作について説明する。
【0056】
すなわち、印刷装置20のCPU100は、印刷開始指示を受信したのに基づいて、モータ制御回路107を制御して、搬送機構、すなわちプラテンローラ6、搬送ローラ32、第1軸31A、及び第2軸31Bを駆動し、中間転写フィルム28を送出する。そして、CPU100は、センサ入力回路109を介して第1センサS1からの出力信号に基づいて、送出された中間転写フィルム28に含まれるマークを検知する。
【0057】
続いて、CPU100は、検知したマークの位置を基準として中間転写フィルム28の送出量を算出する。すなわち、CPU100は、第1センサS1の位置でマークを検知してから、中間転写フィルム28における所定の印刷開始位置がサーマルヘッド5による印刷位置に到達するまでの中間転写フィルム28の送出量を算出する。
【0058】
続いて、CPU100は、算出した送出量に基づいてモータ制御回路107を制御して搬送機構30を駆動し、中間転写フィルム28を所定の送出量だけ送出し、中間転写フィルム28の所定の印刷開始位置をサーマルヘッド5による印刷位置に到達させる。
【0059】
続いて、CPU100は、印刷データに基づいてサーマルヘッド制御回路103を制御し、サーマルヘッド5を駆動して、中間転写フィルム28の受像層28D上における印刷開始位置からインクリボン7の所定の色のインク層を転写してカラーまたは黒色の所定情報45を印刷する。
【0060】
例えばカラー印刷を行う場合、まず、CPU100は、インクリボン搬送制御回路104を制御して搬送機構8及び9を駆動し、インクリボン7のシアンインク層7Cの頭出しを行う。中間転写フィルム28及びインクリボン7の搬送中においては、プラテンローラ6から離間していたサーマルヘッド5は、サーマルヘッド制御回路103の制御に基づいてプラテンローラ6に押し当てられ、印刷データに基づいてサーマルヘッド5の発熱体が選択的に給電されて発熱することにより、インクリボン7のインク層が溶融されて中間転写フィルム28の受像層28D表面に転写される。
【0061】
シアンインク層7Cによる中間転写フィルム28への印刷動作が完了したのに基づいて、CPU100は、サーマルヘッド制御回路103を制御してサーマルヘッド5をプラテンローラ6から離間させる一方で、モータ制御回路107を制御して中間転写フィルム28を逆搬送して頭出しを行うとともに、インクリボン搬送制御回路104を制御してインクリボン7のマゼンタインク層7Mの頭出しを行う。そして、同様に、印刷データに基づいてサーマルヘッド5の発熱体が発熱することにより、インクリボン7のインク層が溶融されて中間転写フィルム28の受像層28D表面に転写される。
【0062】
さらに、イエローインク層7Y及びブラックインク層7Kについても同様の動作を繰り返すことにより、カラー印刷が行われる。このように、印刷される所定情報は、黒色などの単色印刷でも良く、また、Y、M、C、Kの4色を重ね合わせたカラー印刷でも良い。必要に応じて、インクリボンを単色や複数色繰り返し塗布すればよい。また、文字印刷のために溶融黒インクを使用し、カラー印刷のためにY、M、C、Kの昇華染料が繰り返し塗布されても良い。複数色の重ね合わせ印刷の場合は、中間転写フィルム28がサーマルヘッド5を色数と同じ回数だけ往復することで行われる。
【0063】
次に、印刷装置の転写部4による被転写媒体1への所定情報の転写動作について説明する。
【0064】
すなわち、印刷装置20のCPU100は、センサ入力回路109を介して第4センサS4からの出力信号に基づいて被転写媒体1としての通帳類の挿入を検知したのに基づいて、媒体搬送制御回路108を制御し、搬送ローラ対13を正方向に駆動して、印刷頁10が開かれた通帳類1を綴目に対して垂直な方向に沿って搬送する。このとき、ヒートローラ26は、図5に示すような印刷待機状態となっており、カット面35Aを搬送路11に対してほぼ平行に対向して配置されている。
【0065】
続いて、CPU100は、センサ入力回路109を介して第4センサS4からの出力信号に基づいて通帳類1の通過を検知してから所定量だけ通帳類1を搬送したのに基づいて、媒体搬送制御回路108を制御し、搬送ローラ対13の駆動を一端停止する。そして、CPU100は、通帳類1上における印刷頁10の転写開始位置と転写部4における転写位置とを整合するよう媒体搬送制御回路108を制御し、搬送ローラ対13を駆動することにより通帳類1の位置を微調整する。
【0066】
一方、CPU100は、印刷開始指示を受信したのに基づいて、モータ制御回路107を制御して搬送機構30を駆動し、印刷部3において所定情報が印刷された中間転写フィルム28を順搬送する。そして、CPU100は、センサ入力回路109を介して第2センサS2からの出力信号に基づいて送出された中間転写フィルム28に含まれるマークを検知する。
【0067】
続いて、CPU100は、検知したマークの位置を基準として中間転写フィルム28の送出量を算出する。すなわち、CPU100は、第2センサS2の位置でマークを検知してから、中間転写フィルム28における所定の転写開始位置がヒートローラ26による転写位置に到達するまでの中間転写フィルム28の送出量を算出する。
【0068】
続いて、CPU100は、算出した送出量に基づいてモータ制御回路107を制御して搬送機構30を駆動して、中間転写フィルム28を所定の送出量だけ送出し、中間転写フィルム28の所定の転写開始位置を転写部4における転写位置に到達させる。
【0069】
続いて、CPU100は、ヒータ温度制御回路105を制御して、ヒータ65を駆動し、ヒートローラ26を所定の温度に加熱する。そして、CPU100は、所定のタイミングでヒートローラ回転制御回路106を制御して、ヒートローラ26を回転させる。これに基づき、CPU100は、モータ制御回路107を制御して搬送機構30を駆動することにより中間転写フィルム28を順搬送するとともに、供給部制御回路110を制御して供給部70を駆動することにより補強部材72を搬送する。また、同時に、CPU100は、媒体搬送制御回路108を制御して搬送ローラ対13を駆動して通帳類1を搬送する。
【0070】
すなわち、互いに位置決めされた中間転写フィルム28、通帳類1、及び、補強部材72は、円筒面の一部が切り欠かれた形状のカット面35Aを有するヒートローラ26の回転とともに重ね合わされる。このとき、中間転写フィルム28の搬送方向に直交する幅方向に対して、通帳類1の印刷頁10の綴目部が平行となるよう互いに重ね合わせて転写を開始する。このとき、ヒートローラ26及びバックアップローラ27により、通帳類1の印刷頁10側に中間転写フィルム28が加圧されながら加熱されると同時に、通帳類1の印刷頁10の裏側に補強部材72が加圧されながら加熱される。
【0071】
その後、通帳類1に対して60°〜110°の角度をもって中間転写リボン28のフィルム基材28Aが引き上げられて、所定情報が印刷された受像層28D及びホログラムを有する保護層28Cが通帳類1の印刷頁10に転写される。また、通帳類1に対して60°〜110°の角度をもって補強部材72のフィルム基材72Aが引き下げられて、接着層72D及びホログラムを有する保護層72Cが通帳類1の印刷頁10の裏面に転写される。
【0072】
CPU100は、さらに媒体搬送制御回路108を制御して、搬送ローラ対13を駆動し、転写が完了した通帳類1を排出させる。
上述したような印刷動作及び転写動作により、被転写媒体1の印刷頁10上に所定情報を印刷することが可能となる。
【0073】
以上説明した印刷装置20によれば、中間転写フィルムに印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面へ転写し、補強部材を被転写媒体の他方の主面へ転写するため、被転写媒体の機械的強度を増強することができるとともに、薬品や溶剤などの浸入を防止することができ、印刷・転写された所定情報を高画質の状態で維持することが可能となる。
【0074】
また、所定情報の被転写媒体への転写動作と並行して補強部材の被転写媒体への転写動作を行うため、被転写媒体を補強するための工程を別途用意する必要がなく、コストアップを抑制できる。
【0075】
さらに、補強部材の接着層の軟化点が中間転写フィルムの受像層の軟化点よりも低く設定されている。このため、補強部材に加わる熱が中間転写フィルムに加わる熱より下がっても、補強部材の接着層を容易に接着することができる。したがって、補強部材を転写するためにヒートローラを別個に設ける必要がないばかりでなく、補強部材を転写するためにヒートローラの温度を必要以上に上げる必要がなく、補強部材を転写しない場合と同等の温度に設定すればよい。
【0076】
また、中間転写フィルムの受像層と補強部材の接着層とを同一の材質で構成した場合、被転写媒体の一方の主面に転写された受像層と他方の主面に転写された接着層とによる被転写媒体のカールを相殺することができる。
【0077】
(第2実施形態)
図7に示すように、第2実施形態に係る印刷装置においては、概略的な構成は図1に示した第1実施形態に係る印刷装置と同様であり、印刷動作及び転写動作についても同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0078】
第1実施形態に係る印刷装置では、印刷頁10を開いた状態の通帳類1は、取込口から取り込まれ、同じ取込口から排出されていたが、第2実施形態に係る印刷装置では、印刷頁を開いた状態の通帳類1は、取込口24から取り込まれ、排出口25から排出される点が異なっている。すなわち、図7に示すように、転写動作の際、一定方向に通帳類1を搬送すれば良く、通帳類1の搬送機構を簡素化できる。
【0079】
また、図7に示すように、通帳類1は、印刷頁10を開いた状態で綴目に対して平行な方向に沿って搬送される。すなわち、中間転写フィルム28及び補強部材72の転写動作は、綴目に沿って行われる(図1に示した印刷装置では、中間転写フィルム28及び補強部材72の転写動作は、綴目に直交する方向に沿って行われる)。つまり、中間転写フィルム28及び補強部材72の転写方向は、第1実施形態と90度異なっている。
【0080】
このように構成することで、通帳類1の綴目に平行に転写動作を行うことができるため、ヒートローラ26が通帳類1の綴目に触れないようにさえしておけば、綴目に余計な転写膜を転写することがない。また、綴目に直交する方向に沿って転写動作を行う場合には、印刷頁の破損を防止するために綴目側から転写動作を開始する必要があるが、図7に示したような第2実施形態の場合、印刷頁の向きにかかわらず一定の方向で転写動作を行っても、転写方向が綴目に沿っているため、印刷頁の破損を防止することができる。
【0081】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る印刷装置は、図8に示すような構造のヒートローラ26を備えている。
【0082】
すなわち、このヒートローラ26は、円筒状の主面26aと平坦面26bとを組み合わせた形状を有し、回転軸に対して垂直な平面において、ほぼ半円形状の断面を有している。また、このヒートローラ26は、主面26aから突出した突部26cを有している。この突部26cのエッジ形状は、1つ以上の直線もしくは1つ以上の曲線のいずれか、または、これらの組み合わせによって形成される。図8に示した例では、突部26cのエッジ形状は、ギザギザ状の直線の組み合わせによって形成されている。また、突部26cの主面26aからの高さが同一であれば、主面26a上に複数の凸部を設けても良い。
【0083】
このような構造のヒートローラ26を備えた印刷装置においては、転写部4の転写位置において、ヒートローラ26とバックアップローラ27との間に配置された中間転写フィルム28及び補強部材72を同一パターンで被転写媒体1に同時に転写する。すなわち、転写部4においては、ヒートローラ26の表面に形成された凸部26cの形状に対応したパターンで中間転写フィルム28の所定情報等及び補強部材72の接着層等を被転写媒体1に転写する。
【0084】
図9に、図8のヒートローラ26を用いて転写した場合、排出された被転写媒体1と補強部材72の状態を概略的に示す。ヒートローラ26の突部26cのエッジ形状に沿って加圧・加熱されるため、印刷頁10の一方の主面には中間転写フィルム28の受像層28D及び保護層28Cが転写され、印刷頁10の他方の主面には補強部材72の接着層72D及び保護層72Cが転写され、それ以外の部分は転写されずに中間転写フィルム28のフィルム基材28Aや補強部材72のフィルム基材72Aに残る。
【0085】
なお、図10の(a)乃至(d)は、ヒートローラ26における突部26cのエッジ形状の他の例に基づく転写膜の転写例である。突部26cのエッジ形状は、例えば、(a)に示すような複数の直線を組み合わせたぎざぎざ形状、(b)に示すような曲線と直線とを組み合わせた形状、(c)に示すような複数の凸部を配置した形状、(d)に示すような転写膜が突部26cのエッジと被転写媒体の短太で形成される形状などが考えられる。
【0086】
この転写した部分のエッジ形状がヒートローラ26の突部26cの形状と異なる場合には、このヒートローラを備えた印刷装置で転写したものではないことがわかり、偽造あるいは変造したものであると容易に判断がなされる。このため、ヒートローラ表面に小さい凸部を設けることは、偽変造防止になる。
【0087】
また、紫外線カット性のある樹脂を用いて形成した保護層28Cを備えた中間転写フィルム28と、紫外線励起型の蛍光塗料を分散した保護層72Cを備えた補強部材72とを用いて、図8に示したようなヒートローラ26で転写を行った場合を考える。
【0088】
このような中間転写フィルム28の保護層28Cを含む転写膜及び補強部材72の保護層72Cを含む転写膜を転写した被転写媒体に対して、中間転写フィルム28の転写面側から紫外線を照射した場合、補強部材72の転写膜と中間転写フィルム28の転写膜とは同一形状をしているため、中間転写フィルム28の保護層28Cにより紫外線が遮られ、補強部材72の保護層72Cに分散された蛍光塗料の発光を確認することはできない。
【0089】
次に、どちらか一方の転写膜が別の装置で転写された場合は、中間転写フィルム28の保護層28Cを含む転写膜と補強部材72の保護層72Cを含む転写膜との形状が異なる。このため、中間転写フィルム28の転写面側から紫外線を照射した場合、形状の異なる補強部材72の保護層72Cが紫外線によって励起されて蛍光発色するため、確認できるようになる。つまり、偽変造されたことを容易に判別することができる。また、紫外線を補強部材72側から照射して、蛍光発色するか否かを確認するだけで、偽造の痕跡を確認することができる。
【0090】
以上説明したように、この印刷装置及び印刷方法によれば、被転写媒体を補強することができ、印刷・転写された所定情報を高画質の状態で維持することができる。また、被転写媒体を補強するための工程を別途用意する必要がなく、印刷物を安価に作成することができる。
【0091】
また、補強部材は、被転写媒体の他方の主面側に加わる熱が一方の主面側に加わる熱より小さくなっても、被転写媒体の他方の主面に接着することができる。このため、補強部材を転写するためのヒートローラを別個に設ける必要がなくなるため、装置の低電力化、低価格化、小型化を実現できる。
さらに、ヒートローラに所定形状の突部を設け、この突部の形状に対応して中間転写フィルム及び補強部材を同一パターンで転写することにより、印刷物の偽変造を容易に発見することができる。
【0092】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合組み合わせによる効果が得られる。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、被転写媒体を補強しつつ印刷・転写された所定情報を高画質の状態で維持可能な印刷装置及び印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の第1実施形態に係る印刷装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置に適用可能な中間転写フィルムの構造を概略的に示す断面図である。
【図3】図3の(a)は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置に適用可能なインクリボンの構造を概略的に示す平面図であり、図3の(b)は、このインクリボンの断面図である。
【図4】図4は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置に適用可能な補強部材の構造を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置に適用されるヒートローラの構造を概略的に示す断面図である。
【図6】図6は、この発明の一実施の形態に係る印刷装置の制御系を概略的に示すブロック図である。
【図7】図7は、この発明の第2実施形態に係る印刷装置の構成を概略的に示す図である。
【図8】図8は、この発明の第3実施形態に係る印刷装置に適用されるヒートローラの構造を概略的に示す図である。
【図9】図9は、図8に示したヒートローラによって転写された補強部材の状態を示す図である。
【図10】図10の(a)乃至(d)は、第3実施形態に係る印刷装置によって転写された転写膜の転写例を示す図である。
【符号の説明】
1…被転写媒体
3…印刷部(印刷手段)
4…転写部(転写手段)
20…印刷装置
26…ヒートローラ
27…バックアップローラ
28…中間転写フィルム
30…搬送機構(搬送手段)
70…供給部(供給手段、補強手段)
72…補強部材
100…CPU
Claims (13)
- 中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
前記印刷手段により前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写する転写手段と、
被転写媒体の他方の主面を補強部材によって補強する補強手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。 - 中間転写媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
補強部材を供給する供給手段と、
前記印刷手段により前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写するとともに前記供給手段により供給された補強部材を被転写媒体の他方の主面に転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。 - 長尺フィルム状でフィルム基材の一方の面に受像層を有した中間転写媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記中間転写媒体の受像層上に所定情報を印刷する印刷手段と、
長尺フィルム状でフィルム基材の他方の面に保護層を有した補強部材を供給する供給手段と、
前記印刷手段により前記中間転写媒体に印刷された所定情報を受像層とともに被転写媒体の一方の主面に転写するとともに前記供給手段により供給された補強部材の保護層を被転写媒体の他方の主面に転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。 - 補強部材に含まれる保護層の軟化点は、前記中間転写媒体に含まれる受像層の軟化点より低いことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
- 補強部材は、保護層上に積層された接着層を有し、この接着層は、前記中間転写媒体に含まれる受像層と同系の樹脂によって形成されたことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
- 中間転写媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷する印刷手段と、
補強部材を供給する供給手段と、
転写位置において、被転写媒体の一方の主面側に配置された前記中間転写媒体と被転写媒体の他方の主面側に配置された補強部材とを圧着かつ加熱する対向配置されたヒートローラ及びバックアップローラを備え、前記中間転写媒体に印刷された所定情報及び補強部材を同一パターンで被転写媒体に並行して転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。 - 前記ヒートローラは、円筒状の主面とこの主面から突出した突部とを有し、
前記転写手段は、前記ヒートローラの突部の形状に対応したパターンで前記中間転写媒体の所定情報及び補強部材を転写することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。 - 前記突部のエッジは、1つ以上の直線もしくは1つ以上の曲線のいずれか、または、これらの組み合わせによって形成されたことを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
- 前記中間転写媒体は、紫外線をカットする保護膜を有し、
補強部材は、紫外線励起型の蛍光塗料を分散した保護層を有し、
前記保護膜及び前記保護層は、被転写媒体に転写されることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の印刷装置。 - 中間転写媒体に所定情報を印刷し、
前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写し、
被転写媒体の他方の主面を補強部材によって補強する、
ことを特徴とする印刷方法。 - 中間転写媒体を搬送し、
搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷し、
補強部材を供給し、
前記中間転写媒体に印刷された所定情報を被転写媒体の一方の主面に転写するのと並行して供給された補強部材を被転写媒体の他方の主面に転写する、
ことを特徴とする印刷方法。 - 長尺フィルム状でフィルム基材の一方の面に受像層を有した中間転写媒体を搬送し、
搬送された前記中間転写媒体の受像層上に所定情報を印刷し、
長尺フィルム状でフィルム基材の他方の面に保護層を有した補強部材を供給し、
前記中間転写媒体に印刷された所定情報を受像層とともに被転写媒体の一方の主面に転写するのと並行して供給された補強部材の保護層を被転写媒体の他方の主面に転写する、
ことを特徴とする印刷方法。 - 中間転写媒体を搬送し、
搬送された前記中間転写媒体に所定情報を印刷し、
補強部材を供給し、
転写位置において、被転写媒体の一方の主面側に配置された前記中間転写媒体と被転写媒体の他方の主面側に配置された補強部材とを圧着かつ加熱することにより、前記中間転写媒体に印刷された所定情報及び補強部材を同一パターンで被転写媒体に並行して転写する、
ことを特徴とする印刷方法。
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JP2002239579A JP2004074636A (ja) | 2002-08-20 | 2002-08-20 | 印刷装置及び印刷方法 |
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- 2002-08-20 JP JP2002239579A patent/JP2004074636A/ja active Pending
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