JP2004059982A - 真空蒸着方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホスト蒸着材料2にゲスト蒸着材料3を所定比率でドーピングした状態で被蒸着体4の表面に共蒸着させる真空蒸着方法に関する。まずゲスト蒸着材料3を加熱して蒸発させると共に筒状体5に設けた膜厚計6で時間当りのゲスト蒸着材料3の蒸着膜厚を測定する。次にゲスト蒸着材料3の加熱温度を保持したまま、ホスト蒸着材料2を加熱して蒸発させると共に膜厚計6で時間当りのホスト蒸着材料2の蒸着膜厚を測定し、膜厚計6で測定されるホスト蒸着材料2の単位時間当りの蒸着膜厚に対する上記のゲスト蒸着材料3の単位時間あたりの蒸着膜厚の比がホスト蒸着材料2に対するゲスト蒸着材料3のドーピング比率に一致するよう、ホスト蒸着材料2の加熱温度を制御する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空雰囲気で複数種類の蒸着材料を蒸発させると共に被蒸着体に所定比率でドーピングした状態で共蒸着させるようにした真空蒸着方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス素子の電極層や発光層などは、ホスト蒸着材料にゲスト蒸着材料を微少量ドーピングした状態で、共蒸着することによって作製されている。
【0003】
このような蒸着は真空蒸着装置を用いて行なわれるが、真空蒸着装置は、真空チャンバー内に蒸着材料と被蒸着体とを配置し、真空チャンバー内を減圧した状態で、蒸着材料を加熱して蒸発させ、この蒸発させた物質を被蒸着体の表面に堆積させることによって蒸着を行なうようにしたものである。そして蒸発源の蒸着材料から蒸発した物質は蒸発源から法線方向に直進的に放出されるが、放出空間は真空に保たれているため蒸発物質は直進し、蒸発源と対向して配置される被蒸着体の表面に付着して蒸着される。
【0004】
しかしこのように蒸発物質は蒸発源から法線方向に直進的に放出されるので、被蒸着体へ向かって進行しない蒸発物質が多く、このように被蒸着体へ向かって進行しない蒸発物質は被蒸着体の表面に付着しないものであり、蒸着の歩留まりが低くなると共に被蒸着体の表面への蒸着速度が遅くなるという問題がある。そこで、特開平4−45259号公報や特開平9−272703号公報などに開示されているように、真空チャンバー内に配置した蒸発源の蒸着材料と被蒸着体が対向する空間を筒状体で囲むと共に筒状体を蒸着材料が再蒸発される温度で加熱し、蒸発源から蒸発した物質を筒状体内を通して被蒸着体の表面に蒸着させるようにした真空蒸着装置が提案されている。
【0005】
図9はその一例を示すものであり、真空チャンバー1内に上下に開口する筒状体5が配設してあり、筒状体5にはヒーター16が巻いてあって筒状体5を加熱できるようにしてある。この筒状体5の下端の開口部17に面してホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3が配置してあり、ヒーター18,19で加熱してホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3を蒸発させることができるようにしてある。筒状体5の上端の開口部7の上方には被蒸着体4が配置してあり、この開口部7はシャッター8によって開閉できるようにしてある。20は被蒸着体4を加熱するためのヒーターである。
【0006】
このものにあって、真空チャンバー1内を減圧すると共にホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3を加熱して気化させ、そしてシャッター8を開くと、ホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3から蒸発した物質が筒状体5内を飛翔して通過し、筒状体5の上端の開口部7を通って被蒸着体4の表面に付着し、被蒸着体4にホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3の蒸発物質を堆積させて共蒸着を行なうことができるものである。そしてこのものでは、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3及び被蒸着体4が対向する空間が筒状体5で囲まれているので、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3から発生する蒸発物質を筒状体5内に囲った状態で、この蒸発物質を筒状体5の内面で反射させながら被蒸着体4の方向へ進ませることができ、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3から発生する蒸発物質の多くを被蒸着体4の表面に到達させることができるものであり、被蒸着体4に付着せずに逃げる量を少なくして歩留まり高く蒸着を行なうことができるものである。また筒状体5はヒーター16で加熱されており、蒸発物質が筒状体5の内面に付着しても再加熱されて再蒸発し、この再蒸発した物質は被蒸着体4に到達して蒸着層を形成するものであり、筒状体5に蒸発物質が堆積して歩留まりが低下することを防ぐことができるものである。
【0007】
上記のように真空蒸着を行なうにあたって、蒸着材料としてホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3のように複数種類のものを用い、ホスト蒸着材料2にゲスト蒸着材料3を決められた割合でドーピングして共蒸着する場合、ヒーター18,19の加熱温度を制御することによって、ホスト蒸着材料2に対してゲスト蒸着材料3を混合させるドーピング比率に応じた蒸発速度の比率になるように、ホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3の蒸発速度をそれぞれ調整する必要がある。
【0008】
このために、ホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3の各近傍にそれぞれ膜厚計を設け、ホスト蒸着材料2の時間当りの蒸着膜厚を測定すると共にゲスト蒸着材料3の時間当りの蒸着膜厚を測定し、ホスト蒸着材料2の時間当りの蒸着膜厚とゲスト蒸着材料3の時間当りの蒸着膜厚の比率がドーピング比率に一致するように、ヒーター18,19の加熱温度をフィードバック制御し、ホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3の蒸発速度をそれぞれ調整することが行なわれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしホスト蒸着材料2用の膜厚計とゲスト蒸着材料3用の膜厚計をホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3の各近傍にそれぞれ設けるようにしても、ホスト蒸着材料2の蒸発物質やゲスト蒸着材料3の蒸発物質は筒状体5の内面で反射されて混合されるようになっており、また加熱されている筒状体5の内面に付着したホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3は再蒸発するのでこの再蒸発した物質が筒状体5内で混合される。従って、ホスト蒸着材料2用の膜厚計にゲスト蒸着材料3が蒸着して付着することや、ゲスト蒸着材料3用の膜厚計にホスト蒸着材料2が蒸着して付着することは避けられない。
【0010】
ここで、ホスト蒸着材料2に対するゲスト蒸着材料3のドーピング比率は、一般に数%以下の微量であるため、ホスト蒸着材料2用の膜厚計にゲスト蒸着材料3が蒸着して付着しても、ホスト蒸着材料2の蒸発速度の検出には殆ど影響はない。しかし、このようにゲスト蒸着材料3は微量であるために、ゲスト蒸着材料3用の膜厚計にホスト蒸着材料2が少しでも蒸着して付着すると、ゲスト蒸着材料3の蒸発速度の検出結果が大きく変化することになる。従って、ゲスト蒸着材料3のヒーター19へのフィードバック制御が正しくなされず、ゲスト蒸着材料3の蒸発速度に狂いが生じ易いものであり、ホスト蒸着材料2に対するゲスト蒸着材料3のドーピング比率を正確に保持することが難しいという問題を有するものであった。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ホスト蒸着材料に対するゲスト蒸着材料のドーピング比率を正確に保持しながら、ホスト蒸着材料とゲスト蒸着材料を被蒸着体に共蒸着することができる真空蒸着方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る真空蒸着方法は、真空チャンバー1内にホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3及び被蒸着体4を配置すると共に両蒸着材料2,3と被蒸着体4との間に両蒸着材料2,3が蒸発される温度で内面が加熱された筒状体5を配置し、ホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3を加熱して蒸発させ、蒸発させた材料を筒状体5内を通して被蒸着体4の表面に到達させることによって、ホスト蒸着材料2にゲスト蒸着材料3を所定比率でドーピングした状態で被蒸着体4の表面に共蒸着させるにあたって、まずゲスト蒸着材料3を所定温度で加熱して蒸発させると共に筒状体5に設けた膜厚計6で時間当りのゲスト蒸着材料3の蒸着膜厚を測定し、次にこのゲスト蒸着材料3の加熱温度を保持したまま、ホスト蒸着材料2を加熱して蒸発させると共に上記膜厚計6で時間当りのホスト蒸着材料2の蒸着膜厚を測定し、膜厚計6で測定されるホスト蒸着材料2の単位時間当りの蒸着膜厚に対する上記のゲスト蒸着材料3の単位時間あたりの蒸着膜厚の比がホスト蒸着材料2に対するゲスト蒸着材料3のドーピング比率に一致するよう、ホスト蒸着材料2の加熱温度を制御しながら、ホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3を被蒸着体4の表面に共蒸着させることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項2の発明は、請求項1において、筒状体5の被蒸着体4と対向する開口部7を、筒状体5と被蒸着体4との間に配置されるシャッター8で開閉自在にしたことを特徴とするものである。
【0014】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、筒状体5の被蒸着体4と対向する開口部7を、被蒸着体4の外側に配置される蓋体9で覆うようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3を上面が開口する坩堝10に収容し、坩堝10内でホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3を加熱して蒸発させると共に坩堝10に設けた温度センサー11でホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の温度を測定するにあたって、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面の付近において坩堝10の側壁12内に内蔵して温度センサー11を配置して設けるようしたことを特徴とするものである。
【0016】
また請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3を上面が開口する坩堝10に収容し、坩堝10内でホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3を加熱して蒸発させると共に坩堝10に設けた温度センサー11でホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の温度を測定するにあたって、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面の付近において坩堝10の側壁12の内面に露出させて温度センサー11を配置して設けるようしたことを特徴とするものである。
【0017】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、坩堝10の側壁12に温度センサー11を配置して設けるにあたって、高さの異なる複数の位置にそれぞれ温度センサー11を配置して設けるようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、真空チャンバー1の側面にはゲートバルブ22を介して真空ポンプ23が接続してある。真空チャンバー1内には筒状体5が配置してある。筒状体5は上面が開口部7となった角筒や円筒などで形成されるものであり、その外周にはシーズヒーターなどのヒーター21を巻いて、筒状体5を加熱することができるようにしてある。この開口部7の上側にはシャッター8が設けてある。シャッター8は端部の回動軸32を中心にして水平回動自在にしてあり、シャッター8を水平回動させることによって、開口部7を開閉することができるようにしてある。また筒状体5の底部に形成した開口にそれぞれ坩堝10がはめ込んで取り付けてある。図1の実施の形態では、坩堝10としてはホスト蒸着材料2用の坩堝10aとゲスト蒸着材料3用の坩堝10bを筒状体5の底部に取り付けるようにしてある。
【0020】
坩堝10は上面が開口する材料収容凹所24を設けて形成してあり、材料収容凹所24を囲むように坩堝10にヒーター25が内蔵してあると共に、熱電対などで形成される温度センサー11が内蔵してある。一対の坩堝10a,10bのうち一方の坩堝10aの材料収容凹所24にはホスト蒸着材料2が充填されるものであり、ヒーター25aでホスト蒸着材料2を加熱して蒸発させるようにしてあると共に、この加熱温度を温度センサー11aで検出することができるようにしてある。また他方の坩堝10bの材料収容凹所24にはゲスト蒸着材料3が充填されるものであり、ヒーター25bでゲスト蒸着材料3を加熱して蒸発させるようにしてあると共に、この加熱温度を温度センサー11bで検出することができるようにしてある。
【0021】
また、ホスト蒸着材料2用の坩堝10aの近傍位置において、筒状体5の側壁には側面開口部26が形成してあり、この側面開口部26内に面するように膜厚計6が取り付けてある。膜厚計6は水晶振動子膜厚計などで形成されるものであり、表面に蒸着して付着される膜の膜厚を自動計測することができるものである。この膜厚計6はCPUやメモリー等を具備して形成されるコントローラー27に電気的に接続してあり、膜厚計6で測定された膜厚のデータがコントローラー27に入力されるようにしてある。このコントローラー27は上記の坩堝10a,10bのヒーター25a,25bの電源28,29に電気的に接続してあり、電源28,29からヒーター25a,25bに供給される電力を制御できるようにしてある。また上記のゲスト蒸着材料3用の坩堝10bの温度センサー11bはCPUやメモリー等を具備して形成される温度調整器30に電気的に接続してあり、温度調整器30はゲスト蒸着材料3用の坩堝10bのヒーター25bの電源29に電気的に接続してある。そして温度センサー11bで測定される温度データが温度調整器30に入力されるようにしてあると共に、この温度データに基づいて温度調整器30によって電源29からヒーター25bに供給される電力を制御できるようにしてある。さらに、ホスト蒸着材料2用の坩堝10aの温度センサー11aには温度調整器31が接続してあり、温度センサー11aで測定される温度をモニターすることができるようにしてある。
【0022】
上記のように形成される真空蒸着装置を用いて、ガラス基板などの被蒸着体4にホスト蒸着材料2にゲスト蒸着材料3を所定比率でドーピングした状態で共蒸着するにあたっては、筒状体5の上面の開口部7をシャッター8で閉じた状態で、シャッター8の直上に被蒸着体4を配置すると共に真空ポンプ23を作動させて真空チャンバー1内を真空状態に減圧し、またヒーター21を発熱させて筒状体5を加熱しておく。筒状体5の加熱温度は、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発物質が筒状体5の内面に付着しても再度蒸発し、筒状体5の内面に堆積しない温度に設定されるものである。
【0023】
そしてこの状態で、まず、電源28をオフにしてホスト蒸着材料2用の坩堝10aのヒーター25aを発熱させない状態で、電源29をオンにして坩堝10bのヒーター25bを発熱させ、ゲスト蒸着材料3を加熱して蒸発させる。ゲスト蒸着材料3がこのように蒸発すると、ゲスト蒸着材料3の蒸発物質は側面開口部26を通して膜厚計6に蒸着して付着するので、時間当りの蒸着膜厚が膜厚計6で測定される。ゲスト蒸着材料3の蒸発速度に比例して時間当りの蒸着膜厚が厚くなるので、時間当りの蒸着膜厚を膜厚計6で測定することによって、ゲスト蒸着材料3の蒸発速度を検知することができるものである。このように膜厚計6で計測された時間当りの蒸着膜厚のデータはコントローラー27に入力され、このデータに基づいて電源29からヒーター25bに供給される電力値をコントローラー27で制御してヒーター25bの加熱温度を調節することによって、ゲスト蒸着材料3の蒸発速度を調整することができるものであり、膜厚計6で測定される時間当りの蒸着膜厚が所定値になるようにフィードバック制御することによって、ゲスト蒸着材料3を所定の蒸発速度に調整することができるものである。このようにヒーター25bの加熱温度をフィードバック制御して膜厚計6で測定される時間当りの蒸着膜厚が所定値になるようにした後、コントローラー27からの指令で温度調整器30が作動し、温度センサー11bで計測される温度データに基づいて、電源29からヒーター25bに供給される電力値を温度調整器30で制御して、ヒーター25bによる加熱温度が上記の温度に保持されるように制御してある。このようにヒーター25bによるゲスト蒸着材料3の加熱温度を一定に保持することによって、ゲスト蒸着材料3の時間当りの蒸着膜厚を所定の一定膜厚に保持することができるものである。
【0024】
次に、上記のようにヒーター25bによるゲスト蒸着材料3の加熱温度を一定に保持しながら、電源28をオンにして坩堝10aのヒーター25aを発熱させ、ホスト蒸着材料2を加熱して蒸発させる。ホスト蒸着材料2がこのように蒸発すると、ホスト蒸着材料2の蒸発物質は側面開口部26を通して膜厚計6に蒸着して付着するので、時間当りの蒸着膜厚が膜厚計6で測定される。このとき、ゲスト蒸着材料3の蒸発物質も膜厚計6に蒸着して付着するが、ゲスト蒸着材料3の蒸発物質の量は微少であるので、膜厚計6で計測される蒸着膜厚はホスト蒸着材料2の蒸発物質の膜厚であるとして実質上差し支えない。勿論、ゲスト蒸着材料3の蒸着量が無視できない場合には、膜厚計6で計測される時間当りの蒸着膜厚からゲスト蒸着材料2の時間当りの蒸着膜厚を差し引くことによって、ホスト蒸着材料2の時間当りの蒸着膜厚の正確な値を得ることができる。ホスト蒸着材料2の蒸発速度に比例して時間当りの蒸着膜厚が厚くなるので、時間当りの蒸着膜厚を膜厚計6で測定することによって、ホスト蒸着材料2の蒸発速度を検知することができるものである。このように膜厚計6で計測された時間当りの蒸着膜厚のデータはコントローラー27に入力され、このデータに基づいて電源28からヒーター25aに供給される電力値をコントローラー27で制御してヒーター25aの加熱温度を調節することによって、ホスト蒸着材料2の蒸発速度を調整することができるものであり、膜厚計6で測定される時間当りの蒸着膜厚が所定値になるようにフィードバック制御することによって、ゲスト蒸着材料3を所定の蒸発速度に調整することができるものである。そして上記のようにヒーター25bによる加熱温度を一定に保持してゲスト蒸着材料3の時間当りの蒸着膜厚を所定の一定膜厚に保持しているので、このようにヒーター25aの加熱温度をフィードバック制御して、ホスト蒸着材料2の時間当りの蒸着膜厚に対するゲスト蒸着材料3の時間当りの蒸着膜厚の比率が、ホスト蒸着材料2に対するゲスト蒸着材料3のドーピング比率と等しくなるように、ホスト蒸着材料2の蒸発速度を調整するものである。
【0025】
上記のようにしてホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3を加熱して所定の蒸発比率で蒸発させた後、シャッター8を回動させて筒状体5の上面の開口部7を開くと、ホスト蒸着材料2の蒸発物質とゲスト蒸着材料3の蒸発物質は相互に混合し合った状態で筒状体5内を飛翔した後、開口部7を通過して被蒸着体4の下面に到達して堆積し、ホスト蒸着材料2にゲスト蒸着材料3を混合してドーピングした状態で被蒸着体4に共蒸着させることができるものである。ここで、ホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3の蒸発速度は上記のように、ホスト蒸着材料2に対するゲスト蒸着材料3のドーピング比率に等しい比率になるようにコントローラー27で制御しているので、ドーピング比率を正確に保持しながらホスト蒸着材料2とゲスト蒸着材料3を被蒸着体4に共蒸着することができるものである。
【0026】
図2は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、一種類のホスト蒸着材料2に複数種類のゲスト蒸着材料3a,3bをドーピングして共蒸着するようにしたものである。このものでは、坩堝10としてホスト蒸着材料2用の坩堝10aの他に、複数のゲスト蒸着材料3a,3b用に複数の坩堝10b,10cを用いるようにしてある。坩堝10bの材料収容凹所24にはゲスト蒸着材料3aが充填されるものであり、ヒーター25bでゲスト蒸着材料3aを加熱して蒸発させるようにしてあると共に、この加熱温度を温度センサー11bで検出することができるようにしてある。坩堝10cの材料収容凹所24にはゲスト蒸着材料3bが充填されるものであり、ヒーター25cでゲスト蒸着材料3bを加熱して蒸発させるようにしてあると共に、この加熱温度を温度センサー11cで検出することができるようにしてある。またコントローラー27は坩堝10a,10b,10cのヒーター25a,25b,25cの電源28,29,34に電気的に接続してあり、電源28,29,34からヒーター25a,25b,25cに供給される電力を制御できるようにしてある。また坩堝10bの温度センサー11bはCPUやメモリー等を具備して形成される温度調整器30に、坩堝10cの温度センサー11cはCPUやメモリー等を具備して形成される温度調整器35にそれぞれ電気的に接続してあり、温度調整器30は坩堝10bのヒーター25bの電源29に、温度調整器35は坩堝10cのヒーター25cの電源34にそれぞれ電気的に接続してある。そして温度センサー11bで測定される温度データが温度調整器30に、温度センサー11cで測定される温度データが温度調整器35にそれぞれ入力されるようにしてあると共に、この温度データに基づいて温度調整器30,35によって電源29,34からヒーター25b,25cに供給される電力を制御できるようにしてある。その他の構成は図1のものと同じである。
【0027】
このものでは、ゲスト蒸着材料3aについてヒーター25bによる加熱温度を調節して上記と同様にして蒸発速度の設定を行なった後、ヒーター25bによる加熱温度を保持しながら、ゲスト蒸着材料3bについてヒーター25cによる加熱温度を調節して上記と同様にして蒸発速度の設定を行ない、この後、ヒーター25b,25cによる加熱温度を保持しながら、ホスト蒸着材料2についてヒーター25aによる加熱温度を調節して、ホスト蒸着材料2の蒸発速度を調整することによって、ホスト蒸着材料2に対するゲスト蒸着材料3a,3bのドーピング比率を所定の設定された比率を保って、被蒸着体4に共蒸着することができるものである。ここで、ゲスト蒸着材料3bの蒸発速度の設定を行なう際には、膜厚計6にゲスト蒸着材料3bの他にゲスト蒸着材料3aも付着することになるが、ゲスト蒸着材料3aの付着量は既知であるので、膜厚計6の測定値からゲスト蒸着材料3aの付着量を減じることによってゲスト蒸着材料3bの付着量を割り出すことができるものである。
【0028】
また、上記のように膜厚計6で測定される蒸着膜厚に応じてフィードバック制御することによって、ゲスト蒸着材料3の加熱温度を調節して蒸発速度の調整を行なったり、ホスト蒸着材料2の加熱温度を調節して蒸発速度の調整を行なったりするにあたって、筒状体5の上面の開口部7がオープンな状態であると、筒状体5内の蒸気圧が変動して膜厚計6に対する蒸着膜厚が不安定になる。そこで本発明では上記のように、筒状体5の開口部7とその上方にセットされる被蒸着体4との間にシャッター8を設け、シャッター8で筒状体5の開口部7を閉じて密閉することができるようにしてある。このよう筒状体5を密封することによって、筒状体5内の蒸気圧を一定にして膜厚計6に対する蒸着膜厚が安定になるようにすることができ、ゲスト蒸着材料3やホスト蒸着材料2の蒸発速度の調整を正確に行なうことができるものである。尚、シャッター8は筒状体5の開口部7に密着させて筒状体5内を完全に密封する必要はなく、開口部7とシャッター8の間に多少の隙間があっても蒸発物質の流失は少なく実用上の問題はない。
【0029】
図3はシャッター8の他の実施の形態を示すものであり、シャッター8に被蒸着体4の搬送治具も兼用させることができるようにしてある。すなわち、シャッター8の中央部に蒸着用開口部37を設けると共に蒸着用開口部37の両側にシャッター部38,38を設けて平面形状を矩形に形成してあり、蒸着用開口部37は筒状体5の開口部7よりやや小さい大きさに、シャッター部38,38はそれぞれ筒状体5の開口部7よりやや大きい大きさにそれぞれ設定してある。そしてシャッター8は支持部材39によって水平状態に支持して、筒状体5の上方に配置してあり、筒状体5の上端の開口部7の直上に一方のシャッター部38、蒸着用開口部37、他方のシャッター部38がこの順に位置するようにシャッター8を長手方向に往復水平移動させることができるようにしてある。
【0030】
このものあって、被蒸着体4は蒸着用開口部37の周縁に載置した状態で蒸着用開口部37の上側においてシャッター8上にセットされるものであり、図3のように一方のシャッター部38で筒状体5の開口部7を閉じて密閉した状態で、ゲスト蒸着材料3の加熱温度を調節して蒸発速度の調整を行なったり、ホスト蒸着材料2の加熱温度を調節して蒸発速度の調整を行なったりすることができる。そして図3の矢印のようにシャッター8を移動させて、蒸着用開口部37を筒状体5の開口部7の直上に位置させることによって、蒸着用開口部37を通して被蒸着体4の下面に蒸着を行なうことができる。被蒸着体4への蒸着が終了した後、さらに矢印方向にシャッター8を移動させて他方のシャッター部38で筒状体5の開口部7を閉じて密閉した状態で、シャッター8上にセットされる被蒸着体4を取り替えることができるものである。
【0031】
図4に示す実施の形態では、筒状体5の上面の開口部7を蓋体9で覆うことによって、筒状体5内の蒸気圧を一定にして膜厚計6に対する蒸着膜厚が安定するようにしてある。すなわち、蓋板9は支持棒41の下端に固定して水平に支持してあり、少しの間隙を介して筒状体5の開口部7の直上に配置してある。また一対の垂直支持板42の下端間に水平載置板43を設けて搬送治具44が形成してあり、水平載置板43に蒸着用開口部45が設けてある。そして搬送治具44は、水平載置板43が筒状体5の開口部7と蓋板9との間に差し込まれるように、水平移動駆動されるようにしてある。
【0032】
このものにあって、被蒸着体4は蒸着用開口部45の周縁に載置した状態で図4(a)のように搬送治具44の水平載置板43の上にセットされるものであり、搬送治具44を水平移動させて、図4(b)のように水平載置板43上にセットした被蒸着体4を蓋板9の下側において筒状体5の開口部7の直上に配置させることによって、蒸着用開口部45を通して被蒸着体4の下面に蒸着を行なうことができるものである。
【0033】
ここでアルミナやベリリアなどで形成される坩堝10には、既述のようにホスト蒸着材料2あるいはゲスト蒸着材料3を充填する材料収容凹所24を設け、材料収容凹所24内のホスト蒸着材料2あるいはゲスト蒸着材料3の加熱温度を測定する温度センサー11が設けてある。この温度センサー11は先端に熱電対を設けて形成してあり、図5に示すように温度センサー11の先端を坩堝10の底壁47内に挿入させた状態で蒸発セル50のホルダー48で固定して取り付けるのが一般的である。この蒸発セル50には坩堝10のヒーター25の外側を囲むように温調用の水槽49が設けられているものもある。しかし材料収容凹所24内のホスト蒸着材料2あるいはゲスト蒸着材料3の蒸発面は表面(液面)であるので、図5のものではホスト蒸着材料2あるいはゲスト蒸着材料3の蒸発面の温度を精度良く検出しているとはいえない。
【0034】
そこで図6の実施の形態では、坩堝10の材料収容凹所24の周囲を囲む側壁12内に温度センサー11を挿入して、その先端をホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面の付近に配置するようにしてある。このように温度センサー11の先端をホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面の付近に配置することによって、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面の温度を精度良く検出することができるものである。
【0035】
図6のものにあって、坩堝10の側壁12には下面で開口する差し込み孔49を形成し、この差し込み孔49に温度センサー11を差し込むことによって、坩堝10に温度センサー11を取り付けるようにしてあり、坩堝10の交換、坩堝10内の残留物除去、温度センサー11の交換などの際に温度センサー11を脱着することができるようにしてある。そして坩堝10の下面には蛇行状の屈曲した係止溝50が差し込み溝49と連通して形成してあり、L字状に屈曲して形成される温度センサー11の先部を差し込み孔49に差し込むと共に、温度センサー11の直線の基部を図6(b)((a)を下から見た図)のように、係止溝50の屈曲に合わせて弾性的に屈曲させながら係止溝50に圧入することによって、坩堝10に温度センサー11を固定するようにしてある。従ってこのものでは、ホルダーを用いる必要なく、温度センサー11を脱着自在に坩堝10に取り付けることができるものである。
【0036】
また図7の実施の形態では、坩堝10の側壁12の内面に材料収容凹所24内に露出させるように温度センサー11を挿入して、その先端をホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面の付近に配置するようにしてある。このように温度センサー11の先端をホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面の付近に直接接触させることによって、ホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面の温度をより精度良く検出することができるものである。
【0037】
図7のものにあって、坩堝10の側壁12の内面には上端に至る嵌合溝52を凹設し、嵌合溝52に温度センサー11を嵌め込むことによって、材料収容凹所24内に露出させた状態で温度センサー11を取り付けるようにしてある。そして坩堝10の下端面には嵌合溝52と連通する略へ字型に屈曲した係止溝53が形成してあり、L字状に屈曲して形成される温度センサー11の先部を嵌合溝52に嵌め込むと共に、温度センサー11の直線の基部を図7(b)((a)を上から見た図)のように、係止溝53の屈曲に合わせて弾性的に屈曲させながら係止溝53に圧入することによって、坩堝10に温度センサー11を固定するようにしてある。従ってこのものにあっても、ホルダーを用いる必要なく、温度センサー11を脱着自在に坩堝10に取り付けることができるものである。
【0038】
また、図8の実施の形態では、上記のように坩堝10の側壁12内あるいは側壁の内側に温度センサー11を配置して設けるにあたって、その先端の高さが異なる位置になるように、複数の温度センサー11を設けるようにしてある。図8には側壁12内に複数の温度センサー11を内蔵するようにしたものが図示してある。このように坩堝10の側壁12に先端の高さが異なる位置になるように複数の温度センサー11を設け、材料収容凹所24内のホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面の低下に伴なって、温度測定をする温度センサー11を先端が最も蒸発面に近いものに順次変更することによって、蒸発の進行に伴なってホスト蒸着材料2やゲスト蒸着材料3の蒸発面が低下しても、常に蒸発面の付近の温度を精度良く検出することができるものである。
【0039】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る真空蒸着方法は、真空チャンバー内にホスト蒸着材料とゲスト蒸着材料及び被蒸着体を配置すると共に両蒸着材料と被蒸着体との間に両蒸着材料が蒸発される温度で内面が加熱された筒状体を配置し、ホスト蒸着材料とゲスト蒸着材料を加熱して蒸発させ、蒸発させた材料を筒状体内を通して被蒸着体の表面に到達させることによって、ホスト蒸着材料にゲスト蒸着材料を所定比率でドーピングした状態で被蒸着体の表面に共蒸着させるにあたって、まずゲスト蒸着材料を所定温度で加熱して蒸発させると共に筒状体に設けた膜厚計で時間当りのゲスト蒸着材料の蒸着膜厚を測定し、次にこのゲスト蒸着材料の加熱温度を保持したまま、ホスト蒸着材料を加熱して蒸発させると共に上記膜厚計で時間当りのホスト蒸着材料の蒸着膜厚を測定し、膜厚計で測定されるホスト蒸着材料の単位時間当りの蒸着膜厚に対する上記のゲスト蒸着材料の単位時間あたりの蒸着膜厚の比がホスト蒸着材料に対するゲスト蒸着材料のドーピング比率に一致するよう、ホスト蒸着材料の加熱温度を制御しながら、ホスト蒸着材料とゲスト蒸着材料を被蒸着体の表面に共蒸着させるようにしたので、微量成分で蒸発速度を制御することが難しいゲスト蒸着材料の蒸発速度を所定の一定値に保ちながら、主成分で蒸発速度を制御することが容易なホスト蒸着材料の蒸発速度を調整することによって、ホスト蒸着材料に対するゲスト蒸着材料のドーピング比率を正確に保持して、ホスト蒸着材料とゲスト蒸着材料を被蒸着体に共蒸着することができるものである。
【0040】
また請求項2の発明は、請求項1において、筒状体の被蒸着体と対向する開口部を、筒状体と被蒸着体との間に配置されるシャッターで開閉自在にしたので、筒状体の開口部をシャッターで閉じることによって、筒状体内の蒸気圧を一定にして膜厚計に対する蒸着膜厚を安定化させることができ、ゲスト蒸着材料やホスト蒸着材料の蒸発速度の調整を正確に行なうことができるものである。
【0041】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、筒状体の被蒸着体と対向する開口部を、被蒸着体の外側に配置される蓋体で覆うようにしたので、筒状体の開口部を蓋体で覆うことによって、筒状体内の蒸気圧を一定にして膜厚計に対する蒸着膜厚を安定化させることができ、ゲスト蒸着材料やホスト蒸着材料の蒸発速度の調整を正確に行なうことができるものである。
【0042】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料を上面が開口する坩堝に収容し、坩堝内でホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料を加熱して蒸発させると共に坩堝に設けた温度センサーでホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の温度を測定するにあたって、ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の蒸発面の付近において坩堝の側壁内に内蔵して温度センサーを配置して設けるようしたので、ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の蒸発温度を精度良く検出することができ、ゲスト蒸着材料やホスト蒸着材料の蒸発速度の調整を正確に行なうことができるものである。
【0043】
また請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料を上面が開口する坩堝に収容し、坩堝内でホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料を加熱して蒸発させると共に坩堝に設けた温度センサーでホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の温度を測定するにあたって、ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の蒸発面の付近において坩堝の側壁の内面に露出させて温度センサーを配置して設けるようしたので、ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の蒸発温度を精度良く検出することができ、ゲスト蒸着材料やホスト蒸着材料の蒸発速度の調整を正確に行なうことができるものである。
【0044】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、坩堝の側壁に温度センサーを配置して設けるにあたって、高さの異なる複数の位置にそれぞれ温度センサーを配置して設けるようにしたので、ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の蒸発面の低下に伴なって、温度測定をする温度センサーを高さが蒸発面に近いものに順次変更することによって、蒸発の進行に伴なってホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の蒸発面が低下しても、常に蒸発面の付近の温度を精度良く検出することができ、ゲスト蒸着材料やホスト蒸着材料の蒸発速度の調整を正確に行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図2】同上の他の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図3】同上の他の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図4】同上の他の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
【図5】同上の坩堝の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図6】同上の坩堝の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は断面図、(b)は底面図である。
【図7】同上の坩堝の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図8】同上の坩堝の実施の形態の他の一例を示す断面図である。
【図9】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバー
2 ホスト蒸着材料
3 ゲスト蒸着材料
4 被蒸着体
5 筒状体
6 膜厚計
7 開口部
8 シャッター
9 蓋体
10 坩堝
11 温度センサー
12 側壁
Claims (6)
- 真空チャンバー内にホスト蒸着材料とゲスト蒸着材料及び被蒸着体を配置すると共に両蒸着材料と被蒸着体との間に両蒸着材料が蒸発される温度で内面が加熱された筒状体を配置し、ホスト蒸着材料とゲスト蒸着材料を加熱して蒸発させ、蒸発させた材料を筒状体内を通して被蒸着体の表面に到達させることによって、ホスト蒸着材料にゲスト蒸着材料を所定比率でドーピングした状態で被蒸着体の表面に共蒸着させるにあたって、まずゲスト蒸着材料を所定温度で加熱して蒸発させると共に筒状体に設けた膜厚計で時間当りのゲスト蒸着材料の蒸着膜厚を測定し、次にこのゲスト蒸着材料の加熱温度を保持したまま、ホスト蒸着材料を加熱して蒸発させると共に上記膜厚計で時間当りのホスト蒸着材料の蒸着膜厚を測定し、膜厚計で測定されるホスト蒸着材料の単位時間当りの蒸着膜厚に対する上記のゲスト蒸着材料の単位時間あたりの蒸着膜厚の比がホスト蒸着材料に対するゲスト蒸着材料のドーピング比率に一致するよう、ホスト蒸着材料の加熱温度を制御しながら、ホスト蒸着材料とゲスト蒸着材料を被蒸着体の表面に共蒸着させることを特徴とする真空蒸着方法。
- 筒状体の被蒸着体と対向する開口部を、筒状体と被蒸着体との間に配置されるシャッターで開閉自在にしたことを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着方法。
- 筒状体の被蒸着体と対向する開口部を、被蒸着体の外側に配置される蓋体で覆うようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の真空蒸着方法。
- ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料を上面が開口する坩堝に収容し、坩堝内でホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料を加熱して蒸発させると共に坩堝に設けた温度センサーでホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の温度を測定するにあたって、ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の蒸発面の付近において坩堝の側壁内に内蔵して温度センサーを配置して設けるようしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真空蒸着方法。
- ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料を上面が開口する坩堝に収容し、坩堝内でホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料を加熱して蒸発させると共に坩堝に設けた温度センサーでホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の温度を測定するにあたって、ホスト蒸着材料やゲスト蒸着材料の蒸発面の付近において坩堝の側壁の内面に露出させて温度センサーを配置して設けるようしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真空蒸着方法。
- 坩堝の側壁に温度センサーを配置して設けるにあたって、高さの異なる複数の位置にそれぞれ温度センサーを配置して設けるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の真空蒸着方法。
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