JP3712646B2 - 薄膜堆積用分子線セル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜材料を加熱することにより、その成膜材料を昇華または溶融、蒸発して、固体表面に薄膜を成長させるための成膜材料の分子を発生する薄膜堆積用分子線源セルに関し、特に熱伝導率が低く、昇華点の低い有機エレクトロルミネッセンス材料等の昇華または蒸発に好適な分子線源セルに関する。
【0002】
【従来の技術】
分子線エピタキシ装置と呼ばれる薄膜堆積装置は、高真空に減圧可能な真空チャンバ内にパターニングされたITO等の透明導電膜からなる電極を形成したガラス板等の基板を設置し、所要の温度に加熱すると共に、この基板の薄膜成長面に向けてクヌードセンセル等の分子線源セルを設置したものである。この分子線源セルの坩堝に収納した成膜材料をヒータにより加熱して昇華または溶融、蒸発させ、これにより発生した蒸発分子を前記基板の薄膜成長面に入射し、その面に薄膜をエピタキシャル成長させて、成膜材料の膜を形成する。
【0003】
このような薄膜堆積装置に使用される分子線源セルは、熱的、化学的に安定性の高い、例えばPBN(パイロリティック・ボロン・ナイトライド)等からなる坩堝の中に成膜材料を収納し、この成膜材料を坩堝の外側に設けた電気ヒータで加熱し、これにより成膜材料を昇華または溶融、蒸発させ、成膜分子を発生させるものである。
【0004】
近年、ディスプレイや光通信等の分野で、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の研究、開発が進められている。この有機EL素子は、EL発光能を有する有機低分子または有機高分子材料で発光層を形成した素子であり、自己発光型の素子としてその特性が注目されている。例えばその基本的な構造は、ホール注入電極上にトリフェニルジアミン(TPD)等のホール輸送材料の膜を形成し、この上にアルミキノリノール錯体(Alq3) 等の蛍光物質を発光層として積層し、さらにMg、Li、Ca等の仕事関数の小さな金属電極を電子注入電極として形成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】
前記のような有機ELを形成する各層は、前述のような薄膜堆積装置を使用して形成される。ところが、特に有機EL膜を形成するための有機EL材料は昇華性のものであり、その昇華点が低く、しかも熱伝導率が低い。このため、前述のような分子線源セルで成膜材料を加熱し、同材料を昇華または蒸発しようとすると、ヒータで加熱される坩堝の周壁に近い周囲の部分のみが加熱される。
【0006】
このような状態では、坩堝に収納された成膜材料のうち、坩堝の周壁に近い周囲の部分のみが昇華または蒸発され、坩堝の中央部にある成膜材料が昇華または蒸発されずに残ってしまう。そのため、材料の歩留まりが悪いだけでなく、温度の不均一性による膜の欠陥等が生じやすい。さらに、坩堝の中でその周壁に近く、且つ底部側にある一部の成膜材料が昇華または蒸発せずに、長時間加熱される結果、成膜材料の有機結合が破壊され、所要の特性を持った膜が形成されない。
【0007】
さらに、このような有機EL材料は、蒸発源材料として粉体状のものが使用され、この粉体状の蒸発源材料から昇華される。ところがこのとき、蒸発源材料の粉体が、いわゆるスピッティング現象を起こし、粉体が基板に向けて飛散し、付着してしまうことがある。このため、粉体による膜の不均一性や不連続性が生じ、膜の欠陥を生じる原因となる。
【0008】
本発明は、このような従来の分子線源セルにおける課題に鑑み、有機エレクトロルミネッセンス材料のような熱伝導率の低い成膜材料でも、その表面側から加熱できるようにし、成膜材料をその表面側から効率よく昇華または蒸発して成膜分子を発生することができ、長時間加熱による成膜材料の化学的結合に欠陥が生じることなく、さらにスピッティング現象による膜の欠陥が生じないようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の目的を達成するため、坩堝5に収納した成膜材料aをその表面側から加熱し、成膜材料aをその表面から昇華または蒸発させ、その材料を基板1に向けて放射するようにした。そのために、坩堝5の周囲ではなく、坩堝5に収納した成膜材料aの表面側に加熱源である加熱体2を配置し、この加熱体2で成膜材料aの表面を加熱して成膜材料aの表面を昇華または蒸発させると共に、気化した成膜材料を加熱体2に設けた分子放出口4から基板1に向けて放射するようにした。さらに、成膜材料aの昇華または蒸発時における、いわゆるスピッティング現象を防止するため、昇華または蒸発した成膜材料aの分子を直接基板1側に放射せずに、成膜材料aの分子を一旦バッファ室11を通し、そのバッファ室11を介して分子放出口4から分子を放射するようにした。
【0010】
すなわち、本発明による薄膜堆積用分子線セルは、成膜材料aを収納する坩堝5と、この坩堝5の開口部を覆うように坩堝5内の成膜材料aに近接または接する位置と坩堝5の開口部から離れた位置との間に移動自在に設けられ、ヒータ3により加熱される加熱体2と、この加熱体2の前記坩堝5の開口部を覆う部分に開設された分子放出口4と、この分子放出口4と坩堝5の内部との間に設けられ、昇華または蒸発した成膜材料の分子を通過させるバッファ室11と、坩堝5内の成膜材料aから昇華または蒸発した分子を前記バッファ室11に導入する分子通路12と、前記加熱体2を坩堝5の開口部を覆うように坩堝5内の成膜材料aに近接または接する位置と坩堝5の開口部から離れた位置との間で移動させる昇降機構9とを有する。
【0011】
ここで、加熱体2は、坩堝5の開口部を覆うように坩堝5内の成膜材料aに近接とき、その下面からの輻射熱で成膜材料aの表面をを加熱すると共に、加熱体2の下部が成膜材料aに入り込み、成膜材料aを直接加熱する。或いは成膜材料aの昇華点がより低い場合は、坩堝5の開口部を覆うように坩堝5内の成膜材料aに近接した状態で輻射熱のみにより加熱体2の表面を加熱するようにしてもよい。
【0012】
このような薄膜堆積用分子線セルでは、加熱体2により成膜材料aをその表面側から加熱するため、坩堝5に収納された成膜材料aは、その表面側から効率良く加熱され、昇華または蒸発する。そして、この昇華または蒸発により発生した成膜材料aの分子は、バッファ室11を通り、坩堝5の開口部を覆うように設けられた加熱体2の分子放出口4から基板1に向けて放射されることにより、基板1に体積し、そこに薄膜が形成される。
【0013】
このとき、成膜材料aの昇華または蒸発中に、いわゆるスピッティング現象により、成膜材料aの粉体が飛散しても、粉体はバッファ室11でトラップされ、分子放出口4から基板1側に放出されない。このため、基板1の表面に成膜材料aの粉体が付着することがなく、膜に欠陥が生じない。
【0014】
特に、バッファ室11内に筒状の隔壁13を有し、この隔壁13によりバッファ室11をその中央側の部分とその周囲側の部分とに仕切り、この隔壁13で仕切られたバッファ室11の中央側の部分に前記分子放出口4を設けるとよい。こうすることにより、いわゆるスピッティング現象による飛散した成膜材料aの粉体が隔壁13により仕切られたバッファ室11の中央側の部分とその周囲側の部分とで二重にトラップされるので、スピッティングによる飛散した粉体を基板1側に飛散するのを確実に防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による薄膜堆積用分子線セルの概要を示す概略断面図である。
【0016】
この薄膜堆積用分子線セルは、真空チャンバ(図示せず)の中に成膜材料aを収納する坩堝5を有しており、この坩堝5はガラス(例えば登録商標名「パイレックスガラス」)やタンタル等の熱的、化学的に安定した材料で形成されている。この坩堝5には、有機エレクトロルミネッセンス材料等の成膜材料aが収納されている。また、この坩堝5は、昇降機構9により上下に昇降される。
【0017】
さらに、後述する加熱体2を避けた位置であって、坩堝5を挟んで対向する位置に配置された光源7と受光器8とからなるレベル計6が設けられている。受光器8は、透明な坩堝5を通して光源7からの光を受光し、成膜材料aの表面位置を検知する。このレベル計6の受光器8は、前記昇降機構9に信号を送り、後述するようにしてその昇降機構9の動作を制御する。
なお、タンタル等からなる不透明の坩堝5を使用する場合は、他の形式のレベル計を使用する必要がある。
【0018】
この坩堝5の真上に加熱体2が配置されている。この加熱体2は、銅等の熱伝導の良好な材料からなり、上端に外周側に延びたフランジを有し、このフランジから下方に延びた有底容器状の本体部分10を有する。この加熱体2のフランジの部分には、同加熱体2を加熱するヒータ3が入り込んでいる。この加熱体2の容器状の本体部分10の外径は、坩堝5の内径より小さく、加熱体2の容器状の本体部分10の外周面と坩堝5の内周面との間に十分な間隔がとられている。加熱体2と坩堝5の中心軸は垂直であり、且つ互いに一致している。加熱体2の上壁14には、オリフィス状の通孔からなる分子放出口4が開設されている。なお図示はしてないが、加熱体2の底部は熱電対等の測温素子で温度が測定できるようにしておく。
【0019】
加熱体2の本体部分10の内部は、加熱体の本体部分10の周壁と底壁とにより坩堝5の内部と仕切られたバッファ室11となっており、このバッファ室11の上面である加熱体2の上壁14に前記の分子放出口4が開設されている。さらに、このバッファ室11の周囲の周壁には、坩堝5の内部とバッファ室11とを連絡する分子通路12が開設されている。従って、このバッファ室11は、坩堝5の内部と分子放出口4との間にある。
【0020】
さらに、このバッファ室11の中央には、その底壁から起立するように円筒形の隔壁13が立設され、この隔壁13によってバッファ室11がその中央側の部分と周壁に近い周辺側の部分とに区画されている。分子放出口4は、隔壁13により囲まれたバッファ室11の中央側の上の部分に設けられている。
【0021】
さらに、この加熱体2の真上には、薄膜を成膜するための基板1が配置されている。この基板1は、例えば有機エレクトロルミネッセンスディスプレイであれば、表面にパターニングされたITO等の透明導電膜からなる電極を形成したもの等が使用される。
【0022】
次に、この薄膜堆積用分子線セルの使用法をその動作と共に説明する。
まず、所定の真空度に維持された真空チャンバ内において、昇降機構9により成膜材料aを収納した坩堝5を下降させ、成膜材料aを加熱体2から離した状態で、ヒータ3により加熱体2を加熱する。加熱体2の底部が成膜材料aの昇華または蒸発に必要な温度まで加熱されたところで、昇降機構9により坩堝5を上昇させ、坩堝5内の成膜材料aの表面がレベル計6の受光器8で検知される高さで坩堝5を停止させる。この状態では坩堝5内の成膜材料aに加熱体2の本体部分10の底部が若干入り込む。これにより、加熱体2の底部から成膜材料aが直接加熱されると共に、加熱体2から放射される輻射熱により成膜材料aが間接的に加熱され、成膜材料aがその加熱体2の本体部分10の周囲の表面から昇華または蒸発を開始する。
【0023】
成膜材料aが昇華または蒸発されることにより発生した分子は、加熱体2のバッファ室11の周囲の分子通路12からバッファ室11の中に入り、さらに隔壁13の上を越えてバッファ室11に中央側の部分に至る。図1に破線の矢印で示すように、分子はそこから加熱体2の上壁14に設けられたオリフィス状の通孔からなる分子放出口4を通って、その上方に放出され、基板1の表面に凝着し、そこに堆積して薄膜を形成する。
【0024】
このようにして、坩堝5内の成膜材料aは、加熱体2により、その表面側から加熱され、昇華または蒸発する。成膜材料aの表面が昇華または蒸発し、これにより成膜材料aの表面が下がると、これをレベル計6が検知し、その分だけ昇降機構9により坩堝9が上昇される。こうして成膜材料aの表面レベルは常に一定になるように調整される。これにより、加熱体2の本体部分10の底部は成膜材料a常に一定の深さに入り込む。従って、加熱体2の底部の温度が成膜材料aに対して常に一定の条件で及ぶことになる。当然のことながら、そのときの成膜材料aの表面の加熱温度は、成膜材料aの昇華または蒸発に必要な温度以上であって、且つ成膜材料aにヒートダメージを与えない範囲の温度を選択する。
【0025】
さらにこのような成膜材料aの昇華または蒸発に際して、いわゆるスピッティングによる成膜材料aの粒子が飛散した場合、この粒子は、分子放出口4から直ちに基板1に向けて放出されることはない。昇華または蒸発した分子と飛散した粒子はまず分子通路12からバッファ室11に入る。このうち分子は、隔壁13を越えて分子放出口4からその上方に放出されるが、分子に比べて遙かにサイズの大きな粒子はバッファ室11の壁面や隔壁13の壁面等にトラップされ、分子放出口4からその上方に放出されない。このため、分子のみが基板1に向けて放射され、成膜されるため、成膜材料aの粒子による膜の欠陥が生じない。
【0026】
図2は、前記の薄膜堆積用分子線セルにおいて、加熱体2の底部を成膜材料aに浸漬せず、昇降機構9により坩堝5を上昇させて、坩堝5内の成膜材料aの表面を加熱体2の底部に近づけて成膜材料aを加熱する使用法である。その構成は基本的には、図1に示された薄膜堆積用分子線セルと同じであり、成膜材料aを接触状態で加熱するか、或いは非接触状態で加熱するかの点のみが相違する。
【0027】
次に、図3に示した実施形態による薄膜堆積用分子線セルについて説明すると、この薄膜堆積用分子線セルでは、前述の図1に示した実施形態による薄膜堆積用分子線セルにおいて、成膜材料aを収納した複数の坩堝5を、ターンテーブル16の回転中心の周りに一定の角度間隔で載せている。このターンテーブル16の間欠回転により、各坩堝5を加熱体2の真下に運んで順次各坩堝5の成膜材料aを加熱し、それを昇華または蒸発する。昇降機構9は坩堝5にではなく、ターンテーブル16を昇降するように設けられている。さらにこのターンテーブル16には、それを間欠回転し、各坩堝5を加熱体2の真下に運ぶための回転機構15も設けられている。
【0028】
その他の構成は図3に示された実施形態による薄膜堆積用分子線セルと同じであり、同じ部材は同じ符号で示している。また、その使用法と動作は基本的に図1に示された実施形態による薄膜堆積用分子線セルと同じである。但し前述したように、ターンテーブル16の間欠回転により、各坩堝5を加熱体2の真下に運び、そこでターンテーブル16を昇降させる点が異なる。
この実施形態による薄膜堆積用分子線セルは、真空チャンバ内で基板1の表面に異なる材料を順次成膜するのに適している。
【0029】
図4は図1に示した薄膜堆積用分子線セルを用い、前述した手順で有機EL材料を昇華させ、発生した分子を基板1の表面に堆積して成膜したときの時間と成膜速度の関係の例を示したグラフである。
下のグラフは、成膜速度を10nm/secとなるように加熱体2の底面を温度制御した例であり、加熱開始の後1時間〜2時間30分の間に加熱体2の底面を360℃〜370℃の温度に漸次昇温させている。また、上のグラフは、成膜速度を100nm/secとなるように加熱体2の底面を温度制御した例であり、加熱開始の後1時間〜2時間30分の間に加熱体2の底面を360℃〜370℃の温度に漸次昇温させている。
【0030】
これら2つのグラフに示す通り、何れも目的の成膜速度に安定して維持されており、成膜速度の変動が小さい。特に、スピッティング現象が起こり、粉体が基板の成膜面に付着すると、計測データのうえでは短い時間に成膜速度が+側に急速に大きくなる。2つのグラフにはそうした箇所は全く見られない。
なお、注目すべきは、成膜速度が10nm/secと100nm/secとでは、10倍の開きがあるが、その間の温度差は僅かに10℃であった。
【0031】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明による薄膜堆積用分子線セルでは、坩堝5に収納した成膜材料aを、加熱体2によりその表面側から順次加熱し、昇華または蒸発させるため、有機EL材料のような熱伝導率の低い成膜材料でも、効率良く表面から昇華または蒸発することができる。さらに、昇華または蒸発させる成膜材料aの表面のみを加熱し、表面より奥にある成膜材料aは加熱しないで済むので、長時間加熱による成膜材料のヒートダメージが起こらない。
【0032】
さらに、いわゆるスピッティング現象が生じ、成膜材料aの昇華または蒸発中に成膜材料aの粒子が飛散しても、その粒子がバッファ室11でトラップされるため、スピッティング現象による影響が基板1側に及ばず、スピッティング現象による粉体の付着に伴薄膜の欠陥等が起こらない。特に、バッファ室11に隔壁13を設け、バッファ室11を外周側と中心側とに仕切ることにより、スピッティング現象により成膜材料aから飛散した粒子のトラップが効果が大きく、それらの粒子の基板への飛来を完全に無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による薄膜堆積用分子線セルの概略縦断側面図である。
【図2】本発明の他の実施形態による薄膜堆積用分子線セルの概略縦断側面図である。
【図3】本発明の他の実施形態による薄膜堆積用分子線セルの概略縦断側面図である。
【図4】本発明の実施形態による薄膜堆積用分子線セルを用いて有機EL材料を真空蒸着したときの時間と成膜速度の関係の例を示すグラフである。
【符号の説明】
a 成膜材料
5 坩堝
3 ヒータ
2 加熱体
5 加熱体の分子放出口
9 昇降機構
11 バッファ室
12 分子通路
13 隔壁

Claims (5)

  1. 成膜材料(a)を加熱することにより、その成膜材料(a)を昇華または蒸発して、固体表面に薄膜を成長させるための分子を発生する真空蒸着用分子線源セルにおいて、成膜材料(a)を収納する坩堝(5)と、この坩堝(5)の開口部を覆うように坩堝(5)内の成膜材料(a)に近接または接する位置と坩堝(5)の開口部から離れた位置との間に移動自在に設けられ、ヒータ(3)により加熱される加熱体(2)と、この加熱体(2)の前記坩堝(5)の開口部を覆う部分に開設された分子放出口(4)と、この分子放出口(4)と坩堝(5)の内部との間に設けられ、昇華または蒸発した成膜材料の分子を通過させるバッファ室(11)と、坩堝(5)内の成膜材料(a)から昇華または蒸発した分子を前記バッファ室(11)に導入する分子通路(12)と、前記加熱体(2)を坩堝(5)の開口部を覆うように坩堝(5)内の成膜材料(a)に近接または接する位置と坩堝(5)の開口部から離れた位置との間で移動させる昇降機構(9)とを有することを特徴とする薄膜堆積用分子線セル。
  2. バッファ室(11)内に筒状の隔壁(13)を有し、この隔壁(13)によりバッファ室(11)がその中央側の部分とその周囲側の部分とに仕切られていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜堆積用分子線セル。
  3. 分子放出口(4)は、隔壁(13)により囲まれたバッファ室(11)の中央側の部分に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の薄膜堆積用分子線セル。
  4. 加熱体(2)は、坩堝(5)の開口部を覆うように坩堝(5)内の成膜材料(a)に近接したとき、その下面からの輻射熱で成膜材料(a)の表面をを加熱すると共に、加熱体(2)の一部が成膜材料(a)の表面からその中に入り込んで成膜材料(a)を直接加熱するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の薄膜堆積用分子線セル。
  5. 加熱体(2)は、坩堝(5)の開口部を覆うように坩堝(5)内の成膜材料(a)に近接した状態で輻射熱により加熱体(2)の表面を加熱し、その表面部分を昇華または蒸発させるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の薄膜堆積用分子線セル。
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